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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-05
(45)【発行日】2024-11-13
(54)【発明の名称】検査治具、及び検査装置
(51)【国際特許分類】
   G01R 1/073 20060101AFI20241106BHJP
   G01R 1/067 20060101ALI20241106BHJP
   G01R 31/26 20200101ALI20241106BHJP
   H01L 21/66 20060101ALI20241106BHJP
【FI】
G01R1/073 E
G01R1/073 D
G01R1/067 C
G01R31/26 J
H01L21/66 D
H01L21/66 B
【請求項の数】 11
(21)【出願番号】P 2021542997
(86)(22)【出願日】2020-08-27
(86)【国際出願番号】 JP2020032338
(87)【国際公開番号】W WO2021039898
(87)【国際公開日】2021-03-04
【審査請求日】2023-07-31
(31)【優先権主張番号】P 2019155225
(32)【優先日】2019-08-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】392019709
【氏名又は名称】ニデックアドバンステクノロジー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100138689
【弁理士】
【氏名又は名称】梶原 慶
(72)【発明者】
【氏名】戒田 理夫
【審査官】島田 保
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-090775(JP,A)
【文献】特開2017-142080(JP,A)
【文献】特開2008-026027(JP,A)
【文献】特開2018-132515(JP,A)
【文献】特開2019-066449(JP,A)
【文献】特開2004-069485(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01R 1/06-1/073
G01R 31/26
H01L 21/66
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
一方の面に電極が設けられたフィルム状の複数の配線基板と、
前記各配線基板における前記電極が設けられた領域である電極領域を露出させて積層された前記複数の配線基板を支持する台座と、
基端部が前記各電極領域に接触し、前記各電極領域から離れる方向に延びる複数のプローブとを備え、
前記複数の配線基板は可撓性を有し、
前記台座には、前記各電極領域が取りつけられる段部が形成され、
前記段部の段差が、前記各配線基板の厚さと略等しい検査治具。
【請求項2】
前記段部は、所定の第一方向に沿って、両側から内側に向かって突出するように段が形成されている請求項に記載の検査治具。
【請求項3】
前記台座には、さらに、前記第一方向と直交する第二方向に沿って、両側から内側に向かって突出するように前記段部が形成されている請求項に記載の検査治具。
【請求項4】
前記積層された複数の配線基板のうち最下層の配線基板は、前記台座の最上段における頂部に取りつけられる前記電極領域と、その電極領域から四方に放射状に延びる配線領域とを含み、
前記積層された複数の配線基板のうち下から二番目の層の配線基板は、
前記台座の最上段を覆う前記最下層の配線基板の前記電極領域を露出させる開口部と、
前記開口部の周縁部に設けられた前記電極領域と、
その電極領域から四方に放射状に延びる配線領域とを含む請求項に記載の検査治具。
【請求項5】
前記台座は、
平坦な基材面を有する基材と、
前記段部を形成するべく前記基材面に配設され、前記各配線基板と略同一の厚さを有するシート部材とを備える請求項1~4のいずれか1項に記載の検査治具。
【請求項6】
前記各配線基板は、前記電極と導通する配線層と、前記配線層の両面を覆う絶縁層とを備え、
前記シート部材は、前記配線層と同じ材質の第一層と、前記第一層の両面を覆う、前記絶縁層と同じ材質の第二層とを備える請求項に記載の検査治具。
【請求項7】
前記各プローブは、
導電性を有し、両端に第一開口部と第二開口部とを有する筒状形状の筒状体と、
導電性を有し、先端部が前記第一開口部から突出するように前記筒状体に挿入される棒状形状の中心導体とを備え、
前記筒状体は、周面に沿う螺旋状のばね部を備え、
前記各電極は、前記第二開口部に挿入される突起部を有する請求項1~のいずれか1項に記載の検査治具。
【請求項8】
前記第二開口部は、前記筒状体の端部に設けられた軸方向に延びるスリットにより前記筒状体の周方向に分断され、
前記突起部の外径は、前記突起部が挿入されていない状態の前記第二開口部の内径よりも大きい請求項に記載の検査治具。
【請求項9】
前記台座は、その周囲よりも突出している請求項1~のいずれか1項に記載の検査治具。
【請求項10】
前記台座を前記突出している方向に付勢する付勢部材をさらに備える請求項に記載の検査治具。
【請求項11】
請求項1~10のいずれか1項に記載の検査治具と、
前記プローブを検査対象に設けられた検査点に接触させることにより得られる電気信号に基づき、前記検査対象の検査を行う検査処理部とを備える検査装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、検査に用いられる検査治具、及び検査装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、多針状に配置された複数のプローブを、プリント配線基板や半導体基板等の検査対象物の複数の検査点に接触させて、検査対象物の検査を行う検査装置が知られている。また、このような多針状のプローブを保持する治具へッドを備え、このプローブと検査装置本体とを電気的に接続する検査治具が知られている。
【0003】
ところで、近年、検査点のピッチは非常に微細になっており、かつ、検査点の数も増加している。そのため、プローブの数が、数千本程度となることも珍しくない。一方、検査装置本体側の接続端子は、製造の容易性、接続信頼性、及び耐久性の観点から、ある程度大きな形状にせざるを得ず、検査点の配置間隔よりも広い間隔で配置されている。そのため、これらのプローブと検査装置本体とを直接接続することができない。
【0004】
そこで、検査点に対応して配置されたプローブの後端部と接触するように配置された第一電極と、第一電極よりも間隔を広くして配置され、検査装置本体と接続容易にされた第二電極とを備えた変換ブロックが知られている(例えば、特許文献1参照。)。特許文献1に記載の変換ブロックには、変換ブロック内部を貫通するように、第一電極と第二電極とを接続する配線が形成されている。このような変換ブロックを用いることで、プローブと検査装置本体との接続が容易となる検査治具が知られている。
【0005】
特許文献1には、このような変換ブロックは、例えば基板を貫通するビアと、基板の面方向に延びる配線とを有する接続基板を複数枚積層することによって作製できることが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】国際公開第2018/021216号公報
【発明の概要】
【0007】
ところで、上述の特許文献1に記載の変換ブロックは、極めて微細な間隔で配置されている検査点に対応して配置された第一電極の配置間隔を、検査装置本体に接続可能な間隔まで拡げる必要がある。そのため、ビアの間隔を少しずつ拡げた多数の接続基板を精密に積層する必要があり、このような変換ブロックを用いた検査治具の製造には、高度な技術が必要とされる。
【0008】
本発明の目的は、プローブに接続される電極の間隔よりも、検査装置本体に接続される配線の間隔を拡げることが容易な検査治具、及びこれを用いた検査装置を提供することである。
【0009】
本発明に係る検査治具は、一方の面に電極が設けられたフィルム状の複数の配線基板と、前記各配線基板における前記電極が設けられた領域である電極領域を露出させて積層された前記複数の配線基板を支持する台座と、基端部が前記各電極領域に接触し、前記各電極領域から離れる方向に延びる複数のプローブとを備える。
【0010】
また、本発明に係る検査装置は、上述の検査治具と、前記プローブを検査対象に設けられた検査点に接触させることにより得られる電気信号に基づき、前記検査対象の検査を行う検査処理部とを備える。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明の一実施形態に係る検査治具を備えた検査装置の構成を概略的に示す概念図である。
図2図1に示す検査装置の検査治具と試料台とをII-II線断面で示した概念的な断面図である。
図3】検査治具から治具ヘッドを取り外した状態を示す分解斜視図である。
図4】台座の頂部付近を示す部分拡大図(断面図)である。
図5図3に示す台座と配線基板の分解斜視図である。
図6】配線基板と治具ヘッドとが接続された状態を拡大して示すVI-VI線部分断面図である。
図7】プローブの具体的構成の一例を示す平面図である。
図8】後端側筒部86に連設された抱持部Pdの、平面図と正面図を示している。
図9図3に示す台座及び配線基板の変形例を示す斜視図である。
図10図9に示す台座及び配線基板の分解斜視図である。
図11図4に示す台座7,7aの変形例を示す断面図である。
図12図2に示す基部の内部構造の一例を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明に係る実施形態を図面に基づいて説明する。なお、各図において同一の符号を付した構成は、同一の構成であることを示し、その説明を省略する。図1に示す検査装置1は、検査対象物100の一例である半導体ウェハに形成された回路を検査するための検査装置である。図2では、試料台6の記載を簡略化している。
【0013】
検査対象物100には、例えばシリコンなどの半導体基板に、複数の半導体チップに対応する回路が形成されている。なお、検査対象物は、半導体チップ、CSP(Chip size package)、半導体素子(IC:Integrated Circuit)等の電子部品であってもよく、その他電気的な検査を行う対象となるものであればよい。
【0014】
また、検査装置は半導体検査装置に限られず、例えば基板を検査する基板検査装置であってもよい。検査対象物100となる基板は、例えばプリント配線基板、ガラスエポキシ基板、フレキシブル基板、セラミック多層配線基板、半導体パッケージ用のパッケージ基板、インターポーザ基板、フィルムキャリア等の基板であってもよく、液晶ディスプレイ、EL(Electro-Luminescence)ディスプレイ、タッチパネルディスプレイ等のディスプレイ用の電極板や、タッチパネル用等の電極板であってもよく、種々の基板であってよい。
【0015】
図1図2に示す検査装置1は、検査治具2と、試料台6と、検査装置本体10とを備えている。試料台6の上面には、検査対象物100が載置される載置部6aが設けられている。試料台6は、検査対象の検査対象物100を所定の位置に固定するように構成されている。検査装置本体10は、検査処理部11を含む。また、検査装置本体10は、図略のスキャナ部や駆動機構等、検査に必要な構成要素を含んでいる。
【0016】
スキャナ部は、例えばトランジスタやリレースイッチ等のスイッチング素子を用いて構成された切り替え回路である。スキャナ部は、検査処理部11と、後述するプローブPrとの接続関係を切り換える。駆動機構は、検査治具2を移動させ、プローブPrを検査点に接触させたり離間させたりする。
【0017】
載置部6aは、例えば昇降可能であり、試料台6内に収容された検査対象物100を検査位置に上昇させたり、検査済の検査対象物100を試料台6内に格納したりすることが可能である。また、載置部6aは、例えば検査対象物100を回転させて、オリエンテーション・フラットを所定の方向に向けることが可能である。また、検査装置1は、図略のロボットアーム等の搬送機構を備え、その搬送機構によって、検査対象物100を載置部6aに載置したり、検査済の検査対象物100を載置部6aから搬出したりする。
【0018】
検査治具2は、略円板状の基部3と、基部3の一方の面を覆うように基部3に取りつけられたカバー部材4と、カバー部材4の略中央部から突出するように取りつけられた治具ヘッド5とを備えている。治具ヘッド5は、複数のプローブPrを多針状に保持している。検査治具2は、検査対象物100に複数のプローブPrを接触させて検査するための治具であり、例えば、いわゆるプローブカードとして構成されている。
【0019】
検査対象物100には、複数のチップが形成されている。各チップには、複数のパッドやバンプ等の検査点が形成されている。検査治具2は、検査対象物100に形成された複数のチップのうち一部の領域(例えば図1にハッチングで示す領域、以下、検査領域と称する)に対応して、検査領域内の各検査点に対応するように、複数のプローブPrを保持している。
【0020】
検査領域内の各検査点にプローブPrを接触させて当該検査領域内の検査が終了すると、載置部6aが検査対象物100を下降させ、試料台6が平行移動して検査領域を移動させ、載置部6aが検査対象物100を上昇させて新たな検査領域にプローブPrを接触させて検査を行う。このように、検査領域を順次移動させつつ検査を行うことによって、検査対象物100全体の検査が実行されるようになっている。
【0021】
なお、図1図2は、検査装置1の構成の一例を、発明の理解を容易にする観点から簡略的及び概念的に示した説明図であり、プローブPrの本数、密度、配置や、検査治具2及び試料台6の各部の形状、大きさの比率、等についても、簡略化、概念化して記載している。例えば、プローブPrの配置の理解を容易にする観点で、一般的な半導体検査装置よりも検査領域を大きく強調して記載しており、検査領域はもっと小さくてもよく、もっと大きくてもよい。
【0022】
また、検査対象物100の上方に検査治具2が配置される例を示したが、検査治具2は、検査対象物100の下方に配置されてもよく、検査対象物100の上方と下方の両側に配置されてもよく、検査対象物100と検査治具2とが水平方向に対向配置されてもよい。便宜状、各図において、検査治具2からみて、検査対象物100が配置される方向を「下方」、検査対象物100とは反対方向を「上方」と記載し、この上下方向を基準に上下左右の向きを記載する。
【0023】
図3を参照して、カバー部材4の略中央部には、略矩形の開口部41が形成されている。基部3の略中央部には、略台形状に突出する台座7が設けられている。台座7は、開口部41から下方に突出している。台座7の下面には、可撓性を有するフィルム状の配線基板21,22,23が積層されている。台座7は、例えば樹脂材料等により構成されている。
【0024】
治具ヘッド5は、複数のプローブPrと、複数のプローブPrを多針状に配線基板21,22,23から延びるように支持する支持部材51と、支持部材51をカバー部材4に連結する例えば四本の支柱52とを備えている。
【0025】
図4図5を参照して、台座7の頂部付近には、階段状の段部71,72,73が形成されている。段部71は、台座7の最上段の頂部に相当する。段部72,73は、段部71の両側に形成されている。段部71,72,73は、下方に面して略平坦である。
【0026】
段部72は、段部71の次の段であり、段部71とは斜面711で連なっている。段部73は、段部72の次の段であり、段部72とは斜面721で連なっている。段部73の段部72と反対側は、台座7の基部から延びる斜面731に連なっている。
【0027】
配線基板21,22,23は、例えばいわゆるフレキシブル基板である。配線基板21,22,23は、段部71,72,73の段差方向(第一方向、図4における左右方向)に延びる略帯状形状を有している。配線基板21,22,23は、厚さが略同一である。
【0028】
配線基板21は、配線層212と、その配線層の両面を覆う絶縁層211,211と、複数の電極Eとを備えている。複数の電極Eのそれぞれは、配線層212に含まれる複数の配線Wのそれぞれと導通接続されている。
【0029】
配線基板21は、台座7の下面全体を覆うように斜面731、段部73、斜面721、段部72、斜面711、及び段部71に貼付されている。配線基板21は、例えば接着剤を用いて台座7に貼付されており、配線基板21と台座7の下面との間には、接着剤による図略の接着層が形成されている。
【0030】
配線基板21の略中央部の電極領域A1における下面には、図4における右側から中央付近に延びる配線Wに接続された電極Eと、図4における左側から中央付近に延びる配線Wに接続された電極Eとが設けられている。電極領域A1の上面は、段部71すなわち台座7の頂部に貼付されている。電極領域A1の電極Eは、図4における紙面奥行き方向に列をなして、例えば千鳥配列で三列形成されている。
【0031】
なお、一枚の(一連の)配線基板21で台座7を覆う例を示したが、配線基板21を例えば電極領域A1の中央付近で分離して、二枚の配線基板21で台座7を覆うようにしてもよい。また、電極領域A1に形成される電極Eは、三列を超えていてもよく、一列又は二列であってもよい。また、千鳥配列でなくてもよい。
【0032】
配線基板22は、配線層222と、その配線層の両面を覆う絶縁層221,221と、複数の電極Eとを備えている。複数の電極Eのそれぞれは、配線層222に含まれる複数の配線Wのそれぞれと導通接続されている。台座7を図4の右側から覆う配線基板22と、台座7を図4の左側から覆う配線基板22とが設けられている。
【0033】
配線基板22は、配線基板21が斜面731、段部73、斜面721、及び段部72に貼付された部分に積層して貼付されている。配線基板22は、例えば接着剤を用いて配線基板21に貼付されており、配線基板21と配線基板22との間には、接着剤による図略の接着層が形成されている。
【0034】
配線基板22の一端部付近に設けられた電極領域A2における下面には、配線基板22の他端部から延びる配線に接続された電極Eが設けられている。電極領域A2の上面は、段部72に貼付された配線基板21に貼付されている。このようにして、段部72に電極領域A2が取りつけられている。
【0035】
電極領域A2の電極Eは、図4における紙面奥行き方向に列をなして、例えば千鳥配列で二列形成されている。
【0036】
配線基板23は、配線層232と、その配線層の両面を覆う絶縁層231,231と、配線層232に含まれる複数の配線Wとそれぞれ導通接続された複数の電極Eとを備えている。台座7を図4の右側から覆う配線基板23と、台座7を図4の左側から覆う配線基板23とが設けられている。
【0037】
配線基板23は、配線基板22が斜面731、及び段部73に貼付された部分に積層して貼付されている。配線基板23は、例えば接着剤を用いて配線基板22に貼付されており、配線基板22と配線基板23との間には、接着剤による図略の接着層が形成されている。
【0038】
配線基板23の一端部付近に設けられた電極領域A3における下面には、配線基板23の他端部から延びる配線に接続された電極Eが設けられている。電極領域A3の上面は、段部73に貼付された配線基板22に貼付されている。このようにして、段部73に電極領域A3が取りつけられている。
【0039】
電極領域A3の電極Eは、図4における紙面奥行き方向に列をなして、例えば千鳥配列で二列形成されている。
【0040】
なお、電極領域A2,A3に形成される電極Eは、二列を超えていてもよく、一列であってもよい。また、千鳥配列でなくてもよい。また、台座7に、三枚の配線基板21,22,23が積層される例を示したが、積層される配線基板は二枚であってもよく、三枚を超えていてもよい。
【0041】
電極Eは、配線基板21,22,23の各配線Wに導通接続される電極基部Ebと、電極基部Ebから下方へ突出する略円柱形状の突起部Eaを備えている。電極Eの形成方法としては、例えば特開2006-38457号公報に記載の方法、MEMS(Micro Electro Mechanical Systems)技術による方法等、種々の方法を用いることができる。
【0042】
図4に示すように、段部71には配線基板21すなわち一枚の配線基板が貼付され、段部72には配線基板21,22すなわち二枚の配線基板が積層され、段部73には配線基板21,22,23すなわち三枚の配線基板が積層される。ここで、段部71,72の段差F、及び段部72,73の段差Gは、配線基板21,22,23の厚さと略等しく、すなわち一枚配線基板の厚さに対応している。
【0043】
その結果、段部71,72,73に対応する電極領域A1,A2,A3において、最外面の配線基板の表面が同一平面内に位置し、電極領域A1,A2,A3の各電極Eもまた、同一平面内に位置することとなる。
【0044】
また、図3に示すように、台座7は、その最も低い段部73であっても、その周囲のカバー部材4よりも下方に突出している。これにより、電極領域A1,A2,A3の各電極Eが、その周囲のカバー部材4よりも突出する。従って、電極領域A1,A2,A3に治具ヘッド5を取り付ける際に、電極領域A1,A2,A3の周囲のカバー部材4等が治具ヘッド5と干渉することが無いので、電極領域A1,A2,A3に治具ヘッド5を取り付けることが容易となる。
【0045】
図5を参照して、配線基板21,22,23の各電極Eに接続された配線Wは、その間隔が各電極Eの間隔よりも拡げられて、検査装置本体10に接続される。配線基板21,22,23は、フィルム状の、いわゆるフレキシブル基板であるため、配線間隔を拡げることが容易である。
【0046】
配線基板21,22,23によって間隔が拡げられた配線Wは、検査装置本体10において、例えば上述のスキャナ部を介して、あるいは直接検査処理部11に接続される。各電極Eの隣接間隔はプローブPrの隣接間隔と等しく、プローブPrの隣接間隔は検査点101の微小な隣接間隔に等しい。
【0047】
これに対し、配線基板21,22,23によれば、各電極Eの隣接間隔よりも配線Wの隣接間隔を容易に拡げることができる。そして、隣接間隔が拡げられた配線Wは、コネクタ等の接続手段を用いて検査装置本体10に接続することが容易である。
【0048】
すなわち、検査治具2は、多針状のプローブPrに接続される電極Eの間隔を、検査装置本体10に接続可能な間隔に拡げることが容易である。
【0049】
また、フレキシブル基板は、配線Wを多層配線することが困難である。そのため、電極Eの隣接間隔が小さく、かつ電極Eの列数が増加すると、配線Wを形成することが困難になる。しかしながら、検査治具2によれば、複数の配線基板21,22,23を積層して配線Wを多層配線することができるので、電極Eの隣接間隔を微細化させることと、電極Eの数を増加させることとを両立させることが容易である。
【0050】
図3を参照して、支持部材51は、上下方向に扁平な略直方体形状を有している。図6の部分断面図に示す支持部材51は、例えば板状の支持プレート51a,51b,51cが積層されることにより構成されている。図6の下方側に位置する支持プレート51aが支持部材51の前端側となり、図6の上方側に位置する支持プレート51cが支持部材51の後端側となるように配設されている。そして、支持プレート51a,51b,51cを貫通するように、複数の貫通孔Hが形成されている。
【0051】
支持プレート51b,51cには、所定径の開口孔からなる挿通孔部Haがそれぞれ形成されている。支持プレート51aには、挿通孔部Haよりも細径の細径部Hbからなる貫通孔が形成されている。そして、支持プレート51cの挿通孔部Haと、支持プレート51bの挿通孔部Haと、支持プレート51aの細径部Hbとが連通されることにより、貫通孔Hが形成されている。
【0052】
なお、支持部材51は、板状の支持プレート51a,51b,51cが積層されて構成される例に限らず、例えば一体の部材に、挿通孔部Ha及び細径部Hbからなる貫通孔が設けられた構成としてもよい。また、細径の細径部Hbを省略し、貫通孔の全体が所定径を有する挿通孔部Haとされた構造としてもよい。さらに、支持部材51の支持プレート51b,51bを互いに積層した例に代え、支持プレート51bと支持プレート51cとを互いに離間させた状態で、例えば支柱等により連結した構成としてもよい。
【0053】
このようにして構成された貫通孔Hに、プローブPrの少なくとも一部が収容されている。図7に示すプローブPrは、導電性を有する素材により筒状に形成された筒状体81と、導電性を有する素材により棒状に形成された中心導体91とを備えている。
【0054】
筒状体81としては、例えば約25~300μmの外径と、約10~250μmの内径とを有するニッケルあるいはニッケル合金のチューブを用いることができる。例えば、筒状体81の外径を約120μm、内径を約100μm、全長を約1700μmとすることができる。また、筒状体81の内周には、金メッキ等のメッキ層を施し、かつ筒状体81の周面を、必要に応じて絶縁被覆した構造としてもよい。
【0055】
筒状体81の先端部には第一開口部83が設けられ、筒状体81の後端部には第二開口部84が設けられている。筒状体81の後端部には、電極Eの突起部Eaを包み込むように把持する抱持部Pdが形成されている。また、筒状体81の中央部付近には、筒状体81の軸方向に伸縮するばね部Peが所定長さに亘って形成されている。
【0056】
例えば、図示を省略したレーザ加工機から、筒状体81の周壁にレーザ光を照射して、螺旋溝Pg1を形成することにより、筒状体81の周面に沿って螺旋状に延びる螺旋状体からなるばね部Peが構成される。そして、ばね部Peを圧縮変形させることにより、筒状体81を、その軸方向に伸縮させ得るようになっている。
【0057】
なお、筒状体81の周壁を例えばエッチングして螺旋溝Pg1を形成することにより、螺旋状体からなるばね部Peを設けてもよい。また、例えば電鋳により筒状体81の周壁に螺旋溝Pg1を形成することによっても、ばね部Peを設けることができる。ばね部Peの両側には、ばね(螺旋溝)が形成されていない、先端側筒部85と、後端側筒部86とが設けられ、抱持部Pdが後端側筒部86に連接されている。
【0058】
図8を参照して、抱持部Pdは、筒状体81の後端部から軸方向と略平行に延びる所定長さのスリットPhによって、その一部が分断された筒状体81の周壁により構成されている。
【0059】
スリットPhは、螺旋溝Pg2と連通されている。螺旋溝Pg2は、螺旋溝Pg1と同様に形成することが出来る。螺旋溝Pg2は、例えば筒状体81の略半周分、形成されている。なお、螺旋溝Pg2の代わりに軸方向と略直交方向に略半周分、形成された溝を用いてもよく、螺旋溝Pg2を備えず、スリットPhのみが形成されていてもよい。あるいは、筒状体81にはスリットPhが形成されていなくてもよい。
【0060】
抱持部Pdの展開形状は、図8に破線で示すように、スリットPhの一側辺に対応した先端面Pd1と、螺旋溝Pg2の一側辺に対応した傾斜面Pd2とを備えた台形状を有している。この台形状体を、円弧状に湾曲させた構造とすることにより、一部に所定幅の分断部を有するC形止め輪状の抱持部Pdが筒状体81の周壁により構成されている。
【0061】
電極Eの突起部Eaは、抱持部Pd(筒状体81)内に挿入されていない状態では、その外径が抱持部Pdの内径、すなわち第二開口部84の内径よりも大きく設定されている。この結果、突起部Eaを抱持部Pd(筒状体81)内に挿入して基部3及びカバー部材4に治具ヘッド5を組み付ける際に、突起部Eaが、抱持部Pdの内周を外側へ押し広げる。これにより、突起部Eaが抱持部Pd内に圧入される。
【0062】
そして、突起部Eaの周面に抱持部Pdが圧着された状態で、抱持部Pdにより突起部Eaが包み込むように把持されるため、電極EにプローブPrが組み付けられた状態が維持される。
【0063】
ここで、段部71,72,73の段差F,Gが、配線基板21,22,23の厚さと略等しくされていることによって、上述したように、最外面の配線基板の表面が同一平面内に位置し、且つ電極領域A1,A2,A3の各電極Eもまた、同一平面内に位置している。その結果、全ての電極Eを、各プローブPrに接続することが容易となる。
【0064】
また、各電極Eが同一平面内に位置することによって、電極Eを各プローブPrに接続した際の、各プローブPrにおけるばね部Peの圧縮量が均一化される。その結果、検査のためにプローブPrの先端部92を検査点101に接触させたとき、各プローブPrと検査点101との間の接触圧力を均一化することができる。その結果、検査の安定性が向上し、検査結果の信頼性が向上する。
【0065】
図6を参照して、中心導体91は、その外径が筒状体81の内径よりもやや小さく設定されることにより筒状体81内に挿入可能に構成されている。中心導体91は、その全長が筒状体81のばね部Peの形成範囲よりも長く設定され、中心導体91の先端部が後端側筒部86内に挿入された状態となるように構成されている。
【0066】
また、筒状体81の内径と中心導体91の外径との差は微小に設定されている。これにより、中心導体91を筒状体81に組み付けた状態で後述の検査を行う際には、筒状体81の後端側筒部86と中心導体91とが互いに摺動可能に接触して、電気的に導通するようになっている。
【0067】
中心導体91の先端部92には、先窄まりのテーパ部が形成され、後述する検査対象物100等の検査時に、先端部92が検査対象のパッドやバンプ等の検査点101に接触するようになっている。
【0068】
中心導体91は、その外径が細径部Hbの内径よりも小さく形成されることより、細径部Hb内に挿入されるようになっている。また、プローブPrを支持部材51に支持させた状態で、先端部92が細径部Hbから支持部材51の外方に突出した状態となるように、先端側筒部85と中心導体91とが、例えば溶着、カシメ等の固着手段により固着されている。
【0069】
細径部Hbの内径は、筒状体81の外径よりも小さくされている。これにより、先端側筒部85の端部が支持プレート51aに接触し、ばね部Peの付勢力が支持プレート51aで受け止められるようになっている。
【0070】
図6に示すプローブPrは、検査時に先端部92が検査点101に接触されると、その押圧力により、ばね部Peの付勢力に抗して先端部92が細径部Hbに押し込まれる。その結果、ばね部Peの付勢力による適切な押圧力で、プローブPrを検査点101に弾性接触させることができる。その結果、プローブPrと検査点101との接触安定性を向上させることができる。
【0071】
なお、プローブPrは、必ずしも螺旋状のばね部Peを備えたものに限らない。例えば、略棒状形状を有したプローブPrが撓むことによって、弾性押圧力を生じる構成であってもよい。また、プローブPrは、必ずしも弾性押圧力を生じなくてもよい。
【0072】
図12に示す基部3は、底板32と、底板32の外縁から延びる壁部33とを備える容器状の形態を有し、開口部がカバー部材4によって閉塞されている。基部3の内部空間には、底板32に一端が固着されたばね31,31(付勢部材)と、ばね31,31によって支持されたプレート34とが収容されている。
【0073】
プレート34の下面には、台座7又は台座7aが固着され、その下面に配線基板21~23又は配線基板21a~23aが貼付されている。
【0074】
このように、台座7,7aが、ばね31,31によって支持されることによって、検査のために治具ヘッド5を検査対象物100に押圧する際に、弾性的に押圧することができ、且つばね31,31によってその押圧力を適宜調整することができる。
【0075】
なお、検査治具2は、ばね31,31を備えていなくてもよく、台座7,7aが、固定的に底板32に固着されていてもよい。
【0076】
検査処理部11は、例えば電源回路、電圧計、電流計、及びマイクロコンピュータ等を備えている。検査処理部11は、図略の駆動機構を制御して検査治具2を移動、位置決めし、検査対象物100の各検査点101に、各プローブPrを接触させる。
【0077】
検査処理部11は、配線基板21~23又は配線基板21a~23aを介して各プローブPrと導通接続される。これにより、各プローブPrに接触した各検査点101と、検査処理部11とが電気的に接続される。
【0078】
検査処理部11は、検査治具2の各プローブPrを介して検査対象物100の各検査点101に検査用の電流又は電圧を供給し、各プローブPrから得られた電圧信号又は電流信号に基づき、例えば回路パターンの断線、短絡、抵抗測定等の検査対象物100の検査を実行する。あるいは、検査処理部11は、交流の電流又は電圧を各検査点101に供給することによって各プローブPrから得られた電圧信号又は電流信号に基づき、検査対象のインピーダンスを測定するものであってもよい。
<変形例1>
【0079】
図9は、図3に示す台座及び配線基板の変形例を示す斜視図である。また図10は、図9に示す台座及び配線基板の分解斜視図である。図9図10を参照して、台座7aは、いわゆるピラミッド状に段部71a,72a,73aが形成されている。
【0080】
すなわち、台座7aには、X軸方向(第一方向)と、X軸方向と直交するY軸方向(第二方向)の両方向に沿って、両側から内側に向かって突出するように段部71a,72a,73aが形成されている。このような台座7aの下面に、配線基板21a,22a,23aが積層されている。配線基板21a,22a,23aは、配線基板21,22,23と同様の絶縁層と配線層とが積層された、可撓性を有するフィルム状の、いわゆるフレキシブル基板である。
【0081】
配線基板21a,22a,23aのうち最下層の配線基板21aは、台座7aの最上段における頂部の段部71aに取りつけられる電極領域A1と、その電極領域A1から四方に放射状に延びる配線領域B1とを含む。
【0082】
配線基板21a,22a,23aのうち下から二番目の層の配線基板22aは、台座7aの最上段に位置する配線基板21aの電極領域A1を露出させる開口部223と、開口部223の周縁部に設けられた電極領域A2と、電極領域A2から四方に放射状に延びる配線領域B2とを含む。
【0083】
配線基板23aは、台座7aの段部72aに位置する配線基板22aの電極領域A2を、露出させる開口部233と、開口部233の周縁部に設けられた電極領域A3と、電極領域A3から四方に放射状に延びる配線領域B3とを含む。
【0084】
配線領域B1,B2,B3には、電極領域A1,A2,A3に形成された各電極Eにつながる配線Wが形成されている。配線領域B1,B2,B3の各配線Wは、放射状に拡がるように形成されている。配線領域B1,B2,B3の端部は、検査装置本体10に接続されている。なお、図9図10では、電極Eが格子状に配置される例を示したが、電極Eの配置は千鳥配列であってもよく、他の配列であってもよい。
【0085】
配線基板21a,22a,23aの各電極Eに接続された配線Wは、その間隔が各電極Eの間隔よりも拡げられて、検査装置本体10に接続される。配線基板21a,22a,23aは、フィルム状の、いわゆるフレキシブル基板であるため、配線基板21,22,23と同様、配線間隔を拡げることが容易である。
【0086】
また、配線領域B1,B2,B3は、四方に放射状に延びるため、配線基板21,22,23よりも基板面積を大きくすることが容易である。その結果、配線基板21a,22a,23aは、配線間隔を拡げることが、配線基板21,22,23よりも容易である。
【0087】
また、台座7aと配線基板21a,22a,23aとを用いることによって、台座7と配線基板21,22,23とを用いた場合と同様、電極Eの隣接間隔を微細化させることと、電極Eの数を増加させることとを両立させることが容易である。
【0088】
このような台座7a及び配線基板21a,22a,23aを、図1~4、及び図6に示す台座7及び配線基板21,22,23の代わりに用いてもよい。
<変形例2>
【0089】
図11に示す台座7bは、図4に示す台座7,7aとは、段部71,72又は段部71a,72aが、段差基板712,722によって構成されている点が異なる。具体的には、台座7bは、下面の基材面701が平坦な基材70と、電極領域A1と略等しい大きさの段差基板712と、電極領域A1に電極領域A2の二倍を加えた大きさよりも僅かに大きい段差基板722とを備えている。
【0090】
段差基板712,722の厚さは、配線基板21,22,23又は配線基板21a,22a,23aの厚さと略等しい。すなわち、段差基板712,722は、各配線基板21a,22a,23aと略同一の厚さを有するシート部材として設けられている。また、段差基板712,722は、配線基板21~23,21a~23aと同じ材質、厚さの配線層(第一層)と絶縁層(第二層)とが、配線基板21~23,21a~23aと同様に積層された構造を有している。そして、基材面701に、接着剤によって段差基板722が貼付され、段差基板722の下面略中央部に、接着剤によって段差基板712が貼付されている。
【0091】
そして、段差基板712の下面が段部71又は段部71a、段差基板722の下面における段差基板712が貼付されていない部分が段部72又は段部72aとなり、基材面701における段差基板722の両側が段部73又は段部73aとなる。
【0092】
検査治具2は、台座7,7aの段差を、図11に示す台座7bのように段差基板712,722を用いて構成してもよい。台座7bによれば、電極領域A1では、平坦な基材面701に、接着層、段差基板722、接着層、段差基板712、接着層、及び配線基板21が積層される。
【0093】
電極領域A2では、平坦な基材面701に、接着層、段差基板722、接着層、配線基板21(21a)、接着層、及び配線基板22(22a)が積層される。電極領域A3では、平坦な基材面701(段部73)に、接着層、配線基板21(21a)、接着層、配線基板22(22a)、接着層、及び配線基板23(23a)が積層される。
【0094】
この場合、電極領域A1,A2,A3のいずれであっても、厚さ及び材質が同じ三枚の基板、及び三層の接着層が積層される。その結果、電極領域A1,A2,A3のいずれであっても、電極Eと基材面701との間に介在する基板及び接着層の数が等しくなり、電極Eと基材面701との間の層の弾力性が均一化される。
【0095】
電極Eに接続されたプローブPrからの押圧力は、電極Eと基材面701との間の層によって受け止められるので、この層の弾力性が均一化されることによって、各プローブPrが検査点101に接触される弾性押圧力が均一化される。その結果、プローブPrと検査点101との接触安定性を向上させることが容易になる。
【0096】
また、台座7bは、台座7,7aのように段部71~73,71a~73aを形成するための加工が不要となり、下面が平坦な基材70に段差基板712,722を貼付するだけで作製することができる。また、配線基板21~23,21a~23aと同じ厚さの段差基板712,722の厚みによって段差が形成されるので、段部71~73,71a~73aの段差の精度を向上することが容易である。
【0097】
従って、台座7bのように段差基板712,722を用いることによって、台座7,7aの作製が、より容易になる。
【0098】
なお、段差基板712,722を用いず、平坦な基材面701に直接配線基板21~23,21a~23aを積層してもよい。この場合、基板の厚さにより電極領域A1,A2,A3に段差が生じる。従って、段差を吸収するべくプローブPrの長さを変えてもよい。
【0099】
すなわち、本発明に係る検査治具は、一方の面に電極が設けられたフィルム状の複数の配線基板と、前記各配線基板における前記電極が設けられた領域である電極領域を露出させて積層された前記複数の配線基板を支持する台座と、基端部が前記各電極領域に接触し、前記各電極領域から離れる方向に延びる複数のプローブとを備える。
【0100】
また、本発明に係る検査装置は、上述の検査治具と、前記プローブを、検査対象に設けられた検査点に接触させることにより得られる電気信号に基づき、前記検査対象の検査を行う検査処理部とを備える。
【0101】
これらの構成によれば、プローブに接触する電極からの配線が、フィルム状の配線基板によって引き出される。このとき、フィルム状の配線基板は、各電極の間隔よりも配線間隔を拡げることが容易である。そのため、プローブに接続される電極の間隔を検査装置本体に接続可能な間隔に拡げることが容易となる。
【0102】
また、前記複数の配線基板は可撓性を有し、前記台座には、前記各電極領域が取りつけられる段部が形成され、前記段部の段差が、前記各配線基板の厚さに対応することが好ましい。
【0103】
この構成によれば、積層された複数の配線基板を支持する台座には、各配線基板の厚さに対応する段差の段部が形成されている。その段部に、可撓性を有するフィルム状の各配線基板の電極領域が取りつけられるので、各電極領域の表面が略平坦になる。その結果、各電極を同一平面内に位置させることが容易となる。
【0104】
また、前記段部は、所定の第一方向に沿って、両側から内側に向かって突出するように段が形成されていることが好ましい。
【0105】
この構成によれば、各配線基板を、外側に向かうほど積層枚数を増加させた状態で、各電極領域を略平坦にすることができる。従って、各配線基板の電極領域をずらしながら露出させるように、複数の配線基板を積層することが容易である。
【0106】
また、前記台座には、さらに、前記第一方向と直交する第二方向に沿って、両側から内側に向かって突出するように前記段部が形成されていることが好ましい。
【0107】
この構成によれば、中央部から四方に向かって外側に向かうほど積層枚数を増加させた状態で、各電極領域を略平坦にすることができる。従って、各配線基板の電極領域をずらしながら露出させるように、複数の配線基板を積層することが容易である。さらに、配線可能な面積が増大するので、配線の間隔を拡げることが容易となる。
【0108】
また、前記積層された複数の配線基板のうち最下層の配線基板は、前記台座の最上段における頂部に取りつけられる前記電極領域と、その電極領域から四方に放射状に延びる配線領域とを含み、前記積層された複数の配線基板のうち下から二番目の層の配線基板は、前記台座の最上段を覆う前記最下層の配線基板の前記電極領域を露出させる開口部と、前記開口部の周縁部に設けられた前記電極領域と、その電極領域から四方に放射状に延びる配線領域とを含むことが好ましい。
【0109】
この構成によれば、各配線基板は、四方に放射状に延びる配線領域を有しているので、各配線領域において、配線間隔を拡げることが容易である。
【0110】
また、前記台座は、平坦な基材面を有する基材と、前記段部を形成するべく前記基材面に配設され、前記各配線基板と略同一の厚さを有するシート部材とを備えることが好ましい。
【0111】
この構成によれば、各配線基板の厚さに対応する段差を有する段部を、平坦な基材面にシート部材を貼付することによって形成することができるので、台座を作製することが容易である。
【0112】
また、前記各配線基板は、前記電極と導通する配線層と、前記配線層の両面を覆う絶縁層とを備え、前記シート部材は、前記配線層と同じ材質の第一層と、前記第一層の両面を覆う、前記絶縁層と同じ材質の第二層とを備えることが好ましい。
【0113】
この構成によれば、各電極領域相互間において、電極と、基材面との間に介在する層構造が略同一となるため、各電極が保持される保持状態の弾力性が均一化される。
【0114】
また、前記各プローブは、導電性を有し、両端に第一開口部と第二開口部とを有する筒状形状の筒状体と、導電性を有し、先端部が前記第一開口部から突出するように前記筒状体に挿入される棒状形状の中心導体とを備え、前記筒状体は、周面に沿う螺旋状のばね部を備え、前記各電極は、前記第二開口部に挿入される突起部を有することが好ましい。
【0115】
この構成によれば、各プローブは、ばね部の付勢力によって、弾性的に検査対象物に接触することができる。その結果、プローブの接触安定性が向上する。また、各配線基板の電極の突起部が、プローブを構成する筒状体の第二開口部に挿入されるので、プローブと電極との接続の確実性が向上する。
【0116】
また、前記第二開口部は、前記筒状体の端部に設けられた軸方向に延びるスリットにより前記筒状体の周方向に分断され、前記突起部の外径は、前記突起部が挿入されていない状態の前記第二開口部の内径よりも大きいことが好ましい。
【0117】
この構成によれば、第二開口部に突起部を挿入する際に、スリットにより筒状体が拡径するので、突起部を第二開口部にスムーズに挿入することができる。さらに、突起部の外径は、突起部が挿入されていない状態の第二開口部の内径よりも大きいので、筒状体が元の形状に戻ろうとする復元力によって、突起部が保持される。その結果、プローブと電極とを接続することが容易である。
【0118】
また、前記台座は、その周囲よりも突出していることが好ましい。
【0119】
この構成によれば、電極領域の各電極が、その周囲よりも突出する。そのため、電極領域の周囲に干渉するものがないので、各配線基板の電極領域から離れる方向に延びる各プローブを設けることが容易である。
【0120】
また、前記台座を前記突出している方向に付勢する付勢部材をさらに備えることが好ましい。
【0121】
この構成によれば、台座に取りつけられた配線基板から離れる方向に延びるプローブが、最外面側に付勢される。その結果、プローブを検査対象物に接触させる際に、弾性的に押圧することができるので、プローブの接触安定性を向上させることが容易となる。
【0122】
このような構成の検査治具、及び検査装置は、プローブに接続される電極の間隔よりも、検査装置本体に接続される配線の間隔を拡げることが容易となる。
【0123】
この出願は、2019年8月28日に出願された日本国特許出願特願2019-155225を基礎とするものであり、その内容は、本願に含まれるものである。
【0124】
なお、発明を実施するための形態の項においてなされた具体的な実施態様又は実施例は、あくまでも、本発明の技術内容を明らかにするものであって、本発明は、そのような具体例にのみ限定して狭義に解釈されるべきものではない。
【符号の説明】
【0125】
1 検査装置
2 検査治具
3 基部
4 カバー部材
5 治具ヘッド
6 試料台
6a 載置部
7,7a,7b 台座
10 検査装置本体
11 検査処理部
21~23,21a~23a 配線基板
31 ばね(付勢部材)
32 底板
33 壁部
34 プレート
41 開口部
51 支持部材
51a,51b,51c 支持プレート
52 支柱
70 基材
71~73,71a~73a 段部
81 筒状体
83 第一開口部
84 第二開口部
85 先端側筒部
86 後端側筒部
91 中心導体
92 先端部
100 検査対象物
101 検査点
211,221,231 絶縁層
212,222,232 配線層
223,233 開口部
701 基材面
711,721,731 斜面
712,722 段差基板
A1,A2,A3 電極領域
F,G 段差
B1,B2,B3 配線領域
E 電極
Ea 突起部
Eb 電極基部
H 貫通孔
Ha 挿通孔部
Hb 細径部
Pd 抱持部
Pd1 先端面
Pd2 傾斜面
Pe ばね部
Pg1 螺旋溝
Pg2 螺旋溝
Ph スリット
Pr プローブ
W 配線
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12