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特許7580386熱酸化品質が高い厚い酸化膜を低温で成長させる方法
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  • 特許-熱酸化品質が高い厚い酸化膜を低温で成長させる方法 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-31
(45)【発行日】2024-11-11
(54)【発明の名称】熱酸化品質が高い厚い酸化膜を低温で成長させる方法
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/316 20060101AFI20241101BHJP
   H01L 21/31 20060101ALI20241101BHJP
【FI】
H01L21/316 S
H01L21/31 E
【請求項の数】 14
(21)【出願番号】P 2021555610
(86)(22)【出願日】2020-02-23
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-05-16
(86)【国際出願番号】 US2020019394
(87)【国際公開番号】W WO2020190449
(87)【国際公開日】2020-09-24
【審査請求日】2023-02-16
(31)【優先権主張番号】62/821,298
(32)【優先日】2019-03-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】390040660
【氏名又は名称】アプライド マテリアルズ インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】APPLIED MATERIALS,INCORPORATED
【住所又は居所原語表記】3050 Bowers Avenue Santa Clara CA 95054 U.S.A.
(74)【代理人】
【識別番号】110002077
【氏名又は名称】園田・小林弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】レシュキーズ, カーティス
(72)【発明者】
【氏名】スウェンバーグ, ヨハネス エフ.
(72)【発明者】
【氏名】コロンボー, ベンジャミン
(72)【発明者】
【氏名】ヴァハヴェルベク, スティーヴン
【審査官】原島 啓一
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2001/0025971(US,A1)
【文献】特開昭56-135936(JP,A)
【文献】特開2012-044192(JP,A)
【文献】特開平08-031813(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2019/0019681(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/316
H01L 21/31
H01L 21/205
H01L 21/26-21/268
H01L 21/312-21/314
H01L 21/318-21/32
H01L 21/322-21/326
H01L 21/365
H01L 21/42-21/425
H01L 21/428
H01L 21/469-21/475
H01L 21/477-21/479
H01L 21/86
C23C 16/00-16/56
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
酸化ケイ素膜を形成する方法であって、
ケイ素含有膜が堆積された基板を、高圧容器の処理領域内にロードすることと、
前記ケイ素含有膜上に酸化ケイ素膜を形成することであって、
バールより高い圧力で、アミン添加物を含む酸化媒体に前記ケイ素含有膜を曝露すること、及び
00℃と550℃との間の温度に前記高圧容器を維持すること
を含む、酸化ケイ素膜を形成することと、
を含み、
前記酸化媒体が、1,000ppm~20,000ppmの前記アミン添加物を含む、方法。
【請求項2】
ケイ素含有膜が堆積された基板を、高圧容器の処理領域内にロードすることと、
前記ケイ素含有膜上に酸化ケイ素膜を形成することであって、
1バールより高い圧力で、アミン添加物を含む酸化媒体に前記ケイ素含有膜を曝露すること、及び
100℃と550℃との間の温度に前記高圧容器を維持すること
を含む、酸化ケイ素膜を形成することと、
を含み、
前記ケイ素含有膜が窒化ケイ素膜であり、前記酸化媒体が水素系添加物をさらに含む、方法。
【請求項3】
記アミン添加物が、アンモニウム又はアンモニアを含む、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
前記酸化媒体が、蒸気、過酸化物、酸素、オゾン、水蒸気、重水、水酸化物を含有する化合物、酸素同位体、水素同位体、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項1または2に記載の方法。
【請求項5】
前記酸化ケイ素膜が、20オングストロームと400オングストロームの間の均一な厚さを有し、前記温度が400℃と505℃との間である、請求項1または2に記載の方法。
【請求項6】
前記ケイ素含有膜上に前記酸化ケイ素膜を形成することが、5~150分の時間にわたって実施される、請求項1または2に記載の方法。
【請求項7】
コンフォーマルな酸化ケイ素膜を形成する方法であって、
複数のビアを含む基板上にケイ素含有膜を堆積させることであって、前記ケイ素含有膜が、前記基板の各露出表面及び前記複数のビアの上に堆積させられる、ケイ素含有膜を堆積させることと、
前記ケイ素含有膜が堆積された前記基板を、高圧容器の処理領域内にロードすることと、
前記ケイ素含有膜上にコンフォーマルな酸化ケイ素膜を形成することであって、
アミン添加物を含む酸化媒体に前記ケイ素含有膜を曝露することであって、前記酸化媒体が1,000ppm~20,000ppmの前記アミン添加物を含む、前記ケイ素含有膜を曝露すること、及び
00℃と550℃との間の温度、かつ1バールと65バールの間の圧力に前記高圧容器を維持すること
を含む、コンフォーマルな酸化ケイ素膜を形成することと、
を含む、方法。
【請求項8】
前記アミン添加物が、アンモニウム又はアンモニアを含み、前記酸化媒体が、7,000ppmの前記アミン添加物を含む、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記酸化媒体が、蒸気、過酸化物、酸素、オゾン、水蒸気、重水、水酸化物を含有する化合物、酸素同位体、水素同位体、及びこれらの組み合わせからなる群から選択され、前記ケイ素含有膜が、ケイ素又は窒化ケイ素を含む、請求項7に記載の方法。
【請求項10】
前記酸化媒体が蒸気であり、前記アミン添加物がアンモニアであり、前記ケイ素含有膜が窒化ケイ素膜であり、前記酸化媒体が水素系添加物をさらに含む、請求項7に記載の方法。
【請求項11】
前記ケイ素含有膜上に前記酸化ケイ素膜を形成することが、400℃と505℃との間との温度で、5~150分の時間にわたって実施され、前記コンフォーマルな酸化ケイ素膜が、20オングストロームと400オングストロームとの間の均一な厚さを有する、請求項7に記載の方法。
【請求項12】
酸化ケイ素膜を形成する方法であって、
ケイ素含有膜が堆積された基板を、高圧容器の処理領域内にロードすることと、
前記ケイ素含有膜上に酸化ケイ素膜を形成することであって、
アンモニアを含む酸化媒体に前記ケイ素含有膜を曝露することであって、前記酸化媒体が蒸気、酸素、及び過酸化物の群から選択される、前記ケイ素含有膜を曝露すること、及び
400℃と505℃との間の温度、かつ10バールより高い圧力に前記高圧容器を維持することであって、前記酸化ケイ素膜が、100オングストロームと400オングストロームとの間の均一な厚さを有する、前記高圧容器を維持すること
を含み、
前記酸化媒体が、1,000ppm~20,000ppmの前記アンモニアを含む、方法。
【請求項13】
酸化ケイ素膜を形成する方法であって、
ケイ素含有膜が堆積された基板を、高圧容器の処理領域内にロードすることと、
前記ケイ素含有膜上に酸化ケイ素膜を形成することであって、
アンモニアを含む酸化媒体に前記ケイ素含有膜を曝露することであって、前記酸化媒体が蒸気、酸素、及び過酸化物の群から選択される、前記ケイ素含有膜を曝露すること、及び
400℃と505℃との間の温度、かつ10バールより高い圧力に前記高圧容器を維持することであって、前記酸化ケイ素膜が、100オングストロームと400オングストロームとの間の均一な厚さを有する、前記高圧容器を維持すること
を含み、
前記ケイ素含有膜が、ケイ素又は窒化ケイ素を含み、前記圧力が、10バールと60バールとの間である、方法。
【請求項14】
前記ケイ素含有膜上に前記酸化ケイ素膜を形成することが、5~120分の時間にわたって実施される、請求項12または13に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書に記載の実施形態は、概して、半導体基板上に低誘電材料を形成する方法に関する。より具体的には、本明細書に記載の実施形態は、添加物を含む酸化媒体を用いて、高圧かつ低温で酸化ケイ素膜を形成する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
メモリ素子、論理素子、マイクロプロセッサ等といった半導体素子の形成には、半導体基板の上に低誘電率誘電体膜を堆積させることが含まれる。低誘電率誘電体膜は、上記素子の製造のための回路を作製するために使用される。現在の乾式又は湿式のケイ素酸化技術は、800℃より高い温度で実施されることが多い。しかしながら、半導体基板上に堆積させられる材料は、800℃より高い温度には耐えられない可能性がある。その結果、低誘電率誘電体膜を、800℃の熱バジェットよりも高い温度では堆積させることができず、熱バジェットの範囲内で堆積された膜の劣悪な品質に悩まされることが多い。加えて、現在の乾式又は湿式のケイ素酸化技術では、厚さが100オングストロームよりも大きくて品質の高い低誘電率誘電体膜を堆積させることができない。
【0003】
従って、熱バジェット目標を満たす温度で、高品質の低誘電率誘電体膜を堆積させる方法が必要とされている。
【発明の概要】
【0004】
本明細書に記載の実施形態は、概して、半導体基板上に低誘電率誘電材料を形成する方法に関する。より具体的には、本明細書に記載の実施形態は、高圧及び低温で酸化ケイ素膜を形成する方法に関する。酸化ケイ素膜を形成する方法は、ケイ素含有膜が形成された基板を、高圧容器の処理領域内にロードすることを含む。本方法は、ケイ素含有膜上に酸化ケイ素膜を形成することをさらに含む。ケイ素含有膜上に酸化ケイ素膜を形成することは、約1バールより高い圧力で、アミン添加物を含む酸化媒体にケイ素含有膜を曝露することと、約100℃と約550℃との間の温度に高圧容器を維持することを含む。
【0005】
酸化ケイ素膜を形成する方法は、ケイ素含有膜が堆積された基板を高圧容器の処理領域内にロードすることと、ケイ素含有膜上に酸化ケイ素膜を形成することを含む。ケイ素含有膜上に酸化ケイ素膜を形成することは、約1バールより高い圧力で、アミン添加物を含む酸化媒体にケイ素含有膜を曝露することと、約100℃と約550℃との間の温度に高圧容器を維持することを含む。
【0006】
コンフォーマルな酸化ケイ素膜を形成する方法は、複数のビアを含む基板上にケイ素含有膜を堆積させることを含む。ケイ素含有膜が、基板の各露出表面及び複数のビアの上に堆積させられる。本方法は、ケイ素含有膜が堆積された基板を、高圧容器の処理領域内にロードすることと、ケイ素含有膜上にコンフォーマルな酸化ケイ素膜を形成することをさらに含む。ケイ素含有膜上にコンフォーマルな酸化ケイ素膜を形成することは、アミン添加物を含む酸化媒体にケイ素含有膜を曝露することであって、酸化媒体が約1,000ppm~約20,000ppmのアミン添加物を含む、ケイ素含有膜を曝露すること、及び、約100℃と約550℃との間の温度かつ約1バールと約65バールの間の圧力に高圧容器を維持することを含む。
【0007】
酸化ケイ素膜を形成する方法は、ケイ素含有膜が堆積された基板を、高圧容器の処理領域内にロードすることと、ケイ素含有膜上に酸化ケイ素膜を形成することを含む。ケイ素含有膜上に酸化ケイ素膜を形成することは、アンモニアを含む酸化媒体にケイ素含有膜を曝露することであって、酸化媒体が蒸気、酸素、及び過酸化物の群から選択される、ケイ素含有膜を曝露することと、約400℃と約505℃との間の温度かつ約10バールより高い圧力に高圧容器を維持することと、を含む。酸化ケイ素膜は、約100オングストロームと約400オングストロームの間の均一な厚さを有する。
【0008】
本開示の上記の特徴を詳細に理解することができるように、上記で簡単に要約した本開示のより具体的な説明を、実施形態を参照することによって行うことができ、その幾つかを添付の図面に示す。しかしながら、添付の図面は例示的な実施形態を示しているのにすぎず、従って、その範囲を限定するものと見做すべきではなく、他の同等に有効な実施形態を許容しうることに注意されたい。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本明細書に記載の1つ以上の実現を実施するために使用されうる高圧容器の一例の簡略化された正面断面図を示す。
図2A】本明細書に開示された実施形態に係る、ケイ素含有膜が堆積された半導体素子を示す。
図2B】本明細書に開示された実施形態に係る、コンフォーマルで均一な酸化ケイ素膜が形成された半導体素子の一図を示す。
図2C】本明細書に開示された実施形態に係る、コンフォーマルで均一な酸化ケイ素膜が形成された半導体素子の一図を示す。
図2D】本明細書に開示された実施形態に係る、コンフォーマルで均一な酸化ケイ素膜が形成された半導体素子の一図を示す。
図3】一実施形態に係る、コンフォーマルな酸化ケイ素膜を形成する方法を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
理解を容易にするため、可能な場合には、複数の図に共通する同一の要素を示すのに同一の参照番号を使用した。1の実施形態の構成要素及び特徴が、更なる記載がなくとも、他の実施形態に有益に組み込まれうることが想定されている。
【0011】
本明細書に記載の実施形態は、概して、半導体基板上に低誘電率誘電材料を形成する方法に関する。より具体的には、本明細書に記載の実施形態は、高圧かつ低温で酸化ケイ素膜を形成する方法に関する。酸化ケイ素膜を形成する方法は、ケイ素含有膜が形成された基板を、高圧容器の処理領域内にロードすることを含む。本方法は、ケイ素含有膜上に酸化ケイ素膜を形成することをさらに含む。ケイ素含有膜上に酸化ケイ素膜を形成することは、約1バールより高い圧力で、アミン添加物を含む酸化媒体にケイ素含有膜を曝露することと、約100℃と約550℃との間の温度に高圧容器を維持することを含む。
【0012】
本明細書に記載の実現を、以下では、高圧酸化システムを用いて実施することが可能な高圧酸化プロセスを参照しながら説明することにする。図1における本明細書に記載の装置の説明は例示的なものであり、本明細書に記載の実施形態の範囲を限定するものとして理解又は解釈されるべきではない。
【0013】
図1は、高圧アニーリングプロセスための高圧容器100の簡略化された正面断面図である。高圧容器100は、外面112と、処理領域115を取り囲む内面113とを含む本体110を有する。図1におけるような幾つかの実現において、本体110は、環状の断面を有しているが、他の実施形態において、本体110の断面は矩形又は任意の閉じた形状であってよい。本体110の外面112は、例えば、限定するものではないが、ステンレス鋼といった耐食鋼(CRS:corrosion resistant steel)で作製されうる。一実現において、本体110の内面113は、例えば、限定するものではないが、Hastelloy(登録商標)といった、腐食に対して高い耐性を示すニッケル系合金鋼から作製される。
【0014】
高圧容器100は、本体110内の処理領域115を密閉するよう構成されたドア120を有しており、これにより、ドア120が開かれていると、処理領域115にアクセスすることが可能である。高圧シール部122が、ドア120を本体110に対してシールするために利用され、従って、処理のために処理領域115がシールされる。高圧シール部122は、例えば、限定するものではないが、ペルフロウロエラストマーといったポリマーから作製されうる。冷却チャネル124が、高圧シール部122の近傍のドア120上に配置されており、従って、処理中に高圧シール部122が、高圧シール部122の最大安全動作温度を下回る温度で維持される。高圧シール部122を約150℃と約250℃との間の温度に維持するために、冷却チャネル124の中を、冷却剤(例えば、限定するものではないが、不活性の、誘電性の、及び/又は高性能の熱伝達流体など)が循環しうる。冷却チャネル124の中の冷却剤の流れが、コントローラ180によって、温度センサ116又は流量センサ(図示せず)から受信されるフィードバックを介して制御される。
【0015】
高圧容器100は、本体110を貫通するポート117を有している。ポート117は、それを通るパイプ118であって、ヒータ119に連結されたパイプ118を有する。パイプ118の一端が、処理領域115に接続されている。パイプ118の他端が、入口導管157と出口導管161に分岐している。入口導管157は、遮断バルブ155を介してガスパネル150に流体接続されている。入口導管157は、ヒータ158に連結されている。出口導管161は、遮断バルブ165を介して凝縮器(condenser)160に流体接続されている。出口導管161は、ヒータ162に連結されている。ヒータ119、158、及び162は、パイプ118、入口導管157、及び出口導管161のそれぞれを通る処理ガス、例えば酸化媒体を、当該処理ガスの凝縮点と約250℃との間の温度に維持するよう構成されている。ヒータ119、158、及び162は、電源145によって電力供給される。
【0016】
ガスパネル150は、酸化媒体といった処理流体を、パイプ118を通じて処理領域115内に転送するために、加圧下で入口導管157内に供給するよう構成されている。酸化媒体は、アミン添加物を含む。処理領域115に導入される処理ガスの圧力は、本体110に連結された圧力センサ114によって監視されている。凝縮器160が、冷却流体と流体的に接続されており、パイプ118を介して処理領域115から除去された後に出口導管161を流過する気体生成物を凝結させるよう構成されている。凝縮器160は、気体生成物を気相から液相に変える。ポンプ170が、凝縮器160に流体接続されており、液化した生成物を凝縮器160から排出する。ガスパネル150、凝縮器160、及びポンプ170の動作は、コントローラ180によって制御される。
【0017】
遮断バルブ155及び165は、一度に一流体のみがパイプ118を介して処理領域115に流入するように構成されている。遮断バルブ155が開いているときには、遮断バルブ165が閉じられており、これにより、入口導管157を通る処理流体が処理領域115の中へと進入し、処理ガスの流れが凝縮器160に入ることが防止される。その一方で、遮断バルブ165が開いているときには、遮断バルブ155が閉じられており、これにより、気体生成物が処理領域115から除去されて出口導管161を通って流れ、気体生成物の流れがガスパネル150に入ることが防止される。
【0018】
1つ以上のヒータ140a、140b(総称140)が、本体110に載置されており、高圧容器100内の処理領域115を加熱するよう構成されている。幾つかの実現において、図1に示すように、ヒータ140が本体110の外面112に載置されているが、他の実施形態では、ヒータ140が本体110の内面113に載置されてよい。各ヒータ140は、抵抗コイル、ランプ、セラミックヒータ、グラファイト系CFC(carbon fiber composite、炭素繊維複合材)ヒータ、ステンレス鋼ヒータ、又はアルミヒータでありうる。ヒータ140は、電源145により電力供給されている。ヒータ140への電力は、温度センサ116から受け取ったフィードバックを介してコントローラ180によって制御される。温度センサ116が本体110に結合されており、処理領域115の温度を監視する。
【0019】
アクチュエータ(図示せず)に結合されたカセット130が、処理領域115の中へと及び処理領域115から外へ移動させられる。カセット130は、上面132と、底面134と、壁部136とを有している。カセット130の壁部136は、複数の基板ストレージスロット138を有している。各基板ストレージスロット138は、カセット130の壁部136に沿って均等に間隔が置かれている。各基板ストレージスロット138は、基板135をその中で保持するよう構成される。カセット130は、基板135を保持するための50個ものストレージスロット138を有しうる。カセット130は、高圧容器100の中へと、及び高圧容器100から外へ複数の基板135を移送するための、並びに、処理領域115内で複数の基板135を処理するための有効な移送手段を提供する。
【0020】
コントローラ180が、高圧容器100の動作を制御する。コントローラ180は、ガスパネル150、凝縮器160、ポンプ170、遮断バルブ155及び165、並びに電源145の動作を制御する。コントローラ180はまた、温度センサ116、圧力センサ114、及び冷却チャネル124に通信可能に接続されている。コントローラ180は、中央処理装置(CPU)182、メモリ184、及び補助回路186を含む。CPU182は、産業用設定で使用されうる任意の形態の汎用コンピュータプロセッサでありうる。メモリ184は、ランダムアクセスメモリ、読み出し専用メモリ、フロッピィ、又は、ハードディスクドライブ、又は、他の形態によるデジタルストレージでありうる。補助回路186が、従来ではCPU182に接続されており、キャッシュ、クロック回路、入力/出力システム、電源等を含みうる。
【0021】
高圧容器100は、550℃以下の温度で、複数の基板135上に酸化ケイ素膜を形成する方法を実施するための利便性の高いチャンバを提供する。高圧容器100を予加熱して、処理領域115を約550℃以下の温度に維持するために、ヒータ140に電源が入れられる。同時に、パイプ118、入口導管157、及び出口導管161をそれぞれ予加熱するために、ヒータ119、158、及び162に電源が入れられる。
【0022】
複数の基板135が、カセット130にロードされる。カセット130を処理領域115内へと移動させるために、高圧容器100のドア120が開けられる。次いで、ドア120が密閉されて、高圧容器100が高圧容器に変わる。ドア120が一旦閉じられると、処理領域115からの圧力のリークが無いことが、高圧シール部122によって保証される。
【0023】
処理ガス(すなわち、アミン添加物を含む酸化媒体)が、ガスパネル150によって高圧容器100の内部の処理領域115内に供給される。遮断バルブ155が、コントローラ180によって開放され、処理ガスが入口導管157及びパイプ118を介して処理領域115に流込することが可能となる。処理ガスが、例えば、約500sccm~約2000sccmの流量で導入される。この時点では、遮断バルブ165は閉じられたままになっている。幾つかの実現において、高圧容器100内の圧力が徐々に上げられる。高圧は、特にトレンチのより深い部分では、ケイ素含有膜中に酸素を送り込んでより完全な酸化状態とするために効果的である。
【0024】
本明細書に記載の幾つかの実現において、処理ガスは、約1バールと約65バールとの間(例えば、約35バールと約65バールとの間、又は約40バールと60バールとの間)の圧力下にある、アミン添加物を含む蒸気である。しかしながら、他の実現において、他の酸化媒体(例えば、限定するものではないが、オゾン、酸素、過酸化物、又は水酸化物を含有する化合物)が、蒸気と共に、又は蒸気の代わりに使用されうる。酸化媒体に添加されるアミン添加物は、アンモニウム又はアンモニアでありうる。ガスパネル150によって十分な蒸気が放出されたときには、遮断バルブ155が、コントローラ180によって閉じられる。
【0025】
基板135の処理中に、処理領域115、並びに、入口導管157、出口導管161、及びパイプ118が、処理ガスが気相のまま保たれるような温度及び圧力に維持される。処理領域115、並びに、入口導管157、出口導管161、及びパイプ118の温度も、印加されている圧力において処理ガスの凝縮点(例えば、100℃)より高いが550℃以下の温度に維持される。処理領域115、並びに、入口導管157、出口導管161、及びパイプ118も、適用されている温度において処理ガスの凝縮圧力を下回る圧力に維持される。これに対応して、処理ガスが選択される。本書に記載の実現において、高圧容器が約100℃と約550℃との間の温度に維持されているときには、約1バールと約65バールとの間の圧力下にある蒸気が、有効な処理ガスとなる。これにより、蒸気が凝縮して水になる(このことは、基板135に堆積されたケイ素膜にとって有害である)ことが起こらないことが保証される。
【0026】
膜が、当該膜の湿式エッチング速度と、漏電及び絶縁破壊の特徴と、を試験することによって検証される、目標とする密度を有することが確認されると、処理が完了する。次いで、遮断バルブ165が開放されて、処理ガスが、処理領域115からパイプ118及び出口導管161を介して凝縮器160に流入する。処理ガスが、凝縮器160において凝縮されて液相になる。次いで、液化した処理ガスが、ポンプ170によって除去される。液化した処理ガスが完全に除去されると、遮断バルブ165が閉じられる。次いで、ヒータ140、119、158、及び162の電源がオフにされる。次に、高圧容器100のドア120が開放されて、処理領域115からカセット130が取り出される。
【0027】
図2Aは、本明細書に記載の1つ以上の実現に係る、基板202と、基板202上に堆積されたケイ素含有膜208と、を含む半導体素子200を示す。基板202は、図1に示したように、カセット130にロードされるときに、基板135のそれぞれの代わりに使用されうる。1つ以上の開口又はビア204が、基板202に形成されうる。半導体素子200にはビア204が1つだけ示されているが、複数のビア204が含まれうる。そのような実施形態において、複数のビアの各ビア204は、例えば約10μmの深さを有するなど、同じ寸法を有しうる。加えて、ビア204の側面214及び底面216がパターンニングされ得、示されるように平らでなくてよい。ケイ素含有膜208が、基板202の各露出表面(すなわち、上面212、側面214、及び底面216)及びビア204の上に堆積されうる。ケイ素含有膜208は、原子層堆積(ALD:atomic layer deposition)を用いて堆積されうる。ケイ素含有膜208は、ケイ素又は窒化ケイ素で構成されうる。
【0028】
基板202は、半導体素子、例えば、金属コンタクト、トレンチ隔離、ゲート、ビット線、又は他の任意の相互接続フィーチャの形成時に使用される1つ以上の材料を含みうる。基板202は、半導体素子を製造するために利用される、1つ以上の金属層、1つ以上の誘電材料、半導体材料、及びこれらの組み合わせを含みうる。例えば、基板202は、用途に従って、酸化物材料、窒化物材料、ポリシリコン材料などを含みうる。メモリ用途が目標とされる一実現において、基板202が、ケイ素基板材料、酸化物材料、及び窒化物材料(これらの間にポリシリコンが存在することも存在しないこともある)を含みうる。
【0029】
他の実現において、基板202が、基板の表面上に複数の酸化物材料と窒化物材料とが交互に堆積されたもの(すなわち、酸化物―窒化物―酸化物(ONO:oxide-nitride-oxide))を含みうる(図示せず)。様々な実現において、基板202は、複数の酸化物材料と窒化物材料とが交互になったもの、1つ以上の酸化物材料若しくは窒化物材料、ポリシリコン材料若しくはアモルファスシリコン材料、アモルファスカーボンと交互になっている酸化物、ポリシリコンと交互になっている酸化物、ドープされたシリコンと交互になっているドープされていないシリコン、ドープされたポリシリコンと交互になっているドープされていないポリシリコン、又は、ドープされたアモルファスシリコンと交互になっているドープされていないアモルファスシリコンを含みうる。基板202は、膜処理が実施される任意の基板又は材料表面でありうる。例えば、基板202は、結晶シリコン、酸化ケイ素、シリコンオキシナイトライド、窒化ケイ素、ストレインドシリコン、シリコンゲルマニウム、タングステン、窒化チタン、ドープされた又はドープされていないポリシリコン、ドープされた又はドープされていないシリコンウエハ及びパターニングされた又はパターニングされていないウエハ、シリコンオンインシュレータ(SOI:silicon on insulator)、炭素がドープされた酸化ケイ素、窒化ケイ素、ドープされたケイ素、ゲルマニウム、ヒ化ガリウム、ガラス、サファイア、低誘電率誘電体、及びこれらの組み合わせといった材料でありうる。
【0030】
図2Bは、本明細書に記載の1つ以上の実現に係る、コンフォーマルな酸化ケイ素膜206がビア204内に形成された半導体素子200を示す。酸化ケイ素膜206が、基板202及びケイ素含有膜208の上に、550℃以下の温度で、例えば350℃~505℃の温度で形成される。酸化ケイ素膜206は、アミン添加物を含む酸化媒体中で、1バールより高い圧力下で、例えば約35バール~約65バールの圧力下で、高圧アニーリングを用いて形成される。
【0031】
酸化媒体は、蒸気、酸素、過酸化物等を含むことができ、アミン添加物は、アンモニウム(NH)又はアンモニア(NH)を含むことができる。酸化媒体は、約1,000ppm~約20,000ppmのアミン添加物、例えば約7,000ppmのアミン添加物を含みうる。一実施形態において、蒸気が、アミン添加物として約7,000ppmのNHを含む酸化媒体として使用される。窒化ケイ素を含む膜を反応させる際に、水素系添加物が、酸化媒体に添加されうる。水素系添加物は、窒化ケイ素を含む膜を反応させる際に、アミン添加物に加えて又はその代わりとして添加することができる。水素系添加物は、純粋な水素(H2)、又は微量の水素を不活性ガスの成分として含みうる。酸化媒体に添加されるアミン添加物及び/又は水素系添加物は、高温急速熱酸化膜と比較して、酸化速度を約2~3倍上げることができる。一実施形態において、酸化ケイ素膜206を形成するために使用されるアニーリングプロセスは、約40バール~約60バールの圧力で約1時間にわたって行われる。
【0032】
ケイ素含有膜208が、基板202と酸化ケイ素膜206との間に配置されているが、ケイ素含有膜208は、酸化ケイ素膜206の形成の後には厚さがより薄くなりうる。一実施形態において、ケイ素含有膜208が完全に酸化され、これにより、酸化ケイ素膜206と基板202との間には、ケイ素含有膜208がもはや配置されない(すなわち、酸化ケイ素膜206は、基板202と接触しうる)。図示されていないが、酸化ケイ素膜206及び/又はケイ素含有膜208が、基板202の表面212上に配置されてよい。
【0033】
図2Cは、2C-2C線における半導体素子200の上部を切った拡大断面図を示している。2C-2C線は、半導体素子200の表面212より下方に約500nmのところにありうる。図2Dは、2D-2D線における半導体素子200の底部を切った拡大断面図を示している。2D-2D線は、半導体素子200の底部216より上方に約500nmのところにありうる。図2Cの上部の酸化ケイ素膜206の厚さは210Aであり、図2Dの底部の酸化ケイ素膜206の厚さは210Bである(総称して210)。
【0034】
図2C及び図2Dに示すように、酸化ケイ素膜206の上部の厚さ210Aは、酸化ケイ素膜206の底部の厚さ210Bとほぼ同じである。酸化ケイ素膜206は、ビア204の上部と底部の双方においてほぼ均一な厚さ210を有し、酸化ケイ素層206の約100%(すなわち、上部の厚さ210Aと底部の厚さ210Bとの比)のコンフォーマリティ(共形性)を示している。約550℃未満の温度で、かつ1バールより高い圧力で、アミン添加物を含む酸化媒体を用いて形成された酸化ケイ素膜206は、ビア204の側面214及び底部216でのほぼ均一なコンフォーマリティであって、約90%よりも高いコンフォーマリティを有しうる。酸化ケイ素膜206は、約20オングストローム~約400オングストローム、例えば約150オングストローム~400オングストロームの均一な厚さ210を有する。
【0035】
図3は、本明細書に記載の1つ以上の実現に係る、基板上に酸化ケイ素膜を形成する方法300の処理フロー図を示す。基板は、図1に記載された基板135であっても、図2A図2Dに示された基板202であってもよい。分かりやすくするために、方法300を、図2A図2Dの半導体素子200の構成要素を参照しながら説明する。
【0036】
方法300は、動作310において、(図2Aに示すように)ケイ素含有膜208が堆積された基板202を、高圧容器の中にロードすることによって開始される。高圧容器は、図1に示した高圧容器100でありうる。基板202が、図1に示すようなカセット130といったカセット内に配置されうる。基板202を高圧容器内にロードする前に、ケイ素含有膜208が、基板202の各露出した側面又は表面212、214、216及びビア204の上に堆積される。ケイ素含有膜208は、ALDを用いて堆積させることができる。ケイ素含有膜208は、ケイ素又は窒化ケイ素で構成されうる。基板202は、先に図2A図2Dにおいて述べた材料のいずれかで構成されうる。
【0037】
一実現において、基板202の表面212は、パターニングされた構造を含み、例えば、トレンチ、孔、又は、図2A図2Dに示すようなビア204が形成された表面を含む。このような実施形態において、ケイ素含有膜208は、ビア204の側面214上及び底部216上に配置される。代替的に、基板202の表面212は実質的に平らでありうる。基板202はまた、目標とする段差がついた構造が形成された実質的に平らな表面212も有しうる。基板202の表面212は、トレンチ、孔、ビア、又は段差を含むことができ、表面212のパターンは全体を通してビアと称されるが、この「ビア」という用語に限定することは意図されていない。
【0038】
動作320では、基板202が、酸化媒体の凝縮点(例えば、約100℃)と約550℃との間の目標温度で、かつ1バールより高い圧力で、アミン添加物を含む酸化媒体に曝露される。一実現において、目標温度が、約100℃と約550℃の間(例えば、約350℃と約520℃との間、又は、約400℃と約505℃との間)である。温度は、ヒータ140a、140bを用いて目標温度まで上げることができる。温度を上げることに加えて、圧力を目標圧力まで上げることができる。一実現において、圧力が、約1バールと約65バールとの間(例えば、約30バールと約65バールとの間、又は約40バールと約60バールとの間)である。
【0039】
一実現において、酸化媒体が、蒸気、オゾン、酸素、水蒸気、重水、過酸化物、水酸化物を含有する化合物、酸素同位体(14、15、15、17、18など)、及び水素同位体(1、2、3)、及びこれらの組み合わせから成る群から選択される。過酸化物は、気相の過酸化水素でありうる。幾つかの実現において、酸化媒体は水酸化物イオンを含み、例えば、限定するものではないが、水蒸気、又は蒸気の形態による重水を含む。アミン添加物は、アンモニウム又はアンモニアで構成されうる。酸化媒体は、約1,000ppm~約20,000ppmのアミン添加物、例えば約7,000ppmのアミン添加物を含みうる。一実施形態において、蒸気が、アミン添加物として約7,000ppmのNH3を含む酸化媒体として使用される。窒化ケイ素を含む膜を反応させる際に、水素系添加物が、酸化媒体に添加されうる。水素系添加物は、窒化ケイ素を含む膜を反応させる際に、アミン添加物に加えて又はその代わりとして添加することができる。水素系添加物は、純粋な水素(H)、又は微量の水素を不活性ガスの成分として含みうる。酸化媒体に添加されるアミン添加物及び/又は水素系添加物は、高温急速熱酸化膜と比較して、酸化速度を約2~3倍上げることができる。
【0040】
幾つかの実現において、基板202、又は複数の基板が、約5バールと約60バールの間の圧力で蒸気に曝露され、ここで、圧力は、約5バールから約60バールまで徐々に増大させられうる。幾つかの実現において、アミン添加物を含む蒸気が、例えば、約500sccmと約5,000sccmとの間(例えば、約500sccmと約5,000sccmとの間、又は約500sccmと約2,000sccmとの間)の流量で、高圧容器に導入される。一実現において、アミン添加物を含む水蒸気が高圧容器に注入され、水蒸気が、高圧容器内で加熱されると、アミン添加物を含む蒸気を形成する。他の実現において、アミン添加物を含む水又は水蒸気が、目標温度に加熱する前の高圧容器内に存在する。高圧容器内に存在する水又は水蒸気は、高圧容器が目標温度に加熱されるのにつれて、アミン添加物を含む蒸気を形成する。
【0041】
ブロック330において、酸化ケイ素膜206が基板202上に形成される。酸化ケイ素膜206は、コンフォーマルな(conformal)又は均一な層として形成される。酸化ケイ素膜206は、ビア204の側面214上及び底面216上、並びに、基板202の表面212上に均一に形成される。酸化ケイ素膜206は、図2A図2Dに示すように、ビア204の側面214及び底面216で、約90%より高いコンフォーマリティ(conformality、共形性)を有するように堆積させることができる。酸化ケイ素膜206は、約20オングストローム~約400オングストローム、例えば約150オングストローム~約400オングストロームの厚さ210を有しうる。
【0042】
動作330において、ケイ素含有膜208を有する基板202が、アミン添加物を含む酸化媒体に曝されて、酸化ケイ素膜206を形成する間に、高圧容器が、酸化媒体の凝縮点と約550℃との間の温度に維持される。約40バールと約60バールとの間の圧力において、アミン添加物を含む蒸気が使用される一実現において、高圧容器の温度が、約400℃と約505℃との間に維持される。幾つかの実現において、動作330の基板202上に酸化ケイ素膜206を形成することは、約5分~約150分の時間にわたって、例えば約30分~約120分間実施される。少なくとも1つの実現において、アミン添加物を含む酸化媒体を、約400℃と約505℃との間の温度で、かつ約60バールの圧力で約120分間利用すると、ケイ素含有膜208が完全に酸化され、これにより、基板202と酸化ケイ素層206との間には、ケイ素含有膜208がもはや配置されない。
【0043】
高圧下で、アンモニアを含む蒸気といったアミン添加物を含む酸化媒体を適用すると、酸化媒体からの高濃度の酸化種が、ケイ素含有膜に深く浸透することが可能となり、これにより、酸化種が、酸化を介してより多くの酸化ケイ素膜材料を生成することが可能である。理論に束縛されるものではないが、高圧容器内の高圧が、より深いビアへの酸化種の拡散を促進すると考えられる。加えて、蒸気中にアミン添加物が存在することで、高温急速熱酸化膜と比較して、はるかに速い速度で目標圧力に達成することが可能となり、酸化速度を2~3倍上げると考えられる。
【0044】
酸化ケイ素膜206の品質は、アミン添加物を含む酸化媒体を用いて550℃未満の温度でかつ1バールより高い圧力で形成される酸化ケイ素膜206の湿式エッチング速度と、アミン添加物を用いずに800℃を超える温度でかつ低圧で形成される酸化ケイ素膜(すなわち、高温急速熱酸化膜)の湿式エッチング速度と、を比較することによって検証することが可能である。約20オングストロームより大きい厚さを有する酸化ケイ素膜206と、同じ厚さの高温急速熱酸化膜と、の双方に対して湿式エッチングが行われるときに、湿式エッチング速度は、双方の膜についてほぼ同じである。一実施形態において、酸化ケイ素膜206と高温急速熱酸化膜の双方は、湿式エッチング速度が、約26オングストローム/分~約32オングストローム/分であった。
【0045】
追加的に、酸化ケイ素膜206の品質は、550℃未満の温度でかつ1バールより高い圧力で、アミン添加物を含む酸化媒体を用いて形成された酸化ケイ素膜206の漏れ及び容量等価な膜厚を、高温急速熱酸化膜と比較することによって、さらに検証することができる。約20オングストロームより大きな厚さを有する酸化ケイ素膜206の漏れと、同じ厚さの高温急速熱酸化膜の漏れと、を比較したときに、双方の酸化ケイ素膜が、漏れ電圧対厚さのグラフの熱トレンド線又は外挿された熱トレンド線に沿って配置された。このように、酸化ケイ素膜206の漏れ及び容量等価な膜厚は、高温急速熱酸化膜とほぼ同じか、又は同程度である。一実施形態において、酸化ケイ素膜206と高温急速熱酸化膜との双方が、漏れ対容量等価な膜厚が、約0.22V/オングストローム~約0.25V/オングストロームであった。
【0046】
従って、550℃以下の比較的低い温度で実施されるプロセスについて、膜品質の改善における成果は、800℃で、かつより低い圧力で実施されるプロセスと実質的に同様のものとなる。アミン添加物を含む酸化媒体を用いて、550℃以下の比較的低い温度で実施されるプロセスによって、酸化ケイ素層を均一に堆積させることが可能となり、このことには、難しい構造又は不均一な構造を有する基板上への堆積が含まれる。
【0047】
さらに、アミン添加物及び/又は水素系添加物を含む酸化媒体を用いて、550℃未満の温度でかつ1バールより高い圧力で、酸化ケイ素膜を形成することで、酸化ケイ素膜は、高品質を維持しながら、高温急速熱酸化プロセスの能力を超える厚さを実現すること可能となる。このように、550℃未満の温度でかつ1バールより高い圧力で、アミン添加物を含む酸化媒体を利用して酸化ケイ素膜を堆積させると、酸化速度が上がり、高温急速熱酸化膜と同じ品質を有するコンフォーマルな又は均一な酸化ケイ素膜が得られる。
【0048】
さらに、約550℃未満の温度で、アミン添加物を含む酸化媒体を利用して酸化ケイ素膜を堆積させると、プロセスウィンドウがもはや約800℃以上の温度に制限されないため、酸化ケイ素膜を形成するためのプロセスウィンドウが拡大される。プロセスウィンドウを拡大することにより、酸化ケイ素膜を形成するために使用する現在のツールの能力が上がり、全体的な資源をより少なく縮小する。
【0049】
以上の説明は本開示の実施形態を対象としているが、本開示の基本的な範囲から逸脱することなく本開示の他の実施形態及び更なる実施形態が考案されてもよく、本開示の範囲は、以下の特許請求の範囲によって規定される。
図1
図2A
図2B
図2C
図2D
図3