(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-30
(45)【発行日】2024-11-08
(54)【発明の名称】オーバレイ計量の性能拡張
(51)【国際特許分類】
H01L 21/66 20060101AFI20241031BHJP
【FI】
H01L21/66 J
(21)【出願番号】P 2023557388
(86)(22)【出願日】2021-06-29
(86)【国際出願番号】 US2021039472
(87)【国際公開番号】W WO2022211835
(87)【国際公開日】2022-10-06
【審査請求日】2024-03-26
(32)【優先日】2021-03-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】500049141
【氏名又は名称】ケーエルエー コーポレイション
(74)【代理人】
【識別番号】110001210
【氏名又は名称】弁理士法人YKI国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】マナセン アムノン
(72)【発明者】
【氏名】ヒル アンドリュー ヴイ
(72)【発明者】
【氏名】ヴァクニン ヨナタン
(72)【発明者】
【氏名】シモン ヨッシ
(72)【発明者】
【氏名】ネグリ ダリア
(72)【発明者】
【氏名】レヴィンスキー ウラジミール
(72)【発明者】
【氏名】パスコバー ユーリ
(72)【発明者】
【氏名】ゴロツバン アンナ
(72)【発明者】
【氏名】ロートマン ナション
(72)【発明者】
【氏名】レディ ニレクシャン ケー
(72)【発明者】
【氏名】ベン ダビッド ニル
(72)【発明者】
【氏名】アブラモフ アヴィ
(72)【発明者】
【氏名】ヤアコフ ドロール
(72)【発明者】
【氏名】ウジエル ヨーラム
(72)【発明者】
【氏名】グットマン ナダヴ
【審査官】小池 英敏
(56)【参考文献】
【文献】特表2020-519928(JP,A)
【文献】特開2015-038474(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2019/0310080(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2015/0204664(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2016/0033398(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2018/0173112(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2019/0204755(US,A1)
【文献】特表2017-526973(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/66
H01L 21/027
G01B 11/00
G03F 7/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
計量方法であって、
その上に少なくとも第1及び第2パターン化層が相次いで堆積されており、前記第1パターン化層内に第1ターゲットフィーチャ、前記第2パターン化層内に第2ターゲットフィーチャが備わり、その第2ターゲットフィーチャが前記第1ターゲットフィーチャ上に重なっている半導体ウェハを、少なくとも1本の照明ビームを差し向けて照明し、
前記第1ターゲットフィーチャ及び前記第2ターゲットフィーチャの画像のシーケンスを、そのシーケンスに亘り1個又は複数個のイメージングパラメタを変化させつつ捕捉し、
前記画像のシーケンスの捕捉は、相互レジストレーション状態の第1及び第2カメラを用い前記第1ターゲットフィーチャ及び前記第2ターゲットフィーチャの第1及び第2画像の捕捉を含み、前記第1及び前記第2画像の捕捉は、前記第1及び第2カメラの方に
格子画像を投射しその
格子画像に対しそれら第1及び第2カメラを位置合わせすることを含み、
前記シーケンス内の前記画像を処理することで、それら画像内の前記第1ターゲットフィーチャ及び前記第2ターゲットフィーチャ各自の対称中心を識別し且つそれら対称中心の変動を前記変化するイメージングパラメタの関数として計測し、前記画像の処理は、前記第1及び第2画像を比較することで前記対称中心の前記変動を計測することを含み、且つ
前記第1・第2パターン化層間のオーバレイ誤差を計測する際に前記変動を適用する方法。
【請求項2】
請求項1に係る方法であって、前記第1パターン化層がプロセス層を含み、前記第2パターン化層がそのプロセス層の上方に堆積されたレジスト層を含む方法。
【請求項3】
請求項1に係る方法であって、前記
格子画像を投射する際に、前記第1ターゲットフィーチャ及び前記第2ターゲットフィーチャの前記画像と並べて、格子パターンを生成し前記第1及び第2カメラ各自の検出器アレイ上へと投射する方法。
【請求項4】
請求項1に係る方法であって、前記第1及び第2画像を捕捉する際に、前記イメージングパラメタのうち前記1個又は複数個を前記第1画像では第1セッティングに設定し前記第2画像では第2セッティングに設定する方法。
【請求項5】
請求項1に係る方法であって、前記イメージングパラメタのうち前記1個又は複数個を設定する際に、前記第1及び第2カメラを個々別々な第1及び第2焦点位置に設定すること、並びに、前記第1及び第2焦点位置各自の第1及び第2シーケンス内を経てそれら第1及び第2カメラをステッピングすることで、前記対称中心の変動をそれら第1及び第2焦点位置の関数として計測する方法。
【請求項6】
請求項5に係る方法であって、前記第1及び第2焦点位置が一定の焦点距離Δzで以て分離されていて、前記第1及び第2シーケンスの各段階にてそれら第1及び第2焦点位置双方がΔz分だけインクリメントされる方法。
【請求項7】
請求項1に係る方法であって、前記少なくとも1本の照明ビームが、個々別々な第1及び第2偏光状態にある第1及び第2照明ビームを含み、且つ、前記第1及び第2画像を捕捉する際に、偏光ビームスプリッタを適用することで、前記第1偏光状態にて前記半導体ウェハから反射されてきた光を前記第1カメラの方に差し向け且つ前記第2偏光状態にて前記半導体ウェハから反射されてきた光を前記第2カメラの方に差し向ける方法。
【請求項8】
請求項1に係る方法であって、前記画像の前記シーケンスを捕捉する際に、相異なるイメージングパラメタにて前記第1ターゲットフィーチャ及び前記第2ターゲットフィーチャの前記画像を捕捉し、前記画像を処理する際に、前記対称中心の前記変動をそのイメージングパラメタの関数として計測する方法であり、そのイメージングパラメタが焦点セッティング、波長又は偏光状態である方法。
【請求項9】
請求項1に係る方法であって、前記画像の前記シーケンスを捕捉する際に、前記少なくとも1本の照明ビームの少なくとも1個のアパーチャを複数通りの別々なオフセットにして前記第1ターゲットフィーチャ及び前記第2ターゲットフィーチャの前記画像を捕捉し、且つ、前記画像を処理する際に、前記対称中心の前記変動をそのアパーチャのそれらオフセットの関数として計測する方法。
【請求項10】
請求項1に係る方法であって、前記画像の前記シーケンスを捕捉する際に、カメラを用い、またそのカメラに対し前記半導体ウェハを様々な角度方位にして、前記第1ターゲットフィーチャ及び前記第2ターゲットフィーチャの前記画像を捕捉し、且つ、前記画像を処理する際に、前記対称中心のツール誘起シフトをそれら角度方位の関数として計測する方法。
【請求項11】
請求項1に係る方法であって、前記計測された変動を適用する際に、その計測された変動に応じ前記1個又は複数個のイメージングパラメタの最適範囲を探索し、且つ、その最適範囲内の値にその1個又は複数個のイメージングパラメタを設定することにより前記オーバレイ誤差を計測するためのレシピを生成する方法。
【請求項12】
請求項11に係る方法であって、前記画像の前記シーケンスを捕捉する際に、前記半導体ウェハ上にある複数個の別々な個所にて複数個のターゲットフィーチャの前記画像を捕捉し、且つ、前記最適範囲を探索する際に、それら別々な個所にて計測された前記変動を適用することで前記半導体ウェハのあるエリアに亘り最適となる範囲を選択する方法。
【請求項13】
請求項1に係る方法であって、前記画像を処理する際に、前記
第1ターゲットフィーチャ
及び前記第2ターゲットフィーチャのうち少なくとも1個の非対称性を計測する方法。
【請求項14】
計量方法であって、
その上に少なくとも1個のパターン化層が堆積されており、所定の軸に対し平行に方位決めされた複数本のバーを有する格子がそれに備わる半導体ウェハを、少なくとも1本の照明ビームを差し向けて照明し、
前記格子の1枚又は複数枚の画像を捕捉し、前記1枚又は複数枚の画像の捕捉は、相互レジストレーション状態の第1及び第2カメラを用い前記格子の第1及び第2画像の捕捉を含み、前記第1及び前記第2画像の捕捉は、前記第1及び第2カメラの方に
格子画像を投射しその
格子画像に対しそれら第1及び第2カメラを位置合わせすることを含み、
前記1枚又は複数枚の画像を処理することで、前記
所定の軸周りで前記バーのうち1本又は複数本の非対称性を解明し、前記画像の処理は、前記第1及び第2画像を比較することで対称中心の変動を計測することを含み、且つ
前記パターン化層の計量的評価を行う際に前記解明された非対称性を適用する方法。
【請求項15】
請求項14に係る方法であって、前記1枚又は複数枚の画像を捕捉する際に、様々な焦点セッティングにて前記格子の前記画像のシーケンスを捕捉し、且つ、前記1枚又は複数枚の画像を処理する際に、さらに前記画像における前記格子の対称中心の前記変動をそれら焦点セッティングの関数として計測し且つその計測された変動に基づき前記非対称性を解明する方法。
【請求項16】
請求項14に係る方法であって、前記1枚又は複数枚の画像を処理する際に、前記バーのうち前記1本又は複数本の画像とその画像の反射バージョンとの間の相関を計算し且つその相関をもとに前記非対称性の度合いを導出する方法。
【請求項17】
光学検査装置であって、
その上に少なくとも第1及び第2パターン化層が相次いで堆積されており、前記第1パターン化層内に第1ターゲットフィーチャ、前記第2パターン化層内に第2ターゲットフィーチャが備わり、その第2ターゲットフィーチャが前記第1ターゲットフィーチャ上に重なる半導体ウェハを、少なくとも1本の照明ビームを差し向けて照明するよう構成された照明アセンブリと、
前記第1ターゲットフィーチャ及び前記第2ターゲットフィーチャの画像のシーケンスを捕捉するよう構成されたイメージングアセンブリであり、前記イメージングアセンブリは、相互レジストレーション状態にあり前記第1ターゲットフィーチャ及び前記第2ターゲットフィーチャの第1及び第2画像を捕捉するように構成された第1及び第2カメラを含み、前記イメージングアセンブリは、さらに前記第1及び第2カメラの方に
格子画像を投射するように構成された
プロジェクタを含み、
前記シーケンスに亘り本装置の1個又は複数個のイメージングパラメタを変化させるよう、前記シーケンス内の前記画像を処理することで前記画像内の前記第1ターゲットフィーチャ及び前記第2ターゲットフィーチャ各自の対称中心を識別してそれら対称中心の変動を前記変化するイメージングパラメタの関数として計測するよう、且つ前記第1・第2パターン化層間のオーバレイ誤差を計測する際に前記変動を適用するよう、構成されたコントローラであり、前記コントローラは、前記第1及び第2画像を比較することで前記対称中心の前記変動を計測し、前記
格子画像に対し前記第1及び第2カメラを位置合わせするよう構成されている装置。
【請求項18】
請求項17に係る装置であって、前記プロジェクタが、前記第1ターゲットフィーチャ及び前記第2ターゲットフィーチャの前記画像と並べ、格子パターンを生成して前記第1及び第2カメラ各自の検出器アレイ上へと投射するよう、構成されている装置。
【請求項19】
請求項17に係る装置であって、前記コントローラが、前記イメージングパラメタのうち前記1個又は複数個を前記第1画像では第1セッティングに設定し前記第2画像では第2セッティングに設定するよう、構成されている装置。
【請求項20】
請求項17に係る装置であって、前記コントローラが、前記第1及び第2カメラを個々別々な第1及び第2焦点位置に設定するよう、且つ、前記第1及び第2焦点位置各自の第1及び第2シーケンス内を経て前記第1及び第2カメラをステッピングすることで前記対称中心の変動をそれら焦点位置の関数として計測するよう、構成されており、且つ、それら第1及び第2焦点位置が一定の焦点距離Δzで以て分離されており且つ前記第1及び第2シーケンスの各段階にてそれら第1及び第2焦点位置双方がΔz分だけインクリメントされる装置。
【請求項21】
請求項17に係る装置であって、前記少なくとも1本の照明ビームが、個々別々な第1及び第2偏光状態の第1及び第2照明ビームを含み、且つ、前記イメージングアセンブリが、前記第1偏光状態にて前記半導体ウェハから反射されてきた光を前記第1カメラの方に差し向け且つ前記第2偏光状態にて前記半導体ウェハから反射されてきた光を前記第2カメラの方に差し向けるよう構成された、偏光ビームスプリッタを備える装置。
【請求項22】
請求項17に係る装置であって、前記イメージングアセンブリが、相異なるイメージングパラメタにて前記第1ターゲットフィーチャ及び前記第2ターゲットフィーチャの前記画像を捕捉するよう構成されており、前記コントローラが、前記対称中心の前記変動をそのイメージングパラメタの関数として計測するよう構成されており、且つ、そのイメージングパラメタが焦点セッティング、波長又は偏光状態である装置。
【請求項23】
請求項17に係る装置であって、前記照明アセンブリが、前記少なくとも1本の照明ビームの少なくとも1個のアパーチャを備え、且つ、前記イメージングアセンブリが、その少なくとも1個のアパーチャを複数通りの別々なオフセットにして前記第1ターゲットフィーチャ及び前記第2ターゲットフィーチャの前記画像を捕捉するよう構成されており、且つ、前記コントローラが、前記対称中心の前記変動をそのアパーチャのそれらオフセットの関数として計測するよう構成されている装置。
【請求項24】
請求項17に係る装置であって、前記イメージングアセンブリが
、前記半導体ウェハを様々な角度方位にして前記第1ターゲットフィーチャ及び前記第2ターゲットフィーチャの前記画像を捕捉するよう、構成されており、且つ、前記コントローラが、前記対称中心のツール誘起シフトをそれら角度方位の関数として計測するよう構成されている装置。
【請求項25】
請求項17に係る装置であって、前記コントローラが、前記計測された変動に応じ前記1個又は複数個のイメージングパラメタの最適範囲を探索するよう、且つその最適範囲内の値にその1個又は複数個のイメージングパラメタを設定することにより前記オーバレイ誤差を計測するためのレシピを生成するよう、構成されている装置。
【請求項26】
請求項25に係る装置であって、前記イメージングアセンブリが、前記半導体ウェハ上の複数個の別々な個所にて複数個のターゲットフィーチャの前記画像を捕捉するよう構成されており、且つ、前記コントローラが、前記複数通りの別々な個所にて計測された前記変動を適用することで前記半導体ウェハのあるエリアに亘り最適となる範囲を選択することにより前記最適範囲を探索するよう、構成されている装置。
【請求項27】
請求項17に係る装置であって、前記コントローラが、前記第1ターゲットフィーチャ及び前記第2ターゲットフィーチャのうち少なくとも1個の非対称性を計測するよう構成されている装置。
【請求項28】
光学検査装置であって、
その上に少なくとも1個のパターン化層が堆積されており、所定の軸に対し平行に方位決めされた複数本のバーを有する格子がそれに備わる半導体ウェハを、少なくとも1本の照明ビームを差し向けて照明するよう、構成された照明アセンブリと、
前記格子の1枚又は複数枚の画像を捕捉するよう構成されたイメージングアセンブリであり、前記イメージングアセンブリは、相互レジストレーション状態にあり前記
格子の第1及び第2画像を捕捉するように構成された第1及び第2カメラを含み、前記イメージングアセンブリは、さらに前記第1及び第2カメラの方に
格子画像を投射するように構成された
プロジェクタを含み、
前記1枚又は複数枚の画像を処理することにより前記
所定の軸周りで前記バーのうち1本又は複数本の非対称性を解明するよう、且つ、前記パターン化層の計量的評価を行う際にその解明された非対称性を適用するよう、構成されたコントローラであり、前記コントローラは、前記第1及び第2画像を比較すること
で対称中心
の変動を計測し、前記
格子画像に対し前記第1及び第2カメラを位置合わせするよう構成されている装置。
【請求項29】
請求項28に係る装置であって、前記イメージングアセンブリが、様々な焦点セッティングにて前記格子の前記画像のシーケンスを捕捉するよう構成されており、且つ、前記コントローラが、さらに前記画像における前記格子の対称中心の前記変動をそれら焦点セッティングの関数として計測するよう且つその計測された変動に基づき前記非対称性を解明するよう構成されている装置。
【請求項30】
請求項28に係る装置であって、前記コントローラが、前記バーのうち前記1本又は複数本の画像とその画像の反射バージョンとの間の相関を計算するよう、且つ、その相関をもとに前記非対称性の度合いを導出するよう、構成されている装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は一般に半導体デバイスの製造に関し、とりわけ半導体回路計量(メトロロジ)用の装置及び方法に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体回路は、一般にフォトフォトリソグラフィ的な方法を用い製造される。フォトリソグラフィでは、感光性ポリマ(フォトレジスト)の薄層が半導体ウェハの上方に堆積され、その層が光学輻射その他の輻射(ラディエーション、放射、照射)を用いパターン化され、ウェハのうちそのフォトレジストにより覆われた部分が存置される。パターン化後は、エッチング、イオン爆射等の方法によりそのウェハを修正することでそのウェハの素材特性やトポグラフィが改変される一方、そのウェハのうちフォトレジストにより覆われた部分には影響が及ばない。
【0003】
半導体回路計量は、パターン化されたフォトレジストの特性、例えばパターン化フィーチャのトポグラフィ及び所在個所の計測に、広く用いられている。先行プロセス層に対するフォトレジストのパターン化フィーチャ(特徴)の正確な位置特定は、フォトフォトリソグラフィ的プロセスにて高い歩留まりを確保する上で重要である。何であれ、下地をなすプロセス層に対するパターン化フォトレジストの位置合わせ(レジストレーション)の誤差(ミスレジストレーション)は、「オーバレイ誤差」と呼ばれる。一例としては、最小線幅が10~14nmである(いわゆる10nmデザインルールの)典型的な半導体回路では、最大許容オーバレイ誤差が2~3nmとなる。最先端の半導体回路では線幅が5nmへと縮小されつつあり、それに伴い最大許容オーバレイ誤差が減らされてきている。
【0004】
可視及び近赤外波長の光学輻射であればフォトレジスト層内やフォトレジスト下の誘電体層を通り抜けうるため、オーバレイ誤差は一般に光学式オーバレイ計量ツールを用い計測されている。光学式オーバレイ計量ツール、例えばKLA Corporation(米国カリフォルニア州ミルピタス)によるArcher(商標)シリーズツールでは、半導体ウェハのスクライブライン(隣り合う半導体チップを分ける線)内に所在するプロキシターゲット(例えばKLAによるAIM(商標)オーバレイターゲット)がイメージングされる。獲得された画像に画像分析アルゴリズムを適用することで、プロセス層内の一組のターゲットフィーチャの対称中心(CoS)と、パターン化フォトレジスト層内の対応するターゲットフィーチャのCoSとが、位置特定される。オーバレイ誤差が、それら2個の層のターゲットフィーチャの対称中心間の距離として計算される。
【0005】
語「光線(オプティカル レイ)」、「光学輻射(オプティカル ラディエーション)」、「光(ライト)」及び「輻射のビーム(ビーム オブ ラディエーション)」は、本明細書及び特許請求の範囲での用法によれば、一般に、可視、赤外及び紫外輻射全般のことを指している。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
後述される本発明の諸実施形態では、半導体回路計量用の改善された装置及び方法が提供される。
【課題を解決するための手段】
【0007】
すなわち、本発明のある実施形態により提供される計量方法では、その上に少なくとも第1及び第2パターン化層が相次いで堆積されており、第1パターン化層内に第1ターゲットフィーチャ、第2パターン化層内に第2ターゲットフィーチャが備わり、その第2ターゲットフィーチャが第1ターゲットフィーチャ上に重なっている半導体ウェハが、少なくとも1本の照明ビームを差し向けることで照明される。第1及び第2ターゲットフィーチャの画像のシーケンスが、そのシーケンスに亘り1個又は複数個のイメージングパラメタを変化させつつ捕捉される。そのシーケンス内の画像群を処理することで、それら画像内の第1及び第2ターゲットフィーチャ各自の対称中心が識別され、それら対称中心の変動がその変化するイメージングパラメタの関数として計測される。計測された変動が、第1・第2パターン化層間オーバレイ誤差を計測する際に適用される。
【0008】
ある開示実施形態では、第1パターン化層にプロセス層が含まれ、第2パターン化層に、そのプロセス層の上方に堆積されたレジスト層が含まれる。
【0009】
ある種の実施形態では、画像のシーケンスを捕捉する際に、相互レジストレーション状態の第1及び第2カメラを用いターゲットフィーチャの第1及び第2画像が捕捉され、画像を処理する際に、第1及び第2画像を比較することで対称中心の変動が計測される。ある実施形態では、第1及び第2画像を捕捉する際に、第1及び第2カメラの方にレジストレーション画像が投射され、そのレジストレーション画像に対し第1及び第2カメラが位置合わせされる。ある例示的実施形態では、レジストレーション画像を投射する際に、ターゲットフィーチャの画像と並べ格子パターンが生成され第1及び第2カメラ各自の検出器アレイ上へと投射される。
【0010】
これに加え又は代え、第1及び第2画像を捕捉する際に、イメージングパラメタのうち前記1個又は複数個が、第1画像では第1セッティングに設定され第2画像では第2セッティングに設定される。ある開示実施形態では、イメージングパラメタのうち1個又は複数個を設定する際に、第1及び第2カメラが個々別々な第1及び第2焦点位置に設定され、且つ、第1及び第2焦点位置各自の第1及び第2シーケンス内を経る態で第1及び第2カメラをステッピングすることで対称中心の変動が焦点位置の関数として計測される。ある例示的実施形態では、第1及び第2焦点位置が一定の焦点距離Δzで以て分離され、第1及び第2シーケンスの各段階にて第1及び第2焦点位置双方がΔzだけインクリメントされる。
【0011】
更にこれに加え又は代え、前記少なくとも1本の照明ビームが、個々別々な第1及び第2偏光状態の第1及び第2照明ビームを含むものとされ、第1及び第2画像を捕捉する際に、偏光ビームスプリッタを適用することで、第1偏光状態にてウェハから反射されてきた光が第1カメラの方に差し向けられ、且つ、第2偏光状態にてウェハから反射されてきた光が第2カメラの方に差し向けられる。
【0012】
ある実施形態では、画像のシーケンスを捕捉する際に、様々な焦点セッティングにてターゲットフィーチャの画像が捕捉され、画像を処理する際に、対称中心の変動が焦点セッティングの関数として計測される。
【0013】
これに加え又は代え、画像のシーケンスを捕捉する際に、複数通りの別々な波長にてターゲットフィーチャの画像が捕捉され、画像を処理する際に、対称中心の変動が波長の関数として計測される。
【0014】
更にこれに加え又は代え、画像のシーケンスを捕捉する際に、複数通りの別々な偏光状態にてターゲットフィーチャの画像が捕捉され、画像を処理する際に、対称中心の変動が偏光状態の関数として計測される。
【0015】
なおも更にこれに加え又は代え、画像のシーケンスを捕捉する際に、少なくとも1本の照明ビームの少なくとも1個のアパーチャを複数通りの別々なオフセットにしてターゲットフィーチャの画像が捕捉され、画像を処理する際に、対称中心の変動がそのアパーチャのオフセットの関数として計測される。
【0016】
また、ある実施形態では、画像のシーケンスを捕捉する際に、カメラを用い、またそのカメラに対し半導体ウェハを様々な角度方位にして、ターゲットフィーチャの画像が捕捉され、画像を処理する際に、対称中心のツール誘起シフトが角度方位の関数として計測される。
【0017】
ある種の実施形態では、計測された変動を適用する際に、その計測された変動に応じ1個又は複数個のイメージングパラメタの最適範囲が探索され、その最適範囲内の値にその1個又は複数個のイメージングパラメタを設定することでオーバレイ誤差計測用のレシピが生成される。ある開示実施形態では、画像のシーケンスを捕捉する際に、半導体ウェハ上の複数個の別々な個所にて複数個のターゲットフィーチャの画像が捕捉され、最適範囲を探索する際に、それら複数通りの別々な個所にて計測された変動を適用することで半導体ウェハのあるエリアに亘り最適となる範囲が選択される。
【0018】
これに加え又は代え、画像を処理する際に、ターゲットフィーチャのうち少なくとも1個の非対称性が計測される。
【0019】
また、本発明のある実施形態により提供される計量方法では、その上に少なくとも1個のパターン化層が堆積されており、所定の軸に対し平行に方位決めされた複数本のバーを有する格子がそれに備わる半導体ウェハが、少なくとも1本の照明ビームを差し向けることで照明される。その格子の1枚又は複数枚の画像を捕捉し処理することで、その軸周りで、バーのうち1本又は複数本の非対称性が解明される。解明された非対称性が、パターン化層の計量的評価を行う際に適用される。
【0020】
ある開示実施形態では、1枚又は複数枚の画像を捕捉する際に、様々な焦点セッティングにて格子の画像のシーケンスが捕捉され、その1枚又は複数枚の画像を処理する際に、画像における格子の対称中心の変動が焦点セッティングの関数として計測され、計測された変動に基づき非対称性が解明される。これに加え又は代え、その1枚又は複数枚の画像を処理する際に、バーのうち前記1本又は複数本の画像とその画像の反射バージョンとの間の相関が計算され、計算された相関をもとに非対称性の度合いが導出される。
【0021】
加えて、本発明のある実施形態により提供される光学検査装置では、照明アセンブリが、その上に少なくとも第1及び第2パターン化層が相次いで堆積されており、第1パターン化層内に第1ターゲットフィーチャ、第2パターン化層内に第2ターゲットフィーチャが備わり、その第2ターゲットフィーチャが第1ターゲットフィーチャ上に重なる半導体ウェハを、少なくとも1本の照明ビームを差し向けて照明するよう構成される。イメージングアセンブリが、第1及び第2ターゲットフィーチャの画像のシーケンスを捕捉するよう構成される。コントローラが、そのシーケンスに亘り本装置の1個又は複数個のイメージングパラメタを変化させるよう、そのシーケンス内の画像を処理することでそれら画像内の第1及び第2ターゲットフィーチャ各自の対称中心を識別しそれら対称中心の変動をその変化するイメージングパラメタの関数として計測するよう、且つその計測された変動を第1・第2パターン化層間オーバレイ誤差を計測する際に適用するよう、構成される。
【0022】
更に、本発明のある実施形態により提供される光学検査装置では、照明アセンブリが、その上に少なくとも1個のパターン化層が堆積されており、所定の軸に対し平行に方位決めされた複数本のバーを有する格子がそれに備わる半導体ウェハを、少なくとも1本の照明ビームを差し向けて照明するよう、構成される。イメージングアセンブリが、その格子の1枚又は複数枚の画像を捕捉するよう構成される。コントローラが、その1枚又は複数枚の画像を処理することによりその軸周りでバーのうち1本又は複数本の非対称性を解明するよう、且つ、パターン化層の計量的評価を行う際にその解明された非対称性を適用するよう、構成される。
【0023】
本発明は、その諸実施形態についての後掲の詳細記述と併せ以下の図面から、より全面的に理解頂けよう。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【
図1】本発明の一実施形態に係り半導体ウェハ上のパターン化薄膜層の光学特性を計測する光学検査装置の模式的側面図である。
【
図2】本発明の一実施形態に係る光学検査装置にて用いられる格子プロジェクタの模式的側面図である。
【
図3】本発明の一実施形態に係る光学検査装置内のカメラにより獲得される画像の模式的表現図である。
【
図4】本発明の一実施形態に係り、オーバレイ計量プロキシターゲットのプロセス層及びレジスト層フィーチャのCoS変動を計測するプロセスが模式的に描かれているフローチャートである。
【
図5】本発明の一実施形態に係り、
図4のプロセスにおける2個のカメラ間の焦点分離を模式的に示すプロット図である。
【
図6A】本発明の一実施形態に係り、照明波長と関連付けオーバレイ計量プロキシターゲットのフィーチャのCoS変動を計測するプロセスが模式的に描かれているフローチャートである。
【
図6B】本発明の一実施形態に係り、照明波長と関連付けオーバレイ計量プロキシターゲットのフィーチャのCoS変動を計測するプロセスが模式的に描かれているフローチャートである。
【
図7A】本発明の一実施形態に係り、諸焦点セッティング及び諸波長に亘りCoSのランドスケープを生成し感度を評価するプロセスが模式的に描かれているフローチャートである。
【
図7B】本発明の一実施形態に係り、諸焦点セッティング及び諸波長に亘りCoSのランドスケープを生成し感度を評価するプロセスが模式的に描かれているフローチャートである。
【
図8A】本発明の一実施形態に係り、レジスト層でのCoSのツール誘起シフト(CoS_TIS)のランドスケープの模式的表現図である。
【
図8B】本発明の一実施形態に係り、レジスト層での補正後CoS(CoS_COR)のランドスケープの模式的表現図である。
【
図8C】本発明の一実施形態に係り、プロセス層でのCoS_TISのランドスケープの模式的表現図である。
【
図8D】本発明の一実施形態に係り、プロセス層でのCoS_CORのランドスケープの模式的表現図である。
【
図9A】本発明の一実施形態に係り、レジスト層での精度ランドスケープの模式的表現図である。
【
図9B】本発明の一実施形態に係り、プロセス層での精度ランドスケープの模式的表現図である。
【
図10】本発明の一実施形態に係り、CoS_TISの変動がアパーチャオフセットの関数として模式的に描かれているプロット図である。
【
図11A】本発明の一実施形態に係る光学検査装置内のカメラにより獲得されるプロキシターゲット画像の模式的表現図である。
【
図11B】本発明の一実施形態に係り、
図9Aのプロキシターゲットにおける格子バーの模式的断面図である。
【
図12】本発明の一実施形態に係り、オーバレイプロキシターゲット内フィーチャの非対称性を監視するための画像信号相関の使用が模式的に描かれている一連のプロット図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
[概観]
オーバレイ計量用プロキシターゲットは、半導体ウェハ上にあり相連続(互いに連続)しているパターン化層間のオーバレイの精密計測に、広く用いられている。これらの層には、例えばプロセス層及びレジスト層が含まれうるし、エッチング後アプリケーションでは2個のプロセス層間でも用いられうる(即ち、プロセス層及びレジスト層との関わりで例示的諸実施形態を後述するけれども、それら実施形態の諸原理を、必要な変更を加えつつ第1プロセス層及び第2プロセス層に適用することができる)。
【0026】
しかしながら、プロキシターゲット内フィーチャ(レジスト層ターゲットフィーチャ及びプロセス層ターゲットフィーチャの双方)は、デバイスエリア内の対応するフィーチャとは異なっている:プロキシターゲットのフィーチャは、通常はデバイス内のそれらより幅広な線を有しているので、可視又は近赤外スペクトルの光で動作する計量ツールにより分解・解像することができ、またそれらターゲットがその設計上対称的であるので、パワフルな対称性ベース画像処理アルゴリズムの実行によりオーバレイ値を計算することが可能である。更に、プロキシターゲットは、通常、そのデバイスエリアの価値ある「不動産:リアルエステート」が奪われないよう半導体ウェハのスクライブライン内に配置される。フォトリソグラフィ的露出システム(スキャナ)の光学歪は、スクライブライン内ではデバイスエリア内でのそれらと異なっており、それが、プロキシターゲット内のパターンとデバイス内の対応するパターンとの間の空間変動性差動性(空間的に変動する差分としての)シフトにつながっている。
【0027】
こうした設計的及び計量的配慮(検討)により、プロキシターゲットのフィーチャが、リソグラフィ的効果及びプロセス効果に対し、チップエリア内のデバイスフィーチャとは別様に反応することとなり、プロキシターゲットをもとに計測されたオーバレイ誤差が、実デバイスフィーチャにおけるオーバレイ誤差ついてのオフセットを有することとなりうる。校正機能を適用することで、プロキシターゲットをもとに計測されたオーバレイ誤差から、デバイスエリアにおけるオーバレイ誤差の正確な度合いを、導出してもよい。しかしながら、正確な校正には、プロキシターゲットをもとにした安定で再現性のあるオーバレイ計測が必要となる。それらがひいてはプロセス誘起効果、例えばフィーチャ非対称性を被ることとなる。
【0028】
更に、各プロキシターゲットにはフォトレジスト内ターゲットフィーチャ及び先行プロセス層内ターゲットフィーチャの双方が備わっているので、それら二組のターゲットフィーチャを、その半導体ウェハに対し垂直な方向に沿い数μmに上る距離を以て分離させることができる。それら二組のターゲットフィーチャは、そうした場合、その計量ツールをレジスト層とプロセス層とに別々に合焦させ各自の焦点セッティングにて画像を獲得することによって、イメージングされる。しかしながら、プロセス変動効果とトポグラフィとの結合により、最適な計量「レシピ」、即ちプロキシターゲットから安定で再現性のあるオーバレイ計測結果がもたらされる一組の計量条件(例えば焦点、照明の数値開口及び波長)を、見出すことが難しくなる。
【0029】
本願に記載されている本発明の諸実施形態では、光学オーバレイプロキシターゲットに備わる二組のターゲットフィーチャの独立解明が可能な光学式計量ツール及び方法を提供することによって、これらの問題に対処している。ある種の実施形態では、その計量ツールに備わる2個のイメージングカメラが、相互に位置合わせされつつも、そのプロキシターゲット上である固定された高さ差にて合焦される。それら2個のカメラにより捕捉された画像を比較することで、そのプロキシターゲット層の光学特性の変動、例えば焦点変動、スペクトル応答及び偏光等のイメージングパラメタに因る対称中心(CoS)の変動が、校正及び補正される。
【0030】
ある種の実施形態では、プロジェクタによりレジストレーション画像、例えば二次元格子の画像がそれら2個のカメラの方へと投射される。その計量ツールの焦点を、それぞれその固定高さ差に等しく相連続している諸段階を経る態でステッピングすることで、一方のカメラ(CAM1と呼ぶ)を、先行段階中に他方のカメラ(CAM2)があった焦点セッティングに常に到来させる。CAM1が自身の新たな焦点位置に到来したら、CAM2がその焦点位置にあったときCAM2により獲得された画像に対し、CAM1が位置合わせされる。各焦点位置では、各カメラによりそのプロキシターゲットの画像が獲得される。そのプロキシターゲットに備わる二組のターゲットフィーチャ各々の獲得画像の系列が、諸焦点セッティングを経る態で互いに位置合わせされる。それら2個の画像系列をもとに、焦点によるCoSの変動を、二組のターゲットフィーチャ各々に関し計算することができる。焦点に対するCoSの安定性から、安定なオーバレイ計測のためそれら二組のターゲットフィーチャの画像が獲得されるべき焦点セッティングがわかる。安定なオーバレイ計測により、ひいては、その半導体回路におけるオーバレイ誤差の安定で再現性のある校正が可能となる。
【0031】
これに加え又は代え、各組ターゲットフィーチャのCoSの変動性を照明波長及び/又は偏光と関連付けてマッピングし、そのマッピングを用いることでも、安定なオーバレイ計測を達成することができる。即ち、現下の諸実施形態では、波長及び焦点による二次元空間内で最適な計測範囲が識別される。
【0032】
[光学検査装置の説明]
図1は、本発明の一実施形態に係り半導体ウェハ12上のパターン化薄膜層の光学特性を計測する光学検査装置10の模式的絵画的描写図である。
【0033】
光学検査装置10はイメージングアセンブリ14、照明アセンブリ16及び光学リレーアセンブリ18を備えている。光学検査装置は更に、格子プロジェクタ20、カメラアセンブリ22、コントローラ24、メモリ25、並びにその上に半導体ウェハ12が載置されるテーブル26を備えている。装置10及びその構成諸部材の向きはデカルト座標28に従い定義される。後掲の諸図には、それと同じデカルト座標28が相応な向きにて示されている。以下、小文字x、y及びzを用い3本のデカルト座標軸を表記し、大文字X、Y及びZを用いそれら軸上の座標を表記する。
【0034】
イメージングアセンブリ14は、単一の対物レンズ30として模式的に示されている。これに代え、アセンブリ14を、干渉対物系(例えばリニック干渉計)、暗視野対物系、位相差対物系、或いは他の好適な種類の対物レンズ又はレンズ及び/又は鏡の組合せが、備わるものとすることもできる。
【0035】
対物レンズ30は、通常は、非常に高い光学品質を有する複合レンズであり、高い数値開口(NA)、例えば0.7以上のNAを有している。ある代替的実施形態によれば、対物レンズ30を、可変なNAを有するものとし、それをコントローラ24により制御することができる。
【0036】
図示実施形態では、照明アセンブリ16がコントローラ24により制御されており、2個のイルミネータ15及び17を備えており、それらが各自の光源32及び33を備えており、それらによって、1個又は複数個の離散可調波長にて、或いは連続波(CW)又はパルス形態にて一通り又は複数通りの連続スペクトルに亘り、各自のビーム34及び35をなす光学輻射が独立に放射される。光源32及び33にて、様々な偏光状態の光学輻射、例えば無偏光、直線偏光又は円偏光の輻射を放射させることもできる。
【0037】
イルミネータ15及び17は更に、各自の光源32及び33に連結された2個の個別的なアパーチャアセンブリ36及び37を備えている。アパーチャアセンブリ36及び37は各自のアクチュエータ38及び39により駆動され、それによりアセンブリ36に備わる様々なアパーチャがビーム34内へ、またアセンブリ37に備わる様々なアパーチャがビーム35内へと持ち込まれる。アクチュエータ38及び39により更に、個々のアパーチャの平面内で、各アセンブリの個々別々なアパーチャに対する精細調整を行うこともできる。イルミネータ15及び17からそれぞれ放射されるビーム40及び41は、ビームスプリッタ42により共線的(コリニアリー:collinearly)に結合されてビーム43となる。この種のデュアル照明アセンブリでは、2個のイルミネータが備わることで装置10の柔軟性が増強されており、ウェハ12上のプロセス層及びレジスト層に対し相独立な照明条件(例えば波長、偏光及び/又はNA)を提供することができる。
【0038】
これに代え、照明アセンブリ16を単一のイルミネータ、例えばイルミネータ15が備わるものとし、プロセス層及びレジスト層向けの照明条件が光源32及びアパーチャアセンブリ36の相応な調整により選択されるようにしてもよい。更にそれに代え、照明アセンブリを2個超のイルミネータ、例えば3個又は4個のイルミネータが備わるものとし、個々のイルミネータから出てくるビームが相応な光学装置、例えばビームスプリッタを用い結合されるようにしてもよい。
【0039】
光学リレーアセンブリ18は、ビームスプリッタ44及び45、ビームスプリッタアセンブリ46、並びにレンズ50及び52を備えている。ビームスプリッタアセンブリ46に備わるビームスプリッタ47及び48は、後に詳述する通り、アクチュエータ49を用い装置10の光路内外へと動かすことができる。カメラアセンブリ22に備わる2個の検出器アレイ54及び56は「カメラ」とも呼べるものであり、それぞれCAM1及びCAM2と表記されている。カメラアセンブリ22は更に、CAM1及びCAM2をそれぞれz軸に沿い動かす2個のアクチュエータ58及び60を備えている。この図ではレンズ50及び52が単一のレンズとして示されているが、それに代えこれらを複数個のレンズ及び/又は鏡が備わるものとしてもよい。
【0040】
格子プロジェクタ20は、
図2に従い更に詳述される通り、格子画像をCAM1及びCAM2内へと投射するよう構成されている。コントローラ24は、格子プロジェクタ20、メモリ25、テーブル26、光源32及び33と、アクチュエータ38、39、49、58及び60とに結合されている。コントローラ24は、通常、本願記載の諸機能を実行するようソフトウェア及び/又はファームウェア内にプログラミングされているプログラマブルプロセッサ、並びに装置10の他の諸要素との接続用の相応なディジタル及び/又はアナログインタフェースを、備えている。これに代え又は加え、コントローラ24は、自コントローラの諸機能のうち少なくとも一部分を実行するハードワイヤド及び/又はプログラマブルハードウェア論理回路を備える。
図1では単純性に鑑みコントローラ24が単一単板な機能ブロックとして示されているが、実際には、コントローラを、複数個の相互接続された制御ユニット、並びに図中に描かれ文中に記載されている信号を受け取り出力する相応なインタフェースが、備わるものとすることができる。
【0041】
光学検査装置10を動作させる前に、半導体ウェハ12がテーブル26上に載置される。動作中には、コントローラ24の制御下で、テーブル26によりウェハ12をx、y及びz軸に沿い動かすことや、z軸周りで回動させることができる。z軸沿いの動きのことを「合焦」と呼ぶ。
【0042】
ウェハ12を照明すべく、照明アセンブリ16により光学輻射のビーム43がビームスプリッタ44の方へと放射され、そこでそのビームが対物レンズ30内へと反射される。次いで、対物レンズ30によりビーム43がウェハ12上へと合焦される。その伝搬に対し垂直な平面(yz平面)内で、照明アセンブリ16からの出口にてビーム43が呈する断面は、アパーチャアセンブリ36及び37に備わり好適に配置及び整列されているアパーチャにより修正される。それらのアパーチャにより、ビーム43の断面の形状が、例えば円形、正方形又はアナモルフィックなものに定まり、それと併せその断面の寸法が定まる。後に詳述する通り、ビーム43を、相異なる波長及び/又は偏光状態を有する2本のビームを含むものとし、それら2本のビームそれぞれの断面をアパーチャアセンブリ36及び37により相独立に制御することができる。
【0043】
アセンブリ36及び37に備わるアパーチャは、通常、対物系30の入射瞳に対し共役であり(単純性に鑑み図面から省かれている付加的な光学系によりその入射瞳上へとイメージングされ)、従って、イルミネータアセンブリ16から出射されるビーム43の断面により、ウェハ12を照らす光学輻射の数値開口(開口数:numerical aperture : NA)が定まる。即ち、その照明の形状を、角度空間内で、例えば円形、正方形又はアナモルフィックなものと定めることができ、且つ、対物系30のフルNAとそのフルNAの小部分との間で変化させることができる。ある種の構成によれば、その照明を、対物レンズ30の集光NAを上回るNA値のものに制限し、ウェハ12上のフィーチャの暗視野イメージングを実行可能とすることができる。
【0044】
ウェハ12を照らす光学輻射はそのウェハにより対物レンズ30の方へ、即ちそのウェハ上のフィーチャをカメラアセンブリ22の方へとイメージングする対物系の方へと遡行反射される。その反射輻射は対物レンズ30により受光され、更にビームスプリッタ44及び45を介しビームスプリッタアセンブリ46内へと投射され、そこでその反射輻射がビームスプリッタ47及びビームスプリッタ48のうち何れかに射突する;何れになるかは、アクチュエータ49によりその経路内にそれら2個のビームスプリッタのうち何れが配置されているかによる。本例におけるビームスプリッタ47は波長ニュートラルビームスプリッタ、即ちその反射係数及び透過係数が同じスペクトル挙動を呈するものである。ビームスプリッタ48はダイクロイックビームスプリッタであり、あるスペクトル帯Δλ1、例えば380~550nmを透過させ、別の(重なっていない)スペクトル帯Δλ2、例えば560~800nmを反射するよう、構成されている。即ち、ビームスプリッタ47が光路内にあるときには、カメラCAM1及びCAM2各々により、その反射輻射のうち一部分がそのスペクトル全体に亘り受光される一方、ビームスプリッタ48がその光路内にあるときにはその輻射のスペクトルが分割され、CAM1ではスペクトル帯Δλ1内の輻射が、またCAM2ではスペクトル帯Δλ2内の輻射が受光されることとなる。光源32にてスペクトル帯Δλ1内の光学輻射を放射させ光源33にてスペクトル帯Δλ2内の光学輻射を放射させることで、それら2個の層各々に関して(照明NAを含め)照明の独立制御が可能となる。
【0045】
これに代え又は加え、ビームスプリッタ47及び48のうち一方を、ある偏光状態を透過させそれと直交する偏光状態を反射する偏光ビームスプリッタとしてもよい。即ち、例えば光源32及び33にて相直交する偏光状態の光学輻射を放射させると、光源32からの輻射がCAM1に向かい光源33からの輻射がCAM2に向かうこととなる。前述した照明のスペクトル分割と同様に、照明の偏光を制御することで、それら2個の層各々に関して照明の独立制御が可能となる。ある実施形態では、ビームスプリッタ48が、ダイクロイック及び偏光ビームスプリッタの組合せである。
【0046】
選択されたアセンブリ46内ビームスプリッタにより透過及び反射された光学輻射は、レンズ50によりCAM1上、またレンズ52によりCAM2上へと、それぞれ合焦される。ウェハ12の画像はこうしてCAM1及びCAM2により捕捉され、コントローラ24により読み出されて処理される。
【0047】
図2は、本発明の一実施形態に係る格子プロジェクタ20の模式的絵画的描写図である。格子プロジェクタ20は、カメラCAM1及びCAM2の方へと、それら2個のカメラ間で位置基準として利用される格子画像を投射する。格子プロジェクタ20は光源アセンブリ80、単一モード光ファイバ82、回折アセンブリ84及び空間フィルタ86を備えている。
【0048】
本例における光源アセンブリ80は2個の高輝度(スーパールミネッセント)発光ダイオード(sLED)88及び90を備えており、そのうちsLED88により波長λ1=450nmの光学輻射が放射され、sLED90により波長λ2=750nmの光学輻射が放射される。光源80は更に、レンズ92、94及び96と、ダイクロイックビームスプリッタ98とを備えている。これに代え、他の種類及び波長の光源を用いてもよい。
【0049】
回折アセンブリ84は、2個のレンズ102及び104間に配置された高コントラスト透過回折格子アセンブリ100、例えばクロムオンガラス格子のアセンブリを備えている。回折格子アセンブリ100は相直交する格子を備えており、それらにより光がy及びz方向の双方に回折される。それらの格子の協働で、プロジェクタ20により投射される格子パターンの諸部分が作り出される。
【0050】
sLED88及び90により放射された光学輻射は、個別のレンズ92及び94によりダイクロイックビームスプリッタ98の方へと投射される。ビームスプリッタ98は、sLED88により放射された光学輻射を通すよう、且つsLED90により放射された光学輻射を反射するよう構成されているので、それら2個のsLEDにより放射された輻射は結合され単一のビーム106になる。ビーム106は、レンズ96により単一モード光ファイバ82の入射端108内へと合焦される。ファイバ82内を通り伝達された光学輻射が、その出射端110を介しそのファイバから出て回折アセンブリ84内に入り、レンズ102によりビーム112として回折格子100の方へと投射される。出射端110がレンズ102の焦平面に配置されているので、ビーム112は平行光となっている。ビーム112は格子アセンブリ100により回折されて平行な諸次回折光114となり、レンズ104により焦平面116へと合焦される。
【0051】
空間フィルタ86は焦平面116内に配置されており、格子アセンブリ100による回折により生じた±1次回折光(諸次元回折光114の中の±1次回折光)のみを通すよう構成されている。この機能が差込
図118内に詳示されており、そこにはyzビューでの、即ちx軸の方向から見た、空間フィルタ86が示されている。空間フィルタ86は、透明な環120を不透明なベース122上に備えており、例えばクロムオンガラスベースからクロムを除去することでその環が形成されている。±1次回折光は、環120内に、sLED88により放射された輻射に係るものが正方形124として、またsLED90により放射された輻射に係るものが正方形126として示されている。0次回折光は空間フィルタの中央部128により阻止され、±1次超の回折光は空間フィルタ86の周辺部130により阻止される。
【0052】
空間フィルタ86通過後の±1次回折光により、拡大していくビーム132が形成される。それらのビームの相互干渉により、伝搬する正弦格子が(それら±1次回折光間の干渉パターンとして)もたらされ、それらがビームスプリッタ45(
図1)により反射されてビーム134になる。正弦格子については、
図3との関連で後に詳述する。ビーム134は、カメラCAM1及びCAM2の方へと、ウェハ12(
図1)から反射されてきた光学輻射に対し共線的に伝搬するので、後に詳述する通りそれら2個のカメラの相互レジストレーションが可能である。
【0053】
ビーム134として伝搬する正弦格子のスペクトルコンテンツは、sLED88及び90のうち何れの1個又は双方が励振され光学輻射を放射するかに依存する。放射波長λ1及びλ2とダイクロイックビームスプリッタ48のスペクトル特性とをマッチさせることで、それら波長のうち一方がそのビームスプリッタにより反射され他方が透過されるようにすることができる。
【0054】
図3は、本発明の一実施形態に係りカメラCAM1及びCAM2のうち一方により獲得される画像150の模式的表現図である。本例の画像150には、AIM(商標)プロキシターゲット152と、そのプロキシターゲットの画像沿いにあり格子プロジェクタ20により投射された4個の格子154、156、158及び160とが、含まれている。AIM(商標)プロキシターゲット152内のターゲットフィーチャには、x及びy軸沿いにあり対をなし方位決めされている4個のレジスト格子162と、同じくx及びy軸沿いにあり対をなし方位決めされている4個のプロセス層格子164とが、含まれている。明瞭性に鑑み、レジスト格子162のうち2個とプロセス層格子164のうち2個のみを枠囲いし、各々のうち1個をx軸沿いに方位決めされたもの、他の1個をy軸沿いに方位決めされたものとしてある。
【0055】
他種のプロキシターゲットでは、これに代え他形態のターゲットフィーチャが用いられることがある。例えば、いわゆるフレームインフレームプロキシターゲット内のターゲットフィーチャには、バーで構成された正方形フレームが備わる。
【0056】
レジスト層・プロセス層間オーバレイ誤差を計算する目的で、コントローラ24により、ターゲット152の画像をもとにレジスト格子162のCoSのX及びY座標(CoSX,R,CoSY,R)が計算され、同様にプロセス層格子164のCoSのX及びY座標(CoSX,P,CoSY,P)が計算される。(ウェハ12上に逆投射された)対称中心のX座標間,Y座標間の差により、X,Yそれぞれのオーバレイ誤差OVLX=(CoSX,R-CoSX,P),OVLY=(CoSY,R-CoSY,P)がもたらされる。簡略性に鑑み、以下、CoSを用い二次元ベクトル(CoSX,CoSY)を表記する。
【0057】
格子154、156、158及び160は、前述の通り格子プロジェクタ20により投射される(
図2)。それら格子の空間分割及び配列は、例えば、回折格子アセンブリ100内の格子を2対の直交格子に分けることで達成される。カメラCAM1及びCAM2の双方により格子154、156、158及び160を「見て」コントローラ24(
図1)によりそれら格子を用いることで、x及びy方向の双方でそれら格子に対しそれら2個のカメラの位置を合せることができる。後に詳述される通り、この位置合わせ(レジストレーション)は、ターゲット152の連続画像の正確なレジストレーションのプロセスに、不可欠な部分である。
【0058】
[オーバレイ計量プロキシターゲット内のレジスト及びプロセスターゲットフィーチャの解明]
後掲の諸図には、オーバレイプロキシターゲットのターゲットフィーチャのCoS変動を、例えば焦点及び照明波長等、様々なイメージングパラメタの関数として計測する多種多様な方法が示されている。そうした方法が、簡便性及び明瞭性に鑑み、上述されており先行図面に示されているシステム構造及び部材との関連で且つある特定種類のプロキシターゲット及びそれに備わるターゲットフィーチャとの関連で記述されている。とはいえ、本件技術分野に習熟した者(いわゆる当業者)であり本明細書を一読したものには明らかな通り、それらの方法の諸原理を、必要な変更を加えつつ他のオーバレイ計量システムにて同様に応用することもでき、また他種のプロキシターゲットを用いてそうすることもできる。更に、これら様々な方法の諸要素を組み合わせ、マルチファクタCoS計測及び校正を行えるようにしてもよい。そうした代替的実現形態は皆、本発明の技術的範囲内にあるものと考えられる。
【0059】
図4は、本発明の一実施形態に係り、オーバレイ計量プロキシターゲットのプロセス層及びレジスト層ターゲットフィーチャのCoS変動を焦点の関数として計測するプロセスが、模式的に描かれているフローチャート200である。本プロセスでは、
図1記載の光学検査装置10を参照すると共に、
図2及び
図3を付加的に参照する。
図4に描かれているプロセスの目的は、装置10におけるウェハ12の焦点セッティングと関連付けて、オーバレイプロキシターゲット例えばAIM(商標)ターゲット152の各層のターゲットフィーチャのCoSの位置を、個別に解明することにある。
【0060】
本プロセスは開始ステップ202にて開始される。合焦ステップ204では、z方向に沿いテーブル26を動かすこと及び/又はアクチュエータ58及び60によりカメラを動かすことで、コントローラ24により、ウェハ12上に合焦するようカメラCAM1及びCAM2が設定される。それらカメラが、アクチュエータ58及び60の差動的運動により、ΔZなる焦点差に設定される(本明細書における焦点セッティングは、ウェハ空間におけるZ座標のことである。例えば焦点差ΔZは、カメラCAM1及びCAM2が合焦されるxy平面各々が、ウェハ12上で又はその付近でΔZを以て分離されていることを指している)。カメラCAM1及びCAM2の焦点分離及び合焦の更なる詳細については
図5との関連で後述する。
【0061】
第1格子レジストレーションステップ206では、カメラCAM1及びCAM2双方が、格子プロジェクタ20により投射された格子154、156、158及び160に対し位置合わせされる。このレジストレーションを実行するため、コントローラ24によりそれら格子の獲得済画像が処理され、それによりそれら格子に対する各カメラのx及びy方向沿い相対位置が探索される。カメラを互いに位置合わせするには、それらカメラを格子154、156、158及び160に対し物理的に動かすか、カメラ・格子間オフセットを計算して後続処理で利用すればよい。格子が周期的形態であり且つCAM1及びCAM2内で諸画素が反復的構造をなしているため、コントローラ24により、(ウェハ空間内xy座標に関し)0.1nmより良好な正確度で、それら格子に対し各カメラを位置合わせすることができる。更に、同じ格子が各カメラCAM1及びCAM2の方に投射されるため、投射された格子のあらゆる空間的シフト又は振動が、それらカメラの双方でコモンモードにて発生する。各カメラがそれら同じコモンモード格子に対し位置合わせされるため、それらカメラが、0.1nmより良好な正確度で以て互いに位置合わせされることとなる。第1獲得ステップ208では、プロキシターゲット152の画像、具体的には格子162及び164のそれが、コントローラ24によりカメラCAM1及びCAM2から読み出されメモリ25内に格納される。
【0062】
再合焦ステップ210では、テーブル26によりz方向に沿い距離ΔZ分だけウェハ12を動かすことで、CAM1が、ステップ210より前にCAM2があったZ座標へと持ち込まれる。第2格子レジストレーションステップ212では、コントローラ24により再び、第1格子レジストレーションステップ206のように、格子154、156、158及び160に対し各カメラCAM1及びCAM2が位置合わせされる。このステップの目的は、それら2個のカメラ間の持続的なレジストレーションを確実化することにある。CAM1レジストレーションステップ214では、CAM1が、前回の焦点位置にてCAM2により獲得された画像に対し位置合わせされるので、第2格子レジストレーションステップ212と相俟ち、前回の焦点位置との関連でxy平面におけるそれら2個のカメラの位置が確立されることとなる。第2獲得ステップ216では、第1獲得ステップ208と同様、プロキシターゲット152の画像がカメラCAM1及びCAM2を通じコントローラ24により読み出され、メモリ25内に格納される。
【0063】
判別ステップ218では、コントローラ24により、焦点段階の予設定系列を踏まえ、別の焦点段階が必要か否かが判別される。その答えが肯定であれば、本プロセスは再合焦ステップ210に戻りそこから継続される。全ての予設定焦点段階が採られ終えたら、計算ステップ220にて、コントローラ24により、メモリ25内に格納されている諸画像を処理することで、各格子162及び164各々のCoSが、ΔZの諸焦点段階を経る焦点セッティングの関数として計算される。本プロセスは終了ステップ222にて終了される。
【0064】
ある種の実施形態では、照明がウェハ12上に射突する方向(突き当たる方向:照明の進行方向)を調整することで、その計量ツールのイメージング光学系における残留光学誤差が補償される。例えば光学検査装置10では、コントローラ24により、yz平面におけるアパーチャアセンブリ36の位置をアクチュエータ38の働きで調整することで、対物レンズ30における残留光学誤差を補償することができる。格子162及び164各々のCoSがアパーチャアセンブリ36の位置に依存しているため、アパーチャアセンブリ36の複数位置に関し焦点の関数としてCoSを計測することで、より包括的なデータを収集することができる。ある実施形態では、フローチャート200記載のプロセスが、アパーチャアセンブリの一連のY及びZ座標、例えば(Y0±n*ΔY,Z0±n*ΔZ)に関し実行される;但し、Y0及びZ0はアパーチャアセンブリ36の名目中心位置、ΔY及びΔZはそのアパーチャアセンブリのインクリメント増分を表しており、nは0から最大値たるNまでの値が想定されている整数指数である。「計測条件の選択」と題する欄にて後述される通り、得られたデータを用い、オーバレイ計測の質を更に改善することができる。
【0065】
図5は、本発明の一実施形態に係り、CAM1・CAM2間焦点間隔並びに
図4のプロセスにて採られる諸焦点段階を模式的に示すプロット図である。
【0066】
ウェハ空間内Z座標による2個のカメラCAM1及びCAM2の位置、即ちウェハ12を基準としたZ座標が、N個の焦点段階を経る態でシフトされている。Z座標軸251上に付記されている通り、第1段階250ではCAM1が平面Z=Z0に合焦され、CAM2が平面Z=Z0+ΔZに合焦される。第2段階252では、そのウェハ焦点がΔZ分だけインクリメントされ、それによりCAM1がZ=Z0+ΔZ、CAM2がZ=Z0+2ΔZに持ち込まれるため、CAM1の在処がここで、第1段階250にてCAM2があったのと同じ焦点位置となる。第3段階254では、そのウェハ焦点が再びΔZ分だけインクリメントされ、CAM1がZ=Z0+2ΔZ、CAM2がZ=Z0+3ΔZに持ち込まれる。このプロセスは第N段階256まで継続され、CAM1の在処がZ=Z0+(N-1)ΔZ、CAM2の在処がZ=Z0+NΔZとなる。
【0067】
言い換えれば、各焦点段階にて、前段階にてCAM2が所在していた焦点にCAM1が位置決めされるので、相連続する段階間でのレジストレーションが可能となる。この連続する諸段階と、格子レジストレーションステップ206及び212(
図4)との組合せにより、コントローラ24にて、焦点縦貫的(スルー焦点的)にx及びy方向沿いで各カメラを精密に整列させること、並びに焦点縦貫的に格子162及び164各々の真正なCoSを計算することが可能となる。
【0068】
図6A-6Bは、本発明の一実施形態に係り、照明波長と関連付けてオーバレイ計量プロキシターゲットのターゲットフィーチャのCoS変動を計測するプロセスが、模式的に描かれているフローチャート300である。本プロセスでは、
図1に示されている光学検査装置10を用いると共に、
図2及び
図3を付加的に参照する。
図6A-6Bに描かれているプロセスの目的は、装置10により用いられる波長と関連付けて、オーバレイプロキシターゲット例えばAIM(商標)ターゲット152のターゲットフィーチャ各々のCoSの位置を、個別解明することにある。フローチャート300は、それぞれ格子164,格子162のCoSが照明波長の関数として計算される第1部分301,第2部分302を有している。
【0069】
本プロセスは開始ステップ303にて開始される。ビームスプリッタ配置ステップ304では、コントローラ24によりアクチュエータ49を励振することでダイクロイックビームスプリッタ48が装置10の光路内へと持ち込まれるため、装置10の光路内の光学輻射が、その輻射のうちスペクトル帯Δλ1内部分がCAM1により受光され且つその輻射のうちスペクトル帯Δλ2内部分がCAM2により受光されるよう、分割されることとなる。
【0070】
その後、本プロセスは第1部分301に入る。第1照明ステップ306では、半導体ウェハ12が波長λ
1及びλ
2で以て照明される;但し、波長λ
1はスペクトル帯Δλ
1内、波長λ
2はスペクトル帯Δλ
2内にあり、光源32により波長λ
1にて光学輻射が放射され、光源33により波長λ
2にて光学輻射が放射される。第1合焦ステップ308では、コントローラ24により、テーブル26並びにアクチュエータ58及び60を用い、カメラCAM1が格子162上のコントラスト焦点、CAM2が格子164上のコントラスト焦点に合焦される。語「コントラスト焦点」は、個々のカメラ上の格子画像が最大コントラストCを呈する焦点位置を指している。また、コントラストCは、所与カメラ上の格子画像の最大及び最小強度I
max及びI
minに基づき、C=(I
max-I
min)/(I
max+I
min)として定義される。第1格子レジストレーションステップ310では、第1格子レジストレーションステップ206(
図4)と同様に、投射された格子154、156、158及び160に対しカメラCAM1及びCAM2が位置合わせされる。その後、第1獲得ステップ312では、格子162及び164の画像がカメラCAM1及びCAM2により獲得され、コントローラ24によりそれらカメラから読み出され、メモリ25内に格納される。
【0071】
第1波長変更ステップ314では、コントローラ24にて、光源33によりスペクトル帯Δλ2内で放射される光学輻射の波長をΔλ分だけインクリメントすることで、CAM2に達する照明の波長がλ2からλ2+Δλへと変更される。第1再合焦ステップ316では、CAM2が、そのインクリメント後波長にてコントラスト焦点へと再合焦される。第2格子レジストレーションステップ318では、第1格子レジストレーションステップ310のように、格子154、156、158及び160に対しカメラCAM1及びCAM2が位置合わせされる。再レジストレーションステップ320では、CAM1が、獲得ステップ312にてCAM1を通じ獲得されたのと同じ、格子162の画像に対し、再合焦及び再位置合わせされる。即ち、同じ波長及び同じ焦点で同じ物理格子162に対し継続的に位置合わせされるのであり、これによりCAM1が部分301用の「アンカー」として確立される。第2獲得ステップ322では、格子164の画像がCAM2により獲得され、コントローラ24によりそのカメラから読み出され、メモリ25内に格納される。
【0072】
第1判別ステップ324では、コントローラ24により、波長段階の予設定系列を踏まえ、スペクトル帯Δλ2内で別の波長段階が必要か否かが判別される。その答えが肯定であれば、本プロセスは第1波長変更ステップ314に戻り、CAM2に達する照明の波長を再びΔλ分だけインクリメントさせた上で、本プロセスが継続される。全ての予設定焦点段階が使い尽くされたら、コントローラ24により、第1計算ステップ326にて、メモリ25内に格納されている諸画像に基づき、格子164のCoSが、スペクトル帯Δλ2内の諸波長段階Δλを経る波長の関数として計算される。
【0073】
本プロセスは第2部分302に続いており、これは第1・第2部分間の差異を明瞭化するため詳述されている。第2部分302内のステップ328、330、332、334、340及び346は、第1部分301内の対応するステップ306、308、310、312、318及び324とそっくりである。しかしながら、第2部分302内のステップ336、338、342及び344は第1部分301内の対応ステップ314、316、320及び326と異なっており、第2部分のそれらステップでは、スペクトル走査が、第1部分でのようにスペクトル範囲Δλ2を縦貫する態で行われるのではなく、スペクトル範囲Δλ1を縦貫する態で行われている。
【0074】
第2照明ステップ328では、半導体ウェハ12波長λ1及びλ2で以て照明される。第2合焦ステップ330では、コントローラ24により、カメラCAM1が格子162上のコントラスト焦点、CAM2が格子164上のコントラスト焦点に合焦される。第3格子レジストレーションステップ332では、カメラCAM1及びCAM2が格子154、156、158及び160に対し位置合わせされる。第3獲得ステップ334では、格子162及び164の画像がカメラCAM1及びCAM2により獲得され、コントローラ24によりそれらカメラから読み出され、メモリ25内に格納される。
【0075】
第2波長変更ステップ336では、コントローラ24によって、光源32によりスペクトル帯Δλ1内で放射される光学輻射の波長がΔλ分だけインクリメントされる。第2再合焦ステップ338では、CAM1が、そのインクリメント後波長Δλ1+Δλにてコントラスト焦点に再合焦される。第4格子レジストレーションステップ340では、カメラCAM1及びCAM2が格子154、156、158及び160に対し位置合わせされる。第2再レジストレーションステップ342では、CAM2が、第3獲得ステップ334にてCAM2から読み出されたものと同じ、格子164の画像に対し再合焦及び再位置合わせされ、それによりCAM2が第2部分302用のアンカーとして確立される。第4獲得ステップ344では、格子162の画像がカメラCAM1により獲得され、コントローラ24によりそのカメラから読み出され、メモリ25内に格納される。
【0076】
第2判別ステップ346では、コントローラ24により、波長段階の予設定系列を踏まえ、スペクトル帯Δλ1内で別の波長段階が必要か否かが判別される。その答えが肯定であれば、本プロセスは第2波長変更ステップ336に戻り、CAM1に達する照明の波長を再びΔλ分だけインクリメントさせた上で、本プロセスが継続される。全ての予設定波長段階が採られ終えたら、コントローラ24により、第2計算ステップ348にて、格子162のCoSが、スペクトル帯Δλ1内の諸波長段階Δλを経る波長の関数として計算される。本プロセスは終了ステップ350にて終了される。
【0077】
焦点によるCoSの変動の計測と同じく、波長によるCoSの変動に関し得られたエータも、「計測条件の選択」と題する欄にて後述される通り、オーバレイ計測の質を更に改善するのに用いることができる。
【0078】
照明波長によるCoSの変動の計測を、その光学輻射の偏光状態を付加的なパラメタとして実行してもよい。ある実施形態では、波長によるCoSの変動が、ウェハ12上に射突する照明の様々な偏光状態に関し計測される。即ち、コントローラ24による指令を受け、光源32及び33により相直交する二通りの偏光状態にて光学輻射が放射され、照明波長によるCoSの変動が偏光状態毎に個別計測される。これに代わる実施形態には、ウェハ12が無偏光光学輻射で以て照明されある特定状態の偏光が2個のカメラCAM1及びCAM2各々に到達するものであって、その特定状態が、ポラライザとしても機能するダイクロイックビームスプリッタ48により、或いはそのダイクロイックビームスプリッタと2個のカメラとの間に適宜配置されたポラライザにより決まるものがある。
【0079】
図7A-7Bは、本発明の一実施形態に係り、諸焦点セッティング及び諸波長に亘りCoSのランドスケープを生成し感度を評価するプロセスが、模式的に描かれているフローチャート500である。
【0080】
スキャナ誘起オーバレイ誤差、例えばそのスキャナにおけるウェハ12の誤配置及び回動、並びにスキャナ視野歪を捕捉するため、オーバレイ誤差が、一般にそのウェハ上の数個の計測サイトにて計測される。フローチャート500に示されているプロセスはウェハ12上のN個のサイトを対象とした計測に関するものであり、ここではそれらサイトにn(n=1,2,…N)と付番されている。更に、本プロセスはレジスト層及びプロセス層双方に関し実行される。
【0081】
CoSが二通りのウェハ12方位にて焦点と関連付けて計測され、またそのうち第2方位に関してはそのウェハがZ軸周りで180°回動される。焦点と関連付けられたCoSのうち第1方位(0°方位に任意設定)でのものをCoS0(Z)、第2方位でのものをCoS180(Z)と表記すると、コントローラ24により計算されるCoSのツール誘起シフト(TIS)即ちCoS_TISは、CoS_TIS(Z)=(CoS0(Z)+CoS180(Z))/2となる。CoS_TISにより記述されるCoS誤差は、装置10のイメージング経路内光学部材の非対称性、例えば対物レンズ30の非対称性に因るものである。補正後CoS、即ち計測CoSからCoS_TISを減じたものを、コントローラ24により、CoS_COR(Z)として計算することができる;但し、CoS_COR(Z)=[CoS0(Z)-CoS180(Z)]/2であり、「COR」は「補正後」を表している。前述の通り、CoSは二次元ベクトル(CoSX,CoSY)を表しており、「CoS」なる表記にはそのX及びY座標の双方が包含される。
【0082】
装置10の機械的振動を原因とするCoS計測の不正確性は、プロキシターゲット152の画像を複数回獲得しそれら計測結果を平均することで、低減させることができる。
【0083】
本プロセスは開始ステップ502にて開始される。偏光選択ステップ504では、照明アセンブリ16により放射された照明の(一通り又は複数通りの)偏光状態が選択される。サイト選択ステップ506ではウェハ12上のサイトnが選択される。波長選択ステップ507では波長λが選択される。0度CoSスルー焦点ステップ508では、
図4及び
図5との関連で記述された通り、CoSが焦点Z縦貫的に計測される。180度CoSスルー焦点ステップ510では上掲の計測が反復されるが、ウェハ12の方位はステップ508でのそれに対し180°回動させる。第1CoS_TISステップ512では、CoS_TISが、コントローラ24により、焦点セッティングZ毎に0°方位及び180°方位での個々のCoS値をもとに、CoS_TIS=(CoS
0+CoS
180)/2として計算される。単純性に鑑み、焦点Z、波長λ、偏光P及びサイトnに対する明白な依存性が、これらの式では省略されている。第1CoS_CORステップ514では、CoS_CORが、コントローラ24により、焦点セッティングZ毎に0°及び180°での個々のCoS値をもとに、CoS_COR=(CoS
0-CoS
180)/2として計算される(ここでも諸変数に対する明示的参照が省略されている)。波長判別ステップ516では、コントローラ24により、波長の予設定リストを踏まえ、ステップ507~514を再実行すべきか否かが判別される。肯定的回答の場合、波長インクリメントステップ517にて波長λがインクリメントされ、本プロセスがステップ507から継続される。
【0084】
全ての予設定波長が使い尽くされたら、本プロセスでは、続いて、
図6A-6Bとの関連で記述された通り、最良コントラスト焦点にて波長と関連付けてCoSが計測される。先行ステップにおいて、全ての所要波長にて焦点と関連付けてCoSが計測済であるけれども、装置10のドリフトによって、焦点との関連でのCoSの計測結果の一部が、焦点座標Z沿いにドリフトすることがある。以下詳述される通り、波長との関連でのCoS計測を使用し、その種のドリフトを補正することができる。
【0085】
0度CoSスルー波長ステップ518では、CoSが、最良コントラスト焦点にて波長の予設定スペクトルを縦貫する態で計測される。180度CoSスルー波長ステップ520では上述の計測が反復されるが、ウェハ12の方位はステップ516でのそれに対し180°回動させる。第2CoS_TISステップ522及び第2CoS_CORステップ524では、CoS_TIS及びCoS_CORが、コントローラ24により、ステップ518及び520にて獲得されたデータをもとに、前掲のステップ512及び514各々との関連で記述された通り計算される。
【0086】
CoS_TIS縫合ステップ526では、コントローラ24により、波長λ毎に、焦点Zを最良コントラスト焦点としてステップ507~516から焦点縦貫的なCoS_TISに関しもたらされた結果が、ステップ522からCoS_TISに関しもたらされた結果と比較される。それら二通りの結果間に食い違いがある場合、波長λでの焦点縦貫的CoS_TISに係る結果を焦点座標Zに沿いシフトさせることで、その食い違いが除去される。これにより、後掲の
図8Aとの関連で更に詳述される通り、隣り合う波長での焦点縦貫的CoS_TISの結果が「縫合」され、二次元Zλ空間におけるCoS_TISの一貫表現となる。CoS_TISランドスケープステップ528では、コントローラ24によりこの表現が収集され、2個の変数Z及びλに対するCoS_TIS値の集合体となる。この集合体のことをCoS_TISランドスケープと呼ぶ。
【0087】
CoS_TIS導関数ステップ530では、コントローラ24により、変数Z及びλの変動に対するCoS_TISの感度を示す二次導関数∂2CoS_TIS/∂Z∂λの値が計算される。最小CoS_TISステップ532では、コントローラ24により、そのCoS_TISランドスケープ内で、(Z,λ)平面内にありCoS_TISの絶対値が所定限度未満となる(1個又は複数個の)二次元エリアが識別され、それによりCoSに係るツール誘起シフトが最小なエリア即ちCoS誤差が最小なエリアが指し示される(CoS_TISのX及びY成分に別々な限度を割り当ててもよい)。最小CoS_TIS導関数ステップ533では、コントローラ24により、そのCoS_TISランドスケープ内で、(Z,λ)平面内にあり∂2CoS_TIS/∂Z∂λの絶対値が別の所定限度未満となる(1個又は複数個の)二次元エリアが識別され、ひいてはCoS_TISの安定性が最高なエリアが指し示される。
【0088】
CoS_TIS縫合ステップ526と同様、CoS_COR縫合ステップ534では、コントローラ24により、波長λ毎に、焦点Zを最良コントラスト焦点としステップ507~516から焦点縦貫的CoS_CORに関しもたらされた結果が、ステップ524からCoS_CORに関しもたらされた結果と比較される。それら二通りの結果間に食い違いがある場合、波長λに係る焦点縦貫的CoS_TISの結果を焦点座標Zに沿いシフトさせることで、その食い違いが除去される。これにより、隣り合う波長に係る焦点縦貫的CoS_CORの結果が「縫合」され、Zλ空間におけるCoS_CORの一貫表現となる。
【0089】
CoS_TISランドスケープステップ528と同様、CoS_CORランドスケープステップ536では、コントローラ24によりこの表現が収集され、2個の変数Z及びλに対するCoS_COR値の集合体、即ち本願でCoS_CORランドスケープと呼ばれるものとなる。CoS_COR導関数ステップ538では、コントローラ24により、変数Z及びλの変化に対するCoS_CORの感度を示す二次導関数∂2CoS_COR/∂Z∂λの値が計算される。
【0090】
最小CoS_COR導関数ステップ540では、コントローラ24により、そのCoS_CORランドスケープ内で、∂2CoS_COR/∂Z∂λの絶対値が更に別の所定限度未満となる(1個又は複数個の)二次元エリアが識別され、それによりCoS_CORの安定性が最高なエリアが指し示される(CoS_CORは0に対し任意なオフセットを有するものとされうるので、CoS_CORが所定限度未満であるエリアを識別することに理論的根拠はない)。
【0091】
サイト判別ステップ542では、コントローラ24により、ウェハ12上の別のサイトnを計測する必要があるか否かが確認される。その結果が肯定であれば、本プロセスはステップ506に戻り、次のサイトが選択される。(現在の偏光に関し)全てのサイトが計測され終えたら、コントローラ24により、偏光判別ステップ544にて、付加的な偏光状態の照明にて計測を実行する必要があるか否かが確認される。その結果が肯定であれば、本プロセスはステップ506に戻り、新たな偏光状態の照明を用いてN個のサイト全てが再び計測される。全ての必要な偏光状態が使い尽くされたら、終了ステップ546にて本プロセスが終了される。
【0092】
図8A~
図8Dは、本発明の一実施形態に係り、レジスト及びプロセス層に係るCoS_TIS及びCoS_CORランドスケープの模式的表現図である。
図8Aに示されているのはレジスト層に係るCoS_TISランドスケープ600、
図8Bに示されているのはレジスト層に係るCoS_CORランドスケープ602、
図8Cに示されているのはプロセス層に係るCoS_TISランドスケープ604、
図8Dに示されているのはプロセス層に係るCoS_CORランドスケープ606である。各ランドスケープ600、602、604及び606は所与サイトn及び所与偏光Pに係るものである。同様のランドスケープが、N個のサイト全てに関し且つ全ての偏光状態の照明に関し生成される。各ランドスケープにより、ある波長範囲(λ
min,λ
max)及びある焦点範囲(Z
min,Z
max)におけるCoS_TIS又はCoS_CORの個別値が表されている。曲線608、610、612及び614により、個々のランドスケープ600、602、604及び606に関し、波長との関連で最良コントラスト焦点の焦点位置が示されている。
【0093】
図7Aのステップ532、533及び540にて識別されたエリアがランドスケープ600~606内に示されている。即ち、エリア616内では∂
2CoS_TIS/∂Z∂λが所定限度L
1未満であり、エリア618内ではCoS_TISが所定限度L
2未満である。エリア620内では∂
2CoS_COR/∂Z∂λが所定限度L
3未満である。エリア622内では∂
2CoS_TIS/∂Z∂λが所定限度L
4未満であり、エリア624内ではCoS_TISが所定限度L
5未満である。エリア626内では∂
2CoS_COR/∂Z∂λが所定限度L
6未満である。このように、エリア616,622は、それぞれレジスト,プロセス層に関し、CoS_TISの安定性が高いエリアを示しており、エリア618及び624は、それらの層に関しCoS_TISの値が小さいところ、即ち計測ツール誤差が少ないところを示している。エリア620,626は、それぞれレジスト層,プロセス層に関し、CoS_CORの安定性が高いところを示している。
【0094】
図7Aのステップ526及び534にて導入された「縫合」の概念が、
図8Aにて模式的に描かれている。3本の線628、630及び632は、焦点Zの関数たるCoS_TISが個々の波長λ
i-1、λ
i及びλ
i+1にて
図7Aのステップ507~516に従い計測された3本の経路を、表している。曲線608上の3個の点634、636及び638は、波長λの関数たるCoS_TISが
図7Bのステップ518~522にて計測されたところを指し示している。線628上にありその線が曲線608と交わるところでのCoS_TIS値が、点634でのCoS_TIS値と比較される。それら2個の値が同じであれば、線628はシフトされない。逆に、それらの値が一致していなければ、線628(及びそのCoS_TIS値)が、曲線608と交わるところでの線628上の値が点634での値と一致するまで、Z方向に沿いシフトされる。同様のプロセスが、点636との関連で線630に関し、また点638との関連で線632に関し、反復される。
【0095】
それら3本の線628、630及び632が必要に応じシフトされ、各線と曲線608とが交わるところでの値が個々の点634、636及び638での値と一致したとき、それらの線は、いわば一体に「縫合」された状態にある。本プロセスは、全ての同様な線に関しλminからλmaxまで反復され、それにより焦点縦貫的なCoS_TIS値の計測中に装置10に生じうるドリフトが補正される。同様の縫合演算がランドスケープ602、604及び606にも適用される。
【0096】
図9A及び
図9Bは、本発明の一実施形態に係り、レジスト及びプロセス層に係る精度ランドスケープの模式的表現図である。本実施形態ではCoS計測の精度が評価される。精度計測に際してはCoSの数回連続計測、例えば5回、10回又は15回の計測が行われ、その精度の指標が計算される。一般的な指標にはそれら計測の3σ値(標準偏差の3倍)がある。ある実施形態では、前述した計測(
図5~
図7)中にCoSの精度(CoS_Precと付号する)を計測しておき、焦点Z及び波長λなる2個の変数と関連付けて精度ランドスケープが生成される。
【0097】
図9A中のランドスケープ700はレジスト層のCoSの精度を表しており、
図9B中のランドスケープ702はプロセス層のCoSの精度を表している。各ランドスケープは、
図8A、
図8B、
図8C及び
図8D各々のランドスケープ600、602、604及び606と同様、ある波長範囲(λ
min,λ
max)及びある焦点範囲(Z
min,Z
max)におけるCoS_Precの個別値を表している。ランドスケープ700及び702は各自の曲線704及び706を有しており、それにより波長との関連で最良コントラスト焦点の焦点位置が示されている。ランドスケープ700内にありレジスト層に係るCoS_Prec値をもとに、コントローラ24により、CoS_Precが予設定限度L
7未満の値を有しているエリア708及び710が識別されている。同様に、ランドスケープ702内にありプロセス層に係るCoS_Prec値をもとに、コントローラ24により、CoS_Precが予設定限度L
8未満の値を有しているエリア712、714及び716が識別されている。
【0098】
[計測条件の選択]
計量レシピ、即ちオーバレイ計量中における装置10の様々なパラメタ(例えば焦点、波長、偏光)のセッティングは、計量結果の質に多大な影響を及ぼしうる。以下詳述する通り、装置10のユーザは、例えば安定性及び正確性等、諸要因間が所望バランスに到達するように、変更する計測条件を選ぶことができる。
図4~
図9に描かれた層別の計量結果解明は洗練された一組のツールをユーザに与えるものであり、それで以て、そのユーザの具体的目標を念頭に置きつつ計測条件を選択することができる。以下、それらのツールの用法が例証される2個の例示的実施形態を提示する。
【0099】
実施形態1 - 本実施形態では、指標M
1が、コントローラ24により、全ての計測サイト及び全ての偏光に関し、ランドスケープ600、602、604及び606(
図8A~
図8D)並びにランドスケープ700及び702(
図9A及び
図9B)をもとにして、層毎に計算される。
【数1】
【0100】
本指標及びその成分内の変数には、照明の波長λ、焦点座標Z、偏光状態P、並びに層L(レジスト層かそれともプロセス層か)がある。AVGNはN個の計測サイトに亘る平均のこと、3σNはそれらN個のサイトに亘る標準偏差の3倍のことであり、AVGN及び3σNには諸サイト及び諸偏光に亘るランドスケープ上でのプロセス変動の影響が算入されている。簡略性に鑑み、精度が「Prec」と表記されている。
【0101】
指標M1はその寄与因子としてCoS_TISを含んでおり、従って計測の正確性(ツール誘起誤差)の評価に重きを置いている。LIMIT(M1)をM1向けの所定限度とし、
M1(λ,Z,P,L)<LIMIT(M1)
となる計測条件を見つけることで、計測されるオーバレイ誤差が、最小のツール誘起誤差を呈することとなる。
【0102】
2個のイルミネータ15及び17を有する装置10(
図1)の場合、計測条件を、層別指標M
1の使用を通じ、層毎に独立に最適化することができる。仮に装置10がイルミネータを1個しか備えていないのであれば、2個の層の計測条件間の妥協点が探されることとなろう。例えば、単一イルミネータ装置向けの潜在的必要条件は、
M
1(λ,Z,P,L
resist)+M
1(λ,Z,P,L
process)<LIMIT’(M
1)
となる;但し、L
resist,L
processはそれぞれレジスト,プロセス層のことであり、LIMIT’(M
1)は(別の)所定限度である。
【0103】
仮にCoS_TISがツールに係る一定の補正因数であるのなら、1回型校正手順によりそれを校正できるかもしれない。しかしながら、プロキシターゲットのターゲットフィーチャの局所幾何と計量ツール光学系の光学応答との間につながりがあるため、ウェハ上の複数個所が計測される場合、CoS_TISがターゲット毎に変わりかねない。この種のCoS_TIS変動は、そのウェハに亘るプロセス変動の結果として生起しうる。
【0104】
指標M1に対するCoS_TISの寄与分は、各アパーチャアセンブリ36及び37のアパーチャの横シフトにより、層毎に低減することができる。
【0105】
実施形態2 - 本実施形態では、指標M
2が、コントローラ24により、指標M
1でのそれらと同じランドスケープを用い層毎に計算される。但し、指標M
2の式は指標M
1のそれと異なっている。
【数2】
【0106】
指標M2にCoS_COR及びCoS_TIS双方の(二次)導関数が入っているので、これによりオーバレイ誤差計測中におけるCoSの安定性が表される。即ち、LIMIT(M2)をM2向けの所定限度とし、
M2(λ,Z,P,L)<LIMIT(M2)
であることを要求することによって、計測されるオーバレイ誤差が高度な安定性を呈することとなり、ひいては計測オーバレイ誤差の正確な校正とロバストなオーバレイ計量をサポートすることができる。
【0107】
指標M2に関してもM1でのそれと同じ変数が用いられており、AVGN及び3σNは指標M1でのそれと同様にN個のサイトに適用される。照明アセンブリ16がイルミネータを1個有する構成か2個有する構成かを踏まえつつ、M1でのそれと同様の考察が指標M2にも適用される。
【0108】
これに代え又は加え、ランドスケープ600、602、604及び606由来やランドスケープ700及び702由来のデータを用い他の指標を生成し、様々なユーザ別要請を反映させてもよい。
【0109】
図10は、本発明の一実施形態に係り、CoS_TISの変動がアパーチャオフセットの関数として模式的に描かれているプロット800である。
【0110】
プロット800には、4個の計測サイト(n=1,…,4)に関し装置10により計測されたCoS_TISの変動が、アパーチャアセンブリ36に備わるアパーチャのうち1個の横オフセットAOと関連付けて示されている。様々なサイトに係る個々のCoS_TIS値が線802として示されている。それら4個のサイトに亘る変動、例えば層コントラスト、フィーチャトポロジ、焦点変動、サイト傾斜及びプロセス変動があるため、線802は別々なオフセット及び傾斜を呈している。それら4個のサイトに亘るCoS_TISの平均、即ちAOの関数たるAVG(CoS_TIS)が、線804として示されている。
【0111】
4個の計測サイトに亘る最適(最小)なCoS_TIS変動、即ち3σ(CoS_TIS)
1が、あるアパーチャオフセットAO
1にて見出されており、そこではCoS_TIS=CoS_TIS
1となっている。非ゼロ値のAO
1は、ウェハ12・イメージングアセンブリ14間に大域的角度アライメント誤差があることを示している。
AO
1より大きなアパーチャオフセットを選ぶことで、3σ(CoS_TIS)が大きくなるもののAVG(CoS_TIS)が小さくなることは、AVG(CoS_TIS)と3σ(CoS_TIS)との間の最適化機会があることを示している。
図1の装置10のように、独立な光源及びアパーチャアセンブリを用いることで、各層に関し、AVG(CoS_TIS)と3σ(CoS_TIS)との間での独立な最適化が可能となる。
【0112】
図11A及び
図11Bには、本発明の一実施形態に係り、焦点の関数たるCoSの適用による、AIM(商標)プロキシターゲット152内ターゲットフィーチャの側壁非対称性の解明が、模式的に描かれている。
【0113】
図11AはAIM(商標)プロキシターゲット152の画像(
図3にて示されたもの)であり、x軸に沿い方位決めされたレジスト格子162及びプロセス層格子164の周りに輪郭線が付されている。格子162及び164の個々の格子バー902及び904がy軸に沿い決めされている。
【0114】
図11Bは、
図11A中の線908a及び908bに沿いプロセス層格子164から採取された、格子バー904a及び904bの模式的断面図である。2個の断面図を一緒に示すため、格子バーとそれらのx軸沿い相互間隔とが同スケールで示されていない。
【0115】
半導体製造プロセスの非対称プロセス効果、例えば非対称エッチングが原因で、
図11Bに示されている通り、格子バー904は非対称トポグラフィカル構造を有するものとなる:即ち、格子バー904aの左側壁910aがxy平面に対し垂直である反面、右側壁912aはある斜め角にてxy平面と会合している。同様に、格子バー904bの左側壁910bがxy平面に対し垂直である反面、その格子バーの右側壁912bはある斜め角にてxy平面と会合している。通常、プロキシターゲット152が占めるエリアは小さく、その直線寸法が数十μm以下であるので、格子164内の全てのバー904が、
図11Bに示されているのと同じ非対称性を呈する。格子バーの非対称性があることで、焦点により格子164のCoSがシフトすることとなるので、以下更に詳述される通り、焦点の関数たるCoS変動を利用しその非対称性を解明することができる。
【0116】
格子バー904a及び904bの非対称性(ひいては全ての格子バー902及び904の非対称性)を解明するため、コントローラ24により、Z軸926上に付記されている焦点個所にて3個の焦点段階920、922及び924でカメラCAM1及びCAM2により獲得された、格子164の3枚の画像が読み出される。コントローラ24によって、テーブル26のz方向沿い運動により及び/又はアクチュエータ58及び60によるカメラの運動により、コントラスト焦点(
図6A-6B)を用いウェハ12上にカメラCAM1及びCAM2が合焦される。3個の焦点段階920、922及び924全てで、CAM1が、格子162上のある固定なxy平面内個所Z=Z
0に合焦され、その固定焦点にて格子162に対し位置合わせされる。即ち、そのZ座標Z
0により計測向けの「アンカー焦点」が形成される。
【0117】
それら3個の焦点段階920、922及び924では、CAM2が、それぞれZ座標Z
1、Z
2及びZ
3を有するxy平面に合焦される。画像獲得中には、カメラCAM1及びCAM2の双方が、第1格子レジストレーションステップ206(
図4)にある通り、投射格子154、156、158及び160に対し位置合わせされるので、それらカメラ間で、既知な横レジストレーション(xy平面内レジストレーション)が確保される。CAM1から読み出された画像をもとに、コントローラ24により、格子164のCoSであり
図11Bにて点928として模式的に付記されているものが計算され、それがメモリ25内に格納される。CAM2から読み出された、3個の焦点位置での3枚の画像をもとに、コントローラ24により、3個の個別なCoS値であり点930、932及び934として模式的に付記されているものが計算され、それらがメモリ25内に格納される。曲線936がコントローラ24により点928、930、932及び934に当て嵌められており、これは焦点によるCoSのシフトを示すもの、即ち格子バー902及び904の断面非対称性の物差しとなっている。曲線936を直線とすることもより高次な曲線とすることもできる。
【0118】
上述の方法を、y方向に沿い方位決めされたプロセス層格子164や、x及びy方向の両者に沿い方位決めされたレジスト格子162に同様に適用して、それらの断面非対称性を解明することもできる。その上で、生産ウェハを対象になされた実オーバレイ計測を補正することで、それら非対称性の結果として起こりうる明白なCoSに対処することができる。
【0119】
これに代わる実施形態には、単一のカメラ例えばCAM1のみを用い、焦点と関連付けてCoSが計測されるものがある。この種の計測では、CAM1が4個の焦点位置Z0、Z1、Z2及びZ3を縦貫する態で合焦されていき、格子164の画像がコントローラ24により各焦点位置にてCAM1から読み出され、メモリ25内に格納される。その上で、コントローラ24により、メモリ25内に格納されている画像をもとに個々のCoS値が計算され、二カメラ計測に関し前述した通り、焦点と関連付けてCoSが計算される。この一カメラ計測法は、固定フィーチャへのアンカー付け及びカメラの相互レジストレーションを行えないため、先に述べた二カメラ法よりも、装置10の機械的安定性に対し敏感である。
【0120】
上述の諸方法は4個の焦点位置(「アンカー」位置Z0と3個の焦点位置Z1、Z2及びZ3)を用い実行されているが、これに代えより少数又は多数の焦点位置を用いてもよい。
【0121】
図12は、本発明の一実施形態に係り、オーバレイプロキシターゲット内ターゲットフィーチャの非対称性を監視するための画像信号相関の使用が、模式的に描かれている一連のプロット図である。先に説明した通り、半導体製造プロセスの非対称プロセス効果、例えば非対称エッチングにより、オーバレイプロキシターゲットのターゲットフィーチャが非対称断面を有するものとなることがある。本実施形態では、それらの非対称性の監視を(それらを評価することさえなく)半導体製造プロセスの監視に利用している。
【0122】
図12には、
図11Bと同じく格子バー904aの断面外観が示されている。コントローラ24により、例えばCAM1からバー904aの獲得画像が読み出され、その画像が画像信号に変換されメモリ25内に格納される。その画像信号のうち曲線608(
図8A)沿いの部分が、
図12中に曲線1002として示されている。曲線1002の画像信号をもとに、コントローラ24により、それをz軸周りで反射させた反射画像信号、即ち曲線1004として示されている反射画像信号が生成される。
【0123】
コントローラ24により2本の相関曲線1006及び1008、即ち曲線1002の自己相関(それ自体との相関)たる相関曲線1006と曲線1002・1004間の相互相関たる相関曲線1008とが計算される。曲線1006はCauto
maxなる最大値を有しており、曲線1008はCcross
maxなる最大値を有している。曲線1002には非対称性があるのでCcross
max<Cauto
maxとなる。自己相関曲線1006の最大値Cauto
maxに対する相互相関曲線1008の最大値Ccross
maxの比較結果を、画像信号1002の非対称性の物差しとして、ひいてはオーバレイプロキシターゲット内ターゲットフィーチャの非対称断面プロファイルを発生させるプロセス効果の物差しとして、用いることができる。
【0124】
オーバレイプロキシターゲットのターゲットフィーチャの画像、例えばバー904aの画像を、装置10の様々な動作条件下で、例えばウェハ12の照明の波長及び/又は偏光を変えつつ及び/又は様々な焦点セッティングで以て、獲得することができる。それら動作条件のうち1個又は複数個の関数たる比Ccross
max/Cauto
maxの変動により「相関ランドスケープ」がもたらされることとなり、それを更に、本プロセスの実行中に半導体製造プロセスを監視するのに利用することができる。例えば、2個の相関最大値の比Ccross
max/Cauto
maxが予設定限度、例えば0.8未満に落ちている場合、そのことを用い、許容不能なプロセス変動であることを指し示すことができる。
【0125】
上述の方法は、y方向沿いに方向決めされたプロセス層格子164にも、x及び方向の両者に沿い方向決めされたレジスト格子162にも、同様に適用することができ、それによりそれらの断面非対称性を解明することができる。
【0126】
上述の諸実施形態を個別に又は組み合わせて利用することで、最適なオーバレイ計量レシピ、即ちオーバレイ誤差の計測の実行時にロバストなオーバレイ計測条件をもたらすレシピを、決定することができる。そうしたレシピでは、最適な焦点セッティング、波長、偏光、照明条件及び対物レンズ瞳制御が指定される。別々な条件をプロセス層及びレジスト層に対し個別適用することもできる。
【0127】
これに加え又は代え、上述の計測技術によりもたらされる情報、例えば焦点によるCoSの変動に関するものをコントローラ24にて利用し、オーバレイ計量アルゴリズムを増強してもよい。上述の諸方法を更に、複数対の層間のオーバレイ誤差の同時計測を行うべく、付加的な照明及び集光チャネル向けに一般化することもできる。
【0128】
察せられる通り、上述の諸実施形態は一例として引用されており、本発明は、具体的に示されまた上述されたものに限定されない。寧ろ、本発明の技術的範囲には、上述した様々な特徴のコンビネーション及びサブコンビネーションの双方が包含されるし、それらの変形物及び修正物のうち、いわゆる当業者が前掲の記述を読んで想到しそうであり且つ従来技術にて開示されていないものも包含される。