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特許7582211溶剤組成物、洗浄方法、塗膜付き物品の製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-05
(45)【発行日】2024-11-13
(54)【発明の名称】溶剤組成物、洗浄方法、塗膜付き物品の製造方法
(51)【国際特許分類】
   C11D 7/30 20060101AFI20241106BHJP
   C09D 7/20 20180101ALI20241106BHJP
   C09K 5/04 20060101ALI20241106BHJP
   C09D 201/00 20060101ALI20241106BHJP
【FI】
C11D7/30
C09D7/20
C09K5/04 C
C09D201/00
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2021574113
(86)(22)【出願日】2021-01-28
(86)【国際出願番号】 JP2021003069
(87)【国際公開番号】W WO2021153681
(87)【国際公開日】2021-08-05
【審査請求日】2023-08-07
(31)【優先権主張番号】P 2020014707
(32)【優先日】2020-01-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000000044
【氏名又は名称】AGC株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100152984
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 秀明
(74)【代理人】
【識別番号】100168985
【弁理士】
【氏名又は名称】蜂谷 浩久
(74)【代理人】
【識別番号】100148080
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 史生
(74)【代理人】
【識別番号】100149401
【弁理士】
【氏名又は名称】上西 浩史
(72)【発明者】
【氏名】河口 聡史
(72)【発明者】
【氏名】鎌塚 達也
(72)【発明者】
【氏名】竹内 優
【審査官】小久保 敦規
(56)【参考文献】
【文献】特開2020-007430(JP,A)
【文献】国際公開第2019/039510(WO,A1)
【文献】特開2019-137746(JP,A)
【文献】特表2013-504658(JP,A)
【文献】特開2016-027030(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C11D 7/30
C09D 7/20
C09K 5/04
C09D 201/00
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1成分として、1-クロロ-2,3,3-トリフルオロプロペンと、
第2成分として、1,1,2,2,3-ペンタフルオロプロパン、1-クロロ-1,1,2,2,3-ペンタフルオロプロパン、3-クロロ-1,1,1,2,2-ペンタフルオロプロパン、1-クロロ-1,2,2,3,3-ペンタフルオロプロパン、1-クロロ-2,2-ジフルオロプロパン、1,3-ジクロロ-1,1,2,2-テトラフルオロプロパン、3-クロロ-1,2,3,3-テトラフルオロプロペン、1,3-ジクロロ-1,2,3,3-テトラフルオロプロペン、1,3-ジクロロ-2,3,3-トリフルオロプロペン、1-クロロ-2-フルオロプロペン、1,2-ジクロロプロペン、2-クロロ-1,3,3-トリフルオロプロペン、1,2,3,3-テトラフルオロプロペン、1,2-ジクロロ-3,3-ジフルオロプロペン、2,3-ジクロロ-1,3-ジフルオロプロペン、1-クロロ-3,3-ジフルオロプロペン、ジクロロメタン、モノクロロメタン、CHFCOCHCl、3-クロロ-1,1,1,2-テトラフルオロプロパン、2-クロロ-1,1,1,2-テトラフルオロプロパン、3,3-ジクロロ-1,1,1,2-テトラフルオロプロパンおよび1,1,1,2-テトラフルオロプロパンからなる群から選ばれる少なくとも1種と、を含む溶剤組成物であって
1-クロロ-2,3,3-トリフルオロプロペンの含有量と、前記第2成分の含有量の総量との合計に対する、前記第2成分の含有量の総量の割合が、0.0001~1.0質量%であることを特徴とする溶剤組成物。
【請求項2】
前記溶剤組成物における1-クロロ-2,3,3-トリフルオロプロペンの含有量の割合が30質量%以上である、請求項1に記載の溶剤組成物。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の溶剤組成物を物品に接触させて、前記物品の表面に付着した汚れを除去することを特徴とする洗浄方法。
【請求項4】
前記溶剤組成物に接触する物品表面の少なくとも一部の材料が金属である、請求項に記載の洗浄方法。
【請求項5】
不揮発性有機化合物および請求項1又は2に記載の溶剤組成物を含むことを特徴とする塗膜形成用組成物。
【請求項6】
請求項に記載の塗膜形成用組成物を基材の表面に塗布した後、前記溶剤組成物を蒸発除去して、前記不揮発性有機化合物を含む塗膜を形成することを特徴とする塗膜付き基材の製造方法。
【請求項7】
前記溶剤組成物に接触する前記基材表面の少なくとも一部の材料が金属である、請求項に記載の塗膜付き基材の製造方法。
【請求項8】
溶質、噴射剤および請求項1又は2に記載の溶剤組成物を含む、エアゾール組成物。
【請求項9】
請求項1又は2に記載の溶剤組成物を含む、熱サイクルシステム用の熱移動媒体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、溶剤組成物、該溶剤組成物を用いた洗浄方法、塗膜付き物品の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、油汚れ洗浄、フラックス洗浄、塵埃洗浄等の洗浄溶剤、水分除去溶剤、ドライクリーニング溶剤、反応溶剤、潤滑剤等の希釈溶剤として、不燃性、低毒性、安定性に優れるハイドロクロロフルオロカーボン(以下、HCFCともいう。)が用いられてきた。しかし、HCFCは、オゾン層に悪影響を及ぼす懸念があることから、先進国においては2020年にHCFCの生産が全廃される予定である。
【0003】
オゾン層に悪影響を及ぼさない溶剤として、ペルフルオロカーボン(以下、PFCともいう。)、ハイドロフルオロカーボン(以下、HFCともいう。)、ハイドロフルオロエーテル(以下、HFEともいう。)等が知られている。
【0004】
しかし、HFCおよびPFCは、地球温暖化係数が大きいため、京都議定書の規制対象物質となっている。また、HCFCと比較して油類の溶解性が低く、HFC、HFEおよびPFCの適用範囲が限られる。
【0005】
地球環境に悪影響を及ぼさず、かつ溶解性に優れた溶剤として、1-クロロ-2,3,3-トリフルオロ-1-プロペン(HCFO-1233yd。以下、1233ydとも記す。)が提案されている(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開2016-164152号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明者らは、特許文献1に記載された1233ydを金属に接触させたところ、金属の腐食が進行する場合があるという課題を見出した。
本発明は、上記課題に鑑みて、金属の腐食を抑制できる溶剤組成物、該溶剤組成物を用いた洗浄方法、塗膜付き物品の製造方法の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意検討した結果、以下の構成により上記課題を解決できるのを見出した。
[1]第1成分として、1-クロロ-2,3,3-トリフルオロプロペンと、
第2成分として、2-クロロ-1,1,1,2,3,3-ヘキサフルオロプロパン、3-クロロ-1,1,1,2,2,3-ヘキサフルオロプロパン、1-クロロ-1,1,2,2,3,3-ヘキサフルオロプロパン、1,1,2,3,3-ペンタフルオロプロパン、3,3-ジクロロ-1,1,1,2,2-ペンタフルオロプロパン、1,3-ジクロロ-1,1,2,2,3-ペンタフルオロプロパン、2,2-ジクロロ-1,1,1,3,3-ペンタフルオロプロパン、1,2-ジクロロ-1,1,2,3,3-ペンタフルオロプロパン、1,1-ジクロロ-1,2,2,3,3-ペンタフルオロプロパン、1,1-ジクロロ-2,2,3,3-テトラフルオロプロパン、2,2,3-トリクロロ-1,1,1,3-テトラフルオロプロパン、1,2,2-トリクロロ-1,1,3,3-テトラフルオロプロパン、2,3,3-トリクロロ-1,1,1,2-テトラフルオロプロパン、1,3,3-トリクロロ-1,1,2,2-テトラフルオロプロパン、1,1,1-トリクロロ-2,2,3,3-テトラフルオロプロパン、1,1,2,3-テトラフルオロプロパン、1,1-ジクロロ-1,2,2-トリフルオロプロパン、ヘキサフルオロプロペン、2-クロロ-1,1,3,3,3-ペンタフルオロプロペン、1-クロロ-1,2,3,3,3-ペンタフルオロプロペン、3-クロロ-1,1,2,3,3-ペンタフルオロプロペン、1,1-ジクロロ-2,3,3-トリフルオロプロペン、1-クロロ-1,2,3,3-テトラフルオロプロペン、1,1-ジクロロ-2,3,3,3-テトラフルオロプロペン、1,3-ジクロロ-1,2,3,3-テトラフルオロプロペン、3,3-ジクロロ-1,1,2,3-テトラフルオロプロペン、1,2-ジクロロ-1,3,3,3-テトラフルオロプロペン、2,3-ジクロロ-1,1,3,3-テトラフルオロプロペン、1,1,3-トリクロロ-2,3,3-トリフルオロプロペン、3,3,3-トリクロロ-1,1,2-トリフルオロプロペン、3,3-ジクロロ-2,3-ジフルオロプロペン、1,2,3-トリフルオロプロペン、トリクロロエチレン、1-クロロブタン、1-ブロモブタン、イソブテン、1,1,2,2,3-ペンタフルオロプロパン、1-クロロ-1,1,2,2-テトラフルオロプロパン、1-クロロ-1,1,2,2,3-ペンタフルオロプロパン、3-クロロ-1,1,1,2,2-ペンタフルオロプロパン、1-クロロ-1,2,2,3,3-ペンタフルオロプロパン、1,3-ジクロロ-1,1,2,2-テトラフルオロプロパン、1,1,3,3-テトラフルオロプロパン、3-クロロ-1,1,2-トリフルオロプロパン、1-クロロ-2,2-ジフルオロプロパン、3-クロロ-1,1,1,2-テトラフルオロプロパン、2-クロロ-1,1,1,2-テトラフルオロプロパン、3,3-ジクロロ-1,1,1,2-テトラフルオロプロパン、1,1,1,2-テトラフルオロプロパン、3-クロロ-1,2,3,3-テトラフルオロプロペン、1,3-ジクロロ-2,3,3-トリフルオロプロペン、1-クロロ-2-フルオロプロペン、1,2-ジクロロプロペン、2-クロロ-1,3,3-トリフルオロプロペン、1,2,3,3-テトラフルオロプロペン、1,2-ジクロロ-3,3-ジフルオロプロペン、2,3-ジクロロ-1,3-ジフルオロプロペン、1-クロロ-3,3-ジフルオロプロペン、ジクロロメタン、モノクロロメタン、CHFCOCHClおよびt-ブチルクロリドからなる群から選ばれる少なくとも1種と、を含む溶剤組成物であって、
1-クロロ-2,3,3-トリフルオロプロペンの含有量と、上記第2成分の含有量の総量との合計に対する、上記第2成分の含有量の総量の割合が、0.0001~1.0質量%であることを特徴とする溶剤組成物。
[2]上記第2成分として、1,1,2,2,3-ペンタフルオロプロパン、1-クロロ-1,1,2,2,3-ペンタフルオロプロパン、3-クロロ-1,1,1,2,2-ペンタフルオロプロパン、1-クロロ-1,2,2,3,3-ペンタフルオロプロパン、1-クロロ-2,2-ジフルオロプロパン、1,3-ジクロロ-1,1,2,2-テトラフルオロプロパン、1,1,2,3,3-ペンタフルオロプロパン、1-クロロ-1,1,2,2-テトラフルオロプロパン、1,1-ジクロロ-2,2,3,3-テトラフルオロプロパン、1,1,2,3-テトラフルオロプロパン、1,1,3,3-テトラフルオロプロパン、2-クロロ-1,1,3,3,3-ペンタフルオロプロペン、1-クロロ-1,2,3,3,3-ペンタフルオロプロペン、3-クロロ-1,1,2,3,3-ペンタフルオロプロペン、3-クロロ-1,2,3,3-テトラフルオロプロペン、1,1-ジクロロ-2,3,3,3-テトラフルオロプロペン、1,3-ジクロロ-1,2,3,3-テトラフルオロプロペン、3,3-ジクロロ-1,1,2,3-テトラフルオロプロペン、1,2-ジクロロ-1,3,3,3-テトラフルオロプロペン、2,3-ジクロロ-1,1,3,3-テトラフルオロプロペン、1,3-ジクロロ-2,3,3-トリフルオロプロペン、1,1,3-トリクロロ-2,3,3-トリフルオロプロペン、3,3,3-トリクロロ-1,1,2-トリフルオロプロペン、1-クロロ-2-フルオロプロペン、1,2-ジクロロプロペン、2-クロロ-1,3,3-トリフルオロプロペン、1,2,3,3-テトラフルオロプロペン、1,2-ジクロロ-3,3-ジフルオロプロペン、2,3-ジクロロ-1,3-ジフルオロプロペン、1-クロロ-3,3-ジフルオロプロペン、ジクロロメタン、モノクロロメタン、CHFCOCHCl、3-クロロ-1,1,1,2-テトラフルオロプロパン、2-クロロ-1,1,1,2-テトラフルオロプロパン、3,3-ジクロロ-1,1,1,2-テトラフルオロプロパンおよび1,1,1,2-テトラフルオロプロパンからなる群から選ばれる少なくとも1種を含む、[1]に記載の溶剤組成物。
[3]上記第2成分として、1,1,2,2,3-ペンタフルオロプロパン、1-クロロ-1,1,2,2,3-ペンタフルオロプロパン、3-クロロ-1,1,1,2,2-ペンタフルオロプロパン、1-クロロ-1,2,2,3,3-ペンタフルオロプロパン、1-クロロ-2,2-ジフルオロプロパン、1,3-ジクロロ-1,1,2,2-テトラフルオロプロパン、3-クロロ-1,2,3,3-テトラフルオロプロペン、1,3-ジクロロ-1,2,3,3-テトラフルオロプロペン、1,3-ジクロロ-2,3,3-トリフルオロプロペン、1-クロロ-2-フルオロプロペン、1,2-ジクロロプロペン、2-クロロ-1,3,3-トリフルオロプロペン、1,2,3,3-テトラフルオロプロペン、1,2-ジクロロ-3,3-ジフルオロプロペン、2,3-ジクロロ-1,3-ジフルオロプロペン、1-クロロ-3,3-ジフルオロプロペン、ジクロロメタン、モノクロロメタン、CHFCOCHCl、3-クロロ-1,1,1,2-テトラフルオロプロパン、2-クロロ-1,1,1,2-テトラフルオロプロパン、3,3-ジクロロ-1,1,1,2-テトラフルオロプロパンおよび1,1,1,2-テトラフルオロプロパンからなる群から選ばれる少なくとも1種を含む、[1]または[2]に記載の溶剤組成物。
[4]上記溶剤組成物における1-クロロ-2,3,3-トリフルオロプロペンの含有量の割合が30質量%以上である、[1]~[3]のいずれかに記載の溶剤組成物。
[5][1]~[4]のいずれかに記載の溶剤組成物を物品に接触させて、上記物品の表面に付着した汚れを除去することを特徴とする洗浄方法。
[6]上記溶剤組成物に接触する物品表面の少なくとも一部の材料が金属である、[5]に記載の洗浄方法。
[7]不揮発性有機化合物および[1]~[4]のいずれかに記載の溶剤組成物を含むことを特徴とする塗膜形成用組成物。
[8][7]に記載の塗膜形成用組成物を基材の表面に塗布した後、上記溶剤組成物を蒸発除去して、上記不揮発性有機化合物を含む塗膜を形成することを特徴とする塗膜付き基材の製造方法。
[9]上記溶剤組成物に接触する前記基材表面の少なくとも一部の材料が金属である、[8]に記載の塗膜付き基材の製造方法。
[10]溶質、噴射剤および[1]~[4]のいずれかに記載の溶剤組成物を含む、エアゾール組成物。
[11][1]~[4]のいずれかに記載の溶剤組成物を含む、熱サイクルシステム用の熱移動媒体。
【発明の効果】
【0009】
本発明の溶剤組成物は、充分な揮発性を有し、油類等の疎水性溶質の溶解性に優れ、金属の腐食を抑制できる。
本発明の洗浄方法は、金属の腐食を抑制でき、洗浄性に優れる。
本発明の塗膜付き物品の製造方法は、金属の腐食を抑制でき、均一な塗膜を形成できる。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明における用語の意味は以下の通りである。
1233ydは二重結合上の置換基の位置により、幾何異性体であるZ体とE体が存在する。本明細書中では特に断らずに化合物名や化合物の略称を用いた場合には、Z体およびE体からなる群から選ばれる少なくとも1種を示し、より具体的には、Z体もしくはE体、または、Z体とE体の任意の割合の混合物を示す。さらに、幾何異性体を有する化合物の名称およびその略称に付けられた(E)は、E体を示し、(Z)はZ体を示す。
【0011】
<溶剤組成物>
本発明の溶剤組成物は、第1成分である1233ydと、後述する第2成分とを含む溶剤組成物であって、1233ydの含有量と、第2成分の含有量の総量との合計に対する、第2成分の含有量の総量の割合が、0.0001~1.0質量%である。
【0012】
本発明の溶剤組成物において、1233ydは溶剤として優れた特性を有する成分であり、上記した第2成分は、1233ydを安定化させる安定化剤として溶剤組成物に含まれる成分である。
本発明者らは、1233ydは安定性が充分ではなく、1233ydを常温常圧で保管すると数日で分解して塩素イオンを発生するため、金属の腐食が進行するという課題があることを見出した。そこで、本発明の溶剤組成物においては、1233ydとともに、上記した第2成分を所定量含有することで、1233ydの安定化が図られている。上記した第2成分は、必ずしも明確ではないがラジカルの捕捉と推定される効果により、1233ydの分解を抑制し、安定化させる安定化剤としての機能を有すると考えられる。
【0013】
(1233yd)
1233ydは、上記した通り、1-クロロ-2,3,3-トリフルオロプロペン(CHF2CF=CHCl)を意味する。
本発明の溶剤組成物における1233ydの含有量は、溶剤組成物の全質量に対して、30質量%以上が好ましく、50質量%以上がより好ましく、80質量%以上がさらに好ましく、90質量%以上が特に好ましい。上記下限値以上であれば、溶剤組成物の各種有機物の溶解性に優れ、洗浄性に優れる。上限としては、99.9999質量%以下が好ましく、99質量%以下がより好ましい。
1233ydには、1233yd(Z)と1233yd(E)が存在するが、1233yd(Z)または1233yd(E)を単独で用いてもよいし、1233yd(Z)と1233yd(E)との混合物を用いてもよい。
1233yd(Z)と1233yd(E)との質量比(1233yd(Z)/1233yd(E))は、50/50~100/0であることが好ましく、80/20~100/0であることがより好ましい。
1233ydは、例えば後述の実施例に記載の方法により製造できる。
【0014】
(第2成分)
本発明における第2成分を以下に例示する。
2-クロロ-1,1,1,2,3,3-ヘキサフルオロプロパン(HCFC-226ba。以下、226baとも記す。)
3-クロロ-1,1,1,2,2,3-ヘキサフルオロプロパン(HCFC-226ca。以下、226caとも記す。)
1-クロロ-1,1,2,2,3,3-ヘキサフルオロプロパン(HCFC-226cb。以下、226cbとも記す。)
1,1,2,3,3-ペンタフルオロプロパン(HFC-245ea。以下、245eaとも記す。)
3,3-ジクロロ-1,1,1,2,2-ペンタフルオロプロパン(HCFC-225ca。以下、225caとも記す。)
1,3-ジクロロ-1,1,2,2,3-ペンタフルオロプロパン(HCFC-225cb。以下、225cbとも記す。)
2,2-ジクロロ-1,1,1,3,3-ペンタフルオロプロパン(HCFC-225aa。以下、225aaとも記す。)
1,2-ジクロロ-1,1,2,3,3-ペンタフルオロプロパン(HCFC-225bb。以下、225bbとも記す。)
1,1-ジクロロ-1,2,2,3,3-ペンタフルオロプロパン(HCFC-225cc。以下、225ccとも記す。)
1,1-ジクロロ-2,2,3,3-テトラフルオロプロパン(HCFC-234cb。以下、234cbとも記す。)
2,2,3-トリクロロ-1,1,1,3-テトラフルオロプロパン(HCFC-224aa。以下、224aaとも記す。)
1,2,2-トリクロロ-1,1,3,3-テトラフルオロプロパン(HCFC-224ab。以下、224abとも記す。)
2,3,3-トリクロロ-1,1,1,2-テトラフルオロプロパン(HCFC-224ba。以下、224baとも記す。)
1,3,3-トリクロロ-1,1,2,2-テトラフルオロプロパン(HCFC-224ca。以下、224caとも記す。)
1,1,1-トリクロロ-2,2,3,3-テトラフルオロプロパン(HCFC-224cc。以下、224ccとも記す。)
1,1,2,3-テトラフルオロプロパン(HFC-254ea。以下、254eaとも記す。)
1,1-ジクロロ-1,2,2-トリフルオロプロパン(HCFC-243cc。以下、243ccとも記す。)
ヘキサフルオロプロペン
2-クロロ-1,1,3,3,3-ペンタフルオロプロペン(CFO-1215xc。以下、1215xcとも記す。)
1-クロロ-1,2,3,3,3-ペンタフルオロプロペン(CFO-1215yb。以下、1215ybとも記す。)
3-クロロ-1,1,2,3,3-ペンタフルオロプロペン(CFO-1215yc。以下、1215ycとも記す。)
1,1-ジクロロ-2,3,3-トリフルオロプロペン(HCFO-1223ya。以下、1223yaとも記す。)
1-クロロ-1,2,3,3-テトラフルオロプロペン(HCFO-1224yb。以下、1224ybとも記す。)
1,1-ジクロロ-2,3,3,3-テトラフルオロプロペン(CFO-1214ya。以下、1214yaとも記す。)
1,3-ジクロロ-1,2,3,3-テトラフルオロプロペン(CFO-1214yb。以下、1214ybとも記す。)
3,3-ジクロロ-1,1,2,3-テトラフルオロプロペン(CFO-1214yc。以下、1214ycとも記す。)
1,2-ジクロロ-1,3,3,3-テトラフルオロプロペン(CFO-1214xb。以下、1214xbとも記す。)
2,3-ジクロロ-1,1,3,3-テトラフルオロプロペン(CFO-1214xc。以下、1214xcとも記す。)
1,1,3-トリクロロ-2,3,3-トリフルオロプロペン(CFO-1213ya。以下、1213yaとも記す。)
3,3,3-トリクロロ-1,1,2-トリフルオロプロペン(CFO-1213yc。以下、1213ycとも記す。)
3,3-ジクロロ-2,3-ジフルオロプロペン(CFO-1232yf。以下、1232yfとも記す。)
1,2,3-トリフルオロプロペン(HFO-1243ye。以下、1243yeとも記す。)
トリクロロエチレン
1-クロロブタン
1-ブロモブタン
イソブテン
1,1,2,2,3-ペンタフルオロプロパン(HFC-245ca。以下、245caとも記す。)
1-クロロ-1,1,2,2-テトラフルオロプロパン(HCFC-244cc。以下、244ccとも記す。)
1-クロロ-1,1,2,2,3-ペンタフルオロプロパン(HCFC-235cc。以下、235ccとも記す。)
3-クロロ-1,1,1,2,2-ペンタフルオロプロパン(HCFC-235cb。以下、235cbとも記す。)
1-クロロ-1,2,2,3,3-ペンタフルオロプロパン(HCFC-235ca。以下、235caとも記す。)
1,3-ジクロロ-1,1,2,2-テトラフルオロプロパン(HCFC-234cc。以下、234ccとも記す。)
1,1,3,3-テトラフルオロプロパン(HFC-254fa。以下、254faとも記す。)
3-クロロ-1,1,2-トリフルオロプロパン(HCFC-253ea。以下、253eaとも記す。)
1-クロロ-2,2-ジフルオロプロパン(HCFC-262ca。以下、262caとも記す。)
3-クロロ-1,1,1,2-テトラフルオロプロパン(HCFC-244eb。以下、244ebとも記す。)
2-クロロ-1,1,1,2-テトラフルオロプロパン(HCFC-244bb。以下、244bbとも記す。)
3,3-ジクロロ-1,1,1,2-テトラフルオロプロパン(HCFC-234ea。以下、234eaとも記す。)
1,1,1,2-テトラフルオロプロパン(HFC-254eb。以下、254ebとも記す。)
3-クロロ-1,2,3,3-テトラフルオロプロペン(HCFO-1224ye。以下、1224yeとも記す。)
1,3-ジクロロ-2,3,3-トリフルオロプロペン(HCFO-1223yd。以下、1223ydとも記す。)
1-クロロ-2-フルオロプロペン(HCFO-1251yd。以下、1251ydとも記す。)
1,2-ジクロロプロペン(HCO-1250xd。以下、1250xdとも記す。)
2-クロロ-1,3,3-トリフルオロプロペン(HCFO-1233xe。以下、1233xeとも記す。)
1,2,3,3-テトラフルオロプロペン(HFO-1234ye。以下、1234yeとも記す。)
1,2-ジクロロ-3,3-ジフルオロプロペン(HCFO-1232xd。以下、1232xdとも記す。)
2,3-ジクロロ-1,3-ジフルオロプロペン(HCFO-1232xe。以下、1232xeとも記す。)
1-クロロ-3,3-ジフルオロプロペン(HCFO-1242zd。以下、1242zdとも記す。)
ジクロロメタン
モノクロロメタン
CHFCOCHCl
t-ブチルクロリド
【0015】
(226ba)
226baは、1233ydに可溶な化合物である。
226baは、例えば2-クロロ-2,3,3,3-テトラフルオロプロピオン酸を塩化チオニルと混合して、塩素化反応を行うことにより2-クロロテトラフルオロプロピオン酸クロリドを合成し、パラジウム触媒を用いた接触水素化によって得られた2-クロロテトラフルオロプロピオン酸アルデヒドを、DASTでフッ素化することによって製造できる。
【0016】
(226ca)
226caは、1233ydに可溶な化合物である。
226caは、例えば塩化アルミニウム触媒存在下、クロロジフルオロメタンとテトラフルオロエチレンを反応させることにより製造できる。
【0017】
(226cb)
226cbは、1233ydに可溶な化合物である。
226cbは、例えば3-クロロ-2,2,3,3-テトラフルオロプロパノールをクロロクロム酸ピリジニウムにより酸化して得られる3-クロロテトラフルオロプロピオン酸アルデヒドを、DASTによりフッ素化することにより製造できる。
【0018】
(245ea)
245eaは、1233ydに可溶な化合物である。
245eaは、例えば1,1,2,3,3-ペンタフルオロプロペンを、パラジウムカーボン触媒存在下、水素で還元することにより製造できる。
【0019】
(225ca)
225caは、1233ydに可溶な化合物である。
225caは、例えば塩化ジルコニウム触媒存在下、ジクロロフルオロメタンとテトラフルオロエチレンを反応させることにより得られる225caと225cbの混合物を、蒸留精製することにより製造できる。
【0020】
(225cb)
225cbは、1233ydに可溶な化合物である。
225cbは、例えば塩化ジルコニウム触媒存在下、ジクロロフルオロメタンとテトラフルオロエチレンを反応させることにより得られる225caと225cbの混合物を、蒸留精製することにより製造できる。
【0021】
(225aa)
225aaは、1233ydに可溶な化合物である。
235aaは、例えば2,2-ジクロロ-3,3,3-トリフルオロプロパノールをクロロクロム酸ピリジニウムにより酸化して得られる2,2-ジクロロ-3,3,3-トリフルオロプロピオン酸アルデヒドを、DASTによりフッ素化することにより製造できる。
【0022】
(225bb)
225bbは、1233ydに可溶な化合物である。
225bbは、例えば1,1,2,3,3-ペンタフルオロプロペンを塩素と反応させることにより製造できる。
【0023】
(225cc)
225ccは、1233ydに可溶な化合物である。
225ccは、例えば245caを塩素と反応させることにより製造できる。
【0024】
(234cb)
234cbは、1233ydに可溶な化合物である。
234cbは、例えば1,1-ジクロロ-3,3-ジフルオロ-プロパン-1-オンを、DASTによりフッ素化することにより製造できる。
【0025】
(224aa)
224aaは、1233ydに可溶な化合物である。
224aaは、例えば1233xeを塩素と反応させることにより製造できる。
【0026】
(224ab)
224abは、1233ydに可溶な化合物である。
224abは、例えば1-クロロ-1,1,3,3-テトラフルオロアセトンを、五塩化リンにより塩素化することにより製造できる。
【0027】
(224ba)
224baは、1233ydに可溶な化合物である。
224baは、例えば2-クロロ-2,3,3,3-テトラフルオロプロピオン酸を塩化チオニルと混合して、塩素化反応を行うことにより2-クロロテトラフルオロプロピオン酸クロリドを合成し、パラジウム触媒を用いた接触水素化によって得られた2-クロロテトラフルオロプロピオン酸アルデヒドを、五塩化リンで塩素化することによって製造できる。
【0028】
(224ca)
224caは、1233ydに可溶な化合物である。
224caは、例えば塩化アルミニウム触媒存在下、クロロホルムとテトラフルオロエチレンを反応させることにより製造できる。
【0029】
(224cc)
224ccは、1233ydに可溶な化合物である。
224ccは、例えば244caを塩素と反応させることにより製造できる。
【0030】
(254ea)
254eaは、1233ydに可溶な化合物である。
254eaは、例えば2,3,3-トリフルオロプロパノールをパラトルエンスルホン酸クロリドと反応させて得られるトシラートを、ジエチレングリコール溶媒中でフッ化カリウムと反応させることにより製造できる。
【0031】
(243cc)
243ccは、1233ydに可溶な化合物である。
243ccは、例えば1,1-ジクロロ-1-フルオロアセトンを、DASTによりフッ素化することにより製造できる。
【0032】
(ヘキサフルオロプロペン)
ヘキサフルオロプロペンは、1233ydに可溶な化合物である。
ヘキサフルオロプロペンは、例えば1215ycを、ジエチレングリコール溶媒中でフッ化カリウムと反応させることにより製造できる。
【0033】
(1215xc)
1215xcは、1233ydに可溶な化合物である。
1215xcは、例えば225aaをテトラブチルアンモニウムブロミド触媒存在下、水酸化カリウム水溶液と混合し、脱塩化水素反応することにより製造できる。
【0034】
(1215yb)
1215ybは、1233ydに可溶な化合物である。
1215ybは、例えば2,3-ジクロロ-1,1,3,3-テトラフルオロプロペンを、ジエチレングリコール溶媒中でフッ化カリウムと反応させることにより製造できる。
【0035】
(1215yc)
1215ycは、1233ydに可溶な化合物である。
1215ycは、例えばパーフルオロアリルフルオロ硫酸エステルを、ジグライム溶媒中でトリエチルアミン塩酸塩と反応させることにより製造できる。
【0036】
(1223ya)
1223yaは、1233ydに可溶な化合物である。
1223yaは、例えば234cbをテトラブチルアンモニウムブロミド触媒存在下、水酸化カリウム水溶液と混合し、脱フッ化水素反応することにより製造できる。
【0037】
(1224yb)
1224ybは、1233ydに可溶な化合物である。
1224ybは、例えば235caをテトラブチルアンモニウムブロミド触媒存在下、水酸化カリウム水溶液と混合し、脱フッ化水素反応することにより製造できる。
【0038】
(1214ya)
1214yaは、1233ydに可溶な化合物である。
1214yaは、例えば225caをテトラブチルアンモニウムブロミド触媒存在下、水酸化カリウム水溶液と混合し、脱塩化水素反応することにより製造できる。
【0039】
(1214yb)
1214ybは、1233ydに可溶な化合物である。
1214ybは、例えば225cbをテトラブチルアンモニウムブロミド触媒存在下、水酸化カリウム水溶液と混合し、脱塩化水素反応することにより製造できる。
【0040】
(1214yc)
1214ycは、1233ydに可溶な化合物である。
1214ycは、例えば225ccをテトラブチルアンモニウムブロミド触媒存在下、水酸化カリウム水溶液と混合し、脱塩化水素反応することにより製造できる。
【0041】
(1214xb)
1214xbは、1233ydに可溶な化合物である。
1214xbは、例えば224aaをテトラブチルアンモニウムブロミド触媒存在下、水酸化カリウム水溶液と混合し、脱塩化水素反応することにより製造できる。
【0042】
(1214xc)
1214xcは、1233ydに可溶な化合物である。
1214xcは、例えば225abをテトラブチルアンモニウムブロミド触媒存在下、水酸化カリウム水溶液と混合し、脱塩化水素反応することにより製造できる。
【0043】
(1213ya)
1213yaは、1233ydに可溶な化合物である。
1213yaは、例えば224caをテトラブチルアンモニウムブロミド触媒存在下、水酸化カリウム水溶液と混合し、脱塩化水素反応することにより製造できる。
【0044】
(1213yc)
1213ycは、1233ydに可溶な化合物である。
1213ycは、例えば224ccをテトラブチルアンモニウムブロミド触媒存在下、水酸化カリウム水溶液と混合し、脱塩化水素反応することにより製造できる。
【0045】
(1232yf)
1232yfは、1233ydに可溶な化合物である。
1232yfは、例えばフッ素化された酸化クロム触媒存在下、1,1,2,3-テトラクロロプロペンとフッ化水素を反応させることにより得られる2-クロロ-3,3,3-トリフルオロプロペンと1232yfの混合物を、蒸留精製することにより製造できる。
【0046】
(1243ye)
1243yeは、1233ydに可溶な化合物である。
1243yeは、例えば2,3-ジフルオロ-2-プロペン-1-オールをDASTによりフッ素化することにより製造できる。
【0047】
(トリクロロエチレン)
トリクロロエチレンは、1233ydに可溶な化合物である。
トリクロロエチレンは、例えば1,1,2,2-テトラクロロエタンをテトラブチルアンモニウムブロミド触媒存在下、水酸化カリウム水溶液と混合し、脱塩化水素反応することにより製造できる。
【0048】
(1-クロロブタン)
1-クロロブタンは、1233ydに可溶な化合物である。
1-クロロブタンは、例えば1-ブタノールを塩化水素と反応することにより製造できる。
【0049】
(1-ブロモブタン)
1-ブロモブタンは、1233ydに可溶な化合物である。
1-ブロモブタンは、例えば1-ブタノールを臭化水素と反応することにより製造できる。
【0050】
(イソブテン)
イソブテンは、1233ydに可溶な化合物である。
イソブテンは、例えばt-ブチルクロリドをテトラブチルアンモニウムブロミド触媒存在下、水酸化カリウム水溶液と混合し、脱塩化水素反応することにより製造できる。
【0051】
(245ca)
245caは、1233ydに可溶な化合物である。
245caは公知の方法で製造でき、例えば、2,2,3,3-テトラフルオロプロパノールを塩化チオニルと反応させて得られるクロロ亜硫酸2,2,3,3-テトラフルオロプロピルを、活性化された触媒存在下、気相でフッ化水素と反応させることにより製造できる。
【0052】
(244cc)
244ccは、1233ydに可溶な化合物である。
244ccは公知の方法で製造でき、例えば224caを、パラジウムカーボン触媒存在下、水素で還元することにより製造できる。
【0053】
(235cc)
235ccは、1233ydに可溶な化合物である。
235ccは、例えば3-クロロ-2,2,3,3-テトラフルオロプロパノールをパラトルエンスルホン酸クロリドと反応させて得られるトシラートを、ジエチレングリコール溶媒中でフッ化カリウムと反応させることにより製造できる。
【0054】
(235cb)
235cbは、1233ydに可溶な化合物である。
235cbは、例えば2,2,3,3,3-ペンタフルオロプロパノールをパラトルエンスルホン酸クロリドと反応させて得られるトシラートを、ジエチレングリコール溶媒中でフッ化カリウムと反応させることにより製造できる。
【0055】
(235ca)
235caは、1233ydに可溶な化合物である。
235caは、例えば3-クロロ-2,2,3-トリフルオロプロパノールをクロロクロム酸ピリジニウムにより酸化して得られる3-クロロ-2,2,3-トリフルオロプロピオン酸アルデヒドを、ジエチルアミノサルファートリフルオリド(以下、DASTともいう)によりフッ素化することにより製造できる。
【0056】
(234cc)
234ccは、1233ydに可溶な化合物である。
234ccは、例えば3-クロロ-2,2,3,3-テトラフルオロプロパノールをパラトルエンスルホン酸クロリドと反応させて得られるトシラートを、ジエチレングリコール溶媒中で塩化リチウムと反応させることにより製造できる。
【0057】
(254fa)
254faは、1233ydに可溶な化合物である。
254faは、例えば224abを、パラジウムカーボン触媒存在下、水素で還元することにより製造できる。
【0058】
(253ea)
253eaは、1233ydに可溶な化合物である。
253eaは、例えば2,3,3-トリフルオロプロパノールをパラトルエンスルホン酸クロリドと反応させて得られるトシラートを、ジエチレングリコール溶媒中で塩化リチウムと反応させることにより製造できる。
【0059】
(262ca)
262caは、1233ydに可溶な化合物である。
262caは、例えば2,2-ジフルオロプロパノールをパラトルエンスルホン酸クロリドと反応させて得られるトシラートを、ジエチレングリコール溶媒中で塩化リチウムと反応させることにより製造できる。
【0060】
(244eb)
244ebは、1233ydに可溶な化合物である。
244ebは、例えば2,3,3,3-テトラフルオロプロペンを、パラジウムカーボン触媒下、水素と反応させて得られる1,1,1,2-テトラフルオロプロパンを、塩素を反応させることにより得られる244bb、244eb、234eaの混合物を、蒸留精製することにより製造できる。
【0061】
(244bb)
244bbは、1233ydに可溶な化合物である。
244bbは、例えば2,3,3,3-テトラフルオロプロペンを、パラジウムカーボン触媒下、水素と反応させて得られる1,1,1,2-テトラフルオロプロパンを、塩素を反応させることにより得られる244bb、244eb、234eaの混合物を、蒸留精製することにより製造できる。
【0062】
(234ea)
234eaは、1233ydに可溶な化合物である。
234eaは、例えば2,3,3,3-テトラフルオロプロペンを、パラジウムカーボン触媒下、水素と反応させて得られる1,1,1,2-テトラフルオロプロパンを、塩素を反応させることにより得られる244bb、244eb、234eaの混合物を、蒸留精製することにより製造できる。
【0063】
(234eb)
234ebは、1233ydに可溶な化合物である。
234ebは、例えば1224yeを塩素と反応させて得られる1,2,3-トリクロロ-1,1,2,3-テトラフルオロプロパンを、パラジウムカーボン触媒下、水素と反応させることにより得られる234eb、1,2-ジクロロ-1,2,3,3-テトラフルオロプロパン、1,2-ジクロロ-1,1,2,3-テトラフルオロプロパンの混合物を蒸留精製することにより製造できる。
【0064】
(1224ye)
1224yeは、1233ydに可溶な化合物である。
1224yeは、例えば225cbをDMF溶媒中、亜鉛粉末と混合し、脱フッ素脱塩素反応することにより製造できる。
【0065】
(1223yd)
1223ydは、1233ydに可溶な化合物である。
1223ydは、例えば234ccをテトラブチルアンモニウムブロミド触媒存在下、水酸化カリウム水溶液と混合し、脱フッ化水素反応することにより製造できる。
1223ydは、幾何異性体である1223yd(Z)と1223yd(E)が存在するが、1223yd(Z)または1223yd(E)を単独で用いてもよいし、1223yd(Z)と1223yd(E)との混合物を用いてもよい。
1223yd(Z)と1223yd(E)との質量比(1223yd(Z)/1223yd(E))は、50/50~100/0であることが好ましく、80/20~100/0であることがより好ましい。
【0066】
(1251yd)
1251ydは、1233ydに可溶な化合物である。
1251ydは、例えば1,2-ジクロロ-2-フルオロプロパンをテトラブチルアンモニウムブロミド触媒存在下、水酸化カリウム水溶液と混合し、脱塩化水素反応することにより製造できる。
【0067】
(1250xd)
1250xdは、1233ydに可溶な化合物である。
1250xdは、例えば1,2,2-トリクロロプロパンをテトラブチルアンモニウムブロミド触媒存在下、水酸化カリウム水溶液と混合し、脱塩化水素反応することにより製造できる。
【0068】
(1233xe)
1233xeは、1233ydに可溶な化合物である。
1233xeは、例えば2-クロロ-1,1,3,3-テトラフルオロプロパンをテトラブチルアンモニウムブロミド触媒存在下、水酸化カリウム水溶液と混合し、脱フッ化水素反応することにより製造できる。
【0069】
(1234ye)
1234yeは、1233ydに可溶な化合物である。
1234yeは、例えば245caをアルミナ触媒存在下、脱フッ化水素反応することにより製造できる。
【0070】
(1232xd)
1232xdは、1233ydに可溶な化合物である。
1232xdは、例えば塩化アルミニウム触媒存在下、1,2-ジクロロエチレンとクロロホルムを反応させることにより得られる1,1,2,3,3-ペンタクロロプロパンを、フッ素化された酸化クロム触媒存在下、フッ化水素と反応させることにより製造できる。
【0071】
(1232xe)
1232xeは、1233ydに可溶な化合物である。
1232xeは、例えば塩化アルミニウム触媒存在下、1,2-ジクロロエチレンとジクロロフルオロメタンを反応させることにより得られる1,1,2,3-テトラクロロ-3-フルオロプロパンを、フッ素化された酸化クロム触媒存在下、フッ化水素と反応させることにより製造できる。
【0072】
(1242zd)
1242zdは、1233ydに可溶な化合物である。
1242zdは、例えば1,1,3,3-テトラクロロプロパンを塩化鉄触媒存在下、フッ化水素と反応させることにより製造できる。
【0073】
(ジクロロメタン)
ジクロロメタンは、1233ydに可溶な化合物である。
ジクロロメタンは、例えばメタンを気相で塩素と反応させることにより得られるジクロロメタンとモノクロロメタンの混合物を蒸留精製することにより製造できる。
【0074】
(モノクロロメタン)
モノクロロメタンは、1233ydに可溶な化合物である。
モノクロロメタンは、例えばメタンを気相で塩素と反応させることにより得られるジクロロメタンとモノクロロメタンの混合物を蒸留精製することにより製造できる。
【0075】
(CHFCOCHCl)
CHFCOCHClは、1233ydに可溶な化合物である。
CHFCOCHClは、例えば1,1-ジフルオロアセトンを活性炭触媒下、塩素と反応させることにより製造できる。
【0076】
(t-ブチルクロリド)
t-ブチルクロリドは、1233ydに可溶な化合物である。
t-ブチルクロリドは、例えばイソブテンと塩化水素を反応させることにより製造できる。
【0077】
なお、本明細書において、ある物質が1233ydに可溶であるとは、該物質を所望の濃度となるように1233ydに混合して、常温(25℃)で撹拌することにより二層分離や濁りを起こさずに均一に溶解できる性質を意味する。
【0078】
本発明の溶剤組成物において安定性は、例えば、溶剤組成物の初期のpHと、溶剤組成物を一定期間保存した後のpHとの差を指標として評価できる。なお、本発明における溶剤組成物のpHとは、溶剤組成物とpH7の純水を混合して所定時間振盪し、その後静置して2層分離させたときの上層の水層のpHをいう。具体的なpHの測定条件は後述の実施例に記載したpH測定の項に記載した条件を採用できる。
【0079】
本発明の溶剤組成物は、1233yd(Z)と1233yd(E)との質量比(1233yd(Z)/1233yd(E))が、90/10である1233ydの沸点(約54℃)で7日間保存した場合、保存前の溶剤組成物のpHと比べて、保存後の溶剤組成物のpHの低下を1.0未満に抑えることができる。すなわち、1233ydの分解による酸の発生を抑えられる。保存によるpHの低下は0.8以下とすることがより好ましく、0.5以下とすることがさらに好ましく、0とすることが特に好ましい。
【0080】
第2成分としては、245ca、235cc、235cb、235ca、262ca、234cc、245ea、244cc、234cb、254ea、254fa、1215xc、1215yb、1215yc、1224ye、1214ya、1214yb、1214yc、1214xb、1214xc、1223yd、1213ya、1213yc、1251yd、1250xd、1233xe、1234ye、1232xd、1232xe、1242zd、ジクロロメタン、モノクロロメタン、CHFCOCHCl、244eb、244bb、234ea、254ebが、1233ydの安定化剤として作用に優れるためより好ましく、245ca、235cc、235cb、235ca、262ca、234cc、1224ye、1214yb、1223yd、1251yd、1250xd、1233xe、1234ye、1232xd、1232xe、1242zd、ジクロロメタン、モノクロロメタン、CHFCOCHCl、244eb、244bb、234ea、254ebがより好ましい。
【0081】
第2成分としては、1224ye、1223yd、1251yd、1250xd、1233xe、1234ye、1232xd、1232xe、1242zdといったオレフィンが1233ydの安定化剤として作用に優れるためより好ましい。
【0082】
洗浄装置など相変化の伴う過酷な条件で使用する際に、第2成分のうち、1233ydより沸点が低いものは蒸気槽、高いものは洗浄槽に存在することによって安定剤としての効果を充分に発揮する。そのため、第2成分として、1233ydより沸点が低いものと、1233ydより沸点が高いものを併用することが好ましい。
【0083】
本明細書において、本発明の1233ydを基準に沸点が高いものを高沸の化合物とし、沸点が低いものを低沸の化合物とする。
【0084】
高沸の化合物の沸点は、1233ydの沸点より0.5℃以上高いことが好ましく、1℃以上高いことがより好ましく、5℃以上高いことがさらに好ましい。
【0085】
低沸の化合物の沸点は、1233ydの沸点より1℃以上低いことが好ましく、3℃以上低いことがより好ましく、5℃以上低いことがさらに好ましい。
【0086】
第2成分のうち、例えば1233yd(Z)と1233yd(E)との質量比(1233yd(Z)/1233yd(E))が90/10の場合(沸点54℃)、高沸の化合物の具体例としては、234cc、253ea、262ca、1223yd、1251yd、1250xd、1233xe、1232xd、1232xe、234eaが挙げられる。
【0087】
第2成分のうち、例えば1233yd(Z)と1233yd(E)との質量比(1233yd(Z)/1233yd(E))が90/10の場合(沸点54℃)、低沸の化合物の具体例としては、245ca、244cc、235cc、235cb、235ca、254fa、1224ye、1234ye、1242zd、ジクロロメタン、モノクロロメタン、t-ブチルクロリド、244eb、244bb、254ebが挙げられる。
【0088】
高沸の化合物と低沸の化合物の好ましい組み合わせとしては、234eaと254ebの組み合わせ、234eaと244ebの組み合わせ、234eaと244bbの組み合わせ、234ccと245caの組み合わせ、1223ydと244ccの組み合わせ、1223ydと245caの組み合わせ、262caと1234yeの組み合わせ、1233xeと1234yeの組み合わせが挙げられる。
高沸の化合物と低沸の化合物を組み合わせると、第2成分の含有量の総量が少ない場合でも1233ydの安定化剤としての作用に優れ、金属の腐食を抑制できる。
【0089】
本発明の溶剤組成物は、第2成分として、上記例示した化合物のうち、少なくとも1種を含む。本発明の溶剤組成物において、1233ydの含有量と、第2成分の含有量の総量との合計に対する、第2成分の含有量の総量の割合は、0.0001~1.0質量%であり、0.0005~1.0質量%が好ましく、0.0005~0.5質量%がより好ましい。
【0090】
1233ydは、例えば、2,2,3,3-テトラフルオロプロパノール(以下、TFPOとも記す。)を出発原料として、以下の手順でも製造できる。
N,N-ジメチルホルムアミド(以下、DMFとも記す。)の存在下、塩化チオニル(SOCl)との塩素化反応により、3-クロロ-1,1,2,2-テトラフルオロプロパン(HCFC-244ca。以下、244caとも記す。)を製造できる。得られた244caを、塩基の存在下で、液相または気相にて、脱フッ化水素反応して1233ydを製造できる。
また、1233ydは、例えば、245caを出発原料として、以下の手順でも製造できる。
CrやAlの酸化物、フッ化物等を含む金属触媒の存在下、245caと、塩化水素、四塩化炭素、クロロホルムなどのCl化合物との気相反応により、244caを製造できる。得られた244caを、塩基の存在下で、液相または気相にて、脱フッ化水素反応して1233ydを製造できる。
さらに、1233ydの製造方法としては、1,2-ジクロロ-2,3,3-トリフルオロプロパン(HCFC-243ba。以下、243baとも記す。)を脱塩化水素反応する方法や1,1,3,3-テトラクロロ-2-フルオロプロパン(HCFC-241ea。以下、241eaとも記す。)、1,1,2,3-テトラクロロ-2-フルオロプロパン(HCFC-241ba。以下、241baとも記す。)または1,3,3-トリクロロ-2-フルオロプロペン(HCFO-1231yd。以下、1231ydとも記す。)とフッ化水素を反応する方法等が挙げられる。
上記の手順により、第1成分である1233ydと、副生物として、上記例示した化合物のうち少なくとも1種を第2成分として含む本発明の溶剤組成物を製造してもよい。
【0091】
本発明の溶剤組成物は、本発明の効果を損なわない範囲で、1233yd、第2成分以外の成分を含んでもよい。1233yd、第2成分以外の成分としては、トランス-1,2-ジクロロエチレン(tDCE)、ノナフルオロブトキシメタン、ノナフルオロブトキシエタン、エタノール、イソプロパノール等が挙げられる。
【0092】
本発明の溶剤組成物が1233yd、第2成分以外の成分としてtDCEを含む場合、溶剤組成物の全量に対する1233ydとtDCEとの合計量の割合が、90質量%以上が好ましく、95質量%以上がより好ましい。tDCEに対する1233ydの質量比(1233yd/tDCE)が、28/72~41/59が好ましい。1233ydとtDCEの合計量および質量比が上記範囲であれば、さらに溶解性に優れる。
【0093】
本発明の溶剤組成物が1233yd、第2成分以外の成分としてノナフルオロブトキシメタンまたはノナフルオロブトキシエタンであるHFEを含む場合、溶剤組成物の全量に対する1233ydとHFEの合計量の割合が、70質量%以上が好ましく、90質量%以上がより好ましい。1233ydとHFEの合計量に対するHFEの割合が25~75質量%が好ましい。1233ydとHFEの合計量およびHFEの割合が上記範囲であれば、さらに溶解性に優れる。
【0094】
本発明の溶剤組成物が1233yd、第2成分以外の成分としてエタノールまたはイソプロパノールであるアルコールを含む場合、1233ydとアルコールとの合計100質量%に対して、1233ydの含有量が75~99質量%、アルコールの含有量が1~25質量%が好ましく、1233ydの含有量が90~98質量%、アルコールの含有量が2~10質量%がより好ましい。1233ydとアルコールの含有量が上記範囲であれば、さらに溶解性に優れる。
【0095】
例えば、本発明の溶剤組成物が、銅または銅合金と接触する場合には、それらの金属の腐食を避けるために、ニトロ化合物類やトリアゾール類を含んでいてもよい。
【0096】
本発明の溶剤組成物は、各種有機物の溶解性に優れ、洗浄性に優れ、かつ地球環境に悪影響を及ぼさず、安定化されて分解が抑制された安定な溶剤組成物であり、脱脂洗浄、配管洗浄、フラックス洗浄、水切り洗浄、精密洗浄、衣服のドライクリーニングや染み抜き等の洗浄用途に好ましく用いられる。本発明の溶剤組成物は、また、シリコーン系潤滑剤、フッ素系潤滑剤等の潤滑剤、鉱物油や合成油等からなる防錆剤、撥水処理を施すための防湿コート剤、防汚処理を施すための指紋付着防止剤等の防汚コート剤等を溶解して塗膜形成用組成物として、物品表面に塗布し塗膜を形成する用途で使用できる。本発明の溶剤組成物は、さらに、物品を加熱や冷却するための熱移動媒体としても適している。
【0097】
本発明の溶剤組成物が適用できる物品は、コンデンサやダイオード、およびこれらが実装された基板等の電子部品、注射針やカテーテル等の医療器具、レンズや偏光板等の光学部品、自動車のエンジン部に使われる燃料噴射用のニードルや駆動部分のギヤ等の自動車部品、産業用ロボットに使われる駆動部分の部品、外装部品等の機械部品、切削工具等の工作機械に使われる超硬工具等に幅広く使用できる。さらに、本発明の溶剤組成物が適用可能な材質としては、金属、プラスチック、エラストマー、ガラス、セラミックス、布帛等の広範囲の材質が挙げられ、これらのなかでも、鉄、銅、ニッケル、金、銀、プラチナ等の金属、焼結金属、ガラス、フッ素樹脂、PEEK等のエンジニアリングプラスチックに好適である。本発明の溶剤組成物は、金属または金属との複合材料等の洗浄、希釈塗布用途に特に好ましく適用できる。
【0098】
[洗浄方法]
本発明の洗浄方法は、物品に本発明の溶剤組成物を接触させて、物品に付着する汚れを除去する方法である。
物品に付着する汚れとしては、グリース、加工油、シリコーン油、フラックス、ワックス、インキ、鉱物油、シリコーン油を含む離型剤、ピッチ、アスファルトなどの油脂類、塵埃等が挙げられる。加工油の具体例としては、切削油、焼き入れ油、圧延油、潤滑油、機械油、プレス加工油、打ち抜き油、引き抜き油、組立油、線引き油が挙げられる。
本発明の溶剤組成物は洗浄力が高いため、特に加工油、ピッチ、アスファルトの洗浄に好適に使用できる。
【0099】
本発明の洗浄方法の具体例としては、手拭き洗浄、浸漬洗浄、スプレー洗浄、浸漬揺動洗浄、浸漬超音波洗浄、蒸気洗浄、およびこれらを組み合わせた方法等が挙げられる。例えば、本発明の溶剤組成物と、液化ガスまたは圧縮ガスとを封入したエアゾールの形態でスプレー洗浄を行ってもよい。これらの洗浄方法における接触時間、温度等の洗浄条件は、洗浄方法に応じて適宜選択できる。また、洗浄装置も、公知のものを適宜選択することができる。
本発明の洗浄方法は、例えば国際公開第2008/149907号に記載の方法および洗浄装置を用いて実施できる。
【0100】
[塗膜形成用組成物、塗膜付き物品の製造方法]
本発明の塗膜付き物品の製造方法は、本発明の溶剤組成物と不揮発性有機化合物とを含む塗膜形成用組成物を物品表面に塗布した後、上記溶剤組成物を蒸発させて、物品表面に不揮発性有機化合物を含む塗膜を形成させる。
【0101】
塗膜形成用組成物の塗布方法としては、例えば刷毛による塗布、スプレーによる塗布、浸漬による塗布等が挙げられる。物品がチューブや注射針の場合は、塗膜形成用組成物を吸い上げることによって内壁に塗布することもある。また、本発明の溶剤組成物と、不揮発性有機化合物と、液化ガスまたは圧縮ガスとを封入したエアゾールの形態でスプレー塗布を行うこともできる。
【0102】
溶剤組成物の蒸発方法としては、例えば風乾、加熱による乾燥等が挙げられる。乾燥温度は20~100℃が好ましい。
【0103】
本発明における不揮発性有機化合物とは、沸点が本発明の溶剤組成物より高く、溶剤組成物が蒸発した後も有機化合物が表面に残留するものをいう。不揮発性有機化合物として、具体的には、物品に潤滑性を付与するための潤滑剤、金属部品の防錆効果を付与するための防錆剤、物品に撥水性を付与するための防湿コート剤、物品への防汚性能を付与するための指紋付着防止剤等の防汚コート剤等が挙げられる。本発明の溶剤組成物は、有機化合物の溶解性に優れるため、本用途に好適に用いられる。
【0104】
塗膜形成用組成物の調製方法は、不揮発性有機化合物を溶剤組成物に均一に溶解できる方法であれば特に制限されない。
【0105】
不揮発性有機化合物の含有量は、塗膜形成用組成物の全量に対して0.01~50質量%が好ましく、0.05~30質量%がより好ましく、0.1~20質量%がさらに好ましい。不揮発性有機化合物の含有量が上記範囲内であれば、塗膜形成用組成物を塗布したときの塗膜の厚さを適正範囲に調整しやすい。
【0106】
本発明の溶剤組成物は、噴射剤と溶剤組成物に溶解した溶質とを含むエアゾール組成物として用いることもできる。噴射剤としては液化ガスおよび圧縮ガスが挙げられる。エアゾール組成物における液化ガスとしては、ジメチルエーテル(DME)、液化石油ガス(LPG)、プロパン、ブタン、イソブタン、1,1-ジフルオロエタン(HFC-152a)、1,1,1,2-テトラフルオロエタン(HFC-134a)、2,3,3,3-テトラフルオロプロペン(HFO-1234yf)、1,3,3,3-テトラフルオロプロペン(HFO-1234ze)等が挙げられる。一方、圧縮ガスとしては、窒素、二酸化炭素、亜酸化窒素等が挙げられる。
【0107】
[熱移動媒体]
本発明の溶剤組成物は、潤滑油(冷凍機油)との溶解性に優れ、かつサイクル性能に優れるため、熱サイクルシステム用の熱移動媒体として好適に用いることができる。
熱サイクルシステムとしては、ランキンサイクルシステム、ヒートポンプサイクルシステム、冷凍サイクルシステム、熱輸送システム、二次冷媒冷却システム等が挙げられる。具体的には、冷凍・冷蔵機器、空調機器、発電システム、熱輸送装置、および二次冷却機等が挙げられる。
【0108】
以下、熱サイクルシステムの一例として、冷凍サイクルシステムについて説明する。
冷凍サイクルシステムとは、蒸発器において熱移動媒体が負荷流体より熱エネルギーを除去することにより負荷流体を冷却し、より低い温度に冷却するシステムである。冷凍サイクルシステムでは、熱移動媒体の蒸気を圧縮して高温高圧の熱移動媒体の蒸気とする圧縮機と、圧縮された熱移動媒体の蒸気を冷却し、低温高圧の熱移動媒体の液体とする凝縮器と、凝縮器から排出された熱移動媒体の液体を膨張させて低温低圧の熱移動媒体の液体とする膨張弁と、膨張弁から排出された熱移動媒体を加熱して高温低圧の熱移動媒体の蒸気とする蒸発器と、蒸発器に負荷流体を供給するポンプと、凝縮器に負荷流体を供給するポンプとから構成されるシステムである。
【0109】
さらに、本発明の溶剤組成物は二次循環冷却システム用の熱移動媒体(二次冷媒ともいう。)としても用いることができる。
二次循環冷却システムとは、アンモニアや炭化水素冷媒からなる一次冷媒を冷却する一次冷却手段と、二次循環冷却システム用二次冷媒を循環させて被冷却物を冷却する二次循環冷却手段と、一次冷媒と二次冷媒とを熱交換させ、二次冷媒を冷却する熱交換器と、を有するシステムである。この二次循環冷却システムにより、被冷却物を冷却できる。
【実施例
【0110】
以下、実施例によって本発明を詳細に説明する。本発明はこれらの実施例に限定されない。例2~6、10~14、18~22、26~30、34~38、42~46、50~54、58~62、66~70、74~78、82~86、90~94、98~102、106~110、114~118、122~126、130~134、138~142、146~150、154~158、162~166、170~174、178~182、186~190が本発明の溶剤組成物の実施例、例1、7~9、15~17、23~25、31~33、39~41、47~49、55~57、63~65、71~73、79~81、87~89、95~97、103~105、111~113、119~121、127~129、135~137、143~145、151~153、159~161、167~169、175~177、183、184が比較例である。
【0111】
(製造例:244caの製造)
撹拌機、ジムロート、冷却器、ラシヒリングを充填したガラス蒸留塔(段数測定値5段)を設置した2リットル四つ口フラスコに2,2,3,3-テトラフルオロプロパノール(TFPO)の1204g(9.12モル)およびN,N-ジメチルホルムアミド(DMF)の12g(0.17モル)を加えた。塩化チオニルの1078g(9.12モル)を滴下し、常温で12時間撹拌した。反応器を100℃に加熱し、還流タイマーにより還流時間/留出時間の比を5/1で反応蒸留を行った。留出した244caは20質量%水酸化カリウム水溶液で中和した。回収した244ca(純度100%)は、979g(6.50モル)であった。
【0112】
(製造例:1233ydの製造)
2000gの244caを原料にして、テトラ-n-ブチルアンモニウムクロリドの19.9gを入れ、反応温度を50℃に保ち、40質量%水酸化カリウム水溶液の2792gを30分かけて滴下した。その後、52時間反応を続け、有機層を回収した。回収した有機層を精製した結果、純度100質量%の1233ydを1660g得た。この試験を繰返し実施し、必要量の1233ydを製造した。なお、得られた1233ydの1233yd(Z)と1233yd(E)との質量比(1233yd(Z)/1233yd(E))は90/10であった。
【0113】
(例2~6、10~14、18~22、26~30、34~38、42~46、50~54、58~62、66~70、74~78、82~86、90~94、98~102、106~110、114~118、122~126、130~134、138~142、146~150、154~158、162~166、170~174、178~182:溶剤組成物(実施例)の製造)
上記で得られた1233ydと、第2成分として、234cc、234ea、235ca、235cb、235cc、244bb、244eb、262ca、245ca、254eb、1214yb、1223yd、1224ye、1242zd、1251yd、1232xd、1232xe、1233xe、1234ye、1250xd、CHFCOCHCl、CHCl、CHClのいずれか1つを、表1に示す含有割合になるように加え、1233ydと、第2成分とを含む例2~6、10~14、18~22、26~30、34~38、42~46、50~54、58~62、66~70、74~78、82~86、90~94、98~102、106~110、114~118、122~126、130~134、138~142、146~150、154~158、162~166、170~174、178~182の溶剤組成物をそれぞれ500gずつ調製した。
例2~6の溶剤組成物は、1233ydと、第2成分として、234ccを含む溶剤組成物である。例10~14の溶剤組成物は、1233ydと、第2成分として、234eaを含む溶剤組成物である。例18~22の溶剤組成物は、1233ydと、第2成分として、235caを含む溶剤組成物である。例26~30の溶剤組成物は、1233ydと、第2成分として、235cbを含む溶剤組成物である。例34~38の溶剤組成物は、1233ydと、第2成分として、235ccを含む溶剤組成物である。例42~46の溶剤組成物は、1233ydと、第2成分として、244bbを含む溶剤組成物である。例50~54の溶剤組成物は、1233ydと、第2成分として、244ebを含む溶剤組成物である。例58~62の溶剤組成物は、1233ydと、第2成分として、262caを含む溶剤組成物である。例66~70の溶剤組成物は、1233ydと、第2成分として、245caを含む溶剤組成物である。例74~78の溶剤組成物は、1233ydと、第2成分として、245ebを含む溶剤組成物である。例82~86の溶剤組成物は、1233ydと、第2成分として、1214ybを含む溶剤組成物である。例90~94の溶剤組成物は、1233ydと、第2成分として、1223ydを含む溶剤組成物である。例98~102の溶剤組成物は、1233ydと、第2成分として、1224yeを含む溶剤組成物である。例106~110の溶剤組成物は、1233ydと、第2成分として、1242zdを含む溶剤組成物である。例114~118の溶剤組成物は、1233ydと、第2成分として、1251ydを含む溶剤組成物である。例122~126の溶剤組成物は、1233ydと、第2成分として、1232xdを含む溶剤組成物である。例130~134の溶剤組成物は、1233ydと、第2成分として、1232xdを含む溶剤組成物である。例138~142の溶剤組成物は、1233ydと、第2成分として、1233xeを含む溶剤組成物である。例146~150の溶剤組成物は、1233ydと、第2成分として、1234yeを含む溶剤組成物である。例154~158の溶剤組成物は、1233ydと、第2成分として、1250xdを含む溶剤組成物である。例162~166の溶剤組成物は、1233ydと、第2成分として、CHFCOCHClを含む溶剤組成物である。例170~174の溶剤組成物は、1233ydと、第2成分として、CHClを含む溶剤組成物である。例170~174の溶剤組成物は、1233ydと、第2成分として、CHClを含む溶剤組成物である。
【0114】
(例1、7、9、15、17、23、25、31、33、39、41、47、49、5557、63、65、71、73、79、81、87、89、95、97、103、105、111、113、119、121、127、129、135、137、143、145、151、153、159、161、167、169、175、177、183:溶剤組成物(比較例)の製造)
上記で得られた1233ydと、第2成分として、234cc、234ea、235ca、235cb、235cc、244bb、244eb、262ca、245ca、254eb、1214yb、1223yd、1224ye、1242zd、1251yd、1232xd、1232xe、1233xe、1234ye、1250xd、CHFCOCHCl、CHCl、CHClのいずれか1つを、表1に示す含有割合になるように加え、1233ydと、第2成分とを含む例1、7、9、15、17、23、25、31、33、39、41、47、49、5557、63、65、71、73、79、81、87、89、95、97、103、105、111、113、119、121、127、129、135、137、143、145、151、153、159、161、167、169、175、177、183の溶剤組成物をそれぞれ500gずつ調製した。
例1、7の溶剤組成物は、1233ydと、第2成分として、234ccを含む溶剤組成物である。例9、15の溶剤組成物は、1233ydと、第2成分として、234eaを含む溶剤組成物である。例17、23の溶剤組成物は、1233ydと、第2成分として、235caを含む溶剤組成物である。例25、31の溶剤組成物は、1233ydと、第2成分として、235cbを含む溶剤組成物である。例33、39の溶剤組成物は、1233ydと、第2成分として、235ccを含む溶剤組成物である。例41、47の溶剤組成物は、1233ydと、第2成分として、244bbを含む溶剤組成物である。例49、55の溶剤組成物は、1233ydと、第2成分として、244ebを含む溶剤組成物である。例57、63の溶剤組成物は、1233ydと、第2成分として、262caを含む溶剤組成物である。例65、71の溶剤組成物は、1233ydと、第2成分として、245caを含む溶剤組成物である。例73、79の溶剤組成物は、1233ydと、第2成分として、254ebを含む溶剤組成物である。例81、87の溶剤組成物は、1233ydと、第2成分として、1214ybを含む溶剤組成物である。例89、95の溶剤組成物は、1233ydと、第2成分として、1223ydを含む溶剤組成物である。例97、103の溶剤組成物は、1233ydと、第2成分として、1224yeを含む溶剤組成物である。例105、111の溶剤組成物は、1233ydと、第2成分として、1242zdを含む溶剤組成物である。例113、119の溶剤組成物は、1233ydと、第2成分として、1251ydを含む溶剤組成物である。例121、127の溶剤組成物は、1233ydと、第2成分として、1232xdを含む溶剤組成物である。例129、135の溶剤組成物は、1233ydと、第2成分として、1232xeを含む溶剤組成物である。例137、143の溶剤組成物は、1233ydと、第2成分として、1233xeを含む溶剤組成物である。例145、151の溶剤組成物は、1233ydと、第2成分として、1234yeを含む溶剤組成物である。例153、159の溶剤組成物は、1233ydと、第2成分として、1250xdを含む溶剤組成物である。例161、167の溶剤組成物は、1233ydと、第2成分として、CHFCOCHClを含む溶剤組成物である。例169、175の溶剤組成物は、1233ydと、第2成分として、CHClを含む溶剤組成物である。例177、183の溶剤組成物は、1233ydと、第2成分として、CHClを含む溶剤組成物である。
【0115】
(例8、16、24、32、40、48、55、64、72、80、88、96、104112、120、128、136、144、152、160、168、176、184:溶剤組成物(比較例)の製造)
上記で得られた1233ydを用いて、1233ydのみからなる例8、16、24、32、40、48、55、64、72、80、88、96、104、112、120、128、136、144、152、160、168、176、184の溶剤組成物をそれぞれ500gずつ製造した。
【0116】
[評価]
安定性試験および金属耐食試験
例1~184の溶剤組成物の100gを、一般用冷間圧延鋼板(SPCC)の試験片を入れた耐熱ガラス瓶に入れ、1233ydの沸点(約54℃)で7日間保存した。調製直後(試験前)と7日間保存後(試験後)のpHの測定結果、および7日間保存後(試験後)のSPCC表面の外観観察の評価結果を表1に示す。
【0117】
(pH測定)
例1~184の溶剤組成物40gとpH7に調製した40gの純水とを、200mL容分液漏斗に入れ、1分間振盪した。その後、静置して2層分離した上層の水層を分取し、その水層のpHをpHメーター(型番:HM-30R、東亜ディーケーケー株式会社製)で測定した。結果を表1に示す。
【0118】
試験前後の金属表面の変化は、各金属の未試験品を比較対象として目視にて評価した。評価基準は次のとおりである。
【0119】
「S(優良)」:試験前後で変化なし。
「A(良)」:試験前に比べて試験後では光沢が失われたが、実用上は問題ない。
「B(やや不良)」:試験後の表面がわずかに錆びている。
「×(不良)」:試験後の表面の全面に錆びが認められる。
【0120】
【表1-1】
【0121】
【表1-2】
【0122】
【表1-3】
【0123】
【表1-4】
【0124】
表1より、本発明の実施例の溶剤組成物はいずれも比較例に比べて、酸性化が抑制されたことがわかる。また、実施例では比較例よりも金属試験片の腐食が抑制されたことがわかる。これにより、本発明の溶剤組成物は、優れた溶剤組成物の安定化効果を奏するだけでなく、金属腐食を抑制できることが明らかである。
なお、第2成分として、1223yd、1232xd、1232xe、1233xe、1234ye、1250xdといったオレフィンを0.0001質量%含む例90、例98、例106、例114、例148、例154は、第2成分として、これら以外の化合物を0.0001質量%含む例に比べて試験前後のpHの差が小さく安定化剤としての作用に優れる。
【0125】
(186~190、194~198、202~206、210~214、218~222、226~230:溶剤組成物(実施例)の製造)
上記で得られた1233ydと、第2成分1として、254eb、245ca、244cc、245ca、1234yeのいずれか1つと、第2成分2として、234ea、234cc、1223yd、262ca、1233xeのいずれか1つとを表2に示す含有割合になるように加え、1233ydと、第2成分1および2とを含む例186~190、194~198、202~206、210~214、218~222、226~230の溶剤組成物をそれぞれ500gずつ調製した。
例186~190の溶剤組成物は、1233ydと、第2成分1として、254eb、第2成分2として、234eaを含む溶剤組成物である。例194~198の溶剤組成物は、1233ydと、第2成分1として、245ca、第2成分2として、234ccを含む溶剤組成物である。例202~206の溶剤組成物は、1233ydと、第2成分1として、244cc、第2成分2として、1223ydを含む溶剤組成物である。例210~214の溶剤組成物は、1233ydと、第2成分1として、245ca、第2成分2として、1223ydを含む溶剤組成物である。例218~222の溶剤組成物は、1233ydと、第2成分1として、1234ye、第2成分2として、262caを含む溶剤組成物である。例226~230の溶剤組成物は、1233ydと、第2成分1として、1234ye、第2成分2として、1233xeを含む溶剤組成物である。
【0126】
(例185、191、193、199、201、207、209、215、217、223、225、231:溶剤組成物(比較例)の製造)
上記で得られた1233ydと、第2成分1として、254eb、245ca、244cc、245ca、1234yeのいずれか1つと、第2成分2として、234ea、234cc、1223yd、262ca、1233xeのいずれか1つとを、表2に示す含有割合になるように加え、1233ydと、第2成分1および2とを含む例145、151、153、159、161、167、169、175、183、185、191の溶剤組成物をそれぞれ500gずつ調製した。
例185、191の溶剤組成物は、1233ydと、第2成分1として、低沸の254eb(4℃)、第2成分2として、高沸の234ea(71℃)を含む溶剤組成物である。例193、199の溶剤組成物は、1233ydと、第2成分1として、低沸の245ca(26℃)、第2成分2として、高沸の234cc(68℃)を含む溶剤組成物である。例201、207の溶剤組成物は、1233ydと、第2成分1として、低沸の244cc(20℃)、第2成分2として、高沸の1223yd(58℃)を含む溶剤組成物である。例209、215の溶剤組成物は、1233ydと、第2成分1として、低沸の245ca(26℃)、第2成分2として、高沸の1223yd(58℃)を含む溶剤組成物である。例217、223の溶剤組成物は、1233ydと、第2成分1として、低沸の1234ye(24℃)、第2成分2として、高沸の262ca(55℃)を含む溶剤組成物である。例225、231の溶剤組成物は、1233ydと、第2成分として、第2成分1として、低沸の1234ye(24℃)、第2成分2として、高沸の1233xe(61℃)を含む溶剤組成物である。
【0127】
(例192、200、208、216、224、232:溶剤組成物(比較例)の製造)
上記で得られた1233ydを用いて、1233ydのみからなる例192、200、208、216、224、232の溶剤組成物をそれぞれ500gずつ製造した。
【0128】
例185~232の溶剤組成物について、上記と同様の手順で安定性試験および金属耐食試験を実施した。結果を表2に示す。
【0129】
【表2】
表2より、本発明の実施例の溶剤組成物はいずれも比較例に比べて、酸性化が抑制されたことがわかる。また、実施例では比較例よりも金属試験片の腐食が抑制されたことがわかる。これにより、本発明の溶剤組成物は、優れた溶剤組成物の安定化効果を奏するだけでなく、金属腐食を抑制できることが明らかである。
また、表1と比較すると、第2成分を2種含む実施例は、第2成分の合計含有量が1ppmの時の外観評価が向上しSになった。
なお、2020年1月31日に出願された日本特許出願2020-014707号の明細書、特許請求の範囲および要約書の全内容をここに引用し、本発明の明細書の開示として、取り入れるものである。