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特許7580129基板重ね合わせ装置及び基板重ね合わせ方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-31
(45)【発行日】2024-11-11
(54)【発明の名称】基板重ね合わせ装置及び基板重ね合わせ方法
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/683 20060101AFI20241101BHJP
   H01L 21/02 20060101ALI20241101BHJP
【FI】
H01L21/68 N
H01L21/02 B
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2022065854
(22)【出願日】2022-04-12
(65)【公開番号】P2023156160
(43)【公開日】2023-10-24
【審査請求日】2023-10-25
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】316011226
【氏名又は名称】AIメカテック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107836
【弁理士】
【氏名又は名称】西 和哉
(72)【発明者】
【氏名】菊地 右文
(72)【発明者】
【氏名】山田 芳裕
(72)【発明者】
【氏名】池田 孝生
【審査官】宮久保 博幸
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-068084(JP,A)
【文献】国際公開第2020/017314(WO,A1)
【文献】特開2014-116540(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2007/0121271(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2021/0104405(US,A1)
【文献】特開2004-207436(JP,A)
【文献】特開2015-060946(JP,A)
【文献】特開2020-008725(JP,A)
【文献】特開2017-013370(JP,A)
【文献】特開2002-229471(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/683
H01L 21/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
大気圧雰囲気下で2枚の基板を重ね合わせる基板重ね合わせ装置であって、
搬送された前記基板を支持して昇降するリフトピンと、
前記リフトピンが下降した際に、前記基板を位置決めするアライメント機構と、
前記リフトピンで支持する前記基板の上面を吸着して前記基板を前記リフトピンから受け取る吸着部と、
前記リフトピンが下降した際に、前記基板を支持する基板支持部と、を備え、
前記基板支持部は、前記リフトピンが下降した際に前記基板の下面外周部に当接して前記基板を支持する支持部材を備え、
前記アライメント機構は、前記支持部材に支持された前記基板を、前記基板の表面に沿った方向に挟み込むことで前記基板を位置決めする、基板重ね合わせ装置。
【請求項2】
前記吸着部は、上下方向に交差する面に沿って延びる板状であり、下面に前記基板の上面を吸着可能な吸着面を有している、請求項1に記載の基板重ね合わせ装置。
【請求項3】
前記吸着部は、前記吸着面から上方に窪み、前記吸着面に沿って延びる吸着溝を有している、請求項2に記載の基板重ね合わせ装置。
【請求項4】
前記吸着部は、上方から見て、少なくとも前記リフトピンと重なる位置に配置されている、請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の基板重ね合わせ装置。
【請求項5】
前記吸着部は、前記リフトピンよりも大きな外形寸法を有している、請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の基板重ね合わせ装置。
【請求項6】
前記吸着部を所定高さに支持する支持部を備える、請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の基板重ね合わせ装置。
【請求項7】
前記吸着部は、前記支持部に揺動可能に設けられている、請求項6に記載の基板重ね合わせ装置。
【請求項8】
前記基板支持部及び前記吸着部を収容するチャンバを備える、請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の基板重ね合わせ装置。
【請求項9】
大気圧雰囲気下で2枚の基板を重ね合わせる方法であって、
搬送された前記基板をリフトピンにより支持することと、
前記リフトピンが下降した際に、前記基板を前記基板の下面外周部に当接して支持する支持部材で支持することと、
前記支持部材に支持された前記基板をアライメント機構により位置決めすることと、
位置決めされた前記基板を前記リフトピンで支持することと、
前記リフトピンで支持した前記基板の上面を吸着して前記基板を前記リフトピンから受け取ることと、を含み、
前記アライメント機構は、前記支持部材に支持された前記基板を、前記基板の表面に沿った方向に挟み込むことで前記基板を位置決めする、基板重ね合わせ方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、基板重ね合わせ装置及び基板重ね合わせ方法に関する。
【背景技術】
【0002】
複数の基板を重ねた状態で貼り合わせる基板貼り合わせ装置が知られている。このような基板貼り合わせ装置として、基板上に他の基板(サポートプレート)を押し付けて貼り合わせる際に、他の基板の周縁部を支持した状態で、他の基板を基板に重ねる構成が開示されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2007-158122号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に開示された構成では、基板上に他の上側基板(サポートプレート)を押し付けて貼り合わせる際に、上側基板の周縁部を支持している。この状態で、上側基板を基板に貼り合わせるために上側基板の中央部を押圧すると、外縁部が支持された上側基板が撓むことがある。この上側基板の撓みにより、上側基板に保持された電子部品等が上側基板から剥離してしまうことがある。
【0005】
本発明は、2枚の基板を重ね合わせるに際し、基板が撓むのを抑えつつ、2枚の基板の重ね合わせを円滑に行うことが可能な基板重ね合わせ装置及び基板重ね合わせ方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の態様では、大気圧雰囲気下で2枚の基板を重ね合わせる基板重ね合わせ装置であって、搬送された基板を支持して昇降するリフトピンと、リフトピンが下降した際に、基板を位置決めするアライメント機構と、リフトピンで支持する基板の上面を吸着して基板をリフトピンから受け取る吸着部と、リフトピンが下降した際に、基板を支持する基板支持部と、を備え、基板支持部は、リフトピンが下降した際に基板の下面外周部に当接して基板を支持する支持部材を備え、アライメント機構は、支持部材に支持された基板を、基板の表面に沿った方向に挟み込むことで基板を位置決めする、基板重ね合わせ装置が提供される。
また、本発明の態様では、大気圧雰囲気下で2枚の基板を重ね合わせる基板重ね合わせ装置であって、搬送された基板を支持して昇降するリフトピンと、リフトピンが下降した際に、基板を位置決めするアライメント機構と、リフトピンで支持する基板の上面を吸着して基板をリフトピンから受け取る吸着部と、を備える、基板重ね合わせ装置が提供される。
【0007】
本発明の態様では、大気圧雰囲気下で2枚の基板を重ね合わせる方法であって、搬送された基板をリフトピンにより支持することと、リフトピンが下降した際に、基板を基板の下面外周部に当接して支持する支持部材で支持することと、支持部材に支持された基板をアライメント機構により位置決めすることと、位置決めされた基板をリフトピンで支持することと、リフトピンで支持した基板の上面を吸着して基板をリフトピンから受け取ることと、を含み、アライメント機構は、支持部材に支持された基板を、基板の表面に沿った方向に挟み込むことで基板を位置決めする、基板重ね合わせ方法が提供される。
また、本発明の態様では、大気圧雰囲気下で2枚の基板を重ね合わせる方法であって、搬送された基板をリフトピンにより支持することと、リフトピンに支持された基板を支持部材で支持することと、支持部材に支持された基板を位置決めすることと、位置決めされた基板を前記リフトピンで支持することと、リフトピンで支持した基板の上面を吸着して基板をリフトピンから受け取ることと、を含む、基板重ね合わせ方法が提供される。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、大気圧雰囲気下で2枚の基板を重ね合わせるに際し、リフトピンが搬送された基板を支持して下降し、アライメント機構が基板を位置決めした後、リフトピンで支持する基板の上面を吸着部で吸着し、基板をリフトピンから受け取る。このように、基板の上面を吸着部で吸着することによって、基板が撓むのを抑えることができる。したがって、基板から電子部品が剥離することが抑えられ、2枚の基板の重ね合わせを円滑に行うことが可能となる。したがって、2枚の基板を重ね合わせるに際し、基板が撓むのを抑え、2枚の基板の重ね合わせを円滑に行うことが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】実施形態に係る基板重ね合わせ装置の一例を示す図である。
図2】上側の基板を下方から視た図である。
図3】上側の基板の断面図である。
図4】第1プレートを上方から視た平面図である。
図5図4のA―A矢視断面図である。
図6】吸着部の吸着面を下方から視た図である。
図7】実施形態に係る基板重ね合わせ方法の一例を示すフローチャートである。
図8図7に続いて、実施形態に係る基板重ね合わせ方法の一例を示すフローチャートである。
図9】基板重ね合わせ装置の動作の一例を示し、上側の基板をチャンバ内に搬入し、リフトピンで支持した図である。
図10】基板重ね合わせ装置の動作の一例を示し、上側の基板を支持部材上に載置した図である。
図11】基板重ね合わせ装置の動作の一例を示し、上側の基板に対してアライメント動作を行った図である。
図12】基板重ね合わせ装置の動作の一例を示し、上側の基板を吸着部で吸着保持させた図である。
図13】基板重ね合わせ装置の動作の一例を示し、下側の基板をチャンバ内に搬入し、リフトピンで支持した図である。
図14】基板重ね合わせ装置の動作の一例を示し、下側の基板にベーク処理を行う図である。
図15】基板重ね合わせ装置の動作の一例を示し、下側の基板を基板支持部で支持した図である。
図16】基板重ね合わせ装置の動作の一例を示し、下側の基板に対してアライメント動作を行った図である。
図17】基板重ね合わせ装置の動作の一例を示し、リフトピンを上昇させて上側基板と下側基板とを貼り合わせた図である。
図18】基板重ね合わせ装置の動作の一例を示し、リフトピンを上昇させ、重ね合わせた基板を上昇させた図である。
図19】基板重ね合わせ装置の動作の一例を示し、重ね合わせた基板をリフトピンからアームに渡した図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施形態について図面を参照しながら説明する。ただし、本発明は、以下の説明に限定されない。また、図面においては実施形態をわかり易く説明するため、一部分を省略して表現している部分がある。さらに、一部分を大きく又は強調して記載するなど適宜縮尺を変更して表現しており、実際の製品とは大きさ、形状が異なっている場合がある。以下の各図において、XYZ直交座標系を用いて図中の方向を説明する。このXYZ直交座標系においては、水平面に平行な平面をXY平面とする。このXY平面において基板S1と基板S2との搬送方向に平行な方向をX方向とし、X方向に直交する方向をY方向とする。また、XY平面に垂直な方向をZ方向(高さ方向)と表記する。X方向、Y方向及びZ方向のそれぞれは、図中の矢印の指す方向が+方向であり、矢印の指す方向とは反対の方向が-方向であるとして説明する。
【0011】
<基板重ね合わせ装置>
実施形態に係る基板重ね合わせ装置100について説明する。図1は、実施形態に係る基板重ね合わせ装置100の一例を示す図である。基板重ね合わせ装置100は、接着層Fを形成した基板S1と、接着層Fを形成した基板S2とを、互いの接着層Fを当接させて貼り付ける。なお、接着層Fは、基板S1及び基板S2の双方に形成されることに限定されず、いずれか一方の基板S1又は基板S2に形成される形態であってもよい。接着層Fは、基板重ね合わせ装置100に搬入される前に、例えば塗布装置等により基板S1、基板S2に塗布、乾燥されることで形成される。なお、この塗布装置は、基板重ね合わせ装置100に備える形態であってもよい。
【0012】
本実施形態では、貼り付けられる2枚の基板のうち、上側基板を基板S1と称し、下側基板を基板S2と称する。基板S1及び基板S2は、例えばガラス基板、半導体基板、樹脂性基板などである。本実施形態では、例えば、上側の基板S1がガラス基板、下側の基板S2がシリコン基板である。また、基板S1と基板S2とを貼り付けた形態を基板S(図18参照)と称する。基板S1及び基板S2は、いずれも平面視において(Z方向から見て)円形状の円形基板が使用されるが、円形基板に限定されず、平面視において矩形状(正方形状、長方形状)の角形基板、楕円形状、長円形状等の基板であってもよい。
【0013】
図2は、上側の基板S1を下方から視た図である。図3は、上側の基板S1の断面図である。図2図3に示すように、上側の基板S1には、チャンバ10内に搬入された状態で下側を向く下面に、下面外周部F1と、下面内周部F2と、が形成されている。下面内周部F2は、基板S1の下面の内周側に形成されている。下面外周部F1は、下面内周部F2の外周側に形成されている。下面外周部F1は、下方から見て、基板S1の下面の外周部に沿って連続する環状の領域に形成されている。基板S1の機能領域Afが下方を向いている場合、機能領域Afは、下面内周部F2に形成されている。基板S1の下面に半導体チップ等の素子が接着剤等によりマウントされている場合、素子がマウントされている領域が機能領域Afを形成する。基板S1に接着層Fが形成されている場合、この接着層Fが機能領域Afを形成する。
【0014】
図1に示すように、基板重ね合わせ装置100は、チャンバ10と、基板支持部20と、吸着部30と、リフト部40と、昇降機構50と、アライメント機構60と、制御部Cと、を備える。制御部Cは、基板重ね合わせ装置100における各部の動作を統括して制御する。
【0015】
基板重ね合わせ装置100において、基板S1、S2を貼り合わせるには、まず、基板S1をチャンバ10内に搬入し、アライメント機構60で位置合わせした後、リフト部40で基板S1を上昇させ、吸着部30で保持させる。その後、基板S2をチャンバ10内に搬入し、アライメント機構60で位置合わせした後、リフト部40で基板S2を上昇させ、吸着部30に保持された基板S1と貼り合わせる。チャンバ10内に基板S1が搬入される際、基板S1は、機能領域Afが下方(-Z方向)を向いた状態で搬送される。また、チャンバ10内に基板S2が搬入される際、基板S2は、接着層Fが上方(+Z方向)を向いた状態で搬入される。
【0016】
チャンバ10は、基板重ね合わせ装置100の基台15上に配置されている。チャンバ10は、基台15の外周部から上方に立ち上がる側壁10aと、側壁10aの上方を覆う天板10bとを有した箱状に形成されている。チャンバ10は、基板支持部20と、吸着部30と、リフト部40と、昇降機構50の一部と、アライメント機構60とが収容されている。チャンバ10は、箱状に形成されており、側壁10aの一部に開口部11を有している。開口部11は、チャンバ10の-X側の面に形成され、チャンバ10の内部と外部と、を連通させる。開口部11は、搬送装置90に保持された基板S1、S2、さらに両者を貼り付けた基板Sが通過可能な寸法に形成されている。
【0017】
基板S1、S2は、搬送装置90のアーム91によって開口部11を介してチャンバ10にそれぞれ搬入される。また、基板Sは、開口部11を介してチャンバ10内から搬出される。本実施形態では、搬送装置90は、平板状の2本のアーム91を備えており、チャンバ10に基板S1を搬入する際は、基板S1の上側から吸着して基板S1を保持する。搬送装置90は、基板S2を搬入する際、及び基板Sをチャンバ10から搬出する際は、基板S2、Sの下側から吸着して基板S2、Sを保持する。なお、アーム91は、基板S2、Sを搬送する際、基板S2、Sを吸着せずにアーム91の上面側に載置して保持する形態であってもよい。なお、アーム91は2本とは限らず、3本以上であってもよい。
【0018】
チャンバ10は、開口部11を開閉するゲートバルブ12を備えている。ゲートバルブ12は、チャンバ10の-X側の側面における外側に配置され、図示しない駆動部によって、例えば、上下方向(Z方向)にスライド可能である。ゲートバルブ12は、スライドすることにより開口部11を開閉する。なお、ゲートバルブ12で開口部11を閉じても、チャンバ10は、大気圧雰囲気下とされた状態となっている。また、開口部11を閉じることによりチャンバ10内を密閉状態にして、チャンバ10内を真空雰囲気としてもよい。また、チャンバ10の上面には、後述する支持部の一形態である軸部51が貫通する貫通部10hが設けられている。貫通部10hには、軸部51が挿入されている。
【0019】
なお、基板重ね合わせ装置100は、チャンバ10を備えるか否かが任意であり、チャンバ10を備えない形態(大気開放型)であってもよい。また、チャンバ10内は、図示しないガス供給装置に接続されてもよい。このガス供給装置からチャンバ10内に所定のガスを供給することでチャンバ10内の大気圧雰囲気を、所定のガス雰囲気に置換することができる。所定のガスとしては、例えば、窒素ガスなどの基板S1、S2に形成されている薄膜等に対して不活性なガス、又はドライエアなどが用いられる。チャンバ10内を真空雰囲気とする場合には、チャンバ10内は、図示しない吸引装置に接続される。この吸引装置によりチャンバ10内を吸引(排気)することにより、チャンバ10内を真空雰囲気にすることができる。さらに、チャンバ10は、内部の真空雰囲気を開放するために外部に対して開放可能なバルブを備えていてもよい。
【0020】
基板支持部20は、チャンバ10内に搬入される基板S1、S2を下方から支持する。基板支持部20は、リフトピン41が下降した際に、基板S1、S2を支持する。基板支持部20は、上方から見て円形状であるが、この形態に限定されず、例えば矩形状(正方形状、長方形状)、楕円形状、長円形状等であってもよい。基板支持部20は、基板S1、S2より大きい外径寸法に設定されている。
【0021】
基板支持部20は、支持プレート21と、ヒータ(加熱部)22と、ベースプレート23とを有する。支持プレート21、ヒータ22、及びベースプレート23は、下側(-Z側)からこの順番で積層されている。基板支持部20は、支持プレート21の下面側に設けられた複数の支柱24により支持されている。支持プレート21とヒータ22との間、及びヒータ22とベースプレート23との間は、例えばボルト等の締結部材により固定されている。
【0022】
支持プレート21、ヒータ22、及びベースプレート23には、上方から見た際の中央部に、後述するリフト部40のリフトピン41を貫通させる貫通孔20aを有している。貫通孔20aは、上方から見て円形状で、支持プレート21、ヒータ22、及びベースプレート23を上下方向に貫通している。なお、ヒータ(加熱部)22を設けるか否かは任意であり、基板支持部20は、ヒータ(加熱部)22を備えていない形態であってもよい。
【0023】
支持プレート21は、例えば、金属、樹脂、セラミックス等の材質により形成された板状体である。ヒータ22は、加熱部の一例であり、例えば、内部に電熱線等の加熱機構(熱源)を有するホットプレートである。ヒータ22によりベースプレート23を介して基板S1、S2を加熱する。なお、ヒータ22は、シート状の熱源を挟んで積層された積層構造体であってもよい。ベースプレート23は、+Z側の面である上面23f側に基板S1、S2、及び基板Sが配置される。ベースプレート23は、例えば、セラミックスで形成される板状体であるが、金属、樹脂等で形成されてもよい。ベースプレート23の上面23fは、基板S2と接触する面であってもよい。従って、上面23fは、平面度が高くかつ面粗さが小さい(又は鏡面である)ことが好ましい。
【0024】
支柱24は、支持プレート21の下面に複数設けられている。各支柱24の下端は、チャンバ10の底部の基台15に固定されている。なお、支柱24の本数及び配置は、上記した形態に限定されず、基板支持部20の大きさ等によって任意に設定することができる。
【0025】
リフト部40は、基板支持部20の下方に設けられている。リフト部40は、基板支持部20の上方において基板S1、S2、Sを支持し、この基板S1、S2、Sを昇降させる。リフト部40は、チャンバ10内に搬入された基板S1、S2のそれぞれを、アライメント機構60で位置合わせするため、支持した基板S1、S2を下降させ、基板支持部20上に載せる。リフト部40は、アライメント機構60で位置合わせした基板S1を、吸着パッド32に保持させるため、支持した基板S1を上昇させる。リフト部40は、アライメント機構60で位置合わせした基板S2を、基板S1に貼り合わせるため、基板S2を上昇させる。
【0026】
リフト部40は、リフトピン41と、リフトピン41の下端に連結されてZ方向に昇降する移動部42と、移動部42を昇降させるリフトピン駆動部43と、を有している。リフトピン41は、基板支持部20の中央部に配置されている。リフトピン41は、基板S1、S2の中央部に下方から突き当たることで、基板S1、S2を支持する。リフトピン41は、基板S1の機能領域Afが下方を向いている場合に、機能領域Afに当接して基板S1を支持する。
【0027】
図4は、基板支持部20を上方から視た平面図である。図5は、図4のA―A矢視断面図である。図4に示すように、リフトピン41は、上方から見て円形に形成されている。リフトピン41は、上下方向に所定の厚さを有した板状に形成される。図4図5に示すように、リフトピン41は、基板支持部20に設けられた貫通孔20aの内側に配置される。リフトピン41は、基板S1、S2より小さい外径寸法に設定されている。
【0028】
リフトピン41の外径寸法は、例えば、基板S1、S2の外径寸法に対し、1/15~1/5程度に設定するのが好ましい。本実施形態では、リフトピン41の外径寸法は、基板S1、S2の外径寸法の例えば1/10とした。リフトピン41の外径寸法が小さすぎると、リフトピン41で基板S2、S1、Sを安定して支持するのが困難となる。リフトピン41の外径寸法が大きすぎると、リフトピン41の外周部の基板支持部20による、基板S1の加熱効率が低下する。リフトピン41は、例えば、非導電性を有する材質(例えば樹脂、金属、セラミックスなど)で形成されてもよい。なお、リフトピン41は、複数本備えるようにしてもよい。例えば、3本備えるようにしてもよい。この際、各リフトピン41は、例えば、平面視において三角形の頂点となるように配置されてもよい。
【0029】
図1に示すように、移動部42は、リフトピン駆動部43を駆動させることにより昇降する。リフトピン駆動部43は、例えば電動の回転モータ、リニアモータ、エアーシリンダ装置、油圧シリンダ装置などが用いられ、図示しない伝達機構により駆動力が移動部42に伝達される。
【0030】
吸着部30は、上側の基板S1を吸着して保持する。吸着部30は、吸着パッド32を備えている。吸着パッド32は、基板S1の上面を吸着する。吸着パッド32は、リフトピン41で支持する基板S1の上面を吸着して基板S1をリフトピン41から受け取る。吸着パッド32は、例えば、金属、樹脂、セラミックス等により形成される。
【0031】
吸着パッド32は、基板S1と基板S2とを貼り付ける際に、保持した上側の基板S1を下側の基板S2に向かって押し付ける。吸着パッド32は、上方から見て円形に形成されている。吸着パッド32は、上下方向に交差する面に沿って延びる板状である。吸着パッド32は、この形態に限定されず、例えば、矩形状(正方形状、長方形状)、楕円形状、長円形状等であってもよい。吸着パッド32は、基板S1より小さい外径寸法に設定されている。吸着パッド32は、リフトピン41よりも大きな外形(外径)寸法を有している。
【0032】
吸着パッド32の外径寸法は、例えば、基板S1の外径寸法に対し、1/3~1/2程度に設定するのが好ましい。本実施形態では、吸着パッド32の外径寸法は、基板S1の外径寸法の例えば2/5程度とした。吸着パッド32の外径寸法が小さすぎると、吸着パッド32で吸着した基板S1の外周部が下方に撓みやすくなる。なお、吸着パッド32の外径寸法は任意に設定可能である。例えば、吸着パッド32は、基板S1とほぼ同じ外径寸法であってもよい。吸着パッド32は、上方から見て、少なくともリフトピン41と重なる位置に配置されている。これにより、基板S1、S2を重ね合わせる際に、基板S1,S2の中央部を、吸着パッド32とリフトピン41とで上下から挟み込み、基板S1、S2を確実に重ね合わせることができる。
【0033】
吸着パッド32は、下面に基板S1の上面を吸着可能な吸着面32aを有している。図6に示すように、吸着パッド32は、いわゆる真空吸着パッドであり、吸着面32aに吸着溝33を有している。吸着溝33は、吸着面32aから上方に窪み、吸着面32aに沿って延びている。吸着溝33は、例えば、環状溝33aと、径方向溝33bと、を有している。
【0034】
環状溝33aは、下方から見て、周方向に延びる円環状に形成されている。環状溝33aは、同心円状に複数形成されている。径方向溝33bは、径方向に延び、複数本の環状溝33a同士を連通している。径方向溝33bは、周方向に間隔をあけて複数形成されている。複数本の径方向溝33bは、放射状に延びている。吸着パッド32の中央部には、吸着溝33に連通する吸引孔33hが形成されている。吸引孔33hには、軸部51を通して、真空ポンプ等の負圧源(図示無し)に接続される吸引流路35(図1参照)が接続されている。なお、吸着パッド32は、真空吸着パッドに限らず、静電吸着パッドであってもよい。
【0035】
図1に示すように、吸着パッド32は、軸部51の下端に設けられており、上下方向に位置が固定されて所定の高さに支持されている。ただし、軸部51が昇降可能である場合には、吸着パッド32は、軸部51と一体で昇降する形態であってもよい。吸着パッド32は、下面を吸着面32aとして、リフトピン41に支持された上昇してきた基板S1の上面を吸着して基板S1を保持可能である。
【0036】
吸着パッド32は、軸部51に対して、ボールジョイント等を介して揺動可能に設けられていてもよい。吸着パッド32は、軸部51に対して、例えばボルト等の締結部材により固定されていてもよい。また、吸着部30は、吸着パッド32を加熱するヒータ(加熱部)を備える形態であってもよい。また、吸着部30がヒータを備える形態に代えて、チャンバ10内を加熱するヒータが設けられる形態であってもよい。
【0037】
昇降機構50は、吸着部30を下降させ、基板S1と基板S2とを貼り合わせる際に、基板S1を基板S2側(基板支持部20側)に向かって押圧する。昇降機構50は、軸部51と、軸部51を駆動させる駆動部52と、を備える。軸部51は、上方から見て吸着パッド32の中央部に配置され、吸着パッド32の中央部に荷重(押圧力)を付加する。軸部51は、貫通部10hを介してチャンバ10内に挿入されている。軸部51は、それぞれ円形断面の棒状体であり、付与される荷重によって変形しない、又は変形が押さえられた外径及び材質(例えば金属、樹脂、セラミックス等)により形成される。駆動部52は、軸部51を駆動する。駆動部52は、例えば、エアーシリンダ装置、油圧シリンダ装置、電動回転モータを用いたボールネジ機構等が用いられる。
【0038】
駆動部52は、制御部Cによって制御される。駆動部52によって軸部51に付与する荷重、及び荷重を付与する駆動タイミングは、予め設定されたプログラム等に基づいて制御部Cによって統括して制御される。また、駆動部52の動作の一部又は全部は、オペレータによる操作によって行われてもよい。なお、軸部51は、駆動部52を備えず、昇降不能な構成としてもよい。
【0039】
アライメント機構60は、基板支持部20に対して、基板S1、S2の位置決めを行う。図1図4に示すように、アライメント機構60は、複数のアライメント駆動部61と、複数のアライメントブロック62と、を備える。アライメントブロック62は、基板S1、S2を径方向から挟み込むことで、基板S1、S2をアライメント(位置決め)するために用いられる。複数のアライメントブロック62は、基板支持部20のベースプレート23の外周部に、基板支持部20の中心軸AX回りの周方向に間隔を開けて配置されている。複数のアライメントブロック62は、中心軸AX回りの周方向に間隔を開けて、例えば5個配置されている。複数のアライメントブロック62のそれぞれは、図示しないガイドによって、基板S1、S2の表面に沿った方向に移動可能である。アライメントブロック62は、基板S1、S2が帯電するのを防止するため、導電性を有する材料で形成されるのが好ましい。
【0040】
アライメント駆動部61は、複数のアライメントブロック62のそれぞれを、ベースプレート23の径方向に移動させる。アライメント駆動部61は、例えば、シリンダ装置又は電動モータの駆動源と、駆動源で生じた駆動力をアライメントブロック62のそれぞれに伝達する伝達機構とを有する。
【0041】
アライメント機構60は、アライメント駆動部61を駆動することでアライメントブロック62をベースプレート23の径方向に進出させ、基板S1、S2の外周縁を、ベースプレート23の上面23fに平行な方向に押すことで、基板S1、S2を挟み込む。アライメント機構60は、アライメント駆動部61を駆動することでアライメントブロック62をベースプレート23の径方向に進退させることで、基板S1、S2を基板支持部20及び吸着部30に対して位置決めする。
【0042】
アライメント機構60の動作は、制御部Cによって制御される。アライメントブロック62が用いられる場合、制御部Cは、例えば、図示しない他のユニットで取得した基板S1、S2の形状を読み込み、基板S1、S2に対してそれぞれのアライメント位置を決めてから、アライメントブロック62を動作させる。なお、アライメント機構60は、所要の機能を果たすことができるのであれば、その具体的な構成を何ら限定するものではなく、適宜他の構成に変更可能である。
【0043】
例えば、図4において、5つ設けられているアライメント機構60のうち、上側2つのアライメント機構60を固定式とし、下側3つのアライメント機構60を進退可能な可動式として構成してもよい。この場合、可動式の3つのアライメント機構60は、アライメント駆動部61を駆動させてアライメントブロック62を進出させ、基板S1、S2の外周縁を、固定式の2つのアライメント機構60の方向に向かって押すことによりアライメントを実行する。なお、アライメント機構60において、複数のアライメントブロック62のうち、可動式とする個数、又は固定式とする個数は適宜設定可能である。
【0044】
図4図5に示すように、基板支持部20は、支持部材80を備えている。支持部材80は、アライメント機構60により基板S1の位置決めを行う際に、基板S1の下面外周部F1を下方から支持する。図5に示すように、リフトピン41から、機能領域Afを下方に向けた基板S1を受け取る場合、複数のピン81は、機能領域Afよりも外側である下面外周部F1に当接して基板S1を支持する。支持部材80は、基板支持部20のベースプレート23に設けられる。
【0045】
支持部材80は、基板S1、S2を支持したリフトピン41が下降した際に、基板S1の下面外周部F1に当接して基板S1を支持する。支持部材80は、基板支持部20の周方向に間隔をあけて3個所以上設けられている。支持部材80は、例えば、基板支持部20の周方向に間隔を開けて、例えば4箇所に設けられている。支持部材80は、例えば、基板支持部20の上面から突出するピン81である。ピン81を、基板S1、S2の下面外周部F1に当接させることで、簡易な構成で基板S1、S2を安定して支持することができる。
【0046】
ピン81の先端は、上方に向かって外径寸法が漸次縮小する半球状である。ピン81の先端が半球状であることで、ピン81の先端と基板S1の下面外周部F1とを点接触により当接させることができる。従って、位置決めのために基板S1を、基板S1の表面に沿った方向に移動させるときに、基板S1とピン81の先端との間に生じる摩擦を小さく抑えることができる。また、ピン81の先端は下面外周部F1と接触しているので、機能領域Afを損傷することがなく、さらにチップ飛びの発生を回避できる。なお、ピン81の先端の形状は、半球状に限らず、適宜他の形状としてもよい。
【0047】
図4に示すように、複数のアライメントブロック62のそれぞれは、複数のピン81に対し、基板支持部20の周方向にずれた状態で配置される。この構成により、アライメント機構60で基板S1、S2の位置決めを行う際に、複数のアライメントブロック62を基板S1、S2の表面に沿った方向に進退して基板S1、S2を挟み込むときに、アライメントブロック62とピン81との干渉が生じるのを抑えることができる。
【0048】
<基板重ね合わせ方法>
次に、本実施形態に係る基板重ね合わせ方法について説明する。図7は、本実施形態に係る基板重ね合わせ方法の一例を示すフローチャートである。図8は、図7に続いて、本実施形態に係る基板重ね合わせ方法の一例を示すフローチャートである。この基板重ね合わせ方法は、例えば、制御部Cからの指示により実行される。図9から図18は、基板重ね合わせ装置100の動作の一例を示す工程図である。なお、これらの工程図では、各部の動きが分かり易くなるように、記載を簡略化している。以下、図7図8のフローチャートに沿って説明する。
【0049】
まず、チャンバ10のゲートバルブ12を開き、基板を搬入する(ステップS01)。図9に示すように、制御部Cは、図示しない駆動部を駆動させてゲートバルブ12を上昇させ、開口部11を開放させる。続いて、基板S1(上側基板)をチャンバ10内に搬入する。このとき、制御部Cは、リフトピン41を基板S1の受け渡し高さまで、上昇させておく。
【0050】
搬送装置90のアーム91は、下面側に基板S1を保持した状態で開口部11からチャンバ10の内部に進入し、基板S1をリフトピン41の上方に配置させる。アーム91は、下面に設けられた図示しない吸着パッド等により基板S1を吸着保持している。その後、制御部Cは、アーム91を下降させて、基板S1をアーム91からリフトピン41に渡す(ステップS02)。リフトピン41は、基板S1の下面内周部F2の中央部に下方から突き当たる。その後、アーム91は、チャンバ10から退出する。なお、基板S1が接着層Fを備えている場合、基板S1は、チャンバ10内への搬入時に、接着層Fが下側になっている。
【0051】
続いて、制御部Cは、図10に示すように、基板S1を支持しているリフトピン41を下降させ、基板S1を基板支持部20の複数の支持部材80(ピン81)上に載置する(ステップS03)。このとき、リフトピン41は、複数の支持部材80(すなわち基板S1の下面)よりも下方位置まで下降させ、基板S1を複数の支持部材80で支持させる。この構成により、基板S1は、下面外周部F1に下方から接する複数の支持部材80のみによって支持された状態となる。また、ヒータ22により基板S1を加熱してもよい。
【0052】
続いて、基板S1に対してアライメント動作を行う(ステップS04)。図11に示すように、制御部Cは、アライメント駆動部61を駆動して各アライメントブロック62を径方向内側に向かって進出させ、複数のアライメントブロック62で基板を挟むことにより基板S1を位置決めする。このとき、基板S1は、複数の支持部材80によって下面外周部F1で支持されている。このため、複数のアライメントブロック62で基板S1を位置決めするため、基板S1を基板S1の下面に沿った面内で移動させると、複数の支持部材80と基板S1の下面外周部F1との間で擦れが生じる。アライメント動作の後、制御部Cは、各アライメントブロック62を径方向外側に退避させる。
【0053】
続いて、基板S1を吸着パッド32で保持させる(ステップS05)。図12に示すように、制御部Cは、リフトピン41を上昇させ、支持部材80から基板S1を受けとる。制御部Cは、リフトピン41をさらに上昇させて基板S1を上昇させ、吸着部30の吸着パッド32の吸着面32aに基板S1を当接させる。制御部Cは、基板S1の当接に際して、吸着パッド32を予め吸着可能な状態に駆動させている。その結果、基板S1は、吸着パッド32に保持された状態となる。その後、リフトピン41を下降させることにより、リフトピン41は、基板S1から離れた状態となる。
【0054】
続いて、基板S2(下側基板)を、チャンバ10内に搬入する(ステップS06)。図13に示すように、制御部Cは、リフトピン41を基板S2の受け渡し高さまで下降させる。その後、アーム91によって基板S2をチャンバ10内に搬入してリフトピン41の上方に配置させる。アーム91は、下面側に基板S2を吸着して保持している。その後、制御部Cは、リフトピン41を上昇させて、基板S2をアーム91からリフトピン41に渡す。その後、アーム91は、チャンバ10から退出する。なお、基板S2は、チャンバ10内への搬入時に、接着層Fが上側になっている。
【0055】
続いて、ゲートバルブ12を閉じて、基板S2にベーク処理を行う(ステップS07)。図14に示すように、ゲートバルブ12を閉じた後、例えば、ヒータ22により基板S2を加熱してベーク処理を行う。基板S2をベーク処理することにより、基板S2が加熱され、接着層Fが軟化するため、基板S1と基板S2とを安定して重ね合わせることができる。このベーク処理は、チャンバ10内の温度を例えば150℃から250℃に保持して行う。なお、上記したステップS02からステップS07までは、ゲートバルブ12を閉じたとしても、チャンバ10内が大気開放された状態で行っている。ただし、例えば、ステップS03、S04、S07などにおいては、チャンバ10内を真空雰囲気として行われてもよい。
【0056】
続いて、図15に示すように、リフトピン41を下降させて基板S2を基板支持部20に載置させる。リフトピン41は、複数の支持部材80よりも下方位置まで下降させ、基板S2を複数の支持部材80のみで支持させる。この構成により、基板S2は、リフトピン41と非接触となり、下面外周部F1に下方から接する複数の支持部材80によって支持された状態となる。その後、ヒータ22により基板S2を加熱して、大気開放された状態でベーク処理を行ってもよいし、チャンバ10内を真空雰囲気下とした状態でベーク処理を行ってもよい。このベーク処理は、ヒータ22の温度を例えば150℃から250℃にして行う。
【0057】
続いて、基板S2に対してアライメント動作を行う(ステップS08)。図16に示すように、制御部Cは、アライメント駆動部61を駆動して各アライメントブロック62を径方向内側に向かって進出させ、複数のアライメントブロック62で基板S2を挟むことにより基板S2を位置決めする。このとき、基板S2は、複数の支持部材80によって下面外周部F1で支持されている。このため、複数のアライメントブロック62で基板S2を位置決めするため、基板S2を基板S2の下面に沿った面内で移動させると、複数の支持部材80と基板S1の下面外周部F1との間でのみ、擦れが生じる。
【0058】
ステップS08のアライメント動作は、ステップS04のアライメント動作と同様である。従って、基板S1と基板S2とは、平面視でほぼ同じ位置に位置決めされる。ここで、ステップS04、S08では、支持部材80が、基板S1、S2の下面外周部F1に当接して基板S1を支持するので、基板S1を位置決めする際に、基板S1の下面内周部F2に支持部材80が擦れることを抑えることができる。従って、アライメントを行う際に基板S1の機能面の損傷、異物の発生、チップ飛び等を抑え、基板S1,S2同士を良好な品質で貼り合わせることが可能となる。
【0059】
続いて、制御部Cは、図17に示すように、リフトピン41を上昇させることで基板S2を上昇させ、基板S1と基板S2とを重ね合わせる(ステップS09)。このとき、吸着部30の吸着パッド32が基板S1の上面側を押さえており、リフトピン41により基板S2が上昇して基板S1に重ね合わされることで基板S1と基板S2とが貼り合わされる。つまり、吸着パッド32は、基板S1を保持する保持部として機能するとともに、基板S1の上面に当接して基板S1の上面を押さえる機能の双方を有する。ステップS09では、基板S1の接着層Fと基板S2の接着層Fとが当接することで、基板S1と基板S2とが貼り合わされる。なお、基板S1と基板S2とが貼り合わされる力は、リフトピン41が上昇する力によって制御される。なお、リフトピン41の上昇に代えて、基板S1を保持する吸着部30を下降させてもよいし、リフトピン41を上昇させかつ吸着部30を下降させてもよい。
【0060】
続いて、基板S1に対する吸着パッド32の吸着を解除する(ステップS10)。制御部Cは、基板S1と基板S2とを貼り合わせた後、吸着パッド32による基板S1への吸着を解除させる。続いて、図18に示すように、リフトピン41を下降させて、貼り付けが終了した基板Sを搬出用の高さに配置させる。この工程により、基板Sは、基板支持部20及び吸着部30の双方から離れる。
【0061】
続いて、ゲートバルブ12を開いて基板Sをチャンバ10から搬出する(ステップS11)。図19に示すように、ゲートバルブ12を上昇させて開口部11を開放した後、搬送装置90のアーム91を開口部11からチャンバ10の内部に進入させ、リフトピン41で支持する基板Sの下方にアーム91を配置させる。その後、制御部Cは、アーム91を上昇させて、アーム91の上面に基板Sを吸着保持させることにより、基板Sをリフトピン41からアーム91に渡す。なお、アーム91は、基板Sを吸着保持せず、アーム91の上面に基板Sを載置させて保持する形態であってもよい。その後、アーム91がチャンバ10から退出することで、基板Sがチャンバ10の外部に搬出される。その後、制御部Cは、ゲートバルブ12を閉じて、一連の処理を終了させる。
【0062】
以上のように、本実施形態に係る基板重ね合わせ装置100は、大気圧雰囲気下で2枚の基板S1、S2を重ね合わせるに際し、基板S1の上面を吸着部30で吸着し、基板S1をリフトピン41から受け取る。このように、基板S1の上面を吸着部30で吸着することによって、基板S1が撓むのを抑えることができる。したがって、2枚の基板S1、S2を重ね合わせるに際し、基板S1、S2が撓むのを抑え、2枚の基板S1、S2の重ね合わせを円滑に行うことが可能となる。
【0063】
以上、実施形態について説明したが、本発明は、上記した説明に限定されず、本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々の変更が可能である。上記した実施形態では、2枚の基板S1と基板S2とを貼り付ける形態を例に挙げて説明しているがこの形態に限定されない。例えば、基板S1と基板S2とを貼り付けた基板Sに、さらに他の基板を貼り付ける形態であってもよい。
【0064】
上記した実施形態では、基板S2をアライメントブロック62で位置決めする際、基板S2を複数の支持部材80で支持するようにしたが、基板S2の場合、基板S2は、リフトピン41に支持された状態のまま、アライメントブロック62で挟んで位置決めしてもよい。
【0065】
また、上記実施形態では、基板S1、S2の重ね合わせの際に、リフトピン41を上昇させることで、基板S1、S2を吸着部30に押し付けてもよいし、リフトピン41の上昇位置を保持したまま、吸着部30を下降させて、基板S1、S2を貼り合わせしてもよい。
【符号の説明】
【0066】
10・・・チャンバ
20・・・基板支持部
30・・・吸着部
32a・・・吸着面
33・・・吸着溝
41・・・リフトピン
51・・・軸部(支持部)
60・・・アライメント機構
80・・・支持部材
100・・・基板重ね合わせ装置
F1・・・下面外周部
S、S1、S2・・・基板
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19