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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-05
(45)【発行日】2024-11-13
(54)【発明の名称】画像形成装置
(51)【国際特許分類】
   G03G 15/00 20060101AFI20241106BHJP
   B41J 25/20 20060101ALI20241106BHJP
   H04N 1/00 20060101ALI20241106BHJP
【FI】
G03G15/00 303
B41J25/20
H04N1/00 567R
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2021023561
(22)【出願日】2021-02-17
(65)【公開番号】P2021149094
(43)【公開日】2021-09-27
【審査請求日】2023-12-12
(31)【優先権主張番号】P 2020046734
(32)【優先日】2020-03-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000006747
【氏名又は名称】株式会社リコー
(74)【代理人】
【識別番号】110000442
【氏名又は名称】弁理士法人武和国際特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100186853
【弁理士】
【氏名又は名称】宗像 孝志
(72)【発明者】
【氏名】彦坂 浩文
(72)【発明者】
【氏名】小田 浩太郎
(72)【発明者】
【氏名】石井 達也
【審査官】市川 勝
(56)【参考文献】
【文献】特開2011-186241(JP,A)
【文献】特開2003-173109(JP,A)
【文献】特開2006-011285(JP,A)
【文献】特開2011-170314(JP,A)
【文献】特表2012-527640(JP,A)
【文献】特開2019-115996(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03G 15/00
B41J 25/20
H04N 1/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
シート状の記録媒体の一方の面である第一面と他方の面である第二面とに形成される画像の位置を調整するための補正値を算出する画像形成装置であって、
前記記録媒体の前記第一面に第一面調整パターンを形成し、前記第二面に第二面調整パターンを形成する画像形成部と、
前記記録媒体の前記第一面調整パターンおよび前記第二面調整パターンをそれぞれ読み取る読取部と、
前記第一面調整パターンおよび前記第二面調整パターンそれぞれについて、予め定めた基準位置からの変位を補正値として算出する補正値算出部と、を備え、
前記画像形成部は、前記第一面および前記第二面の相対するパターン形成領域において、前記第一面調整パターンと前記第二面調整パターンとをそれぞれ異なる位置に形成し、
前記第一面調整パターンは、搬送方向である第一方向に沿う第一線分と、前記搬送方向と交差する方向である第二方向に沿う第二線分と、を有し、
前記第一線分と前記第二線分とは第一面交点で交差し、
前記第二面調整パターンは、前記第一方向に沿う第三線分と、前記第二方向に沿う第四線分と、を有し、
前記第三線分と前記第四線分とは交差せず、
前記第三線分を前記第一方向に延長した第一仮想線と前記第四線分を前記第二方向に延長した第二仮想線との交点である第二面交点から前記第三線分までの距離は、前記第一線分の長さよりも長く、前記第二面交点から前記第四線分までの距離は、前記第二線分の長さよりも長いこと
を特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
シート状の記録媒体の一方の面である第一面と他方の面である第二面とに形成される画像の位置を調整するための補正値を算出する画像形成装置であって、
前記記録媒体の前記第一面に第一面調整パターンを形成し、前記第二面に第二面調整パターンを形成する画像形成部と、
前記記録媒体の前記第一面調整パターンおよび前記第二面調整パターンをそれぞれ読み取る読取部と、
前記第一面調整パターンおよび前記第二面調整パターンそれぞれについて、予め定めた基準位置からの変位を補正値として算出する補正値算出部と、を備え、
前記画像形成部は、前記第一面および前記第二面の相対するパターン形成領域において、前記第一面調整パターンと前記第二面調整パターンとをそれぞれ異なる位置に形成し、
前記第一面調整パターンは、第一マークと第二マークを有し、
前記第二面調整パターンは、第三マークと第四マークを有し、
第一面交点と前記第一マークとの距離は、第二面交点と前記第三マークとの距離より短く、
前記第一面交点と前記第二マークとの距離は、前記第二面交点と前記第四マークとの距離より短く、
前記第一面交点は、前記第一マークを通り、搬送方向である第一方向に延びる第三仮想線と、前記第二マークを通り、前記搬送方向と交差する方向である第二方向に延びる第四仮想線との交点であり、
前記第二面交点は、前記第三マークを通り、前記第一方向に延びる第五仮想線と、前記第四マークを通り、前記第二方向に延びる第六仮想線との交点であること
を特徴とする画像形成装置。
【請求項3】
請求項または記載の画像形成装置であって、
前記第一面交点は前記第一面の四隅近傍に位置し、前記第二面交点は前記第二面の四隅近傍に位置すること
を特徴とする画像形成装置。
【請求項4】
請求項または記載の画像形成装置であって、
前記補正値算出部は、前記基準位置と前記第一面交点との前記第一方向および前記第二方向それぞれに関する変位量と、前記基準位置と前記第二面交点との前記第一方向および前記第二方向それぞれに関する変位量と、を前記補正値として算出すること
を特徴とする画像形成装置。
【請求項5】
請求項記載の画像形成装置であって、
前記予め定めた基準位置は、前記第一方向の前記記録媒体の端部から予め定めた第一距離だけ離れた前記第二方向に沿った第一基準線と、前記第二方向の前記記録媒体の端部から予め定めた第二距離だけ離れた前記第一方向に沿った第二基準線と、であり、
前記補正値算出部は、
前記第一基準線と前記第一面調整パターンとの距離と、
前記第二基準線と前記第一面調整パターンとの距離と、
前記第一基準線と前記第二面調整パターンとの距離と、
前記第二基準線と前記第二面調整パターンとの距離と、をそれぞれ前記補正値として算出すること
を特徴とする画像形成装置。
【請求項6】
シート状の記録媒体の一方の面である第一面と他方の面である第二面とに形成される画像の位置を調整するための補正値を算出する画像形成装置であって、
前記記録媒体の前記第一面に第一面調整パターンを形成し、前記第二面に第二面調整パターンを形成する画像形成部と、
前記記録媒体の前記第一面調整パターンおよび前記第二面調整パターンをそれぞれ読み取る読取部と、
前記第一面調整パターンおよび前記第二面調整パターンそれぞれについて、予め定めた基準位置からの変位を補正値として算出する補正値算出部と、
前記記録媒体に形成される基準パターンと識別可能なように前記第一面調整パターンの態様を決定する調整パターン決定部と、備え、
を備え、
前記画像形成部は、決定した態様で、前記第一面調整パターンを形成し、前記第一面および前記第二面の相対するパターン形成領域において、前記第一面調整パターンと前記第二面調整パターンとをそれぞれ異なる位置に形成し、
前記第一面調整パターンは、搬送方向である第一方向に沿う第一線分と、前記搬送方向と交差する方向である第二方向に沿う第二線分と、を有し、
前記調整パターン決定部は、前記基準パターンに重ならないように、前記第一線分の形成位置と、前記第二線分との形成位置と、前記第一線分の幅と、前記第二線分の幅と、前記第一線分の長さと、前記第二線分の長さと、の少なくとも1つを予め定めた初期態様から変更すること
を特徴とする画像形成装置。
【請求項7】
請求項記載の画像形成装置であって、
前記調整パターン決定部は、前記第一面調整パターンの色を、前記基準パターンとは異なる色に決定すること
を特徴とする画像形成装置。
【請求項8】
請求項記載の画像形成装置であって、
前記第一マーク、前記第二マーク、前記第三マークおよび前記第四マークは、それぞれ点形状であること
を特徴とする画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
商用印刷(プロダクションプリンティング)分野で用いられる画像形成装置においては、高精度の表裏印刷位置合わせが求められる。画像定着時の用紙の熱収縮などの影響により表裏の印刷位置にずれが発生することがあり、このずれを補正するため、「表裏位置合わせ」が行われる。「表裏位置合わせ」では、調整パターンを表裏に印刷し、読み取り手段によりこれらを読み取って表裏のずれ量を算出し、画像位置を補正する。
【0003】
表面と裏面の同じ位置に調整パターンを形成すると、用紙の種類によっては、裏面の調整パターンが透けて裏写りする。この裏写りを利用して、読み取った調整パターンの濃度により、裏写りであるかを判別し、裏写りした調整パターンを用いて補正を行う技術が知られている(例えば、特許文献1参照。)。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に開示の技術は、裏写りしない用紙の場合は適用できない。また、調整パターンを読み取るときに、画像形成後の用紙の裁断位置を示す裁断線などの基準パターンと調整パターンとが重なるときにも適用できない。これらのような場合は、表面および裏面を個別に読み取って、読み取られた調整パターンを用いて表裏位置合わせを行う必要がある。また、裏写りの度合いによっては読取精度の低下もありえる。したがって、従来技術では、用紙の種類(紙厚、坪量等)によって処理を変更せざるを得ず、また、裁断線を避ける位置調整パターンを形成しなければならず、パターンの幅、長さ等の自由度を損ない、読取りにくい状況が生ずることもある。
【0005】
本発明は、上記事情を鑑みてなされたもので、用紙の種類や基準パターンに制約されずに、簡易な処理で高精度に表裏位置合わせ可能な技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明の一態様は、シート状の記録媒体の一方の面である第一面と他方の面である第二面とに形成される画像の位置を調整するための補正値を算出する画像形成装置であって、前記記録媒体の前記第一面に第一面調整パターンを形成し、前記第二面に第二面調整パターンを形成する画像形成部と、前記記録媒体の前記第一面調整パターンおよび前記第二面調整パターンをそれぞれ読み取る読取部と、前記第一面調整パターンおよび前記第二面調整パターンそれぞれについて、予め定めた基準位置からの変位を補正値として算出する補正値算出部と、を備え、前記画像形成部は、前記第一面および前記第二面の相対するパターン形成領域において、前記第一面調整パターンと前記第二面調整パターンとをそれぞれ異なる位置に形成し、前記第一面調整パターンは、搬送方向である第一方向に沿う第一線分と、前記搬送方向と交差する方向である第二方向に沿う第二線分と、を有し、前記第一線分と前記第二線分とは第一面交点で交差し、前記第二面調整パターンは、前記第一方向に沿う第三線分と、前記第二方向に沿う第四線分と、を有し、前記第三線分と前記第四線分とは交差せず、前記第三線分を前記第一方向に延長した第一仮想線と前記第四線分を前記第二方向に延長した第二仮想線との交点である第二面交点から前記第三線分までの距離は、前記第一線分の長さよりも長く、前記第二面交点から前記第四線分までの距離は、前記第二線分の長さよりも長いことを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、用紙の種類や基準パターンに制約されず、簡易な処理で高精度に表裏位置合わせができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】(a)および(b)は、第一実施形態の位置合わせの概要を説明するための説明図である。
図2】(a)および(b)は、第一実施形態の画像形成装置の、それぞれ、概略構成図およびブロック図である。
図3】(a)および(b)は、第一実施形態の画像形成装置の制御部の、それぞれ、ハードウェア構成図および機能ブロック図である。
図4】(a)~(d)は、第一実施形態の調整パターンの一例を説明するための説明図である。
図5】第一実施形態の裏面調整パターンの裏面交点の算出を説明するための説明図である。
図6】第一実施形態の調整パターンによる補正値算出の概要を説明するための説明図である。
図7】第一実施形態の補正値格納部に格納される補正値の例を説明するための説明図である。
図8】第一実施形態の調整モードでの表裏位置合わせのための補正値算出処理のフローチャートである。
図9】第一実施形態の通常印刷モードの印刷処理のフローチャートである。
図10】(a)~(d)は、第一実施形態の変形例の調整パターンの例を説明するための説明図である。
図11】(a)および(b)は、第一実施形態の変形例の補正値算出処理を説明するための説明図である。
図12】第二実施形態の概要を説明するための説明図である。
図13】第二実施形態の制御部の機能ブロック図である。
図14】第二実施形態の調整パターン決定処理のフローチャートである。
図15】(a)および(b)は、それぞれ、第二実施形態の調整パターンの形成位置と裁断パターンの形成位置との関係を説明するための説明図である。
図16】第二実施形態の変更後の調整パターンの形成位置の一例を説明するための説明図である。
図17】(a)~(c)は、第二実施形態の調整パターンの形成位置の変更手法の一例を説明するための説明図である。
図18】第二実施形態の調整パターン変更の変形例を説明するための説明図である。
図19】(a)~(c)は、第二実施形態の調整パターンとカラーバーとの形成位置が重なる場合の変更手法の一例を説明するための説明図である。
図20】(a)および(b)は、変形例の調整パターンの変更手法の一例を説明するための説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
<<第一実施形態>>
以下、図面を参照して、本発明の第一実施形態について説明する。本実施形態においては、画像形成装置として、商用印刷に用いられる印刷装置を例にあげて説明する。このような印刷装置は、両面印刷での各面の画像形成領域のずれの許容範囲が狭く設定される。すなわち、より高精度な表裏位置合わせ(表裏調整)が要求される。
【0010】
以下、本実施形態では、1枚のシート状の記録媒体(以下、「用紙」と呼ぶ。)の第一面および第一面の裏側の面を、それぞれ、便宜上、表面および裏面と呼ぶ。また、表面に形成する表裏位置合わせ用の調整パターンを、表面調整パターン(第一面調整パターン)、裏面に形成する表裏位置合わせ用の調整パターンを、裏面調整パターン(第二面調整パターン)とそれぞれ呼ぶ。両者を区別する必要がない場合は、調整パターンと呼ぶ。調整パターンの表面裏面は印字上(表裏調整)の表面裏面と一致しなくても良い。したがって、第一面に形成する第一面調整パターンと、第二面に形成する第二面調整パターンは、第一面と第二面を重ねて透視したときに、相対的に重複しない位置に形成される位置関係を維持すれば、いずれを「表面」「裏面」としても良い。
【0011】
なお、本実施形態においては、用紙を、普通紙等、シート状の被記録媒体の一例として説明するが、実施にあたって、上記被記録媒体は紙に限られるものではなく、表面および裏面の両面に印刷(画像形成)可能なシート状のものであればよい。
【0012】
詳細な説明に先立ち、本実施形態の概要を説明する。図1(a)は、従来の表裏位置合わせと本実施形態の表裏位置合わせとを対比して説明するための図である。
【0013】
本実施形態では、下記の(1)~(4)の順に調整パターンの形成と読み取りとが行われる読み取り手段を備える画像形成装置を前提として説明する。
(1)表面に表面調整パターン形成
(2)表面の表面調整パターン読取
(3)裏面に裏面調整パターン形成
(4)裏面の裏面調整パターン読取
【0014】
従来の表裏位置合わせでは、画像形成装置は、図1(a)の上段に示すように、同じ形状の、表面調整パターンと、裏面調整パターンとを1枚の用紙の両面の四隅の近傍の所定の領域にそれぞれ形成する。このような場合、裏面調整パターン読み取り時に、表面調整パターンが透過(裏写り)して読み取られる場合がある。なお、以下では、用紙の四隅の近傍の、表面調整パターンまたは裏面調整パターンが形成される領域を、それぞれ、パターン形成領域と呼ぶ。すなわち、本実施形態において用紙の四隅近傍がパターン形成領域に相当する。
【0015】
図1(b)に示すように、裏面調整パターンに対し、裏写りした表面調整パターンが重なって読み取られた際、「裏写りあり出力」の信号レベルがしきい値以下の場合、画像形成装置は、調整パターンの形状を誤検知することがある。
【0016】
本実施形態の画像形成装置100は、これを回避するため、図1(a)の下段に示すように、表面調整パターンと裏面調整パターンとを異なる形状にする。また、画像形成装置100は、表面調整パターンと裏面調整パターンとを、表面および裏面の相対するパターン形成領域において、それぞれ異なる位置に形成する。そして、画像形成装置100は、用紙搬送方向(副走査方向)では、表面と裏面とで読み取りの検知タイミングをずらす。また、画像形成装置100は、用紙搬送方向に直交する方向(主走査方向)では、読み取り時の検知位置をずらす。本実施形態によれば、画像形成装置100は、裏面調整パターンを、表面調整パターンが仮に裏写りした場合であっても、表面調整パターンが表れる位置とは異なる位置に形成する。このため、裏面調整パターン読み取り時に表面調整パターンが透過した場合であっても、裏写りの影響を回避できる。
【0017】
本実施形態の画像形成装置100を説明する。図2(a)は、本実施形態の画像形成装置100の概略構成図である。本実施形態の画像形成装置100は、電子写真方式の画像形成装置であり、用紙に、トナーによって画像を形成する。画像形成装置100は、スキャナが出力する画像データや、プリントサーバ等の上位装置から入力される画像データ等に基づいて、画像を形成する。本実施形態の画像形成装置100は、一例として、C(シアン)、M(マゼンダ)、Y(イエロー)、Bk(黒)の4色を使ったフルカラー印刷に対応する。
【0018】
本実施形態の画像形成装置100は、図2(a)に示すように、書込みユニット101と、作像ユニット102と、中間転写ベルト103と、二次転写部104と、定着部105と、読取部106と、制御部110と、を備える。
【0019】
書込みユニット101は、レーザ光によって転写画像(トナー画像)を作像ユニット102に形成する。
【0020】
作像ユニット102は、感光体・現像剤・トナーを保持し、書込みユニット101からのレーザ光によってトナー画像を形成する。作像ユニット102は、感光体ドラムY、M、C、Bkを備える。作像ユニット102は、作像プロセス(帯電工程、露光工程、現像工程)を行い、感光体ドラムY、M、C、Bkに、それぞれ、トナー像を形成する。形成されたトナー像は転写工程によって中間転写ベルト103に転写される。トナー像の転写後、作像ユニット102は、中間転写ベルト103を清掃して次の作像プロセスに備えるためにクリーニング工程を行う。フルカラーのトナー画像を形成するときは、作像ユニット102は、イエロートナー像を中間転写ベルト103に転写し、続いてマゼンダトナー像、シアントナー像、ブラックトナー像を順次形成し、重ね合わせ、中間転写ベルト103に転写する。なお、作像ユニット102は、イエロートナー像、マゼンダトナー像、シアントナー像、ブラックトナー像を、それぞれ、感光体ドラムY、M、C、Bk上に形成する。
【0021】
感光体ドラムY、M、C、Bkから中間転写ベルト103へのトナー画像の転写は1次転写であり、中間転写ベルト103から用紙への転写は二次転写である。作像ユニット102は、中間転写ベルト103に感光体ドラムY、M、C、Bkから重畳して転写されたトナー像(フルカラーのトナー画像)を、二次転写部104の位置(二次転写位置)に搬送する。二次転写位置は、二次転写ローラと搬送路とが接する位置である。
【0022】
二次転写部104は、中間転写ベルト103に転写されたフルカラーのトナー画像を、二次転写位置で用紙に一括転写(二次転写)する。
【0023】
定着部105は、トナー画像転写済みの用紙を、ローラ対により加熱および加圧することにより、トナー画像を用紙に定着させる。
【0024】
読取部106は、印刷した画像(用紙に定着したトナー画像)を読み取る。読取部106は、例えば、調整パターンを読み取る。本実施形態では、読取部106は、センサを備え、搬送される用紙を光学的に読み取ったデジタル信号から読取画像データを補正用データとして生成し、制御部110に出力する。読取部106は、例えば、複数の受光素子が搬送方向と直交する方向に所定の間隔で配置されたラインセンサを備え、用紙上に形成された調整パターンを読み取る。各受光素子は、光源から射出され用紙の表面で反射した光の強度に応じた信号を出力する。ラインセンサとしては、例えば、CCD(Charge Coupled Device)センサやCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)センサが用いられる。
【0025】
制御部110は、画像形成装置100の全体の動作を制御する。本実施形態では、さらに、制御部110は、上位装置から送られてきた画像データを、書込みユニット101が画像形成できる形式(転写画像)に変換する。また、制御部110は、読取部106から送信された読取画像データから補正値を算出し、画像形成位置を補正する。
【0026】
図2(b)は、画像形成装置100の構成を示すブロック図である。画像形成装置100は、さらに、画像メモリ133、PCIeバス134を備える。
【0027】
制御部110は、後述するように、CPU121、ROM122およびRAM123を備え、ROM122に記憶されたプログラムをCPU121が実行することにより画像形成装置100を統括的に制御する。
【0028】
制御部110は、操作パネル131と信号の送受信を行うことにより、オペレータの操作内容を把握し、オペレータに対して各種情報を報知する。
【0029】
また、制御部110は、スキャナ137が出力する画像データを用いて所定の画像処理を実行する。また制御部110は、プリントサーバ210など外部機器から入力される画像データやプリント指示コマンド等に基づいて、所定の印刷処理を実行するようにプリンタ135の動作を制御する。
【0030】
PCIeバス134は、汎用バスであって、制御部110とプリンタ135とスキャナ137とを接続する。スキャナ137およびプリンタ135は、PCIeバス134を介して相互に通信を行う。
【0031】
スキャナ137は、画像処理ユニット(Image Processing Unit(IPU))を内部に備える。IPUは、読み取り画像デ-タの信号劣化の補正を行う。当該信号劣化は、光学系や、デジタル信号への量子化などを主な原因として起こる。また、IPUは、プリンタ135への画像デ-タ送信、画像メモリ133への画像デ-タの書き込みなどを行う。
【0032】
画像メモリ133は、画像処理に際して画像データを記憶させるためのメモリであって、制御部110に接続される。画像データを画像メモリ133に蓄積して画像処理を行う場合、制御部110は、各種画像処理を行う。当該画像処理は、例えば、画像メモリ133のアクセス制御、プリントサーバ210から受信するプリント用データの展開(文字コ-ド/キャラクタビット変換)、メモリ有効活用のための画像データの圧縮/伸張などの画像補正である。
【0033】
上記構成を有する画像形成装置100は、上位装置から画像データを受信すると、これに応じて一連の印刷(画像形成)動作を起動する。印刷動作を開始した画像形成装置100は、給紙ユニットに指定サイズの用紙を給紙させ、これを搬送部に搬送させる。続いて、画像形成装置100は、画像データに画像処理等を施す。そして、画像形成装置100は、中間転写ベルト103上にトナー画像を形成させ、当該トナー画像を、搬送部が搬送してきた用紙の表面に転写させ定着させる。
【0034】
本実施形態の画像形成装置100は、表裏位置合わせを行う調整モードと、通常の印刷を行う通常印刷モードとの2種を実行可能である。画像形成装置100は、オペレータからの指示によりいずれのモードで印刷を行うかを決定する。
【0035】
調整モード時、画像形成装置100は、画像データとして、調整パターンを受信し、用紙上に印刷する。画像形成装置100は、用紙上に印刷された調整パターンを、読取部106のセンサにより読み取り、読取画像データとして出力する。画像形成装置100は、表面に表面調整パターンが印刷された用紙を、反転ユニットにより反転し、表面印刷時と同様に、裏面に裏面調整パターンを印刷する。画像形成装置100は、裏面に印刷された裏面調整パターンも、読取部106により読み取り、読取画像データとして出力する。画像形成装置100は、読取部106から出力される読取画像データから表裏各面の調整パターンを特定し、それに基づき、補正値を算出する。通常印刷モード時は、画像形成装置100は、その補正値を用いて画像の形成位置を補正する。
【0036】
上述した各種機能を複合的に実現する画像形成装置100において、制御部110は、各ジョブに際して、スキャナ137、プリンタ135、および画像メモリ133に対して、PCIeバス134の使用権を割り振る。
【0037】
以下、この制御部110について説明する。図3(a)は、制御部110のハードウェア構成を示すブロック図である。また、図3(b)は、制御部110の機能ブロック図である。
【0038】
図3(a)に示すように、制御部110は、CPU121と、ROM122と、RAM123と、外部メモリI/F(interface)124と、通信系I/F125と、内部バスI/F126と、PCIeI/F127と、画像出力用DMAC(Direct Memory Access コントローラ)128と、画像処理部129と、圧縮/伸長器130と、を備える。内部バス120は、これらの各部を接続する。
【0039】
内部バス120は、さらに、内部バスI/F126およびPCIeI/F127を介して、各部を、PCIeバス134に接続する。
【0040】
CPU121は、各種演算処理を実行することによって、システム関係の全ての設定を行い、画像出力用DMAC128、画像処理部129、および圧縮/伸長器130を起動する。ROM122には、主にCPU121のための動作制御プログラムが格納される。RAM123は、CPU121の演算結果や種々のデータの一次的な記憶場所としても使用される他、画像保存用のメモリとして機能する。ROM122、RAM123等は、特に区別する必要がない場合は、内部メモリと総称する。
【0041】
画像保存用のメモリとしては、画像メモリ133も使用される。画像メモリ133は、外部メモリI/F124を経由して接続される。CPU121は、プリントサーバ210から画像データを受信すると、プリンタ言語に基づいて外部メモリI/F124を介して画像メモリ133に描画を行う。
【0042】
通信系I/F125は、プリントサーバ210および操作パネル131と制御部110との間のI/Fである。
【0043】
内部バスI/F126は、PCIeI/F127と内部バス120との間のI/Fである。この内部バスI/F126は、PCIeバスマスタが指定するアドレスと画像メモリ133(外部メモリI/F124経由)との間で、画像データを入出力する。
【0044】
PCIeI/F127は、PCIeバス134のプロトコルに準じてPCIeバスマスタとデータのやりとりを行う。
【0045】
画像出力用DMAC128および画像処理部129は、内部バス120を介してCPU121や外部メモリI/F124などに接続される。画像出力用DMAC128は、PCIeI/F127にも接続される。
【0046】
画像出力用DMAC128は、印刷時のDMAコントローラとして機能する。つまり、画像出力用DMAC128は、CPU121により起動されると、予め指定された領域の外部メモリから画像データを読み出して、当該画像データをPCIeI/F127に出力する。この出力は、随時ハンドシェークのやりとりで行われる。
【0047】
画像処理部129は、読み取り画像の歪みを補正する。
【0048】
圧縮/伸長器130は、省メモリ化のために使用されるもので、CPU121によって起動され、様々なデータの圧縮または伸長を行う。
【0049】
次に、制御部110の機能について説明する。ここでは、表裏位置合わせを実現する機能に主眼をおいて説明する。
【0050】
制御部110は、図3(b)に示すように、画像処理コントローラ111と、補正値算出部112と、補正値格納部113と、読取制御部114と、を備える。これらの各機能は、CPU121が、ROM122に記憶されたプログラムをRAM123にロードして実行することにより実現される。
【0051】
画像処理コントローラ111は、上位装置(プリントサーバ210など)から送られてきた画像データを、書込みユニット101が画像形成できる形式に変換する。また、画像処理コントローラ111は、通常印刷モード時、予め算出された補正値に応じて画像形成位置(倍率、レジスト、台形補正など)を補正する。本実施形態では、調整モード時、画像処理コントローラ111は、調整パターンを含む画像データを処理する画像形成部として機能する。
【0052】
補正値算出部112は、用紙の正しい位置に画像を形成するために行う表裏位置合わせに用いる補正値を算出する。補正値算出部112は、読取部106から送信された読取画像データから調整パターンを特定することにより補正値を算出する。本実施形態では、補正値算出部112は、例えば、検出された表面調整パターンおよび裏面調整パターンの位置を、予め定めた用紙上の座標系(用紙座標系)の位置座標(座標値)に変換する。その後、補正値算出部112は、それぞれについて予め定めた基準位置からの変位量を算出し、それを補正値とする。
【0053】
読取制御部114は、搬送経路上を搬送される用紙上の調整パターンを読み取る読取部106を制御する。本実施形態では、後述するように、表面調整パターンと裏面調整パターンとでは、搬送方向の用紙先端からの位置が異なる。このため、読取制御部114は、表面と裏面とで、読取部106の検知タイミングを切り替える。また、表面調整パターンと裏面調整パターンとでは、搬送方向に直交する方向の用紙側端部からの位置が異なる。このため、読取制御部114は、読取部106の検知位置を切り替える。また、読取制御部114は、読取部106が読み取った画像データである読取画像データを補正値算出部112に送信する。
【0054】
次に、本実施形態で用いられる調整パターンについて説明する。上述のように、本実施形態の調整パターンは、表面調整パターンと裏面調整パターンとを含み、両者の印刷位置、形状は異なる。本実施形態では、画像形成装置100は、裏面調整パターンを、表面調整パターンが裏写りした場合に、重ならない位置に形成する。また、画像形成装置100は、表面調整パターンおよび裏面調整パターンを、補正値を算出する際に用いる基準位置を共有可能な位置に形成する。
【0055】
以下、このような本実施形態の調整パターンの一例を、図4(a)~図4(d)を用いて説明する。以下、用紙搬送方向をy方向(第一方向)、用紙面において、y方向に交差(本実施形態では、直交)する方向をx方向(第二方向)として説明する。
【0056】
図4(a)は、用紙の表面に印刷された表面調整パターンFP10、FP20、FP30、およびFP40の一例を示す図である。本図に示すように、画像形成装置100は、各表面調整パターンFP10、FP20、FP30、およびFP40を、それぞれ、用紙の四隅に印刷する。各表面調整パターンFP10、FP20、FP30、およびFP40を区別する必要がない場合は、表面調整パターンFPと総称する。
【0057】
本図に示すように、各表面調整パターンFPは、それぞれ、L字形状を有する。この各表面調整パターンFPのL字形状は、x方向に延び、y方向に所定の幅を有する線分(以下、単に線分と呼ぶ)と、y方向に延びる線分と、を備える。そして、画像形成装置100は、各表面調整パターンFPを、それぞれ、二つの線分の交点をL字形状の角部とし、この角部が用紙の四隅の角に対応づけられるようにパターン形成領域に印刷する。
【0058】
各表面調整パターンFPは、それぞれ、y方向に沿って延びる第一表面線分(第一線分)と、x方向に沿って延びる第二表面線分(第二線分)とを有する。第一表面線分および第二表面線分は、所定の交点(表面交点;第一面交点)で接する。例えば、表面調整パターンFP10は、図4(c)に示すように、y方向に沿う第一表面線分FP11と、x方向に沿う第二表面線分FP12とが、表面交点FP13で接している。
【0059】
図4(b)は、用紙の裏面に印刷された裏面調整パターンBP10、BP20、BP30、およびBP40の一例を示す図である。本図に示すように、画像形成装置100は、各裏面調整パターンBP10、BP20、BP30、およびBP40を、それぞれ、用紙の四隅のパターン形成領域に印刷する。各裏面調整パターンBP10、BP20、BP30、およびBP40を区別する必要がない場合は、裏面調整パターンBPと総称する。
【0060】
本図に示すように、各裏面調整パターンBPは、それぞれ、y方向に沿って延びる第一裏面線分(第三線分)と、x方向に沿って延びる第二裏面線分(第四線分)とを有し、第一裏面線分と第二裏面線分とが、交差しないパターンである。例えば、裏面調整パターンBP10は、図4(d)に示すように、y方向に沿う第一裏面線分BP11と、x方向に沿う第二裏面線分BP12とを備える。そして、画像形成装置100は、第一裏面線分BP11と第二裏面線分BP12を形成するときに、それぞれの線分を用紙の角の方向に仮想的に延伸させた仮想線分が、用紙の角に対応する位置で交差する位置関係になるように形成する。
【0061】
ここで、BP13は、第一裏面線分BP11をy方向に延長した第一仮想線BP14と、第二裏面線分BP12をx方向に延長した第二仮想線BP15との交点(裏面交点;第二面交点)である。
【0062】
なお、上述のように、各線分は幅を有する。したがって、図5に示すように、第一仮想線BP14とは、第一裏面線分BP11の幅方向の中央位置を通過する線であり、第二仮想線BP15は、第二裏面線分BP12の幅方向の中央位置を通過する線である。
【0063】
本実施形態では、画像形成装置100は、表面調整パターンFPが、裏写りした場合であっても、裏面調整パターンBPと重ならないよう表面調整パターンFPと裏面調整パターンBPとを形成する。したがって、画像形成装置100は、裏面交点BP13から第一裏面線分BP11までの距離L1が第一表面線分FP11より長くなるように、第一裏面線分BP11を形成する。同様に、画像形成装置100は、裏面交点BP13から第二裏面線分BP12までの距離L2が第二表面線分FP12より長くなるように、第二裏面線分BP12を形成する。
【0064】
さらに、画像形成装置100は、表面調整パターンFP10と裏面調整パターンBP10とを、表裏位置にずれがない場合、表面交点FP13と裏面交点BP13とが同じ位置になるように形成する。画像形成装置100は、用紙の四隅のうち同じ隅に形成される、他の表面調整パターンと裏面調整パターンとについても同様に、表面および裏面の交点が同じ位置になるよう形成する。
【0065】
なお、表面調整パターンも、裏面調整パターン同様、表面交点で接しない形状であってもよい。
【0066】
上位装置(例えば、プリントサーバ210)は、各調整パターンを画像データとして保持する。調整モードが設定された場合、画像形成装置100は、上位装置から出力された各調整パターンを印刷する。なお、各調整パターンの画像データは、制御部110の内部メモリ等に記憶されていてもよい。
【0067】
次に、本実施形態の補正値算出部112による補正値の算出の概要について説明する。図6は、表裏位置合わせの補正値について説明する図である。補正値算出部112は、用紙の四隅それぞれにおいて、表面調整パターンFPの表面交点と裏面調整パターンの裏面交点と、それぞれについて、基準位置からのy方向およびx方向の変位量を算出し、補正値とする。なお、基準位置は、予め定められる。以下、一例として、表面調整パターンFP10と、裏面調整パターンBP10とを用い、補正値の算出を説明する。
【0068】
補正値算出部112は、補正データから表面調整パターンFP10を特定し、表面交点FP13の用紙座標系の位置座標を得る。そして、補正値算出部112は、表面交点FP13と、予め定めた基準位置OR00とのずれ量を、y方向およびx方向それぞれについて算出する((ΔXf1、ΔYf1))。補正値算出部112は、算出したずれ量を、補正値とし、補正値格納部113に格納する。
【0069】
なお、本実施形態では、基準位置OR00は、表裏位置にずれがない場合に、表面交点FP13および裏面交点BP13が形成される位置である。基準位置OR00の用紙座標系の位置座標は、予め内部メモリに記憶しておく。
【0070】
同様に、補正値算出部112は、裏面調整パターンBP10を特定し、裏面交点BP13の用紙座標系の位置座標を得る。そして、補正値算出部112は、裏面交点BP13と基準位置OR00とのずれ量を、y方向およびx方向それぞれについて算出する((ΔXb1、ΔYb1))。補正値算出部112は、算出したずれ量を、補正値とし、補正値格納部113に格納する。
【0071】
補正値算出部112は、同様の処理を、各表面調整パターンFP20、FP30、およびFP40と、各裏面調整パターンBP20、BP30、およびBP40と、について、それぞれ行う。そして、補正値算出部112は、得られた(ΔXf2、ΔYf2)、(ΔXf3、ΔYf3)、(ΔXf4、ΔYf4)、(ΔXb2、ΔYb2)、(ΔXb3、ΔYb3)、および(ΔXb4、ΔYb4)を、補正値として、補正値格納部113に格納する。
【0072】
このように、補正値算出部112は、一枚の用紙に対し、用紙の四隅の表面および裏面の計8箇所の補正値を取得し、補正値格納部113に格納する。補正値算出部112は、このとき、例えば、この補正値算出処理を行う際に用いた用紙の種類を特定する情報に対応づけて、これらの補正値を補正値格納部113に格納する。
【0073】
図7は、補正値格納部113に格納される補正値の例を示す図である。本図において、「AA」、「BB」、「CC」は、補正値を算出する際に用いた用紙の種類を特定する情報(以下、用紙種別と呼ぶ。)である。
【0074】
本図に示すように、補正値格納部113には、表面調整パターンFP、裏面調整パターンBPそれぞれについて、得られた補正値が格納される。用紙種別は、例えば、オペレータにより入力される。例えば、画像形成装置100の操作パネル131等に、選択可能な用紙種別が表示され、オペレータは、その中から選択する。
【0075】
なお、制御部110は、通常印刷モード時、補正値格納部113に補正値とともに格納された用紙種別を参照し、操作パネル131に選択可能に表示する。オペレータは、表示された用紙種別の中から所望の用紙を選択する。制御部110は、選択された用紙種別に対応付けて補正値格納部113に格納された補正値を用い、通常印刷を実行する。
【0076】
次に、本実施形態の、調整モードでの表裏位置合わせのための補正値算出処理の流れを説明する。なお、本実施形態では、画像形成装置100は、通常印刷を実施する前に調整モードを実行し、表裏位置合わせの補正値を算出する。
【0077】
図8は、本実施形態の調整モードでの補正値算出処理の処理フローである。本処理は、オペレータから調整モード実行の指示を受け付けたことにより開始される。
【0078】
制御部110は、用紙の表面に、表面調整パターンFPを印刷する(ステップS1101)。
【0079】
次に、読取制御部114は、読取部106を制御し、表面調整パターンFPを読み取る(ステップS1102)。ここでは、読取制御部114は、読取部106を制御し、各表面調整パターンFP10、FP20、FP30、FP40を含む読取画像データを補正用データとして生成する。
【0080】
補正値算出部112は、読取制御部114が生成した読取画像データに基づいて、各表面調整パターンFP10、FP20、FP30、およびFP40の用紙座標系での位置座標を位置データとして算出する(ステップS1103)。
【0081】
制御部110は、裏面に裏面調整パターンBPを印刷する(ステップS1104)。
【0082】
次に、読取制御部114は、読取部106を制御し、裏面調整パターンBPを読み取る(ステップS1105)。ここでは、読取制御部114は、読取部106を制御し、各裏面調整パターンBP10、BP20、BP30、およびBP40を含む読取画像データを補正用データとして生成する。
【0083】
補正値算出部112は、読取制御部114が生成した読取画像データに基づいて、各裏面調整パターンBP10、BP20、BP30、およびBP40の用紙座標系での位置座標を位置データとして算出する(ステップS1106)。
【0084】
補正値算出部112は、ステップS1103およびステップS1106でそれぞれ算出した位置データを用いて、表面および裏面それぞれの補正値を算出する(ステップS1107)。ここでは、補正値算出部112は、表面の四隅それぞれについて、まず、表面交点の用紙座標系の位置座標を算出し、各表面交点について、各四隅の基準位置OR00からの変位量を補正値として算出する。また、補正値算出部112は、裏面についても同様に、四隅それぞれについて、まず、裏面交点の用紙座標系の位置座標を算出し、各裏面交点について、各四隅の基準位置OR00からの変位量を補正値として算出する。
【0085】
そして、補正値算出部112は、算出した8つの補正値を補正値格納部113に格納し(ステップS1108)、処理を終了する。補正値算出部112は、補正値を格納する際、あるいは、調整モード実行指示の受付と同時に、オペレータから、例えば、用紙種別の入力を受け付け、受け付けた情報に対応づけて補正値を格納してもよい。
【0086】
次に、通常印刷モードの処理の流れを説明する。図9は、本実施形態の通常印刷モードでの表裏位置合わせを含む印刷処理の処理フローである。本処理は、オペレータからの通常印刷モードでの印刷開始の指示を契機に開始される。また、事前に調整モードにて補正値の算出は完了しているものとする。
【0087】
制御部110は、表裏位置合わせを行うか否かの指示を受け付ける(ステップS1201)。制御部110は、例えば、操作パネル131等に表裏位置合わせを行うか否かの指示を受け付ける指示ボタンを表示させ、当該指示ボタンを介してオペレータからの指示を受け付ける。
【0088】
表裏位置合わせを行うとの指示を受け付けた場合(S1201;Yes)、制御部110は、表裏位置合わせに適用する補正値の選択を受け付ける(ステップS1202)。制御部110は、補正値格納部113を参照し、例えば、操作パネル131等に選択可能な用紙種別を表示し、当該表示を介してオペレータからの指示を受け付ける。
【0089】
なお、本処理は、補正値格納部113に複数の用紙種別に対応づけて補正値が登録されている場合のみ行うよう構成してもよい。
【0090】
画像処理コントローラ111は、選択された用紙種別に対応づけて補正値格納部113に格納されている補正値を用いて、上位装置から送られてきた印刷予定の画像データに対し画像形成位置の補正、すなわち、表裏位置合わせを行う(ステップS1203)。
【0091】
その後、画像処理コントローラ111は、補正後の画像データを書込みユニットに送信し、印刷を実行させる(ステップS1204)。
【0092】
制御部110は、以上の処理を、オペレータが指示した一連の印刷ジョブが終了するまで繰り返し(ステップS1205)、処理を終了する。
【0093】
なお、ステップS1201において、表裏位置合わせを行う指示を受け付けなかった場合(S1201;No)、制御部110は、そのまま、ステップS1204へ移行し、印刷を実行する。
【0094】
以上説明したように、本実施形態の画像形成装置100は、画像処理コントローラ111と、読取部106と、補正値算出部112と、を備える。画像処理コントローラ111は、用紙の表面および裏面にそれぞれ、表面調整パターンFPおよび裏面調整パターンBPを形成する。読取部106は、用紙の表面調整パターンFPおよび裏面調整パターンBPをそれぞれ読み取る。補正値算出部112は、表面調整パターンFPおよび裏面調整パターンBPそれぞれについて、予め定めた基準位置OR00からの変位を補正値として算出する。そして、画像処理コントローラ111は、表面調整パターンFPを、裏面調整パターンBPが前記裏面側から裏写りした場合に、重ならない位置(異なる位置)に形成する。
【0095】
このように、本実施形態の画像形成装置100は、調整パターンを、表面と裏面とで異なる位置に形成する。そして、画像形成装置100は、用紙搬送方向(主走査方向;y方向)では、表面と裏面とで読み取りの検知タイミングをずらし、副走査方向(x方向)では、読み取り時の検知位置をずらす。これにより、画像形成装置100は、裏面調整パターン読み取り時に表面調整パターンが透過した場合であっても、誤検知を回避でき、裏写りの影響を抑えることができる。
【0096】
さらに、本実施形態では、画像形成装置100は、表面調整パターンFPと裏面調整パターンBPとを、補正値を算出する際に用いる基準位置を共有可能な位置に形成する。このため、本実施形態の画像形成装置100は、簡易な処理で裏写りの影響を抑え、精度よく補正値を算出することができる。その補正値を用いることにより、本実施形態の画像形成装置100は、用紙の種類によらず、簡易な処理で高精度に表裏位置合わせを行うことができる。その結果、本実施形態によれば、印刷品質が向上する。
【0097】
<変形例1>
なお、上記実施形態では、調整パターンは、線分を備えるが、これに限定されない。例えば、調整パターンは、点を備えてもよい。
【0098】
調整パターンが点形状のマークを備える場合の例を、図10(a)~図10(c)に示す。
【0099】
図10(a)に示すように、各表面調整パターンFP10a、FP20a、FP30a、およびFP40aは、それぞれ、2つの点を有する。画像形成装置100は、各表面調整パターンFP10a、FP20a、FP30a、およびFP40aを、それぞれ、用紙の四隅のパターン形成領域に形成する。同様に、図10(b)に示すように、各裏面調整パターンBP10a、BP20a、BP30a、およびBP40aは、それぞれ、2つの点を有する。画像形成装置100は、各裏面調整パターンBP10a、BP20a、BP30a、およびBP40aを、それぞれ、用紙の四隅のパターン形成領域に形成する。
【0100】
また、図10(c)に示すように、画像形成装置100は、各表面調整パターンFP10a、FP20a、FP30a、およびFP40aを、それぞれ、各裏面調整パターンBP10a、BP20a、BP30a、およびBP40aと重ならない位置に形成する。
【0101】
例えば、図10(d)に示すように、表面調整パターンFP20aは、点(第一表面マーク;第一マーク)FP21aと、点(第二表面マーク;第二マーク)FP22aとを備える。点FP21aを通り、y方向に略平行な用紙端部301に平行な第一表面仮想線(第三仮想線)FP24と、点FP22aを通り、x方向に略平行な用紙端部に平行な第二表面仮想線(第四仮想線)FP25との交点は、仮想の表面交点FP23aである。また、裏面調整パターンBP20aは、点(第一裏面マーク;第三マーク)BP21aと、点(第二裏面マーク;第四マーク)BP22aとを備える。点BP21aを通り、y方向に略平行な用紙端部に平行な第一裏面仮想線(第五仮想線)BP24と、点BP22aを通り、x方向に略平行な用紙端部に平行な第二裏面仮想線(第六仮想線)BP25との交点は、仮想の裏面交点BP23aである。
【0102】
画像形成装置100は、表裏位置にずれがない場合、表面交点FP23aと裏面交点BP23aとが同じ位置に形成されるよう、表面調整パターンFP20aと裏面調整パターンBP20aとを形成する。また、画像形成装置100は、表面交点FP23aから点FP21aまでの距離を、裏面交点BP23aから点BP21aまでの距離よりも短くし、表面交点FP23aから点FP22aまでの距離を、裏面交点BP23aから点BP22aまでの距離よりも短する。これにより、表面調整パターンと裏面調整パターンとは重ならない。
【0103】
なお、このような調整パターンを用いる場合の補正値は、上記実施形態同様、予め定めた基準位置OR00と、表面交点FP23aおよび裏面交点BP23aそれぞれとの、y方向およびx方向のずれ量とする。また、基準位置OR00は、表裏位置にずれがない場合の表面交点FP23aおよび裏面交点BP23aの位置である。
【0104】
なお、各調整パターンを構成する点について、x、yいずれの方向と平行な仮想線を引くかは、予め定め、内部メモリに記憶される。
【0105】
<変形例2>
上記実施形態では、補正値算出部112は、調整パターンによる交点と、基準位置OR00との差から補正値を算出する。しかしながら、補正値の算出は、これに限定されない。例えば、補正値算出部112は、調整パターンの、用紙端部からの距離により、補正値を算出してもよい。すなわち、補正値算出部112は、調整パターンの端部の用紙端部に平行に引いた基準線からの変位量を補正値としてもよい。
【0106】
この場合の補正値算出部112による補正算出手法を、図11(a)および図11(b)を用いて説明する。図11(a)は、表面調整パターンFP20が形成された、用紙の表面を、図11(b)は、裏面調整パターンBP20が形成された、用紙の裏面を、それぞれ示す。
【0107】
なお、補正値を算出する際に用いる基準線は、x方向に平行な第一基準線SL1とy方向に平行な第二基準線とを含む。第一基準線SL1とx方向に平行な用紙端部との距離(第一距離)は、Dy0とする。また、第二基準線SL2とy方向に平行な用紙端部との距離(第二距離)は、Dx0とする。第一距離Dy0および第二距離Dx0は、予め内部メモリ等に格納しておく。補正値算出部112は、これらの距離値として、例えば、一般に用いられる紙端部からのマージン値(主走査方向(y方向):3mm、副走査方向(x方向):4mm)を用いてもよい。
【0108】
ここでは、補正値算出部112は、第一表面距離と、第二表面距離と、第一裏面距離と、第二裏面距離と、をそれぞれ補正値として算出する。第一表面距離は、第一基準線SL1と表面調整パターンFP20との距離であって、最も短い距離である。第二表面距離は、第二基準線SL2と表面調整パターンFP20との距離であって、最も短い距離である。第一裏面距離は、第一基準線SL1と裏面調整パターンBP20との距離であって、最も短い距離である。第二裏面距離は、第二基準線SL2と裏面調整パターンBP20との距離であって、最も短い距離である。以下、具体的な算出法を説明する。
【0109】
補正値算出部112は、調整パターンの検出時に、x方向に平行な用紙端部ラインFs1(x、Sy1)と、y方向に平行な用紙端部ラインFs2(Sx1、y)と、をそれぞれ検出する。また、補正値算出部112は、調整パターン自体の、x方向に平行な端部ラインFl1(x、Fy1)と、x方向に平行な端部ラインFl2(fx1、y)と、をそれぞれ検出する。
【0110】
そして、補正値算出部112は、表面、裏面それぞれについて、それぞれ、用紙端部ラインと調整パターンの端部ラインとの差を算出する。例えば、図11(a)の例では、補正値算出部112は、y方向の差として、距離Dfy1(=Sy1-Fy1)と、x方向の差として、距離Dfx1(=Sx1-Fx1)と、をそれぞれ算出する。また、図11(b)の例では、補正値算出部112は、y方向の差として、距離Dby1と、x方向の差として、距離Dbx1と、を同様に算出する。
【0111】
補正値算出部112は、算出した距離Dfy1、Dby1を、基準の距離値である第一距離Dy0と、それぞれ比較し、その差として、第一表面距離ΔYf1および第一裏面距離ΔYb1をそれぞれ得る。また、補正値算出部112は、算出した距離Dfx1およびDbx1を、基準の距離値である第二距離Dx0とそれぞれ比較し、その差として、第二表面距離ΔXf1および第二裏面距離ΔXb1をそれぞれ得る。
【0112】
なお、上記実施形態および変形例では、補正値算出部112は、1回の調整モードの実行で得られた補正値を、補正値格納部113に格納している。しかしながら、補正値算出部112は、調整モードを複数回実行してもよい。この場合は、補正値算出部112は、各回の平均値をとるなど、統計処理を施して、補正値格納部113に格納する。
【0113】
また、補正値算出部112は、得られた複数の補正値を基にデータの補間を行い、画像濃度に対して一意に決まる補正値を得、それを補正値格納部113に格納してもよい。
【0114】
また、上記実施形態では、画像形成装置100は、調整モードを通常印刷モードとは独立して実行する。そして、画像形成装置100は、通常印刷モードの実行に先立ち、調整モードを実行する。しかしながら、調整モードの実行は、これに限定されない。例えば、画像形成装置100は、通常印刷モードでの印刷ジョブを実行する直前に、調整モードを実行してもよい。この場合、画像形成装置100は、通常印刷モードで使用する用紙と同じ用紙種別の用紙を用いて調整モードを実行するため、より高い精度で表裏位置合わせを行うことができる。
【0115】
<<第二実施形態>>
次に、本発明の第二実施形態を説明する。第一実施形態では、画像形成装置100は、表面調整パターンFPと裏面調整パターンBPとを、裏写りした場合に重ならない位置に形成し、誤検知を回避する。一方、本実施形態では、画像形成装置100は、表面調整パターンFPまたは裏面調整パターンBPを、用紙に形成する他の基準パターンと識別可能な態様に形成し、誤検知を回避する。
【0116】
図12に示すように、画像形成装置100は、表面調整パターンFPまたは裏面調整パターンBP以外に、裁断パターン421や、階調パターン(カラーバー)422等の基準パターン420を形成する。画像形成装置100は、これら全てを、用紙300の、画像印刷(形成)領域310の外の余白領域320に形成する。なお、以下、本実施形態では、表面調整パターンFPおよび裏面調整パターンBPを特に区別する必要がない場合、調整パターン410で総称する。
【0117】
裁断パターン421は、裁断位置を示すマークである。裁断パターン421は、例えば、L字形状または十字形状等を有する。画像形成装置100は、裁断パターン421を用紙300の四隅に形成する。
【0118】
また、カラーバー422は、各色画素の濃度階調値を示すマークである。このカラーバー422は、印刷された色を読み取って、狙いの色になるように補正をするためのマークである。カラーバー422は、例えば、C,M,Y,およびBkそれぞれについて、用紙300の搬送方向に一列に配列された複数の階調パッチを配列して形成するパターン画像である。画像形成装置100は、図12に示すように、カラーバー422を、余白領域320に形成する。
【0119】
裁断パターン421は、用紙のいずれか一方の面に形成されるものである。以下、本実施形態では、画像形成装置100が基準パターン420を第一面(表面)に形成する場合を例にあげて説明する。
【0120】
例えば、図12に破線円で示すように、調整パターン410の形成位置が、基準パターン420の形成位置と重なることがある。本実施形態の画像形成装置100は、このような場合、調整パターン410を、予め定めた表示態様(初期態様)から変更する。
【0121】
以下、これを実現する本実施形態の画像形成装置100を説明する。本実施形態の画像形成装置100の構成および制御部110aのハードウェア構成は、第一実施形態と同じであるため、ここでは、説明を省略する。
【0122】
本実施形態の画像形成装置100の制御部110aの機能構成について、説明する。ここでは、第一実施形態と異なる構成に主眼をおいて説明する。
【0123】
図13は、本実施形態の制御部110aの機能ブロック図である。本図に示すように、制御部110aは、画像処理コントローラ111と、補正値算出部112と、補正値格納部113と、読取制御部114と、調整パターン決定部115と、を備える。CPU121は、ROM122に記憶されたプログラムをRAM123にロードして実行し、これらの各機能を実現する。
【0124】
調整パターン決定部115は、上位装置から送られてきた画像データに付加する調整パターン410の態様を決定する。本実施形態では、調整パターン決定部115は、画像データ、用紙情報、基準パターン420の情報に応じて調整パターン410の態様を決定する。例えば、調整パターン決定部115は、基準パターン420と識別可能なように、調整パターン410を予め定めた初期態様から変更する。調整パターン決定部115は、調整パターン410のサイズ、色、形成位置を初期態様から変更し、最終的な態様を決定する。
【0125】
用紙情報は、用紙300のサイズ、余白領域320の幅、長さ等である。基準パターン420の情報は、形成される基準パターン420の種別、サイズ、形状、色、形成位置等である。形成位置等は、例えば、用紙座標系で特定される。これらの情報は、画像データとともに制御部110aに入力される。また、用紙情報や基準パターンの情報は、操作パネル131を介してユーザが任意に入力してもよい。調整パターン410の初期態様は、予め画像形成装置100に記憶されているものとする。
【0126】
調整パターン決定部115は、画像データとともに、決定した調整パターン410を画像処理コントローラ111に出力する。また、調整パターン決定部115は、決定した調整パターン410の態様を特定する情報を読取制御部114および補正値算出部112に出力する。調整パターン決定部115は、読取制御部114に対しても、決定した調整パターン410の態様を特定する情報を出力する。
【0127】
画像処理コントローラ111は、調整モード時は、調整パターン決定部115から受け取った調整パターン410を含む画像データの形式を変換する。
【0128】
読取制御部114は、調整パターン決定部115から受け取った調整パターン410を特定する情報に従って、読取部106を制御する。
【0129】
補正値算出部112は、調整パターン決定部115から受け取った決定した調整パターン410の態様を特定する情報を用いて補正値を算出する。
【0130】
次に、本実施形態の調整パターン決定部115による調整パターン410の態様の決定処理について説明する。
【0131】
ここでは、調整パターン410として、第一実施形態の図4(a)に示す表面調整パターンFPを用いる場合を例にあげて説明する。すなわち、調整パターン410(表面調整パターンFP)は、y方向に沿って延びる第一表面線分(第一線分411)とx方向に沿って延びる第二表面線分(第二線分412)とを有する。そして、第一表面線分と第二表面線分とは、所定の交点(表面交点;第一面交点)で接する。なお、この場合、裏面調整パターンBPは、y方向に沿って延びる第一裏面線分(第三線分)と、x方向に沿って延びる第二裏面線分(第四線分)とを有し、第一裏面線分と第二裏面線分とは、交差しない。
【0132】
また、基準パターン420が、裁断パターン421のみの場合を例に説明する。裁断パターンは、2つのL字形状のマークを、x方向およびy方向にそれぞれずらして重ねた形状とする。
【0133】
図14は、本実施形態の調整パターン決定部115による調整パターン決定処理の処理フローである。調整パターン決定部115は、調整モード時に、本処理を補正値算出処理に先立って実行する。
【0134】
調整パターン決定部115は、画像データ、裁断パターン421および調整パターン410の情報を受け取ると、まず、形成位置が重なるか否かを判別する(ステップS2101)。調整パターン決定部115は、例えば、裁断パターン421の形成位置の座標値およびサイズと、調整パターン410の形成位置の座標値およびサイズとから、両者が重なるか否かを判別する。そして、例えば図15(a)に示すように、重ならない場合(S2101;No)は、そのまま処理を終了する。すなわち、調整パターン決定部115は、調整パターン410を、予め定めた初期態様と決定する。
【0135】
一方、図15(b)に示すように、調整パターン410と裁断パターン421との形成位置が重なる場合(S2101;Yes)、調整パターン決定部115は、調整パターン410の態様を初期態様から変更する。なお、ステップS2101では、調整パターン決定部115は、両者の形成位置が一部でも重なる領域がある場合、重なると判別する。ここでは、調整パターン決定部115は、例えば、図16に示すように、裁断パターン421と重ならない位置に、調整パターン410の第一線分411および第二線分412の形成位置を変更する。
【0136】
具体的には、調整パターン決定部115は、例えば、第一線分411および第二線分412の形成位置を、初期態様である図17(a)の形成位置から、それぞれ、図17(b)に示すように当該線分の延伸方向に移動させる。
【0137】
なお、それに伴い、調整パターン決定部115は、裏面調整パターンBPの形成位置も変更してもよい。この場合、調整パターン決定部115は、例えば、図17(c)に示すように、表面の対応する位置において、第三線分BP3の形成位置をy方向に変位させ、裏写りした際に第一線分411と重ならない位置と決定する。これは、例えば、第一実施形態同様、画像形成装置100が、裏面調整パターンBPを、裏写りした際に表面調整パターンFPと重ならない位置に形成するためである。
【0138】
以上説明したように、本実施形態の画像形成装置100は、第一実施形態の構成に、さらに、記録媒体(用紙300)に形成される基準パターン420と識別可能なように調整パターン410の態様を決定する調整パターン決定部115を備える。そして、画像処理コントローラ111は、決定した態様で、調整パターン410を形成する。
【0139】
このように、本実施形態の画像形成装置100は、用紙300に形成される他の基準パターン420と重なることによる、調整パターン410の誤検知を低減できる。このため、本実施形態の画像形成装置100は、調整パターン410自体の誤検知を低減できる。それに伴い、本実施形態の画像形成装置100は、この調整パターン410を用いて行う表裏位置合わせを高い精度で実現できる。その結果、本実施形態によれば、印刷品質が向上する。
【0140】
<変形例3>
なお、上記実施形態では、調整パターン決定部115は、調整パターン410の各線分の形成位置を変位させているが、これに限定されない。例えば、調整パターン決定部115は、長さ、幅等を変更してもよい。また、調整パターン決定部115は、これらを組み合わせて変更してもよい。
【0141】
また、調整パターン決定部115は、調整パターン410の形状自体を変更してもよい。例えば、上記実施形態では、調整パターン410は、第一線分411と第二線分412とを備える。しかしながら、第一線分411および第二線分412の代わりに、線分以外の形状の第一マークおよび第二マークを備えてもよい。例えば、図10(a)に示すように、第一マークおよび第二マークは、それぞれ、点形状であってもよい。
【0142】
さらに、調整パターン決定部115は、調整パターン410の色を変更してもよい。一般に、裁断パターン421および調整パターン410は、黒で印刷される。これは、用紙300の色が白であり、黒が最もコントラスト比が大きいためである。
【0143】
例えば、調整パターン決定部115は、裁断パターン421と調整パターン410との形成位置が重なる場合、図18に示すように、調整パターン410の色を赤色等に変更する。なお、読取部106が備えるラインセンサでは、RGB(Red,Green,Blue)それぞれの画像データを取得する。調整パターン410を赤色にすると、ラインセンサは、Rの画像データでは用紙300の色である白と区別ができない。このため、この場合は、読取部106は、GもしくはBの画像データ、または、GとBとを加算もしくは平均した画像データを用いて調整パターン410を検出する。
【0144】
なお、調整パターン決定部115が調整パターン410の色を変える場合、赤に限定されず、別の色でも良い。例えば、混色による色ズレをなくすため、調整パターン決定部115は、CMYBk(Cyan、Magenta、Yellow、Black)モードで実際に印刷し、変更する色を決定してもよい。
【0145】
なお、実施形態および変形例で記載した調整パターン410の変更するパラメータ(プロパティ)は、組み合わせてもよい。すなわち、調整パターン決定部115は、第一線分411の形成位置、幅、長さ、形状および色と、第二線分412の形成位置、幅、長さ、形状および色と、の少なくとも1つを、調整パターン410が裁断パターン421と識別可能なように予め定めた初期態様から変更する。
【0146】
また、上記実施形態では、調整パターン410の形成位置が裁断パターン421の形成位置と重なる場合を例にあげて説明したが、調整パターン決定部115は、その他の基準パターン420と重なる場合も同様に、調整パターン410の態様を変更してもよい。基準パターン420は、例えば、カラーバー422であってもよい。
【0147】
例えば、初期態様の調整パターン410の形成位置がカラーバー422の形成位置に重なることがある。また、裁断パターン421との重畳を避けるため、調整パターン410の形成位置を移動させたことにより、調整パターン410の形成位置がカラーバー422の形成位置に重なることがある。このような場合、調整パターン決定部115は、調整パターン410の態様を変化させる。例えば、調整パターン決定部115は、調整パターン410の形成位置をカラーバー422の形成位置と重ならない位置に変位させる。
【0148】
なお、調整パターン決定部115は、図19(a)に示すように、調整パターン410の形成位置がカラーバー422の形成位置と一部でも重なる場合、カラーバー422側を変形してもよい。例えば、余白領域320に余裕がある場合、調整パターン決定部115は、図19(b)に示すように、カラーバー422を調整パターン410と重ならない位置に移動させてもよい。
【0149】
また、調整パターン決定部115は、図19(c)に示すように、カラーバー422のサイズを小さくしてもよい。例えば、画像データが使用している色数が少ない場合など、調整パターン決定部115は、カラーバー422の階調数を削減し、カラーバー422のサイズを小さくしてもよい。また、調整パターン決定部115は、画像データにおいて使用されている色のみカラーバー422を表示させ、カラーバー422の数を削減してもよい。
【0150】
また、調整パターン決定部115が調整パターン410の態様を変更するのは、基準パターン420と形成位置が重なる場合に限定されない。例えば、調整パターン決定部115は、調整パターン410の形成位置がパンチ穴等の形成位置と重なる場合も、調整パターン410の態様を変更してもよい。以下、基準パターン420にパンチ穴等も含め、基準パターン等と呼ぶ。
【0151】
なお、調整パターン410が基準パターン等と形成位置が重なる場合、調整パターン決定部115は、調整パターン410の態様を変更する前に、調整パターン410と基準パターン等との両方を形成した画像を生成し、ユーザに提示してもよい。調整パターン決定部115は、操作パネル131のディスプレイ等に当該画像を提示する。そして、調整パターン決定部115は、操作パネル131を介してユーザから変更の指示を受け付けた後、調整パターン410の態様を変更してもよい。
【0152】
また、カラーバー422の数や階調数を削減する場合、調整パターン決定部115は、ユーザに前もってその旨を通知し、許可の指示を受けてから削減してもよい。
【0153】
例えば、調整パターン410と裁断パターン421との線幅が大きく異なる場合などは、たとえ重なっていたとしても明確に区別ができる。このように両者が識別可能な場合、ユーザは、変更の指示を行わなくてもよい。
【0154】
なお、複数の基準パターン等が形成される場合、調整パターン決定部115は、全ての基準パターン等について、それぞれ調整パターン410と識別可能か判別し、判別結果に応じて調整パターン410の態様を変更する。
【0155】
このとき、調整パターン決定部115は、全ての基準パターン等と識別可能である場合のみ調整パターン410を変更させてもよい。例えば、基準パターン等が、裁断パターン421とカラーバー422の2つである場合を例に説明する。
【0156】
まず、調整パターン決定部115は、上記実施形態の手法で、調整パターン410の形成位置候補として、裁断パターン421と識別可能な位置を算出する。そして、調整パターン決定部115は、形成位置候補に調整パターン410を形成した場合、カラーバー422と識別可能か否かを判別する。例えば、図20(a)に示すように、形成位置候補に形成する調整パターン410が、カラーバー422と重ならない場合、調整パターン決定部115は、調整パターン410の形成位置をその形成位置候補に変更する。
【0157】
一方、図20(b)に示すように、形成位置候補に調整パターン410を形成した場合、カラーバー422と重なり、識別不可である場合、調整パターン決定部155は、その旨、ユーザに通知する。調整パターン決定部115は、例えば、上述のように、調整パターン410とカラーバー422とが重なる様子を画像化し、ユーザに提示する。そして、ユーザから指示を受け付ける。
【符号の説明】
【0158】
100:画像形成装置、101:書込みユニット、102:作像ユニット、103:中間転写ベルト、104:二次転写部、105:定着部、106:読取部、110:制御部、110a:制御部、111:画像処理コントローラ、112:補正値算出部、113:補正値格納部、114:読取制御部、115:調整パターン決定部、120:内部バス、121:CPU、122:ROM、123:RAM、124:外部メモリI/F、125:通信系I/F、126:内部バスI/F、127:PCIeI/F、128:画像出力用DMAC、129:画像処理部、130:伸長器、131:操作パネル、133:画像メモリ、134:PCIeバス、135:プリンタ、137:スキャナ、
210:プリントサーバ、
300:用紙、301:用紙端部、310:領域、320:余白領域、
410:調整パターン、411:第一線分、412:第二線分、420:基準パターン、421:裁断パターン、422:カラーバー、
BP:裏面調整パターン、BP10:裏面調整パターン、BP10a:裏面調整パターン、BP11:第一裏面線分、BP12:第二裏面線分、BP13:裏面交点、BP14:第一仮想線、BP15:第二仮想線、BP20:裏面調整パターン、BP20a:裏面調整パターン、BP23a:裏面交点、BP24:第五仮想線、BP25:第六仮想線、BP3:第三線分、BP30:裏面調整パターン、BP40:裏面調整パターン、
Dbx1:距離、Dby1:距離、Dfx1:距離、Dfy1:距離、Dx0:第二距離、Dy0:第一距離、
FP:表面調整パターン、FP10:表面調整パターン、FP10a:表面調整パターン、FP11:第一表面線分、FP12:第二表面線分、FP13:表面交点、FP20:表面調整パターン、FP20a:表面調整パターン、FP23a:表面交点、FP24:第三仮想線、FP25:第四仮想線、FP30:表面調整パターン、FP40:表面調整パターン、Fl1:端部ライン、Fl2:端部ライン、Fs1:用紙端部ライン、Fs2:用紙端部ライン、
L1:距離、L2:距離、OR00:基準位置、SL1:第一基準線、SL2:第二基準線、ΔXb1:第二裏面距離、ΔXf1:第二表面距離、ΔYb1:第一裏面距離、ΔYf1:第一表面距離
【先行技術文献】
【特許文献】
【0159】
【文献】特許第6409594号公報
図1
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