(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-01
(45)【発行日】2024-11-12
(54)【発明の名称】全固体リチウムイオン電池用正極活物質、全固体リチウムイオン電池用正極、全固体リチウムイオン電池及び全固体リチウムイオン電池用正極活物質の製造方法
(51)【国際特許分類】
H01M 4/525 20100101AFI20241105BHJP
H01M 4/505 20100101ALI20241105BHJP
H01M 4/36 20060101ALI20241105BHJP
H01M 10/052 20100101ALI20241105BHJP
H01M 10/0562 20100101ALI20241105BHJP
C01G 53/00 20060101ALI20241105BHJP
【FI】
H01M4/525
H01M4/505
H01M4/36 C
H01M10/052
H01M10/0562
C01G53/00 A
(21)【出願番号】P 2021047832
(22)【出願日】2021-03-22
【審査請求日】2023-08-16
(73)【特許権者】
【識別番号】502362758
【氏名又は名称】JX金属株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000523
【氏名又は名称】アクシス国際弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】田村 友哉
【審査官】川口 陽己
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2019/065254(WO,A1)
【文献】特開2020-047383(JP,A)
【文献】特開2015-201252(JP,A)
【文献】国際公開第2012/157046(WO,A1)
【文献】特開2020-064799(JP,A)
【文献】特開2017-084674(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 4/00-4/62
H01M 10/05-10/0587
C01G 53/00-53/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
コア正極活物質粒子と被覆層とを含む全固体リチウムイオン電池用正極活物質であり、
前記コア正極活物質粒子は下記式(1)に示す組成で表され、
Li
aNi
bCo
cMn
dO
e (1)
(前記式(1)中、1.0≦a≦1.05、0.8≦b≦0.9、1.8≦e≦2.2、及び、b+c+d=1である。)
前記被覆層は、LiとNbとの酸化物であり、
前記正極活物質の比表面積X(m
2/g)と、前記正極活物質におけるNb含有量Y(質量%)とが、下記式(2)の関係を満たす、全固体リチウムイオン電池用正極活物質。
0.65≦Y/X≦1.20 (2)
【請求項2】
前記全固体リチウムイオン電池用正極活物質の50%累積体積粒度D50が3~7μmである、請求項1に記載の全固体リチウムイオン電池用正極活物質。
【請求項3】
前記被覆層が、LiNbO
3を含む、請求項1または2に記載の全固体リチウムイオン電池用正極活物質。
【請求項4】
請求項1~3のいずれか一項に記載の全固体リチウムイオン電池用正極活物質を含む、全固体リチウムイオン電池用正極。
【請求項5】
請求項4に記載の全固体リチウムイオン電池用正極で構成された正極層と、負極層と、固体電解質層と、を含む、全固体リチウムイオン電池。
【請求項6】
下記式(1)に示す組成で表されたコア正極活物質粒子を準備する工程と、
Li
aNi
bCo
cMn
dO
e (1)
(前記式(1)中、1.0≦a≦1.05、0.8≦b≦0.9、1.8≦e≦2.2、及び、b+c+d=1である。)
前記コア正極活物質粒子の表面に、LiとNbとを含むアルコキシド溶液を用いて、転動流動層装置によって、LiとNbとの酸化物からなる被覆層を形成する工程と、
を含む、
請求項1~3のいずれか一項に記載の全固体リチウムイオン電池用正極活物質の製造方法。
【請求項7】
前記アルコキシド溶液が、(1)溶質のリチウム源としてメトキシリチウム、エトキシリチウム、及び、イソプロポキシリチウムのいずれか一種、(2)ニオブ源としてペンタメトキシニオブ、ペンタエトキシニオブ、ペンタイソプロポキシニオブのいずれか一種、及び、(3)溶媒としてエタノール、メタノール、イソプロパノールのいずれか一種、を含む溶液である、請求項6に記載の全固体リチウムイオン電池用正極活物質の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、全固体リチウムイオン電池用正極活物質、全固体リチウムイオン電池用正極、全固体リチウムイオン電池及び全固体リチウムイオン電池用正極活物質の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年におけるパソコン、ビデオカメラ、及び携帯電話等の情報関連機器や通信機器等の急速な普及に伴い、その電源として利用される電池の開発が重要視されている。該電池の中でも、エネルギー密度が高いという観点から、リチウムイオン電池が注目を浴びている。また、車載用等の動力源やロードレベリング用といった大型用途におけるリチウム二次電池についても、エネルギー密度や電池特性の向上が求められている。
【0003】
ただ、リチウムイオン電池の場合は、電解液は有機化合物が大半であり、たとえ難燃性の化合物を用いたとしても火災に至る危険性が全く無くなるとは言いきれない。こうした液系リチウムイオン電池の代替候補として、電解質を固体とした全固体リチウムイオン電池が近年注目を集めている。その中でも、固体電解質としてLi2S-P2S5などの硫化物やそれにハロゲン化リチウムを添加した全固体リチウムイオン電池が主流となりつつある。
【0004】
硫化物系の固体電解質を用いる全固体リチウムイオン電池では、正極活物質-固体電解質間の反応により、高抵抗層が形成され、出力が低下する問題がある。この高抵抗層の形成を抑制する手段として、正極活物質の表面をLi複合酸化物で被覆する方法が知られている。正極活物質の表面を被覆するためのLi複合酸化物として代表的なものは、高いイオン伝導率を示すLiNbO3である。
【0005】
特許文献1には、酸化物正極活物質と、酸化物正極活物質の表面上に形成されたニオブ酸リチウム系化合物からなるコート部とを有する正極活物質材料と、硫化物固体電解質材料を含有する固体電解質層と、を有する全固体電池が開示されている。当該酸化物正極活物質はLiNiO2が用いられており、酸化物正極活物質にアルコキシド溶液でLiNbO3を被覆している。
【0006】
特許文献2には、活物質と、該活物質の表面に付着させたニオブ酸リチウムとを有し、且つ、BET比表面積S[m2/g]が、0.93より大きく、且つ、1.44未満である、活物質複合粉体が開示されている。
【0007】
特許文献3には、電解質としてリチウムイオン伝導性固体電解質を用いた全固体リチウム電池において、リチウムイオン伝導性固体電解質が硫化物を主体としたものであり、かつ正極活物質の表面がリチウムイオン伝導性酸化物で被覆されていることを特徴とする全固体リチウム電池が開示されている。当該正極活物質のコア粒子としてはLiCoOが用いられており、コア粒子にアルコキシド溶液でLiNbO3を被覆している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【文献】特開2010-225309号公報
【文献】特開2015-56307号公報
【文献】特許第4982866号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
特許文献1~3では、正極活物質のコア粒子として、LiCoO、モル比1:1:1のNiCoMn、または、LiNiO2といった材料が用いられている。これら文献には、3元系(Li(Ni、Co、Mn)O2)の正極活物質でNiの比率が80mol%を超える、いわゆるハイニッケル品を製造する技術については記載されていない。
【0010】
しかしながら、Niの比率が80モル%以上のいわゆるハイニッケル組成を有する、NiCoMn系正極活物質において、LiNbO3等のLiとNbとの酸化物を被覆すると、抵抗が高くなってしまうという問題がある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は、上記のような課題を解決するためになされたものであり、全固体リチウムイオン電池用正極活物質であって、Niの比率が80モル%以上のいわゆるハイニッケル組成を有する、低抵抗のNiCoMn系正極活物質を提供することを目的とする。また、本発明は、当該全固体リチウムイオン電池用正極活物質を用いた全固体リチウムイオン電池用正極、全固体リチウムイオン電池、及び、全固体リチウムイオン電池用正極活物質の製造方法を提供することを別の目的とする。
【0012】
上記知見を基礎にして完成した本発明は以下の1~7で規定される。
1.コア正極活物質粒子と被覆層とを含む全固体リチウムイオン電池用正極活物質であり、
前記コア正極活物質粒子は下記式(1)に示す組成で表され、
LiaNibCocMndOe (1)
(前記式(1)中、1.0≦a≦1.05、0.8≦b≦0.9、1.8≦e≦2.2、及び、b+c+d=1である。)
前記被覆層は、LiとNbとの酸化物であり、
前記正極活物質の比表面積X(m2/g)と、前記正極活物質におけるNb含有量Y(質量%)とが、下記式(2)の関係を満たす、全固体リチウムイオン電池用正極活物質。
0.65≦Y/X≦1.20 (2)
2.前記全固体リチウムイオン電池用正極活物質の50%累積体積粒度D50が3~7μmである、前記1に記載の全固体リチウムイオン電池用正極活物質。
3.前記被覆層が、LiNbO3を含む、前記1または2に記載の全固体リチウムイオン電池用正極活物質。
4.前記1~3のいずれかに記載の全固体リチウムイオン電池用正極活物質を含む、全固体リチウムイオン電池用正極。
5.前記4に記載の全固体リチウムイオン電池用正極で構成された正極層と、負極層と、固体電解質層と、を含む、全固体リチウムイオン電池。
6.下記式(1)に示す組成で表されたコア正極活物質粒子を準備する工程と、
LiaNibCocMndOe (1)
(前記式(1)中、1.0≦a≦1.05、0.8≦b≦0.9、1.8≦e≦2.2、及び、b+c+d=1である。)
前記コア正極活物質粒子の表面に、LiとNbとを含むアルコキシド溶液を用いて、転動流動層装置によって、LiとNbとの酸化物からなる被覆層を形成する工程と、
を含む、全固体リチウムイオン電池用正極活物質の製造方法。
7.前記アルコキシド溶液が、(1)溶質のリチウム源としてメトキシリチウム、エトキシリチウム、及び、イソプロポキシリチウムのいずれか一種、(2)ニオブ源としてペンタメトキシニオブ、ペンタエトキシニオブ、ペンタイソプロポキシニオブのいずれか一種、及び、(3)溶媒としてエタノール、メタノール、イソプロパノールのいずれか一種、を含む溶液である、前記6に記載の全固体リチウムイオン電池用正極活物質の製造方法。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、全固体リチウムイオン電池用正極活物質であって、Niの比率が80モル%以上のいわゆるハイニッケル組成を有する、低抵抗のNiCoMn系正極活物質を提供することができる。また、本発明によれば、当該全固体リチウムイオン電池用正極活物質を用いた全固体リチウムイオン電池用正極、全固体リチウムイオン電池、及び、全固体リチウムイオン電池用正極活物質の製造方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】本発明の実施形態に係る全固体リチウムイオン電池の模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
次に本発明を実施するための形態を、図面を参照しながら詳細に説明する。本発明は以下の実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、当業者の通常の知識に基づいて、適宜設計の変更、改良等が加えられることが理解されるべきである。
【0016】
(全固体リチウムイオン電池用正極活物質)
本発明の実施形態に係る全固体リチウムイオン電池用正極活物質は、コア正極活物質粒子と被覆層とを含む。コア正極活物質粒子は、下記式(1)に示す組成で表される。
LiaNibCocMndOe (1)
(前記式(1)中、1.0≦a≦1.05、0.8≦b≦0.9、1.8≦e≦2.2、及び、b+c+d=1である。)
【0017】
コア正極活物質粒子は、上記式(1)において、リチウム組成を示すaが1.0≦a≦1.05に制御されている。リチウム組成を示すaが1.0以上であるため、リチウム欠損によるニッケルの還元を抑制することができる。また、リチウム組成を示すaが1.05以下であるため、電池とした際の抵抗成分となり得る、コア正極活物質粒子表面に存在する、炭酸リチウムや、水酸化リチウム等の残留アルカリ成分を抑制することができる。
【0018】
コア正極活物質粒子は、上記式(1)において、ニッケル組成を示すbが、0.8≦b≦0.9に制御されており、いわゆるハイニッケル組成である。ニッケル組成を示すbが0.8以上であるため、全固体リチウムイオン電池の良好な電池容量を得ることができる。
【0019】
コア正極活物質粒子は、上記式(1)において、コバルト組成を示すc及びマンガン組成を示すdの合計が、b+c+d=1を満たす、すなわち、0.1≦c+d≦0.2に制御されているため、サイクル特性が向上し、充放電に伴うリチウムの挿入・脱離による結晶格子の膨張収縮挙動を低減することができる。当該c+dが0.1未満になると、上記のサイクル特性や膨張収縮挙動の効果を得ることが困難となり、c+dが0.2を超えると、コバルト及びマンガンの添加量が多過ぎて初期放電容量の低下が大きくなる、或いは、コスト面で不利になるおそれがある。
【0020】
コア正極活物質粒子は、大部分が複数の一次粒子が凝集した二次粒子の形態を有しており、部分的に二次粒子として凝集しない状態の一次粒子が含まれる形態であってもよい。二次粒子を構成する一次粒子、及び、単独で存在する一次粒子の形状については特に限定されず、例えば、略球状、略楕円状、略板状、略針状等の種々の形状であってもよい。また、複数の一次粒子が凝集した形態についても特に限定されず、例えば、ランダムな方向に凝集する形態や、中心部からほぼ均等に放射状に凝集して略球状や略楕円状の二次粒子を形成する形態等の種々の形態であってもよい。
【0021】
コア正極活物質粒子は、製造工程等で生じた余剰リチウムである水酸化リチウムが含まれる場合、当該水酸化リチウムの含有量が1.5質量%以下であるのが好ましく、1.0質量%以下であるのがより好ましい。コア正極活物質粒子において、水酸化リチウム含有量が1.5質量%を超えると、正極活物質が高温環境下で充電される場合、水酸化リチウムが酸化分解し、ガスが発生し易くなる。
【0022】
コア正極活物質粒子は、製造工程等で生じた余剰リチウムである炭酸リチウムが含まれる場合、当該炭酸リチウムの含有量が1.5質量%以下であるのが好ましく、1.0質量%以下であるのがより好ましい。コア正極活物質粒子において、炭酸リチウム含有量が1.5質量%を超えると、正極活物質が高温環境下で充電される場合、炭酸リチウムが酸化分解し、ガスが発生し易くなる。
【0023】
上述のコア正極活物質粒子に含まれる水酸化リチウム及び炭酸リチウムの含有量は、中和滴定法により求めることができる。リチウム金属複合酸化物粒子の表面等に存在する余剰リチウムとしての水酸化リチウム及び炭酸リチウムは、水に溶解することでそれぞれ水酸化物イオン及び炭酸イオンがリチウムイオンから電離する。電離したこれら陰イオンは、無機酸などで滴定することができ、これによって水酸化リチウム及び炭酸リチウムを分別定量することが可能となる。
【0024】
コア正極活物質粒子に含まれる水分は0.10質量%以下であるのが好ましく、0.05質量%以下であるのがより好ましい。コア正極活物質粒子に含まれる水分が0.10質量%を超えると、正極を構成する金属元素にダメージを与え、種々の電池特性を劣化させるおそれがある。コア正極活物質粒子に含まれる水分の測定方法としては、乾燥重量法、カールフィッシャー滴定法、蒸留法等を用いることができる。
【0025】
被覆層は、LiとNbとの酸化物である。このような構成の被覆層をコア正極活物質粒子の表面に被覆することで、コア正極活物質粒子と固体電解質との界面で生じる反応が抑制される。このため、コア正極活物質粒子の劣化等を抑制することができる。被覆層を構成するLiとNbとの酸化物としては、LiNbO3等が挙げられる。
【0026】
本発明の実施形態に係る全固体リチウムイオン電池用正極活物質は、正極活物質の比表面積X(m2/g)と、正極活物質におけるNb含有量Y(質量%)とが、下記式(2)の関係を満たす。
0.65≦Y/X≦1.20 (2)
【0027】
コア正極活物質粒子の表面に、LiとNbとの酸化物である被覆層を、できるだけ全体に且つ、できるだけ薄く被覆させることができれば、電池の抵抗成分を低減し、出力特性を向上させることができる。より詳細には、コア正極活物質粒子の表面に、LiとNbとの酸化物である被覆層を、できるだけ全体に被覆することができれば充電時に高電位に曝された際の固体電解質と正極活物質との界面反応による抵抗上昇が抑制される。また、コア正極活物質粒子の表面に、LiとNbとの酸化物である被覆層をできるだけ薄く形成することで、充放電時の被覆層内のLiイオンの移動が短くなり、拡散移動抵抗も低減できる。そして、当該抵抗については、上述の通り、Niの比率が80モル%以上のいわゆるハイニッケル組成を有する正極活物質において特に問題となるものである。このような観点から、ハイニッケル組成を有する本発明の実施形態に係る正極活物質において、正極活物質の比表面積X(m2/g)に対する正極活物質におけるNb含有量Y(質量%)の比であるY/Xを、0.65≦Y/X≦1.20に制御することで、低抵抗のNiCoMn系正極活物質が得られる。当該Y/Xが0.65未満であると、未被覆部分が多く存在してしまうため、固体電解質と正極活物質が直接接触し、高抵抗層が生成する問題が生じるおそれがある。当該Y/Xが1.20を超えると、被覆層が厚くなり、Liイオンの拡散移動抵抗が上昇する問題が生じるおそれがある。正極活物質の比表面積X(m2/g)に対する正極活物質におけるNb含有量Y(質量%)の比であるY/Xは、0.65≦Y/X≦1.0であるのが好ましく、0.65≦Y/X≦0.75であるのがより好ましい。
【0028】
全固体リチウムイオン電池用正極活物質の50%累積体積粒度D50が3~7μmであるのが好ましい。ここで、50%累積体積粒度D50は、体積基準の累積粒度分布曲線において、50%累積時の体積粒度である。全固体リチウムイオン電池用正極活物質の50%累積体積粒度D50が3μm以上であると、比表面積が抑えられLiとNbとの酸化物の被覆量を抑えることができる。全固体リチウムイオン電池用正極活物質の50%累積体積粒度D50が7μm以下であると、比表面積が過剰に小さくなることを抑制することができる。全固体リチウムイオン電池用正極活物質の50%累積体積粒度D50は、3~6μmであるのがより好ましく、4~5μmであるのが更により好ましい。上記50%累積体積粒度D50は、Microtrac製レーザー回折型粒度分布測定装置「MT3300EXII」により測定することができる。
【0029】
(全固体リチウムイオン電池用正極活物質の製造方法)
次に、本発明の実施形態に係る全固体リチウムイオン電池用正極活物質の製造方法について詳述する。本発明の実施形態に係る全固体リチウムイオン電池用正極活物質の製造方法は、まず、下記式(1)に示す組成で表されたコア正極活物質粒子を準備する。
LiaNibCocMndOe (1)
(前記式(1)中、1.0≦a≦1.05、0.8≦b≦0.9、1.8≦e≦2.2、及び、b+c+d=1である。)
【0030】
コア正極活物質粒子の製造方法としては特に限定されず、公知の製造方法に基づいて適宜調整することができる。例えば、まず、Ni組成がモル比で0.8~0.9であるNiCoMn系の複合水酸化物を準備する。次に、当該複合水酸化物に、Li源(炭酸Li、水酸化Li等)を、各原料の混合割合を調整してヘンシェルミキサー等で乾式混合した後、700~800℃の温度で12~24時間焼成することで、焼成体を得る。その後、必要であれば、焼成体を、例えば、パルベライザー等を用いて解砕することによりコア正極活物質粒子を得ることができる。
【0031】
次に、転動流動層装置によるコア正極活物質粒子の表面被覆に用いる被覆液を作製する。被覆液にはLiとNbとを含むアルコキシド溶液を用いる。このようなLiとNbとを含むアルコキシド溶液を被覆液として、転動流動層装置によって、コア正極活物質粒子の表面に、湿式法によって、LiとNbとの酸化物からなる被覆層を形成する。転動流動層装置を用いたコア正極活物質粒子の表面コーティングによって、被覆層を構成する粒子をできるだけコア正極活物質粒子の表面全体に亘り、できるだけ薄く被覆することで、正極活物質-固体電解質間の反応の抑制、及び、被覆層内の拡散移動抵抗を低減することが可能となる。また、ある一定の膜厚で被覆層の被覆状態が部分被覆から完全被覆に変わるため、できるだけこの臨界点付近を狙った完全被覆を行うことで全固体電池の出力がより向上する。また、本発明者は、被覆液としてアルコキシド溶液を用いたところ、コーティング直後、一部加水分解によるゲルが生じ、表面をより覆い易くなるため上述のような被覆層が得られることを見出した。
【0032】
被覆液として用いるアルコキシド溶液は、(1)溶質のリチウム源としてメトキシリチウム、エトキシリチウム、及び、イソプロポキシリチウムのいずれか一種、(2)ニオブ源としてペンタメトキシニオブ、ペンタエトキシニオブ、ペンタイソプロポキシニオブのいずれか一種、及び、(3)溶媒としてエタノール、メタノール、イソプロパノールのいずれか一種、を含む溶液であるのが好ましい。このような構成によれば、転動流動層装置によるコア正極活物質粒子の表面に形成する被覆層を、より良好に全体に亘り、できるだけ薄く形成することが可能となる。アルコキシド溶液のLiNbO3濃度については、5質量%以下であることが好ましい。このような構成によれば、被覆層の形成が緩やかに行われ、より良好に全体に亘り、できるだけ薄く形成することが可能となる。
【0033】
転動流動層装置は、底部にロータを備えており、供給ガスを吸気することによって装置内の粒子を流動状態にすることができる。具体的には、転動流動層装置内でコア正極活物質粒子を流動状態とし、当該コア正極活物質粒子に被覆原料のアルコキシド溶液を噴霧し、そして乾燥することによって造粒体を形成する。次に、得られた造粒体を空気中又は不活性雰囲気中で焼成することで、コア正極活物質粒子の表面に、被覆層を形成する。
【0034】
転動流動層装置による被覆処理において、被覆原料のアルコキシド溶液と、コア正極活物質粒子との割合は、被覆原料(溶質成分):コア正極活物質粒子が、質量比で2:1000~1:100の範囲であることが好ましい。また、前記の方法において、コア正極活物質粒子を流動状態にするための吸気風量は0.15~0.3m3/min程度であることが好ましい。
【0035】
転動流動層装置による被覆処理において、転動流動層装置内の吸気温度を、例えば少なくとも室温以上で80℃以下の温度に設定することによって、コア正極活物質粒子の表面に被覆原料を含むアルコキシド溶液がコーティングされる。続いて、酸素雰囲気又は大気中において、200~350℃で1~5時間程度加熱することで焼成を行う。このようにして、コア正極活物質粒子と、コア正極活物質粒子の表面に形成された被覆層とを有する、本発明の実施形態に係る全固体リチウムイオン電池用正極活物質が得られる。
【0036】
(全固体リチウムイオン電池用正極及び全固体リチウムイオン電池)
本発明の実施形態に係る全固体リチウムイオン電池用正極活物質によって正極を形成し、当該正極を正極層とし、当該正極層と、固体電解質層と、負極層とを含む全固体リチウムイオン電池を作製することができる。本発明の実施形態に係る全固体リチウムイオン電池を構成する固体電解質層及び負極層は、特に限定されず、公知の材料で形成することができ、
図1に示すような公知の構成とすることができる。
【0037】
リチウムイオン電池の正極層は、本発明の実施形態に係る全固体リチウムイオン電池用正極活物質と、固体電解質とを混合してなる正極合材を層状に形成したものを用いることができる。正極層における正極活物質の含有量は、例えば、50質量%以上99質量%以下であることが好ましく、60質量%以上90質量%以下であることがより好ましい。
【0038】
正極合材は、さらに導電助剤を含んでもよい。当該導電助剤としては、炭素材料、金属材料、または、これらの混合物を用いることができる。導電助剤は、例えば、炭素、ニッケル、銅、アルミニウム、インジウム、銀、コバルト、マグネシウム、リチウム、クロム、金、ルテニウム、白金、ベリリウム、イリジウム、モリブデン、ニオブ、オスニウム、ロジウム、タングステン及び亜鉛からなる群より選択される少なくとも1種の元素を含んでもよい。導電助剤は、好ましくは、導電性が高い炭素単体、炭素、ニッケル、銅、銀、コバルト、マグネシウム、リチウム、ルテニウム、金、白金、ニオブ、オスニウム又はロジウムを含む金属単体、混合物又は化合物である。炭素材料としては、例えば、ケッチェンブラック、アセチレンブラック、デンカブラック、サーマルブラック、チャンネルブラック等のカーボンブラック、黒鉛、炭素繊維、活性炭等を用いることができる。
【0039】
リチウムイオン電池の正極層の平均厚みについては特に限定されず、目的に応じて適宜設計することができる。リチウムイオン電池の正極層の平均厚みは、例えば、1μm~100μmであってもよく、1μm~10μmであってもよい。
【0040】
リチウムイオン電池の正極層の形成方法については特に限定されず、目的に応じて適宜選択することができる。リチウムイオン電池の正極層の形成方法としては、例えば、正極活物質粒子を圧縮成形する方法などが挙げられる。
【0041】
リチウムイオン電池の負極層は、公知の全固体リチウムイオン電池用負極活物質を層状に形成したものであってもよい。また、当該負極層は、公知のリチウムイオン電池用負極活物質と、固体電解質とを混合してなる負極合材を層状に形成したものであってもよい。負極層における負極活物質の含有量は、例えば、10質量%以上99質量%以下であることが好ましく、20質量%以上90質量%以下であることがより好ましい。
【0042】
負極層は、正極層と同様に、導電助剤を含んでもよい。当該導電助剤は、正極層において説明した材料と同じ材料を用いることができる。負極活物質としては、例えば、炭素材料、具体的には、人造黒鉛、黒鉛炭素繊維、樹脂焼成炭素、熱分解気相成長炭素、コークス、メソカーボンマイクロビーズ(MCMB)、フルフリルアルコール樹脂焼成炭素、ポリアセン、ピッチ系炭素繊維、気相成長炭素繊維、天然黒鉛及び難黒鉛化性炭素等、または、その混合物を用いることができる。また、負極材としては、例えば、金属リチウム、金属インジウム、金属アルミ、金属ケイ素等の金属自体や他の元素、化合物と組み合わせた合金を用いることができる。
【0043】
リチウムイオン電池の負極層の平均厚みについては特に限定されず、目的に応じて適宜選択することができる。リチウムイオン電池の負極層の平均厚みは、例えば、1μm~100μmであってもよく、1μm~10μmであってもよい。
【0044】
リチウムイオン電池の負極層の形成方法については特に限定されず、目的に応じて適宜選択することができる。リチウムイオン電池の負極層の形成方法としては、例えば、負極活物質粒子を圧縮成形する方法、負極活物質を蒸着する方法などが挙げられる。
【0045】
固体電解質は、公知の全固体リチウムイオン電池用固体電解質を用いることができる。固体電解質として酸化物系固体電解質を用いても、本発明の実施形態に係る正極活物質を用いた全固体リチウムイオン電池における抵抗の低減が可能となる。また、特に、固体電解質として硫化物系固体電解質を用いると、従来は正極活物質-固体電解質間の反応により、高抵抗層が形成され、出力が低下する問題があったが、本発明の実施形態に係る正極活物質によれば、できるだけ正極活物質全体を被覆しているため、硫化物系固体電解質を有する全固体リチウムイオン電池においても高抵抗層の形成を良好に抑制することができる。また、被覆層をできるだけ薄く形成することで、充放電時の被覆層内のLiイオンの移動が短くなるため、拡散移動抵抗も低減できる。これら2つの効果により抵抗を低減することができる。さらに、固体電解質としては、リチウムとニオブ、タンタル、ケイ素、リンおよびホウ素から選ばれる少なくとも1種の元素とを含むリチウム含有化合物を用いてもよい。
【0046】
酸化物系固体電解質としては、例えば、LiTi2(PO4)3、Li2O-B2O3-P2O5、Li2O-SiO2、Li2O-B2O3、およびLi2O-B2O3-ZnOなどが挙げられる。
【0047】
硫化物系固体電解質としては、例えば、LiI-Li2S-P2S5、LiI-Li2S-B2S3、Li3PO4-Li2S-Si2S、Li3PO4-Li2S-SiS2、LiPO4-Li2S-SiS、LiI-Li2S-P2O5、LiI-Li3PO4-P2S5、Li3PS4、およびLi2S-P2S5などが挙げられる。
【0048】
リチウムとニオブ、タンタル、ケイ素、リンおよびホウ素から選ばれる少なくとも1種の元素とを含むリチウム含有化合物を用いた固体電解質としては、例えば、LiNbO3、あるいはLi1.3Al0.3Ti0.7(PO4)3、Li1+x+yAxTi2-xSiyP3-yO12(A=Al又はGa、0≦x≦0.4、0<y≦0.6)、[(B1/2Li1/2)1-zCz]TiO3(B=La、Pr、Nd、Sm、C=Sr又はBa、0≦x≦0.5)、Li5La3Ta2O12、Li7La3Zr2O12、Li6BaLa2Ta2O12、Li3PO(4-3/2w)Nw(w<1)、およびLi3.6Si0.6P0.4O4など、およびLiI、LiI-Al2O3、LiN3、Li3N-LiI-LiOHなどが挙げられる。
【0049】
リチウムイオン電池の固体電解質層の平均厚みについては特に限定されず、目的に応じて適宜設計することができる。リチウムイオン電池の固体電解質層の平均厚みは、例えば、50μm~500μmであってもよく、50μm~100μmであってもよい。
【0050】
リチウムイオン電池の固体電解質層の形成方法については特に限定されず、目的に応じて適宜選択することができる。リチウムイオン電池の固体電解質層の形成方法としては、例えば、固体電解質のターゲット材料を用いたスパッタリング、または、固体電解質を圧縮成形する方法などが挙げられる。
【0051】
リチウムイオン電池を構成するその他の部材については特に限定されず、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、正極集電体、負極集電体、及び、電池ケースなどが挙げられる。
【0052】
正極集電体の大きさ及び構造については特に限定されず、目的に応じて適宜選択することができる。
正極集電体の材質としては、例えば、ダイス鋼、ステンレス鋼、アルミニウム、アルミニウム合金、チタン合金、銅、金、ニッケルなどが挙げられる。
正極集電体の形状としては、例えば、箔状、板状、メッシュ状などが挙げられる。正極集電体の平均厚みとしては、例えば、10μm~500μmであってもよく、50μm~100μmであってもよい。
【0053】
負極集電体の大きさ及び構造については特に限定されず、目的に応じて適宜選択することができる。
負極集電体の材質としては、例えば、ダイス鋼、金、インジウム、ニッケル、銅、ステンレス鋼などが挙げられる。
負極集電体の形状としては、例えば、箔状、板状、メッシュ状などが挙げられる。
負極集電体の平均厚みとしては、例えば、10μm~500μmであってもよく、50μm~100μmであってもよい。
【0054】
電池ケースについては特に限定されず、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、従来の全固体電池で使用可能な公知のラミネートフィルムなどが挙げられる。ラミネートフィルムとしては、例えば、樹脂製のラミネートフィルム、樹脂製のラミネートフィルムに金属を蒸着させたフィルムなどが挙げられる。
電池の形状については特に限定されず、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、円筒型、角型、ボタン型、コイン型、扁平型などが挙げられる。
【実施例】
【0055】
以下、本発明及びその利点をより良く理解するための実施例を提供するが、本発明はこれらの実施例に限られるものではない。
【0056】
(実施例1~6、比較例1~6)
まず、Ni組成がモル比で0.82~0.9であるNiCoMn系の複合水酸化物を準備した。次に、当該複合水酸化物に、水酸化Liを、各原料の混合割合を調整してヘンシェルミキサーで乾式混合した後、700~780℃の温度で12~24時間焼成することで、焼成体を得た。その後、焼成体をパルベライザーで解砕することによりコア正極活物質粒子を得た。
【0057】
次に、転動流動層装置によるコア正極活物質粒子の表面被覆に用いる被覆液を作製した。被覆液にはエトキシリチウム、ペンタエトキシニオブのエタノール溶液となる、アルコキシド溶液を用いた。具体的には、転動流動層装置内でコア正極活物質粒子を流動状態とし、コア正極活物質粒子に被覆原料のアルコキシド溶液を噴霧し、乾燥することによって造粒体を形成した。次に、得られた造粒体を空気中又は不活性雰囲気中で焼成することで、コア正極活物質粒子の表面に、被覆層を形成した。
【0058】
転動流動層装置による湿式被覆処理において、アルコキシド溶液の濃度、アルコキシド溶液とコア正極活物質粒子との割合、転動流動層装置内の吸気風量及び吸気温度は、それぞれLiNbO3のコーティング量の目標値(正極活物質におけるNb含有量Y)に基づいて、適宜調整した。例えば、実施例1では、アルコキシド溶液の濃度をLiNbO3換算で4.1wt%とし、コア正極活物質粒子800gに対し2.0g/minの速度でアルコキシド溶液を125g噴霧している。また転動流動層装置内の吸気風量は0.2m3/minとし、吸気温度を90℃としている。
【0059】
続いて、酸素雰囲気中、表1に記載の温度で3時間加熱することで焼成を行った。このようにして、実施例1~6及び比較例1~6のそれぞれについて、コア正極活物質粒子と、コア正極活物質粒子の表面に形成された被覆層とを有する全固体リチウムイオン電池用正極活物質のサンプルが得られた。
【0060】
(正極活物質の組成、正極活物質におけるNb含有量Y)
得られた各正極活物質のサンプル(粉末)を0.2gはかり取り、アルカリ溶融法で分解後、日立ハイテク社製の誘導結合プラズマ発光分光分析装置(ICP-OES)「PS7800」を用いて、組成分析を行った。また、当該組成分析により、正極活物質におけるNb含有量Yも測定した。
【0061】
(50%累積体積粒度D50)
得られた各正極活物質のサンプル(粉末)100mgをMicrotrac製レーザー回折型粒度分布測定装置「MT3300EXII」を用いて、50%の流速中、40Wの超音波を60秒間照射して分散後、粒度分布を測定し、体積基準の累積粒度分布曲線を得た。得られた累積粒度分布曲線において、50%累積時の体積粒度を、正極活物質の粉末の50%累積体積粒度D50とした。
【0062】
(正極活物質の比表面積X)
得られた各正極活物質のサンプル(粉末)1.5gをガラスセルに秤量し、脱気装置にセットし、窒素ガスでガラスセル内を充填した後、窒素ガス雰囲気中、150℃で1時間熱処理し、脱気した。その後、脱気後のサンプル(粉末)が入ったガラスセルをQuantachrome製比表面積測定装置「Monosorb」へセットし、吸着ガスとしてHe:70at%-N2:30at%混合ガスを流しながら、BET法(1点法)によって、比表面積Xを測定した。
【0063】
(全固体電池の初期抵抗)
正極活物質:75mgと硫化物固体電解質材料Li3PS4:25mgとを混合し、正極合材を得た。
また、硫化物固体電解質材料Li3PS4:80mgを、φ10mmの電池試験セル内部へ投入し、ペレット成形機を用いて37MPaの圧力でプレスし、固体電解質層を形成した。当該固体電解質層の上に正極合材10mgを投入し、330MPaの圧力でプレスして合材層を作製した。
次に、得られた固体電解質層と正極活物質層との合材層の上下を裏返し、固体電解質層側に、SUS板にLi箔(10mm径×厚み0.1mm)とIn箔(9mm径×厚み0.1mm)を貼り合わせたものを設け、20MPaの圧力でプレスしてLi-In負極層とした。これによって、正極活物質層、固体電解質層及びLi-In負極層がこの順で積層された積層体を作製した。
次に、当該積層体をSUS304製の電池試験セルに入れて2.5N・mの拘束圧をかけて全固体二次電池とした。
次に、全固体二次電池において、3.7V(vs.Li-In)まで充電し、充電後のセルにおいて交流インピーダンス測定を行った。そしてナイキストプロットから得られる円弧から初期抵抗を求めた。
上記製造条件及び試験結果を表1に示す。
【0064】
【0065】
(評価結果)
実施例1~6の正極活物質は、いずれも、正極活物質の比表面積X(m2/g)と、正極活物質におけるNb含有量Y(質量%)とが、下記式(2)の関係を満たした。このため、全固体電池として評価した初期抵抗が低く抑えられていた。
0.65≦Y/X≦1.20 (2)
【0066】
一方、比較例1~6の正極活物質は、いずれも、正極活物質の比表面積X(m2/g)と、正極活物質におけるNb含有量Y(質量%)とが、上記式(2)の関係を満たさなかった。このため、全固体電池として評価した初期抵抗が大きかった。