(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-31
(45)【発行日】2024-11-11
(54)【発明の名称】処理液供給装置及び処理液排出方法
(51)【国際特許分類】
H01L 21/027 20060101AFI20241101BHJP
B05C 11/10 20060101ALI20241101BHJP
F04B 53/00 20060101ALI20241101BHJP
F04B 43/02 20060101ALI20241101BHJP
【FI】
H01L21/30 564C
B05C11/10
F04B53/00 A
F04B43/02 A
(21)【出願番号】P 2021005315
(22)【出願日】2021-01-15
【審査請求日】2023-10-17
(73)【特許権者】
【識別番号】000219967
【氏名又は名称】東京エレクトロン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100096389
【氏名又は名称】金本 哲男
(74)【代理人】
【識別番号】100101557
【氏名又は名称】萩原 康司
(74)【代理人】
【識別番号】100167634
【氏名又は名称】扇田 尚紀
(74)【代理人】
【識別番号】100187849
【氏名又は名称】齊藤 隆史
(74)【代理人】
【識別番号】100212059
【氏名又は名称】三根 卓也
(72)【発明者】
【氏名】中村 知己
(72)【発明者】
【氏名】安達 健二
【審査官】植木 隆和
(56)【参考文献】
【文献】特開平02-086970(JP,A)
【文献】特開2004-176613(JP,A)
【文献】特開2011-204948(JP,A)
【文献】特開2015-230899(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/027
H01L 21/304
F04B 43/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
処理液吐出ノズルから基板上に処理液を供給する処理液供給装置であって、
前記処理液を収容する処理液タンクと前記処理液吐出ノズルとを接続する流路に設けられた、処理液の吸引及び吐出を行う処理液ポンプと、
前記流路における前記処理液ポンプの一次側に設けられた一次側開閉弁と、前記処理液ポンプの二次側に設けられた二次側開閉弁と、を備え、
前記処理液ポンプは、処理液を吸引する一次側の吸引部が処理液を吐出する二次側の吐出部よりも低い位置になるように配置され、
前記流路における前記処理液ポンプと前記一次側開閉弁の間に、前記処理液ポンプ内の処理液を排出する処理液排出流路が設けられ、
前記処理液排出流路には排出路開閉弁が設けられ、
前記処理液排出流路は、前記処理液ポンプの前記吸引部よりも下方に位置し、
さらに制御部を有し、
前記制御部によって、
前記処理液ポンプの一次側の流路を閉鎖した後、前記処理液ポンプの二次側の流路及び、前記一次側の流路における前記閉鎖した箇所よりも前記吸引部側に位置する処理液排出流路を大気開放して、前記処理液ポンプ内の処理液を前記処理液排出流路から自重によって排出するように制御される、処理液供給装置。
【請求項2】
前記制御部は、前記一次側開閉弁を閉鎖し、前記排出路開閉弁、および前記二次側開閉弁を開放して、前記処理液ポンプ内の処理液を排出するように、前記一次側開閉弁、前記排出路開閉弁および前記二次側開閉弁を制御するように構成されている、請求項1に記載の処理液供給装置。
【請求項3】
前記流路における前記処理液ポンプの一次側には、前記処理液ポンプ内に洗浄液を供給する洗浄液供給路が接続されている、請求項1または2のいずれか一項に記載の処理液供給装置。
【請求項4】
前記処理液ポンプを吸引側に作動させて、前記洗浄液供給路からの洗浄液を前記処理液ポンプ内に供給するようにした、請求項3に記載の処理液供給装置。
【請求項5】
前記流路における前記処理液ポンプの二次側には、前記処理液ポンプ内にガスを供給するガス供給路が接続されている、請求項1~4のいずれか一項に記載の処理液供給装置。
【請求項6】
前記処理液ポンプは、ダイヤフラムポンプまたはチューブフラムポンプである、請求項1~5のいずれか一項に記載の処理液供給装置。
【請求項7】
処理液の吸引及び吐出を行う処理液ポンプ内の処理液を排出する方法であって、
前記処理液ポンプは、処理液を吸引する一次側の吸引部が処理液を吐出する二次側の吐出部よりも低い位置になるように配置され、
前記処理液ポンプの一次側の流路の途中に、前記処理液ポンプ内の処理液を排出する処理液排出流路を設け、
前記処理液排出流路は、前記処理液ポンプの前記吸引部よりも下方に位置し、
前記処理液ポンプの一次側の流路を閉鎖した後、前記処理液ポンプの二次側の流路及び、前記一次側の流路における前記閉鎖した箇所よりも前記吸引部側に位置する処理液排出流路を大気開放して、前記処理液ポンプ内の処理液を前記処理液排出流路から
自重によって排出する、処理液の排出方法。
【請求項8】
前記処理液ポンプ内の処理液を排出した後、前記一次側の流路から前記処理液ポンプ内に洗浄液を供給する、請求項7に記載の処理液の排出方法。
【請求項9】
前記処理液ポンプ内の処理液を排出した後、前記
二次側の流路から前記処理液ポンプ内にガスを供給する、請求項7または8のいずれか一項に記載の処理液の排出方法。
【請求項10】
前記処理液の排出方法は、前記処理液ポンプが吸引、吐出する処理液が、他の処理液へと交換される際に先立って実施される、請求項7~9のいずれか一項に記載の処理液の排出方法。
【請求項11】
前記処理液の排出方法は、前記処理液ポンプが吸引、吐出する処理液の供給ラインが保守される際に先立って実施される、請求項7~9のいずれか一項に記載の処理液の排出方法。
【請求項12】
前記処理液の排出方法は、前記処理液ポンプが吸引、吐出する処理液の供給ラインの
立ち上げ時に実施される、請求項7~9のいずれか一項に記載の処理液の排出方法。
【請求項13】
前記流路における前記処理液ポンプの一次側には、前記処理液ポンプ内に洗浄液を供給する洗浄液供給路が接続され、
前記処理液ポンプを吸引側に作動させて、前記洗浄液供給路からの洗浄液を前記処理液ポンプ内に供給する、請求項7~12のいずれか一項に記載の処理液の排出方法。
【請求項14】
前記処理液ポンプは、ダイヤフラムポンプまたはチューブフラムポンプである、請求項7~13のいずれか一項に記載の処理液の排出方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、処理液供給装置及び処理液排出方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から半導体ウェハ(以下、単にウェハということがある)などの基板に、処理液供給ポンプを用いて処理液、例えばレジスト液を供給する処理が行われている。
【0003】
この点に関し、特許文献1には、弾性を有し移送対象の液体が流通するチューブと、
前記チューブの外側を覆い、前記この種の処理液供給ポンプとして、チューブの外表面との間の内部空間で気体を保持するチューブ用筐体と、 前記内部空間への気体の供給と前記内部空間からの気体の排出を行う供給排出部とを備える、ポンプが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本開示の一態様は、処理液吐出ノズルから基板上に処理液を供給する処理液供給装置であって、前記処理液を収容する処理液タンクと前記処理液吐出ノズルとを接続する流路に設けられた、処理液の吸引及び吐出を行う処理液ポンプと、前記流路における前記処理液ポンプの一次側に設けられた一次側開閉弁と、前記処理液ポンプの二次側に設けられた二次側開閉弁と、を備え、前記処理液ポンプは、処理液を吸引する一次側の吸引部が処理液を吐出する二次側の吐出部よりも低い位置になるように配置され、前記流路における前記処理液ポンプと前記一次側開閉弁の間に、前記処理液ポンプ内の処理液を排出する処理液排出流路が設けられ、
前記処理液排出流路には排出路開閉弁が設けられ、前記処理液排出流路は、前記処理液ポンプの前記吸引部よりも下方に位置し、さらに制御部を有し、前記制御部によって、前記処理液ポンプの一次側の流路を閉鎖した後、前記処理液ポンプの二次側の流路及び、前記一次側の流路における前記閉鎖した箇所よりも前記吸引部側に位置する処理液排出流路を大気開放して、前記処理液ポンプ内の処理液を前記処理液排出流路から自重によって排出するように制御される。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一態様は、処理液吐出ノズルから基板上に処理液を供給する処理液供給装置であって、前記処理液を収容する処理液タンクと前記処理液吐出ノズルとを接続する流路に設けられた、処理液の吸引及び吐出を行う処理液ポンプと、前記流路における前記処理液ポンプの一次側に設けられた一次側開閉弁と、前記処理液ポンプの二次側に設けられた二次側開閉弁と、を備え、前記処理液ポンプは、処理液を吸引する一次側の吸引部が処理液を吐出する二次側の吐出部よりも低い位置になるように配置され、前記流路における前記処理液ポンプと前記一次側開閉弁の間に、前記処理液ポンプ内の処理液を排出する処理液排出流路が設けられ、前記処理液排出流路には排出路開閉弁が設けられ、前記処理液排出流路は、前記処理液ポンプの前記吸引部よりも下方に位置している。
【発明の効果】
【0007】
本開示によれば、処理液供給ポンプの洗浄性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】実施の形態にかかる処理液供給装置の系統の概略を示す説明図である。
【
図2】第1の処理液供給ポンプの吸引時の様子を示す説明図である。
【
図3】
図2の第1の処理液供給ポンプから自重によってポンプ室内のレジスト液を排出している様子を示す説明図である。
【
図4】他の実施の形態にかかる処理液供給装置の系統の概略を示す説明図である。
【
図5】第1の処理液供給ポンプのシンナーの吸引時の様子を示す説明図である。
【
図6】
図2の第1の処理液供給ポンプから自重によってポンプ室内のシンナーを排出している様子を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
半導体デバイス等の製造プロセスでは、ウェハ上にレジスト液を供給しレジスト膜を形成するレジスト塗布処理等を含む一連のフォトリソ工程が行われ、ウェハ上に所定のレジストパターンが形成される。
【0010】
このようなプロセスにおいては、例えばスピンチャック上に保持されたウェハにノズルからレジスト液が吐出される。ノズルから吐出されるレジスト液は、レジスト液の供給源であるボトルから、レジスト液を貯留するタンク及びレジスト液の送液を行う送液ラインに設けられたポンプを介してノズルに供給される。
【0011】
ところで、定期的な保守や供給するレジスト液を他の種類のレジスト液に交換する際に、ポンプ内の残留レジスト液を排出する必要がある。この点に関し、従来はエアや不活性ガス(例えば窒素ガス)をポンプの吸引部からポンプ内に圧送し、送液ラインにおけるポンプの二次側の吐出部から離れた位置にあるドレインラインに送って排出するようにしている。
【0012】
しかしながら、この種のポンプは、ダイヤフラムポンプや、特許文献1に示したようなチューブフラムポンプが用いられており、レイアウトの都合上、ポンプの二次側の吐出部が、一次側の吸引部よりも高い位置に配置されることがある。そうすると、ポンプ内(フラム内)に残留しているレジスト液の下方から上方に向けてエアや不活性ガスを供給することになり、ポンプ内にバブリング現象が発生して、ポンプ内のレジスト液を排出しきれないことがある。
【0013】
本開示は、そのような処理液供給ポンプ内に残留しているレジスト液などの処理液を、ポンプ内から効率よく排出して洗浄性を向上させる。
【0014】
以下、本実施の形態について、図面を参照しながら説明する。なお、本明細書において、実質的に同一の機能構成を有する要素においては、同一の符号を付することにより重複説明を省略する。
【0015】
図1は実施の形態にかかる処理液供給装置1の構成の概略を示している。この処理液供給装置1は、スピンチャック2に保持されたウェハW上にノズル3からレジスト液を供給する、レジスト液供給装置として構成されている。
【0016】
レジスト液は、交換可能なボトル4に収容されている。ボトル4からのレジスト液は、ガス流路5を通じて、加圧ガス供給源6からの加圧ガス(例えば窒素ガス)によって、送液流路7からタンク8へと送られる。ボトル4の上部には大気開放流路9が接続されている。ガス流路5には、開閉弁AV1が設けられ、大気開放流路9には開閉弁AV2が設けられている。送液流路7には、開閉弁LV1が設けられている。
【0017】
タンク8の上部には大気開放流路11が設けられている。大気開放流路11には、開閉弁AV3が設けられている。タンク8の底部と、処理液ポンプとしての第1の処理液供給ポンプ21の一次側の吸引部22との間には、送液流路12が設けられている。送液流路12には、開閉弁LV2が設けられている。また第1の処理液供給ポンプ21の二次側の吐出部23には、第2の処理液供給ポンプ41の一次側の吸引部42と接続される送液流路31が設けられている。送液流路31には、開閉弁LV3が設けられている。
【0018】
送液流路31には、フィルタ32が設けられている。フィルタで捕集された気泡は、フィルタに接続された気体排出路33から処理液供給装置1の系外へと排出される。
【0019】
第1の処理液供給ポンプ21は、
図2に示したように、ダイヤフラム構成を有する処理液供給ポンプであり、下側に吸引部22を有し、上側に吐出部23を有している。すなわち、一次側の吸引部22は処理液を吐出する二次側の吐出部23よりも低い位置になるように配置されている。この第1の処理液供給ポンプ21は、内部に可撓性があるフラム24を有している。このフラム24の一側には、ポンプ室25が形成され、他側には作動室26が形成されている。作動室26内に対しては、電空レギュレータ27によるエアの供給、吸引が可能である。
【0020】
そして
図2に示したように開閉弁LV3が閉鎖された状態で、電空レギュレータ27によってエアが吸引されると、フラム24が電空レギュレータ27側へと膨張し、吸引部22から送液流路12を通じて、処理液、例えばレジスト液はポンプ室25内へ吸引される。また開閉弁LV3を開放し、開閉弁LV2を閉鎖した状態で、電空レギュレータ27によってエアを作動室26に供給すると、ポンプ室25内の処理液は吐出部23から送液流路31へと送液される。送液流路31には、フィルタ32が設けられており、レジスト液中の不純物、気泡等を捕集する。捕集した気泡は、気体排出路33を通じて処理液供給装置1の系外へと排出される。気体排出路33には開閉弁AV4が設けられている。
【0021】
第2の処理液供給ポンプ41は、基本的には第1の処理液供給ポンプ21と同じ構成を有している。すなわち、下側に吸引部42を有し、上側に吐出部43を有して、内部に可撓性があるフラム44を有している。フラム44の一側には、ポンプ室45が形成され、他側には作動室46が形成されている。作動室46内に対しては、電空レギュレータ47によるエアの供給、吸引が可能である。
【0022】
第2の処理液供給ポンプ41の吐出部43には、ノズル3と接続される送液流路51が接続されている。送液流路51には、開閉弁LV4が設けられている。そして第2の処理液供給ポンプ41の吐出部43から送液された液体、例えばレジスト液は、送液流路51を通じて、定量分がノズル3からウェハWに向けて供給される。したがって、第1の処理液供給ポンプ21は、定量分のレジスト液を第2の処理液供給ポンプ41へと圧送するためのいわゆるアシストポンプとして機能する。
【0023】
そして
図1、
図2に示したように、送液流路12における第1の処理液供給ポンプ21の吸引部22と開閉弁LV2との間には、処理液排出流路61が設けられている。処理液排出流路61には、開閉弁LV5が設けられている。
図1に示したように、処理液排出流路61は、第1の処理液供給ポンプ21の吸引部22よりも下方に位置している。
【0024】
前記したタンク8、送液流路12、第1の処理液供給ポンプ21、送液流路31、第2の処理液供給ポンプ41、送液流路51は送液ラインを構成する。
【0025】
以上の構成を有する処理液供給装置1は、既述したように制御部100によって制御される。制御部100は、例えばCPUやメモリ等を備えたコンピュータにより構成され、プログラム格納部(図示せず)を有している。プログラム格納部には、処理液供給装置1における各種部材、機構を制御するプログラムが格納されている。例えば、開閉弁LV1~LV6、開閉弁AV1~AV5の開閉、開度調整、第1の処理液供給ポンプ21、第2の処理液供給ポンプ機能全般、電空レギュレータ―27、47などは当該プログラムによって制御される。なお、当該プログラムは、コンピュータに読み取り可能な記憶媒体Hに記録されていたものであって、当該記憶媒体から制御部100にインストールされたものであってもよい。記憶媒体Hは、一時的か非一時的かを問わない。
【0026】
次に処理液供給装置1を用いた実施の形態にかかる処理液排出方法について説明する。例えば送液ラインの保守、使用されるレジスト液を変更する際、送液ライン内のレジストを排出する作業が行われる。このとき、第1の処理液供給ポンプ21内に残留しているレジスト液も系外に排出する必要がある。
【0027】
この第1の処理液供給ポンプ21内の残留レジスト液を排出するには、気体排出路33の開閉弁AV4を閉鎖し、
図3に示したように、まず第1の処理液供給ポンプ21の一次側に位置する開閉弁LV2を閉鎖して、送液流路12を閉鎖する。そして第1の処理液供給ポンプ21の二次側の開閉弁LV3を開放し、またそれと共に処理液排出流路61の開閉弁LV5を開放する。なお送液流路51についていえば、開閉弁LV4も開放しておく。
【0028】
そうすると、フィルタ32に接続されている気体排出路33から第1の処理液供給ポンプ21のポンプ室25、処理液排出流路61までのラインは大気開放され、それによってこのライン内の残留レジスト液は自重によって落下していき、処理液排出流路61から系外へと排出される。したがって、従来のようにガスによる圧送は必要ではなく、自重によって上方から下方へと排出されていくので、従来のように吸引部22からガスによって圧送する際にみられた、ポンプ内でのバブリング現象による吸引部22付近でのレジスト液の残留を、効果的に防止することができる。したがって従来よりも洗浄性が向上している。しかもガスの圧送を伴わないので、必要なエネルギーも低減できる。
【0029】
ところで、レジスト液の粘度、種類によっては、第1の処理液供給ポンプ21のポンプ室25内に当該レジスト液が付着することが想定されることがある。この場合には、適宜レジスト液の溶剤、例えばシンナーを用いて第1の処理液供給ポンプ21のポンプ室25内を洗浄するようにすればよい。
【0030】
すなわち、
図4に示した処理液供給装置1は、送液流路12における第1の処理液供給ポンプ21の吸引部22と開閉弁LV2との間であって、例えば処理液排出流路61と送液流路12との接続部の吸引部22側に、洗浄液供給路71が接続されている。洗浄液供給路71は、洗浄液供給源72に通じている。洗浄液供給路71には開閉弁LV6が設けられている。
【0031】
かかる構成を有する処理液供給装置1によれば、
図5に示したように、送液流路12の開閉弁LV2、送液流路31の開閉弁LV3を各々閉鎖し、洗浄液供給路71の開閉弁LV6を開放し、この状態で第1の処理液供給ポンプ21の電空レギュレータ27を吸引側に作動させれば、洗浄液供給路71から洗浄液としてのシンナーがポンプ室25内に吸引され、ポンプ室25内に付着したレジスト液を溶かしてこれを洗うことができる。
【0032】
そしてその後は、
図6に示したように、洗浄液供給路71の開閉弁LV6を閉鎖し、送液流路31の開閉弁LV3、処理液排出流路61の開閉弁LV5を開放することで、フィルタ32に接続されている気体排出路から第1の処理液供給ポンプ21のポンプ室25、処理液排出流路61までのラインは大気開放され、それによってこのライン内のシンナーは自重によって落下していき、処理液排出流路61から系外へと排出される。このような洗浄動作は、複数回繰り返してもよい。
【0033】
なお前記したような第1の処理液供給ポンプ21のポンプ室25からのレジスト液の排出にあたって、レジスト液の粘度が高く、自重による排出のみでは難しい場合には、
図4に示したように、第1の処理液供給ポンプ21の吐出部23に通ずるガス供給路81を設け、ガス供給路81をガス供給源82に接続してもよい。ガスとしてはエア、不活性ガス、例えば窒素ガスを用いることができる。ガス供給路81には、開閉弁AV5が設けられている。
【0034】
かかる構成により、ガス供給路81からガスを圧送することで、粘度の高いレジスト液であっても、ポンプ室25から処理液排出流路61へと確実にレジスト液を排出することが可能である。
【0035】
またレジスト液の排出後、シンナーの排出後にポンプ室25内を乾燥させたい場合にも、ガス供給路81からのガスの供給によって、ポンプ室25内を迅速に乾燥させることが可能である。
【0036】
なお前記した実施の形態では、第1の処理液供給ポンプ21を本開示にかかる技術の適用例として説明したが、もちろん第2の処理液供給ポンプ41に対しても、本開示にかかる技術を適用してもよい。
【0037】
前記した処理液の排出方法は、第1の処理液供給ポンプ21が吸引、吐出するレジスト液が、他のレジスト液へと交換される際に先立って実施されるようにしてもよい。また処理液の供給ラインが保守される際に先立って、さらには第1の処理液供給ポンプ21が吸引、吐出する処理液の供給ラインを新たに稼働させる際(いわゆる立ち上げ時)に実施されてもよい。
【0038】
なお前記した処理液の排出は、フィルタ32以降のノズル3側の送液ライン(例えば送液流路51)に、処理液が通液していないことを前提として説明していたが、送液流路51に通液が実施され、その液を排液する場合は、ノズル3からポンプ駆動もしくは窒素ガス等による圧力でフィルタ32以降のノズル3側の送液ラインを排液すればよい。
【0039】
また前記した例では、フィルタ32に接続されている気体排出路33と処理液排出流路61とは、排出系が異なる流路であったが、処理液排出流路61の出口と気体排出路33と処理液排出流路61との合流地点を、第1の処理液供給ポンプ21よりも下方に位置させることで、処理液排出流路61と気体排出路33とを共用させて、単一の排出系の流路として構成することも可能である。
【0040】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。上記の実施形態は、添付の請求の範囲及びその主旨を逸脱することなく、様々な形態で省略、置換、変更されてもよい。
【符号の説明】
【0041】
1 処理液供給装置
3 ノズル
8 タンク
12、31、51 送液流路
21 第1の処理液供給ポンプ
22 吸引部
23 吐出部
24 フラム
25 ポンプ室
36 作動室
61 処理液排出流路
100 制御部
LV1~LV6 開閉弁
AV1~AV6 開閉弁
W ウェハ
Z1~Z5 ゾーン