(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-01
(45)【発行日】2024-11-12
(54)【発明の名称】帯電防止剤組成物、これを含む塩化ビニル系樹脂組成物およびその成形体
(51)【国際特許分類】
C08L 27/06 20060101AFI20241105BHJP
C08K 5/19 20060101ALI20241105BHJP
C08K 5/103 20060101ALI20241105BHJP
C09K 3/16 20060101ALI20241105BHJP
【FI】
C08L27/06
C08K5/19
C08K5/103
C09K3/16 104F
(21)【出願番号】P 2020160194
(22)【出願日】2020-09-24
【審査請求日】2023-09-12
(73)【特許権者】
【識別番号】000000387
【氏名又は名称】株式会社ADEKA
(74)【代理人】
【識別番号】100096714
【氏名又は名称】本多 一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100124121
【氏名又は名称】杉本 由美子
(74)【代理人】
【識別番号】100176566
【氏名又は名称】渡耒 巧
(74)【代理人】
【識別番号】100180253
【氏名又は名称】大田黒 隆
(72)【発明者】
【氏名】加藤 悠志
(72)【発明者】
【氏名】三田村 龍典
(72)【発明者】
【氏名】仙石 忠士
【審査官】林 建二
(56)【参考文献】
【文献】特開2001-342361(JP,A)
【文献】特開2003-192922(JP,A)
【文献】特開2000-344611(JP,A)
【文献】特開平05-186764(JP,A)
【文献】特開平02-255852(JP,A)
【文献】特開2018-188493(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C09K 3/16
C08K 3/00-13/08
C08L 1/00-101/14
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)成分の100質量部に対して、(B)成分を
50~350質量部含有する帯電防止剤組成物であって、
前記(A)成分が、一般式(1)、
で表される過塩素酸第四級アンモニウム塩であって、一般式(1)中、R
1、R
2、およびR
3のうち1つは炭素原子数が5~18のアルキル基であり、他の2つは炭素原子数が1~4のアルキル基であり、R
4は炭素原子数が2~4のアルキレン基であり、nは1~5の整数を表し、
前記(B)成分が、一般式(2)、
で表されるグリコールジアリールエステル化合物であって、一般式(2)中、R
5は水素原
子であり、Aは、炭素原子数が4~9のグリコールの水酸基を除いた残基であ
り、塩化ビニル系樹脂用であることを特徴とする帯電防止剤組成物。
【請求項2】
塩化ビニル系樹脂と請求項1記載の帯電防止剤組成物とを含有することを特徴とする塩化ビニル系樹脂組成物。
【請求項3】
前記帯電防止剤組成物の含有量が、前記塩化ビニル系樹脂100質量部に対して、0.1~10.0質量部である請求項2記載の塩化ビニル系樹脂組成物。
【請求項4】
請求項2または3記載の塩化ビニル系樹脂組成物から得られることを特徴とする成形体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、帯電防止剤組成物、これを含む塩化ビニル系樹脂組成物およびその成形体に関し、詳しくは、塩化ビニル系樹脂に対して、優れた帯電防止効果を付与することができ、さらに耐ブリード性に優れる帯電防止剤組成物、これを含む塩化ビニル系樹脂組成物およびその成形体に関する。
【背景技術】
【0002】
塩化ビニル系樹脂は、難燃性、耐薬品性、機械的安定性、耐熱性、耐候性等の優れた性質を有し、かつ安価であることから、利用価値の高い汎用樹脂材料として広く用いられている。さらに可塑剤を比較的多量に加えた軟質製品あるいは可塑剤を比較的少量加えた半硬質製品として、各種の包装フィルム、容器、農業用フィルム、シート床材、壁材等に広く使用されている。
【0003】
これらの塩化ビニル系樹脂は、電気絶縁性が良好であり、これは電気絶縁性を要求される分野においては好ましい性質であるが、摩擦等により帯電しやすいという問題がある。
【0004】
帯電した塩化ビニル系樹脂は周囲の埃や塵を引き付けるため、樹脂成形品の外観を損ねるという問題が生ずる。また、電子製品の中でも、例えば、コンピューター等の精密機器は、帯電により回路が正常に作動することができなくなる場合がある。さらに、電撃による問題も存在する。樹脂から人体に対して電撃が発生すると、人に不快感を与えるだけでなく、可燃性気体や粉塵のあるところでは、爆発事故を誘引する可能性もある。
【0005】
このような問題を解消するために、従来から、帯電を防止する処理がなされている。最も一般的な帯電防止処理方法は、塩化ビニル系樹脂に帯電防止剤を加える方法である。塩化ビニル系樹脂に配合される帯電防止剤としては、例えば、特許文献1では、過塩素酸の第四級アンモニウム塩が提案されている。また、特許文献2では、エステル系可塑剤を併用した塩化ビニル系樹脂組成物が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開平2-233744号公報
【文献】特開平2-255852号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、特許文献1で提案されているように、過塩素酸の第四級アンモニウム塩を帯電防止剤として塩化ビニル系樹脂に配合した場合、相溶性が悪く、成形体の表面にブリードするという問題があった。また、特許文献2で提案されているように、エステル系可塑剤を併用して配合した場合であっても、その耐ブリード性については十分ではなかった。
【0008】
そこで、本発明の目的は、塩化ビニル系樹脂に対して、優れた帯電防止効果を付与することができ、さらに耐ブリード性に優れる帯電防止剤組成物、これを含む塩化ビニル系樹脂組成物およびその成形体を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意検討した結果、所定の構造の過塩素酸第四級アンモニウム塩と、所定の構造のグリコールジアリールエステル化合物と、を併用することで、上記課題を解消することができることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0010】
すなわち、本発明の帯電防止剤組成物は、(A)成分の100質量部に対して、(B)成分を20~800質量部含有する帯電防止剤組成物であって、
前記(A)成分が、一般式(1)、
で表される過塩素酸第四級アンモニウム塩であって、一般式(1)中、R
1、R
2、およびR
3のうち1つは炭素原子数が5~18のアルキル基であり、他の2つは炭素原子数が1~4のアルキル基であり、R
4は炭素原子数が2~4のアルキレン基であり、nは1~5の整数を表し、
前記(B)成分が、一般式(2)、
で表されるグリコールジアリールエステル化合物であって、一般式(2)中、R
5は水素原子、または炭素原子数が1~4のアルキル基であり、Aは、炭素原子数が4~9のグリコールの水酸基を除いた残基であることを特徴とするものである。
【0011】
本発明の塩化ビニル系樹脂組成物は、塩化ビニル系樹脂と本発明の帯電防止剤組成物とを含有することを特徴とするものである。
【0012】
本発明の塩化ビニル系樹脂組成物においては、前記帯電防止剤組成物の含有量が、前記塩化ビニル系樹脂100質量部に対して、0.1~10.0質量部であることが好ましい。
【0013】
本発明の成形体は、本発明の塩化ビニル系樹脂組成物から得られることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、塩化ビニル系樹脂に対して、優れた帯電防止効果を付与することができ、さらに耐ブリード性に優れる帯電防止剤組成物、これを含む塩化ビニル系樹脂組成物およびその成形体を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の実施形態について詳細に説明する。
本発明の帯電防止剤組成物は、下記(A)成分100質量部に対して、下記(B)成分20~800質量部含有するものである。そして、(A)成分は、下記一般式(1)で表される過塩素酸第四級アンモニウム塩であり、(B)成分は、下記一般式(2)で表されるグリコールジアリールエステル化合物である。
【0016】
【0017】
一般式(1)中、R1、R2、およびR3のうち1つは炭素原子数が5~18のアルキル基であり、他の2つは炭素原子数が1~4のアルキル基であり、R4は炭素原子数が2~4のアルキレン基であり、nは1~5の整数を表す。
【0018】
【0019】
一般式(2)中、R5は水素原子、または炭素原子数が1~4のアルキル基であり、Aは、炭素原子数が4~9のグリコールの水酸基を除いた残基である。
【0020】
まず、(A)成分について説明する。
本発明の帯電防止剤組成物において、(A)成分は、塩化ビニル系樹脂に帯電防止性を付与する成分であり、下記一般式(1)で表される過塩素酸第四級アンモニウム塩である。
【0021】
【0022】
一般式(1)中、R1、R2、およびR3のうち1つは炭素原子数が5~18のアルキル基であり、他の2つは炭素原子数が1~4のアルキル基であり、R4は炭素原子数が2~4のアルキレン基であり、nは1~5の整数を表す。
【0023】
(A)成分の、R1、R2、およびR3に係る炭素原子数が5~18のアルキル基としては、n-ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、tert-ペンチル基、1,2-ジメチルプロピル基、n-ヘキシル基、イソヘキシル基、1,3-ジメチルブチル基、1-イソプロピルプロピル基、1,2-ジメチルブチル基、n-ヘプチル基、2-ヘプチル基、1,4-ジメチルペンチル基、tert-ヘプチル基、2-メチル-1-イソプロピルプロピル基、1-エチル-3-メチルブチル基、n-オクチル基、tert-オクチル基、2-エチルヘキシル基、2-メチルヘキシル基、2-プロピルヘキシル基、n-ノニル基、イソノニル基、n-デシル基、イソデシル基、n-ウンデシル基、イソウンデシル基、n-ドデシル基、イソドデシル基、n-トリデシル基、イソトリデシル基、n-テトラデシル基、イソテトラデシル基、n-ペンタデシル基、イソペンタデシル基、n-ヘキサデシル基、イソヘキサデシル基、n-ヘプタデシル基、イソヘプタデシル基、n-オクタデシル基、イソオクタデシル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロオクチル基、シクロドデシル基等が挙げられる。これらの中でも、帯電防止性と耐ブリード性の点から、好ましくは炭素原子数が6~10のアルキル基である。
【0024】
(A)成分のR1、R2、およびR3に係る、残り2つの炭素原子数が1~4のアルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、sec-ブチル基またはtert-ブチル基等が挙げられるが、帯電防止性と耐ブリード性の点から、好ましくはメチル基である。
【0025】
(A)成分の一般式(1)で表される過塩素酸第四級アンモニウム塩のR4は、炭素原子数が2~4のアルキレン基であり、例えば、エチレン基、プロピレン基、イソプロピレン基、ブチレン基、イソブチレン基等が挙げられるが、帯電防止性と耐ブリード性の点から、好ましくはエチレン基である。
【0026】
(A)成分の一般式(1)で表される過塩素酸第四級アンモニウム塩のnは、1~5の整数であり、帯電防止性と耐ブリード性の点から、好ましくは1である。
【0027】
帯電防止性と耐ブリード性の点から、特に好ましい(A)成分は、下記化合物A-1である。
【0028】
【0029】
本発明の帯電防止剤組成物においては、(A)成分の過塩素酸第四級アンモニウム塩は、1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0030】
次に(B)成分について説明する。
本発明の帯電防止剤組成物において、(B)成分は、耐ブリード性を付与する成分であり、下記一般式(2)で表されるグリコールジアリールエステル化合物である。
【0031】
【0032】
(B)成分の一般式(2)で表されるグリコールジアリールエステル化合物のR5は、水素原子または炭素原子数1~4のアルキル基であり、炭素原子数1~4のアルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、sec-ブチル基またはtert-ブチル基等が挙げられる。帯電防止性と耐ブリード性の点から、好ましくは水素原子である。
【0033】
(B)成分の一般式(2)で表されるグリコールジアリールエステル化合物のAは炭素原子数が4~9のグリコールの水酸基を除いた残基である。炭素原子数4~9のグリコールとしては、例えば、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコールが挙げられ、帯電防止性と耐ブリード性の点から、ジプロピレングリコールが好ましい。すなわち、Aは、帯電防止性と耐ブリード性の点から、ジプロピレングリコールの水酸基を除いた残基であることが好ましい。
【0034】
(B)成分の一般式(2)で表されるグリコールジアリールエステル化合物としては、例えば、ジエチレングリコールジ安息香酸エステル、トリエチレングリコールジ安息香酸エステル、テトラエチレングリコールジ安息香酸エステル、ジプロピレングリコールジ安息香酸エステル、トリプロピレングリコールジ安息香酸エステル、ジエチレングリコールジトルイルエステル、トリエチレングリコールジトルイルエステル、テトラエチレングリコールジトルイルエステル、ジプロピレングリコールジトルイルエステル、トリプロピレングリコールジトルイルエステル等が、好ましい化合物として挙げられ、これらの中でも、帯電防止性と耐ブリード性の点から、ジエチレングリコールジ安息香酸エステル、トリエチレングリコールジ安息香酸エステル、テトラエチレングリコールジ安息香酸エステル、ジプロピレングリコールジ安息香酸エステル、トリプロピレングリコールジ安息香酸エステルがより好ましく、ジプロピレングリコールジ安息香酸エステルが特に好ましい。
【0035】
本発明の帯電防止剤組成物においては、(B)成分の一般式(2)で表されるグリコールジアリールエステル化合物は、1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0036】
(B)成分の一般式(2)で表されるグリコールジアリールエステル化合物は、炭素原子数4~12のグリコールと、安息香酸等のアリールカルボン酸とをエステル化反応させることによって得ることができる。もちろん市販されているものを使用してもよい。
【0037】
本発明の帯電防止剤組成物は、(A)成分の過塩素酸第四級アンモニウム塩の100質量部に対し、(B)成分のグリコールジアリールエステル化合物を20~800質量部含有する。帯電防止性と耐ブリード性の点から、好ましくは、(A)成分100質量部に対して50~350質量部であり、より好ましくは80~200質量部である。20質量部未満だと、耐ブリード性が十分ではなく、800質量部を超えても、効果の向上は小さく、むしろ他の性能に悪影響を与える可能性がある。
【0038】
本発明の帯電防止剤組成物は、塩化ビニル系樹脂に帯電防止性を付与するために配合され、これは塩化ビニル系樹脂組成物として使用される。その配合量は、帯電防止性と耐ブリード性の点から、塩化ビニル系樹脂100質量部に対して、0.1~10.0質量部使用することが好ましく、0.5~7.0質量部がより好ましく、1.0~4.0質量部がさらにより好ましい。0.1質量部未満だと、帯電防止性が不充分な場合があり、10.0質量部を超えても、効果の向上は小さく、むしろ他の性能に悪影響を与える可能性がある。
【0039】
塩化ビニル系樹脂としては、塊状重合、溶液重合、懸濁重合、乳化重合等その重合方法には特に限定されず、例えば、ポリ塩化ビニル、塩素化ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、塩素化ポリエチレン、塩化ビニル-酢酸ビニル共重合体、塩化ビニル-エチレン共重合体、塩化ビニル-プロピレン共重合体、塩化ビニル-スチレン共重合体、塩化ビニル-イソブチレン共重合体、塩化ビニル-塩化ビニリデン共重合体、塩化ビニル-スチレン-無水マレイン酸三元共重合体、塩化ビニル-スチレン-アクリロニリトル共重合体、塩化ビニル-ブタジエン共重合体、塩化ビニル-イソプレン共重合体、塩化ビニル-塩素化プロピレン共重合体、塩化ビニル-塩化ビニリデン-酢酸ビニル三元共重合体、塩化ビニル-マレイン酸エステル共重合体、塩化ビニル-メタクリル酸エステル共重合体、塩化ビニル-アクリロニトリル共重合体、塩化ビニル-各種ビニルエーテル共重合体等の塩化ビニル系樹脂、およびそれら相互のブレンド品或いは他の塩素を含まない合成樹脂、例えば、アクリロニトリル-スチレン共重合体、アクリロニトリル-ブタジエン-スチレン共重合体、エチレン-酢酸ビニル共重合体、エチレン-エチル(メタ)アクリレート共重合体、ポリエステル等とのブレンド品、ブロック共重合体、グラフト共重合体等を挙げることができる。これら塩化ビニル系樹脂は2種以上の混合物でもよく、他の合成樹脂との混合物でもよい。使用される塩化ビニル系樹脂は、帯電防止性と耐ブリード性の点から、ポリ塩化ビニルが好ましい。
【0040】
次に、本発明の塩化ビニル系樹脂組成物についてさらに説明する。
本発明の塩化ビニル系樹脂組成物は、塩化ビニル系樹脂と本発明の帯電防止剤組成物とを含有するものであり、塩化ビニル系樹脂としては、上述のものを用いることができる。本発明の塩化ビニル系樹脂組成物においては、熱安定性の点から、有機酸の亜鉛塩を含有することが好ましい。かかる有機酸の亜鉛塩としては、有機カルボン酸、フェノール類または有機リン酸類等の亜鉛塩が挙げられる。
【0041】
有機カルボン酸としては、例えば、酢酸、プロピオン酸、酪酸、吉草酸、カプロン酸、エナント酸、カプリル酸、ペラルゴン酸、2-エチルヘキシル酸、ネオデカン酸、カプリン酸、ウンデカン酸、イソウンデシル酸、ラウリン酸、イソラウリン酸、トリデカン酸、ミリスチン酸、イソミリスチン酸、パルミチン酸、イソパルミチン酸、イソステアリン酸、ステアリン酸、12-ヒドロキシステアリン酸、ベヘニン酸、モンタン酸、バーサチック酸、安息香酸、モノクロル安息香酸、4-tert-ブチル安息香酸、ジメチルヒドロキシ安息香酸、3,5-ジ第三ブチル-4-ヒドロキシ安息香酸、o-トルイル酸、m-トルイル酸、p-トルイル酸、トルイル酸、ジメチル安息香酸、2,4-ジメチル安息香酸、3,5-ジメチル安息香酸、2,4,6-トリメチル安息香酸、エチル安息香酸、2-エチル安息香酸、3-エチル安息香酸、4-エチル安息香酸、2,4,6-トリエチル安息香酸、4-イソプロピル安息香酸、n-プロピル安息香酸、アミノ安息香酸、N,N-ジメチルアミノ安息香酸、アセトキシ安息香酸、サリチル酸、p-第三オクチルサリチル酸、エライジン酸、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸、ミリストレイン酸、パルミトレイン酸、エレオステアリン酸、エイコセン酸、エイコサジエン酸、エイコサトリエン酸、エイコサテトラエン酸、アラキドン酸、ドコサペンタエン酸、ドコサヘキサエン酸、リシノール酸、チオグリコール酸、メルカプトプロピオン酸、オクチルメルカプトプロピオン酸等の一価カルボン酸;シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、ヒドロキシフタル酸、クロルフタル酸、アミノフタル酸、マレイン酸、フマル酸、シトラコン酸、メタコン酸、イタコン酸、アコニット酸、チオジプロピオン酸等の二価カルボン酸或いはこれらのモノエステルまたはモノアマイド化合物;ブタントリカルボン酸、ブタンテトラカルボン酸、ヘミメリット酸、トリメリット酸、メロファン酸、ピロメリット酸等の三価または四価カルボン酸のジまたはトリエステル化合物が挙げられる。
【0042】
また、フェノール類としては、例えば、第三ブチルフェノール、ノニルフェノール、ジノニルフェノール、シクロヘキシルフェノール、フェニルフェノール、オクチルフェノール、フェノール、クレゾール、キシレノール、n-ブチルフェノール、イソアミルフェノール、エチルフェノール、イソプロピルフェノール、イソオクチルフェノール、2-エチルヘキシルフェノール、第三ノニルフェノール、デシルフェノール、第三オクチルフェノール、イソヘキシルフェノール、オクタデシルフェノール、ジイソブチルフェノール、メチルプロピルフェノール、ジアミルフェノール、メチルイソヘキシルフェノール、メチル第三オクチルフェノール等が挙げられる。
【0043】
また、有機リン酸類としては、例えば、モノまたはジオクチルリン酸、モノまたはジドデシルリン酸、モノまたはジオクタデシルリン酸、モノまたはジ-(ノニルフェニル)リン酸、ホスホン酸ノニルフェニルエステル、ホスホン酸ステアリルエステル等が挙げられる。
【0044】
有機酸の亜鉛塩は、酸性塩、中性塩、塩基性塩或いは塩基性塩の塩基の一部または全部を炭酸で中和した過塩基性錯体であってもよい。
【0045】
有機酸の亜鉛塩は、2種以上の有機酸から構成されていてもよい。例えば、1価の有機酸による亜鉛塩の場合、同一の有機酸がアニオン部位を形成し、カチオン部位を形成する2価の亜鉛と塩を形成していてもよく、異なる1価の有機酸2種がアニオン部位を形成し、カチオン部位を形成する2価の亜鉛と塩を形成していてもよい。
【0046】
亜鉛塩は、熱安定性の点から、安息香酸亜鉛、トルイル酸亜鉛、4-tert-ブチル安息香酸亜鉛、ステアリン酸亜鉛、ラウリン酸亜鉛、バーサチック酸亜鉛、オクチル酸亜鉛、オレイン酸亜鉛、パルミチン亜鉛、ミリスチン亜鉛が好ましい。有機酸の亜鉛塩は、1種類のみ使用しても、2種類以上を併用してもよい。
【0047】
これら有機酸亜鉛塩は、本発明の帯電防止剤組成物中に配合し帯電防止剤組成物として、塩化ビニル系樹脂に配合してもよいし、直接、塩化ビニル系樹脂に配合してもよい。
【0048】
本発明の塩化ビニル系樹脂組成物には、熱安定性の点から、有機酸のバリウム塩、過塩基性炭酸バリウム塩の群から選ばれる1種以上を含有させることが好ましい。
【0049】
まず、有機酸のバリウム塩について説明する。かかる有機酸のバリウム塩としては、有機カルボン酸、フェノール類または有機リン酸類等のバリウム塩が挙げられる。
【0050】
有機カルボン酸としては、例えば、酢酸、プロピオン酸、酪酸、吉草酸、カプロン酸、エナント酸、カプリル酸、ペラルゴン酸、2-エチルヘキシル酸、ネオデカン酸、カプリン酸、ウンデカン酸、イソウンデシル酸、ラウリン酸、イソラウリン酸、トリデカン酸、ミリスチン酸、イソミリスチン酸、パルミチン酸、イソパルミチン酸、イソステアリン酸、ステアリン酸、12-ヒドロキシステアリン酸、ベヘニン酸、モンタン酸、バーサチック酸、安息香酸、モノクロル安息香酸、4-tert-ブチル安息香酸、ジメチルヒドロキシ安息香酸、3,5-ジ第三ブチル-4-ヒドロキシ安息香酸、o-トルイル酸、m-トルイル酸、p-トルイル酸、トルイル酸、ジメチル安息香酸、2,4-ジメチル安息香酸、3,5-ジメチル安息香酸、2,4,6-トリメチル安息香酸、エチル安息香酸、2-エチル安息香酸、3-エチル安息香酸、4-エチル安息香酸、2,4,6-トリエチル安息香酸、4-イソプロピル安息香酸、n-プロピル安息香酸、アミノ安息香酸、N,N-ジメチルアミノ安息香酸、アセトキシ安息香酸、サリチル酸、p-第三オクチルサリチル酸、エライジン酸、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸、ミリストレイン酸、パルミトレイン酸、エレオステアリン酸、エイコセン酸、エイコサジエン酸、エイコサトリエン酸、エイコサテトラエン酸、アラキドン酸、ドコサペンタエン酸、ドコサヘキサエン酸、リシノール酸、チオグリコール酸、メルカプトプロピオン酸、オクチルメルカプトプロピオン酸等の一価カルボン酸;シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、ヒドロキシフタル酸、クロルフタル酸、アミノフタル酸、マレイン酸、フマル酸、シトラコン酸、メタコン酸、イタコン酸、アコニット酸、チオジプロピオン酸等の二価カルボン酸或いはこれらのモノエステルまたはモノアマイド化合物;ブタントリカルボン酸、ブタンテトラカルボン酸、ヘミメリット酸、トリメリット酸、メロファン酸、ピロメリット酸等の三価または四価カルボン酸のジまたはトリエステル化合物が挙げられる。
【0051】
また、フェノール類としては、例えば、第三ブチルフェノール、ノニルフェノール、ジノニルフェノール、シクロヘキシルフェノール、フェニルフェノール、オクチルフェノール、フェノール、クレゾール、キシレノール、n-ブチルフェノール、イソアミルフェノール、エチルフェノール、イソプロピルフェノール、イソオクチルフェノール、2-エチルヘキシルフェノール、第三ノニルフェノール、デシルフェノール、第三オクチルフェノール、イソヘキシルフェノール、オクタデシルフェノール、ジイソブチルフェノール、メチルプロピルフェノール、ジアミルフェノール、メチルイソヘキシルフェノール、メチル第三オクチルフェノール等が挙げられる。
【0052】
また、有機リン酸類としては、例えば、モノまたはジオクチルリン酸、モノまたはジドデシルリン酸、モノまたはジオクタデシルリン酸、モノまたはジ-(ノニルフェニル)リン酸、ホスホン酸ノニルフェニルエステル、ホスホン酸ステアリルエステル等が挙げられる。
【0053】
有機酸のバリウム塩は、2種以上の有機酸から構成されていてもよい。例えば、1価の有機酸によるバリウム塩の場合、同一の有機酸がアニオン部位を形成し、カチオン部位を形成する2価のバリウムと塩を形成していてもよく、異なる1価の有機酸2種がアニオン部位を形成し、カチオン部位を形成する2価のバリウムと塩を形成していてもよい。
【0054】
有機酸のバリウム塩は、1種類のみ使用しても、2種類以上を併用してもよい。また、有機酸のバリウム塩は、酸性塩、中性塩、塩基性塩でもよい。
【0055】
次に過塩基性炭酸バリウム塩について説明する。過塩基性炭酸バリウム塩とは、バリウムの液状過塩基性カルボキシレート/カーボネート錯体である。この錯体は、バリウムのカルボン酸正塩と炭酸バリウムとの単純な混合物とは異なり、これらが何等かのインタラクションにより錯体となっているものであり、高い金属含有量を有しながら、有機溶媒中で均一な液状を示すという特徴を有している。この錯体は、バリウムのカルボン酸正塩、炭酸バリウム、およびバリウムのカルボン酸と炭酸との複合塩を構成成分として構成されており、炭酸バリウムを中心にバリウムのカルボン酸正塩およびバリウムのカルボン酸と炭酸との複合塩がその周辺に存在し、言わばミセルのようなものが形成されることによって、有機溶媒中で均一な液状を示すものである。
【0056】
これら、バリウムの液状過塩基性カルボキシレート/カーボネート錯体は、例えば特開2004-238364号公報に示す製造方法によって製造することができる。
【0057】
また、上記バリウムの液状過塩基性カルボキシレート/カーボネート錯体は、種々の市販されている錯体をそのまま使用することもできる。市販されている錯体の代表的なものとしては、例えば、米国AM STABILZERS社製の「PlastistabTM 2116」(過塩基性バリウムオレート/カーボネート錯体:比重1.42~1.53、Ba=33~36%)、「PlastistabTM 2513」(過塩基性バリウムオレート/カーボネート錯体:比重1.41~1.52、Ba=33~36%)、「PlastistabTM 2508」(過塩基性バリウムオレート/カーボネート錯体:比重1.39~1.51、Ba=33~36%)等が挙げられる。
【0058】
これら過塩基性炭酸バリウム塩は、1種類のみ使用しても、2種類以上を併用してもよい。
【0059】
これら有機酸のバリウム塩、過塩基性炭酸バリウム塩の群から選ばれる1種以上は、本発明の帯電防止剤組成物中に配合し帯電防止剤組成物として、塩化ビニル系樹脂に配合してもよいし、直接、塩化ビニル系樹脂に配合してもよい。
【0060】
本発明の塩化ビニル系樹脂組成物には、可塑剤を含有させることが好ましい。可塑剤の例を挙げると、ジブチルフタレート、ブチルヘキシルフタレート、ジヘプチルフタレート、ジオクチルフタレート、ジイソノニルフタレート、ジイソデシルフタレート、ジラウリルフタレート、ジシクロヘキシルフタレート、ジオクチルテレフタレート等のフタレート系可塑剤;ジオクチルアジペート、ジイソノニルアジペート、ジイソデシルアジペート、ジ(ブチルジグリコール)アジペート等のアジペート系可塑剤;トリフェニルホスフェート、トリクレジルホスフェート、トリキシレニルホスフェート、トリ(イソプロピルフェニル)ホスフェート、トリエチルホスフェート、トリブチルホスフェート、トリオクチルホスフェート、トリ(ブトキシエチル)ホスフェート、オクチルジフェニルホスフェート等のホスフェート系可塑剤;エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、1,2-プロピレングリコール、1,3-プロピレングリコール、1,3-ブタンジオール、1,4-ブタンジオール、1,5-ヘキサンジオール、1,6-ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール等の多価アルコールと、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバチン酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸等の二塩基酸を用い、必要により一価アルコール、モノカルボン酸をストッパーとして使用したポリエステル系可塑剤;その他、テトラヒドロフタル酸系可塑剤、アゼライン酸系可塑剤、セバチン酸系可塑剤、ステアリン酸系可塑剤、クエン酸系可塑剤、トリメリット酸系可塑剤、ピロメリット酸系可塑剤、ビフェニレンポリカルボン酸系可塑剤等が挙げられる。これらの可塑剤は、1種類のみ使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0061】
これら可塑剤は、本発明の帯電防止剤組成物中に配合し帯電防止剤組成物として、塩化ビニル系樹脂に配合してもよいし、直接、塩化ビニル系樹脂に配合してもよい。
【0062】
本発明の塩化ビニル系樹脂組成物には、熱安定性の点から、有機酸のカルシウム塩、過塩基性炭酸カルシウム塩の群から選ばれる1種以上を含有させることができる。
【0063】
かかる有機酸のカルシウム塩としては、有機カルボン酸、フェノール類または有機リン酸類等のカルシウム塩が挙げられる。
【0064】
有機カルボン酸としては、例えば、前述のバリウム塩で例示したものが挙げられる。またフェノール類としては、例えば、前述のバリウム塩で例示したものが挙げられる。また有機リン酸類としては、例えば、前述のバリウム塩で例示したものが挙げられる。
【0065】
有機酸のカルシウム塩は、2種以上の有機酸から構成されていてもよい。例えば、1価の有機酸によるカルシウム塩の場合、同一の有機酸がアニオン部位を形成し、カチオン部位を形成する2価のカルシウムと塩を形成していてもよく、異なる1価の有機酸2種がアニオン部位を形成し、カチオン部位を形成する2価のカルシウムと塩を形成していてもよい。
【0066】
有機酸のカルシウム塩は、1種類のみ使用しても、2種類以上を併用してもよい。また、有機酸のカルシウム塩は、酸性塩、中性塩、塩基性塩でもよい。
【0067】
次に過塩基性炭酸カルシウム塩について説明する。過塩基性炭酸カルシウム塩とは、カルシウムの液状過塩基性カルボキシレート/カーボネート錯体である。この錯体は、カルシウムのカルボン酸正塩と炭酸カルシウムとの単純な混合物とは異なり、これらが何等かのインタラクションにより錯体となっているものであり、高い金属含有量を有しながら、有機溶媒中で均一な液状を示すという特徴を有している。この錯体は、カルシウムのカルボン酸正塩、炭酸カルシウム、およびカルシウムのカルボン酸と炭酸との複合塩を構成成分として構成されており、炭酸カルシウムを中心にカルシウムのカルボン酸正塩およびカルシウムのカルボン酸と炭酸との複合塩がその周辺に存在し、言わばミセルのようなものが形成されることによって、有機溶媒中で均一な液状を示すものである。
【0068】
カルシウムの液状過塩基性カルボキシレート/カーボネート錯体は、前述のバリウムの液状過塩基性液状カルボキシレート/カーボネート錯体と同様の方法で製造することができる。また、種々の市販されている錯体をそのまま使用することもできる。市販されている錯体の代表的なものとしては、例えば、米国AM STABILZERS社製の「PlastistabTM 2265」(過塩基性カルシウムオレート/カーボネート錯体:比重1.04~1.09、Ca=10%)が挙げられる。
【0069】
これら過塩基性炭酸カルシウム塩は、1種類のみ使用しても、2種類以上を併用してもよい。
【0070】
これら有機酸のカルシウム塩、過塩基性炭酸カルシウム塩の群から選ばれる1種以上は、本発明の帯電防止剤組成物中に配合し帯電防止剤組成物として、塩化ビニル系樹脂に配合してもよいし、直接、塩化ビニル系樹脂に配合してもよい。
【0071】
本発明の塩化ビニル系樹脂組成物は、熱安定性の点から、β-ジケトン化合物を含有させることもできる。
【0072】
β-ジケトン化合物としては、例えば、アセチルアセトン、トリアセチルメタン、2,4,6-ヘプタトリオン、ブタノイルアセチルメタン、ラウロイルアセチルメタン、パルミトイルアセチルメタン、ステアロイルベンゾイルメタン、パルミトイルベンゾイルメタン、ジステアロイルメタン、ステアロイルアセチルメタン、フェニルアセチルアセチルメタン、ジシクロヘキシルカルボニルメタン、ベンゾイルホルミルメタン、ベンゾイルアセチルメタン、ジベンゾイルメタン、オクチルベンゾイルメタン、ビス(4-オクチルベンゾイル)メタン、ベンゾイルジアセチルメタン、4-メトキシベンゾイルベンゾイルメタン、ビス(4-カルボキシメチルベンゾイル)メタン、2-カルボキシメチルベンゾイルアセチルオクチルメタン、デヒドロ酢酸、アセト酢酸エチル、シクロヘキサン-1,3-ジオン、3,6-ジメチル-2,4-ジオキシシクロヘキサン-1カルボン酸メチル、2-アセチルシクロヘキサノン、ジメドン、2-ベンゾイルシクロヘキサン等が挙げられ、これらの金属塩も同様に使用することができる。金属塩の例としては、リチウム塩、ナトリウム塩、カリウム塩、カルシウム塩、亜鉛塩、マグネシウム塩、アルミニウム塩が挙げられる。好ましい金属塩の例としては、アセチルアセトンカルシウム塩、アセチルアセトン亜鉛塩等が挙げられる。
【0073】
β-ジケトン化合物は1種類のみ使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。これらのβ-ジケトン化合物の中でも、熱安定性の点から、ジベンゾイルメタン、ステアロイルベンゾイルメタン、アセチルアセトン亜鉛塩が好ましい。
【0074】
これらβ-ジケトン化合物は、本発明の帯電防止剤組成物中に配合し帯電防止剤組成物として、塩化ビニル系樹脂に配合してもよいし、直接、塩化ビニル系樹脂に配合してもよい。
【0075】
本発明の塩化ビニル系樹脂組成物は、熱安定性の点から、亜リン酸エステル化合物の1種以上を含有させることもできる。
【0076】
亜リン酸エステル化合物としては、亜リン酸トリアルキルエステル、亜リン酸ジアルキルエステル、亜リン酸ジアルキルモノアリルエステル、亜リン酸アルキルアリルエステル、亜リン酸モノアルキルジアリルエステル、亜リン酸ジアリルエステル、亜リン酸トリアリルエステル等が挙げられる。本発明の塩化ビニル系樹脂組成物においては、トリエステルでもジエステルでも使用することができるが、熱安定性の点から、トリエステルを使用することが好ましい。また、チオエステルも使用することができる。
【0077】
亜リン酸エステル化合物の例を挙げると、トリフェニルホスファイト、トリクレジルホスファイト、トリス(2,4-ジ第三ブチルフェニル)ホスファイト、トリス(ノニルフェニル)ホスファイト、トリス(ジノニルフェニル)ホスファイト、トリス(モノ-およびジ-混合ノニルフェニル)ホスファイト、トリス(2,4-ジ-第三ブチルフェニル)ホスファイト、ジフェニルホスファイト、2,2’-メチレンビス(4,6-ジ第三ブチルフェニル)オクチルホスファイト、2,2’-メチレンビス(4,6-第三ブチルフェニル)-2-エチルヘキシルホスファイト、2,2’-メチレンビス(4,6-第三ブチルフェニル)-オクタデシルホスファイト、2,2’-エチリデンビス(4,6-ジ第三ブチルフェニル)フルオロホスファイト、オクチルジフェニルホスファイト、ジフェニルデシルホスファイト、ジフェニル(2-エチルヘキシル)ホスファイト、ジ(デシル)モノフェニルホスファイト、ジフェニルトリデシルホスファイト、ジフェニル(C12~C15混合アルキル)ホスファイト、フェニルジイソデシルホスファイト、フェニルビス(イソトリデシル)ホスファイト、トリエチルホスファイト、トリブチルホスファイト、トリス(2-エチルヘキシル)ホスファイト、トリス(デシル)ホスファイト、トリラウリルホスファイト、トリス(トリデシル)ホスファイト、トリオレイルホスファイト、トリステアリルホスファイト、ジエチルホスファイト、ジブチルホスファイト、ジラウリルホスファイト、ビス(2-エチルヘキシル)ホスファイト、ジオレイルホスファイト、トリラウリルトリチオホスファイト、ビス(ネオペンチルグリコール)-1,4-シクロヘキサンジメチルジホスファイト、ビス(2,4-ジ第三ブチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(2,6-ジ第三ブチル-4-メチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(2,4,6-トリ第三ブチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(2,4-ジクミルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ジステアリルペンタエリスリトールジホスファイト、ジ(ノニルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ジ(トリデシル)ペンタエリスリトールジホスファイト、フェニル-4,4’-イソプロピリデンジフェノール・ペンタエリスリトールジホスファイト、テトラ(C12~15混合アルキル)-4,4’-イソプロピリデンジフェニルジホスファイト、水素化-4,4’-イソプロピリデンジフェノールポリホスファイト、ビス(オクチルフェニル)・ビス〔4,4’-n-ブチリデンビス(2-第三ブチル-5-メチルフェノール)〕・1,6-ヘキサンジオール・ジホスファイト、テトラ(トリデシル)-4,4’-n-ブチリデンビス(2-第三ブチル-5-メチルフェノール)ジホスファイト、ヘキサ(トリデシル)-1,1,3-トリス(2-メチル-4-ヒドロキシ-5-第三ブチルフェニル)ブタントリホスファイト、ヘキサ(トリデシル)・1,1,3-トリス(2-メチル-5-第三ブチル-4-ヒドロキシフェニル)ブタン・トリホスファイト、9,10-ジハイドロ-9-オキサ-10-ホスファフェナンスレン-10-オキサイド、2-ブチル-2-エチルプロパンジオール・2,4,6-トリ第三ブチルフェノールモノホスファイト、トリス〔2-第三ブチル-4-(3-第三ブチル-4-ヒドロキシ-5-メチルフェニルチオ)-5-メチルフェニル〕ホスファイト、テトラ(トリデシル)イソプロピリデンジフェノールジホスファイト、テトラキス(2,4-ジ第三ブチルフェニル)ビフェニレンジホスファイト、トリス(2-〔(2,4,8,10-テトラキス第三ブチルジベンゾ〔d,f〕〔1,3,2〕ジオキサホスフェピン-6-イル)オキシ〕エチル)アミン、2-エチル-2-ブチルプロピレングリコールと2,4,6-トリ第三ブチルフェノールのホスファイト等が挙げられる。
【0078】
亜リン酸エステル化合物は、1種類のみ使用しても、2種以上を併用してもよい。これらの亜リン酸エステル化合物の中でも、熱安定性の点から、炭素原子数12~80の亜リン酸エステル化合物を使用することが好ましく、炭素原子数12~46の亜リン酸エステル化合物を使用することがより好ましく、炭素原子数12~36の亜リン酸エステル化合物を使用することが好ましく、炭素原子数18~30の亜リン酸エステル化合物を使用することがより好ましい。
【0079】
これら亜リン酸エステル化合物は、本発明の帯電防止剤組成物中に配合し帯電防止剤組成物として、塩化ビニル系樹脂に配合してもよいし、直接、塩化ビニル系樹脂に配合してもよい。
【0080】
本発明の塩化ビニル系樹脂組成物は、熱安定性の点から、フェノール系酸化防止剤の1種以上を含有させることもできる。
【0081】
フェノール系酸化防止剤としては、例えば、2,6-ジ第三ブチル-p-クレゾール、2,6-ジフェニル-4-オクタデシロキシフェノール、ステアリル(3,5-ジ第三ブチル-4-ヒドロキシフェニル)-プロピオネート、ジステアリル(3,5-ジ第三ブチル-4-ヒドロキシベンジル)ホスホネート、チオジエチレングリコールビス〔(3,5-ジ第三ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕、1,6-ヘキサメチレンビス〔(3,5-ジ第三ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕、1,6-ヘキサメチレンビス〔(3,5-ジ第三ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオン酸アミド〕、4,4’-チオビス(6-第三ブチル-m-クレゾール)、2,2’-メチレンビス(4-メチル-6-第三ブチルフェノール)、2,2’-メチレンビス(4-エチル-6-第三ブチルフェノール)、ビス〔3,3-ビス(4-ヒドロキシ-3-第三ブチルフェニル)ブチリックアシッド〕グリコールエステル、4,4’-ブチリデンビス(6-第三ブチル-m-クレゾール)、2,2’-エチリデンビス(4,6-ジ第三ブチルフェノール)、2,2’-エチリデンビス(4-第二ブチル-6-第三ブチルフェノール)、1,1,3-トリス(2-メチル-4-ヒドロキシ-5-第三ブチルフェニル)ブタン、ビス〔2-第三ブチル-4-メチル-6-(2-ヒドロキシ-3-第三ブチル-5-メチルベンジル)フェニル〕テレフタレート、1,3,5-トリス(2,6-ジメチル-3-ヒドロキシ-4-第三ブチルベンジル)イソシアヌレート、1,3,5-トリス(3,5-ジ第三ブチル-4-ヒドルキシベンジル)イソシアヌレート、1,3,5-トリス(3,5-ジ第三ブチル-4-ヒドロキシベンジル)-2,4,6-トリメチルベンゼン、1,3,5-トリス〔(3,5-ジ第三ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオニルオキシエチル〕イソシアヌレート、テトラキス〔メチレン-3-(3’,5’-ジ第三ブチル-4’-ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕メタン、2-第三ブチル-4-メチル-6-(2-アクリロイルオキシ-3-第三ブチル-5-メチルベンジル)フェノール、3,9-ビス〔1,1-ジメチル-2-{(3-第三ブチル-4-ヒドロキシ-5-メチルフェニル)プロピオニルオキシ}エチル〕-2,4,8,10-テトラオキサスピロ〔5.5〕ウンデカン、トリエチレングリコールビス〔(3-第三ブチル-4-ヒドロキシ-5-メチルフェニル)プロピオネート〕等が挙げられる。
【0082】
フェノール系酸化防止剤は1種類のみ使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。これらフェノール系酸化防止剤は、本発明の帯電防止剤組成物中に配合し帯電防止剤組成物として、塩化ビニル系樹脂に配合してもよいし、直接、塩化ビニル系樹脂に配合してもよい。
【0083】
本発明の塩化ビニル系樹脂組成物は、熱安定性の点から、ヒンダードアミン系光安定剤の1種以上を含有させることもできる。
【0084】
ヒンダードアミン系光安定剤としては、例えば、2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジルステアレート、1,2,2,6,6-ペンタメチル-4-ピペリジルステアレート、2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジルベンゾエート、ビス(2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジル)セバケート、ビス(1,2,2,6,6-ペンタメチル-4-ピペリジル)セバケート、ビス(1-オクトキシ-2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジル)セバケート、テトラキス(2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジル)-1,2,3,4-ブタンテトラカルボキシレート、テトラキス(1,2,2,6,6-ペンタメチル-4-ピペリジル)-1,2,3,4-ブタンテトラカルボキシレート、ビス(2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジル)・ビス(トリデシル)-1,2,3,4-ブタンテトラカルボキシレート、ビス(1,2,2,6,6-ペンタメチル-4-ピペリジル)・ビス(トリデシル)-1,2,3,4-ブタンテトラカルボキシレート、ビス(1,2,2,6,6-ペンタメチル-4-ピペリジル)-2-ブチル-2-(3,5-ジ第三ブチル-4-ヒドロキシベンジル)マロネート、1,2,2,6,6-ペンタメチル-4-ピペリジルメタクリレート、ポリ〔{6-(1,1,3,3-テトラメチルブチル)アミノ-1,3,5-トリアジン-2,4-ジイル}{(2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジル)イミノ}ヘキサメチレン{(2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジル)イミノ}〕、1,2,3,4-ブタンカルボン酸/2,2-ビス(ヒドロキシメチル)-1,3-プロパンジオール/3-ヒドロキシ-2,2-ジメチルプロパナール/1,2,2,6,6-ペンタメチル-4-ピペリジニルエステル重縮合物、ビス(1,2,2,6,6-ペンタメチル-4-ピペリジル)=デカンジオアート/メチル=1,2,2,6,6-ペンタメチル-4-ピペリジル=セバカート混合物、2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジルメタクリレート、1-(2-ヒドロキシエチル)-2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジノール/コハク酸ジエチル重縮合物、1,6-ビス(2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジルアミノ)ヘキサン/ジブロモエタン重縮合物、1,6-ビス(2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジルアミノ)ヘキサン/2,4-ジクロロ-6-モルホリノ-s-トリアジン重縮合物、1,6-ビス(2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジルアミノ)ヘキサン/2,4-ジクロロ-6-第三オクチルアミノ-s-トリアジン重縮合物、1,5,8,12-テトラキス[2,4-ビス(N-ブチル-N-(2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジル)アミノ)-s-トリアジン-6-イル]-1,5,8,12-テトラアザドデカン、1,5,8,12-テトラキス[2,4-ビス(N-ブチル-N-(1,2,2,6,6-ペンタメチル-4-ピペリジル)アミノ)-s-トリアジン-6-イル]-1,5,8,12-テトラアザドデカン、1,6,11-トリス[2,4-ビス(N-ブチル-N-(2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジル)アミノ)-s-トリアジン-6-イルアミノ]ウンデカン、1,6,11-トリス[2,4-ビス(N-ブチル-N-(1,2,2,6,6-ペンタメチル-4-ピペリジル)アミノ)-s-トリアジン-6-イルアミノ]ウンデカン、3,9-ビス〔1,1-ジメチル-2-{トリス(2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジルオキシカルボニル)ブチルカルボニルオキシ}エチル〕-2,4,8,10-テトラオキサスピロ〔5.5〕ウンデカン、3,9-ビス〔1,1-ジメチル-2-{トリス(1,2,2,6,6-ペンタメチル-4-ピペリジルオキシカルボニル)ブチルカルボニルオキシ}エチル〕-2,4,8,10-テトラオキサスピロ〔5.5〕ウンデカン、ビス(1-ウンデシルオキシ-2,2,6,6-テトラメチルピペリジン-4-イル)カーボネート、2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジルヘキサデカノエート、2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジルオクタデカノエート等が挙げられる。
【0085】
ヒンダードアミン系光安定剤は、1種類のみ使用しても、2種類以上を併用してもよい。また、これらヒンダードアミン系光安定剤は、本発明の帯電防止剤組成物中に配合し帯電防止剤組成物として、塩化ビニル系樹脂に配合してもよいし、直接、塩化ビニル系樹脂に配合してもよい。
【0086】
本発明の塩化ビニル系樹脂組成物は、鉛系安定剤、カドミウム系安定剤、スズ系安定剤を含有させることもできるが、毒性や環境に対する悪影響の点から配合しないことが好ましい。
【0087】
本発明の塩化ビニル系樹脂組成物には、ハイドロタルサイト化合物を含有させることもできる。
【0088】
ハイドロタルサイト化合物としては、下記一般式(3)で表される化合物が挙げられる。
【0089】
【0090】
一般式(3)中、x1、x2およびy1は各々下記式、0≦x2/x1<10、2≦x1+x2<20、0≦y1≦2で表される条件を満足する数を示し、mは0または任意の整数を示す。
【0091】
ハイドロタルサイト化合物としては、マグネシウムとアルミニウム、または亜鉛、マグネシウムおよびアルミニウムからなる複塩化合物が好ましく用いられる。また、結晶水を脱水したものであってもよい。また、過塩素酸で処理されたものでもよい。このようなハイドロタルサイト化合物は、天然物であってもよく、また合成品であってもよい。また、ハイドロタルサイト化合物の結晶構造、結晶粒子径等に制限はない。
【0092】
また、ハイドロタルサイト化合物として、その表面をステアリン酸等の高級脂肪酸、オレイン酸アルカリ金属塩等の高級脂肪酸金属塩、ドデシルベンゼンスルホン酸アルカリ金属塩等の有機スルホン酸金属塩、高級脂肪酸アミド、高級脂肪酸エステルまたはワックス等で被覆したものも使用することができる。
【0093】
ハイドロタルサイト系化合物は1種類のみ使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。また、これらハイドロタルサイト化合物は、本発明の帯電防止剤組成物中に配合し帯電防止剤組成物として、塩化ビニル系樹脂に配合してもよいし、直接、塩化ビニル系樹脂に配合してもよい。
【0094】
本発明の塩化ビニル系樹脂組成物は、多価アルコール化合物を含有させることもできる。多価アルコール化合物としては、例えば、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、トリペンタエリスリトール、ポリペンタエリスリトール、ネオペンチルグリコール、トリメチロールプロパン、ジトリメチロールプロパン、1,3,5-トリス(2-ヒドロキシエチル)イソシアヌレート、ポリエチレングリコール、グリセリン、ジグリセリン、マンニトール、マルチトール、ラクチトール、ソルビトール、エリスリトール、キシリトール、キシロース、スクロース(シュクロース)、トレハロース、イノシトール、フルクトース、マルトース、ラクトース等が挙げられる。
【0095】
多価アルコール化合物は1種類のみ使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。また、これら多価アルコール化合物は、本発明の帯電防止剤組成物中に配合し帯電防止剤組成物として、塩化ビニル系樹脂に配合してもよいし、直接、塩化ビニル系樹脂に配合してもよい。
【0096】
本発明の塩化ビニル系樹脂組成物には、充填剤を含有させることもできる。充填剤の例を挙げると、炭酸カルシウム、酸化カルシウム、水酸化カルシウム、水酸化亜鉛、炭酸亜鉛、硫化亜鉛、酸化マグネシウム、水酸化マグネシウム、炭酸マグネシウム、酸化アルミニウム、水酸化アルミニウム、アルミナケイ酸ナトリウム、ハイドロカルマイト、ケイ酸アルミニウム、ケイ酸マグネシウム、ケイ酸カルシウム、ゼオライト、活性白土、タルク、クレイ、ベンガラ、アスベスト、三酸化アンチモン、シリカ、ガラスビーズ、マイカ、セリサイト、ガラスフレーク、アスベスト、ウオラストナイト、チタン酸カリウム、PMF、石膏繊維、ゾノライト、MOS,ホスフェートファイバー、ガラス繊維、炭素繊維、アラミド繊維等が挙げられる。
【0097】
これらの充填剤は、1種類のみ使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。また、これら充填剤は、本発明の帯電防止剤組成物中に配合し帯電防止剤組成物として、塩化ビニル系樹脂に配合してもよいし、直接、塩化ビニル系樹脂に配合してもよい。
【0098】
本発明の塩化ビニル系樹脂組成物は、加工性の点から、滑剤を含有させることもできる。滑剤の例を挙げると、低分子ワックス、パラフィンワックス、ポリエチレンワックス、塩素化炭化水素、フルオロカーボン等の炭化水素系滑剤;カルナバワックス、キャンデリラワックス等の天然ワックス系滑剤;ラウリン酸、ステアリン酸、ベヘニン酸等の高級脂肪酸、またはヒドロキシステアリン酸のようなオキシ脂肪酸等の脂肪酸系滑剤;ステアリルアミド、ラウリルアミド、オレイルアミド等の脂肪族アミド化合物またはメチレンビスステアリルアミド、エチレンビスステアリルアミドのようなアルキレンビス脂肪族アミド等の脂肪族アミド系滑剤;ステアリルステアレート、ブチルステアレート、ジステアリルフタレート等の脂肪酸1価アルコールエステル化合物または、グリセリントリステアレート、ソルビタントリステアレート、ペンタエリスリトールテトラステアレート、ジペンタエリスリトールヘキサステアレート、ポリグリセリンポリリシノレート、硬化ヒマシ油等の脂肪酸多価アルコールエステル化合物、または、ジペンタエリスリトールのアジピン酸・ステアリン酸エステルのような1価脂肪酸および多塩基性有機酸と多価アルコールの複合エステル化合物等の脂肪酸アルコールエステル系滑剤;ステアリルアルコール、ラウリルアルコール、パルミチルアルコール等の脂肪族アルコール系滑剤;金属石鹸類;部分ケン化モンタン酸エステル等のモンタン酸系滑剤;アクリル系滑剤;シリコーンオイル等が挙げられる。
【0099】
これらの滑剤は、1種類のみ使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。また、これら滑剤は、本発明の帯電防止剤組成物中に配合し帯電防止剤組成物として、塩化ビニル系樹脂に配合してもよいし、直接、塩化ビニル系樹脂に配合してもよい。
【0100】
本発明の塩化ビニル系樹脂組成物は、加工性の点から、加工助剤を含有させることもできる。加工助剤の例を挙げると、メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、ブチルメタクリレート等のアルキルメタクリレートの単独重合体または共重合体;上記アルキルメタクリレートと、メチルアクリレート、エチルアクリレート、ブチルアクリレート等のアルキルアクリレートとの共重合体;上記アルキルメタクリレートと、スチレン、α-メチルスチレン、ビニルトルエン等の芳香族ビニル化合物との共重合体;上記アルキルメタクリレートと、アクリロニトリル、メタクリロニトリル等のビニルシアン化合物等との共重合体等を挙げることができる。
【0101】
これらの加工助剤は、1種類のみ使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。また、これら加工助剤は、本発明の帯電防止剤組成物中に配合し帯電防止剤組成物として、塩化ビニル系樹脂に配合してもよいし、直接、塩化ビニル系樹脂に配合してもよい。
【0102】
本発明の塩化ビニル系樹脂組成物には、さらに、通常塩化ビニル系樹脂に用いられる他の添加剤、例えば、硫黄系酸化防止剤、エポキシ化合物、紫外線吸収剤、衝撃改良剤、強化剤、ゼオライト化合物、過塩素酸塩類、有機酸のマグネシウム塩、過塩基性炭酸マグネシウム塩、難燃剤、難燃助剤、顔料、安定化助剤等を配合することもできる。これら添加剤は、本発明の帯電防止剤組成物中に配合し帯電防止剤組成物として、塩化ビニル系樹脂に配合してもよいし、直接、塩化ビニル系樹脂に配合してもよい。
【0103】
硫黄系酸化防止剤の例を挙げると、チオジプロピオン酸のジラウリル、ジミリスチル、ミリスチルステアリル、ジステアリルエステル等のジアルキルチオジプロピオネート類およびペンタエリスリトールテトラ(β-ドデシルメルカプトプロピオネート)等のポリオールのβ-アルキルメルカプトプロピオン酸エステル類等が挙げられる。これらの硫黄系酸化防止剤は、1種類のみ使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0104】
エポキシ化合物の例を挙げると、エポキシ化大豆油、エポキシ化亜麻仁油、エポキシ化桐油、エポキシ化魚油、エポキシ化牛脂油、エポキシ化ひまし油、エポキシ化サフラワー油等のエポキシ化動植物油、エポキシ化トール油脂肪酸オクチル等のエポキシ化トール油脂肪酸エステル、エポキシ化亜麻仁油脂肪酸ブチル等のエポキシ化アマニ油脂肪酸エステル、エポキシ化ステアリン酸メチルエステル、エポキシ化ステアリン酸ブチルエステル、エポキシ化ステアリン酸2-エチルヘキシルエステル、エポキシ化ステアリン酸ステアリルエステル、エポキシ化ポリブタジエン、トリス(エポキシプロピル)イソシアヌレート、3-(2-キセノキシ)-1,2-エポキシプロパン、エポキシ化ポリブタジエン、ビスフェノール-Aジグリシジルエーテル、ビスフェノール型およびノボラック型のエポキシ樹脂、ビニルシクロヘキセンジエポキサイド、ジシクロヘキセンジエポキサイド、ジシクロペンタジエンジエポキサイド、3,4-エポキシシクロヘキシル-6-メチルエポキシシクロヘキサンカルボキシレート、ビス(3,4-エポキシシクロヘキシル)アジペート、3,4-エポキシシクロヘキシルメチル、エポキシシクロヘキサンカルボキシレート等が挙げられる。これらのエポキシ化合物は、1種類のみ使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0105】
紫外線吸収剤の例を挙げると、2,4-ジヒドロキシベンゾフェノン、2-ヒドロキシ-4-メトキシベンゾフェノン、2-ヒドロキシ-4-オクトキシベンゾフェノン、5,5’-メチレンビス(2-ヒドロキシ-4-メトキシベンゾフェノン)等の2-ヒドロキシベンゾフェノン類;2-(2-ヒドロキシ-5-メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2-(2-ヒドロキシ-5-第三オクチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2-(2-ヒドロキシ-3,5-ジ第三ブチルフェニル)-5-クロロベンゾトリアゾール、2-(2-ヒドロキシ-3-第三ブチル-5-メチルフェニル)-5-クロロベンゾトリアゾール、2-(2-ヒドロキシ-3,5-ジクミルフェニル)ベンゾトリアゾール、2,2’-メチレンビス(4-第三オクチル-6-ベンゾトリアゾリル)フェノール、2-(2-ヒドロキシ-3-第三ブチル-5-カルボキシフェニル)ベンゾトリアゾールのポリエチレングリコールエステル等の2-(2-ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール類;フェニルサリシレート、レゾルシノールモノベンゾエート、2,4-ジ第三ブチルフェニル-3,5-ジ第三ブチル-4-ヒドロキシベンゾエート、2,4-ジ第三アミルフェニル-3,5-ジ第三ブチル-4-ヒドロキシベンゾエート、ヘキサデシル-3,5-ジ第三ブチル-4-ヒドロキシベンゾエート等のベンゾエート類;2-エチル-2’-エトキシオキザニリド、2-エトキシ-4’-ドデシルオキザニリド等の置換オキザニリド類;エチル-α-シアノ-β,β-ジフェニルアクリレート、メチル-2-シアノ-3-メチル-3-(p-メトキシフェニル)アクリレート等のシアノアクリレート類;2-(2-ヒドロキシ-4-オクトキシフェニル)-4,6-ビス(2,4-ジ第三ブチルフェニル)-s-トリアジン、2-(2-ヒドロキシ-4-メトキシフェニル)-4,6-ジフェニル-s-トリアジン、2-(2-ヒドロキシ-4-プロポキシ-5-メチルフェニル)-4,6-ビス(2,4-ジ第三ブチルフェニル)-s-トリアジン等のトリアリールトリアジン類等が挙げられる。これらの紫外線吸収剤は、1種類のみ使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0106】
衝撃改良剤の例を挙げると、ポリブタジエン、ポリイソプレン、ポリクロロプレン、フッ素ゴム、スチレン-ブタジエン系共重合体ゴム、メタクリル酸メチル-ブタジエン-スチレン系共重合体、メタクリル酸メチル-ブタジエン-スチレン系グラフト共重合体、アクリロニトリル-スチレン-ブタジエン系共重合体ゴム、アクリロニトリル-スチレン-ブタジエン系グラフト共重合体、スチレン-ブタジエン-スチレンブロック共重合体ゴム、スチレン-イソプレン-スチレン共重合体ゴム、スチレン-エチレン-ブチレン-スチレン共重合体ゴム、エチレン-プロピレン共重合体ゴム、エチレン-プロピレン-ジエン共重合体ゴム(EPDM)、シリコーン含有アクリル系ゴム、シリコーン/アクリル複合ゴム系グラフト共重合体、シリコーン系ゴム等を挙げることができる。なお、上記のエチレン-プロピレン-ジエン共重合体ゴム(EPDM)のジエンとしては、1,4-ヘキサンジエン、ジシクロペンタジエン、メチレンノルボルネン、エチリデンノルボルネン、プロペニルノルボルネン等を挙げることができる。これらの衝撃改良剤は、1種類のみ使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0107】
強化剤は、通常合成樹脂の強化に用いられる繊維状、板状、粒状、粉末状のものを用いることができる。具体的には、ガラス繊維、アスベスト繊維、炭素繊維、グラファイト繊維、金属繊維、チタン酸カリウムウイスカー、ホウ酸アルミニウムウイスカー、マグネシウム系ウイスカー、珪素系ウイスカー、ワラステナイト、セピオライト、アスベスト、スラグ繊維、ゾノライト、エレスタダイト、石膏繊維、シリカ繊維、シリカ・アルミナ繊維、ジルコニア繊維、窒化硼素繊維、窒化硅素繊維および硼素繊維等の無機繊維状強化材、ポリエステル繊維、ナイロン繊維、アクリル繊維、再生セルロース繊維、アセテート繊維、ケナフ、ラミー、木綿、ジュート、麻、サイザル、亜麻、リネン、絹、マニラ麻、さとうきび、木材パルプ、紙屑、古紙およびウール等の有機繊維状強化剤、ガラスフレーク、非膨潤性雲母、グラファイト、金属箔、セラミックビーズ、クレー、マイカ、セリサイト、ゼオライト、ベントナイト、ドロマイト、カオリン、微粉ケイ酸、長石粉、チタン酸カリウム、シラスバルーン、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、硫酸バリウム、酸化カルシウム、酸化アルミニウム、酸化チタン、ケイ酸アルミニウム、酸化ケイ素、石膏、ノバキュライト、ドーソナイトおよび白土等の板状や粒状の強化剤が挙げられる。これらの強化剤は、エチレン/酢酸ビニル共重合体等の熱可塑性樹脂や、エポキシ樹脂等の熱硬化性樹脂で被覆または集束処理されていてもよく、アミノシランやエポキシシラン等のカップリング剤等で処理されていてもよい。これらの強化剤は、1種類のみ使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0108】
ゼオライト化合物は、独特の三次元のゼオライト結晶構造を有するアルカリまたはアルカリ土類金属のアルミノケイ酸塩であり、その代表例としては、A型、X型、Y型およびP型ゼオライト、モノデナイト、アナルサイト、ソーダライト族アルミノケイ酸塩、クリノブチロライト、エリオナイトおよびチャバサイト等をあげることができ、これらのゼオライト化合物の結晶水(いわゆるゼオライト水)を有する含水物または結晶水を除去した無水物のいずれでもよく、またその粒径が0.1~50μmのものを用いることができ、特に、0.5~10μmのものが好ましい。これらのゼオライト化合物は、1種類のみ使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0109】
過塩素酸塩類の例を挙げると、過塩素酸金属塩、過塩素酸処理珪酸塩等が挙げられる。これらの金属塩を構成する金属としては、リチウム、ナトリウム、カリウム、カルシウム、マグネシウム、ストロンチウム、バリウム、亜鉛、カドミウム、鉛、アルミニウム等が例示できる。過塩素酸金属塩は、無水物でも含水塩でもよく、また、ブチルジグリコール、ブチルジグリコールアジペート等のアルコール系およびエステル系の溶剤に溶かしたものおよびその脱水物でもよい。これらの過塩素酸塩類は、1種類のみ使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0110】
有機酸のマグネシウム塩としては、有機カルボン酸、フェノール類または有機リン酸類等のマグネシウム塩が挙げられる。
【0111】
有機カルボン酸としては、例えば、有機酸の亜鉛塩で例示したものが挙げられる。またフェノール類としては、例えば、有機酸の亜鉛塩で例示したものが挙げられる。また有機リン酸類としては、例えば、有機酸の亜鉛塩で例示したものが挙げられる。有機酸のマグネシウム塩は、2種以上の有機酸から構成されていてもよい。例えば、1価の有機酸によるマグネシウム塩の場合、同一の有機酸がアニオン部位を形成し、カチオン部位を形成する2価のマグネシウムと塩を形成していてもよく、異なる1価の有機酸2種がアニオン部位を形成し、カチオン部位を形成する2価のマグネシウムと塩を形成していてもよい。有機酸のマグネシウム塩は、1種類のみ使用しても、2種類以上を併用してもよい。また、有機酸のマグネシウム塩は、酸性塩、中性塩、塩基性塩でもよい。
【0112】
過塩基性炭酸マグネシウム塩とは、マグネシウムの液状過塩基性カルボキシレート/カーボネート錯体である。この錯体は、マグネシウムとカルボン酸正塩と炭酸マグネシウムとの単純な混合物とは異なり、これらが何等かのインタラクションにより錯体となっているものであり、高い金属含有量を有しながら、有機溶媒中で均一な液状を示すという特徴を有している。この錯体は、マグネシウムのカルボン酸正塩、炭酸マグネシウム、およびマグネシウムのカルボン酸と炭酸との複合塩を構成成分として構成されており、炭酸マグネシウムを中心にマグネシウムのカルボン酸正塩およびマグネシウムのカルボン酸と炭酸との複合塩がその周辺に存在し、言わばミセルのようなものが形成されることによって、有機溶媒中で均一な液状を示すものである。
【0113】
マグネシウムの液状過塩基性カルボキシレート/カーボネート錯体は、前述のバリウムの液状過塩基性液状カルボキシレート/カーボネート錯体と同様の方法で製造することができる。また、市販されている錯体をそのまま使用することもできる。これら過塩基性炭酸マグネシウム塩は、1種類のみ使用しても、2種類以上を併用してもよい。
【0114】
難燃剤および難燃助剤の例としては、トリアジン環含有化合物、金属水酸化物、その他無機リン、ハロゲン系難燃剤、シリコン系難燃剤、リン酸エステル系難燃剤、縮合リン酸エステル系難燃剤、イントメッセント系難燃剤、三酸化アンチモン等の酸化アンチモン、その他の無機系難燃助剤、有機系難燃助剤等が挙げられる。
【0115】
トリアジン環含有化合物としては、例えば、メラミン、アンメリン、ベンズグアナミン、アセトグアナミン、フタロジグアナミン、メラミンシアヌレート、ピロリン酸メラミン、ブチレンジグアナミン、ノルボルネンジグアナミン、メチレンジグアナミン、エチレンジメラミン、トリメチレンジメラミン、テトラメチレンジメラミン、ヘキサメチレンジメラミン、1,3-ヘキシレンジメラミン等が挙げられる。
【0116】
金属水酸化物としては、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム、水酸化カルシウム、水酸化バリウム、水酸化亜鉛、キスマー5A(水酸化マグネシウム:協和化学工業(株)製)等が挙げられる。
【0117】
リン酸エステル系難燃剤の例としては、例えば、トリメチルホスフェート、トリエチルホスフェート、トリブチルホスフェート、トリブトキシエチルホスフェート、トリスクロロエチルホスフェート、トリスジクロロプロピルホスフェート、トリフェニルホスフェート、トリクレジルホスフェート、クレジルジフェニルホスフェート、トリキシレニルホスフェート、オクチルジフェニルホスフェート、キシレニルジフェニルホスフェート、トリスイソプロピルフェニルホスフェート、2-エチルヘキシルジフェニルホスフェート、t-ブチルフェニルジフェニルホスフェート、ビス-(t-ブチルフェニル)フェニルホスフェート、トリス-(t-ブチルフェニル)ホスフェート、イソプロピルフェニルジフェニルホスフェート、ビス-(イソプロピルフェニル)ジフェニルホスフェート、トリス-(イソプロピルフェニル)ホスフェート等が挙げられる。
【0118】
縮合リン酸エステル系難燃剤の例としては、1,3-フェニレンビス(ジフェニルホスフェート)、1,3-フェニレンビス(ジキシレニルホスフェート)、ビスフェノールAビス(ジフェニルホスフェート)等が挙げられ、イントメッセント系難燃剤としては、ポリリン酸アンモニウム、ポリリン酸メラミン、ポリリン酸ピペラジン、ピロリン酸アンモニウム、ピロリン酸メラミン、ピロリン酸ピペラジン等の(ポリ)リン酸のアンモニウム塩やアミン塩が挙げられる。
【0119】
その他の無機系難燃助剤としては、例えば、酸化チタン、酸化アルミニウム、酸化マグネシウム、タルク等の無機化合物、およびその表面処理品が挙げられ、例えば、TIPAQUE R-680(酸化チタン:石原産業(株)製)、キョーワマグ150(酸化マグネシウム:協和化学工業(株)製)、等の種々の市販品を用いることができる。これらの難燃剤および難燃助剤は、1種類のみ使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0120】
顔料としては、例えば、二酸化チタン等の白色顔料、ウルトラマリンブルー、フタロシアニンブルー等の青色顔料が挙げられる。
【0121】
安定化助剤としては、例えば、ジフェニルチオ尿素、アニリノジチオトリアジン、メラミン、安息香酸、ケイヒ酸、p-第三ブチル安息香酸等が用いられる。
【0122】
さらに必要に応じて、本発明の塩化ビニル系樹脂組成物には、通常塩化ビニル系樹脂に使用される添加剤、例えば、架橋剤、(A)成分以外の帯電防止剤、防曇剤、プレートアウト防止剤、表面処理剤、蛍光剤、防黴剤、殺菌剤、金属不活性剤、離型剤等を、本発明の効果を損なわない範囲で配合することができる。これらの任意成分は、1種類のみ使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。これら添加剤は、本発明の帯電防止剤組成物中に配合し帯電防止剤組成物として、塩化ビニル系樹脂に配合してもよいし、直接、塩化ビニル系樹脂に配合してもよい。
【0123】
本発明の塩化ビニル系樹脂組成物は、本発明の帯電防止剤組成物、塩化ビニル系樹脂および必要に応じて他の成分を、例えばモルタルミキサー、ヘンシェルミキサー、バンバリーミキサー、リボンブレンダー等の攪拌機により攪拌混合を行い、塩化ビニル系樹脂組成物の混合粉とすることができる。
【0124】
また、本発明の帯電防止剤組成物、塩化ビニル系樹脂および必要に応じて他の成分を、例えばコニカル二軸押出機、パラレル二軸押出機、単軸押出機、コニーダー型混練機、ロール混練機等の混練機により溶融成形することによりペレット状の塩化ビニル系樹脂組成物を得ることもできる。
【0125】
また、本発明の帯電防止剤組成物、塩化ビニル系ペースト樹脂および必要に応じて他の成分を、例えばポニーミキサー、バタフライミキサー、プラネタリミキサー、リボンブレンダー、ニーダー、ディゾルバー、二軸ミキサー、ヘンシェルミキサー、三本ロールミル等の混合機により均一に混合し、必要に応じて減圧下で脱泡処理し、ペースト状の塩化ビニル系樹脂組成物を得ることもできる。
【0126】
次に本発明の成形体について説明する。
本発明の塩化ビニル系樹脂組成物から得られる成形体は、本発明に係る塩化ビニル系樹脂組成物(配合粉状やペレット状)を、真空成型、圧縮成形、押出成形、射出成形、カレンダー成形、プレス成形、ブロー成形、粉体成形等の従来公知の方法を用いて溶融成形加工することにより、所望の形状に成形し得ることができる。
【0127】
一方、ペースト状の塩化ビニル系樹脂組成物は、スプレッド成形、ディッピング成形、グラビア成形、スラッシュ成形、スクリーン加工等の従来公知の方法を用いて成形加工することにより、所望の形状に成形することができる。
【0128】
成形体の形状としては、特に限定されないが、例えば、ロッド状、シート状、フィルム状、板状、円筒状、円形、楕円形、例えば星形、多角形形状等が挙げられる。
【0129】
本発明の塩化ビニル系樹脂組成物およびそれから得られる成形体は、電気・電子・通信、農林水産、鉱業、建設、食品、繊維、衣類、医療、石炭、石油、ゴム、皮革、自動車、精密機器、木材、建材、土木、家具、印刷、楽器等の幅広い産業分野に使用できる。
【0130】
より具体的には、本発明の塩化ビニル系樹脂組成物およびその成形体は、プリンター、パソコン、ワープロ、キーボード、PDA(小型情報端末機)、電話機、複写機、ファクシミリ、ECR(電子式金銭登録機)、電卓、電子手帳、カード、ホルダー、文具等の事務、OA機器、洗濯機、冷蔵庫、掃除機、電子レンジ、照明器具、ゲーム機、アイロン、コタツ等の家電機器、TV、VTR、ビデオカメラ、ラジカセ、テープレコーダー、ミニディスク、CDプレーヤー、スピーカー、液晶ディスプレー等のAV機器、コネクター、リレー、コンデンサー、スイッチ、プリント基板、コイルボビン、半導体封止材料、LED封止材料、電線、ケーブル、トランス、偏向ヨーク、分電盤、時計等の電気・電子部品および通信機器、自動車用内外装材、製版用フィルム、粘着フィルム、ボトル、食品用容器、食品包装用フィルム、製薬・医薬用ラップフィルム、製品包装フィルム、農業用フィルム、農業用シート、温室用フィルム等の用途に用いられる。
【0131】
さらに、本発明の塩化ビニル系樹脂組成物およびその成形体は、座席(詰物、表地等)、ベルト、天井張り、コンパーチブルトップ、アームレスト、ドアトリム、リアパッケージトレイ、カーペット、マット、サンバイザー、ホイルカバー、マットレスカバー、エアバック、絶縁材、吊り手、吊り手帯、電線被覆材、電気絶縁材、塗料、コーティング材、上張り材、床材、隅壁、カーペット、壁紙、壁装材、外装材、内装材、屋根材、デッキ材、壁材、柱材、敷板、塀の材料、骨組および繰形、窓およびドア形材、こけら板、羽目、テラス、バルコニー、防音板、断熱板、窓材等の自動車、車両、船舶、航空機、建物、住宅および建築用材料や土木材料、衣料、カーテン、シーツ、不織布、合板、合繊板、絨毯、玄関マット、間仕切りカーテン、シート、バケツ、ホース、粉体輸送ホース、容器、眼鏡、鞄、ケース、ゴーグル、スキー、ラケット、テント、楽器等の生活用品、スポーツ用品等の各種用途に使用することができる。
【実施例】
【0132】
以下、本発明を実施例により、具体的に説明する。ただし、本発明は以下の実施例により何ら制限されるものではない。
【0133】
〔帯電防止剤組成物の製造:帯電防止剤組成物1~3、比較帯電防止剤組成物1~7〕
表1、2に示す処方で各種成分を配合し、本発明の帯電防止剤組成物1~3と比較帯電防止剤組成物1~7を製造した。なお、本発明の帯電防止剤組成物の(A)成分は下記化合物A-1を、(B)成分は、ジプロピレングリコールジ安息香酸エステルを使用した。
【0134】
【0135】
なお、比較帯電防止剤組成物1~6では、(B)成分の替わりの比較エステル化合物として、ヘプタエチレングリコールジ安息香酸エステルと、ブチルジグリコールアジペートを使用した。また、比較帯電防止剤組成物7では(A)成分のみを配合した。
【0136】
【0137】
【0138】
〔塩化ビニル系樹脂組成物の製造および評価:実施例1~5、比較例1~11〕
塩化ビニル樹脂(信越化学工業(株)製、TK-1300(平均重合度1300))100質量部に、帯電防止剤組成物1~3を表3記載の配合量を配合した。さらに、Ba/Zn系安定剤(株式会社ADEKA製AC-255)を2質量部、可塑剤として、フタル酸ジイソノニルを50質量部配合し、それらを混合して、塩化ビニル系樹脂組成物を製造した。
【0139】
得られた塩化ビニル系樹脂組成物を、170℃、30rpmでロール加工したのち、電気プレスを用いて12cm四方、1mm厚の試験用シートを作製した。得られたシートを用いて下記試験方法により、帯電防止性、耐ブリード性を評価した。評価結果を表3に併記する。
【0140】
さらに、表4、5の配合量に基づいて、比較帯電防止剤組成物1~7を用いて実施例と同様にして、比較例1~11の塩化ビニル系樹脂組成物を調整し、実施例と同様にして、シートを作製し試験評価した。評価結果を表4、5に併記する。
【0141】
<表面抵抗率(SR値)測定方法>
得られたシートを、成形加工後直ちに、温度25℃、湿度50%RHの条件下に保存し、成形加工の1日保存後に、同雰囲気下で、アドバンテスト社製のR8340抵抗計を用いて、印加電圧100V、印加時間1分の条件で、表面抵抗率(Ω/□)を測定した。測定は5枚の試験片で1枚あたり5点について行い、その平均値を求めた。
【0142】
<体積抵抗率(VR値)測定方法>
得られたシートを、成形加工後直ちに、温度25℃、湿度50%RHの条件下に保存し、成形加工の1日保存後に、同雰囲気下で、アドバンテスト社製のR8340抵抗計を用いて、印加電圧100V、印加時間1分の条件で、体積抵抗率(Ω・cm)を測定した。測定は5枚の5枚の試験片で1枚あたり5点について行い、その平均値を求めた。
【0143】
<耐ブリード性試験>
得られたシートを、温度40℃、湿度80%RHの条件下に30日間静置した後、シートの表面状態を目視により観察した。ブリード現象が発生しない場合を○、発生した場合を×として評価した。
【0144】
【0145】
【0146】
【0147】
表3~5に示す結果から、本発明の帯電防止剤組成物は、塩化ビニル系樹脂に対して、優れた帯電防止効果を付与することができ、さらに耐ブリード性に優れていることが明らかである。