(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-01
(45)【発行日】2024-11-12
(54)【発明の名称】香料としての使用するための二環式及び三環式化合物
(51)【国際特許分類】
C11B 9/00 20060101AFI20241105BHJP
A61K 8/35 20060101ALI20241105BHJP
A61Q 13/00 20060101ALI20241105BHJP
C07C 29/145 20060101ALI20241105BHJP
C07C 33/05 20060101ALI20241105BHJP
C07C 45/69 20060101ALI20241105BHJP
C07C 49/323 20060101ALI20241105BHJP
【FI】
C11B9/00 P
A61K8/35
A61Q13/00 101
C07C29/145
C07C33/05 C
C07C45/69
C07C49/323 CSP
(21)【出願番号】P 2021535279
(86)(22)【出願日】2019-12-17
(86)【国際出願番号】 EP2019085701
(87)【国際公開番号】W WO2020127305
(87)【国際公開日】2020-06-25
【審査請求日】2022-12-15
(32)【優先日】2018-12-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】508020155
【氏名又は名称】ビーエーエスエフ ソシエタス・ヨーロピア
【氏名又は名称原語表記】BASF SE
【住所又は居所原語表記】Carl-Bosch-Strasse 38, 67056 Ludwigshafen am Rhein, Germany
(73)【特許権者】
【識別番号】521265678
【氏名又は名称】ピーツー サイエンス インコーポレーテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110002572
【氏名又は名称】弁理士法人平木国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ペルツァー,ラルフ
(72)【発明者】
【氏名】ヤン,ヨンガ
(72)【発明者】
【氏名】フォーリー,パトリック
【審査官】前田 憲彦
(56)【参考文献】
【文献】特開2000-229898(JP,A)
【文献】特表2015-502443(JP,A)
【文献】国際公開第2018/185010(WO,A1)
【文献】Journal of the American Chemical Society,1959年,81,P.221-225
【文献】Journal of the Chemical Society, Chemical Communications,1990年,(20),P.1419-1421
【文献】Journal of the Chemical Society,1961年,P.3838-3842
【文献】Journal of the Chemical Society,1961年,P.1324-1327
【文献】Journal of the American Chemical Society,1996年,118(23),P.5502-5503
【文献】Tetrahedron Letters,2010年,51(9),P.1252-1253
【文献】Organic & Biomolecular Chemistry,2013年,11(9),P.1468-1475
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C11B 9/
A61K 8/
A61Q 13/
C07C 29/
C07C 33/
C07C 45/
C07C 49/
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
一般式
(I.a)の化合物、若しくは式(I-7)の化合物、又は2種以上の式(I.a)若しくは(I-7)の化合物の混合物、又はその立体異性体、又は2種以上のその立体異性体の混合物の、香料としての使用。
【化1】
(式中、
破線は
、単結合又は二重結合を表し、
Xは、
-(C=O)CH
3
又は-CH(OH)CH
3
から選択され、
R
1a及びR
1bは
、水素
であり、又はR
1aは、R
1bと一緒になってメチレ
ン基を形成し、
R
3a、R
3b
及びR
4
は、互いに独立して、水素又はメチルから選択され
る)
【請求項2】
Xが
-(C=O)CH
3
を表す、請求項
1に記載の
使用。
【請求項3】
R
4が水素である
、請求項1
又は2に記載の
使用。
【請求項4】
式(I.a)が、以下の式(I.a-R)
【化2】
(式中、破線、X、R
1a
、R
1b
、R
3a
、R
3b
及びR
4
は、式(I.a)で定義された通りである)
で表される、請求項1から3のいずれか一項に記載の使用。
【請求項5】
式(I.a)又は(I-7)の化合物が、一般式(I-1-R)から(I-6-R)及び(I-7)
【化3】
の化合物から選択される、請求項1から3のいずれか一項に記載の使用。
【請求項6】
一般式(I.a)
【化4】
(式中、
破線は、単結合又は二重結合を表し、
Xは、-(C=O)CH
3又は-CH(OH)CH
3から選択され、
R
1a及びR
1bは水素であり、又はR
1aは、R
1bと一緒になってメチレン基を形成し、
R
3a、R
3b及びR
4は、互いに独立して、水素及びメチルからなる群から選択される)
の化合物、その混合物、その立体異性体若しくはその立体異性体の混合物
(但し、R
1a
、R
1b
、R
3a
、R
3b
及びR
4
が水素であり、破線が単結合を表し、Xが-(C=O)CH
3
である、式(I.a)の化合物を除く)。
【請求項7】
一般式(I.a-R)
【化5】
(式中、
破線は、単結合又は二重結合を表し、
Xは、-(C=O)CH
3又は-CH(OH)CH
3から選択され、
R
1a及びR
1bは水素であり、又はR
1aは、R
1bと一緒になってメチレン基を形成し、
R
3a、R
3b及びR
4は、互いに独立して、水素及びメチルからなる群から選択される)
の化合物、その混合物、その立体異性体若しくはその立体異性体の混合物である、請求
項6に記載の化合物。
【請求項8】
一般式
(I.a)又は(I.a-R)の化合物が、以下の特徴a)及び/又はb)
a)Xが-(C=O)CH
3である、
b)R
4が水素である、
のうちの少なくとも1つを有する、請求項6又は7に記載の化合物。
【請求項9】
一般式(I-1-R)から(I-6-R)及び(I-7)
【化6】
(式中、Xは、-(C=O)CH
3
及び-CH(OH)CH
3
からなる群から選択される)
の化合物若しくはその混合物、又はその立体異性体若しくは2種以上のその立体異性体の混合物から選択される
、化合物。
【請求項10】
Xが-(C=O)CH
3である、請求項
9に記載の化合物。
【請求項11】
請求項1から10のいずれか一項に記載の、一般式
(I.a)若しくは(I-7)の化合物若しくは2種以上の一般式
(I.a)若しくは(I-7)の化合物の混合物、又はその立体異性体若しくは2種以上のその立体異性体の混合物を調製する方法であって:
(i)一般式(II)
【化7】
(式中、
破線は、単結
合を表し、
X'は、式X
1
【化8】
(式中、アスタリスクは、分子の残部への結合点を表す)
の基を表し、
R
2
は、水素又はメチルから選択され、
R
5a
及びR
5b
は、水素であり、
R
6は
、メチル
である)
の化合物を、一般式(III)
【化9】
(式中、
R
1a及びR
1bは、互いに独立して、水素若しくはメチルから選択され、又はR
1aは、R
1bと一緒になってメチレ
ン基を形成し、
R
3a、R
3b及びR
4は、互いに独立して、水素又はメチルから選択される)
のジエン化合物と触媒の存在下で反応させて、一般式
(I.a)(式中、R
3a及びR
3b基を有する炭素原子の間の破線は、二重結合であり、XはX
1基を表す)の化合物を得る工程、
及び任意選択で以下の工程:
(ii.a)工程(i)で得られた化合物のC=C二重結合を、水素化触媒の存在下で、水素で選択的触媒水素化して、一般式
(I.a)(式中、破線は単結合を表し、XはX
1基を表す)の化合物を得る工程、
又は
(ii.b)工程(i)で得られた化合物のC=C二重結合及びC=O二重結合を、水素化触媒の存在下で、水素で触媒水素化して、一般式
(I.a)(式中、破線は単結合を表し、Xは
-CH(OH)CH
3
基を表す)の化合物を得る工程、
(iii.a)工程(i)で得られた化合物、若しくは工程(ii.a)で得られた化合物を、カルボニル基のヒドロキシル基への還元反応に供して、一般式
(I.a)若しくは(I-7)(式中、破線は
、単結合又は二重結合を表し、Xは
-CH(OH)CH
3
基を表す)の化合物を得る工
程
のうちの1つ又は2つを含む、方法。
【請求項12】
請求項1から10のいずれか一項に記載の、一般式
(I.a)若しくは(I-7)の化合物若しくは2種以上の一般式
(I.a)若しくは(I-7)の化合物の混合物、又はその立体異性体若しくは2種以上のその立体異性体の混合物を調製する方法であって、
(i')一般式(II')
【化10】
(式中、
破線は、単結合又は二重結合を表し、
X'は、式X
1
【化11】
(式中、アスタリスクは分子の残部への結合点を表す)
の基を表し、
R
1a及びR
1bは、互いに独立して、水素若しくはメチルから選択され、又はR
1aは、R
1bと一緒になってメチレ
ン基を形成し、
R
3a、R
3b及びR
4は、互いに独立して、水素又はメチルから選択され、
R
6は
、メチル
である)
の化合物を、一般式(III')
【化12】
(式中、R
2
は、水素又はメチルから選択され
、R
5a
及びR
5b
は、水素である)
のジエン化合物と触媒の存在下で反応させて、一般式
(I.a')
【化13】
(式中
、XはX
1基を表
し、R
2
は、水素又はメチルである)の化合物を得る工程、
及
び以下の工程:
(ii'.a)工程(i')で得られた化合物のC=C二重結合を、水素化触媒の存在下で、水素で選択的触媒水素化して、一般式
(I.a)(式中、破線は単結合を表し、XはX
1基を表す)の化合物を得る工程、
又は
(ii'.b)工程(i')で得られた化合物のC=C二重結合及びC=O二重結合を、水素化触媒の存在下で、水素で触媒水素化して、一般式
(I.a)(式中、破線は単結合を表し、Xは
-CH(OH)CH
3
基を表す)の化合物を得る工程、
(iii'.a)工程(i')で得られた化合物、若しくは工程(ii'.a)で得られた化合物を、カルボニル基のヒドロキシル基への還元反応に供して、一般式
(I.a)若しくは(I-7)(式中、破線は
、単結合又は二重結合を表し、Xは
-CH(OH)CH
3
基を表す)の化合物を得る工
程
のうちの1つ又は2つを含む、方法。
【請求項13】
請求項1から
5のいずれか一項に記載の、式
(I.a)若しくは(I-7)の化合物若しくは2種以上の式
(I.a)若しくは(I-7)の化合物の混合物、又はその立体異性体若しくは2種以上のその立体異性体の混合物の、フレグランス組成物の香り特性を変更するための使用。
【請求項14】
- 請求項1から
5のいずれか一項に記載の、式
(I.a)若しくは(I-7)の化合物若しくは2種以上の一般式
(I.a)若しくは(I-7)の化合物の混合物、又はその立体異性体若しくは2種以上のその立体異性体の混合物、並びに
- 少なくとも1種のさらなる香料及び/又は非香料キャリア、ここで非香料キャリアが、界面活性剤、油成分、及び溶媒からなる群から特に選択される、
を含む香料組成物。
【請求項15】
フレグランス組成物を調製する方法であって、請求項1から
5のいずれか一項に記載の、式
(I.a)若しくは(I-7)の化合物若しくは2種以上の一般式
(I.a)若しくは(I-7)の化合物の混合物、又はその立体異性体若しくは2種以上のその立体異性体の混合物を、前記組成物に組み込む工程を含む、方法。
【請求項16】
フレグランス組成物の香り特性を変更する方法であって、請求項1から
5のいずれか一項に記載の、式
(I.a)若しくは(I-7)の化合物若しくは2種以上の一般式
(I.a)若しくは(I-7)の化合物の混合物、又はその立体異性体若しくは2種以上のその立体異性体の混合物を、前記組成物に組み込む工程を含む、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、本明細書に記載されている式(I)の二環式及び三環式化合物、特に二環式及び三環式ケトン、前記化合物を調製する方法、二環式若しくは三環式化合物、若しくは2種以上の二環式及び三環式化合物の混合物、又はその立体異性体若しくは2種以上のその立体異性体の混合物の、香料としての使用;フレグランス組成物の香り特性を変更するための二環式又は三環式化合物の使用;二環式若しくは三環式化合物、若しくは2種以上の二環式及び三環式化合物の混合物、又はその立体異性体若しくは2種以上のその立体異性体の混合物を含有する香料組成物;並びにフレグランス組成物を調製する、又はフレグランス組成物の香り特性を変更する方法であって、二環式若しくは三環式化合物、若しくは2種以上の二環式及び三環式化合物の混合物、又はその立体異性体若しくは2種以上のその立体異性体の混合物を、前記組成物に組み込む工程を含む、方法に関する。
【背景技術】
【0002】
香料、特にフレグランス(fragrances)は、特に化粧品並びに洗浄及び洗濯用組成物の分野において、強い関心が持たれている。天然由来のフレグランスは大抵高価であり、多くの場合その利用可能な量が制限されており、環境条件が変動することによって、その含有量、純度等が変動することもある。したがって、これらの望ましくない要素を回避するために、より高価な天然のフレグランスに似ている官能的特性を有するか、又は新規で興味深い官能的プロファイルを有する合成物質を作成することに強い関心が持たれている。
【0003】
多数の既存の合成香料(フレグランス及び香味料(flavorings))にもかかわらず、極めて多様な領域の用途に望ましい多数の特性を満たすことを可能とするために、新規な成分に対する一定の必要性が存在する。これらは第1に、官能的特性を含み、すなわち、化合物は、都合のよい、芳香を放つ(odiferous)(嗅覚(olfactory))特性又は味覚特性を有するべきである。さらに、香料はまた、追加の有益な二次特性、例えば、効率的な調製方法、他のフレグランスとの相乗効果の結果としてより良い感覚プロファイルをもたらす可能性、特定の適用条件下でのより高い安定性、より高い拡張性(extendability)、より良い高い持続性(substantivity)等を有するべきである。
【0004】
しかしながら、化学構造の少しの変化でさえ、感覚特性、例えば匂い及びさらに味の大きな変化をもたらすので、特定の感覚特性、例えば特定の匂いを有する物質を対象とした探索は、極めて困難である。したがって、新規なフレグランス及び香味料の探索は、ほとんどの場合、所望の匂い及び/又は味を有する物質が実際に発見すらされるかどうかが分からず、困難且つ労力を要する。
【0005】
E.D. Bergmannら、J. Am. Chem. Soc. 81(1959)、221~225頁は、1-ホルミルシクロヘキセンを用いたディールス-アルダー反応について記載している。反応生成物の1つは、6,7-ジメチル-2,3,4,5,8,8a-ヘキサヒドロ-1H-ナフタレン-4a-カルバルデヒドである。
【0006】
Hsing-Jang Liuら、J. Chem. Soc.、Chem. Commun.、1990、1419~1421頁は、ラセミ体のイソアカントドラル(Isoacanthodoral)の全合成について記載している。全合成で形成される副産物の1つは、(3,8,8-トリメチル-1,4,5,6,7,8a-ヘキサヒドロナフタレン-4a-イル)メタノールである。
【0007】
EP1070699は、ヒドロキシメチル基を含有する脂環式化合物、及び重合可能な化合物を生成するための同化合物の使用について記載している。ヒドロキシメチル化合物の1つは、2-デカリン-4a-イルプロパン-2-オールである。
【0008】
G. Baddeleyら、J. Chem. Soc. 1961、3838~3842頁は、10β-(1,2-ジヒドロキシエチル)-trans-1β-デカロールからのデカリン誘導体の調製について記載している。著者らは、特に1-デカリン-4a-イルエタン-1-オール及びデカリン-4a-イルカルバルデヒドについて記載している。
【0009】
G. Baddeleyら、J. Chem. Soc. 1959、1324~1327頁は、フリーデル-クラフツ反応におけるデカリンの反応について記載している。形成される誘導体の1つは、9-アセチル-trans-デカリン、すなわち2-デカリン-4a-イルエタノンである。同様の反応は、C.L. Lyallら、Org. Biomol. Chem.、11(2013)、1468~1475頁によって記載されている。
【0010】
Y. Hayashiら、J. Am. Chem. Soc. 118(1996)、5502~5503頁は、エナンチオ選択的合成のためのキラルスーパールイス酸触媒(chiral Super-Lewis acidic catalyst)について記載している。この触媒をシクロヘキセン-1-カルバルデヒドとシクロペンタジエンの反応に使用すると、トリシクロ[4.4.12,5.01,6]ウンデカ-3-エン-1-カルバルデヒドが得られる。
【0011】
J. H. Leeら、Tetrahedron Letters 51(2010)1252~1253頁は、5-メチル-2,3,4,5,8,8a-ヘキサヒドロ-1H-ナフタレン-4a-カルバルデヒド、7-メチル-2,3,4,5,8,8a-ヘキサヒドロ-1H-ナフタレン-4a-カルバルデヒド又は6,7-ジメチル-2,3,4,5,8,8a-ヘキサヒドロ-1H-ナフタレン-4a-カルバルデヒドを得るための、2-(シクロヘキセン-1-イル)-1,3-ジオキソランと1-若しくは2-メチルブタジエン、又は2,3-ジメチルブタジエンのイオン性ディールス-アルダー反応について記載している。
【0012】
これらの参考文献のうち、これらの化合物が香料として有用になり得ることを示唆するものはない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
本発明の目的は、新しい香料を提供することである。これらは、感じのよい官能的特性を有するべきである。本発明のさらなる目的は、すぐに使用できる組成物中で香料として使用できる物質を提供することであった。特に、感じのよい匂いを有する、且つ/又は、他の感覚的効果(sensual effect)、例えば冷却をもたらすことができる、匂いの強い物質が求められている。さらに、それらは、他の香料と組み合わせることができ、新規な都合のよい感覚プロファイルを作ることを可能とするべきである。加えて、これらの香料は、容易に利用可能な出発材料から得ることができ、それらの速く経済的な製造を可能とするべきであり、且つ毒物学的な懸念がない状態であるべきである。
【0014】
この目的は、以下に示されるような式(I)の化合物若しくはその混合物、又はその立体異性体により達成される。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明は、一般式(I)
【0016】
【化1】
(式中、
破線は、互いに独立して、単結合又は二重結合を表し、
Xは、式X
1からX
3
【0017】
【化2】
(式中、アスタリスクは、分子の残部への結合点を表す)
の基を表し、
R
1a及びR
1bは、互いに独立して、水素若しくはメチルから選択され、又はR
1aは、R
1bと一緒になってメチレン若しくはエチレン基を形成し、
R
2、R
3a、R
3b、R
4、R
5a及びR
5bは、互いに独立して、水素又はメチルから選択され、
R
6は、水素、メチル又はエチルから選択され、
R
7は、選択されたメチル又はエチルである)
の化合物に関する。
【0018】
本発明はまた、一般式(I)の化合物の立体異性体、式(I)の化合物の混合物及び式(I)の化合物の立体異性体の混合物に関する。
【0019】
本発明の一態様は、一般式(I)の化合物、式(I)の化合物の混合物及び式(I)の化合物の立体異性体の混合物に関し、以下の化合物が除外される:6,7-ジメチル-2,3,4,5,8,8a-ヘキサヒドロ-1H-ナフタレン-4a-カルバルデヒド、(3,8,8-トリメチル-1,4,5,6,7,8a-ヘキサヒドロナフタレン-4a-イル)メタノール、2-デカリン-4a-イルプロパン-2-オール、1-デカリン-4a-イルエタン-1-オール、デカリン-4a-イルカルバルデヒド、2-デカリン-4a-イルエタノン、トリシクロ[4.4.12,5.01,6]ウンデカ-3-エン-1-カルバルデヒド、5-メチル-2,3,4,5,8,8a-ヘキサヒドロ-1H-ナフタレン-4a-カルバルデヒド、7-メチル-2,3,4,5,8,8a-ヘキサヒドロ-1H-ナフタレン-4a-カルバルデヒド及び6,7-ジメチル-2,3,4,5,8,8a-ヘキサヒドロ-1H-ナフタレン-4a-カルバルデヒド。
【0020】
本発明の別の態様は、一般式(I)の化合物若しくは2種以上の一般式(I)の化合物の混合物、又はその立体異性体若しくは2種以上のその立体異性体の混合物を調製する方法であって、
(i)一般式(II)
【0021】
【化3】
(式中、
破線は、単結合又は二重結合を表し、
X'は、式X
1
【0022】
【化4】
(式中、アスタリスクは、分子の残部への結合点を表す)
の基を表し、
R
2、R
5a及びR
5bは、互いに独立して、水素又はメチルから選択され、
R
6は、水素、メチル又はエチルから選択される)
の化合物を、一般式(III)
【0023】
【化5】
(式中、
R
1a及びR
1bは、互いに独立して、水素若しくはメチルから選択され、又はR
1aは、R
1bと一緒になってメチレン若しくはエチレン基を形成し、
R
3a、R
3b及びR
4は、互いに独立して、水素又はメチルから選択される)
のジエン化合物と、触媒の存在下で反応させて、一般式(I)(式中、R
3a及びR
3b基を有する炭素原子の間の破線は、二重結合であり、XはX
1基を表す)の化合物を得る工程、
並びに任意選択で以下の工程:
(ii.a)工程(i)で得られた化合物のC=C二重結合を、水素化触媒の存在下で、水素で選択的触媒水素化して、一般式(I)(式中、破線は単結合を表し、XはX
1基を表す)の化合物を得る工程、
又は
(ii.b)工程(i)で得られた化合物のC=C二重結合及びC=O二重結合を、水素化触媒の存在下で、水素で触媒水素化して、一般式(I)(式中、破線は単結合を表し、XはX
2基を表す)の化合物を得る工程、
(iii.a)工程(i)で得られた化合物、若しくは工程(ii.a)で得られた化合物を、カルボニル基のヒドロキシル基への還元反応に供して、一般式(I)(式中、破線は、互いに独立して単結合又は二重結合を表し、XはX
2基を表す)の化合物を得る工程、
又は
(iii.b)工程(i)で得られた化合物、若しくは工程(ii.a)で得られた化合物を、メチル求核試薬若しくはエチル求核試薬と反応させて、一般式(I)(式中、破線は、互いに独立して単結合又は二重結合を表し、XはX
3基を表す)の化合物を得る工程
のうちの1つ又は2つを含む、方法に関する。
【0024】
この方法は、方法Aとも称する。
【0025】
本発明のさらなる態様は、一般式(I)の化合物若しくは2種以上の一般式(I)の化合物の混合物、又はその立体異性体若しくは2種以上のその立体異性体の混合物を調製する方法であって、
(i')一般式(II')
【0026】
【化6】
(式中、
破線は、単結合又は二重結合を表し、
X'は、式X
1
【0027】
【化7】
(式中、アスタリスクは、分子の残部への結合点を表す)
の基を表し、
R
1a及びR
1bは、互いに独立して、水素若しくはメチルから選択され、又はR
1aは、R
1bと一緒になってメチレン若しくはエチレン基を形成し、
R
3a、R
3b及びR
4は、互いに独立して、水素又はメチルから選択され、
R
6は、水素、メチル又はエチルから選択される)
の化合物を、一般式(III')
【0028】
【化8】
(式中、
R
2、R
5a及びR
5bは、互いに独立して、水素又はメチルから選択される)
のジエン化合物と触媒の存在下で反応させて、一般式(I)(式中、R
2及びR
5b基を有する炭素原子の間の破線は、二重結合であり、XはX
1基を表す)の化合物を得る工程、
並びに任意選択で以下の工程:
(ii'.a)工程(i')で得られた化合物のC=C二重結合を、水素化触媒の存在下で、水素で選択的触媒水素化して、一般式(I)(式中、破線は単結合を表し、XはX
1基を表す)の化合物を得る工程、
又は
(ii'.b)工程(i')で得られた化合物のC=C二重結合及びC=O二重結合を、水素化触媒の存在下で、水素で触媒水素化して、一般式(I)(式中、破線は単結合を表し、XはX
2基を表す)の化合物を得る工程、
(iii'.a)工程(i')で得られた化合物、若しくは工程(ii'.a)で得られた化合物を、カルボニル基のヒドロキシル基への還元反応に供して、一般式(I)(式中、破線は、互いに独立して単結合又は二重結合を表し、XはX
2基を表す)の化合物を得る工程、
又は
(iii'.b)工程(i')で得られた化合物、若しくは工程(ii'.a)で得られた化合物を、メチル求核試薬若しくはエチル求核試薬と反応させて、一般式(I)の化合物(式中、破線は、互いに独立して単結合又は二重結合を表し、XはX
3基を表す)を得る工程
のうちの1つ又は2つを含む、方法に関する。
【0029】
この方法は、方法Bとも称する。
【0030】
本発明の別の態様は、式(I)の化合物若しくは2種以上の一般式(I)の化合物の混合物、又はその立体異性体若しくは2種以上のその立体異性体の混合物の、香料としての使用に関する。
【0031】
本発明の別の態様は、式(I)の化合物若しくは2種以上の式(I)の化合物の混合物、又はその立体異性体若しくは2種以上のその立体異性体の混合物の、フレグランス組成物の香り特性を変更するための使用に関する。
【0032】
本発明のまた別の態様は、式(I)の化合物若しくは2種以上の一般式(I)の化合物の混合物、又はその立体異性体若しくは2種以上のその立体異性体の混合物、並びに少なくとも1種のさらなる香料及び/又は非香料キャリア、ここで非香料キャリアは界面活性剤、油成分及び溶媒からなる群から特に選択される、を含む香料組成物である。
【0033】
本発明はまた、フレグランス組成物、例えばすぐに使用できるフレグランス組成物を調製するため、又はフレグランス組成物、例えばすぐに使用できるフレグランス組成物の香り特性を変更する方法であって、式(I)の化合物若しくは2種以上の一般式(I)の化合物の混合物、又はその立体異性体若しくは2種以上のその立体異性体の混合物を、前記組成物に組み込む(incorporating)工程を含む、方法に関する。
【0034】
式(I)の化合物及び2種以上の式(I)の化合物の混合物、その立体異性体及びその立体異性体の混合物は、有利な官能的特性、特に感じのよい匂いを持つ。したがって、それらは、例えば芳香組成物、ボディケア組成物(化粧品組成物、口腔及び歯科衛生用品を含む)、衛生用品、洗浄組成物(食器洗い用組成物を含む)、繊維用洗剤組成物、香りディスペンサー用組成物、食品、栄養補助食品、医薬組成物、作物保護組成物及び他のすぐに使用できる組成物に香料として有利に使用することができる。
【0035】
さらに、式(I)の化合物及び2種以上の式(I)の化合物の混合物、その立体異性体及びその立体異性体の混合物は、他の感覚的効果、例えば特に冷却効果をもたらすことができる。
【0036】
それらの物理的性質により、式(I)の化合物及び2種以上の式(I)の化合物の混合物、その立体異性体及びその立体異性体の混合物は、すぐに使用できるフレグランス組成物、例えば特に芳香組成物中の他のフレグランス及び他の通例の成分に対して、特に良好で実質的に普遍的な溶媒特性を有する。したがって、式(I)の化合物及び2種以上の式(I)の化合物の混合物、その立体異性体及びその立体異性体の混合物は、他の香料と有利に組み合わせ可能であり、特に、新規な都合のよい感覚プロファイルを有する芳香組成物の生成を可能とする。
【0037】
さらに、式(I)の化合物及び2種以上の式(I)の化合物の混合物、その立体異性体及びその立体異性体の混合物は、容易に利用可能な出発化合物から出発するわずか1つ又は2つの工程しか一般に必要としない単純な合成によって、良い収率及び純度で生成できる。したがって、式(I)の化合物及び2種以上の式(I)の化合物の混合物、その立体異性体及びその立体異性体の混合物は、大規模、及び単純且つコスト効率の良い様式で生成できる。
【発明を実施するための形態】
【0038】
製造する方法に応じて、式(I)の化合物は、純粋形態又は混合物形態で存在し得る。式(I)の化合物が、[4+2]-環化付加反応、すなわちディールス-アルダー反応を介して調製される場合、化合物(I)は、位置異性体混合物の形態で存在し得る。さらに、式(I)の化合物は、立体異性体混合物、例えば典型的には、[4+2]-環化付加反応で形成されるアンチ及びシン-立体異性体混合物、並びに/又は、化合物(I)の二環式及び三環式炭素環の核構造における1個以上の置換基の存在から生じる立体異性体混合物の形態で存在し得る。
【0039】
したがって、本発明は、単一の純粋な一般式(I)の化合物及び2種以上の式(I)の化合物の混合物、並びに/又はその立体異性体の混合物に関する。
【0040】
「立体異性体」という用語は、光学異性体、例えばエナンチオマー又はジアステレオマーを包含し、後者は、分子中に2つ以上の立体中心があるために存在する。式(I)の化合物は、いくつかの立体中心を有し得る。立体中心は、二環式及び三環式炭素環の橋頭炭素原子であり得、これらの炭素原子はR1a、R1b、R4及びR5a基を有し、但し、特定のR1a、R1b、R4若しくはR5a基が存在し、すなわち水素から選択されず、並びに/又はこれらの炭素原子はR2、R3a、R3b及びR5b基を有し、但し、特定のR2、R3a、R3b若しくはR5b基が存在し、すなわち水素から選択されず、対応する破線は二重結合を表さない。さらに、化合物(I)におけるX基も、例えばXが、X2又はX3基から選択され、X2におけるR6基が水素ではなく、X3におけるR6及びR7基が異なる場合、立体中心を有することがある。本発明は、純粋なエナンチオマー又はジアステレオマー、及びその混合物、並びに化合物(I)の純粋なエナンチオマー若しくは純粋なジアステレオマー、又はそれらの混合物の本発明による使用の両方を提供する。
【0041】
本発明の化合物(I)は、特定の立体化学配置を有し得、主に[4+2]-環化付加反応を介したその好ましい製造のための出発材料として使用されるジエン及びジエノフィルの二重結合の配置により判定される。例えば、化合物(I)において、R1a及びR1b基は、典型的には、ジエン出発材料の二重結合の配置(E-又はZ-配置)により判定されるcis-又はtrans-配置を有し得、ジエンの二重結合の一方がE-配置を有し、もう一方がZ-配置を有する、又はその逆の場合、生じた化合物(I)におけるR1a及びR1b基は、典型的にはtrans-配置を有する。一方、ジエンの二重結合の両方がE-配置を有する、又は両方がZ-配置を有する場合、生じた化合物(I)におけるR1a及びR1b基は、典型的にはcis-配置を有する。さらに、エンド又はエキソ[4+2]-環化付加生成物(ジアステレオ異性体)が生じ得る。したがって、化合物(I)におけるX基は、R1b基に対してシン-又はアンチ配置で配置され得る。
【0042】
本発明の観点から、「純粋なエナンチオマー」という用語は、望ましいエナンチオマーが、>90%eeのエナンチオマー過剰率で存在する、特定の化合物の非ラセミ混合物と理解されるべきである。
【0043】
本発明の観点から、「純粋なジアステレオマー」という用語は、特定の化合物のジアステレオマーの混合物であり、望ましいジアステレオマーが、前記化合物のジアステレオマーの全量に対して>90%の量で存在するもの、と理解されるべきである。
【0044】
本文脈において、「化合物(I)」又は「式(I)の化合物」という用語は、特定の立体異性体又は立体異性体の特定の混合物として定義されていない場合、それを生成するために使用される非立体選択的方法で得られるような化合物の形態を指す。しかしながら、その用語は、化合物(I)の立体化学をより詳細に特定することが必要でない又は可能でない場合にも使用される。
【0045】
好ましくは、Xは、X1又はX2基を表す。特に、XはX1基、特に-(C=O)CH3を表す。
【0046】
好ましくは、R2及びR5b基を有する炭素原子の間の破線は、単結合を表す。
【0047】
好ましくは、R1aは、水素又はメチルから選択され、R1bは水素であり、又はR1aは、R1bと一緒になってメチレン若しくはエチレン基を形成する。
【0048】
より好ましくは、R1a及びR1bは水素であり、又はR1aは、R1bと一緒になってメチレン若しくはエチレン基を形成する。
【0049】
特に、R1a及びR1bは水素であり、又はR1aは、R1bと一緒になってメチレン基を形成する。
【0050】
好ましくは、R2はメチルである。
【0051】
好ましくは、R4は水素である。
【0052】
好ましくは、R5a及びR5b基の一方は水素であるが、もう一方はメチルである。特に、R5a及びR5b基はいずれも水素である。
【0053】
好ましくは、R6は、メチル又はエチル、特にメチルである。
【0054】
好ましくは、R7は、存在する場合、メチル又はエチル、特にメチルである。
【0055】
1、2又は3個のR2、R3a、R3b、R4、R5a及びR5b基が、互いに独立してメチルである一方、その他が水素である化合物(I)がさらに好ましい。
【0056】
特に、R2及びR5b基を有する炭素原子の間の破線は、単結合を表し、
XはX1基、特に-(C=O)CH3を表し、
R2はメチルであり、
R6は、メチル又はエチル、特にメチルであり、
R5a及びR5b基の両方が水素である。
【0057】
本発明の好ましい群の実施形態は、一般式(I')の化合物、その立体異性体、式(I')の化合物の混合物及び式(I')の化合物の立体異性体の混合物に関する。
【0058】
【0059】
式(I')は、R2及びR5b基を有する炭素原子の間の破線が、単結合を表し、R3a及びR3b基を有する炭素原子の間の破線が、単結合又は二重結合を表す式(I)に相当する。式(I')において、X、R1a、R1b、R2、R3a、R3b、R4、R5a、R5b、R5b及びR5bは、式(I)で定義された通りである。
【0060】
本発明のこの好ましい群の実施形態のうち、
R3a及びR3b基を有する炭素原子の間の破線が、単結合又は二重結合を表し、
Xが、式X1からX3
【0061】
【化10】
(式中、アスタリスクは、分子の残部への結合点を表す)
の基を表し、
Xが、特にX
1、とりわけ-(C=O)CH
3であり、
R
1aが、水素又はメチルから選択され、
R
1bが水素であり、又は
R
1aが、R
1bと一緒になってメチレン若しくはエチレン基を形成し、
1、2又は3個のR
2、R
3a、R
3b、R
4、R
5a及びR
5b基が、互いに独立して、メチルである一方、その他が水素であり、
R
6が、メチル又はエチル、特にメチルであり、
R
7が、メチル又はエチル、特にメチルである、
一般式(I')の化合物、その混合物、その立体異性体及びその立体異性体の混合物が好ましい。
【0062】
本発明のさらにより好ましい群の実施形態は、一般式(I')
【0063】
【化11】
(式中、
R
3a及びR
3b基を有する炭素原子の間の破線は、単結合又は二重結合を表し、
Xは、-(C=O)CH
3又は-CH(OH)CH
3、特に-(C=O)CH
3から選択され、
R
1a及びR
1bは水素であり、又はR
1aは、R
1bと一緒になってメチレン若しくはエチレン基を形成し、
R
2、R
3a、R
3b及びR
4は、互いに独立して、水素又はメチルから選択され、
R
5a及びR
5bは水素であり、
R
6は、メチル又はエチルである)
の化合物及びその混合物、その立体異性体及びその立体異性体の混合物に関する。
【0064】
本発明の特に好ましい群の実施形態は、一般式(I.a)の化合物、その立体異性体、式(I.a)の化合物の混合物及び式(I.a)の化合物の立体異性体の混合物に関する。
【0065】
【0066】
式(I.a)は、R2がメチルであり、R5a及びR5bの両方が水素である式(I')に相当する。式(I.a)において、破線は、単結合又は二重結合を表し、可変要素X、R1a、R1b、R3a、R3b、R4は、式(I)で定義された通りであり、式(I)及び(I')に関して示された特に好ましい意味を有し、詳細には、式(I')に関して示されている特に又はとりわけ好ましい意味を有する。
【0067】
式(I.a)の化合物のうち、
Xが、-(C=O)CH3又は-CH(OH)CH3から選択され、
R1a及びR1bが水素であり、又はR1aが、R1bと一緒になってメチレン基を形成し、
R3a、R3b及びR4が、互いに独立して、水素及びメチルからなる群から選択される、
化合物及びその混合物、その立体異性体及びその立体異性体の混合物が特に好ましい。
【0068】
本発明の特定の群の実施形態は、一般式(I.a-R)
【0069】
【化13】
(式中、
破線は、単結合又は二重結合を表し、
Xは、-(C=O)CH
3又は-CH(OH)CH
3から選択され、
R
1a及びR
1bは水素であり、又はR
1aは、R
1bと一緒になってメチレン基を形成し、
R
3a、R
3b及びR
4は、互いに独立して、水素及びメチルからなる群から選択される)
の化合物、その混合物、その立体異性体及びその立体異性体の混合物に関する。
【0070】
本発明のさらにより特定の実施形態は、
破線が、単結合又は二重結合を表し、
Xが、-(C=O)CH3又は-CH(OH)CH3から選択され、特に-(C=O)CH3であり、
R1a及びR1bが水素であり、又はR1aが、R1bと一緒になってメチレン基を形成し、
R3a及びR3bが、互いに独立して、水素又はメチルであり、
R4が水素である、
一般式(I.a-R)の化合物、その混合物、その立体異性体及びその立体異性体の混合物に関する。
【0071】
式(I.a-R)から明らかなように、一般式(I.a-R)の化合物は、ヘキサヒドロ-又はオクタヒドロ-ナフタレン骨格の2位の炭素原子においてR-配置を有する。
【0072】
一般式(I)の化合物に関連して上で説明されているように、一般式(I.a)及び(I.a-R)の化合物は、1つ以上のさらなる立体中心を有し得る。さらなる立体中心は、二環式及び三環式炭素環の橋頭炭素原子であり得、これらの炭素原子はR1a、R1b及びR4基を有し、但し、特定のR1a、R1b若しくはR4基が存在し、すなわち水素から選択されず、並びに/又はこれらの炭素原子はR3a及びR3b基を有し、但し、特定のR3a若しくはR3b基が存在し、すなわち水素から選択されず、破線は二重結合を表さない。さらに、化合物(I.a)におけるX基も、Xが-CH(OH)CH3から選択される場合は、立体中心を有してよい。本発明は、純粋なエナンチオマー又はジアステレオマー、及びその混合物、並びに化合物(I.a)の純粋なエナンチオマー又は純粋なジアステレオマー又はその混合物の本発明による使用の両方を提供する。
【0073】
さらに、一般式(I.a)及び(I.a-R)の化合物も、特定の立体化学の配置を有し得、これは、主に[4+2]-環化付加反応を介したその好ましい製造のための出発材料として使用されるジエン及びジエノフィルの二重結合の配置により判定される。例えば、化合物(I.a)及び(I.a-R)において、R1a及びR1b基は、ジエンの二重結合の一方がE-配置を有し、もう一方がZ-配置を有する、又はその逆である場合、典型的にはtrans-配置を有する。一方、化合物(I.a)及び(I.a-R)において、R1a及びR1b基は、ジエンの二重結合の両方がE-配置を有する、又は両方がZ-配置を有する場合、典型的にはcis-配置を有する。さらに、エンド又はエキソ[4+2]-環化付加生成物(ジアステレオ異性体)が生じ得る。したがって、化合物(I.a)及び(I.a-R)におけるX基は、R1b基に対してシン-又はアンチ配置で配置され得る。これ以外に、ヘキサヒドロ-又はオクタヒドロ-ナフタレン骨格の2位の炭素原子に結合したメチル基は、X基に対するシン-又はアンチ配置で配置され得る。
【0074】
式(I)、(I')及び(I.a)の好ましい化合物の例は、一般式(I-1)から(I-7)
【0075】
【化14】
(式中、Xは、本明細書で定義されており、-(C=O)CH
3、-CH(OH)CH
3及び-C(OH)(CH
3)
2からなる群から特に選択される)
の化合物である。
【0076】
式(I-1)から(I-7)の1種以上の化合物の混合物、式(I-1)から(I-7)の化合物の立体異性体及び2種以上のその立体異性体の混合物が同じく好ましい。
【0077】
式(I)、(I')及び(I.a)のより好ましい化合物は、Xが-(C=O)CH3又は-CH(OH)CH3である、上に定義されたような一般式(I-1)から(I-7)の化合物から選択される。
【0078】
式(I)、(I')及び(I.a)のさらにより好ましい化合物は、Xが-(C=O)CH3である、上に定義されたような一般式(I-1)から(I-7)の化合物から選択される。
【0079】
式(I-1)から(I-7)の化合物において、メチル基を持つ左の炭素環の炭素原子は、R-配置又はS-配置を有し得る。前記炭素原子が優位にR-配置を有する式(I-1)から(I-7)の化合物が好ましい。しかし、前記炭素原子がR-配置を有する式(I-1)から(I-7)のうちの1つの化合物と、前記炭素原子がS-配置を有する式(I-1)から(I-7)の対応する化合物の混合物も好ましい。
【0080】
式(I)、(I')及び(I.a)の好ましい化合物の例は、一般式(I-1-R)から(I-6-R)及び(I-7)
【0081】
【化15】
(式中、Xは、-(C=O)CH
3、-CH(OH)CH
3及び-C(OH)(CH
3)
2からなる群から選択される)
の化合物から選択される。
【0082】
式(I-1-R)から(I-7-R)の1種以上の化合物の混合物、式(I-1-R)から(I-7-R)の化合物の立体異性体、及び2種以上のその立体異性体の混合物は、同じく好ましい。
【0083】
特に好ましい化合物(I)は、Xが、-(C=O)CH3又は-CH(OH)CH3であり、特にXが-(C=O)CH3である、上に定義されたような一般式(I-1-R)から(I-6-R)及び(I-7)の化合物から選択される。
【0084】
特に好ましい化合物(I)の例は、
1-(7-メチル-1,5,6,7,8,8a-ヘキサヒドロ-1,4-メタノナフタレン-4a(4H)-イル)エタン-1-オン、
1-(7-メチルオクタヒドロ-1,4-メタノナフタレン-4a(2H)-イル)エタン-1-オン、
1-(2,7-ジメチル-1,3,4,5,8,8a-ヘキサヒドロナフタレン-4a(2H)-イル)エタン-1-オン、
1-(2,7-ジメチルオクタヒドロナフタレン-4a(2H)-イル)エタン-1-オン、
1-(2,6,7-トリメチル-1,3,4,5,8,8a-ヘキサヒドロナフタレン-4a(2H)-イル)エタン-1-オン、
1-(2,3,7-トリメチルオクタヒドロナフタレン-4a(2H)-イル)エタン-1-オン及び
1-(1,5,6,7,8,8a-ヘキサヒドロ-1,4-メタノナフタレン-4a(4H)-イル)エタン-1-オン、
特に
1-((7-メチル-1,5,6,7,8,8a-ヘキサヒドロ-1,4-メタノナフタレン-4a(4H)-イル)エタン-1-オン、
1-(7-メチルオクタヒドロ-1,4-メタノナフタレン-4a(2H)-イル)エタン-1-オン、
1-(2,7-ジメチル-1,3,4,5,8,8a-ヘキサヒドロナフタレン-4a(2H)-イル)エタン-1-オン、
1-(2,7-ジメチルオクタヒドロナフタレン-4a(2H)-イル)エタン-1-オン、
1-(2,6,7-トリメチル-1,3,4,5,8,8a-ヘキサヒドロナフタレン-4a(2H)-イル)エタン-1-オン及び
1-(2,3,7-トリメチルオクタヒドロナフタレン-4a(2H)-イル)エタン-1-オン
である。
【0085】
また、特に好ましい化合物(I)の例は、
1-((7R)-7-メチル-1,5,6,7,8,8a-ヘキサヒドロ-1,4-メタノナフタレン-4a(4H)-イル)エタン-1-オン、
1-((7R)-7-メチルオクタヒドロ-1,4-メタノナフタレン-4a(2H)-イル)エタン-1-オン、
1-((2R)-2,7-ジメチル-1,3,4,5,8,8a-ヘキサヒドロナフタレン-4a(2H)-イル)エタン-1-オン、
1-((2R)-2,7-ジメチルオクタヒドロナフタレン-4a(2H)-イル)エタン-1-オン、
1-((2R)-2,6,7-トリメチル-1,3,4,5,8,8a-ヘキサヒドロナフタレン-4a(2H)-イル)エタン-1-オン、
1-((7R)-2,3,7-トリメチルオクタヒドロナフタレン-4a(2H)-イル)エタン-1-オン及び
1-(1,5,6,7,8,8a-ヘキサヒドロ-1,4-メタノナフタレン-4a(4H)-イル)エタン-1-オンであり、
特に
1-((7R)-7-メチル-1,5,6,7,8,8a-ヘキサヒドロ-1,4-メタノナフタレン-4a(4H)-イル)エタン-1-オン、
1-((7R)-7-メチルオクタヒドロ-1,4-メタノナフタレン-4a(2H)-イル)エタン-1-オン、
1-((2R)-2,7-ジメチル-1,3,4,5,8,8a-ヘキサヒドロナフタレン-4a(2H)-イル)エタン-1-オン、
1-((2R)-2,7-ジメチルオクタヒドロナフタレン-4a(2H)-イル)エタン-1-オン、
1-((2R)-2,6,7-トリメチル-1,3,4,5,8,8a-ヘキサヒドロナフタレン-4a(2H)-イル)エタン-1-オン及び
1-((7R)-2,3,7-トリメチルオクタヒドロナフタレン-4a(2H)-イル)エタン-1-オン
である。
【0086】
式(I)の化合物は、有機化学の標準方法により、また特に、本明細書に記載されている方法A及びBによって調製できる。
【0087】
より正確に言えば、一般式(I)の化合物は、ディールス-アルダー反応の条件下で、適切なオレフィン前駆体と適切なジエン前駆体の[4+2]-環化付加反応を介して効率的に調製できる。必要に応じて、これらの[4+2]-環化付加生成物は、さらなる工程において、一般式(I)(式中、破線は単結合を表し、XはX1基を表す)の化合物を得るために、C=C二重結合の選択的触媒水素化反応に供してよい。又は、[4+2]-環化付加生成物は、一般式(I)(式中、破線は単結合を表し、XはX2基を表す)の化合物を得るために、C=C二重結合及びX1基のC=O二重結合を還元する完全な触媒水素化反応に供してよい。別法として、又はC=C二重結合の水素化に加えて、X1基を含む[4+2]-環化付加生成物は、必要に応じてX1基をX2又はX3基に変換するために、還元又は置換反応に供してよい。
【0088】
本発明の方法Aの工程(i)は、触媒の存在下で、上に定義されたような一般式(III)のジエン化合物を、上に定義されたような一般式(II)の化合物と反応させて、一般式(I)(式中、R3a及びR3b基を有する炭素原子の間の破線は、二重結合であり、XはX1基を表す)の化合物を得ることを含む。同じく、本発明の方法Bの工程(i')は、触媒の存在下で、上に定義されたような一般式(III')のジエン化合物を、上に定義されたような一般式(II')の化合物と反応させて、一般式(I)(式中、R3a及びR3b基を有する炭素原子の間の破線は、二重結合であり、XはX1基を表す)の化合物を得ることを含む。
【0089】
典型的には、工程(i)及び(i')は、ディールス-アルダー反応、すなわち[4+2]-環化付加反応の条件下で行われる。これは、適切な触媒の存在下で、及び典型的には非含水溶媒の存在下で、[4+2]-環化付加生成物を生成するのに十分な条件下で、一般式(III)のジエン化合物を、「ジエノフィル」とも称する一般式(II)のオレフィン化合物と接触させる方法Aを意味する。これは、適切な触媒の存在下で、及び典型的には非含水溶媒の存在下で、[4+2]-環化付加生成物を生成するのに十分な条件下で、一般式(III')のジエン化合物を、「ジエノフィル」とも称する一般式(II')の化合物と接触させる方法Bを意味する。
【0090】
ディールス-アルダー反応において、二重又は三重結合を含有する化合物が、共役ジエン基の1,4-位に付加し、6員環を形成する。不飽和化合物の共役ジエンへの付加は、一般に、不飽和点に隣接したカルボニル基により大幅に増強される。
【0091】
ディールス-アルダー反応の個々の反応条件は、当業者に周知である。例えば、H.-J. Liuら、Can. J. Chem. 72、1883(1994);F. Fringuelliら、Org. Lett. 8(12)、2487(2006);JOC、51(26)、5178(1986);W. E. Delaneyら、WO2012/087596A1;T. K. M. Shingら、Tetrahedron 60(2004)9179により記載されている手順が、類推により適用され得る。
【0092】
工程(i)及び(i')それぞれにおける環化付加反応に適用され得る適切な触媒は、典型的にはルイス酸、例えばアルミニウム、亜鉛及びチタンのハロゲン化物であり、これらは非担持形態で適用しても、又は担持形態で適用してもよい。適切な担持ルイス酸は、例えばシリカ担持AlCl3であり得る。
【0093】
工程(i)及び(i')における反応に使用される触媒の量は、典型的には、1当量の式(II)及び(II')の化合物に対してそれぞれ、0.001~1当量の範囲、好ましくは0.01~0.5当量の範囲である。
【0094】
工程(i)及び(i')それぞれにおける反応で反応する、式(II)及び(II')の化合物それぞれと、式(III)及び(III')のジエン化合物それぞれとの比は、典型的には1:0.9~1:10の範囲、好ましくは1:1~1:5の範囲である。
【0095】
工程(i)及び(i')における反応は、典型的には、不活性溶媒、すなわちディールス-アルダー反応に適用される出発材料、中間体及び試薬と、又は得られた生成物と反応しない溶媒の存在下で実施される。適切な溶媒は、例えば芳香族及び置換芳香族炭化水素、例としてベンゼン、クロロベンゼン、ジクロロベンゼン、トルエン、キシレン;並びに脂肪族炭化水素、例えばペンタン、ヘキサン、シクロヘキサン、ヘプタン、オクタン、ノナン、デカン、リグロイン及び石油エーテル、ハロゲン化脂肪族炭化水素、例えばジクロロメタン、トリクロロメタン及びテトラクロロメタン、エーテル、例えばジブチルエーテル、テトラヒドロフラン(THF=、1,4-ジオキサン、1,2-ジメトキシエタンと;それらの混合物である。
【0096】
工程(i)及び(i')それぞれにおける環化付加反応に適用される反応温度は、一般に0~100℃、好ましくは10~70℃である。
【0097】
このようにして、一般式(I)(式中、R3a及びR3b基を有する炭素原子の間の破線は、二重結合であり、XはX1基を表す)の化合物が得られる。
【0098】
本発明による方法の工程(i)及び(i')それぞれで得られたこれらの環化生成物は、純粋な形態で又は生成物混合物の形態で得ることができる。工程(i)及び(i')それぞれの環化生成物は、オレフィンがそれ自体、環化付加反応中に様々な手法でジエノフィルに対して配置できるため、多くの場合、位置及び/又は立体異性体混合物の形態で得られる。オレフィンのジエノフィルに対する配置は、化合物(II)/(II')のC=C二重結合の炭素原子上における置換基の存在及び性質、並びに/又は、ジエン(III)/(III')の共役ジエン系の1,4-炭素原子上における置換基の存在及び性質に高度に依存する。
【0099】
立体異性体混合物が得られる場合、これらは典型的には、通例ディールス-アルダー反応で形成されるアンチ及びシン-立体異性体混合物、すなわちジアステレオ異性体混合物である。必要に応じて、これらの生成物混合物は、純粋な位置及び/又は立体異性体を得るために、精製工程にさらに供してよい。そのような精製は、適用可能であれば、例えばクロマトグラフィー方法を使用すること、結晶化及び/又は蒸留により行われ得る。
【0100】
工程(ii.a)及び(ii'.a)それぞれにおいて、工程(i)及び(i')それぞれで得られた化合物のC=C二重結合は、すなわち式(I)(式中、R3a及びR3b基を有する炭素原子の間の破線は、二重結合であり、XはX1基を表す)の化合物又は化合物の混合物は、一般式(I)(式中、破線は単結合を表し、XはX1基を表す)の化合物又は化合物の混合物を得るために、水素化触媒の存在下で、水素で選択的に水素化される。
【0101】
カルボニル基に影響しない、不飽和アルデヒド及びケトンにおけるC=C結合の選択的水素化に適切な方法は、例えば、P. Gallezotら、Catal. Rev. - Sci. Eng. 40(1&2)、(1998)81~126頁、及びそこに挙げられている文献; P. Claus、Topics in Catalysis 5、(1998)、51~62頁、及びそこに挙げられている文献、V. Pandarusら、Org. Process Res. Dev.、2012、16、1230頁;J.P. Camarena-Diazら、Organometallics、2019、38、844頁;J. Ishiyamaら、Chem Lett.(1983)、8、1234頁;P. Gosselinら、Tetrahedron、2001、57(4)、733頁から周知である。
【0102】
典型的には、工程(ii.a)及び(ii'.a)それぞれにおける選択的水素化は、液相において、不均一系水素化触媒の存在下で、水素で実施される。不均一系水素化触媒及び反応条件は、カルボニル基が影響されないように選択される。
【0103】
工程(ii.a)及び(ii'.a)それぞれの選択的水素化に適用され得る適切な水素化触媒は、カルボニル基の存在下でC=C二重結合の選択的水素化に通例使用されるものである。不均一系水素化触媒は、好ましくは、第VIII族の少なくとも1種の金属を含む。適切な第VIII族の金属は、ルテニウム、コバルト、ロジウム、ニッケル、パラジウム及び白金からなる群、好ましくはルテニウム、ニッケル、パラジウム及び白金からなる群から選択される。不均一系水素化触媒は、特に、触媒活性種としてのパラジウムを含む。
【0104】
好ましくは、工程(ii.a)及び(ii'.a)のそれぞれに適用され得る不均一系水素化触媒は、不均一系水素化担持触媒である。担体は、触媒活性材料がコーティングされていてもよい任意の様々な材料であり得る。典型的には、かなり高い表面積を有し、適用される反応下で、また必要に応じて、適用される再生条件下で安定な担体材料が好ましい。適切な材料は、例えば鉱物素材、例として天然及び合成鉱物、金属酸化物、ガラス若しくはセラミック、炭素、例えば活性炭素若しくはカーボンブラック、プラスチック、例えば合成若しくは天然ポリマー又はそれらの組合せである。好ましい担体材料は、例えば活性炭素、二酸化ケイ素、特に非晶質二酸化ケイ素、アルミナ、二酸化チタン、二酸化クロム、並びにまた、アルカリ土類金属の硫酸塩及び炭酸塩、例えば炭酸カルシウム、硫酸カルシウム、炭酸マグネシウム、硫酸マグネシウム、炭酸バリウム、及び硫酸バリウムである。担持不均一系水素化触媒は、粉末、粒子、ペレット、モノリス、ハニカム、充填層、フォーム、エアロゲル、顆粒、ビーズ、ピル、シリンダー、トリローブ(trilobe)、押出物、球若しくは他の丸い形状の形態で、又は他の製造された構造体の形態で使用され得る。
【0105】
反応温度は、一般に10~120℃、好ましくは20~100℃、特に30~90℃である。水素圧は、一般に2~100barの絶対圧(0.2~10MPa)、好ましくは5~50barの絶対圧(0.5~5MPa)である。水素化は、この目的に関して公知の様々な反応器で実施できる。固定床反応器、特にトリクルベッド反応器が優先される。
【0106】
水素化反応は、不活性溶媒の存在下又は非存在下で実施できる。好ましくは、水素化反応は、不活性溶媒の存在下で実施される。適切な不活性溶媒は、例としてアルコール、例えばメタノール、エタノール、プロパノール及びイソプロパノール;芳香族、及び置換芳香族炭化水素、例えばベンゼン、クロロベンゼン、ジクロロベンゼン、トルエン、キシレン;及び脂肪族炭化水素、例えばペンタン、ヘキサン、シクロヘキサン、ヘプタン、オクタン、ノナン、デカン、リグロイン及び石油エーテル、ハロゲン化脂肪族炭化水素、例えばジクロロメタン、トリクロロメタン及びテトラクロロメタン、エーテル、例えばジブチルエーテル、THF、1,4-ジオキサン、1,2-ジメトキシエタン;並びにそれらの混合物である。
【0107】
工程(ii.b)及び(ii'.b)それぞれにおいて、工程(i)及び(i')それぞれで得られた生成物、すなわち式(I)(式中、R3a及びR3b基を有する炭素原子の間の破線は、二重結合であり、XはX1基を表す)の化合物又は化合物の混合物のC=C二重結合及びC=O二重結合は、一般式(I)(式中、破線は単結合を表し、XはX2基を表す)の化合物又は化合物の混合物を得るために、水素化触媒の存在下で、水素で水素化される。
【0108】
水素化は、EP1318131又はWO2006/056435に記載されている方法と同じように行われ得る。
【0109】
工程(iii.a)及び(iii.a')それぞれにおいて、工程(i)及び(i')それぞれで得られた化合物、又は工程(ii.a)及び(ii.a')それぞれで得られた化合物、すなわち一般式(I)(式中、破線は、互いに独立して単結合又は二重結合を表し、XはX1基を表す)の化合物は、一般式(I)(式中、破線は、互いに独立して単結合又は二重結合を表し、XはX2基を表す)の化合物を得るために、カルボニル基のヒドロキシル基への(選択的)還元反応に供する。
【0110】
アルコールを得るためのカルボニル基の適切な還元方法、又はアリルアルコールを得るためのC=C二重結合の存在下でのカルボニル基の選択的還元は、当業者に周知である。カルボニル基の還元は、例えば工程(i)及び(i')それぞれで得られた化合物、又は工程(ii.a)及び(ii'.a)(式中、XはX1基を表す)それぞれで得られた化合物を、水素化ホウ素、例えばリチウム、ナトリウム若しくはカリウムテトラヒドロボレート又は水素化アルミニウム、例えば水素化リチウムアルミニウムと反応させることにより達成され得る。反応は、例えば、S. Krishnamurthyら、Org. Chem.、1977、42(7)、1197~1201頁、J. C. Fullerら、Tetrahedron Lett. 34、1993、257~260頁、B. Zeynidazehら、Bull. Korean Chem. Soc. 24(3)、2003、295~298頁により記載されている方法と同じように行われ得る。カルボニル基の還元は、しかし、例えばEP71787で記載されている方法と同じように、工程(i)で得られた化合物又は工程(ii.a)で得られた化合物(式中、XはX1基を表す)それぞれを、遷移金属触媒の存在下で、水素と反応させることによっても達成され得る。
【0111】
或いは、工程(iii.b)及び(iii.b')それぞれにおいて、工程(i)及び(i')それぞれで得られた化合物、又は工程(ii.a)及び(ii'.a)それぞれで得られた化合物、すなわち一般式(I)(式中、破線は、互いに独立して単結合又は二重結合を表し、XはX1基を表す)の化合物は、一般式(I)の化合物(式中、破線は、互いに独立して単結合又は二重結合を表し、XはX3基を表す)を得るために、メチル求核試薬又はエチル求核試薬を用いた求核置換反応に供する。
【0112】
典型的には、本発明の方法の工程(iii.b)及び(iii.b')それぞれにおいて、メチル求核試薬又はエチル求核試薬は、式R7aM(式中、R7aは、メチル又はエチルであり、Mは、金属原子又は金属ハロゲン化物基、例えばリチウム原子又はハロゲン化マグネシウム基、例としてMgCl、MgBr又はMgIである)のR7a金属結合アルキル基を有する金属有機試薬である。反応は、例えばグリニャール反応の条件下で、カルボニル基を金属有機化合物R7aMと反応させる周知のプロセスと同じように行われ得る。例えばK. Nutzelら、Methoden Org Chem(Houben Weyl) 1973、第13/2a巻、49~527頁;J. C. Stowell, Chem. Rev. 1984、84、409~435頁、H. M. Walborsky、Acc. Chem. Res. 1990、23、286~293頁、J. F. Garst、Acc. Chem. Res. 1991、24、95~97頁、A. Furstner、Angew. Chem. Int. Ed. Engl. 1993、32、164~189頁及びそこに挙げられている参考文献を参照されたい。
【0113】
一般に、工程(i)、(i')、(ii.a)、(ii'.a)、(ii.b)、(ii'.b)、(iii.a)、(iii.b)、(iii.b)、及び/又は(iii'.b)で得られた反応混合物は、例えば、水と混合し、反応混合物を中和し、反応に酸、例えばルイス酸、塩基及び/又は金属有機試薬が適用される場合、相を分離し、生成物を有機相から単離し、適切な場合、通常の方法、例えば、蒸留法、抽出法、又はクロマトグラフィー法により粗生成物を精製することにより、従来の様式で後処理される。反応が不均一系触媒、例えば担持ルイス酸触媒又は不均一系水素化触媒の存在下で実行されない場合、触媒は、典型的には後処理前に濾去される。
【0114】
本方法の工程(i)及び(i')それぞれにおける[4+2]-環化付加反応で出発材料として使用される一般式(II)及び(II')の化合物、並びに一般式(III)及び(III')のジエン化合物は、市販されている、又はそれらは、当技術分野において十分記載されているプロセスを使用することにより、容易に入手可能な前駆体から調製できる。
【0115】
例えば、式(II)(式中、X'はX1基である)の化合物は、スキーム1aで描写されている以下の反応シークエンスにより調製できる。
【0116】
【0117】
同じく、式(II')(式中、X'はX1基である)の化合物は、スキーム1bで描写されている以下の反応シークエンスにより調製できる。
【0118】
【0119】
スキーム1a及び1bで描写されている反応シークエンスを実施する適切な方法は、例えば、Gadzhievら、Azerbaidzhanskii Khimicheskii Zhurnal(2005)、(2)、63~66頁により記載されている。
【0120】
上に定義されたような、式(I)の化合物及び2種以上の式(I)の化合物の混合物、その立体異性体及びその立体異性体の混合物は、香料として有用である。
【0121】
したがって、本発明のさらなる態様は、上に定義されたような、式(I)の化合物若しくは2種以上の一般式(I)の化合物の混合物、又はその立体異性体若しくは2種以上のその立体異性体の混合物の、香料としての使用である。
【0122】
「香料」という用語は、感覚印象、より正確に言えば嗅覚又は香味の印象、特にフレグランス又は香味の印象を得るために使用される物質を表す。「嗅覚」という用語は、あらゆる肯定的又は否定的な判断のない匂いの印象を表す一方で、「フレグランス」(「芳香」又は「香り」とも呼ばれる)という用語は、感じのよいものとして一般に感じられる匂いの印象に関係する。香味は、味の印象を引き起こす。
【0123】
「感じのよい匂い」、「感じのよい匂いの印象」、「感じのよい芳香を放つ特性」は、香料により伝えられる匂いの印象の心地よさ(niceness)及び簡明さ(conciseness)を説明する快楽表現である。「都合のよい感覚特性」又は「都合のよい官能的特性」という、より一般的な快楽表現は、香料により伝えられる官能的印象の心地よさ及び簡明さを説明する。「心地よさ」及び「簡明さ」は、当業者、香料製造者になじみ深い用語である。心地よさは、一般に、自然にもたらされ、肯定的に知覚される、感じのよい感覚印象を指す。しかしながら、「心地よい」は、「甘い(sweet)」と同義である必要はない。「心地よい」はまた、ジャコウ(musk)又はビャクダン(sandalwood)の匂いであってもよい。「簡明さ」は、一般に、同じ試験パネルに対して、特定の何かを再現性よく同一に思い出させる、自然にもたらされる感覚印象を指す。例えば、物質は、「リンゴ」の匂いを自然に連想させる匂いを有することができ、それゆえ、その匂いは、簡明に「リンゴ」の匂いになるであろう。このリンゴの匂いが、例えば、甘く、完熟したリンゴを連想させるので非常に感じのよかった場合は、その匂いは「心地よい」と呼ばれるであろう。しかしながら、典型的には、酸味のあるリンゴの匂いも、簡明になり得る。両方の反応が、物質の匂い、この例ではしたがって心地よく簡明なリンゴの匂いをかぐ際に発生する場合、この物質は、特に都合のよい感覚特性を有する。
【0124】
「匂いの強い物質」という用語は、強い匂いの印象を示す物質又は香料を指す。強い匂いの印象は、気体空間濃度が非常に低い場合であっても際立った知覚を可能とする、香料のそれらの特性を意味していると理解される。強さは、しきい値測定により測定できる。しきい値は、もはやそれを定義する必要はないが、匂いの印象が代表的な試験パネルにより依然としてちょうど知覚できる関連する気体空間中の物質の濃度である。最も匂いの強い公知の物質クラスにおおかた属する、すなわち、非常に低い匂いのしきい値を有する物質クラスは、チオールであり、そのしきい値は、多くの場合、ppb/m3の範囲である。
【0125】
好ましくは、上に定義されたような、式(I)の化合物及び2種以上の式(I)の化合物の混合物、その立体異性体及びその立体異性体の混合物は、フレグランスとして使用される。
【0126】
特に、1-((7R)-7-メチル-1,5,6,7,8,8a-ヘキサヒドロ-1,4-メタノナフタレン-4a(4H)-イル)エタン-1-オンは、タバコ、アンバー、ウォーム(warm)及びウッディのノートを付与するために使用されるか、又は、タバコ、アンバー、ウォーム及びウッディのノートを用いて香りを生成するために使用される。
【0127】
特に、1-((7R)-7-メチルオクタヒドロ-1,4-メタノナフタレン-4a(2H)-イル)エタン-1-オンは、ウッディ及びアンバーのノートを付与するために使用されるか、又は、ウッディ及びアンバーのノートを用いて香りを生成するために使用される。
【0128】
特に、1-((2R)-2,7-ジメチル-1,3,4,5,8,8a-ヘキサヒドロナフタレン-4a(2H)-イル)エタン-1-オンは、グリーン、ペッパー及びハーベシアスのノートを付与するために使用されるか、又は、グリーン、ペッパー及びハーベシアスのノートを用いて香りを生成するために使用される。
【0129】
特に、1-((2R)-2,7-ジメチルオクタヒドロナフタレン-4a(2H)-イル)エタン-1-オンは、ウッディ、ウォーム及びアンバーのノートを付与するために使用されるか、又はウッディ、ウォーム及びアンバーのノートを用いて香りを生成するために使用される。
【0130】
特に、1-((2R)-2,6,7-トリメチル-1,3,4,5,8,8a-ヘキサヒドロナフタレン-4a(2H)-イル)エタン-1-オンは、ラバリー(rubbery)、ウッディ及びフェイント(faint)のノートを付与するために使用されるか、又は、ラバリー、ウッディ及びフェイントのノートを用いて香りを生成するために使用される。
【0131】
特に、1-((7R)-2,3,7-トリメチルオクタヒドロナフタレン-4a(2H)-イル)エタン-1-オンは、シダー及びウッディのノートを付与するために使用されるか、又は、シダー及びウッディのノートを用いて香りを生成するために使用される。
【0132】
特に、1-(1,5,6,7,8,8a-ヘキサヒドロ-1,4-メタノナフタレン-4a(4H)-イル)エタン-1-オンは、ハーベシアス及びテクニカルのノートを付与するために使用されるか、又は、ハーベシアス及びテクニカルのノートを用いて香りを生成するために使用される。
【0133】
上に定義されたような、式(I)の化合物及び2種以上の式(I)の化合物の混合物、その立体異性体及びその立体異性体の混合物は、一般に、すぐに使用できる組成物中で、特にすぐに使用できるフレグランス組成物中で使用される。「すぐに使用できるフレグランス組成物」は、本明細書で使用する場合、感じのよい匂いの印象を優位に引き起こす、すぐに使用できる組成物を指す。
【0134】
すぐに使用できるフレグランス組成物は、例えば、パーソナルケア、ホームケア、工業的用途で使用される組成物、及び他の用途で使用される組成物、例えば医薬組成物又は作物保護組成物である。
【0135】
好ましくは、式(I)の化合物及び2種以上の式(I)の化合物の混合物、その立体異性体及びその立体異性体の混合物は、芳香組成物、ボディケア組成物(化粧品組成物、口腔及び歯科衛生用品を含む)、衛生用品、洗浄組成物(食器洗い用組成物を含む)、繊維用洗剤組成物、香りディスペンサー用組成物、食品、栄養補助食品、医薬組成物、並びに作物保護組成物からなる群から選択される組成物中で使用される。式(I)の化合物及び2種以上の式(I)の化合物の混合物、その立体異性体及びその立体異性体の混合物は、香料として、好ましくはフレグランスとして、上記の組成物中で使用される。
【0136】
特に、1-((7R)-7-メチル-1,5,6,7,8,8a-ヘキサヒドロ-1,4-メタノナフタレン-4a(4H)-イル)エタン-1-オンは、タバコ、アンバー、ウォーム及びウッディのノートを、上に列挙された組成物に付与するために使用される。
【0137】
特に、1-((7R)-7-メチルオクタヒドロ-1,4-メタノナフタレン-4a(2H)-イル)エタン-1-オンは、ウッディ及びアンバーのノートを、上に列挙された組成物に付与するために使用される。
【0138】
特に、1-((2R)-2,7-ジメチル-1,3,4,5,8,8a-ヘキサヒドロナフタレン-4a(2H)-イル)エタン-1-オンは、グリーン、ペッパー及びハーベシアスのノートを、上に列挙された組成物に付与するために使用される。
【0139】
特に、1-((2R)-2,7-ジメチルオクタヒドロナフタレン-4a(2H)-イル)エタン-1-オンは、ウッディ、ウォーム及びアンバーのノートを、上に列挙された組成物に付与するために使用される。
【0140】
特に、1-((2R)-2,6,7-トリメチル-1,3,4,5,8,8a-ヘキサヒドロナフタレン-4a(2H)-イル)エタン-1-オンは、ラバリー、ウッディ及びフェイントのノートを、上に列挙された組成物に付与するために使用される。
【0141】
特に、1-((7R)-2,3,7-トリメチルオクタヒドロナフタレン-4a(2H)-イル)エタン-1-オンは、シダー及びウッディのノートを、上に列挙された組成物に付与するために使用される。
【0142】
特に、1-(1,5,6,7,8,8a-ヘキサヒドロ-1,4-メタノナフタレン-4a(4H)-イル)エタン-1-オンは、ハーベシアス及びテクニカルのノートを、上に列挙された組成物に付与するために使用される。
【0143】
上に列挙された組成物の詳細は、以下に示す。
【0144】
したがって、本発明の別の態様は、式(I)の化合物若しくは2種以上の式(I)の化合物の混合物、又はその立体異性体若しくはその立体異性体の混合物の、フレグランス組成物の香り特性を変更するための使用に関する。
【0145】
嗅覚特性に加えて、式(I)の化合物及び2種以上の式(I)の化合物の混合物、その立体異性体及びその立体異性体の混合物は、有利な二次特性を示す。
【0146】
例えば、それらは、他のフレグランスとの相乗効果の結果として、より良い感覚プロファイルを提供でき、これは、それらが他のフレグランスに対するブースター(booster)効果を提供できることを意味する。したがって、それらは、他のフレグランスのためのブースターとして使用できる。
【0147】
したがって、本発明の別の態様は、式(I)の化合物若しくは2種以上の式(I)の化合物の混合物、又はその立体異性体若しくはその立体異性体の混合物の、他のフレグランスのためのブースター(booster)としての使用に関する。
【0148】
ブースター効果は、物質が、芳香性配合物中で、混合物の全体的な印象を増強する及び強めることを意味する。ミントの範囲では、例えば、メンチルメチルエーテルが、ハッカ油の芳香又は味の混合を強め、特に、トップノートにおいては、格段により強くより複雑な知覚を著しくもたらすが、当該エーテルそれ自体は純粋な物質であり、特定の強い匂いを全く発生させないことは公知である。フレグランス用途において、純粋物質として軽いフローラルジャスミンノートしか示さないHedione(登録商標)(メチルジヒドロジャスモネート)は、匂いブースターとして、芳香組成物の拡散、新鮮さ、及び量(volume)を増強する。ブースター効果は、トップノートが特徴的な用途が要求される場合に特に望まれ、ここで、匂いの印象は、例えばデオドラント、エアフレッシュナーにおいて、又はチューインガムの味の部門において、特に迅速且つ強く伝えられ得る。
【0149】
そのようなブースター効果を達成するために、式(I)の化合物若しくは2種以上の式(I)の化合物の混合物、又はその立体異性体若しくはその立体異性体の混合物は、フレグランス混合物の合計重量に対して、一般に、0.1~20重量%の総量で、好ましくは0.5~5重量%の量で、特に0.6~3重量%の量で使用される。
【0150】
さらに、式(I)の化合物及び2種以上の式(I)の化合物の混合物、その立体異性体及びその立体異性体の混合物は、さらに、それらが使用される組成物に対してさらに肯定的な効果を有し得る。例えば、それらは、それらが組み込まれる組成物の全体的な性能、例えば安定性、例えば組成物の配合安定性、拡張性、又は持続力を増強できる。
【0151】
さらに、式(I)の化合物、及び2種以上の式(I)の化合物の混合物、その立体異性体及びその立体異性体の混合物は、他の感覚的効果、例えば特に冷却効果をもたらすことができる。したがって、これらの化合物は、芳香組成物、ボディケア組成物(特に口腔及び歯科衛生用品)及び衛生用品に特に適切な香料である。
【0152】
別の態様では、本発明は、式(I)の化合物若しくは2種以上の式(I)の化合物の混合物、又はその立体異性体若しくはその立体異性体の混合物を含む香料組成物に関する。「香料組成物」という用語は、本明細書で使用する場合、感じのよい匂いの印象を引き起こす組成物を指す。
【0153】
好ましくは、香料組成物は、
- 式(I)の化合物若しくは2種以上の一般式(I)の化合物の混合物、又はその立体異性体若しくは2種以上のその立体異性体の混合物、並びに
- 少なくとも1種のさらなる香料及び/又は非香料キャリア、ここで非香料キャリアが、界面活性剤、油成分、及び溶媒からなる群から特に選択される、
を含む。
【0154】
さらなる香料は、式(I)の化合物又はその立体異性体若しくはその立体異性体の混合物とは、当然異なる。
【0155】
それらの物理的性質により、式(I)の化合物及び2種以上の式(I)の化合物の混合物、その立体異性体及びその立体異性体の混合物は、すぐに使用できるフレグランス組成物、例えば特に芳香組成物中の他のフレグランス及び他の通例の成分に対して、特に良好で実質的に普遍的な溶媒特性を有する。したがって、それらは、他の香料と十分に組み合わせ可能であり、特に新規な都合のよい感覚プロファイルを有する芳香組成物の生成を可能にする。さらに、既に上で説明したように、それらは、他のフレグランスのためのブースター効果を提供できる。
【0156】
したがって、好ましい一実施形態では、香料組成物は、上に定義されたような、式(I)の化合物又は2種以上の式(I)の化合物の混合物、その立体異性体又はその立体異性体の混合物、及び少なくとも1種のさらなる香料を含む。
【0157】
さらなる香料は例えば、
ゲラニルアセテート(3,7-ジメチル-2,6オクタジエン-1イルアセテート)、アルファ-ヘキシルシンナムアルデヒド、2-フェノキシエチルイソブチレート(Phenirat1)、ジヒドロミルセノール(2,6-ジメチル-7-オクテン-2-オール)、メチルジヒドロジャスモネート(好ましくは、シス型異性体の含量が60重量%超である)(Hedione9、Hedione HC9)、4,6,6,7,8,8-ヘキサメチル-1,3,4,6,7,8-ヘキサヒドロシクロペンタ[g]ベンゾピラン(Galaxolid3)、テトラヒドロリナロオール(3,7-ジメチルオクタン-3-オール)、エチルリナロオール、ベンジルサリチレート、2-メチル-3-(4-tert-ブチルフェニル)プロパナール(Lysmeral2)、シンナミルアルコール、4,7-メタノ-3a,4,5,6,7,7a-ヘキサヒドロ-5-インデニルアセテート及び/又は4,7-メタノ-3a,4,5,6,7,7a-ヘキサヒドロ-6-インデニルアセテート(Herbaflorat1)、シトロネロール、シトロネリルアセテート、テトラヒドロゲラニオール、バニリン、リナリルアセテート、スチロリルアセテート(1-フェニルエチルアセテート)、オクタヒドロ-2,3,8,8-テトラメチル-2-アセトナフトン及び/又は2-アセチル-1,2,3,4,6,7,8-オクタヒドロ-2,3,8,8-テトラメチルナフタレン(Iso E Super3)、ヘキシルサリチレート、4-tert-ブチルシクロヘキシルアセテート(Oryclone1)、2-tert-ブチルシクロヘキシルアセテート(Agrumex HC1)、アルファ-イオノン(4-(2,2,6-トリメチル-2-シクロヘキセン-1-イル)-3-ブテン-2-オン)、n-アルファ-メチルイオノン、アルファ-イソメチルイオノン、クマリン、テルピニルアセテート、2-フェニルエチルアルコール、4-(4-ヒドロキシ-4-メチルペンチル)-3-シクロヘキセンカルボキサルデヒド(Lyral3)、アルファ-アミルシンナムアルデヒド、エチレンブラシレート、(E)-及び/又は(Z)-3-メチルシクロペンタデカ-5-エノン(Muscenon9)、15-ペンタデカ-11-エノリド及び/又は15-ペンタデカ-12-エノリド(Globalide1)、15-シクロペンタデカノリド(Macrolide1)、1-(5,6,7,8-テトラヒドロ-3,5,5,6,8,8-ヘキサメチル-2-ナフタレニル)エタノン(Tonalid10)、2-イソブチル-4-メチルテトラヒドロ-2H-ピラン-4-オール(Florol9)、2-エチル-4-(2,2,3-トリメチル-3-シクロペンテン-1-イル)-2-ブテン-1-オール(Sandolen1)、cis-3-ヘキセニルアセテート、trans-3-ヘキセニルアセテート、trans-2/cis-6-ノナジエノール、2,4-ジメチル-3-シクロヘキセンカルボキサルデヒド(Vertocitral1)、2,4,4,7-テトラメチルオクタ-6-エン-3-オン(Claritone1)、2,6-ジメチル-5-ヘプテン-1-アール(Melonal2)、ボルネオール、3-(3-イソプロピルフェニル)ブタナール(Florhydral2)、2-メチル-3-(3,4-メチレンジオキシフェニル)プロパナール(Helional3)、3-(4-エチルフェニル)-2,2-ジメチルプロパナール(Florazon1)、7-メチル-2H-1,5-ベンゾジオキセピン-3(4H)-オン(Calone)、3,3,5-トリメチルシクロヘキシルアセテート(好ましくは、シス型異性体の含量が、70重量%以上である)及び2,5,5-トリメチル-1,2,3,4,4a,5,6,7-オクタヒドロナフタレン-2-オール(Ambrinol S1)からなる群から選択される1種の香料、好ましくは2種、3種、4種、5種、6種、7種又は8種以上の香料であってよい。したがって、本発明の文脈において、上記香料(複数可)は、好ましくは、上に定義されたような、式(I)の化合物若しくは2種以上の式(I)の化合物の混合物、又はその立体異性体若しくはその立体異性体の混合物と組み合わせられる。
【0158】
上記において商標が示されている場合、これらは、以下の供給元を指す。
1ドイツ、Symrise GmbHの商標、
2BASF SEの商標、
3アメリカ、International Flavors & Fragrances Inc.の商標、
9スイス、Firmenich S.A.の商標、
10オランダ、PFW Aroma Chemicals B.V.の商標。
【0159】
本発明のさらなる実施形態は、上に定義されたような、式(I)の化合物若しくは2種以上の式(I)の化合物の混合物、又はその立体異性体若しくはその立体異性体の混合物、並びにメチルベンゾエート、ベンジルアセテート、ゲラニルアセテート、2-イソブチル-4-メチルテトラヒドロ-2H-ピラン-4-オール及びリナロールからなる群から選択される少なくとも1種のさらなる香料を含む組成物に関する。
【0160】
本発明のさらなる実施形態は、上に定義されたような、式(I)の化合物若しくは2種以上の式(I)の化合物の混合物、又はその立体異性体若しくはその立体異性体の混合物、及び2-イソブチル-4-メチルテトラヒドロ-2H-ピラン-4-オールを含む組成物に関する。
【0161】
本発明のさらなる実施形態は、上に定義されたような、式(I)の化合物若しくは2種以上の式(I)の化合物の混合物、又はその立体異性体若しくはその立体異性体の混合物、及びメチルベンゾエートを含む組成物に関する。
【0162】
上に定義されたような、式(I)の化合物若しくは2種以上の式(I)の化合物の混合物、又はその立体異性体若しくはその立体異性体の混合物を組み合わせて、例えば本発明による組成物を与え得るさらなる香料は、例えば、自費出版されたS. Arctander、Perfume and Flavor Chemicals、第I巻及び第II巻、Montclair, N. J.、1969又はK. Bauer、D. Garbe及びH. Surburg、Common Fragrance and Flavor Materials、第4版、Wiley- VCH、Weinheim 2001において見出すことができる。具体的には、
【0163】
天然原料から得た抽出物、例えば精油、凝固物、アブソリュート、樹脂、レジノイド、バルサム、チンキ、例えば、
【0164】
アンバーグリスチンキ、アミリス油、アンゼリカ種油、アンゼリカ根油、アニス油、吉草根油、メボウキ油、ウッドモスアブソリュート、ベイ油、ヨモギ油、ベンゾイン樹脂、ベルガモット油、蜜蝋アブソリュート、バーチタール油、ビターアーモンド油、セイバリー油、ブークリーフ油、カブリューバ油、カデ油、ショウブ油、ショウノウ油、カナンガ油、カルダモン油、カスカリラ油、カッシャ油、カッシャアブソリュート、カストリュームアブソリュート、シダーリーフ油、シダーウッド油、ゴジアオイ油、シトロネラ油、レモン油、コパイババルサム、コパイババルサム油、コリアンダー油、コスタスルート油、クミン油、シプレス油、ダバナ油、イノンドハーブ油、イノンド種子油、オードブルアブソリュート(Eau de brouts absolute)、オークモスアブソリュート、エレミ油、エストラゴン油、ユーカリプトスシトリオドラ油、ユーカリ油、ウイキョウ油、松葉油、ガルバナム油、ガルバナム樹脂、ゼラニウム油、グレープフルーツ油、グアヤックウッド油、ガージャンバルサム、ガージャンバルサム油、ムギワラギクアブソリュート、ムギワラギク油、ショウガ油、イリス根アブソリュート、イリス根油、ジャスミンアブソリュート、ショウブ油、ブルーカモミル油、ローマカモミール油、ニンジン種子油、カスカリラ油、松葉油、スペアミント油、キャラウェー油、ラブダナム油、ラブダナムアブソリュート、ラブダナム樹脂、ラバンジンアブソリュート、ラバンジン油、ラベンダーアブソリュート、ラベンダー油、レモングラス油、ロベージ油、蒸留ライム油、圧搾ライム油、リナロール油、リトセアキュベバ油、ローレル(laurel)リーフ油、メース油、マジョラム油、マンダリン油、マッソイバーク油、ミモザアブソリュート、ジャコウ種子油、ジャコウチンキ、クラリセージ油、ナツメグ油、ミルラアブソリュート、ミルラ油、ミルテ油、丁子葉油、丁子花油、ネロリ油、乳香アブソリュート、乳香油、オポパナックス(opopanax)油、オレンジフラワーアブソリュート、オレンジ油、オリガナム油、パルマローザ油、パッチュリ油、エゴマ油、ペルーバルサム油、パセリ葉油、パセリ種子油、プチグレン油、ペパーミント油、胡椒油、ピメント油、パイン油、ペニーローヤル油、ローズアブソリュート、ボアドローズ油、ローズ油、ローズマリー油、ダルマチアセージ油、スペインセージ油、白檀油、セロリ種子油、スパイクラベンダー油、スターアニス油、エゴ油、タゲテス油、ファーニードル油、ティーツリー油、テレピン油、タイム油、トルーバルサム、トンカアブソリュート、チュベローズアブソリュート、バニラ抽出物、バイオレットリーフアブソリュート、バーベナ油、ベチバ油、ジュニパーベリー油、ワイン澱油、アブサン油、ウィンターグリーン(winter green)油、ヒソップ油、シベットアブソリュート、シナモンリーフ油、シナモンバーク油及びこれらの画分又はこれらから単離される成分、
【0165】
炭化水素の群からの個別のフレグランス、例えば3-カレン、アルファ-ピネン、ベータ-ピネン、アルファ-テルピネン、ガンマ-テルピネン、p-シメン、ビサボレン、カンフェン、カリオフィレン、セドレン、ファルネセン、リモネン、ロンギフォレン、ミルセン、オシメン、バレンセン、(E,Z)-1,3,5-ウンデカトリエン、スチレン、ジフェニルメタン、
【0166】
脂肪族アルコール、例えばヘキサノール、オクタノール、3-オクタノール、2,6-ジメチルヘプタノール、2-メチル-2-ヘプタノール、2-メチル-2-オクタノール、(E)-2-ヘキセノール、(E)-及び(Z)-3-ヘキセノール、1-オクテン-3-オール、3,4,5,6,6-ペンタメチル-3/4-ヘプテン-2-オールと3,5,6,6-テトラメチル-4-メチレンヘプタン-2-オールとの混合物、(E,Z)-2,6-ノナジエノール、3,7-ジメチル-7-メトキシオクタン-2-オール、9-デセノール、10-ウンデセノール、4-メチル-3-デセン-5-オール、
【0167】
脂肪族アルデヒド及び脂肪族アルデヒドのアセタール、例えばヘキサナール、ヘプタナール、オクタナール、ノナナール、デカナール、ウンデカナール、ドデカナール、トリデカナール、2-メチルオクタナール、2-メチルノナナール、(E)-2-ヘキセナール、(Z)-4-ヘプテナール、2,6-ジメチル-5-ヘプテナール、10-ウンデセナール、(E)-4-デセナール、2-ドデセナール、2,6,10-トリメチル-9-ウンデセナール、2,6,10-トリメチル-5,9-ウンデカジエナール、ヘプタナールジエチルアセタール、1,1-ジメトキシ-2,2,5-トリメチル-4-ヘキセン、シトロネリルオキシアセトアルデヒド、(E/Z)-1-(1-メトキシプロポキシ)-ヘキサ-3-エン、脂肪族ケトン及び脂肪族ケトンのオキシム、例えば2-ヘプタノン、2-オクタノン、3-オクタノン、2-ノナノン、5-メチル-3-ヘプタノン、5-メチル-3-ヘプタノンオキシム、2,4,4,7-テトラメチル-6-オクテン-3-オン、6-メチル-5-ヘプテン-2-オン、
【0168】
脂肪族硫黄含有化合物、例えば3-メチルチオヘキサノール、3-メチルチオヘキシルアセテート、3-メルカプトヘキサノール、3-メルカプトヘキシルアセテート、3-メルカプトヘキシルブチレート、3-アセチルチオヘキシルアセテート、1-メンテン-8-チオール、
【0169】
脂肪族ニトリル、例えば2-ノネンニトリル、2-ウンデセンニトリル、2-トリデセンニトリル、3,12-トリデカジエンニトリル、3,7-ジメチル-2,6-オクタジエンニトリル、3,7-ジメチル-6-オクテンニトリル、
【0170】
脂肪族カルボン酸のエステル、例えば(E)-及び(Z)-3-ヘキセニルホルメート、エチルアセトアセテート、イソアミルアセテート、ヘキシルアセテート、3,5,5-トリメチルヘキシルアセテート、3-メチル-2-ブテニルアセテート、(E)-2-ヘキセニルアセテート、(E)-及び(Z)-3-ヘキセニルアセテート、オクチルアセテート、3-オクチルアセテート、1-オクテン-3-イルアセテート、エチルブチレート、ブチルブチレート、イソアミルブチレート、ヘキシルブチレート、(E)-及び(Z)-3-ヘキセニルイソブチレート、ヘキシルクロトネート、エチルイソバレレート、エチル2-メチルペンタノエート、エチルヘキサノエート、アリルヘキサノエート、エチルヘプタノエート、アリルヘプタノエート、エチルオクタノエート、エチル(E,Z)-2,4-デカジエノエート、メチル2-オクチネート、メチル2-ノニネート、アリル2-イソアミルオキシアセテート、メチル-3,7-ジメチル-2,6-オクタジエノエート、4-メチル-2-ペンチルクロトネート、
【0171】
非環式テルペンアルコール、例えばゲラニオール、ネロール、リナロール、ラバンジュロール、ネロリドール、ファルネソール、テトラヒドロリナロール、2,6-ジメチル-7-オクテン-2-オール、2,6-ジメチルオクタン-2-オール、2-メチル-6-メチレン-7-オクテン-2-オール、2,6-ジメチル-5,7-オクタジエン-2-オール、2,6-ジメチル-3,5-オクタジエン-2-オール、3,7-ジメチル-4,6-オクタジエン-3-オール、3,7-ジメチル-1,5,7-オクタトリエン-3-オール、2,6-ジメチル-2,5,7-オクタトリエン-1-オール、並びにこれらのホルメート、アセテート、プロピオネート、イソブチレート、ブチレート、イソバレレート、ペンタノエート、ヘキサノエート、クロトネート、チグリネート及び3-メチル-2-ブテノエート、
【0172】
非環式テルペンアルデヒド及びケトン、例えばゲラニアール、ネラール、シトロネラール、7-ヒドロキシ-3,7-ジメチルオクタナール、7-メトキシ-3,7-ジメチルオクタナール、2,6,10-トリメチル-9-ウンデセナール、ゲラニルアセトン、並びにゲラニアール、ネラール、7-ヒドロキシ-3,7-ジメチルオクタナールのジメチル-及びジエチルアセタール、環状テルペンアルコール、例えばメントール、イソプレゴール、アルファ-テルピネオール、テルピン-4-オール、メンタン-8-オール、メンタン-1-オール、メンタン-7-オール、ボルネオール、イソボルネオール、リナロールオキシド、ノポール、セドロール、アンブリノール、ベチベロール、グアイオール(guajol)、並びにこれらのホルメート、アセテート、プロピオネート、イソブチレート、ブチレート、イソバレレート、ペンタノエート、ヘキサノエート、クロトネート、チグリネート及び3-メチル-2-ブテノエート、
【0173】
環状テルペンアルデヒド及びケトン、例えばメントン、イソメントン、8-メルカプトメンタン-3-オン、カルボン、ショウノウ、フェンコン、アルファ-イオノン、ベータ-イオノン、アルファ-n-メチルイオノン、ベータ-n-メチルイオノン、アルファ-イソメチルイオノン、ベータ-イソメチルイオノン、アルファ-イロン、アルファ-ダマスコン、ベータ-ダマスコン、ベータ-ダマセノン、デルタ-ダマスコン、ガンマ-ダマスコン、1-(2,4,4-トリメチル-2-シクロヘキセン-1-イル)-2-ブテン-1-オン、1,3,4,6,7,8a-ヘキサヒドロ-1,1,5,5-テトラメチル-2H-2,4a-メタノナフタレン-8(5H)-オン、2-メチル-4-(2,6,6-トリメチル-1-シクロヘキセン-1-イル)-2-ブテナール、ノートカトン、ジヒドロノートカトン、4,6,8-メガスチグマトリエン-3-オン、アルファ-シネンサール、ベータ-シネンサール、アセチル化シダーウッド油(メチルセドリルケトン)、
【0174】
環状アルコール、例えば4-tert-ブチルシクロヘキサノール、3,3,5-トリメチルシクロヘキサノール、3-イソカンフィルシクロヘキサノール、2,6,9-トリメチル-Z2,Z5,E9-シクロドデカトリエン-1-オール、2-イソブチル-4-メチルテトラヒドロ-2H-ピラン-4-オール、
【0175】
脂環式アルコール、例えばアルファ-3,3-トリメチルシクロヘキシルメタノール、1-(4-イソプロピルシクロヘキシル)エタノール、2-メチル-4-(2,2,3-トリメチル-3-シクロペンタ-1-イル)ブタノール、2-メチル-4-(2,2,3-トリメチル-3-シクロペンタ-1-イル)-2-ブテン-1-オール、2-エチル-4-(2,2,3-トリメチル-3-シクロペンタ-1-イル)-2-ブテン-1-オール、3-メチル-5-(2,2,3-トリメチル-3-シクロペンタ-1-イル)ペンタン-2-オール、3-メチル-5-(2,2,3-トリメチル-3-シクロペンタ-1-イル)-4-ペンテン-2-オール、3,3-ジメチル-5-(2,2,3-トリメチル-3-シクロペンタ-1-イル)-4-ペンテン-2-オール、1-(2,2,6-トリメチルシクロヘキシル)ペンタン-3-オール、1-(2,2,6-トリメチルシクロヘキシル)ヘキサン-3-オール、
【0176】
環状及び脂環式エーテル、例えばシネオール、セドリルメチルエーテル、シクロドデシルメチルエーテル、1,1-ジメトキシシクロドデカン、(エトキシメトキシ)シクロドデカン、アルファ-セドレンエポキシド、3a,6,6,9a-テトラメチルドデカヒドロナフト[2,1-b]フラン、3a-エチル-6,6,9a-トリメチルドデカヒドロナフト[2,1-b]フラン、1,5,9-トリメチル-13-オキサビシクロ-[10.1.0]トリデカ-4,8-ジエン、ローズオキシド、2-(2,4-ジメチル-3-シクロヘキセン-1-イル)-5-メチル-5-(1-メチルプロピル)-1,3-ジオキサン、
【0177】
環状及び大環状ケトン、例えば4-tert-ブチルシクロヘキサノン、2,2,5-トリメチル-5-ペンチルシクロペンタノン、2-ヘプチルシクロペンタノン、2-ペンチルシクロペンタノン、2-ヒドロキシ-3-メチル-2-シクロペンテン-1-オン、3-メチル-cis-2-ペンテン-1-イル-2-シクロペンテン-1-オン、3-メチル-2-ペンチル-2-シクロペンテン-1-オン、3-メチル-4-シクロペンタデセノン、3-メチル-5-シクロペンタデセノン、3-メチルシクロペンタデカノン、4-(1-エトキシビニル)-3,3,5,5-テトラメチルシクロヘキサノン、4-tert-ペンチルシクロヘキサノン、5-シクロヘキサデセン-1-オン、6,7-ジヒドロ-1,1,2,3,3-ペンタメチル-4(5H)-インダノン、8-シクロヘキサデセン-1-オン、7-シクロヘキサデセン-1-オン、(7/8)-シクロヘキサデセン-1-オン、9-シクロヘプタデセン-1-オン、シクロペンタデカノン、シクロヘキサデカノン、
【0178】
脂環式アルデヒド、例えば2,4-ジメチル-3-シクロヘキセンカルバルデヒド、2-メチル-4-(2,2,6-トリメチルシクロヘキセン-1-イル)-2-ブテナール、4-(4-ヒドロキシ-4-メチルペンチル)-3-シクロヘキセンカルバルデヒド、4-(4-メチル-3-ペンテン-1-イル)-3-シクロヘキセンカルバルデヒド、
【0179】
脂環式ケトン、例えば1-(3,3-ジメチルシクロヘキシル)-4-ペンテン-1-オン、2,2-ジメチル-1-(2,4-ジメチル-3-シクロヘキセン-1-イル)-1-プロパノン、1-(5,5-ジメチル-1-シクロヘキセン-1-イル)-4-ペンテン-1-オン、2,3,8,8-テトラメチル-1,2,3,4,5,6,7,8-オクタヒドロ-2-ナフタレニルメチルケトン、メチル2,6,10-トリメチル-2,5,9-シクロドデカトリエニルケトン、tert-ブチル(2,4-ジメチル-3-シクロヘキセン-1-イル)ケトン、
【0180】
環状アルコールのエステル、例えば2-tert-ブチルシクロヘキシルアセテート、4-tert-ブチルシクロヘキシルアセテート、2-tert-ペンチルシクロヘキシルアセテート、4-tert-ペンチルシクロヘキシルアセテート、3,3,5-トリメチルシクロヘキシルアセテート、デカヒドロ-2-ナフチルアセテート、2-シクロペンチルシクロペンチルクロトネート、3-ペンチルテトラヒドロ-2H-ピラン-4-イルアセテート、デカヒドロ-2,5,5,8a-テトラメチル-2-ナフチルアセテート、4,7-メタノ-3a,4,5,6,7,7a-ヘキサヒドロ-5又は6-インデニルアセテート、4,7-メタノ-3a,4,5,6,7,7a-ヘキサヒドロ-5又は6-インデニルプロピオネート、4,7-メタノ-3a,4,5,6,7,7a-ヘキサヒドロ-5又は6-インデニルイソブチレート、4,7-メタノオクタヒドロ-5又は6-インデニルアセテート、
【0181】
脂環式アルコールのエステル、例えば1-シクロヘキシルエチルクロトネート、
【0182】
脂環式カルボン酸のエステル、例えばアリル3-シクロヘキシルプロピオネート、アリルシクロヘキシルオキシアセテート、cis-及びtrans-メチルジヒドロジャスモネート、cis-及びtrans-メチルジャスモネート、メチル2-ヘキシル-3-オキソシクロペンタンカルボキシレート、エチル2-エチル-6,6-ジメチル-2-シクロヘキセンカルボキシレート、エチル2,3,6,6-テトラメチル-2-シクロヘキセンカルボキシレート、エチル2-メチル-1,3-ジオキソラン-2-アセテート、
【0183】
芳香脂肪族アルコール、例えばベンジルアルコール、1-フェニルエチルアルコール、2-フェニルエチルアルコール、3-フェニルプロパノール、2-フェニルプロパノール、2-フェノキシエタノール、2,2-ジメチル-3-フェニルプロパノール、2,2-ジメチル-3-(3-メチルフェニル)プロパノール、1,1-ジメチル-2-フェニルエチルアルコール、1,1-ジメチル-3-フェニルプロパノール、1-エチル-1-メチル-3-フェニルプロパノール、2-メチル-5-フェニルペンタノール、3-メチル-5-フェニルペンタノール、3-フェニル-2-プロペン-1-オール、4-メトキシベンジルアルコール、1-(4-イソプロピルフェニル)エタノール、
【0184】
芳香脂肪族アルコール及び脂肪族カルボン酸のエステル、例えばベンジルアセテート、ベンジルプロピオネート、ベンジルイソブチレート、ベンジルイソバレレート、2-フェニルエチルアセテート、2-フェニルエチルプロピオネート、2-フェニルエチルイソブチレート、2-フェニルエチルイソバレレート、1-フェニルエチルアセテート、アルファ-トリクロロメチルベンジルアセテート、アルファ,アルファ-ジメチルフェニルエチルアセテート、アルファ,アルファ-ジメチルフェニルエチルブチレート、シンナミルアセテート、2-フェノキシエチルイソブチレート、4-メトキシベンジルアセテート、
【0185】
芳香脂肪族エーテル、例えば2-フェニルエチルメチルエーテル、2-フェニルエチルイソアミルエーテル、2-フェニルエチル1-エトキシエチルエーテル、フェニルアセトアルデヒドジメチルアセタール、フェニルアセトアルデヒドジエチルアセタール、ヒドロアトロパアルデヒドジメチルアセタール、フェニルアセトアルデヒドグリセロールアセタール、2,4,6-トリメチル-4-フェニル-1,3-ジオキサン、4,4a,5,9b-テトラヒドロインデノ[1,2-d]-m-ジオキシン、4,4a,5,9b-テトラヒドロ-2,4-ジメチルインデノ[1,2-d]-m-ジオキシン、
【0186】
芳香族及び芳香脂肪族アルデヒド、例えばベンズアルデヒド、フェニルアセトアルデヒド、3-フェニルプロパナール、ヒドロアトロパアルデヒド、4-メチルベンズアルデヒド、4-メチルフェニルアセトアルデヒド、3-(4-エチルフェニル)-2,2-ジメチルプロパナール、2-メチル-3-(4-イソプロピルフェニル)プロパナール、2-メチル-3-(4-tert-ブチルフェニル)プロパナール、2-メチル-3-(4-イソブチルフェニル)プロパナール、3-(4-tert-ブチルフェニル)プロパナール、シンナムアルデヒド、アルファ-ブチルシンナムアルデヒド、アルファ-アミルシンナムアルデヒド、アルファ-ヘキシルシンナムアルデヒド、3-メチル-5-フェニルペンタナール、4-メトキシベンズアルデヒド、4-ヒドロキシ-3-メトキシベンズアルデヒド、4-ヒドロキシ-3-エトキシベンズアルデヒド、3,4-メチレンジオキシベンズアルデヒド、3,4-ジメトキシベンズアルデヒド、2-メチル-3-(4-メトキシフェニル)プロパナール、2-メチル-3-(4-メチレンジオキシフェニル)プロパナール、
【0187】
芳香族及び芳香脂肪族ケトン、例えばアセトフェノン、4-メチルアセトフェノン、4-メトキシアセトフェノン、4-tert-ブチル-2,6-ジメチルアセトフェノン、4-フェニル-2-ブタノン、4-(4-ヒドロキシフェニル)-2-ブタノン、1-(2-ナフタレニル)エタノン、2-ベンゾフラニルエタノン、(3-メチル-2-ベンゾフラニル)エタノン、ベンゾフェノン、1,1,2,3,3,6-ヘキサメチル-5-インダニルメチルケトン、6-tert-ブチル-1,1-ジメチル-4-インダニルメチルケトン、1-[2,3-ジヒドロ-1,1,2,6-テトラメチル-3-(1-メチルエチル)-1H-5-インデニル]エタノン、5',6',7',8'-テトラヒドロ-3',5',5',6',8',8'-ヘキサメチル-2-アセトナフトン、
【0188】
芳香族及び芳香脂肪族カルボン酸並びに芳香族及び芳香脂肪族カルボン酸のエステル、例えば安息香酸、フェニル酢酸、メチルベンゾエート、エチルベンゾエート、ヘキシルベンゾエート、ベンジルベンゾエート、メチルフェニルアセテート、エチルフェニルアセテート、ゲラニルフェニルアセテート、フェニルエチルフェニルアセテート、メチルシンナメート、エチルシンナメート、ベンジルシンナメート、フェニルエチルシンナメート、シンナミルシンナメート、アリルフェノキシアセテート、メチルサリチレート、イソアミルサリチレート、ヘキシルサリチレート、シクロヘキシルサリチレート、cis-3-ヘキセニルサリチレート、ベンジルサリチレート、フェニルエチルサリチレート、メチル2,4-ジヒドロキシ-3,6-ジメチルベンゾエート、エチル3-フェニルグリシデート、エチル3-メチル-3-フェニルグリシデート、
【0189】
窒素含有芳香族化合物、例えば2,4,6-トリニトロ-1,3-ジメチル-5-tert-ブチルベンゼン、3,5-ジニトロ-2,6-ジメチル-4-tert-ブチルアセトフェノン、シンナモニトリル、3-メチル-5-フェニル-2-ペンテノニトリル、3-メチル-5-フェニルペンタノニトリル、メチルアントラニレート、メチル-N-メチルアントラニレート、メチルアントラニレートと7-ヒドロキシ-3,7-ジメチルオクタナール、2-メチル-3-(4-tert-ブチルフェニル)プロパナール又は2,4-ジメチル-3-シクロヘキセンカルバルデヒドとのシッフ塩基、6-イソプロピルキノリン、6-イソブチルキノリン、6-sec-ブチルキノリン、2-(3-フェニルプロピル)ピリジン、インドール、スカトール、2-メトキシ-3-イソプロピルピラジン、2-イソブチル-3-メトキシピラジン、
【0190】
フェノール、フェニルエーテル及びフェニルエステル、例えばエストラゴール、アネトール、オイゲノール、オイゲニルメチルエーテル、イソオイゲノール、イソオイゲニルメチルエーテル、チモール、カルバクロール、ジフェニルエーテル、ベータ-ナフチルメチルエーテル、ベータ-ナフチルエチルエーテル、ベータ-ナフチルイソブチルエーテル、1,4-ジメトキシベンゼン、オイゲニルアセテート、2-メトキシ-4-メチルフェノール、2-エトキシ-5-(1-プロペニル)フェノール、p-クレシルフェニルアセテート、
【0191】
複素環式化合物、例えば2,5-ジメチル-4-ヒドロキシ-2H-フラン-3-オン、2-エチル-4-ヒドロキシ-5-メチル-2H-フラン-3-オン、3-ヒドロキシ-2-メチル-4H-ピラン-4-オン、2-エチル-3-ヒドロキシ-4H-ピラン-4-オン、
【0192】
ラクトン、例えば1,4-オクタノリド、3-メチル-1,4-オクタノリド、1,4-ノナノリド、1,4-デカノリド、8-デセン-1,4-オリド、1,4-ウンデカノリド、1,4-ドデカノリド、1,5-デカノリド、1,5-ドデカノリド、4-メチル-1,4-デカノリド、1,15-ペンタデカノリド、cis-及びtrans-11-ペンタデセン-1,15-オリド、cis-及びtrans-12-ペンタデセン-1,15-オリド、1,16-ヘキサデカノリド、9-ヘキサデセン-1,16-オリド、10-オキサ-1,16-ヘキサデカノリド、11-オキサ-1,16-ヘキサデカノリド、12-オキサ-1,16-ヘキサデカノリド、エチレン1,12-ドデカンジオエート、エチレン1,13-トリデカンジオエート、クマリン、2,3-ジヒドロクマリン、オクタヒドロクマリン
を挙げることができる。
【0193】
少なくとも1種の非香料キャリアは、感覚特性又は注目に値する感覚特性を有さない化合物、化合物の混合物又は他の添加剤であり得る。典型的には、少なくとも1種の非香料キャリアは、本発明による香料組成物に存在する場合、感覚特性又は注目に値する感覚特性を有さない化合物、化合物の混合物又は他の添加剤である。非香料キャリアは、香料組成物に含まれる香料(複数可)、すなわち式(I)の化合物、及び、上に定義されたような化合物(I)とは異なる、任意選択で1種以上のさらなる香料の希釈及び/又は定着に役立つ。
【0194】
適切なキャリア材料は、液体又は油状キャリア材料、及びワックス状又は固体キャリア材料であり得る。
【0195】
特に、非香料キャリアは、本発明による組成物に存在する場合、界面活性剤、油成分及び溶媒からなる群から選択される。
【0196】
したがって、本発明のさらなる態様は、上に定義されたような、式(I)の化合物若しくは2種以上の式(I)の化合物の混合物、又はその立体異性体若しくはその立体異性体の混合物、並びに界面活性剤、皮膚軟化剤(油成分)及び溶媒からなる群から選択される少なくとも1種の成分を含む、組成物を対象とする。
【0197】
本発明の一実施形態は、上に定義されたような、式(I)の化合物若しくは2種以上の式(I)の化合物の混合物、又はその立体異性体若しくはその立体異性体の混合物、及び少なくとも1種の溶媒を含む、組成物を対象とする。
【0198】
本発明の文脈では、「溶媒」は、当該溶媒自体が芳香を放つ特性を有することなく、本発明によって使用される上に定義されたような、式(I)の化合物若しくは2種以上の式(I)の化合物の混合物、又はその立体異性体若しくはその立体異性体の混合物の希釈に役立つ。いくつかの溶媒は、同時に定着特性を有する。
【0199】
1種以上の溶媒は、本組成物に対して0.01~99重量%で本組成物中に存在し得る。本発明の好ましい実施形態において、本組成物は、本組成物に対して0.1~90重量%、好ましくは0.5~80重量%の溶媒(複数可)を含む。溶媒(複数可)の量は、本組成物に応じて選択することができる。本発明の一実施形態において、本組成物は、本組成物に対して0.05~10重量%、好ましくは0.1~5重量%、より好ましくは0.2~3重量%を含む。本発明の一実施形態において、本組成物は、本組成物に対して20~70重量%、好ましくは25~50重量%の溶媒(複数可)を含む。
【0200】
好ましい溶媒は、エタノール、ジプロピレングリコール(DPG)、プロピレングリコール、1,2-ブチレングリコール、グリセロール、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチルフタレート(DEP)、イソプロピルミリステート(IPM)、トリエチルシトレート(TEC)及びベンジルベンゾエート(BB)である。
【0201】
特に好ましい溶媒は、エタノール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、トリエチルシトレート、ベンジルベンゾエート及びイソプロピルミリステートからなる群から選択される。
【0202】
本発明の好ましい実施形態において、溶媒は、エタノール、イソプロパノール、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、グリセロール、プロピレングリコール、1,2-ブチレングリコール、ジプロピレングリコール、トリエチルシトレート及びイソプロピルミリステートからなる群から選択される。
【0203】
さらなる態様によれば、式(I)の化合物及び2種以上の式(I)の化合物の混合物、その立体異性体及びその立体異性体の混合物は、界面活性剤含有組成物中での使用に適している。これは、その特徴的な香りプロファイルに従って、特に例えば洗浄剤(特に、ランドリーケア用品及び多目的洗浄剤)等の界面活性剤含有組成物の香り付けのために使用することができる。
【0204】
したがって、本発明の一実施形態は、上に定義されたような、式(I)の化合物若しくは2種以上の式(I)の化合物の混合物、又はその立体異性体若しくはその立体異性体の混合物、及び少なくとも1種の界面活性剤を含む、組成物を対象とする。
【0205】
界面活性剤(複数可)は、アニオン性、非イオン性、カチオン性及び/又は両性若しくは双性界面活性剤から選択されてもよい。例えばシャワージェル、泡入浴剤(foam bath)、シャンプー等の界面活性剤含有組成物は、好ましくは、少なくとも1種のアニオン性界面活性剤を含有する。
【0206】
本発明による組成物は通常、界面活性剤(複数可)を全体として(in the aggregate)、本組成物の総重量に対して0~40重量%の量、好ましくは0~20重量%の量、より好ましくは0.1~15重量%の量、特に0.1~10重量%の量で含有する。非イオン性界面活性剤の典型例は、脂肪アルコールポリグリコールエーテル、アルキルフェノールポリグリコールエーテル、脂肪酸ポリグリコールエステル、脂肪酸アミドポリグリコールエーテル、脂肪アミンポリグリコールエーテル、アルコキシ化トリグリセリド、混合エーテル及び混合ホルマール、任意選択により部分的に酸化されたアルキル(アルケニル)オリゴグリコシド又はグルクロン酸誘導体、脂肪酸-N-アルキルグルカミド、タンパク質加水分解物(特に、コムギを主体とした植物性生成物)、ポリオール脂肪酸エステル、糖エステル、ソルビタンエステル、ポリソルベート並びにアミンオキシドである。非イオン性界面活性剤がポリグリコールエーテル鎖を含有する場合、非イオン性界面活性剤は、従来のホモログ分布を有してもよいが、好ましくは、範囲が狭いホモログ分布を有する。
【0207】
双性界面活性剤は、分子中に少なくとも1個の第四級アンモニウム基及び少なくとも1個の-COO(-)又は-SO3
(-)基を含有する、界面活性化合物である。特に適切な双性界面活性剤は、いわゆるベタイン、例えば、アルキル基又はアシル基中に8~18個の炭素原子を含有する、N-アルキル-N,N-ジメチルアンモニウムグリシネート、例えば、ココアルキルジメチルアンモニウムグリシネート、N-アシルアミノプロピル-N,N-ジメチルアンモニウムグリシネート、例えば、ココアシルアミノプロピルジメチルアンモニウムグリシネート及び2-アルキル-3-カルボキシメチル-3-ヒドロキシエチルイミダゾリン、並びにココアシルアミノエチルヒドロキシエチルカルボキシメチルグリシネートである。コカミドプロピルベタインのCTFA名で知られた脂肪酸アミド誘導体が、特に好ましい。
【0208】
両性界面活性剤は、特に共界面活性剤としても適している。両性界面活性剤は、C8~C18アルキル又はアシル基の他にも、分子中に少なくとも1個の遊離アミノ基及び少なくとも1個の-COOH-基又は-SO3H-基を含有し、内塩を形成することができる、界面活性化合物である。適切な両性界面活性剤の例は、アルキル基中に約8~18個の炭素原子を含有する、N-アルキルグリシン、N-アルキルプロピオン酸、N-アルキルアミノ酪酸、N-アルキルイミノジプロピオン酸、N-ヒドロキシエチル-N-アルキルアミドプロピルグリシン、N-アルキルタウリン、N-アルキルサルコシン、2-アルキルアミノプロピオン酸及びアルキルアミノ酢酸である。特に好ましい両性界面活性剤は、N-ココアルキルアミノプロピオネート、ココアシルアミノエチルアミノプロピオネート及びアシルサルコシンである。
【0209】
アニオン性界面活性剤は、水溶性化作用のあるアニオン性基、例えばカルボン酸基、硫酸基、スルホン酸基又はリン酸基及び親油性基を特徴とする。皮膚科学的に安全なアニオン性界面活性剤は、開業医には、関連する教本から多数知られており、市販されている。アニオン性界面活性剤は特に、アルカリ金属塩、アンモニウム塩又はアルカノールアンモニウム塩の形態のアルキルスルフェート、アルキルエーテルスルフェート、アルキルエーテルカルボキシレート、アシルイセチオネート、アシルサルコシネート、直鎖状C12~C18アルキル基又はアシル基を含有するアシルタウリン、並びに、アルカリ金属塩又はアンモニウム塩の形態のスルホスクシネート及びアシルグルタメートである。
【0210】
特に適切なカチオン性界面活性剤は、第四級アンモニウム化合物、好ましくはアンモニウムのハロゲン化物、より特定すると塩化物及び臭化物、例えばアルキルトリメチルアンモニウムクロリド、ジアルキルジメチルアンモニウムクロリド及びトリアルキルメチルアンモニウムクロリド、例えば、セチルトリメチルアンモニウムクロリド、ステアリルトリメチルアンモニウムクロリド、ジステアリルジメチルアンモニウムクロリド、ラウリルジメチルアンモニウムクロリド、ラウリルジメチルベンジルアンモニウムクロリド及びトリセチルメチルアンモニウムクロリドである。さらに、容易に生分解され得る第四級エステル化合物、例えば、Stepantexeの名称で販売されているジアルキルアンモニウムメトスルフェート及びメチルヒドロキシアルキルジアルコイルオキシアルキル(dialkoyloxyalkyl)アンモニウムメトスルフェート並びに対応するDehyquart(登録商標)シリーズという製品が、カチオン性界面活性剤として使用されてもよい。「エステルクォート(esterquat)」は一般に、第四級化脂肪酸トリエタノールアミンエステル塩であると理解される。エステルクォートは、本組成物に格別の柔らかさを付与することができる。エステルクォートは、関連する有機化学的な方法によって調製された、公知の物質である。本発明による使用に適した他のカチオン性界面活性剤は、第四級化タンパク質加水分解物である。
【0211】
本発明の一実施形態は、上に定義されたような、式(I)の化合物若しくは2種以上の式(I)の化合物の混合物、又はその立体異性体若しくはその立体異性体の混合物、及び少なくとも1種の油成分を含む、組成物を対象とする。
【0212】
油成分は一般的に、本組成物に対して0.1~80重量%の総量、好ましくは0.5~70重量%の総量、より好ましくは1~60重量%の総量、さらにより好ましくは1~50重量%の総量、特定すると1~40重量%の総量、より特定すると5~25重量%の総量、具体的には5~15重量%の総量で存在する。
【0213】
油成分は例えば、6~18個、好ましくは8~10個の炭素原子を含有する脂肪アルコールを主体としたゲルベアルコール並びに他のさらなるエステル、例えばミリスチルミリステート、ミリスチルパルミテート、ミリスチルステアレート、ミリスチルイソステアレート、ミリスチルオレエート、ミリスチルベヘネート、ミリスチルエルケート、セチルミリステート、セチルパルミテート、セチルステアレート、セチルイソステアレート、セチルオレエート、セチルベヘネート、セチルエルケート、ステアリルミリステート、ステアリルパルミテート、ステアリルステアレート、ステアリルイソステアレート、ステアリルオレエート、ステアリルベヘネート、ステアリルエルケート、イソステアリルミリステート、イソステアリルパルミテート、イソステアリルステアレート、イソステアリルイソステアレート、イソステアリルオレエート、イソステアリルベヘネート、イソステアリルオレエート、オレイルミリステート、オレイルパルミテート、オレイルステアレート、オレイルイソステアレート、オレイルオレエート、オレイルベヘネート、オレイルエルケート、ベヘニルミリステート、ベヘニルパルミテート、ベヘニルステアレート、ベヘニルイソステアレート、ベヘニルオレエート、ベヘニルベヘネート、ベヘニルエルケート、エルシルミリステート、エルシルパルミテート、エルシルステアレート、エルシルイソステアレート、エルシルオレエート、エルシルベヘネート及びエルシルエルケートから選択されてもよい。同様に適しているものは、C18~C38アルキルヒドロキシカルボン酸と直鎖状又は分岐状C6~C22脂肪アルコール、特により特定するとジオクチルマレートとのエステル、直鎖状及び/又は分岐状脂肪酸と多価アルコール(例えば、プロピレングリコール、ダイマージオール若しくはトリマートリオール)とのエステル、C6~C10脂肪酸を主体としたトリグリセリド、C6~C18脂肪酸を主体とした液体状モノ-、ジ-及びトリグリセリド混合物、C6~C22脂肪アルコール及び/又はゲルベアルコールと芳香族カルボン酸、より特定すると安息香酸とのエステル、ジカルボン酸と2~10個の炭素原子及び2~6個のヒドロキシル基を含有するポリオールとのエステル、植物油、分岐状第一級アルコール、置換シクロヘキサン、直鎖状及び分岐状C6~C22脂肪アルコールカルボネート、例えばジカプリリルカルボネート(Cetiol(登録商標)CC)、6~18個、好ましくは8~10個の炭素原子を含有する脂肪アルコールを主体としたゲルベカルボネート、安息香酸と直鎖状及び/又は分岐状C6~C22アルコール(例えば、Finsolv(登録商標)TN)とのエステル、アルキル基1個当たり6~22個の炭素原子を含有する直鎖状又は分岐状の対称又は非対称ジアルキルエーテル、例えばジカプリリルエーテル(Cetiol(登録商標)OE)、エポキシ化脂肪酸エステルとポリオール及び炭化水素との開環生成物或いはこれらの混合物である。
【0214】
上に定義されたような、式(I)の化合物及び2種以上の式(I)の化合物の混合物、その立体異性体及びその立体異性体の混合物は、多種多様な香料組成物中で使用することができる。嗅覚特性、物質特性(通常の溶媒への可溶度及びこのような組成物に属するさらなる通常の構成要素との適合性等)、並びに式(I)の化合物、及び2種以上の式(I)の化合物の混合物、その立体異性体及びその立体異性体の混合物の毒物学的容認度は、記載してきた使用目的及び組成物に対する特段の適性を際立たせている。
【0215】
適切な香料組成物は、例えば芳香組成物、ボディケア組成物、衛生用品、洗浄組成物、繊維用洗剤組成物、食品、栄養補助食品、医薬組成物及び作物保護組成物である。
【0216】
芳香組成物は、ファインフレグランス、液体形態、ゲル状の形態又は固体キャリアに塗布された形態のエアフレッシュナー、エアロゾルスプレー、香り付き洗浄剤、香りキャンドル、及びオイル、例えばランプオイル又はメッセージ用オイルから選択することができる。
【0217】
ファインフレグランスの例は、香水抽出物(perfume extracts)、オードパルファン、オードトワレ、オーデコロン、オードソリッド及びエクストレパルファン(Extrait Parfum)である。
【0218】
ボディケア組成物は、化粧用組成物、並びに口腔及び歯科衛生用品を含み、アフターシェーブ、プレシェーブ製品、スプラッシュコロン、固体石けん及び液体石けん、シャワージェル、シャンプー、ひげ剃り用石けん、シェービングフォーム、バスオイル、水中油型、油中水型及び水中油中水型の化粧品用エマルション、例えばスキンクリーム及びスキンローション、フェイスクリーム及びフェイスローション、日焼け止めクリーム及び日焼け止めローション、日焼けケア用クリーム及び日焼けケア用ローション、ハンドクリーム及びハンドローション、フットクリーム及びフットローション、脱毛クリーム及び脱毛ローション、アフターシェーブクリーム及びアフターシェーブローション、日焼けクリーム及び日焼けローション、ヘアケア製品、例えばヘアスプレー、ヘア用ジェル、整髪ローション、ヘアコンディショナー、ヘアシャンプー、パーマネント型及びセミパーマネント型の毛染め剤、ヘアシェイピング用組成物、例えばコールドウェーブ用薬剤(cold wave)及びヘアスムージング用組成物、ヘアトニック、ヘアクリーム及びヘアローション、消臭剤及び制汗剤、例えばわきの下用のスプレー剤、ロールオン、消臭スティック及び消臭クリーム、装飾化粧品、例えばアイライナー、アイシャドウ、マニキュア液、メーキャップ、口紅及びマスカラ、並びに口腔及び歯科衛生用品、例えば練り歯磨き、デンタルフロス、マウスウォッシュ、ブレスフレッシュナー、デンタルフォーム、デンタルジェル、及びデンタルストリップから選択することができる。
【0219】
衛生用品は、線香、殺虫剤、防虫剤、噴射剤、さび取り剤、香り付きふき取りシート(perfumed freshening wipe)、わきパッド、赤ちゃん用おむつ、生理用ナプキン、トイレットペーパー、化粧品ふき取りシート(cosmetic wipe)、ポケットティッシュ、食洗機及び脱臭剤から選択することができる。
【0220】
洗浄組成物、例えば固体表面のための洗浄剤は、香り付きの酸性、アルカリ性及び中性洗浄剤、例えば床用洗浄剤、窓用洗浄剤、手洗い用及び機械洗浄用の食器洗い用洗剤、浴室用洗浄剤及びサニタリー用洗浄剤、スカーリングミルク(scouring milk)、固体型及び液体型トイレ用洗浄剤、粉末型及び泡型カーペット用洗浄剤、ワックス及び磨き剤、例えば家具用磨き剤、床用ワックス、靴クリーム、消毒剤、表面消毒剤及びサニタリー用洗浄剤、ブレーキ用洗浄剤、パイプ用洗浄剤、水垢除去剤、グリル用及びオーブン用洗浄剤、藻類除去剤及びコケ除去剤、カビ除去剤、ファサード洗浄剤(facade cleaner)から選択することができる。
【0221】
繊維用洗剤組成物は、液体洗剤、粉末洗剤、洗濯用前処理剤、例えば漂白剤、漬け置き剤及び染み除去剤、繊維柔軟剤、洗濯用石けん、洗濯用錠剤から選択することができる。
【0222】
食品は、食べることができる生の、調理済みの若しくは加工済みの物質、氷、飲料、又は、人間の消費のために全体若しくは一部が使用される若しくは使用されることが意図された成分、或いは、チューインガム、グミ、ゼリー及び菓子類を意味する。
【0223】
栄養補助食品は、さらなる栄養価を飲食物に加えるように意図された食用成分を含有する、摂取が意図された製品である。食用成分は、次の物質、すなわち、ビタミン、ミネラル、ハーブ又は他の植物性薬品、アミノ酸、合計飲食物摂取量の増大によって飲食物を補助することを目的とした人々が使用するための飲食物用物質、濃縮物、代謝物質、構成要素又は抽出物のうちの1つ又は任意の組合せであってもよい。栄養補助食品は、錠剤、カプセル、軟質ゲル、ジェルキャップ、液体又は粉末等の数多くの形態で見出され得る。
【0224】
医薬組成物は、疾患の診断、治療、軽減、処置又は予防における使用のために意図された組成物、及び、人間又は他の動物の身体の構造又は何らかの機能に影響するように意図された(食品以外の)物品を含む。
【0225】
作物保護組成物は、農業作物及び森林を損なう植物病害、雑草及び他の有害生物(脊椎動物と無脊椎動物との両方)の管理のために意図された、組成物を含む。
【0226】
本発明による組成物は、1種以上の物質、例えば、保存料、研磨剤、抗にきび剤、皮膚の老化を抑えるための作用物質、抗細菌剤、脂肪沈着防止剤、フケ防止剤、抗炎症剤、刺激予防剤、刺激緩和剤、抗菌剤、抗酸化剤、収れん剤、発汗抑制剤、消毒剤、静電気防止剤、結合剤、緩衝材、キャリア材料、キレート化剤、細胞刺激物質、洗浄剤、手入れ用物質(care agent)、脱毛剤、界面活性物質、デオドラント剤、制汗剤、乳化剤、酵素、精油、繊維、フィルム形成剤、保留剤(fixative)、泡形成剤、泡安定剤、発泡を予防するための物質、発泡増進剤、殺菌剤、ゲル化剤、ゲル形成剤、ヘアケア剤、ヘアシェイピング剤、ヘアスムージング剤、水分付与剤、加湿物質、湿潤剤物質、漂白剤、補強剤、染み除去剤、蛍光増白剤、含浸剤、汚れ忌避剤(soil repellent)、摩擦低減剤、滑沢剤、加湿クリーム、軟膏、乳白剤、可塑剤、被覆剤、磨き剤、光沢剤、ポリマー、粉末、タンパク質、加脂剤(refatting agent)、スクラブ剤、シリコーン、皮膚鎮静剤、皮膚洗浄剤、スキンケア剤、皮膚治癒剤、皮膚美白剤、皮膚保護剤、皮膚軟化剤、冷却剤、皮膚冷却剤、加温剤(warming agent)、皮膚加温剤、安定剤、紫外線吸収剤、紫外線フィルター、繊維柔軟剤、懸濁剤、日焼け剤、増粘剤、ビタミン、油、ワックス、脂肪、リン脂質、飽和脂肪酸、モノ不飽和又はポリ不飽和脂肪酸、α-ヒドロキシ酸、ポリヒドロキシ脂肪酸、液化剤、染料、着色防止剤(color-protection agent)、顔料、防食剤、ポリオール、界面活性剤、電解質、有機溶媒又はシリコーン誘導体をさらに含むことができる。
【0227】
上に定義されたような、式(I)の化合物及び2種以上の式(I)の化合物の混合物、その立体異性体及びその立体異性体の混合物、並びにそれらを含む本発明の香料組成物は、マイクロカプセル封入された形態、噴霧乾燥形態、包接錯体の形態、又は押出製品の形態であってもよい。より目標を絞った香気の放出に関する特性は、適切な材料を用いたいわゆる「コーティング」によって、さらに最適化することが可能であり、この目的ために、好ましくは、例えばポリビニルアルコール等のワックス状合成物質が使用される。
【0228】
マイクロカプセル封入は例えば、いわゆるコアセルベーション法によって、例えばポリウレタン状物質又は軟ゼラチンから製造されたカプセル材料を用いて実施することができる。噴霧乾燥された香油は、例えば、上に定義されたような、式(I)の化合物若しくは2種以上の式(I)の化合物の混合物、又はその立体異性体若しくはその立体異性体の混合物、及び本発明の以上の方法により得られる組成物を含むエマルション又は分散物を噴霧乾燥させることによって製造することができ、使用され得るキャリア物質は、変性デンプン、タンパク質、デキストリン、及び植物性ガムである。包接錯体は、例えば、フレグランス組成物及びシクロデキストリン又は尿素誘導体の分散物を適切な溶媒、例えば水に導入することによって、調製することができる。押出製品は、上に定義されたような、式(I)の化合物若しくは2種以上の式(I)の化合物の混合物、又はその立体異性体若しくはその立体異性体の混合物、又は本発明の以上の方法により得られる組成物を、適切なワックス状物質と一緒にして、任意選択により適切な溶媒、例えばイソプロパノール中で、溶融させ、押出した後に固化させることによって、製造することができる。
【0229】
一般的に、本発明の香料組成物中の、式(I)の化合物若しくは2種以上の式(I)の化合物の混合物、又はその立体異性体若しくはその立体異性体の混合物の合計量は、典型的には特定の使用目的又は意図する用途に適合され、よって、広範囲にわたって変化し得る。原則として、従来の標準的な市販品の香りの量が用いられる。
【0230】
本発明による組成物は、上に定義されたような、式(I)の化合物若しくは2種以上の式(I)の化合物の混合物、又はその立体異性体若しくはその立体異性体の混合物を、本組成物の合計重量に対して0.001~99.9重量%、好ましくは0.01~90重量%、より好ましくは0.05~80重量%、特に0.1~60重量%、より特定すると0.1~40重量%、例えば0.1~10重量%又は0.1~15重量%の総量で含むことができる。
【0231】
本発明の一実施形態では、本組成物は、上に定義されたような、式(I)の化合物若しくは2種以上の式(I)の化合物の混合物、又はその立体異性体若しくはその立体異性体の混合物を、本組成物の合計重量に対して0.001~5重量%、好ましくは0.01~2重量%の総量で含む。
【0232】
本発明のさらなる態様は、香料組成物、特にフレグランス組成物、とりわけすぐに使用できるフレグランス組成物を調製する方法、又は香料組成物、特にフレグランス組成物、とりわけすぐに使用できるフレグランス組成物の香り特性を変更する方法であって、上に定義されたような、式(I)の化合物若しくは2種以上の一般式(I)の化合物の混合物、又はその立体異性体若しくは2種以上のその立体異性体の混合物を、前記組成物に組み込む工程を含む、方法を対象とする。
【0233】
特に、本発明は、芳香組成物、ボディケア組成物、衛生用品、洗浄組成物、繊維用洗剤組成物、食品、栄養補助食品、医薬組成物又は作物保護組成物を調製する方法であって、上に定義されたような、式(I)の化合物若しくは2種以上の一般式(I)の化合物の混合物、又はその立体異性体若しくは2種以上のその立体異性体の混合物を、前記芳香組成物、ボディケア組成物、衛生用品、洗浄組成物、繊維用洗剤組成物、食品、栄養補助食品、医薬組成物又は作物保護組成物中に含ませる工程を含む、方法を対象とする。
【0234】
一実施形態では、本発明は、タバコ、アンバー、ウォーム及びウッディのノートを、芳香組成物、ボディケア組成物、衛生用品、洗浄組成物、繊維用洗剤組成物、食品、栄養補助食品、医薬組成物又は作物保護組成物に付与する方法であって、1-((7R)-7-メチル-1,5,6,7,8,8a-ヘキサヒドロ-1,4-メタノナフタレン-4a(4H)-イル)エタン-1-オンを、芳香組成物、ボディケア組成物、衛生用品、洗浄組成物、繊維用洗剤組成物、食品、栄養補助食品、医薬組成物又は作物保護組成物に含ませる工程を含む、方法を対象とする。
【0235】
別の実施形態では、本発明は、ウッディ及びアンバーのノートを、芳香組成物、ボディケア組成物、衛生用品、洗浄組成物、繊維用洗剤組成物、食品、栄養補助食品、医薬組成物又は作物保護組成物に付与する方法であって、1-((7R)-7-メチルオクタヒドロ-1,4-メタノナフタレン-4a(2H)-イル)エタン-1-オンを、芳香組成物、ボディケア組成物、衛生用品、洗浄組成物、繊維用洗剤組成物、食品、栄養補助食品、医薬組成物又は作物保護組成物に含ませる工程を含む、方法を対象とする。
【0236】
別の実施形態では、本発明は、グリーン、ペッパー及びハーベシアスのノートを、芳香組成物、ボディケア組成物、衛生用品、洗浄組成物、繊維用洗剤組成物、食品、栄養補助食品、医薬組成物又は作物保護組成物に付与する方法であって、1-((2R)-2,7-ジメチル-1,3,4,5,8,8a-ヘキサヒドロナフタレン-4a(2H)-イル)エタン-1-オンを、芳香組成物、ボディケア組成物、衛生用品、洗浄組成物、繊維用洗剤組成物、食品、栄養補助食品、医薬組成物又は作物保護組成物に含ませる工程を含む、方法を対象とする。
【0237】
別の実施形態では、本発明は、ウッディ、ウォーム及びアンバーのノートを、芳香組成物、ボディケア組成物、衛生用品、洗浄組成物、繊維用洗剤組成物、食品、栄養補助食品、医薬組成物又は作物保護組成物に付与する方法であって、1-((2R)-2,7-ジメチルオクタヒドロナフタレン-4a(2H)-イル)エタン-1-オンを、芳香組成物、ボディケア組成物、衛生用品、洗浄組成物、繊維用洗剤組成物、食品、栄養補助食品、医薬組成物又は作物保護組成物に含ませる工程を含む、方法を対象とする。
【0238】
別の実施形態では、本発明は、ラバリー、ウッディ及びフェイントのノートを、芳香組成物、ボディケア組成物、衛生用品、洗浄組成物、繊維用洗剤組成物、食品、栄養補助食品、医薬組成物又は作物保護組成物に付与する方法であって、1-((2R)-2,6,7-トリメチル-1,3,4,5,8,8a-ヘキサヒドロナフタレン-4a(2H)-イル)エタン-1-オンを、芳香組成物、ボディケア組成物、衛生用品、洗浄組成物、繊維用洗剤組成物、食品、栄養補助食品、医薬組成物又は作物保護組成物に含ませる工程を含む、方法を対象とする。
【0239】
別の実施形態では、本発明は、シダー及びウッディのノートを、芳香組成物、ボディケア組成物、衛生用品、洗浄組成物、繊維用洗剤組成物、食品、栄養補助食品、医薬組成物又は作物保護組成物に付与する方法であって、1-((7R)-2,3,7-トリメチルオクタヒドロナフタレン-4a(2H)-イル)エタン-1-オンを、芳香組成物、ボディケア組成物、衛生用品、洗浄組成物、繊維用洗剤組成物、食品、栄養補助食品、医薬組成物又は作物保護組成物に含ませる工程を含む、方法を対象とする。
【0240】
別の実施形態では、本発明は、ハーベシアス及びテクニカルのノートを、芳香組成物、ボディケア組成物、衛生用品、洗浄組成物、繊維用洗剤組成物、食品、栄養補助食品、医薬組成物又は作物保護組成物に付与する方法であって、1-(1,5,6,7,8,8a-ヘキサヒドロ-1,4-メタノナフタレン-4a(4H)-イル)エタン-1-オンを、芳香組成物、ボディケア組成物、衛生用品、洗浄組成物、繊維用洗剤組成物、食品、栄養補助食品、医薬組成物又は作物保護組成物に含ませる工程を含む、方法を対象とする。
【0241】
本発明は、以下の例により例示される。
【実施例】
【0242】
略語:
GC:ガスクロマトグラフィー
MTBE:メチルtert-ブチルエーテル
EtOAc:酢酸エチル
【0243】
分析:
生成物の純度及び同一性は、GC、1H-NMR(CDCl3、500MHz)及び/又は13C-NMR(125MHz、CDCl3)により判定された。
【0244】
1.調製例
1.1 1-((2R)-2,6,7-トリメチル-1,3,4,5,8,8a-ヘキサヒドロナフタレン-4a(2H)-イル)エタン-1-オンの調製
温度計及び250ml滴下漏斗を備えた500mL三口丸底フラスコ中で、15g(108.5mmol)の1-[(4R)-4-メチルシクロヘキセン-1-イル]エタノンを、AlCl3(1.5g)及びトルエン(200mL)と合わせた。トルエン(100mL)中の2,3-ジメチル-1,3-ブタジエン(18.2g、221.6mmol)の溶液を、滴下漏斗を通し、4hかけてゆっくり添加した。反応を室温でさらに48時間撹拌した。水(100mL)を、反応混合物に添加して、これをクエンチし、すべてのゲル状材料が溶解するまで酢酸(50%)を添加した。MTBE(100mL)を添加し、続いて相分離した。MTBEをさらに100mLを使用して、再び水相を抽出した。合わせた有機相を水/ブライン(1/1、100mL)で再び洗浄し、続いてNa2CO3(10%)でpH8まで中和した。有機相をNa2SO4固体で乾燥させた。濾過後、濃縮により、粗生成物32gを得た。純粋な生成物を、カラムクロマトグラフィー(シリカゲル、EtOAc/ヘキサン)を通して収率13gの無色液体として得た。生成物の同定は、1H-NMR及び13C-NMRにより確認した。
1H-NMR (CDCl3, 500 MHz): δ 1.69 (d, J = 6.5Hz, 3H, -CH3), 0.88-0.95 (m, 1H, -CH-), 1.15-1.20 (m, 1H, -CH-), 1.42-1.51 (m, 2H, -CH2-), 1.59 (s, J = 11Hz, 6H, -CH3), 1.62-1.79 (m, 4H, -CH2-), 1.88-2.01 (m, 4H, -CH2-), 2.14 (d, J = 2.5Hz, 3H, -CH3).
13C-NMR (125 MHz, CDCl3): δ 18.7, 18.9, 21.6, 24.8, 26.0, 28.0, 31.2, 31.3, 34.2, 36.1, 39.4, 51.1, 121.4, 124.0, 213.7.
【0245】
1.2 1-((7R)-2,3,7-トリメチルオクタヒドロナフタレン-4a(2H)-イル)エタン-1-オンの調製
500mLオートクレーブParr反応器中で、3.1g(14.1mmol)の例1.1のディールス-アルダー付加体、Pd(C)(150mg)及びMeOH(50mL)を合わせた。反応器に、次いで水素を30barの圧力まで入れた。反応をGCによりモニターし、反応の撹拌を室温で36時間、50~60℃でさらに3時間続けた。反応混合物は、セライトを通して濾過し、濃縮して粗還元生成物2.6gを得た。
【0246】
純粋な生成物を、カラムクロマトグラフィー(シリカゲル、EtOAc/ヘキサン)を通して、2種のジアステレオ異性体の混合物としての、収率0.7gの無色液体として得た。生成物の同定は、1H-NMR及び13C-NMRにより確認した。
2種の主異性体の混合物:1H-NMR (CDCl3, 500 MHz): δ 0.71-0.91 (m, 9H, -CH3), 0.93-1.02 (m, 2H, -CH2-), 1.08-1.58 (m, 9H, -CH-, -CH2-), 1.70-1.89 (m, 3H, -CH2-,-CH-,), 2.12 (s, 3H, -CH3).
13C-NMR (125 MHz, CDCl3): δ 11.5, 16.4, 19.4, 19.7, 19.8, 22.6, 24.6, 24.7, 26.0, 26.1, 26.8, 26.9, 27.0, 28.3, 29.5, 32.8, 33.0, 33.8, 34.9, 35.6, 37.0, 37.1, 37.9, 37,94, 39.0, 44.2, 52.7, 52.9, 214.1, 224.1.
【0247】
1.3 1-((2R)-2,7-ジメチル-1,3,4,5,8,8a-ヘキサヒドロナフタレン-4a(2H)-イル)エタン-1-オンの調製
1-((2R)-2,7-ジメチル-1,3,4,5,8,8a-ヘキサヒドロナフタレン-4a(2H)-イル)エタン-1-オンは、1-[(4R)-4-メチルシクロヘキセン-1-イル]エタノンを2-メチル-1,3-ブタジエンと反応させることを除いて、例1.1に従って調製した。生成物の同定は、1H-NMR及び13C-NMRにより確認した。
1H-NMR (CDCl3, 500 MHz): δ 0.85 (d, J = 8.5Hz, 3H, -CH3), 0.91-0.98 (m, 1H, -CH-), 1.16-1.27 (m, 2H, -CH2-), 1.41-1.53 (m, 2H, -CH2-), 1.56-1.60 (m, 1H, -CH-), 1.63 (s, 3H, -CH3), 1.67-1.76 (m, 2H, -CH2-), 1.87-1.92 (m, 2H, -CH2-), 2.03-2.10 (m, 1H, -CH-), 2.15 (s, 3H, -CH3), 2.37 (m, 1H, -CH-), 5.24-5.26 (m, 1H, -CH=).
13C-NMR (125 MHz, CDCl3): δ 21.6, 23.3, 24.8, 26.0, 28.0, 30.9, 31.3, 31.6, 32.4, 36.2, 50.0, 116.9, 132.4, 213.8.
【0248】
1.4 1-((2R)-2,7-ジメチルオクタヒドロナフタレン-4a(2H)-イル)エタン-1-オンの調製
1-((2R)-2,7-ジメチルオクタヒドロナフタレン-4a(2H)-イル)エタン-1-オンは、例1.2に記載されている反応手順を使用することにより、例1.3で得られた反応生成物から調製した。望ましい生成物を、2種の主異性体の混合物として得た。生成物の同定は、1H-NMR及び13C-NMRにより確認した。
主異性体:1H-NMR (CDCl3, 500 MHz): δ 0.76 (d, J = 6.5Hz, 3H, -CH3), 0.90 (d, J = 6.5Hz, 3H, -CH3), 1.04-1.21 (m, 3H, -CH-, -CH2-), 1.28-1.41 (m, 4H, -CH2-,), 1.47-1.64 (m, 5H, -CH2-, -CH-), 1.70-1.82 (m, 2H, -CH2-), 2.13 (s, 3H, -CH3), 2.20-2.23 (m, 1H, -CH-).
13C-NMR (125 MHz, CDCl3): δ 22.5, 22.6, 24.7, 26.1, 26.2, 30.0, 32.7, 32.8, 35.2, 35.5, 36.5, 38.3, 51.7, 214.5.
【0249】
1.5 1-((7R)-7-メチル-1,5,6,7,8,8a-ヘキサヒドロ-1,4-メタノナフタレン-4a(4H)-イル)エタン-1-オンの調製
1-((7R)-7-メチル-1,5,6,7,8,8a-ヘキサヒドロ-1,4-メタノナフタレン-4a(4H)-イル)エタン-1-オンは、1-[(4R)-4-メチルシクロヘキセン-1-イル]エタノンをシクロペンタ-1,3-ジエンと反応させることを除いて、例1.1に従って調製した。望ましい生成物を、2種の異性体の混合物として得た。生成物の同定は、1H-NMR及び13C-NMRにより確認した。
主異性体:1H-NMR (CDCl3, 500 MHz): δ 0.55-0.60 (m, 1H, -CH-), 0.86 (dd, J = 7.0Hz, J = 1.5Hz, 3H, -CH2-), 1.00-1.06 (m, 1H, -CH-), 1.12-1.18 (m, 2H, -CH2-), 1.29-1.35 (m, 2H, -CH2-), 1.64-1.68 (m, 2H, -CH3),1.78 (d, J = 13.0Hz, 1H, -CH-), 2.21 (d, J = 1.0Hz, 3H, -CH3), 2.67 (s, 1H, -CH-), 2.84-2.87 (m, 1H, -CH-), 2.92 (s, 1H, -CH-), 6.15-6.17 (m, 1H, -CH=), 6.25-6.26 (m, 1H, -CH=).
13C-NMR (125 MHz, CDCl3): δ 22.5, 25.4, 25.9, 28.0, 28.2, 33.0, 34.4, 46.8, 47.3, 50.0, 60.1, 134.6, 138.5, 212.3.
【0250】
1.6 1-((7R)-7-メチルオクタヒドロ-1,4-メタノナフタレン-4a(2H)-イル)エタン-1-オンの調製
1-((7R)-7-メチルオクタヒドロ-1,4-メタノナフタレン-4a(2H)-イル)エタン-1-オンは、例1.2に記載されている反応手順を使用することにより、例1.5で得られた反応生成物から調製した。望ましい生成物を、異性体の混合物として得た。生成物の同定は、1H-NMR及び13C-NMRにより確認した。
主異性体:1H-NMR (CDCl3, 500 MHz): δ 0.52-0.61 (m, 1H, -CH-), 0.84-0.90 (m, 3H, -CH3), 1.07-1.25 (m, 4H, -CH2-), 1.34-1.43 (m, 1H, -CH-), 1.47-1.55 (m, 3H, -CH2-), 1.63-1.72 (m, 4H, -CH2-), 2.07-2.11 (m, 1H, -CH-), 2.12-2.14 (m, 3H, -CH3), 2.29 (s, 1H, -CH-), 2.64-2.68 (m, 1H, -CH-).
13C-NMR (125 MHz, CDCl3) δ 22.1, 22.6, 23.3, 24.5, 25.3, 26.1, 28.3, 29.5, 33.1, 37.0, 41.6, 44.0, 57.6, 212.7.
【0251】
1.7 1-(1,5,6,7,8,8a-ヘキサヒドロ-1,4-メタノナフタレン-4a(4H)-イル)エタン-1-オンの調製
1-(1,5,6,7,8,8a-ヘキサヒドロ-1,4-メタノナフタレン-4a(4H)-イル)エタン-1-オンは、1-(シクロヘキセン-1-イル)エタノンをシクロペンタ-1,3-ジエンと反応させることを除いて、例1.1に従って調製した。望ましい生成物を2種の主異性体の混合物として得た。生成物の同定は、1H-NMR及び13C-NMRにより確認した。
2種の異性体の混合物(約1/1):1H-NMR (CDCl3, 500 MHz): δ 0.55-0.66 (m, 1H, -CH-), 0.81-0.88 (m, 1H, -CH-), 1.02-1.70 (m, 16H, -CH2-, -CH- ), 1.73-1.83 (m, 3H, -CH-), 2.01-2.06 (m, 1H, -CH-), 2.09 (s, 3H, -CH3), 2.20 (s, 3H, -CH3), 2.46 (s, 1H, -CH-), 2.69-2.74(m, 2H, -CH-, -CH2-), 2.90 (d, J = 1.5Hz, 1H, -CH-), 5.87 (dd, (m, J = 3.5Hz, J = 7.0Hz, 1H, -CH=), 6.13-6.16 (m, 2H, -CH=), 6.21 (dd, m, J = 3.5Hz, J = 7.0Hz, 1H, -CH=).
13C-NMR (125 MHz, CDCl3): δ 17.6, 18.2, 19.0, 19.2, 24.9, 25.7, 25.9, 26.3, 26.5, 28.3, 38.5, 39.0, 44.3, 46.4, 46.6, 48.0, 49.9, 50.8, 59.4, 60.0, 132.3, 134.3, 137.6, 138.9, 211.3, 212.6.
【0252】
2.嗅覚評価:
本発明の化合物(I)の匂いの質及び強さを試験するために、香りストリップ試験(scent strip test)を実施した。
【0253】
この目的のために、吸収紙のストリップを、エタノール中1~10重量%の試験される化合物(I)の溶液を含有する溶液へと浸漬させた。溶媒を蒸発させた後(約30秒)、香りの印象を、熟練のパフューマーにより嗅覚で評価した。
【0254】
香り試験の結果は、表1で要約されている。
【0255】
【0256】
有利な芳香成分
例1.1、1.2、1.3、1.4、1.5、1.6及び1.7の化合物は、表2及び3に従って芳香組成物に配合した。表2及び3における数値は、重量部を意味する。
【0257】
【0258】
【0259】
香油組成物3は、例1.1の化合物が、同一量の例1.2の化合物により置き換えられている香油組成物1Bに相当する。
【0260】
香油組成物4は、例1.1の化合物が、同一量の例1.3の化合物により置き換えられている香油組成物1Bに相当する。
【0261】
香油組成物5は、例1.1の化合物が、同一量の例1.4の化合物により置き換えられている香油組成物1Bに相当する。
【0262】
香油組成物6は、例1.1の化合物が、同一量の例1.5の化合物により置き換えられている香油組成物1Bに相当する。
【0263】
香油組成物7は、例1.1の化合物が、同一量の例1.6の化合物により置き換えられている香油組成物1Bに相当する。
【0264】
香油組成物8は、例1.1の化合物が、同一量の例1.7の化合物により置き換えられている香油組成物1Bに相当する。
【0265】
香油組成物9は、例1.1の化合物が、同一量の例1.2の化合物により置き換えられている香油組成物2Bに相当する。
【0266】
香油組成物10は、例1.1の化合物が、同一量の例1.3の化合物により置き換えられている香油組成物2Bに相当する。
【0267】
香油組成物11は、例1.1の化合物が、同一量の例1.4の化合物により置き換えられている香油組成物2Bに相当する。
【0268】
香油組成物12は、例1.1の化合物が、同一量の例1.5の化合物により置き換えられている香油組成物2Bに相当する。
【0269】
香油組成物13は、例1.1の化合物が、同一量の例1.6の化合物により置き換えられている香油組成物2Bに相当する。
【0270】
香油組成物14は、例1.1の化合物が、同一量の例1.7の化合物により置き換えられている香油組成物2Bに相当する。
【0271】
式(I)の化合物若しくは2種以上の一般式(I)の化合物の混合物、又はその立体異性体若しくは2種以上のその立体異性体の混合物、特に例1.1、1.2、1.3、1.4、1.5、1.6又は1.7の化合物は、幅広いフレグランス用品に、例えば任意の分野のファインパフューマリー及び機能パフューマリー、例えば香水、家庭用品、洗濯用製品、ボディケア製品及び化粧品に使用され得る。式(I)の化合物若しくは2種以上の一般式(I)の化合物の混合物、又はその立体異性体若しくは2種以上のその立体異性体の混合物、特に例1.1、1.2、1.3、1.4、1.5、1.6又は1.7の化合物は、具体的な用途、並びに他の付臭剤原料の性質及び量に応じて、幅広く変動する量で用いられ得る。比率は、典型的には用品の0.001~20重量パーセントである。一実施形態では、式(I)の化合物若しくは2種以上の一般式(I)の化合物の混合物、又はその立体異性体若しくは2種以上のその立体異性体の混合物、特に例1.1、1.2、1.3、1.4、1.5、1.6又は1.7の化合物は、0.001~0.05重量パーセントの量で織物柔軟剤に用いられる。別の実施形態では、式(I)の化合物若しくは2種以上の一般式(I)の化合物の混合物、又はその立体異性体若しくは2種以上のその立体異性体の混合物、特に例1.1、1.2、1.3、1.4、1.5、1.6又は1.7の化合物は、0.1~20重量パーセント、より好ましくは0.1~5重量パーセントの量で、ファインパフューマリーに使用される。しかし、経験を積んだパフューマーもより低い又はより高い濃度で効果を達成できる、又は新規な調和を生じることができるので、これらの値は例として示されているに過ぎない。
【0272】
式(I)の化合物若しくは2種以上の一般式(I)の化合物の混合物、又はその立体異性体若しくは2種以上のその立体異性体の混合物、特に例1.1、1.2、1.3、1.4、1.5、1.6又は1.7の化合物は、単にフレグランス組成物をフレグランス用品と直接混合することによって、フレグランス用品に用いられ得る、又はこれらは初期の工程で、封入材料、例えば、ポリマー、カプセル、マイクロカプセル及びナノカプセル、リポソーム、フィルム形成剤、吸収剤例えば炭素又はゼオライト、環状オリゴ糖及びそれらの混合物を用いて封入され得、又はこれらは、外部刺激、例えば光、酵素などが適用される際にフレグランス分子を放出するように適合した基材に化学的に結合され得、次いで用品と混合される。
【0273】
したがって、本発明は、フレグランス用品を製造する方法であって、式(I)の化合物若しくは2種以上の一般式(I)の化合物の混合物、又はその立体異性体若しくは2種以上のその立体異性体の混合物、特に例1.1、1.2、1.3、1.4、1.5、1.6又は1.7の化合物を用品に直接混和することによって、或いは、式(I)の化合物若しくは2種以上の一般式(I)の化合物の混合物、又はその立体異性体若しくは2種以上のその立体異性体の混合物、特に例1.1、1.2、1.3、1.4、1.5、1.6又は1.7の化合物を含むフレグランス組成物を混和し、次いでこれを、従来の技術及び方法を使用してフレグランス用品に混合することによって、式(I)の化合物若しくは2種以上の一般式(I)の化合物の混合物、又はその立体異性体若しくは2種以上のその立体異性体の混合物、特に例1.1、1.2、1.3、1.4、1.5、1.6又は1.7の化合物をフレグランス原料としての組み込むことを含む、方法をさらに提供する。
【0274】
本明細書で使用されている、「フレグランス用品」は、ある生成物、例えばファインパフューマリー、例として香水及びオードトワレ;家庭用品、例えば食器洗い機用洗剤、表面クリーナー;洗濯製品、例えば柔軟剤、ブリーチ、洗剤;ボディケア製品、例えばシャンプー、シャワーゲル;及び付臭剤を含む化粧品、例えばデオドラント、バニシングクリームを意味する。製品のこのリストは例示の目的で示されており、決して限定するとみなすべきではない。
【0275】
式(I)の化合物若しくは2種以上の一般式(I)の化合物の混合物、又はその立体異性体若しくは2種以上のその立体異性体の混合物、特に例1.1、1.2、1.3、1.4、1.5、1.6又は1.7の化合物は、上で言及されている用途において、香水の一部として使用され得る。式(I)の化合物若しくは2種以上の一般式(I)の化合物の混合物、又はその立体異性体若しくは2種以上のその立体異性体の混合物、特に例1.1、1.2、1.3、1.4、1.5、1.6又は1.7の化合物は、単体で、又は香水の一部として使用され得る。「香水」という用語は、「香油」又は「芳香(香油)組成物」と同義で使用される。
以下は、本発明の実施形態の一つである。
(1)一般式(I)
【化18】
(式中、
破線は、互いに独立して、単結合又は二重結合を表し、
Xは、式X
1
からX
3
【化19】
(式中、アスタリスクは、分子の残部への結合点を表す)
の基を表し、
R
1a
及びR
1b
は、互いに独立して、水素若しくはメチルから選択され、又はR
1a
は、R
1b
と一緒になってメチレン若しくはエチレン基を形成し、
R
2
、R
3a
、R
3b
、R
4
、R
5a
及びR
5b
は、互いに独立して、水素又はメチルから選択され、
R
6
は、水素、メチル又はエチルから選択され、
R
7
は、メチル又はエチルである)
の化合物、その混合物、その立体異性体及びその立体異性体の混合物。
(2)1、2又は3個のR
2
、R
3a
、R
3b
、R
4
、R
5a
及びR
5b
基が、互いに独立してメチルであり、その他が水素である、(1)に記載の化合物。
(3)XがX
1
基を表す、(1)又は(2)に記載の化合物。
(4)R
2
及びR
5b
基を有する炭素原子の間の破線が、単結合を表す、(1)から(3)のいずれかに記載の化合物。
(5)式(I)の化合物が、以下の特徴a)からf)
a)R
6
がメチルである、
b)R
7
が、存在する場合メチルである、
c)R
1a
及びR
1b
が水素であり、又はR
1a
が、R
1b
と一緒になってメチレン基を形成する、
d)R
2
がメチルである、
e)R
4
が水素である、
f)R
5a
及びR
5b
が水素である
のうちの少なくとも1つを有する、(1)から(4)のいずれかに記載の化合物。
(6)一般式(I.a)
【化20】
(式中、
破線は、単結合又は二重結合を表し、
Xは、-(C=O)CH
3
又は-CH(OH)CH
3
から選択され、
R
1a
及びR
1b
は水素であり、又はR
1a
は、R
1b
と一緒になってメチレン基を形成し、
R
3a
、R
3b
及びR
4
は、互いに独立して、水素及びメチルからなる群から選択される)
の化合物、その混合物、その立体異性体若しくはその立体異性体の混合物である、(1)から(5)のいずれかに記載の化合物。
(7)一般式(I.a-R)
【化21】
(式中、
破線は、単結合又は二重結合を表し、
Xは、-(C=O)CH
3
又は-CH(OH)CH
3
から選択され、
R
1a
及びR
1b
は水素であり、又はR
1a
は、R
1b
と一緒になってメチレン基を形成し、
R
3a
、R
3b
及びR
4
は、互いに独立して、水素及びメチルからなる群から選択される)
の化合物、その混合物、その立体異性体若しくはその立体異性体の混合物である、(1)から(6)のいずれかに記載の化合物。
(8)一般式(I.a-R)の化合物が、以下の特徴a)及び/又はb)
a)Xが-(C=O)CH
3
である、
b)R
4
が水素である、
のうちの少なくとも1つを有する、(6)又は(7)に記載の化合物。
(9)一般式(I-1-R)から(I-6-R)及び(I-7)
【化22】
(式中、Xは、-(C=O)CH
3
、-CH(OH)CH
3
及び-C(OH)(CH
3
)
2
からなる群から選択される)
の化合物若しくはその混合物、又はその立体異性体若しくは2種以上のその立体異性体の混合物から選択される、(1)から(8)のいずれかに記載の化合物。
(10)Xが-(C=O)CH
3
である、(8)に記載の化合物。
(11)(1)から(10)のいずれかに記載の、一般式(I)の化合物若しくは2種以上の一般式(I)の化合物の混合物、又はその立体異性体若しくは2種以上のその立体異性体の混合物を調製する方法であって:
(i)一般式(II)
【化23】
(式中、
破線は、単結合又は二重結合を表し、
X'は、式X
1
【化24】
(式中、アスタリスクは、分子の残部への結合点を表す)
の基を表し、
R
2
、R
5a
及びR
5b
は、互いに独立して、水素又はメチルから選択され、
R
6
は、水素、メチル又はエチルから選択される)
の化合物を、一般式(III)
【化25】
(式中、
R
1a
及びR
1b
は、互いに独立して、水素若しくはメチルから選択され、又はR
1a
は、R
1b
と一緒になってメチレン若しくはエチレン基を形成し、
R
3a
、R
3b
及びR
4
は、互いに独立して、水素又はメチルから選択される)
のジエン化合物と触媒の存在下で反応させて、一般式(I)(式中、R
3a
及びR
3b
基を有する炭素原子の間の破線は、二重結合であり、XはX
1
基を表す)の化合物を得る工程、
及び任意選択で以下の工程:
(ii.a)工程(i)で得られた化合物のC=C二重結合を、水素化触媒の存在下で、水素で選択的触媒水素化して、一般式(I)(式中、破線は単結合を表し、XはX
1
基を表す)の化合物を得る工程、
又は
(ii.b)工程(i)で得られた化合物のC=C二重結合及びC=O二重結合を、水素化触媒の存在下で、水素で触媒水素化して、一般式(I)(式中、破線は単結合を表し、XはX
2
基を表す)の化合物を得る工程、
(iii.a)工程(i)で得られた化合物、若しくは工程(ii.a)で得られた化合物を、カルボニル基のヒドロキシル基への還元反応に供して、一般式(I)(式中、破線は、互いに独立して単結合又は二重結合を表し、XはX
2
基を表す)の化合物を得る工程、
又は
(iii.b)工程(i)で得られた化合物、若しくは工程(ii.a)で得られた化合物を、メチル求核試薬若しくはエチル求核試薬と反応させて、一般式(I)(式中、破線は、互いに独立して単結合又は二重結合を表し、XはX
3
基を表す)の化合物を得る工程
のうちの1つ又は2つを含む、方法。
(12)(1)から(10)のいずれかに記載の、一般式(I)の化合物若しくは2種以上の一般式(I)の化合物の混合物、又はその立体異性体若しくは2種以上のその立体異性体の混合物を調製する方法であって、
(i')一般式(II')
【化26】
(式中、
破線は、単結合又は二重結合を表し、
X'は、式X
1
【化27】
(式中、アスタリスクは分子の残部への結合点を表す)
の基を表し、
R
1a
及びR
1b
は、互いに独立して、水素若しくはメチルから選択され、又はR
1a
は、R
1b
と一緒になってメチレン若しくはエチレン基を形成し、
R
3a
、R
3b
及びR
4
は、互いに独立して、水素又はメチルから選択され、
R
6
は、水素、メチル又はエチルから選択される)
の化合物を、一般式(III')
【化28】
(式中、R
2
、R
5a
及びR
5b
は、互いに独立して、水素又はメチルから選択される)
のジエン化合物と触媒の存在下で反応させて、一般式(I)(式中、R
2
及びR
5b
基を有する炭素原子の間の破線は、二重結合であり、XはX
1
基を表す)の化合物を得る工程、
及び任意選択で以下の工程:
(ii'.a)工程(i')で得られた化合物のC=C二重結合を、水素化触媒の存在下で、水素で選択的触媒水素化して、一般式(I)(式中、破線は単結合を表し、XはX
1
基を表す)の化合物を得る工程、
又は
(ii'.b)工程(i')で得られた化合物のC=C二重結合及びC=O二重結合を、水素化触媒の存在下で、水素で触媒水素化して、一般式(I)(式中、破線は単結合を表し、XはX
2
基を表す)の化合物を得る工程、
(iii'.a)工程(i')で得られた化合物、若しくは工程(ii'.a)で得られた化合物を、カルボニル基のヒドロキシル基への還元反応に供して、一般式(I)(式中、破線は、互いに独立して単結合又は二重結合を表し、XはX
2
基を表す)の化合物を得る工程、
又は
(iii'.b)工程(i')で得られた化合物、若しくは工程(ii'.a)で得られた化合物を、メチル求核試薬若しくはエチル求核試薬と反応させて、一般式(I)(式中、破線は、互いに独立して単結合又は二重結合を表し、XはX
3
基を表す)の化合物を得る工程
のうちの1つ又は2つを含む、方法。
(13)(1)から(10)のいずれかに記載の、式(I)の化合物若しくは2種以上の一般式(I)の化合物の混合物、又はその立体異性体若しくは2種以上のその立体異性体の混合物の、香料としての使用。
(14)(1)から(10)のいずれかに記載の、式(I)の化合物若しくは2種以上の式(I)の化合物の混合物、又はその立体異性体若しくは2種以上のその立体異性体の混合物の、フレグランス組成物の香り特性を変更するための使用。
(15)- (1)から(10)のいずれかに記載の、式(I)の化合物若しくは2種以上の一般式(I)の化合物の混合物、又はその立体異性体若しくは2種以上のその立体異性体の混合物、並びに
- 少なくとも1種のさらなる香料及び/又は非香料キャリア、ここで非香料キャリアが、界面活性剤、油成分、及び溶媒からなる群から特に選択される、
を含む香料組成物。
(16)フレグランス組成物を調製する方法であって、(1)から(10)のいずれかに記載の、式(I)の化合物若しくは2種以上の一般式(I)の化合物の混合物、又はその立体異性体若しくは2種以上のその立体異性体の混合物を、前記組成物に組み込む工程を含む、方法。
(17)フレグランス組成物の香り特性を変更する方法であって、(1)から(10)のいずれかに記載の、式(I)の化合物若しくは2種以上の一般式(I)の化合物の混合物、又はその立体異性体若しくは2種以上のその立体異性体の混合物を、前記組成物に組み込む工程を含む、方法。