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特許7580228ティーチング装置、基板搬送装置、基板処理装置、ティーチング方法、及び電子デバイスの製造方法
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  • 特許-ティーチング装置、基板搬送装置、基板処理装置、ティーチング方法、及び電子デバイスの製造方法 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-31
(45)【発行日】2024-11-11
(54)【発明の名称】ティーチング装置、基板搬送装置、基板処理装置、ティーチング方法、及び電子デバイスの製造方法
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/677 20060101AFI20241101BHJP
   B25J 9/22 20060101ALI20241101BHJP
【FI】
H01L21/68 A
B25J9/22 A
【請求項の数】 23
(21)【出願番号】P 2020151154
(22)【出願日】2020-09-09
(65)【公開番号】P2022045522
(43)【公開日】2022-03-22
【審査請求日】2023-08-30
(73)【特許権者】
【識別番号】591065413
【氏名又は名称】キヤノントッキ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002860
【氏名又は名称】弁理士法人秀和特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】林 昭宏
【審査官】渡井 高広
(56)【参考文献】
【文献】特開2006-332543(JP,A)
【文献】特開2009-253291(JP,A)
【文献】特開2013-239342(JP,A)
【文献】特開2020-141121(JP,A)
【文献】特開2001-210692(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/677
B25J 9/22
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板を支持して搬送するロボットによる、載置室に設けられた基板載置部に対する基板の搬送動作において、前記ロボットの前記基板を支持する支持部の辿るべき経路を、前記ロボットを制御する制御部にティーチングするティーチング装置であって、
前記支持部に支持させるティーチング用治具と、
前記ティーチング用治具を前記支持部に対して位置決めする第1の位置決め手段と、
前記ティーチング用治具の位置を示すための特徴部と、
前記基板載置部に対する前記特徴部の位置を検出する位置検出手段を有し、前記基板載置部に設けられた検出治具と、
前記検出治具を前記基板載置部に対して位置決めする第2の位置決め手段と、
前記位置検出手段から取得される前記特徴部の位置に基づいて、前記制御部に記憶させるべき前記経路を取得する取得部と、
を備え
前記第2の位置決め手段は、前記基板載置部に設けられた被突き当て部と、前記検出治具に設けられ、前記被突き当て部に突き当たる突き当て部と、を有することを特徴とするティーチング装置。
【請求項2】
前記位置検出手段は、前記特徴部の位置を非接触で検出する変位センサであることを特徴とする請求項1に記載のティーチング装置。
【請求項3】
前記検出治具は、大気圧環境が維持された密閉空間内に配置されていることを特徴とする請求項1または2に記載のティーチング装置。
【請求項4】
前記特徴部は、前記ティーチング用治具に設けられていることを特徴する請求項1~のいずれか1項に記載のティーチング装置。
【請求項5】
前記第1の位置決め手段は、前記ティーチング用治具と前記支持部のいずれか一方に設けられた凸部と、他方に設けられ前記凸部が嵌合する凹部と、を有することを特徴とする請求項1~のいずれか1項に記載のティーチング装置。
【請求項6】
前記ティーチング用治具は、前記基板と略同じ重量及び重心位置を有することを特徴とする請求項1~のいずれか1項に記載のティーチング装置。
【請求項7】
前記制御部が、前記第1の位置決め手段により前記ティーチング用治具が前記支持部に位置決め支持された状態で、前記支持部が仮の経路を辿って移動するように、前記ロボットを制御したときに、
前記位置検出手段は、前記支持部が前記仮の経路上の所定の位置にあるときの前記特徴部の位置を検出し、
前記取得部は、前記位置検出手段から取得される前記特徴部の位置と前記所定の位置における基準位置とのずれに基づいて、前記制御部に記憶させるべき前記経路を取得することを特徴とする請求項1~のいずれか1項に記載のティーチング装置。
【請求項8】
前記所定の位置は、前記基板載置部との間で基板の受け渡しを行う受け渡し位置であることを特徴とする請求項に記載のティーチング装置。
【請求項9】
基板を支持して搬送するロボットと、
前記ロボットを制御する制御部と、
を備え、
前記制御部は、請求項1~のいずれか1項に記載のティーチング装置により記憶した前記経路に基づいて前記ロボットを制御することを特徴とする基板搬送装置。
【請求項10】
基板載置部を有する基板処理室と、
請求項に記載の基板搬送装置と、
を備え、
前記基板搬送装置により搬送されて前記基板載置部に載置された基板に対して処理を行うことを特徴とする基板処理装置。
【請求項11】
前記処理は、蒸着又はスパッタリングによる成膜処理であることを特徴とする請求項10に記載の基板処理装置。
【請求項12】
基板を支持して搬送するロボットによる、基板載置室に設けられた基板載置部に対する基板の搬送動作において、前記ロボットの前記基板を支持する支持部の辿るべき経路を、前記ロボットを制御する制御部にティーチングするティーチング方法であって、
ティーチング用治具を前記支持部に支持させ、かつ前記ティーチング用治具を前記支持部に対して位置決めした状態で、前記支持部が仮の経路を辿って移動するように前記制御部が前記ロボットを制御する治具搬送工程と、
検出治具を前記基板載置部に支持させ、かつ前記検出治具を前記基板載置部に対して位置決めした状態で、前記検出治具に備えられた位置検出手段を用いて、前記基板載置部に対する前記ティーチング用治具の位置を示す特徴部の位置を検出する検出工程と、
前記位置検出手段から取得される前記特徴部の位置に基づいて、前記制御部に記憶させるべき前記経路を取得する取得工程と、
前記制御部に、前記取得工程によって取得した前記経路を記憶させるティーチング工程と、
を含み、
前記基板載置部に設けられた被突き当て部と、前記検出治具に設けられ、前記被突き当て部に突き当たる突き当て部と、を有する位置決め手段により前記検出治具を前記基板載置部に対して位置決めすることを特徴とするティーチング方法。
【請求項13】
前記位置検出手段は、前記特徴部の位置を非接触で検出する変位センサであることを特
徴とする請求項12に記載のティーチング方法。
【請求項14】
前記特徴部は、前記ティーチング用治具に設けられていることを特徴する請求項12または13に記載のティーチング方法。
【請求項15】
前記ティーチング用治具と前記支持部のいずれか一方に設けられた凸部と、他方に設けられ前記凸部が嵌合する凹部と、を有する位置決め手段により前記ティーチング用治具を前記支持部に対して位置決めすることを特徴とする請求項1214のいずれか1項に記載のティーチング方法。
【請求項16】
前記ティーチング用治具は、前記基板と略同じ重量及び重心位置を有することを特徴とする請求項1215のいずれか1項に記載のティーチング方法。
【請求項17】
前記検出治具は、大気圧環境が維持された密閉空間内に配置されていることを特徴とする請求項1216のいずれか1項に記載のティーチング方法。
【請求項18】
前記取得工程において、前記支持部が前記仮の経路上の所定の位置にあるときに、前記位置検出手段から取得される前記特徴部の位置と前記所定の位置における基準位置とのずれに基づいて、前記制御部に記憶させるべき前記経路を取得することを特徴とする請求項1217のいずれか1項に記載のティーチング方法。
【請求項19】
前記所定の位置は、前記基板載置部との間で基板の受け渡しを行う受け渡し位置であることを特徴とする請求項18に記載のティーチング方法。
【請求項20】
基板処理室の基板載置部に載置された基板に対して成膜処理を施す成膜方法であって、
請求項1219のいずれか1項に記載のティーチング方法により、前記制御部に前記経路を記憶させるティーチング工程と、
前記経路に基づいて前記制御部が前記ロボットを制御して、前記基板を前記基板載置部に搬送、載置する搬送工程と、
前記基板載置部に載置された前記基板に対して蒸着又はスパッタリングにより成膜処理を施す成膜工程と、
を含むことを特徴とする成膜方法。
【請求項21】
基板上に形成された有機膜を有する電子デバイスの製造方法であって、
請求項20に記載の成膜方法により前記有機膜が形成されることを特徴とする電子デバイスの製造方法。
【請求項22】
基板上に形成された金属膜を有する電子デバイスの製造方法であって、
請求項20に記載の成膜方法により前記金属膜が形成されることを特徴とする電子デバイスの製造方法。
【請求項23】
前記電子デバイスが、有機EL表示装置の表示パネルであることを特徴とする請求項21または22に記載の電子デバイスの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、基板処理装置及び同装置に基板を搬入出する搬送用ロボットに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1では、搬送用ロボットに位置検出手段を有するティーチング用治具を載置し、装置内の載置部に予め設けられた位置決めマークを検出することでティーチングしている。位置検出手段は、一般的には距離センサといった入力・出力ケーブルを有するものが用いられる。このような距離センサを有する治具をロボットに載置する場合、センサケーブルはロボットの動作に支障がないようにロボットの外部に引き回し・固定される。ケーブルはティーチング時のロボット動作に伴って捻回・摺動されるが、これはコンタミの原因となる。高クリーン環境が求められる基板処理装置においてはこのようなコンタミ影響は好ましくない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2004-50306号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の方法では、搬送用ロボットに位置検出手段を設けることはティーチング時のロボット動作に伴う距離センサケーブルの捻回・摺動によるコンタミ等の影響が懸念される。
【0005】
本発明は、上述の問題点を解決したもので、載置位置に撮像手段がなくても実際の被処理物である基板を用いることなく精度良く、早期にティーチング作業を完了することが可能で、簡易で、装置内のクリーン度を担保できるティーチング方法を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため、本発明のティーチング装置は、
基板を支持して搬送するロボットによる、載置室に設けられた基板載置部に対する基板の搬送動作において、前記ロボットの前記基板を支持する支持部の辿るべき経路を、前記ロボットを制御する制御部にティーチングするティーチング装置であって、
前記支持部に支持させるティーチング用治具と、
前記ティーチング用治具を前記支持部に対して位置決めする第1の位置決め手段と、
前記ティーチング用治具の位置を示すための特徴部と、
前記基板載置部に対する前記特徴部の位置を検出する位置検出手段を有し、前記基板載置部に設けられた検出治具と、
前記検出治具を前記基板載置部に対して位置決めする第2の位置決め手段と、
前記位置検出手段から取得される前記特徴部の位置に基づいて、前記制御部に記憶させるべき前記経路を取得する取得部と、
を備え
前記第2の位置決め手段は、前記基板載置部に設けられた被突き当て部と、前記検出治具に設けられ、前記被突き当て部に突き当たる突き当て部と、を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
載置位置に撮像手段がなくても実際の被処理物である基板を用いることなく精度良く、早期にティーチング作業を完了することが可能で、簡易で、装置内のクリーン度を担保で
きるティーチング方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本発明の実施例に係る成膜装置の全体構成を示す概略図
図2】本発明の実施例による処理室の構成を示す概略上面図
図3】本発明の実施例による処理室の構成を示す概略側面図
図4】本発明の実施例による搬送用ロボットの構成を示す概略図
図5】本発明の実施例による載置室の構成を示す概略上面図
図6】本発明の実施例による載置室の構成を示す概略側面図
図7】本発明の実施例による撮像手段を用いたティーチング時の構成を示す概略図
図8】本発明の実施例によるティーチング時の撮像手段の映像を示す概略図
図9A】本発明の実施例による検出治具を用いたティーチング時の構成を示す概略図
図9B】本発明の実施例による検出治具を載置した基板載置部の構成を示す概略図
図10】本発明の実施例に係る成膜装置の制御構成を示すブロック図
図11】本発明の実施例によるティーチングプロセスのフローチャート
図12】本発明の実施例による成膜プロセスのフローチャート
図13】有機EL表示装置の説明図
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面を参照しつつ本発明の好適な実施形態及び実施例を説明する。ただし、以下で説明する実施形態及び実施例は本発明の好ましい構成を例示的に示すものにすぎず、本発明の範囲をそれらの構成に限定するものではない。また、以下の説明における、装置のハードウェア構成及びソフトウェア構成、製造条件、寸法、材質、形状などは、特定的な記載がない限りは、本発明の範囲をそれらのみに限定する趣旨のものではない。なお、同一の構成要素には原則として同一の参照番号を付して、繰り返しの説明を省略する。
【0010】
本発明は、基板上に薄膜を形成する成膜装置及びその制御方法に関し、特に、基板の高精度な搬送及び位置調整のための技術に関する。本発明は、平行平板の基板の表面に真空蒸着により所望のパターンの薄膜(材料層)を形成する装置に好ましく適用できる。基板の材料としては、ガラス、樹脂、金属などの任意の材料を選択でき、また、蒸着材料としても、有機材料、無機材料(金属、金属酸化物など)などの任意の材料を選択できる。本発明の技術は、具体的には、有機電子デバイス(例えば、有機EL表示装置、薄膜太陽電池)、光学部材などの製造装置に適用可能である。なかでも、有機EL表示装置の製造装置は、基板の大型化あるいは表示パネルの高精細化により基板の搬送精度及び基板とマスクのアライメント精度のさらなる向上が要求されているため、本発明の好ましい適用例の一つである。
【0011】
[実施例1]
<製造装置及び製造プロセス>
図1は、電子デバイスの製造装置の全体構成を模式的に示す上視概略図である。図1の製造装置(基板処理装置)100は、例えば、スマートフォン用の有機EL表示装置の表示パネルの製造に用いられる。スマートフォン用の表示パネルの場合、例えば約1800mm×約1500mm、厚み約0.5mmのサイズの基板に有機ELの成膜を行った後、該基板をダイシングして複数の小サイズのパネルが作製される。
【0012】
図1に示すように、本実施例に係る基板処理装置(基板搬送装置)100は、処理室(成膜室)1と、搬送室2と、載置室(搬入室)3と、載置室(排出室)4と、搬送用ロボット5と、を有する。基板処理室としての処理室1には、処理すべき対象である基板Wを載置する基板載置部11が設けられている。搬送室2には、基板Wを保持し搬送する搬送
用ロボット5が設けられている。搬送用ロボット5は、例えば、多関節アームに、基板Wを支持する手段としてのロボットハンド6が取り付けられた構造をもつロボットであり(詳細は後述する。)、各室への基板Wの搬入/搬出を行う。例えば、基板載置室としての載置室3に載置された基板Wは、搬送用ロボット5のロボットハンド6により、処理室1、基板載置室としての載置室4へと搬送される。なお、装置内における基板Wの各室間の移動は、搬送用ロボット5を介して自由に行うことができる。
【0013】
処理室1には成膜装置(蒸着装置とも呼ぶ)が設けられている。図12に示すような、搬送用ロボット5と基板載置部11との間の基板Wの受け渡し(S402)、基板Wとマスク(不図示)の相対位置の調整(アライメント)(S403)、マスク上への基板Wの固定、成膜(蒸着)など(S404)の一連の成膜プロセスは、成膜装置によって自動で行われる。なお、図12の成膜プロセスにおける基板Wの処理室1内への搬入(基板受け渡し位置までの移動)(S401)は、後述する、本実施例のティーチングプロセスにより取得されたティーチング経路に基づいて制御される(詳細は後述する)。
【0014】
図1に示した基板処理装置100の構成は、あくまで一例であり、かかる構成に限定されるものではない。例えば、1つの基板処理装置100内に2つ以上の処理室1を設けてもよい。また、基板処理装置100内に成膜装置としてのスパッタリング装置を備える別の処理室を設けてもよい。また、1つの処理室内に2つ以上の基板載置部11を設けてもよい。また、搬入室、排出室はどちらか一方のみでもよく、また搬入室、排出室以外にも載置室を設けてもよい。また、本実施例では、搬送用ロボット5は2つのロボットハンド6を有しているが、搬送用ロボット5の数は1つであってもよいし、3つ以上であってもよい。また、基板支持部としてのロボットハンド6は、搬送用ロボット5の動作領域を最大限活用するため、搬送用ロボット5のアーム先端付近に設置されることが好ましい。さらには、自重による先端部の撓みを最小化するため、CFRPといった軽量な部材で構成されることが好ましい。
【0015】
図2図3を用いて、本実施例による処理室1の構成について説明する。図2は、本実施例による処理室1の構成を上方から見たときの様子を概略的に示したものである。図3は、本実施例による処理室の構成を側方から見たときの様子を概略的に示したものである。
【0016】
図2図3に示すように、処理室1には、基板載置部11と、蒸着装置8と、が設けられている。処理室1は、成膜装置(蒸着装置)の一部として、基板Wに対する成膜処理が行われる際には、真空チャンバとして、その室内が、真空雰囲気か、窒素ガスなどの不活性ガス雰囲気に維持される。処理室1内には、基板保持ユニット、マスク、マスク載置部、冷却板(いずれも不図示)や、蒸着装置8などが設けられる。基板保持ユニットは、搬送用ロボット5から受け取った基板Wを保持・搬送する手段であり、基板ホルダとも呼ばれる。基板載置部11は、基板保持ユニットの一部をなしている。マスクは、基板Wに形成する薄膜パターンに対応する開口パターンをもつメタルマスクであり、枠状のマスク台の上に固定されている。成膜時にはマスクの上に基板Wが載置される。冷却板は、成膜時に基板W(のマスクに対向する面とは反対側の面)に密着し、基板Wの温度上昇を抑えることで有機材料の変質や劣化を抑制する部材である。冷却板がマグネット板を兼ねていてもよい。マグネット板とは、磁力によってマスクを引き付けることで、成膜時の基板Wとマスクの密着性を高める部材である。蒸着装置8は、蒸着材料、蒸着材料を収容する容器(坩堝)、ヒータ、シャッタ、蒸発装置の駆動機構、蒸発レートモニタなどから構成される(いずれも不図示)。
【0017】
処理室1には、さらに、処理室1内に進入したロボットハンド6上に載置された基板Wの、もしくは基板載置部11に載置された基板WのアライメントマークW1を撮像する撮
像手段(カメラ)12と、基板載置部11に載置された基板Wの位置補正を行うための位置補正手段13と、が設けられている。
【0018】
位置補正手段13は、基板Wのマスクに対するアライメントにおいて両者の位置調整を行う手段として、例えば、モータとボールねじ、モータとリニアガイドなどで構成されるアクチュエータを複数備えている。位置補正手段13は、例えば、基板載置部11を含む基板保持ユニットの全体を昇降(Z方向移動)させるためのアクチュエータや、基板保持ユニットの基板挟持機構を開閉させるためのアクチュエータ、冷却板を昇降させるためのアクチュエータ、基板保持ユニット及び冷却板の全体を、X方向移動、Y方向移動、θ回転させるアクチュエータなどを備える。また、位置補正手段13は、マスクの位置を調整し、又は、基板Wとマスクの両者の位置を調整することで、基板Wとマスクのアライメントを行うアクチュエータを備えていてもよい。
【0019】
処理室1の上方(外側)には、基板W及びマスクのアライメントのために、基板W及びマスクそれぞれの位置を測定する撮像手段(カメラ)12が設けられている。撮像手段12は、処理室1の壁(天井)に設けられた窓を通して、基板Wとマスクを撮影する。撮像手段12によって撮影された画像から基板W上のアライメントマークW1及びマスク上のアライメントマークを認識することで、各々のXY位置やXY面内での相対ズレを計測することができる。
【0020】
基板Wを水平及び回転方向に位置補正するには、少なくとも2つの撮像手段12を設けるが、撮像手段12の数は1つであってもよいし、3つ以上であってもよい。撮像手段12は、基板Wが理想位置に載置された際のアライメントマークW1と、マスクのアライメントマーク(不図示)がその画角内かつ被写界深度内に入るように設置、調整されている。
【0021】
短時間で高精度なアライメントを実現するために、大まかに位置合わせを行う第1アライメント(「ラフアライメント」とも称す)と、高精度に位置合わせを行う第2アライメント(「ファインアライメント」とも称す)の2段階のアライメントを実施することが好ましい。その場合、低解像だが広視野の第1アライメント用のカメラと狭視野だが高解像の第2アライメント用のカメラの2種類のカメラを撮像手段12として用いてもよい。
【0022】
図4を用いて、搬送用ロボット5の構成について説明する。図4(a)は、搬送用ロボット5の模式的平面図である。図4(b)は、搬送用ロボット5の模式的側面図である。なお、ここで説明する搬送用ロボットの構成(ロボットアーム、ロボットハンドの構成)はあくまで一例であり、かかる構成に限定されるものではない。
搬送用ロボット5は、概略、基板Wを担持するためのロボットハンド6と、ロボットハンド6をXYZ直交座標の任意の位置へ自在に移動させるためのロボットアーム51と、からなる。
【0023】
ロボットアーム51は、搬送室2の設置面に固定設置されるベース510と、ベース510に対してジョイント520、521、522を介して順次連結されたアーム511、512、513と、とを有する。第1アーム511は、ベース510に対し、第1ジョイント520を介して、設置面に垂直な方向(Z方向)に延びる回転軸を中心に回転可能に連結されている。第2アーム512は、第1アーム511に対して第2ジョイント521を介して、第3アーム513に対して第3ジョイント522を介して、それぞれ、設置面に垂直な方向(Z方向)に延びる回転軸を中心に回転可能に連結されている。第3アーム513の先端(両端)には、ロボットハンド6が対になって連結されている。各アーム511~513の回転の組み合わせにより、ロボットハンド6の水平位置(XY座標)を任意に変位させることができる。
また、第1アーム511は、ベース510に対して、ジョイント520に沿った方向に昇降移動可能に構成されている(図中矢印Z方向)。第1アーム511の昇降によって第2アーム512及び第3アーム513も昇降することで、ロボットハンド6の高さを変化させ、基板Wの高さを変化させることができる(図中矢印Z方向)。
【0024】
ロボットアーム51の各ジョイントには、モータとエンコーダがそれぞれ設けられている。後述するティーチングデータ取得部は、各アームの回転量及び昇降高さ、もしくは、それらの情報を換算して取得される3次元座標から、必要となるロボットハンド6の移動量(各アームの動作量)を取得することができる。
【0025】
ロボットハンド6は、第3アーム513の先端から延びる一対のスパインロッド16と、スパインロッド16の側面からそれぞれスパインロッド16に対して直交する方向に延びる複数のリブロッド26と、を有している。リブロッド26の先端上面には、基板Wの下面を支持するためのパッド36が設けられている。パッド36は、基板Wの表面を傷つけずに支持できるようにシリコーンゴム等の弾性部材で構成され、基板Wのたわみを考慮した配置(基板Wの外周縁の沿って)で複数設けられている。なお、スパインロッド16の延びる方向における両端に配置されたリブロッド26には、それぞれスパインロッド16の延びる方向に延在する第2のリブロッド46が複数設けられており、それらの先端上面にもパッド36が設けられている。
【0026】
搬送用ロボット5は、ロボットハンド6に載置された基板Wを処理室1内の基板載置部11に載置する際、基板WのアライメントマークW1が水平方向において撮像手段12の画角内に入る所定の載置位置までロボットハンド6を移動する。次いで、ロボットハンド6が高さ方向に移動して基板載置部11に基板Wを載置した後、載置された基板WのアライメントマークW1とマスクのアライメントマークを撮像手段12にて撮像し、基板Wとマスクの相対位置を計測する。計測された数値に基づいて基板Wの位置補正量を算出し、位置補正手段13にて基板Wを移動させる。その後、撮像手段12にて再度撮像し、基板Wとマスクの相対位置を測定する。一定の公差範囲内に入るまで所定回数繰り返し実施する。なお、ロボットハンド6に基板Wが載置された状態、つまり基板載置部11に基板Wが載置される前の状態で、基板WのアライメントマークW1とマスクのアライメントマークを撮像手段12にて撮像してもよい。
【0027】
図5、6を用いて、載置室の構成を説明する。図5は、本実施例による載置室の構成を上方から見たときの様子を概略的に示したものである。図6は、本実施例による載置室の構成を側方から見たときの様子を概略的に示したものである。
【0028】
図5図6に示すように、載置室3及び4の少なくとも一方には、基板載置部11bが設けられている。載置室3及び4の少なくとも一方は、成膜装置(蒸着装置)の一部として、真空チャンバとして、その室内が、真空雰囲気か、窒素ガスなどの不活性ガス雰囲気に維持される。載置室3及び4の少なくとも一方には、基板保持ユニット(不図示)が設けられている。基板保持ユニットは、搬送用ロボット5から受け取った基板Wを保持する手段であり、基板ホルダとも呼ばれる。基板ホルダは必要に応じて基板Wを移動する手段を有している。基板載置部11bは、基板保持ユニットの一部をなしている。
【0029】
図10は、本実施例に係る成膜装置の制御構成の概略を示すブロック図である。制御部200は、各種機能部を備える。
室圧制御部201は、真空計211や真空ポンプ212を備えた処理室1の室圧を制御する。
アクチュエータ制御部202は、位置補正手段13の各種アクチュエータを制御する。
画像処理部204は、撮像手段12の撮影した画像から上述したアライメントマーク間
のずれ量を抽出・取得し、モニタ213に表示させる。
ティーチングデータ取得部203は、後述するティーチングプロセスにおいてティーチングデータを取得する。
記憶部205は、ロボットハンド6の座標情報などを含むティーチングデータやその他の各種情報を記憶する。
ロボット制御部206は、搬送用ロボット5を制御する。
モニタ制御部208は、膜厚モニタ217の動作の制御、成膜レートの測定、取得を行う。
加熱制御部207は、温度センサ214の温度に基づいてヒータ215に供給する電力を制御することで、蒸着装置8において蒸着材料が収容された坩堝216の加熱制御を行う。
【0030】
制御部200は、例えば、プロセッサ、メモリ、ストレージ、I/Oなどを有するコンピュータにより構成可能である。この場合、制御部200の機能は、メモリ又はストレージに記憶されたプログラムをプロセッサが実行することにより実現される。コンピュータとしては、汎用のパーソナルコンピュータを用いてもよいし、組込型のコンピュータ又はPLC(programmable logic controller)を用いてもよい。あるいは、制御部200の機能の一部又は全部をASICやFPGAのような回路で構成してもよい。なお、成膜装置ごとに制御部200が設けられていてもよいし、1つの制御部200が複数の成膜装置を制御してもよい。
【0031】
処理室1の基板載置部11への基板Wの受け渡しを終えると、蒸着装置8を用いて、マスクを介して基板Wに蒸着処理を施す。その後、ロボットハンド6にて処理後の基板Wを処理室1の基板載置部11より受け取り、次工程へと搬送する。
【0032】
上述の一連の動作は全て、真空及びクリーン環境が担保された基板処理装置内にて実施される。また、上述した基板処理装置内の手段は全て、装置内のクリーン環境を担保できる、つまりコンタミ等の影響懸念がないものである。
【0033】
(本実施例の特徴)
図4図7図9Aを用いて、本実施例の特徴である、搬送用ロボット5に基板搬送の経路をティーチングする際の構成(ティーチング装置)について説明する。図7は、本実施例による処理室1における搬送用ロボット5のティーチング時の構成(ティーチング装置)を上面から見た図にて概略的に表したものである。図9Aは、本実施例による載置室3(あるいは4)における搬送用ロボット5のティーチング時の構成(ティーチング装置)を上面から見た図にて概略的に表したものである。
【0034】
図4(a)に示すように、搬送用ロボット5のロボットハンド6には、基準6a及びサブ基準6bが設けられている。基準6a及びサブ基準6bは、後述するティーチング用治具等を位置再現良く載置するための載置用基準である。本実施例では、基準6a及びサブ基準6bは、円筒状の穴であるが、円筒以外の形状や、突起状であってもよい。
一方、図7に示すように、ティーチング用治具Tには、ロボットハンド6の基準6a及びサブ基準6bに対応した位置決め機構Ta及びTbとして、基準6a及びサブ基準6bに嵌合する突起部が設けられている。本実施例では、位置決め機構Taは円筒状の、位置決め機構Tbはダイヤ状の突起であるが、搬送用ロボット、つまりは基準6a及びサブ基準6bに、ティーチング用治具Tを位置再現良く載置できれば前記以外でもよい。なお、位置決め機構Tbは不要であれば設けなくてもよい。
【0035】
ロボットハンド6により支持されるティーチング用治具Tとロボットハンド6との間の位置決め手段(第1の位置決め手段)としては、いずれか一方に設けられた凸部と、これ
が嵌合する他方に設けられた凹部からなる構成が、コスト面や取り回し性において好適であるが、かかる構成に限定されるものではない。例えば、両者にそれぞれ係合する別体の部材を用いて位置決めを行うようにしてもよい。
また、基準6a及びサブ基準6bは、搬送用ロボット5に設けてもよいが、基板Wが載置される近傍に設けることが望ましい。搬送用ロボット5が複数のロボットハンドを有する場合は、各々のロボットハンド6ごとに基準6a及びサブ基準6bを設ける。なお、サブ基準6bは不要であれば設けなくてもよい。
【0036】
図7に示すように、ティーチング用治具Tは、位置決めマークT1を有している。位置決めマークT1は、ティーチング用治具Tが基板載置部11における所定の基板受渡位置に搬送された際に、撮像手段12の画角内及び被写界深度内に入る位置に設けられている。さらには、位置決めマークT1は、基板Wがロボットハンド6の理想位置に載置された際のアライメントマークW1と、水平方向において設計上同一位置に設けられていることが望ましい。すなわち、ティーチング用治具Tが基板載置部11に搬送された際の位置決めマークT1の位置と、基板Wが基板載置部11に搬送された際のアライメントマークW1の位置とが重なることが好ましい。また、位置決めマークT1は、本実施例では円筒状の穴であるが、撮像手段12にて撮像した際に、作業者もしくは画像処理部にて精度良く位置を認識することができる特徴的な形状であれば前記以外でもよい。また、ティーチング用治具Tは、基板Wと略同じ重量、略同じ重心位置であることが望ましい。すなわち、実際の基板Wをロボットハンド6に乗せたときと同様の重量バランスを再現できる用に構成されていればよく、全体形状は特定の形状に限定されるものではない。例えば、単体ではなく複数の部分に分割されたような構成としてもよい。
【0037】
なお、別の手段として、ロボットハンド6や搬送用ロボット5の先端部に位置決めマークT1を直接設けることが考えられる。しかしながら、一般的に、かかる部位は軽量化のためCFRPといった部材で構成されるが、その色は黒色に近く、位置決めマークT1を直接設けても、位置決めマークT1の周辺とのコントラスト差が生じにくく、撮像手段12にて位置を検出することが非常に困難となる場合が多い。また、装置内クリーン度の担保も非常に困難となってしまうことが考えらえる。
【0038】
図9Aに示すように、検出治具Kは、基板載置部11bに載置される。検出治具Kは、基板載置部11bに検出治具Kを位置再現良く載置するための位置決め機構Ka、Kb及びKcが設けられている。図9Aに示す例では、位置決め機構Ka~Kcは共に円筒状であるが、基板載置部11bに、検出治具Kを位置再現良く載置できれば前記以外でもよい。なお、Y方向において基板載置部11bに検出治具Kを位置再現良く載置する必要がない場合には、位置決め機構Kb、Kcは設けなくてもよい。
図9Bは、検出治具Kを載置した基板載置部11bの構成を上方から見たときの様子を概略的に示したものである。基板載置部11bには、検出治具K等を位置再現良く載置するための載置用基準Ra~Rcが設けられている。基板載置部11bの載置用基準Ra~Rcに検出治具Kの位置決め機構Ka~Kcを突き当てて、基板載置部11bに検出治具Kを載置することにより、検出治具Kを位置再現良く載置することができる。検出治具Kの位置決め機構Ka~Kcは、突き当て部の一例である。基板載置部11bの載置用基準Ra~Rcは、被突き当て部の一例である。基板載置部11bの載置用基準Raに検出治具Kの位置決め機構Kaを突き当てることで、X方向において検出治具Kを基板載置部11bに対して位置決めすることができる。基板載置部11bの載置用基準Rb、Rcに検出治具Kの位置決め機構Kb、Kcを突き当てることで、Y方向において検出治具Kを基板載置部11bに対して位置決めすることができる。このように、検出治具Kの位置決め機構Ka~Kcを基板載置部11bの載置用基準Ra~Rcに対して突き当てることで、検出治具Kを基板載置部11bに対して容易に位置決めすることができる。なお、検出治具Kを基板載置部11bに載置することで、Z方向において検出治具Kを基板載置部11
bに対して位置決めすることができる。基板載置部11bに検出治具Kを載置した後、両者にそれぞれ係合する部材を用いて基板載置部11bに対して検出治具Kを固定する。本実施例では、載置用基準Ra~Rcは、基板載置部11bの構造物の外形で形成されているが、外形以外で形成されていてもよく、位置決め機構Ka~Kcに対応した円筒状の穴(凹部)や、突起状(凸部)であってもよい。
【0039】
上記では、基板載置部11bの載置用基準Ra~Rcに対して検出治具Kの位置決め機構Ka~Kcが水平方向(X方向及びY方向)で並ぶ例を示している。この例では、検出治具Kを水平方向において位置再現良く載置することができる。この例に限らず、基板載置部11bの載置用基準に対して検出治具Kの位置決め機構が垂直方向(Z方向)で並ぶようにしてもよい。基板載置部11bの載置用基準に対して検出治具Kの位置決め機構が垂直方向で並んでいる状態で、基板載置部11bの載置用基準に検出治具Kの位置決め機構を突き当てることで、Z方向において検出治具Kを基板載置部11bに対して位置決めすることができる。これにより、検出治具Kを垂直方向において位置再現良く載置することができる。検出治具Kと基板載置部11bとの間の位置決め手段(第2の位置決め手段)としては、いずれか一方に設けられた突起部と、これに対応する他方に設けられた突起部からなる構成が、コスト面や取り回し性において好適であるが、かかる構成に限定されるものではない。例えば、両者にそれぞれ係合する別体の部材を用いて位置決めを行うようにしてもよい。また、検出治具Kと基板載置部11bとの間の位置決め手段は、いずれか一方に設けられた凸部と、これに対応する他方に設けられた凹部からなる構成であってもよい。
【0040】
図9A及び図9Bに示すように、検出治具Kは位置検出手段K1を有している。位置検出手段K1は複数個あり、それぞれが所定の検出範囲を有している。位置検出手段K1は、非接触式の変位センサである。非接触式の変位センサとしては、例えば、光学式変位センサ、超音波式変位センサ、レーザフォーカス式変位センサ、渦電流式変位センサが挙げられる。これにより、ティーチング用治具Tが基板載置部11bにおける所定の基板受渡位置に搬送された際に、ティーチング用治具Tの外形位置を検出することができる。ティーチング用治具Tの角部の周囲に位置検出手段K1を配置してもよい。位置検出手段K1は、ティーチング用治具Tの位置を示すための特徴部の位置を非接触で検出する。位置検出手段K1が、基板載置部11bに対する特徴部の位置を検出することで、ティーチング用治具Tの外形位置を検出する。位置検出手段K1の第1の検出方向(X方向)と、基板載置部11bの載置用基準Raに対する検出治具Kの位置決め機構Kaの突き当て方向(X方向)とが一致する。位置検出手段K1の第2の検出方向(Y方向)と、基板載置部11bの載置用基準Rb、Rcに対する検出治具Kの位置決め機構Kb、Kcの突き当て方向(Y方向)とが一致する。図9A及び図9Bでは、ティーチング用治具Tに対して位置検出手段K1が水平方向で並ぶ例を示している。この例では、位置検出手段K1が、水平方向における特徴部の位置を検出することができる。この例に限らず、ティーチング用治具Tに対して位置検出手段K1が垂直方向で並ぶようにしてもよい。これにより、位置検出手段K1が、垂直方向における特徴部の位置を検出することができる。この場合、位置検出手段K1の第3の検出方向(Z方向)と、基板載置部11bの載置用基準に対する検出治具Kの位置決め機構の突き当て方向(Z方向)とが一致する。図9Bに示すように、特徴部は、ティーチング用治具Tの特徴的な形状であってもよい。また、特徴部は、ティーチング用治具Tに設けられた突起状の凸部や円筒状の穴などの凹部であってもよい。なお、検出治具Kにて検出されるティーチング用治具Tの外形形状は、基板Wがロボットハンド6の理想位置に載置された際の基板Wの外形形状と、水平方向において設計上同一であることが望ましい。また、本実施例では、ティーチング用治具Tの外形位置を検出するが、ティーチング用治具Tの形状は、位置検出手段K1にて精度良く位置を検出することができる特徴的な形状であれば前記以外でもよい。また、検出治具Kは、ロボットハンド6による基板Wの基板載置部11bへの載置動作を阻害しないような形状及び配置となっ
ていることが望ましい。また、検出治具Kは、大気圧環境が維持された密閉空間(大気BOX)K2内に設けてもよい。例えば、密閉ケースで検出治具Kを取り囲むことで大気BOXK2を形成してもよい。検出治具Kが大気BOXK2外とは隔絶されて大気圧環境が維持されるため、真空環境下でも検出治具Kを用いたティーチングが可能となる。
【0041】
なお、別の手段として、載置室3及び4の少なくとも一方に位置検出手段K1を直接設けてもよい。その際、位置検出手段K1は大気圧環境が維持された密閉空間(大気BOX)内等に設けるようにしてもよい。
【0042】
(パターン1)
図7図8図11を用いて、処理室1における搬送用ロボット5のティーチング方法について説明する。図11(a)は、パターン1におけるティーチングプロセスのフローチャートであり、以下では図11(a)の各ステップの説明と併せて、パターン1のティーチング方法について説明する。なお、ロボットハンド6へのティーチング用治具Tの載置は、一連のティーチングプロセスの前に、大気圧環境下にて行うものとする。
【0043】
図7に示すように、処理室1内の撮像手段12の画角内に位置決めマークT1が入る所定の位置、すなわち、基板受け渡し位置に、ロボットハンド6を移動させる(S101)。このときのロボットハンド6の移動経路は、仮の経路であり、実際の成膜処理時に基板Wを搬送する際の移動経路(基板Wが辿るべき経路)とは、必ずしも一致しない。撮像手段12にて位置決めマークT1を撮像する(S102)。画像処理部204は、撮像手段12にて撮像された映像に基づいて、基準位置からの位置決めマークT1のずれ量を取得する(S103)。ロボットハンド6が所定の基板受け渡し位置に移動した際の、撮像手段12にて撮像された映像を図8(a)に概略的に示す。なお、図8(a)にて示す座標系は、図1図5にて示す座標系と一致させたものであり、画像処理部204によりモニタ上に基準位置からのずれ量がわかりやすく表示される。図8(a)には、位置決めマークT1が撮像手段12の画角内における基準Rから一定の公差範囲内12bに収まっていない状態が示されている。画像処理部204は、ずれ量が所定閾値以下であるかを判定する(S104)。そして、撮像画面を基に位置決めマークT1が撮像手段12の画角内における基準位置Rから一定の公差範囲内12bに収まるようにロボットハンド6を水平及び回転方向に移動させる(S104:No、S106)。その際の、撮像手段12にて撮像された映像を図8(b)にて概略的に示す。図8(b)には、位置決めマークT1が撮像手段12の画角内における基準位置Rから一定の公差範囲内12bに収まっている状態が示されている。なお、図8(b)にて示す座標系は、図1図5にて示す座標系と一致させたものである。その後、搬送用ロボット5の動作データ記憶手段に、上記位置のポイントを記録させる(S104:Yes、S105)。すなわち、ティーチングデータ取得部203が、ロボットハンド6が上記位置にあるときの各アームの動作量、昇降量、あるいはそれらから換算して取得されるロボットハンド6の座標などを取得し、記憶部205に記憶する。必要な座標が全て取得されている場合(S107:YES)、画像処理部204は、ロボットハンド6の移動経路(辿るべき経路)を作成する(S108)。一方、必要な座標が不足している場合(S107:NO)、S101の処理に戻る。なお、ティーチング時において、搬送用ロボット5は低速で動作させることが望ましい。また、この一連のティーチングプロセスは、大気圧環境下・真空環境下のどちらで実施してもよい。
【0044】
以上は、基板Wの処理室1への搬入経路のティーチングであるが、搬出経路のティーチングについても同様である。
なお、以上のティーチングは、処理室1以外、例えば図1における載置室3及び4に、基板WのアライメントマークWの位置を検出する撮像手段が備わっていれば、それらの場所でも行うことができる。すなわち、基板Wの移動経路上の各地点において理想的な搬送位置を取得することで、基板処理装置100全体における理想的な基板Wの搬送経路を取
得することができる(S101~S108)。
【0045】
なお、マスクも搬送用ロボット5にて搬送する場合、上記と同様な手段にてマスクの載置位置等のティーチングを実施することが可能である。
【0046】
(パターン2)
図9A図11を用いて、載置室3(あるいは4)における搬送用ロボット5のティーチング方法について説明する。図11(b)は、パターン2におけるティーチングプロセスのフローチャートであり、以下では図11(b)の各ステップの説明と併せて、パターン2のティーチング方法について説明する。なお、一連のティーチングプロセスの前に、大気環境下にてロボットハンド6にティーチング用治具Tを載置し、基板載置部11bに検出治具Kを載置するものとする。
【0047】
図9Aに示すように、位置検出手段K1の測定範囲内にティーチング用治具Tの外形が入る所定の位置、すなわち、基板受け渡し位置に、ロボットハンド6を移動させる(S201)。このときのロボットハンド6の移動経路は、仮の経路であり、実際の成膜処理時に基板Wを搬送する際の移動経路(基板Wが辿るべき経路)とは、必ずしも一致しない。ロボットハンド6が所定の基板受け渡し位置に移動した所で、ティーチング用治具Tの外形位置(特徴部の位置)を位置検出手段K1にて検出する(S202)。位置検出手段K1は複数個あり、それぞれの検出値を用いて位置検出手段K1の検出範囲内における基準位置からのティーチング用治具Tの外形位置(特徴部の位置)のずれ量が算出される(S203)。画像処理部204は、ずれ量が所定閾値以下であるかを判定する(S204)。そして、算出されたずれ量を基にティーチング用治具Tの外形位置(特徴部の位置)が位置検出手段K1の検出範囲内における基準位置から一定の公差範囲内に収まるようにロボットハンド6を水平及び回転方向に移動させる(S204:No、S206)。その後、搬送用ロボット5の動作データ記憶手段に、上記位置のポイント(ロボットハンド6の移動情報)を記録させる(S204:Yes、S205)。すなわち、ティーチングデータ取得部203が、ロボットハンド6が上記位置にあるときの各アームの動作量、昇降量、あるいはそれらから換算して取得されるロボットハンド6の座標などを取得し、記憶部205に記憶する。必要な座標が全て取得されている場合(S207:YES)、画像処理部204は、ロボットハンド6の移動経路(辿るべき経路)を作成する(S208)。一方、必要な座標が不足している場合(S207:NO)、S201の処理に戻る。なお、ティーチング時において、搬送用ロボット5は低速で動作させることが望ましい。
【0048】
なお、この一連のティーチングプロセスは、大気圧環境下・真空環境下のどちらで実施してもよい。また、載置室3及び4内には撮像手段12が設けられていないが、載置室3及び4内に撮像手段12を設けてもよい。また、パターン2のティーチング方法では、位置決めマークT1が設けられていないティーチング用治具Tが用いられている。
【0049】
以上は、基板Wの載置室3(あるいは4)への搬入経路のティーチングであるが、搬出経路のティーチングについても同様である。
【0050】
なお、マスクも搬送用ロボット5にて搬送する場合、上記と同様な手段にてマスクの載置位置等のティーチングを実施することが可能である。
【0051】
(本実施例の優れた点)
本実施例によれば、実際の被処理物(被成膜対象物)である基板を用いることなく、処理室及び載置室内の基板載置部への搬送用ロボットの動作ポイントを精度良くティーチングすることが可能である。また、基板上のアライメントマークの位置を検出する撮像手段が設けられている箇所のティーチングには、その撮像手段を用いるため、ティーチング専
用の位置検出手段は不要である。また、撮像手段が設けられていない箇所のティーチングには、専用の検出治具を、必要に応じて設置することで、簡易かつ比較的安価な手段でティーチング用治具を実現する事が可能となる。また、処理室及び載置室内の載置部もしくは搬送用ロボットに位置決めマークを設けないため、コンタミ等の影響はなく、装置内のクリーン度を担保することが可能である。
また、ティーチング用治具が有する位置決め機構により、搬送手段に治具を位置再現良く載置することができるため、精度良くティーチングすることが可能である。これにより、ティーチング作業の大幅な時間短縮や省力化が可能となる。
また、検出治具が有する位置決め機構により、載置部に治具を位置再現良く載置することができるため、精度良くティーチングすることが可能である。これにより、ティーチング作業の大幅な時間短縮や省力化が可能となる。
また、搬送用ロボットの位置を前記撮像手段にて検出することで、ティーチング時に作業者がティーチング位置に接近することなくティーチングでき、ティーチング作業の大幅な時間短縮や省力化が可能となる。
また、検出手段を事前に設置することで、ティーチング時に作業者がティーチング位置に接近することなくティーチングでき、ティーチング作業の大幅な時間短縮や省力化が可能となる。
また、精度良くティーチングすることが可能となるため、処理室に供給される基板のアライメントマークを、撮像手段の画角内かつ被写界深度内に確実に入れることが可能となる。これにより、アライメントマークが検出されないことによる装置のエラー停止が無くなり、歩留りの向上や人的確認作業の低減が可能となる。
【0052】
<電子デバイスの製造方法の実施例>
次に、本実施例の成膜装置を用いた電子デバイスの製造方法の一例を説明する。以下、電子デバイスの例として有機EL表示装置の構成及び製造方法を例示する。
まず、製造する有機EL表示装置について説明する。図13(a)は有機EL表示装置60の全体図、図13(b)は1画素の断面構造を表している。
【0053】
図13(a)に示すように、有機EL表示装置60の表示領域61には、発光素子を複数備える画素62がマトリクス状に複数配置されている。詳細は後で説明するが、発光素子のそれぞれは、一対の電極に挟まれた有機層を備えた構造を有している。なお、ここでいう画素とは、表示領域61において所望の色の表示を可能とする最小単位を指している。本実施例にかかる有機EL表示装置の場合、互いに異なる発光を示す第1発光素子62R、第2発光素子62G、第3発光素子62Bの組合せにより画素62が構成されている。画素62は、赤色発光素子と緑色発光素子と青色発光素子の組合せで構成されることが多いが、黄色発光素子とシアン発光素子と白色発光素子の組み合わせでもよく、少なくとも1色以上であれば特に制限されるものではない。
【0054】
図13(b)は、図13(a)のA-B線における部分断面模式図である。画素62は、基板63上に、第1電極(陽極)64と、正孔輸送層65と、発光層66R,66G,66Bのいずれかと、電子輸送層67と、第2電極(陰極)68と、を備える有機EL素子を有している。これらのうち、正孔輸送層65、発光層66R,66G,66B、電子輸送層67が有機層(有機膜)に当たる。また、本実施形態では、発光層66Rは赤色を発する有機EL層、発光層66Gは緑色を発する有機EL層、発光層66Bは青色を発する有機EL層である。発光層66R,66G,66Bは、それぞれ赤色、緑色、青色を発する発光素子(有機EL素子と記述する場合もある)に対応するパターンに形成されている。また、第1電極64は、発光素子ごとに分離して形成されている。正孔輸送層65と電子輸送層67と第2電極68は、複数の発光素子62R,66G,66Bと共通で形成されていてもよいし、発光素子毎に形成されていてもよい。なお、第1電極64と第2電極68とが異物によってショートするのを防ぐために、第1電極64間に絶縁層69が設
けられている。さらに、有機EL層は水分や酸素によって劣化するため、水分や酸素から有機EL素子を保護するための保護層70が設けられている。
【0055】
有機EL層を発光素子単位に形成するためには、マスクを介して成膜する方法が用いられる。近年、表示装置の高精細化が進んでおり、有機EL層の形成には開口の幅が数十μmのマスクが用いられる。このようなマスクを用いた成膜の場合、マスクが成膜中に蒸発源から受熱して熱変形するとマスクと基板との位置がずれてしまい、基板上に形成される薄膜のパターンが所望の位置からずれて形成されてしまう。そこで、これら有機EL層の成膜には本発明にかかる成膜装置(真空蒸着装置)が好適に用いられる。
【0056】
次に、有機EL表示装置の製造方法の例について具体的に説明する。
【0057】
まず、有機EL表示装置を駆動するための回路(不図示)及び第1電極64が形成された基板63を準備する。
第1電極64が形成された基板63の上にアクリル樹脂をスピンコートで形成し、アクリル樹脂をリソグラフィ法により、第1電極64が形成された部分に開口が形成されるようにパターニングし絶縁層69を形成する。この開口部が、発光素子が実際に発光する発光領域に相当する。
絶縁層69がパターニングされた基板63を第1の成膜装置に搬入し、基板保持ユニットにて基板を保持し、正孔輸送層65を、表示領域の第1電極64の上に共通する層として成膜する。正孔輸送層65は真空蒸着により成膜される。実際には正孔輸送層65は表示領域61よりも大きなサイズに形成されるため、高精細なマスクは不要である。
【0058】
次に、正孔輸送層65までが形成された基板63を第2の成膜装置に搬入し、基板保持ユニットにて保持する。基板とマスクとのアライメントを行い、基板をマスクの上に載置し、基板63の赤色を発する素子を配置する部分に、赤色を発する発光層66Rを成膜する。本例によれば、マスクと基板とを良好に重ね合わせることができ、高精度な成膜を行うことができる。
発光層66Rの成膜と同様に、第3の成膜装置により緑色を発する発光層66Gを成膜し、さらに第4の成膜装置により青色を発する発光層66Bを成膜する。発光層66R、66G、66Bの成膜が完了した後、第5の成膜装置により表示領域61の全体に電子輸送層67を成膜する。電子輸送層67は、3色の発光層66R、66G、66Bに共通の層として形成される。
電子輸送層67までが形成された基板をスパッタリング装置に移動し、第2電極68を成膜し、その後プラズマCVD装置に移動して保護層70を成膜して、有機EL表示装置60が完成する。
【0059】
絶縁層69がパターニングされた基板63を成膜装置に搬入してから保護層70の成膜が完了するまでは、水分や酸素を含む雰囲気にさらしてしまうと、有機EL材料からなる発光層が水分や酸素によって劣化してしまうおそれがある。従って、本例において、成膜装置間の基板の搬入搬出は、真空雰囲気または不活性ガス雰囲気の下で行われる。
このようにして得られた有機EL表示装置は、発光素子ごとに発光層が精度よく形成される。従って、上記製造方法を用いれば、発光層の位置ずれに起因する有機EL表示装置の不良の発生を抑制することができる。
【符号の説明】
【0060】
100…基板処理装置、1…処理室、2…搬送室、3…載置室(搬入室)、4…載置室(排出室)、5…搬送用ロボット、6…ロボットハンド、6a…ロボットハンド基準、6b…ロボットハンドサブ基準、11,11b…基板載置部、12…撮像手段、13…基板位置補正手段、W…基板、W1…アライメントマーク、T…ティーチング用治具、T1…
位置決めマーク、Ta…治具基準、Tb…治具サブ基準、K…検出治具、K1…位置検出手段、Ka,Kb,Kc…位置決め機構、Ra,Rb,Rc…載置用基準
図1
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