(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-01
(45)【発行日】2024-11-12
(54)【発明の名称】基板を保持するためのトップリングおよび基板処理装置
(51)【国際特許分類】
B24B 37/30 20120101AFI20241105BHJP
B24B 37/32 20120101ALI20241105BHJP
B24B 37/10 20120101ALI20241105BHJP
H01L 21/304 20060101ALI20241105BHJP
【FI】
B24B37/30 A
B24B37/30 E
B24B37/32 Z
B24B37/10
B24B37/30 Z
H01L21/304 622H
H01L21/304 622K
(21)【出願番号】P 2023127098
(22)【出願日】2023-08-03
(62)【分割の表示】P 2019208865の分割
【原出願日】2019-11-19
【審査請求日】2023-08-03
(73)【特許権者】
【識別番号】000000239
【氏名又は名称】株式会社荏原製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【氏名又は名称】宮前 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100146710
【氏名又は名称】鐘ヶ江 幸男
(74)【代理人】
【識別番号】100186613
【氏名又は名称】渡邊 誠
(72)【発明者】
【氏名】石井 遊
(72)【発明者】
【氏名】佐鳥 博俊
(72)【発明者】
【氏名】柏木 誠
【審査官】山村 和人
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-188955(JP,A)
【文献】特開2004-214525(JP,A)
【文献】特開2018-183820(JP,A)
【文献】特開2012-240160(JP,A)
【文献】特開2002-113653(JP,A)
【文献】特開2010-36299(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B24B 37/00 - 37/34
H01L 21/304
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板を保持するためのトップリングであって、
回転シャフトに連結されたベース部材と、
前記ベース部材に取り付けられ、前記ベース部材との間に基板を加圧するための加圧室を形成する弾性膜と、
基板を保持するための基板保持面の算術平均粗さRaが5μm以下になるように鏡面仕上げされている弾性板状部材を含み、前記弾性膜に保持される基板保持部材と、
を含
み、
前記ベース部材は、上部ガイド部材と、第1スペーサと、第2スペーサと、下部ガイド部材と、を含み、
前記弾性膜は、第1弾性膜と、第2弾性膜と、第3弾性膜と、を含み、
前記第1弾性膜は、中央部が前記基板保持部材の基板保持面とは反対側の面に接続され、且つ、端部が前記第2スペーサと前記下部ガイド部材との間に挟持され、
前記第2弾性膜は、中央部が前記第1弾性膜の中央部に接続され、且つ、端部が前記第1スペーサと前記第2スペーサとの間に挟持され、
前記第3弾性膜は、中央部が前記第2弾性膜の中央部に接続され、且つ、端部が前記上部ガイド部材と前記第1スペーサとの間に挟持されている、
トップリング。
【請求項2】
前記上部ガイド部材の中央部の下面に弾性膜ホルダが取り付けられており、
前記弾性膜は、さらに第4弾性膜を含み、
前記第4弾性膜は、中央部が第3弾性膜の中央部に接続され、且つ、端部が前記上部ガイド部材と前記弾性膜ホルダとの間に挟持されている、
請求項1に記載のトップリング。
【請求項3】
前記第1弾性膜と前記第2弾性膜との間に第1加圧室が画定され、
前記第2弾性膜と前記第3弾性膜との間に第2加圧室が画定され、
前記第3弾性膜と前記第4弾性膜との間に第3加圧室が画定され、
前記第4弾性膜と前記上部ガイド部材との間に第4加圧室が画定され、
前記ベース部材は、前記第1加圧室、前記第2加圧室、前記第3加圧室、および前記第4加圧室のそれぞれに独立して流体を供給する複数の流体供給ラインを有する、
請求項2に記載のトップリング
【請求項4】
請求項1から
3のいずれか一項に記載のトップリングと、
研磨パッドを保持するように構成された研磨テーブルと、を有する、
基板処理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、基板を保持するためのトップリングおよび基板処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体デバイスの製造に、基板の表面を平坦化するために化学機械研磨(CMP)装置が使用されている。半導体デバイスの製造に使用される基板は、多くの場合、円板形状である。また、半導体デバイスに限らず、CCL基板(Copper Clad Laminate基板)やPCB(Printed Circuit Board)基板、フォトマスク基板、ディスプレイパネルなどの四角
形の基板の表面を平坦化する際の平坦度の要求も高まっている。また、PCB基板などの電子デバイスが配置されたパッケージ基板の表面を平坦化することへの要求も高まっている。
【0003】
化学機械研磨装置などの基板処理装置は、基板を保持するためのトップリングを含む。例えば特許文献1に記載されているように、トップリングは、回転軸と、回転軸に連結されたフランジ部と、フランジ部に嵌合された多孔質の吸着板と、吸着板の上面に貼り付けられた遮蔽板とを含む。このトップリングは、真空吸引によって吸着板の微細孔を介して基板を吸着し、かつ、遮蔽版に圧力を加えることによって基板を研磨パッドに押圧するように構成される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載されているトップリングは、基板を研磨パッドに均一に押圧することに関して改善の余地がある。
【0006】
すなわち、基板処理装置は、各部品の製造公差に起因して、トップリングまたは研磨パッドが貼り付けられる定盤に傾きが生じる場合がある。これに対して、特許文献1に記載されているトップリングは、フランジ部に吸着板が嵌合されている。したがって、トップリングまたは定盤に傾きが生じた場合には、トップリングが保持する基板の被研磨面と研磨パッドの研磨面とが平行に接触せず、その結果、基板を均一に研磨パッドに押圧できないおそれがある。
【0007】
そこで、本願は、基板を均一に研磨パッドに押圧することができるトップリングおよび基板処理装置を提供することを1つの目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
一実施形態によれば、基板を保持するためのトップリングであって、回転シャフトに連結されたベース部材と、前記ベース部材に取り付けられ、前記ベース部材との間に基板を加圧するための加圧室を形成する弾性膜と、基板を吸着するための基板吸着面および減圧手段と連通する減圧部を有する多孔質部材を含み、前記弾性膜に保持される基板吸着部材と、を含む、トップリングが開示される。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】一実施形態による、基板処理装置の全体構成を示す平面図である。
【
図2】一実施形態による、研磨ユニットの構成を概略的に示す斜視図である。
【
図3】一実施形態のトップリングを概略的に示す断面図である。
【
図4】
図3の5-5線における断面を示す図である。
【
図5】一実施形態の基板吸着部材を概略的に示す平面図である。
【
図6】一実施形態の基板吸着部材を概略的に示す斜視図である。
【
図9】一実施形態の基板吸着部材を概略的に示す平面図である。
【
図10】一実施形態のトップリングの一部を概略的に示す断面図である。
【
図11】一実施形態のトップリングを概略的に示す断面図である。
【
図12】一実施形態のトップリングを概略的に示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下に、本発明に係るトップリングおよびトップリングを備える基板処理装置の実施形態を添付図面とともに説明する。添付図面において、同一または類似の要素には同一または類似の参照符号が付され、各実施形態の説明において同一または類似の要素に関する重複する説明は省略することがある。また、各実施形態で示される特徴は、互いに矛盾しない限り他の実施形態にも適用可能である。
【0011】
図1は、一実施形態による基板処理装置1000の全体構成を示す平面図である。
図1に示される基板処理装置1000は、ロードユニット100、搬送ユニット200、研磨ユニット300、乾燥ユニット500、およびアンロードユニット600を有する。図示の実施形態において、搬送ユニット200は、2つの搬送ユニット200A、200Bを有し、研磨ユニット300は、2つの研磨ユニット300A、300Bを有する。一実施形態において、これらの各ユニットは、独立に形成することができる。これらのユニットを独立して形成することで、各ユニットの数を任意に組み合わせることで異なる構成の基板処理装置1000を簡易に形成することができる。また、基板処理装置1000は、制御装置900を備え、基板処理装置1000の各構成要素は制御装置900により制御される。一実施形態において、制御装置900は、入出力装置、演算装置、記憶装置などを備える一般的なコンピュータから構成することができる。
【0012】
<ロードユニット>
ロードユニット100は、研磨および洗浄などの処理が行われる前の基板WFを基板処理装置1000内へ導入するためのユニットである。一実施形態において、ロードユニット100は、SMEMA(Surface Mount Equipment Manufacturers Association)の機
械装置インタフェース規格(IPC-SMEMA-9851)に準拠するように構成される。
【0013】
図示の実施形態において、ロードユニット100の搬送機構は、複数の搬送ローラ202と、搬送ローラ202が取り付けられる複数のローラシャフト204とを有する。
図1に示される実施形態においては、各ローラシャフト204には3つの搬送ローラ202が取り付けられている。基板WFは、搬送ローラ202上に配置され、搬送ローラ202が回転することで基板WFが搬送される。ローラシャフト204上の搬送ローラ202の取り付け位置は、基板WFを安定的に搬送することができる位置であれば任意とすることができる。ただし、搬送ローラ202は基板WFに接触するので、処理対象である基板WFに接触しても問題の無い領域に搬送ローラ202が接触するように配置すべきである。一実施形態において、ロードユニット100の搬送ローラ202は、導電性ポリマーから構成することができる。一実施形態において、搬送ローラ202は、ローラシャフト204などを介して電気的に接地される。これは、基板WFが帯電して基板WFを損傷することを防止するためである。また、一実施形態において、ロードユニット100に、基板WFの帯電を防止するためにイオナイザー(図示せず)を設けてもよい。
【0014】
<搬送ユニット>
図1に示される基板処理装置1000は、2つの搬送ユニット200A、200Bを備えている。2つの搬送ユニット200A、200Bは同一の構成とすることができるので、以下において、一括して搬送ユニット200として説明する。
【0015】
図示の搬送ユニット200は、基板WFを搬送するための複数の搬送ローラ202を備えている。搬送ローラ202を回転させることで、搬送ローラ202上の基板WFを所定の方向に搬送することができる。搬送ユニット200の搬送ローラ202は、導電性ポリマーから形成されても、導電性のないポリマーから形成されてもよい。搬送ローラ202は、図示していないモータにより駆動される。基板WFは、搬送ローラ202によって基板受け渡し位置まで搬送される。
【0016】
一実施形態において、搬送ユニット200は、洗浄ノズル284を有する。洗浄ノズル284は、図示しない洗浄液の供給源に接続される。洗浄ノズル284は、搬送ローラ202によって搬送される基板WFに洗浄液を供給するように構成される。
【0017】
<研磨ユニット>
図2は、一実施形態による研磨ユニット300の構成を概略的に示す斜視図である。
図1に示される基板処理装置1000は、2つの研磨ユニット300A、300Bを備えている。2つの研磨ユニット300A、300Bは同一の構成とすることができるので、以下において、一括して研磨ユニット300として説明する。
【0018】
図2に示すように、研磨ユニット300は、研磨テーブル350と、研磨対象物である基板を保持して研磨テーブル350上の研磨面に押圧する研磨ヘッドを構成するトップリング302とを備えている。研磨テーブル350は、テーブルシャフト351を介してその下方に配置される研磨テーブル回転モータ(図示せず)に連結されており、テーブルシャフト351周りに回転可能になっている。研磨テーブル350の上面には研磨パッド352が貼付されており、研磨パッド352の表面352aが基板を研磨する研磨面を構成している。一実施形態において、研磨パッド352は、研磨テーブル350からの剥離を容易にするための層を介して貼り付けられてもよい。そのような層は、たとえばシリコーン層やフッ素系樹脂層などがあり、例えば特開2014-176950号公報などに記載されているものを使用してもよい。
【0019】
研磨テーブル350の上方には研磨液供給ノズル354が設置されており、この研磨液供給ノズル354によって研磨テーブル350上の研磨パッド352上に研磨液が供給されるようになっている。また、
図2に示されるように、研磨テーブル350およびテーブルシャフト351には、研磨液を供給するための通路353が設けられている。通路353は、研磨テーブル350の表面の開口部355に連通している。研磨テーブル350の開口部355に対応する位置において研磨パッド352は貫通孔357が形成されており、通路353を通る研磨液は、研磨テーブル350の開口部355および研磨パッド352の貫通孔357から研磨パッド352の表面に供給される。なお、研磨テーブル350の開口部355および研磨パッド352の貫通孔357は、1つであっても複数でもよい。また、研磨テーブル350の開口部355および研磨パッド352の貫通孔357の位置は任意であるが、一実施形態においては研磨テーブル350の中心付近に配置される。
【0020】
図2には示されていないが、一実施形態において、研磨ユニット300は、液体、または、液体と気体との混合流体、を研磨パッド352に向けて噴射するためのアトマイザ358を備える(
図1参照)。アトマイザ358から噴射される液体は、例えば、純水であり、気体は、例えば、窒素ガスである。
【0021】
トップリング302は、トップリングシャフト18に接続されており、このトップリングシャフト18は、上下動機構319により揺動アーム360に対して上下動するようになっている。このトップリングシャフト18の上下動により、揺動アーム360に対してトップリング302の全体を上下動させ位置決めするようになっている。トップリングシャフト18は、図示しないトップリング回転モータの駆動により回転するようになっている。トップリングシャフト18の回転により、トップリング302がトップリングシャフト18を中心にして回転するようになっている。なお、トップリングシャフト18の上端にはロータリージョイント323が取り付けられている。
【0022】
なお、市場で入手できる研磨パッドとしては種々のものがあり、例えば、ニッタ・ハース株式会社製のSUBA800(「SUBA」は登録商標)、IC-1000、IC-1000/SUBA400(二層クロス)、フジミインコーポレイテッド社製のSurfin xxx-5、Surfin 000等(「surfin」は登録商標)がある。SUBA800、Surfin xxx-5、Surfin 000は繊維をウレタン樹脂で固めた不織布であり、IC-1000は硬質の発泡ポリウレタン(単層)である。発泡ポリウレタンは、ポーラス(多孔質状)になっており、その表面に多数の微細なへこみまたは孔を有している。
【0023】
トップリング302は、その下面に四角形の基板を保持できるようになっている。揺動アーム360は支軸362を中心として旋回可能に構成されている。トップリング302は、揺動アーム360の旋回により、上述の搬送ユニット200の基板受け渡し位置と研磨テーブル350の上方との間で移動可能である。トップリングシャフト18を下降させることで、トップリング302を下降させて基板を研磨パッド352の表面(研磨面)352aに押圧することができる。このとき、トップリング302および研磨テーブル350をそれぞれ回転させ、研磨テーブル350の上方に設けられた研磨液供給ノズル354から、および/または、研磨テーブル350に設けられた開口部355から研磨パッド352上に研磨液を供給する。このように、基板WFを研磨パッド352の研磨面352aに押圧して基板の表面を研磨することができる。基板WFの研磨中に、トップリング302が研磨パッド352の中心を通過するように(研磨パッド352の貫通孔357を覆うように)、アーム360を固定あるいは揺動させてもよい。
【0024】
トップリングシャフト18およびトップリング302を上下動させる上下動機構319は、軸受321を介してトップリングシャフト18を回転可能に支持するブリッジ28と、ブリッジ28に取り付けられたボールねじ32と、支柱130により支持された支持台29と、支持台29上に設けられたACサーボモータ38とを備えている。サーボモータ38を支持する支持台29は、支柱130を介して揺動アーム360に固定されている。
【0025】
ボールねじ32は、サーボモータ38に連結されたねじ軸32aと、このねじ軸32aが螺合するナット32bとを備えている。トップリングシャフト18は、ブリッジ28と一体となって上下動するようになっている。したがって、サーボモータ38を駆動すると、ボールねじ32を介してブリッジ28が上下動し、これによりトップリングシャフト18およびトップリング302が上下動する。研磨ユニット300は、ブリッジ28の下面までの距離、すなわちブリッジ28の位置を検出する位置検出部としての測距センサ70を備えている。この測距センサ70によりブリッジ28の位置を検出することで、トップリング302の位置を検出することができるようになっている。測距センサ70は、ボールねじ32,サーボモータ38とともに上下動機構319を構成している。なお、測距センサ70は、レーザ式センサ、超音波センサ、過電流式センサ、もしくはリニアスケール式センサであってもよい。また、測距センサ70、サーボモータ38をはじめとする研磨ユニット内の各機器は、制御装置900により制御されるように構成される。
【0026】
一実施形態による研磨ユニット300は、研磨パッド352の研磨面352aをドレッシングするドレッシングユニット356を備えている。このドレッシングユニット356は、研磨面352aに摺接されるドレッサ50と、ドレッサ50が連結されるドレッサシャフト51と、ドレッサシャフト51の上端に設けられたエアシリンダ53と、ドレッサシャフト51を回転自在に支持する揺動アーム55とを備えている。ドレッサ50の下部はドレッシング部材50aにより構成され、このドレッシング部材50aの下面には針状のダイヤモンド粒子が付着している。エアシリンダ53は、支柱56により支持された支持台57上に配置されており、これらの支柱56は揺動アーム55に固定されている。
【0027】
揺動アーム55は図示しないモータに駆動されて、支軸58を中心として旋回するように構成されている。ドレッサシャフト51は、図示しないモータの駆動により回転し、このドレッサシャフト51の回転により、ドレッサ50がドレッサシャフト51周りに回転するようになっている。エアシリンダ53は、ドレッサシャフト51を介してドレッサ50を上下動させ、ドレッサ50を所定の押圧力で研磨パッド352の研磨面352aに押圧する。
【0028】
研磨パッド352の研磨面352aのドレッシングは次のようにして行われる。ドレッサ50はエアシリンダ53により研磨面352aに押圧され、これと同時に図示しない純水供給ノズルから純水が研磨面352aに供給される。この状態で、ドレッサ50がドレッサシャフト51周りに回転し、ドレッシング部材50aの下面(ダイヤモンド粒子)を研磨面352aに摺接させる。このようにして、ドレッサ50により研磨パッド352が削り取られ、研磨面352aがドレッシングされる。
【0029】
<乾燥ユニット>
乾燥ユニット500は、基板WFを乾燥させるための装置である。
図1に示される基板処理装置1000においては、乾燥ユニット500は、研磨ユニット300で研磨された後に、搬送ユニット200の洗浄部で洗浄された基板WFを乾燥させる。
図1に示されるように、乾燥ユニット500は、搬送ユニット200の下流に配置される。
【0030】
乾燥ユニット500は、搬送ローラ202上を搬送される基板WFに向けて気体を噴射するためのノズル530を有する。気体は、たとえば圧縮された空気または窒素とすることができる。搬送される基板WF上の水滴を乾燥ユニット500によって吹き飛ばすことで、基板WFを乾燥させることができる。
【0031】
<アンロードユニット>
アンロードユニット600は、研磨および洗浄などの処理が行われた後の基板WFを基板処理装置1000の外へ搬出するためのユニットである。
図1に示される基板処理装置1000においては、アンロードユニット600は、乾燥ユニット500で乾燥された後の基板を受け入れる。
図1に示されるように、アンロードユニット600は、乾燥ユニット500の下流に配置される。
【0032】
一実施形態において、アンロードユニット600は、SMEMA(Surface Mount Equipment Manufacturers Association)の機械装置インタフェース規格(IPC-SMEMA-9851)
に準拠するように構成される。
【0033】
<トップリング>
次に、一実施形態による研磨ユニット300におけるトップリング302について説明する。
図3は、一実施形態のトップリング302を概略的に示す断面図である。
図3に示すように、トップリング302は、トップリングシャフト(回転シャフト)18に連結さ
れたベース部材301を含む。ベース部材301は、具体的には、トップリングシャフト(回転シャフト)18に連結されたフランジ303と、フランジ303の下面に取り付けられたスペーサ304と、スペーサ304の下面の周縁部に取り付けられた枠状の上部ガイド部材305と、上部ガイド部材305の下面に取り付けられた枠状の下部ガイド部材306と、を含んで構成される。フランジ303と、スペーサ304と、上部ガイド部材305は、ボルト307によって固定される。上部ガイド部材305と下部ガイド部材306は、ボルト308によって固定される。
【0034】
トップリング302は、ベース部材301に取り付けられた弾性膜320と、弾性膜320に保持された基板吸着部材330と、を含む。下部ガイド部材306は、基板吸着部材330の周囲を囲むように配置される。弾性膜320は、ベース部材301との間に基板WFを加圧するための加圧室322を形成する。スペーサ304と上部ガイド部材305は、シール材309を介して連結されており、これにより、加圧室322の気密性を保っている。弾性膜320は、シリコンゴム、EPDM(エチレンプロピレンジエンゴム)、FKM(フッ素ゴム)などのゴム材料で形成することができるが、これに限られない。弾性膜320は、基板WFの搬送時に基板吸着部材330および基板WFの重量によって弾性膜320にかかる荷重に耐えるとともに、後述するストッパ部材310および下部ガイド部材306によって基板吸着部材330の動きが制限される範囲において破損しない強度と、ベース部材301に対する基板吸着部材330の角度に自由度を持たせることができる弾性とを有する材料で形成することができる。
【0035】
図4は、
図3の5-5線における断面を示す図である。
図5は、一実施形態の基板吸着部材を概略的に示す平面図である。
図6は、一実施形態の基板吸着部材を概略的に示す斜視図である。
図3-6に示すように、基板吸着部材330は、多孔質部材334と、遮蔽部材332と、を含む。多孔質部材334は、減圧手段(真空源)31を用いた真空引きによって基板WFを真空吸着することができる部材であればよく、例えば樹脂ポーラス材で構成することができる。多孔質部材334は、本実施形態では板状に形成されており、基板WFを吸着するための基板吸着面334aおよび減圧手段(真空源)31と連通する減圧部334bを有する。
【0036】
遮蔽部材332は、気体の流れを遮蔽することができる気密な部材であればよく、例えば比較的軟質なPE(ポリエチレン)、PP(ポリプロピレン)、PTFE(ポリテトラフルオロエチレン)などの樹脂板で形成することができる。遮蔽部材332は、本実施形態では、多孔質部材334の基板吸着面334aとは反対側の面334cおよび側面334dを遮蔽するように形成される。しかしながら、遮蔽部材332は、少なくとも多孔質部材334の基板吸着面334aとは反対側の面334cを遮蔽するように形成されていればよい。遮蔽部材332を設けることによって、減圧手段(真空源)31によって多孔質部材334を真空引きした場合に、負圧を基板吸着面334aに効率よく形成することができる。これにより、基板WFを基板吸着部材330に確実に吸着することができるので、研磨中に基板WFが外側に飛び出す(スリップアウトする)のを防止することができる。
図7および
図8は、基板吸着部材330の変形例を示す図である。
図7に示すように、基板吸着部材330は、多孔質部材334と、多孔質部材334の基板吸着面334aとは反対側の面334cを遮蔽するように構成された遮蔽部材332と、多孔質部材334の側面334dを遮蔽するように構成されたシール材333と、を含んでいてもよい。シール材333は、耐薬品性接着剤などであってもよく、側面334dの空隙を埋めてシールすることができる。この構成によれば、減圧手段(真空源)31によって多孔質部材334を真空引きした場合に、負圧を基板吸着面334aに効率よく形成することができるので、基板WFを基板吸着部材330に確実に吸着することができる。また、
図8に示すように、基板吸着部材330は、多孔質部材334と、多孔質部材334の基板吸着面334aとは反対側の面334cを遮蔽するように構成された遮蔽部材332と、多孔質
部材334の側面334dおよび基板吸着面334aの周縁部を遮蔽するように構成されたシール材333と、を含んでいてもよい。この構成によれば、減圧手段(真空源)31によって多孔質部材334を真空引きした際の大気ショートパスを軽減することができるので、基板吸着部材330に対する基板WFの吸着力を向上させることができる。なお、本実施形態では基板吸着部材330に遮蔽部材332が含まれる例を示したが、多孔質部材334のみで基板吸着部材330を形成することもできる。その場合、多孔質部材334の基板吸着面334aおよび穴336以外の面は、
図7および
図8における多孔質部材334の側面334dと同様にシール処置をするのが好ましい。
【0037】
遮蔽部材332は、多孔質部材334を露出させるように形成された穴336を含む。多孔質部材334の減圧部334bは、穴336が形成された位置に設けられる。また、遮蔽部材332の端部には、周方向に沿って複数の穴338が形成される。穴338が形成された箇所には、後述するストッパ部材310が取り付けられる。
【0038】
弾性膜320は、基板吸着部材330の基板吸着面334aとは反対側の面332cを覆う中央部324と、中央部324から基板吸着部材330の外側に張り出す端部326と、を含む。端部326は、上部ガイド部材305と下部ガイド部材306との間に挟持される。弾性膜320は、端部326が周方向にわたって上部ガイド部材305と下部ガイド部材306との間に固定される。これにより、スペーサ304と、上部ガイド部材305と、弾性膜320との間に、加圧室322が形成される。加圧室322は、圧力調整部30と連通している。圧力調整部30は、加圧室322に供給する圧力流体の圧力を調整する圧力調整機能を有している。本実施形態によれば、減圧手段31を用いて多孔質部材334を負圧にすることによって基板吸着面334aに基板WFを吸着するとともに、圧力調整部30によって加圧室322を加圧することによって基板WFを研磨パッド352に押圧することができる。
【0039】
また、トップリング302は、基板吸着部材330の上下方向の動きを規制するための複数のストッパ部材310を含む。ストッパ部材310は、基板吸着部材330の端部において弾性膜320を挟んで基板吸着部材330と連結される板状の部材である。ストッパ部材310は、遮蔽部材332の穴338にボルト312をねじ込むことによって基板吸着部材330と連結される。ストッパ部材310は、基板吸着部材330よりも外側に張り出すフランジ部311を有する。
【0040】
一方、上部ガイド部材305と下部ガイド部材306は、ストッパ部材310のフランジ部311と当接してストッパ部材310の上下方向の移動を規制する規制面305a,306aを有する。基板吸着部材330が上方向に移動した際には、フランジ部311が規制面305aに接触して基板吸着部材330の上方向の移動が規制される。一方、基板吸着部材330が下方向に移動した際には、フランジ部311が規制面306aに接触して基板吸着部材330の下方向の移動が規制される。これにより、基板吸着部材330の上下方向の移動範囲を所望の範囲に規制することができる。
【0041】
本実施形態によれば、基板処理装置1000を構成する各部品の製造公差などに起因して、トップリング302または研磨パッド352が貼り付けられる研磨テーブル350などに傾きが生じる場合であっても、基板WFを均一に研磨パッド352に押圧することができる。すなわち、本実施形態によれば、基板吸着部材330は、ベース部材301に固定されるのではなく、弾性膜320によって保持されている。このため、仮にトップリング302または研磨テーブル350に傾きが生じて基板WFが研磨パッド352に片当たりしたとしても、弾性膜320の弾性によって基板吸着部材330を研磨パッド352の研磨面にならわせ、その結果、基板WFを研磨パッド352に平行に接触させることができる。したがって、本実施形態によれば、基板WFを均一に研磨パッド352に押圧する
ことができる。
【0042】
また、本実施形態では、基板吸着部材330の周りに下部ガイド部材306が配置される。したがって、本実施形態によれば、基板WFの研磨中に基板吸着部材330に横方向にかかる力を下部ガイド部材306で支えることができる。また、本実施形態によれば、基板吸着部材330によって基板WFを吸着することができるので、研磨中に基板WFが外側に飛び出す(スリップアウトする)ことを防止するためのリテーナ部材を設けることなく、基板WFのスリップアウトを防止することができる。特に、近年の基板WFの薄型化に伴い、リテーナ部材を設けた場合であっても、基板WFが研磨中にスリップアウトするおそれがある。また、基板WFの形状が角型である場合には、研磨中に基板WFの角部がリテーナ部材と接触して、基板WFまたはトップリングに破損が生じるおそれもある。これに対して、本実施形態によれば、基板吸着部材330によって基板WFを真空吸着しながら研磨パッド352に押圧することができるので、研磨中の基板WFのスリップアウトを防止するとともに、研磨中に基板WFまたはトップリングが破損するのを防止することができる。
【0043】
次に、本実施形態のトップリング302の変形例を説明する。
図9は、一実施形態の基板吸着部材を概略的に示す平面図である。
図9に示すように、基板吸着部材330は、複数の減圧部334bを有していてもよい。具体的には、基板吸着部材330は、複数の多孔質部材334と、複数の多孔質部材334のそれぞれの基板吸着面334aとは反対側の面334cを遮蔽するように構成された遮蔽部材332と、を含む。遮蔽部材332は、複数の多孔質部材334のそれぞれを露出させるように形成された複数の穴336を含む。減圧部334bは、複数の穴336が形成された位置にそれぞれ設けられる。
【0044】
このように基板吸着部材330に複数の減圧部334bを設けることにより、基板吸着部材330の全体を減圧手段(真空源)31によって減圧することができる。その結果、大型の基板WFであっても基板WFをしっかりと基板吸着部材330に吸着することができるので、研磨中に基板WFがトップリング302からスリップアウトすることを防止することができる。本実施形態では、複数の多孔質部材334のそれぞれに対して1つの減圧部334bおよび1つの穴336を設ける例を示したが、これに限定されない。例えば、
図3に示すように1つの多孔質部材334を有する基板吸着部材330において、遮蔽部材332に複数の穴336を形成することによって1つの多孔質部材334に対して複数の減圧部334bを設けてもよい。この構成によれば、基板WFが大きく多孔質部材334が大きい場合であっても、基板WFを均一に基板吸着部材330に吸着することができる。
【0045】
次に、本実施形態のトップリング302の変形例を説明する。
図10は、一実施形態のトップリング302の一部を概略的に示す断面図である。
図10に示すように、本実施形態のトップリング302は、上部ガイド部材305と下部ガイド部材306との間に、枠状の第1の弾性膜スペーサ314と、枠状の第2の弾性膜スペーサ316と、が上下方向に設けられる。また、上部ガイド部材305の中央部の下面に枠状または環状の弾性膜ホルダ318が取り付けられる。第1の弾性膜スペーサ314、第2の弾性膜スペーサ316、および弾性膜ホルダ318は、ベース部材301を構成する部材と見なすことができる。
【0046】
一方、弾性膜320は、複数枚の弾性膜320-1、320-2、320-3、320-4を含んでいる。弾性膜320-1、320-2、320-3、320-4はそれぞれ、基板吸着部材330の基板吸着面334aとは反対側の面332cに接続される中央部と、中央部から延びてベース部材301の異なる位置に固定される端部と、を含む。
【0047】
具体的には、弾性膜320-1は、中央部320-1aが基板吸着部材330の基板吸着面334aとは反対側の面332cに接続され、端部320-1bが第2の弾性膜スペーサ316と下部ガイド部材306との間に挟持される。弾性膜320-2は、中央部320-2aが弾性膜320-1の中央部320-1aに接続され、端部320-2bが第1の弾性膜スペーサ314と第2の弾性膜スペーサ316との間に挟持される。弾性膜320-3は、中央部320-3aが弾性膜320-1の中央部320-1aに接続され、端部320-3bが上部ガイド部材305と第1の弾性膜スペーサ314との間に挟持される。弾性膜320-4は、中央部320-4aが弾性膜320-1の中央部320-1aに接続され、端部320-4bが上部ガイド部材305と弾性膜ホルダ318との間に挟持される。
【0048】
このような複数の弾性膜320-1、320-2、320-3、320-4の構造によって、ベース部材301と複数枚の弾性膜320-1、320-2、320-3、320-4との間に、基板WFを加圧するための複数の加圧室322a、322b、322c、322dが形成される。
【0049】
本実施形態によれば、同心状の複数の加圧室322a、322b、322c、322dを形成することによって、研磨パッド352に対する基板WFの押圧力をエリアごとにコントロールすることができる。また、本実施形態によれば、基板吸着部材330がある程度(各加圧室の圧力差を基板押付圧差に反映できる程度)の弾性を有するため、各加圧室に異なる圧力を印加させることにより、プロファイルコントロールが可能となる。
【0050】
図11は、一実施形態のトップリング302を概略的に示す断面図である。
図11に示すように、本実施形態のトップリング302は、トップリングシャフト(回転シャフト)18に連結されたベース部材301を含む。ベース部材301は、具体的には、トップリングシャフト(回転シャフト)18に連結されたフランジ303と、フランジ303の下面に取り付けられたスペーサ304と、スペーサ304の下面に取り付けられた板状部材305aおよび板状部材305aの下面の周縁部に設けられた枠状部材305bを含む上部ガイド部材305と、枠状部材305bの下面に取り付けられた枠状の下部ガイド部材306と、を含んで構成される。
【0051】
また、トップリング302は、ベース部材301に取り付けられた弾性膜402を含む。弾性膜402は、上部ガイド部材305によって形成された空間に設けられたベース膜402aと、ベース膜402a上に同心状に形成された複数の隔壁402bと、を含む。複数の隔壁402bの上端部は、板状部材305aに固定される。これにより、弾性膜402とベース部材301との間に基板WFを加圧するための同心状の複数の加圧室434、436、438が形成される。加圧室434、436、438を形成することによって、研磨パッド352に対する基板WFの押圧力をエリアごとにコントロールすることができる。
【0052】
トップリング302は、弾性膜402に保持される基板保持部材430を含む。基板保持部材430は、ベース膜402aの下面に貼り付けることができる。基板保持部材430は、基板WFを保持するための基板保持面431aが鏡面仕上げされている弾性板状部材431を含む。弾性板状部材431は、例えばシリコンゴム、EPDM(エチレンプロピレンジエンゴム)、FKM(フッ素ゴム)などのゴム材料で形成することができる。基板保持面431aは、基板WFを保持することができるように鏡面仕上げされている。ここで、鏡面仕上げされている面とは、算術平均粗さRaが5μm以下である面のことである。一例では、基板保持部材430は、基板保持面431aの算術平均粗さRaが5μm以下になるように構成された金型を用いて成形することができる。なお、弾性膜402と基板保持部材430は同じ材料で一体成形することもできる。この場合、弾性膜402と
基板保持部材430の貼り付けは不要となる。
【0053】
本実施形態によれば、基板保持部材430の基板保持面431aを鏡面仕上げすることによって、基板WFと基板保持面431aとの間の摩擦力を向上させて基板WFを基板保持面431aに保持することができる。その結果、本実施形態によれば、基板WFの周囲をガードするためのリテーナ部材を用いることなく、研磨中に基板WFがスリップアウトするのを防止することができる。
【0054】
また、本実施形態では、基板保持部材430の周りに下部ガイド部材306が配置される。したがって、本実施形態によれば、基板WFの研磨中、基板保持部材430に横方向にかかる力を下部ガイド部材306で支えることができる。
【0055】
基板保持部材430には、基板保持面431aと基板保持面431aとは反対側の面とを貫通する複数の穴432が形成される。穴432を形成することによって、基板WFを搬送ユニット200と研磨ユニット300との間で搬送する際に加圧室436を負圧に切り替えることによって、基板WFを基板保持部材430にチャックすることができる。また、基板WFを研磨して搬送ユニット200へ搬送した後、穴432から例えば空気圧を加えることによって基板保持部材430に保持された基板WFを取り外し易くすることができる。
【0056】
図12は、一実施形態のトップリング302を概略的に示す断面図である。
図12に示すトップリング302は、
図11に示すトップリング302と比較して、弾性膜の構造が異なり、その他の構造は同様である。したがって、
図11に示すトップリング302と異なる構造のみを説明する。
【0057】
図12に示すように、本実施形態のトップリング302は、上部ガイド部材305と下部ガイド部材306との間に、枠状の第1の弾性膜スペーサ314と、枠状の第2の弾性膜スペーサ316と、が上下方向に設けられる。また、上部ガイド部材305の中央部の下面に枠状または環状の弾性膜ホルダ318が取り付けられる。第1の弾性膜スペーサ314、第2の弾性膜スペーサ316、および弾性膜ホルダ318は、ベース部材301を構成する部材と見なすことができる。
【0058】
弾性膜420は、複数枚の弾性膜420-1、420-2、420-3、420-4を含んでいる。弾性膜420-1、420-2、420-3、420-4は、基板保持部材430の基板保持面431aとは反対側の面431bに接続される中央部と、ベース部材301の異なる位置に固定される端部と、を含む。
【0059】
具体的には、弾性膜420-1は、中央部420-1aが基板保持部材430の基板保持面431aとは反対側の面431bに接続され、端部420-1bが第2の弾性膜スペーサ316と下部ガイド部材306との間に挟持される。弾性膜420-2は、中央部420-2aが弾性膜420-1の中央部420-1aに接続され、端部420-2bが第1の弾性膜スペーサ314と第2の弾性膜スペーサ316との間に挟持される。弾性膜420-3は、中央部420-3aが弾性膜420-2の中央部420-2aに接続され、端部420-3bが上部ガイド部材305と第1の弾性膜スペーサ314との間に挟持される。弾性膜420-4は、中央部420-4aが弾性膜420-3の中央部420-3aに接続され、端部420-4bが上部ガイド部材305と弾性膜ホルダ318との間に挟持される。なお、弾性膜420-1と基板保持部材430は、同じ材料で一体成形することができる。この場合、弾性膜420-1と基板保持部材430の接続は不要となる。
【0060】
このような複数の弾性膜420-1、420-2、420-3、420-4の構造によ
って、ベース部材301と複数枚の弾性膜420-1、420-2、420-3、420-4との間に、基板WFを加圧するための複数の加圧室434、436、438、440が形成される。
【0061】
本実施形態によれば、同心状の複数の加圧室434、436、438、440を形成することによって、研磨パッド352に対する基板WFの押圧力をエリアごとにコントロールすることができる。また、本実施形態によれば、弾性板状部材431は厚さを有するが、ある程度(各加圧室の圧力差を基板押付圧差に反映できる程度)の弾性を有するため、各加圧室に異なる圧力を印加させることにより、プロファイルコントロールが可能となる。
【0062】
以上、いくつかの本発明の実施形態について説明してきたが、上記した発明の実施形態は、本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定するものではない。本発明は、その趣旨を逸脱することなく、変更、改良され得るとともに、本発明にはその等価物が含まれることは勿論である。また、上述した課題の少なくとも一部を解決できる範囲、または、効果の少なくとも一部を奏する範囲において、特許請求の範囲および明細書に記載された各構成要素の任意の組み合わせ、または、省略が可能である。
【0063】
本願は、一実施形態として、基板を保持するためのトップリングであって、回転シャフトに連結されたベース部材と、前記ベース部材に取り付けられ、前記ベース部材との間に基板を加圧するための加圧室を形成する弾性膜と、基板を吸着するための基板吸着面および減圧手段と連通する減圧部を有する多孔質部材を含み、前記弾性膜に保持される基板吸着部材と、を含む、トップリングを開示する。
【0064】
このトップリングは、基板吸着部材が弾性膜によって保持されているため、基板が研磨パッドに片当たりしたとしても、弾性膜の弾性によって基板を研磨パッドに平行に接触させることができ、その結果、基板を均一に研磨パッドに押圧することができる、という効果を一例として奏する。
【0065】
さらに本願は、一実施形態として、基板を保持するためのトップリングであって、回転シャフトに連結されたベース部材と、前記ベース部材に取り付けられ、前記ベース部材との間に基板を加圧するための加圧室を形成する弾性膜と、基板を保持するための基板保持面の算術平均粗さRaが5μm以下になるように鏡面仕上げされている弾性板状部材を含み、前記弾性膜に保持される基板保持部材と、を含む、トップリングを開示する。
【0066】
このトップリングは、基板保持部材の基板保持面を鏡面仕上げすることによって、基板と基板保持面との間の摩擦力を向上させて基板を基板保持面に密着保持することができる。その結果、本実施形態によれば、基板の周囲をガードするためのリテーナ部材を用いることなく、研磨中に基板がスリップアウトするのを防止することができる、という効果を一例として奏する。
【0067】
さらに本願は、一実施形態として、前記基板吸着部材は、前記多孔質部材と、前記多孔質部材の前記基板吸着面とは反対側の面および前記多孔質部材の側面を遮蔽するように構成された遮蔽部材と、を含む、トップリングを開示する。
【0068】
このトップリングは、減圧手段(真空源)によって多孔質部材を真空引きした場合に、負圧を基板吸着面に効率よく形成することができるので、基板を基板吸着部材に確実に吸着することができ、研磨中に基板が基板吸着部材からスリップアウトするのを防止することができる、という効果を一例として奏する。
【0069】
さらに本願は、一実施形態として、前記遮蔽部材は、前記多孔質部材を露出させるように形成された穴を含み、前記減圧部は、前記穴が形成された位置に設けられる、トップリングを開示する。
【0070】
このトップリングは、遮蔽部材に形成された穴を介して多孔質部材を減圧することができるので、基板を基板吸着部材に確実に吸着することができ、研磨中に基板が基板吸着部材からスリップアウトするのを防止することができる、という効果を一例として奏する。
【0071】
さらに本願は、一実施形態として、前記基板吸着部材は、複数の前記多孔質部材と、前記複数の多孔質部材のそれぞれの前記基板吸着面とは反対側の面を遮蔽するように構成された遮蔽部材と、を含み、前記遮蔽部材は、前記複数の多孔質部材のそれぞれを露出させるように形成された複数の穴を含み、前記減圧部は、前記複数の穴が形成された位置にそれぞれ設けられる、トップリングを開示する。
【0072】
このトップリングは、基板吸着部材の全体を減圧手段(真空源)によって減圧することができるので、大型の基板であっても基板をしっかりと基板吸着部材に吸着することができ、その結果、研磨中に基板がトップリングからスリップアウトすることを防止することができる、という効果を一例として奏する。
【0073】
さらに本願は、一実施形態として、前記ベース部材は、前記基板吸着部材の周囲を囲むように設けられた下部ガイド部材と、前記下部ガイド部材の上部に設けられた上部ガイド部材と、を含み、前記弾性膜は、前記基板吸着部材の前記基板吸着面とは反対側の面を覆う中央部と、前記上部ガイド部材と前記下部ガイド部材との間に挟持される端部と、を含むトップリングを開示する。
【0074】
このトップリングは、上部ガイド部材と下部ガイド部材との間に端部が挟持される弾性膜によって基板吸着部材が保持されているため、基板が研磨パッドに片当たりしたとしても、弾性膜の弾性によって基板を研磨パッドに平行に接触させることができ、その結果、基板を均一に研磨パッドに押圧することができる、という効果を一例として奏する。
【0075】
さらに本願は、一実施形態として、前記弾性膜は、複数枚の弾性膜を含み、前記複数枚の弾性膜は、前記基板吸着部材の前記基板吸着面とは反対側の面に接続される中央部と、前記ベース部材の異なる位置に固定される端部と、を含み、前記ベース部材と前記複数枚の弾性膜との間に基板を加圧するための複数の加圧室を形成するように構成される、トップリングを開示する。
【0076】
このトップリングは、複数の加圧室を形成することによって、研磨パッドに対する基板の押圧力をエリアごとにコントロールすることができる、という効果を一例として奏する。
【0077】
さらに本願は、一実施形態として、前記基板吸着部材の端部において前記弾性膜を挟んで前記基板吸着部材と連結されるとともに前記基板吸着部材よりも外側に張り出すフランジ部を有する複数のストッパ部材をさらに含み、前記ベース部材は、前記基板吸着部材の周囲を囲むように設けられた下部ガイド部材と、前記下部ガイド部材の上部に設けられた上部ガイド部材と、を含み、前記上部ガイド部材と前記下部ガイド部材は、前記ストッパ部材の前記フランジ部の上下方向の移動を規制する規制面を有する、トップリングを開示する。
【0078】
このトップリングは、基板吸着部材の上下方向の移動範囲を所望の範囲に規制することができる、という効果を一例として奏する。
【0079】
さらに本願は、一実施形態として、上記のいずれかのトップリングと、研磨パッドを保持するように構成された研磨テーブルと、を有する、基板処理装置を開示する。
【0080】
この基板処理装置は、基板吸着部材が弾性膜によって保持されているため、基板が研磨パッドに片当たりしたとしても、弾性膜の弾性によって基板を研磨パッドに平行に接触させることができ、その結果、基板を均一に研磨パッドに押圧することができる、という効果を一例として奏する。
【符号の説明】
【0081】
18 トップリングシャフト(回転シャフト)
31 減圧手段(真空源)
300 研磨ユニット
301 ベース部材
302 トップリング
303 フランジ
304 スペーサ
305 上部ガイド部材
305a,306a 規制面
306 下部ガイド部材
320、402、420 弾性膜
322 加圧室
330 基板吸着部材
332 遮蔽部材
334 多孔質部材
334a 基板吸着面
334b 減圧部
352 研磨パッド
430 基板保持部材
431 弾性板状部材
431a 基板保持面
1000 基板処理装置
WF 基板