(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-31
(45)【発行日】2024-11-11
(54)【発明の名称】真空下でフローコンダクタンスを変化させるためのバルブ
(51)【国際特許分類】
F16K 3/03 20060101AFI20241101BHJP
F16K 51/02 20060101ALI20241101BHJP
F16K 31/44 20060101ALI20241101BHJP
C23C 16/455 20060101ALI20241101BHJP
【FI】
F16K3/03
F16K51/02 B
F16K31/44 C
C23C16/455
(21)【出願番号】P 2023507381
(86)(22)【出願日】2021-07-07
(86)【国際出願番号】 US2021040668
(87)【国際公開番号】W WO2022031399
(87)【国際公開日】2022-02-10
【審査請求日】2023-03-29
(32)【優先日】2020-08-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】390040660
【氏名又は名称】アプライド マテリアルズ インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】APPLIED MATERIALS,INCORPORATED
【住所又は居所原語表記】3050 Bowers Avenue Santa Clara CA 95054 U.S.A.
(74)【代理人】
【識別番号】110002077
【氏名又は名称】園田・小林弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】ムスタファ, ムハンナド
(72)【発明者】
【氏名】ラシード, ムハンマド エム.
【審査官】加藤 昌人
(56)【参考文献】
【文献】特開昭60-227066(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2015/0060713(US,A1)
【文献】実開昭60-167863(JP,U)
【文献】登録実用新案第3149153(JP,U)
【文献】特開2019-002573(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第105605238(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16K 3/00- 3/36
F16K 31/44-31/62
F16K 51/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
半導体処理チャンバのためのバルブであって、前記バルブは、
ダイヤフラム本体によって分離されている導管入口及び導管出口を有するバルブ本体
を備え、前記ダイヤフラム本体は、
モータ、
前記モータに連結されている伝送リンク、
前記バルブ本体内の固定体に連結されている固定プレート、及び
前記伝送リンクに移動可能に連結されている1つ又は複数のシャッタプレート
を含み、前記固定プレートは開口部を含み、前記1つ又は複数のシャッタプレートは前記開口部に対して移動可能であ
り、前記1つ又は複数のシャッタプレートの各々は、半円形として形成されている、バルブ。
【請求項2】
前記モータは、前記モータに連結されている歯車ねじを含むアクチュエータハウジングを含む、請求項1に記載のバルブ。
【請求項3】
前記歯車ねじは、線形打ち込みねじに連結され、前記線形打ち込みねじは、前記伝送リンクに連結される、請求項2に記載のバルブ。
【請求項4】
前記固定プレート及び前記1つ又は複数のシャッタプレートの各々は、金属材料を含む、請求項1に記載のバルブ。
【請求項5】
前記1つ又は複数のシャッタプレートの各々は、ピボットピンによって前記固定プレートに連結されている、請求項1に記載のバルブ。
【請求項6】
前記開口
部は、前記固定プレートの中心からオフセットされ
ている、請求項1に記載のバルブ。
【請求項7】
半導体処理チャンバのためのバルブであって、前記バルブは、
ダイヤフラム本体によって分離されている導管入口及び導管出口を有するバルブ本体
を備え、前記ダイヤフラム本体は、
モータ、
前記モータに連結されている伝送リンク、
固定プレートを取り囲み、かつ
回転真空シールによって
前記固定プレートから分離されている回転可能なリングであって、前記伝送リンクに連結されている回転可能なリング、及び
それぞれの枢動可能な締め具によって前記回転可能なリングに移動可能に連結されている1つ又は複数のシャッタプレート
を含み、前記固定プレートは開口部を含み、前記1つ又は複数のシャッタプレートは、前記開口部に対して移動可能である、バルブ。
【請求項8】
前記モータは、前記モータに連結されている歯車ねじを含むアクチュエータハウジングを含む、請求項
7に記載のバルブ。
【請求項9】
前記歯車ねじは、線形打ち込みねじに連結され、前記線形打ち込みねじは、前記伝送リンクに連結される、請求項
8に記載のバルブ。
【請求項10】
前記固定プレート、前記枢動可能な締め具、及び前記1つ又は複数のシャッタプレートの各々は、金属材料を含む、請求項
7に記載のバルブ。
【請求項11】
前記1つ又は複数のシャッタプレートの各々は、ピボットピンによって前記固定プレートに連結されている、請求項
7に記載のバルブ。
【請求項12】
前記1つ又は複数のシャッタプレートの各々は、ロッドによって前記回転可能なリングに連結される、請求項
7に記載のバルブ。
【請求項13】
前記ロッドは、第1のピボットピンによって前記回転可能なリングに連結される、請求項
12に記載のバルブ。
【請求項14】
前記ロッドは、前記ロッドの反対側の端部において、第2のピボットピンによってそれぞれのシャッタプレートに連結される、請求項
13に記載のバルブ。
【請求項15】
前記ロッド、前記第1のピボットピン及び前記第2のピボットピンの各々は、ステンレス鋼材料を含む、請求項
14に記載のバルブ。
【請求項16】
半導体処理チャンバのためのバルブであって、前記バルブは、
ダイヤフラム本体によって分離されている導管入口及び導管出口を有するバルブ本体
を備え、前記ダイヤフラム本体は、
モータ、
前記モータに連結されている伝送リンク、
固定プレートを取り囲み、かつ
回転真空シールによって
前記固定プレートから分離されている回転可能なリングであって、前記伝送リンクに連結されている回転可能なリング、及び
それぞれの枢動可能な締め具によって前記回転可能なリングに移動可能に連結され、かつそれぞれのロッドによって前記回転可能なリングに移動可能に連結されている1つ又は複数のシャッタプレート
を備え、前記固定プレートは開口部を含み、前記1つ又は複数のシャッタプレートは、前記開口部に対して移動可能である、バルブ。
【請求項17】
前記モータは、前記モータに連結されている歯車ねじを含むアクチュエータハウジングを含む、請求項
16に記載のバルブ。
【請求項18】
前記歯車ねじは、線形打ち込みねじに連結され、前記線形打ち込みねじは、前記伝送リンクに連結される、請求項
17に記載のバルブ。
【請求項19】
前記固定プレート、前記枢動可能な締め具、及び前記1つ又は複数のシャッタプレートの各々は、ステンレス鋼材料を含む、請求項
16に記載のバルブ。
【請求項20】
前記回転真空シールが強磁性流体シールである、請求項8から19のいずれか一項に記載のバルブ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示の実施態様は、概して、基板を処理するための方法及び装置に関する。より具体的には、本明細書に記載の実施形態は、基板の処理中に(即ち、インシトゥ(その場)で)フローコンダクタンス(flow conductance)を変化させることができるバルブデバイスに関する。
【背景技術】
【0002】
電子デバイス業界及び半導体業界は、生産歩留りを増大させつつ、より大きな表面積を有するようになってきている基板上に堆積される層の均一性を高めるための努力を続けている。また、これらの同じ要素を新しい材料と組み合わせることでも、基板上の単位面積あたりの回路の集積化が高まる。より高い堆積速度と層の特性に関するプロセス制御の必要性が高まり、同様に回路集積化の向上が望まれている。
【0003】
既存の化学気相堆積(CVD)チャンバ及び/又は原子層堆積(ALD)チャンバでは、基板上に1つ又は複数の膜を堆積させるために、気化した前駆体材料をバルブ本体とノズルを介して処理領域に供給するように、アンプルが利用される。一貫した堆積速度を得るために、前駆体流動(flux)の制御が利用される。前駆体流動は、アンプルの圧力を変えたり、アンプルの温度を変えたりすることによって提供されることもある。しかし、アンプルの圧力及び/又は温度を変えると、欠陥数及び/又は粒子の懸念の増加につながる。
【0004】
したがって、上記欠点のない前駆体供給システムの圧力を制御するための方法及び装置が必要とされる。
【発明の概要】
【0005】
本明細書で説明される実施形態は、半導体処理のためのバルブに関する。1つの実施形態では、バルブは、ダイヤフラム本体によって分離されている導管入口及び導管出口を有するバルブ本体を含む。ダイヤフラム本体は、モータ、モータに連結されている伝送リンク、バルブ本体内の固定体に連結されている固定プレート、及び伝送リンクに移動可能に連結されている1つ又は複数のシャッタプレートを含み、固定プレートは開口部を含み、1つ又は複数のシャッタプレートは、開口部に対して移動可能である。
【0006】
別の実施形態では、半導体処理チャンバのためのバルブが開示される。バルブは、ダイヤフラム本体によって分離されている導管入口及び導管出口を有するバルブ本体を含む。ダイヤフラム本体は、モータ、モータに連結されている伝送リンク、固定プレートを取り囲み、かつダイナミックシールによって分離されている回転可能なリングであって、伝送リンクに連結されている回転可能なリング、及びそれぞれの枢動可能な締め具によって回転可能なリングに移動可能に連結されている1つ又は複数のシャッタプレートを含み、固定プレートは開口部を含み、1つ又は複数のシャッタプレートは、開口部に対して移動可能である。
【0007】
別の実施形態では、半導体処理チャンバのためのバルブが開示される。バルブは、ダイヤフラム本体によって分離されている導管入口及び導管出口を有するバルブ本体を含む。ダイヤフラム本体は、モータ、モータに連結されている伝送リンク、固定プレートを取り囲み、かつダイナミックシールによって分離されている回転可能なリングであって、伝送リンクに連結されている回転可能なリング、及びそれぞれの枢動可能な締め具によって回転可能なリングに移動可能に連結され、かつそれぞれのロッドによって回転可能なリングに移動可能に連結されている1つ又は複数のシャッタプレートを含み、固定プレートは開口部を含み、1つ又は複数のシャッタプレートは、開口部に対して移動可能である。
【0008】
本開示の上述の特徴を詳細に理解できるように、上記で簡単に要約されている本開示のより詳細な説明が、実施形態を参照することによって得られ、それらの実施形態の一部が添付図面に示される。しかし、添付図面は例示的な実施形態を示しているにすぎず、従って、本開示の範囲を限定すると見なすべきではなく、その他の等しく有効な実施形態も許容されうることに留意されたい。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本開示の実施形態による、例示的な基板処理チャンバの概略断面図である。
【
図2】
図1に示す基板処理チャンバで利用されうるバルブデバイスの 1つの実施形態の等角図である。
【
図3B】バルブデバイスの内部構成要素の正面図である。
【
図3C】バルブデバイスの内部構成要素の背面図である。
【
図4】A及びBは、シャッタプレートの数の異なる実施形態を示すバルブデバイスのダイヤフラム本体の概略側面図である。
【
図5】A及びBは、バルブデバイスの他の実施形態による、単一のシャッタプレートを示すダイヤフラム本体の概略側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
理解を容易にするために、可能な場合には、複数の図に共通する同一の要素を指し示すのに同一の参照番号を使用した。1つの実施形態の要素及び特徴は、更なる記述がなくとも、他の実施形態に有益に組み込まれうると想定される。
【0011】
本明細書で説明する実施形態は、基板処理チャンバ内の前駆体ガスの流れを制御するためのバルブデバイスに関する。このバルブデバイスは、処理中に(つまりインシトゥ(その場)で)ダイナミックな流量制御が可能である。バルブデバイスは、フローコンダクタンスを変化させることができるように、処理中に調整できるフローオリフィスを含む。オリフィスのサイズは、プレートの開口部に対する1つ又は複数のシャッタプレートの変位を制御することによって、ソフトウェアを使用して制御することができる。バルブデバイスは、前駆体ガスによる劣化に耐える材料で構成され、高温(例えば、摂氏約150度)で使用することができる。また、バルブデバイスは、極端な負圧(例えば、1ミリトル以下)でも動作しうる。
【0012】
図1は、本開示の実施形態による、例示的な基板処理チャンバ100の概略断面図である。処理チャンバ100は、原子層堆積(ALD)チャンバ、化学気相堆積(CVD)チャンバ、又は他の堆積チャンバの概略図でありうる。本明細書に開示されている実施形態は、カリフォルニア州サンタクララのアプライドマテリアルズ社から入手できるチャンバ、例えば、CENTURA(登録商標)若しくはENDURA(登録商標)、又はその他のものなどと共に利用されうる。他の製造業者からの他の基板処理チャンバは、本明細書で提供される教示に従って利益が得られる。
【0013】
基板処理チャンバ100は、チャンバ本体106と、チャンバ本体106の上面110に配置されるチャンバリッド170とを含み、内部空間(inner volume)134を画定する。基板支持体112は、基板支持面114で基板120を支持する。基板支持体体(又はペデスタル)112は、基板支持体112及びその上に配置された基板120を上げ下げするためのリフトモータ128に装着される。リフトモータ118に連結されたリフトプレート116が処理チャンバ100に装着され、基板支持体112を通して移動可能に配置されたピン122を上げ下げする。ピン122は、基板120を基板支持体112の表面上方で上げ下げする。いくつかの実施形態では、基板支持体112は、基板120を基板支持体112に固定するための真空チャック、静電チャック、又はクランプリングを含む。チャンバ本体106の壁104に形成された開口部108は、基板処理チャンバ100への基板の搬入及び搬出を容易にする。
【0014】
基板支持体112は、その上に配置された基板120の温度を上昇させるために加熱される。例えば、基板支持体112は、抵抗加熱器などの埋め込まれた加熱素子を使用して加熱されてもよく、又は、基板支持体112の上方に配置された加熱ランプなど、放射熱を仕様して加熱されてもよい。基板支持体112の上にパージリング124が配置され、基板120の周辺部分に対してパージガスを供給してその上への堆積を防止するパージチャネル126が画定される。
【0015】
排気システム131は、基板処理チャンバ100から望ましくないガスを排出するために、ポンピングチャネル132と連通している。また、排気システム131はまた、基板処理チャンバ100の内部を所望の圧力又は所望の圧力範囲に維持するのにも役立つ。
【0016】
ガス供給システム150は、チャンバリッド170に形成された又はこれに連結されたガス通路180に連結され、前駆体ガス、反応ガス、キャリアガス、パージガス、又はこれらのガスの組み合わせを、基板処理チャンバ100に選択的に供給する。ガス供給システム150は、複数のガス源152、155、165、167を有するガスパネル151と、ガスパネル151から基板処理チャンバ100へのガスの流れを制御するために、1つ又は複数の導管(例えば、導管156、158)に連結された複数のバルブ(2つが示されている)157、159とを備える。いくつかの実施形態では、ガスパネル151は、バルブ157に到達する前に供給されるガスの少なくとも一部を混合するように構成される。例えば、いくつかの実施形態では、導管156を介して基板処理チャンバ100にガスを選択的に供給するか、又は導管161を介して排気システム130にガスを迂回させるために、バルブ157が、ガス源152、155を連結する接合部163の下流に配置されうる。いくつかの実施形態では、バルブ157、159は、ガスパネル151によって供給されるガスのパルス供給を促進するための切替バルブ、高速バルブ、停止バルブなどである。いくつかの実施形態では、バルブ157、159は、二方向バルブ、例えば、ガスパネルからのプロセスガスの流れを、例えば、導管161、173を介して基板処理チャンバ100から遠ざけるように迂回させるよう構成された迂回バルブである。
【0017】
いくつかの実施形態では、導管161、173は、排気システム130、171に連結される。なお、排気システム130,171は、同一の排気システムであっても、異なる排気システムであってもよい。追加のガス源153及び169は、導管158を介してガス通路180に連結され、ガス通路180に追加のガスを供給する。例えば、いくつかの実施形態では、ガス源153及び169のいずれか又は両方は、例えば、四塩化チタン(TiCl4)又はアンモニア(NH3)などの前駆体ガスの一定の流れを提供する前駆体ガス源でありうる。
【0018】
例えば、固体又は液体の前駆体が利用されるようないくつかの実施形態では、ガス供給システム150は、1つ又は複数のアンプルを備えうる。このような実施形態では、1つ又は複数のアンプルは、固体又は液体の前駆体を収容し、基板処理チャンバ100に供給するために気体形態に昇華又は蒸発させることができるように構成されうる。
【0019】
いくつかの実施形態では、バルブ157、159は、処理チャンバ100に供給されるガス源152、153、155、165、167及び169からの前駆体の流量及び/又は体積を変化させるために利用される。いくつかの実施形態では、ガス源152、153、155、165、167及び169の圧力及び/又は温度を制御せずに、バルブ157、159を用いてガス源152、153、155、165、167及び169から前駆体ガスの圧力が制御される。バルブ157、159によって提供される圧力制御は、処理チャンバ100が堆積プロセス中に負圧下にある場合など、処理中に(即ち、インシトゥ(その場)で)変更されうる。
【0020】
基板処理チャンバ100には、プログラムされたパーソナルコンピュータ、ワークステーションコンピュータなどのコントローラ140が連結される。実例として、コントローラ140は、中央処理装置(CPU)142と、サポート回路144と、関連する制御ソフトウェア148を包含するメモリ146とを備える。コントローラ140は、処理チャンバ100で行われるプロセス、例えば、ALDプロセスやCVDプロセスの動作条件を制御する。コントローラ140は、バルブ157、159並びにガス供給システム150の他の部分の動作を制御する。例えば、コントローラ140は、堆積サイクルの異なる段階中に、ガス供給システム150から基板処理チャンバ100への様々な前駆体ガス及びパージガスの流れを制御するように構成されうる。
【0021】
図2は、バルブデバイス200の1つの実施形態の等角図である。バルブデバイス200は、
図1に示すバルブ157及びバルブ159の一方又は両方として利用される。
【0022】
バルブデバイス200は、導管入口210と導管出口215とを有するバルブ本体205を含む。導管入口210と導管出口215の各々は、商標名VCR(登録商標)で販売されている金属シールコネクタや継手などのシーリングコネクタ220を含む。バルブデバイス200はまた、モータ(
図3Aに示す)を含むアクチュエータハウジング225を含む。
【0023】
図3A~3Cは、
図2に示すバルブデバイス200の種々の図である。
図3Aは、バルブデバイス200の側断面図である。
図3B及び
図3Cは、バルブ本体205の内部構成要素を示す側面図である。
図3Bは内部構成要素の正面図であり、
図3Cは内部構成要素の背面図である。
【0024】
図3Aを参照すると、バルブデバイス200は、歯車ねじ(gear screw)305に回転可能に連結されるモータ300を含む。歯車ねじ305は、線形打ち込みねじ(linear drive screw)310に回転可能に連結され、線形打ち込みねじ310は、伝送リンク315に連結される。線形打ち込みねじ310は、雌/雄ねじなどのねじ山(図示せず)を含む親ねじでありうる。モータ300は、1つの実施形態では、エンコーダを含む直動ステッピングモータである。しかしながら、モータ300及び/又は線形打ち込みねじ310は、制御された動きを伝送リンク315に提供可能な任意のアクチュエータ又は作動デバイスでありうる。
【0025】
線形打ち込みねじ310は、バルブ本体205のプレート320の開口部318を通って延びる又は配置される延長部材316を含む。延長部材326は、その端部で伝送リンク315に連結する。伝送リンク315のもう1つの端部は、ダイヤフラム本体325に連結される。
【0026】
ダイヤフラム本体325は、固定体(fixed body)332に可動に連結されている回転体(rotating body)又は回転可能なリング330を含む。回転可能なリング330は、固定体332の半径方向外側に配置される。固定体332は、回転可能なリング330の一部を少なくとも部分的に受け入れうる。ダイナミックシール334は、回転可能なリング330と固定体332との間の界面に位置する。ダイナミックシール334は、強磁性流体シールのような回転真空シールである。
【0027】
図3Bを参照すると、ダイヤフラム本体325は、固定体332の一部である固定プレート336を含む。ダイヤフラム本体325はまた、枢動可能な締め具340によって固定プレート336に回動可能に連結される複数のシャッタプレート338を含む。ダイヤフラム本体325はまた、複数のロッド342を含む。各ロッド342は、回転可能なリング330とシャッタプレート338の1つとの両方の間に移動可能に連結される。以下により詳細に説明するように、回転可能なリング330の移動は、それぞれのロッド342による回転可能なリング330とシャッタプレート338の間の接続のため、シャッタプレート338の各々の移動を促進する。
図3Cに示すように、固定プレート336は、固定プレート336と回転可能なリング330との両方の寸法353(例えば、直径)より小さい寸法351(例えば、直径)を有する開口部350を含む。
【0028】
動作時に、モータ300が作動し、歯車ねじ305が、バルブデバイス200の第1の回転軸352を中心に回転する。第1の回転軸352を中心に回転することで、線形打ち込みねじ310が線形方向(Z方向)に移動する。線形打ち込みねじ310と伝送リンク315との間の連結のため、線形打ち込みねじ310の線形移動により、回転可能なリング330が、バルブ本体205の第2の回転軸354(
図3Bに示す方向357)を中心として回転する。
【0029】
回転可能なリング330が第2の回転軸354を中心に回転するとき、固定プレート336は静止している。しかし、複数のロッド342が回転可能なリング330及びシャッタプレート338に接続されているため、シャッタプレート338は、第3の回転軸356(
図3Bに示す)を中心に回転する。回転可能なリング330の回転方向に応じて、シャッタプレート338が、固定プレート336の開口部350に対して移動される。シャッタプレート338の相対的な移動は、流体流オリフィス360(即ち、固定プレート336の開口部350の露出部分)のサイズを増加させるか又は減少させるかのいずれかである。流体流オリフィス360のサイズを変化させることにより、バルブ本体205を通って、前駆体ガスなどの流体の流れの制御が容易になる。回転可能なリング330は、回転可能なリング330と伝送リンク315との間の枢動可能な連結を促進するハンドル部材362を含む。
【0030】
図3Bを参照すると、ロッド342の各々は、第1のピボットピン365によって回転可能なリング330に枢動可能に連結される。同様に、ロッド342の各々は、第2のピボットピン370によってそれぞれのシャッタプレート338に枢動可能に連結される。上述したように、回転可能なリング330の回転により、シャッタ板338の各々が移動して、流体流オリフィス360を開閉する。
【0031】
なお、3つのシャッタプレート338が上で示されたが、ダイヤフラム本体325は図示された数に限定されない。
【0032】
図4A及び
図4Bは、シャッタプレート338の数の異なる実施形態を示すダイヤフラム本体325の概略側面図である。
図4Aは4つのシャッタプレート338を示し、
図4Bは6つのシャッタプレート338を示す。シャッタプレート338の各々が、それぞれのロッド342に連結される。回転可能なリング330(
図3A~3Cに示す)が方向357に移動すると、シャッタプレート338が開口部350を中心に開いたり閉じたりする。しかしながら、シャッタプレート338の数は3つ、4つ、6つに限定されず、3つ未満、2つ未満、又は4つ若しくは6つを上回る数を含みうる。
【0033】
代替的又は付加的に、シャッタプレート338の形状は、上に示したような三角形に限定されない。同様に、開口部350は、上に示したような形状及び/又は位置ではない。
【0034】
図5A及び
図5Bは、単一のシャッタプレート338を示すダイヤフラム本体325の概略側面図である。
図5A及び
図5Bには、単一のシャッタプレート338が半円形のシャッタプレート500として示されている。更に、
図5Aは、固定プレート336の幾何学的中心又はその近傍にある円形セグメントとして形成された固定プレート336の開口部505を示している。加えて、
図5Bは、開口部505が固定プレート336の中心からオフセットしていることを示している。
【0035】
図5A及び
図5Bに示す実施形態では、伝送リンク315は、半円形シャッタプレート500に直接連結される。これらの実施形態では、線形打ち込みねじ310の移動により、半円形シャッタプレート500が、固定プレート336及び/又は開口部505に対して方向510に相対的に回転する。これにより、流体流オリフィス360のサイズが変化し、それによって、開口部505を通る前駆体の流れが制御される。
【0036】
本明細書で説明するバルブデバイス200の材料、特に、バルブデバイス200のダイヤフラム本体325は、処理チャンバ100で使用される前駆体材料に耐性のある金属材料を含む。例は、他のプロセス適合性材料の中でも、アルミニウム及びステンレス鋼を含む。特に、ダイヤフラム本体325及び/又はバルブ本体205の一部は、前駆体ガスに対する耐腐食性が向上しているため、400系ステンレス鋼を含む。ダイヤフラム本体325及び/又はバルブ本体205に利用される金属材料はまた、ニッケル(Ni)などの別の材料のコーティングを含みうる。
【0037】
本明細書で説明する実施形態は、基板処理チャンバ内の前駆体ガスの流れを制御するためのバルブデバイスに関する。このバルブデバイスは、処理中に(つまりインシトゥ(その場)で)ダイナミックな流量制御が可能である。バルブデバイスは、パーティクルの発生を抑制することにより、処理された基板の欠陥を低減する。
【0038】
上記の説明は本開示の実施形態を対象としているが、本開示の他の実施形態及び更なる実施形態が、本開示の基本的範囲から逸脱することなく考案されてもよく、本開示の範囲は、以下の特許請求の範囲によって決定される。