IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ アプライド マテリアルズ インコーポレイテッドの特許一覧

<>
  • 特許-ALD前駆体送達用シャワーヘッド 図1
  • 特許-ALD前駆体送達用シャワーヘッド 図2
  • 特許-ALD前駆体送達用シャワーヘッド 図3
  • 特許-ALD前駆体送達用シャワーヘッド 図4
  • 特許-ALD前駆体送達用シャワーヘッド 図5
  • 特許-ALD前駆体送達用シャワーヘッド 図6
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-31
(45)【発行日】2024-11-11
(54)【発明の名称】ALD前駆体送達用シャワーヘッド
(51)【国際特許分類】
   C23C 16/455 20060101AFI20241101BHJP
【FI】
C23C16/455
【請求項の数】 20
(21)【出願番号】P 2022538299
(86)(22)【出願日】2020-12-17
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2023-03-08
(86)【国際出願番号】 US2020065770
(87)【国際公開番号】W WO2021127287
(87)【国際公開日】2021-06-24
【審査請求日】2022-08-17
(31)【優先権主張番号】16/721,724
(32)【優先日】2019-12-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】390040660
【氏名又は名称】アプライド マテリアルズ インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】APPLIED MATERIALS,INCORPORATED
【住所又は居所原語表記】3050 Bowers Avenue Santa Clara CA 95054 U.S.A.
(74)【代理人】
【識別番号】110002077
【氏名又は名称】園田・小林弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】ムスタファ, ムハンナド
(72)【発明者】
【氏名】ラシード, ムハマド
【審査官】宮崎 園子
(56)【参考文献】
【文献】特表2019-514208(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C23C 16/455
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
プロセスチャンバ内で使用されるシャワーヘッドであって、
前記シャワーヘッドの中央領域から前記シャワーヘッドの周縁領域まで延在する第1の螺旋チャネル、
前記シャワーヘッドの前記中央領域から前記シャワーヘッドの前記周縁領域まで延在する第2の螺旋チャネルであって、前記第1の螺旋チャネルと交互に配置され、前記第1の螺旋チャネルから流体的に独立している第2の螺旋チャネル、
前記第1の螺旋チャネルから前記シャワーヘッドの下面上の複数の第1のガス分配孔まで延在する複数の第1のチャネルであって、各第1のチャネルは、前記シャワーヘッドの前記下面に垂直な軸に対して第1の角度で延在する単一のチャネルである、複数の第1のチャネル、及び
前記第2の螺旋チャネルから前記シャワーヘッドの前記下面上の複数の第2のガス分配孔まで延在する複数の第2のチャネルであって、各第2のチャネルは、前記シャワーヘッドの前記下面に垂直な前記軸に対して第2の角度で延在する単一のチャネルである、複数の第2のチャネルを備える、シャワーヘッド。
【請求項2】
前記複数の第1のガス分配孔と前記複数の第2のガス分配孔とは、前記シャワーヘッドの前記下面において螺旋パターンに沿って交互に収束する、請求項1に記載のシャワーヘッド。
【請求項3】
前記複数の第1のチャネル及び前記複数の第2のチャネルは、2度から9度の角度で延在する、請求項1に記載のシャワーヘッド。
【請求項4】
前記複数の第1のチャネル及び前記複数の第2のチャネルの各々は、上側部分及び下側部分を含み、前記下側部分は、前記上側部分の直径よりも大きい直径を有する、請求項1に記載のシャワーヘッド。
【請求項5】
前記シャワーヘッドの面は、前記シャワーヘッドを通してパージガスを流すように構成されたパージガス入口を含む、請求項1に記載のシャワーヘッド。
【請求項6】
前記シャワーヘッドの上面は、取り付けネジを受け入れるように構成された複数の開口部を含む、請求項1から5のいずれか一項に記載のシャワーヘッド。
【請求項7】
前記シャワーヘッドの外面は、前記シャワーヘッドを蓋アセンブリと位置合わせするように構成された溝を含む、請求項1から5のいずれか一項に記載のシャワーヘッド。
【請求項8】
前記シャワーヘッドの上面は、封止溝を有する第1の面を画定する凹部を含む、請求項1から5のいずれか一項に記載のシャワーヘッド。
【請求項9】
前記シャワーヘッドの上面は、複数の位置合わせ特徴を含む、請求項1から5のいずれか一項に記載のシャワーヘッド。
【請求項10】
前記シャワーヘッドの上面は、第1の面を画定する凹部を含み、前記第1の螺旋チャネル及び前記第2の螺旋チャネルは、前記第1の面の中央領域から前記第1の面の周縁領域まで螺旋パターンで延在する、請求項1から5のいずれか一項に記載のシャワーヘッド。
【請求項11】
前記第1の螺旋チャネル及び前記第2の螺旋チャネルは、0.1インチから0.4インチの幅を有する、請求項10に記載のシャワーヘッド。
【請求項12】
前記第1の螺旋チャネル及び前記第2の螺旋チャネルは、0.1インチから1.20インチの深さを有する、請求項10に記載のシャワーヘッド。
【請求項13】
前記下面の外径は、13.0インチから16.0インチである、請求項10に記載のシャワーヘッド。
【請求項14】
前記シャワーヘッドの外面は、前記上面から前記下面まで半径方向内向きに延在する、請求項10に記載のシャワーヘッド。
【請求項15】
プロセスチャンバであって、
処理空間を有するチャンバ本体、
前記処理空間内に配置され、外縁部を有する基板を支持するための基板支持面を有する基板支持体、
前記基板支持体に対向する前記処理空間内に配置された請求項1から5のいずれか一項に記載のシャワーヘッド、並びに
前記第1の螺旋チャネルに結合された第1の排気口及び前記第2の螺旋チャネルに結合された第2の排気口を備え、前記第1の排気口及び前記第2の排気口は、前記基板の前記外縁部の半径方向外側に0.25インチから1.50インチのところに配置されている、プロセスチャンバ。
【請求項16】
前記第1の排気口は、前記複数の第1のガス分配孔の最も外側の孔の上方に配置されている、請求項15に記載のプロセスチャンバ。
【請求項17】
第1のプロセスガスを前記処理空間に提供するために、第1の入口が前記第1の螺旋チャネルに流体結合され、第2のプロセスガスを前記処理空間に提供するために、第2の入口が前記第2の螺旋チャネルに流体結合されている、請求項15に記載のプロセスチャンバ。
【請求項18】
前記シャワーヘッドの前記下面は、表面コーティングを含む、請求項15に記載のプロセスチャンバ。
【請求項19】
前記シャワーヘッドと前記チャンバ本体との間に配置されたアイソレータを更に備える、請求項15に記載のプロセスチャンバ。
【請求項20】
前記アイソレータは、前記アイソレータの上面に、パージガスを流すように構成された環状チャネルを含む、請求項19に記載のプロセスチャンバ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[0001] 本開示の実施形態は、広くは、基板処理機器に関する。
【背景技術】
【0002】
[0002] 堆積チャンバは、典型的には、基板上に形成された特徴の上に材料層を堆積させるために使用される。原子層堆積(ALD)及び化学気相堆積(CVD)は、材料層の堆積に使用される堆積技法である。ALDプロセスの一例は、シャワーヘッドなどのガス分配装置を通るガスのパルス(pulse)の連続的な導入を含む。例えば、ガスのパルスの連続的な導入のための1サイクルは、第1の反応ガスのパルス、それに続くパージガスのパルス及び/又はポンプ排気、それに続く第2の反応ガスのパルス、並びにそれに続くパージガスのパルス及び/又はポンプ排気を含んでよい。第1の反応物と第2の反応物との別個のパルスの連続的な導入は、基板の表面上の反応物の単層の交互の自己制御吸収をもたらしてよく、したがって、各サイクルについて材料の単層を形成する。このサイクルは、堆積された材料の所望の厚さが到達されるまで、繰り返されてよい。第1の反応ガスのパルスと第2の反応ガスのパルスとの間のパージガスのパルス及び/又はポンプ排気は、チャンバ内に残っている反応物の余剰な量による反応物の気相反応の可能性を低減させるように働く。しかし、本発明者らは、ガス分配装置は、洗浄又はパージが困難であり、幾つかの堆積プロセスの間に、ガス分配装置を通るガスのパルスの導入が、基板全体にわたる堆積の不均一性をもたらすことを観察した。
【0003】
[0003] したがって、本発明者らは、堆積チャンバで使用される改良されたガス分配装置を提供した。
【発明の概要】
【0004】
[0004] 本明細書では、プロセスチャンバ内で使用されるシャワーヘッドの実施形態が提供される。幾つかの実施形態では、プロセスチャンバ内で使用されるシャワーヘッドが、シャワーヘッドの中央領域からシャワーヘッドの周縁領域まで延在する第1の螺旋チャネル、シャワーヘッドの中央領域からシャワーヘッドの周縁領域まで延在する第2の螺旋チャネルであって、第1の螺旋チャネルと交互に配置され、第1の螺旋チャネルから流体的に独立している第2の螺旋チャネル、第1の螺旋チャネルからシャワーヘッドの下面上の複数の第1のガス分配孔まで延在する複数の第1のチャネルであって、各第1のチャネルは、シャワーヘッドの下面に垂直な軸に対してある角度で延在する単一のチャネルである、複数の第1のチャネル、及び、第2の螺旋チャネルからシャワーヘッドの下面上の複数の第2のガス分配孔まで延在する複数の第2のチャネルであって、各第2のチャネルは、シャワーヘッドの下面に垂直な軸に対してある角度で延在する単一のチャネルである、複数の第2のチャネルを含む。
【0005】
[0005] 幾つかの実施形態では、プロセスチャンバ内で使用されるシャワーヘッドが、複数の第1のガス分配孔と複数の第2のガス分配孔とを有するシャワーヘッドの下面、第1の面を画定する凹部を有するシャワーヘッドの上面、第1の面の中央領域から第1の面の周縁領域まで螺旋パターンで延在する第1の螺旋チャネル、第1の螺旋チャネルから複数の第1のガス分配孔まで延在する複数の第1のチャネル、第1の面の中央領域から第1の面の周縁領域まで螺旋パターンで延在する第2の螺旋チャネルであって、第1の螺旋チャネルから流体的に独立している第2の螺旋チャネル、及び、第2の螺旋チャネルから複数の第2のガス分配孔まで延在する複数の第2のチャネルを含み、複数の第1のガス分配孔と複数の第2のガス分配孔とは、シャワーヘッドの下面に垂直な軸に対して約2度から約9度の角度で延在する。
【0006】
[0006] 幾つかの実施形態では、プロセスチャンバが、処理空間を有するチャンバ本体と、処理空間内に配置され、外縁部を有する基板を支持するための基板支持面を有する基板支持体と、基板支持体に対向する処理空間内に配置されたシャワーヘッドであって、シャワーヘッドの中央領域からシャワーヘッドの周縁領域まで延在する第1の螺旋チャネル及び第2の螺旋チャネルであって、第1の螺旋チャネルは、第2の螺旋チャネルと交互に配置され、第2の螺旋チャネルから流体的に独立している、第1の螺旋チャネル及び第2の螺旋チャネル、第1の螺旋チャネルからシャワーヘッドの下面上の複数の第1のガス分配孔まで延在する複数の第1のチャネル、第2の螺旋チャネルからシャワーヘッドの下面上の複数の第2のガス分配孔まで延在する複数の第2のチャネルを備え、複数の第1のガス分配孔及び複数の第2のガス分配孔は、シャワーヘッドの下面に垂直な軸に対してある角度で延在し、シャワーヘッドは更に、第1の入口の反対側の端部にある第1の螺旋チャネルに結合された第1の排気口及び第2の入口の反対側の端部にある第2の螺旋チャネルに結合された第2の排気口を備える、シャワーヘッドとを含み、第1の排気口及び第2の排気口は、基板の外縁部の半径方向外側に約0.25インチから約1.50インチのところに配置されている。
【0007】
[0007] 本開示の他の及び更なる実施形態が、以下で説明される。
【0008】
[0008] 上記で簡潔に要約され、以下でより詳細に説明される本開示の実施形態は、添付の図面に示す本開示の例示的な実施形態を参照することにより、理解することができる。しかし、本開示は他の等しく有効な実施形態を許容し得ることから、付随する図面は、本開示の典型的な実施形態のみを示しており、したがって、範囲を限定するものと見なすべきではない。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】[0009] 本開示の幾つかの実施形態によるプロセスチャンバの概略側面断面図を描く。
図2】[0010] 本開示の幾つかの実施形態によるシャワーヘッドの上面等角図を描く。
図3】[0011] 本開示の幾つかの実施形態によるシャワーヘッドの一部分の断面側面図である。
図4】[0012] 本開示の幾つかの実施形態によるシャワーヘッドの下面図を描く。
図5】[0013] 本開示の幾つかの実施形態によるシャワーヘッドの側面図を描く。
図6】[0014] 本開示の幾つかの実施形態によるシャワーヘッドの一部分の上面図を描く。
【発明を実施するための形態】
【0010】
[0015] 理解を容易にするために、可能な場合には、図に共通する同一の要素を指し示すのに同一の参照番号を使用した。図は縮尺どおりではなく、分かりやすくするために簡略化されていることがある。一実施形態の要素及び特徴は、更なる記述がなくとも、その他の実施形態に有益に組み込まれてよい。
【0011】
[0016] シャワーヘッドなどのガス分配装置の実施形態が、本明細書で提供される。本明細書で提供されるシャワーヘッドは、シャワーヘッド内のプロセスガス間の反応を低減させ又は防止するために、複数のプロセスガスのための隔離された流路を好適に提供する。本明細書で説明される教示を組み込むための適切な処理チャンバの例には、カリフォルニア州サンタクララのApplied Materials, Inc.から入手可能な高誘電率(すなわち、high k)及び金属ALD堆積チャンバが含まれるが、Applied Materials, Inc.又は他の製造業者から入手可能な他のチャンバも利益を得てよい。以下のプロセスチャンバの説明は、文脈及び例示の目的のために提供され、本開示の範囲を限定するものとして解釈されるべきではない。
【0012】
[0017] 図1は、本開示の幾つかの実施形態によるプロセスチャンバ(プロセスチャンバ100)の概略側面断面図を描いている。プロセスチャンバ100は、チャンバ本体102、及び蓋アセンブリ104を含み、チャンバ本体102内で蓋アセンブリ104の下には、処理空間106が画定されている。チャンバ本体102内のスリット弁120は、ロボット(図示せず)が、プロセスチャンバ100との間で外縁部122を有する基板112を送達し及び/又は取り出すためのアクセスを提供する。基板112は、150mm、200mm、300mm、450mmなどの、半導体ウエハ、ガラス基板などであってよい。
【0013】
[0018] 基板支持体108は、プロセスチャンバ100内で基板受け面上に基板を支持する。基板支持体108には、基板支持体108及び(基板支持体108上に配置されたときに)基板を上げ下げするためのリフトモータが取り付けられている。基板支持体108は、処理中に基板を基板支持体108に固定するために、減圧チャック(図示せず)、静電チャック(図示せず)、又はクランプリング(図示せず)を含んでよい。
【0014】
[0019] 基板支持体108の温度は、基板の温度を制御するために調整されてよい。例えば、基板支持体108は、抵抗加熱器のような埋め込まれた加熱要素を用いて加熱されてよく、又は、基板支持体108に熱エネルギーを提供するように構成された加熱ランプのような放射熱を用いて加熱されてもよい。
【0015】
[0020] 幾つかの実施形態では、エッジリング116が、基板支持体108の周縁部の上に配置されてよい。エッジリング116は、基板支持体108の支持面を露出させるようにサイズ決定された中央開口部を含む。エッジリング116は、基板支持体108の側面を保護するために、スカート、又は下向きに延在する環状リップを更に含んでよい。
【0016】
[0021] 幾つかの実施形態では、ライナ114が、チャンバ本体102の内壁(例えば、1以上の側壁)に沿って配置され、動作中の腐食性ガス又は材料の堆積からチャンバ本体102を保護する。ライナ114は、複数の開口部128であって、処理空間106をポンプポート126に流体結合して、プロセスチャンバ100からのガスの排気を促進し、ポンプポート126に結合された減圧ポンプを介してプロセスチャンバ100の内側の所定の圧力又は圧力範囲を維持するための複数の開口部128を含む。
【0017】
[0022] ガス送達システム118が、蓋アセンブリ104に結合され、プロセスガス及び/又はパージガスのようなガスをシャワーヘッド110を通して処理空間106に提供する。シャワーヘッド110は、概して基板支持体108に対向する蓋アセンブリ104内に配置され、処理空間106にプロセスガスを提供するための複数のガス分配孔160を含む。シャワーヘッド110は、シャワーヘッド110内で混合することなく複数のプロセスガスを処理空間106に供給するために、互いに流体的に独立した複数の交互に配置された螺旋チャネルを含む。複数の交互に配置された螺旋チャネルは、複数のガス分配孔160のそれぞれの孔に流体結合されている。幾つかの実施形態では、複数の交互に配置された螺旋チャネルが、第1の螺旋チャネル150と第2の螺旋チャネル158とを含む。幾つかの実施形態では、複数の交互に配置された螺旋チャネルが、3つ以上の交互に配置された螺旋チャネルを含む。
【0018】
[0023] 幾つかの実施形態では、ガス送達システム118が、第1の螺旋チャネル150と第2の螺旋チャネル158とを囲むバッキング板124を含む。幾つかの実施形態では、バッキング板124が、シャワーヘッド110の裏面に形成された凹部168内に配置される。幾つかの実施形態では、バッキング板124の上面が、シャワーヘッド110の上面と実質的に同一平面上にある。
【0019】
[0024] 2つの交互に配置された螺旋チャネルを有する実施形態では、ガス送達システム118が、第1のガス源134からシャワーヘッド110に第1のプロセスガスを提供するための第1の供給ライン132、及び、第2のガス源144からシャワーヘッド110に第2のプロセスガスを提供するための第2の供給ライン140を含む。幾つかの実施形態では、ガス送達システム118が、ガスマニホールド166を含む。幾つかの実施形態では、第1の供給ライン132が、ガスマニホールド166及びバッキング板124を介して、第1のガス源134からシャワーヘッド110まで延在している。幾つかの実施形態では、第2の供給ライン140が、ガスマニホールド166及びバッキング板124を介して、第2のガス源144からシャワーヘッド110まで延在している。第1の入口162が、第1の螺旋チャネル150に流体結合され、第1の供給ライン132から処理空間106に第1のプロセスガスを提供する。第2の入口164が、第2の螺旋チャネル158に流体結合され、第2のガス源144から処理空間106に第2のプロセスガスを提供する。
【0020】
[0025] シャワーヘッドは、第1の螺旋チャネル150に結合された第1の排気口152、及び、第2の螺旋チャネル158に結合された第2の排気口154を含む。第1の排気口152は、第1の排気ライン142を介して第1の排気ポンプ136に結合されている。第1の排気ポンプ136は、第1の螺旋チャネル150を排気するように構成されている。第2の排気口154は、第2の排気ライン148を介して第2の排気ポンプ146に結合されている。第2の排気ポンプ146は、第2の螺旋チャネル158を排気するように構成されている。幾つかの実施形態では、第1の排気ライン142及び第2の排気ライン148が、ガスマニホールド166を通って延在する。本発明者らは、第1の排気口152及び第2の排気口154が基板112の上に配置されたときに、基板112上に不均一な堆積が生じることを観察した。幾つかの実施形態では、シャワーヘッド110がポンプダウンされたときに、基板112上の堆積の不均一性を好適に低減させるために、第1の排気口152及び第2の排気口154が、基板112の外縁部122の半径方向外側に配置される。幾つかの実施形態では、第1の排気口152及び第2の排気口154が、基板112の外縁部の半径方向外側に約0.25インチから約1.50インチのところに配置される。
【0021】
[0026] 幾つかの実施形態では、ガス送達システム118が、1以上のパージガス供給ライン170(図1では2つ示されている)を介して、パージガスを処理空間106に提供するためのパージガス源138を含む。幾つかの実施形態では、1以上のパージガス供給ライン170が、シャワーヘッド110のそれぞれの1以上のパージガス入口(図2で示されている)に流体結合される。パージガスは、シャワーヘッド110とライナ114との間の空隙を介して、パージガス入口から処理空間106に流れるように構成される。幾つかの実施形態では、アイソレータ156が、シャワーヘッド110とライナ114との間に配置され、それらの間の電気的アーク放電を低減させ又は防止する。幾つかの実施形態では、アイソレータ156の内面のプロファイルが、シャワーヘッド110の外面のプロファイルと一致する。幾つかの実施形態では、パージガスが、シャワーヘッド110とアイソレータ156との間を流れるように構成される。幾つかの実施形態では、アイソレータ156が、アイソレータ156の上面に環状チャネル130を含む。環状チャネル130は、シャワーヘッド110のパージガス入口に流体結合され、アイソレータ156とシャワーヘッド110との間でパージガスの流れを導くように構成される。
【0022】
[0027] 例示的な処理動作では、基板112が、ロボット(図示せず)によってスリットバルブ120を通してプロセスチャンバ100に送達される。基板112は、リフトピンとロボットとの協働を介して基板支持体108上に配置される。基板支持体108は、基板112を上昇させて、シャワーヘッド110の下面と密接に対向させる。(例えば、第1のガス源134からの)第1のガス流は、(例えば、第2のガス源144からの)第2のガス流と共に、又は連続的に(例えば、パルスで)、ガス送達システム118によって処理空間106の中に注入されてよい。第1のガス源134は、第1の前駆体を含み、第2のガス源144は、第2の前駆体を含む。(例えば、パージガス源138からの)第3のガス流は、第1のガス流及び第2のガス流と共に、又は第1のガス流と第2のガス流との各々が注入される前若しくは後に連続的に(例えば、パルスで)、処理空間106の中に注入されてよい。パージガス源は、インシトゥ(in-situ)処理に適した任意のガスを含む。次いで、ガスを基板の表面上に堆積させる。余剰ガスや副生成物などは、ライナ114内の複数の開口部128を通ってポンプポート126に流れ、次いで、プロセスチャンバ100から排気される。
【0023】
[0028] 図2は、本開示の幾つかの実施形態によるシャワーヘッドの上面等角図を描いている。第1の螺旋チャネル150及び第2の螺旋チャネル158は、シャワーヘッド110の中央領域からシャワーヘッド110の周縁領域まで延在する。幾つかの実施形態では、シャワーヘッド110の上面202が凹部168を含む。凹部168は、第1の面204及び第2の面218を画定する。幾つかの実施形態では、第1の面204が、第1の螺旋チャネル150及び第2の螺旋チャネル158の周りで環状に延在する封止溝210を含む。Oリングが、封止溝210内に配置されてよく、第1の螺旋チャネル150及び第2の螺旋チャネル158を密封する。幾つかの実施形態では、第1の面204が、上面202と実質的に平行である。
【0024】
[0029] 幾つかの実施形態では、シャワーヘッド110の上面202が、取り付けネジを受け入れるように構成された複数の開口部206を含む。幾つかの実施形態では、複数の開口部206が、シャワーヘッド110をバッキング板124に結合することを容易にする。幾つかの実施形態では、複数の開口部206が、上面202から凹んだ特徴220内に配置されている。幾つかの実施形態では、特徴220が、凹部168の第2の面218から半径方向外向きに延在する。幾つかの実施形態では、特徴220が、シャワーヘッド110の周りで軸対称に配置される。幾つかの実施形態では、シャワーヘッドの上面202が、シャワーヘッド110をバッキング板124と位置合わせするために、複数の位置合わせ特徴208を含む。幾つかの実施形態では、位置合わせ特徴208が、特徴220の間に配置される。
【0025】
[0030] 幾つかの実施形態では、シャワーヘッド110の外面212が、シャワーヘッド110を蓋アセンブリ104と位置合わせするように構成された1以上の溝214を含む。幾つかの実施形態では、1以上の溝214が、シャワーヘッド110の周りで軸対称に配置された3つの溝である。幾つかの実施形態では、上面202が、シャワーヘッド110を通して(例えば、パージガス源138から)パージガスを流すように構成された1以上のパージガス入口216を含む。幾つかの実施形態では、1以上のパージガス入口216が、直径の両側にある2つの入口を含む。
【0026】
[0031] 図3は、本開示の幾つかの実施形態によるシャワーヘッドの一部分の断面側面図である。複数のガス分配孔160が、複数の第1のチャネル302及び複数の第2のチャネル304を含む。複数の第1のチャネル302は、第1の螺旋チャネル150からシャワーヘッド110の下面314上の複数の第1のガス分配孔306まで延在している。複数の第2のチャネル304は、第2の螺旋チャネル158からシャワーヘッドの下面314上の複数の第2のガス分配孔308まで延在している。
【0027】
[0032] 第1の螺旋チャネル150と第2の螺旋チャネル158とは、それぞれの第1及び第2の入口162、164と第1及び第2の排気口152、154との間の距離に相当する全長を有する。第1のガス分配孔306は、第1の螺旋チャネル150の全長に沿って離隔している。第2のガス分配孔308は、第2の螺旋チャネル158の全長に沿って離隔している。幾つかの実施形態では、第1の螺旋チャネル150及び第2の螺旋チャネル158の全長は、約120インチから約168インチである。幾つかの実施形態では、第1の螺旋チャネル150が、約800から約900個の第1のガス分配孔306を含む。幾つかの実施形態では、第2の螺旋チャネル158が、約800から約900個の第2のガス分配孔308を含む。
【0028】
[0033] 第1の螺旋チャネル150及び第2の螺旋チャネル158は、プロセスチャンバ100によって実行されているプロセスに適した容積を有してよい。より小さい容積は、第1の螺旋チャネル150及び第2の螺旋チャネル158のより速い飽和及び排気を可能にし、より少ない量のプロセスガスを処理空間106に提供する。より小さい容積は、薄膜堆積のためのより短いパルス時間を有するプロセスにより適している。より大きい容積は、第1の螺旋チャネル150及び第2の螺旋チャネル158のより遅い飽和及び排気を可能にし、より大量のプロセスガスを処理空間106に提供する。したがって、第1の螺旋チャネル150及び第2の螺旋チャネル158の容積は、所望の膜厚及びパルス時間に対応し得る。
【0029】
[0034] 幾つかの実施形態では、第1の螺旋チャネル150と第2の螺旋チャネル158とが、異なる容積を有する。幾つかの実施形態では、第1の螺旋チャネル150と第2の螺旋チャネル158とが、等しい容積を含む同様の容積を有する。幾つかの実施形態では、第1の螺旋チャネル150の幅312が、第2の螺旋チャネル158の幅324と実質的に同じである。幾つかの実施形態では、幅324及び幅312が、約0.1インチから約0.4インチである。幾つかの実施形態では、第1の螺旋チャネル150及び第2の螺旋チャネル158の深さ316が、約0.1インチから約1.20インチである。幾つかの実施形態では、第1の螺旋チャネル150と第2の螺旋チャネル158との間の壁厚322が、約0.02インチから約0.08インチである。
【0030】
[0035] 複数の第1のチャネル302及び複数の第2のチャネル304は、好適には角度が付けられている。それによって、複数の第1のガス分配孔306及び複数の第2のガス分配孔308が、シャワーヘッド110の下面314における螺旋パターンに沿って交互に収束する(例えば、図4で示されているように)。幾つかの実施形態では、螺旋パターンが、シャワーヘッド110の中央領域からシャワーヘッド110の周縁領域まで2つの交互に配置された螺旋パターンを含む(図4参照)。螺旋パターンに沿って交互に収束することによって、第1のガス分配孔306と第2のガス分配孔308とは、それぞれ、第1のプロセスガス及び第2のプロセスガスを、より均一なやり方で基板112に好適に提供し得る。
【0031】
[0036] 複数の第1のチャネル302は、シャワーヘッド110の下面314に垂直な軸320に対して第1の角度310で延在している。複数の第1のチャネル302は、第1の螺旋チャネル150から外向きに(例えば、第1の螺旋チャネル150自体に対して外向きに)下面314まで延在する。幾つかの実施形態では、複数の第1のチャネル302が、第1の螺旋チャネル150の第1の側342から外向きに延在する。幾つかの実施形態では、複数の第1のチャネル302が、複数の第1のチャネル302の第2の側352から外向きに延在する。幾つかの実施形態では、複数の第1のチャネル302のうちの幾つかが、第1の螺旋チャネル150から第1の側342から外向きに延在し、複数の第1のチャネル302のうちの他のものが、第1の螺旋チャネル150から第2の側352から外向きに延在する。例えば、複数の第1のチャネル302は、第1の側342から外向きに延在することと、第2の側352から外向きに延在することと、の間で交互になり得る(図6の部分上面図でも描かれているように)。
【0032】
[0037] 複数の第2のチャネル304は、シャワーヘッド110の下面314に垂直な軸320に対して第2の角度318で延在している。複数の第2のチャネル304は、第2の螺旋チャネル158から外向きに(例えば、第2の螺旋チャネル158自体に対して外向きに)下面314まで延在する。幾つかの実施形態では、複数の第2のチャネル304が、第2の螺旋チャネル158の第1の側344から外向きに延在する。幾つかの実施形態では、複数の第2のチャネル304が、第2の螺旋チャネル158の第2の側354から外向きに延在する。幾つかの実施形態では、複数の第2のチャネル304のうちの幾つかが、第2の螺旋チャネル158から第1の側344から外向きに延在し、複数の第2のチャネル304のうちの他のものが、第2の螺旋チャネル158から第2の側354から外向きに延在する。例えば、複数の第2のチャネル304は、第1の側344から外向きに延在することと、第2の側354から外向きに延在することと、の間で交互になり得る(図6の部分上面図でも描かれているように)。
【0033】
[0038] 幾つかの実施形態では、第1の角度310が、約2度から約40度である。幾つかの実施形態では、第2の角度318が、約2度から約40度である。幾つかの実施形態では、第1の角度310が、約2度から約9度である。幾つかの実施形態では、第2の角度318が、約2度から約9度である。第1の角度310は、第1の螺旋チャネル150の幅312及び深さ316に基づいて決定されてよい。第2の角度318は、第2の螺旋チャネル158の幅324及び深さ316に基づいて決定されてよい。幾つかの実施形態では、第1の角度310と第2の角度318とが、実質的に同じである。幾つかの実施形態では、第1の角度310と第2の角度318とが、互いから約5度以内である。
【0034】
[0039] 幾つかの実施形態では、複数の第1のチャネル302が、第1の螺旋チャネル150の第1の側342から延在し、複数の第2のチャネル304が、第2の螺旋チャネル158の第2の側354から延在する(すなわち、互いに向けて角度が付けられる)。それによって、複数の第1のガス分配孔306と複数の第2のガス分配孔308とが、シャワーヘッド110の下面314において螺旋パターンに沿って交互に収束する。幾つかの実施形態では、複数の第1のチャネル302が、第1の螺旋チャネル150の第2の側354から延在し、複数の第2のチャネル304が、第2の螺旋チャネル158の第1の側344から延在する。それによって、複数の第1のガス分配孔306と複数の第2のガス分配孔308とが、シャワーヘッド110の下面314において螺旋パターンに沿って交互に収束する。例えば、図4及び以下の対応する説明を参照のこと。
【0035】
[0040] 図6は、本開示の幾つかの実施形態によるシャワーヘッドの部分上面図を描いている。幾つかの実施形態では、図6で示されているように、複数の第1のチャネル302のうちの幾つかが、第1の螺旋チャネル150の第1の側342から延在し、複数の第2のチャネル304のうちの幾つかが、第2の螺旋チャネル158の第2の側354から延在し、複数の第1のチャネル302のうちの他のものは、第1の螺旋チャネル150の第2の側352から延在し、複数の第2のチャネル304のうちの他のものは、第2の螺旋チャネル158の第1の側344から延在する。それによって、複数の第1のガス分配孔306と複数の第2のガス分配孔308とが、シャワーヘッド110の下面314において螺旋パターンに沿って交互に収束する。
【0036】
[0041] 幾つかの実施形態では、複数の第1のチャネル302の各第1のチャネルは、第1の螺旋チャネル150の全長に沿って切り取られた第1のチャネル302を有する任意の所与の断面における単一のチャネルである。幾つかの実施形態では、複数の第2のチャネル304の各第2のチャネルが、第2の螺旋チャネル158の全長に沿って切り取られた任意の所与の断面における単一のチャネルである。
【0037】
[0042] 幾つかの実施形態では、複数の第1のチャネル302の各々が、上側部分326及び下側部分328を含む。幾つかの実施形態では、複数の第2のチャネル304の各々が、上側部分330及び下側部分332を含む。幾つかの実施形態では、第1及び第2のチャネル302、304を通る流れをチョーク(choke)させるために、上側部分326、330が、下側部分328、332の直径未満の直径を有する。幾つかの実施形態では、上側部分326、330が、約0.01インチから約0.02インチの直径を有する。幾つかの実施形態では、下側部分328、332が、約0.04インチから約0.08インチの直径を有する。幾つかの実施形態では、流れコンダクタンス(flow conductance)を増加させるために、上側部分326、330が、下側部分328、332の長さよりも短い長さを有する。幾つかの実施形態では、上側部分326、330が、下側部分328、332と等しい長さを含む下側部分328、332の長さと同様の長さを有する。
【0038】
[0043] 図4は、本開示の幾つかの実施形態によるシャワーヘッドの下面図を描いている。幾つかの実施形態では、複数の第1のガス分配孔と複数の第2のガス分配孔とが、螺旋パターンを規定するように交互パターンで配置されている。幾つかの実施形態では、複数の第1のガス分配孔と複数の第2のガス分配孔とが、第1の螺旋パターンと、第1の螺旋パターンと交互に配置された第2の螺旋パターンとを含む、交互に配置された螺旋パターンを規定するように、交互のパターンで配置されている。
【0039】
[0044] シャワーヘッド110の下面の基板領域410が、処理されている基板(例えば、基板112)のサイズ及び位置に対応する。基板領域410は、実質的に、処理されている基板の所与の直径以上の直径を有する。例えば、プロセスチャンバが300mmのウエハを処理するように構成されている場合、基板領域410は、実質的に300mm以上の直径を有する。
【0040】
[0045] 螺旋プロファイルのために、シャワーヘッド110の周縁領域(例えば、基板領域410の半径方向外側)にある複数の第1のガス分配孔306と複数の第2のガス分配孔308とは、交互パターンで配置されなくてよい。しかし、シャワーヘッド110は、好適には、処理されている基板よりも大きくサイズ決定される。それによって、複数の第1のガス分配孔306及び複数の第2のガス分配孔308のうちの任意の交互に配置されないガス分配孔が、基板領域410の半径方向外側の周縁領域内に配置され、したがって、ガス分配孔のパターンに起因する任意の堆積の不均一性を最小化する。幾つかの実施形態では、第1の排気口152が、複数の第1のガス分配孔306の最も外側の孔404の上方に配置される。幾つかの実施形態では、第2の排気口154が、複数の第2のガス分配孔308の最も外側の孔408の上方に配置される。
【0041】
[0046] 図5は、本開示の幾つかの実施形態によるシャワーヘッドの側面図を描いている。幾つかの実施形態では、シャワーヘッドが、上側部分502及び下側部分506を含む。幾つかの実施形態では、上側部分502が、下側部分506の半径方向外向きに延在する。幾つかの実施形態では、下側部分506の外面510が、上側部分502から下面314まで半径方向内向きに延在する。幾つかの実施形態では、下面314が、表面コーティング508を含み、多くの基板処理用途(ALDなど)で使用される前駆体に対してより良好な耐食性を提供する。幾つかの実施形態では、表面コーティング508が、例えば、熱ALDプロセスにおいて、部品寿命の始めからプロセス安定性を提供するために、より良好な放射率制御を提供し得る。幾つかの実施形態では、表面コーティング508が、アンチモンドープ酸化スズ(ATO)などの導電性材料を含む。
【0042】
[0047] 下面314の外径は、処理されている基板112の外径よりも大きい。幾つかの実施形態では、下面314の外径が、約13.0インチから約16.0インチである。幾つかの実施形態では、上面202から下面314までのシャワーヘッドの高さ504が、約2.0インチから約3.0インチである。幾つかの実施形態では、上側部分502の高さ512が、約0.4インチから約1.0インチである。
【0043】
[0048] 上記は本開示の実施形態を対象とするが、本開示の基本的な範囲から逸脱することなく、本開示の他の実施形態及び更なる実施形態を考案してもよい。
図1
図2
図3
図4
図5
図6