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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-31
(45)【発行日】2024-11-11
(54)【発明の名称】測定装置
(51)【国際特許分類】
   A61B 5/02 20060101AFI20241101BHJP
【FI】
A61B5/02 A
A61B5/02 310V
【請求項の数】 11
(21)【出願番号】P 2023575153
(86)(22)【出願日】2022-12-22
(86)【国際出願番号】 JP2022047301
(87)【国際公開番号】W WO2023140038
(87)【国際公開日】2023-07-27
【審査請求日】2024-06-24
(31)【優先権主張番号】P 2022008023
(32)【優先日】2022-01-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】504136568
【氏名又は名称】国立大学法人広島大学
(73)【特許権者】
【識別番号】000006231
【氏名又は名称】株式会社村田製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110000970
【氏名又は名称】弁理士法人 楓国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】辻 敏夫
(72)【発明者】
【氏名】古居 彬
(72)【発明者】
【氏名】許 自強
(72)【発明者】
【氏名】森田 暢謙
【審査官】遠藤 直恵
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2008/0039731(US,A1)
【文献】特表2019-516416(JP,A)
【文献】特開2005-226902(JP,A)
【文献】国際公開第2014/208289(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 5/02-5/03
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
人体の表面に接触し、かつ、前記人体の第1部分の脈波を検知することにより第1信号を出力する第1センサと、
前記第1センサを前記第1部分に固定する第1固定部材と、
前記人体の表面に接触し、かつ、前記人体の第2部分の脈波を検知することにより第2信号を出力する第2センサと、
前記第2センサを前記第2部分に固定する第2固定部材と、
前記第1信号及び前記第2信号に基づいて、前記人体の血管剛性に関連するパラメータを示す血管剛性関連データを生成する演算回路と、
を備えており、
前記第2部分は、前記第1部分に比較して前記人体の心臓に近い部分であ
前記第1部分は、前記人体の関節の表面であり、
前記第1固定部材は、前記第1センサを前記第1部分に直接接触させる、
測定装置。
【請求項2】
前記第2部分は、前記人体の関節の表面であり、
前記第2固定部材は、前記第2センサを前記第2部分に直接接触させる、
請求項1に記載の測定装置。
【請求項3】
前記演算回路により生成された前記血管剛性関連データが示す前記パラメータを表示する表示装置を更に備えている、
請求項1又は請求項2に記載の測定装置。
【請求項4】
前記演算回路は、前記第1信号に含まれる脈波の発生時刻と前記第2信号に含まれる脈波の発生時刻との差が変化すると、前記パラメータが変化するように前記血管剛性関連データを生成する、
請求項1又は請求項2に記載の測定装置。
【請求項5】
前記パラメータは、脈波が伝搬する速度である脈波伝搬速度である、
請求項1又は請求項2に記載の測定装置。
【請求項6】
前記パラメータは、血管剛性である、
請求項1又は請求項2に記載の測定装置。
【請求項7】
前記演算回路は、前記人体に刺激が加わっている状態の前記第1信号及び前記第2信号、並びに、前記人体に刺激が加わっていない状態の前記第1信号及び前記第2信号に基づいて、前記人体の血管剛性に関連する前記パラメータを示す前記血管剛性関連データを生成する、
請求項1又は請求項2に記載の測定装置。
【請求項8】
前記第1センサは、圧電フィルムを含んでいる、
請求項1又は請求項2に記載の測定装置。
【請求項9】
前記第1センサは、超音波センサである、
請求項1又は請求項2に記載の測定装置。
【請求項10】
前記第1センサは、フォトプレチスモグラフィセンサである、
請求項1又は請求項2に記載の測定装置。
【請求項11】
前記第1固定部材と前記第2固定部材とを連結している連結部材を更に備えている、
請求項1又は請求項2に記載の測定装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、血管剛性に関連するパラメータを測定する測定装置に関する。
【背景技術】
【0002】
血管剛性に関連するパラメータを測定するための測定装置に関する発明としては、例えば、特許文献1に記載の血管内超音波技術が知られている。この技術では、血管内部に超音波を伝搬させることにより、血管剛性を測定する。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0003】
【文献】循環器画像技術研究会,“IVUSの基本と画像判読”,[online],[2021年12月29日検索],インターネット <URL: http://citec.fc2wheb.com/shiryou/on-wheb/basicIVUS/basicIVUS.htm>
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、特許文献1に記載の血管内超音波技術では、血管内部に超音波を伝搬させるために、人体に傷をつける必要がある。その一方で、血管剛性に関連するパラメータを精度よく測定したいという要望がある。
【0005】
そこで、本発明の目的は、人体に傷をつけることなく血管剛性に関連するパラメータを測定でき、かつ、血管剛性に関連するパラメータを精度よく測定できる測定装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一形態に係る測定装置は、
人体の表面に接触し、かつ、前記人体の第1部分の脈波を検知することにより第1信号を出力する第1センサと、
前記第1センサを前記第1部分に固定する第1固定部材と、
前記人体の表面に接触し、かつ、前記人体の第2部分の脈波を検知することにより第2信号を出力する第2センサと、
前記第2センサを前記第2部分に固定する第2固定部材と、
前記第1信号及び前記第2信号に基づいて、前記人体の血管剛性に関連するパラメータを示す血管剛性関連データを生成する演算回路と、
を備えており、
前記第1部分は、関節であり、
前記第1固定部材は、前記第1センサを前記第1部分に密着させる。
【発明の効果】
【0007】
本発明に係る測定装置によれば、人体に傷をつけることなく血管剛性に関連するパラメータを測定でき、かつ、血管剛性に関連するパラメータを精度よく測定できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は、測定装置10のブロック図である。
図2図2は、第1センサ12aの上面図及び断面図である。
図3図3は、第1信号Sig1及び第2信号Sig2の波形を示した図である。
図4図4は、脈波伝搬速度の2乗Vと血管剛性Gとの関係を示すグラフである。
図5図5は、演算回路18が実行するフローチャートである。
図6図6は、測定装置10aのブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
(実施形態)
[測定装置10の構成及び動作]
以下に、本発明の一実施形態に係る測定装置10の構成について図面を参照しながら説明する。図1は、測定装置10のブロック図である。図2は、第1センサ12aの上面図及び断面図である。図3は、第1信号Sig1及び第2信号Sig2の波形を示した図である。図4は、脈波伝搬速度Vと血管剛性Gとの関係を示すグラフである。
【0010】
測定装置10は、人体の血管剛性に関連するパラメータを演算する装置である。測定装置10は、例えば、人体の動脈硬化度を測定する装置である。測定装置10は、図1に示すように、第1センサ12a、第2センサ12b、第1固定部材14a、第2固定部材14b、連結部材16、演算回路18及び表示装置20を備えている。
【0011】
第1センサ12aは、人体の第1部分の脈波を検知することにより第1信号Sig1を出力する。第1部分は、関節である。本実施形態では、第1部分は、手首である。第1センサ12aは、脈波により発生する人体の表面の伸縮を検知して、伸縮に応じた電圧値を有する電気信号を生成する。以下に、第1センサ12aの構造について説明する。
【0012】
第1センサ12aは、圧電フィルム24、上電極25a、下電極25b、基材26、接着層28及び粘着層30を含んでいる。圧電フィルム24は、シート形状を有している。従って、圧電フィルム24は、上主面及び下主面を有している。圧電フィルム24の左右方向の長さは、圧電フィルム24の前後方向の長さより長い。本実施形態では、圧電フィルム24は、上下方向に見て、左右方向に延びる長辺を有する矩形状を有している。圧電フィルム24は、圧電フィルム24の変形量に応じた電荷を発生する。本実施形態では、圧電フィルム24は、PLAフィルムである。以下に、圧電フィルム24についてより詳細に説明する。
【0013】
圧電フィルム24は、圧電フィルム24が左右方向に伸張されたときに発生する電荷の極性が、圧電フィルム24が前後方向に伸張されたときに発生する電荷の極性と逆となる特性を有している。具体的には、圧電フィルム24は、キラル高分子から形成されるフィルムである。キラル高分子とは、例えば、ポリ乳酸(PLA)、特にL型ポリ乳酸(PLLA)である。キラル高分子からなるPLLAは、主鎖が螺旋構造を有する。PLLAは、一軸延伸されて分子が配向する圧電性を有する。圧電フィルム24は、d14の圧電定数を有している。圧電フィルム24の一軸延伸方向(配向方向)は、前後方向及び左右方向のそれぞれに対して45度の角度を形成している。この45度は、例えば、45度±10度程度を含む角度を含む。これにより、圧電フィルム24は、圧電フィルム24が前後方向及び左右方向に伸張されること又は前後方向及び左右方向に圧縮されることにより、電荷を発生する。圧電フィルム24は、例えば、左右方向に伸張されると正の電荷を発生する。圧電フィルム24は、例えば、左右方向に圧縮されると負の電荷を発生する。圧電フィルム24は、例えば、前後方向に伸張されると負の電荷を発生する。圧電フィルム24は、例えば、前後方向に圧縮されると正の電荷を発生する。電荷の大きさは、伸張又は圧縮による圧電フィルム24の変形量に依存する。より正確には、電荷の大きさは、伸張又は圧縮による圧電フィルム24の変形量の微分値に比例する。
【0014】
上電極25aは、信号電極である。上電極25aから第1信号Sig1が出力される。上電極25aは、圧電フィルム24の上主面に設けられている。下電極25bは、グランド電極である。下電極25bは、グランドに接続される。下電極25bは、圧電フィルム24の下主面に設けられている。上電極25aの材料及び下電極25bの材料は、例えば、PEDOTのような導電性高分子である。
【0015】
基材26は、上電極25aの上に設けられている。基材26は、圧電フィルム24、上電極25a及び下電極25bを保持することにより、圧電フィルム24と共に変形する。基材26は、シート形状を有している。基材26は、上主面及び下主面を有している。基材26の左右方向の長さは、基材26の前後方向の長さより長い。本実施形態では、基材26は、上下方向に見て、左右方向に延びる長辺を有する矩形状を有している。基材26の長辺は、圧電フィルム24の長辺、上電極25aの長辺及び下電極25bの長辺より長い。基材26の短辺は、圧電フィルム24の短辺、上電極25aの短辺及び下電極25bの短辺より長い。圧電フィルム24、上電極25a及び下電極25bは、上下方向に見て、基材26の外縁に囲まれた領域内に配置されている。基材26の材料は、例えば、ポリウレタン、PETである。フレキシブル基板、プリント配線板で形成してもよい。
【0016】
接着層28は、圧電フィルム24、上電極25a及び下電極25bを基材26に固定する。より詳細には、接着層28は、基材26の下主面に設けられている。接着層28は、基材26の下主面の一部分を覆っている。また、接着層28は、上電極25aの上主面の全体を覆っている。接着層28の外縁は、上下方向に見て、基材26の外縁に囲まれている。接着層28は、上電極25aと基材26とを接着している。その結果、基材26の変形は、圧電フィルム24に伝達される。接着層28の材料は、例えば、両面テープ、熱硬化接着剤、熱可塑性接着剤である。
【0017】
粘着層30は、基材26の上主面に設けられている。粘着層30は、基材26を第1部分に固定する。これにより、第1部分が変形すると、基材26が変形し、圧電フィルム24が変形する。
【0018】
第1固定部材14aは、人体の表面に接触し、かつ、第1センサ12aを第1部分に固定する。第1固定部材14aは、第1センサ12aを第1部分に密着させる。第1センサ12aが第1部分に密着するとは、第1センサ12aと第1部分との間に隙間が存在しないことを意味する。ここで、第1部分は、関節なので、凹凸を有する。また、第1部分は、関節なので、変形する。従って、第1固定部材14aは、可撓性を有している。更に、第1固定部材14aは、例えば、粘着層を有する樹脂フィルムである。そして、第1センサ12aは、下電極15bが第1固定部材14aに接するように、第1固定部材14aに貼り付けられている。これにより、第1センサ12aは、第1部分に密着できる。
【0019】
第2センサ12bは、人体の表面に接触し、かつ、人体の第2部分の脈波を検知することにより第2信号Sig2を出力する。第2部分は、関節である。第2部分は、例えば、肘である。第2センサ12bの構造は、第1センサ12aと同じであるので説明を省略する。
【0020】
第2固定部材14bは、第2センサ12bを第2部分に固定する。第2固定部材14bの構造は、第1固定部材14aの構造と同じであるので説明を省略する。
【0021】
なお、「第1センサ12a及び第2センサ12bが第1部分及び第2部分に密着する。」とは、第1センサ12a及び第2センサ12bが第1部分及び第2部分に直接に接触していなくてもよい。第1センサ12a及び第2センサ12bが、脈波により発生する第1部分及び第2部分の伸縮を検知できればよい。従って、第1センサ12aと第1部分との間、及び/又は、第2センサ12bと第2部分との間に例えばシリコーン樹脂や薄い樹脂フィルム等の介在物が存在してもよい。
【0022】
連結部材16は、第1固定部材14aと第2固定部材14bとを連結している。連結部材16は、第1センサ12aと第2センサ12bとの距離を一定の距離Lに保つ役割を果たす。
【0023】
演算回路18は、第1信号Sig1及び第2信号Sig2に基づいて、人体の血管剛性に関連するパラメータを示す血管剛性関連データDを生成する。以下に、血管剛性関連データDの生成について説明する。
【0024】
図3に示すように、第1信号Sig1に含まれる脈波の発生時刻を時刻t1と呼ぶ。第2信号Sig2に含まれる脈波の発生時刻を時刻t2と呼ぶ。第2センサ12bと心臓との距離は、第1センサ12aと心臓との距離より短い。従って、時刻t2は、時刻t1より前の時刻である。時刻t2と時刻t1との差を差Δtと呼ぶ。演算回路18は、差Δtで距離Lを割り算することにより、脈波が伝搬する速度である脈波伝搬速度Vを算出する。なお、距離Lは、図示しない記憶装置により記憶されている。
【0025】
ここで、本願発明者は、研究の結果、脈波伝搬速度Vと血管剛性Gとの間には相関関係があることを発見した。血管剛性Gは、人体の血管の硬さを示すパラメータである。血管剛性Gが増加すると、血管が硬くなる。すなわち、血管剛性Gは、人体の動脈硬化度を示す。脈波伝搬速度Vの2乗(V)と血管剛性Gとは、図4に示すように、比例関係が成立している。すなわち、脈波伝搬速度Vの2乗が増加すると、血管剛性Gが増加する。従って、脈波伝搬速度Vを知ることができれば、血管剛性Gを知ることができる。そこで、図4のグラフに相当するデータが、図示しない記憶装置により記憶されている。そして、演算回路18は、図4のグラフに相当するデータを用いて、脈波伝搬速度Vに基づいて血管剛性Gを算出する。従って、本実施形態では、人体の血管剛性に関連するパラメータは、血管剛性Gである。
【0026】
以上のように、演算回路18は、第1信号Sig1に含まれる脈波の発生時刻t1と第2信号Sig2に含まれる脈波の発生時刻t2との差Δtが変化すると、パラメータが変化するように血管剛性関連データDを生成する。本実施形態では、演算回路18は、差Δtが増加すると、血管剛性Gが増加するように血管剛性関連データDを生成する。以上のような演算回路18は、例えば、CPU(Central Processing Unit)である。
【0027】
表示装置20は、演算回路18により生成された血管剛性関連データDが示すパラメータを表示する。本実施形態では、表示装置20は、血管剛性Gを表示する。表示装置20は、例えば、液晶表示装置や有機EL表示装置である。
【0028】
次に、演算回路18が行う動作について説明する。図5は、演算回路18が実行するフローチャートである。演算回路18は、図示しない記憶装置が記憶しているプログラムを実行することにより、図5のフローチャートを実行する。
【0029】
演算回路18は、第1信号Sig1及び第2信号Sig2を取得する(ステップS1)。次に、演算回路18は、図2に示すように、第1信号Sig1及び第2信号Sig2から脈波を検知する(ステップS2)。より詳細には、演算回路18は、第1信号Sig1に含まれる脈波の発生時刻t1及び第2信号Sig2に含まれる脈波の発生時刻t2を特定する。
【0030】
次に、演算回路18は、検知した脈波の発生時刻t1と発生時刻t2との差Δtを取得する(ステップS3)。そして、演算回路18は、記憶装置により記憶されている距離Lを差Δtで割り算することにより、脈波伝搬速度Vを算出する(ステップS4)。最後に、演算回路18は、図4のグラフに相当するデータを用いて、脈波伝搬速度Vに基づいて血管剛性Gを算出する(ステップS5)。この後、表示装置20は、血管剛性Gを表示する。
【0031】
[効果]
測定装置10によれば、人体に傷をつけることなく血管剛性に関連するパラメータを測定できる。より詳細には、第1センサ12aは、人体の表面に接触し、かつ、人体の第1部分の脈波を検知することにより第1信号Sig1を出力する。第2センサ12bは、人体の表面に接触し、かつ、人体の第2部分の脈波を検知することにより第2信号Sig2を出力する。そして、演算回路18は、第1信号Sig1及び第2信号Sig2に基づいて、人体の血管剛性に関連するパラメータを示す血管剛性関連データDを生成する。このように、測定装置10では、人体に傷をつけることなく、血管剛性に関連するパラメータを測定できる。
【0032】
測定装置10によれば、血管剛性に関連するパラメータを精度良く測定できる。より詳細には、本願発明者は、研究の結果、脈波の測定位置を関節にすればよいと思い至った。更に、本願発明者は、研究の結果、脈波の測定位置を手首にすればよいと思い至った。ただし、手首は、複雑な凹凸を有し、かつ、変形する。そこで、第1固定部材14aは、第1センサ12aを関節である第1部分に密着させる。これにより、第1センサ12aは、脈波を精度よく検知できるようになる。その結果、測定装置10によれば、血管剛性に関連するパラメータを精度良く測定できる。
【0033】
測定装置10では、連結部材16は、第1固定部材14aと第2固定部材14bとを連結している。これにより、第1センサ12aと第2センサ12bとの距離Lが一定に保たれる。その結果、第1センサ12aと第2センサ12bとの距離Lの測定及び入力が不要である。
【0034】
(変形例)
以下に、変形例に係る測定装置10aについて図面を参照しながら説明する。図6は、測定装置10aのブロック図である。
【0035】
測定装置10aは、連結部材16を備えていない点、及び、入力装置21を更に備えている点において測定装置10と相違する。従って、第1センサ12aと第2センサ12bとの距離Lは、一定ではない。そこで、ユーザは、距離Lを測定する。更に、ユーザは、入力装置21を用いて、距離Lを入力する。これにより、演算回路18は、第1部分と第2部分との距離Lを示す距離データDLを取得する。そして、演算回路18は、第1信号Sig1、第2信号Sig2及び距離データDLに基づいて、血管剛性関連データDを生成する、測定装置10aのその他の構造は、測定装置10と同じであるので説明を省略する。
【0036】
(その他の実施形態)
なお、本発明に係る測定装置は、測定装置10,10aに限らずその要旨の範囲内において変更可能である。また、測定装置10,10aの構造を組み合わせてもよい。
【0037】
なお、第1センサ12a及び第2センサ12bは、超音波センサであってもよいし、フォトプレチスモグラフィセンサであってもよい。また、第1センサ12aと第2センサ12bとは互いに異なるタイプのセンサでもよい。
【0038】
なお、第2部分は、関節でなくてもよい。この場合、第2固定部材14bは、第2センサ12bを第2部分に密着させなくてもよい。第2固定部材14bは、人体の一部に巻き付けられるバンドであってもよい。
【0039】
なお、パラメータは、脈波が伝搬する速度である脈波伝搬速度Vであってもよい。この場合、表示装置20は、脈波伝搬速度Vを表示する。ただし、パラメータは、血管剛性G及び脈波伝搬速度Vの両方であってもよい。また、パラメータは、人体の動脈硬化度を示す値であってもよい。
【0040】
なお、演算回路18は、差Δtを用いて、脈波伝搬速度Vを算出することなく、血管剛性Gを算出してもよい。この場合、図示しない記憶装置は、差Δtと血管剛性Gとの関係を示すテーブルを記憶している。
【0041】
なお、第1部分は、手首以外の関節であってもよい。
【0042】
なお、測定装置10,10aは、パラメータを印刷する印刷装置を更に備えていてもよい。
【0043】
なお、本願発明者は、人体に痛みなどの刺激が加わっている状態での脈波伝搬速度と人体に刺激が加わっていない状態での脈波伝搬速度とが異なることを発見した。そこで、演算回路18は、この性質を利用して、人体に刺激が加わっている状態の第1信号Sig1及び第2信号Sig2、並びに、人体に刺激が加わっていない状態の第1信号Sig1及び第2信号Sig2に基づいて、人体の血管剛性に関連するパラメータを示す血管剛性関連データDを生成してもよい。測定装置10,10aでは、リアルタイムに血管剛性関連データDを計測できることから、人の感じている肉体的な疼痛や精神的なストレスを定量的なデータでリアルタイムに評価をすることが可能である。昨今、ストレス指標として扱われている心拍変動解析は、計測に一定の時間がかかることが知られており、短時間での刺激の評価には使用できず、リアルタイムに人の感性を評価できる測定装置10,10aの応用範囲は広い。
【符号の説明】
【0044】
10,10a:測定装置
12a:第1センサ
12b:第2センサ
14a:第1固定部材
14b:第2固定部材
24:圧電フィルム
Sig1:第1信号
Sig2:第2信号
図1
図2
図3
図4
図5
図6