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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-05
(45)【発行日】2024-11-13
(54)【発明の名称】後処理装置及び画像形成システム
(51)【国際特許分類】
   B65H 31/18 20060101AFI20241106BHJP
【FI】
B65H31/18
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2021087023
(22)【出願日】2021-05-24
(65)【公開番号】P2022180103
(43)【公開日】2022-12-06
【審査請求日】2024-02-27
(73)【特許権者】
【識別番号】000006747
【氏名又は名称】株式会社リコー
(74)【代理人】
【識別番号】100186853
【弁理士】
【氏名又は名称】宗像 孝志
(72)【発明者】
【氏名】須崎 祐次
【審査官】小川 克久
(56)【参考文献】
【文献】特開2008-273656(JP,A)
【文献】特開2013-032197(JP,A)
【文献】実開平02-064562(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65H 31/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像形成装置によって画像が形成された媒体に後処理を施す後処理部と、
前記後処理部によって前記後処理が施された媒体を排出する排出部と、
前記排出部によって排出された媒体を支持する排出トレイとを備える後処理装置であって、
前記排出トレイは、
上面が媒体の排出方向に下り傾斜している主トレイと、
前記排出部によって排出された媒体を積載可能な積載姿勢、及び前記排出部によって排出された媒体を前記主トレイの上面に沿って排出可能な排出姿勢の間で、前記主トレイに回動可能に支持された可動トレイとを有することを特徴とする後処理装置。
【請求項2】
前記積載姿勢は、前記可動トレイの上面が水平となる姿勢であり、
前記排出姿勢は、前記主トレイの上面に沿って前記可動トレイの上面が下り傾斜となる姿勢であることを特徴とする請求項1に記載の後処理装置。
【請求項3】
前記排出トレイは、前記主トレイの上面から上方に突出して媒体の排出を妨げる突出姿勢、及び前記主トレイの上面から退避して媒体の排出を許容する退避姿勢の間で、前記主トレイに回動可能に支持された先端フェンスを有し、
前記先端フェンスは、
前記可動トレイが前記積載姿勢になるのに連動して前記突出姿勢になり、
前記可動トレイが前記排出姿勢になるのに連動して前記退避姿勢になることを特徴とする請求項1または2に記載の後処理装置。
【請求項4】
前記主トレイは、前記可動トレイの支軸を、回動可能で且つ前記主トレイの傾斜方向にスライド可能に支持するガイド溝を有し、
前記排出姿勢の前記可動トレイは、
前記主トレイの基端側にスライドして、前記積載姿勢に回動可能になり、
前記主トレイの先端側にスライドして、前記主トレイ及び前記可動トレイの上面を連続させることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の後処理装置。
【請求項5】
前記排出トレイは、前記可動トレイの姿勢を手動で変化させる操作部を有することを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の後処理装置。
【請求項6】
前記積載姿勢の前記可動トレイに積載された媒体の量を検知する積載量センサと、
前記積載量センサによって検知された媒体の量が閾値に達したことに応じて、前記可動トレイを前記積載姿勢から前記排出姿勢に回動させるコントローラとを備えることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の後処理装置。
【請求項7】
前記後処理は、束ねられた複数の用紙の中央を綴じる中綴じ処理であることを特徴とする請求項1乃至6のいずれか1項に記載の後処理装置。
【請求項8】
媒体に画像を形成する画像形成装置と、
前記画像形成装置によって画像が形成された媒体に前記後処理を施す請求項1乃至7のいずれか1項に記載の後処理装置とを備える画像形成システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、後処理装置及び画像形成システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、画像形成装置によって画像が形成された用紙に後処理を施す後処理装置が知られている。後処理装置によって実行される後処理は、例えば、束ねられた複数の用紙(以下、「用紙束」と表記する。)を中央で綴じる中綴じ処理などが考えられる。
【0003】
このような後処理装置は、大量の用紙束に対して連続して中綴じ処理を施す場合がある。そこで、排出トレイを傾斜させることによって、連続して排出される用紙束を排出トレイから落下させる後処理装置がある(例えば、特許文献1を参照)。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
但し、後処理装置の用途として、少量の用紙束に対して中綴じ処理を施して、排出トレイに積載したい場合もある。しかしながら、上記構成のように常に傾斜した排出トレイでは、後処理後の用紙束を積載したい場合に、積載量が少なくなるという課題がある。
【0005】
本発明は、このような課題を解決するためになされたものであり、後処理を施す媒体の部数に応じて、適切な姿勢に変化可能な排出トレイを備えた後処理装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明の一態様は、画像形成装置によって画像が形成された媒体に後処理を施す後処理部と、前記後処理部によって前記後処理が施された媒体を排出する排出部と、前記排出部によって排出された媒体を支持する排出トレイとを備える後処理装置であって、前記排出トレイは、上面が媒体の排出方向に下り傾斜している主トレイと、前記排出部によって排出された媒体を積載可能な積載姿勢、及び前記排出部によって排出された媒体を前記主トレイの上面に沿って排出可能な排出姿勢の間で、前記主トレイに回動可能に支持された可動トレイとを有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、後処理を施す媒体の部数に応じて、適切な姿勢に変化可能な排出トレイを備えた後処理装置を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】画像形成システムの全体構成を示す図。
図2】後処理装置の内部構造を示す図。
図3】排出トレイの拡大図。
図4】後処理装置のハードウェア構成図。
図5】綴じ処理のフローチャート。
図6】中綴じ&纏め排出処理のフローチャート。
図7】中綴じ&逐次排出処理のフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明に係る画像形成システム1について、図面を参照しながら説明する。図1は、画像形成システム1の全体構成を示す図である。画像形成システム1は、用紙に画像を形成し、画像が形成された用紙に対して後処理を施す機能を有する。図1に示すように、画像形成システム1は、画像形成装置2と、後処理装置3とで構成される。
【0010】
画像形成装置2は、用紙(媒体)に画像を形成し、画像を形成した用紙を後処理装置3に排出する。画像形成装置2は、用紙が収容されたトレイと、トレイに収容された用紙を搬送する搬送部と、搬送部によって搬送された用紙に画像を形成する画像形成部とを主に備える。画像形成部は、インクを用いて画像を形成するインクジェット方式でもよいし、トナーを用いて画像を形成する電子写真方式でもよい。画像形成装置2の構成は既に周知なので、詳細な説明は省略する。
【0011】
図2は、後処理装置3の内部構造を示す図である。後処理装置3は、画像形成装置2によって画像が形成された用紙に後処理を施す。本実施形態に係る後処理は、画像が形成された複数の用紙の束(以下、「用紙束Mb」と表記する。)を綴じる綴じ処理である。より詳細には、後処理装置3は、用紙束Mbの端を綴じる端綴じ処理と、用紙束Mbの中央を綴じる中綴じ処理とを実行可能である。
【0012】
後処理装置3は、搬送ローラ対10~19と、切替爪20とを備える。搬送ローラ対10~19は、後処理装置3の内部において、画像形成装置2から供給された用紙を搬送する。より詳細には、搬送ローラ対10~13は、第1搬送路Ph1に沿って用紙を搬送する。また、搬送ローラ対14~15は、第2搬送路Ph2に沿って用紙を搬送する。さらに、搬送ローラ対16~19は、第3搬送路Ph3に沿って用紙を搬送する。
【0013】
第1搬送路Ph1は、画像形成装置2からの用紙の供給口から排出トレイ21に至る経路である。第2搬送路Ph2は、搬送方向における搬送ローラ対11、14の間において第1搬送路Ph1から分岐し、内部トレイ22を通じて排出トレイ26に至る経路である。第3搬送路Ph3は、搬送方向における搬送ローラ対11、14の間において第1搬送路Ph1から分岐し、排出トレイ30に至る経路である。
【0014】
切替爪20は、第1搬送路Ph1及び第2搬送路Ph2の分岐位置に配置されている。切替爪20は、第1搬送路Ph1を通じて用紙を排出トレイ21に排出する第1位置と、第1搬送路Ph1を搬送される用紙を第2搬送路Ph2に導く第2位置とに切り替え可能に構成されている。また、第2搬送路Ph2に進入した用紙の後端が搬送ローラ対11を通過したタイミングで、搬送ローラ対14を逆回転させることによって、当該用紙が第3搬送路Ph3に導かれる。また、後処理装置3は、各搬送路Ph1、Ph2、Ph3上の用紙の位置を検知する複数のセンサ(図2に▲で示す)を備える。
【0015】
後処理装置3は、排出トレイ21を備える。排出トレイ21は、第1搬送路Ph1を通じて排出された用紙を支持する。排出トレイ21には、画像形成装置2から供給される用紙のうち、後処理が施されない用紙が排出される。
【0016】
また、後処理装置3は、内部トレイ22と、エンドフェンス23と、サイドフェンス24と、綴じ処理部25と、排出トレイ26とを備える。内部トレイ22、エンドフェンス23、サイドフェンス24、及び綴じ処理部25は、第2搬送路Ph2を搬送される用紙に端綴じ処理を施す端綴じ処理部(後処理部)を構成する。排出トレイ26には、画像形成装置2から供給される用紙のうち、端綴じ処理部によって端綴じ処理が施された用紙(用紙束Mb)が排出される。
【0017】
内部トレイ22は、第2搬送路Ph2を順番に搬送される複数の用紙を一時的に支持する。エンドフェンス23は、内部トレイ22に支持された用紙束Mbの搬送方向の位置を揃える。サイドフェンス24は、内部トレイ22に支持された用紙束Mbの搬送方向に直交する幅方向の位置を揃える。綴じ処理部25は、エンドフェンス23及びサイドフェンス24によって揃えられた用紙束Mbの端部を綴じる。そして、搬送ローラ対15(排出部)は、端綴じ処理部によって端綴じ処理が施された用紙束Mbを排出トレイ26に排出する。
【0018】
さらに、後処理装置3は、エンドフェンス27と、綴じ処理部28と、用紙折りブレード29と、排出トレイ30とを備える。エンドフェンス27、綴じ処理部28、及び用紙折りブレード29は、第3搬送路Ph3を搬送される用紙に中綴じ処理を施す中綴じ処理部(後処理部)を構成する。排出トレイ30には、画像形成装置2から供給される用紙のうち、中綴じ処理部によって中綴じ処理が施された用紙(用紙束Mb)が排出される。
【0019】
エンドフェンス27は、第3搬送路Ph3を順番に搬送される複数の用紙の搬送方向の位置を揃える。また、エンドフェンス27は、用紙束Mbの中央を、綴じ処理部28に対面させる綴じ位置と、用紙折りブレード29に対面させる折り位置とに移動可能に構成されている。綴じ処理部28は、綴じ位置のエンドフェンス27によって揃えられた用紙束Mbの中央を綴じる。用紙折りブレード29は、折り位置のエンドフェンス27に支持された用紙束Mbを半分に折って、搬送ローラ対18に挟持させる。搬送ローラ対18、19(排出部)は、綴じ処理部によって中綴じ処理が施された用紙束Mbを排出トレイ30に排出する。
【0020】
図1及び図3を参照して、排出トレイ30の詳細な構成及び動作の様子を説明する。図3は、排出トレイ30の拡大図である。排出トレイ30は、中綴じ処理が施されて排出されてきた用紙束Mbの部数(排出トレイ30に同時に積載される部数)に応じて、適切な姿勢へと変化可能に構成されている。排出トレイ30は、主トレイ31と、可動トレイ32と、先端フェンス33と、積載量センサ34とを主に備える。
【0021】
主トレイ31は、搬送ローラ対19によって排出される用紙束Mbを支持可能な位置に配置されている。より詳細には、主トレイ31は、搬送ローラ対19の下方において、後処理装置3の筐体から外部に突出するように配置されている。また、主トレイ31の上面は、搬送ローラ対19によって排出される用紙束Mbの排出方向(図2の左方向)に向かって下り傾斜となっている。さらに、主トレイ31は、可動トレイ32と、先端フェンス33とを支持している。
【0022】
可動トレイ32は、主トレイ31の後端側(排出方向の上流側)に設けられていて、支軸35を介して主トレイ31に対して回動可能に支持されている。支軸35は、排出方向及び上下方向に直交する用紙束Mbの幅方向に延設されている。また、支軸35は、可動トレイ32の先端(排出方向の下流側の端部)に取り付けられている。すなわち、可動トレイ32は、排出方向の下流側の端部を回動基端とし、排出方向の上流側の端部を回動先端として回動可能になっている。より詳細には、可動トレイ32は、図3(A)に示す積載姿勢と、図3(B)に示す排出姿勢との間で回動する。
【0023】
積載姿勢とは、搬送ローラ対19によって排出された用紙束Mbを積載するときに可動トレイ32がとる姿勢であって、用紙束Mbが主トレイ31の傾斜によって滑り落ちない状態を維持する姿勢である。したがって、積載姿勢では、可動トレイ32の上面が水平となる。排出姿勢とは、搬送ローラ対19によって排出された用紙束Mbを主トレイ31の上面の傾斜に沿って排出可能な姿勢である。したがって、排出姿勢では、主トレイ31の上面に沿って、可動トレイ32の上面が下り傾斜となる。より詳細には、可動トレイ32は、排出方向の下流側の端部が跳ね上がるように回動することによって、積載姿勢から排出姿勢へと変化する。また、排出姿勢の可動トレイ32の上面の傾斜角度は、主トレイ31の上面の傾斜角度と同一か、主トレイ31の上面の傾斜角度より大きく設定される。
【0024】
また、可動トレイ32は、主トレイ31の傾斜方向に沿ってスライド可能に、主トレイ31に支持されている。より詳細には、図3(A)に示すように、主トレイ31の側面には、主トレイ31の傾斜方向に沿って延設されたガイド溝36が形成されている。そして、ガイド溝36は、支軸35を回動可能で且つ主トレイ31の傾斜方向にスライド可能に支持する。
【0025】
排出姿勢の可動トレイ32は、図3(B)の矢印aで示すように、主トレイ31の基端側にスライドすることによって、主トレイ31の上面と可動トレイ32の上面との間に隙間を生じる。これにより、可動トレイ32は、排出姿勢及び積載姿勢の間を回動可能になる。一方、排出姿勢の可動トレイ32は、図3(B)の矢印bで示すように、主トレイ31の先端側にスライドすることによって、主トレイ31の上面と可動トレイ32の上面とが連続する(面一になる)。これにより、主トレイ31の上面と可動トレイ32の上面との間の隙間がなくなる。
【0026】
先端フェンス33は、可動トレイ32より排出方向の下流側(換言すれば、主トレイ31の先端側)に配置されている。また、先端フェンス33は、支軸37を介して主トレイ31に回動可能に支持されている。支軸37は、排出方向及び上下方向に直交する用紙束Mbの幅方向(すなわち、支軸35と平行)に延設されている。そして、先端フェンス33は、図3(A)に示す突出姿勢と、図3(B)に示す退避姿勢との間で回動する。
【0027】
突出姿勢は、先端フェンス33が主トレイ31の上面から上方に突出して、用紙束Mbが主トレイ31から排出されることを妨げる姿勢である。したがって、突出姿勢は、用紙束Mbが主トレイ31の上面に沿って移動して来たとき、言い換えると、用紙束Mbが主トレイ31の傾斜面を滑って滑落してきたときに、その用紙束Mbが主トレイ31から外側に出てしまうことを妨げる姿勢である。退避姿勢は、主トレイ31の上面に沿って用紙束Mbが排出されることを許容する姿勢である。また、退避姿勢は、先端フェンス33が主トレイ31の上面から退避して、用紙束Mbが主トレイ31から排出される姿勢である。より詳細には、退避姿勢は、主トレイ31の上面より下方に退避する姿勢である。
【0028】
また、先端フェンス33は、可動トレイ32に連動して姿勢変化してもよい。より詳細には、図3(A)に示すように、先端フェンス33は、可動トレイ32が積載姿勢になるのに連動して、突出姿勢になればよい。また、図3(B)に示すように、先端フェンス33は、可動トレイ32が排出姿勢になるのに連動して、退避姿勢になればよい。この場合の排出トレイ30は、可動トレイ32の回動(姿勢変化)を先端フェンス33に伝達する伝達機構(例えば、ギヤ、ベルト等)を備えてもよい。
【0029】
これにより、図3(A)に示すように、可動トレイ32が積載姿勢で且つ先端フェンス33が突出姿勢のとき、搬送ローラ対19によって排出された用紙束Mbは、可動トレイ32に積載される。また、万一、可動トレイ32から主トレイ31に滑り落ちた用紙束Mbも、先端フェンス33によって排出トレイ30からの落下が阻止される。
【0030】
一方、図3(B)に示すように、可動トレイ32が排出姿勢で且つ先端フェンス33が退避姿勢のとき、搬送ローラ対19によって排出された用紙束Mbまたは積載姿勢の可動トレイ32に積載された用紙束Mbは、傾斜した可動トレイ32の上面及び主トレイ31の上面に沿って滑り落ちて、排出トレイ30から排出される。
【0031】
積載量センサ34は、積載姿勢の可動トレイ32に積載された用紙束Mbの量(部数)を検知する。積載量センサ34は、支軸38を介して後処理装置3の筐体に回動可能に支持されている。また、積載量センサ34は、可動トレイ32に積載された1番上の用紙束Mbに当接する。すなわち、積載量センサ34は、可動トレイ32に積載された用紙束Mbの量に応じて角度が変化する。そして、積載量センサ34は、現在の角度に応じた積載量信号をコントローラ100(図4参照)に出力する。但し、積載量センサ34の具体的な構造は、前述の例に限定されない。
【0032】
図4は、後処理装置3のハードウェア構成図である。図4に示すように、後処理装置3は、CPU(Central Processing Unit)101、RAM(Random Access Memory)102、ROM(Read Only Memory)103、HDD(Hard Disk Drive)104、及びI/F105が共通バス109を介して接続されている構成を備える。
【0033】
CPU101は演算手段であり、後処理装置3全体の動作を制御する。RAM102は、情報の高速な読み書きが可能な揮発性の記憶媒体であり、CPU101が情報を処理する際の作業領域として用いられる。ROM103は、読み出し専用の不揮発性の記憶媒体であり、ファームウェア等のプログラムが格納されている。HDD104は、情報の読み書きが可能であって記憶容量が大きい不揮発性の記憶媒体であり、OS(Operating System)や各種の制御プログラム、アプリケーションプログラムなどが格納される。
【0034】
後処理装置3は、ROM103に格納された制御プログラム、HDD104などの記憶媒体からRAM102にロードされた情報処理プログラム(アプリケーションプログラム)などをCPU101が備える演算機能によって処理する。その処理によって、後処理装置3の種々の機能モジュールを含むソフトウェア制御部が構成される。このようにして構成されたソフトウェア制御部と、後処理装置3に搭載されるハードウェア資源との組み合わせによって、後処理装置3の機能を実現する機能ブロックが構成される。すなわち、CPU101、RAM102、ROM103、及びHDD104は、後処理装置3の動作を制御するコントローラ100を構成する。
【0035】
I/F105は、搬送ローラ対10~19、切替爪20、綴じ処理部25、28、エンドフェンス27、用紙折りブレード29、可動トレイ32、先端フェンス33、積載量センサ34、及び操作パネル110を、共通バス109に接続するインタフェースである。コントローラ100は、I/F105を通じてモータを駆動することによって、搬送ローラ対10~19、切替爪20、綴じ処理部25、28、エンドフェンス27、用紙折りブレード29、可動トレイ32、先端フェンス33を動作させる。
【0036】
より詳細には、コントローラ100は、搬送ローラ対10~19、切替爪20、綴じ処理部25、28、エンドフェンス27、用紙折りブレード29の動作を制御することによって、画像形成装置2によって画像が形成された用紙束Mbに後処理を施す。また、コントローラ100は、積載量センサ34から出力される積載量信号に基づいて、可動トレイ32及び先端フェンス33の動作を制御することによって、中綴じ処理が施された用紙束Mbを、排出トレイ30に積載し、または排出トレイ30から排出する。
【0037】
なお、コントローラ100がモータを駆動させることによって、可動トレイ32及び先端フェンス33を回動させてもよい。または、排出トレイ30は、可動トレイ32及び先端フェンス33の姿勢を手動で変化させる操作部を有していてもよい。そして、ユーザが操作部を操作することによって、可動トレイ32及び先端フェンス33を回動させてもよい。この場合、操作部を操作するユーザの力を軽減するために、操作部と可動トレイ32及び先端フェンス33との間に減速機構が設けられてもよい。
【0038】
操作パネル110は、ユーザからの操作を受け付ける操作部と、ユーザに情報を報知するディスプレイ(報知部)とを備える。操作部は、例えば、ハードキー、ディスプレイに重畳されたタッチパネル等を含む。そして、操作パネル110は、操作部を通じてユーザから情報を取得し、ディスプレイを通じてユーザに情報を提供する。なお、報知部の具体例はディスプレイに限定されず、LEDランプやスピーカ等でもよい。
【0039】
図5は、綴じ処理のフローチャートである。コントローラ100は、例えば、画像形成装置2から綴じ処理の実行指示(以下、「綴じ指示」と表記する。)を取得したタイミングで、図5に示す綴じ処理を開始する。綴じ指示は、例えば、用紙束Mbを構成する用紙の数(以下、「所定枚数」と表記する。)と、綴じ処理を施すべき用紙束Mbの数(以下、「必要部数」と表記する。)とを含む。
【0040】
また、後処理装置3は、複数の綴じモードの1つを選択可能に構成されている。綴じモードは、端綴じ処理を実行する端綴じモードと、中綴じ処理を実行する中綴じモードとを含む。また、後処理装置3は、複数の排出モードの1つを選択可能に構成されている。排出モードは、複数の用紙束Mbを可動トレイ32に積載してから纏めて排出する纏め排出モードと、搬送ローラ対19によって排出された用紙束Mbをその都度排出する逐次排出モードとを含む。綴じモード及び排出モードは、操作パネル110を通じてユーザが選択してもよいし、綴じ指示に含まれていてもよい。
【0041】
まず、コントローラ100は、選択された綴じモードを判定する(S501)。そして、コントローラ100は、端綴じモードが選択されていると判定した場合に(S501:No)、端綴じ処理を実行する(S502)。端綴じ処理は、用紙束Mbの端部を端綴じ処理部に綴じさせる処理である。端綴じ処理の詳細は省略する。
【0042】
一方、コントローラ100は、中綴じモードが選択されていると判定した場合に(S501:Yes)、選択された排出モードを判定する(S503)。そして、コントローラ100は、纏め排出モードが選択されていると判定した場合に(S503:Yes)、図6に示す中綴じ&纏め排出処理を実行する(S504)。また、コントローラ100は、逐次排出モードが選択されていると判定した場合に(S503:No)、図7に示す中綴じ&逐次排出処理を実行する(S505)。
【0043】
図6は、中綴じ&纏め排出処理のフローチャートである。中綴じ&纏め排出処理は、中綴じ処理部によって綴じられた用紙束Mbを可動トレイ32に積載し、可動トレイ32に積載された用紙束Mbの数が閾値に達したタイミングで纏めて排出する処理である。なお、中綴じ&纏め排出処理の開始時点において、エンドフェンス27は綴じ位置で、可動トレイ32は積載姿勢で、先端フェンス33は突出姿勢であるものとする。
【0044】
まず、コントローラ100は、搬送ローラ対10、11、14、16、17を回転させることによって、画像形成装置2によって画像が形成された用紙をエンドフェンス27に収容する(S601)。次に、コントローラ100は、エンドフェンス27に収容された用紙の数が、綴じ指示で示された所定枚数に達したか否かを判定する(S602)。
【0045】
そして、コントローラ100は、エンドフェンス27に収容された用紙の数が所定枚数に達していないと判定した場合に(S602:No)、ステップS601の処理を再び実行する。一方、コントローラ100は、エンドフェンス27に収容された用紙の数が所定枚数に達したと判定した場合に(S602:Yes)、エンドフェンス27に収容された用紙束Mbを中綴じして半分に折り、積載姿勢の可動トレイ32に排出する(S603)。
【0046】
より詳細には、コントローラ100は、綴じ位置のエンドフェンス27に収容された用紙束Mbの中央を綴じ処理部28に綴じさせる。次に、コントローラ100は、エンドフェンス27を折り位置に移動させる。次に、コントローラ100は、折り位置のエンドフェンス27に収容された用紙束Mbを用紙折りブレード29で半分に折って、搬送ローラ対18に挟持させる。そして、コントローラ100は、搬送ローラ対18、19を回転させることによって、積載姿勢の可動トレイ32に用紙束Mbを排出する。さらに、コントローラ100は、エンドフェンス27及び用紙折りブレード29を元の位置に戻す。
【0047】
次に、コントローラ100は、積載量センサ34から出力される積載量信号に基づいて、積載姿勢の可動トレイ32に用紙束Mbが満載されている(以下、「満載状態」と表記する。)か否かを判定する(S604)。換言すれば、コントローラ100は、積載量センサ34によって検知された用紙束Mbの数が閾値に達したか否かを判定する。そして、コントローラ100は、積載姿勢の可動トレイ32に積載された用紙束Mbの数が閾値未満だと判定した場合に(S604:No)、ステップS601以降の処理を再び実行する。
【0048】
一方、コントローラ100は、積載姿勢の可動トレイ32に積載された用紙束Mbの数が閾値に達したと判定した場合に(S604:Yes)、可動トレイ32を排出姿勢に姿勢変化させ、先端フェンス33を退避姿勢に姿勢変化させる(S605)。これにより、可動トレイ32に満載された用紙束Mbが可動トレイ32及び主トレイ31の上面に沿って排出トレイ30から排出される。
【0049】
しかしながら、可動トレイ32が何かに引っ掛かって、排出姿勢に姿勢変化しない可能性がある。また、可動トレイ32が排出姿勢に姿勢変化しても、用紙束Mbが何かに引っ掛かって滑り落ちない可能性がある。そこで、コントローラ100は、ステップS605の実行後に、積載量センサ34から出力される積載量信号に基づいて、可動トレイ32から用紙束Mbが排出された(すなわち、満載状態が解除された)か否かを判定する(S606)。
【0050】
次に、コントローラ100は、可動トレイ32の満載状態が解除されていないと判定した場合に(S606:No)、可動トレイ32上の用紙束Mbの除去を促すメッセージをディスプレイに表示する(S607)。なお、コントローラ100は、可動トレイ32の満載状態が解除されるまで、メッセージの表示を継続する。また、報知の方法は、メッセージの表示に限定されず、LEDランプの点灯でもよいし、スピーカを通じたガイド音声の出力でもよい。そして、この報知に接したユーザは、操作部を操作して可動トレイ32を強制的に姿勢変化させてもよいし、可動トレイ32上の用紙束Mbを手で取り去ってもよい。
【0051】
次に、コントローラ100は、可動トレイ32の満載状態が解除されたと判定した場合に(S606:Yes)、可動トレイ32を積載姿勢に姿勢変化させ、先端フェンス33を突出姿勢に姿勢変化させる(S608)。次に、コントローラ100は、排出された用紙束Mbの数が、綴じ指示で示された必要部数に達したか否かを判定する(S609)。そして、コントローラ100は、必要部数に達していないと判定した場合に(S609:No)、ステップS601以降の処理を再び実行する。一方、コントローラ100は、必要部数に達したと判定した場合に(S609:Yes)、中綴じ&纏め排出処理を終了する。
【0052】
図7は、中綴じ&逐次排出処理のフローチャートである。中綴じ&逐次排出処理は、中綴じ処理部によって綴じられた用紙束Mbを可動トレイ32に積載せずに、排出トレイ30から逐次排出する処理である。なお、中綴じ&逐次排出処理の開始時点において、エンドフェンス27は綴じ位置で、可動トレイ32は積載姿勢で、先端フェンス33は突出姿勢であるものとする。また、中綴じ&纏め排出処理との共通点の詳細な説明は省略し、相違点を中心に説明する。中綴じ&纏め排出処理と中綴じ&逐次排出処理との主な相違点は、可動トレイ32及び先端フェンス33を姿勢変化させるタイミングである。
【0053】
まず、コントローラ100は、可動トレイ32を排出姿勢に姿勢変化させ、先端フェンス33を退避姿勢に姿勢変化させる(S701)。ステップS701の処理は、図6のステップS605と共通する。次に、コントローラ100は、用紙束Mbを中綴じして半分に折り、可動トレイ32に排出する(S702~S704)。ステップS702~S704の処理は、図6のステップS601~S603と共通する。
【0054】
ステップS704で可動トレイ32に排出された用紙束Mbは、排出姿勢の可動トレイ32及び主トレイ31の上面を滑り落ちて、排出トレイ30から排出されるはずである。しかしながら、搬送ローラ対19から排出された用紙束Mbが何かに引っ掛かって、可動トレイ32上を滑り落ちない可能性がある。
【0055】
そこで、コントローラ100は、積載量センサ34から出力される積載量信号に基づいて、可動トレイ32が満載状態か否かを判定する(S705)。そして、コントローラ100は、可動トレイ32が満載状態だと判定した場合に(S705:Yes)、可動トレイ32上の用紙束Mbの除去を促すメッセージをディスプレイに表示する(S706)。ステップS705~S706の処理は、図6のステップS606~S607と共通する。次に、コントローラ100は、可動トレイ32が満載状態でないと判定した場合に(S705:No)、排出された用紙束Mbの数が、綴じ指示で示された必要部数に達したか否かを判定する(S707)。ステップS707の処理は、図6のステップS609と共通する。
【0056】
次に、コントローラ100は、必要部数に達していないと判定した場合に(S707:No)、ステップS702以降の処理を再び実行する。一方、コントローラ100は、必要部数に達したと判定した場合に(S707:Yes)、可動トレイ32を積載姿勢に姿勢変化させ、先端フェンス33を突出姿勢に姿勢変化させる(S708)。ステップS708の処理は、図6のステップS608と共通する。
【0057】
上記の実施形態によれば、例えば以下の作用効果を奏する。
【0058】
上記の実施形態によれば、積載姿勢及び排出姿勢の間で可動トレイ32を回動可能に構成することによって、用紙束Mbを積載したい場合の積載量を確保しつつ、適切なタイミングで用紙束Mbを排出することができる。
【0059】
また、上記の実施形態のように、可動トレイ32の上面を、積載姿勢のときに水平にし、排出姿勢のときに主トレイ31に沿って傾斜させることによって、シンプルな構成で上記の機能を実現することができる。但し、可動トレイ32の積載姿勢及び排出姿勢は、前述した機能を実現することができれば、図3の姿勢に限定されない。
【0060】
また、上記の実施形態によれば、可動トレイ32及び先端フェンス33を連動して姿勢変化させることによって、排出トレイ30からの用紙束Mbの排出を1つの処理で実現することができる。但し、可動トレイ32及び先端フェンス33は、各々が独立して姿勢変化可能に構成されていてもよい。
【0061】
また、上記の実施形態によれば、排出姿勢の可動トレイ32及び主トレイ31の上面同士が連続するように、可動トレイ32をスライド可能に構成した。これにより、可動トレイ32を積載姿勢から排出姿勢に姿勢変化させた際に、可動トレイ32及び主トレイ31の間の隙間に用紙束Mbが引っ掛かって、排出されなくなるのを防止できる。
【0062】
また、上記の実施形態のように、ユーザが手動で可動トレイ32を姿勢変化させる操作部を設けることによって、シンプルな構成で可動トレイ32の姿勢変化を実現できる。但し、上記の実施形態に係る後処理装置3は、コントローラ100が可動トレイ32の姿勢変化させる機能と、ユーザが手動で可動トレイ32を姿勢変化させる機能とのいずれか一方のみを備えてもよいし、両方を備えてもよい。
【0063】
さらに、中綴じ&纏め排出処理によれば、可動トレイ32が満載になったタイミングで排出姿勢に姿勢変化させることによって、用紙束Mbを積載したい場合の積載量を確保しつつ、適切なタイミングで用紙束Mbを排出することができる。但し、中綴じ&逐次排出処理のように、搬送ローラ対19によって排出される用紙束Mbを可動トレイ32に積載せずに、逐次的に排出するようにしてもよい。
【0064】
なお、上記の実施形態に係る排出トレイ30は、中綴じ処理部から排出される用紙束Mbを支持するものである。但し、排出トレイ30は、端綴じ処理部から排出される用紙束Mbを支持してもよいし、その他の後処理(例えば、用紙に貫通孔を穿つ穿孔処理など)が施された用紙を支持してもよい。
【0065】
また、上記に説明した制御方法は、例えば、プログラム等で実現してもよい。すなわち、制御方法は、プログラムに基づいて、演算装置、記憶装置、入力装置、出力装置、及び、制御装置を協働して動作させて、コンピュータが実行する方法である。また、プログラムは、記憶装置、又は、記憶媒体等に書き込まれて配布、又は、電気通信回線等を通じて配布されてもよい。
【0066】
なお、本発明は、上記に例示する各実施形態に限定されるものではなく、その技術的要旨を逸脱しない範囲で種々の変形が可能であり、特許請求の範囲に記載された技術思想に含まれる技術的事項のすべてが本発明の対象となる。上記実施形態は、好適な例を示したものであるが、当業者であれば、開示した内容から様々な変形例を実現することが可能である。そのような変形例も、特許請求の範囲に記載された技術的範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0067】
1 :画像形成システム
2 :画像形成装置
3 :後処理装置
10~19 :搬送ローラ対
20 :切替爪
21、26,30 :排出トレイ
22 :内部トレイ
23,27 :エンドフェンス
24 :サイドフェンス
25,28 :綴じ処理部
29 :用紙折りブレード
31 :主トレイ
32 :可動トレイ
33 :先端フェンス
34 :積載量センサ
35,37,38 :支軸
36 :ガイド溝
100 :コントローラ
101 :CPU
102 :RAM
103 :ROM
104 :HDD
105 :I/F
109 :共通バス
110 :操作パネル
【先行技術文献】
【特許文献】
【0068】
【文献】特開2012-250844号公報
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7