(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-01
(45)【発行日】2024-11-12
(54)【発明の名称】粒子分析装置及び粒子分析ユニット
(51)【国際特許分類】
G01N 15/01 20240101AFI20241105BHJP
G01N 21/01 20060101ALI20241105BHJP
G01N 21/17 20060101ALI20241105BHJP
H01L 33/00 20100101ALI20241105BHJP
【FI】
G01N15/01
G01N21/01 D
G01N21/17 A
H01L33/00 J
(21)【出願番号】P 2021552336
(86)(22)【出願日】2020-10-06
(86)【国際出願番号】 JP2020037816
(87)【国際公開番号】W WO2021075310
(87)【国際公開日】2021-04-22
【審査請求日】2023-09-19
(31)【優先権主張番号】P 2019188689
(32)【優先日】2019-10-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】000155023
【氏名又は名称】株式会社堀場製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100121441
【氏名又は名称】西村 竜平
(74)【代理人】
【識別番号】100154704
【氏名又は名称】齊藤 真大
(72)【発明者】
【氏名】立脇 康弘
(72)【発明者】
【氏名】井澤 桃香
【審査官】山口 剛
(56)【参考文献】
【文献】特開2005-269051(JP,A)
【文献】特開2010-114224(JP,A)
【文献】特開昭59-127194(JP,A)
【文献】特開2010-101719(JP,A)
【文献】国際公開第2017/195785(WO,A1)
【文献】特開2012-215458(JP,A)
【文献】特開昭57-101999(JP,A)
【文献】韓国公開特許第10-2016-0115237(KR,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 15/00 - 15/1492
G01N 21/01
G01N 21/17
H01L 33/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
粒子を撮像して得られた画像から当該粒子の特性を分析する粒子分析装置であって、
前記粒子に光を放つLEDと、
前記LEDに一定電流を流す定電流回路と、
前記定電流回路に接続されて前記LEDに流れる電流をオン・オフするスイッチング素子と、
前記LEDに電力を供給する電源と、
前記LEDに並列に接続され、所定の抵抗値を有する第1の抵抗素子とを具備し、
前記定電流回路が、
前記LEDに直列接続されて、前記LEDに流れる電流を測定して測定信号を出力する測定素子と、
前記測定信号に基づいてフィードバック信号を出力するシャントレギュレータと、
前記フィードバック信号により前記LEDに流れる電流を制御する電流制御素子と
、
前記測定素子と前記シャントレギュレータとの間に設けられ、一端が接地されている分圧回路とを有し、
前記シャントレギュレータが、
前記分圧回路の出力が入力される制御端子と、
前記フィードバック信号を出力するとともに、前記電流制御素子の制御端子に接続された出力端子とを有し、
前記シャントレギュレータの出力端子及び前記電流制御素子の制御端子の間に接続され、アノード側が前記電源に接続されている第2の抵抗素子をさらに有し、
前記スイッチング素子のオフ状態において、
前記電源からの電流は、前記第1の抵抗素子を流れて、前記分圧回路から接地側に流れ、
前記制御端子は、前記分圧回路の出力を受け付けて、前記出力端子は、前記制御端子が受け付けた前記分圧回路の出力に基づいて前記フィードバック信号を出力する、粒子分析装置。
【請求項2】
前記スイッチング素子のカソード側が接地電位である、請求項
1記載の粒子分析装置。
【請求項3】
前記スイッチング素子が前記LEDに直列接続されている、請求項
1又は2に記載の粒子分析装置。
【請求項4】
前記第1の抵抗素子は、前記LEDに前記一定電流が流れている際の当該LEDの抵抗値よりも小さい抵抗値を有する、請求項1乃至
3のうち何れか一項に記載の粒子分析装置。
【請求項5】
前記分圧回路を構成する分圧抵抗素子の少なくとも1つが、抵抗値が可変な可変抵抗素子である、請求項1乃至
4のうち何れか一項に記載の粒子分析装置。
【請求項6】
前記粒子を撮像する撮像装置をさらに備え、
前記粒子を収容するセル、前記LED、前記定電流回路、及び前記撮像装置が、ユニット化されて装置本体に着脱可能に構成されている、請求項1乃至
5のうち何れか一項に記載の粒子分析装置。
【請求項7】
請求項
6記載の粒子分析装置及び装置本体を具備する粒子分析ユニットであって、
前記装置本体が、粒子径分布測定装置と、該粒子径分布測定装置を収容する筐体とを備え、
前記粒子分析装置が、前記粒子径分布測定装置とともに前記筐体に収容されている、粒子分析ユニット。
【請求項8】
前記装置本体の電源が、前記LEDに電力を供給する電源として兼用されている、請求項
7記載の粒子分析ユニット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、粒子を撮像して得られた画像から粒子の特性を分析する粒子分析装置、及び、この粒子分析装置を備えた粒子分析ユニットに関するものである。
【背景技術】
【0002】
この種の粒子分析装置としては、特許文献1に示すように、セル内の粒子に光を放つLEDを備え、LEDのオン・オフを繰り返すことで、LEDがオンした時にセル内の粒子を撮像するように構成されたものがある。
【0003】
かかる構成において、まず、粒子の輪郭をぼやけないように撮像するためには、オン時間を例えば数μs程度の短い時間にする必要がある。そのうえで、それぞれの撮像条件を揃えるためには、それぞれのオン時間における明るさを一定にする必要があり、そのために例えばオペアンプ等により構成した定電流回路を用いてLEDに定電流を流すようにしている。
【0004】
しかしながら、このような定電流回路を用いた場合、オペアンプとして安価なものを用いると、LEDをオンする際の電流の立ち上がりが遅く、短い時間でオン・オフすることが難しくなるし、仮に高価なものを用いたとしても、例えばDC/DCコンバータを用いて両電源により動作させる場合には、定電流回路が大きくなり、装置全体が大掛かりなものになってしまう。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】米国特許出願公開第2017/0315039号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
そこで本発明は上記問題点を解決すべくなされたものであり、安価な構成で、しかも装置全体をコンパクトに保ちつつ、短い時間でLEDの点灯のオン・オフを繰り返すことができ、なおかつオン時間にはLEDに定電流を流せるようにすることをその主たる課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
すなわち本発明に係る粒子分析装置は、粒子を撮像して得られた画像から当該粒子の特性を分析する粒子分析装置であって、前記粒子に光を放つLEDと、前記LEDに一定電流を流す定電流回路と、前記定電流回路に接続されて前記LEDに流れる電流をオン・オフするスイッチング素子とを具備し、前記定電流回路が、前記LEDに直列接続されて、前記LEDに流れる電流を測定して測定信号を出力する測定素子と、前記測定信号に基づいてフィードバック信号を出力するシャントレギュレータと、前記フィードバック信号により前記LEDに流れる電流を制御する電流制御素子とを有することを特徴とするものである。
【0008】
このように構成された粒子分析装置によれば、定電流回路として、シャントレギュレータによるフィードバック回路が形成されたものを用いているので、オペアンプよりも安価な構成にすることができ、しかもシャントレギュレータは片電源により動作させることができるので装置全体をコンパクトに保つことができ、なおかつ短い時間でLEDのオン・オフを繰り返しながら、オン時間にはLEDに定電流を流すことが可能となる。
【0009】
より具体的な実施態様としては、前記シャントレギュレータが、前記測定素子のアノード側に接続されて前記測定信号が入力される制御端子と、前記フィードバック信号を出力するとともに、前記電流制御素子の制御端子に接続された出力端子とを有し、前記シャントレギュレータの出力端子及び前記電流制御素子の制御端子の間に、所定の抵抗値を有する抵抗素子が接続されている構成を挙げることができる。
このような構成であれば、測定素子により測定される電圧が増大すると、シャントレギュレータから出力される電圧(すなわち、シャントレギュレータのカソード側の電圧)が増大して、抵抗素子を流れる電流が減少するので、電流制御素子を流れる電流、すなわちLEDを流れる電流を減少させることができる。一方、測定素子により測定される電圧が減少すると、シャントレギュレータから出力される電圧(すなわち、シャントレギュレータのカソード側の電圧)が減少して、抵抗素子を流れる電流が増大するので、電流制御素子を流れる電流、すなわちLEDを流れる電流を増大させることができる。これにより、LEDに流れる電流を一定の定電流となるようにフィードバック制御することが可能となる。
【0010】
スイッチング素子を駆動するために必要な電圧を低く済ませるためには、前記スイッチング素子のカソード側が接地電位であることが好ましい。
【0011】
前記スイッチング素子が前記LEDに直列接続されていることが好ましい。
これならば、スイッチング素子がLEDに並列接続されている場合に比べて、LEDのオン・オフを速く切り替えることができる。
【0012】
前記LEDに並列接続されるとともに、前記LEDに前記一定電流が流れている際の当該LEDの抵抗値よりも小さい抵抗値の抵抗素子をさらに備えることが好ましい。
このような構成であれば、LEDをオンからオフした直後、電流がLEDに流れず抵抗素子に流れるので、残光が生じることを防ぐことができる。
【0013】
前記測定素子と前記シャントレギュレータとの間に分圧回路が設けられており、前記分圧回路を構成する分圧抵抗素子の少なくとも1つが、抵抗値が可変な可変抵抗素子であることが好ましい。
このような構成であれば、可変抵抗素子の抵抗値を変更することで、LEDに流れる一定電流の大きさを調整することができる。
【0014】
本発明に係る作用効果がより顕著に発揮される態様としては、前記粒子を撮像する撮像装置をさらに備え、前記粒子を収容するセル、前記LED、前記定電流回路、及び前記撮像装置が、ユニット化された状態で装置本体に着脱可能に構成されている場合を挙げることができる。
このような構成であれば、上述したように本発明に係る粒子分析装置がコンパクトなものであるので、この粒子分析装置が着脱される装置本体をもコンパクトにすることができる。
【0015】
また、上述した粒子分析装置及び装置本体を具備する粒子分析ユニットも、本発明の一つであり、前記装置本体が、粒子径分布測定装置と、該粒子径分布測定装置を収容する筐体とを備え、前記粒子分析装置が、前記粒子径分布測定装置とともに前記筐体に収容されていることを特徴とするものである。
このような粒子分析ユニットであれば、上述した粒子分析装置による作用効果に加えて、画像式の粒子分析装置と粒子径分布測定装置とをコンパクトなユニットとして提供することができるといった作用効果を奏し得る。
【0016】
装置本体のさらなるコンパクト化を図るためには、前記装置本体の電源が、前記LEDに電力を供給する電源として兼用されていることが好ましい。
【発明の効果】
【0017】
以上に述べた本発明によれば、安価な構成で、しかも装置全体をコンパクトに保ちつつ、短い時間でLEDの点灯のオン・オフを繰り返すことができ、なおかつオン時間にはLEDに定電流を流すことができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】本実施形態に係る粒子分析ユニットの全体構成を模式的に示す図。
【
図2】同実施形態の粒子分析装置の構成を模式的に示す図。
【
図4】その他の実施形態における駆動回路の構成を示す回路図。
【
図5】その他の実施形態における駆動回路の構成を示す回路図。
【符号の説明】
【0019】
100・・・粒子分析ユニット
101・・・装置本体
L ・・・循環流路
P ・・・循環ポンプ
30 ・・・粒子径分布測定装置
31 ・・・セル
32 ・・・光源
33 ・・・光検出器
34 ・・・演算装置
40 ・・・筐体
20 ・・・粒子分析装置
21 ・・・セル
22 ・・・LED
23 ・・・駆動回路
1 ・・・定電流回路
11 ・・・測定素子
12 ・・・シャントレギュレータ
121・・・制御端子
122・・・出力端子
13 ・・・電流制御素子
131・・・制御端子
2 ・・・スイッチング素子
3 ・・・ゲートドライブ回路
4 ・・・第1の抵抗素子
5 ・・・第2の抵抗素子
24 ・・・撮像系
241・・・撮像装置
242・・・集光レンズ
243・・・遮光収容部材
26 ・・・ケーシング
25 ・・・情報処理装置
V ・・・電源
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下に本発明の一実施形態について、図面を参照しながら説明する。
【0021】
<粒子分析ユニット100の全体構成>
本実施形態に係る粒子分析ユニット100は、粒子の種々の物性を分析するものであり、
図1に示すように、装置本体101と、装置本体101に対して着脱可能な画像式の粒子分析装置20とを備えている。
【0022】
<装置本体101>
まず、装置本体101について簡単に説明する。
本実施形態の装置本体101は、
図1に示すように、粒子径分布を測定する粒子径分布測定装置30と、粒子径分布測定装置30の少なくとも一部を収容する筐体40とを備えており、ここでの粒子径分布測定装置30は静的光散乱理論に基づき粒子径分布を測定するものである。
【0023】
具体的にこの粒子径分布測定装置30は、粒子に光を照射した際に生じる回折/散乱光の拡がり角度に応じる光強度分布が、MIE散乱理論から粒子径によって定まることを利用したものであり、粒子を収容するセル31と、セル31内の粒子に光を照射する光源32と、その光の照射により生じる回折/散乱光を受光する光検出器33と、その受光した光の光強度信号を取得して粒子径分布を算出する演算装置34とを備えており、ここではセル31、光源32、及び光検出器33が筐体40に収容されている。なお、この筐体40内には、セル31を光学系と干渉させることなく着脱できるようにするべく、光源32や光検出器33とは隔てられてセル31が配置されるセル収容空間が設けられている。
【0024】
ここでは上述したセル31として、粒子を分散させた分散媒が循環するフロー式のものを用いており、本実施形態の装置本体101は、分散媒を循環させる循環流路と、循環流路上に設けられた循環ポンプPとをさらに備えている。これらの循環流路及び循環ポンプPは、上述した筐体40に収容されている。なお、セル31としてバッチ式のものを用いても構わない。
【0025】
<粒子分析装置20>
次に、粒子分析装置20について説明する。
粒子分析装置20は、粒子の特性を分析するものであり、粒子の物性を示す物性値を測定するものである。具体的に物性値としては、例えば粒子径(面積円相当径)、アスペクト比、長軸長さ、短軸長さ、最大距離、周長、面積(実測μm2)、面積(ピクセル:粒子内の画素数)、真円度、凸性、扁平率、撮像画素の強度、粒子径分布、凝集率等を挙げることができる。
【0026】
この粒子分析装置20は、
図1及び
図2に示すように、粒子を収容するセル21と、セル21内の粒子に光を放つLED22と、LED22を点灯させる駆動回路23と、セル21内の粒子を撮像する撮像系24と、撮像系24により得られた画像から粒子の特性を分析する情報処理装置25とを備えている。
【0027】
本実施形態では、
図2に示すように、上述した構成要素のうち、セル21、LED22、駆動回路23、及び撮像系24がユニット化されており、これらが上述した装置本体101に一体的に着脱可能な構成としてある。具体的には、セル21、LED22、駆動回路23、及び撮像系24が単一のケーシング26に収容されており、このケーシング26を装置本体101に着脱可能にしてある。これにより、粒子分析装置20の少なくとも一部の構成要素、具体的にはセル21、LED22、駆動回路23、及び撮像系24は、上述した粒子径分布測定装置30とともに、装置本体101の筐体40に収容されており、より具体的には筐体40内に設けられた上述のセル収容空間に配置されている。なお、セル21は、ケーシング26から着脱可能な構成であっても良い。
【0028】
この粒子分析装置20において、駆動回路23の一部が特徴的であるので、以下では、まず駆動回路23以外の構成要素を説明した後に、駆動回路23について説明する。
【0029】
セル21は、
図1に示すように、粒子を分散させた分散媒が循環するフロー式のものであり、この実施形態では、上述した循環回路Lに設けられている。ただし、セル21としては、上述した循環回路Lとは別の循環回路Lに設けられていても良いし、バッチ式のものであっても良い。
【0030】
LED22は、例えば定電圧源等の電源Vから電力が供給されて発光するものであり、例えば白色LED等である。この実施形態では、1つのLED22を用いているが、互いに直列又は並列に接続された複数のLED22を用いても良い。また、このLED22の電源Vは、
図1に示す粒子径分布測定装置30の電源V(演算装置34の電源)や、図示していないが循環ポンプPの電源など装置本体101の電源Vと兼用されていることが好ましい。ただし、LED22の電源Vを装置本体101の電源とは別に設けても構わない。
【0031】
撮像系24は、
図2に示すように、少なくともカメラ等の撮像装置241を備えたものであり、ここではセル21を通過した光を集光する集光レンズ242と、この集光レンズ242とカメラの少なくとも入射レンズとを収容する鏡筒等の収容反射部材243とをさらに備えている。
【0032】
本実施形態では、撮像装置241のシャッタを開きっぱなしにしてあり、LED22が点灯することで、LED22から放たれた光がセル21を通過して撮像装置241の撮像素子に導かれ、セル21内の粒子の画像が取得されるようにしてある。ただし、撮像装置241のシャッタは、必ずしも開きっぱなしにする必要はなく、所定のタイミング(時間間隔)で開閉されても良い。
【0033】
情報処理装置25は、物理的にいえば、CPU、メモリ、入出力インターフェース等を備えた汎用乃至専用のコンピュータであり、メモリの所定領域に格納された所定プログラムに従ってCPUや周辺機器を協働させることにより、撮像装置241により得られた粒子の画像データを取得して、この画像データに基づいて、粒子の種々の特性を算出するものである。具体的には、1又は複数の画像データを画像処理することにより、所定の物性値を算出して出力する。
【0034】
続いて、駆動回路23を説明する。
駆動回路23は、
図3に示すように、上述した電源VからLED22への電力の供給及びその停止を繰り返し、LED22の点灯時間と消灯時間とのそれぞれが所定の時間間隔で繰り返されるように構成されたものであり、具体的にはLED22に一定電流を流す定電流回路1と、定電流回路1に接続されてLED22に流れる電流をオン・オフするスイッチング素子2とを具備している。
【0035】
まず、スイッチング素子2から説明すると、このスイッチング素子2は、
図3に示すように、LED22や定電圧回路に直列接続されてオン状態及びオフ状態に切り替わるものである。ここでのスイッチング素子2は、接地電位と定電圧回路との間の接続をオン・オフするものであり、カソード側が接地電位である。
【0036】
このスイッチング素子2は、オン状態の時間とオフ状態の時間とのそれぞれが所定の時間間隔で繰り返されるように制御されるものであり、具体的には、例えばゲートドライブ回路3からゲート信号が入力されるMOSFETである。これにより、スイッチング素子2のオン状態では、電源Vからの電力がLED22に供給されてLED22が点灯し、スイッチング素子2のオフ状態では、LED22への電力供給が遮断されてLED22が消灯する。なお、スイッチング素子2としては、例えばトランジスタを用いても構わない。
【0037】
本実施形態では、スイッチング素子2をオン状態からオフ状態にしてLED22を消灯する際に、LED22に電流が流れて残光が生じてしまうことを防ぐべく、所定の抵抗値を有する第1の抵抗素子4をLED22に並列接続してある。より具体的には、この第1の抵抗素子4は、後述する定電流回路1による一定電流がLED22に流れている際の当該LED22の抵抗値よりも小さい抵抗値を有するものである。
【0038】
然して、本実施形態の定電流回路1は、LED22に流れる電流を測定して測定信号を出力する測定素子11と、測定信号に基づいてフィードバック信号を出力するシャントレギュレータ12と、フィードバック信号によりLED22に流れる電流を制御する電流制御素子13とを有するものである。なお、「測定信号に基づいてフィードバック信号を出力する」との態様は、測定信号そのものからフィードバック信号を生成して出力する場合のみならず、測定信号から得られる別の信号からフィードバック信号を生成して出力する場合も含まれる。
【0039】
測定素子11は、LED22に流れる電流を検出するためのものであり、LED22に直列接続されており、具体的には上述したスイッチング素子2のアノード側に接続された所定の抵抗値を有する抵抗素子である。
【0040】
シャントレギュレータ12は、測定素子11のアノード側に接続されて測定信号が入力される制御端子121と、フィードバック信号を出力するととともに、電流制御素子13の制御端子131に接続された出力端子122とを有するものであり、片電源で動作されるものである。なお、ここでいうフィードバック信号とは、シャントレギュレータ12の出力端子122から出力される電圧値を制御端子121に戻して、その電圧値が一定値となるように調整される信号である。
【0041】
より具体的に説明すると、シャントレギュレータ12の制御端子121には、測定素子11のアノード側の電圧或いは測定素子11のアノード側を流れる電流の値を示す信号が測定信号として入力される。一方、シャントレギュレータ12の出力端子122からは、上述した測定信号に対応する電圧の値を示す信号がフィードバック信号として出力される。ここでは、測定素子11のアノード側の電圧に所定電圧を加えた電圧値を示す信号が、フィードバック信号として出力端子122から出力される。
【0042】
電流制御素子13は、制御端子131に入力されるフィードバック信号に応じた電流をLED22に流すものであり、例えばトランジスタである。具体的にこの電流制御素子13は、コレクタ端子がLED22のカソード側に接続されるとともに、エミッタ端子が測定素子11のアノード側に接続されており、制御端子131たるベース端子にフィードバック信号、すなわちシャントレギュレータ12の出力端子122から出力された電圧値がベース電圧として入力されるNPN型トランジスタである。なお、電流制御素子13としては、PNP型トランジスタやFETなど種々のものを用いて良い。
【0043】
ここで、本実施形態では、シャントレギュレータ12の出力端子122及び電流制御素子13の制御端子131の間に、所定の抵抗値を有する第2の抵抗素子5が接続されている。この第2の抵抗素子5のアノード側は、この実施形態では定電圧源たる電源Vに接続されている。これにより、第2の抵抗素子5には、定電圧源からの定電圧(本実施形態では25V)とシャントレギュレータ12の出力端子122から出力される電圧との差に応じた電流が流れる。なお、第2の抵抗素子5のアノード側は必ずしも定電圧源の定電圧が印加されている必要はなく、例えば定電圧よりも低い電圧が印加されていても良い。
【0044】
かかる構成により、測定素子11により測定される電圧が増大すると、シャントレギュレータ12から出力される電圧、すなわちシャントレギュレータ12のカソード側の電圧が増大するので、この電圧と定電圧源の電圧との差が小さくなり、第2の抵抗素子5を流れる電流が減少する。これにより、第2の抵抗素子5から電流制御素子13に流れ込む電流が減少するので、電流制御素子13に流れる電流、すなわちLED22に流れる電流が減少する。
【0045】
一方、測定素子11により測定される電圧が減少すると、シャントレギュレータ12から出力される電圧、すなわちシャントレギュレータ12のカソード側の電圧が減少して、この電圧と定電圧源の電圧との差が大きくなり、第2の抵抗素子5を流れる電流が増大する。これにより、第2の抵抗素子5から電流制御素子13に流れ込む電流が増大するので、電流制御素子13に流れる電流、すなわちLED22に流れる電流が増大する。
【0046】
このように、本実施形態の定電流回路1は、シャントレギュレータ12によるフィードバック回路が形成されたものであり、このフィードバック回路によって、LED22に流れる電流を一定の定電流となるようにフィードバック制御することが可能となる。
【0047】
さらに、この実施形態では、測定素子11とシャントレギュレータ12との間に分圧回路6を設けてあり、測定素子11により測定された測定信号の示す電圧が、分圧回路6により分圧されて、その分圧後の電圧の値を示す信号が、シャントレギュレータ12の制御端子121に入力されることになる。
そして、分圧回路6を構成する複数の分圧抵抗素子のうちの少なくとも1つを、抵抗値が可変な可変抵抗素子61としてあり、この可変抵抗素子61の抵抗値を変えることにより、LED22に流れる定電流の大きさを変更することができるようにしてある。
【0048】
このように構成された粒子分析装置20によれば、定電流回路1として、片電源により動作するシャントレギュレータ12によるフィードバック回路が形成されたものを用いているので、オペアンプよりも安価な構成にするとともに、装置全体をコンパクトに保つことができ、しかも短い時間でLED22のオン・オフを繰り返しながら、オン時間にはLED22に定電流を流すことができる。
【0049】
また、スイッチング素子2のカソード側が接地電位であるので、スイッチング素子2を駆動するために必要な電圧が小さく済む。
【0050】
そのうえ、スイッチング素子2がLED22に直列接続されているので、LED22に並列接続されている場合に比べて、LEDのオン・オフを速く切り替えることができる。
【0051】
さらに、LED22に一定電流が流れている際の当該LED22の抵抗値よりも小さい抵抗値を有する第1の抵抗素子4をLED22に並列接続しているので、LED22をオン状態からオフ状態にした直後、電流がLED22に流れず第1の抵抗素子4に流れるので、残光が生じることを防ぐことができる。
【0052】
加えて、測定素子11とシャントレギュレータ12との間に設けられた分圧回路6を構成する分圧抵抗素子の少なくとも1つが、抵抗値が可変な可変抵抗素子61であるので、この可変抵抗素子61の抵抗値を変更することで、LED22に流れる一定電流の大きさを調整することができる。
【0053】
ここで、LED22に流れる定電流の大きさを変更する態様として、測定素子11を可変抵抗にすることが考えられるが、LED22に例えば数A程度の電流を流す場合、そのような大電流に耐え得る可変抵抗は高価で大きなものとなり、装置の高コスト化や大型化を招来する。
これに対して、本実施形態のように、分圧回路6を構成する分圧抵抗素子61を可変抵抗素子とすれば、仮にLED22に大電流を流す場合であっても、分圧抵抗素子61に流れる電流を小さくすることができ、安価でコンパクトな可変抵抗素子を用いることができ、装置の低コストでコンパクトなものにすることができる。
【0054】
さらに加えて、上述したように粒子分析装置20をコンパクトに保てるので、装置本体101の筐体40内に形成されたセル収容空間が仮に狭小な空間であったとしても、このセル収容空間に粒子分析装置20を無理なく着脱することができる。
【0055】
そのうえ、装置本体101の電源Vが、LED22に電力を供給する電源Vとして兼用されているので、粒子分析ユニット100のコンパクト化を図れる。
【0056】
なお、本発明は前記各実施形態に限られるものではない。
【0057】
例えば、粒子分析装置20は、前記実施形態では装置本体101に着脱なものであったが、単体で用いられるものであっても良い。
【0058】
また、前記実施形態の粒子径分布測定装置30は、静的光散乱理論に基づき粒子径分布を測定するものであったが、動的散乱理論に基づき粒子径分布を測定するもの、すなわち光検出器により検出された光強度の揺らぎに基づいて粒子径分布を算出するものであっても良い。
【0059】
さらに、前記実施形態では1つの第2の抵抗素子5を用いていたが、
図4に示すように、並列及び/又は直列接続された複数の第2の抵抗素子5を用いても良い。
このような構成であれば、抵抗素子5に流れる電流量を小さくすることができ、抵抗素子5の発熱量を低減させることができる。
【0060】
そのうえ、粒子分析装置20としては、第2の抵抗素子5の代わりに、電流を一定電流に保つ定電流ダイオード(定電流素子)を用いても良い。
このような構成であれば、測定素子11により測定される電圧が増大すると、シャントレギュレータ12のカソードからアノードに流れる電流が増大するので、その分、第2の抵抗素子5から電流制御素子13に流れ込む電流が減少し、LED22に流れる電流が減少する。
一方、測定素子11により測定される電圧が減少すると、シャントレギュレータ12のカソードからアノードに流れる電流が減少するので、その分、第2の抵抗素子5から電流制御素子13に流れ込む電流が増大し、LED22に流れる電流が増大する。
【0061】
加えて、前記実施形態では電流制御素子13として1つのトランジスタを用いていたが、
図5に示すように、複数のトランジスタをダーリントン接続した所謂ダーリントントランジスタを電流素子として用いても良い。
このような構成であれば、電流増幅率を向上させることができる。
【0062】
さらに加えて、前記実施形態では、シャントレギュレータ12と測定素子11との間に分圧回路を設けていたが、この分圧回路は必ずしも必要ではなく、測定素子11により測定される電圧(電流)がそのままシャントレギュレータ12の制御端子121に入力されても良い。
【0063】
また、前記実施形態ではスイッチング素子2をLED22に直列接続していたが、LED22に並列接続しても良い。
【0064】
そのうえ、前記実施形態では分散媒に分散させた粒子を分析対象或いは測定対象としていたが、例えば粉体を分散媒に分散させることなく分析或いは測定しても良い。
【0065】
その他、本発明の趣旨に反しない限りにおいて様々な実施形態の変形や組み合わせを行っても構わない。
【産業上の利用可能性】
【0066】
本発明によれば、安価な構成で、しかも装置全体をコンパクトに保ちつつ、短い時間でLEDの点灯のオン・オフを繰り返すことができ、なおかつオン時間にはLEDに定電流を流すことができる。