(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-31
(45)【発行日】2024-11-11
(54)【発明の名称】半導体デバイスウエハのための改良されたメトロロジーについてのシステムおよび方法
(51)【国際特許分類】
H01L 21/66 20060101AFI20241101BHJP
【FI】
H01L21/66 J
(21)【出願番号】P 2023555675
(86)(22)【出願日】2021-10-01
(86)【国際出願番号】 US2021053051
(87)【国際公開番号】W WO2022225549
(87)【国際公開日】2022-10-27
【審査請求日】2024-09-10
(32)【優先日】2021-04-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2021-09-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】500049141
【氏名又は名称】ケーエルエー コーポレイション
(74)【代理人】
【識別番号】110001210
【氏名又は名称】弁理士法人YKI国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】エルシャルミ リラン
(72)【発明者】
【氏名】ネグリ ダリア
(72)【発明者】
【氏名】バハール オハド
(72)【発明者】
【氏名】シモン ヨッシ
(72)【発明者】
【氏名】マナセン アムノン
(72)【発明者】
【氏名】ベン ダヴィド ニル
(72)【発明者】
【氏名】ウジエル ヨラム
(72)【発明者】
【氏名】ラバート エタイ
【審査官】小池 英敏
(56)【参考文献】
【文献】特開平9-283412(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2009/0024344(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2003/0025895(US,A1)
【文献】特開2008-258606(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/66
G03F 9/00
G01N 23/00
G01N 21/00
G01M 1/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
半導体デバイスウエハ(以下SDWという)の製造中に、その品質パラメータ値を生成する方法であって、
前記SDW上の複数の測定サイトセット(以下MSSという)を指定するステップであって、前記MSSの各々は、第1の測定オリエンテーションサイト(以下FMS)および第2の測定オリエンテーションサイト(以下SMS)を含み、前記FMSおよび前記SMSは、前記SDW上の異なる測定サイトである、ステップと、
入射放射線を用いて、第1の測定オリエンテーションにおける前記MSSの少なくとも1つの各前記FMS内に形成された特徴を測定
し、第1の測定オリエンテーション品質パラメータデータセット(以下FMQPDという)を生成するステップと、
前記入射放射線を用いて、第2の測定オリエンテーションにおける前記MSSの前記少なくとも1つの各前記SMS内に形成された特徴を測定
し、第2の測定オリエンテーション品質パラメータデータセット(以下SMQPDという)を生成するステップと、
前記FMQPDおよび前記SMQPDに少なくとも部分的に基づいて、少なくとも1つのツール誘導シフト(以下TlSという)改善品質パラメータ値(TAQPV)を生成するステップと、
を含む、
品質パラメータ値を生成する方法。
【請求項2】
請求項1に記載の方法であって、
前記第1の測定オリエンテーションおよび前記第2の測定オリエンテーションはそれぞれ、前記SDWの上面に対して概ね平行な平面内の回転オリエンテーションを含む、
品質パラメータ値を生成する方法。
【請求項3】
請求項1に記載の方法であって、
前記第1の測定オリエンテーションは、前記SDWの上面と略平行な平面内で0°の回転オリエンテーションを含み、
前記第2の測定オリエンテーションは、前記SDWの前記上面に概ね平行な前記平面内で180°の回転オリエンテーションを含む、
品質パラメータ値を生成する方法。
【請求項4】
請求項1に記載の方法であって、
前記品質パラメータは、少なくとも前記SDW上に形成された第1の層と前記SDW上に形成された第2の層との間の位置ずれである、
品質パラメータ値を生成する方法。
【請求項5】
請求項1に記載の方法であって、
前記品質パラメータは、前記特徴の少なくとも1つの寸法である、
品質パラメータ値を生成する方法。
【請求項6】
請求項1に記載の方法であって、
前記品質パラメータは、前記特徴間の少なくとも1つの空間の寸法である、
品質パラメータ値を生成する方法。
【請求項7】
請求項1に記載の方法であって、
前記少なくとも1つのTAQPVの各々は、前記FMSまたは前記SMSの1つに関連付けられる、
品質パラメータ値を生成する方法。
【請求項8】
請求項1に記載の方法であって、
前記少なくとも1つのTAQPVの各々は、前記MSSの1つに関連付けられる、
品質パラメータ値を生成する方法。
【請求項9】
請求項1に記載の方法であって、
前記少なくとも1つのTAQPVの各々は、前記MSSのグループに関連付けられる、
品質パラメータ値を生成する方法。
【請求項10】
請求項1に記載の方法であって、
前記SDWの製造の少なくとも1つのパラメータを調整するために前記TAQPVを使用することをさらに含む、
品質パラメータ値を生成する方法。
【請求項11】
請求項1に記載の方法であって、
前記MSSの前記少なくとも1つの前記FMS内に形成される前記特徴は、前記MSSの前記少なくとも1つの前記SMS内に形成される前記特徴と同一であることが意図されている、
品質パラメータ値を生成する方法。
【請求項12】
請求項1に記載の方法であって、
前記FMS内に形成された前記特徴は位置ずれターゲットを含み、前記SMS内に形成された前記特徴は位置ずれターゲットを含む、
品質パラメータ値を生成する方法。
【請求項13】
請求項1に記載の方法であって、
前記FMS内に形成された前記特徴は機能的半導体デバイスを含み、前記SMS内に形成された前記特徴は機能的半導体デバイスを含む、
品質パラメータ値を生成する方法。
【請求項14】
請求項1に記載の方法であって、
前記少なくとも1つのTAQPVを生成することは、前記FMQPD及び前記SMQPDをモデルに適合させることを含む、
品質パラメータ値を生成する方法。
【請求項15】
半導体デバイスウエハ(SDW)の品質パラメータ値を生成するためのシステムであって、
測定サイトセット指定器(MSSD)であって、前記SDW上の複数の測定サイトセット(MSS)を指定するように動作し、前記MSSの各々は、第1の測定オリエンテーションサイト(FMS)および第2の測定オリエンテーションサイト(SMS)を含み、前記FMSおよび前記SMSは、前記SDW上の異なる測定サイトである、MSSDと、
計量ツールであって、
前記SDWを支持するように構成されたチャックと、
前記チャック上の前記SDWに向けて入射放射線を生成するように構成された光モジュールと、
を含み、
前記入射放射線を使用して、第1の測定オリエンテーションにお
いて前記MSSのそれぞれの前記FMS内に形成された特徴を測定し、それによって第1の測定オリエンテーション品質パラメータデータセット(FMQPD)を生成
し、
前記入射放射線を使用して、第2の測定オリエンテーションにおいて前記MSSの
それぞれの前記SMS内に形成された特徴を測定し、それによって第2の測定オリエンテーション品質パラメータデータセット(SMQPD)を生成する
、
ように動作する、計量ツールと、
前記FMQPD及び前記SMQPDに少なくとも部分的に基づいて、少なくとも1つのツール誘導シフト(TIS)改善品質パラメータ値(TAQPV)を生成する品質パラメータ分析器と、
を含む、
品質パラメータ値を生成するためのシステム。
【請求項16】
請求項15に記載のシステムであって、
前記第1の測定オリエンテーションおよび前記第2の測定オリエンテーションはそれぞれ、前記SDWの上面に対して概ね平行な平面内の回転オリエンテーションを含む、
品質パラメータ値を生成するためのシステム。
【請求項17】
請求項15に記載のシステムであって、
前記第1の測定オリエンテーションは、前記SDWの上面と略平行な平面内で0°の回転オリエンテーションを含み、
前記第2の測定オリエンテーションは、前記SDWの前記上面に概ね平行な前記平面内で180°の回転オリエンテーションを含む、
品質パラメータ値を生成するためのシステム。
【請求項18】
請求項15に記載のシステムであって、
前記品質パラメータは、前記SDW上に形成された少なくとも第1の層と前記SDW上に形成された第2の層との間の位置ずれ、または前記特徴の少なくとも1つの寸法、または前記特徴間の少なくとも1つの空間の寸法である、
品質パラメータ値を生成するためのシステム。
【請求項19】
請求項15に記載のシステムであって、
前記少なくとも1つのTAQPVの各々は、前記FMSまたはSMSの1つに関連付けられる、
品質パラメータ値を生成するためのシステム。
【請求項20】
請求項15に記載のシステムであって、
前記少なくとも1つのTAQPVの各々は、前記MSSのグループに関連付けられる、
品質パラメータ値を生成するためのシステム。
【請求項21】
請求項15に記載のシステムであって、
前記MSSの前記少なくとも1つの前記FMS内に形成される前記特徴は、前記MSSの前記少なくとも1つの前記SMS内に形成される前記特徴と同一であることが意図される、
品質パラメータ値を生成するためのシステム。
【請求項22】
請求項15に記載のシステムであって、
前記FMS内に形成された前記特徴は位置ずれターゲットを含み、前記SMS内に形成された前記特徴は位置ずれターゲットを含む、
品質パラメータ値を生成するためのシステム。
【請求項23】
請求項15に記載のシステムであって、
前記FMS内に形成された前記特徴は機能的半導体デバイスを含み、前記SMS内に形成された前記特徴は機能的半導体デバイスを含む、
品質パラメータ値を生成するためのシステム。
【請求項24】
請求項15に記載のシステムであって、
前記品質パラメータ分析器は、前記FMQPD及び前記SMQPDをモデルに適合させ、それによって前記TAQPVを生成するように動作する、
品質パラメータ値を生成するためのシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
米国特許仮出願63/177,966(2021年4月22日、TOOL INDUCED SHIFT (TIS)) MAPPING AND REMOVAL BY ALTERNATE WAFER ORIENTATION AND DATA MODELINGが参照され、その開示は参照により本明細書に組み込まれ、その優先権が請求される。
【0002】
本出願による、以下の本出願の主題に関連する特許および特許出願も参照されたい。これらの開示が参照により本明細書に組み込まれる。
米国特許7,608,468
「APPARATUS AND METHODS FOR DETERMINING OVERLAY AND USES OF SAME」;
米国特許7,804,994
「OVERLAY METROLOGY AND CONTROL METEOD」;
米国特許7,876,438
「APPARATUS AND METHODS FOR DETERMINING OVERLAY AND USES OF SAME」
米国特許9,778,213
「METROLOGY TOOL WITH COMBINED XRF AND SAXS CAPABILITIES」;
米国特許9,927,718
「MULTI-LAYER OVERLAY METROLOGY TARGET AND COMPLIMENTARY OVERLAY METROLOGY MEASUREMENT SYSTEMS」;
米国特許10,527,951
「COMPOUND IMAGING METROLOGY TARGETS」;
欧州特許1,570,232
「APPARATUS AND METHODS FOR DETECTING OVERLAY ERRORS USING SCATTEROMETRY」;
PCT出願番号PCT/US2019/023918(2019年3月25日)
「VACUUM HOLD-DOWN APPARATUS FOR FLATTENING BOWED SEMICONDUCTOR WAFERS」;
PCT出番号PCT/US2019/035282(2019年6月4日)
「MISREGISTRATION MEASUREMENTS USING COMBINED OPTICAL AND ELECTRON BEAM TECHNOLOGY」;
PCT出願番号PCT/US2019/051209(2019年9月16日)
「PERIODIC SEMICONDUCTOR DEVICE MISREGISTRATION METROLOGY SYSTEM AND METHOD」
【0003】
「技術分野」
本開示は、概して、半導体デバイスの製造における品質メトリックの測定に関する。
【背景技術】
【0004】
半導体デバイスの製造における品質メトリックの測定のための様々な方法およびシステムが知られている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本開示は、半導体デバイスの製造における品質メトリックの測定のための改善された方法およびシステムを提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の実施形態によれば、半導体デバイスウエハ(SDW)の製造中に、その品質パラメータ値を生成する方法が提供され、この方法は、SDW上で複数の測定サイトセット(MSS)を指定することを含み、MSSの各々は、第1の測定オリエンテーションサイト(FMS)および第2の測定オリエンテーションサイト(SMS)を含む。FMSおよびSMSは、SDW上の異なる測定サイトであり、第1の測定オリエンテーションにおけるMSSのうちの少なくとも1つの各FMS内に形成された特徴を測定することによって、第1の測定オリエンテーション品質パラメータデータセット(FMQPD)を生成する。第2の測定オリエンテーションにおけるMSSのうちの少なくとも1つの各SMS内に形成された特徴を測定し、FMQPDおよびSMQPDに少なくとも部分的に基づいて、少なくとも1つのツール誘導シフト(TlS)改善品質パラメータ値(TAQPV)を生成することによって、第2の測定オリエンテーション品質パラメータデータセット(SMQPD)を生成する。
【0007】
本開示のある実施形態によると、第1の測定オリエンテーションおよび第2の測定オリエンテーション(方位、方向、方向づけなどの意味)はそれぞれ、SDWの上面と略平行な平面内の回転オリエンテーションを含む。第1の測定オリエンテーションは、SDWの上面と略平行な平面内で0°の回転オリエンテーションとして具現化することができ、第2の測定オリエンテーションは、SDWの上面と略平行な平面内で180°の回転オリエンテーションとして具現化することができる。
【0008】
本開示の実施形態では、品質パラメータは、SDW上に形成される少なくとも第1の層とSDW上に形成される第2の層との間の位置ずれである。追加的または代替的に、品質パラメータは、特徴の少なくとも1つの寸法である。追加的または代替的に、品質パラメータは、フィーチャ間の少なくとも1つの空間の寸法である。
【0009】
本開示の実施形態によれば、少なくとも1つのTAQPVの各々は、FMSまたはSMSのうちの1つに関連付けられる。あるいは、本開示の実施形態によれば、少なくとも1つのTAQPVの各々は、MSSのうちの1つに関連付けられる。あるいは、本開示の実施形態によれば、少なくとも1つのTAQPVの各々は、MSSのグループに関連付けられる。
【0010】
本開示の実施形態では、TAQPVは、SDWの製造の少なくとも1つのパラメータを調整するために使用される。
【0011】
特徴(フィーチャ)は、MSSの少なくとも1つの各FMS内に形成することができ、MSSの少なくとも1つの各SMS内に形成される特徴と同一であることが意図される。
【0012】
本開示の実施形態によれば、FMS内に形成されたフィーチャは、位置ずれターゲットを含み、SMS内に形成されたフィーチャは、位置ずれターゲットを含む。加えて、または代替として、本開示の実施形態によれば、FMS内に形成される特徴は、機能的半導体デバイスを含み、SMS内に形成される特徴は、機能的半導体デバイスを含む。
【0013】
少なくとも1つのTAQPVを生成するステップは、FMQPDおよびSMQPDをモデルにフィッティングするステップを含むことができる。
【0014】
本開示の別の実施形態によれば、半導体デバイスウエハ(SDW)の品質パラメータ値を生成するためのシステムも提供され、システムは、SDW上で複数の測定サイトセット(MSS)を指定するように動作可能な測定サイトセット指定器(MSSD)を含み、MSSの各々は、第1の測定オリエンテーションサイト(FMS)を含む。第2の測定オリエンテーションサイト(SMS)であって、FMSおよびSMSはSDW上の異なる測定サイトであり、計量ツールは、第1の測定オリエンテーションでMSSの各々のFMS内に形成された特徴を測定し、それによって第1の測定オリエンテーション品質パラメータデータセット(FMQPD)を生成するように動作する。そして、第2の測定オリエンテーションにおけるMSSのそれぞれのSMS内に形成された特徴を測定し、それによって、第2の測定オリエンテーション品質パラメータデータセット(SMQPD)を生成し、品質パラメータアナライザが、FMQPDおよびSMQPDに少なくとも部分的に基づいて、少なくとも1つのツール誘導シフト(TlS)改善品質パラメータ値(TAQPV)を生成するように動作する。
【図面の簡単な説明】
【0015】
本開示は、図面と併せて、以下の詳細な説明からより完全に理解および認識されるであろう:
【
図1】
図1は、本開示の計測システムの一実施形態の簡略化した概略図である。
【
図2】
図2は、
図1の計測システムの例示的なユースケースを示す簡略化した概略図である。
【
図3A】
図3Aおよび
図3Bは、
図1および
図2のシステムとともに使用するための方法の一実施形態を示す簡略化されたフローチャートである。
【
図3B】
図3Aおよび
図3Bは、
図1および
図2のシステムとともに使用するための方法の一実施形態を示す簡略化されたフローチャートである。
【
図4A】
図4Aは、TIS調整された品質パラメータ値を生成する従来技術の方法を示す簡略化されたプロットである。
【発明を実施するための形態】
【0016】
図1~3Bを参照して以下で説明するシステムおよび方法は、半導体デバイスを測定し、半導体デバイスの異なる層間の位置ずれの指標などのその品質メトリック(以下、適宜計量という)を生成するために使用することができ、半導体デバイスの製造プロセスの一部であることが理解されよう。
図1~3Bを参照して以下で説明されるシステムおよび方法によって生成される品質メトリックは、半導体デバイスの製造中にリソグラフィなどの製造プロセスを調整して、製造されている半導体デバイスを改善するために、たとえば半導体デバイスの様々な層間の位置ずれを改善するために使用され得る。
【0017】
品質メトリックは、半導体デバイスウエハ上に形成される半導体デバイスの様々な層の空間的位置合わせを含み、半導体デバイスウエハ上に形成される構造の所望の特性を維持するために、半導体デバイスウエハ上に形成される構造間の位置ずれなどの品質メトリックは、典型的には、半導体デバイスの製造プロセス全体にわたって複数回測定される。位置ずれ値を計算するために使用される「信号」は、典型的には、位置ずれを正確に表す所望のデータと、ツール誘導シフト(TIS)誤差、特に測定に関連する不良なテル重心に起因するTIS誤差、または測定される特徴の非対称性などの不規則性などのノイズとの両方を含む。
【0018】
計量測定(metrology measurements:メトロロジー測定)の品質および有用性を改善するために、TISエラーに起因する位置ずれ信号の一部分を識別し除去することができる。従来のシステムは、典型的には、各部位を2回測定することによって多数の測定部位におけるTIS誤差を識別し、測定部位がx-y平面内で第1の回転オリエンテーションにある間に第1の測定が行われ、x-y平面は半導体デバイスウエハの上面と概ね平行である。そして、第2の測定は、測定部位がx-y平面内で第2の回転オリエンテーションにある間に行われる。例えば、各部位は、部位が0°のx-y平面における回転オリエンテーションを有する間に初めて測定されてもよく、次いで、各部位は、部位が180°のx-y平面における回転オリエンテーションを有する間に2回目に測定されてもよい。2つの異なる回転オリエンテーションにおける2つの測定値の間の差は、TIS誤差と見なされ、その部位について報告された位置ずれ値から除去される。
【0019】
複数の測定を行うことは、典型的には、製造スループットに影響を及ぼす時間のかかるプロセスであり、所与の時間内に製造され得る半導体デバイスの数を減少させる。したがって、測定の精度に対する影響を最小限に抑えながら測定回数を減らすことは、特に製造スループットに対する計量測定の影響を最小限に抑える方法として有利である。
【0020】
ここで、本開示の計測システム100の実施形態の簡略化された概略図である
図1、及び計測システム100の例示的な使用事例を示す簡略化された概略図である
図2を参照する。理解を容易にするために、
図1および
図2は縮尺通りに描かれていないことが理解される。
【0021】
図1および2に見られるように、システム100は、測定サイトセット指定器(MSSD)110と、計量ツール120と、品質パラメータ分析器(QPA)130とを含むことができる。
図1及び
図2では、MSSD110及びQPA130は、計量ツール(メトロロジーツール)120とは別個のものとして描かれているが、本開示の代替実施形態では、MSSD110及びQPA130のうちの少なくとも1つが計量ツール120に含まれることが理解される。
図2には計量ツール120が2回示されているが、
図2は、単一の計量ツール120の2つの異なる動作オリエンテーションを示すことを意図していることがさらに理解される。
【0022】
MSSD110およびQPA130は、典型的には、システム100の他の要素に接続するための好適なデジタルおよび/またはアナログインターフェースとともに、本明細書で説明される機能を行うようにソフトウェアおよび/またはファームウェアでプログラムされる、プログラム可能プロセッサを含む。代替的または追加的に、MSSD110またはQPA130は、MSSD110またはQPA130の機能の少なくともいくつかを実行するハードワイヤードおよび/またはプログラマブルハードウェア論理回路を含むことができる。MSSD110およびQPA130は、簡潔にするために、モノリシック機能ブロックとして
図1に示されているが、実際には、これらは、単一のユニットまたは追加の相互接続された制御ユニットを備えてもよく、図に示され、本文に記載されている信号を受信および出力するための適切なインターフェースを備える。本明細書で開示される様々な方法および機能を実装するためのMSSD110およびQPA130のためのプログラムコードまたは命令は、メモリなどの可読記憶媒体に記憶され得る。
【0023】
計量ツール120は、とりわけ、撮像ベースの位置ずれ計量ツール、散乱計測(スキャトロメトリ)ベースの位置ずれ計量ツール、限界寸法(クリティカルディメンジョン:CD)計量ツール、形状計量ツール、フィルム計量ツール、電子ビーム計量ツール、および層間X線計量ツールなどのX線撮像ツールを含む、任意の適切な計量ツールであり得る。計量ツール120としての使用に適した例示的な計量ツールは、とりわけ、Archer(商標)750、ATL(商標)100、SpectraShape(商標)Ilk、SpectraFilm(商標)FIおよびeDR7380(商標)を含み、これらはすべて、米国カリフォルニア州ミルピタスのKLA Corporationから市販されている。計量ツール120として使用するのに適した追加の例示的な計量ツールは、米国特許9,778,213で説明されるx線ツールと同様のx線ツールである。
【0024】
計量ツール120は、SDW上に形成された少なくとも2つの層間の位置ずれ、SDW150上に形成された1つまたは複数のフィーチャ152の寸法、またはSDW150上に形成されたフィーチャ152間の1つまたは複数の空間154の寸法(ディメンジョン)など、半導体デバイスウエハ(SDW)150として具体化することができる試料の品質メトリックを測定するように動作することができる。
【0025】
SDW150は、典型的には、概して、形状がディスク状であり、ノッチまたは平坦部分等の位置決め特徴(フィーチャ)156を含むことができる。位置決め特徴156は、SDW150の上面158に概ね平行な平面内でSDW150の回転オリエンテーションを識別するのに有用である。
【0026】
MSSD110は、SDW150上の複数の測定サイトセット(MSS)160を指定することができ、各MSS160は、第1の測定オリエンテーションサイト(FMS)162と、第2の測定オリエンテーションサイト(SMS)164とを含む。FMS162およびSMS164は、SDW150上の異なる測定サイトであり、したがって、FMS162およびSMS164の各々の測定値は、特徴152のうちの異なるものを測定することが理解される。本開示のいくつかの実施形態(図示せず)では、各MSS160は、少なくとも1つの追加の測定オリエンテーションサイトを含む。単一のMSS160のFMS162およびSMS164は、互いに隣接し得るが、そうである必要はないことが理解される。
【0027】
SDW150上の各FMS162およびSMS164は、任意の好適な形状および寸法を有し得ることがさらに理解される。同様に、SDW150は、その上に任意の適切な分布を有する任意の適切な数のMSS160を有し得る。本開示の一実施形態では、各MSS160のFMS162およびSMS164内の特徴152の少なくともいくつかは、他のMSS160のFMS162およびSMS164内の特徴と同一またはほぼ同一であることが意図される。本開示の別の実施形態では、各MSS160のFMS162およびSMS164内の特徴152のうちの少なくともいくつかは、他のMSS160のFMS162およびSMS164内の特徴152と意図的に異なる。しかしながら、特定のMSS160のFMS162内の特徴152は、その特定のMSS160のSMS164内の特徴152と同一またはほぼ同一であることが意図され得る。同様に、MSS160が少なくとも1つの追加の測定オリエンテーションサイトを含む実施形態では、特定のMSS160のFMS162内の特徴152は、その特定のMSS160の各追加の測定オリエンテーションサイト内の特徴152と同一またはほぼ同一であることが意図され得る。
【0028】
FMS162およびSMS164内のフィーチャ152は、SDW150上に形成される単一の層で、またはSDW150上に形成される複数の層で形成され得る。例えば、
図2に示される例では、各FMS162およびSMS164は、SDW150上に形成される第1の層166とともに形成される特徴152と、SDW150上に形成される第2の層168とともに形成される特徴152の両方を含む。半導体デバイスウエハ上のフィーチャは、典型的には、
図2に示されるフィーチャ152の寸法D1およびD2など、x軸およびy軸によって示されるようなx-y平面におけるその最小寸法によって特徴付けられる。同様に、半導体デバイスウエハ上のフィーチャ間の空間は、典型的には、
図2に示される空間154の寸法D3、D4、およびD5など、x-y平面におけるその最小寸法によって特徴付けられる。
【0029】
簡単にするために、
図2では、FMS162およびSMS164は、各々が高度(アドバンスト:advanced)撮像計測(AIM)ターゲットを含むものとして示されている。しかしながら、FMS162およびSMS164の各々内の特徴152は、とりわけ、米国特許7,804,994で説明されるターゲットに類似するターゲット等のボックスインボックスターゲット等の任意の好適な位置ずれターゲットを形成し得る、米国特許10,527,951に記載の標的と同様の標的などのAIMインダイ(in-die)(AIMid)標的(ターゲット)を形成することができる。また、ブロッサムまたはマイクロブロッサム(blossom or micro-blossom)ターゲットとしては、C. P. Ausschnitt, J. Morningstar, W. Muth, J. Schneider, R. J. Yerdon, L. A. Binns, N. P. Smith, “Multilayer overlay metrology,” Proc. SPIE 6152, Metrology, Inspection, and Process Control for Microlithography XX, 615210 (24 March 2006)、モアレターゲットとしては、U.S. Patent No. 7,876,438、回折ベースにおいて有用なターゲットとしては、European Patent No. 1,570,232、電子ビームベースに有用なターゲットとしては、U.S. Patent No. 7,608,468、ハイブリッド撮像電子ビームターゲットまたはハイブリッドスキャトロメトリ電子ビームターゲットとしては、PCT Application No. PCT/US2019/035282、3以上の層の位置合わせミスの計測に有用なターゲットとしては、 U.S. Patent No. 9,927,718に記載されたものと同様のものを形成することができる。さらに、FMS162、SMS164の中に形成されるフィーチャ152は、完全にまたは部分的な PCT Application No. PCT/US2019/051209に記載される機能的半導体デバイスとして意図される半導体デバイスを含み得る。
【0030】
特に、
図2に見られるように、計量ツール120は、各MMS160の各FMS162内に形成されたフィーチャ152を第1の測定オリエンテーションで測定し、各MMS160の各SMS164内に形成されたフィーチャ152を第2の測定オリエンテーションで測定するように動作可能である。本明細書で使用される場合、「オリエンテーション」は、SDW150の上面158に概ね平行な平面内でのSDW150の回転オリエンテーションを指すことが理解される。第1および第2の測定オリエンテーションは、互いに異なり、最も典型的にはそれぞれ0°および180°である任意の適切な値を有し得る。本開示の一実施形態では、計量ツール120は、SDW150が第1の測定オリエンテーションおよび第2の測定オリエンテーション以外の少なくとも1つの追加の回転オリエンテーションにある間に、SDW150上の測定部位を測定するように動作可能である。
【0031】
計量ツール120は、SDW150の上面158に概ね平行であるx-y平面内で回転可能であるチャック170を含むことができる。チャック170は、計量ツール120によって測定されているSDW150などの試料(サンプル)を支持し、位置決めするように動作可能である。チャック170は、例えば、PCT出願PCT/US2019/023918で説明されるようなチャックを含む、任意の好適なチャックであってもよい。DWS150の測定オリエンテーションは、チャック170の位置によって決定される。SDW150は、典型的には真空アタッチメントによって、測定中にチャック170に固定して取り付けることができ、SDW150の上面158に概ね平行な平面におけるSDW150の回転オリエンテーションは、チャック170の対応する回転オリエンテーションによって決定される。
【0032】
本開示の特定の特徴は、FMS162およびSMS164のうちのいくつかは、第1の測定オリエンテーションおよび第2の測定オリエンテーションの両方において測定され得るが、FMS162の大部分は、第1のオリエンテーションにおいてのみ測定され、SMS164の大部分は、第2の測定オリエンテーションにおいてのみ測定されることである。例えば、本開示の一実施形態では、SDW150上のFMS162の約10%は、SDW150が第1の測定オリエンテーションにある間、およびSDW150が第2の測定オリエンテーションにある間の両方で測定され、SDW150上のFMS162の残りの約90%は、SDW150が第1の測定オリエンテーションにある間のみ測定される。この例示的な実施形態では、SDW150上のSMS164の約10%も、SDW150が第1の測定オリエンテーションにある間とSDW150が第2の測定オリエンテーションにある間の両方で測定され、SDW150上のSMS164の残りの約90%は、SDW150が第2の測定オリエンテーションにある間のみ測定される。
【0033】
計量ツール120は、FMS162およびSMS164の各々内に形成されたフィーチャ152を測定する際に使用するための入射放射182を生成する少なくとも1つの光学モジュール180をさらに含むことができる。計量ツール120は、第1の測定オリエンテーションにおける各FMS162の測定から第1の測定オリエンテーション品質パラメータデータセット(FMQPD)を生成することができることが理解される。同様に、計量ツール120は、第2の測定オリエンテーションにおける各SMS164の測定から第2の測定オリエンテーション品質パラメータデータセット(SMQPD)を生成することができる。
【0034】
図3および
図4を参照して以下で説明するように、QPA130は、FMQPDおよびSMQPDを受信することができ、それに少なくとも部分的に基づいて、少なくとも1つのツール誘導シフト(TIS)改善品質パラメータ値(TAQPV)を生成する。TAQPVは、とりわけ、少なくとも第1の層166と第2の層168との間の位置ずれなどの任意の好適なパラメータに関連し得る。好適なパラメータは、例えばFMS162およびSMS164内の特徴152のうちの少なくとも1つのD1またはD2などの次元、FMS162及び164のフィーチャ152間の空間154の少なくとも1つの寸法、例えばD3、D4又はD5、FMS162およびSMS164における特徴152の少なくとも1つの形状、そして、FMS162とSMS164のフィーチャ152間の空間154の1つの形状である。
【0035】
本開示の一実施形態では、TAQPVは、単一のFMS162またはSMS164を特徴付け、また関連付けられる。本開示の追加の実施形態では、TAQPVは、単一のMMS160を特徴付け、それに関連付けられる。本開示のさらに追加の実施形態では、TAQPVは、とりわけ、SDW150の単一の列、行、フィールド、または象限内のMSS160のグループ、単一のSDW150上のMSSのグループ、および複数のSDW150上のMSSのグループなど、MMS160のグループを特徴付け、それに関連付けられる。
【0036】
ここで、
図3Aおよび
図3Bを参照すると、これらはまとめると、
図1および
図2のシステム100とともに使用するための方法300の実施形態を示す簡略化されたフローチャートであり、
図4Aは、TIS調整された品質パラメータ値を生成する従来技術の方法を示す簡略化されたプロットであり、
図4Bを参照する。これは、
図3Aおよび
図3Bの方法300の一部を示す簡略化されたプロットである。方法300は、SDW150上に少なくとも1つの、より典型的には少なくとも2つの層を形成した後に、より大きな製造プロセスの一部として実行できることが理解される。さらに、方法300の一部として生成されたデータを使用して、方法300が一部を形成する製造プロセスの製造パラメータを調整することができる。
【0037】
図3Aに見られるように、第1のステップ302において、SDW150などのサンプル上の複数のMSS160が、MSSD110などによって指定される。
図1および
図2を参照して上述したように、MSS160の各々は、少なくとも単一のFMS162および単一のSMS164を含むことができる。本開示のいくつかの実施形態では、各MSS160は、少なくとも1つの追加の測定オリエンテーションサイトを含む。また、上述したように、FMS162およびSMS164は、SDW150上の異なる測定サイトであり、したがって、FMS162およびSMS164の各々の測定値は、特徴152のうちの異なるものを測定する。
【0038】
方法300は、FMS162の測定値からのFMQPDに関連するTISとSMS164の測定値からのSMQPDに関連するTISとの間の差が所定の許容範囲内にあるMSS160での使用に特に適していることが理解される。したがって、任意選択の次のステップ304において、SDW150上の各MSS160のFMS162およびSMS164の測定に関連するTISは、例えば、Boaz Ophir,Udi Shusterman,Anna Golotsvan,Cindy Kato,Masanobu Hayashi,Richika Kato,Tomohiro Goto,Taketo Kuriyama,Manabu Miyake,Yasuki Takeuchi,Hiroyuki Mizuochi,“Machine learning for Tool Induced Shift (TIS) reduction: an HVM case study”Proc.SPIE 11611,Metrology,Inspection,and Process Control for Semiconductor Manufacturing XXXV,116110E(22 Feb 2021)に記載されているものと同様のTIS-on-Linkプロトコルを実行することによって評価される。
【0039】
ステップ304の評価の結果が、FMS162の測定値からのFMQPDに関連付けられたTISとSMS164の測定値からのSMQPDに関連付けられたTISとの間の差が所定の許容差内にないことを示す場合、差は、次のステップ306において所定の許容差内にもたらされ得る。ステップ306は、SDW150の製造パラメータを調整することによって、または方法300で使用される測定パラメータを調整することによって実行され得る。
【0040】
ステップ306に続いて、またはステップ304の評価の結果が、FMS162の測定値からのFMQPDに関連するTISとSMS164の測定値からのSMQPDに関連するTISとの間の差が所定の許容範囲内であることを示す場合、ステップ304に続いて、またはステップ304が実行されない場合、ステップ302に続いて、方法300は次のステップ308に進む。ステップ308では、少なくとも1つのFMQPDが、第1の測定オリエンテーションにおけるMSS160のうちの少なくとも1つの各FMS162内に形成された測定特徴152によって生成される。
図1および
図2を参照して上述したように、本明細書で使用する「オリエンテーション」は、SDW150の上面158に概ね平行な平面内でのSDW150の回転オリエンテーションを指す。ステップ308で取得された測定値は、計量ツール120を使用して測定することができる。
【0041】
次のステップ310において、少なくとも1つのSMQPDは、ステップ308で測定された各MSS160について、第2の測定オリエンテーションで各SMS164内に形成されたフィーチャ152を測定することによって生成される。
図1及び
図2を参照して上述したように、各ステップ308及び310の第1及び第2の測定オリエンテーションは、互いに異なっていてもよく、最も典型的にはそれぞれ0°及び180°である。
【0042】
特に
図3Bに見られるように、次のステップ312において、追加の測定オリエンテーションで測定部位を測定するか否かの決定が行われる。追加の測定オリエンテーションで追加の測定が行われる場合、方法300は次のステップ314に進む。
【0043】
ステップ314では、MSS160が少なくとも1つの追加の測定オリエンテーション部位を含む実施形態では、各追加の測定オリエンテーション部位は、その対応する測定オリエンテーションで測定され、それによって、ステップ314で取得された各追加の測定のための追加の測定オリエンテーション品質パラメータデータセット(AMQPD)を生成する。
【0044】
単なる例として、各MSS160が4つの測定部位を含む場合、ステップ308において、各MSS160について、FMS162を0°の回転オリエンテーションで測定することができ、ステップ310において、SMS164を180°の回転オリエンテーションで測定することができ、ステップ314において、2つの追加の測定オリエンテーション部位を90°および270°の回転オリエンテーションでそれぞれ測定することができる。
【0045】
追加または代替として、ステップ314において、FMS162およびSMS164のうちの少なくとも1つは、FMS162またはSMS164がそれぞれのステップ308または310において測定された向きとは異なる向きで測定され得る。例えば、上述のように、本開示の一実施形態では、SDW150上のFMS162およびSMS164の約10%が、SDW150が第1の測定オリエンテーションにある間、およびSDW150が第2の測定オリエンテーションにある間の両方で測定される。そして、SDW150上のFMS162の残りの約90%は、SDW150が第1の測定オリエンテーションにある間にのみ測定され、SDW150上のSMS164の残りの約90%は、SDW150が第2の測定オリエンテーションにある間にのみ測定される。そのような実施形態では、ステップ308において、全てのFMS162が第1の測定オリエンテーションで測定され、ステップ310において、全てのSMS164が第2の測定オリエンテーションで測定され、ステップ314において、FMS162の約10%が第2の測定オリエンテーションで測定され、SMS164の約10%が第1の測定オリエンテーションで測定される。
【0046】
理解を容易にするために、ステップ312および314は、ステップ308および310の両方の後に実行されるものとして示されているが、いくつかのFMS162が第2の測定オリエンテーションで測定され、および/またはいくつかのSMS164が第1の測定オリエンテーションで測定される実施形態では、ステップ314は、ステップ308および310とともに実行され得ることを理解されたい。したがって、方法300で使用される各測定オリエンテーションについて、チャック170は、SDW150をその測定オリエンテーションに1回だけ移動させることができ、その測定オリエンテーションで行われるべき全ての測定は、SDWがその測定オリエンテーションにある間に行われる。その測定オリエンテーションで測定されるべき全ての測定部位がその測定オリエンテーションで測定された後にのみ、チャック170はSDW150を異なる測定オリエンテーションに移動させる。
【0047】
ステップ314に続いて、またはステップ312において、追加の測定オリエンテーションで測定部位を測定しないと決定した場合、ステップ312に続いて、方法300は次のステップ316に進む。ステップ316では、ステップ308で生成されたFMQPDおよびステップ310で生成されたSMQPD、ならびに、もしあれば、ステップ314で生成されたAMQPDが、QPA130に提供される。
【0048】
次のステップ318では、QPA130は、ステップ316で提供されたFMQPD、SMQPD、およびAMQPDを分析し、少なくとも部分的にそれに基づいて、少なくとも1つのツール誘導シフト(TIS)改善品質パラメータ値(TAQPV)を生成することができる。
図1および
図2を参照して上述したように、ステップ318で生成されるTAQPVは、とりわけ、少なくとも第1の層166と第2の層168との間の位置ずれなどの任意の適切なTAQPV;FMS162およびSMS164内の特徴152のうちの少なくとも1つのD1またはD2などの次元;FMS162及び164のフィーチャ152間の空間154の少なくとも1つの寸法、例えばD3、D4又はD5;FMS162およびSMS164における特徴152の少なくとも1つの形状;そして、FMS162とSMS164のフィーチャ152間の空間154の1つの形状;であってもよい。
【0049】
また、
図1および
図2を参照して上述したように、本開示の一実施形態では、TAQPVは、単一のFMS162またはSMS164を特徴付け、それらに関連付けられる。本開示の追加の実施形態では、TAQPVは、単一のMMS160を特徴付け、それに関連付けられる。本開示のさらに別の実施形態では、TAQPVは、とりわけ、SDW150の単一の列、行、フィールド、または象限内のMSS160のグループ、単一のSDW150上のMSSのグループ、および複数のSDW150上のMSSのグループなど、MMS160のグループを特徴付け、それに関連付けられる。
【0050】
本開示のある実施形態では、ステップ318で実行される分析は、ステップ316で提供されるFMQPD、SMQPD、およびAMQPDをモデルに適合させることを含むことができる。そのようなモデルは、とりわけ、算術平均、線形回帰、または高次モデル、例えばDana Klein, Daria Negri, “Error modeling and accuracy breakdown in Optical overlay metrology for advanced nodes,”Proc.SPIE 11613, Optical Microlithography XXXIV, 116130X(22 February 2021)に記載されているモデルに類似するモデルなど、任意の適切なモデルであり得る。
【0051】
ステップ318において、FMQPD、SMQPD、およびAMQPDのQPA130による分析が、大部分がTISに起因するかまたはTISのみに起因する品質パラメータの少なくともいくつかの成分を自動的に除去することができ、それによってQPA130がTAQPVを提供することを可能にすることが、本開示の特定の特徴である。
【0052】
図4Aに見られるように、従来技術の方法は、三角形マーカ402の各々によって示されるような第1の測定オリエンテーションと、長方形マーカ404の各々によって示されるような第2の測定オリエンテーションとの両方で、複数の測定部位の各々を測定する。次いで、先行技術の方法は、線形回帰を使用して、測定によって生成されたデータを直線モデルに適合させ、破線の傾向線410によって示されるように、各測定部位の品質パラメータ値を生成する。各測定部位は、2つの異なる測定オリエンテーションで測定されるため、各部位のTIS誤差は、データが好適なモデルに適合されるときに相殺される。
【0053】
対照的に、
図4Bに見られるように、方法300は、三角形マーカ422のそれぞれによって示されるように、ステップ308において、第1の測定オリエンテーションのみで大部分または全てのFMS162を測定し、長方形マーカ424のそれぞれによって示されるように、ステップ310において、第2の測定オリエンテーションのみで大部分または全てのSMS164を測定する。次いで、方法300は、ステップ308および310の測定によって生成されたデータを、線形回帰と適合する直線モデルとして
図4Bに示されるモデルに適合させ、それによって、破線の傾向線430によって示されるように、各測定部位に対するTAQPVを生成する。
【0054】
図4Aのマーカ402および404の数と比較して、
図4Bのマーカ422および424の数によって示されるように、方法300は、
図4Aに図示される先行技術の方法によって必要とされるものの約半分の測定値を生成する。さらに、傾向線410および430の相対位置によって示されるように、方法300は、
図4Aに示される従来技術の方法によって生成された品質パラメータ値の所定の許容範囲内のTAQPVを生成する。
【0055】
本開示は、上記で具体的に示され、説明されたものに限定されないことが、当業者によって理解されるであろう。本開示の範囲は、上述の様々な特徴の組合せおよび部分的組合せの両方、ならびにそれらの修正を含み、それらのすべては従来技術にはない。