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特許7580619半導体チャンバ部品を洗浄するための高圧洗浄方法及び装置
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  • 特許-半導体チャンバ部品を洗浄するための高圧洗浄方法及び装置 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-31
(45)【発行日】2024-11-11
(54)【発明の名称】半導体チャンバ部品を洗浄するための高圧洗浄方法及び装置
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/205 20060101AFI20241101BHJP
   H01L 21/31 20060101ALI20241101BHJP
   H01L 21/3065 20060101ALI20241101BHJP
   B08B 3/02 20060101ALI20241101BHJP
【FI】
H01L21/205
H01L21/31 B
H01L21/302 101H
B08B3/02 A
【請求項の数】 17
(21)【出願番号】P 2023544503
(86)(22)【出願日】2022-01-28
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2024-02-15
(86)【国際出願番号】 US2022014324
(87)【国際公開番号】W WO2022165184
(87)【国際公開日】2022-08-04
【審査請求日】2023-09-19
(31)【優先権主張番号】17/161,557
(32)【優先日】2021-01-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】390040660
【氏名又は名称】アプライド マテリアルズ インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】APPLIED MATERIALS,INCORPORATED
【住所又は居所原語表記】3050 Bowers Avenue Santa Clara CA 95054 U.S.A.
(74)【代理人】
【識別番号】110002077
【氏名又は名称】園田・小林弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】プラビダル, リチャード ウェルズ
(72)【発明者】
【氏名】オスターマン, スコット
(72)【発明者】
【氏名】グローチェル, デーヴィッド ダブリュー.
(72)【発明者】
【氏名】ペン, ガング グラント
(72)【発明者】
【氏名】スミス, ジョン ズィー.
【審査官】河合 俊英
(56)【参考文献】
【文献】特開平11-090362(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2019/0157074(US,A1)
【文献】特開2010-174071(JP,A)
【文献】特開2012-049446(JP,A)
【文献】特開平10-165911(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2005/0028927(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/205
H01L 21/31
H01L 21/3065
B08B 3/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板処理機器で使用するための構成要素を洗浄するための洗浄システムであって、
流体を加熱するように構成されたヒータを有するボイラと、
ガスラインを介して前記ボイラに流体連結された洗浄チャンバであって、前記洗浄チャンバが、洗浄されるべき少なくとも1つの構成要素を保持するために該洗浄チャンバ内の内部空間に一又は複数の固定具を含み、前記洗浄チャンバが、前記内部空間を加熱するためにヒータを含む、洗浄チャンバと、
前記洗浄チャンバから排出を行うために放出ラインを介して前記洗浄チャンバに流体連結された膨張チャンバと
三方バルブを介して前記ガスラインに連結されたプロセスガス供給ライン、又は、
前記洗浄チャンバの下流かつ前記膨張チャンバの上流に配置された凝縮粒子カウンタ(CPC)、又は、
前記ボイラから前記洗浄チャンバへと延伸する液体ライン、
の少なくとも一つと、
を備え、
前記放出ラインが、前記膨張チャンバと前記洗浄チャンバとの間の流路を選択的に開閉するために、放出バルブを含み、
前記膨張チャンバが、前記膨張チャンバを冷却するための冷却器、及び前記膨張チャンバを真空ポンプに連結するように構成された真空ポートを含む、洗浄システム。
【請求項2】
前記ヒータは、前記流体をカ氏300から550度の温度に加熱するよう構成されている、請求項1に記載の洗浄システム。
【請求項3】
前記放出バルブが開閉バルブであって、前記放出ラインが、前記放出ラインを通る流れを制御するために、固定開口部、可変的開口部、又は絞り弁のうちの少なくとも1つを更に含む、請求項1に記載の洗浄システム。
【請求項4】
前記放出バルブが制御バルブである、請求項1に記載の洗浄システム。
【請求項5】
前記ボイラと前記洗浄チャンバとの間の前記ガスラインに配置され、前記ボイラから前記洗浄チャンバへの粒子汚染を低減するように構成されたフィルタを更に備える、請求項1からのいずれか一項に記載の洗浄システム。
【請求項6】
前記膨張チャンバが、前記洗浄チャンバよりも大きい内部空間を有する、請求項1からのいずれか一項に記載の洗浄システム。
【請求項7】
真空圧を生み出すために、前記膨張チャンバに連結された真空ポンプを更に備える、請求項1からのいずれか一項に記載の洗浄システム。
【請求項8】
前記少なくとも1つの構成要素を観察するために、前記洗浄チャンバに連結されたビューポート又はカメラを更に備える、請求項1からのいずれか一項に記載の洗浄システム。
【請求項9】
基板処理機器のための構成要素を洗浄する方法であって、
洗浄されるべき少なくとも1つの構成要素を洗浄チャンバ内にロードすることと、
前記洗浄チャンバに流体連結されたボイラの中の流体を第1の温度に加熱することと、
前記少なくとも1つの構成要素を加熱された前記流体で覆うために、加熱された前記流体を洗浄チャンバに送達することと、
前記洗浄チャンバ内の圧力を閾値圧力まで増大させることと、
前記閾値圧力が到達されたとき、前記洗浄チャンバを膨張チャンバに流体連結する放出ラインに配置された放出バルブを開いて、前記流体を沸騰させ、沸騰した前記流体を前記洗浄チャンバから前記膨張チャンバ内に排出することと
を含み、
前記第1の温度がカ氏300から550度であるか、又は前記閾値圧力が100から450ポンド/平方インチ(psi)であるかのうちの少なくとも一方である、方法。
【請求項10】
前記少なくとも1つの構成要素が、ガス分配プレート、シャワーヘッド、プロセスキット構成要素、又はチャンバライナのうちの少なくとも1つである、請求項に記載の方法。
【請求項11】
基板処理機器のための構成要素を洗浄する方法であって、
洗浄されるべき少なくとも1つの構成要素を洗浄チャンバ内にロードすることと、
前記洗浄チャンバに流体連結されたボイラの中の流体を第1の温度に加熱することと、
前記少なくとも1つの構成要素を加熱された前記流体で覆うために、加熱された前記流体を洗浄チャンバに送達することと、
前記洗浄チャンバ内の圧力を閾値圧力まで増大させることと、
前記閾値圧力が到達されたとき、前記洗浄チャンバを膨張チャンバに流体連結する放出ラインに配置された放出バルブを開いて、前記流体を沸騰させ、沸騰した前記流体を前記洗浄チャンバから前記膨張チャンバ内に排出することと、
記洗浄チャンバを流れる粒子の数を検出するために、前記洗浄チャンバの下流にある粒子カウンタを使用することと、む、法。
【請求項12】
沸騰した前記流体が前記洗浄チャンバから排出された後に前記放出バルブを閉めることと、
前記少なくとも1つの構成要素を更なる加熱された流体で覆うために、前記更なる加熱された流体を洗浄チャンバに送達することと、
前記洗浄チャンバ内の前記圧力を前記閾値圧力まで増大させることと、
前記閾値圧力が到達されたとき、前記放出バルブを再開することと
を更に含む、請求項から11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
前記洗浄チャンバから沸騰した前記流体を排出した後に、前記洗浄チャンバの中の前記少なくとも1つの構成要素を調整することを更に含み、前記少なくとも1つの構成要素を調整することが、乾燥プロセス、パッシべーションプロセス、又はシーズニングプロセスのうちの少なくとも1つを実行することを含む、請求項から11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
前記放出バルブを開く前に、前記膨張チャンバの内部圧力を真空圧まで低減することを更に含む、請求項から11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項15】
沸騰した前記流体が、前記洗浄チャンバから前記膨張チャンバ内にミリ秒から10秒で排出される、請求項から11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項16】
非一時的コンピュータ可読媒体であって、プロセッサによって実行されると、請求項から11のいずれか一項に記載の方法を実行する命令が記憶されている、非一時的コンピュータ可読媒体。
【請求項17】
沸騰した前記流体が、前記洗浄チャンバから前記膨張チャンバ内にミリ秒から10秒で排出される、請求項16に記載の非一時的コンピュータ可読媒体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[0001]本開示の実施形態は、概して、半導体処理機器に関する。
【背景技術】
【0002】
[0002]半導体基板処理用のプロセスチャンバ内で使用される構成要素は、通常、プロセスチャンバ内に設置される前に洗浄される。しかしながら、複雑な形状を有する部品は、小さな開口部やその他の届きにくい領域があるため、洗浄が困難な場合がある。構成要素を洗浄する従来の方法にはスプレーや振動が含まれるが、複雑な形状を有する部品を洗浄するには不十分な場合があり、化学副生成物の除去という更なる課題を提示する。
【0003】
[0003]したがって、発明者らは、半導体基板処理機器で使用されるチャンバ部品を洗浄するための改良された方法及び装置を提供した。
【発明の概要】
【0004】
[0004]基板処理機器で使用するための構成要素を洗浄するための方法及び装置の実施形態が本明細書に提供される。幾つかの実施形態では、基板処理機器で使用するための構成要素を洗浄するための洗浄システムが、流体を加熱するように構成されたヒータを有するボイラと、ガスライン及び液体ラインのうちの少なくとも一方を介してボイラに流体連結された洗浄チャンバであって、洗浄チャンバが、洗浄されるべき少なくとも1つの構成要素を保持するためにその中の内部空間に一又は複数の固定具を含み、洗浄チャンバが、内部空間を加熱するためにヒータを含む、洗浄チャンバと、洗浄チャンバから排出を行うために放出ラインを介して洗浄チャンバに流体連結された膨張チャンバとを備え、放出ラインが、膨張チャンバと洗浄チャンバとの間の流路を選択的に開閉するために、放出バルブを含み、膨張チャンバが、膨張チャンバを冷却するための冷却器、及び膨張チャンバを真空ポンプに連結するように構成された真空ポートを含む。
【0005】
[0005]幾つかの実施形態では、基板処理機器で使用するための構成要素を洗浄する方法が、洗浄されるべき少なくとも1つの構成要素を洗浄チャンバ内にロードすることと、洗浄チャンバに流体連結されたボイラの中の流体を第1の温度に加熱することと、少なくとも1つの構成要素を加熱された流体で覆うために、加熱された流体を洗浄チャンバに送達することと、洗浄チャンバ内の圧力を閾値圧力まで増大させることと、閾値圧力が到達されたとき、洗浄チャンバを膨張チャンバに流体連結する放出ラインに配置された放出バルブを開いて、流体を沸騰させ、沸騰した流体を洗浄チャンバから膨張チャンバ内に排出することとを含む。
【0006】
[0006]幾つかの実施形態では、非一時的コンピュータ可読媒体であって、プロセッサによって実行されると、基板処理機器で使用するための構成要素を洗浄する方法を実行する命令が記憶されており、該方法が、洗浄されるべき少なくとも1つの構成要素を洗浄チャンバ内にロードすることと、洗浄チャンバに流体連結されたボイラの中の流体を第1の温度に加熱することと、少なくとも1つの構成要素を加熱された流体で覆うために、加熱された流体を洗浄チャンバに送達することと、洗浄チャンバ内の圧力を閾値圧力まで増大させることと、閾値圧力が到達されたとき、洗浄チャンバを膨張チャンバに流体連結する放出ラインに配置された放出バルブを開いて、流体を沸騰させ、沸騰した流体を洗浄チャンバから膨張チャンバ内に排出することとを含む、非一時的コンピュータ可読媒体。
【0007】
[0007]本開示のその他の実施形態及び更なる実施形態については、後述する。
【0008】
[0008]上記で簡潔に要約されており、より詳細に後述する本開示の実施形態は、添付の図面に示している本開示の例示的な実施形態を参照することにより、理解可能である。しかしながら、本開示は他の等しく有効な実施形態を許容し得ることから、添付の図面は、本開示の典型的な実施形態のみを示しており、したがって、範囲を限定するものと見なすべきではない。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】[0009]本開示の幾つかの実施形態に係る、基板処理機器で使用するための構成要素を洗浄するための洗浄システムの概略図である。
図2】[0010]本開示の幾つかの実施形態に係る、洗浄チャンバの概略断面図である。
図3】[0011]本開示の幾つかの実施形態に係る、基板処理機器で使用するための構成要素を洗浄する方法のフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
[0012]理解を容易にするために、可能な場合には、複数の図に共通する同一の要素を指し示すのに同一の参照番号を使用した。図は縮尺どおりには描かれておらず、分かりやすくするために簡略化されることがある。一実施形態の要素及び特徴は、更なる記載がなくとも、他の実施形態に有益に組み込まれ得る。
【0011】
[0013]基板処理機器で使用するための構成要素を洗浄するための高圧洗浄方法及び装置の実施形態が本明細書に提供される。構成要素は、基板処理機器での使用に適した任意の構成要素、例えばガス分配プレート、シャワーヘッド、プロセスキット構成要素、チャンバライナなどであり得るが、これらに限定されない。構成要素はまた、従来の洗浄方法を使用して洗浄することが困難であり得る複雑な形状を有する、基板処理機器で使用するための任意の一又は複数の構成要素であってもよい。
【0012】
[0014]新規な洗浄システムは、一般に、洗浄チャンバに流体連結されたボイラと、膨張チャンバに流体連結された洗浄チャンバとを含む。液体はボイラ内で適切な温度に加熱される。ボイラからの高温の蒸気又は流体が洗浄チャンバに導入され、洗浄チャンバ内に配置された任意の一又は複数の構成要素が水分で覆われる。洗浄チャンバは高圧の内部圧力に加圧される。膨張チャンバは大気圧や真空などの低圧に保たれる。洗浄チャンバと膨張チャンバとの間に配置された放出バルブが開くと、一又は複数の構成要素に集まった全ての水分が、急速な圧力降下により急速に沸騰又はキャビテーションし、洗浄チャンバから膨張チャンバに排出され、一又は複数の構成要素上の不要な粒子や不純物を除き、一又は複数の構成要素を洗浄する。このプロセスは、構成要素上の所望の清浄度又は所望の粒子数が達成されるまで繰り返され得る。
【0013】
[0015]本明細書で提供される洗浄システムは、動作温度を制御することにより、熱エネルギーを有利に制御する。更に、洗浄チャンバの動力学は、放出バルブの開口サイズを調整することにより、有利に制御することができる。洗浄チャンバの熱エネルギー及び動力学を制御することにより、洗浄プロセスの精度、効率、及び繰り返し精度が大幅に高まる。
【0014】
[0016]図1は、本開示の幾つかの実施形態による、基板処理機器で使用するための構成要素を洗浄するための洗浄システム100の概略図を示す。洗浄システム100は、洗浄チャンバ120に流体を送達するために洗浄チャンバに流体連結されたボイラ110を含む。洗浄システム100は、洗浄チャンバ120から水分及び不要な粒子を急速に排出するための放出ライン102を介して洗浄チャンバ120に流体連結された膨張チャンバ130を含む。
【0015】
[0017]ボイラ110は、概して、ボイラ110の中に配置された流体を加熱するように構成されたヒータ112を有する密閉容器である。流体は、ボイラ110に連結された液体供給源104から供給又は導出され得る。供給バルブ148は、液体供給源104とボイラ110との間に配置されて、液体供給源104からボイラ110内への液体の流れを制御することができる。液体供給源104は、水又は脱イオン水などの適切な液体を供給し得る。ボイラ110は、流体を加熱して蒸気を発生させ得る。例えば、ボイラ110は液体をカ氏約300度から約550度の温度に加熱し得る。幾つかの実施形態では、第1の温度センサ114がボイラ110に連結されて、ボイラ110の内側の温度を測定する。幾つかの実施形態では、第1の圧力センサ111がボイラ110に連結されて、ボイラ110の内側の圧力を測定する。
【0016】
[0018]幾つかの実施形態では、ボイラ110はガスライン103を介して洗浄チャンバ120に連結され、洗浄チャンバ120に蒸気を供給して、洗浄チャンバ120に配置された洗浄されるべき一又は複数の構成要素を浸す又は覆う。幾つかの実施形態では、ガスライン103は、ボイラ110の上部又はボイラ110の蓋から延伸する。幾つかの実施形態では、ガスライン103は、ガスライン103を通るガスの流れを制御するためのガスラインバルブ152を含む。幾つかの実施形態では、ガスライン103は、ボイラ110からガスライン103を通過して洗浄チャンバ120に入る粒子汚染を低減するように構成されたフィルタ154を含む。幾つかの実施形態では、フィルタ154は、ガスラインバルブ152とボイラ110との間に配置される。
【0017】
[0019]洗浄システム100はまた、洗浄プロセス中にプロセスガスの導入を有利に可能にして、十分に乾燥した状態での材料の表面状態を強化又は遅延させることもできる。幾つかの実施形態では、ガスライン103は、プロセスガス供給ライン159を介してプロセスガス供給源160からの一又は複数のプロセスガスをガスライン103内に混合するための第2のガスラインバルブ155を含む。幾つかの実施形態では、第2のガスラインバルブ155は三方バルブである。幾つかの実施形態では、第2のガスラインバルブ155は、ガスラインバルブ152の下流に配置される。プロセスガス供給源160は、乾燥プロセス、パッシベーションプロセス、シーズニングプロセスなどを実行するのに適した一又は複数のプロセスガスを含み得る。例えば、プロセスガス供給源160は、窒素ガス(N)、酸素ガス(O)、三フッ化窒素(NF)、オゾン(O)、又はアンモニア(NH)のうちの一又は複数を含み得る。
【0018】
[0020]幾つかの実施形態では、液体ライン118がボイラ110から洗浄チャンバ120まで延伸し、洗浄チャンバ120の中に配置された一又は複数の構成要素をボイラ110からの液体で浸すか、又はこれで覆う。液体ライン118は、液体ライン118を通る液体流量を制御する液体ラインバルブ115を含み得る。幾つかの実施形態では、液体ライン118はボイラ110の下部から延伸する。幾つかの実施形態では、洗浄チャンバ120は、ガスライン105と液体ライン118の両方を介してボイラ110に連結される。ボイラ110は、ボイラ110内に配置された液体を排出するための第1のドレインバルブ113を有するシステムドレイン(図示せず)に連結された第1のドレインライン117を含み得る。
【0019】
[0021]洗浄チャンバ120は、概して、洗浄されるべき少なくとも1つの構成要素を保持するように構成された密閉容器である。洗浄チャンバ120は、その中に配置された少なくとも1つの構成要素212を収容するようにサイズ決めされ得る。幾つかの実施形態では、洗浄チャンバ120は、洗浄チャンバ120の内部空間を加熱するように構成されたヒータ124を含む。洗浄チャンバ120は、洗浄チャンバ120の中に配置された液体を排出するための第2のドレインバルブ127を有するドレイン(図示せず)に連結された第2のドレインライン125を含み得る。図2は、本開示の幾つかの実施形態による、洗浄チャンバの簡略化された概略断面図を示す。洗浄チャンバ120は、チャンバ本体202、及びチャンバ本体202に連結して洗浄チャンバ120の内部空間210を少なくとも部分的に画定する蓋204を含む。ヒータ124は、内部空間210の内側に配置されてもよいし、図2に示すように、内部空間の外側に配置されてもよい。ヒータ124は、ヒータジャケット、抵抗加熱要素、ヒータロッドなどの任意の適切な加熱要素を含み得る。ヒータ124は、洗浄チャンバ120の中に配置された加熱された流体230の温度を維持又は上昇させるように構成される。使用時、蒸気、加熱された液体、又は蒸気と加熱された液体の組み合わせの形態の加熱された流体230は、液滴232又は水分で少なくとも1つの構成要素212を覆う。幾つかの実施形態では、第2の温度センサ126が洗浄チャンバ120に連結されて、洗浄チャンバ120の内側の温度を測定する。幾つかの実施形態では、第2の圧力センサ128が洗浄チャンバ120に連結されて、洗浄チャンバ120の内側の圧力を測定する。
【0020】
[0022]チャンバ本体202は、内部空間210への、又は内部空間210からの洗浄されるべき少なくとも1つの構成要素212の移送を容易にするポート又は開口部を含み得る。幾つかの実施形態では、洗浄チャンバ120は、少なくとも1つの構成要素212を内部空間210へ、又は内部空間210から移送するために選択的に開閉するように構成された、チャンバ本体202の側壁の反対側にドア208を含む。幾つかの実施形態では、洗浄チャンバ120は、少なくとも1つの構成要素212を観察するための観察要素218を含む。幾つかの実施形態では、観察要素218は蓋204に連結されるか、又は蓋204の中に配置される。幾つかの実施形態では、観察要素218は、ビューポート又はカメラである。幾つかの実施形態では、蓋204は、ガスライン103又は液体ライン118のうちの少なくとも一方に連結されたガス入口226を含む。あるいは、蓋204は、ガスライン103及び液体ライン118にそれぞれ連結された2つのガス入口226を含み得る。
【0021】
[0023]洗浄チャンバ120は、少なくとも1つの構成要素212を保持又は支持するための適切な支持体を含み得る。幾つかの実施形態では、適切な支持体は、内部空間210の中に配置された一又は複数の固定具216を備え得る。幾つかの実施形態では、一又は複数の固定具216は、チャンバ本体202の床214から延在する一又は複数のホルダ222を含み得、ここで、少なくとも1つの構成要素は、一又は複数のホルダ222上に載置されるように構成される。幾つかの実施形態では、一又は複数のホルダ222は、単一の支持体を備え得る。
【0022】
[0024]幾つかの実施形態では、一又は複数の固定具216は、チャンバ本体202の側壁から延在する一又は複数の壁支持体220を含む。幾つかの実施形態では、一又は複数の壁支持体220は、床214から共通の垂直高さでチャンバ本体202に沿って離隔された複数の壁支持体を備える。幾つかの実施形態では、一又は複数の壁支持体220は、チャンバ本体に沿った連続したリングを備える。幾つかの実施形態では、一又は複数の壁支持体220は、垂直方向に離隔した複数の列に沿って配置され得、ここで、各列は、少なくとも1つの構成要素212の構成要素を保持するように構成される(図2は、垂直方向に離隔した2つの列を示す)。したがって、一又は複数の固定具216は、複数の構成要素を垂直方向に離隔した向きで保持するように構成され得る。図2では、一又は複数の固定具216が一又は複数の壁支持体220又は一又は複数のホルダ222として示されるが、洗浄チャンバ120は、少なくとも1つの構成要素212を保持するためのフック、レッジ、突出部などの任意の適切な構造物を含んでもよい。
【0023】
[0025]図1に戻って参照すると、余分な液体を洗浄チャンバ120からボイラ110に再循環するために、リターンライン156が洗浄チャンバ120からボイラ110まで延伸し得る。リターンライン156は、リターンライン156を通る流れを制御するためのリターンラインバルブ158を含み得る。幾つかの実施形態では、リターンライン156及び第2のドレインライン125は、チャンバ本体202の床214に連結される。
【0024】
[0026]洗浄チャンバ120と膨張チャンバ130との間に延伸する放出ライン102は、洗浄チャンバ120の内部空間210の中に配置されたガスの排気を容易にする。放出ライン102は、膨張チャンバ130と洗浄チャンバ120との間の流路を選択的に開閉するための放出バルブ108を含む。幾つかの実施形態では、放出バルブ108は制御バルブである。幾つかの実施形態では、放出バルブ108は開閉バルブであり、放出ライン102は流量制御要素140を更に含む。幾つかの実施形態では、流量制御要素140は、放出ライン102を通る流れを制御するための、固定開口部、可変的開口部、又は絞り弁のうちの少なくとも1つを含む。幾つかの実施形態では、流量制御要素140は、放出バルブ108の下流に配置される。
【0025】
[0027]膨張チャンバ130は、概して、洗浄チャンバ120から高圧ガスを排気するようにサイズ決めされた密閉容器である。膨張チャンバ130は、洗浄チャンバ120からの排出中に洗浄チャンバ120に対して陰圧を維持するように構成される。陰圧は、例えば、膨張チャンバ130の内部空間を増大させること、膨張チャンバ130の温度を低下させること、又は膨張チャンバ130の圧力を低減させることによって維持され得る。幾つかの実施形態では、膨張チャンバ130は、洗浄チャンバ120よりも大きな内部空間を有する。幾つかの実施形態では、膨張チャンバ130は、膨張チャンバ130の内側の圧力を調節するために膨張チャンバに連結された真空ポンプ132を含む。幾つかの実施形態では、真空ポンプ132は、膨張チャンバ130の内側に真空圧を生み出すように構成され、膨張チャンバ130と洗浄チャンバ120との間により大きな圧力差を有利に生み出す。
【0026】
[0028]幾つかの実施形態では、膨張チャンバ130は、膨張チャンバ130を冷却するように構成された冷却器134に連結される。膨張チャンバ130を冷却することにより、洗浄チャンバ120に対する陰圧を維持しつつ、膨張チャンバの必要な内部空間を低減させることができる。冷却器134はまた、高温ガスが洗浄チャンバ120から排気された後に膨張チャンバ130を有利に冷却し、少なくとも1つの構成要素212の洗浄サイクル間の冷却時間を短縮し、洗浄効率を高めることができる。膨張チャンバ130は、膨張チャンバ130の中に配置された液体を排出するための第3のドレインバルブ136を有するドレイン(図示せず)に連結された第3のドレインライン135を含み得る。幾つかの実施形態では、第1のドレインライン117、第2のドレインライン125、及び第3のドレインライン135は、下流で共通のドレインに連結される。
【0027】
[0029]幾つかの実施形態では、洗浄システム100は、洗浄チャンバ120の下流かつ膨張チャンバ130の上流に配置された、凝縮粒子カウンタ(CPC)116を含む。CPC116は、洗浄チャンバ120から排気されたガスの一部から粒子数を測定するように構成される。幾つかの実施形態では、CPC116は、放出ライン102から膨張チャンバ130まで延伸するバイパスライン163に沿って配置される。幾つかの実施形態では、放出ライン102と一列に配置された三方バルブ106は、放出ライン102からの一部の流れをバイパスライン163にそらすことができる。
【0028】
[0030]コントローラ180は、ボイラ110、洗浄チャンバ120、及び膨張チャンバ130の直接制御を使用して、あるいは、ボイラ110、洗浄チャンバ120、及び膨張チャンバ130のそれぞれに関連付けられたコンピュータ(又はコントローラ)を制御することによって、洗浄システム100の動作を制御する。稼働中、コントローラ180により、洗浄システム100の性能を最適化するための、洗浄システム100からのデータの収集及びフィードバックが可能になる。コントローラ180は、概して、中央処理装置(CPU)182、メモリ184、及びサポート回路186を含む。CPU182は、工業環境で使用することができる汎用コンピュータプロセッサの任意の形態であり得る。サポート回路186は、従来方式でCPU182に連結され、キャッシュ、クロック回路、入出力サブシステム、電源などを備え得る。ソフトウェアルーチン(後述の方法など)は、メモリ184に記憶されてよく、CPU182によって実行されると、CPU182を特殊用途コンピュータ(コントローラ180)に変換し得る。ソフトウェアルーチンはまた、洗浄システム100から遠隔に位置する第2のコントローラ(図示せず)によって記憶かつ/又は実行され得る。
【0029】
[0031]メモリ184は、命令を含むコンピュータ可読記憶媒体の形態であり、CPU182によって実行されると、洗浄システム100の動作を促進する。メモリ184内の命令は、プログラム製品(例えば、本原理の方法を実装するプログラム)の形態である。プログラムコードは、幾つかの異なるプログラミング言語のうちのいずれか1つに適合し得る。一実施例では、本開示は、コンピュータシステムと共に使用されるためのコンピュータ可読記憶媒体に記憶されたプログラム製品として実装され得る。プログラム製品の一又は複数のプログラムは、態様の機能(本明細書に記載の方法を含む)を規定する。例示的なコンピュータ可読記憶媒体には、情報が永久的に記憶される書込み不能な記憶媒体(例えば、CD-ROMドライブ、フラッシュメモリ、ROMチップ、又は任意の種類のソリッドステート不揮発性半導体メモリによって読み出し可能なCD-ROMディスクなどのコンピュータ内の読出し専用メモリデバイス)、及び変更可能な情報が記憶される書き込み可能な記憶媒体(例えば、ディスケットドライブ若しくはハードディスクドライブ内のフロッピーディスク又は任意の種類のソリッドステートランダムアクセス半導体メモリ)が含まれるが、これらに限定されない。かかるコンピュータ可読記憶媒体は、本明細書に記載の方法の機能を指示するコンピュータ可読命令を保有している場合には、本原理の態様となる。
【0030】
[0032]図3は、本開示の幾つかの実施形態による、基板処理機器で使用するための構成要素(例えば、少なくとも1つの構成要素212)を洗浄する方法300のフロー図を示す。基板処理機器は、堆積チャンバ、エッチングチャンバ、洗浄チャンバなどであってもよい。302において、方法300は、洗浄されるべき少なくとも1つの構成要素を洗浄チャンバ(例えば洗浄チャンバ120)内にロードすることを含む。少なくとも1つの構成要素は、ガス分配プレート、シャワーヘッド、プロセスキット構成要素、チャンバライナなどのうちの少なくとも1つであり得る。
【0031】
[0033]304において、方法300は、洗浄チャンバに流体連結されたボイラ(例えばボイラ110)内の流体を第1の温度に加熱することを含む。幾つかの実施形態では、第1の温度は、カ氏約300度から約550度である。流体は、液体供給源(例えば液体供給源104)を介してボイラに送達され得る。液体は、例えば水であり得る。
【0032】
[0034]306において、方法300は、加熱された流体を洗浄チャンバに送達して、少なくとも1つの構成要素を流体で覆うことを含む。幾つかの実施形態では、加熱された流体は、ガスラインバルブ(例えばガスラインバルブ152)を介して蒸気として送達される。幾つかの実施形態では、加熱された流体は、液体ラインバルブ(例えば液体ラインバルブ115)を介して加熱された液体として送達される。幾つかの実施形態では、所望の量の加熱された流体が洗浄チャンバに送達されると、液体ラインバルブ及びガスラインバルブのうちの少なくとも一方が閉じられる。
【0033】
[0035]308において、方法300は、洗浄チャンバ内の圧力を閾値圧力まで増大させることを含む。幾つかの実施形態では、閾値圧力は約100から約450ポンド/平方インチ(psi)である。幾つかの実施形態では、洗浄チャンバ内の圧力は、ヒータ(例えばヒータ124)を使用して洗浄チャンバを加熱することによって増大され得る。
【0034】
[0036]310において、方法300は、閾値圧力に到達したときに洗浄チャンバを膨張チャンバに流体連結する放出ラインに配置された放出バルブを開いて流体を沸騰させ、沸騰した流体を洗浄チャンバから膨張チャンバ内に排出することを含む。幾つかの実施形態では、放出ラインは、洗浄チャンバからの圧力の放出、ひいては沸騰した流体の排出速度を制御するための流量制御要素(例えば流量制御要素140)を含む。幾つかの実施形態では、沸騰した流体は、洗浄チャンバから膨張チャンバ内に約5ミリ秒から約10秒で排出される。幾つかの実施形態では、放出バルブを開く前に、膨張チャンバの内圧が真空圧まで減圧されて、洗浄チャンバと膨張チャンバとの間により大きな圧力差を生み出す。
【0035】
[0037]幾つかの実施形態では、沸騰した流体が洗浄チャンバから排出された後、放出バルブが閉じられる。幾つかの実施形態では、洗浄チャンバ内の少なくとも1つの構成要素は、洗浄チャンバから沸騰した流体を排出した後に調整される。幾つかの実施形態では、少なくとも1つの構成要素を調整することは、プロセスガス供給源(例えばプロセスガス供給源160)を介して所望のプロセスに適したプロセスガスを導入することによって、乾燥プロセス、パッシベーションプロセス、又はシーズニングプロセスのうちの少なくとも1つを実行することを含む。例えば、適切なプロセスガスは、窒素ガス(N)、酸素ガス(O)、三フッ化窒素(NF)、オゾン(O)、又はアンモニア(NH)のうちの一又は複数を含み得る。
【0036】
[0038]幾つかの実施形態では、洗浄チャンバの下流に配置された粒子カウンタ(例えばCPC116)を使用して、そこを流れる粒子の数を検出する。幾つかの実施形態では、312において、306、308、及び310における方法300は、所望されるまで、例えば粒子カウンタによって検出される粒子の数が所定の量以下になるまで、必要に応じて繰り返される。すなわち、幾つかの実施形態では、方法300は、少なくとも1つの構成要素を更なる加熱された流体で覆うために、更なる加熱された流体を洗浄チャンバに送達することと、洗浄チャンバ内の圧力を閾値圧力まで増大させることと、閾値圧力が到達されたとき、放出バルブを再開することとを含む。少なくとも1つの構成要素が十分に洗浄又は処理されると、少なくとも1つの構成要素は洗浄チャンバから取り出され、適切な基板処理機器に設置され得る。
【0037】
[0039]上記は本開示の実施形態を対象としているが、本開示の基本的な範囲から逸脱せずに、本開示の他の実施形態及び更なる実施形態が考案され得る。
図1
図2
図3