(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-31
(45)【発行日】2024-11-11
(54)【発明の名称】軸受振動減衰装置
(51)【国際特許分類】
F16C 27/02 20060101AFI20241101BHJP
F16C 35/07 20060101ALI20241101BHJP
F16F 15/02 20060101ALI20241101BHJP
【FI】
F16C27/02 Z
F16C35/07
F16F15/02 E
F16F15/02 P
(21)【出願番号】P 2021027421
(22)【出願日】2021-02-24
【審査請求日】2023-11-08
(73)【特許権者】
【識別番号】000000239
【氏名又は名称】株式会社荏原製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100106909
【氏名又は名称】棚井 澄雄
(74)【代理人】
【識別番号】100149548
【氏名又は名称】松沼 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100169764
【氏名又は名称】清水 雄一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100167553
【氏名又は名称】高橋 久典
(72)【発明者】
【氏名】中村 慎策
【審査官】小川 克久
(56)【参考文献】
【文献】特公昭36-018103(JP,B1)
【文献】国際公開第2020/039668(WO,A1)
【文献】特開平02-217613(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16C 27/02
F16C 35/07
F16F 15/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転軸を支持する軸受と、
前記軸受のラジアル方向外側に設けられた突起部と、
前記突起部を収容する溝部が設けられた軸受ハウジングと、
前記突起部と前記溝部とのスラスト方向の隙間に配置され
、振動摩擦により制振作用を生じる摩擦材と、を備え、
前記突起部若しくは前記摩擦材は、ラジアル方向外側に向かうに従ってスラスト方向の寸法が小さくなる楔形状を有し
、
前記突起部若しくは前記摩擦材は、スラスト方向の両方の側面に、傾斜面を備えている、軸受振動減衰装置。
【請求項2】
前記軸受ハウジングは、前記摩擦材に対してスラスト方向の予荷重を与える予圧部材を備えている、
請求項1に記載の軸受振動減衰装置。
【請求項3】
前記予圧部材は、前記溝部のスラスト方向のいずれか一方の側面を形成すると共に前記軸受ハウジングに対し着脱可能な蓋体を、前記軸受ハウジングに対してスラスト方向に締結する締結ボルトである、
請求項2に記載の軸受振動減衰装置。
【請求項4】
前記摩擦材は、前記締結ボルトに外嵌する筒状に形成されている、
請求項3に記載の軸受振動減衰装置。
【請求項5】
前記摩擦材は、前記締結ボルトが挿通する挿通孔が形成され、前記回転軸を周回する環状に形成されている、
請求項3に記載の軸受振動減衰装置。
【請求項6】
回転軸を支持する軸受と、
前記軸受のラジアル方向外側に設けられた突起部と、
前記突起部を収容する溝部が設けられた軸受ハウジングと、
前記突起部と前記溝部とのスラスト方向の隙間に配置された摩擦材と、を備え、
前記突起部若しくは前記摩擦材は、ラジアル方向外側に向かうに従ってスラスト方向の寸法が小さくなる楔形状を有し、
前記軸受ハウジングは、前記摩擦材に対してスラスト方向の予荷重を与える予圧部材を備え、
前記予圧部材は、前記溝部のスラスト方向のいずれか一方の側面を形成すると共に前記軸受ハウジングに対し着脱可能な蓋体を、前記軸受ハウジングに対してスラスト方向に締結する締結ボルトであり、
前記摩擦材は、前記締結ボルトに外嵌する筒状に形成されている、軸受振動減衰装置。
【請求項7】
回転軸を支持する軸受と、
前記軸受のラジアル方向外側に設けられた突起部と、
前記突起部を収容する溝部が設けられた軸受ハウジングと、
前記突起部と前記溝部とのスラスト方向の隙間に配置された摩擦材と、を備え、
前記突起部若しくは前記摩擦材は、ラジアル方向外側に向かうに従ってスラスト方向の寸法が小さくなる楔形状を有し、
前記軸受ハウジングは、前記摩擦材に対してスラスト方向の予荷重を与える予圧部材を備え、
前記予圧部材は、前記溝部のスラスト方向のいずれか一方の側面を形成すると共に前記軸受ハウジングに対し着脱可能な蓋体を、前記軸受ハウジングに対してスラスト方向に締結する締結ボルトであり、
前記摩擦材は、前記締結ボルトが挿通する挿通孔が形成され、前記回転軸を周回する環状に形成されている、軸受振動減衰装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、軸受振動減衰装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
下記特許文献1には、ロケットエンジンターボポンプなどの高速回転軸を支持する軸受の振動を抑制する軸受の振動減衰装置が開示されている。ロケットエンジンターボポンプなどの高速回転軸では、危険速度での強制振動や自励振動など、軸振動が問題になることが多い。高速回転機の軸振動を抑制するため、潤滑油の粘性を利用したスクイーズフィルムダンパを付加することがある。しかし、オイルレス機器や、極低温下で運転されるロケットエンジンターボポンプなどでは、潤滑油を使用することができないため、スクイーズフィルムダンパを付加することが難しい。このため、特許文献1に記載の軸受の振動減衰装置では、振動摩擦により制振作用を生じる球状粒子(摩擦材)を、軸受と軸受ハウジングとの間に配置している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記のような摩擦材を利用した軸受振動減衰装置においては、軸受の振幅に反比例して減衰定数が低下するという特性があり、軸受の振幅が増加すると摩擦による減衰比が減少し、振動が急増するといった問題がある。
【0005】
本発明は、上記問題点に鑑みてなされたものであり、軸受の振幅の増加に伴う摩擦による減衰比の減少を抑制することができる軸受振動減衰装置の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様に係る軸受振動減衰装置は、回転軸を支持する軸受と、前記軸受のラジアル方向外側に設けられた突起部と、前記突起部を収容する溝部が設けられた軸受ハウジングと、前記突起部と前記溝部とのスラスト方向の隙間に配置された摩擦材と、を備え、前記突起部若しくは前記摩擦材は、ラジアル方向外側に向かうに従ってスラスト方向の寸法が小さくなる楔形状を有している。
【0007】
上記軸受振動減衰装置においては、前記突起部若しくは前記摩擦材は、スラスト方向のいずれか一方の側面に、傾斜面を備えていてもよい。
【0008】
上記軸受振動減衰装置においては、前記突起部若しくは前記摩擦材は、スラスト方向の両方の側面に、傾斜面を備えていてもよい。
【0009】
上記軸受振動減衰装置においては、前記軸受ハウジングは、前記摩擦材に対してスラスト方向の予荷重を与える予圧部材を備えていてもよい。
【0010】
上記軸受振動減衰装置においては、前記予圧部材は、前記溝部のスラスト方向のいずれか一方の側面を形成すると共に前記軸受ハウジングに対し着脱可能な蓋体を、前記軸受ハウジングに対してスラスト方向に締結する締結ボルトであってもよい。
【0011】
上記軸受振動減衰装置においては、前記摩擦材は、前記締結ボルトに外嵌する筒状に形成されていてもよい。
【0012】
上記軸受振動減衰装置においては、前記摩擦材は、前記締結ボルトが挿通する挿通孔が形成され、前記回転軸を周回する環状に形成されていてもよい。
【発明の効果】
【0013】
上記本発明の一態様によれば、軸受の振幅の増加に伴う摩擦による減衰比の減少を抑制することができる軸受振動減衰装置を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】第1実施形態に係る軸受振動減衰装置を示す側断面図である。
【
図2】第1実施形態に係る軸受振動減衰装置の摩擦材の配置をスラスト方向から見た正面図である。
【
図3】第1実施形態の一変形例に係る軸受振動減衰装置の摩擦材の配置をスラスト方向から見た正面図である。
【
図4】第1実施形態の一変形例に係る軸受振動減衰装置を示す側断面図である。
【
図5】第1実施形態の一変形例に係る軸受振動減衰装置を示す側断面図である。
【
図6】第2実施形態に係る軸受振動減衰装置を示す側断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の一実施形態について図面を参照して説明する。
【0016】
(第1実施形態)
図1は、第1実施形態に係る軸受振動減衰装置1を示す側断面図である。
図2は、第1実施形態に係る軸受振動減衰装置1の摩擦材40の配置をスラスト方向から見た正面図である。なお、
図1は、
図2に示す矢視I-I断面に対応している。
図1に示すように、軸受振動減衰装置1は、回転軸2を支持する軸受10と、軸受10のラジアル方向外側に設けられた突起部20と、突起部20を収容する溝部31が設けられた軸受ハウジング30と、突起部20と溝部31とのスラスト方向の隙間に配置された摩擦材40と、を備えている。
【0017】
なお、周知のように、ラジアル方向とは、回転軸2の中心軸Oに対して直角の方向を言う。また、スラスト方向とは、回転軸2の中心軸Oに対して平行な方向を言う。
【0018】
軸受10は、回転軸2からラジアル荷重を受けるラジアル軸受である。軸受10は、回転軸2の外周に嵌合する内輪11と、内輪11のラジアル方向外側に配置された外輪12と、内輪11と外輪12との間に介在する複数の転動体13(ボール)と、を備えている。なお、本実施形態の軸受10は、転がり軸受であるが、滑り軸受などであっても構わない。
【0019】
突起部20は、軸受10の外輪12に設けられている。突起部20は、外輪12の外周に取り付けられたベース部21と、ベース部21からラジアル方向外側に突出した凸部22と、を備えている。ベース部21は、スラスト方向に延びる平板形状を有している。凸部22は、ラジアル方向外側に向かうに従ってスラスト方向の寸法が小さくなる楔形状を有している。
【0020】
凸部22は、スラスト方向の両方の側面23a,23bに、傾斜面を備えている。また、凸部22には、一方の側面23aから他方の側面23bまでスラスト方向に貫通する貫通孔24が形成されている。凸部22のラジアル方向の先端は、平坦面となっている。凸部22は、
図1に示す断面視で、等脚台形の楔形状を有している。
【0021】
軸受ハウジング30は、軸受10のラジアル方向外側に配置され、軸受10を覆う円筒状に設けられている。軸受ハウジング30は、摩擦材40及び突起部20を介して軸受10を支持している。軸受ハウジング30には、突起部20の凸部22がラジアル方向で挿入される溝部31が形成されている。
【0022】
溝部31は、凸部22とスラスト方向で対向する側面31a,31bと、凸部22とラジアル方向で対向する底面31cと、を有している。溝部31の一方の側面31aは、軸受ハウジング30に対し着脱可能な蓋体32によって形成されている。蓋体32は、締結ボルト50によって、軸受ハウジング30に対してスラスト方向に締結されている。
【0023】
蓋体32には、スラスト方向に貫通する貫通孔32aが形成されている。締結ボルト50は、蓋体32の貫通孔32a、凸部22の貫通孔24を挿通し、軸受ハウジング30の他方の側面31bに形成されたねじ孔31dに螺合している。締結ボルト50は、突起部20と溝部31とのスラスト方向の隙間に配置された摩擦材40に対してスラスト方向の予荷重を与える予圧部材である。なお、予荷重に関しては、板ばね等を挟むことで調節してもよい。
【0024】
締結ボルト50には、一種のバネとしての役割を持たせており、締結ボルト50と凸部22の貫通孔24との間には隙間は持たせていない。つまり、軸受10(回転軸2)は、突起部20を介して締結ボルト50で弾性支持されており、ラジアル方向への変位は、締結ボルト50が弾性変形することで可能となっている。なお、凸部22の先端と溝部31の底面31cとの間には、ラジアル方向に隙間が形成されている。
【0025】
摩擦材40は、締結ボルト50に外嵌する筒状に形成されている。摩擦材40は、凸部22の一方の側面23aと溝部31の一方の側面31aとのスラスト方向の隙間、及び、凸部22の他方の側面23bと溝部31の他方の側面31bとのスラスト方向の隙間に配置されている。摩擦材40としては、ワイヤメッシュ、球状粒子(ネットや袋詰めのものが好ましい)、積層板、ブレーキ材(レジンモールド材、焼結材)などを使用することができる。
【0026】
摩擦材40は、凸部22の側面23a,23bに対向する対向面42aが、側面23a,23bと傾斜面同士で接触可能とされている。また、摩擦材40は、溝部31の側面31a,31bに対向する対向面42bが、側面31a,31bと同様に、回転軸2の中心軸Oと直交する平面に対して傾いておらず、両者が平面同士で接触可能とされている。
【0027】
図2に示すように、締結ボルト50は、軸受ハウジング30の周方向に間隔をあけて複数設けられ、環状の蓋体32(
図2において不図示)を複数個所で軸受ハウジング30に締結している。複数の締結ボルト50のそれぞれには、筒状の摩擦材40が外嵌している。なお、突起部20は、軸受10の外輪12に環状に設けられているが、外輪12に複数の突起片として設けられていても構わない。
【0028】
上記構成の軸受振動減衰装置1によれば、
図1に示すように、回転軸2を支持する軸受10と、軸受10のラジアル方向外側に設けられた突起部20と、突起部20を収容する溝部31が設けられた軸受ハウジング30と、突起部20と溝部31とのスラスト方向の隙間に配置された摩擦材40と、を備え、突起部20は、ラジアル方向外側に向かうに従ってスラスト方向の寸法が小さくなる楔形状を有している。この構成によれば、軸受10が回転軸2からラジアル荷重を受け、突起部20のラジアル方向の振幅が増加すると、楔形状の凸部22が摩擦材40に対し食い込むように変位し、摩擦材40にかかる面圧が増加する。このため、軸受10の振幅の増加に伴う、軸受振動減衰装置1の減衰比の減少を抑制することができる。
【0029】
また、上記軸受振動減衰装置1においては、突起部20は、スラスト方向の両方の側面23a,23bに、傾斜面を備えている。この構成によれば、突起部20のスラスト方向の両側に配置された摩擦材40にかかる面圧を増加させることができる。
【0030】
また、上記軸受振動減衰装置1においては、軸受ハウジング30は、摩擦材40に対してスラスト方向の予荷重を与える締結ボルト50を備えている。この構成によれば、軸受振動減衰装置1の減衰比を調節することができる。
【0031】
また、上記軸受振動減衰装置1においては、締結ボルト50は、溝部31のスラスト方向のいずれか一方の側面を形成すると共に軸受ハウジング30に対し着脱可能な蓋体32を、軸受ハウジング30に対してスラスト方向に締結している。この構成によれば、蓋体32を軸受ハウジング30に締結する締結ボルト50を利用して、摩擦材40に対する予荷重を調節することができる。
【0032】
上記軸受振動減衰装置1においては、摩擦材40は、締結ボルト50に外嵌する筒状に形成されている。この構成によれば、締結ボルト50を利用して容易に摩擦材40を配置できる。
【0033】
なお、上述した第1実施形態は、以下のような変形例を採用することができる。
【0034】
図3は、第1実施形態の一変形例に係る軸受振動減衰装置1の摩擦材40の配置をスラスト方向から見た正面図である。
図3に示す軸受振動減衰装置1においては、摩擦材40は、締結ボルト50が挿通する挿通孔41が形成され、回転軸2を周回する環状に形成されている。この構成によれば、摩擦材40の部品点数が減少するため、軸受振動減衰装置1を組み立てやすくなる。
【0035】
図4は、第1実施形態の一変形例に係る軸受振動減衰装置1を示す側断面図である。
図4に示す軸受振動減衰装置1においては、突起部20は、スラスト方向のいずれか一方の側面(
図4では側面23bのみ)に、傾斜面を備えている。突起部20のもう一つの側面23aは、回転軸2の中心軸Oと直交する平面に対し傾いていない。この構成においても、軸受10の振幅が増加すると、楔状の突起部20の側面23bが摩擦材40に押し付けられて面圧が増加するため、減衰比の低下を抑制できる。
【0036】
図5は、第1実施形態の一変形例に係る軸受振動減衰装置1を示す側断面図である。
図5に示す軸受振動減衰装置1においては、突起部20は、スラスト方向のいずれか一方の側面(
図4では側面23aのみ)に、傾斜面を備えている。突起部20のもう一つの側面23bは、回転軸2の中心軸Oと直交する平面に対し傾いていない。この構成においても、軸受10の振幅が増加すると、楔状の突起部20の側面23aが摩擦材40に押し付けられて面圧が増加するため、減衰比の低下を抑制できる。
【0037】
(第2実施形態)
次に、本発明の第2実施形態について説明する。以下の説明において、上述の実施形態と同一又は同等の構成については同一の符号を付し、その説明を簡略若しくは省略する。
【0038】
図6は、第2実施形態に係る軸受振動減衰装置1を示す側断面図である。
図6に示すように、第2実施形態の軸受振動減衰装置1は、ラジアル方向外側に向かうに従ってスラスト方向の寸法が小さくなる楔形状を有した摩擦材40を備えている。
【0039】
摩擦材40は、溝部31の側面31a,31bに対向する対向面42bが、回転軸2の中心軸Oと直交する平面に対して傾いている。溝部31の側面31a,31bも、摩擦材40の対向面42bに応じて傾いている。
【0040】
一方、摩擦材40は、突起部20の凸部22の側面23a,23bに対向する対向面42aが、回転軸2の中心軸Oと直交する平面に対して傾いていない。凸部22の側面23a,23bも、回転軸2の中心軸Oと直交する平面に対して傾いていない。
【0041】
摩擦材40のラジアル方向内側の基端は、突起部20のベース部21に接触している。摩擦材40のラジアル方向外側の先端は、溝部31の底面31cに接触している。なお、摩擦材40が球状粒子などでない成形体である場合には、摩擦材40のラジアル方向外側の先端と溝部31の底面31cとの間に、ラジアル方向の隙間が形成されていても構わない。
【0042】
上記構成によれば、軸受10が回転軸2からラジアル荷重を受け、突起部20のラジアル方向の振幅が増加すると、ベース部21によって摩擦材40がラジアル方向に圧縮され、摩擦材40がスラスト方向に膨張しようとすることで、突起部20と摩擦材40との間にかかる面圧が増加する。なお、摩擦材40が球状粒子などでない成形体である場合には、突起部20のラジアル方向の振幅が増加すると、楔形状の摩擦材40が凸部22と溝部31の隙間に対し食い込むように変位し、摩擦材40にかかる面圧が増加する。このため、軸受10の振幅の増加に伴う、軸受振動減衰装置1の減衰比の減少を抑制することができる。
【0043】
なお、摩擦材40のスラスト方向の両方の対向面42a,42bが、傾斜面となっていても同様の作用効果が得られる。
【0044】
以上、本発明の好ましい実施形態を記載し説明してきたが、これらは本発明の例示的なものであり、限定するものとして考慮されるべきではないことを理解すべきである。追加、省略、置換、およびその他の変更は、本発明の範囲から逸脱することなく行うことができる。従って、本発明は、前述の説明によって限定されていると見なされるべきではなく、特許請求の範囲によって制限されている。
【符号の説明】
【0045】
1 軸受振動減衰装置
2 回転軸
10 軸受
11 内輪
12 外輪
13 転動体
20 突起部
21 ベース部
22 凸部
23a 側面
23b 側面
24 貫通孔
30 軸受ハウジング
31 溝部
31a 側面
31b 側面
31c 底面
31d ねじ孔
32 蓋体
32a 貫通孔
40 摩擦材
41 挿通孔
50 締結ボルト(予圧部材)
O 中心軸