(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-31
(45)【発行日】2024-11-11
(54)【発明の名称】プラズマモニタシステム、プラズマモニタ方法およびモニタ装置
(51)【国際特許分類】
H05H 1/00 20060101AFI20241101BHJP
H05H 1/46 20060101ALI20241101BHJP
H01L 21/3065 20060101ALI20241101BHJP
【FI】
H05H1/00 A
H05H1/46 M
H01L21/302 103
(21)【出願番号】P 2023523443
(86)(22)【出願日】2022-05-19
(86)【国際出願番号】 JP2022020855
(87)【国際公開番号】W WO2022249973
(87)【国際公開日】2022-12-01
【審査請求日】2024-03-12
(31)【優先権主張番号】P 2021088516
(32)【優先日】2021-05-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000219967
【氏名又は名称】東京エレクトロン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100113435
【氏名又は名称】黒木 義樹
(74)【代理人】
【識別番号】100122507
【氏名又は名称】柏岡 潤二
(74)【代理人】
【識別番号】100140682
【氏名又は名称】妙摩 貞茂
(72)【発明者】
【氏名】照内 怜
(72)【発明者】
【氏名】廣瀬 潤
(72)【発明者】
【氏名】永関 一也
(72)【発明者】
【氏名】檜森 慎司
【審査官】藤本 加代子
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-152542(JP,A)
【文献】特表2019-508888(JP,A)
【文献】特開2021-44539(JP,A)
【文献】特表2003-529946(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2015/0076328(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2005/0011611(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05H 1/00
H05H 1/46
H01L 21/3065
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
プラズマ処理装置内で生成されるプラズマの発光強度を計測するシステムであって、
プラズマ処理装置内のステージ上に載置されるモニタ装置であって、板状のベース基板と、前記ベース基板上において上方に向いた光軸を有し、互いに離間して配置され、前記プラズマの発光強度を取得する複数の分光器と、を含む前記モニタ装置と、
前記複数の分光器によってそれぞれ取得された前記発光強度に基づいて前記プラズマ処理装置内の前記プラズマの発光強度分布データを取得する制御装置と、を含む、プラズマモニタシステム。
【請求項2】
前記発光強度分布データは、前記モニタ装置における前記複数の分光器の各位置に対応して前記複数の分光器のそれぞれで取得された前記発光強度が表示された可視表示データである、請求項1に記載のプラズマモニタシステム。
【請求項3】
プラズマ処理装置内における前記複数の分光器のそれぞれの光の計測領域は、互いに重複した領域を含まない、請求項1又は2に記載のプラズマモニタシステム。
【請求項4】
モニタ装置を用いてプラズマ処理装置内で生成されるプラズマの発光強度を計測する方法であって、
前記モニタ装置は、
板状のベース基板と、
前記ベース基板上において上方に向いた光軸を有し、互いに離間して配置された複数の分光器と、を含み、
該方法は、
前記プラズマ処理装置のチャンバ内のステージ上にモニタ装置を載置する工程と、
前記プラズマ処理装置のチャンバ内でプラズマを生成する工程と、
前記プラズマの発光強度を前記複数の分光器によって取得する工程と、
前記複数の分光器によって取得された前記発光強度に基づいて前記プラズマ処理装置内の前記プラズマの発光強度分布データを取得する工程と、を備える、プラズマモニタ方法。
【請求項5】
プラズマ処理装置内で生成されるプラズマの発光強度を計測するモニタ装置であって、
プラズマ処理装置内のステージ上に載置される板状のベース基板と、
前記ベース基板上において上方に向いた光軸を有し、互いに離間して配置され、前記プラズマの発光強度を取得する複数の分光器と、
前記複数の分光器によってそれぞれ取得された前記発光強度に基づいて前記プラズマ処理装置内の前記プラズマの発光強度分布データを取得する制御装置と、を含む、モニタ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示の例示的実施形態は、プラズマモニタシステム、プラズマモニタ方法およびモニタ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、プラズマ処理装置に関する技術が開示されている。このプラズマ処理装置は、プラズマ処理が行われる処理室と、検出窓を介して処理室の外側に設けられた光学検出器とを含む。光学検出器は、処理室内で生成されるプラズマの状態を監視する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本開示は、プラズマ処理装置内におけるプラズマの発光強度分布データを取得するための技術を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
一つの例示的実施形態においては、プラズマ処理装置内で生成されるプラズマの発光強度を計測するシステムが提供される。このシステムは、モニタ装置と、制御装置とを含む。モニタ装置は、プラズマ処理装置内のステージ上に載置される装置である。モニタ装置は、板状のベース基板と、ベース基板上において上方に向いた光軸を有し、互いに離間して配置され、プラズマの発光強度を取得する複数の分光器と、を含む。制御装置は、複数の分光器によってそれぞれ取得された発光強度に基づいてプラズマ処理装置内のプラズマの発光強度分布データを取得する。
【発明の効果】
【0006】
一つの例示的実施形態に係るプラズマモニタシステムによれば、プラズマ処理装置内におけるプラズマの発光強度分布データを取得することができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図3】
図3は、プラズマ処理装置の一例を示す図である。
【
図4】
図4は、一例のモニタ装置を上面側から見た平面図である。
【
図5】
図5は、一例のモニタ装置の構成を示すブロック図である。
【
図6】
図6は、一例のモニタ装置における分光器の撮像範囲を説明するための模式図である。
【
図7】
図7は、分光器によって撮像された画像に基づく合成画像の一例を模式的に示す図である。
【
図8】
図8は、モニタ装置の動作方法の一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、種々の例示的実施形態について説明する。
【0009】
一つの例示的実施形態においては、プラズマ処理装置内で生成されるプラズマの発光強度を計測するシステムが提供される。このシステムは、モニタ装置と、制御装置とを含む。モニタ装置は、プラズマ処理装置内のステージ上に載置される装置である。モニタ装置は、板状のベース基板と、ベース基板上において上方に向いた光軸を有し、互いに離間して配置され、プラズマの発光強度を取得する複数の分光器と、を含む。制御装置は、複数の分光器によってそれぞれ取得された発光強度に基づいてプラズマ処理装置内のプラズマの発光強度分布データを取得する。
【0010】
一つの例示的実施形態においては、モニタ装置を用いてプラズマ処理装置内で生成されるプラズマの発光強度を計測する方法が提供される。モニタ装置は、板状のベース基板と、ベース基板上において上方に向いた光軸を有し、互いに離間して配置された複数の分光器と、を含む。該方法は、プラズマ処理装置のチャンバ内のステージ上にモニタ装置を載置する工程を含む。該方法は、プラズマ処理装置のチャンバ内でプラズマを生成する工程を含む。該方法は、プラズマの発光強度を複数の分光器によって取得する工程を含む。該方法は、複数の分光器によって取得された発光強度に基づいてプラズマ処理装置内のプラズマの発光強度分布データを取得する工程含む。
【0011】
上記実施形態のプラズマモニタシステム及びプラズマモニタ方法では、ステージ上に載置されたモニタ装置の複数の分光器によって、プラズマ処理装置内で生成されたプラズマの発光強度が取得される。複数の分光器は、ベース基板上に互いに離間して配置されている。そのため、それぞれの分光器における光の計測領域は、互い異なっている。すなわち、それぞれの分光器は、プラズマ処理装置内の異なる領域のプラズマの発光強度を取得することができる。したがって、プラズマモニタシステム及びプラズマモニタ方法では、複数の分光器によって取得されたプラズマの発光強度から、プラズマ処理装置内のプラズマの発光強度分布を取得することができる。
【0012】
一つの例示的実施形態において、発光強度分布データは、モニタ装置における複数の分光器の各位置に対応して複数の分光器のそれぞれで取得された発光強度が表示された可視表示データであってもよい。
【0013】
一つの例示的実施形態において、プラズマ処理装置内における複数の分光器のそれぞれの光の計測領域は、互いに重複した領域を含まなくてもよい。この構成では、プラズマ処理装置内で生成されるプラズマの発光強度を位置ごとに明確に切り分けることができる。
【0014】
以下、図面を参照して種々の実施形態について詳細に説明する。なお、各図面において同一又は相当の部分に対しては同一の符号を附すこととする。
【0015】
一つの例示的実施形態に係るモニタ装置100は、半導体製造装置S1としての機能を有する処理システム1と協働することによりプラズマモニタシステムを構成する。まず、被加工物を処理するための処理装置、及び、当該処理装置に被加工物を搬送するための搬送装置を有する処理システムについて説明する。
図1は、処理システムを例示する図である。処理システム1は、台2a~2d、容器4a~4d、ローダモジュールLM、アライナAN、ロードロックモジュールLL1,LL2、プロセスモジュールPM1~PM5、トランスファーモジュールTF、及び、制御部MCを備えている。なお、台2a~2dの個数、容器4a~4dの個数、ロードロックモジュールLL1,LL2の個数、及び、プロセスモジュールPM1~PM5の個数は限定されるものではなく、一以上の任意の個数であり得る。
【0016】
台2a~2dは、ローダモジュールLMの一縁に沿って配列されている。容器4a~4dはそれぞれ、台2a~2d上に搭載されている。容器4a~4dの各々は、例えば、FOUP(Front Opening Unified Pod)と称される容器である。容器4a~4dのそれぞれは、被加工物Wを収容するように構成され得る。被加工物Wは、ウエハのように略円盤形状を有する。
【0017】
ローダモジュールLMは、大気圧状態の搬送空間をその内部に画成するチャンバ壁を有している。この搬送空間内には搬送装置TU1が設けられている。搬送装置TU1は、例えば、多関節ロボットであり、制御部MCによって制御される。搬送装置TU1は、容器4a~4dとアライナANとの間、アライナANとロードロックモジュールLL1~LL2の間、ロードロックモジュールLL1~LL2と容器4a~4dの間で被加工物Wを搬送するように構成されている。
【0018】
アライナANは、ローダモジュールLMと接続されている。アライナANは、被加工物Wの位置の調整(位置の校正)を行うように構成されている。
図2は、アライナを例示する斜視図である。アライナANは、支持台6T、駆動装置6D、及び、センサ6Sを有している。支持台6Tは、鉛直方向に延びる軸線中心に回転可能な台であり、その上に被加工物Wを支持するように構成されている。支持台6Tは、駆動装置6Dによって回転される。駆動装置6Dは、制御部MCによって制御される。駆動装置6Dからの動力により支持台6Tが回転すると、当該支持台6T上に載置された被加工物Wも回転するようになっている。
【0019】
センサ6Sは、光学センサであり、被加工物Wが回転されている間、被加工物Wのエッジを検出する。センサ6Sは、エッジの検出結果から、基準角度位置に対する被加工物WのノッチWN(或いは、別のマーカー)の角度位置のずれ量、及び、基準位置に対する被加工物Wの中心位置のずれ量を検出する。センサ6Sは、ノッチWNの角度位置のずれ量及び被加工物Wの中心位置のずれ量を制御部MCに出力する。制御部MCは、ノッチWNの角度位置のずれ量に基づき、ノッチWNの角度位置を基準角度位置に補正するための支持台6Tの回転量を算出する。制御部MCは、この回転量の分だけ支持台6Tを回転させるよう、駆動装置6Dを制御する。これにより、ノッチWNの角度位置を基準角度位置に補正することができる。また、制御部MCは、ノッチWNの角度位置を任意の角度位置に補正してもよい。また、制御部MCは、アライナANから被加工物Wを受け取る際の搬送装置TU1のエンドエフェクタ(end effector)の位置を、被加工物Wの中心位置のずれ量に基づき、制御する。これにより、搬送装置TU1のエンドエフェクタ上の所定位置に被加工物Wの中心位置が一致する。
【0020】
図1に戻り、ロードロックモジュールLL1及びロードロックモジュールLL2の各々は、ローダモジュールLMとトランスファーモジュールTFとの間に設けられている。ロードロックモジュールLL1及びロードロックモジュールLL2の各々は、予備減圧室を提供している。
【0021】
トランスファーモジュールTFは、ロードロックモジュールLL1及びロードロックモジュールLL2にゲートバルブを介して気密に接続されている。トランスファーモジュールTFは、減圧可能な減圧室を提供している。この減圧室には、搬送装置TU2が設けられている。搬送装置TU2は、例えば、搬送アームTUaを有する多関節ロボットであり、制御部MCによって制御される。搬送装置TU2は、ロードロックモジュールLL1~LL2とプロセスモジュールPM1~PM5との間、及び、プロセスモジュールPM1~PM5のうち任意の二つのプロセスモジュール間において、被加工物Wを搬送するように構成されている。
【0022】
プロセスモジュールPM1~PM5は、トランスファーモジュールTFにゲートバルブを介して気密に接続されている。プロセスモジュールPM1~PM5の各々は、被加工物Wに対してプラズマ処理といった専用の処理を行うよう構成された処理装置である。
【0023】
この処理システム1において被加工物Wの処理が行われる際の一連の動作は以下の通り例示される。ローダモジュールLMの搬送装置TU1が、容器4a~4dのいずれかから被加工物Wを取り出し、当該被加工物WをアライナANに搬送する。次いで、搬送装置TU1は、その位置が調整された被加工物WをアライナANから取り出して、当該被加工物WをロードロックモジュールLL1及びロードロックモジュールLL2のうち一方のロードロックモジュールに搬送する。次いで、一方のロードロックモジュールが、予備減圧室の圧力を所定の圧力に減圧する。次いで、トランスファーモジュールTFの搬送装置TU2が、一方のロードロックモジュールから被加工物Wを取り出し、当該被加工物WをプロセスモジュールPM1~PM5のうちいずれかに搬送する。そして、プロセスモジュールPM1~PM5のうち一以上のプロセスモジュールが被加工物Wを処理する。そして、搬送装置TU2が、処理後の被加工物WをプロセスモジュールからロードロックモジュールLL1及びロードロックモジュールLL2のうち一方のロードロックモジュールに搬送する。次いで、搬送装置TU1が被加工物Wを一方のロードロックモジュールから容器4a~4dのいずれかに搬送する。
【0024】
この処理システム1は、上述したように制御部MCを備えている。制御部MCは、プロセッサ、メモリといった記憶装置、表示装置、入出力装置、通信装置等を備えるコンピュータであり得る。上述した処理システム1の一連の動作は、記憶装置に記憶されたプログラムに従った制御部MCによる処理システム1の各部の制御により、実現されるようになっている。
【0025】
図3は、プロセスモジュールPM1~PM5のいずれかとして採用され得るプラズマ処理装置の一例を示す図である。
図3に示すプラズマ処理装置10は、容量結合型プラズマエッチング装置である。プラズマ処理装置10は、略円筒形状のチャンバ本体12を備えている。チャンバ本体12は、例えば、アルミニウムから形成されており、その内壁面には、陽極酸化処理が施され得る。このチャンバ本体12は保安接地されている。
【0026】
チャンバ本体12の底部上には、略円筒形状の支持部14が設けられている。支持部14は、例えば、絶縁材料から構成されている。支持部14は、チャンバ本体12内に設けられており、チャンバ本体12の底部から上方に延在している。また、チャンバ本体12によって提供されるチャンバS内には、ステージSTが設けられている。ステージSTは、支持部14によって支持されている。
【0027】
ステージSTは、下部電極LE及び静電チャックESCを有している。下部電極LEは、第1プレート18a及び第2プレート18bを含んでいる。第1プレート18a及び第2プレート18bは、例えばアルミニウムといった金属から構成されており、略円盤形状をなしている。第2プレート18bは、第1プレート18a上に設けられており、第1プレート18aに電気的に接続されている。
【0028】
第2プレート18b上には、静電チャックESCが設けられている。静電チャックESCは、導電膜である電極を一対の絶縁層又は絶縁シート間に配置した構造を有しており、略円盤形状を有している。静電チャックESCの電極には、直流電源22がスイッチ23を介して電気的に接続されている。この静電チャックESCは、直流電源22からの直流電圧により生じたクーロン力等の静電力により被加工物Wを吸着する。これにより、静電チャックESCは、被加工物Wを保持することができる。
【0029】
第2プレート18bの周縁部上には、フォーカスリングFRが設けられている。このフォーカスリングFRは、被加工物Wのエッジ及び静電チャックESCを囲むように設けられている。このフォーカスリングFRは、シリコン、炭化ケイ素、酸化シリコンといった種々の材料のうちいずれかから形成され得る。
【0030】
第2プレート18bの内部には、冷媒流路24が設けられている。冷媒流路24は、温調機構を構成している。冷媒流路24には、チャンバ本体12の外部に設けられたチラーユニットから配管26aを介して冷媒が供給される。冷媒流路24に供給された冷媒は、配管26bを介してチラーユニットに戻される。このように、冷媒流路24とチラーユニットとの間では、冷媒が循環される。この冷媒の温度を制御することにより、静電チャックESCによって支持された被加工物Wの温度が制御される。
【0031】
ステージSTには、当該ステージSTを貫通する複数(例えば、三つ)の貫通孔25が形成されている。複数の貫通孔25は、平面視において静電チャックESCの内側に形成されている。これら、それぞれの貫通孔25には、リフトピン25aが挿入されている。なお、
図3においては、一本のリフトピン25aが挿入された一つの貫通孔25が描かれている。リフトピン25aは、貫通孔25内において上下動可能に設けられている。リフトピン25aの上昇によって、静電チャックESC上に支持された被加工物Wが上昇する。
【0032】
ステージSTには、平面視において静電チャックESCよりも外側の位置に、当該ステージST(下部電極LE)を貫通する複数(例えば、三つ)の貫通孔27が形成されている。これら、それぞれの貫通孔27には、リフトピン27aが挿入されている。なお、
図3においては、一本のリフトピン27aが挿入された一つの貫通孔27が描かれている。リフトピン27aは、貫通孔27内において上下動可能に設けられている。リフトピン27aの上昇によって、第2プレート18b上に支持されたフォーカスリングFRが上昇する。
【0033】
また、プラズマ処理装置10には、ガス供給ライン28が設けられている。ガス供給ライン28は、伝熱ガス供給機構からの伝熱ガス、例えばHeガスを、静電チャックESCの上面と被加工物Wの裏面との間に供給する。
【0034】
また、プラズマ処理装置10は、上部電極30を備えている。上部電極30は、ステージSTの上方において、当該ステージSTと対向配置されている。上部電極30は、絶縁性遮蔽部材32を介して、チャンバ本体12の上部に支持されている。上部電極30は、天板34及び支持体36を含み得る。天板34はチャンバSに面しており、当該天板34には複数のガス吐出孔34aが設けられている。この天板34は、シリコン又は石英から形成され得る。或いは、天板34は、アルミニウム製の母材の表面に酸化イットリウムといった耐プラズマ性の膜を形成することによって構成され得る。
【0035】
支持体36は、天板34を着脱自在に支持するものであり、例えばアルミニウムといった導電性材料から構成され得る。この支持体36は、水冷構造を有し得る。支持体36の内部には、ガス拡散室36aが設けられている。このガス拡散室36aからは、ガス吐出孔34aに連通する複数のガス通流孔36bが下方に延びている。また、支持体36には、ガス拡散室36aに処理ガスを導くガス導入口36cが形成されており、このガス導入口36cには、ガス供給管38が接続されている。
【0036】
ガス供給管38には、バルブ群42及び流量制御器群44を介して、ガスソース群40が接続されている。ガスソース群40は、複数種のガス用の複数のガスソースを含んでいる。バルブ群42は複数のバルブを含んでおり、流量制御器群44はマスフローコントローラといった複数の流量制御器を含んでいる。ガスソース群40の複数のガスソースはそれぞれ、バルブ群42の対応のバルブ及び流量制御器群44の対応の流量制御器を介して、ガス供給管38に接続されている。
【0037】
また、プラズマ処理装置10では、チャンバ本体12の内壁に沿ってデポシールド46が着脱自在に設けられている。デポシールド46は、支持部14の外周にも設けられている。デポシールド46は、チャンバ本体12にエッチング副生物(デポ)が付着することを防止するものであり、アルミニウム材に酸化イットリウム等のセラミックスを被覆することにより構成され得る。
【0038】
チャンバ本体12の底部側、且つ、支持部14とチャンバ本体12の側壁との間には排気プレート48が設けられている。排気プレート48は、例えば、アルミニウム材に酸化イットリウム等のセラミックスを被覆することにより構成され得る。排気プレート48には、その板厚方向に貫通する複数の孔が形成されている。この排気プレート48の下方、且つ、チャンバ本体12には、排気口12eが設けられている。排気口12eには、排気管52を介して排気装置50が接続されている。排気装置50は、圧力調整弁及びターボ分子ポンプなどの真空ポンプを有しており、チャンバ本体12内の空間を所望の真空度まで減圧することができる。また、チャンバ本体12の側壁には被加工物Wの搬入出口12gが設けられており、この搬入出口12gはゲートバルブ54により開閉可能となっている。
【0039】
また、プラズマ処理装置10は、第1の高周波電源62及び第2の高周波電源64を更に備えている。第1の高周波電源62は、プラズマ生成用の第1の高周波を発生する電源であり、例えば、27~100MHzの周波数を有する高周波を発生する。第1の高周波電源62は、整合器66を介して上部電極30に接続されている。整合器66は、第1の高周波電源62の出力インピーダンスと負荷側(上部電極30側)の入力インピーダンスを整合させるための回路を有している。なお、第1の高周波電源62は、整合器66を介して下部電極LEに接続されていてもよい。
【0040】
第2の高周波電源64は、被加工物Wにイオンを引き込むための第2の高周波を発生する電源であり、例えば、400kHz~13.56MHzの範囲内の周波数の高周波を発生する。第2の高周波電源64は、整合器68を介して下部電極LEに接続されている。整合器68は、第2の高周波電源64の出力インピーダンスと負荷側(下部電極LE側)の入力インピーダンスを整合させるための回路を有している。
【0041】
プラズマ処理装置10では、複数のガスソースのうち選択された一以上のガスソースからのガスがチャンバSに供給される。また、チャンバSの圧力が排気装置50によって所定の圧力に設定される。さらに、第1の高周波電源62からの第1の高周波によってチャンバS内のガスが励起される。これにより、プラズマが生成される。そして、発生した活性種によって被加工物Wが処理される。なお、必要に応じて、第2の高周波電源64の第2の高周波に基づくバイアスにより、被加工物Wにイオンが引き込まれてもよい。
【0042】
続いて、モニタ装置100について説明する。モニタ装置100は、プラズマ処理装置10のチャンバS内で生成されるプラズマの発光強度を取得する。一例のモニタ装置100は、プロセスモジュールPM(プラズマ処理装置10)内のステージST上において、所定位置に分光器を配置するための装置であるため、治具と称してもよい。
【0043】
図4は、一例に係るモニタ装置100を上面側から見た平面模式図である。
図5は、一例のモニタ装置100を示すブロック図である。なお、
図5では、モニタ装置100を使用する際に用いられる専用のFOUP4Fも模式的に示されている。FOUP4Fは、容器4a~4dのいずれかであってよい。モニタ装置100は、ベース基板110と、制御基板120と、バッテリ140と、を有する。モニタ装置100は、処理システム1の搬送装置TU1,TU2によって、FOUP4FからステージST上(すなわち、静電チャックESC上)まで搬送され得る。
【0044】
すなわち、搬送装置TU1は、モニタ装置100をFOUP4Fから取り出して、アライナANに搬送する。次いで、搬送装置TU1は、その位置が調整されたモニタ装置100をアライナANから取り出して、当該モニタ装置100をロードロックモジュールLL1及びロードロックモジュールLL2のうち一方のロードロックモジュールに搬送する。次いで、トランスファーモジュールTFの搬送装置TU2が、一方のロードロックモジュールからモニタ装置100を取り出し、当該モニタ装置100をプロセスモジュールPM1~PM5のうちの何れかのステージST上に搬送する。
【0045】
ベース基板110は、処理システム1の搬送装置TU1,TU2によって搬送できるように、被加工物Wと同様の円盤状のウエハを一例とする基板であってよい。ただし、ベース基板110は、円盤状に限られず、被加工物Wを搬送する搬送装置TU1,TU2により搬送できれば、多角形、楕円等であってよく、形状には限定されない。ベース基板110のエッジには、ノッチ110Nが形成されている。そのため、ステージST上に搬送された際のモニタ装置100の回転位置は一定に制御され得る。ベース基板110の材質としては、例えばシリコン、カーボンファイバ、石英ガラス、シリコンカーバイド、シリコンナイトライド、アルミナなどが挙げられる。
【0046】
制御基板120は、板状のベース基板110の上面に設けられる回路基板である。制御基板120は、複数の分光器130と、コネクタパッド160と、制御回路170とを含む。
【0047】
分光器130は、チャンバS内で生成されるプラズマによる発光を検出するための装置である。分光器130は、入射される光を波長ごとに分光する分光部と、分光部によって分光された各波長の光の強度を検出する検出部とを含む。検出部は、例えばCMOS(Complementar y Metal-Oxide Semiconductor)等のイメージセンサを含んでいてよい。一例の分光器130は、入射された光を波長ごとの強度に応じた電気信号に変換し、変換された電気信号に基づいて波長ごとの発光強度を取得する。
【0048】
分光器130は、分光器130の光軸方向において、所定の計測領域における光を検出することができる。複数の分光器130は、ベース基板110の上方からの光を取得するために、ベース基板110上において上方に向いた光軸を有する。なお、光軸は、分光器130の光学的な中心軸として定義され得る。ベース基板110上において、それぞれの分光器130、互いに離間して配置されている。分光器130は、ステージSTに載置された状態において、チャンバS内で生成されたプラズマ発光をモニタすることができる。一例において、複数の分光器130は、平面視において、ベース基板110上で点対称となるように配置されていてよい。また、複数の分光器130は、平面視において、ベース基板110上で線対称となるように配置されていてよい。
【0049】
一例において、分光器130のうちの一つは、
図4に示すように、ベース基板110の中心に配置されている。また、分光器130は、ベース基板110の径方向の複数の位置に配置されている。また、分光器130は、ベース基板110の周方向に等間隔で配置されている。一例において、ベース基板110の周縁側では、中心側よりも分光器130が径方向に密になるように配置されていてもよい。図示例では、円盤状をなすベース基板110において、径方向に沿って中心を含んで8カ所に分光器130が配置されている。また、中心を除く位置では、それぞれ周方向に90°間隔で4カ所に分光器130が配置されている。すなわち、図示例では、ベース基板110上に29個の分光器130が配置されている。ベース基板110の直径が300mmの場合、一例として、ベース基板110の周縁から、3mm、5mm、10mm、15mm、20mm、50mm、100mm及び150mm(中心)の位置に分光器130が配置されていてもよい。
【0050】
それぞれの分光器130の光軸は、例えば、平面状をなすベース基板110の上面に対して実質的に直交している。なお、当該光軸は、ベース基板110の平面に対して斜めに交差していてもよい。また、分光器130は、プラズマ処理装置10内で生成されるプラズマから内部を保護するための透光性のカバー131を有している。カバー131は、例えば、サファイヤ等の材料によって形成されてもよい。
【0051】
図6は、一例のモニタ装置100における分光器130の計測領域135を説明するための図であり、側方から見たときの複数の分光器130の計測領域135を示す。なお、
図6においては、理解の容易のために、5つの分光器の計測領域135を模式的に示している。計測領域135は、それぞれの分光器130によって計測可能な空間の領域である。一例の計測領域135は、分光器130が有する検出角度133の範囲内の領域であってよい。検出角度133は、分光器130の光軸を中心として所定の角度で傾斜している。すなわち、計測領域135は、略円錐形状をなしている。
【0052】
それぞれの分光器130は、対応する計測領域135内に存在するプラズマPからの光を検出する。チャンバ本体12内のステージSTにモニタ装置100が載置された状態において、複数の分光器130のそれぞれの計測領域135は、それぞれの分光器130の直上を含む領域であってよい。一例において、複数の分光器130のそれぞれの計測領域135は、互いに重複した領域を含まない。すなわち、複数の分光器130のそれぞれの計測領域135同士は、互いに分離(離間)された、独立した領域であってよい。
【0053】
コネクタパッド160は、バッテリ140を充電するための接続部であり、外部電源に接続され得る。コネクタパッド160は、専用のFOUP4F内にモニタ装置100が載置された状態で、専用のFOUP4Fに設けられたコネクタ4FCを介して外部電源に接続される。バッテリ140は、ベース基板110内に複数(図示例では4つ)配置されている。バッテリ140は、分光器130及び制御回路170に電力を供給する。
図5に示されるように、コネクタパッド160とバッテリ140との間には充電回路177が接続されており、充電回路177によってバッテリ140の充電が制御されている。また、バッテリ140には電源回路178が接続されており、電源回路178を介してバッテリ140からの電力が各デバイスに供給されている。
【0054】
制御回路170は、制御基板120に配置されている。制御回路170は、プロセッサを含む演算装置171、メモリ172、コントローラ173等を有し、メモリ172に記憶されたプログラムに基づいてモニタ装置100の動作を統括的に制御する。制御回路170は、モニタ装置100の各部を制御する制御部として機能する。例えば分光器130による計測は、コントローラ173によって制御される。また、外部の他の機器との通信の制御のために、制御回路170には、通信機器175が接続されている。一例において、通信機器175は、外部のコンピュータ88との接続に利用される。通信機器175とコンピュータ88との接続方式は、有線及び無線のいずれであってもよい。また、一例においては、モニタ装置100は、制御回路170に接続されたコネクタパッド176を含んでいる。コネクタパッド176は、専用のFOUP4Fに設けられたスイッチSWに接続される。制御回路170は、スイッチSWから入力される信号に基づいてモニタ装置100の制御を開始し得る。なお、一例においては、スイッチSWと制御部MCとが通信可能に接続されており、制御部MCは、スイッチSWから入力される信号に基づいて処理システム1の制御を開始してもよい。
【0055】
一例において、コントローラ173は、モニタ装置100がステージST上に載置された状態で、チャンバ本体12内においてプラズマが生成されているときに、分光器130による計測を実行する。分光器130によってモニタされたプラズマの計測データは、例えばメモリ172に保存され得る。計測データは、分光器130に入射されたプラズマ発光の波長ごとの発光強度データであってよい。この場合、計測データは、それぞれの分光器130ごと生成される。計測データは、時系列で取得された波長別の発光強度であってよい。計測の終了後、メモリ172に保存された計測データは、通信機器175に接続されたコンピュータ88に送信される。コンピュータ88(制御装置)は、複数の分光器130によって取得された発光強度を示す計測データに基づいて、チャンバS内で生成されたプラズマの発光強度分布データを取得(生成)する。
【0056】
発光強度分布データは、それぞれの分光器130に関連づけられた発光強度のデータ群であってよい。すなわち、発光強度分布データは、それぞれの分光器130の計測領域における発光強度を示すデータであり、チャンバS内で生成されたプラズマの発光強度分布を示すことができる。例えば、コンピュータ88は、それぞれの分光器130における波長ごとの発光強度を時系列で取得する。これにより、コンピュータ88は、分光器130ごとに対応して、任意の波長の発光強度を時系列で出力することができる。また、コンピュータ88は、任意の時間における任意の波長の発光強度の分布を出力することができる。
【0057】
一例のコンピュータ88は、発光強度分布データとして、モニタ装置100における複数の分光器130の各位置に対応して複数の分光器130のそれぞれの発光強度が表示された可視表示データを出力してもよい。
【0058】
例えば、可視表示データは、モニタ装置100を模式的に示す画像に対して、複数の分光器130によって取得された発光強度を重畳させて表示するためのデータであってもよい。
図7は、可視表示データの一例を模式的に示す図である。
図7においては、説明の簡単のために、9つの分光器に基づく表示画像Gを模式的に示している。
図7に示す表示画像Gには、モニタ装置100の輪郭線を模式的に示す画像100Gが示されている。画像100Gにおいて、モニタ装置100を示す輪郭線の内側には、ベース基板110上における分光器130の位置を示す円形の表示130Gが示されている。表示画像Gでは、それぞれの表示130Gに隣接して、対応する分光器130によって取得された発光強度を示す表示130Dが示されている。なお、
図7では、発光強度の表示130Dを「***」として示しているが、実際には数字によって示される。コンピュータ88は、任意の波長における可視表示データを時系列のデータとして生成してもよい。この場合、コンピュータ88は、計測開始からN秒経過時点における波長λnmの発光強度分布を可視表示させることができる。
【0059】
続いて、モニタ装置100を用いてプラズマ発光を計測するモニタ方法について説明する。
図8は、モニタ方法の一例を示すフローチャートである。
図8に示すように、一例のモニタ方法では、搬送装置TU1,TU2によってモニタ装置100が、モニタの対象となるプラズマ処理装置10(プロセスモジュールPM)内に搬送される(載置工程:ステップST1)。モニタ装置100を動作させる場合、まず、専用のFOUP4F内に載置されたモニタ装置100を起動させる。上述のように、専用のFOUP4Fには、モニタ装置100を起動させるためのスイッチSWが設けられているため、当該スイッチSWによってモニタ装置100の起動が可能となる。モニタ装置100を利用してチャンバS内で生成されるプラズマをモニタする場合、まず、スイッチSWによってモニタ装置100が起動される。なお、モニタ装置100は、搬送装置TU2に接続された減圧可能なストッカ3の中に減圧環境下で保管されており、当該ストッカ3からプラズマ処理装置10に搬送されてもよい。
図1に示す例では、例えば、プロセスモジュールPM1~PM5の並びにストッカ3が配置されている。モニタ装置100は、このストッカ3から搬送装置TU2によってプラズマ処理装置10に搬送されてもよい。ストッカ3は、FOUP4Fと同様にスイッチSW等を有していてよい。
【0060】
スイッチSWが操作された場合、スイッチSWからの信号は、制御部MCにも出力される。スイッチSWからの信号が入力された制御部MCは、搬送装置TU1,TU2がモニタ装置100をFOUP4FからプロセスモジュールPM内のステージST上まで搬送するように、処理システム1を制御する。一例において、制御部MCは、静電チャックESC上にモニタ装置100を搬送した後に、チャンバSにガスを供給し、上部電極30及び下部電極LEに高周波を印加して、プラズマを一定時間にわたって生成する(プラズマ生成工程:ステップST2)。
【0061】
続いて、チャンバS内に生成されたプラズマの光が分光器130によって計測される(計測工程:ステップST3)。コントローラ173は、モニタ装置100が静電チャックESC上に搬送された後に、分光器130による計測が開始されるように分光器130を制御する。例えば、コントローラ173は、スイッチSWの信号が入力されてから所定時間が経過したときに、分光器130による計測を開始してもよい。分光器130による計測は、予め設定された時間にわたって実行され得る。例えば、チャンバS内に一定時間にわたってプラズマが生成される場合、分光器130による計測は、プラズマの生成開始から終了までの時間にわたって実行され得る。
【0062】
制御部MCは、分光器130による計測が終了した後に、搬送装置TU1,TU2がモニタ装置100をステージST上からFOUP4Fまで搬送するように、処理システム1を制御する。すなわち、搬送装置TU2は、モニタ装置100をプロセスモジュールから取出し、ロードロックモジュールLL1及びロードロックモジュールLL2のうち一方のロードロックモジュールに搬送する。次いで、搬送装置TU1がモニタ装置100を一方のロードロックモジュールから取出し、FOUP4Fに搬送する。例えば、モニタ装置100をステージST上に搬送してから、所定時間経過した場合に、制御部MCは、モニタ装置100による計測が終了したと判定してもよい。
【0063】
続いて、プラズマの発光強度分布データが出力される(出力工程:ステップST4)。一例においては、モニタ装置100がFOUP4Fに戻ると、モニタ装置100のメモリ172に保存された計測データが、コンピュータ88に送信される。コンピュータ88は、取得した計測データに基づいて、プラズマの発光強度分布データを出力する。一例において、コンピュータ88は、可視表示データをプラズマの発光強度分布データとして出力する。
【0064】
以上説明したように一つの例示的実施形態においては、プラズマ処理装置10内で生成されるプラズマPの発光強度を計測するシステムが提供される。このシステムは、モニタ装置100を含む。モニタ装置100は、プラズマ処理装置10内のステージST上に載置される装置である。モニタ装置100は、板状のベース基板110と、ベース基板110上において上方に向いた光軸を有し、互いに離間して配置され、プラズマPの発光強度を取得する複数の分光器130と、を含む。このシステムでは、複数の分光器130によってそれぞれ取得された発光強度に基づいて、プラズマ処理装置10内のプラズマの発光強度分布データが取得される。
【0065】
一つの例示的実施形態においては、モニタ装置100を用いてプラズマ処理装置10内で生成されるプラズマの発光強度を計測する方法が提供される。該方法は、プラズマ処理装置10のチャンバS内のステージST上にモニタ装置100を載置する工程を含む。該方法は、プラズマ処理装置10のチャンバS内でプラズマを生成する工程を含む。該方法は、プラズマの発光強度を複数の分光器130によって取得する工程を含む。該方法は、複数の分光器130によって取得された発光強度に基づいてプラズマ処理装置10内のプラズマの発光強度分布データを取得する工程含む。
【0066】
上記の例示的実施形態によれば、ステージST上に載置されたモニタ装置100の複数の分光器130によって、プラズマ処理装置10内で生成されたプラズマの発光強度が取得される。複数の分光器130は、ベース基板110上に互いに離間して配置されている。そのため、それぞれの分光器130における光の計測領域135は、互い異なっている。すなわち、それぞれの分光器130は、プラズマ処理装置10内の異なる領域のプラズマの発光強度を取得することができる。したがって、複数の分光器130によって取得されたプラズマの発光強度に基づいて、プラズマ処理装置10内のプラズマの発光強度分布データを取得することができる。
【0067】
一つの例示的実施形態において、発光強度分布データは、モニタ装置100における複数の分光器130の各位置に対応して複数の分光器130のそれぞれで取得された発光強度が表示された可視表示データである。このような構成によれば、それぞれの分光器130の位置と発光強度との関係を容易に理解できるため、プラズマ処理装置内における発光強度の分布を直感的に把握しやすい。
【0068】
一つの例示的実施形態において、プラズマ処理装置10内における複数の分光器130のそれぞれの光の計測領域135は、互いに重複した領域を含まない。この構成では、プラズマ処理装置10内で生成されるプラズマの発光強度を位置ごとに明確に切り分けることができる。すなわち、位置ごとのプラズマ発光の特徴が発光強度分布データに反映されやすい。
【0069】
以上、種々の例示的実施形態について説明してきたが、上述した例示的実施形態に限定されることなく、様々な省略、置換、及び変更がなされてもよい。
【0070】
プラズマ処理装置として容量結合型プラズマ処理装置を例示したが、プラズマ処理装置の形態はこれに限定されない。例えば、プラズマ処理装置は、誘導結合型プラズマ処理装置であってもよい。また、プラズマ処理装置は、マイクロ波といった表面波を用いてプラズマを生成するプラズマ処理装置であってもよい。
【0071】
ベース基板上において、径方向の所定位置に、周方向に均等に分光器が配置されている例を示したが、分光器の配置の態様はこれに限定されない。例えば、径方向において中心からの距離が大きくなるに従い、周方向に配置される分光器の数を増加してもよい。また、分光器は、格子状に配置されるように、ベース基板上をXY平面として、X方向及びY方向に均等に配置されてもよい。
【0072】
モニタ装置によって取得された計測データが、計測の終了後に、コンピュータ88に送信される例を示したが、例えば、計測データは、分光器130による計測が実行されている際に、無線通信等によってリアルタイムでコンピュータ88に送信されてもよい。この場合、コンピュータ88は、リアルタイムで発光強度分布データを生成してもよい。また、計測データは、モニタ装置100による計測が終了した後に、搬送装置TU1,TU2がモニタ装置100をステージST上からFOUP4Fまで搬送する際に、無線通信等によってコンピュータ88に送信されてもよい。また、例えば、モニタ装置100に送信部が設けられており、ステージSTに受信部が設けられており、モニタ装置100のメモリ172に保存された計測データがモニタ装置100の送信部からステージSTの受信部に有線又は無線によって送信されてもよい。この場合、ステージSTの受信部は、外部のコンピュータに接続されていてもよい。
【0073】
また、分光器130によって計測された計測データに基づいて、コンピュータ88が発光強度分布データを生成する例を示したが、例えば、モニタ装置100の演算装置171によって発光強度分布データが生成されてもよい。
【0074】
以上の説明から、本開示の種々の実施形態は、本明細書で説明されており、本開示の範囲及び主旨から逸脱することなく種々の変更をなし得ることが、理解されるであろう。したがって、本明細書に開示した種々の実施形態は限定することを意図しておらず、真の範囲と主旨は、添付の特許請求の範囲によって示される。
【符号の説明】
【0075】
10…プラズマ処理装置、88…コンピュータ(制御装置)、100…モニタ装置、110…ベース基板、130…分光器。