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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-05
(45)【発行日】2024-11-13
(54)【発明の名称】液晶組成物及び液晶表示素子
(51)【国際特許分類】
   C09K 19/60 20060101AFI20241106BHJP
   C09K 19/12 20060101ALI20241106BHJP
   C09K 19/14 20060101ALI20241106BHJP
   C09K 19/18 20060101ALI20241106BHJP
   C09K 19/20 20060101ALI20241106BHJP
   C09K 19/30 20060101ALI20241106BHJP
   C09K 19/34 20060101ALI20241106BHJP
   C09K 19/38 20060101ALI20241106BHJP
   C09K 19/54 20060101ALI20241106BHJP
【FI】
C09K19/60 A
C09K19/12
C09K19/14
C09K19/18
C09K19/20
C09K19/30
C09K19/34
C09K19/38
C09K19/54 C
【請求項の数】 17
(21)【出願番号】P 2023001605
(22)【出願日】2023-01-10
(62)【分割の表示】P 2019011181の分割
【原出願日】2018-02-15
(65)【公開番号】P2023038240
(43)【公開日】2023-03-16
【審査請求日】2023-01-24
(31)【優先権主張番号】P 2017038266
(32)【優先日】2017-03-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000002886
【氏名又は名称】DIC株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100149445
【弁理士】
【氏名又は名称】大野 孝幸
(74)【代理人】
【識別番号】100163290
【弁理士】
【氏名又は名称】岩本 明洋
(74)【代理人】
【識別番号】100214673
【弁理士】
【氏名又は名称】菅谷 英史
(74)【代理人】
【識別番号】100186646
【弁理士】
【氏名又は名称】丹羽 雅裕
(72)【発明者】
【氏名】大石 晴己
(72)【発明者】
【氏名】佐々木 剛
【審査官】黒川 美陶
(56)【参考文献】
【文献】特許第6070973(JP,B2)
【文献】特開2016-199704(JP,A)
【文献】特開2000-096059(JP,A)
【文献】特開2001-072977(JP,A)
【文献】特開2001-042793(JP,A)
【文献】特開2015-165020(JP,A)
【文献】特開2013-139521(JP,A)
【文献】特開2000-313881(JP,A)
【文献】特表2016-510907(JP,A)
【文献】特表2015-509206(JP,A)
【文献】特開平10-111513(JP,A)
【文献】国際公開第2015/154848(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C09K 19/00-19/60
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
一般式(A)で表されるアゾ化合物から選択される二色性色素を3種類又は4種類以上と、ホスト液晶組成物とからなり、
ホスト液晶組成物は、一般式(C1a)から(C1d)、(C2a)から(C2d)、(C3b)から(C3e)で表される化合物を1種類又は2種類以上と、更に、一般式(A1a)から(A3c)及び一般式(B1a)から(B2c)で表される化合物群から選ばれる化合物を1種又は2種以上含有し、
ホスト液晶組成物の総量に対しての一般式(C1a)から(C1d)、(C2a)から(C2d)、(C3b)から(C3e)、一般式(A1a)から(A3c)、及び一般式(B1a)から(B2c)で表される化合物の合計の含有量の下限値は95%であって、
ここで、前記一般式(B1a)から(B2c)で表される化合物の合計の含有量の上限値は30%であり、
前記一般式(C1a)から(C1d)、(C2a)から(C2d)、(C3b)から(C3e)で表される化合物として、一般式(C1a)、一般式(C2a)及び一般式(C3e)で表される化合物をそれぞれ少なくとも1種含有し、
ネマティック-アイソトロピック転移温度が90℃~120℃であり、
誘電率異方性(Δε)が正の液晶組成物。
【化1】
(式中、RA1及びRA2はそれぞれ独立して炭素原子数1~12のアルキル基、炭素原子数1~12のアルキル基が結合したジアルキルアミノ基を表し、該アルキル基及びジアルキルアミノ基中の1個又は非隣接の2個以上の-CH-はそれぞれ独立して-O--COO-又は-OCO-によって置換されていてもよく
及びXはそれぞれ独立して単結合-COO-又は-OCO-表し、
Ar及びArはそれぞれ独立して
【化2】
(RA3及びRA4はそれぞれ独立して炭素原子数1~12のアルキル基を表す。)
から選択される基を表し、これらの基はそれぞれ独立して炭素原子数1~3のアルキル基炭素原子数1~3のアルコキシ基シアノ基又はフッ素原子で置換されていてもよく、
Ar
【化3】
から選択される基を表し、これらの基はそれぞれ独立して炭素原子数1~3のアルキル基炭素原子数1~3のアルコキシ基シアノ基又はフッ素原子で置換されていてもよく、
pは0、1又は2を表すが、pが2であってAr及びXが複数存在する場合は、Ar及びXはそれぞれ独立して同一であっても異なっていてもよく、
qは2又は3を表すが、Arはそれぞれ独立して同一であっても異なっていてもよい。)
【化4】
(式中、環G1、環G2、環H1及び環H2はそれぞれトランス-1,4-シクロへキシレン基、あるいは、1~2個のフッ素原子あるいはメチル基により置換されていてもよい1,4-フェニレン基を表し、
及びRはそれぞれ独立的に炭素原子数1~7の直鎖状アルキル基、炭素原子数2~7の直鎖状1-アルケニル基、炭素原子数4~7の直鎖状3-アルケニル基、炭素原子数1~3の直鎖状アルコキシル基又は末端が炭素原子数1~3のアルコキシル基により置換された炭素原子数1~5の直鎖状アルキル基を表すが、少なくとも一方は炭素原子数1~7の直鎖状アルキル基、炭素原子数2~7の直鎖状1-アルケニル基又は炭素原子数4~7の直鎖状3-アルケニル基を表す。ただし、環G1~環G2が芳香環の場合、対応するRは1-アルケニル基及びアルコキシル基を除き、環H1~環H2が芳香環の場合、対応するRは1-アルケニル基及びアルコキシル基を除く。)
【化5】
(式中、環G1、環G2、環H1、環H2、環I1及び環I2はそれぞれトランス-1,4-シクロへキシレン基、あるいは、1~2個のフッ素原子あるいはメチル基により置換されていてもよい1,4-フェニレン基を表し、
及びRはそれぞれ独立的に炭素原子数1~7の直鎖状アルキル基、炭素原子数2~7の直鎖状1-アルケニル基、炭素原子数4~7の直鎖状3-アルケニル基、炭素原子数1~3の直鎖状アルコキシル基又は末端が炭素原子数1~3のアルコキシル基により置換された炭素原子数1~5の直鎖状アルキル基を表すが、少なくとも一方は炭素原子数1~7の直鎖状アルキル基、炭素原子数2~7の直鎖状1-アルケニル基又は炭素原子数4~7の直鎖状3-アルケニル基を表す。ただし、環G1~環G2が芳香環の場合、対応するRは1-アルケニル基及びアルコキシル基を除き、環I1~環I2が芳香環の場合、対応するRは1-アルケニル基及びアルコキシル基を除く。)
【化6】
(式中、環G2、環H2、環I2及び環J2はそれぞれトランス-1,4-シクロへキシレン基、あるいは、1~2個のフッ素原子あるいはメチル基により置換されていてもよい1,4-フェニレン基を表し、
及びRはそれぞれ独立的に炭素原子数1~7の直鎖状アルキル基、炭素原子数2~7の直鎖状1-アルケニル基、炭素原子数4~7の直鎖状3-アルケニル基、炭素原子数1~3の直鎖状アルコキシル基又は末端が炭素原子数1~3のアルコキシル基により置換された炭素原子数1~5の直鎖状アルキル基を表すが、少なくとも一方は炭素原子数1~7の直鎖状アルキル基、炭素原子数2~7の直鎖状1-アルケニル基又は炭素原子数4~7の直鎖状3-アルケニル基を表す。ただし、環G2が芳香環の場合、対応するRは1-アルケニル基及びアルコキシル基を除き、環J2が芳香環の場合、対応するRは1-アルケニル基及びアルコキシル基を除く。)
【化7】
(式中、Rは炭素原子数1~12のアルキル基を表し、これらは直鎖状であってもメチルまたはエチル分岐を有していてもよく、3~6員環の環状構造を有していてもよく、基内に存在する任意の-CH-は-O-、-CH=CH-、-CH=CF-、-CF=CH-、-CF=CF-又は-C≡C-により置換されていてもよく、基内に存在する任意の水素原子はフッ素原子またはトリフルオロメトキシ基により置換されていてもよいが、分岐により不斉炭素が生じる場合には、化合物として光学活性であってもラセミ体であってもよく、
A、B及びCはそれぞれトランス-1,4-シクロへキシレン基、あるいは、1~2個のフッ素原子により置換されていてもよい1,4-フェニレン基を表し、
およびYはそれぞれ独立的に水素原子あるいはフッ素原子を表す。)
【化8】
(式中、Rは炭素原子数1~12のアルキル基を表し、これらは直鎖状であってもメチル又はエチル分岐を有していてもよく、3~6員環の環状構造を有していてもよく、基内に存在する任意の-CH-は-O-、-CH=CH-、-CH=CF-、-CF=CH-、-CF=CF-又は-C≡C-により交換されていてもよく、基内に存在する任意の水素原子はフッ素原子又はトリフルオロメトキシ基により置換されていてもよいが、分岐により不斉炭素が生じる場合には、化合物として光学活性であってもラセミ体であってもよく、
A及びBはそれぞれトランス-1,4-シクロへキシレン基、あるいは、1~2個のフッ素原子により置換されていてもよい1,4-フェニレン基を表し、
およびYはそれぞれ独立的に水素原子あるいはフッ素原子を表す。)
【請求項2】
二色性色素として、最大吸収波長が390nm~440nmである化合物Aを1種、490nm~540nmである化合物Bを1種、550~650nmである化合物Cを1種含有する請求項1に記載の液晶組成物。
【請求項3】
液晶組成物中の二色性色素の総量に対する前記化合物A、化合物B及び化合物Cの配合比率A:B:Cが10~60重量%:10~60重量%:10~60重量%である請求項2に記載の液晶組成物。
【請求項4】
二色性色素を液晶組成物100重量部に対して0.5~5重量部含有する請求項1~3のいずれか一項に記載の液晶組成物。
【請求項5】
標準光源D65における色度x、yがそれぞれ0.310~0.370になるように調節された請求項4記載の液晶組成物。
【請求項6】
捩れピッチpが2μm~20μmである請求項1~5のいずれか一項に記載の液晶組成物。
【請求項7】
更に重合性化合物を含有する請求項1~6のいずれか1項に記載の液晶組成物。
【請求項8】
更に安定剤を0.05~0.5重量%含有する請求項1~7のいずれか一項に記載の液晶組成物。
【請求項9】
誘電率異方性が+3.0~+20.0、及び複屈折率が 0.070~0.200である請求項1~8のいずれか1項に記載の液晶組成物。
【請求項10】
請求項1~9のいずれか1項に記載の液晶組成物を用いた素子。
【請求項11】
プレチルト角が80°~90°又は1°~15°である請求項10に記載の素子。
【請求項12】
捩れピッチpとセル厚dの関係であるd/p値が0.5~2.2を満たす請求項11に記載の素子。
【請求項13】
基板表面にアンチグレア処理を施した請求項10~12のいずれか1項に記載の素子。
【請求項14】
アンチパラレルに配向処理された垂直配向の液晶セル2枚の配向軸を90°直交させて積層させた請求項10~12のいずれか1項に記載の素子。
【請求項15】
液晶セルに400nm以下の波長の光をカットするフィルムを積層した請求項10~14記載の素子。
【請求項16】
調光素子に使用される請求項10~15いずれか1項に記載の素子。
【請求項17】
液晶表示素子に使用される請求項10~15いずれか1項に記載の素子。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はアゾ系二色性色素を含有する液晶組成物及びこれを使用した液晶表示素子または調光素子に関する。
【背景技術】
【0002】
液晶材料は、TVやスマートフォンに代表される文字や画像、映像を表示させる各種表示素子に利用されるだけではなく、光の透過を調節する調光素子としての利用も実用化されつつある。
【0003】
中でも、ホスト液晶組成物に二色性色素を添加した「ゲスト - ホスト(GH)型液晶組成物」を用いる場合には偏光板が不要になることから、低コストで透過率の高い調光素子が期待されている。
【0004】
GH型液晶組成物については古くから検討されており、有用な素子性能(例えば、大きな二色比、高いコントラスト、液晶組成物との高い溶解性、優れた耐光性、優れた耐UV性、優れた耐熱性)を有する液晶表示素子や調光素子を開発する試みが行われてきた(特許文献1参照)。
【0005】
しかし、二色性色素を含有する液晶組成物においては、その構成する成分によって、液晶表示素子や調光素子への使用に適さないものがあり、更なる性能の向上が求められている。例えば、大きな二色比を得るためには、二色性色素を多量に液晶組成物に含有させる必要があり、二色性色素や液晶化合物が析出してしまう組成物溶解性の問題がある。特に、調光素子として利用するためには、広い温度範囲でネマティック液晶相を呈しなければならないが、色素の分子量は液晶化合物と比べて大きいため、低温での溶解性に課題がある。
【0006】
調光素子用のホスト液晶組成物としては、誘電率異方性が負の高信頼性TV用の液晶組成物を利用できるが、調光素子用液晶組成物として実用するために、低温での溶解安定性に優れ、且つ、高いネマティック-アイソトロピック転移温度(TNI)と高耐光性、高耐熱性に有効な低い複屈折率異方性(Δn)を同時に満たすGH型液晶組成物の開発が求められている
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【文献】特表2013-534945号公報
【文献】国際公開第1997/17415号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本願発明が解決しようとする課題は、高いコントラスト、高い溶解性、高いネマティック-アイソトロピック転移温度(TNI)、高耐光性及び高耐熱性に有効な低い複屈折率異方性(Δn)を同時に満たす二色性色素を含有する液晶組成物を提供すること、及び、これを用いた液晶表示素子または調光素子を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者らが鋭意検討した結果、一般式(L)
【0010】
【化1】
【0011】
(式中、RL1及びRL2はそれぞれ独立して炭素原子数1~12のアルキル基を表し、該アルキル基中の1個又は非隣接の2個以上の-CH-はそれぞれ独立して-CH=CH-、-C≡C-、-O-、-CO-、-COO-又は-OCO-によって置換されていてもよく、
L1は0、1、2又は3を表し、
L1、AL2及びAL3はそれぞれ独立して
(a) 1,4-シクロヘキシレン基(この基中に存在する1個の-CH-又は隣接していない2個以上の-CH-は-O-に置き換えられてもよい。)
(b) 1,4-フェニレン基(この基中に存在する1個の-CH=又は隣接していない2個以上の-CH=は-N=に置き換えられてもよい。)及び
(c) 1,4-シクロヘキセニレン、1,4-ビシクロ(2.2.2)オクチレン、ピペリジン-1,4-ジイル、ナフタレン-2,6-ジイル、デカヒドロナフタレン-2,6-ジイル及び1,2,3,4-テトラヒドロナフタレン-2,6-ジイル
からなる群より選ばれる基を表し、上記の基(a)、基(b)及び基(c)はそれぞれ独立して炭素原子数1~3のアルキル基、炭素原子数2~3のアルケニル基、炭素原子数1~3のアルコキシル、炭素原子数1~3のアルケニルオキシ基、シアノ基又はフッ素原子で置換されていてもよいが、AL1、AL2及びA4L3は2,3-ジフルオロ-1,4-フェニレン基、1,7,8-トリフルオロナフタレン-2,6-ジイル基又は3,4,5-トリフルオロナフタレン-2,6-ジイル基を表すことはなく、
L1及びZL2はそれぞれ独立して単結合、-CHCH-、-(CH-、-OCH-、-CHO-、-COO-、-OCO-、-OCF-、-CFO-、-CH=N-N=CH-、-CH=CH-、-C≡C-又は-CF=CFを表し、
L1が2又は3であってAL2及びZL2が複数存在する場合は、AL2及びZL2はそれぞれ独立して同一であっても異なっていてもよい。)
で表される化合物を1種類又は2種類以上と、アゾ化合物から選択される二色性色素を3種類又は4種類以上含有する液晶組成物とすることにより、上記課題を解決できることを見出し、本願発明を完成するに至った。
【0012】
つまり、本願発明は、一般式(L)で表される化合物を1種類又は2種類以上と、アゾ化合物から選択される二色性色素を3種類又は4種類以上含有する液晶組成物を提供し、また、これを用いた液晶表示素子または調光素子を提供する。
【発明の効果】
【0013】
本願発明により、高いコントラスト、高い溶解性、高いネマティック-アイソトロピック転移温度(TNI)、高耐光性及び高耐熱性に有効な低い複屈折率異方性(Δn)を同時に満たす二色性色素を含有する液晶組成物を提供でき、更に、この液晶組成物を用いることで、見た目に良好な黒色を呈し、高いコントラスト、高い表示品位とともに、高い実用性を備えた液晶表示素子または調光素子を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本願発明の液晶組成物は、アゾ化合物から選択される二色性色素を3種類又は4種類以上含有する。アゾ化合物としては、ジスアゾ化合物及びトリスアゾ化合物から選択される二色性色素を3種類又は4種類以上含有することが好ましい。液晶組成物中には、ジスアゾ化合物及びトリスアゾ化合物から選択される二色性色素として、ジスアゾ化合物のみを3種類又は4種類以上含有してもよいし、トリスアゾ化合物のみを3種類又は4種類以上含有してもよいし、ジスアゾ化合物及びトリスアゾ化合物の両方を含有してもよい。
【0015】
ジスアゾ化合物又はトリスアゾ化合物としては、例えば、以下の一般式(A)で表される化合物から選択される化合物を含有することが好ましい。
【0016】
【化2】
【0017】
(式中、RA1及びRA2はそAれぞれ独立して水素原子、ハロゲン原子、炭素原子数1~12のアルキル基、炭素原子数1~12のアルキル基が結合したジアルキルアミノ基を表し、該アルキル基及びジアルキルアミノ基中の1個又は非隣接の2個以上の-CH-はそれぞれ独立して-O-、-CO-、-COO-又は-OCO-によって置換されていてもよく、また、アルキル基及びジアルキルアミノ基中の水素原子はフッ素原子で置換されていてもよく、
及びXはそれぞれ独立して単結合、-CHCH-、-(CH-、-OCH-、-CHO-、-COO-、-OCO-、-OCF-、-CFO-、-CH=N-N=CH-、-CH=CH-、-C≡C-又は-CF=CFを表し、
Ar及びArはそれぞれ独立して
【0018】
【化3】
【0019】
(RA3及びRA3はそれぞれ独立して炭素原子数1~12のアルキル基を表す。)
から選択される基を表し、これらの基はそれぞれ独立して炭素原子数1~3のアルキル基、炭素原子数2~3のアルケニル基、炭素原子数1~3のアルコキシ基、炭素原子数1~3のアルケニルオキシ基、シアノ基又はフッ素原子で置換されていてもよく、
Ar
【0020】
【化4】
【0021】
から選択される基を表し、これらの基はそれぞれ独立して炭素原子数1~3のアルキル基、炭素原子数2~3のアルケニル基、炭素原子数1~3のアルコキシ基、炭素原子数1~3のアルケニルオキシ基、シアノ基又はフッ素原子で置換されていてもよく、
pは0、1又は2を表すが、pが2であってAr及びXが複数存在する場合は、Ar及びXはそれぞれ独立して同一であっても異なっていてもよく、
qは2又は3を表すが、Arはそれぞれ独立して同一であっても異なっていてもよい。)
一般式(A)中に存在するアルキル基は、直鎖状であっても分岐状であってもよい。
【0022】
アゾ化合物として、最大吸収波長が390nm~440nmである二色性色素(以下、「化合物A」という。)、490nm~540nmである二色性色素(以下、「化合物B」という。)、及び550~650nmである二色性色素(以下、「化合物C」という。)から選択される二色性色素を少なくとも1種以上用いることが好ましく、化合物Aを少なくとも1種以上、化合物Bを少なくとも1種以上、及び化合物Cを少なくとも1種以上含有することがより好ましい。化合物A、化合物B及び化合物Cをそれぞれ有することで、二色性色素の総添加量を増大させても液晶組成物との溶解性や低温安定性を維持できる。
【0023】
液晶組成物中の二色性色素の総量に対する前記化合物A、化合物B及び化合物Cの配合比率A:B:Cが10~60重量%:10~60重量%:10~60重量%であることが好ましい。化合物A、化合物B及び化合物Cの配合比率は、ターゲットとする色度に応じて、適宜調節される。また、液晶組成物中の二色性色素の総量に対する、化合物a、化合物b及び化合物cの総添加量が、50重量%以上となることが好ましく、60重量%以上となることが好ましく、70重量%以上となることが好ましく、80重量%以上となることが好ましく、90重量%以上となることが好ましく、95重量%以上となることが好ましく、100重量%となることが好ましい。
【0024】
本発明の液晶組成物は、標準光源D65における色度x、yがそれぞれ0.310~0.370になるように調節された色度であることが好ましい。黒色を呈した色味の液晶組成物を得られ、コントラストに優れた素子を得られるためである。色度は、CIE1931xy座標系で表したものである。色度は、セル厚10μmのセルに液晶組成物が注入された状態で測定することが好ましく、セルはアンチパラレルセルであることがより好ましい。
【0025】
本発明の液晶組成物は、二色性色素を液晶組成物100重量部に対して0.5~5重量部含有することが好ましい。より具体的には、二色性色素を液晶組成物100重量部に対し1重量部以上含有することが好ましく、1.3重量部以上含有することが好ましく、1.5重量部以上含有することが好ましく、2.0重量部以上含有することが好ましく、2.5重量部以上含有することが好ましく、4重量部以下含有することが好ましく、3.5重量部以下含有することが好ましく、3重量部以下含有することが好ましい。
【0026】
本願発明の液晶組成物は、ジスアゾ化合物及びトリスアゾ化合物以外の二色性色素を含有してもよい。本願発明の液晶組成物中に含まれる二色性色素は、いずれもアゾ系二色性色素であることが好ましい。二色性色素がいずれもアゾ系二色性色素であることにより、二色性比、液晶組成物の溶解性及び低温安定性が更に優れたものになる。
【0027】
本願発明の液晶組成物は、一般式(L)で表される化合物を1種類又は2種類以上含有する。一般式(L)で表される化合物は単独で用いてもよいが、組み合わせて使用することもできる。組み合わせることができる化合物の種類に特に制限は無いが、低温での溶解性、転移温度、複屈折率などの所望の性能に応じて適宜組み合わせて使用する。使用する化合物の種類は、例えば本発明の一つの実施形態としては1種類である。あるいは本発明の別の実施形態では2種類であり、3種類であり、4種類であり、5種類であり、6種類であり、7種類であり、8種類であり、9種類であり、10種類以上である。
【0028】
本発明の組成物において、一般式(L)で表される化合物の含有量は、低温での溶解性、転移温度、複屈折率などの求められる性能に応じて適宜調整する必要がある。
【0029】
本発明の組成物の総量に対しての式(L)で表される化合物の好ましい含有量の下限値は、1%であり、2%であり、5%であり、8%であり、10%であり、13%であり、15%であり、18%であり、20%であり、22%であり、25%であり、30%であり、40%であり、50%であり、55%であり、60%であり、65%であり、70%であり、75%であり、80%である。又、含有量が多いと析出等の問題を引き起こすため、好ましい含有量の上限値は85%であり、75%であり、65%であり、55%であり、45%であり、35%であり、30%であり、28%であり、25%であり、23%であり、20%であり、18%であり、15%であり、13%であり、10%であり、8%であり、5%である。
【0030】
本発明の組成物の粘度を低く保ち、応答速度が速い組成物が必要な場合は上記の下限値が高く上限値が高いことが好ましい。さらに、本発明の組成物が比抵抗値やVHRが高い高信頼性の組成物であり、駆動電圧に制限の無い場合には上記の下限値が高く上限値が高いことが好ましい。また、駆動電圧を低く保つために誘電率異方性を大きくしたいときは、上記の下限値を低く上限値が低いことが好ましい。
【0031】
信頼性を重視する場合にはRL1及びRL2はともにアルキル基であることが好ましく、化合物の揮発性を低減させることを重視する場合にはアルコキシ基であることが好ましく、粘性の低下を重視する場合には少なくとも一方はアルケニル基であることが好ましい。
【0032】
分子内に存在するハロゲン原子は0、1、2又は3個が好ましく、0又は1が好ましく、他の液晶分子との相溶性を重視する場合には1が好ましい。
【0033】
L1及びRL2は、それが結合する環構造がフェニル基(芳香族)である場合には、直鎖状の炭素原子数1~5のアルキル基、直鎖状の炭素原子数1~4のアルコキシ基及び炭素原子数4~5のアルケニル基が好ましく、それが結合する環構造がシクロヘキサン、ピラン及びジオキサンなどの飽和した環構造の場合には、直鎖状の炭素原子数1~5のアルキル基、直鎖状の炭素原子数1~4のアルコキシ基及び直鎖状の炭素原子数2~5のアルケニル基が好ましい。ネマチック相を安定化させるためには炭素原子及び存在する場合酸素原子の合計が5以下であることが好ましく、直鎖状であることが好ましい。
【0034】
アルケニル基としては、式(R1)から式(R5)のいずれかで表される基から選ばれることが好ましい。(各式中の黒点は環構造中の炭素原子を表す。)
【0035】
【化5】
【0036】
L1は応答速度を重視する場合には0が好ましく、ネマチック相の上限温度を改善するためには2又は3が好ましく、これらのバランスをとるためには1が好ましい。また、組成物として求められる特性を満たすためには異なる値の化合物を組み合わせることが好ましい。
【0037】
L1、AL2及びAL3はΔnを大きくすることが求められる場合には芳香族であることが好ましく、応答速度を改善するためには脂肪族であることが好ましく、それぞれ独立してトランス-1,4-シクロへキシレン基、1,4-フェニレン基、2-フルオロ-1,4-フェニレン基、3-フルオロ-1,4-フェニレン基、3,5-ジフルオロ-1,4-フェニレン基、1,4-シクロヘキセニレン基、1,4-ビシクロ[2.2.2]オクチレン基、ピペリジン-1,4-ジイル基、ナフタレン-2,6-ジイル基、デカヒドロナフタレン-2,6-ジイル基又は1,2,3,4-テトラヒドロナフタレン-2,6-ジイル基を表すことが好ましく、下記の構造を表すことがより好ましく、
【0038】
【化6】
【0039】
トランス-1,4-シクロへキシレン基又は1,4-フェニレン基を表すことがより好ましい。
【0040】
L1及びZL2は応答速度を重視する場合には単結合であることが好ましい。一般式(L)で表される化合物は分子内のハロゲン原子数が0個又は1個であることが好ましい。
【0041】
一般式(L)としてより具体的には、一般式(C1)から(C3)で表される化合物を含有することが好ましい。一般式(C1)から(C3)で表される化合物としては、1種を使用してもよいし、2種以上を組み合わせて使用することもできる。
【0042】
【化7】
【0043】
上式中、Rd及びReはそれぞれ独立的に炭素原子数1~12のアルキル基を表し、これらは直鎖状であってもメチル又はエチル分岐を有していてもよく、3~6員環の環状構造を有していてもよく、基内に存在する任意の-CH-は-O-、-CH=CH-、-CH=CF-、-CF=CH-、-CF=CF-又は-C≡C-により交換されていてもよく、基内に存在する任意の水素原子はフッ素原子又はトリフルオロメトキシ基により置換されていてもよいが、炭素原子数1~7の直鎖状アルキル基、炭素原子数2~7の直鎖状1-アルケニル基、炭素原子数4~7の直鎖状3-アルケニル基、炭素原子数1~3の直鎖状アルコキシル基又は末端が炭素原子数1~3アルコキシル基により置換された炭素原子数1~5の直鎖状アルキル基が好ましく、更に少なくとも一方は炭素原子数1~7の直鎖状アルキル基、炭素原子数2~7の直鎖状1-アルケニル基又は炭素原子数4~7の直鎖状3-アルケニル基であることが特に好ましい。又、分岐により不斉炭素が生じる場合には、化合物として光学活性であってもラセミ体であってもよい。
【0044】
環G、環H、環I及び環Jはそれぞれ独立的に、トランス-1,4-シクロへキシレン基、トランスデカヒドロナフタレン-トランス-2,6-ジイル基、1~2個のフッ素原子あるいはメチル基により置換されていてもよい1,4-フェニレン基、1個以上のフッ素原子により置換されていてもよいナフタレン-2,6-ジイル基、1~2個のフッ素原子により置換されていてもよいテトラヒドロナフタレン-2,6-ジイル基、1~2個のフッ素原子により置換されていてもよい1,4-シクロヘキセニレン基、1,3-ジオキサン-トランス-2,5-ジイル基、ピリミジン-2,5-ジイル基又はピリジン-2,5-ジイル基を表すが、各化合物において、トランスデカヒドロナフタレン-トランス-2,6-ジイル基、1個以上のフッ素原子により置換されていてもよいナフタレン-2,6-ジイル基、1~2個のフッ素原子により置換されていてもよいテトラヒドロナフタレン-2,6-ジイル基、フッ素原子により置換されていてもよい1,4-シクロヘキセニレン基、1,3-ジオキサン-トランス-2,5-ジイル基、ピリミジン-2,5-ジイル基又はピリジン-2,5-ジイル基は1個以内であることが好ましく、他の環はトランス-1,4-シクロへキシレン基あるいは1~2個のフッ素原子又はメチル基により置換されていてもよい1,4-フェニレン基であることが好ましい。
【0045】
、L及びLは連結基であって、それぞれ独立的に単結合、エチレン基(-CHCH-)、1,2-プロピレン基(-CH(CH)CH-及び)-CHCH(CH)-)、1,4-ブチレン基、-COO-、-OCO-、-OCF-、-CFO-、-CH=CH-、-CH=CF-、-CF=CH-、-CF=CF-、-C≡C-又は-CH=NN=CH-を表すが、単結合、エチレン基、1,4-ブチレン基、-COO-、-OCO-、-OCF-、-CFO-、-CF=CF-、-C≡C-又は-CH=NN=CH-が好ましく、(C2)においてはその少なくとも1個が、(C3)においてはその少なくとも2個が単結合を表すことが好ましい。
【0046】
なお一般式(C1)から(C3)で表される化合物を組み合わせて使用する場合、異なる分子中の同一の選択肢(環GやL等)は同一の置換基を表しても、異なる置換基を表してもよい。
【0047】
又、一般式(C1)から(C3)においては分子内のハロゲン原子数が0個又は1個であることが好ましい。
【0048】
本発明の組成物の総量に対しての一般式(C1)から(C3)で表される化合物の好ましい含有量の下限値は、1%であり、2%であり、5%であり、8%であり、10%であり、13%であり、15%であり、18%であり、20%であり、22%であり、25%であり、30%であり、40%であり、50%であり、55%であり、60%であり、65%であり、70%であり、75%であり、80%である。好ましい含有量の上限値は、85%であり、75%であり、65%であり、55%であり、45%であり、35%であり、30%であり、28%であり、25%であり、23%であり、20%であり、18%であり、15%であり、13%であり、10%であり、8%であり、5%である。
【0049】
本発明の組成物の粘度を低く保ち、応答速度が速い組成物が必要な場合は上記の下限値を低めに、上限値を高めにすることが好ましい。さらに、本発明の組成物の比抵抗値やVHRが高く、高信頼性の組成物が必要な場合は上記の下限値を高めに、上限値を高めにすることが好ましい。また、駆動電圧を低く保つために誘電率異方性を大きくしたいときは、上記の下限値を低めに、上限値を低めにすることが好ましい。
【0050】
(C1)におけるより好ましい形態は以下の一般式(C1a)~(C1h)で表すことができる。
【0051】
【化8】
【0052】
上記各式中、Rf及びRgはそれぞれ独立的に炭素原子数1~7の直鎖状アルキル基、炭素原子数2~7の直鎖状1-アルケニル基、炭素原子数4~7の直鎖状3-アルケニル基、炭素原子数1~3の直鎖状アルコキシル基又は末端が炭素原子数1~3のアルコキシル基により置換された炭素原子数1~5の直鎖状アルキル基を表すが、少なくとも一方は炭素原子数1~7の直鎖状アルキル基、炭素原子数2~7の直鎖状1-アルケニル基又は炭素原子数4~7の直鎖状3-アルケニル基を表す。ただし、環G1~環G8が芳香環の場合、対応するRは1-アルケニル基及びアルコキシル基を除き、環H1~環H8が芳香環の場合、対応するRは1-アルケニル基及びアルコキシル基を除く。
【0053】
環G1及び環H1はそれぞれ独立的にトランス-1,4-シクロへキシレン基、トランスデカヒドロナフタレン-トランス-2,6-ジイル基、1~2個のフッ素原子あるいはメチル基により置換されていてもよい1,4-フェニレン基、1個以上のフッ素原子により置換されていてもよいナフタレン-2,6-ジイル基、1~2個のフッ素原子により置換されていてもよいテトラヒドロナフタレン-2,6-ジイル基、1~2個のフッ素原子により置換されていてもよい1,4-シクロヘキセニレン基、1,3-ジオキサン-トランス-2,5-ジイル基、ピリミジン-2,5-ジイル基又はピリジン-2,5-ジイル基を表すが、各化合物において、トランスデカヒドロナフタレン-トランス-2,6-ジイル基、1個以上のフッ素原子により置換されていてもよいナフタレン-2,6-ジイル基、1~2個のフッ素原子により置換されていてもよいテトラヒドロナフタレン-2,6-ジイル基、フッ素原子により置換されていてもよい1,4-シクロヘキセニレン基、1,3-ジオキサン-トランス-2,5-ジイル基、ピリミジン-2,5-ジイル基又はピリジン-2,5-ジイル基は1個以内であることが好ましく、その場合の他方の環はトランス-1,4-シクロへキシレン基あるいは1~2個のフッ素原子又はメチル基により置換されていてもよい1,4-フェニレン基である。環G2及び環H2はそれぞれ独立的にトランス-1,4-シクロへキシレン基、トランスデカヒドロナフタレン-トランス-2,6-ジイル基、1~2個のフッ素原子あるいはメチル基により置換されていてもよい1,4-フェニレン基、1個以上のフッ素原子により置換されていてもよいナフタレン-2,6-ジイル基、1~2個のフッ素原子により置換されていてもよいテトラヒドロナフタレン-2,6-ジイル基を表すが、各化合物において、トランスデカヒドロナフタレン-トランス-2,6-ジイル基、1個以上のフッ素原子により置換されていてもよいナフタレン-2,6-ジイル基、1~2個のフッ素原子により置換されていてもよいテトラヒドロナフタレン-2,6-ジイル基は1個以内であることが好ましく、その場合の他方の環はトランス-1,4-シクロへキシレン基あるいは1~2個のフッ素原子又はメチル基により置換されていてもよい1,4-フェニレン基である。環G3及び環H3はそれぞれ独立的に1~2個のフッ素原子あるいはメチル基により置換されていてもよい1,4-フェニレン基、1個以上のフッ素原子により置換されていてもよいナフタレン-2,6-ジイル基、1~2個のフッ素原子により置換されていてもよいテトラヒドロナフタレン-2,6-ジイル基を表すが、各化合物において1個以上のフッ素原子により置換されていてもよいナフタレン-2,6-ジイル基、1~2個のフッ素原子により置換されていてもよいテトラヒドロナフタレン-2,6-ジイル基は1個以内であることが好ましい。
【0054】
さらに好ましくは、下記化合物である。
【0055】
【化9】
【0056】
【化10】
【0057】
【化11】
【0058】
(C2)におけるより好ましい形態は以下の一般式(C2a)~(C2m)で表すことができる。
【0059】
【化12】
【0060】
上式中、環G1、環G2、環G3、環H1、環H2及び環H3は前述の意味を表し、環I1は環G1と、環I2は環G2と、環I3は環G3とそれぞれおなじ意味を表す。又、上記各化合物において、トランスデカヒドロナフタレン-トランス-2,6-ジイル基、1個以上のフッ素原子により置換されていてもよいナフタレン-2,6-ジイル基、1~2個のフッ素原子により置換されていてもよいテトラヒドロナフタレン-2,6-ジイル基、フッ素原子により置換されていてもよい1,4-シクロヘキセニレン基、1,3-ジオキサン-トランス-2,5-ジイル基、ピリミジン-2,5-ジイル基又はピリジン-2,5-ジイル基は1個以内であることが好ましく、その場合の他方の環はトランス-1,4-シクロへキシレン基あるいは1~2個のフッ素原子又はメチル基により置換されていてもよい1,4-フェニレン基である。
【0061】
さらに好ましくは、下記化合物である。
【0062】
【化13】
【0063】
【化14】
【0064】
次に(C3)におけるより好ましい形態は以下の一般式(C3a)~(C3f)で表すことができる。
【0065】
【化15】
【0066】
上式中、環G1、環G2、環H1、環H2、環I1及び環I2は前述の意味を表し、環J1は環G1又環J2は環G2とそれぞれおなじ意味を表す。又、上記各化合物において、トランスデカヒドロナフタレン-トランス-2,6-ジイル基、1個以上のフッ素原子により置換されていてもよいナフタレン-2,6-ジイル基、1~2個のフッ素原子により置換されていてもよいテトラヒドロナフタレン-2,6-ジイル基、フッ素原子により置換されていてもよい1,4-シクロヘキセニレン基、1,3-ジオキサン-トランス-2,5-ジイル基、ピリミジン-2,5-ジイル基又はピリジン-2,5-ジイル基は1個以内であることが好ましく、その場合の他方の環はトランス-1,4-シクロへキシレン基あるいは1~2個のフッ素原子又はメチル基により置換されていてもよい1,4-フェニレン基である。
【0067】
さらに好ましくは、下記化合物である。
【0068】
【化16】
【0069】
一般式(L)で表される化合物は、一般式(C1a)及び(C2a)であることが好ましく、下記一般式(i)であることがより好ましい。
【0070】
【化17】
【0071】
(式中、Ri1及びRi2はそれぞれ独立して一般式(L)中のRL1及びRL2と同じ意味を表し、
i1はAL2と同じ意味を表し、
i1は1又は2を表すが、ni1が2を表す場合に複数存在するAi1は同一であっても異なっていても良い。)
一般式(i)中、Ri1は炭素原子数1から5のアルキル基又は炭素原子数2から5のアルケニル基であることが好ましく、Ri2は炭素原子数1から5のアルキル基、炭素原子数1から5のアルコキシ基、炭素原子数2から5のアルケニル基又は炭素原子数2から5のアルケニルオキシ基が好ましく、炭素原子数1から5のアルキル基又は炭素原子数2から5のアルケニル基であることが更に好ましい。素子の応答速度を重視する場合には、Ri1及びRi2の少なくとも一方は炭素原子数2から5のアルケニル基が好ましく、炭素原子数2から3のアルケニル基が更に好ましく、Ri1及びRi2の両方が炭素原子数2から5のアルケニル基が好ましく、炭素原子数2から3のアルケニル基が更に好ましい。素子の耐光性または耐UV性または耐熱性を重視する場合には、Ri1及びRi2の少なくとも一方は炭素原子数1から5のアルキル基または炭素原子数1から5のアルコキシ基が好ましく、炭素原子数1から5のアルキル基が更に好ましく、Ri1及びRi2の両方が炭素原子数1から5のアルキル基が好ましい。
一般式(i)中、ni1は、素子の応答速度を重視する場合には、ni1が1であることが好ましい。素子の耐光性または耐UV性または耐熱性を重視する場合には、ni1は2が好ましい。
本願発明の液晶組成物は、一般式(i)で表される化合物を1から80質量%含有することが好ましく、含有量の下限は1質量%が好ましく、2質量%が好ましく、3質量%が好ましく、4質量%が好ましく、5質量%が好ましく、10質量%が好ましく、15質量%が好ましく、20質量%が好ましく、25質量%が好ましく、30質量%が好ましく、含有量の上限は80質量%が好ましく、75質量%が好ましく、70質量%が好ましく、65質量%が好ましく、60質量%が好ましく、55質量%が好ましく、50質量%が好ましい。
【0072】
本願発明の液晶組成物は、誘電率異方性(Δε)が負の液晶組成物の場合には、更に一般式(N)で表される化合物を1種類又は2種類以上含有することが好ましい。一般式(N)で表される化合物は誘電的に負の化合物で、Δεの符号が負で、その絶対値が2より大きいことが好ましく、3より大きいことがより好ましい。一般式(N)で表される化合物は単独で用いてもよいが、組み合わせて使用することもできる。組み合わせることができる化合物の種類に特に制限は無いが、低温での溶解性、転移温度、複屈折率などの所望の性能に応じて適宜組み合わせて使用する。
【0073】
【化18】
【0074】
(式中、RN1及びRN2はそれぞれ独立して炭素原子数1~12のアルキル基を表し、該アルキル基中の1個又は非隣接の2個以上の-CH-はそれぞれ独立して-CH=CH-、-C≡C-、-O-、-CO-、-COO-又は-OCO-によって置換されていてもよく、
N1は0、1、2又は3を表し、
N1、AN2及びAN3はそれぞれ独立して
(a) 1,4-シクロヘキシレン基(この基中に存在する1個の-CH-又は隣接していない2個以上の-CH-は-O-に置き換えられてもよい。)
(b) 1,4-フェニレン基(この基中に存在する1個の-CH=又は隣接していない2個以上の-CH=は-N=に置き換えられてもよい。)及び
(c) 1,4-シクロヘキセニレン、1,4-ビシクロ(2.2.2)オクチレン、ピペリジン-1,4-ジイル、ナフタレン-2,6-ジイル、デカヒドロナフタレン-2,6-ジイル及び1,2,3,4-テトラヒドロナフタレン-2,6-ジイル
からなる群より選ばれる基を表し、上記の基(a)、基(b)及び基(c)はそれぞれ独立して炭素原子数1~3のアルキル基、炭素原子数2~3のアルケニル基、炭素原子数1~3のアルコキシル、炭素原子数1~3のアルケニルオキシ基、シアノ基又はフッ素原子で置換されていてもよいが、AN1、AN2及びAN3のうち少なくとも1つは2,3-ジフルオロ-1,4-フェニレン基、1,7,8-トリフルオロナフタレン-2,6-ジイル基又は3,4,5-トリフルオロナフタレン-2,6-ジイル基を表し、
N1及びZN2はそれぞれ独立して単結合、-CHCH-、-(CH-、-OCH-、-CHO-、-COO-、-OCO-、-OCF-、-CFO-、-CH=N-N=CH-、-CH=CH-、-C≡C-又は-CF=CF-を表し、
N1が2又は3であってAN2及びZN2が複数存在する場合は、AN2及びZN2はそれぞれ独立して同一であっても異なっていてもよい。)
一般式(N)中、RN1及びRN2はそれぞれ独立して、炭素原子数1~8のアルキル基、炭素原子数1~8のアルコキシ基、炭素原子数2~8のアルケニル基又は炭素原子数2~8のアルケニルオキシ基が好ましく、炭素原子数1~5のアルキル基、炭素原子数1~5のアルコキシ基、炭素原子数2~5のアルケニル基又は炭素原子数2~5のアルケニルオキシ基が好ましく、炭素原子数1~5のアルキル基又は炭素原子数2~5のアルケニル基が更に好ましく、炭素原子数2~5のアルキル基又は炭素原子数2~3のアルケニル基が更に好ましく、炭素原子数3のアルケニル基(プロペニル基)が特に好ましい。
【0075】
また、それが結合する環構造がフェニル基(芳香族)である場合には、直鎖状の炭素原子数1~5のアルキル基、直鎖状の炭素原子数1~4のアルコキシ基及び炭素原子数4~5のアルケニル基が好ましく、それが結合する環構造がシクロヘキサン、ピラン及びジオキサンなどの飽和した環構造の場合には、直鎖状の炭素原子数1~5のアルキル基、直鎖状の炭素原子数1~4のアルコキシ基及び直鎖状の炭素原子数2~5のアルケニル基が好ましい。ネマチック相を安定化させるためには炭素原子及び存在する場合酸素原子の合計が5以下であることが好ましく、直鎖状であることが好ましい。
【0076】
アルケニル基としては、式(R1)から式(R5)のいずれかで表される基から選ばれることが好ましい。(各式中の黒点は環構造中の炭素原子を表す。)
【0077】
【化19】
【0078】
N1、AN2、AN21及びA23はそれぞれ独立してΔnを大きくすることが求められる場合には芳香族であることが好ましく、応答速度を改善するためには脂肪族であることが好ましく、トランス-1,4-シクロへキシレン基、1,4-フェニレン基、2-フルオロ-1,4-フェニレン基、3-フルオロ-1,4-フェニレン基、3,5-ジフルオロ-1,4-フェニレン基、2,3-ジフルオロ-1,4-フェニレン基、1,4-シクロヘキセニレン基、1,4-ビシクロ[2.2.2]オクチレン基、ピペリジン-1,4-ジイル基、ナフタレン-2,6-ジイル基、デカヒドロナフタレン-2,6-ジイル基又は1,2,3,4-テトラヒドロナフタレン-2,6-ジイル基を表すことが好ましく、下記の構造を表すことがより好ましく、
【0079】
【化20】
【0080】
トランス-1,4-シクロへキシレン基、1,4-シクロヘキセニレン基又は1,4-フェニレン基を表すことがより好ましい。
【0081】
N11及びZN12はそれぞれ独立して-CHO-、-CFO-、-CHCH-、-CFCF-又は単結合を表すことが好ましく、-CHO-、-CHCH-又は単結合が更に好ましく、-CHO-又は単結合が特に好ましい。
【0082】
N1は0、1又は2が好ましく、粘度を低くしたい場合にはmN1は0が好ましく、転移温度を高くしたい場合にはmN1は1が好ましい。
【0083】
本発明の組成物の総量に対しての式(N)で表される化合物の好ましい含有量の下限値は、1%であり、10%であり、20%であり、30%であり、40%であり、50%であり、55%であり、60%であり、65%であり、70%であり、75%であり、80%である。好ましい含有量の上限値は、95%であり、85%であり、75%であり、65%であり、55%であり、45%であり、35%であり、25%であり、20%である。
【0084】
本発明の組成物の粘度を低く保ち、応答速度が速い組成物が必要な場合は上記の下限値が低く上限値が低いことが好ましい。さらに、本発明の組成物の比抵抗値やVHRが高く、高信頼性の組成物が必要な場合は上記の下限値が低く上限値が低いことが好ましい。また、駆動電圧を低く保つために誘電率異方性を大きくしたいときは、上記の下限値を高く上限値が高いことが好ましい。
【0085】
一般式(N)として、一般式(N-i)を含有することが好ましい。
【0086】
【化21】
【0087】
(式中、RNi1、RNi2、ZNi1及びmNi1はそれぞれ独立して一般式(N)中のRN1、RN2、ZN1及びmN1と同じ意味を表し、
Ni1及びANi2はそれぞれ独立して、
(a) 1,4-シクロへキシレン基(この基中に存在する1個の-CH-又は隣接していない2個以上の-CH-は-O-及び/又は-S-に置き換えられてもよい)
(b) 1,4-フェニレン基(この基中に存在する1個の-CH-又は隣接していない2個以上の-CH-基は-N-に置き換えられてもよい)及び
(c) 1,4-シクロヘキセニレン、1,4-ビシクロ(2.2.2)オクチレン、ピペリジン-1,4-ジイル、ナフタレン-2,6-ジイル、デカヒドロナフタレン-2,6-ジイル及び1,2,3,4-テトラヒドロナフタレン-2,6-ジイル
からなる群より選ばれる基を表すが、上記の基(a)、基(b)及び基(c)上の水素原子は互いに独立して炭素原子数1~3のアルキル基、炭素原子数2~3のアルケニル基、炭素原子数1~3のアルコキシル、炭素原子数1~3のアルケニルオキシ基、CN又はハロゲンで置換されていてもよい。)
Ni1及びANi2は互いに独立してトランス-1,4-シクロへキシレン基または1,4-フェニレン基が好ましく、粘度を低くしたい場合にはトランス-1,4-シクロへキシレン基がより好ましく、複屈折率異方性を大きくしたい場合には1,4-フェニレン基より好ましい。またそれぞれの基は非置換が好ましい。
【0088】
また、一般式(N)として、一般式(V)又は一般式(VI)から選択される化合物を1種または2種以上含有することが好ましい。
【0089】
【化22】
【0090】
式中、R51及びR61は互いに独立して一般式(N)中のRN1と同じ意味を表し、R52及びR62は互いに独立して一般式(N)中のRN2と同じ意味を表す。
【0091】
51、A52、A53、A61、A62及びA63は互いに独立してトランス-1,4-シクロへキシレン基、1,4-フェニレン基又は1,4-シクロヘキセニレンを表すが、1,4-フェニレン基上に存在する1個又は2個以上の水素原子は互いに独立してハロゲンで置換されていてもよいが、本発明においては互いに独立してトランス-1,4-シクロへキシレン基、1,4-フェニレン基が好ましく、粘度を低くしたい場合にはトランス-1,4-シクロへキシレン基が好ましく、複屈折率を大きくしたい場合には1,4-フェニレン基が好ましい。
【0092】
51、Z52、Z61及びZ62は互いに独立して単結合、-CHCH-、-(CH-、-OCH-、-CHO-、-COO-、-OCO-、-OCF-、-CFO-、-CH=N-N=CH-、-CH=CH-、-C≡C-又は-CF=CF-を表すが、本発明においては互いに独立して-CHO-、-OCH-または単結合が好ましい。
【0093】
51、a52、a61及びa62は互いに独立して0、1又は2を表すが、a51+a52は0、1又は2を表し、a61+a62は0、1又は2を表し、a51が2を表す場合に2個存在するA51は同一であっても異なっていてもよく、a52が2を表す場合に2個存在するA52は同一であっても異なっていてもよく、a51が2を表す場合に2個存在するZ51は同一であっても異なっていてもよく、a52が2を表す場合に2個存在するZ52は同一であっても異なっていてもよく、a61が2を表す場合に2個存在するA61は同一であっても異なっていてもよく、a62が2を表す場合に2個存在するA62は同一であっても異なっていてもよく、a61が2を表す場合に2個存在するZ61は同一であっても異なっていてもよく、a62が2を表す場合に2個存在するZ62は同一であっても異なっていてもよい。本発明においては互いに独立して粘度を低くしたい場合には0が好ましく、転移温度を高くしたい場合にはa51+a52およびa61+a62は1又は2が好ましい。
【0094】
前記一般式(V)として、一般式(N-1d)を含有することが好ましい。
【0095】
【化23】
【0096】
(式中、RN1及びRN2は一般式(N)におけるRN1及びRN1とそれぞれ同じ意味を表し、nNd11は1又は2を表す。)
また、一般式(N)として、下記の一般式(N-1a)~(N-1g)で表される化合物群のいずれか一つ以上を含有することができる。
【0097】
【化24】
【0098】
(式中、RN1及びRN2は一般式(N)におけるRN1及びRN1と同じ意味を表し、nNa11は0又は1を表し、nNb11は1又は2を表し、nNc11は0又は1を表し、nNe11は1又は2を表し、nNf11は1又は2を表し、nNg11は1又は2を表し、ANe11はトランス-1,4-シクロへキシレン基又は1,4-フェニレン基を表し、ANg11はトランス-1,4-シクロへキシレン基、1,4-シクロヘキセニレン基又は1,4-フェニレン基を表すが少なくとも1つは1,4-シクロヘキセニレン基を表し、ZNe 11は単結合又はエチレンを表すが少なくとも1つはエチレンを表す。)
本願発明の液晶組成物は、誘電率異方性(Δε)が正の液晶組成物の場合には、更に以下の一般式(A1)から(A3)、及び一般式(B1)から(B3)で表される化合物群から選ばれる化合物を1種類又は2種類以上含有することが好ましい。一般式(A1)から(A3)、及び一般式(B1)から(B3)で表される化合物群から選ばれる化合物は誘電的に正の化合物で、Δεの符号が正で、その絶対値が2より大きいことが好ましい。一般式(A1)から(A3)、及び一般式(B1)から(B3)で表される化合物群から選ばれる化合物は単独で用いてもよいが、組み合わせて使用することもできる。組み合わせることができる化合物の種類に特に制限は無いが、低温での溶解性、転移温度、複屈折率などの所望の性能に応じて適宜組み合わせて使用する。
【0099】
一般式(A1)から(A3)で表される化合物はいわゆるフッ素系(ハロゲン系)のp型化合物である。
【0100】
【化25】
【0101】
(式中、Rbは炭素原子数1~12のアルキル基を表し、これらは直鎖状であってもメチルまたはエチル分岐を有していてもよく、3~6員環の環状構造を有していてもよく、基内に存在する任意の-CH-は-O-、-CH=CH-、-CH=CF-、-CF=CH-、-CF=CF-又は-C≡C-により置換されていてもよく、基内に存在する任意の水素原子はフッ素原子またはトリフルオロメトキシ基により置換されていてもよいが、分岐により不斉炭素が生じる場合には、化合物として光学活性であってもラセミ体であってもよく、
環A、環B及び環Cはそれぞれ独立的にトランス-1,4-シクロへキシレン基、トランスデカヒドロナフタレン-トランス-2,6-ジイル基、1個以上のフッ素原子により置換されていてもよい1,4-フェニレン基、1個以上のフッ素原子により置換されていてもよいナフタレン-2,6-ジイル基、1個以上のフッ素原子により置換されていてもよいテトラヒドロナフタレン-2,6-ジイル基、フッ素原子により置換されていてもよい1,4-シクロヘキセニレン基、1,3-ジオキサン-トランス-2,5-ジイル基、ピリミジン-2,5-ジイル基またはピリジン-2,5-ジイル基を表し、
、L及びLはそれぞれ独立的に単結合、エチレン基(-CHCH-)、1,2-プロピレン基(-CH(CH)CH-及び-CHCH(CH)-)、1,4-ブチレン基、-COO-、-OCO-、-OCF-、-CFO-、-CH=CH-、-CH=CF-、-CF=CH-、-CF=CF-、-C≡C-又は-CH=NN=CH-を表し、
環Zは一般式(La)~(Lc)で表される置換基を表し、
【0102】
【化26】
【0103】
(式中、Y~Yはそれぞれ独立的に水素原子あるいはフッ素原子を表し、
はフッ素原子、塩素原子、トリフルオロメトキシ基、ジフルオロメトキシ基、トリフルオロメチル基又はジフルオロメチル基あるいは2個以上のフッ素原子により置換された炭素原子数2又は3のアルコキシル基、アルキル基、アルケニル基又はアルケニルオキシ基を表す。)
は炭素原子数1~7の直鎖状アルキル基、炭素原子数2~7の直鎖状1-アルケニル基、炭素原子数4~7の直鎖状3-アルケニル基、末端が炭素原子数1~3のアルコキシル基により置換された炭素原子数1~5のアルキル基が好ましい。
【0104】
環A、環B及び環Cはトランス-1,4-シクロへキシレン基、トランスデカヒドロナフタレン-トランス-2,6-ジイル基、フッ素原子により置換されていてもよいナフタレン-2,6-ジイル基又は1~2個のフッ素原子により置換されていてもよい1,4-フェニレン基が好ましい。特に環Bがトランス-1,4-シクロへキシレン基またはトランスデカヒドロナフタレン-トランス-2,6-ジイル基である場合に、環Aはトランス-1,4-シクロへキシレン基であることが好ましく、環Cがトランス-1,4-シクロへキシレン基またはトランスデカヒドロナフタレン-トランス-2,6-ジイル基である場合に環B及び環Aはトランス-1,4-シクロへキシレン基であることが好ましい。また、(A3)において環Aはトランス-1,4-シクロへキシレン基であることが好ましい。
【0105】
、L及びLは単結合、エチレン基、1,4-ブチレン基、-COO-、-OCF-、-CFO-、-CF=CF-又は-C≡C-が好ましく、単結合又はエチレン基が特に好ましい。また、(A2)においてはその少なくとも1個が、(A3)においてはその少なくとも2個が単結合を表すことが好ましい。
【0106】
環Zにおいて、(La)中のY及びYの少なくとも1個はフッ素原子であることが好ましく、(Lb)中の、Y~Yの少なくとも1個はフッ素原子であることが好ましく、特にYはフッ素原子であることがさらに好ましい。
【0107】
末端基Pはフッ素原子、トリフルオロメトキシ基又はジフルオロメトキシ基が好ましく、フッ素原子が特に好ましい。
【0108】
なお一般式(A1)から(A3)で表される化合物を組み合わせて使用する場合、異なる分子中の同一の選択肢(環AやL等)は同一の置換基を表しても、異なる置換基を表してもよい。
【0109】
又、一般式(A1)から(A3)においては本発明の一般式(i)及び(ii)を除く。
【0110】
本発明の組成物の総量に対しての一般式(A1)から(A3)で表される化合物の好ましい含有量の下限値は、1%であり、2%であり、5%であり、8%であり、10%であり、13%であり、15%であり、18%であり、20%であり、22%であり、25%であり、30%であり、40%であり、50%であり、55%であり、60%であり、65%であり、70%であり、75%であり、80%である。好ましい含有量の上限値は、85%であり、75%であり、65%であり、55%であり、45%であり、35%であり、30%であり、28%であり、25%であり、23%であり、20%であり、18%であり、15%であり、13%であり、10%であり、8%であり、5%である。
【0111】
本発明の組成物の粘度を低く保ち、応答速度が速い組成物が必要な場合は上記の下限値を高めに、上限値を高めにすることが好ましい。さらに、本発明の組成物の比抵抗値やVHRが高く、高信頼性の組成物が必要な場合は上記の下限値を低めに、上限値を低めにすることが好ましい。また、駆動電圧を低く保つために誘電率異方性を大きくしたいときは、上記の下限値を高めに、上限値を高めにすることが好ましい。
【0112】
一般式(A1)~(A3)におけるより好ましい形態は以下の一般式(A1a)~(A3c)で表すことができる。
【0113】
【化27】
【0114】
(式中、A、B、C、Y及びYは一般式(A1)から(A3)におけるA、B、C、Y及びYと同じ意味を表す。)
さらに好ましくは、下記化合物である。
【0115】
【化28】
【0116】
【化29】
【0117】
一般式(B1)から(B3)で表される化合物はいわゆるシアノ系のp型化合物である。
【0118】
【化30】
【0119】
(式中、Rcは炭素原子数1~12のアルキル基を表し、これらは直鎖状であってもメチル又はエチル分岐を有していてもよく、3~6員環の環状構造を有していてもよく、基内に存在する任意の-CH-は-O-、-CH=CH-、-CH=CF-、-CF=CH-、-CF=CF-又は-C≡C-により交換されていてもよく、基内に存在する任意の水素原子はフッ素原子又はトリフルオロメトキシ基により置換されていてもよいが、分岐により不斉炭素が生じる場合には、化合物として光学活性であってもラセミ体であってもよく、
環D、環E及び環Fはそれぞれ独立的にトランス-1,4-シクロへキシレン基、トランスデカヒドロナフタレン-トランス-2,6-ジイル基、1個以上のフッ素原子により置換されていてもよい1,4-フェニレン基、1個以上のフッ素原子により置換されていてもよいナフタレン-2,6-ジイル基、1個以上のフッ素原子により置換されていてもよいテトラヒドロナフタレン-2,6-ジイル基、フッ素原子により置換されていてもよい1,4-シクロヘキセニレン基、1,3-ジオキサン-トランス-2,5-ジイル基、ピリミジン-2,5-ジイル基又はピリジン-2,5-ジイル基を表し、
、L及びLはそれぞれ独立的に単結合、エチレン基(-CHCH-)、1,2-プロピレン基(-CH(CH)CH-及び)-CHCH(CH)-)、1,4-ブチレン基、-COO-、-OCO-、-OCF-、-CFO-、-CH=CH-、-CH=CF-、-CF=CH-、-CF=CF-、-C≡C-、-OCH-、-CHO-又は-CH=NN=CH-を表し、
環Yは芳香環であり以下の一般式(L)~(L)で表される置換基を表し、
【0120】
【化31】
【0121】
(式中、Y~Yはそれぞれ独立的に水素原子あるいはフッ素原子を表す。)
末端基Pはシアノ基(-CN)、シアナト基(-OCN)又は-C≡CCNを表す。)
は炭素原子数1~7の直鎖状アルキル基、炭素原子数2~7の直鎖状1-アルケニル基、炭素原子数4~7の直鎖状3-アルケニル基、末端が炭素原子数1~3のアルコキシル基により置換された炭素原子数1~5のアルキル基が好ましい。
【0122】
環D、環E及び環Fはトランス-1,4-シクロへキシレン基、トランスデカヒドロナフタレン-トランス-2,6-ジイル基、フッ素原子により置換されていてもよいナフタレン-2,6-ジイル基又は1~2個のフッ素原子により置換されていてもよい1,4-フェニレン基が好ましい。特に環Eがトランス-1,4-シクロへキシレン基又はトランスデカヒドロナフタレン-トランス-2,6-ジイル基である場合に、環Dはトランス-1,4-シクロへキシレン基であることが好ましく、環Fがトランス-1,4-シクロへキシレン基又はトランスデカヒドロナフタレン-トランス-2,6-ジイル基である場合に環D及び環Eはトランス-1,4-シクロへキシレン基であることが好ましい。又、(B3)において環Dはトランス-1,4-シクロへキシレン基であることが好ましい。
【0123】
、L及びLは、単結合、エチレン基、-COO-、-OCF-、-CFO-、-CF=CF-又は-C≡C-が好ましく、単結合、エチレン基又は-COO-が特に好ましい。又、(B2)においてはその少なくとも1個が、(B3)においてはその少なくとも2個が単結合を表すことが好ましい。
【0124】
環Yにおいて、(Le)中のYはフッ素原子であることが好ましい。
【0125】
末端基Pはシアノ基が好ましい。
【0126】
なお一般式(B1)から(B3)で表される化合物を組み合わせて使用する場合、異なる分子中の同一の選択肢(環DやL等)は同一の置換基を表しても、異なる置換基を表してもよい。
【0127】
又、一般式(B1)から(B3)においては本発明の一般式(i)及び(ii)を除く。
【0128】
本発明の組成物の総量に対しての一般式(B1)から(B3)で表される化合物の好ましい含有量の下限値は、1%であり、2%であり、5%であり、8%であり、10%であり、13%であり、15%であり、18%であり、20%であり、22%であり、25%であり、30%であり、40%であり、50%であり、55%であり、60%であり、65%であり、70%であり、75%であり、80%である。好ましい含有量の上限値は、85%であり、75%であり、65%であり、55%であり、45%であり、35%であり、30%であり、28%であり、25%であり、23%であり、20%であり、18%であり、15%であり、13%であり、10%であり、8%であり、5%である。
【0129】
本発明の組成物の粘度を低く保ち、応答速度が速い組成物が必要な場合は上記の下限値を低めに、上限値を高めにすることが好ましい。さらに、本発明の組成物の比抵抗値やVHRが高く、高信頼性の組成物が必要な場合は上記の下限値を低めに、上限値を高めにすることが好ましい。また、駆動電圧を低く保つために誘電率異方性を大きくしたいときは、上記の下限値を高めに、上限値を高めにすることが好ましい。
【0130】
一般式(B1)~(B3)におけるより好ましい形態は以下の一般式(B1a)~(B2c)で表すことができる。
【0131】
【化32】
【0132】
(式中、A、B、Y及びYは一般式(B1)から(B3)におけるA、B、Y及びYと同じ意味を表す。)
さらに好ましくは、下記化合物である。
【0133】
【化33】
【0134】
【化34】
【0135】
本願発明の液晶組成物は、ジスアゾ化合物及びトリスアゾ化合物から選択される二色性色素を3種又は4種以上と、一般式(L)で表される化合物、及び一般式(N)で表される化合物を同時に含有することが好ましく、ジスアゾ化合物及びトリスアゾ化合物から選択される二色性色素を3種又は4種以上と、一般式(i)で表される化合物、及び一般式(N)で表される化合物を同時に含有することが好ましい。
本願発明の液晶組成物は、ジスアゾ化合物及びトリスアゾ化合物から選択される二色性色素を3種又は4種以上と、一般式(L)で表される化合物、及び一般式(N-i)で表される化合物を同時に含有することが好ましく、ジスアゾ化合物及びトリスアゾ化合物から選択される二色性色素を3種又は4種以上と、一般式(L)で表される化合物、一般式(N-i)で表される化合物及び一般式(V)又は一般式(VI)から選択される化合物を同時に含有することが好ましい。
本願発明の液晶組成物は、ジスアゾ化合物及びトリスアゾ化合物から選択される二色性色素を3種又は4種以上と、一般式(L)で表される化合物、及び一般式(V)又は一般式(VI)から選択される化合物を同時に含有することが好ましく、ジスアゾ化合物及びトリスアゾ化合物から選択される二色性色素を3種又は4種以上と、一般式(L)で表される化合物、及び一般式(V)で表される化合物を同時に含有することが好ましい。
本願発明の液晶組成物は、ジスアゾ化合物及びトリスアゾ化合物から選択される二色性色素を3種又は4種以上と、一般式(L)で表される化合物、及び一般式(A1)から(A3)、及び一般式(B1)から(B3)で表される化合物群から選ばれる化合物を同時に含有することが好ましく、ジスアゾ化合物及びトリスアゾ化合物から選択される二色性色素を3種又は4種以上と、一般式(i)で表される化合物、及び一般式(A1)から(A3)、及び一般式(B1)から(B3)で表される化合物群から選ばれる化合物を同時に含有することが好ましい。
【0136】
ホスト液晶組成物の総量に対しての一般式(L)及び一般式(N)で表される化合物の合計の好ましい含有量の下限値は、80%であり、85%であり、88%であり、90%であり、92%であり、93%であり、94%であり、95%であり、96%であり、97%であり、98%であり、99%であり、100%である。好ましい含有量の上限値は、100%であり、99%であり、98%であり、95%である。
【0137】
ホスト液晶組成物の総量に対しての一般式(L)、一般式(A1)から(A3)及び一般式(B1)から(B3)で表される化合物の合計の好ましい含有量の下限値は、80%であり、85%であり、88%であり、90%であり、92%であり、93%であり、94%であり、95%であり、96%であり、97%であり、98%であり、99%であり、100%である。好ましい含有量の上限値は、100%であり、99%であり、98%であり、95%である。
【0138】
ホスト液晶組成物の総量に対しての一般式(L)、一般式(A1a)から(A3c)及び一般式(B1a)から(B2c)で表される化合物の合計の好ましい含有量の下限値は、80%であり、85%であり、88%であり、90%であり、92%であり、93%であり、94%であり、95%であり、96%であり、97%であり、98%であり、99%であり、100%である。好ましい含有量の上限値は、100%であり、99%であり、98%であり、95%である。
【0139】
本願発明の組成物は、分子内に過酸(-CO-OO-)構造等の酸素原子等のヘテロ原子同士が結合した構造を持つ化合物を含有しないことが好ましい。
【0140】
組成物の信頼性及び長期安定性を重視する場合にはカルボニル基を有する化合物の含有量を前記組成物の総質量に対して5%以下とすることが好ましく、3%以下とすることがより好ましく、1%以下とすることが更に好ましく、実質的に含有しないことが最も好ましい。
【0141】
UV照射による安定性を重視する場合、塩素原子が置換している化合物の含有量を前記組成物の総質量に対して15%以下とすることが好ましく、10%以下とすることが好ましく、8%以下とすることが好ましく、5%以下とすることがより好ましく、3%以下とすることが好ましく、実質的に含有しないことが更に好ましい。
【0142】
分子内の環構造がすべて6員環である化合物の含有量を多くすることが好ましく、分子内の環構造がすべて6員環である化合物の含有量を前記組成物の総質量に対して80%以上とすることが好ましく、90%以上とすることがより好ましく、95%以上とすることが更に好ましく、実質的に分子内の環構造がすべて6員環である化合物のみで組成物を構成することが最も好ましい。
【0143】
組成物の酸化による劣化を抑えるためには、環構造としてシクロヘキセニレン基を有する化合物の含有量を少なくすることが好ましく、シクロヘキセニレン基を有する化合物の含有量を前記組成物の総質量に対して10%以下とすることが好ましく、8%以下とすることが好ましく、5%以下とすることがより好ましく、3%以下とすることが好ましく、実質的に含有しないことが更に好ましい。
【0144】
粘度の改善及びTniの改善を重視する場合には、水素原子がハロゲンに置換されていてもよい2-メチルベンゼン-1,4-ジイル基を分子内に持つ化合物の含有量を少なくすることが好ましく、前記2-メチルベンゼン-1,4-ジイル基を分子内に持つ化合物の含有量を前記組成物の総質量に対して10%以下とすることが好ましく、8%以下とすることが好ましく、5%以下とすることがより好ましく、3%以下とすることが好ましく、実質的に含有しないことが更に好ましい。
【0145】
本願において実質的に含有しないとは、意図せずに含有する物を除いて含有しないという意味である。
本発明の組成物に含有される化合物が、側鎖としてアルケニル基を有する場合、前記アルケニル基がシクロヘキサンに結合している場合には当該アルケニル基の炭素原子数は2~5であることが好ましく、前記アルケニル基がベンゼンに結合している場合には当該アルケニル基の炭素原子数は4~5であることが好ましく、前記アルケニル基の不飽和結合とベンゼンは直接結合していないことが好ましい。
【0146】
本発明における液晶組成物の安定性を高めるため、酸化防止剤、紫外線(UV)吸収剤、光安定剤又は赤外線吸収剤等等の安定剤を添加することが好ましい。酸化防止剤としては、ヒドロキノン誘導体、ニトロソアミン系重合禁止剤、ヒンダードフェノール系酸化防止剤等が挙げられ、より具体的には、tert-ブチルハイドロキノン、メチルハイドロキノン、和光純薬工業株式会社製の「Q-1300」、「Q-1301」、BASF社の「IRGANOX1010」、「IRGANOX1035」、「IRGANOX1076」、「IRGANOX1098」、「IRGANOX1135」、「IRGANOX1330」、「IRGANOX1425」、「IRGANOX1520」、「IRGANOX1726」、「IRGANOX245」、「IRGANOX259」、「IRGANOX3114」、「IRGANOX3790」、「IRGANOX5057」、「IRGANOX565」等々があげられる。
【0147】
UV吸収剤としては、波長370nm以下の紫外線の吸収能に優れ、かつ良好な液晶表示性の観点から、波長400nm以上の可視光の吸収が少ないものが好ましい。より具体的には、例えばヒンダードフェノール系化合物、ヒドロキシベンゾフェノン系化合物、ベンゾトリアゾール系化合物、サリチル酸エステル系化合物、ベンゾフェノン系化合物、シアノアクリレート系化合物、ニッケル錯塩系化合物、トリアジン系化合物が挙げられ、ヒンダードフェノール系化合物としては、2,6-ジ-tert-ブチル-p-クレゾール、ペンタエリスリチル-テトラキス〔3-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕、N,N’-ヘキサメチレンビス(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシ-ヒドロシンナミド)、1,3,5-トリメチル-2,4,6-トリス(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシベンジル)ベンゼン、トリス-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシベンジル)-イソシアヌレートが挙げられる。ベンゾトリアゾール系化合物としては、2-(2′-ヒドロキシ-5’-メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2,2-メチレンビス(4-(1,1,3,3-テトラメチルブチル)-6-(2H-ベンゾトリアゾール-2-イル)フェノール)、(2,4-ビス-(n-オクチルチオ)-6-(4-ヒドロキシ-3,5-ジ-tert-ブチルアニリノ)-1,3,5-トリアジン、トリエチレングリコール-ビス〔3-(3-tert-ブチル-5-メチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕、N,N’-ヘキサメチレンビス(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシ-ヒドロシンナミド)、1,3,5-トリメチル-2,4,6-トリス(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシベンジル)ベンゼン、2-(2’-ヒドロキシ-3’,5’-ジ-tert-ブチルフェニル)-5-クロルベンゾトリアゾール、(2-(2′-ヒドロキシ-3’,5’-ジ-tert-アミルフェニル)-5-クロルベンゾトリアゾール、2,6-ジ-tert-ブチル-p-クレゾール、ペンタエリスリチル-テトラキス〔3-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕が挙げられ、BASFジャパン(株)製のTINUVIN109、TINUVIN171、TINUVIN326、TINUVIN327、TINUVIN328、TINUVIN770、TINUVIN900、TINUVIN928、ケミプロ化成(株)製の、KEMISORB 71、KEMISORB 73、KEMISORB 74も好ましく用いることができる。
【0148】
安定剤の添加量は重合性液晶組成物に対して0.01~2.0質量%であることが好ましく、0.05~1.0質量%、0.05~0.5質量%であることがより好ましく、0.1~1.0質量%であることがより好ましく、0.1~0.5質量%であることがより好ましい。
【0149】
本願発明の液晶組成物は、上述の化合物以外に、通常のネマチック液晶、スメクチック液晶、コレステリック液晶、キラル剤及び重合性化合物から選択される化合物を含有しても良い。
【0150】
本願発明の液晶組成物は、ピッチを誘起するキラル剤として、不斉原子をもつ化合物を用いても、軸不斉化合物を用いても、これらを混合して用いてもよい。ピッチを誘起するキラル剤として不斉炭素原子を有する化合物が好ましく、1,4-フェニレン基(この基中の水素原子の1個又は2個はフッ素、メチル基、メトキシ基で置換されていても良い。)を1個又は2個以上有する分子構造であることが好ましい。ピッチの温度依存性を改良又は調整するために、キラル剤を複数種混合して用いても良い。
【0151】
本願発明の液晶組成物は、重合性化合物として、PS型、PSA型、PSVA型などに用いられる重合性化合物を含有しても良く、例えば、1,4-フェニレン基が2個または3個から構成される重合性化合物が好ましく、重合基はアクリレートまたはメタクリレートであることが好ましい。具体的には、式(RM-001)から(RM-007)で表される重合性化合物を0質量%から5質量%の範囲で適宜含有することができる。
【0152】
【化35】
【0153】
で表される重合性化合物を0質量%から5質量%の範囲で適宜含有しても良い。
重合性化合物の分子構造を構成している1,4-フェニル基中の水素原子またはフッ素原子は、フッ素原子またはメチル基またはメトキシ基で任意に置換されていても良い。また、本願発明に用いる重合性化合物は、RM-005のように、環と重合基の間にスペーサーと一般的に呼ばれているアルキレン基を含んでも良く、アルキレン基は炭素原子数1から10が好ましい。
本願発明の液晶組成物が、重合性化合物を1質量%から5質量%含有する場合には、上述のスペーサーが炭素原子数1から6のアルキレン基であることが好ましく、複数種の重合性化合物を組み合わせた方が、溶解性が良好になる観点から更に好ましい。本願発明の液晶組成物が、重合性化合物を0.1質量%から1質量%含有する場合には、式(RM-001)から(RM-007)で表される重合性化合物を1種または2種以上含有することが好ましい。
【0154】
本願発明の液晶組成物は、誘電率異方性(Δε)が正または負であるネマチック液晶組成物である。液晶組成物が負の誘電率異方性を有する場合、25℃における誘電率異方性(Δε)が-2.0から-6.0であるが、-2.0から-5.0がより好ましく、-2.5から-5.0が特に好ましい。
【0155】
本願発明の液晶組成物は、正の誘電率異方性を有する場合、25℃における誘電率異方性(Δε)が2.0から20.0であるが、2.0から15.0が好ましく、2.0から10.0がより好ましく、2.0から9.0が特に好ましい。
【0156】
本願発明の液晶組成物は、25℃における複屈折率異方性(Δn)が0.070から0.200であるが、0.09から0.13がより好ましく、0.09から0.12が特に好ましい。
【0157】
本願発明の液晶組成物は、20℃における粘度(η)が10から100mPa・sであるが、10から90mPa・sであることが好ましく、10から80mPa・sであることが好ましく、10から70mPa・sであることが好ましく、10から60mPa・sであることが好ましく、10から50mPa・sであることが更に好ましく、10から40mPa・sであることが好ましく、10から30mPa・sであることが特に好ましい。
【0158】
本願発明の液晶組成物は、25℃における回転粘性(γ)が40から250mPa・sであるが、40から200mPa・sであることが好ましく、40から160mPa・sであることが好ましく、40から140mPa・sであることが好ましく、40から140mPa・sであることが好ましく、40から130mPa・sであることが好ましく、40から125mPa・sであることが好ましく、40から120mPa・sであることがより好ましく、40から115mPa・sであることが更に好ましく、40から110mPa・sであることがより好ましく、40から100mPa・sであることが特に好ましい。
【0159】
本願発明の液晶組成物は、ネマチック相-等方性液体相転移温度(Tni)が80℃以上であることが好ましく、90℃以上であることが好ましく、100℃以上であることが好ましく、110℃以上であることが好ましく、120℃以上であることが好ましいが、90℃から115℃に調節されるのが特に好ましい。
【0160】
本願発明の液晶組成物は、黒色を呈しており、二色性色素とこれまでにない高い溶解性が得られるため、25℃または-20℃以下の低温での析出がないか、抑制されたものであって、広い温度範囲で使用できるものである。したがって、厳しい環境への適応性が重視される車載用途の表示素子、スマホおよびタブレットなどの携帯端末、窓ガラスなどの調光素子などへの応用が容易である。また、耐光性または耐UV性または耐熱性に優れたものであって、色味の変化がないか、抑制されたものである。
【0161】
本願発明の液晶組成物を用いた素子は、黒色の色味が優れており、従来のくすんだ黒色ではなく、見た目にくっきりとした透明感のあるメタリックな黒色が得られ、高いコントラストが得られるものである。また、低温で使用できなくなるといった従来の不具合がないか、抑制されたものである。また、耐光性または耐UV性または耐熱性に優れたものであって、色味の変化がないか、抑制されたものである。
【0162】
本願発明の液晶組成物が、誘電率異方性が負の液晶組成物である場合は、APL(アンチパラレル)かつVA(垂直配向)である液晶表示素子であることが好ましいが、高いコントラストを得るために、配向軸を90°ツイストさせることが更に好ましく、240°ツイストさせることが更に好ましく、更に高いコントラストを得たい場合には、技術的にはより難しいが250°ツイストまたは260°ツイストまたは270°ツイストが好ましく、360°ツイストであることも好ましい。
【0163】
また、液晶組成物が負の誘電率異方性を有する液晶組成物である場合は、プレチルト角が80°~90°であることが好ましい。
【0164】
本願発明の液晶組成物が正の誘電率異方性を有する液晶組成物である場合は、いわゆるTN型又はSTN型の液晶表示素子であることが好ましいが、高いコントラストを得るために、配向軸を180°ツイストさせることが更に好ましく、240°ツイストまたは250°ツイストまたは260°ツイストまたは270°ツイストまたは360°以上ツイストさせることが更に好ましい。
【0165】
また、液晶組成物が正の誘電率異方性を有する液晶組成物である場合は、プレチルト角が1°~15°であることが好ましい。
本願発明の液晶組成物は、液晶表示素子あるいは調光素子に使用することができる。
【0166】
また、本願発明の液晶組成物を用いた液晶表示素子は、アクティブマトリックス駆動用液晶表示素子に有用であり、PSAモード、PSVAモード、VAモード、PS-IPSモード、TNモード、STNモード、IPSモード又はPS-FFSモード用液晶表示素子に用いることができる。
【0167】
素子に使用される液晶セルの2枚の基板はガラス又はプラスチックの如き柔軟性をもつ透明な材料を用いることができ、一方はシリコン等の不透明な材料でも良い。透明電極層を有する透明基板は、例えば、ガラス板等の透明基板上にインジウムスズオキシド(ITO)をスパッタリングすることにより得ることができる。素子のコントラスト向上のために、ARコート等のアンチグレア処理を施した基板を用いることが好ましい。
【0168】
カラーフィルターは、例えば、顔料分散法、印刷法、電着法又は、染色法等によって作成することができる。顔料分散法によるカラーフィルターの作成方法を一例に説明すると、カラーフィルター用の硬化性着色組成物を、該透明基板上に塗布し、パターニング処理を施し、そして加熱又は光照射により硬化させる。この工程を、赤、緑、青の3色についてそれぞれ行うことで、カラーフィルター用の画素部を作成することができる。その他、該基板上に、TFT、薄膜ダイオード、金属絶縁体金属比抵抗素子等の能動素子を設けた画素電極を設置することができる。
【0169】
前記基板を、透明電極層が内側となるように対向させる。その際、スペーサーを介して、基板の間隔を調整してもよい。このときは、得られる調光層の厚さが1~100μmとなるように調整するのが好ましい。1.5から10μmが更に好ましく、偏光板を使用する場合は、コントラストが最大になるように液晶の屈折率異方性Δnとセル厚dとの積を調整することが好ましい。
【0170】
液晶組成物がカイラル剤を含む場合は、液晶組成物の捩れピッチ(p)は、2μm~20μmであることが好ましい。より具体的には、捩れピッチ(p)は、TNモード、STNモード等の液晶表示素子のモードに応じて適宜調整される。
【0171】
また、液晶組成物がカイラル剤を含む場合は、捩れピッチ(p)とセル厚dとの関係であるd/p値が0.5~2.2を満たすことが好ましい。具体的には、ツイスト角に応じて捩れピッチ(p)とセル厚(d)の関係d/p値が最適となるように調節する。最適なd/p値とはリバースツイストドメインやストライプドメインなどの配向欠陥がでない領域である。例えば、240°ツイストの場合、最適なd/p値は0.45~0.66の範囲内に存在する。目視や顕微鏡などでドメインを観察して配向欠陥が生じないよう調節することが好ましい。
【0172】
又、二枚の偏光板がある場合は、各偏光板の偏光軸を調整して視野角やコントラトが良好になるように調整することもできる。更に、視野角を広げるための位相差フィルムも使用することもできる。スペーサーとしては、例えば、ガラス粒子、プラスチック粒子、アルミナ粒子、フォトレジスト材料等が挙げられる。その後、エポキシ系熱硬化性組成物等のシール剤を、液晶注入口を設けた形で該基板にスクリーン印刷し、該基板同士を貼り合わせ、加熱しシール剤を熱硬化させる。
【0173】
2枚の基板間に液晶組成物を狭持させる方法は、通常の真空注入法又はODF法などを用いることができる。
【0174】
本発明の素子は、液晶セルに紫外線カットフィルムとして、例えば400nm以下の波長の光をカットするフィルムを積層して用いてもよい。
【0175】
本発明の素子は、単層の液晶セルで用いてもよいし、複数の液晶セルを2層又は3層以上積層して用いてもよい。複数のセルを積層して用いる場合は、コントラスト向上の観点から、アンチパラレルに配向処理された垂直配向のセルを90°直行させて積層させることが好ましい。
【実施例
【0176】
以下に実施例を挙げて本発明を更に詳述するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。また、以下の実施例及び比較例の組成物における「%」は『質量%』を意味する。
実施例において液晶化合物の記載について以下の略号を用いる。
(環構造)
【0177】
【化36】
【0178】
(側鎖構造及び連結構造)
【0179】
【表1】
【0180】

実施例中、測定した特性は以下の通りである。
【0181】
ni :ネマチック相-等方性液体相転移温度(℃)
メトラー社製のホットステージを用いてニコン偏光顕微鏡にて測定した。
【0182】
Δn :25℃における屈折率異方性
アッベ屈折計を用いて測定した。
【0183】
Δε :25℃における誘電率異方性
Agilent社製のLCRメーターを用いて測定した。
【0184】
η :バルクフロー粘度[mPa・s](20℃)
E型粘度計を用いて測定した。
【0185】
溶解性 :液晶組成物を0.5g程度試験管に入れ、脱気、窒素充填後キャップをして恒温槽に保存し、240時間後に析出の有無を目視観察した。析出がない場合は「○」、析出が確認された場合は「×」とした。保存温度は-25℃、-15℃及び0℃でそれぞれ行った。
【0186】
色度 :色度は、D65標準光源の光を、液晶組成物を注入したテストパネル(セル厚10μm)に透過させた透過光の色度である。DMS-501スペクトルメータを用いて、LED光源のスペクトルおよびGH-LCD透過光のスペクトルよりD65光源での色度に換算し、CIE1931xy座標系で表した。
【0187】
透過率(off) :液晶組成物を注入したテストパネルを、白色LED光源(autronic社製DMS-501)で電気光学特性を25℃で評価したときの、印加電圧が0(V)のときの透過率(%)である。
【0188】
透過率(on) :液晶組成物を注入したテストパネルを、白色LED光源(autronic社製DMS-501)で電気光学特性を25℃で評価したときの、印加電圧が810(V)のときの透過率(%)である。
【0189】
ピッチ :楔形セルにピッチ既知の標準母体と試料を注入し、標準母体によって求められる楔形セルの角度θとディスクリネーションラインの間隔から算出した。
(比較例1、比較例2、実施例1及び実施例2)
アゾ色素(A)として黄色を呈するジスアゾ化合物(4-[4-{4-(4-ethlybenzeyloxy) phenylazo}-2-methylphenylazo]-4'-ethoxycarbonylbiphenyl)と、アゾ色素(B)として赤色を呈するトリスアゾ化合物(4-N,N-diethylamino-4'-[4-(3,5,5-trimethiylhexyloxy) phenylazo} phenylazo] azobenzene)と、アゾ色素(C)として青色を呈するトリスアゾ化合物(4-[4{4-(1-heptyl-2,2,4,7-tetramethyl-1,2,3,4-tetrahydroquinolin-6-ylazo) naphtalen-1-ylazo} naphtalen-1-ylazo] benzoic acid 4-pentylphenylester)と、比較用の色素としてアントラキノンを用い、以下の表に示す比較例1、比較例2、実施例1及び実施例2の液晶組成物を調製し、それらの物性および特性を測定した。アゾ色素(A)の極大吸収波長は、402nmであり、アゾ色素(B)の極大吸収波長は、522nmであり、アゾ色素(C)の極大吸収波長は、636nmである。なお、二色性色素の極大吸収波長は、二色性色素を標準母体(RD-001)100%に各二色性色素を0.5%の割合で添加し、セル厚10μmのアンチパラレルセルに注入し、スペクトルメーター(DMS-501)を用いて測定した吸光度から求めた。
【0190】
表中の液晶組成物の割合は、質量部で示す。また、これらの液晶組成物を用いて、セル厚dが10μmで垂直配向のテストパネル用液晶セルを作製した。組み合わされた液晶組成物の構成、それらの物性および特性や試験結果は表2のとおりであった。なお、Δn、Δε及びηの値は、ホスト液晶(HLC)の物性値である。
【0191】
【表2】
【0192】
実施例1、2と比較例1、2より、アントラキノン系と比較して、アゾ系色素を添加する方が、ホスト液晶組成物に対する溶解性が高いことがわかる。また、誘電率違法性が負の、一般式(N-i)に相当する化合物を含有することで、粘度、誘電率異方性及び屈折率異方性に影響を与えることなく、Tniの値を上昇することができた。更に、一般式(N-i)に相当する化合物を含有することで、低温保存性が向上した。
(実施例6~10)
以下の表に示す実施例6~10の液晶組成物を調製し、それらの物性および特性を測定した。表中の液晶組成物の割合は、質量部で示す。また、これらの液晶組成物を用いて、セル厚dが10μmで垂直配向のテストパネル用液晶セルを作製した。組み合わされた液晶組成物の構成、それらの物性および特性や試験結果は表3のとおりであった。なお、Δn、Δε及びηの値は、ホスト液晶(HLC)の物性値である。
【0193】
【表3】
【0194】
実施例2,7,8の結果、及び実施例6,9の結果より、カイラル剤の添加により、、[off透過率]-[on透過率]の値が大きくなり、コントラストが改善されることがわかった。また、アンチパラレルに配向した液晶セル(実施例2及び6)よりも、ツイスト角が240°(実施例7)、360°(実施例8及び9)と大きくなるにしたがって、[off透過率]-[on透過率]の値が大きくなり、コントラストが改善されることがわかった。また、実施例10より、本発明の液晶組成物は、アゾ系色素の含有量を多くしても溶解性が良好であり、コントラストを向上させることができる。
(実施例11~15)
以下の表に示す実施例11~15の液晶組成物を調製し、それらの物性および特性を測定した。表中の液晶組成物の割合は、質量部で示す。また、これらの液晶組成物を用いて、セル厚dが10μm又は5μmで垂直配向のテストパネル用液晶セルを作製した。実施例11,14,15は、作製した液晶セル2枚の配向軸を90°直交させて積層させてテストパネル用液晶セルを作製した。また、実施例13及び15は、ARコート処理の施された基板を用いた。組み合わされた液晶組成物の構成、それらの物性および特性や試験結果は表4のとおりであった。なお、Δn、Δε及びηの値は、ホスト液晶(HLC)の物性値である。
【0195】
【表4】
【0196】
実施例12と13、及び実施例14と15の結果より、ARコートを施した方がコントラストが改善されることがわかった。また、実施例10と実施例11、14、及び15の結果より、セルが単層よりも、アンチパラレルセルを90°直行で配置した2層構造では、on透過率をより低くできることがわかった。
(実施例16~19)
以下の表に示す実施例16~19の液晶組成物を調製し、それらの物性および特性を測定した。表中の液晶組成物の割合は、質量部で示す。また、これらの液晶組成物を用いて、セル厚dが10μm又は5μmで垂直配向のテストパネル用液晶セルを作製した。実施例11,14,15は、作製した液晶セル2枚の配向軸を90°直交させて積層させてテストパネル用液晶セルを作製した。また、実施例13及び15は、ARコート処理の施された基板を用いた。組み合わされた液晶組成物の構成、それらの物性および特性や試験結果は表5及び表6のとおりであった。なお、Δn、Δε及びηの値は、ホスト液晶(HLC)の物性値である。
【0197】
【表5】
【0198】
【表6】
【0199】
(比較例3、実施例20~24)
以下の表に示す実施例20~23の液晶組成物を調製し、それらの物性および特性を測定した。表中の液晶組成物の割合は、質量部で示す。また、これらの液晶組成物を用いて、セル厚dが10μm又は6μmで、水平配向でツイスト角が0°のアンチパラレルセル、又はツイスト角が240°のSTNセルである。組み合わされた液晶組成物の構成、それらの物性および特性や試験結果は表7及び表8のとおりであった。なお、Δn、Δε及びηの値は、ホスト液晶(HLC)の物性値である。
【0200】
【表7】
【0201】
【表8】
【0202】
(実施例25、26)
以下の表に示す実施例25、26の液晶組成物を調製し、それらの物性および特性を測定した。表中の液晶組成物の割合は、質量部で示す。また、これらの液晶組成物を用いて、セル厚dが10μm又は6μmで水平配向のテストパネル用液晶セルを作製した。組み合わされた液晶組成物の構成、それらの物性および特性や試験結果は表9及び表10のとおりであった。なお、Δn、Δε及びηの値は、ホスト液晶(HLC)の物性値である。
【0203】
【表9】
【0204】
【表10】
【0205】
(実施例27、28)
実施例2と同様にして、実施例26のテストパネル用液晶セルを作製した。また、400nm以下の光をカットするフィルムを貼った基板を用いたこと以外は実施例2と同様にして、実施例27のテストパネル用液晶セルを作製した。続いて、実施例27及び実施例28の液晶セルの電圧保持率(VHR)を測定した。
VHRは、キセノンランプを用いてUV照射後の、初期印加電圧に対する電圧保持率(%)を測定した値である。測定条件は、5V、60Hz、25℃である。UV照射条件は、照度500W/m、照射時間は0時間、16時間、48時間、96時間及び160時間であり、0V又は10Vの電圧印加状態でそれぞれ行った。
実施例26及び27のVHR(%)の結果を、UV照射条件ごとに表11に示す。
【0206】
【表11】
【0207】
実施例27及び28より、カットフィルムを設けた実施例28は、実施例27に比べてUV照射後の電圧保持率の低下を抑えることができ、信頼性を向上させることができることがわかった。実施例28の電圧保持率低下の抑制は、UV照射時間が長くなるほど顕著な結果となった。
以上の結果より、本願発明の液晶組成物は、高いコントラスト、高い溶解性、高いネマティック-アイソトロピック転移温度(TNI)、高耐光性及び高耐熱性に有効な低い複屈折率異方性(Δn)を同時に満たしつつ、高い溶解性と高いコントラストを兼ね備えたGH液晶組成物であって、これを用いた液晶表示素子または調光素子は実用上求められる優れた特性を満たしたものである。