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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-31
(45)【発行日】2024-11-11
(54)【発明の名称】包装体
(51)【国際特許分類】
   B65D 85/07 20170101AFI20241101BHJP
   B65D 75/62 20060101ALI20241101BHJP
   B65D 33/00 20060101ALI20241101BHJP
【FI】
B65D85/07
B65D75/62 B
B65D33/00 C
【請求項の数】 17
(21)【出願番号】P 2020215334
(22)【出願日】2020-12-24
(65)【公開番号】P2022101007
(43)【公開日】2022-07-06
【審査請求日】2023-10-26
(73)【特許権者】
【識別番号】000115108
【氏名又は名称】ユニ・チャーム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100139022
【弁理士】
【氏名又は名称】小野田 浩之
(74)【代理人】
【識別番号】100192463
【弁理士】
【氏名又は名称】奥野 剛規
(74)【代理人】
【識別番号】100169328
【弁理士】
【氏名又は名称】藤本 健治
(74)【代理人】
【識別番号】100148253
【弁理士】
【氏名又は名称】今枝 弘充
(72)【発明者】
【氏名】阿武 美佳
(72)【発明者】
【氏名】川端 訓功
【審査官】宮崎 基樹
(56)【参考文献】
【文献】特開2001-301859(JP,A)
【文献】実開昭56-012072(JP,U)
【文献】国際公開第2013/121622(WO,A1)
【文献】特開2014-198588(JP,A)
【文献】特表2019-532880(JP,A)
【文献】特開2012-224353(JP,A)
【文献】特開2019-112136(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 85/07
B65D 75/62
B65D 33/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の吸収性物品と、
前記複数の吸収性物品を収納し、上下方向を含み、上面部、前面部、後面部、右面部、及び左面部を有する包装袋と、
を備える包装体であって、
前記包装袋は、前記上面部の把持予定領域の外縁と、前記上下方向における前記複数の吸収性物品の上側の端縁との間の開封予定領域に、引裂強度が4N以下の第1弱め線を有し、
長さ25mmの前記第1弱め線の前記上下方向の引っ張り力に対する引張強度A(N/25mm)を、前記包装袋内に収納された前記複数の吸収性物品の総重量B(kg)で除算した値(A/B)が3.5N/25mm/kg以上である、
包装体。
【請求項2】
前記開封予定領域内の前記上下方向に交差する方向の端部領域に、前記第1弱め線を有し、
前記開封予定領域内の前記上下方向に交差する方向の中央領域に、第2弱め線を更に有し、
前記第1弱め線及び前記第2弱め線は、それぞれ、列方向に間隔を開けて形成された複数の切込み穴を含み、
前記第1弱め線と前記第2弱め線とで、前記複数の切込み穴の前記列方向の長さ、及び前記間隔の前記列方向の長さのうち少なくとも一方が異なる、請求項1に記載の包装体。
【請求項3】
前記第1弱め線の前記複数の切込み穴の前記列方向の長さは、前記第1弱め線の前記間隔の前記列方向の長さ以下である、請求項2に記載の包装体。
【請求項4】
前記開封予定領域において、隣り合う前記第1弱め線と前記第2弱め線とは、互いに離間している、請求項2又は3に記載の包装体。
【請求項5】
前記包装袋は、前記開封予定領域内に角部を有し、
前記角部は、前記前面部と前記右面部とが交わる部分、前記前面部と前記左面部とが交わる部分、前記後面部と前記右面部とが交わる部分、及び前記後面部と前記左面部とが交わる部分の各々であり、
前記角部の少なくとも一つの頂部を跨ぐように前記第1弱め線が設けられており、
前記第1弱め線が設けられた前記角部において、前記角部の前記頂部から前記第1弱め線の端部までの距離が前記間隔の前記列方向の長さより短い、
請求項2~4のいずれか1項に記載の包装体。
【請求項6】
前記包装袋は、前記開封予定領域内に角部を有し、
前記角部は、前記前面部と前記右面部とが交わる部分、前記前面部と前記左面部とが交わる部分、前記後面部と前記右面部とが交わる部分、及び前記後面部と前記左面部とが交わる部分の各々であり、
前記角部は、前記右面部及び前記左面部を、それぞれ前記前面部及び前記後面部との間における前記上下方向に交差する方向の前記包装袋の内側へ、谷折りに折り畳まれて形成されており、
前記角部の少なくとも一つの頂部を跨ぐように前記第1弱め線が設けられており、
前記前面部及び前記後面部に前記第2弱め線が設けられており、
前記第1弱め線の切込み穴の前記列方向の長さは、前記第2弱め線の切込み穴の前記列方向の長さより長い、又は、前記第1弱め線の間隔の前記列方向の長さに対する切込み穴の前記列方向の長さの比率は、前記第2弱め線の間隔の前記列方向の長さに対する切込み穴の前記列方向の長さの比率より大きい、請求項2~5のいずれか1項に記載の包装体。
【請求項7】
前記第1弱め線が設けられた前記角部において、前記第1弱め線は、前記頂部を挟んだ両側において、前記上下方向に重なっている、請求項5又は6に記載の包装体。
【請求項8】
前記第1弱め線は、前記開封予定領域内の前記上下方向の中心より下側に形成されている、請求項2~7のいずれか1項に記載の包装体。
【請求項9】
前記第1弱め線は、前記開封予定領域内の前記上下方向の中心より上側に形成されている、請求項2~7のいずれか1項に記載の包装体。
【請求項10】
前記第1弱め線及び前記第2弱め線の前記上下方向の引っ張り力に対する引張強度は、前記包装袋の突き刺し強度より小さい、請求項2~9のいずれか1項に記載の包装体。
【請求項11】
前記包装袋は、厚さ40μm以上80μm以下のフィルムで形成されている、請求項2~10のいずれか1項に記載の包装体。
【請求項12】
前記複数の吸収性物品の総重量が800g以上3500g以下である、請求項2~11のいずれか1項に記載の包装体。
【請求項13】
前記複数の吸収性物品は、二つ折りにされており、折り目が前記上下方向の上側に配置されている、請求項2~12のいずれか1項に記載の包装体。
【請求項14】
前記包装袋は、前記把持予定領域内に取手部を有する、請求項2~13のいずれか1項に記載の包装体。
【請求項15】
前記包装袋は、高剛性部を有し、
前記高剛性部は、エンボス加工によって形成され、前記上下方向の位置が前記取手部と前記第1弱め線との間であって、前記上面部の前記上下方向に交差する方向の全域に延びている、
請求項14に記載の包装体。
【請求項16】
前記包装袋は、前記前面部と前記後面部の上側の端部を結合した結合部を更に有し、
前記結合部に前記取手部が設けられており、
前記取手部は、前記結合部を厚さ方向に切断して形成された開口を有し、
前記開口は湾曲状の手提げ部を有する、
請求項14又は15に記載の包装体。
【請求項17】
前記取手部は、補強フィルムが設けられている、請求項14~16のいずれか1項に記載の包装体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は吸収性物品の包装体に関する。
【背景技術】
【0002】
尿取りパッドのような複数の吸収性物品を包装袋内に収納した包装体が知られている。包装袋は、ミシン目のような弱め線を外面に備えている。使用者は、弱め線を起点として包装袋を引き裂いて、包装袋から内部の吸収性物品を取り出す。
【0003】
例えば、特許文献1に、紙おむつ等を包装袋内に収納した包装体が開示されている。包装袋は、筒状のプラスチックシートの両側をそれぞれ谷折りして折り畳んだ状態でシールしたシールラインを備える。シールラインには、取手部が設けられている。この包装袋には、上開口部のシールラインよりも下方で充填収容される被包装物の上面またはその近傍に至るまでの区間で、包装袋の底面と概ね平行な破断線(弱め線)が付設されている。例えば、包装袋の全周に亘って連続的に破断線が設けられる場合や、包装袋の角部に夫々独立して同一高さに破断線が設けられ、かつ、それら破断線よりも少し低い位置に正面部、両側面部および背面部に夫々破断線が更に設けられる場合がある。以下の説明では、特許文献1の破断線も弱め線という。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2001-301859号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
包装袋は、開封時、弱め線を起点として引き裂かれるので、開封性を向上する上で弱め線が形成された部分を容易に引き裂くことができる方が好ましい。
【0006】
一方、包装体は、運搬の際、内部の吸収性物品を保持できる耐久性を備える必要がある。上記特許文献1の包装袋の弱め線は、取手部に対し、包装袋に収納された吸収性物品によって生じる力の作用線上に位置する。したがって、運搬の際、すなわち取手部を把持して包装体を持ち上げた際に取手部に作用する力は、弱め線が形成された部分にも作用する。取手部に作用する力が、弱め線が形成された部分の強度を超えた場合、弱め線を起点として包装袋が意図せず引き裂かれ、吸収性物品を持ち運ぶことが困難になってしまう、という問題がある。
【0007】
本発明は、運搬の際の耐久性を備えつつ、容易に開封することができる包装体を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一態様の包装体は次の通りである。
複数の吸収性物品と、前記複数の吸収性物品を収納し、上下方向を含み、上面部、前面部、後面部、右面部、及び左面部を有する包装袋と、を備える包装体であって、前記包装袋は、前記上面部の把持予定領域の外縁と、前記上下方向における前記複数の吸収性物品の上側の端縁との間の開封予定領域に、引裂強度が4N以下の第1弱め線を有し、前記第1弱め線の前記上下方向の引っ張り力に対する引張強度が3.5N/25mm/kgである、包装体。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、運搬の際の耐久性を備えつつ、容易に開封することができる包装体を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】実施形態に係る包装体の構成例を模式的に示す斜視図である。
図2】実施形態に係る包装体の構成例を模式的に示す正面図及び右側面図である。
図3】実施形態に係る包装体の包装袋を模式的に示す平面図である。
図4】実施例の説明に供する図であり、引き裂き試験の試料を示す模式図である。
図5】実施例の説明に供する図であり、引き裂き試験機を示す模式図である。
図6】実施例の説明に供する図であり、引っ張り試験機を示す模式図である。
図7】実施形態に係る包装体の第1弱め線及び第2弱め線の構成例を示す模式図である。
図8】実施形態に係る包装体の製造方法の一例を示す模式図である。
図9】実施形態に係る包装体を完全に又は部分的に開封する態様を示す模式図である。
図10】実施形態の変形例に係る包装体の構成例を模式的に示す正面図である。
図11】実施例の説明に供する図であり、落下試験機を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本実施形態は、以下の態様に関する。
[態様1]
複数の吸収性物品と、前記複数の吸収性物品を収納し、上下方向を含み、上面部、前面部、後面部、右面部、及び左面部を有する包装袋と、を備える包装体であって、前記包装袋は、前記上面部の把持予定領域の外縁と、前記上下方向における前記複数の吸収性物品の上側の端縁との間の開封予定領域に、引裂強度が4N以下の第1弱め線を有し、前記第1弱め線の前記上下方向の引っ張り力に対する引張強度が3.5N/25mm/kg以上である、包装体。
包装体は、把持予定領域の外縁と上下方向における複数の吸収性物品の上側の端縁との間の開封予定領域に、引裂強度が4N以下である第1弱め線を有する。第1弱め線は、引裂強度が4N以下であることによって、容易に引き裂くことができるので、開封する際の起点となることができる。したがって、包装体は、容易に開封することができる。
第1弱め線は、把持予定領域の外縁と上下方向における複数の吸収性物品の上側の端縁との間の開封予定領域に設けられているので、包装袋に収納された吸収性物品によって把持予定領域の包装袋を把持した場合に把持予定領域の包装袋に対し生じる力の作用線上に位置する。そうすると、運搬の際、すなわち把持予定領域の包装袋を把持して包装体を持ち上げた場合、把持予定領域の包装袋に作用する力が第1弱め線にも作用する。第1弱め線の上下方向の引っ張り力に対する引張強度Aと複数の吸収性物品の総重量BとがA/B≧3.5(N/25mm/kg)の関係を有することによって、運搬の際に、包装袋に作用する力によって第1弱め線を起点に引き裂かれることを防止することができる。したがって、包装体は、運搬の際の耐久性を備えるといえる。
以上より、包装体は、運搬の際の耐久性を備えつつ、容易に開封することができる。
【0012】
[態様2]
前記開封予定領域内の前記上下方向に交差する方向の端部領域に、前記第1弱め線を有し、前記開封予定領域内の前記上下方向に交差する方向の中央領域に、第2弱め線を更に有し、前記第1弱め線及び前記第2弱め線は、それぞれ、列方向に間隔を開けて形成された複数の切込み穴を含み、前記第1弱め線と前記第2弱め線とで、前記複数の切込み穴の前記列方向の長さ、及び前記間隔の前記列方向の長さのうち少なくとも一方が異なる、態様1に記載の包装体。
開封予定領域内における包装袋に作用する力は、開封予定領域内の位置によって、また、把持予定領域内の実際に把持される位置によっても、異なる。開封予定領域内の位置に応じて、第1弱め線と第2弱め線の、複数の切込み穴の前記列方向の長さ、及び前記間隔の前記列方向の長さのうち少なくとも一方を、適宜変更することによって、包装体は、より確実に、運搬の際の耐久性と、開封の容易性とを調整することができる。
【0013】
[態様3]
前記第1弱め線の前記複数の切込み穴の前記列方向の長さは、前記第1弱め線の前記間隔の前記列方向の長さ以下である、態様2に記載の包装体。
第1弱め線において、切込み穴の列方向の長さは、間隔の列方向の長さ、すなわち隣り合う切込み穴同士の間隔以下であることによって、上下方向の引っ張り力による切込み穴の変形を抑制することができる。したがって、運搬の際に切込み穴の変形によって隣り合う切込み穴が連結する、すなわち第1弱め線を起点として包装袋が引き裂かれることを防止することができる。したがって包装体は、運搬の際に包装袋が引き裂かれることを防止することができる。
【0014】
[態様4]
前記開封予定領域において、隣り合う前記第1弱め線と前記第2弱め線とは、互いに離間している、態様2又は3に記載の包装体。
隣り合う第1弱め線と第2弱め線とは、互いに離間していることによって、把持予定領域の包装袋を把持した際に作用する力が、第1弱め線と第2弱め線にそれぞれ分散する。そうすると、隣り合う第1弱め線と第2弱め線とが互いに影響し合うこと、すなわち第1弱め線と第2弱め線とが連鎖して引き裂かれることを抑制することができる。したがって包装体は、運搬の際に包装袋が引き裂かれることを防止することができる。
【0015】
[態様5]
前記包装袋は、前記開封予定領域内に角部を有し、前記角部は、前記前面部と前記右面部とが交わる部分、前記前面部と前記左面部とが交わる部分、前記後面部と前記右面部とが交わる部分、及び前記後面部と前記左面部とが交わる部分の各々であり、前記角部の少なくとも一つの頂部を跨ぐように前記第1弱め線が設けられており、前記第1弱め線が設けられた前記角部において、前記角部の前記頂部から前記第1弱め線の端部までの距離が前記間隔の前記列方向の長さより短い、態様2~4のいずれか1項に記載の包装体。
包装体は、角部の少なくとも一つの頂部を跨ぐように第1弱め線が設けられているので、当該角部を指で挟んで第1弱め線を起点に包装袋を引き裂くことによって、容易に開封することができる。更に、当該角部において、頂部から第1弱め線の端部までの距離が、間隔の列方向の長さ、すなわち隣り合う切込み穴同士の間隔より短いので、第1弱め線を起点に包装袋をより容易に引き裂くことができる。
【0016】
[態様6]
前記包装袋は、前記開封予定領域内に角部を有し、前記角部は、前記前面部と前記右面部とが交わる部分、前記前面部と前記左面部とが交わる部分、前記後面部と前記右面部とが交わる部分、及び前記後面部と前記左面部とが交わる部分の各々であり、前記角部は、前記右面部及び前記左面部を、それぞれ前記前面部及び前記後面部との間における前記上下方向に交差する方向の前記包装袋の内側へ、谷折りに折り畳まれて形成されており、前記角部の少なくとも一つの頂部を跨ぐように前記第1弱め線が設けられており、前記前面部及び前記後面部に前記第2弱め線が設けられており、前記第1弱め線の切込み穴の前記列方向の長さは、前記第2弱め線の切込み穴の前記列方向の長さより長い、又は、前記第1弱め線の間隔の前記列方向の長さに対する切込み穴の前記列方向の長さの比率は、前記第2弱め線の間隔の前記列方向の長さに対する切込み穴の前記列方向の長さの比率より大きい、態様2~5のいずれか1項に記載の包装体。
角部は、右面部及び左面部を、それぞれ前面部及び前面部との間における上下方向に交差する方向の内側へ、谷折りに折り畳まれて形成されているので、角部をより容易に指で挟むことができる。したがって、当該角部を指で挟んで第1弱め線を起点に包装袋を引き裂くことによって、より容易に開封することができる。更に、前面部及び後面部の広い範囲に第2弱め線が設けられており、第1弱め線の切込み穴の列方向の長さは、第2弱め線の切込み穴の列方向の長さより長い、又は、前記第1弱め線の間隔の前記列方向の長さに対する切込み穴の前記列方向の長さの比率は、前記第2弱め線の間隔の前記列方向の長さに対する切込み穴の前記列方向の長さの比率より大きいので、運搬の際に第2弱め線が引き裂かれることを防止することができる。
【0017】
[態様7]
前記第1弱め線が設けられた前記角部において、前記第1弱め線は、前記頂部を挟んだ両側において、前記上下方向に重なっている、態様5又は6に記載の包装体。
第1弱め線が設けられた角部において、第1弱め線は、頂部を挟んだ両側において、上下方向に重なっている。包装体は、角部を指で挟んで引き裂く際の力が分散されないので、包装袋をより容易に引き裂くことができ、結果として容易に開封することができる。
【0018】
[態様8]
前記第1弱め線は、前記開封予定領域内の前記上下方向の中心より下側に形成されている、態様2~7のいずれか1項に記載の包装体。
第1弱め線は、開封予定領域内の上下方向の中心より下側に形成されているので、把持予定領域の包装袋から第1弱め線へ作用する力が、開封予定領域の包装袋を通じて分散する。したがって、第1弱め線に作用する力が小さくなるため、第1弱め線が運搬の際に引き裂かれることを防止することができる。
【0019】
[態様9]
前記第1弱め線は、前記開封予定領域内の前記上下方向の中心より上側に形成されている、態様2~7のいずれか1項に記載の包装体。
第1弱め線は、開封予定領域内の上下方向の中心より上側に形成されているので、包装袋に収納されている吸収性物品の位置と重ならない。したがって、包装体が、吸収性物品で膨れた状態であっても、開封予定領域内の包装袋を指で挟んで第1弱め線を起点に包装袋を引き裂くことによって、容易に開封することができる。
【0020】
[態様10]
前記第1弱め線及び前記第2弱め線の前記上下方向の引っ張り力に対する引張強度は、前記包装袋の突き刺し強度より小さい、態様2~9のいずれか1項に記載の包装体。
第1弱め線及び第2弱め線の前記上下方向の引っ張り力に対する引張強度は、包装袋の突き刺し強度より小さいので、開封時に押し当てた指によって、包装体の表面に穴が開くよりも、第1弱め線及び第2弱め線が優先的に引き裂かれる。したがって、包装体は、第1弱め線及び第2弱め線に沿って包装袋を適切に引き裂くことができるので、より容易に開封することができる。
【0021】
[態様11]
前記包装袋は、厚さ40μm以上80μm以下のフィルムで形成されている、態様2~10のいずれか1項に記載の包装体。
包装袋は、厚さ40μm以上80μm以下のフィルムで形成されていることによって、所定の強度を有する。そうすると、包装体は、押し当てた指によって包装体の表面が意図せず破れることをより確実に防止することができる。したがって、包装体は、運搬の際の耐久性をより向上することができる。
【0022】
[態様12]
前記複数の吸収性物品の総重量が800g以上3500g以下である、態様2~11のいずれか1項に記載の包装体。
包装袋は、運搬の際の耐久性を備えることによって、複数の吸収性物品の総重量が800g以上3500g以下である包装体とすることができる。
【0023】
[態様13]
前記複数の吸収性物品は、二つ折りにされており、折り目が前記上下方向の上側に配置されている、態様2~12のいずれか1項に記載の包装体。
吸収性物品は、一般的に、長手方向を有し、長手方向の略中央に吸収体を含む。吸収体は、吸水性繊維及び高吸収性ポリマー粒子を含み、密度が高い。そのため吸収性物品は、長手方向の中央において二つ折りにした場合、重心が折り目に近い位置となる。したがって、吸収性物品を二つ折りとし、折り目が前記上下方向の上側に包装袋内に配置することによって、包装体の重心位置が上下方向のより上方となる。そうすると上面部を回転中心とする包装体のモーメントは、重心位置がより上方である分だけ小さくなる。したがって運搬の際に、包装体が振られた場合に第1弱め線に作用する力を抑制でき、また、包装体が障害物などに衝突した場合に、第1弱め線に与える衝撃をより小さくすることができる。したがって、包装体は、運搬の際に第1弱め線が引き裂かれることを防止することができる。
【0024】
[態様14]
前記包装袋は、前記把持予定領域内に取手部を有する、態様2~13のいずれか1項に記載の包装体。
包装袋は把持予定領域内に取手部を有することによって、把持する位置が定まるので、第1弱め線に対し作用する力が安定する。すなわち、第1弱め線に、過大な力が意図せず作用することを防止できる。したがって、包装体は、運搬の際に第1弱め線が引き裂かれることを防止することができる。
【0025】
[態様15]
前記包装袋は、高剛性部を有し、前記高剛性部は、エンボス加工によって形成され、前記上下方向の位置が前記取手部と前記第1弱め線との間であって、前記上面部の前記上下方向に交差する方向の全域に延びている、態様14に記載の包装体。
包装袋は、高剛性部を有するので、取手部に作用した力が、高剛性部を通じて上面部の上下方向に交差する方向の全域に分散する。すなわち取手部に作用した力を上面部のより広い範囲で吸収することによって、第1弱め線に作用する力を小さくできるので、運搬の際に第1弱め線が引き裂かれることを防止することができる。
【0026】
[態様16]
前記包装袋は、前記前面部と前記後面部の上側の端部を結合した結合部を更に有し、前記結合部に前記取手部が設けられており、前記取手部は、前記結合部を厚さ方向に切断して形成された開口を有し、前記開口は湾曲状の手提げ部を有する、態様14又は15に記載の包装体。
手提げ部の開口は、湾曲状であるので、包装袋に収納された複数の吸収性物品の重量によって、手提げ部の一部に応力が集中することを避けることができる。すなわち、応力が集中した手提げ部の一部から取手部が破れ、破損してしまうことを抑制することができる。そうすると、開封性を向上する観点から強度が低いシート部材を用いて包装袋を形成した場合でも、取手部の耐久性を維持することができる。したがって、包装体は、運搬の際の耐久性を備えることができる。
【0027】
[態様17]
前記取手部は、補強フィルムが設けられている、態様14~16のいずれか1項に記載の包装体。
取手部は、補強フィルムが設けられていることによって、強度を向上することができる。そうすると、開封性を向上する観点から強度が低いシート部材を用いて包装袋を形成した場合でも、取手部の耐久性を維持することができる。したがって、包装体は、運搬の際の耐久性を備えることができる。
【0028】
以下、実施形態に係る包装体について説明する。ただし、本明細書において、ある方向に「沿う」とは、その方向に対して±30°の範囲の方向に沿うことを含むものとする。また、ある部材等のある方向の端部とは、その部材のその方向の端縁から、その部材等のその方向での全体の長さの1/5(好ましくは1/10)以下の長さの範囲をいう。
【0029】
図1及び図2に示すように、包装体1は、複数の吸収性物品2と、複数の吸収性物品2を収納する包装袋3を備える。吸収性物品2は、例えば、パンツ型おむつ及びテープ型おむつなどの使い捨ておむつであり、図示しないが、液透過性トップシートと、液不透過性バックシートと、トップシートとバックシートの間に配置された吸収体とを含む。吸収性物品2は、長手方向を有し、長手方向において、前胴周り領域と、後胴周り領域と、前胴周り領域及び後胴周り領域の間の股部領域との三領域に区画される。吸収体は、上記三領域に亘って配置されている。なお、これらは、当技術分野で公知のものであるため、説明を省略する。
【0030】
複数の吸収性物品2の包装袋3への収納方法は特に制限されず任意である。吸収性物品2は、長手方向の略中央において二つ折りにしてもよい。吸収性物品2は、折り目5を上下方向Tの上側として縦置きされた状態で、幅方向Wに重ねられ一列に並べられつつ、上下方向Tに三段重ねられて包装袋3内に収納してもよい。本実施形態の場合、吸収性物品2は、折り目5を上下方向Tの上側として、幅方向Wに13個、上下方向Tに3段重ねられた状態で、包装袋3内に配置されている。吸収性物品2の大きさは、特に制限はないが、例えば、広げた状態で5~30cm×5~40cm×1~10cmが挙げられる。
【0031】
吸収性物品の種類はこの例に限定されるものではなく、本発明の趣旨の範囲を逸脱しない限り、他の吸収性物品でもよい。他の吸収性物品としては、尿取りパッド、生理用ナプキン、失禁パッドなどが挙げられる。
【0032】
包装袋3は、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレートのような合成樹脂で形成されたシート部材で構成されている。シート部材は、例えば、厚さ40μm以上80μm以下のフィルムを用いることができる。厚さ40μm以上80μm以下のフィルムで形成されていることによって、所定の強度を有する。そうすると、包装体1は、押し当てた指によって包装体1の表面が意図せず破れることをより確実に防止することができる。
【0033】
包装袋3は、上下方向T、及び上下方向Tに交差する幅方向Wと奥行方向Dを有している。包装袋3は、上面部10、前面部11、後面部12、右面部13及び左面部14を有する。包装袋3は、前面部11、後面部12、右面部13及び左面部14の各々の上下方向Tの下側の端部が互いに熱融着された底面部16を更に有している。包装袋3は、上面部10、前面部11、後面部12、右面部13、左面部14及び底面部16により複数の吸収性物品2を包んでいる。包装袋3に収納される複数の吸収性物品2の総重量は、例えば、総重量が800g以上3500g以下、好ましくは1100g以上2300g以下である。以下の説明において、前面部11、後面部12、右面部13及び左面部14を総称して側面部と呼ぶ場合がある。側面部は、底面部16の外縁と上下方向Tにおける複数の吸収性物品2の上側の端縁2TEとの間の領域と、後述する開封予定領域7とを含む。
【0034】
上面部10は、包装体1の上面に配置される部分であり、前面部11、後面部12、右面部13及び左面部14の各々の開封予定領域7よりも上下方向Tの上側の部分である。上面部10の幅方向W及び奥行方向Dに広がりを有する一定の領域を把持予定領域6と呼ぶ。把持予定領域6は、上面部10の幅方向W及び奥行方向Dの端部同士の間である中央、上面部10の幅方向Wの両端部、及び奥行方向Dの両端部の少なくとも一部を含んでもよい。具体的には、把持予定領域6は、上面部10の幅方向W及び奥行方向Dの中央から、幅方向Wの両方の端部まで連続する帯状の領域である。前面部11及び後面部12は包装体1(包装袋3)の前面及び後面を構成する部分であり、前面部11及び後面部12の一方から他方へ向かう方向が奥行方向Dである。右面部13及び左面部14は包装体1(包装袋3)の右面及び左面を構成する部分であり、右面部13及び左面部14の一方から他方へ向かう方向が幅方向Wである。互いに隣り合う前面部11、右面部13、後面部12及び左面部14で構成される筒の延びる方向が上下方向Tである。
【0035】
上面部10の把持予定領域6において、前面部11、後面部12、右面部13及び左面部14の各々の上下方向Tの上側の端部が互いに熱融着された結合部17を含んでいる。結合部17は、取手部18を含んでいる。取手部18は、結合部17を厚さ方向に切断して形成された開口24を有する。開口24は湾曲状の内縁を有する。取手部18は、開口24に面した湾曲状の手提げ部25を有する。開口24の内縁は、幅方向Wを長径とする略楕円形であり、下端において途切れている。すなわち取手部18は、楕円形に縁取られ、かつ下端において結合部17に繋がった取手片26を有する。取手部18は、結合部17の上端の辺と、手提げ部25とで区画される部分である。なお、取手部18は、上記の構成に限定されるものではなく、把持する機能を発揮できれば適宜変更することができる。すなわち本実施形態において、取手片26は必須の構成ではない。例えば、取手部18は、開口24が下端で途切れておらず略楕円形状であり、取手片26を有していなくともよい。
【0036】
包装体1(包装袋3)は、互いに隣接する側面部同士が交わる部分に角部19を有している。すなわち、前面部11と右面部13とが交わる部分、前面部11と左面部14とが交わる部分、後面部12と右面部13とが交わる部分、及び後面部12と左面部14とが交わる部分の各々に角部19を有している。ここで、互いに隣接する側面部同士の境界線CL上の部分を頂部20とすると、前面部11と右面部13との境界、前面部11と左面部14との境界、後面部12と右面部13との境界、及び、後面部12と左面部14との境界に頂部20が存在する。したがって、角部19は頂部20を含む領域である。なお、図3は、包装袋3を後面部12と左面部14との境界線CLで切断して展開した図である。
【0037】
本実施形態では、包装袋3は直方体の形状を有しており、前面部11、後面部12、右面部13及び左面部14の各々は矩形の形状を有している。ただし、包装体1は、主に変形容易なシート部材及び吸収性物品で構成されているので、厳密な直方体の形状を有していなくてもよい。例えば、吸収性物品2が圧縮されて包装袋3に収納され、その後に吸収性物品2が膨張して包装袋3が内側から伸長した状態のように、側面部の一部又は全部や、角部19の一部又は全部が、曲面を有していたり、丸みを帯びていたり、凸凹を有していたりしてもよい。なお、包装体1(包装袋3)の大きさは、特に制限はないが、例えば、幅方向Wの長さ10~80cm、奥行方向Dの長さ10~80cm、上下方向Tの長さ10~100cmが挙げられる。
【0038】
包装袋3は、開封予定領域7内に第1弱め線21を有する。開封予定領域7は、上面部10の把持予定領域6の外縁と、上下方向Tにおける複数の吸収性物品2の上側の端縁2TEとの間の領域である。本実施形態の場合、上下方向Tにおける結合部17の上端から第1弱め線21及び第2弱め線22が形成された部分よりも上側までの領域が把持予定領域6であり、上下方向Tにおける第1弱め線21及び第2弱め線21が形成された部分から端縁2TEまでの領域が開封予定領域7である。開封予定領域7は、互いに隣接する側面部同士が交わる部分に角部19を含む。第1弱め線21は、包装袋3の列方向に間隔を開けて形成された複数の切込み穴を含む。複数の切込み穴は、包装袋3のシート部材を厚さ方向に貫通している。第1弱め線21は、例えばミシン目であり、第1弱め線21を挟んで両側の部分を、互いに引き裂く方向へ引っ張ることによって、切込み穴の間の包装袋3が切断され、第1弱め線21に沿って引き裂かれる。第1弱め線21は、引裂強度が4N以下である。
【0039】
第1弱め線21の引裂強度は、引張方向に平行な方向に第1弱め線21を有するシート部材の、第1弱め線21を挟んで両側の端部を、引張試験機によって、それぞれ引っ張って引き裂いたときに測定される最大荷重(引裂強度)(N)を意味する。測定の具体的な手順は、次のとおりである。(a)短辺の中央から長辺に平行して弱め線121を含む幅50mm×長さ75mmのシート部材からなる試料100(図4)を用意する(b)。サンプル100を図5に示すように、引張試験機(Instron社製)102にチャック間距離Hを10mmとして保持し、引張速度300mm/分にて引張強度を測定する。(c)測定された最大強度を試料(弱め線)の引裂強度(N)とする。なお、試料100は、必ずしも幅50mm×長さ75mmである必要はなく、例えば、幅50mm×長さ50mmでもよい。また弱め線121は、試料100の長辺に平行である場合に限らず、長辺に沿っていればよい。
【0040】
第1弱め線21の引裂強度は、包装袋3を形成するシート部材の突き刺し強度より小さいことが好ましい。突き刺し強度は、所定の治具をシート部材に突き刺したときのシート部材の破断強度である。突き刺し強度の測定試験は、シート部材を試料とし、図示しないが、試料台の上面に試料を載置して固定具などで固定し、試料台の上面から内部へ延びる孔部に対して挿通可能に配置された冶具を、試料の上方から下降させ、孔部に挿通するようにして試料に貫通させたとき、冶具に掛かる荷重を測定する試験である。突き刺し試験は、具体的には次のように行う。
【0041】
(a)シート部材をそれぞれ70mm×70mmに切り出して、試料とする。(b)試料を試料台の上面に載置して固定具などで固定する。ただし、試料台の上面には、試料台の内部へ延びる孔部(直径60mm×深さ110mm)が形成されており、試料はその孔部を覆うように固定される。(c)長さ10mmの線状の先端を有する円柱状の冶具(直径11mm×長さ100mm)が連結されたデジタルフォースゲージFGP-5(日本電産シンポ株式会社製)を準備する。(d)冶具を速度500mm/minで試料の上方から下降させ、試料が破断して冶具が試料を貫通するまでに冶具に掛かる荷重を測定する。このときの最大荷重を、シート部材(包装袋3)の破断強度(N)とする。治具は、治具の先端の長手方向をシート部材の繊維方向に平行となるように配置する場合と、直交するように配置する場合の両方において測定する。
【0042】
包装体1は、第1弱め線21の引張強度と、包装袋3内に収納された複数の吸収性物品との間に所定の関係を有する。すなわち、長さ25mmの第1弱め線21の上下方向Tの引っ張り力に対する引張強度をA(N/25mm)、包装袋3内に収納された複数の吸収性物品2の総重量をB(kg)とすると、AとBは下記式の関係を有する。
【0043】
A/B≧3.5(N/25mm/kg)・・・(式)
【0044】
引張強度A(N/25mm)を包装袋3内に収納された複数の吸収性物品2の総重量B(kg)で除算することによって、包装体1における第1弱め線21の単位重量当たりの引張強度(N/25mm/kg)が得られる。
【0045】
第1弱め線21の引張強度A(N)は、引張方向に直交する方向に第1弱め線21を形成したシート部材の、第1弱め線21を挟んで両側のシート部材の端部を、引張試験機によって、引張方向に引っ張って引き裂いたときに測定される最大荷重(引裂強度)(N/25mm)を意味する。「N/25mm」は、幅25mmあたりの引裂強度(N)を意味する。
【0046】
測定の具体的な手順は、次のとおりである。(a)長辺の中央から短辺に平行して、弱め線121を含む幅25mm×長さ100mmのシート部材からなる試料103を用意する。(b)図6に示すように、弱め線を含む試料103を引張試験機(Instron社製)102にチャック間距離Hを60mmとして保持し、引張速度500mm/分にて引張強度を測定する。(c)測定された最大強度を試料の引張強度(N/25mm)とする。なお、試料103は、必ずしも幅25mm×長さ100mmである必要はなく、例えば、幅25mm×長さ30mmでもよい。また弱め線121は、試料103の短辺に平行である場合に限らず、短辺に沿っていればよい。
【0047】
第1弱め線21は、端部領域としての各角部19の少なくとも一つを跨ぐように形成されている。本実施形態の場合、第1弱め線21は、各角部19に形成されている。第1弱め線21は、前面部11と右面部13との角部19を跨いで、前面部11における幅方向Wの右面部13側の端部から、右面部13における奥行方向Dの前面部11側の端部まで、形成されている。同様に、第1弱め線21は、前面部11と左面部14との角部19を跨いで、前面部11における幅方向Wの左面部14側の端部から、左面部14における奥行方向Dの前面部11側の端部まで、形成されている。第1弱め線21は、後面部12と右面部13との角部19を跨いで、後面部12における幅方向Wの右面部13側の端部から、右面部13における奥行方向Dの後面部12側の端部まで、形成されている。第1弱め線21は、後面部12と左面部14との角部19を跨いで、後面部12における幅方向Wの左面部14側の端部から、左面部14における奥行方向Dの後面部12側の端部まで、形成されている。
【0048】
包装袋3は、開封予定領域7内に、第2弱め線22を更に有してもよい。第2弱め線22は、包装袋3の列方向に間隔を開けて形成された複数の切込み穴を含む。複数の切込み穴は、包装袋3のシート部材を厚さ方向に貫通している。第2弱め線22は、例えばミシン目であり、第2弱め線22を挟んで両側の部分を、互いに引き離す方向へ引っ張ることによって、切込み穴の間の包装袋3が切断され、第2弱め線22に沿って切り離される。
【0049】
第2弱め線22は、開封予定領域7内の第1弱め線21が形成された範囲より広い範囲に形成される。第2弱め線22は、中央領域としての、前面部11及び後面部12の各々において幅方向Wに沿って延びる領域、及び、右面部13及び左面部14の各々において奥行方向Dに沿って延びる領域に、それぞれ形成されている。前面部11には、上下方向Tの上側の部分に、前面部11と右面部13との角部19の近傍から、前面部11と左面部14との角部19の近傍まで、幅方向Wに沿って延びる第2弱め線22が形成されている。同様に、後面部12には、上下方向Tの上側の部分に、後面部12と右面部13との角部19の近傍から、後面部12と左面部14との角部19の近傍まで、幅方向Wに沿って延びる第2弱め線22が形成されている。右面部13には、上下方向Tの上側の部分に、右面部13と前面部11との角部19の近傍から、右面部13と後面部12との角部19の近傍まで、奥行方向Dに沿って延びる第2弱め線22が形成されている。左面部14には、上下方向Tの上側の部分に、左面部14と前面部11との角部19の近傍から、左面部14と後面部12との角部19の近傍まで、奥行方向Dに沿って延びる第2弱め線22が形成されている。
【0050】
結合部17は、エンボス加工によって熱融着された高剛性部28を有してもよい。高剛性部28は、結合部17の上下方向Tの下端、すなわち上下方向Tの位置が取手部18と第1弱め線21との間であって、上面部10の幅方向Wの全域に延びている。高剛性部28は、複数のエンボス部30を有する。エンボス部30は、それぞれ結合部17の幅方向Wに所定の間隔で一列に配置されている。高剛性部28は、取手部18の開口24を挟んで上下方向Tの両側に設けられている。高剛性部28は、結合部17の上端にも設けてもよい。
【0051】
取手部18は、補強フィルム31を有してもよい。補強フィルム31は、例えばポリエチレンやポリプロピレン等の樹脂フィルムを用いることができる。補強フィルム31は、開口24より大きい面積を有し、開口24と重なる位置に同じ大きさの開口36を有する。補強フィルム31の上端部及び下端部は、高剛性部28において熱融着され、結合部17に接合されている。
【0052】
図7は、実施形態に係る包装体1の第1弱め線21及び第2弱め線22の構成例を示す模式図である。具体的には、角部19及びその近傍における第1弱め線21と第2弱め線22との位置関係を、包装体1(包装袋3)の表面に沿って示す模式図である。
【0053】
第1弱め線21は、開封予定領域7内の上下方向Tの中心より下側に形成されていてもよい。すなわち、第1弱め線21は、第2弱め線22より上下方向Tの下側に形成されてもよい。第1弱め線21は、幅方向に交差するように設けられていてもよい。図7に示すように第1弱め線21は、頂部20を頂点とし、上下方向Tの下側に凸となる湾曲した形状を有していてもよい。
【0054】
第1弱め線21は、境界線CLに対し線対称に形成されてもよい。この場合、第1弱め線21が設けられた角部19において、第1弱め線21は、頂部20において山折りした場合、頂部20を挟んだ両側において上下方向Tに重なる。
【0055】
第1弱め線21の切込み穴32の列方向の長さをL1、第1弱め線21の間隔33の列方向の長さをD1とする。長さL1は、切込み穴32の列方向の一端から反対側の他端までの最小長さである。長さD1は、列方向に隣り合う切込み穴32同士の端部間の最短距離である。第1弱め線21の切込み穴32の列方向の長さL1は、第1弱め線21の間隔33の前記列方向の長さD1以下でもよい。すなわち切込み穴32の長さL1は、間隔33の長さD1と同じ又は長さD1より短くてもよい。切込み穴32の長さL1と間隔33の長さD1は、好ましくはL1:D1=1:2の関係を有する。頂部20から第1弱め線21の端部、すなわち頂部20から最も近い第1弱め線21の切込み穴32の端部までの距離D3は、上記長さD1より短い。
【0056】
第2弱め線22の切込み穴34の列方向の長さをL2、第2弱め線22の間隔35の列方向の長さをD2とする。長さL2は、切込み穴34の列方向の一端から反対側の他端までの最小長さである。長さD2は、列方向に隣り合う切込み穴34同士の端部間の最短距離である。第1弱め線21の切込み穴32の長さL1と第2弱め線22の切込み穴34の長さL2、及び第1弱め線21の間隔33の長さD1と第2弱め線22の間隔35の長さD2のうち少なくとも一方が異なる。すなわち、第1弱め線21に比べ、第2弱め線22の引張強度及び引裂強度が高くなるように、長さL1、L2、D1、D2を調整してもよい。
【0057】
例えば、第1弱め線21の長さL1と第2弱め線22の長さL2が同じ場合、第1弱め線21の長さD1と第2弱め線22の長さD2が異なる。この場合、第1弱め線21の長さD1は第2弱め線22の長さD2より短くてもよい。または、第1弱め線21の長さD1と第2弱め線22の長さD2が同じ場合、第1弱め線21の長さL1と第2弱め線22の長さL2が異なる。この場合、第1弱め線21の長さL1は第2弱め線22の長さL2より長くてもよい。すなわち、第1弱め線21の切込み穴の列方向の長さL1は、第2弱め線22の切込み穴の列方向の長さL2より長くてもよい。第1弱め線の長さD1に対する長さL1の比率(L1/D1)は、第2弱め線の長さD2に対する長さL2の比率(L2/D2)より大きくてもよい。例えば、比率(L1/D1)は0.4~0.6、比率(L2/D2)は0.1~0.3としてもよい。
【0058】
隣り合う第1弱め線21と第2弱め線22とは、互いに離間している。隣り合う第1弱め線21と第2弱め線22との間の距離をD4とすると、距離D4は第1弱め線21の長さD2より長い。隣り合う第1弱め線21と第2弱め線22とは、第1弱め線21の間隔の列方向の長さD1より、離間している。なお、距離D4は、包装袋3の表面伝いに測定される最短の距離である。距離D4は、運搬の際の上下方向Tの引っ張り力に対し十分な強度を維持し得ると共に、開封時に第1弱め線21から第2弱め線22へスムーズに引き裂くことができるように、設定するのが好ましい。
【0059】
包装体1の大きさにも依存するが、距離D4の大きさとしては0.1~4cmが挙げられ、0.5~3cmが好ましい。距離D4が上記範囲内であれば、開封予定領域7内の包装袋3に作用した引っ張り力が、第1弱め線21と第2弱め線22にそれぞれ分散すると共に、引き裂き方向の力が伝搬し難くなるのを抑制できる。
【0060】
次に、実施形態に係る包装体1の製造方法について説明する。
図8は、実施形態に係る包装体1の製造方法の一例を示す模式図である。この製造方法では、例として、ガゼットタイプの包装体1の製造方法について説明することとする。ただし、本製造方法は、各工程における資材の搬送等において、互いに直交する搬送方向MD、横断方向CD及び厚さ方向TD(図示されず)を有する。
【0061】
まず、複数の吸収性物品2を収納可能な包装袋3を形成する。包装袋3の形成方法は、側面形成工程と、弱め線形成工程と、を備えている。
【0062】
側面形成工程は、搬送方向MDに沿って延びる筒状の樹脂性のシート部材50(図8(a))における、横断方向CDの両側を、それぞれ横断方向CDの内側に向かって谷折りで折り畳む。それにより、側面形成工程は、厚さ方向TDの一方側及び他方側にそれぞれ位置する前面部11及び後面部12と、前面部11と後面部12との間に折り畳まれ、横断方向CDの右側及び左側にそれぞれ位置する右面部13及び左面部14と、を形成する(図8(b))。このとき、前面部11と後面部12とが厚さ方向TDに重なり、かつ、前面部11及び後面部12の右側の部分と右面部13とが厚さ方向TDに重なり、かつ、前面部11及び後面部12の左側の部分と左面部14とが厚さ方向TDに重なる。
【0063】
弱め線形成工程は、前面部11及び後面部12のうちの一方側から他方側に向かって(厚さ方向TDに)弱め線形成刃(図示されず)を押し付ける。例えば、折り畳まれたシート部材50を、弱め線形成刃を有するロールとアンビルロールとに挟持させる。それにより、弱め線形成工程は、前面部11及び後面部12に、横断方向CDに沿って延びる第1弱め線21及び第2弱め線22を形成する。それに伴い、同時に、前面部11と後面部12との間に位置し、厚さ方向TDに重なった右面部13及び左面部14に、横断方向CDに沿って延びる第1弱め線21及び第2弱め線22が形成される。このとき、第1弱め線21及び第2弱め線22は、距離D4が第1弱め線21の長さD1より長くなるように形成される。なお、第2弱め線22は、隣り合う少なくとも一つの第1弱め線21の切り離しが行われた後、上面部10が把持され、包装体1が持ち上げられたとき、複数の吸収性物品2の重みで、第1弱め線21の切り離しが、角部19に伝搬したとしても、到達できない位置、に形成されてもよい。同時に、取手部18を形成してもよい。以上のようにして、包装袋3が形成される(図8(c))。
【0064】
このとき、図8(c)の包装袋3を後面部12と左面部14との境界線CLで切断して展開すると図3のようになる。ここで、右面部13と前面部11との境界線CLを含む領域STAについて考える。ただし、領域STAは、包装袋3の表面に沿う底面部16に平行な方向(幅方向W及び奥行方向D)の幅が、右面部13の幅と同じであり、包装袋3の表面に沿う底面部16に平行な方向(幅方向W及び奥行方向D)の中心が、右面部13と前面部11との境界線CLである領域である。このとき、領域STAにおいて、境界線CLを跨ぐ第1弱め線21は、境界線CLに対して線対称である。更に、境界線CLの両側に隣り合う前面部11の第2弱め線22と、右面部13の第2弱め線22線とは、境界線CLに対して線対称である。他の境界線CLを含む領域STA(図示されず)においても同様である。例えば、右面部13と後面部12との境界線CLを含む領域STAでは、その幅は右面部13の幅と同じであり、境界線CLを跨ぐ第1弱め線21、隣り合う後面部12及び右面部13の第2弱め線22は、境界線CLに対して線対称である。また、左面部14と前面部11との境界線CLを含む領域STAでは、その幅は左面部14の幅と同じであり、境界線CLを跨ぐ第1弱め線21、隣り合う前面部11及び左面部14の第2弱め線22は、境界線CLに対して線対称である。また、左面部14と後面部12との境界線CLを含む領域STAでは、その幅は左面部14の幅と同じであり、境界線CLを跨ぐ第1弱め線21、隣り合う後面部12及び左面部14の第2弱め線22は、境界線CLに対して線対称である。
【0065】
その後、形成された包装袋3における底面側の部分を熱融着で封止して底面部16を形成する。次いで、包装袋3における上面側から複数の吸収性物品2を収納する。最後に、包装袋3における上面側の部分を熱融着で封止して結合部17を形成する。以上のようにして、ガゼットタイプの包装体1が形成される。角部19は、それぞれ前面部11及び後面部12との間における、幅方向Wの右側及び左側に谷折りに折り畳まれた部分である。
【0066】
図9は、実施形態に係る包装体1を完全に又は部分的に開封する態様を示す模式図である。図9(a)に示すように、包装体1を完全に開封する態様では、複数の側面部すべてにおいて、第1弱め線21及び第2弱め線22の切り離しが行われる。すなわち、使用者は角部19を指で挟んで第1弱め線21に沿って角部19を引き裂く。これによって包装袋3に、第1切断線21aが形成される。次いで、使用者は、第1弱め線21と隣り合う第2弱め線22に沿って包装袋3を引き裂く。これによって包装袋3に、第2切断線22aが形成される。このようにして、複数の側面部すべてにおいて、第1切断線21a及び第2切断線22aが形成され、上面部10が取り除かれて、開口部OPが形成される。使用者は、開口部OPから吸収性物品2を取り出し得る。一方、図9(b)に示すように、包装体1を部分的に開封する態様では、複数の側面部のうちの一部(例示:前面部11、右面部13及び左面部14)において、第1弱め線21及び第2弱め線22の切り離しが行われる。それにより、複数の側面部のうちの一部(例示:前面部11、右面部13及び左面部14)において、第1切断線21a及び第2切断線22aが形成され、開口部OPが形成される。使用者は、開口部OPから吸収性物品2を取り出し得る。加えて、使用者は、上面部10が複数の側面部のうちの他の一部分(例示:後面部12)に結合された状態で、結合部17の取手部18を手Hで把持して、包装体1を持ち運び得る。
【0067】
第1弱め線21の引裂強度が4N以下であることによって、角部19を容易に引き裂くことができるので、第1弱め線21は開封する際の起点となることができる。したがって、包装体1は、第1弱め線21を起点として容易に開封することができる。すなわち第1弱め線21は、開封する際の起点としての開封開始部になり得る。
【0068】
第1弱め線21は、把持予定領域6の外縁と上下方向Tにおける複数の吸収性物品2の上側の端縁端縁2TEとの間の開封予定領域7に設けられている。すなわち第1弱め線21は、包装袋3に収納された吸収性物品2によって把持予定領域6の取手部18を把持した場合に取手部18に対し生じる力の作用線上に位置する。そうすると、運搬の際、すなわち取手部18を把持して包装体1を持ち上げた場合、取手部18に作用する力が第1弱め線21にも作用する。第1弱め線21の上下方向Tの引っ張り力に対する引張強度Aと複数の吸収性物品2の総重量BとがA/B≧3.5(N/25mm/kg)の関係を有することによって、運搬の際に、取手部18に作用する力によって第1弱め線21を起点に引き裂かれることを防止することができる。したがって、包装体1は、運搬の際の耐久性を備えるといえる。
【0069】
包装袋3は、耐久性と開封容易性とを両立できるのが好ましい。包装袋3内に収納される複数の吸収性物品2は、用途や個数によって総重量が異なる。例えば、収納される複数の吸収性物品の総重量が異なる包装体に同じ包装袋を適用した場合、包装袋の耐久性が過剰になってしまう場合がある。すなわち、総重量が大きい包装体向けに形成された包装袋を、総重量がより小さい包装体に適用した場合、包装袋の耐久性が過剰といえる。総重量がより小さい包装体には、より強度の低いシート部材を用いた包装袋を適用することによって、シート部材の無駄を省きながら、耐久性と開封性をより適切に得ることができる。本実施形態の包装袋3は、第1弱め線21の引裂強度が4N以下であり、第1弱め線21の引張強度A(N/25mm)と包装袋3内に収納された複数の吸収性物品2の総重量B(kg)とが上記式の関係を有することによって、総重量に合わせた適切な引裂強度及び引張強度を有する第1弱め線21を含む包装体を得ることができる。すなわち、総重量に合わせて、シート部材及び第1弱め線21を形成することによって、耐久性と開封の容易性とをより確実に両立した包装体1を得ることができる。
【0070】
開封予定領域7内における包装袋3に作用する力は、取手部18の有無、取手部18の位置、及び取手部18の形状によって、異なる。第1弱め線21の長さL1と第2弱め線22の長さL2、及び第1弱め線21の長さD1と第2弱め線22の長さD2のうち少なくとも一方が異なる。すなわち開封予定領域7内の位置に応じて、第1弱め線21と第2弱め線22の、複数の切込み穴の列方向の長さ、及び間隔の列方向の長さのうち少なくとも一方を、適宜変更することによって、包装体1は、より確実に、運搬の際の耐久性と、開封の容易性とを調整することができる。
【0071】
この場合、第1弱め線21に比べ、第2弱め線22の引張強度及び引裂強度が高くなるように、長さL1、L2、D1、D2を調整することによって、運搬の際に第2弱め線22が引き裂かれることを防止すると共に、より広い範囲に第2弱め線22が形成されていることによって、より広い開口部を形成することができる。すなわち第2弱め線22は、第1弱め線21が起点となった後により広い開口部を形成する開封拡張部になり得る。
【0072】
第1弱め線21の、切込み穴の列方向の長さL1は、間隔の列方向の長さD1以下であることによって、上下方向Tの引っ張り力による切込み穴の変形を抑制することができる。したがって、運搬の際に切込み穴の変形によって隣り合う切込み穴が連結する、すなわち第1弱め線21を起点として包装袋3が引き裂かれることを防止することができる。したがって包装体1は、運搬の際に包装袋3が引き裂かれることを防止することができる。
【0073】
隣り合う第1弱め線21と第2弱め線22との間の距離をD4とすると、距離D4は第1弱め線21の長さD2より長い。これによって、包装袋3は、取手部18を把持した際に作用する力が、第1弱め線21と第2弱め線22にそれぞれ分散する。そうすると、隣り合う第1弱め線21と第2弱め線22とが互いに影響し合うこと、すなわち第1弱め線21と第2弱め線22とが連鎖して引き裂かれることを抑制することができる。したがって包装体1は、運搬の際に包装袋3が引き裂かれることを防止することができる。
【0074】
包装体1は、角部19の少なくとも一つの頂部20を跨ぐように第1弱め線21が設けられているので、当該角部19を指で挟んで第1弱め線21を起点に包装袋3を引き裂くことによって、容易に開封することができる。更に、当該角部19において、頂部20から第1弱め線21の端部までの距離が、間隔の列方向の長さ、すなわち隣り合う切込み穴同士の間隔より短いので、第1弱め線21を起点に包装袋3をより容易に引き裂くことができる。
【0075】
角部19は、右面部13及び左面部14を、それぞれ前面部11及び前面部11との間における上下方向Tに交差する方向の内側へ、谷折りに折り畳まれて形成されているので、角部19をより容易に指で挟むことができる。したがって、当該角部19を指で挟んで第1弱め線21を起点に包装袋3を引き裂くことによって、より容易に開封することができる。更に、前面部11及び後面部12の広い範囲に第2弱め線22が設けられており、第1弱め線21の切込み穴の列方向の長さL1は、第2弱め線22の切込み穴の列方向の長さL2より長い、又は第1弱め線の長さD1に対する長さL1の比率(L1/D1)は、第2弱め線の長さD2に対する長さL2の比率(L2/D2)より大きい。したがって、第2弱め線2は、第1弱め線21より上下方向の引っ張り力に対する引張強度が高いので、運搬の際に第2弱め線22が引き裂かれることを防止することができる。
【0076】
第1弱め線21が設けられた角部19において、第1弱め線21は、頂部20を挟んだ両側において、上下方向Tに重なっている。包装体1は、角部19を指で挟んで引き裂く際の力が分散されないので、包装袋3をより容易に引き裂くことができ、結果として容易に開封することができる。
【0077】
第1弱め線21は、開封予定領域7内の上下方向Tの中心より下側に形成されているので、把持予定領域6の包装袋3から第1弱め線21へ作用する力が、開封予定領域7の包装袋3を通じて分散する。したがって、第1弱め線21に作用する力が小さくなるため、第1弱め線21が運搬の際に引き裂かれることを防止することができる。
【0078】
第1弱め線21は、幅方向に交差するように設けられることによって、把持予定領域6の包装袋3から第1弱め線21に対し作用する力が、分散する。したがって第1弱め線21が運搬の際に引き裂かれることを防止することができる。第1弱め線21は、頂部20を頂点とし、上下方向Tの下側に凸となる湾曲した形状を有することによって、第1弱め線21に対し作用する力をより確実に分散することができる。第1弱め線21は、第2弱め線22より上下方向Tの下側であって上下方向Tの下側に凸となる湾曲した形状を有することによって、結合部17と吸収性物品2の上側の端縁2TEを上下方向へ引っ張る力の向きと直交する。したがって開封時に、結合部17を上方へ持ち上げると共に吸収性物品2の上側の端縁2TEを下方向へ押し下げることによって、第1弱め線21を容易に引き裂くことができる。
【0079】
第1弱め線21及び第2弱め線22の引張強度は、包装袋3の突き刺し強度より小さいので、開封時に押し当てた指によって、包装体1の表面に穴が開くよりも、第1弱め線21及び第2弱め線22が優先的に引き裂かれる。したがって、包装体1は、第1弱め線21及び第2弱め線22に沿って包装袋3を適切に引き裂くことができるので、より容易に開封することができる。
【0080】
吸収性物品2は、長手方向の略中央に密度の高い吸収体を含むため、重心が折り目5に近い位置となる。したがって、吸収性物品2を二つ折りとし、折り目5が前記上下方向Tの上側に包装袋3内に配置することによって、包装体1の重心位置が上下方向Tのより上方となる。そうすると上面部10を回転中心とする包装体1のモーメントは、重心位置がより上方である分だけ小さくなる。したがって運搬の際に、包装体1が振られた場合に第1弱め線21に作用する力を抑制でき、また、包装体1が障害物などに衝突した場合に、第1弱め線21に与える衝撃をより小さくすることができる。したがって、包装体1は、運搬の際に第1弱め線21が引き裂かれることを防止することができる。
【0081】
包装袋3は把持予定領域6内に取手部18を有することによって、把持する位置が定まるので、第1弱め線21に対し作用する力が安定する。すなわち、第1弱め線21に、過大な力が意図せず作用することを防止できる。したがって、包装体1は、運搬の際に第1弱め線21が引き裂かれることを防止することができる。
【0082】
高剛性部28は、取手部18に作用した力を、幅方向Wの全域に分散する。すなわち包装体1は、取手部18に作用した力を上面部10のより広い範囲で吸収することによって、第1弱め線21に作用する力を小さくできるので、運搬の際に第1弱め線21が引き裂かれることを防止することができる。
【0083】
手提げ部25の開口24は、湾曲状であるので、包装袋3に収納された複数の吸収性物品2の重量によって、手提げ部25の一部に応力が集中することを避けることができる。すなわち、応力が集中した手提げ部25の一部から取手部18が破れ、破損してしまうことを抑制することができる。そうすると、開封性を向上する観点から強度が低いシート部材を用いて包装袋3を形成した場合でも、取手部18の耐久性を維持することができる。したがって、包装体1は、運搬の際の耐久性を備えることができる。
【0084】
取手部18は、補強フィルム31が設けられていることによって、強度を向上することができる。そうすると、開封性を向上する観点から強度が低いシート部材を用いて包装袋3を形成した場合でも、取手部18の耐久性を維持することができる。したがって、包装体1は、運搬の際の耐久性を備えることができる。
【0085】
本発明の包装体1は、上述した実施形態に制限されることなく、技術的矛盾が生じない限り、本発明の目的、趣旨を逸脱しない範囲内において、他の技術の追加・置換等により適用が可能である。
【0086】
例えば、上記実施形態の場合、第1弱め線21は、開封予定領域7内の上下方向Tの中心より下側に形成されている場合について説明したが、本発明はこれに限らない。すなわち、図10に示すように、第1弱め線21は、開封予定領域7内の上下方向Tの中心より上側に形成されていてもよい。すなわち第1弱め線21は、第2弱め線22より上下方向Tの上側に形成されていてもよい。図10に示す第1弱め線21は、頂部20を頂点とし、上下方向Tの上側に凸の形状を有している。このため、包装体1における第1弱め線21の位置が、収納された吸収性物品2の位置と重なることがない。したがって、包装体1が、収納された吸収性物品2で膨れた状態であっても、使用者は、その膨れた部分に影響されることなく、例えば、第1弱め線21の近傍を容易に摘まんで、第1弱め線21を容易に引き裂くことができる。すなわち、包装体1を容易に開封することができる。また例えば、取手部は、帯状の1本のシート部材であってもよく、両端が把持予定領域6の幅方向Wの両端部にそれぞれ接合されていてもよい。さらに取手部は、帯状の2本のシート部材であってもよく、それぞれ前面側及び後面側に配置され、両端が把持予定領域6の幅方向に均等に接合されていてもよい。
【実施例
【0087】
(試料)
<シート部材>
厚さが50μm、60μm、70μmのポリエチレンのシート部材をそれぞれ用意した。各シート部材に、切り抜き穴の長さと間隔の長さがそれぞれ異なる弱め線を形成した。
<包装体>
厚さ50μmのシート部材を用いて、幅方向の長さが240mm、奥行方向の長さが190mm、高さが340mmの包装袋を形成した。包装袋の内部に、複数の吸収性物品を収納し、2kg~3.5kgまで0.5kg刻みで重量が異なる4種類の包装体を形成した。包装体の上面部は熱融着によって接合すると共に、図1に示したように、取手部、第1弱め線と第2弱め線とを形成した。
【0088】
(評価方法)
得られた試料を用いて、引き裂き試験及び引張試験を上記手順に従って行った。また図11に示す落下試験機104を用いて落下試験を行った。落下試験機104は、支柱105と、支柱105に対し上下動可能に保持される腕部106とを備える。腕部106に設けられたフック107に包装体1を吊るし、所定の高さから落下させた場合の、第1弱め線の状態を確認した。落下させる包装体1の高さは、地面から包装体1の底面部16までの距離が60cmの高さとした。各試料の内訳と試験の結果を表1及び表2に示す。表2において、落下試験の結果は、第1弱め線に破れが認められなかった場合「〇」、第1弱め線の切り抜き穴が広がっていた場合「△」、第1弱め線の隣り合う切り抜き穴同士が繋がり破れが認められた場合「×」と表記した。
【0089】
【表1】
【0090】
【表2】
【0091】
表1の結果、実施例1~7は、いずれも引裂強度が4N以下であることが確認された。感応評価においても、全て軽い力で引き裂くことができた、との評価が得られた。なお、実施例8及び9は、測定していないが、実施例4~6と比較しても、引裂強度は4N未満であると推測される。
【0092】
表2の結果から、実施例1,4,7はいずれも引張強度が12(N/25mm)以上であり、3.5(kg)の吸収性物品を収納した状態でも、落下試験において包装袋の第1弱め線に破れが認められなかった。これに対し参考例1は、2.5(kg)の吸収性物品を収納した状態で第1弱め線に破れが認められた。
この結果から、3.5(kg)の重量に対し十分な耐久性を有するには、12.3(N/25mm)が必要であるといえる。したがって、引張強度をA(N/25mm)、吸収性物品2の総重量をB(kg)とすると、A/B≧3.5(N/25mm/kg)の関係式から、(12.3[N/25mm]/3.5[kg])=3.5(N/25mm/kg)より、第1弱め線が3.5(N/25mm/kg)の引張強度を有することによって、包装体は、総重量が3.5(kg)の吸収性物品を搬送する際に必要な耐久性を備えるといえる。
厚さが50μm、60μm、70μmのポリエチレンのシート部材について突き刺し試験を行った結果、いずれも引裂強度を超える突き刺し強度が確認された。
【符号の説明】
【0093】
1:包装体
2:吸収性物品
3:包装袋
6:把持予定領域
10:上面部
11:前面部
12:後面部
13:右面部
14:左面部
21:第1弱め線
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11