(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-05
(45)【発行日】2024-11-13
(54)【発明の名称】新規なボレート化合物含有組成物
(51)【国際特許分類】
C07F 5/02 20060101AFI20241106BHJP
C07C 211/49 20060101ALI20241106BHJP
C07D 213/65 20060101ALI20241106BHJP
C07D 213/16 20060101ALI20241106BHJP
C07D 213/18 20060101ALI20241106BHJP
C07D 233/58 20060101ALI20241106BHJP
C07D 235/08 20060101ALI20241106BHJP
C08F 4/52 20060101ALI20241106BHJP
【FI】
C07F5/02 A
C07C211/49
C07D213/65
C07D213/16
C07D213/18
C07D233/58
C07D235/08
C08F4/52
(21)【出願番号】P 2022507205
(86)(22)【出願日】2021-03-09
(86)【国際出願番号】 JP2021009165
(87)【国際公開番号】W WO2021182439
(87)【国際公開日】2021-09-16
【審査請求日】2023-08-07
(31)【優先権主張番号】P 2020043246
(32)【優先日】2020-03-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(31)【優先権主張番号】P 2020209070
(32)【優先日】2020-12-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000000044
【氏名又は名称】AGC株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100080791
【氏名又は名称】高島 一
(74)【代理人】
【識別番号】100136629
【氏名又は名称】鎌田 光宜
(74)【代理人】
【識別番号】100125070
【氏名又は名称】土井 京子
(74)【代理人】
【識別番号】100121212
【氏名又は名称】田村 弥栄子
(74)【代理人】
【識別番号】100174296
【氏名又は名称】當麻 博文
(74)【代理人】
【識別番号】100137729
【氏名又は名称】赤井 厚子
(74)【代理人】
【識別番号】100151301
【氏名又は名称】戸崎 富哉
(74)【代理人】
【識別番号】100152308
【氏名又は名称】中 正道
(74)【代理人】
【識別番号】100201558
【氏名又は名称】亀井 恵二郎
(72)【発明者】
【氏名】藤本 卓也
【審査官】前田 憲彦
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2019/210026(WO,A1)
【文献】特開2019-059795(JP,A)
【文献】特表2003-518516(JP,A)
【文献】Journal of Porphyrins and Phthalocyanines,2011年,15(7-8),P.560-574
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07F 5/
C07C 211/
C07D 213/
C07D 233/
C07D 235/
C08F 4/
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
(I)塩基A、又は
下記式(5):
【化1】
[式中、R及びR’は、それぞれ独立して、置換されていてもよいC
1-30アルキル基、置換されていてもよいC
3-15シクロアルキル基又は置換されていてもよいC
6-14アリール基を表す。]
で表される、総炭素数8以上の化合物、及び
(II)下記式(1):
【化2】
[式中、R
1、R
2、R
3及びR
4は
全て、
ペンタフルオロフェニル基を表し、並びに
[A-H]
+は、塩基A由来のカチオンを表す。
ここで、前記塩基Aは
、同一又は異なる2
個の、C
14-30アルキル基又はC
14-30アルコキシ基で置換された、総炭素数25以上の
ピリジン、イミダゾール、又はベンゾイミダゾールを表す。]
で表される化合物を含有する組成物。
【請求項2】
成分(I)が、塩基Aである、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
成分(I)が、前記式(5)で表される化合物である、請求項1に記載の組成物。
【請求項4】
前記式(1)で表される化合物1モルに対する塩基Aの含量が、0.01~10モルの範囲である、請求項1
又は2に記載の組成物。
【請求項5】
R及びR’が、それぞれ独立して、C
1-30アルキル基であり、且つR及びR’の総炭素数が、8以上である、請求項1
又は3に記載の組成物。
【請求項6】
R及びR’が、それぞれ独立して、C
1-30アルキル基であり、且つR及びR’の総炭素数が、16以上である、請求項1
又は3に記載の組成物。
【請求項7】
前記式(1)で表される化合物1モルに対する前記式(5)で表される化合物の含量が、0.1~10モルの範囲である、請求項1、3
、5
、及び
6のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項8】
請求項1~
7のいずれか一項に記載の組成物からなる、オレフィン及びジエンからなる群より選択される少なくとも1種のモノマーの重合用の助触媒。
【請求項9】
式(3):
【化3】
[式中、R
1、R
2、R
3及びR
4は
全て、
ペンタフルオロフェニル基を表す。]
で表される化合物と前記塩基Aとを反応させる工程を含み、且つ前記式(3)で表される化合物1モルに対して1モルを超える量の塩基Aを用いることを特徴とする、請求項1、2、
及び4のいずれか一項に記載の組成物の製造方法。
【請求項10】
式(3)で表される化合物1モルに対する塩基Aの使用量が、1.01~3モルの範囲である、請求項
9に記載の製造方法。
【請求項11】
式(4):
【化4】
[式中、R
1、R
2、R
3及びR
4は
全て、
ペンタフルオロフェニル基を表し、
Mは、アルカリ金属又はアルカリ土類金属を表し、及び
nは、1又は2を表す。]で表される化合物、前記塩基A、及びプロトン酸を反応させる工程を含み、且つ前記式(4)で表される化合物1モルに対して1モルを超える量の塩基Aを用いることを特徴とする、請求項1、2、
及び4のいずれか一項に記載の組成物の製造方法。
【請求項12】
式(4):
【化5】
[式中、R
1、R
2、R
3及びR
4は
全て、
ペンタフルオロフェニル基を表し、
Mは、アルカリ金属又はアルカリ土類金属を表し、及び
nは、1又は2を表す。]で表される化合物、前記式(4)で表される化合物1モルに対して1モルの前記塩基A、及びプロトン酸を反応させる工程、並びにその後、前記式(4)で表される化合物1モルに対して0.1モル以上の量の式(5):
【化6】
[式中、R及びR’は、それぞれ独立して、置換されていてもよいC
1-30アルキル基、置換されていてもよいC
3-15シクロアルキル基又は置換されていてもよいC
6-14アリール基を表す。]
で表される、総炭素数8以上の化合物を加える工程を含む、請求項1、3
、5
~7のいずれか一項に記載の組成物の製造方法。
【請求項13】
請求項1~
7のいずれか一項に記載の組成物を助触媒として使用して、オレフィン及びジエンからなる群から選ばれる少なくとも1種のモノマーを重合することを含む、重合体の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、オレフィンやジエンの重合の助触媒として有用な、ボレート化合物及び塩基を含有する組成物、及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来からオレフィンやジエンの重合用触媒として、メタロセン化合物やジイミン錯体、フェノキシ錯体等の非メタロセン系金属錯体触媒が使用されることが数多く報告されている。これらの金属錯体触媒を用いた触媒系の多くで、メチルアルミノキサンやテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート化合物が活性種を安定化させるための助触媒として使用されている。テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート化合物はメチルアルミノキサンよりも熱安定性に優れることや、金属錯体に対して使用される量論比がメチルアルミノキサンよりも少なくて済むことから、溶液重合系での助触媒として広く使用されている。
【0003】
また、金属錯体触媒によるオレフィンやジエンの重合で使用される溶媒としては、非極性の炭化水素溶媒が使用されている。特に臭気や毒性の観点からトルエン等の芳香族炭化水素系溶媒よりもヘキサン等の脂肪族炭化水素溶媒への切り替えも進んでいる。
【0004】
しかしながら、通常のテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート化合物は、トルエン等の芳香族炭化水素溶媒に難溶であること、溶解したとしても、ボレート化合物が溶解した濃厚相と溶解してない希薄相の液―液2相に分離することが知られている(特許文献1)。
【0005】
また、通常のテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート化合物は、ヘキサンやヘプタン等の脂肪族炭化水素溶媒には難溶であることから、脂肪族炭化水素溶媒に可溶なテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート化合物が望まれ、提案されている(特許文献2)。特許文献2に記載のジ(オクタデシル)メチルアンモニウム テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレートやビス(水添牛脂アルキル)メチルアンモニウム テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレートは、炭化水素溶媒に易溶な化合物として有用である。
【0006】
しかしながら、特許文献2に記載の製造方法では、リチウム テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレートと別途調製したジアルキルメチルアミンの塩酸塩とを反応させることで調製されており、この方法では、水に難溶な原料のリチウム テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート又は長鎖脂肪族アミンの塩酸塩が生成物に残存し、これらが触媒毒となり、重合用の助触媒として使用した際に十分な活性を示さないことが懸念されていた。実際、特許文献2の実施例2では、ジエチルエーテルが生成物中に残存しているため、水に難溶なリチウム テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレートのジエチルエーテル錯体が残存していることが推察される。
【0007】
特許文献3では、テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレートのアルカリ金属塩とアミンとを混合したのちにプロトン酸で処理するアンモニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート誘導体の製造方法が開示されている。しかし、この方法でも、テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレートのアルカリ金属塩のエーテル錯体又は長鎖脂肪族アミンのプロトン酸塩が生成物中に残存し、触媒毒として作用することが懸念されていた。
【0008】
特許文献4では、トリアルキルアンモニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート化合物とアミン化合物を含有する組成物、及びその製造方法が開示され、当該組成物が炭化水素溶媒に可溶であることが開示されている。しかし、特許文献4に記載のアミン化合物であるトリアルキルアミンは、塩基性が高く、求核性も有するため、オレフィンやジエンの重合反応の触媒毒となり得ることが懸念される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【文献】特開2018-104335号公報
【文献】特表2000-507157号公報
【文献】特表2007-530673号公報
【文献】特開2019-59795号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明は、これら従来技術を鑑み、炭化水素溶媒、特に脂肪族炭化水素溶媒に可溶であり、且つオレフィンやジエンの重合反応の触媒毒とならない、ボレート化合物含有組成物及びその工業的製法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明者は、鋭意検討した結果、
(I)塩基A、又は
下記式(5):
【0012】
【0013】
[式中、R及びR’は、それぞれ独立して、置換されていてもよいC1-30アルキル基、置換されていてもよいC3-15シクロアルキル基又は置換されていてもよいC6-14アリール基を表す。]
で表される、総炭素数8以上の化合物、及び
(II)下記式(1):
【0014】
【0015】
[式中、R1、R2、R3及びR4は、それぞれ独立して、1個以上の、フッ素原子又はフルオロC1-4アルキル基で置換されたC6-14アリール基を表し、並びに
[A-H]+は、塩基A由来のカチオンを表す。
ここで、前記塩基Aは、
(i)同一又は異なる2個以上の、C1-30アルキル基又はC1-30アルコキシ基で置換された、総炭素数25以上の含窒素芳香族複素環化合物、又は
(ii)下記式(2):
【0016】
【0017】
(式中、Arは、置換されていてもよいC6-14アリール基を表し、並びに
R5及びR6は、それぞれ独立して、置換されていてもよいC1-30アルキル基を表す。)で表される、総炭素数25以上の芳香族アミン化合物を表す。]
で表される化合物を含有する組成物(以下、「本発明の組成物」とも言う。)が、炭化水素溶媒、特に脂肪族炭化水素溶媒に可溶であり、且つオレフィンやジエンの重合反応の触媒毒となる化合物を発生させず、助触媒として有用であることを初めて見出し、本発明を完成するに至った。
【0018】
すなわち、本発明は以下の通りである。
[1](I)塩基A、又は
下記式(5):
【0019】
【0020】
[式中、R及びR’は、それぞれ独立して、置換されていてもよいC1-30アルキル基、置換されていてもよいC3-15シクロアルキル基又は置換されていてもよいC6-14アリール基を表す。]
で表される、総炭素数8以上の化合物、及び
(II)下記式(1):
【0021】
【0022】
[式中、R1、R2、R3及びR4は、それぞれ独立して、1個以上の、フッ素原子又はフルオロC1-4アルキル基で置換されたC6-14アリール基を表し、並びに
[A-H]+は、塩基A由来のカチオンを表す。
ここで、前記塩基Aは、
(i)同一又は異なる2個以上の、C1-30アルキル基又はC1-30アルコキシ基で置換された、総炭素数25以上の含窒素芳香族複素環化合物、又は
(ii)下記式(2):
【0023】
【0024】
(式中、Arは、置換されていてもよいC6-14アリール基を表し、並びに
R5及びR6は、それぞれ独立して、置換されていてもよいC1-30アルキル基を表す。)で表される、総炭素数25以上の芳香族アミン化合物を表す。]
で表される化合物を含有する組成物。
[2]塩基A、及び下記式(1):
【0025】
【0026】
[式中、R1、R2、R3及びR4は、それぞれ独立して、1個以上の、フッ素原子又はフルオロC1-4アルキル基で置換されたC6-14アリール基を表し、並びに
[A-H]+は、塩基A由来のカチオンを表す。
ここで、前記塩基Aは、
(i)同一又は異なる2個以上の、C1-30アルキル基又はC1-30アルコキシ基で置換された、総炭素数25以上の含窒素芳香族複素環化合物、又は
(ii)下記式(2):
【0027】
【0028】
(式中、Arは、置換されていてもよいC6-14アリール基を表し、並びに
R5及びR6は、それぞれ独立して、置換されていてもよいC1-30アルキル基を表す。)で表される、総炭素数25以上の芳香族アミン化合物を表す。]
で表される化合物を含有する組成物。
[2’]成分(I)が、塩基Aである、前記[1]に記載の組成物。
[3]成分(I)が、前記式(5)で表される化合物である、前記[1]に記載の組成物。
[4]R1、R2、R3及びR4が、それぞれ独立して、1個以上の、フッ素原子又はトリフルオロメチル基でそれぞれ置換された、フェニル基、1-ナフチル基、2-ナフチル基、2-ビフェニリル基、3-ビフェニリル基、4-ビフェニリル基、1-アントリル基、2-アントリル基、9-アントリル基、9-フェナントリル基又は3-フェナントリル基である、前記[1]~[3]のいずれかに記載の組成物。
[5]R1、R2、R3及びR4が全て、ペンタフルオロフェニル基、2,2’,3,3’,4’,5,5’,6,6’-ノナフルオロ-4-(1,1’-ビフェニリル)基、2,3,4,5,6,7,8-ヘプタフルオロ-1-ナフチル基又は1,3,4,5,6,7,8-ヘプタフルオロ-2-ナフチル基である、前記[1]~[3]のいずれかに記載の組成物。
[6]塩基Aが、同一又は異なる2個の、C9-30アルキル基又はC9-30アルコキシ基で置換された、総炭素数35以上の5又は6員の単環式含窒素芳香族複素環化合物である、前記[1]、[2]、[2’]、[4]及び[5]のいずれかに記載の組成物。
[7]5又は6員の単環式含窒素芳香族複素環化合物が、ピリジン又はイミダゾールである、前記[6]に記載の組成物。
[8]塩基Aが、同一又は異なる2個の、C9-30アルキル基又はC9-30アルコキシ基で置換された、総炭素数25以上の2環式含窒素芳香族複素環化合物である、[1]、[2]、[2’]、[4]及び[5]のいずれかに記載の組成物。
[9]2環式含窒素芳香族複素環化合物が、ベンゾイミダゾールである、前記[8]に記載の組成物。
[10]塩基Aが、前記式(2)で表される総炭素数25以上の芳香族アミン化合物であり、
Arが、ハロゲン原子、C1-30アルキル基、C1-30アルコキシ基及びハロC1-6アルキル基からなる群より選択される置換基で置換されていてもよいフェニル基であり、並びに
R5及びR6が、それぞれ独立して、C1-30アルキル基である、前記[1]、[2]、[2’]、[4]及び[5]のいずれかに記載の組成物。
[11]前記式(1)で表される化合物1モルに対する前記塩基Aの含量が、0.01~10モルの範囲である、前記[1]、[2]、[2’]及び[4]~[10]のいずれかに記載の組成物。
[12]R及びR’が、それぞれ独立して、C1-30アルキル基であり、且つR及びR’の総炭素数が、8以上である、前記[1]及び[3]~[5]のいずれかに記載の組成物。
[13]R及びR’が、それぞれ独立して、C1-30アルキル基であり、且つR及びR’の総炭素数が、16以上である、前記[1]及び[3]~[5]のいずれかに記載の組成物。
[14]前記式(1)で表される化合物1モルに対する前記式(5)で表される化合物の含量が、0.1~10モルの範囲である、前記[1]、[3]~[5]、[12]及び[13]のいずれかに記載の組成物。
[15]前記[1]~[14]のいずれかに記載の組成物からなる、オレフィン及びジエンからなる群より選択される少なくとも1種のモノマーの重合用の助触媒。
[16]式(3):
【0029】
【0030】
[式中、R1、R2、R3及びR4は、それぞれ独立して、1個以上の、フッ素原子又はフルオロC1-4アルキル基で置換されたC6-14アリール基を表す。]
で表される化合物と前記塩基Aとを反応させる工程を含み、且つ前記式(3)で表される化合物1モルに対して1モルを超える量の塩基Aを用いることを特徴とする、前記前記[1]、[2]、[2’]及び[4]~[11]のいずれかに記載の組成物の製造方法。
[17]式(3)で表される化合物1モルに対する前記塩基Aの使用量が、1.01~3モルの範囲である、前記[16]に記載の製造方法。
[18]式(4):
【0031】
【0032】
[式中、R1、R2、R3及びR4は、それぞれ独立して、1個以上の、フッ素原子又はフルオロC1-4アルキル基で置換されたC6-14アリール基を表し、
Mは、アルカリ金属又はアルカリ土類金属を表し、及び
nは、1又は2を表す。]で表される化合物、前記塩基A、及びプロトン酸を反応させる工程を含み、且つ前記式(4)で表される化合物1モルに対して1モルを超える量の塩基Aを用いることを特徴とする、前記[1]、[2]、[2’]及び[4]~[11]のいずれかに記載の組成物の製造方法。
[19]式(4):
【0033】
【0034】
[式中、R1、R2、R3及びR4は、それぞれ独立して、1個以上の、フッ素原子又はフルオロC1-4アルキル基で置換されたC6-14アリール基を表し、
Mは、アルカリ金属又はアルカリ土類金属を表し、及び
nは、1又は2を表す。]で表される化合物、前記式(4)で表される化合物1モルに対して1モルの前記塩基A及びプロトン酸を反応させる工程、並びにその後、前記式(4)で表される化合物1モルに対して0.1モル以上の量の式(5):
【0035】
【0036】
[式中、R及びR’は、それぞれ独立して、置換されていてもよいC1-30アルキル基、置換されていてもよいC3-15シクロアルキル基又は置換されていてもよいC6-14アリール基を表す。]
で表される、総炭素数8以上の化合物を加える工程を含む、前記[1]、[3]~[5]、[12]~[14]のいずれかに記載の組成物の製造方法。
[20]前記[1]~[14]のいずれかに記載の組成物を助触媒として使用して、オレフィン及びジエンからなる群から選ばれる少なくとも1種のモノマーを重合することを含む、重合体の製造方法。
【発明の効果】
【0037】
本発明によれば、炭化水素溶媒、特に脂肪族炭化水素溶媒に可溶であり、且つオレフィンやジエンの重合反応の助触媒として有用な、前記ボレート化合物を含有する組成物、及びその製造方法を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0038】
本明細書中に用いられる用語及び各記号の定義について、以下に説明する。
【0039】
本明細書中、「ハロゲン原子」とは、フッ素原子、塩素原子、臭素原子又はヨウ素原子を意味する。
【0040】
本明細書中、「アルキル(基)」とは、直鎖状または分岐鎖状の炭素数1以上のアルキル基を意味する。
【0041】
本明細書中、「C1-30アルキル(基)」とは、直鎖又は分岐鎖の炭素数1~30のアルキル基を意味し、例えば、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、sec-ブチル、tert-ブチル、ペンチル、イソペンチル、ネオペンチル、1-エチルプロピル、ヘキシル、イソヘキシル、1,1-ジメチルブチル、2,2-ジメチルブチル、3,3-ジメチルブチル、2-エチルブチル、ヘプチル、オクチル、ノニル、デシル、ウンデシル、ドデシル、トリデシル、テトラデシル、ヘキサデシル、オクタデシル、ノナデシル、エイコシル、ドコシル、トリコシル、テトラコシル、ペンタコシル、ヘキサコシル、ヘプタコシル、オクタコシル、ノナコシル、トリアコンチル等が挙げられる。
【0042】
本明細書中、「C9-30アルキル(基)」とは、直鎖又は分岐鎖の炭素数9~30のアルキル基を意味し、例えば、ノニル、デシル、ウンデシル、ドデシル、トリデシル、テトラデシル、ヘキサデシル、オクタデシル、ノナデシル、エイコシル、ドコシル、トリコシル、テトラコシル、ペンタコシル、ヘキサコシル、ヘプタコシル、オクタコシル、ノナコシル、トリアコンチル等が挙げられる。
【0043】
本明細書中、「C1-6アルキル(基)」とは、直鎖又は分岐鎖の炭素数1~6のアルキル基を意味し、例えば、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、sec-ブチル、tert-ブチル、ペンチル、イソペンチル、ネオペンチル、1-エチルプロピル、ヘキシル、イソヘキシル、1,1-ジメチルブチル、2,2-ジメチルブチル、3,3-ジメチルブチル、2-エチルブチル等が挙げられる。中でも、C1-4アルキル基が好ましい。
【0044】
本明細書中、「ハロC1-6アルキル(基)」は、前記「C1-6アルキル」基中の1個以上の水素原子がハロゲンで置換された基を意味する。具体的には、例えば、ジフルオロメチル、トリフルオロメチル、2-クロロエチル、2-ブロモエチル、2-ヨードエチル、2-フルオロエチル、2,2-ジフルオロエチル、2,2,2-トリフルオロエチル、ペンタフルオロエチル、2,2,3,3-テトラフルオロプロピル、3,3,3-トリフルオロプロピル、4,4,4-トリフルオロブチル、5,5,5-トリフルオロペンチル、6,6,6-トリフルオロヘキシル等が挙げられる。中でも、「ハロC1-4アルキル」が好ましい。
【0045】
本明細書中、「フルオロC1-6アルキル(基)」とは、前記「ハロC1-6アルキル」基中のハロゲン原子がフッ素原子である基を意味する。具体的には、例えば、ジフルオロメチル、トリフルオロメチル、2-フルオロエチル、2,2-ジフルオロエチル、2,2,2-トリフルオロエチル、ペンタフルオロエチル、2,2,3,3-テトラフルオロプロピル、3,3,3-トリフルオロプロピル、4,4,4-トリフルオロブチル、5,5,5-トリフルオロペンチル、6,6,6-トリフルオロヘキシル等が挙げられる。中でも、ジフルオロメチル、トリフルオロメチル、2,2,2-トリフルオロエチル、ペンタフルオロエチル、2,2,3,3,3-ペンタフルオロプロピル、2,2,3,3-テトラフルオロプロピル、3,3,3-トリフルオロプロピル、4,4,4-トリフルオロブチル等の「フルオロC1-4アルキル(基)」が好ましく、ジフルオロメチル、トリフルオロメチル、2,2,2-トリフルオロエチル、ペンタフルオロエチル又はペンタフルオロエチルがより好ましく、トリフルオロメチルが特に好ましい。
【0046】
本明細書中、「シクロアルキル(基)」とは、環状アルキル基を意味し、特に炭素数範囲の限定がない場合には、好ましくは、C3-8シクロアルキル基である。
【0047】
本明細書中、「C3-8シクロアルキル(基)」とは、炭素数3~8の環状アルキル基を意味し、例えば、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、シクロオクチル等が挙げられる。中でも、C3-6シクロアルキル基が好ましい。
【0048】
本明細書中、「アルコキシ(基)」とは、直鎖または分岐鎖のアルキル基が酸素原子と結合した基を意味する。
【0049】
本明細書中、「C1-30アルコキシ(基)」とは、直鎖又は分岐鎖の炭素数1~30のアルコキシ基を意味し、例えば、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、イソプロポキシ、ブトキシ、イソブトキシ、sec-ブトキシ、tert-ブトキシ、ペンチルオキシ、イソペンチルオキシ、ネオペンチルオキシ、ヘキシルオキシ、イソヘキシルオキシ、1,1-ジメチルブトキシ、2,2-ジメチルブトキシ、3,3-ジメチルブトキシ、2-エチルブトキシ、ヘプチルオキシ、オクチルオキシ、ノニルオキシ、デシルオキシ、ウンデシルオキシ、ドデシルオキシ、トリデシルオキシ、テトラデシルオキシ、ヘキサデシルオキシ、オクタデシルオキシ、ノナデシルオキシ、エイコシルオキシ、ドコシルオキシ、トリコシルオキシ、テトラコシルオキシ、ペンタコシルオキシ、ヘキサコシルオキシ、ヘプタコシルオキシ、オクタコシルオキシ、ノナコシルオキシ、トリアコンチルオキシ等が挙げられる。
【0050】
本明細書中、「C9-30アルコキシ(基)」とは、直鎖又は分岐鎖の炭素数9~30のアルコキシ基を意味し、例えば、ノニルオキシ、デシルオキシ、ウンデシルオキシ、ドデシルオキシ、トリデシルオキシ、テトラデシルオキシ、ヘキサデシルオキシ、オクタデシルオキシ、ノナデシルオキシ、エイコシルオキシ、ドコシルオキシ、トリコシルオキシ、テトラコシルオキシ、ペンタコシルオキシ、ヘキサコシルオキシ、ヘプタコシルオキシ、オクタコシルオキシ、ノナコシルオキシ、トリアコンチルオキシ等が挙げられる。
【0051】
本明細書中、「C1-6アルコキシ(基)」とは、直鎖又は分岐鎖の炭素数1~6のアルコキシ基を意味し、例えば、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、イソプロポキシ、ブトキシ、イソブトキシ、sec-ブトキシ、tert-ブトキシ、ペンチルオキシ、イソペンチルオキシ、ネオペンチルオキシ、ヘキシルオキシ等が挙げられる。中でも、C1-4アルコキシ基が好ましい。
【0052】
本明細書中、「ハロC1-6アルコキシ(基)」は、前記「C1-6アルコキシ」基中の1個以上の水素原子がハロゲン原子で置換された基を意味する。具体的には、例えば、ジフルオロメトキシ、トリフルオロメトキシ、2-クロロエトキシ、2-ブロモエトキシ、2-ヨードエトキシ、2-フルオロエトキシ、2,2-ジフルオロエトキシ、2,2,2-トリフルオロエトキシ、ペンタフルオロエトキシ、2,2,3,3,3-ペンタフルオロプロポキシ、2,2,3,3-テトラフルオロプロポキシ、3,3,3-トリフルオロプロポキシ、4,4,4-トリフルオロブトキシ、5,5,5-トリフルオロペンチルオキシ、6,6,6-トリフルオロヘキシルオキシ等が挙げられる。中でも、「ハロC1-4アルコキシ」が好ましい。
【0053】
本明細書中、「フルオロC1-6アルコキシ(基)」とは、前記「ハロC1-6アルコキシ」基中のハロゲン原子がフッ素原子である基を意味する。具体的には、例えば、ジフルオロメトキシ、トリフルオロメトキシ、2-フルオロエトキシ、2,2-ジフルオロエトキシ、2,2,2-トリフルオロエトキシ、ペンタフルオロエトキシ、2,2,3,3-テトラフルオロプロポキシ、3,3,3-トリフルオロプロポキシ、4,4,4-トリフルオロブトキシ、5,5,5-トリフルオロペンチルオキシ、6,6,6-トリフルオロヘキシルオキシ等が挙げられる。中でも、ジフルオロメトキシ、トリフルオロメトキシ、2,2,2-トリフルオロエトキシ、ペンタフルオロエトキシ、2,2,3,3,3-ペンタフルオロプロポキシ、2,2,3,3-テトラフルオロプロポキシ、3,3,3-トリフルオロプロポキシ、4,4,4-トリフルオロブトキシ等の「フルオロC1-4アルコキシ(基)」が好ましく、ジフルオロメトキシ、トリフルオロメトキシ、2,2,2-トリフルオロエトキシ、ペンタフルオロエトキシ又はペンタフルオロエトキシがより好ましく、トリフルオロメトキシが特に好ましい。
【0054】
本明細書中、「アリール(基)」とは、芳香族性を示す単環式あるいは多環式(縮合)の炭化水素基を意味し、具体的には、例えば、フェニル、1-ナフチル、2-ナフチル、2-ビフェニリル、3-ビフェニリル、4-ビフェニリル、1-アントリル、2-アントリル、9-アントリル、3-フェナントリル、9-フェナントリル等のC6-14アリール基が挙げられる。中でも、フェニル、1-ナフチル又は2-ナフチルが好ましい。
【0055】
本明細書中、「含窒素芳香族複素環化合物」とは、環構成原子として炭素原子以外に窒素原子、硫黄原子および酸素原子から選ばれる1~4個のヘテロ原子を含有する単環式又は縮合多環式の芳香族複素環化合物であって、環構成原子として少なくとも1個以上の窒素原子を含有する化合物を意味する。
該「含窒素芳香族複素環化合物」の好適な例としては、例えば、ピロール、イミダゾール、ピラゾール、チアゾール、イソチアゾール、オキサゾール、イソオキサゾール、ピリジン、ピラジン、ピリミジン、ピリダジン、1,2,4-オキサジアゾール、1,3,4-オキサジアゾール、1,2,4-チアジアゾール、1,3,4-チアジアゾール、トリアゾール、テトラゾール、トリアジン等の5又は6員の単環式含窒素芳香族複素環化合物;ベンゾイミダゾール、ベンゾオキサゾール、ベンゾイソオキサゾール、ベンゾチアゾール、ベンゾイソチアゾール、ベンゾトリアゾール、イミダゾピリジン、チエノピリジン、フロピリジン、ピロロピリジン、ピラゾロピリジン、オキサゾロピリジン、チアゾロピリジン、イミダゾピラジン、イミダゾピリミジン、チエノピリミジン、フロピリミジン、ピロロピリミジン、ピラゾロピリミジン、オキサゾロピリミジン、チアゾロピリミジン、ピラゾロトリアジン、インドール、イソインドール、1H-インダゾール、プリン、イソキノリン、キノリン、フタラジン、ナフチリジン、キノキサリン、キナゾリン、シンノリン、カルバゾール、β-カルボリン、フェナントリジン、アクリジン、フェナジン、フェノチアジン、フェノキサジン等の8~14員の縮合多環式(好ましくは2または3環式)含窒素芳香族複素環化合物が挙げられ、5又は6員の単環式含窒素芳香族複素環化合物又は2環式含窒素芳香族複素環化合物が好ましい。5又は6員の単環式含窒素芳香族複素環化合物としては、ピリジン又はイミダゾールがより好ましく、2環式含窒素芳香族複素環化合物としては、ベンゾイミダゾールがより好ましい。中でも、ピリジン又はイミダゾールが特に好ましい。
【0056】
本明細書中、「置換されていてもよい」とは、無置換、又は1個以上の置換基を有することを意味し、該「置換基」としては、特に言及がない限り、(1)ハロゲン原子、(2)ニトロ基、(3)シアノ基、(4)C1-30アルキル基、(5)ハロC1-6アルキル基、(6)C3-8シクロアルキル基、(7)C1-30アルコキシ基、(8)ハロC1-6アルコキシ基、(9)C6-14アリール基等が挙げられる。中でも、ハロゲン原子、シアノ基、C1-6アルキル基、ハロC1-6アルキル基、C1-6アルコキシ基、ハロC1-6アルコキシ基又はフェニル基が好ましく、ハロゲン原子(例、フッ素原子)、C1-6アルキル基(例、メチル、エチル)、C1-6アルコキシ基(例、メトキシ、エトキシ)又はハロC1-6アルキル基(例、トリフルオロメチル)がより好ましい。また、複数の置換基が存在する場合、各置換基は、同一でも異なっていてもよい。上記置換基は、また、さらに、それぞれ1個以上の、C1-6アルキル基、C1-6アルコキシ基、ハロゲン原子、フェニル基等で置換されていてもよい。
【0057】
本明細書中、「炭化水素溶媒」とは、芳香族炭化水素溶媒、及び/又は脂肪族炭化水素溶媒を包含する溶媒を意味する。中でも、臭気や毒性の観点から脂肪族炭化水素溶媒が好ましい。
【0058】
本明細書中、「芳香族炭化水素溶媒」としては、例えば、ベンゼン、トルエン、キシレン等が挙げられる。
【0059】
本明細書中、「脂肪族炭化水素溶媒」としては、例えば、n-ヘキサン、イソヘキサン、n-ヘプタン、n-オクタン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、それらの混合溶媒等が挙げられる。
【0060】
本明細書中、「炭化水素溶媒(又は脂肪族炭化水素溶媒)に可溶」とは、25℃下で炭化水素溶媒(又は脂肪族炭化水素溶媒)と本発明の組成物との溶液において、本発明の組成物が、5重量%以上の濃度で溶解し、透明の均一溶液を形成することを意味する。また、「炭化水素溶媒(又は脂肪族炭化水素溶媒)に易溶」とは、25℃下で炭化水素溶媒(又は脂肪族炭化水素溶媒)と本発明の組成物との溶液において、本発明の組成物が、20重量%以上(好ましくは、30重量%以上)の濃度で溶解し、透明の均一溶液を形成することを意味する。
【0061】
(本発明の組成物)
以下、本発明の組成物について説明する。
【0062】
本発明の組成物は、
(I)塩基A、又は
下記式(5):
【0063】
【0064】
[式中、R及びR’は、それぞれ独立して、置換されていてもよいC1-30アルキル基、置換されていてもよいC3-15シクロアルキル基又は置換されていてもよいC6-14アリール基を表す。]
で表される、総炭素数8以上の化合物、及び
(II)下記式(1):
【0065】
【0066】
[式中、R1、R2、R3及びR4は、それぞれ独立して、1個以上の、フッ素原子又はフルオロC1-4アルキル基で置換されたC6-14アリール基を表し、並びに
[A-H]+は、塩基A由来のカチオンを表す。
ここで、前記塩基Aは、
(i)同一又は異なる2個以上の、C1-30アルキル基又はC1-30アルコキシ基で置換された、総炭素数25以上の含窒素芳香族複素環化合物、又は
(ii)下記式(2):
【0067】
【0068】
(式中、Arは、置換されていてもよいC6-14アリール基を表し、並びに
R5及びR6は、それぞれ独立して、置換されていてもよいC1-30アルキル基を表す。)で表される、総炭素数25以上の芳香族アミン化合物を表す。]
で表される化合物を含有する組成物である。
【0069】
塩基Aの好ましい態様について、以下に説明する。
塩基Aの(i)の含窒素芳香族複素環化合物としては、同一又は異なる2個の、C9-30アルキル基又はC9-30アルコキシ基で置換された、5又は6員の単環式含窒素芳香族複素環化合物(例、ピロール、イミダゾール、ピラゾール、チアゾール、イソチアゾール、オキサゾール、イソオキサゾール、ピリジン、ピラジン、ピリミジン、ピリダジン、1,2,4-オキサジアゾール、1,3,4-オキサジアゾール、1,2,4-チアジアゾール、1,3,4-チアジアゾール、トリアゾール、テトラゾール、トリアジン等)が好ましく、同一又は異なる2個の、C14-30アルキル基又はC14-30アルコキシ基で置換された、ピリジン又はイミダゾールがより好ましい。
また、当該含窒素芳香族複素環化合物としては、総炭素数25以上が好ましく、総炭素数30以上がより好ましく、35以上がさらに好ましい。
【0070】
塩基Aとしての含窒素芳香族複素環化合物の好ましい具体例としては、例えば、2,5-ジノナデシルピリジン、2,6-ジノナデシルピリジン、2-ノナデシル-5-オクタデシルピリジン、2-ノナデシル-4-オクタデシルオキシピリジン、2-ノナデシル-6-オクタデシルオキシピリジン、4-ノナデシル-1-オクタデシルイミダゾール、5-ノナデシル-1-オクタデシルイミダゾール、2-ノナデシル-1-オクタデシルイミダゾール等が挙げられる。
【0071】
塩基Aの(i)の別の好ましい含窒素芳香族複素環化合物としては、同一又は異なる2個の、C9-30アルキル基又はC9-30アルコキシ基で置換された、2環式含窒素芳香族複素環化合物(例、ベンゾイミダゾール、ベンゾオキサゾール、ベンゾイソオキサゾール、ベンゾチアゾール、ベンゾイソチアゾール、ベンゾトリアゾール、イミダゾピリジン、チエノピリジン、フロピリジン、ピロロピリジン、ピラゾロピリジン、オキサゾロピリジン、チアゾロピリジン、イミダゾピラジン、イミダゾピリミジン、チエノピリミジン、フロピリミジン、ピロロピリミジン、ピラゾロピリミジン、オキサゾロピリミジン、チアゾロピリミジン、ピラゾロトリアジン、インドール、イソインドール、1H-インダゾール、プリン、イソキノリン、キノリン、フタラジン、ナフチリジン、キノキサリン、キナゾリン、シンノリン等)が挙げられ、中でも、同一又は異なる2個の、C9-30アルキル基又はC9-30アルコキシ基(さらに好ましくは、C14-30アルキル基又はC14-30アルコキシ基)で置換された、ベンゾイミダゾールがより好ましい。
また、当該含窒素芳香族複素環化合物としては、総炭素数25以上が好ましく、総炭素数30以上がより好ましく、35以上がさらに好ましい。
【0072】
塩基Aとしての別の好ましい含窒素芳香族複素環化合物の具体例としては、例えば、2,6-ジノナデシルベンゾイミダゾール、1,2-ジオクタデシルベンゾイミダゾール、1,2-ジヘプタデシルベンゾイミダゾール、2-ヘプタデシル-1-オクタデシルベンゾイミダゾール、1-ヘプタデシル-2-オクタデシルベンゾイミダゾール等が挙げられる。
【0073】
塩基Aの(ii)の式(2)で表される芳香族アミン化合物(以下、「化合物(2)」とも言う。)としては、
前記式(2)中のArは、好ましくは、ハロゲン原子、シアノ基、C1-30アルキル基、ハロC1-6アルキル基、C1-30アルコキシ基、及びハロC1-6アルコキシ基からなる群より選択される置換基で置換されていてもよいC6-14アリール基であり、より好ましくは、ハロゲン原子、C1-30アルキル基、C1-30アルコキシ基及びハロC1-6アルキル基からなる群より選択される置換基で置換されていてもよい、フェニル基、1-ナフチル基又は2-ナフチル基(特に好ましくは、フェニル基)である。また、Arの別の好ましい態様としては、ハロゲン原子、C1-6アルキル基、C1-6アルコキシ基及びハロC1-6アルキル基からなる群より選択される置換基で置換されていてもよいフェニル基である。
化合物(2)の総炭素数は、好ましくは、30以上であり、より好ましくは、35以上である。
【0074】
前記式(2)中のR5及びR6は、好ましくは、それぞれ独立して、ハロゲン原子(例、フッ素原子)で置換されていてもよいC1-30アルキル基であり、より好ましくは、それぞれ独立して、C1-30アルキル基であり、さらに好ましくはC9-30アルキル基であり、特に好ましくは、同一のC14-30アルキル基である。
【0075】
好適な化合物(2)としては、以下の化合物が挙げられる。
[化合物(2-1)]
前記式(2)中の
Arが、ハロゲン原子、シアノ基、C1-30アルキル基、ハロC1-6アルキル基、C1-30アルコキシ基、及びハロC1-6アルコキシ基からなる群より選択される置換基で置換されていてもよいC6-14アリール基であり、
R5及びR6が、それぞれ独立して、ハロゲン原子(例、フッ素原子)で置換されていてもよいC1-30アルキル基であり、且つ
総炭素数25以上(好ましくは、30以上)である、化合物(2)。
【0076】
[化合物(2-2)]
前記式(2)中の
Arが、ハロゲン原子、C1-30アルキル基、C1-30アルコキシ基及びハロC1-6アルキル基からなる群より選択される置換基で置換されていてもよい、フェニル基、1-ナフチル基又は2-ナフチル基(好ましくは、フェニル基)であり、
R5及びR6が、それぞれ独立して、C1-30アルキル基であり、且つ
総炭素数35以上である、化合物(2)。
【0077】
[化合物(2-3)]
前記式(2)中の
Arが、フェニル基であり、
R5及びR6が、同一のC14-30アルキル基であり、且つ
総炭素数35以上である、化合物(2)。
【0078】
化合物(2)の好ましい具体例としては、例えば、N,N-ジヘキサデシルアニリン、N,N-ジオクタデシルアニリン、N,N-ジドコシルアニリン等が挙げられる。
【0079】
塩基Aとしては、市販品をそのまま使用してもよく、又は以下に示される製造方法により得られた化合物を使用することもできる。
【0080】
(塩基A(化合物(2))の製造方法)
化合物(2)は、下式:
【0081】
【0082】
(式中、Xは、ハロゲン原子を表し、他の記号の定義は、前記と同義である。)
で示されるように、塩基存在下、反応に影響を及ぼさない溶媒中で、アニリン誘導体(a1)とハロゲン化アルキル(R5-X及びR6-X)を順次反応させることによって製造することができる。
【0083】
R5とR6が同じ基である場合には、アニリン誘導体(a1)から一工程で化合物(2)を製造することができる。
【0084】
ハロゲン化アルキル(R5-X又はR6-X)の使用量は、アニリン誘導体((a1)又は(a2))1モルに対して、1~2モル(好ましくは、1~1.2モル)である。
R5とR6が同じ基である場合には、ハロゲン化アルキルの使用量は、アニリン誘導体(a1)1モルに対して、2~4モル(好ましくは、2~3モル)である。
反応溶媒としては、特に限定されないが、例えば、テトラヒドロフラン、ジエトキシエタン等のエーテル系溶媒、トルエン、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド等が好ましい。
塩基としては、例えば、水素化ナトリウム、炭酸カリウム、tert-ブトキシカリウム等が挙げられる。塩基の使用量は、アニリン誘導体((a1)又は(a2))1モルに対して、1~2モル(好ましくは、1~1.2モル)である。
反応温度は、室温から180℃が好ましい。
反応時間は、通常、1時間から48時間である。
【0085】
(塩基A(同一又は異なる2個以上の、C1-30アルキル基又はC1-30アルコキシ基で置換された、総炭素数25以上の含窒素芳香族複素環化合物)の製造方法)
前記総炭素数25以上の含窒素芳香族複素環化合物は、下式:
【0086】
【0087】
(式中、式:
【0088】
【0089】
で表される基は、含窒素芳香族複素環基を表し、X’は、ハロゲン原子を表し、R7は、置換されていてもよいC1-30アルキル基を表し、n1は、2以上の整数を表す。)で示されるように、反応に影響を及ぼさない溶媒中で、塩基存在下、化合物(a3)にホスホニウム塩(R7-CH2PPh3X’)を反応させることにより化合物(a4)を得(工程1)、還元剤との反応(工程2)により塩基(A2)を製造することができる。
【0090】
前記工程1において、使用される塩基としては、例えば、水素化ナトリウム、炭酸カリウム、tert-ブトキシカリウム等が挙げられる。
塩基の使用量は、化合物(a3)のホルミル基の当量(1モル)に対して、1~2モル(好ましくは、1~1.2モル)である。
使用されるホスホニウム塩(R7-CH2PPh3X’)の使用量も、化合物(a3)のホルミル基の当量(1モル)に対して、1~2モル(好ましくは、1~1.2モル)である。
工程1の反応溶媒としては、特に限定されないが、例えば、テトラヒドロフラン、ジエトキシエタン等のエーテル系溶媒、トルエン等の芳香族炭化水素溶媒、ヘキサン等の脂肪族炭化水素溶媒、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド等が好ましい。
工程1の反応温度は、室温から180℃が好ましい。
工程1の反応時間は、通常、0.5時間から48時間である。
【0091】
前記工程2においては、還元剤として、例えば、金属触媒存在下、水素、ギ酸アンモニウム、塩化アンモニウム等を使用することができる。当該金属触媒としては、Pd/C,Pt/C等の遷移金属触媒が好ましい。
金属触媒の使用量は、化合物(a4)の二重結合1モルに対して、0.001~1.0モル(好ましくは、0.01~0.5モル)である。
工程2の反応溶媒としては、特に限定されないが、例えば、ヘキサン、トルエン、テトラヒドロフラン、エタノール等が好ましく、それらの混合溶媒を用いてもよい。
工程2の還元反応は、反応の進行状況に応じて、常圧、中圧等の条件を適宜選択することができる。
工程2の反応温度は、室温から180℃が好ましい。
工程2の反応時間は、通常、1時間から72時間である。
【0092】
前記式(5)で表される化合物(以下、「化合物(5)」とも言う。)の好ましい態様について、以下に説明する。
【0093】
以下、化合物(5)の各基について説明する。
【0094】
R及びR’の総炭素数は、8以上であり、好ましくは、16以上である。R及びR’の総炭素数は、20以上、25以上、または28以上であってもよい。また、R及びR’の総炭素数は、32以下であることが好ましい。
R及びR’は、それぞれ独立して、置換されていてもよいC1-30アルキル基、置換されていてもよいC3-15シクロアルキル基又は置換されていてもよいC6-14アリール基であり、好ましくは、それぞれ独立して、
(1)ハロゲン原子、
(2)C1-30アルコキシ基及び
(3)ハロC1-30アルコキシ基
からなる群より選択される置換基で置換されていてもよいC1-30アルキル基;
(1)ハロゲン原子、
(2)C1-30アルキル基、
(3)C1-30アルコキシ基、
(4)ハロC1-30アルキル基及び
(5)ハロC1-30アルコキシ基
からなる群より選択される置換基で置換されていてもよいC3-15シクロアルキル基;又は
(1)ハロゲン原子、
(2)C1-30アルキル基、
(3)C1-30アルコキシ基、
(4)ハロC1-30アルキル基及び
(5)ハロC1-30アルコキシ基
からなる群より選択される置換基で置換されていてもよいC6-14アリール基
であり、より好ましくは、それぞれ独立して、C1-30アルキル基;C3-8シクロアルキル基(例、シクロペンチル、シクロヘキシル等);又は
(1)ハロゲン原子、
(2)C1-6アルキル基、
(3)C1-6アルコキシ基、
(4)ハロC1-6アルキル基及び
(5)ハロC1-6アルコキシ基
からなる群より選択される置換基で置換されていてもよいフェニル基であり、さらに好ましくは、それぞれ独立して、C1-30アルキル基(好ましくは、メチル、ブチル、ヘキシル、オクチル、デシル、ドデシル、テトラデシル、ヘキサデシル、オクタデシル等のC1-18アルキル基)であり、特に好ましくは、それぞれ独立して、C14-30アルキル基である。
【0095】
好適な化合物(5)としては、以下の化合物が挙げられる。
【0096】
[化合物(5-1)]
前記式(5)中の
R及びR’が、それぞれ独立して、C1-30アルキル基であり、且つ
R及びR’の総炭素数が、8以上である、
化合物(5)。
【0097】
[化合物(5-2)]
前記式(5)中の
R及びR’が、それぞれ独立して、C1-30アルキル基であり、且つ
R及びR’の総炭素数が、10以上である、
化合物(5)。
【0098】
[化合物(5-3)]
前記式(5)中の
R及びR’が、それぞれ独立して、
(1)ハロゲン原子、
(2)C1-30アルコキシ基及び
(3)ハロC1-30アルコキシ基
からなる群より選択される置換基で置換されていてもよいC1-30アルキル基;
(1)ハロゲン原子、
(2)C1-30アルキル基、
(3)C1-30アルコキシ基、
(4)ハロC1-30アルキル基及び
(5)ハロC1-30アルコキシ基
からなる群より選択される置換基で置換されていてもよいC3-15シクロアルキル基;又は
(1)ハロゲン原子、
(2)C1-30アルキル基、
(3)C1-30アルコキシ基、
(4)ハロC1-30アルキル基及び
(5)ハロC1-30アルコキシ基
からなる群より選択される置換基で置換されていてもよいC6-14アリール基
であり、且つ
R及びR’の総炭素数が、16以上である、
化合物(5)。
【0099】
[化合物(5-4)]
前記式(5)中の
R及びR’が、それぞれ独立して、C1-30アルキル基、又は
(1)ハロゲン原子、
(2)C1-30アルキル基、
(3)C1-30アルコキシ基、
(4)ハロC1-30アルキル基及び
(5)ハロC1-30アルコキシ基
からなる群より選択される置換基で置換されていてもよいC6-14アリール基
であり、且つ
R及びR’の総炭素数が、16以上である、
化合物(5)。
【0100】
[化合物(5-5)]
前記式(5)中の
R及びR’が、それぞれ独立して、
C1-30アルキル基、
C3-8シクロアルキル基(例、シクロペンチル、シクロヘキシル等)、又は
(1)ハロゲン原子、
(2)C1-6アルキル基、
(3)C1-6アルコキシ基、
(4)ハロC1-6アルキル基及び
(5)ハロC1-6アルコキシ基
からなる群より選択される置換基で置換されていてもよいフェニル基
であり、且つ
R及びR’の総炭素数が、16以上である、
化合物(5)。
【0101】
[化合物(5-6)]
前記式(5)中の
R及びR’が、それぞれ独立して、C1-30アルキル基であり、且つ
R及びR’の総炭素数が、16以上である、
化合物(5)。
【0102】
化合物(5)の好ましい具体例としては、例えば、ジブチルエーテル、ジヘキシルエーテル、ジオクチルエーテル、ジデシルエーテル、ジドデシルエーテル、ジテトラデシルエーテル、ジヘキサデシルエーテル、ジオクタデシルエーテル、ドコシルエチルエーテル、テトラデシロキシエチルテトラデシルエーテル、シクロペンチルメチルエーテル、ジフェニルエーテル、オクタデシルフェニルエーテル等が挙げられ、中でも、ジブチルエーテル、ジヘキシルエーテル、ジオクチルエーテル、ジデシルエーテル、ジドデシルエーテル、ジテトラデシルエーテル、ジヘキサデシルエーテル、ジオクタデシルエーテル、ジノナデシルエーテル等のR及びR’が、それぞれ独立して、C1-30アルキル基であり、且つR及びR’の総炭素数が、8以上である、化合物(5)がより好ましく、ジテトラデシルエーテル、ジヘキサデシルエーテル、ジオクタデシルエーテル、ジノナデシルエーテル等のR及びR’が、それぞれ独立して、C14-30アルキル基であり、且つR及びR’の総炭素数が、16以上、32以下である、化合物(5)がより好ましい。
【0103】
R及びR’の総炭素数が7以下である化合物(5)は、沸点が低いことから工業的にその含有量を制御することが困難であることが懸念され、且つ触媒毒となり得るため、好ましくない。
【0104】
式(1)で表される化合物(以下、「化合物(1)」とも言う。)の好ましい態様について、以下に説明する。
【0105】
以下、化合物(1)の各基について説明する。
【0106】
R1、R2、R3及びR4は、好ましくは、それぞれ独立して、1個以上の、フッ素原子又はフルオロC1-4アルキル基(例、トリフルオロメチル基)で置換された、フェニル基、1-ナフチル基、2-ナフチル基、2-ビフェニリル基、3-ビフェニリル基、4-ビフェニリル基、1-アントリル基、2-アントリル基、9-アントリル基、3-フェナントリル基又は9-フェナントリル基であり、より好ましくは、それぞれ独立して、1個以上の、フッ素原子又はトリフルオロメチル基で置換された、フェニル基、1-ナフチル基又は2-ナフチル基であり、特に好ましくは、R1、R2、R3及びR4が全て同一の、ペンタフルオロフェニル基、2,2’,3,3’,4’,5,5’,6,6’-ノナフルオロ-4-(1,1’-ビフェニリル)基、2,3,4,5,6,7,8-ヘプタフルオロ-1-ナフチル基又は1,3,4,5,6,7,8-ヘプタフルオロ-2-ナフチル基である。
【0107】
塩基A由来のカチオンである[A-H]+中のAの好ましい態様は、前記と同様である。
【0108】
好適な化合物(1)としては、以下の化合物が挙げられる。
[化合物(1-1)]
前記式(1)中の
R1、R2、R3及びR4が、それぞれ独立して、1個以上の、フッ素原子又はフルオロC1-4アルキル基(例、トリフルオロメチル基)で置換された、フェニル基、1-ナフチル基、2-ナフチル基、2-ビフェニリル基、3-ビフェニリル基、4-ビフェニリル基、1-アントリル基、2-アントリル基、9-アントリル基、3-フェナントリル基又は9-フェナントリル基であり、
Aが、前記式(2)で表され、式(2)中の
Arが、ハロゲン原子、シアノ基、C1-30アルキル基、ハロC1-6アルキル基、C1-30アルコキシ基、及びハロC1-6アルコキシ基からなる群より選択される置換基で置換されていてもよいC6-14アリール基であり、
R5及びR6が、それぞれ独立して、ハロゲン原子(例、フッ素原子)で置換されていてもよいC1-30アルキル基であり、且つ
総炭素数が、25以上(好ましくは、30以上)である、化合物(1)。
【0109】
[化合物(1-2)]
前記式(1)中の
R1、R2、R3及びR4が、それぞれ独立して、1個以上の、フッ素原子又はトリフルオロメチル基で置換された、フェニル基、1-ナフチル基又は2-ナフチル基であり、
Aが、前記式(2)で表され、式(2)中の
Arが、ハロゲン原子、C1-30アルキル基、C1-30アルコキシ基及びハロC1-6アルキル基からなる群より選択される置換基で置換されていてもよい、フェニル基、1-ナフチル基又は2-ナフチル基(好ましくは、フェニル基)であり、
R5及びR6が、それぞれ独立して、C1-30アルキル基であり、且つ
総炭素数が、35以上である、化合物(1)。
【0110】
[化合物(1-3)]
前記式(1)中の
R1、R2、R3及びR4が、全て同一の、ペンタフルオロフェニル基、2,2’,3,3’,4’,5,5’,6,6’-ノナフルオロ-4-(1,1’-ビフェニリル)基、2,3,4,5,6,7,8-ヘプタフルオロ-1-ナフチル基又は1,3,4,5,6,7,8-ヘプタフルオロ-2-ナフチル基であり、
Aが、前記式(2)で表され、式(2)中の
Arが、フェニル基であり、
R5及びR6が、同一のC14-30アルキル基であり、且つ
総炭素数が、35以上である、化合物(1)。
【0111】
[化合物(1-4)]
前記式(1)中の
R1、R2、R3及びR4が、それぞれ独立して、1個以上の、フッ素原子又はフルオロC1-4アルキル基(例、トリフルオロメチル基)で置換された、フェニル基、1-ナフチル基、2-ナフチル基、2-ビフェニリル基、3-ビフェニリル基、4-ビフェニリル基、1-アントリル基、2-アントリル基、9-アントリル基、3-フェナントリル基、又は9-フェナントリル基であり、
Aが、同一又は異なる2個以上の、C9-30アルキル基又はC9-30アルコキシ基で置換された、5又は6員の単環式含窒素芳香族複素環化合物(例、ピロール、イミダゾール、ピラゾール、チアゾール、イソチアゾール、オキサゾール、イソオキサゾール、ピリジン、ピラジン、ピリミジン、ピリダジン、1,2,4-オキサジアゾール、1,3,4-オキサジアゾール、1,2,4-チアジアゾール、1,3,4-チアジアゾール、トリアゾール、テトラゾール、トリアジン等)であり、且つ
総炭素数が、25以上(好ましくは、30以上)である、化合物(1)。
【0112】
[化合物(1-5)]
前記式(1)中の
R1、R2、R3及びR4が、それぞれ独立して、1個以上の、フッ素原子又はトリフルオロメチル基で置換された、フェニル基、1-ナフチル基又は2-ナフチル基であり、
Aが、同一又は異なる2個の、C14-30アルキル基又はC14-30アルコキシ基で置換された、ピリジン又はイミダゾール(好ましくは、2,5-ジノナデシルピリジン、2,6-ジノナデシルピリジン、2-ノナデシル-5-オクタデシルピリジン、2-ノナデシル-4-オクタデシルオキシピリジン、2-ノナデシル-6-オクタデシルオキシピリジン、4-ノナデシル-1-オクタデシルイミダゾール、5-ノナデシル-1-オクタデシルイミダゾール、又は2-ノナデシル-1-オクタデシルイミダゾール)であり、且つ
総炭素数が、35以上である、化合物(1)。
【0113】
[化合物(1-6)]
前記式(1)中の
R1、R2、R3及びR4が、全て同一の、ペンタフルオロフェニル基、2,2’,3,3’,4’,5,5’,6,6’-ノナフルオロ-4-(1,1’-ビフェニリル)基、2,3,4,5,6,7,8-ヘプタフルオロ-1-ナフチル基又は1,3,4,5,6,7,8-ヘプタフルオロ-2-ナフチル基(好ましくは、ペンタフルオロフェニル基)であり、
Aが、同一又は異なる2個の、C14-30アルキル基又はC14-30アルコキシ基で置換されたピリジン(好ましくは、2,5-ジノナデシルピリジン、2,6-ジノナデシルピリジン、2-ノナデシル-5-オクタデシルピリジン、2-ノナデシル-4-オクタデシルオキシピリジン又は2-ノナデシル-6-オクタデシルオキシピリジン)であり、且つ
総炭素数が、35以上である、化合物(1)。
【0114】
[化合物(1-7)]
前記式(1)中の
R1、R2、R3及びR4が、それぞれ独立して、1個以上の、フッ素原子又はフルオロC1-4アルキル基(例、トリフルオロメチル基)で置換された、フェニル基、1-ナフチル基、2-ナフチル基、2-ビフェニリル基、3-ビフェニリル基、4-ビフェニリル基、1-アントリル基、2-アントリル基、9-アントリル基、3-フェナントリル基、又は9-フェナントリル基であり、
Aが、同一又は異なる2個以上の、C9-30アルキル基又はC9-30アルコキシ基で置換された、2環式含窒素芳香族複素環化合物(例、ベンゾイミダゾール、ベンゾオキサゾール、ベンゾイソオキサゾール、ベンゾチアゾール、ベンゾイソチアゾール、ベンゾトリアゾール、イミダゾピリジン、チエノピリジン、フロピリジン、ピロロピリジン、ピラゾロピリジン、オキサゾロピリジン、チアゾロピリジン、イミダゾピラジン、イミダゾピリミジン、チエノピリミジン、フロピリミジン、ピロロピリミジン、ピラゾロピリミジン、オキサゾロピリミジン、チアゾロピリミジン、ピラゾロトリアジン、インドール、イソインドール、1H-インダゾール、プリン、イソキノリン、キノリン、フタラジン、ナフチリジン、キノキサリン、キナゾリン、シンノリン等)であり、且つ
総炭素数が、25以上(好ましくは、30以上)である、化合物(1)。
【0115】
[化合物(1-8)]
前記式(1)中の
R1、R2、R3及びR4が、それぞれ独立して、1個以上の、フッ素原子又はトリフルオロメチル基で置換された、フェニル基、1-ナフチル基又は2-ナフチル基であり、
Aが、同一又は異なる2個の、C14-30アルキル基又はC14-30アルコキシ基で置換されたベンゾイミダゾール(好ましくは、2,6-ジノナデシルベンゾイミダゾール、1,2-ジオクタデシルベンゾイミダゾール、1,2-ジヘプタデシルベンゾイミダゾール、2-ヘプタデシル-1-オクタデシルベンゾイミダゾール又は1-ヘプタデシル-2-オクタデシルベンゾイミダゾール)であり、且つ
総炭素数が、35以上である、化合物(1)。
【0116】
[化合物(1-9)]
前記式(1)中の
R1、R2、R3及びR4が、全て同一の、ペンタフルオロフェニル基、2,2’,3,3’,4’,5,5’,6,6’-ノナフルオロ-4-(1,1’-ビフェニリル)基、2,3,4,5,6,7,8-ヘプタフルオロ-1-ナフチル基又は1,3,4,5,6,7,8-ヘプタフルオロ-2-ナフチル基(好ましくは、ペンタフルオロフェニル基)であり、
Aが、同一又は異なる2個の、C14-30アルキル基又はC14-30アルコキシ基で置換されたベンゾイミダゾール(好ましくは、2,6-ジノナデシルベンゾイミダゾール、1,2-ジオクタデシルベンゾイミダゾール、1,2-ジヘプタデシルベンゾイミダゾール、2-ヘプタデシル-1-オクタデシルベンゾイミダゾール又は1-ヘプタデシル-2-オクタデシルベンゾイミダゾール)であり、且つ
総炭素数が、35以上である、化合物(1)。
【0117】
化合物(1)の好ましい具体例としては、例えば、N,N-ジオクタデシルアニリニウム テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、2,6-ジノナデシルピリジニウム テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、2-ノナデシル-5-オクタデシルオキシピリジニウム テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、4-ノナデシル-1-オクタデシルイミダゾリウム テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、5-ノナデシル-1-オクタデシルイミダゾリウム テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、2-ノナデシル-1-オクタデシルイミダゾリウム テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、1-ヘプタデシル-2-オクタデシルベンゾイミダゾリウム テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、2-ヘプタデシル-1-オクタデシルベンゾイミダゾリウム テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート等が挙げられる。
【0118】
化合物(1)の別の好ましい具体例としては、例えば、2,6-ジノナデシルベンゾイミダゾリウム テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、1,2-ジオクタデシルベンゾイミダゾリウム テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、1,2-ジヘプタデシルベンゾイミダゾリウム テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、2-ヘプタデシル-1-オクタデシルベンゾイミダゾリウム テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、1-ヘプタデシル-2-オクタデシルベンゾイミダゾリウム テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、2-ヘプタデシル-1-オクタデシルベンゾイミダゾリウム テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート等が挙げられる。
【0119】
本発明の組成物において、塩基Aと、化合物(1)における[A-H]+を構成するAは、好ましくは、同一である。また、[A-H]+の好ましい態様は、前記塩基Aの好ましい態様のそれぞれにプロトンが付加したカチオンが挙げられる。
【0120】
本発明の組成物において、塩基Aの含量は、化合物(1)1モルに対して、通常0.01~10モルであり、好ましくは、0.01~2モルであり、より好ましくは、0.01~1モルであり、特に好ましくは、0.01~0.5モルである。
【0121】
本発明の組成物において、化合物(5)と、化合物(1)の配合量比は、特に限定されないが、脂肪族炭化水素溶媒に対する溶解性向上の観点から、化合物(5)の含有量は、化合物(1)1モルに対して0.1モル以上であり、好ましくは、0.1~10モルの範囲であり、より好ましくは、0.1~3モルの範囲である。
【0122】
本発明の組成物は、室温(15~30℃)下で炭化水素溶媒に可溶である。また、従来公知のボレート型助触媒は、n-ヘキサン等の脂肪族炭化水素溶媒に不溶であるのに対し、本発明の組成物は、脂肪族炭化水素溶媒に対しても良好な溶解性を示すことから、均一系のオレフィンやジエンの重合反応の助触媒として有用である。
【0123】
(本発明の組成物の製造方法)
以下、本発明の組成物の製造方法(以下、「本発明の製造方法」とも言う。)について説明する。
【0124】
本発明の組成物は、総炭素数が、7以下のエーテル化合物と錯体を形成して触媒毒となり得る、後述する式(3)で表される水素化ボレート化合物(例えば、水素化テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート)、又は後述するテトラ置換されたボレート化合物の金属塩(例えば、リチウム テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート)を含有しないことが好ましい。また、本発明の組成物は、触媒毒となり得る、総炭素数が、7以下のエーテル化合物を含有しないことが好ましい。総炭素数が、7以下のエーテル化合物を含有しないとは、1H-NMR分析の結果、総炭素数が、7以下のエーテル化合物が検出されないことを意味する。
【0125】
本発明の製造方法(以下、「本発明の製造方法1」とも言う。)は、下記式(3):
【0126】
【0127】
[式中のR1、R2、R3及びR4の定義は、前記と同義である。]
で表される水素化ボレート化合物(以下、「化合物(3)」とも言う。)と前記塩基Aとを反応させる工程を含み、且つ化合物(3)1モルに対して1モルを超える量の塩基Aを用いることを特徴とする。
【0128】
上記製造方法において、原料として用いられる化合物(3)としては、例えば、水素化テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、水素化テトラキス(ノナフルオロ[1,1’-ビフェニル]―4-イル)ボレート、水素化テトラキス(ヘプタフルオロ―2-ナフチル)ボレート、水素化[3,5-ビス(トリフルオロメチル)フェニル]ボレート等の公知化合物が挙げられる。
【0129】
化合物(3)の製造方法としては、特に限定されないが、例えば、式(4):
【0130】
【0131】
[式中、R1、R2、R3及びR4は、それぞれ独立して、1個以上の、フッ素原子又はフルオロC1-4アルキル基で置換されたC6-14アリール基を表し、
Mは、リチウム、カリウム、ナトリウム等のアルカリ金属、又はカルシウム、マグネシウム、バリウム等のアルカリ土類金属を表し、及び
nは、1又は2を表す。]で表される化合物(以下、「化合物(4)」とも言う。)をプロトン酸で処理する方法等が挙げられる。
【0132】
化合物(3)の製造に使用される前記化合物(4)は、市販品や精製品を用いてもよいし、自体公知の方法(例えば、Angew.Chem.Int.Ed.,2009,48(40),7444-7447参照)により調製したものを用いてもよい。
【0133】
化合物(3)の製造の際に使用される溶媒としては、特に限定されないが、ジエチルエーテル、tert-ブチルメチルエーテル、シクロペンチルメチルエーテル、ジイソプロピルエーテル等のエーテル溶媒、ジクロロメタン、クロロホルム等のハロゲン系溶媒、トルエン、ベンゼン等の芳香族炭化水素溶媒、n-ヘキサン、イソヘキサン、n-ヘプタン、オクタン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン等の脂肪族炭化水素溶媒を用いることが望ましい。また、これら溶媒を単独または混合して使用してもよい。
【0134】
また、化合物(4)を処理する際に使用されるプロトン酸としては、特に限定されないが、例えば、塩酸、硫酸、硝酸、臭化水素酸、ヨウ化水素酸等が挙げられる。
【0135】
化合物(3)の製造に使用されるプロトン酸の使用量は、化合物(4)1モルに対して1モルであることが望ましい。1モル以上のプロトン酸を使用する場合は、処理後の有機相に使用したプロトン酸が残存しないように、水洗後の水相のpHが3以上になるまで有機相を水洗することが好ましい。水相のpHが3未満の場合には、有機相に使用したプロトン酸塩が残存し、塩基Aとの反応において、塩基Aのプロトン酸塩が生成し、本発明の組成物中に残存することで、重合時の触媒毒となることが懸念される。
【0136】
本発明の製造方法1においては、上記のように調製された化合物(3)の溶液を、そのまま塩基Aとの反応に使用することができる。
【0137】
本発明の製造方法1に使用される塩基Aとしては、前記した総炭素数25以上(好ましくは、30以上、より好ましくは、35以上)の化合物が挙げられる。塩基Aの具体例としては、例えば、2,5-ジノナデシルピリジン、2,6-ジノナデシルピリジン、2-ノナデシル-5-オクタデシルピリジン、2-ノナデシル-4-オクタデシルオキシピリジン、2-ノナデシル-6-オクタデシルオキシピリジン、4-ノナデシル-1-オクタデシルイミダゾール、5-ノナデシル-1-オクタデシルイミダゾール、2-ノナデシル-1-オクタデシルイミダゾール等の含窒素芳香族複素環化合物;N,N-ジヘキサデシルアニリン、N,N-ジオクタデシルアニリン、N,N-ジノナデシルアニリン、N,N-ジドコシルアニリン等の芳香族アミン化合物等が挙げられる。
【0138】
中でも、化合物(3)と、C9-30アルキル基(好ましくは、C14-30アルキル基)又はC9-30アルコキシ基(好ましくは、C14-30アルコキシ基)を2個以上有する塩基Aとの反応により得られる、塩基A及び化合物(1)を含有する組成物は、脂肪族炭化水素溶媒にも可溶となる。
【0139】
本発明の製造方法1においては、化合物(3)1モルに対して1モルを超える量の塩基Aが用いられる。そうすることにより、未反応の化合物(3)が生成物である組成物中に残存することを抑制できる。化合物(3)1モルに対する塩基Aの使用量は、1.01~5.0モルの範囲であり、好ましくは、1.01~2.0モルの範囲であり、特に好ましくは、1.01~1.5モルである。塩基Aの量が1.0モル以下の場合は、総炭素数が、7以下のエーテル溶媒(すなわち、エーテル化合物)又は水が付加した化合物(3)が生成物である組成物中残存し、重合用助触媒として使用した際に、総炭素数が、7以下のエーテル化合物又は水が付加した化合物(3)が触媒毒として作用する懸念がある。また、塩基Aの使用量が、化合物(3)に対して1モルの場合には、本発明の組成物の脂肪族炭化水素溶媒に対する溶解度が低下する。
【0140】
本発明の製造方法1における、反応温度及び時間は特に限定されないが、反応温度は、通常、10℃~40℃、好ましくは、10℃~35℃、より好ましくは、室温(15℃~30℃)であり、時間は、10分以上である。
【0141】
化合物(3)と塩基Aとの反応終了後、反応液を無水硫酸ナトリウム、無水硫酸マグネシウム等の乾燥剤で脱水した後、溶媒を除去することにより、塩基A及び化合物(1)を含有する組成物を得ることができる。
【0142】
また、別法として、化合物(3)と塩基Aとの反応終了後、反応溶媒の一部を留去することにより、又は溶媒希釈、溶媒留去(溶媒置換)を単回、又は複数回行うことにより、塩基A及び化合物(1)を含有する組成物の溶液を得ることができる。
【0143】
前記化合物(3)の好ましい態様は、前記化合物(1)におけるアニオン部分の好ましい態様(化合物(1-1)~化合物(1-9)のアニオン部分)に準ずる。
【0144】
好適な化合物(4)としては、以下の化合物が挙げられる。
[化合物(4-1)]
前記式(4)中の
R1、R2、R3及びR4が、それぞれ独立して、1個以上の、フッ素原子又はフルオロC1-4アルキル基(例、トリフルオロメチル基)で置換された、フェニル基、1-ナフチル基、2-ナフチル基、2-ビフェニリル基、3-ビフェニリル基、4-ビフェニリル基、1-アントリル基、2-アントリル基、9-アントリル基、3-フェナントリル基又は9-フェナントリル基であり、
Mが、リチウム、ナトリウム、カリウム、カルシウム、マグネシウム又はバリウムであり、且つ
nが、1又は2である、化合物(4)。
【0145】
[化合物(4-2)]
前記式(4)中の
R1、R2、R3及びR4が、それぞれ独立して、1個以上の、フッ素原子又はトリフルオロメチル基で置換された、フェニル基、1-ナフチル基又は2-ナフチル基であり、
Mが、リチウム、ナトリウム又はカリウムであり、且つ
nが、1である、化合物(4)。
【0146】
[化合物(4-3)]
前記式(4)中の
R1、R2、R3及びR4が、全て同一の、ペンタフルオロフェニル基、2,2’,3,3’,4’,5,5’,6,6’-ノナフルオロ-4-(1,1’-ビフェニリル)基、2,3,4,5,6,7,8-ヘプタフルオロ-1-ナフチル基又は1,3,4,5,6,7,8-ヘプタフルオロ-2-ナフチル基であり、
Mが、リチウム又はナトリウムであり、且つ
nが、1である、化合物(4)。
【0147】
化合物(4)の好ましい具体例としては、例えば、リチウム テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、ナトリウム テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、リチウム テトラキス(ノナフルオロ[1,1’-ビフェニル]―4-イル)ボレート、リチウム テトラキス(ヘプタフルオロ―2-ナフチル)ボレート、リチウム [3,5-ビス(トリフルオロメチル)フェニル]ボレート、ナトリウム [3,5-ビス(トリフルオロメチル)フェニル]ボレート、リチウム テトラキス(2,3,4,5,6,7,8-ヘプタフルオロ-1-ナフチル)ボレート、リチウム テトラキス(1,3,4,5,6,7,8-ヘプタフルオロ-2-ナフチル)ボレート、ナトリウム テトラキス(2,3,4,5,6,7,8-ヘプタフルオロ-1-ナフチル)ボレート、ナトリウム テトラキス(1,3,4,5,6,7,8-ヘプタフルオロ-2-ナフチル)ボレート等の公知化合物が挙げられる。
【0148】
本発明の製造方法の別の好ましい態様として、以下の製造方法(本発明の製造方法2及び製造方法3)が挙げられる。
【0149】
(本発明の製造方法2)
本発明の組成物は、下記式:
【0150】
【0151】
(式中の各記号は、前記と同義である。)
で表されるように、反応に影響を及ぼさない溶媒中で塩基Aとプロトン酸及び前記化合物(4)を、順序を問わず順次、又は同時に混合し、撹拌することにより製造することができる。
【0152】
本発明の製造方法2に使用する塩基A、プロトン酸及び化合物(4)の使用量、反応溶媒、反応温度、反応時間等は、前記した本発明の製造方法1に準ずる。
【0153】
(本発明の製造方法3)
本発明の組成物は、下記式:
【0154】
【0155】
(式中の各記号は、前記と同義である。)
で表されるように、反応に影響を及ぼさない溶媒中で化合物(4)1モルに対して1モルの塩基Aと1モルのプロトン酸及び前記化合物(4)を、順序を問わず順次、又は同時に混合し、撹拌した後に、前記化合物(5)を混合することにより製造することができる。
【0156】
本発明の製造方法3に使用する化合物(5)の使用量は、化合物(1)(化合物(4))1モルに対して、0.1モル以上であり、好ましくは、0.1~10モルであり、より好ましくは、0.1~3モルの範囲である。化合物(5)の量が0.1モル未満の場合、本発明の組成物の溶解性が低下する。また、本発明の製造方法3に使用する塩基A、プロトン酸、及び化合物(4)の種類、使用量、反応溶媒、反応温度、反応時間等は、前記した本発明の製造方法1に準ずる。
【0157】
本発明の組成物は、塩基A又は化合物(5)、及び化合物(1)を含有し、炭化水素溶媒、特に脂肪族炭化水素溶媒に可溶(又は易溶)であり、且つ、塩基性及び求核性の高いアミン化合物、塩基Aのプロトン酸塩、総炭素数が、7以下のエーテル化合物等の触媒毒となり得る化合物を含有しない。そのため、オレフィンやジエンの重合用助触媒として有用である。
【0158】
本発明は、本発明の組成物を助触媒として使用して、オレフィン及びジエンから成る群から選ばれる少なくとも1種のモノマーを重合することを含む、重合体の製造方法を包含する。本発明の化合物(1)に類似のボレート化合物を助触媒として使用して、オレフィン及びジエンから成る群から選ばれる少なくとも1種のモノマーを重合することは、例えば、特許文献2に記載され公知であるので、本発明の組成物を助触媒として使用すること以外は、前記した特許文献2に記載の重合体の製造方法を参照して、本発明の重合体の製造方法を実施することができる。
【実施例】
【0159】
以下の製造例及び実施例により本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらの製造例及び実施例のみに限定されるものではない。%は、収率についてはmol/mol%を示し、その他については特記しない限り、重量%を示す。また、室温とは、特記しない限り、15℃から30℃の温度を示す。
【0160】
なお、分析に際しては下記機器を使用した。
1H-NMR及び19F-NMR:日本電子株式会社(JEOL)製400YH
また、下記実施例において使用した溶媒及び試薬は、特に明記していない場合は、シグマアルドリッチ、東京化成工業株式会社、富士フイルム和光純薬株式会社、純正化学株式会社、関東化学株式会社、コンビ・ブロックス社等の販売業者から購入した。NMR測定に使用した重溶媒は、ケンブリッジアイソトープ研究所から購入した。
【0161】
[実施例1]
N,N-ジオクタデシルアニリニウム テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート及びN,N-ジオクタデシルアニリンを含有する組成物
N,N-ジオクタデシルアニリン(4.3g,7.2mmol)及びリチウム テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレートの三ジエチルエーテル錯体(AGC若狭化学株式会社製)(5.0g,5.5mmol)をn-ヘキサン(50mL)に懸濁させた後、1.0M塩化水素-ジエチルエーテル溶液(5.5mL)を滴下し、室温下、3時間撹拌した。得られた懸濁液をろ過し、ろ液を50℃で減圧濃縮し、標題組成物(7.31g)を得た。
1H NMR (CDCl3) δ: 0.86-0.89 (6H, m), 1.17-1.48 (27H, m), 3.41 (4H, t), 7.23-7.26 (2H, m), 7.45-7.46 (3H, m);
19F NMR (CDCl3) δ: -133.8 (8F, t), -163.4 (4F, t), -167.4 (8F, t).
【0162】
実施例1で得られた組成物は、20重量%の濃度でn-ヘキサン及びシクロヘキサンに溶解することを確認した。
【0163】
[実施例2]
N,N-ジオクタデシルアニリニウム テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート及びN,N-ジオクタデシルアニリンを含有する組成物
N,N-ジオクタデシルアニリニウム テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート(128mg,0.1mmol)にn-ヘキサン(512mg)を加え、撹拌した(濃度20重量%)。得られた二層分離溶液に、N,N-ジオクタデシルアニリン(24mg,0.04mmol)を加えて撹拌し、N,N-ジオクタデシルアニリニウム テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート及びN,N-ジオクタデシルアニリンを含有する組成物の均一なn-ヘキサン溶液を得た。n-ヘキサンを減圧下留去し、50℃で減圧乾燥することにより、標題組成物を得た。
1H NMR (CDCl3) δ: 0.8 (6H, t), 1.10-1.50 (64H, m), 3.36-3.40 (4H, m), 7.10-7.12 (2H, m), 7.33-7.51 (3H, m);
19F NMR (CDCl3) δ: -133.8 (8F, t), -163.4 (4F, t), -167.5 (8F, t).
【0164】
実施例2で得られた組成物は、20重量%の濃度でn-ヘキサンに溶解することを確認した。
【0165】
[製造例1]
2,6-ビス(ノナデセ-1-ニル)ピリジンの合成
ピリジン-2,6-ジカルバルデヒド(1.0g,7.4mmol)、臭化オクタデシルトリフェニルホスホニウム(10g,17mmol)及びテトラヒドロフラン(100mL)の混合物に、tert-ブトキシカリウム(2.0g,18mmol)を室温で加えた。混合物を60℃で2時間撹拌し、室温に放冷した。反応混合物を注意深く水に加え、酢酸エチルで抽出した。有機相を飽和食塩水溶液で洗浄、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、減圧下溶媒を留去した。得られた残渣をジエチルエーテルに懸濁させて、不溶物を濾別し、濾液を減圧濃縮した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(n-ヘキサン/酢酸エチル=98/2から90/10)で精製することにより、2,6-ビス(ノナデセ-1-ニル)ピリジン(E/Z混合物;3.9g,86%)を得た。
1H NMR (CDCl3) δ: 0.88 (6H, t), 1.20-1.48 (60H, m), 2.56-2.62 (4H, m), 5.82-5.89(1H, m), 6.42-6.49 (2H, m), 7.04 (2H, d), 7.26-7.35 (1H, m), 7.53-7.57 (1H, m).
【0166】
[製造例2]
2,6-ジ(ノナデシル)ピリジンの合成
製造例1で得られた2,6-ビス(ノナデセ-1-ニル)ピリジン(E/Z混合物;3.5g,5.8mmol)、10%Pd/C(50%含水;0.70g)及びテトラヒドロフラン(100mL)の混合物を水素雰囲気下、室温常圧で15時間撹拌した。混合物を濾過した後、濾液を減圧濃縮した。得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(n-ヘキサン/酢酸エチル=95/5)で精製することにより、2,6-ジ(ノナデシル)ピリジン(3.0g,85%)を得た。
1H NMR (CDCl3) δ: 0.88 (6H, t), 1.17-1.40 (64H, m), 1.65-1.70 (4H, m), 2.72-2.76 (4H, m), 6.93 (2H, d), 7.48 (1H, t).
【0167】
[製造例3]
2,6-ジ(ノナデシル)ピリジン塩酸塩の合成
製造例2で得られた2,6-ジ(ノナデシル)ピリジン(3.0g,4.9mmol)のn-ヘキサン溶液(30mL)に1M 塩化水素-ジエチルエーテル溶液(10mL)を室温で加え、1時間撹拌した。得られた沈殿物を濾取し、n-ヘキサンで洗浄、減圧下で乾燥することにより、2,6-ジ(ノナデシル)ピリジン塩酸塩(3.0g,94%)を得た。
1H NMR (CDCl3) δ: 0.88 (6H, t), 1.24-1.45 (64H, m), 1.79-1.87 (4H, m), 3.32 (4H, br), 7.41 (2H, d), 8.08 (1H, br).
【0168】
[製造例4]
2,6-ジ(ノナデシル)ピリジニウム テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレートの合成
製造例3で得られた2,6-ジ(ノナデシル)ピリジン塩酸塩(0.50g,0.77mmol)及びリチウム テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレートの一ジエチルエーテル錯体(0.59g,0.78mmol)をジクロロメタン(20mL)に懸濁させた後、室温下、1時間撹拌した。得られた懸濁液を濾過し、濾液を50℃で減圧濃縮することにより、2,6-ジ(ノナデシル)ピリジニウム テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート(0.99g,99%)を得た。
1H NMR (CDCl3) δ: 0.85-0.89 (6H, m), 1.23-1.35 (64H, m), 1.72-1.76 (4H, m), 2.94-2.98 (4H, t), 7.57 (2H, d), 8.27 (1H, dd);
19F NMR (CDCl3) δ: -133.3 (8F, t), -163.2 (4F, t), -167.7 (8F, t).
【0169】
[実施例3]
2,6-ジ(ノナデシル)ピリジニウム テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート及び2,6-ジ(ノナデシル)ピリジンを含有する組成物
製造例4で得られた2,6-ジ(ノナデシル)ピリジニウム テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート(129mg,0.1mmol)に製造例2で得られた2,6-ジ(ノナデシル)ピリジン(12.9mg,0.02mmol)を加え、更にn-ヘキサン(0.52g)を加えて1時間撹拌することにより、均一なn-ヘキサン溶液を得た。減圧下、溶媒を留去することにより、標題組成物を得た。
1H NMR (CDCl3) δ: 0.88 (6H, t), 1.20-1.50 (64H, m), 1.67-1.73 (4H, m), 2.88 (4H, t), 7.38 (2H, d), 8.03 (1H, dd);
19F NMR (CDCl3) δ: -133.9 (8F, t), -163.6 (4F, t), -167.7 (8F, t).
【0170】
実施例3で得られた組成物は、20重量%の濃度でn-ヘキサンに溶解することを確認した。
【0171】
[製造例5]
2-(ノナデセ-1-ニル)-5-オクタデコキシピリジンの合成
5-オクタデコキシピリジン-2-カルバルデヒド(2.0g,5.3mmol)、臭化オクタデシルトリフェニルホスホニウム(7.0g,12mmol)及びテトラヒドロフラン(100mL)の混合物に、tert-ブトキシカリウム(1.4g,12mmol)を室温で加えた。混合物を60℃で2時間撹拌し、室温に放冷した。反応混合物を注意深く水に加え、酢酸エチルで抽出した。有機相を飽和食塩水溶液で洗浄、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、減圧濃縮した。得られた残渣をジエチルエーテルに懸濁させて、不溶物を濾別し、濾液を減圧下濃縮した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(n-ヘキサン/酢酸エチル=98/2~90/10)で精製することにより、2-(ノナデセ-1-ニル)-5-オクタデコキシピリジン(E/Z混合物;3.1g,95%)を得た。
1H NMR (CDCl3) δ: 0.87 (6H, t), 1.24-1.50 (60H, m), 1.76-1.80 (2H, m), 2.48-2.54 (2H, m), 3.95-4.00 (2H, m), 7.71-7.78 (1H, m), 6.36-6.40 (1H, m), 7.13-7.18 (2H, m), 8.2-8.27 (1H, m).
【0172】
[製造例6]
2-ノナデシル-5-オクタデコキシピリジンの合成
製造例5で得られた2-(ノナデセ-1-ニル)-5-オクタデコキシピリジン(E/Z混合物;2.5g,4.1mmol)、10%Pd/C(50%含水;0.70g)、n-ヘキサン(100mL)及びテトラヒドロフラン(100mL)の混合物を水素雰囲気下、室温常圧で15時間撹拌した。反応混合物を濾過後、濾液を減圧濃縮した。得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(n-ヘキサン/酢酸エチル=95/5)で精製することにより、2-ノナデシル-5-オクタデコキシピリジン(1.0g,40%)を得た。
1H NMR (CDCl3) δ: 0.87 (6H, t), 1.17-1.40 (64H, m), 1.42-1.76 (4H, m), 2.67-2.72 (2H, m), 3.95 (1H, t), 7.02 (2H, d), 7.10 (2H, dd), 8.19 (1H, d).
【0173】
[実施例4]
2-ノナデシル-5-オクタデコキシピリジニウム テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート及び2-ノナデシル-5-オクタデコキシピリジンを含有する組成物
製造例6で得られた2-ノナデシル-5-オクタデコキシピリジン(0.65g,1.1mmol)及びリチウム テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート 三ジエチルエーテル錯体(0.80g,0.88mmol)をシクロヘキサン(20mL)に懸濁させた後、1M塩化水素-ジエチルエーテル溶液(0.88mL,0.88mmol)を加え、室温下、3時間撹拌した。不溶物を濾過により除去し、濾液を45℃で減圧乾燥することにより、標題組成物を得た。
1H NMR (CDCl3) δ: 0.88 (3H, t), 1.22-1.44 (64H, m), 1.69-1.86 (4H, m), 2.93 (2H, t), 4.02 (2H, t), 7.60 (1H, d), 7.84 (1H, dd), 7.90 (1H, d).
【0174】
実施例4で得られた組成物は、20重量%の濃度でn-ヘキサンに溶解することを確認した。
【0175】
[製造例7]
1-オクタデシルイミダゾール-2-カルバルデヒドの合成
1H-イミダゾール-2-カルバルデヒド(2.0g,21mmol)、1-ブロモオクタデカン(7.5g,22mmol)、炭酸カリウム(4.5g,33mmol)及びN,N-ジメチルホルムアミドの混合物を室温で15時間撹拌した。混合物を水に注ぎ、酢酸エチルで抽出した。有機相を無水硫酸ナトリウムで乾燥し、減圧濃縮した。残渣をシリカゲルクロマトグラフィー(n-ヘキサン-酢酸エチル=98/2~90/10)で精製することにより、1-オクタデシルイミダゾール-2-カルバルデヒド(6.45g,89%)を得た。
1H NMR (CDCl3) δ: 0.88 (3H, t), 1.24-1.30 (34H, m), 1.75-1.79 (2H, m), 4.36-4.40 (2H, m), 7.15 (1H, s), 7.29 (1H, d), 9.81 (1H, s).
【0176】
[製造例8]
2-(ノナデセ-1-ニル)-1-オクタデシルイミダゾールの合成
製造例7で得られた1-オクタデシルイミダゾール-2-カルバルデヒド(5.0g,14mmol)、臭化オクタデシルトリフェニルホスホニウム(10g,16.8mmol)及びテトラヒドロフラン(50mL)の混合物に、tert-ブトキシカリウム(2.0g,17.8mmol)を室温で加えた。混合物を60℃で2時間撹拌し、室温に放冷した。反応混合物を注意深く水に加え、酢酸エチルで抽出した。有機相を飽和食塩水溶液で洗浄、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、減圧濃縮した。得られた残渣をジエチルエーテルに懸濁させて、不溶物を濾別し、濾液を減圧濃縮した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(n-ヘキサン/酢酸エチル=98/2~90/10)で精製することにより、2-(ノナデセ-1-ニル)-1-オクタデシルイミダゾール(E/Z混合物;7.5g,89%)を得た。
1H NMR (CDCl3) δ: 0.88 (6H, t), 1.11-1.73 (64H, m), 2.20-2.26 (2H, m), 3.85-3.90 (2H, m), 6.11-6.23 (1H, m), 6.67-6.74 (1H, m), 6.81-6.82 (1H, m), 6.98-7.09 (1H, m).
【0177】
[製造例9]
2-ノナデシル-1-オクタデシルイミダゾールの合成
製造例8で得られた2-(ノナデセ-1-ニル)-1-オクタデシルイミダゾール(E/Z混合物;1.5g,2.6mmol)、10%Pd/C(50%含水;0.30g)及びテトラヒドロフラン(100mL)の混合物を水素雰囲気下、室温常圧で15時間撹拌した。混合物を濾過した後、濾液を減圧濃縮した。得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(n-ヘキサン/酢酸エチル=95/5)で精製することにより、2-ノナデシル-1-オクタデシルイミダゾール(1.0g,67%)を得た。
1H NMR (CDCl3) δ: 0.88 (6H, t), 1.25-1.75 (66H, m), 2.60-2.64 (2H, m), 3.79-3.82 (2H, m), 6.79 (1H, d), 6.93 (1H, d).
【0178】
[製造例10]
2-ノナデシル-1-オクタデシルイミダゾール塩酸塩の合成
製造例9で得られた2-ノナデシル-1-オクタデシルイミダゾール(0.88g,1.5mmol)及びn-ヘキサン(100mL)の懸濁液に1M 塩化水素-ジエチルエーテル溶液(10mL)を室温で加え、1時間撹拌した。得られた懸濁液の溶媒を減圧留去することにより、2-ノナデシル-1-オクタデシルイミダゾール塩酸塩(0.98g,100%)を得た。
1H NMR (CDCl3) δ: 0.88 (6H, t), 1.25-1.40 (62H, m),1.80-1.88 (4H, m), 3.02-3.07 (2H, t), 3.96-4.00 (2H, t), 6.97 (1H, d), 7.29 (1H, d).
【0179】
[製造例11]
2-ノナデシル-1-オクタデシルイミダゾリウム テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレートの合成
製造例10で得られた2-ノナデシル-1-オクタデシルイミダゾール塩酸塩(0.98g,1.57mmol)及びリチウム テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート ジエチルエーテル錯体(1.19g,1.57mmol)をシクロヘキサン(30mL)に懸濁させた後、室温下、1時間撹拌した。食塩水を加えて、有機相を洗浄、無水硫酸マグネシウムで乾燥し、減圧濃縮した。45℃で減圧乾燥して、2-ノナデシル-1-オクタデシルイミダゾリウム テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート(0.82g,94%)を得た。
1H NMR (CDCl3) δ: 0.88 (6H, t), 1.25-1.43 (62H, m), 1.66-1.82 (4H, m), 2.81 (2H, t), 3.94 (2H, t), 6.99 (1H, d), 7.03 (1H, d);
19F NMR (CDCl3) δ: -133.9 (8F, t), -164.1 (4F, t), -167.9 (8F, t).
【0180】
[実施例5]
2-ノナデシル-1-オクタデシルイミダゾール及び2-ノナデシル-1-オクタデシルイミダゾリウム テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレートを含有する組成物
製造例9で得られた2-ノナデシル-1-オクタデシルイミダゾール(24.1 mg, 0.04 mmol)及び製造例11で得られた2-ノナデシル-1-オクタデシルイミダゾリウム テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート(126.7mg,0.1mmol)をシクロヘキサン(0.5mL)に溶解させ、20重量%シクロヘキサン溶液を得た。本溶液を減圧濃縮することにより、標題組成物を得た。
1H NMR (CDCl3) δ: 0.88 (6H, t), 1.22-1.33 (62H, m), 1.66-1.82 (4H, m), 2.81 (2H, t), 3.94 (2H, t), 6.99 (1H, d), 7.03 (1H, d);
19F NMR (CDCl3) δ: -133.9 (8F, t), -164.1 (4F, t), -167.9 (8F, t).
【0181】
実施例5で得られた組成物は、20重量%の濃度でシクロヘキサンに溶解することを確認した。
【0182】
[製造例12]
2-ヘプタデシル-1-オクタデシルベンゾイミダゾールの合成
自体公知の例(例えば、Australian Journal of Chemistry(2015),68(1),145-155)と同様の方法により得られた2-ヘプタデシル-1H-ベンゾイミダゾール(1.5g,4.2mmol)、炭酸カリウム(1.1g,8.0mmol)及び1-臭化オクタデカン(1.5g,4.5mmol)をDMF(30mL)中で混合し、混合物を60℃で16時間撹拌した。反応混合物を室温まで冷却し、水に注いだ。懸濁液を室温で1時間撹拌後、沈殿物をろ取した。得られた固体を減圧下、80℃で乾燥させることにより、標題化合物(2.25g,88%)を得た。
1H NMR (CDCl3) δ: 0.88-0.92 (6H, m), 1.25-1.45 (60H, m), 1,75-1.93 (4H, m), 2.84 (2H, t), 4.08 (2H, t), 7.196-7.30 (3H, m), 7.70-7.73 (1H, m).
【0183】
[製造例13]
2-ヘプタデシル-1-オクタデシルベンゾイミダゾリウム テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート
製造例12で得られた2-ヘプタデシル-1-オクタデシルベンゾイミダゾール(0.61g,1.0mmol)及びリチウム テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレートの三ジエチルエーテル錯体(0.91g,1.0mmol)をシクロヘキサン(30mL)に懸濁させた後、1.0M塩化水素-ジエチルエーテル溶液(1.0mL)を滴下し、室温下3時間撹拌した。得られた懸濁液をろ過後、ろ液を50℃下で減圧濃縮することにより、標題化合物(1.22g,80%)を得た。
1H NMR (CDCl3) δ: 0.88 (6H, t), 1.22-1.44 (60H, m), 1.86-1.92 (4H, m), 3.10 (2H, t), 4.28 (2H, t), 7.58-7.70 (4H, m);
19F NMR (CDCl3) δ: -134.0 (8F, m), -163.7 (4F, t), -167.7 (8F, t).
【0184】
[実施例6]
2-ヘプタデシル-1-オクタデシルベンゾイミダゾリウム テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート及び2-ヘプタデシル-1-オクタデシルベンゾイミダゾールを含有する組成物
製造例13で得られた2-ヘプタデシル-1-オクタデシルベンゾイミダゾリウム テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート(500mg,0.4mmol)及び製造例12で得られた2-ヘプタデシル-1-オクタデシルベンゾイミダゾール(47mg,0.15mmol)を混合し、n-ヘキサンを加えた。混合物を減圧濃縮後、減圧下で16時間乾燥することにより、標題組成物を得た。
1H NMR (CDCl3) δ: 0.88(6H, t), 1.16-1.41 (60H, m), 1.84-1.91 (4H, m), 3.06 (2H, t), 4.25 (2H, t), 7.44-7.63 (4H, m);
19F NMR (CDCl3) δ: -133.9 (8F, d), -164.0 (4F, t), -167.9 (8F, t).
【0185】
実施例6で得られた組成物は、10重量%の濃度でn-ヘキサンに溶解することを確認した。
【0186】
[実施例7]
2-ノナデシル-5-オクタデコキシピリジニウム テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート及びテトラデシルエーテルを含有する組成物
2-ノナデシル-5-オクタデコキシピリジニウム テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート(39mg,0.03mmol)、テトラデシルエーテル(12.3mg,0.03mmol)及びn-ヘキサン(351mg)を混合し、25℃で撹拌した。混合物は均一な溶液になった。混合物を減圧濃縮後、減圧下、50℃で乾燥することにより、標題組成物を得た。
1H NMR (CDCl3) δ: 0.86-0.90 (12H, m), 1.23-1.84 (114H, m), 2.91 (2H, t), 3.41 (4H, t), 4.03 (2H, t), 7.62 (1H, d), 7.85-7.89 (2H, m);
19F NMR (CDCl3) δ: -134.1 (8F,t), -163.4 (4F,t), -167.4 (8F, t).
【0187】
実施例7で得られた組成物は、10重量%の濃度でn-ヘキサンに溶解することを確認した。
【0188】
[実施例8]
2,6-ジ(ノナデシル)ピリジニウム テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート及びテトラデシルエーテルを含有する組成物
製造例4で得られた2,6-ジ(ノナデシル)ピリジニウム テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート(39mg,0.03mmol)、テトラデシルエーテル(12.3mg,0.03mmol)及びn-ヘキサン(351mg)を混合し、25℃で撹拌した。混合物は均一な溶液になった。混合物を減圧濃縮後、減圧下、50℃で乾燥することにより、標題組成物を得た。
1H NMR (CDCl3) δ: 0.88 (12H, t), 1.25-1.40 (76H, m), 1.52-1.60 (4H, m), 1.70-1.78 (4H, m), 2.97 (4H, t), 3.39 (4H, t), 7.57 (2H, d), 8.28 (1H, t);
19F NMR (CDCl3) δ: -138.8 (8F,s), -163.6 (4F,t), -167.7 (8F, t).
【0189】
実施例8で得られた組成物は、10重量%の濃度でn-ヘキサンに溶解することを確認した。
【0190】
[実施例9]
2-ヘプタデシル-1-オクタデシルベンゾイミダゾリウム テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート及びテトラデシルエーテルを含有する組成物
製造例13で得られた2-ヘプタデシル-1-オクタデシルベンゾイミダゾリウム テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート(39mg,0.03mmol)、テトラデシルエーテル(12.3mg,0.03mmol)およびn-ヘキサン(351mg)を混合し、25℃で撹拌した。混合物は均一な溶液になった。混合物を減圧濃縮後、減圧下、50℃で乾燥することにより、標題組成物を得た。
1H NMR (CDCl3) δ: 0.85-0.88 (12H, m), 1.22-1.57 (82H, m), 1.85-1.91 (4H, m), 3.09 (2H, t), 3.38 (4H, t), 4.27 (2H, t), 7.56-7.60 (2H, m), 7.62-7.70 (1H, m);
19F NMR (CDCl3) δ: -133.9 (8F,s), -163.7 (4F,t), -167,7 (8F, m).
【0191】
実施例9で得られた組成物は、10重量%の濃度でn-ヘキサンに溶解することを確認した。
【0192】
[実施例10]
2-ノナデシル-1-オクタデシルイミダゾリウム テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート及びテトラデシルエーテルを含有する組成物
製造例11で得られた2-ノナデシル-1-オクタデシルイミダゾリウム テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート(39mg,0.03mmol)、テトラデシルエーテル(73.8mg,0.15mmol)及びn-ヘキサン(351mg)を混合し、25℃で撹拌した。混合物は均一な溶液になった。混合物を減圧濃縮後、減圧下、50℃で乾燥することにより、標題組成物を得た。
1H NMR (CDCl3) δ: 0.84-0.90 (36H, m), 1.11-1.83 (302H, m), 2.85-2.89 (2H, m), 3.93 (20H, t), 4.00 (2H, t), 7.10 (1H, d), 7.13 (1H, d);
19F NMR (CDCl3) δ: -134.0 (8F,s), -163.6 (4F, t), -167.7 (8F, t).
【0193】
実施例10で得られた組成物は、10重量%の濃度でn-ヘキサンに溶解することを確認した。
【0194】
[比較例1]
N,N-ジオクタデシルアニリニウム テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート
N,N-ジオクタデシルアニリン(3.3g,5.5mmol)及びリチウム テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレートの三ジエチルエーテル錯体(5.0g,5.5mmol)をn-ヘキサン(50mL)に懸濁させた後、1.0M塩化水素-ジエチルエーテル溶液(5.5mL)を滴下し、室温下、3時間撹拌した。得られた懸濁液をろ過し、ろ液を50℃で減圧濃縮し、標題化合物(7.0g,90%)を得た。
1H NMR (CDCl3) δ: 0.86-0.89 (6H, m), 1.15-1.50 (27H, m) 3.40-3.50 (4H, m),7.26-7.28 (2H, m), 7.58-7.63 (3H, m);
19F NMR (CDCl3) δ: -133.8 (8F, t), -163.3(4F, t), -167.4 (8F, t).
【0195】
比較例1で得られた化合物は、20重量%の濃度では、n-ヘキサンに難溶であった。
【0196】
[製造例14]
2-ノナデシル-5-オクタデコキシピリジン塩酸塩の合成
製造例6で得られた2-ノナデシル-5-オクタデコキシピリジン(1.0g,1.6mmol)及びn-ヘキサン(100mL)の懸濁液に1M 塩化水素-ジエチルエーテル溶液(10mL)を室温で加え、1時間撹拌した。反応懸濁液の溶媒を減圧留去することにより、2-ノナデシル-5-オクタデコキシピリジン塩酸塩(0.98g,93%)を得た。
1H NMR (CDCl3) δ: 0.88 (6H, t), 1.24-1.50 (64H, m), 1.78-1.85 (4H, m), 3.13 (2H, t),4.06 (2H, t), 7.74 (1H, d), 7.74 (1H, dd), 8.21 (1H, d).
【0197】
[比較例2]
2-ノナデシル-5-オクタデコキシピリジニウム テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート
製造例14で得られた2-ノナデシル-5-オクタデコキシピリジン塩酸塩(0.25g,0.38mmol)及びリチウム テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート ジエチルエーテル錯体(0.29g,0.38mmol)をシクロヘキサン(50mL)に懸濁させた後、室温下、1時間撹拌した。有機相を食塩水で洗浄、無水硫酸マグネシウムで乾燥し、減圧濃縮した。残渣を45℃で減圧乾燥することにより、標題化合物(0.45g,90%)を得た。
1H NMR (CDCl3) δ: 0.86-0.90 (6H, m), 1.23-1.43 (64H, m), 1.72-1.86 (4H, m), 2.92 (2H, t), 4.03 (2H, t), 7.64 (1H, d), 7.85 (1H, d), 7.91 (1H, dd);
19F NMR (CDCl3) δ: -134.0 (8F, t), -163.4 (4F, t), -167.5 (8F, t).
【0198】
比較例2で得られた化合物は、20重量%の濃度では、n-ヘキサンに難溶であった。
【0199】
[比較例3]
N,N-ジノニルアニリニウム テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート
N,N-ジノニルアニリン(0.98g,2.8mmol)及びリチウム テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート 三ジエチルエーテル錯体(2.54g,2.8mmol)をn-ヘキサン(30mL)に懸濁させた後、1.0M 塩化水素-ジエチルエーテル溶液(2.8mL)を滴下後、室温下、2時間撹拌した。得られた懸濁液を濾過し、残渣をクロロホルムで洗浄した。濾液を50℃で減圧濃縮することにより、標題化合物(2.19g,76%)を得た。
1H NMR (CDCl3) δ: 0.84 (6H, t), 1.14-1.56 (64H, m), 3.43 (4H, br), 7.29 (2H, d), 7.56-7.60 (3H, m);
19F NMR (CDCl3) δ: -133.5 (8F, t), -163.4 (4F, t), -167.4 (8F, t)
【0200】
比較例3で得られた化合物は、20重量%の濃度では、n-ヘキサンに難溶であった。
【0201】
[比較例4]
N,N-ジノニルアニリニウム テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート及びN,N-ジノニルアニリンを含有する組成物
比較例3で得られたN,N-ジノニルアニリニウム テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート(125mg,0.12mmol)にn-ヘキサン(500mg)を加えて、20重量%n-ヘキサン溶液を調製したところ、溶液は二層に分離した。溶液に更にN,N-ジノニルアニリン(430mg,1.25mmol)を加えて撹拌し、終夜静置したが、溶液は二層に分離した。このことから、標題組成物は、20重量%の濃度では、n-ヘキサンに難溶であることが分かった。
【0202】
[比較例5]
ビス(水添牛脂アルキル)メチルアンモニウム テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート及びビス(水添牛脂アルキル)メチルアミンを含有する組成物
自体公知の方法(特表2000-507157号公報)により得られたビス(水添牛脂アルキル)メチルアンモニウム テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート(以下の試験例では、[比較例6]として使用した。)(133.2mg)及びビス(水添牛脂アルキル)メチルアミン(アーミンM2HT(登録商標))(11.2mg)とn-ヘキサン(533mg)を混合し、室温で撹拌した。混合物は均一な溶液になった。混合物を減圧下濃縮することにより、標題化合物を得た。
19F NMR (CDCl3) δ: -134.1 (8F, d), -163.0 (4F, t), -167.3 (8F, t).
【0203】
[試験例](重合性能評価)
本発明の化合物又は組成物を助触媒として用いた一般的な重合方法を以下に示す。
【0204】
グローブボックス内で、100mLのオートクレーブに、1-オクテン、トリイソブチルアルミニウム(TIBA,0.55M n-ヘキサン溶液)、溶媒(メチルシクロヘキサン(MCH))を加え、コモノマー溶液を調製した。重合触媒(ジメチルシリレン(tert-ブチルアミド)-(テトラメチルシクロペンタジエニル)-チタニウム(IV)-ジクロリド(CGC))、トリイソブチルアルミニウム(0.55M n-ヘキサン溶液)及び溶媒を加え、あらかじめ定めた濃度の触媒溶液を調製し、シュレンク管に移した。助触媒を溶媒に溶解し、あらかじめ定めた濃度の助触媒溶液を調製し、シュレンク管に移した。コモノマー溶液、触媒溶液、及び助触媒溶液を混合した後の反応時には、溶媒総量及びトリイソブチルアルミニウム総量が一定になるように調製した。オートクレーブ内をエチレンガスでパージした後に、触媒溶液及び助触媒溶液をオートクレーブに順次加えてすぐに、エチレン圧力をあらかじめ定めた圧力に調節し、あらかじめ定めた温度(25℃)であらかじめ定めた時間撹拌した。反応混合物を氷冷後、エチレンガスを抜いた後、混合物を、塩酸(3mL)を含むメタノール(100mL)に注ぎ、30分間室温で撹拌した。沈殿物をろ取し、減圧下、60℃で乾燥することにより、エチレン-オクテン共重合体を得た。
【0205】
(融点測定)
示差走査熱量測定法(DSC)による測定をDSC6220機器(Seiko Instruments Inc.)を用いて行い、試料(重合体)を10℃/分の速度で40℃から150℃に加熱し、融点を測定した。
【0206】
以下、各種助触媒を用いた25℃での重合反応の結果を、それぞれ表1に示す。
【0207】
【0208】
表1によれば、実施例1、3及び4は、いずれも比較例1、5又は6と同等以上の重合活性を示すことが確認された。
【産業上の利用可能性】
【0209】
本発明の組成物は、炭化水素溶媒、特に脂肪族炭化水素溶媒に可溶(又は易溶)であり、触媒毒にならないことから、オレフィンやジエンの重合用助触媒として有用である。
【0210】
本出願は、日本国で2020年3月12日に出願された特願2020-043246、及び2020年12月17日に出願された特願2020-209070を基礎としており、それらの内容は本明細書にすべて包含されるものである。