(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-31
(45)【発行日】2024-11-11
(54)【発明の名称】EUVリソグラフィのための膜
(51)【国際特許分類】
G03F 1/62 20120101AFI20241101BHJP
G03F 7/20 20060101ALI20241101BHJP
【FI】
G03F1/62
G03F7/20 503
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2022195017
(22)【出願日】2022-12-06
(62)【分割の表示】P 2021050642の分割
【原出願日】2016-12-02
【審査請求日】2022-12-14
(32)【優先日】2015-12-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(32)【優先日】2016-04-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】504151804
【氏名又は名称】エーエスエムエル ネザーランズ ビー.ブイ.
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100109346
【氏名又は名称】大貫 敏史
(74)【代理人】
【識別番号】100117189
【氏名又は名称】江口 昭彦
(74)【代理人】
【識別番号】100134120
【氏名又は名称】内藤 和彦
(72)【発明者】
【氏名】ヴァン ツヴォル,ピーター-ジャン
(72)【発明者】
【氏名】デ グラーフ,デニス
(72)【発明者】
【氏名】ヤンセン,ポール
(72)【発明者】
【氏名】ピーター,マリア
(72)【発明者】
【氏名】ヴァン デ ケルクホフ,マーカス,アドリアヌス
(72)【発明者】
【氏名】ヴァン デル ザンデ,ウィレム,ヨアン
(72)【発明者】
【氏名】ヴレス,デイビッド,フェルディナンド
(72)【発明者】
【氏名】フォールトハイゼン,ウィレム-ピーター
【審査官】植木 隆和
(56)【参考文献】
【文献】特開2008-124495(JP,A)
【文献】特開2009-271262(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2012/0140199(US,A1)
【文献】国際公開第2013/152921(WO,A1)
【文献】国際公開第2015/082214(WO,A1)
【文献】特開2016-080967(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/027
G03F 1/62
G03F 1/64
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
EUVリソグラフィのための膜であって、200nm以下の厚さを有すると共に、M-シリサイド、M-ホウ化物、M-ホウ化物/M、M-炭化物、M-炭化物/M、M-窒化物、M-窒化物/M、M-酸化物、M-酸化物/Mから選択された材料の少なくとも1つの層を含み、Mは、Zr、Y、Mo、Cr、Hf、Ir、Mn、Nb、Os、Pd、Pt、Re、Rh、Ru、Ta、Ti、V、及びWから成る群から選択された遷移金属であり、前記膜は、複数の層によって形成されたスタックを含み、前記スタックの層材料は、波長が13.5nmのEUV放射に対する前記スタックの屈折率が0.95よりも大きくなるように選択される、EUVリソグラフィのための膜。
【請求項2】
EUVリソグラフィのための膜であって、200nm以下の厚さを有すると共に、M-シリサイド、M-ホウ化物、M-ホウ化物/M、M-炭化物、M-炭化物/M、M-窒化物、M-窒化物/M、M-酸化物、M-酸化物/Mから選択された材料の少なくとも1つの層を含み、Mは、Zr、Y、Mo、Cr、Hf、Ir、Mn、Nb、Os、Pd、Pt、Re、Rh、Ru、Ta、Ti、V、及びWから成る群から選択された遷移金属であり、前記膜は、複数の層によって形成されたスタックを含み、前記スタックの層材料は、抵抗が10
-3Ω・m未満となるように選択される、EUVリソグラフィのための膜。
【請求項3】
EUVリソグラフィのための膜であって、200nm以下の厚さを有すると共に、M-シリサイド、M-ホウ化物、M-ホウ化物/M、M-炭化物、M-炭化物/M、M-窒化物、M-窒化物/M、M-酸化物、M-酸化物/Mから選択された材料の少なくとも1つの層を含み、Mは、Zr、Y、Mo、Cr、Hf、Ir、Mn、Nb、Os、Pd、Pt、Re、Rh、Ru、Ta、Ti、V、及びWから成る群から選択された遷移金属であり、前記膜は、複数の層によって形成されたスタックを含み、前記スタックの層材料は、融点が1200℃よりも高くなるように選択される、EUVリソグラフィのための膜。
【請求項4】
EUVリソグラフィのための膜であって、200nm以下の厚さを有すると共に、M-シリサイド、M-ホウ化物、M-ホウ化物/M、M-炭化物、M-炭化物/M、M-窒化物、M-窒化物/M、M-酸化物、M-酸化物/Mから選択された材料の少なくとも1つの層を含み、Mは、Zr、Y、Mo、Cr、Hf、Ir、Mn、Nb、Os、Pd、Pt、Re、Rh、Ru、Ta、Ti、V、及びWから成る群から選択された遷移金属であり、前記膜は、複数の層によって形成されたスタックを含み、前記スタックの層材料は、熱膨張係数が約2×10
-6m/mKから約6×10
-6m/mKの範囲内となるように選択される、EUVリソグラフィのための膜。
【請求項5】
EUVリソグラフィのための膜であって、200nm以下の厚さを有すると共に、M-シリサイド、M-ホウ化物、M-ホウ化物/M、M-炭化物、M-炭化物/M、M-窒化物、M-窒化物/M、M-酸化物、M-酸化物/Mから選択された材料の少なくとも1つの層を含み、Mは、Zr、Y、Mo、Cr、Hf、Ir、Mn、Nb、Os、Pd、Pt、Re、Rh、Ru、Ta、Ti、V、及びWから成る群から選択された遷移金属であり、前記膜は、複数の層によって形成されたスタックを含み、前記スタックは層を、前記膜の外面におけるルテニウムを含むキャッピング層、チタンを含むマイグレーション防止層という順序で含む、EUVリソグラフィのための膜。
【請求項6】
前記材料は、YSi2、LaSi2、ZrSi2、SiB4、YB6、NbSi3、MoSi2、YC2、ZrB2、CeSi2、CeB6、LaB6、NbB2、ZrC、CeC2、YN、LaC2、MoB、LaN、Mo2C、NbC、TiSi2、Ru2Si3、ZrN、VSi2、CeN、RuB2、NbN、Y2O3、MoN、TiB2、La2O3、Nb2O5、WSi2、ZrO2、MoO3、TiC、RuC、SiCr、WB2、VB2、TaSi2、CeO2、TiN、RuN、RuO2、TiO3、VC、TaB2、VN、WC、CrB、CrN、HfO2、Cr3C2、WN、TaC、Ta2O5、TaNから選択される、請求項1~5のいずれか1項に記載の膜。
【請求項7】
前記材料の層は、前記膜の外面に設けられたキャッピング層である、請求項1~4のいずれか1項に記載の膜。
【請求項8】
前記スタックは、少なくとも1つのシリコン化合物層を含む、請求項1~5のいずれか1項に記載の膜。
【請求項9】
前記スタックは、アモルファスシリコン、単結晶シリコン、多結晶シリコン、又はナノ結晶シリコンなどの同素体の形態のうち1つのシリコンを有するシリコン層を含む、請求項1~5のいずれか1項に記載の膜。
【請求項10】
前記スタックは、Ruを含むキャッピング層及びMo遷移金属層を含む、請求項1~5のいずれか1項に記載の膜。
【請求項11】
前記層は、遷移金属シリサイド、遷移金属ホウ化物、遷移金属炭化物、遷移金属窒化物、及び遷移金属酸化物から成る群から選択された材料を含み、及び/又は、少なくとも1つの遷移金属層が前記キャッピング層と前記シリコン層との間にあり、前記遷移金属層は、Zr、Y、Mo、Cr、Hf、Ir、Mn、Nb、Os、Pd、Pt、Re、Rh、Ru、Ta、Ti、V、及びWから成る群から選択された遷移金属を含む、請求項1~5のいずれか1項に記載の膜。
【請求項12】
EUVリソグラフィのための膜であって、200nm以下の厚さを有すると共に、M-シリサイド、M-ホウ化物、M-ホウ化物/M、M-炭化物、M-炭化物/M、M-窒化物、M-窒化物/M、M-酸化物、M-酸化物/Mから選択された材料の少なくとも1つの層を含み、Mは
、Y、Mo
、Hf、Ir、Mn、Nb、Os、Pd、Pt、Re、Rh、Ru、Ta、Ti、V、及びWから成る群から選択された遷移金属である膜と、
前記膜を保持する境界とを含む、膜アセンブリ。
【請求項13】
前記境界に接続されたフレームを含む、請求項12に記載の膜アセンブリ。
【請求項14】
前記フレームは、前記境界と同じ材料で作製される、請求項13に記載の膜アセンブリ。
【請求項15】
前記境界の熱膨張は、前記フレームの熱膨張と実質的に一致している、請求項13又は14に記載の膜アセンブリ。
【請求項16】
前記フレーム及び/又は前記境界は、シリコンで作製される、請求項13~15のいずれか1項に記載の膜アセンブリ。
【請求項17】
請求項1~11のいずれかの膜又は請求項12~16の膜アセンブリを含む、EUVリソグラフィのためのパターニングデバイスアセンブリ。
【請求項18】
請求項1~11のいずれかの膜又は請求項12~16の膜アセンブリを含む、EUVリソグラフィのための動的ガスロックアセンブリ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
[0001] 本出願は、2015年12月14日に出願された欧州特許第15199845.7号、及び2016年4月6日に出願された欧州特許第16163962.0号の優先権を主張する。これらは参照により本願に含まれる。
【0002】
[0002] 本発明は、EUVリソグラフィのための膜、パターニングデバイスアセンブリ、及び動的ガスロックアセンブリに関する。
【背景技術】
【0003】
[0003] リソグラフィ装置は、所望のパターンを基板に、通常は基板のターゲット部分に適用する機械である。リソグラフィ装置は、例えば、集積回路(IC)の製造に使用可能である。このような場合、代替的にマスク又はレチクルとも呼ばれるパターニングデバイスを使用して、ICの個々の層上に形成すべき回路パターンを生成することができる。このパターンを、基板(例えばシリコンウェーハ)上のターゲット部分(例えば1つ又は幾つかのダイの一部を含む)に転写することができる。パターンの転写は通常、基板に設けた放射感応性材料(レジスト)の層への結像により行われる。一般的に、1枚の基板は、順次パターンが付与される隣接したターゲット部分のネットワークを含んでいる。
【0004】
[0004] リソグラフィは、IC及びその他のデバイス及び/又は構造を製造する際の主要なステップの1つとして広く認識されている。しかし、リソグラフィを使用して製造される特徴の寸法がより微細になると共に、リソグラフィは小型IC又はその他のデバイス、及び/又は構造の製造を可能にするためのより決定的なファクタになってきている。
【0005】
[0005] パターン印刷の限界の理論的な推定値は式(1)に示すようなレイリーの解像基準によって得られる。
【数1】
但し、λは使用される放射の波長、NAはパターンを印刷するために使用される投影システムの開口数、k1はレイリー定数とも呼ばれるプロセス依存調整係数であり、CDは印刷される特徴のフィーチャサイズ(又は、限界寸法)である。式(1)から、特徴の印刷可能な最小サイズの縮小は3つの方法で達成できることが分かる。すなわち、露光波長λの短縮によるもの、開口数NAの増加によるもの、又はk1の値の減少によるものである。
【0006】
[0006] 露光波長を短くするため、したがって、最小印刷可能サイズを縮小するために、極端紫外線(EUV)放射源を使用することが提案されている。EUV放射は、10~20nmの範囲内、例えば13~14nmの範囲内の波長を有する電磁放射である。更には、10nm未満の波長、例えば、6.7nm又は6.8nmといった5~10nmの範囲内の波長を有するEUV放射が使用され得ることも提案されている。そのような放射は、極端紫外線放射又は軟x線放射と呼ばれる。考えられる放射源としては、例えば、レーザ生成プラズマ源、放電プラズマ源、又は電子蓄積リングによって提供されるシンクロトロン放射に基づく放射源が含まれる。
【0007】
[0007] リソグラフィ装置は、パターニングデバイス(例えばマスク又はレチクル)を含む。放射は、パターニングデバイスを通して提供されるか又はパターニングデバイスを反射して、基板上に像を形成する。空中を浮遊する粒子又は他の形態の汚染からパターニングデバイスを保護するため、膜アセンブリを提供することができる。パターニングデバイスを保護するための膜アセンブリはペリクルと呼ばれることがある。パターニングデバイスの表面上の汚染は、基板に対して製造欠陥を引き起こす可能性がある。膜アセンブリは、境界と、この境界の横断方向に延びる膜と、を備え得る。
【0008】
[0008] 使用時、膜は、例えば取付特徴部によってパターニングデバイスに対して固定する必要がある。取付特徴部が占める空間の量を低減させることが望ましい。また、膜が高い放射率及び低い欠陥確率(possibility of failing)を有することも望ましい。
【発明の概要】
【0009】
[0009] 本発明の一態様によれば、EUVリソグラフィのための膜であって、200nm以下の厚さを有すると共に、少なくとも1つのシリコン層と、シリコンと、ホウ素、リン、臭素、及び硫黄から成る群から選択された元素と、の化合物で作製された少なくとも1つのシリコン化合物層と、を含むスタックを備える膜が提供される。
【0010】
[0010] 本発明の一態様によれば、EUVリソグラフィのための膜であって、200nm以下の厚さを有すると共に、少なくとも1つのシリコン層と、膜の外面における、ルテニウムを含む少なくとも1つのキャッピング層と、各キャッピング層に隣接した、モリブデン及びチタンのうち少なくとも1つを含む少なくとも1つのマイグレーション防止層と、を含むスタックを備える膜が提供される。
【0011】
[0011] 本発明の一態様によれば、EUVリソグラフィのための膜であって、200nm以下の厚さを有すると共に、少なくとも1つのシリコン層、及び/又は、シリコンと、ホウ素、リン、臭素、及び硫黄から成る群から選択された元素と、の化合物で作製された少なくとも1つのシリコン化合物層と、膜の外面における少なくとも1つのキャッピング層であって、各々が、遷移金属シリサイド、遷移金属ホウ化物、遷移金属炭化物、遷移金属窒化物、及び遷移金属酸化物から成る群から選択された材料を含むキャッピング層と、及び/又は、キャッピング層とシリコン層又はシリコン化合物層との間の少なくとも1つの遷移金属層であって、各々が、Zr、Y、Mo、Cr、Hf、Ir、Mn、Nb、Os、Pd、Pt、Re、Rh、Ru、Ta、Ti、V、又はWから成る群から選択された遷移金属を含む遷移金属層と、を含むスタックを備える膜が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0012】
[0012] 対応する参照符号が対応する部分を示す添付の概略図を参照しながら以下に本発明の実施形態について説明するが、これは単に例示としてのものに過ぎない。
【0013】
【
図1】[0013] 本発明のある実施形態に係るリソグラフィ装置を示す。
【
図2】[0014] リソグラフィ装置のより詳細な図である。
【
図3】[0015] 本発明の一実施形態に係る膜アセンブリの一部を断面図で概略的に示す。
【
図4】[0016] 本発明の一実施形態に係る膜アセンブリのロック機構を使用する段階を平面図で概略的に示す。
【
図5】[0016] 本発明の一実施形態に係る膜アセンブリのロック機構を使用する段階を平面図で概略的に示す。
【
図6】[0016] 本発明の一実施形態に係る膜アセンブリのロック機構を使用する段階を平面図で概略的に示す。
【
図7】[0017] 本発明の異なる実施形態に係る膜を断面図で概略的に示す。
【
図8】[0017] 本発明の異なる実施形態に係る膜を断面図で概略的に示す。
【
図9】[0017] 本発明の異なる実施形態に係る膜を断面図で概略的に示す。
【
図10】[0017] 本発明の異なる実施形態に係る膜を断面図で概略的に示す。
【
図11】[0017] 本発明の異なる実施形態に係る膜を断面図で概略的に示す。
【
図12】[0017] 本発明の異なる実施形態に係る膜を断面図で概略的に示す。
【
図13】[0017] 本発明の異なる実施形態に係る膜を断面図で概略的に示す。
【発明を実施するための形態】
【0014】
[0018]
図1は、本発明の一実施形態によるソースコレクタモジュールSOを含むリソグラフィ装置100を概略的に示す。装置100は、
- 放射ビームB(例えばEUV放射)を調節するように構成された照明システム(又はイルミネータ)ILと、
- パターニングデバイス(例えば、マスク又はレチクル)MAを支持するように構成され、パターニングデバイスを正確に位置決めするように構成された第1のポジショナPMに接続された支持構造(例えば、マスクテーブル)MTと、
- 基板(例えば、レジストコートウェーハ)Wを保持するように構成され、基板を正確に位置決めするように構成された第2のポジショナPWに接続された基板テーブル(例えば、ウェーハテーブル)WTと、- パターニングデバイスMAによって放射ビームBに与えられたパターンを基板Wのターゲット部分C(例えば、1つ以上のダイを含む)に投影するように構成された投影システム(例えば、反射投影システム)PSとを含む。
【0015】
[0019] 照明システムILは、放射を誘導し、整形し、又は制御するための、屈折型、反射型、磁気型、電磁型、静電型、又はその他のタイプの光学コンポーネント、あるいはそれらの任意の組み合わせなどの様々なタイプの光学コンポーネントを含むことができる。
【0016】
[0020] 支持構造MTは、パターニングデバイスの配向、リソグラフィ装置の設計及び、例えばパターニングデバイスが真空環境で保持されているか否か等の条件に応じた方法でパターニングデバイスMAを保持する。支持構造MTは、機械式、真空式、静電式又はその他のクランプ技術を用いて、パターニングデバイスMAを保持することができる。支持構造MTは、例えば、必要に応じて固定又は可動式にできるフレーム又はテーブルであってもよい。支持構造MTは、パターニングデバイスMAが例えば投影システムPSに対して確実に所望の位置に来るようにしてもよい。
【0017】
[0021] 本明細書において使用する「パターニングデバイス」という用語は、基板Wのターゲット部分Cにパターンを生成するように、放射ビームBの断面にパターンを付与するために使用できるあらゆるデバイスを指すものとして広く解釈されるべきである。放射ビームBに付与されたパターンは、集積回路などのターゲット部分Cに形成されるデバイス内の特定の機能層に対応していてもよい。
【0018】
[0022] パターニングデバイスMAは、透過性又は反射性であってもよい。パターニングデバイスの例には、マスク、プログラマブルミラーアレイ、及びプログラマブル液晶ディスプレイ(LCD)パネルが含まれる。マスクはリソグラフィにおいて周知のものであり、バイナリマスク、レベンソン型(alternating)位相シフトマスク、ハーフトーン型(attenuated)位相シフトマスクのようなマスクタイプ、更には様々なハイブリッドマスクタイプも含まれる。プログラマブルミラーアレイの一例として、小型ミラーのマトリクス配列を使用し、ミラーは各々、入射する放射ビームを異なる方向に反射するよう個々に傾斜することができる。傾斜したミラーは、ミラーマトリクスによって反射する放射ビームにパターンを付与する。
【0019】
[0023] 照明システムILと同様、投影システムPSは、使用する露光放射、又は真空の使用などの他の要因に合わせて適宜、例えば屈折、反射、磁気、電磁気、静電気型等の光学コンポーネント、又はその任意の組み合わせなどの種々のタイプの光学コンポーネントを含んでいてもよい。その他のガスは放射を吸収しすぎるため、EUV放射用には真空を使用することが望ましいことがある。従って、真空環境は、真空壁及び真空ポンプを用いてビーム経路全体に提供してもよい。
【0020】
[0024] 本明細書で示すように、リソグラフィ装置100は、反射タイプである。(例えば、反射マスクを使用する。)
【0021】
[0025] リソグラフィ装置100は、2つ(デュアルステージ)以上の基板テーブルWT(及び/又は2つ以上の支持構造MT)を有するタイプのものであってよい。そのような「マルチステージ」リソグラフィ装置においては、追加の基板テーブルWT(及び/又は追加の支持構造MT)は並行して使用するか、又は別の1つ以上の基板テーブルWT(及び/又は別の1つ以上の他の支持構造MT)を露光に使用している間に1つ以上の基板テーブルWT(及び/又は1つ以上の支持構造MT)上で予備工程を実行することができる。
【0022】
[0026]
図1を参照すると、照明システムILは、ソースコレクタモジュールSOから極端紫外線放射ビームを受ける。EUV光を生成する方法には、例えば、キセノン、リチウム又はスズなど少なくとも1つの元素を有し、EUV範囲内の1つ以上の輝線を有する材料を、プラズマ状態へと変換することが含まれるが、必ずしもこれに限定されない。そのような方法のうちの1つであり、しばしばレーザ生成プラズマ(「LPP」)と呼ばれる方法では、所望の線発光元素を有する材料の小滴、流れ又はクラスタなどの燃料をレーザビームで照射することにより所望のプラズマを生成することができる。ソースコレクタモジュールSOは、燃料を励起するレーザビームを提供するためのレーザ(
図1中図示なし)を含むEUV放射システムの一部であってよい。結果として生じるプラズマは、例えばEUV放射などの出力放射を放出し、この出力放射はソースコレクタモジュール内に配置される放射コレクタを使って集光される。例えば、CO
2レーザを使用して燃料励起のためのレーザビームを提供する場合、レーザとソースコレクタモジュールSOとは別個の構成要素とすることができる。
【0023】
[0027] そのような場合には、レーザは、リソグラフィ装置100の一部を形成しているとはみなされず、また放射ビームBは、レーザからソースコレクタモジュールSOへ、例えば、適切な誘導ミラー及び/又はビームエキスパンダを含むビームデリバリシステムを使って送られる。その他の場合、例えば、放射源がしばしばDPP源と呼ばれる放電生成プラズマEUVジェネレータである場合においては、放射源は、ソースコレクタモジュールSOの一体部分であってもよい。
【0024】
[0028] 照明システムILは、放射ビームの角度強度分布を調整するためのアジャスタを備えることができる。一般に、照明システムILの瞳面における強度分布の少なくとも外側及び/又は内側半径範囲(一般にそれぞれσ-outer及びσ-innerと呼ばれる)を調節することができる。また、照明システムILは、ファセットされたフィールド及び瞳ミラーデバイスなどの様々な他のコンポーネントを含むことができる。照明システムILは、放射ビームBを調節して、その断面にわたって所望の均一性と強度分布とが得られるようにしてもよい。
【0025】
[0029] 放射ビームBは、支持構造(例えば、マスクテーブル)MT上に保持されたパターニングデバイス(例えばマスク)MAに入射し、パターニングデバイスMAによってパターン形成される。パターニングデバイス(例えばマスク)MAから反射された後、放射ビームBは投影システムPSを通過し、投影システムPSは放射ビームBを基板Wのターゲット部分C上に合焦させる。第2のポジショナPW及び位置センサPS2(例えば、干渉計装置、リニアエンコーダ又は容量センサ)の助けを借りて、基板テーブルWTは、例えば、異なるターゲット部分Cを放射ビームBの経路に位置決めするように正確に移動させることができる。同様に、第1のポジショナPM及び別の位置センサPS1を使用して、パターニングデバイス(例えば、マスク)MAを放射ビームBの経路に対して正確に位置決めすることができる。パターニングデバイス(例えば、マスク)MA及び基板Wは、マスクアライメントマークM1、M2及び基板アライメントマークP1、P2を使用して位置合わせすることができる。
【0026】
[0030] コントローラ500は、リソグラフィ装置100の全体的な動作を制御し、具体的には、以下に詳しく説明する動作プロセスを行う。コントローラ500は、中央処理装置、揮発性及び不揮発性記憶手段、キーボード及びスクリーンなどの1つ以上の入力及び出力デバイス、1つ以上のネットワーク接続及びリソグラフィ装置100の様々な部分に接続される1つ以上のインターフェイスを含む適切にプログラムされた汎用コンピュータとして組み込まれてよい。コンピュータの制御とリソグラフィ装置100の制御との1対1の関係は必要でないことが理解されよう。本発明のある実施形態では、1つのコンピュータが複数のリソグラフィ装置100を制御することができる。本発明のある実施形態では、複数のネットワーク化されたコンピュータを用いて1つのリソグラフィ装置100を制御することができる。コントローラ500は、リソグラフィ装置100が一部を形成するリソセル又はクラスタ内の1つ以上の関連プロセスデバイス及び基板ハンドリングデバイスを制御するように構成されてもよい。コントローラ500は、リソセル又はクラスタの監視制御システム及び/又は製造工場の全体的な制御システムに従属するように構成されてもよい。
【0027】
[0031]
図2は、ソースコレクタモジュールSO、照明システムIL及び投影システムPSを含むリソグラフィ装置100をより詳細に示している。EUV放射放出プラズマ210は、プラズマ源によって形成されてよい。EUV放射は、ガス又は蒸気、例えばXeガス、Li蒸気又はSn蒸気によって生成されてよい。このガス又は蒸気では、電磁スペクトルのEUV範囲内の放射を放出するために放射放出プラズマ210が生成される。ある実施形態では、EUV放射を生成するために励起されたスズ(Sn)のプラズマが提供される。
【0028】
[0032] 放射放出プラズマ210によって放出された放射は、ソースチャンバ211からコレクタチャンバ212へと進む。
【0029】
[0033] コレクタチャンバ212は放射コレクタCOを含んでよい。放射コレクタCOを通り抜けた放射は、仮想光源点IFで合焦することができる。仮想光源点IFを一般的に中間焦点と呼び、ソースコレクタモジュールSOは、仮想光源点IFが閉鎖構造220内の開口部221に又はその近くに配置されるように構成される。仮想光源点IFは、放射放出プラズマ210の像である。
【0030】
[0034] その後、放射は照明システムILを通り抜け、この照明システムILは、パターニングデバイスMAにおけるパターン形成されていないビーム21の所望の角度分布、並びにパターニングデバイスMAにおける放射強度の所望の均一性を提供するように配置されたファセットフィールドミラーデバイス22及びファセット瞳ミラーデバイス24を含んでよい。支持構造MTによって保持されるパターニングデバイスMAにてパターン形成されていないビーム21が反射すると、パターン形成されたビーム26が形成され、このパターン形成されたビーム26は、投影システムPSによって反射要素28、30を介して基板テーブルWTによって保持された基板W上に結像される。
【0031】
[0035] 一般に、示されているよりも多くの要素が照明システムIL及び投影システムPS内に存在してよい。更に、図に示されているものより多くのミラーがあってもよく、例えば、
図2に示すより1~6個多くの反射要素が投影システムPS内に存在してよい。
【0032】
[0036] 代替的に、ソースコレクタモジュールSOは、LPP放射システムの一部であってもよい。
【0033】
[0037]
図1に示すように、ある実施形態では、リソグラフィ装置100は、照明システムIL及び投影システムPSを備える。照明システムILは、放射ビームBを放出するように構成される。投影システムPSは、介在空間によって基板テーブルWTから離される。投影システムPSは、放射ビームBに付けられたパターンを基板W上に投影するように構成される。パターンは、放射ビームBのEUV放射のためのものである。
【0034】
[0038] 投影システムPSと基板テーブルWTとの間に介在する空間は、少なくとも部分的に排気することができる。介在する空間は、投影システムPSの位置において、使用される放射が基板テーブルWTへ向けて誘導される固体表面によって画定され得る。
【0035】
[0039] 一実施形態において、リソグラフィ装置100は動的ガスロックを備えている。動的ガスロックは膜アセンブリ80を備えている。一実施形態において、動的ガスロックは、介在する空間内に位置付けられた膜アセンブリ80によって覆われた中空部分を備えている。中空部分は放射経路の周りに位置している。一実施形態において、リソグラフィ装置100は、中空部分の内側をガス流で流すように構成されたガス送風機を備えている。放射は膜アセンブリを通過した後、基板Wに入射する。
【0036】
[0040] 一実施形態において、リソグラフィ装置100は膜アセンブリ80を備えている。上述のように、一実施形態において、膜アセンブリ80は動的ガスロックのためのものである。この場合、膜アセンブリ80はDUV放射をフィルタリングするためのフィルタとして機能する。これに加えて又はこの代わりに、一実施形態において膜アセンブリ80は、EUVリソグラフィ用のパターニングデバイスMAのためのペリクルである。本発明の膜アセンブリ80は、動的ガスロックのため、又はペリクルのため、又はスペクトル純度フィルタのような別の目的のために使用され得る。一実施形態において膜アセンブリ80は、膜スタックとも呼ぶことができる膜40を備えている。一実施形態において、膜は、入射するEUV放射の少なくとも80%を透過させるように構成されている。
【0037】
[0041] 概念上、EUV膜スタックは1以上の材料層から成る。これらの層は、(寿命全体にわたる)性能、信頼性、及びコストの面で最適な膜スタックとなる機能的要件を満たすように特定の順序で積層される。特定の機能的要件を有する層は、例えば、コア材料層(すなわち、膜又は膜スタックのコア層)、熱放射強化のための層、酸化バリア層、腐食バリア層、及び/又は処理エッチストップ層から選択することができる。単一の材料層が複数の機能的要件を満たすことも可能である(例えば、Ru層の場合の腐食バリア及び放射強化)。
【0038】
[0042] ある実施形態では、パターニングデバイスMAを密封し、パターニングデバイスMAを浮遊粒子及び他の形態の汚染物質から保護するように膜アセンブリ80を構成する。パターニングデバイスMAの表面が汚染されることによって、基板W上に製造欠陥が生じる可能性がある。例えば、ある実施形態では、粒子がリソグラフィ装置100のパターニングデバイスMAのステッピングフィールドに移動する可能性を低下させるようにペリクルを構成する。
【0039】
[0043] パターニングデバイスMAが無防備なままである場合、汚染によってパターニングデバイスMAを洗浄又は廃棄する必要性が生じる可能性がある。パターニングデバイスMAの洗浄は貴重な製造時間を中断させ、パターニングデバイスMAの廃棄には費用がかかる。パターニングデバイスMAの交換も貴重な製造時間を中断させる。
【0040】
[0044]
図3は、本発明の一実施形態に従った膜アセンブリ80の一部を断面図で概略的に示す。膜アセンブリ80はEUVリソグラフィ用である。膜アセンブリ80は膜40を備えている。膜40はEUV放射に対して放射性(emissive)である。むろん、膜40はEUV放射に対して100%の放射率を持たない場合がある。しかしながら、膜は例えば少なくとも50%の放射率を有し得る。
図3に示されているように、一実施形態において膜40は実質的に平面状である。一実施形態において、膜40の面はパターニングデバイスMAの面に対して実質的に平行である。
【0041】
[0045] 膜アセンブリ80は、例えば方形、円形、又は矩形等の形状を有する。膜アセンブリ80の形状は特に限定されない。膜アセンブリ80の大きさは特に限定されない。例えば一実施形態において、膜アセンブリ80の直径は約100mmから約500mmの範囲内であり、例えば約200mmである。
【0042】
[0046]
図3に示されているように、一実施形態において、膜アセンブリ80は境界81を備えている。境界81は膜40を保持するように構成されている。境界81は膜40に機械的安定性を与える。境界81は、膜40がその平面形状から変形する可能性を低下させるように構成されている。一実施形態では、膜40には製造中にプレテンション(pre-tension)が加えられる。境界81は、リソグラフィ装置100の使用中に膜40が起伏のある形状にならないように膜40の張力を維持するよう構成されている。一実施形態において、境界81は膜40の周囲に沿って延出している。膜40の外周は(
図3の図によれば)境界81の上に位置決めされている。
【0043】
[0047] 境界81の厚さは特に限定されない。例えば一実施形態において、境界81の厚さは少なくとも300μmであり、任意選択的に少なくとも400μmである。一実施形態において、境界81の厚さは最大で1,000μmであり、任意選択的に最大で800μmである。一実施形態において、境界81の幅は少なくとも1mmであり、任意選択的に少なくとも2mmであり、任意選択的に少なくとも4mmである。一実施形態において、境界81の幅は最大で10mmであり、任意選択的に最大で5mmであり、任意選択的に最大で4mmである。
【0044】
[0048]
図3に示されているように、一実施形態では、膜アセンブリ80はフレームアセンブリ50を備えている。フレームアセンブリ50は境界81に接続されている。一実施形態において、フレームアセンブリ50は、最初は境界81とは別個のコンポーネントとして製造され、その後で境界81に接続される。例えば、膜40と境界81の組み合わせを一緒に製造し、一方でフレームアセンブリ50を別個に製造すればよい。その後の製造ステップにおいて、フレームアセンブリ50を境界81に取り付けるか又は固定すればよい。
【0045】
[0049] 一実施形態において、フレームアセンブリ50の幅は少なくとも2mmであり、任意選択的に少なくとも5mmであり、任意選択的に少なくとも8mmである。一実施形態において、フレームアセンブリ50の幅は最大で20mmであり、任意選択的に最大で10mmであり、任意選択的に最大で8mmである。
【0046】
[0050] 一実施形態において、フレームアセンブリ50はフレーム51を備えている。フレーム51は、境界81に接続されるフレームアセンブリ50の一部である。一実施形態において、フレーム51は境界81と同じ材料で作製される。例えば一実施形態において、境界81及びフレーム51は双方ともシリコンを含む材料で作製される。一実施形態において、境界81はシリコンで作製される。一実施形態において、フレーム51はシリコンで作製される。一実施形態において、境界81の熱膨張はフレーム51の熱膨張と実質的に一致している。一実施形態において、フレーム51は接着剤によって境界81に取り付けられる。一実施形態において、接着剤の熱膨張はフレーム51及び/又は境界81の熱膨張と実質的に一致している。
【0047】
[0051]
図3に示されているように、フレームアセンブリ50はパターニングデバイスMAに取り付けるように構成されている。フレームアセンブリ50は、パターニングデバイスMAに対する膜40の位置を保持するためのものである。この実施形態はパターニングデバイスMAを参照して記載されているが、本発明は、パターニングデバイスMAとは異なるコンポーネントに接続する膜アセンブリ80にも等しく適用可能である。
【0048】
[0052] 一実施形態において、フレームアセンブリ50は、膜40の面に対して垂直な方向で境界81に接続されている。これは
図3に示されている。
図3において、膜40の面は左側から右側へ、紙面内から紙面外の方向へ延出している。膜40の面に対して垂直な方向は、
図3の縦(すなわち上下)方向に相当する。フレームアセンブリ50は境界81の直下に接続されている。
図3において、境界81及びフレームアセンブリ50は縦方向に整合されている。一実施形態において、境界81とフレームアセンブリ50との間の界面は、膜40の面に対して実質的に平行な面内にある。
【0049】
[0053] 一実施形態において、膜アセンブリ80はパターニングデバイスMAから着脱可能に構成されている。これによってパターニングデバイスMAの中間検査を実行することが可能となる。一実施形態において、フレームアセンブリ50はパターニングデバイスMAに対して繰り返し取り付け及び取り外しが行われるように構成されている。
【0050】
[0054] 使用時、フレームアセンブリ50は境界81とパターニングデバイスMAとの間にある。この配置は、フレームアセンブリが境界の半径方向外側に位置決めされている配置とは異なる。本発明の一実施形態は、パターニングデバイスMAに対して適切な位置に膜40を保持するため必要である膜40の周囲の空間の縮小を達成することが予想される。
【0051】
[0055] 比較例に従った膜アセンブリは、境界の半径方向外側にフレームアセンブリを有する。このフレームアセンブリは、パターニングデバイスに対するフレームアセンブリの取り付け/取り外しを行うには半径方向にアクセスする必要がある。境界、フレームアセンブリ、及びフレームアセンブリにアクセスするための空間を収容するため、約16mmの空間が必要となり得る。
【0052】
[0056] これに対して一実施形態では、フレームアセンブリ50が境界81の直下に位置決めされていることにより、境界81及びフレームアセンブリ50を収容するために必要な半径方向空間が縮小する。例えば一実施形態において、境界81、フレームアセンブリ50、及びフレームアセンブリ50にアクセスするための空間を収容するために必要な半径方向空間は約12mmである。
【0053】
[0057] 本発明の一実施形態は、パターニングデバイスMAの領域において取付特徴部のために必要な空間を縮小することが予想される。取付特徴部は、膜アセンブリ80をパターニングデバイスMAに取り付けるため使用される特徴部である。一実施形態において、取付特徴部は境界81とパターニングデバイスMAとの間に提供される。これは
図3に示されており、以下で更に詳しく説明する。
【0054】
[0058] 一実施形態において、フレームアセンブリ50は少なくとも1つの孔52を備えている。一実施形態において、孔52はフレームアセンブリ50のフレーム51内のキャビティ又はチャンバである。孔52はスタッド60を受容するように構成されている。スタッド60はパターニングデバイスMAから突出している。
【0055】
[0059]
図3は、パターニングデバイスMAに固定されたスタッド60を示している。一実施形態において、スタッド60は接着剤を用いてパターニングデバイスMAに貼り付けられている。あるいは、スタッド60はパターニングデバイスMAと一体的に形成することも可能である。更に別の代替案として、スタッド60は、最初はパターニングデバイスMAとは別個のコンポーネントとして製造し、その後、例えばねじのような接着剤以外の手段を用いてパターニングデバイスMAに固定することも可能である。
【0056】
[0060] スタッド60及び孔52は取付特徴部である。一実施形態において、スタッド60及び孔52は境界81とパターニングデバイスMAとの間に提供されている。これは、取付特徴部が境界81の半径方向外側に位置決めされている以前から既知の配置とは異なる。
【0057】
[0061]
図3に示されているように、一実施形態において孔52は、膜40の面に対して垂直な方向で見た場合、少なくとも部分的に境界81と重複している。これは
図3に示されており、孔52は縦方向に見た場合、部分的に境界81と重複している。
図3を見ると、境界81及び孔52の双方を通って延出する縦線を引くことができる。
【0058】
[0062] 一実施形態において、フレームアセンブリ50はロック機構55を備えている。ロック機構55は、フレームアセンブリ50をスタッド60にロックするように構成されている。一実施形態において、ロック機構55は弾性部材53を備えている。一実施形態において、ロック機構55は孔52ごとに弾性部材53を備えている。一実施形態において、フレームアセンブリ50は、例えば2、3、4、又はそれ以上の孔52のような複数の孔52を備えている。各孔52に対応して弾性部材53が提供されている。
【0059】
[0063]
図3に示されているように、一実施形態において、弾性部材53はばねを含む。例えば、ばねはコイルばね又は板ばねとすればよい。代替的な実施形態では、弾性部材53はゴム等の弾性部材を備えている。代替的な実施形態では、弾性部材53は屈曲部(flexure)を備えている。屈曲部は、例えば放電加工プロセスを用いて機械加工することができる。
【0060】
[0064]
図4から
図6は、ロック機構55の使用の段階を概略的に示す。
図4から
図6は平面図で示されている。
図4は、孔52内にスタッド60を受容するようにスタッド60上にフレームアセンブリ50が位置決めされている初期状態を示す。
図4に示すように、弾性部材53は孔52内に延出している。従ってスタッド60は、孔52内に受容された場合に弾性部材53と接触することができる。弾性部材53は、孔52内に受容されたスタッド60が弾性部材53を膜40の面内の方向へ押圧した場合に圧縮可能であるように構成されている。例えば
図4において、スタッド60は、弾性部材53を図の右方向に押圧することができる。
【0061】
[0065]
図3から
図6に示されているように、一実施形態において、ロック機構55は孔52ごとにロック部材54を備えている。ロック部材54は、ロック部材54が孔52内に延出するロック位置へ移動できるように構成されている。ロック位置では、圧縮された弾性部材53が、孔52内に受容されたスタッド60に対して、ロック部材54の方へ力を加える。これは
図4から
図6のシーケンスに示されている。
【0062】
[0066]
図4から
図5への遷移に示されているように、スタッド60及びフレームアセンブリ50は、スタッド60が弾性部材53を押圧するように相対的に移動する。
図5に示されているように、スタッド60は弾性部材53を圧縮する。
【0063】
[0067]
図5から
図6への遷移に示されているように、ロック部材54は、ロック部材54が孔52内に延出するロック位置へ移動する。例えば
図4から
図6に示すように、一実施形態において、フレームアセンブリ50は少なくとも1つのロックアパーチャ56を備えている。ロック部材54はロックアパーチャ56を貫通する。
【0064】
[0068]
図6は、ロック位置におけるロック部材54を示している。弾性部材53は、スタッド60に対して、ロック部材54の方向への力を加える。
図5に示す状況では、スタッド60が弾性部材53を圧縮するにはフレームアセンブリ50及び/又はスタッド60に外力を加える必要がある。一度ロック部材54がロック位置にくると(例えば
図6に示すように)、外力を加える必要はなくなる。これは、ロック部材54がスタッド60及びフレームアセンブリ50を相互に対して適切な位置に保持するからである。
【0065】
[0069] 上述のように、スタッド60は、境界81の半径方向外側でなく境界81の下に位置決めされている。このため、パターニングデバイスMAと膜40との間の距離(スタンドオフ(standoff)としても知られる)の増大が必要となり得る。パターニングデバイスMAの表面と膜40との間の距離は、実質的に、フレームアセンブリ50と境界81とを合わせた高さに相当する。一実施形態において、フレームアセンブリ50と境界81とを合わせた高さは少なくとも1mm、少なくとも2mm、任意選択的に少なくとも5mmである。一実施形態において、フレームアセンブリ50と境界81とを合わせた高さは、最大で20mm、任意選択的に最大で10mm、任意選択的に最大で5mmである。
【0066】
[0070] 一実施形態において、弾性部材53は、ステンレス鋼のような材料で作製されたばねを含む。一実施形態において、弾性部材53は、弾性部材53とは異なる材料で作製されたコンタクトパッド57に接続されている。例えばコンタクトパッド57は、スタッド60及び/又はロック部材54と同じ材料で作製することができる。一実施形態において、コンタクトパッド57はチタンを含む。一実施形態において、ロック部材54はチタンを含む。一実施形態において、スタッド60はチタンを含む。チタンは延性接点(ductile contact)を与えることが知られている。しかしながら、代替的な実施形態では、コンタクトパッド57、スタッド60、及びロック部材54に他の材料を使用できる。
【0067】
[0071]
図4から
図6に示されているように、一実施形態において、平面図における孔52の断面積はスタッド60の断面積よりも大きい。孔52はスタッド60に対してオーバーサイズである。一実施形態において、弾性部材53は、エンドストップ(図には示されていない)に対して提供される。弾性部材53は、(
図4に示すように)平面図で見た場合、孔52内に突出している。従って弾性部材53は事実上、平面図における孔52の断面積を小さくする。孔52の残りの断面寸法はスタッド60の寸法よりも大きい。従って、スタッド60上でフレームアセンブリ50を縦方向に移動させると、スタッド60を孔52内に受容することができる。フレームアセンブリ50を弾性部材53に対して横に押して、弾性部材53を内側にゆがませる。ロック部材54を配置してフレームアセンブリ50が後方に曲がるのを防ぐ。一実施形態において、ロック部材54はピンである。ロック部材54は側方から又は上部から挿入することができる。ロック部材54を挿入した後、フレームアセンブリ50はパターニングデバイスMAにロックされる。
【0068】
[0072] 一実施形態において、フレームアセンブリ50は、フレームアセンブリ50の周囲に均等に分布させた4つの孔52を備えている。一実施形態において、フレームアセンブリ50は境界81と同様の形状を有し、膜40の周囲に沿っている。
図3は、孔52の半径方向内側の弾性部材53を示している。しかしながら、必ずしもそうとは限らない。弾性部材53は、孔52の半径方向外側にあるか、又は孔52に対して半径方向内側にも外側にもない場合がある。孔52は弾性部材53とロック部材54との間に位置決めされている。
【0069】
[0073] 一実施形態において、弾性部材53は膜アセンブリ80の一方側で孔52の半径方向内側にあるが、別の弾性部材53は、膜アセンブリ80の反対側で別の孔52の半径方向外側にある。このため、パターニングデバイスMAに対する膜アセンブリ80の1回の移動によって、パターニングデバイスMAの両側のスタッド60が双方の弾性部材52を圧縮することが可能となる。一実施形態において、膜アセンブリ80は、パターニングデバイスMAに対する膜アセンブリ80の1回の移動によって、対応する孔52内に受容されたスタッド60の全てが対応する弾性部材52を圧縮するように構成されている。
【0070】
[0074]
図4から
図6に示すように、一実施形態において、ロック部材54はゆるい部分(loose part)として提供されている。代替的な実施形態では、ロック部材54をロック位置へスライドできるならば、ロック部材はフレームアセンブリ50の残り部分と一体的とすることができる。
【0071】
[0075] 一実施形態において、スタッド60の(平面図における)直径は少なくとも1mmであり、任意選択的に少なくとも2mmであり、任意選択的に少なくとも3mmである。一実施形態において、スタッド60の直径は最大で10mmであり、任意選択的に最大で5mmであり、任意選択的に最大で3mmである。
【0072】
[0076] 上述のように、一実施形態では、弾性部材53は圧縮されていない場合に孔52内に延出している。一実施形態において、弾性部材53が孔52内に延出する距離は少なくとも0.1mmであり、任意選択的に少なくとも0.2mmであり、任意選択的に少なくとも0.5mmである。一実施形態において、弾性部材53が孔52内に延出する距離は最大で2mmであり、任意選択的に最大で1mmであり、任意選択的に最大で0.5mmである。
【0073】
[0077] 上述のように、孔52の直径はスタッド60の直径よりも大きい。一実施形態において、孔の直径はスタッド60の直径よりも少なくとも0.2mm、任意選択的に少なくとも0.5mm、任意選択的に少なくとも1mm大きい。一実施形態において、孔52の直径はスタッド60の直径よりも最大で5mm、任意選択的に最大で2mm、任意選択的に最大で1mm大きい。一実施形態において、ロック部材54の長さは少なくとも1mmであり、任意選択的に少なくとも2mmであり、任意選択的に少なくとも4mmである。
【0074】
[0078] 一実施形態において、ロック部材54の長さは最大で10mmであり、任意選択的に最大で5mmであり、任意選択的に最大で4mmである。一実施形態において、ロック部材54の幅は少なくとも0.2mmであり、任意選択的に少なくとも0.5mmであり、任意選択的に少なくとも1mmである。一実施形態において、ロック部材54の幅は最大で5mmであり、任意選択的に最大で2mmであり、任意選択的に最大で1mmである。
【0075】
[0079] 本発明の一実施形態は、パターニングデバイスMAに対する膜アセンブリ80の取り付け/取り外しに必要なツーリングステップ(tooling steps)の低減を達成することが予想される。
【0076】
[0080]
図7は、本発明の一実施形態に従った膜40を断面図で概略的に示す。
図7に示されているように、膜40はスタックを含む。スタックは複数の層を含む。
【0077】
[0081] 一実施形態において、スタックは少なくとも1つのシリコン層41を含む。シリコン層41はシリコンの一形態を含む。一実施形態において、スタックは少なくとも1つのシリコン化合物層43を含む。シリコン化合物層43は、シリコンと、ホウ素、リン、臭素、及び硫黄から成る群から選択された別の元素との化合物で作製される。しかしながら、他の元素も使用できる。具体的には、一実施形態において、シリコンと結合してシリコン化合物層43を形成する元素は、シリコン層41をドーピングするためのドーパント材料として使用できる任意の元素である。この実施形態は、単に便宜のため、シリコンと結合する元素としてホウ素を用いて記載する。この実施形態は、元素がホウ素であることに限定されない。
【0078】
[0082] 一実施形態において、シリコン化合物層43はホウ化シリコンを含む。ホウ化シリコンは化学式SiBxを有し、xは、3、4、6、14、15、40等であり得る。ホウ化シリコンは金属特性を有する。具体的には、シリコン化合物層43は、膜40のEUV放射に対する放射率が増大するという金属の特性を有する。シリコン層41のみで作製された膜は、おそらく約3%という低い放射率を有すると推測される。金属特性を有する金属又は化合物が膜40に追加された場合、放射率は劇的に上昇する。
【0079】
[0083] 金属は、EUV吸収のために膜の実際の厚さを制限することがわかっている。シリコン膜層43を提供することによって、本発明の一実施形態は、リソグラフィ装置100で使用するのに充分な放射率を有する膜40に可能な厚さの増大を達成することが予想される。
【0080】
[0084]
図7に示されているように、一実施形態においてシリコン化合物層43は、シリコン層41と、シリコンと結合してシリコン化合物層43を形成する元素を含む非金属層42との間の中間層として形成されている。例えば一実施形態において、非金属層42はホウ素を含む。一実施形態において、ホウ素は炭化ホウ素の形態で提供される。しかしながら、代替的な形態のホウ素も使用可能である。
【0081】
[0085] 一実施形態において、シリコン層41は、最初は非金属層42に隣接して提供される。非金属層42内のホウ素はシリコン層41内のシリコンを局所的にドーピングする。ホウ化シリコンが生成されてシリコン化合物層43を形成する程度まで、ホウ素はシリコンをドーピングする。ドーピングされたシリコン内にシリコン原子よりもホウ素原子の方が多くなる、すなわちホウ化シリコンを形成するように、ホウ素はシリコンをドーピングする。
【0082】
[0086] 一実施形態において、シリコン層41及び非金属層42は多層として提供されている。局所的に、膜40が高温に耐えられるように、ケイ化ホウ素(boron silicide)で膜40を強化する(ラミネート効果によって、及びシリコン内ホウ素の放射硬化によって)ことができる。
【0083】
[0087]
図7に示されているように、一実施形態においてスタックは、複数のシリコン層41、複数の非金属層42、及び、シリコン層41及び非金属層42の各対の間のシリコン化合物層43を含む。
【0084】
[0088]
図7に示されているように、一実施形態において、スタックは以下の順序で層を含む。非金属層42、シリコン化合物層43、シリコン層41、シリコン化合物層43、非金属層42、シリコン化合物層43、シリコン層41、シリコン化合物層43、非金属層42、シリコン化合物層43、シリコン層41、シリコン化合物層43、及び非金属層42。これは多層スタックである。一実施形態において、スタックは非金属層42を含み、次に、シリコン化合物層43、シリコン層41、シリコン化合物層43、及び非金属層42を含む4層のセットの繰り返しを含む。
【0085】
[0089] 一実施形態において、各非金属層42の厚さは少なくとも0.5nmであり、任意選択的に少なくとも1nmであり、任意選択的に少なくとも2nmである。一実施形態において、各非金属層42の厚さは最大で10nmであり、任意選択的に最大で5nmであり、任意選択的に最大で2nmである。
【0086】
[0090] 一実施形態において、各シリコン化合物層43の厚さは少なくとも0.5nmであり、任意選択的に少なくとも1nmであり、任意選択的に少なくとも2nmである。一実施形態において、各シリコン化合物層43の厚さは最大で10nmであり、任意選択的に最大で5nmであり、任意選択的に最大で2nmである。
【0087】
[0091] 一実施形態において、各シリコン層41の厚さは少なくとも2nmであり、任意選択的に少なくとも5nmであり、任意選択的に少なくとも8nmである。一実施形態において、各シリコン層51の厚さは最大で20nmであり、任意選択的に最大で10nmであり、任意選択的に最大で8nmである。
【0088】
[0092] 8nmの厚さのシリコン層41、2nmの厚さの非金属層42、及び2nmの厚さのシリコン化合物層43を含む
図7に示されている実施形態は、EUV放射に対する約90%の放射率を達成することが予想される。
【0089】
[0093]
図8は、スタックが、非金属層42、シリコン化合物層43、シリコン層41、シリコン化合物層43、及び非金属層42の順序で層を含む代替的な実施形態を示す。
【0090】
[0094]
図8に示されているように、一実施形態において、膜40はシリコン層41を1つだけ含む。そのような実施形態では、シリコン層41の厚さは少なくとも10nm、任意選択的に少なくとも20nm、任意選択的に少なくとも38nmであり得る。一実施形態において、単一のシリコン層41の厚さは最大で100nmであり、任意選択的に最大で50nmであり、任意選択的に最大で38nmである。
図8に示され、38nmの厚さのシリコン層41、4nmの厚さの非金属層42、及び2nmの厚さのシリコン化合物層43を有する実施形態は、EUV放射に対して約90%の放射率を達成することが予想される。
【0091】
[0095] 一実施形態において、スタック内のシリコン化合物層の合計の厚さは最大で約20nmである。合計の厚さが大きすぎないならば、金属及び金属特性を有する化合物は膜40の放射率を向上させる。金属又は金属特性を有する化合物の層が厚すぎる場合、放射率は低下する可能性がある。
【0092】
[0096]
図9は、膜40の代替的な実施形態を概略的に示す。
図9に示されているように、一実施形態においてスタックは、少なくとも1つのシリコン層41、少なくとも1つのキャッピング層46、及び少なくとも1つのマイグレーション防止層47を備えている。一実施形態において、キャッピング層46はルテニウムを含む。キャッピング層46は膜40の外面に設けられている。マイグレーション防止層47は、モリブデン及びチタンのうち少なくとも1つを含む。マイグレーション防止層47は各キャッピング層46に隣接している。
【0093】
[0097] ルテニウムを含むキャッピング層46は膜40の放射率を向上させる。キャッピング層46は膜40が酸化する可能性を低下させる。キャッピング層46は膜40を水素ガスから保護するように構成されている。
【0094】
[0098] リソグラフィ装置100の使用中、膜40は放射を吸収するため加熱する可能性がある。キャッピング層46が加熱すると、キャッピング層46の材料(例えばルテニウム)がマイグレーションを起こすことがある。マイグレーションは、キャッピング層46内のイオンが徐々に移動することによって引き起こされる材料の輸送である。材料がマイグレーションを開始すると、材料はキャッピング層46内でアイランドを形成し得る。材料がマイグレーションを開始すると、キャッピング層46による酸化低減、水素ガスからの保護、放射率向上の効果が低下する。従って、リソグラフィ装置100の使用中、膜40は酸化し始めると共に放射率が低下する可能性がある。
【0095】
[0099] マイグレーション防止層47を提供することによって、キャッピング層46のマイグレーションを低減させる。モリブデン及びチタンは、融点が比較的高く、UV放射に対して良好な放射率を有する金属である。チタン及びモリブデンは、加熱された場合にルテニウムほどマイグレーションを生じない。チタン及びモリブデンは、ルテニウムに対して良好な金属間接触を有する。キャッピング層46に隣接したマイグレーション防止層47を提供することによって、キャッピング層46のマイグレーションを低減させる。この結果、リソグラフィ装置100の使用中にキャッピング層46が加熱した場合であっても、キャッピング層46の良好な特性は高温でも維持される。
【0096】
[00100]
図9に示されているように、一実施形態において、スタックは以下の順序で層を含む。膜40の外面におけるルテニウムを含むキャッピング層46、モリブデン及びチタンのうち少なくとも1つを含むマイグレーション防止層47、シリコン層41、モリブデン及びチタンのうち少なくとも1つを含むマイグレーション防止層47、膜40の他方の外面におけるルテニウムを含むキャッピング層46。一実施形態において、ルテニウムを含むキャッピング層46は、膜40の双方の外面に提供されている。
【0097】
[00101]
図10は、マイグレーション防止層47の使用とシリコン化合物層43を使用する考えを組み合わせた、膜の代替的な実施形態を示す。
【0098】
[00102]
図10に示されているように、一実施形態において、スタックは以下の順序で層を含む。膜40の外面におけるルテニウムを含むキャッピング層46、モリブデン及びチタンのうち少なくとも1つを含むマイグレーション防止層47、シリコン層41、シリコン化合物層43、及び非金属層42。
【0099】
[00103] 膜アセンブリ80の製造中、炭化ホウ素層はシリコン層41をエッチングプロセスから化学的に保護することができる。一実施形態において、膜40は周期構造を含む。一実施形態において、周期は6.6nm又は6.7nmに等しく設定されない。周期が6.7nmであるか又は6.7nmに近い場合、膜はEUV放射に対してミラーとして作用し得る。
【0100】
[00104] シリコンは、ダイアモンド立方晶系結晶構造に結晶化し得る。一実施形態において、境界81はシリコンの立方晶系結晶を含む。一実施形態において、境界81は<100>結晶学的方向を有する。
【0101】
[00105] 一実施形態において、シリコン層41は多結晶又はナノ結晶シリコンから形成される。多結晶又はナノ結晶シリコンは、もろい性質を有する。従って、多結晶又はナノ結晶シリコンから形成されたシリコン層41を備えた膜40は、膜アセンブリ80が壊れた場合、多くの粒子に砕ける可能性がある。本発明の一実施形態は、膜アセンブリ80の機械的特性の改善を達成することが予想される。
【0102】
[00106] 多結晶シリコン及びナノ結晶シリコンの各々はEUV放射に対して高い透過性を有する。多結晶シリコン及びナノ結晶シリコンの各々は良好な機械的強度を有する。
【0103】
[00107] しかしながら、シリコン層41の膜が多結晶又はナノ結晶シリコンから形成されることは必須ではない。例えば代替的な実施形態において、シリコン層41は、多格子膜(multi-lattice membrane)又は窒化ケイ素から形成される。
【0104】
[00108] 別の代替的な実施形態において、シリコン層41は単結晶シリコンから形成される。そのような実施形態において、単結晶シリコン膜はシリコンオンインシュレータ(SOI:silicon on insulator)技法によって形成することができる。この製品の出発材料はいわゆるSOI基板である。SOI基板は、埋め込み隔離SiO2層の上に薄い単結晶シリコン層を備えたシリコンキャリア基板を含む基板である。一実施形態において、単結晶シリコン層の厚さは約5nm~約5μmの範囲とすることができる。一実施形態では、SOI基板を製造方法において使用する前に、SOI基板上にシリコン層41が存在する。
【0105】
[00109] 一実施形態において、シリコン層41は、アモルファスシリコン、単結晶シリコン、多結晶シリコン、又はナノ結晶シリコンのような同素体の形態のうち1つのシリコンを含む。ナノ結晶シリコンは、特定のアモルファスシリコン含有量を含む多結晶シリコンマトリックスを意味している。一実施形態において、多結晶又はナノ結晶シリコンは、シリコン層41においてアモルファスシリコンを結晶化させることにより形成される。例えば一実施形態において、シリコン層41はアモルファスシリコン層としてスタックに追加される。特定の温度を超えると、アモルファスシリコン層は多結晶層又はナノ結晶シリコン層に結晶化する。例えば、アモルファスシリコン層としてのシリコン層41は、多結晶層又はナノ結晶シリコン層としてのシリコン層41に変わる。
【0106】
[00110] 一実施形態において、アモルファスシリコン層は成長中にインシチュ(in situ)ドーピングされる。一実施形態において、アモルファスシリコン層は成長後にドーピングされる。p型又はn型ドーパントを加えることによって、シリコン伝導率は上昇し、これはEUV放射源のパワーのため熱機械挙動に対してプラスの効果を有する。
【0107】
[00111] 一実施形態において、膜40は、EUV放射に対する透過率が充分に高い、例えば50%よりも大きいような充分な薄さである。一実施形態において、膜40の厚さは最大で約200nmであり、任意選択的に最大で約150nmである。150nmのSi膜は入射するEUV放射の約77%を透過する。一実施形態において、膜40の厚さは最大で約100nmである。100nmのSi膜は入射するEUV放射の約84%を透過する。60nmのSi膜は入射するEUV放射の約90%を透過する。
【0108】
[00112] 一実施形態において、膜40は、膜アセンブリ80をリソグラフィ装置100のパターニングデバイスMAに固定する時及びリソグラフィ装置100の使用中に機械的に安定する充分な厚さである。一実施形態において、膜40の厚さは少なくとも約10nmであり、任意選択的に少なくとも約20nmであり、任意選択的に少なくとも約35nmである。一実施形態において、膜40の厚さは約55nmである。
【0109】
[00113]
図11から
図13は、本発明に従った膜40の異なる実施形態を断面図で概略的に示す。膜40を設計する場合、膜40の厚さ、その安定性、及びそのロバスト性の間にはトレードオフがある。
【0110】
[00114]
図11に示されているように、一実施形態において膜40は、2つのキャッピング層46に挟まれたシリコン層41を備えている。一実施形態において、シリコン層41はポリシリコンを含む。一実施形態において、2つのキャッピング層46には同一の(キャッピング)材料が使用される。しかしながら、必ずしもそうとは限らない。代替的な実施形態では、キャッピング層46の一方に使用される材料はキャッピング層46の他方に使用される材料とは異なる。
【0111】
[00115] 一実施形態において、キャッピング層46は膜40の外面にある。従って一実施形態では、スタックは、膜40の外面におけるキャッピング層46、シリコン層41、遷移金属のシリサイドを含むキャッピング層36の順序で層を含む。
【0112】
[00116] 一実施形態において、キャッピング層46は遷移金属のシリサイドを含む。具体的な遷移金属は、特に限定されないが、例えばZr、Y、Mo、Cr、Hf、Ir、Mn、Nb、Os、Pd、Pt、Re、Rh、Ru、Ta、Ti、V、又はWとすればよい。
【0113】
[00117] 遷移金属のシリサイドは、EUV放射の極めて高い割合を透過させる。EUV放射に対する膜40の透過はできる限り高いことが望ましい。一実施形態において、スタックの材料は、波長が13.5nmのEUV放射に対する消衰係数(extinction coefficient)kが0.0175未満であるように選択される。
【0114】
[00118] 消衰係数kはEUV透過に関連している。EUV放射が媒質を通過する場合、EUV放射の一部は減衰される。これは便宜上、複素屈折率
【数2】
を定義することによって考慮することができる。
【0115】
[00119] ここで、複素屈折率の実部nは屈折率であり、位相速度を示す。消衰係数kは複素屈折率の虚部である。消衰係数kは、電磁波が材料を伝搬した場合の減衰量を示す。
【0116】
[00120] 上記の記載において、消衰係数kの値は、波長が13.5nmの放射に対して与えられる。この値と所与の材料厚さを用いて、膜40内の層のEUV透過/吸収を計算することができる。特定の値の消衰係数k=0.0175を有する材料の層では、4nmの厚さの層はEUV放射の6%を吸収する(すなわち、6%EUV透過損失)。
【0117】
[00121] キャッピング層46が遷移金属シリサイドを含むことは必須ではない。代替的な実施形態において、キャッピング層46の一方又は双方は、遷移金属のホウ化物、遷移金属の炭化物、遷移金属の窒化物、遷移金属の酸化物、又は純粋な形態の遷移金属を含む。
【0118】
[00122] 表1は、選択された適切なキャッピング層材料について、融点の値、熱膨張係数(CTE)、膜の抵抗、EUV放射透過、6%EUV透過損失に対応するキャッピング層厚さd(単位はnm)、波長が13.5nmである放射の複素屈折率の実部n、波長が13.5nmである放射に対する消衰係数kの値を、EUV透過値の大きい順に示す。
【0119】
[00123] 適切なキャッピング層材料の例は、(99.8%から94.6%までEUV透過値の大きい順に)Si、Y、YSi2、LaSi2、ZrSi2、SiB4、B、Zr、YB6、NbSi3、MoSi2、YC2、SiC、ZrB2、La、CeSi2、B4C、Nb、CeB6、LaB6、NbB2、ZrC、Ce、Mo、CeC2、YN、LaC2、MoB、LaN、C、Mo2C、NbC、TiSi2、Ru2Si3、Si3N6、BN、ZrN、VSi2、CeN、RuB2、NbN、SiO2、Y2O3、MoN、TiB2、La2O3、Nb2O5、WSi2、Ti、ZrO2、B2O3、MoO3、TiC、RuC、SiCr、Ru、WB2、VB2、TaSi2、CeO2、TiN、RuN、RuO2、TiO3、VC、V、TaB2、VN、WC、CrB、TiW、CrN、W、HfO2、Cr3C2、WN、TaC、Ta2O5、TaN、Cr、Al2O3、Ta、及びPtである。
【0120】
[00124] 融点、抵抗、EUV透過、屈折率n、及び消衰係数kの最適な組み合わせを与え得る好適なキャッピング層材料は、例えば、CeB6、LaB6、NbSi3、Zr、YSi2、CeSi2、Y、CeC2、LaC2、LaSi2、ZrB2、Nb、LaN、YC2、ZrSi2、SiB4、B、YB6、MoSi2、YC2、SiC、La、B4C、Ce、CeN、Ru2Si3、YN、ZrC、NbB2、NbC、Mo2C、MoB、及びMoである。
【表1】
【0121】
[00125] 遷移金属のシリサイドは、遷移金属のホウ化物、遷移金属の炭化物、遷移金属の窒化物、遷移金属の酸化物、又は純粋な形態の遷移金属に比べ、EUV放射を高い割合で透過させる。
【0122】
[00126] EUV透過特性に関して、膜40に可能な材料は、EUV放射を透過させる割合が最も高い材料から順に、以下のランキングとなっている。遷移金属シリサイド、遷移金属ホウ化物、純粋な遷移金属、遷移金属炭化物、遷移金属窒化物、遷移金属酸化物。遷移金属によるが、純粋な遷移金属は遷移金属ホウ化物よりも優れている場合がある。遷移金属によるが、遷移金属炭化物は純粋な遷移金属よりも優れている場合がある。遷移金属の炭化物の一例は炭化モリブデンである。
【0123】
[00127] 更に、遷移金属のシリサイドは特に望ましいEUV反射特性を有する。EUV反射(すなわち、膜40の表面で反射されるEUV放射の割合)は、できる限り低いことが望ましい。遷移金属のシリサイドは、遷移金属の酸化物、遷移金属のホウ化物、遷移金属の炭化物、遷移金属の窒化物、又は純粋な形態の遷移金属に比べ、EUV放射を反射させる割合が低い。
【0124】
[00128] 一実施形態において、膜40のスタックの材料は、波長が13.5nmのEUV放射に対するスタックの屈折率が0.95よりも大きいように選択される。1に近い屈折率は、膜40の界面でのEUV反射を制限する。
【0125】
[00129] EUV反射特性に関して、膜40に可能な材料は、EUV放射を反射する割合が最も低い材料から順に、以下のランキングとなっている。遷移金属シリサイド、遷移金属酸化物、純粋な遷移金属、遷移金属ホウ化物、遷移金属炭化物、遷移金属窒化物。しかしながら、遷移金属酸化物、純粋な遷移金属、遷移金属ホウ化物、及び遷移金属炭化物の間に、EUV放射特性に関して著しい差はない。
【0126】
[00130] 膜40の抵抗は低いことが望ましい。特に、キャッピング層46の抵抗は低いことが望ましい。これは、伝導性(conductive)コーティングによって膜40の抵抗増大が起こり得るからである。遷移金属のシリサイドは、遷移金属の炭化物、遷移金属の窒化物、又は遷移金属の酸化物よりも低い抵抗を有する。
【0127】
[00131] 一実施形態において、キャッピング層46の材料は、キャッピング層46の抵抗が10-3Ωm未満であるように選択される。
【0128】
[00132] 抵抗に関して、膜40に可能な材料は、抵抗が最も低い材料から順に、以下のランキングとなっている。純粋な遷移金属、遷移金属ホウ化物、遷移金属シリサイド、遷移金属炭化物、遷移金属窒化物、遷移金属酸化物。
【0129】
[00133] 膜40の使用中、膜40は最高で約600℃の動作温度に達し得る。従って、膜40のスタックに使用される材料の融点は高いことが望ましい。一実施形態において、スタックの材料は、融点が1200℃よりも高いように選択される。
【0130】
[00134] 融点に関して、膜40に可能な材料は、融点が最も高い材料から順に、以下のランキングとなっている。遷移金属炭化物、遷移金属ホウ化物、遷移金属窒化物、純粋な遷移金属、遷移金属酸化物、遷移金属シリサイド。遷移金属によるが、遷移金属ホウ化物は遷移金属炭化物よりも高い融点を有する場合がある。遷移金属によるが、遷移金属酸化物は純粋な遷移金属よりも高い融点を有する場合がある。
【0131】
[00135] 一実施形態において、シリコン層41以外の層の材料は、熱膨張係数がシリコン層41の熱膨張係数に近いように選択される。シリコン層41の熱膨張係数は約2.6×10-6m/mKの範囲内であり得る。熱膨張係数を膜40のコアにおけるシリコン層41のものに一致させると、膜40の熱機械的故障の可能性が低下する。一実施形態において、スタックの材料は、熱膨張係数が約2×10-6m/mKから約6×10-6m/mKの範囲内となるように選択される。
【0132】
[00136] 熱膨張係数に関して、膜40に可能な材料のランキングは、具体的な化合物に大きく依存する。
【0133】
[00137]
図12に示されているように、一実施形態において、シリコン層41とキャッピング層46のうち1つとの間に遷移金属層48が提供されている。遷移金属層48は遷移金属を含む。例えば遷移金属は、Zr、Y、Mo、Cr、Hf、Ir、Mn、Nb、Os、Pd、Pt、Re、Rh、Ru、Ta、Ti、V、又はWとすればよい。一実施形態において、遷移金属層48の遷移金属は純粋な形態で提供される(すなわち、遷移金属のシリサイド、ホウ化物、炭化物、窒化物、又は酸化物ではない)。従って、一実施形態において膜40のスタックは、キャッピング層46、遷移金属層48、シリコン層、及びキャッピング層46を順番に含む。
【0134】
[00138] 一実施形態において、キャッピング層46は、遷移金属のホウ化物、炭化物(例えば炭化モリブデン)、窒化物、又は酸化物を含む。遷移金属層48の遷移金属は、遷移金属キャッピング層46と同一であり得る。代替的な実施形態では、遷移金属層48の遷移金属はキャッピング層46に使用されている遷移金属とは異なる。
【0135】
[00139]
図13に示されているように、一実施形態では、シリコン層41の両側に遷移金属層48が提供されている。遷移金属層48は、シリコン層41とキャッピング層46の各々との間に提供されている。従って、一実施形態において膜40のスタックは、キャッピング層46、遷移金属層48、シリコン層、遷移金属層48、及びキャッピング層46を順番に含む。
【0136】
[00140] 膜40にどの材料を使用するか選択する場合、上記で識別された特性、すなわちEUV透過、EUV反射、融点、熱膨張係数、及び抵抗の間には、トレードオフがある。
【0137】
[00141] 上記で特定した基準を用いたキャッピング層46に基づく、膜40に可能なスタックのランキングを、表2にまとめることができる。1は最良の順位を示し、2は次に良い順位を示す等となっている。異なるスタックに同じ順位が与えられている場合(例えば、順位2が与えられた3つの異なるスタックが存在する)、それらのスタックは等しく良好であるとみなされる。この表において、Mは遷移金属を表し、pSi(コア)は膜40のコアにおけるシリコン層41としてのポリシリコンを表す。符号「/」は、1つの層が終端し別の層が開始する場所を表す。
【0138】
[00142] 一実施形態において、ホウ化物は非伝導性(non-conducting)である(例えばB)。一実施形態において、炭化物は非伝導性である(例えばB
4C又はSiC)。一実施形態において、窒化物は非伝導性である(例えばSiN)。上に列挙したキャッピング層材料はいずれも、表2に示した組み合わせにおいて適切であり得る。450℃までの温度において熱的、機械的、及び化学的に(例えばEUV放射及びH2暴露に)耐えられる、そのような膜スタックの例は、例えばZrO2/SiN/pSi/SiN/Mo/Ru、及びB/(SiN)/pSi/(SiN)/Mo/Bである。例えば、B/SiN/pSi/SiN/Zr/Bのスタックでは、キャップ層の組み合わせZr及びBによって、EUV反射(EUVR)に対する膜の感度が0.04%未満まで低下すると共に、87~88%のEUV透過が可能となった。膜スタックB/pSi/B/Zr/Bスタックでは、Bはキャッピング層であるが、拡散バリア層としても機能し、Zrは放出層である。
【表2】
【0139】
[00143] 一実施形態において、膜40のスタックは拡散バリア層を含む。拡散バリア層の厚さは、EUV損失を最小限に抑えるため、好ましくは1nm未満である。拡散バリア層は、遷移金属層48とシリコン層41又はシリコン化合物層43との間にある。拡散バリア層は、遷移金属層48の遷移金属とシリコン層41又はシリコン化合物層43との間の混合及び/又は反応を低減させるように構成されている。例えば一実施形態において、拡散バリア層は、遷移金属とその下にあるシリコンコア材料との間のケイ素化を低減又は防止するように構成されている。遷移金属とシリコンとの間の混合又は反応は、膜40の特性を望ましくないように変化させ得る。例えば、膜40の放射率が望ましくないように低下する及び/又は膜40の物理的応力が変化する可能性がある。
【0140】
[00144] 一実施形態において、拡散バリア層は、B、B4C、C、Cr、Mg、Mo、Re、Ta、Ti、V、W、並びに、B、B4C、C、Cr、Mg、Mo、Re、Ta、Ti、V、及びWのいずれかの窒化物から成る群から選択された材料を含む。
【0141】
一実施形態において、膜アセンブリ80は、ペリクルとして又は動的ガスロックの一部として適用される。あるいは、膜アセンブリ80は、照明等の他のフィルタ(filtration)エリアにおいて、又はビームスプリッタのために適用することができる。一実施形態において、動的ガスロックは、リソグラフィ装置100内のデブリを阻止するように構成されている。一実施形態において、動的ガスロックは投影システムPSと基板Wとの間に位置決めされている。動的ガスロックは、基板Wから又は基板Wの近傍からの粒子が投影システムPS内の又は投影システムPSの周囲の光学コンポーネントに到達する可能性を低下させる。同様に、動的ガスロックは照明システムILを保護することができる。代替的な実施形態では、動的ガスロックは仮想光源点IFに位置決めされる。例えば動的ガスロックは、ソースコレクタモジュールSOと照明システムILとの間に位置決めされ得る。
【0142】
[00145] 本文ではICの製造におけるリソグラフィ装置の使用に特に言及しているが、本明細書で説明するリソグラフィ装置には他の用途もあることを理解されたい。例えば、これは、集積光学システム、磁気ドメインメモリ用ガイダンス及び検出パターン、フラットパネルディスプレイ、LCD、薄膜磁気ヘッドなどの製造である。本明細書に述べている基板は、露光前又は露光後に、例えばトラック(通常はレジストの層を基板に塗布し、露光したレジストを現像するツール)、メトロロジーツール及び/又はインスペクションツールで処理することができる。適宜、本明細書の開示は、以上及びその他の基板プロセスツールに適用することができる。更に基板は、例えば多層ICを生成するために、複数回処理することができ、したがって本明細書で使用する基板という用語は、既に複数の処理済み層を含む基板も指すことができる。
【0143】
[00146] 本発明の特定の実施形態について上述したが、本発明は記載したもの以外でも実施され得ることは認められよう。例えば、様々なフォトレジスト層は、同一の機能を実行する非フォトレジスト層で置き換えることも可能である。
【0144】
[00147] 上記の説明は例示的なものであり、限定するものではない。従って、以下に示す特許請求の範囲から逸脱することなく、記載された本発明に対して改変を加えることができることは、当業者には明らかであろう。