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  • 特許-偏光板及びこれを含む光学表示装置 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-30
(45)【発行日】2024-11-08
(54)【発明の名称】偏光板及びこれを含む光学表示装置
(51)【国際特許分類】
   G02B 5/30 20060101AFI20241031BHJP
   C09D 201/00 20060101ALI20241031BHJP
   C09J 7/38 20180101ALI20241031BHJP
   C09D 7/48 20180101ALI20241031BHJP
   C09D 175/04 20060101ALI20241031BHJP
   C09D 133/04 20060101ALI20241031BHJP
【FI】
G02B5/30
C09D201/00
C09J7/38
C09D7/48
C09D175/04
C09D133/04
【請求項の数】 16
(21)【出願番号】P 2023530915
(86)(22)【出願日】2021-11-05
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2023-12-15
(86)【国際出願番号】 KR2021015981
(87)【国際公開番号】W WO2022108205
(87)【国際公開日】2022-05-27
【審査請求日】2023-05-22
(31)【優先権主張番号】10-2020-0158269
(32)【優先日】2020-11-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】514278061
【氏名又は名称】サムスン エスディアイ カンパニー,リミテッド
【氏名又は名称原語表記】SAMSUNG SDI CO.,LTD.
【住所又は居所原語表記】150-20, Gongse-ro,Giheung-gu,Yongin-si,Gyeonggi-do 17084,Republic of Korea
(74)【代理人】
【識別番号】110000671
【氏名又は名称】IBC一番町弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】ジョン,ウ ジン
(72)【発明者】
【氏名】イ,スン ジュン
(72)【発明者】
【氏名】キム,イル ジン
【審査官】酒井 康博
(56)【参考文献】
【文献】特開2020-118918(JP,A)
【文献】国際公開第2017/150701(WO,A1)
【文献】特開2017-168430(JP,A)
【文献】国際公開第2020/174787(WO,A1)
【文献】韓国登録特許第10-1802562(KR,B1)
【文献】特開2018-203823(JP,A)
【文献】特開2020-045379(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02B 5/30
C09D 201/00
C09J 7/38
C09D 7/48
C09D 175/04
C09D 133/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
偏光子;前記偏光子の上部面に形成された保護コーティング層;前記偏光子の下部面に前記偏光子から順次に形成された保護層及び粘着層を含む偏光板であって、
前記保護コーティング層は、熱硬化型組成物で形成され、
前記熱硬化型組成物は、粘着樹脂、イソシアネート系硬化剤及びUV吸収剤を含み、
前記粘着樹脂は、アルキル基を有する(メタ)アクリル系単量体、水酸基を有する(メタ)アクリル系単量体、ならびに(メタ)アクリル酸、フマル酸、およびイタコン酸からなる群より選択される少なくとも1種のカルボン酸基を有する単量体を含む単量体混合物であって、前記単量体混合物に含まれた単量体のうち少なくとも1種以上は、ホモポリマーのガラス転移温度が50℃以上である単量体を含む単量体混合物の(メタ)アクリル系共重合体を含み、
前記偏光板は、前記保護コーティング層面でマイクロインデンターにより測定されたモジュラスが0MPa以上であることを特徴とする、偏光板。
【請求項2】
前記保護コーティング層は、前記偏光子の上部面に直接的に形成されたことを特徴とする、請求項1に記載の偏光板。
【請求項3】
前記偏光子の上部面には、前記偏光子の保護層として前記保護コーティング層のみが積層されたことを特徴とする、請求項1に記載の偏光板。
【請求項4】
前記UV吸収剤は、粘着樹脂100重量部に対して.1重量部~0重量部で含まれることを特徴とする、請求項に記載の偏光板。
【請求項5】
前記UV吸収剤は、最大吸収波長が90nm以上であることを特徴とする、請求項に記載の偏光板。
【請求項6】
前記UV吸収剤は、インドール系、トリアジン系のうち1種以上を含むことを特徴とする、請求項に記載の偏光板。
【請求項7】
前記ホモポリマーのガラス転移温度が0℃以上である単量体は、前記単量体混合物のうち重量%~0重量%で含まれることを特徴とする、請求項に記載の偏光板。
【請求項8】
前記ホモポリマーのガラス転移温度が50℃以上である単量体は、メチルメタクリレート、t-ブチルメタクリレート、iso-プロピルメタクリレート、sec-ブチルメタクリレート、イソボルニルメタクリレートのうち1種以上を含むことを特徴とする、請求項に記載の偏光板。
【請求項9】
前記単量体混合物は、前記アルキル基を有する(メタ)アクリル系単量体0重量%~8重量%、前記水酸基を有する(メタ)アクリル系単量体.1重量%~5重量%、および前記カルボン酸基を有する単量体.1重量%~5重量%を含むことを特徴とする、請求項に記載の偏光板。
【請求項10】
前記イソシアネート系硬化剤は、ウレタン結合及び炭素数が2個以上であるアルキレン基含有単位を複数個含むポリイソシアネート系硬化剤を含むことを特徴とする、請求項に記載の偏光板。
【請求項11】
前記イソシアネート系硬化剤は、下記化学式1の単位を複数個有するポリイソシアネート硬化剤を含むことを特徴とする、請求項10に記載の偏光板。
【化1】

(前記化学式1において、*は、連結部位であり、
、Rは、同一であるか相異であり、2価の炭素数2~炭素数20の脂肪族炭化水素基である。)
【請求項12】
前記熱硬化型組成物は前記粘着樹脂100重量部、前記イソシアネート系硬化剤0重量部~0重量部、および前記UV吸収剤.1重量部~0重量部を含むことを特徴とする、請求項1に記載の偏光板。
【請求項13】
前記偏光板は、波長380nm又は405nmで光透過率がそれぞれ%以下であることを特徴とする、請求項1に記載の偏光板。
【請求項14】
請求項1~請求項13のうちいずれか一項に記載の偏光板を含むことを特徴とする、光学表示装置。
【請求項15】
前記光学表示装置は、前記偏光板、前記偏光板の上部面に積層された透明粘着フィルム、および前記偏光板の下部面に形成されたOLEDパネルを含むことを特徴とする、請求項14に記載の光学表示装置。
【請求項16】
前記透明粘着フィルムの上部面にカバーガラスがさらに積層されたことを特徴とする、請求項15に記載の光学表示装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、偏光板及びこれを含む光学表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
光学表示装置は、光効率の向上、画面品質の向上などの目的で偏光板を具備する。偏光板は、偏光子及び偏光子の少なくとも一面に形成された保護フィルムを具備する。偏光板は、前記保護フィルムの一面に粘着剤組成物をコーティングするか粘着剤組成物で形成された粘着フィルムを積層した後に被着体に積層され得る。
【0003】
最近、光学表示装置の薄型化傾向が続くに従い、偏光板も薄型化しようとする趨勢にある。偏光板を薄型化させる方法は、多くの方法が考慮され得るが、最近、保護フィルムの代わりに保護コーティング層を偏光子の保護層として用いる方法が考慮されている。一方、偏光板、特に視認側の偏光板は、外部の紫外線光に容易に露出され得、偏光板に入った紫外線は偏光板の被着体、例えば、液晶パネル又はOLEDパネルを損傷させ得る。したがって、薄型化効果とUV遮断効果が同時に得られるべきである。
【0004】
保護コーティング層は、偏光板の薄型化効果を提供することができる。しかし、偏光子の上部面と下部面にそれぞれ積層される保護層の厚さの差、物性差により偏光板の曲がりを発生させ得る。また、保護コーティング層は、偏光子に直接的に形成されるので熱衝撃などの信頼性条件での偏光子のクラックを防止しなければならない。
【0005】
本発明の背景技術は、特開2013-072951号などに開示されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的は、薄型化効果がある偏光板を提供することである。
【0007】
本発明の他の目的は、保護コーティング層に相対的に過量のUV吸収剤を含むことができ偏光子及び偏光板の被着体、例えば、表示パネルのUVによる損傷を最小化する偏光板を提供することである。
【0008】
本発明のまた他の目的は、偏光子に対するバリアー効果を提供して偏光板の曲がりを抑制する偏光板を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の一観点は、偏光板に関する。
【0010】
1.偏光板は、偏光子;前記偏光子の上部面に形成された保護コーティング層;前記偏光子の下部面に前記偏光子から順次に形成された保護層及び粘着層を含み、前記保護コーティング層は、熱硬化型組成物で形成され、前記偏光板は、前記保護コーティング層面でマイクロインデンターにより測定されたモジュラスが約10MPa以上である。
【0011】
2.1において、前記保護コーティング層は、前記偏光子の上部面に直接的に形成され得る。
【0012】
3.1から2において、前記偏光子の上部面には、前記偏光子の保護層として前記保護コーティング層のみが積層され得る。
【0013】
4.1から3において、前記熱硬化型組成物は、粘着樹脂、イソシアネート系硬化剤及びUV吸収剤を含んでもよい。
【0014】
5.4において、前記UV吸収剤は、粘着樹脂100重量部に対して約0.1重量部~約10重量部で含まれてもよい。
【0015】
6.4において、前記UV吸収剤は、最大吸収波長が390nm以上であってもよい。
【0016】
7.4において、前記UV吸収剤は、インドール系、トリアジン系のうち1種以上を含んでもよい。
【0017】
8.1から7において、前記粘着樹脂は、アルキル基を有する(メタ)アクリル系単量体及び水酸基を有する(メタ)アクリル系単量体を含む単量体混合物であって、前記単量体混合物に含まれた単量体のうち少なくとも1種以上は、ホモポリマーのガラス転移温度が約50℃以上である単量体を含む単量体混合物の(メタ)アクリル系共重合体を含んでもよい。
【0018】
9.8において、前記ホモポリマーのガラス転移温度が約50℃以上である単量体は、前記単量体混合物のうち約1重量%~約60重量%で含まれてもよい。
【0019】
10.8から9において、前記ホモポリマーのガラス転移温度が約50℃以上である単量体は、メチルメタクリレート、t-ブチルメタクリレート、iso-プロピルメタクリレート、sec-ブチルメタクリレート、イソボルニルメタクリレートのうち1種以上を含んでもよい。
【0020】
11.8から10において、前記単量体混合物は、前記アルキル基を有する(メタ)アクリル系単量体約85重量%~約99.9重量%、前記水酸基を有する(メタ)アクリル系単量体約0.1重量%~約15重量%を含んでもよい。
【0021】
12.8から11において、前記単量体混合物は、カルボン酸基を有する単量体をさらに含んでもよい。
【0022】
13.8から12において、前記単量体混合物は、前記アルキル基を有する(メタ)アクリル系単量体約70重量%~約98重量%、前記水酸基を有する(メタ)アクリル系単量体約0.1重量%~約15重量%、前記カルボン酸基を有する単量体約0.1重量%~約15重量%を含んでもよい。
【0023】
14.1から13において、前記イソシアネート系硬化剤は、ウレタン結合及び炭素数が2個以上であるアルキレン基含有単位を複数個含むポリイソシアネート系硬化剤を含んでもよい。
【0024】
15.1から14において、前記イソシアネート系硬化剤は、下記化学式1の単位を複数個有するポリイソシアネート硬化剤を含んでもよい:
【0025】
【化1】
【0026】
(前記化学式1において、*は、連結部位であり、
、Rは、同一であるか相異であり、2価の炭素数2~炭素数20の脂肪族炭化水素基である。)
16.1から15において、前記粘着樹脂100重量部、前記イソシアネート系硬化剤約10重量部~約40重量部、前記UV吸収剤約0.1重量部~約10重量部を含んでもよい。
【0027】
17.1か16において、前記偏光板は、波長380nm又は405nmで光透過率がそれぞれ約3%以下であってもよい。
【0028】
本発明の他の観点は、光学表示装置に関する。
【0029】
18.光学表示装置は、本発明の偏光板を含む。
【0030】
19.18において、前記光学表示装置は、前記偏光板、前記偏光板の上部面に積層された透明粘着フィルム、前記偏光板の下部面に形成されたOLEDパネルを含んでもよい。
【0031】
20.19において、前記透明粘着フィルムの上部面にカバーガラスがさらに積層され得る。
【発明の効果】
【0032】
本発明は、薄型化効果がある偏光板を提供した。
【0033】
本発明は、保護コーティング層に相対的に過量のUV吸収剤を含むことができるので、偏光子及び偏光板の被着体、例えば、表示パネルのUVによる損傷を最小化する偏光板を提供した。
【0034】
本発明は、偏光子に対するバリアー効果を提供して偏光板の曲がりを抑制する偏光板を提供した。
【図面の簡単な説明】
【0035】
図1図1は、本発明の一実施例に係る偏光板の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0036】
[発明を実施するための最先の形態]
以下、添付した図面を参照して本出願の実施例をより詳細に説明する。しかし、本出願に開示された技術は、ここで説明される実施例に限定されず、他の形態に具体化され得る。ただし、ここで紹介される実施例は、開示された内容が徹底し且つ完全となるように、そして当業者に本出願の思想が十分に伝達されるようにするために提供されるものである。
【0037】
図面において、各装置の構成要素を明確に表現するために前記構成要素の幅や厚さなどの大きさを多少拡大して示し、本発明のうち前記構成要素の幅や厚さなどの大きさが本発明の範囲によって制限されるものではない。複数の図面上で同一符号は実質的に互いに同一な構成要素を指称する。
【0038】
本明細書において、「上部」と「下部」は、図面を基準にして定義したものであり、視る角度によって「上部」が「下部」に、「下部」が「上部」に変更されてもよく、「上(on)」と称されるものは、直上のみならず、間に他の構造を介在した場合も含むことができる。一方、「直接上(directly on)」又は「直上」又は「直接的に形成」と称されるものは、中間体などの他の構造を介在しないことを示す。
【0039】
本明細書において、偏光板に対して保護コーティング層の面から測定された「モジュラス」は、弾性モジュラス(elastic modulus)を意味する。
【0040】
本明細書において、「(メタ)アクリル」は、アクリル及び/又はメタクリルを意味する。
【0041】
本明細書において、「重量平均分子量」は、ゲル浸透クロマトグラフィー法でのポリスチレン換算により求めた値であってもよい。
【0042】
本明細書において、「置換又は非置換された」において「置換」は、該当作用基のうち一つ以上の水素原子が炭素数1~10のアルキル基を有するエステル基、炭素数1~10のアルキル基、炭素数2~10のアルケニル基、炭素数2~10のアルキニル基、水酸基などに置換されたものを意味する。
【0043】
本明細書において、数値範囲の記載時に「XからY」は、X以上Y以下(X≦そして≦Y)を意味する。
【0044】
本発明の偏光板は、偏光子の一面に保護層の代わりに保護コーティング層を形成することによって偏光板の薄型化効果を提供した。本発明の偏光板は、前記保護コーティング層を熱硬化型組成物で形成して偏光子に対して外部光が入射される最側面に保護コーティング層を形成することによって、光硬化型組成物に比べて相対的に過量のUV吸収剤を含むことができるので、偏光子及び偏光板の被着体、例えば、表示パネルのUVによる損傷を最小化することができる。本発明の偏光板は、保護コーティング層の面でマイクロインデンターにより測定されたモジュラスが約10MPa以上であることによって、偏光子に対するバリアー効果を提供すると同時に偏光板の曲がりを抑制する効果を提供した。
【0045】
本発明の偏光板は、偏光子;前記偏光子の上部面に形成された保護コーティング層;前記偏光子の下部面に前記偏光子から順次に形成された保護層及び粘着層を含み、前記保護コーティング層は、熱硬化型組成物で形成され、前記偏光板は、前記保護コーティング層の面でマイクロインデンターにより測定されたモジュラスが10MPa以上である。
【0046】
以下、図1を参照して本発明の一実施例に係る偏光板を説明する。
【0047】
図1を参照すると、偏光板は、偏光子100、偏光子100の上部面に形成された保護コーティング層200、偏光子100の下部面に形成された保護層300及び粘着層400を含む。
【0048】
偏光板は、保護コーティング層の面でマイクロインデンターにより測定されたモジュラスが約10MPa以上である。前記範囲で、偏光子に対するバリアー効果を提供して熱衝撃による偏光子のクラック発生を抑制することができ、曲がりを抑制することができる。本発明は、保護コーティング層を偏光子に直接的に形成して保護コーティング層の面でマイクロインデンターにより測定されたモジュラスを約10MPa以上に制御することによって、熱衝撃による偏光子のクラック発生を抑制し、偏光子中のヨードなどを含む異色性染料の脱色可能性を低め、偏光子の上部面に形成される保護コーティング層と偏光子の下部面に形成される保護層と粘着層の間の厚さの差から発生する偏光板の曲がりを抑制することができた。
【0049】
具体的に、前記モジュラスは、例えば、10、11、12、13、14、15、16、17、18、1920、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40MPa、約10MPa~約40MPa、より具体的に、約10MPa~約30MPaとなってもよい。
【0050】
保護コーティング層
保護コーティング層200は、偏光板のうち外部光が最初入射される部分に位置され得る。すなわち、偏光子100の上部面には、保護層として保護コーティング層200のみが積層され得る。したがって、下記詳述するが、保護コーティング層は、UV吸収剤を含有することによって外部光のうちUVを効果的に遮断して偏光子と偏光板の被着体のUV損傷を遮断し得る。
【0051】
保護コーティング層200は、偏光子100の上部面に直接的に形成され得る。前記「直接的に形成」は、保護コーティング層と偏光子の間に任意の粘着層又は接着層が介在しないことを意味する。
【0052】
保護コーティング層200は、厚さが約15μm以下、具体的に、約0μm超過約15μm以下となってもよい。前記範囲で偏光板の薄型化効果を得ることができる。
【0053】
保護コーティング層200は、光学的に透明で可視光線領域、例えば、波長550nmで全光線透過率が約90%以上、具体的に、約90%~約100%となってもよい。前記範囲で、偏光板から出射される光に影響を与えず偏光板に用いられ得る。
【0054】
保護コーティング層200は、粘着樹脂、イソシアネート系硬化剤及びUV吸収剤を含む熱硬化型組成物で形成され得る。保護コーティング層が熱硬化型組成物で形成されることによって、保護コーティング層に相対的に過量のUV吸収剤を含むことができるので、偏光子及び偏光板の被着体、例えば、表示パネルのUVによる損傷を最小化し得る。
【0055】
粘着樹脂は、偏光板に対して保護コーティング層の面でマイクロインデンターにより測定されたモジュラスを高めることができ、偏光子に対する付着力を向上させ得る。
【0056】
粘着樹脂は、アルキル基を有する(メタ)アクリル系単量体及び水酸基を有する(メタ)アクリル系単量体を含む単量体混合物であって、前記単量体混合物に含まれた単量体のうち少なくとも1種以上はホモポリマーのガラス転移温度が50℃以上である単量体を含むものがより好ましい(メタ)アクリル系共重合体となり得る。
【0057】
前記単量体混合物に含まれた単量体のうち少なくとも1種以上がホモポリマーのガラス転移温度が約50℃以上である単量体を含むことによって、偏光板に対して保護コーティング層の面でマイクロインデンターにより測定された本発明のモジュラスに到達し得る。具体的に、前記単量体混合物は、ホモポリマーのガラス転移温度が、例えば、約50、55、60、65、70、75、80、85、90,95、100、105、110、115、120、125、130、135、140、145、150、155、160、165、170、175、180、185、190,195、200℃、約50℃~約200℃、より具体的に、約80℃~約150℃である単量体を含むことができる。
【0058】
前記ホモポリマーのガラス転移温度が約50℃以上である単量体は、前記単量体混合物のうち約1重量%~約60重量%、例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26,27、28、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、51、52、53、54、55、56、57、58、59、60重量%、具体的に、約10重量%~約60重量%、約20重量%~約60重量%、約30重量%~約60重量%、より具体的に、約40重量%~約50重量%で含まれ得る。前記範囲で、偏光板に対して保護コーティング層の面でマイクロインデンターにより測定されたモジュラスに到逹するのを助けることができる。
【0059】
アルキル基を有する(メタ)アクリル系単量体は、置換又は非置換された炭素数1~20のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸エステルのうち1種以上を含むことができる。例えば、アルキル基を有する(メタ)アクリル系単量体は、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n-プロピル(メタ)アクリレート、iso-プロピル(メタ)アクリレート、n-ブチル(メタ)アクリレート、t-ブチル(メタ)アクリレート、iso-ブチル(メタ)アクリレート、sec-ブチル(メタ)アクリレート、ペンチル(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレート、2-エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ヘプチル(メタ)アクリレート、n-オクチル(メタ)アクリレート、iso-オクチル(メタ)アクリレート、ノルニル(メタ)アクリレート、デシル(メタ)アクリレート、ドデシル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレートのうち1種以上を含むことができるが、これに制限されない。
【0060】
アルキル基を有する(メタ)アクリル系単量体のうちホモポリマーのガラス転移温度が約50℃以上である単量体は、商品のカタログなどを参照して選択して用いられ得る。例えば、アルキル基を有する(メタ)アクリル系単量体のうちホモポリマーのガラス転移温度が約50℃以上である単量体は、メチルメタクリレート、t-ブチルメタクリレート、iso-プロピルメタクリレート、sec-ブチルメタクリレート、イソボルニルメタクリレートのうち1種以上を含むことができるが、これに制限されない。
【0061】
水酸基を有する(メタ)アクリル系単量体は、水酸基を有し、置換又は非置換された炭素数1~20のアルキル基を有する(メタ)アクリル系単量体、水酸基を有し、置換又は非置換された炭素数3~20の脂環族基を有する(メタ)アクリル系単量体、水酸基を有し、置換又は非置換された炭素数6~20の芳香族基を有する(メタ)アクリル系単量体のうち1種以上を含むことができる。例えば、水酸基を有する(メタ)アクリル系単量体は、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、4-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、6-ヒドロキシへキシル(メタ)アクリレート、1,4-シクロヘキサンジメタノールモノ(メタ)アクリレート、1-クロロ-2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシ-3-フェニルオキシプロピル(メタ)アクリレート、4-ヒドロキシシクロペンチル(メタ)アクリレート、4-ヒドロキシシクロヘキシル(メタ)アクリレートのうち1種以上を含むことができる。
【0062】
例えば、水酸基を有する単量体のうちホモポリマーのガラス転移温度が約20℃以上である単量体を1種以上を含むことができるが、これに制限されない。例えば、水酸基を有する単量体は、ホモポリマーのガラス転移温度が約20℃以上、例えば、約20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80℃、具体的に、約20℃~約80℃である単量体を1種以上含むことができる。水酸基を有する単量体のうちホモポリマーのガラス転移温度が約20℃以上である単量体は、2-ヒドロキシエチルメタクリレートなどを含むことができるが、これに制限されない。
【0063】
前記単量体混合物は、カルボン酸基を有する単量体をさらに含むことができる。カルボン酸基を有する単量体は、(メタ)アクリル酸、フマル酸、イタコン酸などを含むことができるが、これに制限されない。
【0064】
一具体例で、前記単量体混合物は、アルキル基を有する(メタ)アクリル系単量体約85重量%~約99.9重量%、例えば、85、86、87、88、89、90、91、92、93、94、95、96、97、98、99、99.9重量%、具体的に、約90重量%~約95重量%、水酸基を有する(メタ)アクリル系単量体約0.1重量%~約15重量%、例えば、0.1、0.5、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15重量%、具体的に、約1重量%~約10重量%で含まれ得る。前記範囲でバリアー特性のモジュラス及び硬化度の調節が可能である。
【0065】
他の具体例で、前記単量体混合物は、アルキル基を有する(メタ)アクリル系単量体約70重量%~約98重量%、例えば、70、71、72、73、74、75、76、77、78、79、80、81、82、83、84、85、86、87、88、89、90、91、92、93、94、95、96、97、98重量%、具体的に、約85重量%~約90重量%、水酸基を有する(メタ)アクリル系単量体約0.1重量%~約15重量%、例えば、0.1、0.5、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15重量%、具体的に、約1重量%~約10重量%、カルボン酸基を有する単量体約0.1重量%~約15重量%、例えば、0.1、0.5、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15重量%、具体的に、約1重量%~約10重量%で含まれ得る。前記範囲で追加硬化特性を付与してモジュラス特性の向上が可能であり得る。
【0066】
前記単量体混合物は、ホモポリマーのガラス転移温度が約50℃以上である単量体として(メタ)アクリルアミド、アクリロニトリル、ベンジルメタクリレート、シクロヘキシルメタクリレート、N,N-ジメチルアクリルアミド、スチレン、ジヒドロジシクロペンタジエニルアクリレート(Dihydrodicyclopentadienyl Acrylate、DCPA)のうち1以上をさらに含むことができるが、これに制限されない。
【0067】
(メタ)アクリル系共重合体は、前記単量体混合物を通常の重合方法で重合させて製造され得る。重合方法は、当業者に知られている通常の方法を含むことができる。例えば、(メタ)アクリル系共重合体は、単量体混合物に開始剤を添加した後、通常の共重合体、例えば、懸濁重合、乳化重合、溶液重合などで製造され得る。重合温度は、60℃~70℃、重合時間は、6時間~8時間となってもよい。開始剤は、イゾ系重合開始剤及び/又は過酸化ベンゾイル又は過酸化アセチルのような過酸化物などを含む通常のものを用いることができる。
【0068】
粘着樹脂、具体的に、(メタ)アクリル系共重合体は、重量平均分子量が約20万以上、例えば、20万、25万、30万、35万、40万、45万、50万、55万、60万、65万、70万、75万、80万、85万、90万、95万、100万、具体的に、20万~100万、より具体的に、10万~30万となってもよい。前記範囲で、本発明の効果に容易に到達できる。
【0069】
イソシアネート系硬化剤は、粘着樹脂を硬化させて保護コーティング層の架橋度を向上させて偏光子に対する付着性を高めることができる。イソシアネート系硬化剤は、熱硬化剤として粘着樹脂を熱硬化させて保護コーティング層を形成するようにすることができる。このように、本発明の保護コーティング層は、熱硬化型組成物で形成されて下記詳述されるUV吸収剤を過量含んでも保護コーティング層の架橋度などに問題なく保護コーティング層を具現することができる。
【0070】
イソシアネート系硬化剤は、粘着樹脂100重量部に対して約10重量部~約40重量部、例えば、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40重量部、具体的に、約15重量部~約30重量部で含まれ得る。前記範囲で、保護コーティング層の架橋度及び付着性を向上させて柔軟性を向上させ得る。
【0071】
イソシアネート系硬化剤は、ウレタン結合及び炭素数が2個以上であるアルキレン基含有単位を複数個含むポリイソシアネート系硬化剤を含むことができる。前記ポリイソシアネート系硬化剤は、粘着樹脂を硬化させて前記モジュラスに到逹するのに役立つことができる。前記「アルキレン基」は、炭素数6~炭素数20の線形アルキレン基であって、例えば、ヘキサメチレン基、ドデカメチレン基又はトリメチルヘキサメチレン基などを意味することができるが、これに制限されない。
【0072】
一具体例で、前記イソシアネート系硬化剤は、ウレタン変性された炭素数が2個以上である線形アルキレン基含有単位を複数個有するポリイソシアネート系硬化剤の付加体を含むことができる。例えば、ポリイソシアネート系硬化剤は、ウレタンを含有している脂肪族ポリイソシアネートであってもよい。このとき、脂肪族ポリイソシアネート硬化剤は、C4~C20のジイソシアネートであって、テトラメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、ドデカメチレンジイソシアネート、2,2,4-トリメチルヘキサメチレンジイソシアネートなどを含むトリメチルヘキサメチレンジイソシアネートなどとなってもよい。ウレタン変性されたポリイソシアネート系硬化剤は、商業的に市販される製品で用いることができる。
【0073】
一具体例で、前記イソシアネート系硬化剤は、下記化学式1の単位を有するポリイソシアネート硬化剤を含むことができる。前記硬化剤は、下記化学式1の構造単位を複数個有することが好ましい:
【0074】
【化2】
【0075】
(前記化学式1において、*は、連結部位であり、
、Rは、同一であるか相異であり、2価の炭素数2~炭素数20の脂肪族炭化水素基である。)
前記硬化剤は、当業者に知られている方法で合成されるか商業的に市販される製品、例えば、AE 700-100(旭化成社)などで用いられ得る。
【0076】
UV吸収剤は、保護コーティング層内に含まれて外部光のうち偏光板に入射される紫外線の含量を低めることによって偏光子及び偏光板の被着体(例えば、表示パネル)のUVによる損傷を遮断することができる。
【0077】
UV吸収剤は、最大吸収波長が約390nm以上、具体的に、約390nm以上約400nm以下、より具体的に、約390nm超過約400nm未満となってもよい。前記範囲で外光のうち波長420nm以下、波長400nm~420nm、波長405nm以下での光を十分に吸収してUV透過率を低めることによって偏光子及び偏光板の被着体の損傷を阻むことができる。
【0078】
前記「最大吸収波長」は、最大吸収ピークを示す波長、すなわち、波長による吸光度曲線で最大吸光度を示す波長を意味する。前記「吸光度」は、当業者に知られている通常の方法で測定され得る。
【0079】
これを通じて、偏光板は、波長380nmでの光透過率を約3%以下、具体的に、約0%~約3%又は波長405nmでの光透過率を約3%以下、具体的に、約0%~約3%となってもよい。特に、本発明の偏光板は、波長380nmでの光透過率を約3%以下とすることによって偏光子のUV損傷まで遮断することができる。
【0080】
一具体例で、UV吸収剤は、融点が約100℃以上、具体的に、約140℃~約220℃であって、常温で固相である吸収剤を含むことができる。
【0081】
UV吸収剤は、前記最大吸収波長を有するインドール系吸収剤、トリアジン系吸収剤のうち1種以上を含むことができる。一具体例で、インドール系吸収剤は、下記化学式2の化合物を含むことができる:
【0082】
【化3】
【0083】
(前記化学式2で、Rは、水素又は置換又は非置換されたC1~C10のアルキル基、
は、水素又は置換又は非置換されたC6~C20のアリール基、
は、水素又は置換又は非置換されたC1~C10のアルキル基、
は、水素、シアノ基(CN)又は置換又は非置換えされたC1~C10のアルキル基、
は、シアノ基又は-(C=O)O-R(このとき、Rは、置換又は非置換されたC1~C10のアルキル基又は置換又は非置換されたC6~C20のアリール基)。
【0084】
具体的に、Rは、C1~C5のアルキル基、具体的に、メチル基、Rは、C6~C10のアリール基、具体的に、フェニル基、Rは、水素又はC1~C5のアルキル基、具体的に、水素、Rは、シアノ基、Rは、シアノ基又は-(C=O)O-R(このとき、Rは、置換又は非置換されたC1~C5のアルキル基)。より具体的に、化学式2の化合物は、下記化学式2-1又は下記化学式2-2の化合物を含むことができる:
【0085】
【化4】
【0086】
一具体例で、トリアジン系吸収剤は、下記化学式3の化合物を含むことができる:
【0087】
【化5】
【0088】
(前記化学式3で、R、R、Rは、それぞれ独立的に置換又は非置換されたヒドロキシフェニル基である)。
【0089】
UV吸収剤は、粘着樹脂100重量部に対して約0.1重量部~約10重量部、例えば、0.1、0.5、1、1.5、2、2.5、3、3.5、4、4.5、5、5.5、6、6.5、7、7.5、8、8.5、9、9.5、10重量部、具体的に、約1重量部~約5重量部で含まれ得る。前記範囲で、UV遮断効果、保護コーティング層からのUV吸収剤の溶出などの問題点がない。
【0090】
前記組成物は、イソシアネート系硬化剤以外に当業者に知られている通常の熱硬化剤をさらに含むことができる。
【0091】
例えば、前記熱硬化剤は、カルボジイミド系硬化剤、金属キレート系硬化剤、アジリジン系硬化剤、エポキシ系硬化剤のうち1種以上をさらに含むことができる。前記硬化剤は、粘着樹脂100重量部に対して約0.001重量部~約5重量部、例えば、約0.01重量部~約1重量部で含まれ得る。前記範囲で、保護コーティング層の形成に役立つことができる。
【0092】
前記組成物は、シランカップリング剤をさらに含むことができる。
【0093】
シランカップリング剤は、保護コーティング層の偏光子に対する密着力を高めることができる。シランカップリング剤は、当業者に知られている通常のシランカップリング剤を含むことができる。例えば、シランカップリング剤は、グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、グリシドキシプロメチルジメトキシシランなどのエポキシ基含有シランカップリング剤を含むことができるが、これに制限されない。
【0094】
シランカップリング剤は、粘着樹脂100重量部に対して約0.01重量部~約5重量部、例えば、約0.1重量部~約2.5重量部で含まれ得る。前記範囲で、偏光子に対する付着力がより高くなり得る。
【0095】
前記組成物は、架橋触媒をさらに含むことができる。架橋触媒は、前記組成物で製造された保護コーティング層の架橋度を高めることができる。架橋触媒は、金属又は金属含有化合物のうち一つ以上を含むことができる。具体的に、架橋触媒は、スズ含有化合物、亜鉛含有化合物、チタン化合物、ビスマス化合物のうち一つ以上を含むことができる。より具体的に、架橋触媒は、ジブチルチンジラウレート、ジマレエートスズのうち一つ以上を含むことができる。
【0096】
架橋触媒は、粘着樹脂100重量部に対して0.01重量部~1.5重量部で含まれ得る。前記範囲で、前記架橋度が増加し得、水分浸透が抑制され得る。
【0097】
前記組成物は、添加剤をさらに含むことができる。添加剤は、保護コーティング層に追加的な機能を提供することができる。具体的に、添加剤は、反応抑制剤、接着性向上剤、揺変性付与剤、導電性付与剤、色素調整剤、安定化剤、酸化防止剤、レベリング剤のうち1種以上を含むことができるが、これに制限されない。
【0098】
前記組成物は、塗工性を高めるために通常の溶剤をさらに高めることができる。例えば、前記溶剤は、メチルエチルケトン、イソブチルケトンなどのケトン系溶媒を含むことができるが、これに制限されない。
【0099】
保護コーティング層200は、前記組成物を偏光子又は異形フィルムに所定の厚さでコーティングした後、90℃~100℃で1分~3分間熱硬化させて形成され得る。
【0100】
偏光子
偏光子100は、ポリビニルアルコール系樹脂フィルムで製造された偏光子を含むことができる。具体的に、偏光子は、ポリビニルアルコール系樹脂フィルムにヨード、異色性染料のうち一つ以上が吸着されたポリビニルアルコール系偏光子、又はポリビニルアルコール系樹脂フィルムを脱水させて製造されたポリエン系偏光子にとなってもよい。
【0101】
偏光子100は、厚さが約5μm~約30μm、具体的に、約5μm~約20μmとなってもよい。前記範囲で、偏光板に用いられ得、偏光板の薄型化効果を具現することができる。
【0102】
保護層
保護層300は、偏光子100の下部面に形成されて偏光子を保護することができる。保護層は、光学的に透明な高分子フィルム又は液晶層を含むことができる。
【0103】
一具体例で、保護層300は、光学的に透明な樹脂フィルムであって、トリアセチルセルロース(TAC)などを含むセルロースエステル系樹脂、非晶性環状ポリオレフィン(cyclic olefin polymer、COP)などを含む環型ポリオレフィン系樹脂、(メタ)アクリル系樹脂、ポリ(メタ)アクリレート系樹脂、ポリカーボネート(PC)系樹脂、ポリエチレンテレフタレート(PET)などを含むポリエステル系樹脂、ポリエステルスルホン系樹脂、ポリスルホン系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリイミド系樹脂、非環型ポリオレフィン系樹脂、ポリアリレート系樹脂、ポリビニルアルコール系樹脂、ポリ塩化ビニル系樹脂、ポリ塩化ビニリデン系樹脂、アクリル系樹脂のうち一つ以上を含むことができる。
【0104】
保護層300は、偏光板の機能などを考慮して所定範囲の位相差を有することができる。例えば、保護層300は、波長550nmで面内位相差(Re)が約100nm~約350nmとなってもよい。保護層300は、上述した面内位相差を有する2層以上の保護層の積層体であってもよい。本明細書で「面内位相差(Re)」は、Re=(nx-ny)×d(nx、nyは、それぞれ保護層の遅相軸(slow axis)方向、進相軸(fast axis)方向の屈折率、dは、保護層の厚さ(単位:nm))で計算され得る。
【0105】
保護層300は、保護コーティング層に比べて厚さが薄いか厚くてもよい。具体的に、保護層は、厚さが約0.1μm~約200μm、具体的に、約10μm~約150μm、より具体的に、約20μm~約100μmとなってもよい。前記範囲で、偏光板に用いられ得る。
【0106】
図1に示さなかったが、保護層300は、接着層により偏光子に接着され得る。例えば、接着層は、水系接着剤、光硬化接着剤のうち1種以上により形成され得る。接着層は、厚さが約30μm以下、例えば、約0μm超過約30μm以下となってもよい。
【0107】
粘着層
粘着層400は、保護層300の下部面に形成されて偏光板を被着体に粘着させ得る。
【0108】
粘着層400は、(メタ)アクリル系粘着樹脂、シリコーン系粘着樹脂、ウレタン系粘着樹脂、エポキシ系粘着樹脂などの粘着樹脂を含む粘着層用組成物で形成され得る。好ましくは、粘着層400は、粘着層の製造容易性を考慮して(メタ)アクリル系粘着樹脂で形成され得る。(メタ)アクリル系粘着樹脂は、当業者に知られている通常の組成物で適用された粘着樹脂を含むことができる。
【0109】
粘着層400は、厚さが約5μm~約200μm、具体的に、約10μm~約150μm、より具体的に、約20μm~約100μmとなってもよい。前記範囲で、偏光板に用いられ得る。
【0110】
以下、本発明の一実施例による光学表示装置を説明する。
【0111】
光学表示装置は、本発明の偏光板を含む。光学表示装置は、液晶表示装置、有機発光表示装置、フレキシブル有機発光表示装置などとなってもよいが、これに制限されない。
【0112】
一具体例で、光学表示装置は、本発明の偏光板、前記偏光板の上部面に積層された透明粘着フィルム(例えば、OCA)、前記偏光板の下部面に形成された光学表示装置用パネル、具体的に、OLEDパネルを含むことができる。
【0113】
他の具体例で、光学表示装置は、本発明の偏光板、前記偏光板の上部面に積層された透明粘着フィルム(例えば、OCA)、透明粘着フィルムの上部面に積層されたカバーガラス、前記偏光板の下部面に形成された光学表示装置用パネルを含むことができる。
【0114】
<発明の実施のための形態>
以下、本発明の実施例を通じて本発明の構成及び作用をより詳しく説明する。ただし、下記実施例は、本発明の理解を助けるためのものであって、本発明の範囲が下記実施例によって限定されない。
【0115】
<製造例1>
窒素ガスが還流されて温度調節が容易となるように冷却装置が設置された1Lの反応器にn-ブチルアクリレート40重量部、2-ヒドロキシエチルメタクリレート5重量部、メチルメタクリレート50重量部及びアクリル酸5重量部を含む単量体混合物100重量部を投入し、溶媒でエチルアセテート100重量部を投入した。その後、酸素を除去するために窒素ガスを1時間の間投入して反応器の内部を窒素ガスに置換させた後、反応器の温度を62℃に維持した。前記単量体混合物を均一に撹拌した後、反応開始剤でアゾビスイソブチロニトリル(AIBN)0.03重量部を投入し、8時間の間反応させて重量平均分子量が20万である(メタ)アクリル系共重合体を製造した。
【0116】
<製造例2>
窒素ガスが還流されて温度調節が容易となるように冷却装置が設置された1Lの反応器にn-ブチルアクリレート90重量部、4-ヒドロキシブチルアクリレート5重量部及びアクリル酸5重量部を含む単量体混合物100重量部を投入し、溶媒でエチルアセテート100重量部を投入した。その後、酸素を除去するために窒素ガスを1時間の間投入して反応器を窒素ガスに置換させた後、反応器の温度を62℃に維持した。前記単量体混合物を均一に撹拌した後、反応開始剤でアゾビスイソブチロニトリル(AIBN)0.03重量部を投入し、8時間の間反応させて重量平均分子量が20万である(メタ)アクリル系共重合体を製造した。
【0117】
以下、実施例と比較例で用いられた成分の具体的な仕様は次の通りである。
【0118】
(A)粘着樹脂:
(A1)製造例1の(メタ)アクリル系共重合体
(A2)製造例2の(メタ)アクリル系共重合体
(B)イソシアネート系硬化剤:
(B1)AE 700-100旭化成、イソシアネート系硬化剤)
(B2)Coronate L(日本ポリウレタン、トルエンジイソシアネートのトリメチロールプロパンアダクト)
(C)UV吸収剤:
(C1)UV吸収剤としてUV 3912(オリエントケミカル、インドール系)
(C2)UV吸収剤としてTinuvin 477(BASF、トリアジン系)
(D)シランカップリング剤:KBM-403(信越社、3-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン)
<実施例1>
水で水洗したポリビニルアルコール系フィルム(Kuraray社、ケン化度:99.5モル%、重合度:2000、厚さ:80μm)を30℃水の膨潤槽で膨潤処理した。膨潤槽を通過したポリビニルアルコール系フィルムをヨウ化カリウム3重量%を含む水溶液を含有する30℃の染着槽で30秒~200秒間処理した。染着槽を通過したポリビニルアルコール系フィルムをホウ酸3重量%を含有する30℃~60℃水溶液である湿式架橋槽を通過させた。架橋槽を通過したポリビニルアルコール系フィルムをホウ酸3重量%を含有する50℃~60水溶液で延伸させるが、総延伸比が6倍となるように延伸させて偏光子(厚さ:20μm)を製造した。
【0119】
固形分を基準として、製造例1の(メタ)アクリル系共重合体100重量部、(B1)イソシアネート系硬化剤30重量部、(C1)UV吸収剤1.5重量部、(D)シランカップリング剤0.1重量部、溶媒メチルエチルケトン20重量部を混合して25℃で5分間撹拌して保護コーティング層用組成物を製造した。
【0120】
前記製造した偏光子の上部面に前記製造した保護コーティング層用組成物を所定の厚さで塗布して90℃で3分処理して溶媒を除去し、25℃で72時間熟成させて偏光子の上部面に保護コーティング層(厚さ:7μm)を形成した。
【0121】
前記偏光子の下部面に保護フィルムでトリアセチルセルロースフィルム(Fuji、n-TAC、厚さ:80μm)を水系接着剤(ポリビニルアルコール系樹脂を含む)で接着させた後、トリアセチルセルロースフィルムの他の一面に粘着層(厚さ:20μm、(メタ)アクリル系粘着層)を形成して保護コーティング層-偏光子-接着剤層-トリアセチルセルロースフィルム-粘着層の順に積層された偏光板を製造した。前記粘着層は、(メタ)アクリル系粘着樹脂とイソシアネート系硬化剤を含む組成物で形成した。
【0122】
<実施例2~実施例5>
実施例1で保護コーティング層用組成物のうち各成分及び/又はその含量を下記表1(単位:重量部)のように変更したこと以外は、同一の方法で偏光板を製造した。下記表1で「-」は、当該成分が含まれないことを意味する。
【0123】
<比較例1及び比較例2>
実施例1で組成物の各成分及び/又はその含量を下記表1のように変更したこと以外は、同一の方法で偏光板用粘着剤組成物を製造した。
【0124】
実施例と比較例の偏光板に対して下記物性を評価してその結果を下記表1に示した。
【0125】
(1)モジュラス(単位:MPa):実施例と比較例の偏光板に対して保護コーティング層の面でモジュラスを測定した。偏光板を長さ×幅(10cm × 10cm)で切断して試験片を製造した。前記試験片のうち粘着層をガラス板に粘着させてガラス板に前記試験片を固定させ、25℃で前記試験片の保護コーティング層面にマイクロインデンター(Micro Indentor、Hysitron TI750 Ubi)を200mNの一定の力で5秒間加え、2秒間維持して、5秒間relaxationして計算することで測定された。
【0126】
(2)偏光子のクラック:実施例と比較例の偏光板(偏光子にクラックなし)を長さ×幅(10cm × 10cm)で切断し、前記偏光板のうち粘着層をガラス板に合紙して50℃及び1気圧下でオートクレーブ処理してガラス板に偏光板が固定された試験片を製造した。前記試験片を熱衝撃チャンバ下で-30℃で30分放置、80℃で30分放置することを1サイクルにして200サイクル進行した。200サイクルを進行した後、偏光子から発生したクラックの最大長さを測定した。クラックは、偏光子のMDで形成される。クラックの長さが4mm以下であると、「OK」、クラックの長さが4mm超過であると、「NG」と評価した。
【0127】
(3)偏光板の光透過率(単位:%):実施例と比較例の偏光板を偏光板のうち粘着層を媒介でガラス板に付着して光透過率測定装置V-7100(JASCO社)を用いて測定した。このうち波長380nm、405nmでの光透過率を求めた。
【0128】
(4)タック(tack)性(単位:gf):実施例と比較例の偏光板のうち保護コーティング層の面にプローブ(断面は、半径2.5mmのcone形態の曲面であり、材料は、SUSである)を25℃で10秒間接触し、保護コーティング層の面から前記プローブを脱着させたときにプローブにかかる力をタック性測定装置UTM(TA-Analyzer)で測定した。それから測定されたタック性は、10gf以下、例えば、0gf~10gfであることが好ましい。
【0129】
(5)曲がり(単位:mm):実施例と比較例の偏光板(偏光子のMD × 偏光子のTD、180mm × 110mm、直四角形)を偏光板のうち粘着層を媒介としてガラス板(横×縦×厚さ、190mm × 120mm × 0.5T、長方形)に付着して試験片を製造した。製造した試験片85℃のオーブンに投入して24時間後に取り出して試験片の曲がりを測定した。前記試験片を偏平な所において、一側の角上側に錘をおいて対角線方向の角で前記偏平な所と試験片の間の距離を測定した。前記偏平な所と試験片の間の距離が0mm以上2mm以下であると、○、2mm超過5mm以下であると、△、5mm超過であると、×と評価した。
【0130】
【表1】
【0131】
前記表1のように、本発明の偏光板は、偏光子に対するバリアー効果を提供して偏光板の曲がりを抑制した。
【0132】
一方、本発明のモジュラス範囲を脱する比較例の偏光板は、偏光子に対するバリアー効果がなく、曲がり抑制效果も微弱であり、タック性も良くなかった。
【0133】
本発明の単純な変形及び変更は、この分野で通常の知識を有した者によって容易に実施可能であり、このような変形や変更は、いずれも本発明の領域に含まれるものと見なすことができる。
図1