(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-01
(45)【発行日】2024-11-12
(54)【発明の名称】核酸増幅用組成物
(51)【国際特許分類】
C12Q 1/686 20180101AFI20241105BHJP
C12Q 1/6876 20180101ALI20241105BHJP
C12N 15/09 20060101ALN20241105BHJP
【FI】
C12Q1/686 Z ZNA
C12Q1/6876 Z
C12N15/09 Z
(21)【出願番号】P 2020061194
(22)【出願日】2020-03-30
【審査請求日】2023-03-28
(73)【特許権者】
【識別番号】301021533
【氏名又は名称】国立研究開発法人産業技術総合研究所
(73)【特許権者】
【識別番号】512132147
【氏名又は名称】杏林製薬株式会社
(72)【発明者】
【氏名】永井 秀典
(72)【発明者】
【氏名】古谷 俊介
(72)【発明者】
【氏名】竹内 亮太
(72)【発明者】
【氏名】高島 瑞紀
【審査官】松村 真里
(56)【参考文献】
【文献】特表2018-538007(JP,A)
【文献】国際公開第2016/006612(WO,A1)
【文献】特表平5-505105(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第110724768(CN,A)
【文献】中国特許出願公開第103498008(CN,A)
【文献】Protein Engineering, Design & Selection,2018年,Vol.31, No.3,p.79-89
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C12Q
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
CAplus/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
以下の
(A)DNAポリメラーゼ
(B)逆転写酵素 1.5~4.5U/μL
(C)フォワードプライマー 1.2μM以上
(D)リバースプライマー 1.2μM以上
(E)蛍光プローブ
を含有し、(A)1Uに対して,(B)が5~18Uである核酸増幅用組成物。
【請求項2】
(A)1Uに対して,(B)が7~16Uである、請求項1記載の核酸増幅用組成物。
【請求項3】
(C)フォワードプライマー及び(D)リバースプライマーが、各々1.5~3.5μMである、請求項1又は2記載の核酸増幅用組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、核酸増幅用組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
リアルタイムPCR法は、サーマルサイクルにより遺伝子を指数関数的に増幅する強力な手法であるが、リアルタイムPCRに使用される汎用のサーマルサイクラー装置は、ヒーターであるアルミブロック部の巨大な熱容量のため温度制御が遅く、30~40サイクルのPCR操作に従来1~2時間、場合によってはそれ以上を要する。そのため、最新の遺伝子検査装置を用いても分析にはトータルで、通常1時間以上を要しており、PCR操作の高速化は、技術登場以来の大きな課題であった。
【0003】
かかる状況の下、本願発明者らは、PCR操作の高速化を図る目的からマイクロブロア等を送液用機構として使用するレシプロカルフロー型の核酸増幅装置を開発した(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
リアルタイムPCR法による標的DNA量の定量は、臨床において有用であり、ウイルス感染の有無を確認すること等に利用される。
しかし、細菌感染の場合と異なり、ウイルス感染の場合は、精製したRNAから逆転写反応によりcDNAを作成する工程が必要なため、逆転写反応の分余計に時間を要する。また、cDNA合成に用いたRNAが、cDNAとプライマーとの結合を干渉する。
したがって、ウイルスRNA遺伝子を標的とするリアルタイムPCRを行う場合は、より高速で感度の良いPCR方法が望まれる。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者らは、プライマー及び逆転写酵素の添加量を特定範囲に調整することにより上記課題を解決できることを見出し、この知見に基づき本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、以下のとおりである。
項1、以下の成分を含有する核酸増幅用組成物。
(A)DNAポリメラーゼ
(B)逆転写酵素 1.5~4.5U/μL
(C)フォワードプライマー 1.2μM以上
(D)リバースプライマー 1.2μM以上
項2、(B)逆転写酵素が、1.8~4.2U/μLである、項1記載の核酸増幅用組成物。
項3、(C)フォワードプライマー及び(D)リバースプライマーが、各々1.5~3.5 μMである、項1又は2記載の核酸増幅用組成物。
項4、(A)DNAポリメラーゼ 1Uに対して、(B)逆転写酵素 5~18U含有する、項1~3のいずれかに記載の核酸増幅用組成物。
項5、(A)DNAポリメラーゼ 1Uに対して、(B)逆転写酵素 7~16U含有する、項1~3のいずれかに記載の核酸増幅用組成物。
項6、さらに(E)蛍光プローブを含有する、項1~5に記載の核酸増幅用組成物。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】PCRチップの構成を示す図である。Pの点線で囲まれた領域は、PCR反応が行われる領域を表し、Rの点線で囲まれた領域は、逆転写反応が行われる領域を表す。
【
図2】異なる濃度の逆転写酵素を用いた高速なOne-step逆転写リアルタイムPCRにおけるSARS-CoV-2のE遺伝子配列を有するRNAに対する核酸の増幅を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本発明の核酸増幅用組成物について詳説する。
【0009】
本発明の核酸増幅用組成物は、RNAを鋳型として逆転写酵素によりcDNAを生成後、PCR反応を行うための核酸増幅用組成物である。特に、PCR反応中の遺伝子増幅の状況をモニタリングすることができるリアルタイムPCR用の組成物である。
【0010】
(A)DNAポリメラーゼ
本発明の核酸増幅用組成物は、DNAポリメラーゼを含む。本発明において、「DNAポリメラーゼ」とは、耐熱性DNAポリメラーゼを意味する。試薬として、タカラバイオ社のSpeedSTAR(登録商標) HS DNA polymeraseやExTaq HS DNA polymeraseを挙げることができる。
本発明の核酸増幅用組成物中に含まれるDNAポリメラーゼは、0.15U/μL以上であり、好ましくは0.15~1U/μL、さらに好ましくは0.18~0.75U/μLであり、特に好ましくは0.2~0.5U/μLである。
ここで、酵素活性の定義は、活性化サケ精子 DNA を鋳型/プライマーとして用い、74℃において、30 分間 に10nmoL の全ヌクレオチドを酸不溶性沈殿物に取り込む活性を1Uとする。
【0011】
(B)逆転写酵素
本発明の核酸増幅用組成物は、逆転写酵素を含む。本発明において、「逆転写酵素」とは、RNAに遺伝情報をDNAに逆転写する酵素をいい、適当なオリゴマーをプライマーとして、mRNA分子よりcDNAを合成するために用いられる。試薬として、タカラバイオ社のPrimeScript(登録商標)Reverse Transcriptaseやライフテクノロジーズ社のSuperScript(登録商標)Reverse Transcriptaseを挙げることができる。
本発明の核酸増幅用組成物中に含まれる逆転写酵素は、1.5~4.5U/μLであり、好ましくは1.8~4.0U/μL、さらに好ましくは1.8~3.5U/μLであり、特に好ましくは1.8~3.5U/μLである。
なお、Poly(rA)・oligo (dT)12-18を鋳型/プライマーとして、37℃、10 分間に1 nmolの[3H]dTTP を取り込む酵素活性を1Uとする。
ここで活性測定用反応液組成は、以下の通りである。
50 mM Tris-HCl pH8.3
75 mM KCl
8 mM MgCl2
10 mM DTT
20 μg/ml (rA)n・(dT)12-18
0.5 mM [3H]dTTP
0.1% NP-40
また、逆転写酵素は、例えば、本発明の核酸増幅用組成物中にDNAポリメラーゼ 1Uに対して5~18U又は7~16U含有することができる。
【0012】
(C)フォワードプライマー及び(D)リバースプライマー
本発明の核酸増幅用組成物は、プライマーセットを含む。「プライマーセット」とは、フォワードプライマー及びリバースプライマーを組み合わせたものをいい、通常は一つの標的遺伝子領域に対応して1種のフォワードプライマー及び1種のリバースプライマーを用いる。
本発明の核酸増幅用組成物中に含まれるフォワードプライマー及びリバースプライマーは、各々1.2μM以上であり、好ましくは1.5~4.5μMであり、さらに好ましくは1.5~4.0μMであり、特に好ましくは1.8~3.5 μMである。フォワードプライマー及びリバースプライマーの含有量は、同一であっても異なっていてもよい。
【0013】
(E)蛍光プローブ
本発明の核酸増幅用組成物は、リアルタイムPCRを行う場合は、TaqManプローブ、Cycleaveプローブ、Eプローブ(登録商標)などの蛍光プローブを配合することが好ましい。
【0014】
蛍光検出に用いる色素(蛍光色素)の例としては、ABY、アクリジン、アレクサフルーア488、アレクサフルーア532、アレクサフルーア594、アレクサフルーア633、アレクサフルーア647、ATTO(ATTO-TEC蛍光色素)、バイオサーチブルー、Cy3、Cy3.5、Cy5、Cy5.5、クマリン、DANSYL、FAM(例えば、5-FAM、6-FAM)、FITC、GPF、5-HEX、6-HEX、JOE、JUN、マリーナブルー、NED、オレゴングリーン488、オレゴングリーン500、オレゴングリーン514、パシフィックブルー、PET、パルサー、クエザー570、クエザー670、クエザー705、ローダミングリーン、ローダミンレッド、5-ROX、6-ROX、5-TAMRA、6-TAMRA、5-TET、6-TET、テキサスレッド、TRITC、VICが挙げられる。
【0015】
本発明の核酸増幅用組成物は、その他PCRの反応に必要な成分が含まれている。例えば、試料液は水を主体とした水性媒体に、標識されていてもよい各種デオキシリボヌクレオチド三リン酸、などのPCRの反応に必要な成分などが含まれている。また、pH及び塩濃度を調整するための緩衝液成分が含まれていてもよい。
【0016】
本発明の核酸増幅用組成物を用いたリアルタイムPCRは、例えば、以下の核酸増幅装置と核酸増幅用チップの組み合わせを用いて実施することができる。
【0017】
[核酸増幅装置]
変性温度帯と伸長・アニーリング温度帯を形成できるヒーター、
微小流路中に存在する試料液の蛍光強度を測定可能な蛍光検出器、
前記2つの温度帯間の試料液の移動を可能にし、かつ、送液停止時には大気圧開放される送液用機構、
核酸増幅用チップを載置可能な基板、
試料液の移動に関する蛍光検出器からの電気信号が送られて送液用機構の駆動を制御する制御機構を備え、
サーマルサイクル毎の蛍光強度の計測を行うことでリアルタイムPCRを実施するレシプロカルフロー型の核酸増幅装置。
【0018】
[核酸増幅用チップ]
前記変性温度帯と前記伸長・アニーリング温度帯に各々対応する曲線流路、前記曲線流路をつなぐ直線状又は曲線状の中間流路、流路の一方又は両端部に前記核酸増幅装置における送液用機構に接続可能な接続部を備えた微小流路を少なくとも1つ有する核酸増幅用チップ。
【0019】
具体的には、以下の工程1~4により行うことができる:
工程1:上記核酸増幅装置の基板に上記核酸増幅用チップを載置する工程、
工程2:微小流路の一方又は両端部の送液用機構接続部と送液用機構を接続する工程、
工程3:前記送液用機構により試料液を微小流路の2つの曲線流路間で往復させてサーマルサイクリングを行う工程
工程4:前記流路の所定の位置で前記蛍光検出器によりサーマルサイクル毎の試料液の蛍光強度の計測を行う工程。
【0020】
微小流路は、(i)熱伝導性が比較的高い、(ii)PCRに必要な温度範囲において安定である、(iii)電解質溶液や有機溶媒に侵食されにくい、(iv)核酸やタンパク質の吸着性が低いなどの要件の一部又は全部を満たす材料から構成されることが好ましい。具体的には、ガラス、石英、シリコン、シクロオレフィンポリマー(COP)などの熱硬化性や光硬化性の各種樹脂が例示される。また、蛍光検出を実施するとの観点から、光(特に、蛍光検出を行うための励起光及び放射光)の透過性が高い(すなわち、吸収、拡散、反射等が少ない)、透明な材料であることが好ましい。
【0021】
微小流路は、例えば、NC加工による切削などの機械加工、射出成形、ナノインプリンティング、ソフトリソグラフィーなどの方法により溝が素材に形成され、シール(好ましくは、例えばポリオレフィン製などの透明シール)により密閉された構造とすることができる。あるいは、三次元プリンティングにより微小流路を形成することもできる。微小流路の断面の形状は、特に限定されず、半円形状、円形状、直方形状、くさび形、台形、多角形などとすることができる。また、微小流路の断面は、例えば、幅10~1000μm程度、深さ10~1000μm程度とすることができる。また、微小流路の幅及び深さのそれぞれは、一定、または又は、部分的に幅若しくは深さが変化するものとすることができる。
【0022】
微小流路が備える変性温度帯に対応する曲線流路及び伸長・アニーリング温度帯に対応する曲線流路の形状は、ループ形状を有する蛇行流路、渦巻き状などの曲線流路の形状とすることができる。変性温度帯に対応する曲線流路と伸長・アニーリング温度帯に対応する曲線流路とをつなぐ中間流路は、直線状又は曲線状のいずれの形状とすることができる。
【0023】
変性温度帯に対応する曲線流路及び伸長・アニーリング温度帯に対応する曲線流路のそれぞれの長さは、20mm以上であることが好ましい。
【0024】
微小流路が備える変性温度帯に対応する曲線流路及び伸長・アニーリング温度帯に対応する曲線流路のそれぞれは、対応する温度に維持されており、当該温度帯に移動してきた試料液の温度を当該温度帯の温度に変化させる。
【0025】
変性温度帯は、PCRにおけるDNA変性反応に必要な温度に維持されている。変性温度帯の温度は90~100℃程度が好ましく、95℃程度がより好ましい。伸長・アニーリング温度帯は、PCRにおけるDNAのアニーリング反応及び伸長反応のために必要な温度に維持されている。伸長・アニーリング温度帯の温度は40~75℃程度が好ましく、55~65℃程度がより好ましい。
【0026】
変性温度帯及び伸長・アニーリング温度帯のそれぞれは、一定の温度に維持されていることが好ましい。温度の維持は、熱源により実現することができる。熱源は、例えば、微小流路に内蔵されている又は微小流路が接触している。熱源の具体例としては、カートリッジヒーター、フィルムヒーター、ペルチェヒーター等が例示される。
【0027】
本発明の核酸増幅方法において、試料液はプラグ状の形態で微小流路中を移動する。微小流路中を移動する試料液の容量は、特に限定されず、好ましくは5~50μL程度、より好ましくは15~20μL程度とすることができる。
【0028】
本発明の核酸増幅方法における試料液の移動は、送液停止時には大気圧開放される送液用機構により実現される。すなわち、シリンジポンプ等の圧力が逃げないように流路内部を閉鎖系とする必要がある機構を用いるのではなく、送液時であっても開放系を形成するように構成される送液用機構を使用する。このような送液用機構を採用することで、送風を停止させると、流路内部の圧力が瞬時に大気圧に開放され、プラグ状試料液へ作用する圧力が失われるため送液はすぐに停止する。そのため、試料液の位置制御を行うための圧力開放用の複数の弁がなくても、正確な位置制御が可能となる。
【0029】
送液停止時には大気圧開放される送液用機構の例としては、マイクロブロア、ファンを挙げることができる。
【0030】
マイクロブロア(圧電マイクロブロアともいう)とは、空気を吸引及び吐出する公知の装置であり、密閉構造でない(逆止弁を有しない)ことを特徴とする。代表的なマイクロブロアにおいて、圧電素子への電圧印加によりダイヤフラムを屈曲変形させることで、空気の吸引及び吐出を実現する。マイクロブロアとしては、例えば、株式会社村田製作所が製造したものを使用することができる(MZB1001T02,MZB3004T04)。
【0031】
ファンとは、羽根車の回転運動によって送風を行う装置をいう。羽根車の構造上の特性上、流路を閉鎖系としない。
【0032】
上記サイクルを少なくとも1回以上、好ましくは30~50回程度、より好ましくは35~50回程度繰り返して行い、サーマルサイクリングを行う。サイクル数は、鋳型核酸の濃度、標的遺伝子の種類などに応じて適宜設定することができる。
【0033】
試料液を変性温度帯内に保持させる時間及び試料液を伸長・アニーリング温度帯内に保持させる時間のそれぞれは、標的遺伝子領域(遺伝子の種類、領域の長さ等)に応じて適宜設定することができる。例えば、試料液を変性温度帯内に保持させる時間としては、2~10秒程度、試料液を伸長・アニーリング温度帯内に保持させる時間としては、2~60秒程度とすることができる。
【0034】
送液用機構は、例えば接続部を介して、微小流路と接続している。
【0035】
以下、実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、これらの実施例は本発明の範囲を限定するものではない。
【0036】
[実施例]SARS-CoV-2の定量
高速リアルタイムPCR用のPCRチップ(
図1)及びWO2016/006612に記載されたマイクロブロアを送液用機構とするリアルタイムPCR装置を用いて、新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)の標的遺伝子の定量を行った。10,000コピー/μlに調製したSARS-CoV-2のEゲノムRNA遺伝子をテンプレートとし、ネガティブコントロール(NTC)には滅菌水を代わりに混合して高速リアルタイムPCRを実施した。
【0037】
プライマー及びプローブの配列は、標的に対して以下の配列を使用した。E遺伝子に対するフォーワードプライマー配列は、5’- ACAGGTACGTTAATAGTTAATAGCGT-3’ (配列番号1)、リバースプライマー配列は、5’- ATATTGCAGCAGTACGCACACA--3’(配列番号2)、TaqMan(登録商標)プローブ配列は、5’- ACACTAGCCATCCTTACTGCGCTTCG-3’(配列番号3)とした。
【0038】
SARS-CoV-2に対する蛍光プローブには、それぞれCy5標識のTaqMan(登録商標)プローブを利用し、PCR溶液中の最終濃度は各200nMとした。
【0039】
フォワードプライマー並びにリバースプライマーのPCR溶液中の最終濃度は各2μMとした。
DNAポリメラーゼとしては、タカラバイオ社のSpeedSTAR(登録商標) HS DNA polymeraseを最終濃度0.25U/μLにて使用した。
逆転写酵素としては、PrimeScript RT enzyme Mix II を最終濃度2~5U/μLにて使用した。
【0040】
サーマルサイクル条件は、逆転写反応は、42℃で30秒とした。逆転写反応終了後、引き続き、ホットスタートに96℃で10秒加熱後、さらに96℃で5秒と58℃で8秒を50サイクル繰り返す設定とした。
【0041】
高速リアルタイムPCRを用いたSARS-CoV-2の蛍光強度は、
図2に示す通り、逆転写酵素の最終濃度を5U/μLとすることにより阻害された。
一方、フォワードプライマー及びリバースプライマーが、各2μM含有するPCR反応液においては、逆転写酵素が2,3,4U/μLでは高速で感度よいPCRが実施できた。
【配列表】