IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 旭硝子株式会社の特許一覧

<>
  • 特許-ハーフミラーの固定器具 図1
  • 特許-ハーフミラーの固定器具 図2
  • 特許-ハーフミラーの固定器具 図3
  • 特許-ハーフミラーの固定器具 図4
  • 特許-ハーフミラーの固定器具 図5
  • 特許-ハーフミラーの固定器具 図6
  • 特許-ハーフミラーの固定器具 図7
  • 特許-ハーフミラーの固定器具 図8
  • 特許-ハーフミラーの固定器具 図9
  • 特許-ハーフミラーの固定器具 図10
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-05
(45)【発行日】2024-11-13
(54)【発明の名称】ハーフミラーの固定器具
(51)【国際特許分類】
   G09F 9/00 20060101AFI20241106BHJP
   H04N 5/64 20060101ALI20241106BHJP
【FI】
G09F9/00 313
G09F9/00 350A
H04N5/64 581A
G09F9/00 351
【請求項の数】 15
(21)【出願番号】P 2022517618
(86)(22)【出願日】2021-04-14
(86)【国際出願番号】 JP2021015434
(87)【国際公開番号】W WO2021220810
(87)【国際公開日】2021-11-04
【審査請求日】2024-02-09
(31)【優先権主張番号】P 2020079375
(32)【優先日】2020-04-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000000044
【氏名又は名称】AGC株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100103894
【弁理士】
【氏名又は名称】家入 健
(72)【発明者】
【氏名】新山 聡
【審査官】新井 重雄
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2019/0351829(US,A1)
【文献】特開2018-189818(JP,A)
【文献】特開2017-103757(JP,A)
【文献】特開2017-1494(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2016/0238853(US,A1)
【文献】特開2012-42501(JP,A)
【文献】特開2011-70181(JP,A)
【文献】特開2006-50203(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G09F 9/00
H04N 5/64
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ディスプレイパネルの正面側の表示面の上に空気層を挟んでハーフミラーを架け渡すための、ハーフミラーの固定器具であって、
前記ディスプレイパネルの背面の中央と前記固定器具自身とを連結するディスプレイマウントと、
前記ディスプレイマウントから前記ディスプレイパネルの外周に向かって延び、さらに前記ディスプレイパネルの前記外周から飛び出し、その先で前記ハーフミラーの外周と連結するブリッジと、
前記固定器具自身と外部の構造体との連結を担う外部マウントと、
を備える、固定器具。
【請求項2】
前記ディスプレイマウントは、前記ディスプレイパネルの前記背面の前記中央に対して着脱自在であり、さらに前記外部マウントは前記外部の構造体に対して着脱自在である、
請求項1に記載の固定器具。
【請求項3】
前記ディスプレイマウントと前記外部マウントとは互換性があり、
前記固定器具を前記ディスプレイパネルと前記外部の構造体とから取り外した状態で、前記ディスプレイパネルと前記外部の構造体とを直接に連結できる、
請求項2に記載の固定器具。
【請求項4】
前記ディスプレイマウント及び前記外部マウントはそれぞれ多角形状に配置されたネジ穴を有する、
請求項2又は3に記載の固定器具。
【請求項5】
前記ブリッジは、前記ハーフミラーの前記外周上の複数の個所であって、共同して前記ハーフミラーの重心を支える個所で、連結される、
請求項1~3のいずれかに記載の固定器具。
【請求項6】
前記ブリッジは前記複数の個所にそれぞれ向かう複数のアームを有する、
請求項5に記載の固定器具。
【請求項7】
前記ブリッジは前記ディスプレイパネルの赤外線センサーを覆い、また前記赤外線センサーに向かう赤外線パルスの通り道と交わる個所にスリットを備える、
請求項5又は6に記載の固定器具。
【請求項8】
前記ハーフミラーは前記ディスプレイパネルの正面側を覆い隠すものであり、
前記ディスプレイパネルの前記外周のさらに外側で、前記ブリッジが前記ハーフミラーの前記外周に連結される、
請求項1~7のいずれかに記載の固定器具。
【請求項9】
請求項1~8のいずれかに記載に固定器具の使用であって、
前記固定器具を前記外部マウントで外部の構造体と連結し、
ディスプレイパネルの背面の中央を前記ディスプレイマウントで前記固定器具と連結し、
前記ディスプレイパネルの正面側の表示面の上に空気層を挟んでハーフミラーを架け渡し、
前記ブリッジの、前記ディスプレイパネルの外周から飛び出した先の個所で前記ハーフミラーの外周を連結する、
使用。
【請求項10】
さらに留め具を併用して前記ディスプレイパネルの外周を前記ハーフミラーの背面に押し付ける、
請求項9に記載の使用。
【請求項11】
請求項1~8のいずれかに記載に固定器具の使用であって、
前記固定器具が前記外部マウントで外部の構造体と連結しており、
ディスプレイパネルの背面の中央が前記ディスプレイマウントで前記固定器具と連結しており、
前記ディスプレイパネルの正面側の表示面の上に空気層を挟んでハーフミラーが架け渡っており、
前記ブリッジの、前記ディスプレイパネルの外周から飛び出した先の個所で前記ハーフミラーの外周が連結されており、
前記ハーフミラーと前記ブリッジとの連結を解除することで、前記ハーフミラーを前記ディスプレイパネルの前記表示面から取り外し、
前記ディスプレイパネルと前記固定器具の連結を解除することで、前記ディスプレイパネルを前記ディスプレイマウントから取り外し
前記固定器具と前記外部の構造体との連結を解除することで、前記固定器具を前記外部の構造体から取り外す、
使用。
【請求項12】
さらに前記固定器具を介さずに前記ディスプレイパネルを前記外部の構造体と直接に連結する、
請求項10に記載の使用。
【請求項13】
請求項1~8のいずれかに記載に固定器具を備える鏡面表示装置であって、
ディスプレイパネルと、ハーフミラーと、前記固定器具の外部の構造体とをさらに備え、
前記固定器具が前記外部マウントで前記構造体と連結しており、
前記ディスプレイパネルの背面の中央が前記ディスプレイマウントで前記固定器具と連結しており、
前記ディスプレイパネルの正面側の表示面の上に空気層を挟んで前記ハーフミラーが架け渡っており、
前記ブリッジの、前記ディスプレイパネルの外周から飛び出した先の個所で前記ハーフミラーの外周が連結されている、
鏡面表示装置。
【請求項14】
前記外部の構造体はスタンドである、
請求項13に記載の鏡面表示装置。
【請求項15】
請求項13に記載の鏡面表示装置の使用であって、
前記外部の構造体はフックであり、
前記フックをさらに外部のスタンドに引っ掛けることで前記鏡面表示装置を前記スタンドに設置する、
使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はディスプレイにハーフミラーを固定する器具に関し、特にディスプレイパネルの表示面の上にハーフミラーを架け渡すためのものに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1はハーフミラーの鏡面とディスプレイパネルの表示面とを同じ領域上で重ね合わせることを開示している。この技術は、鏡面の中に画像が浮かび上がるという意匠性に優れた表示形態を可能にする。
【0003】
特許文献1ではディスプレイパネルの表示光は円偏光となってハーフミラーの背面に入射する。ここで背面とは観察者から見て背後に位置する面をいう。ハーフミラーは透明板と透明板の背面に設けられた光学薄膜とを備える。光学薄膜が透明板にハーフミラーの機能を与える。光学薄膜上にはさらにコレステリックフィルムが設けられている。コレステリックフィルム内では液晶が螺旋構造を形成しているので、コレステリックフィルムによる反射には円偏光の左右の旋回方向に対して選択性がある。さらにこの反射には可視光の全帯域に渡って偏り少なく選択反射する広帯域性がある。コレステリックフィルムとディスプレイパネルの表示面との間には空気層が設けられる。
【0004】
観察者がハーフミラーと、その背後にあるディスプレイパネルとを観察する時、この空気層を介して遮光部材をディスプレイパネルの表示領域を除く領域に配設することでディスプレイパネルの外周、又は枠の存在を隠蔽している。一方でディスプレイパネルの表示面がハーフミラーの背面に対して接着剤を介して密着していると、観察者はディスプレイパネルの輪郭を見つけやすいことがある。この場合、ディスプレイパネルの表示領域を除く領域においても遮光部材を、空気層を介さずにハーフミラーの背面に接合させることが一つの解決手段となる。空気層を設ける態様と、空気層を介さずに接合する態様はいずれも有用である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】国際公開第2017/126624号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上述の通りハーフミラーの背面とディスプレイパネルの表示面との間に空気層がある場合、これらの面は互いに接合されない。特許文献1はそのような空気層を有する形態の一例を表す。このような形態ではディスプレイパネルの表示面の上にハーフミラーを架け渡す。ハーフミラーは剛性のある透明板でできているので、ある程度自身の形状を保つことができる。
【0007】
ディスプレイパネルとハーフミラーの組は、観察者から見てハーフミラーを手前にして観察者に向けて立てて使用する。したがってこれらがバラバラにならないようにディスプレイパネルとハーフミラーとの間を互いに固定した状態で連結する。
【0008】
本発明は必要に応じてディスプレイパネルにハーフミラーを取り付け、また必要に応じてディスプレイパネルからハーフミラーを取り外すのに有利な器具を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
[1] ディスプレイパネルの正面側の表示面の上に空気層を挟んでハーフミラーを架け渡すための、ハーフミラーの固定器具であって、
前記ディスプレイパネルの背面の中央と前記固定器具自身とを連結するディスプレイマウントと、
前記ディスプレイマウントから前記ディスプレイパネルの外周に向かって延び、さらに前記ディスプレイパネルの前記外周から飛び出し、その先で前記ハーフミラーの外周と連結するブリッジと、
前記固定器具自身と外部の構造体との連結を担う外部マウントと、
を備える、固定器具。
[2] 前記ディスプレイマウントは、前記ディスプレイパネルの前記背面の前記中央に対して着脱自在であり、さらに前記外部マウントは前記外部の構造体に対して着脱自在である、
[1]に記載の固定器具。
[3] 前記ディスプレイマウントと前記外部マウントとは互換性があり、
前記固定器具を前記ディスプレイパネルと前記外部の構造体とから取り外した状態で、前記ディスプレイパネルと前記外部の構造体とを直接に連結できる、
[2]に記載の固定器具。
[4] 前記ディスプレイマウント及び前記外部マウントはそれぞれ多角形状に配置されたネジ穴を有する、
[2]又は[3]に記載の固定器具。
[5] 前記ブリッジは、前記ハーフミラーの前記外周上の複数の個所であって、共同して前記ハーフミラーの重心を支える個所で、連結される、
[1]~[3]のいずれかに記載の固定器具。
[6] 前記ブリッジは前記複数の個所にそれぞれ向かう複数のアームを有する、
[5]に記載の固定器具。
[7] 前記ブリッジは前記ディスプレイパネルの赤外線センサーを覆い、また前記赤外線センサーに向かう赤外線パルスの通り道と交わる個所にスリットを備える、
[5]又は[6]に記載の固定器具。
[8] 前記ハーフミラーは前記ディスプレイパネルの正面側を覆い隠すものであり、
前記ディスプレイパネルの前記外周のさらに外側で、前記ブリッジが前記ハーフミラーの前記外周に連結される、
[1]~[7]のいずれかに記載の固定器具。
[9] [1]~[8]のいずれかに記載に固定器具の使用であって、
前記固定器具を前記外部マウントで外部の構造体と連結し、
ディスプレイパネルの背面の中央を前記ディスプレイマウントで前記固定器具と連結し、
前記ディスプレイパネルの正面側の表示面の上に空気層を挟んでハーフミラーを架け渡し、
前記ブリッジの、前記ディスプレイパネルの外周から飛び出した先の個所で前記ハーフミラーの外周を連結する、
使用。
[10] さらに留め具を併用して前記ディスプレイパネルの外周を前記ハーフミラーの背面に押し付ける、
[9]に記載の使用。
[11] [1]~[8]のいずれかに記載に固定器具の使用であって、
前記固定器具が前記外部マウントで外部の構造体と連結しており、
ディスプレイパネルの背面の中央が前記ディスプレイマウントで前記固定器具と連結しており、
前記ディスプレイパネルの正面側の表示面の上に空気層を挟んでハーフミラーが架け渡っており、
前記ブリッジの、前記ディスプレイパネルの外周から飛び出した先の個所で前記ハーフミラーの外周が連結されており、
前記ハーフミラーと前記ブリッジとの連結を解除することで、前記ハーフミラーを前記ディスプレイパネルの前記表示面から取り外し、
前記ディスプレイパネルと前記固定器具の連結を解除することで、前記ディスプレイパネルを前記ディスプレイマウントから取り外し
前記固定器具と前記外部の構造体との連結を解除することで、前記固定器具を前記外部の構造体から取り外す、
使用。
[12] さらに前記固定器具を介さずに前記ディスプレイパネルを前記外部の構造体と直接に連結する、
[10]に記載の使用。
[13] [1]~[8]のいずれかに記載に固定器具を備える鏡面表示装置であって、
ディスプレイパネルと、ハーフミラーと、前記固定器具の外部の構造体とをさらに備え、
前記固定器具が前記外部マウントで前記構造体と連結しており、
前記ディスプレイパネルの背面の中央が前記ディスプレイマウントで前記固定器具と連結しており、
前記ディスプレイパネルの正面側の表示面の上に空気層を挟んで前記ハーフミラーが架け渡っており、
前記ブリッジの、前記ディスプレイパネルの外周から飛び出した先の個所で前記ハーフミラーの外周が連結されている、
鏡面表示装置。
[14] 前記外部の構造体はスタンドである、
[13]に記載の鏡面表示装置。
[15] [13]に記載の鏡面表示装置の使用であって、
前記外部の構造体はフックであり、
前記フックをスタンドに引っ掛けることで前記鏡面表示装置を前記スタンドに設置する、
使用。
【発明の効果】
【0010】
本発明は必要に応じてディスプレイパネルにハーフミラーを取り付け、また必要に応じてディスプレイパネルからハーフミラーを取り外すのに有利な器具を提供する。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】固定器具の平面図である。
図2】固定器具の背面図である。
図3】固定器具の側面図である。
図4】ディスプレイパネルの側面図である。
図5】ディスプレイパネルの斜視図である。
図6】固定器具の斜視図である。
図7】固定器具を平面視した時の断面における端面図である。
図8】ハーフミラー40の光学的な構成図である。
図9】例2の側面図である。
図10】例3の側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
図1は固定器具25とこれに連結されたハーフミラー20及びディスプレイパネル30及びフック32とを示す平面図である。図2は背面図である。図3は左側面図である。ディスプレイパネル30は液晶パネルや有機ELパネルといった表示パネルに対して、ベゼルや筐体といった周辺部品を付加することでなる、ディスプレイの一形態を表す。
【0013】
図1及び3に示すように固定器具25はハーフミラー20をディスプレイパネル30の上に固定する。ディスプレイパネル30の正面側にその表示面31がある。表示面31の上に空気層29を挟んでハーフミラー20を架け渡す。一態様において空気層29を挟むこととは、粘着剤やその他の充填剤を間に挟まずに、表示面31とハーフミラー20の背面とが互いに空気層を介して、所定の間隔を開けて対向するように重ね合わさることである。一態様においてディスプレイパネル30の長手方向はハーフミラー20の長手方向に一致する。
【0014】
図1及び3に示すようにベゼル33がディスプレイパネル30の外縁に配置されている。ベゼル33はティスプレイパネルを正面視した時、その表示面を取り囲む。一態様においてベゼル33は表示面31よりも1~10mm程度高くなっている。ベゼル33の高さの分、表示面31とハーフミラー20の背面との間隔が開く。一態様においてディスプレイパネル30の長手方向はハーフミラー20の長手方向に沿っている。
【0015】
図1図3に示すように固定器具25はディスプレイマウント26及びブリッジ27を備える。ブリッジ27はディスプレイパネル30の背面を跨ぐ。一態様においてブリッジ27はディスプレイパネル30の背面の筐体カバーを跨ぐ。ブリッジ27はアーム28a及びアーム28bを備える。これらは一体的なブリッジ27を構成している。一態様においてブリッジ27の長手方向はディスプレイパネル30の長手方向と交差する。他の態様においてブリッジ27は複数のアームの組み合わせからなる。他の態様においてアーム自体が複数の部品の組み合わせからなる。
【0016】
図1及び図2に示すようにディスプレイマウント26はディスプレイパネル30の背面の中央と固定器具25自身とを連結する。一態様においてディスプレイマウント26は複数のネジ穴からなる。一態様においてディスプレイマウント26を正面視した時、ネジ穴は多角形状に配置されている。一態様においてディスプレイマウント26はVESAマウント、FPMPMI(Flat Panel Monitor Physical Mounting Interface)及びFDMI:Flat Display Mounting Interfaceとも呼ばれる標準規格に沿った形態を有している。以下、当該規格を単にVESAマウントという。一態様においてディスプレイマウント26はディスプレイパネル30の背面の中央に対して着脱自在である。一態様においてディスプレイマウント26はディスプレイパネル30の背面の筐体カバーの中央に対して着脱自在である。一態様においてディスプレイパネル30の背面の中央にもマウントが設けられている。一態様においてこれらはネジやビスで連結される。
【0017】
図1及び図2に示す一態様において、アーム28aはディスプレイマウント26からディスプレイパネル30の外周に位置するベゼル33に向かって延びる。アーム28aはさらにディスプレイパネル30のベゼル33から飛び出す。アーム28aはベゼル33の先でハーフミラー20の外周21と連結する。アーム28bもまたディスプレイマウント26からベゼル33に向かって延び、ディスプレイパネル30のベゼル33から飛び出す。一態様においてアーム28bはアーム28aとは反対方向に延びる。アーム28bもまたその先で外周21と連結する。
【0018】
図1に示すようにブリッジ27は外周21上の複数の個所、すなわち連結部22a及び連結部22bで外周21と連結される。図2に示すように連結部22a及び連結部22bはハーフミラー20の重心Cgを挟んで向かい合う位置にある。連結部22a及び連結部22bはそれぞれハーフミラー20の長辺上にある。これらの連結部は共同して重心Cgを支えることができる。他の態様において重心Cgを支える連結部のグループは3か所以上の連結部からなっていてもよい。他の態様においてブリッジ27は、アームで構成されるものではなく、重心Cgを含めてハーフミラー20の背面の広範囲を覆うカバー様の構造体でもよい。
【0019】
図1に示すようにアーム28aと外周21との連結はディスプレイパネル30とハーフミラー20との重ね合わせ面の延長面上で行っている。係る連結はディスプレイパネル30とハーフミラー20との重ね合わせ面に対して正面側で行ってもよく、背面側で行ってもよい。
【0020】
図1図3に示す一態様においてハーフミラー20はディスプレイパネル30の正面側を覆い隠す。ベゼル33のさらに外側で、ブリッジ27がハーフミラーの外周21に連結される。
【0021】
図1図3に示すように固定器具25は外部マウント24を備える。外部マウント24は固定器具25自身と外部の構造体であるフック32との連結を担う。フック32はスタンド80に引っ掛けることができる。スタンド80は壁や柵といった建築物や工作物に置き換えてもよい。
【0022】
図1図3に示す一態様において外部マウント24は多角形状に配置されたネジ穴を有する。一態様において多角形状に配置されたネジ穴はVESAマウントに沿った形態を有する。一態様においてフック32は外部マウント24と同形で配置されたネジ穴を有する。一態様においてこれらはネジやビスで連結される。
【0023】
図3に示す他の態様において外部マウント自体がフック32を有する。かかる態様において外部マウント24はフック32と一体化していてもよい。かかる態様においてスタンド80を外部の構造体として捉えてもよい。
【0024】
図3に示す一態様では、固定器具25はディスプレイマウント26の裏側に外部マウント24を備える。固定器具25は正面側に、すなわちブリッジ27で跨がれる側にディスプレイマウント26を有することが好ましい。これと異なり外部マウント24は固定器具25中のいずれの個所にあってもよい。外部マウント24はディスプレイパネル30の背面の中央とディスプレイマウント26との連結を妨げないことが好ましい。外部マウント24はハーフミラー20とディスプレイパネル30との重ね合わせを妨げないことが好ましい。
【0025】
図1図3に示す他の態様において固定器具25は留め具23a及び23bと併用される。これらの留め具はディスプレイパネル30の外周をハーフミラー20の背面に押し付ける。一態様において留め具23a及び23bはディスプレイパネル30の外周に沿った形状を有する。一態様においてこれら2個の留め具を、固定器具25を挟んだ対照的な位置で用いる。一態様において留め具23a及び23bはディスプレイパネル30の短辺上にある。ディスプレイマウント26と留め具23aとの距離を縮めた場合、留め具23aを取り付けなくてもよい。留め具23bにおいて同様である。双方の距離を縮めた場合、留め具23a及び23bの両方とも取り付けなくてもよい。
【0026】
図1図3に示す他の態様においてディスプレイマウント26と外部マウント24との間に互換性がある。図4は固定器具25の取り外されたディスプレイパネル30とフック32とを表す。図に示す一態様においてディスプレイパネル30とフック32とは直接に連結できる。この連結はそれぞれがディスプレイマウント26及び外部マウント24と連結されていた個所で行う。この連結はVESAマウントに依拠するものでもよい。
【0027】
図1及び図2に示す一態様においてディスプレイパネル30はセンサー38を備える。ブリッジ27はディスプレイパネル上のセンサー38を覆う。センサー38はスリット39を通過した赤外線パルスを受信する赤外線センサーである。赤外線パルスはディスプレイパネル30を制御する信号を含む。ブリッジ中のアーム28bはスリット39を備える。スリット39はセンサー38に向かう赤外線パルスの通り道とアーム28bとが交わる個所に位置する。
【0028】
図1図3に示す他の態様は、固定器具25を備える鏡面表示装置である。係る鏡面表示装置はディスプレイパネル30と、ハーフミラー20と、固定器具25の外部の構造体とをさらに備える。一態様において外部の構造体はスタンド80である。固定器具25が外部マウント24でスタンド80と連結している。ディスプレイパネル30の背面の中央がディスプレイマウント26で固定器具25と連結している。ディスプレイパネルの表示面31の上に空気層29を挟んでハーフミラー20が架け渡っている。ブリッジ27の、ディスプレイパネル30の外周から飛び出した先の個所でハーフミラーの外周21が連結されている。
【0029】
<例1>
【0030】
図5はディスプレイパネル30の斜視図である。本例ではディスプレイパネル30を横長に設置する。ディスプレイパネル30はフック32に連結している。フック32はスタンド80に掛けられている。ハーフミラーをディスプレイパネル30上に架け渡すために、まずフック32をスタンド80から取り外す。次にディスプレイパネル30からフック32を取り外す。
【0031】
図6は固定器具35の斜視図である。固定器具35はブリッジ37を備える。この点で固定器具35は図1~3に示す固定器具25と異なる。他の点で固定器具35は固定器具25と共通する。ブリッジ37の長手方向はディスプレイパネル30の長手方向と交差せず、これに沿っている。この点でブリッジ37は図2に示すブリッジ27と異なる。他の点でブリッジ37はブリッジ27と共通する。一態様においてブリッジ37の長手方向はディスプレイパネル30の長手方向と一致する。
【0032】
図6に示すかぎ型の矢印の個所にて固定器具35の断面を得る。図7はその断面を平面視した時における端面を模式的に表す。これらの図を参照しつつ固定器具35の使用方法を以下に説明する。図7に示すように固定器具35を外部マウント24でフック32と連結する。次にディスプレイパネル30の背面の中央をディスプレイマウント26で固定器具35と連結する。
【0033】
図7に示すようにディスプレイパネルの表示面31の上に空気層29を挟んでハーフミラー40を架け渡す。図6及び図7に示すようにブリッジ37の両端を、ディスプレイパネル30の外周から飛び出した先の個所でハーフミラー40と連結する。ハーフミラー40はその外周上に枠体41が設けられている点を除き図1図3に示したハーフミラー20と同等である。ブリッジ37は枠体41上の連結部43a及び連結部43bでハーフミラー40と連結される。連結部43a及び連結部43bはそれぞれハーフミラー40の短辺上にある。
【0034】
以上により、図7に示すようにディスプレイパネル30に積層されたハーフミラー40を得る。そこでは粘着剤やその他の充填剤を間に挟まずに、表示面31とハーフミラー40の背面とが空気層を介して、所定の間隔を開けて対向するように重ね合わさる。固定器具35がディスプレイパネル30及びハーフミラー40を互いに固定している。したがって図6に示すようにこれらをフック32でスタンド80に掛けることができる。
【0035】
次に図6及び図7において固定器具をディスプレイパネルやフックから取り外す。まずハーフミラー40とブリッジ37との連結を解除する。これでハーフミラー40をディスプレイパネルの表示面31から取り外す。さらにディスプレイマウント26と固定器具35との連結を解除する。また外部マウント24とフック32との連結を解除する。以上により固定器具35をディスプレイパネル30及びフック32から取り外す。一態様において図5に示すように固定器具を介さずにディスプレイパネル30をフック32に直接に連結する。
【0036】
図6に示すように固定器具35は留め具23c及び23dと併用される。これらの留め具は図1~3に示した留め具23a及び23bと同様に働く。留め具23c及び23dはディスプレイパネル30の長辺上にある。以上によりディスプレイパネル30の外周をハーフミラー40の背面に押し付ける、
【0037】
図7に示すようにハーフミラー40は透明板45とその外周に接する遮光板46とを有する。遮光板46は例えばアルミニウム板に遮光シートを張り合わせたものや、アルミ合金に黒の塗装を施したものでもよい。遮光板46の遮光面を透明板45に向ける。枠体41は透明板45と遮光板46とをまとめて挟んでいる。透明板45の背面47は中央でディスプレイパネルの表示面31と対向し、外周で遮光板46と対向する。一態様において遮光板46がベゼル33の四方を取り囲む。これにより遮光板46がディスプレイパネル30の周りの光を遮断するので、観察者がハーフミラー40を正面視した時でも、観察者はディスプレイパネル30の影に気付きにくい。
【0038】
図8はハーフミラー40の光学的構成の一例を示す。光路を見やすくするために、ハーフミラー40及びその他の光学素子の傾きを大きくしてある。図に示すようにディスプレイパネルの表示面31から出射する表示光は円偏光Cpである。そのような表示光を発する表示パネルの例は有機ELパネルである。
【0039】
図8に示す一態様において円偏光Cpは左円偏光であり、進行方向に対して右回り螺旋となっている。表示光が直線偏光であれば波長板Wpでこれを円偏光に変換してもよい。そのような表示光を発する表示パネルの例は液晶パネルである。一態様において波長板Wpは1/4波長板である。
【0040】
図8に示すように円偏光Cpは空気層29を経由してハーフミラー40の背面側に入射する。背面は観察者Obから見て背後に位置する面である。ハーフミラー40は透明板45の背面47に設けられた誘電体多層膜Dlを備える。誘電体多層膜Dlが透明板45にハーフミラーの機能を与える。誘電体多層膜Dlは透明板45にハーフミラーの機能を与える他の光学薄膜に置き換えてもよい。
【0041】
図8に示すように誘電体多層膜Dl上にはさらにコレステリックフィルムCfがさらに設けられている。コレステリックフィルムCf内では液晶が螺旋構造を形成しているので、コレステリックフィルムCfによる反射には円偏光の左右の旋回方向に対して選択性がある。図中のコレステリックフィルムCfは左円偏光を透過し、右円偏光を反射する。この反射には可視光の全帯域に渡って偏り少なく選択反射する広帯域性がある。コレステリックフィルムCfは、円偏光の左右の旋回方向に対して選択性がある他の光学素子で置き換えてもよい。なお波長板Wpはディスプレイパネルの表示面31側に付してもよく、コレステリックフィルムCf側に付してもよい。波長板WpがコレステリックフィルムCf側に接合されている場合には、ディスプレイパネルの表示面31からの直線偏光が空気層29を経由してハーフミラー40の背面側に入射する。ディスプレイパネルの表示面31からの円偏光や楕円偏光を波長板WpによりコレステリックフィルムCfが選択反射または選択透過できる円偏光に変換できる。
【0042】
図8に示すように円偏光Cpが誘電体多層膜DlとコレステリックフィルムCfとの間で反射を繰り返す中で、円偏光Cpの一部が誘電体多層膜Dlを透過して優先的にハーフミラー40の正面側に出射する。したがって、ハーフミラー40の鏡面反射率を高めつつ、ハーフミラー40を通過する表示光の透過率を高めることができる。かかるコレステリックフィルムCfの設計は特許文献1に開示されている。
【0043】
<例2>
【0044】
図9は側面視したディスプレイパネル30とハーフミラー40とを表す。枠体41のみ断面で表されている。本例では固定器具を用いずにスタンド90及びロープ91でディスプレイパネル30上にハーフミラー40を架け渡している。スタンド90は枠体41の下部を受ける。ロープ91は枠体41の上部を保持する。
【0045】
図9に示す例において、スタンド90はハーフミラー40の外形寸法に合わせて設計する必要がある。そのように設計されていないスタンドにハーフミラー40を取り付けることは難しい。これに対して上記<例1>に示した形態では、任意のスタンドに合わせて設計したフック32を外部マウント24を介して固定器具35に対して取り付ける。このような取り付け様式を用いることで、多様なスタンドに対してハーフミラー40の取り付け及び取り外しができる。
【0046】
図9に示す例において、ディスプレイパネル30とハーフミラー40との密着を高めるためにはロープ91を引っ張る必要がある。ここでスタンド90の剛性がハーフミラー40に勝る場合にロープ91を強く引っ張ると、応力がハーフミラー40に集中する。したがってハーフミラー40がしなる。ディスプレイパネル30とハーフミラー40との密着がしにくい。これに対して上記<例1>に示した形態では、ブリッジの剛性を用いてディスプレイパネル30とハーフミラー40とを密着させる。この時、スタンド80の剛性がハーフミラー40やディスプレイパネル30に及ぼす影響は比較的小さい。
【0047】
<例3>
【0048】
図10は側面視したディスプレイパネル30とハーフミラー40とを表す。本例では固定器具を用いずに留め具23c及び留め具23dでディスプレイパネル30上にハーフミラー40を架け渡している。
【0049】
図10に示す例において、ハーフミラー40の重量は全てディスプレイパネル30の筐体の外縁に負荷される。図中ではベゼル33がその外縁に配置されている。ハーフミラー40が大型である場合、そのハーフミラー面を有する本体の重量も大きく、またその周縁フレームの重量も大きい。このようなハーフミラー40を筐体の外縁に結合した時に、その重量負荷によりディスプレイパネル30の筐体が変形するおそれがある。その変形に伴いディスプレイパネル30の内蔵する表示パネルも応力を受けて変形する。このような変形はたとえ小さなものでも、ディスプレイパネル30の表示品質を損なうおそれがある。このため、ディスプレイパネル30の筐体の変形の抑制を考慮しなければならない。
【0050】
これに対して上記<例1>に示した形態では、図6~7に示すようにブリッジ37を備える固定器具35を用いてハーフミラー40を支持する。この時、ディスプレイパネルの筐体に対するハーフミラー40の重量の負荷は大きく軽減されたものになっている。
【0051】
また図4に示すようにハーフミラーを取り外した際には、ディスプレイパネル30の筐体の外縁に位置するベゼル33が正面視される。ハーフミラーを有する鏡面表示装置において、ハーフミラーの鏡像面内の表示領域をできるだけ広くするには、ディスプレイパネルの外縁に位置するベゼル33を細くすることが考慮される。しかしながらベゼル33が細くなると、ベゼル33近傍に応力がかかる場所から、ディスプレイパネル30の内蔵する表示パネルまでの距離が小さい。このためディスプレイパネル30の内蔵する表示パネルが変形しやすい。またこの変形がディスプレイパネル30の表示品質を損なう。ブリッジを備える固定器具の使用は、ベゼル33近傍におけるディスプレイの筐体の変形を抑える。したがって固定器具の使用は、表示領域を広く確保しながら、ディスプレイ30の表示面31上にハーフミラーを重ね合わせるのに有効である。
【0052】
なお、本発明は上記実施の形態に限られたものではなく、趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更できる。
【0053】
この出願は、2020年4月28日に出願された日本出願特願2020-079375を基礎とする優先権を主張し、その開示の全てをここに取り込む。
【符号の説明】
【0054】
20 ハーフミラー、 21 外周、 22a-b 連結部、 23a-d 留め具、 24 外部マウント、 25 固定器具、 26 ディスプレイマウント、 27 ブリッジ、 28a-b アーム、 29 空気層、 30 ディスプレイパネル、 31 表示面、 32 フック、 33 ベゼル、 35 固定器具、 37 ブリッジ、 38 センサー、 39 スリット、 40 ハーフミラー、 41 枠体、 43a-b 連結部、 45 透明板、 46 遮光板、 47 背面、 80 スタンド、 90 スタンド、 91 ロープ、 Cf コレステリックフィルム、 Cg 重心、 Cp 円偏光、 Dl 誘電体多層膜、 Ob 観察者、 Wp 波長板
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10