(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-05
(45)【発行日】2024-11-13
(54)【発明の名称】信号転送制御装置、信号転送制御方法、信号転送制御プログラム、及び信号転送システム
(51)【国際特許分類】
H04L 47/283 20220101AFI20241106BHJP
【FI】
H04L47/283
(21)【出願番号】P 2023536240
(86)(22)【出願日】2021-07-19
(86)【国際出願番号】 JP2021027012
(87)【国際公開番号】W WO2023002539
(87)【国際公開日】2023-01-26
【審査請求日】2023-10-19
(73)【特許権者】
【識別番号】000004226
【氏名又は名称】日本電信電話株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003199
【氏名又は名称】弁理士法人高田・高橋国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】野村 紘子
(72)【発明者】
【氏名】高橋 慶太
(72)【発明者】
【氏名】島田 達也
【審査官】長谷川 未貴
(56)【参考文献】
【文献】特開2020-057961(JP,A)
【文献】国際公開第2017/195238(WO,A1)
【文献】特開2020-195020(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04L 12/00-101/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の信号転送装置が信号を転送する第1ネットワークから、複数の信号転送装置が信号を転送する第2ネットワークへ、中間ノードを介して信号を転送する信号転送システムの信号転送スケジュールを制御する信号転送制御装置において、
前記第1ネットワーク内で最後に前記中間ノードへ信号を転送する信号転送装置が信号を転送するスケジュールを示す第1スケジュール情報を取得する第1取得部と、
前記第1ネットワークから転送された信号を前記中間ノードが前記第2ネットワークへ転送するために行う処理に要する時間を示す処理時間情報を取得する第2取得部と、
前記第1取得部が取得した第1スケジュール情報、及び前記第2取得部が取得した処理時間情報に基づいて、前記中間ノードが転送した信号を前記第2ネットワーク内で最初に転送する信号転送装置が信号を転送すべきスケジュールを示す第2スケジュール情報を決定する決定部と、
前記中間ノードが転送した信号を前記第2ネットワーク内で最初に転送する信号転送装置に対し、前記決定部が決定した第2スケジュール情報を出力する出力部と
を有することを特徴とする信号転送制御装置。
【請求項2】
前記決定部は、
前記第1ネットワークと前記第2ネットワークとの間で時刻を同期させて第2スケジュール情報を決定すること
を特徴とする請求項1に記載の信号転送制御装置。
【請求項3】
前記第1取得部は、
予め定められた周期的な第1タイミングで第1スケジュール情報を取得し、
前記第2取得部は、
前記第1タイミングとは異なる予め定められた周期的な第2タイミングで処理時間情報を取得し、
前記決定部は、
前記第1取得部が第1スケジュール情報を取得した時刻と、前記第2取得部が処理時間情報を取得した時刻との間の時間が、前記第2取得部が取得した処理時間情報が示す時間よりも長いか否かを判定した結果に基づいて、第2スケジュール情報を決定すること
を特徴とする請求項2に記載の信号転送制御装置。
【請求項4】
前記決定部は、
前記第2ネットワーク内の信号を転送可能な帯域に基づいて、第2スケジュール情報を決定すること
を特徴とする請求項1~3のいずれか1項に記載の信号転送制御装置。
【請求項5】
複数の信号転送装置が信号を転送する第1ネットワークから、複数の信号転送装置が信号を転送する第2ネットワークへ、中間ノードを介して信号を転送する信号転送システムの信号転送スケジュールを制御する信号転送制御方法において、
前記第1ネットワーク内で最後に前記中間ノードへ信号を転送する信号転送装置が信号を転送するスケジュールを示す第1スケジュール情報を取得する第1取得工程と、
前記第1ネットワークから転送された信号を前記中間ノードが前記第2ネットワークへ転送するために行う処理に要する時間を示す処理時間情報を取得する第2取得工程と、
前記第1スケジュール情報及び前記処理時間情報に基づいて、前記中間ノードが転送した信号を前記第2ネットワーク内で最初に転送する信号転送装置が信号を転送すべきスケジュールを示す第2スケジュール情報を決定する決定工程と、
前記中間ノードが転送した信号を前記第2ネットワーク内で最初に転送する信号転送装置に対し、決定した第2スケジュール情報を出力する出力工程と
を含むことを特徴とする信号転送制御方法。
【請求項6】
請求項1~4のいずれか1項に記載の信号転送制御装置の各部としてコンピュータを機能させるための信号転送制御プログラム。
【請求項7】
複数の信号転送装置が信号を転送する第1ネットワークと、
複数の信号転送装置が信号を転送する第2ネットワークと、
前記第1ネットワークから前記第2ネットワークへ信号を転送する中間ノードと、
前記中間ノードから前記第2ネットワークへ信号を転送する信号転送スケジュールを制御する信号転送制御装置と
を備える信号転送システムにおいて、
前記信号転送制御装置は、
前記第1ネットワーク内で最後に前記中間ノードへ信号を転送する信号転送装置が信号を転送するスケジュールを示す第1スケジュール情報を取得する第1取得部と、
前記第1ネットワークから転送された信号を前記中間ノードが前記第2ネットワークへ転送するために行う処理に要する時間を示す処理時間情報を取得する第2取得部と、
前記第1取得部が取得した第1スケジュール情報、及び前記第2取得部が取得した処理時間情報に基づいて、前記中間ノードが転送した信号を前記第2ネットワーク内で最初に転送する信号転送装置が信号を転送すべきスケジュールを示す第2スケジュール情報を決定する決定部と、
前記中間ノードが転送した信号を前記第2ネットワーク内で最初に転送する信号転送装置に対し、前記決定部が決定した第2スケジュール情報を出力する出力部と
を有することを特徴とする信号転送システム。
【請求項8】
前記決定部は、
前記第1ネットワークと前記第2ネットワークとの間で時刻を同期させて第2スケジュール情報を決定すること
を特徴とする請求項7に記載の信号転送システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、信号転送制御装置、信号転送制御方法、信号転送制御プログラム、及び信号転送システムに関する。
【背景技術】
【0002】
例えば5G(第5世代移動通信システム)などでは、MFH(Mobile Fronthaul)、MMH(Mobile Midhaul)、及びMBH(Mobile Backhaul)を含み、トラフィックを制御するように構成された信号転送システムが知られている。
【0003】
例えば、複数のRU(Radio unit:無線局)がそれぞれ接続された複数のDU(Distributed unit:分散局)と、複数のCU(Central unit:集約基地局)との間の通信経路がSW(スイッチ)によって切替えられる信号転送システムがある。
【0004】
また、信号を順次に転送する信号転送システムでは、一般的にパケットは、スイッチを経由するときに遅延する。そこで、低遅延のネットワークを実現するために、さまざまな技術が適用されている。
【0005】
例えば、高優先の信号の遅延を低減する技術の一つとして、TAS(Time Aware Shaper)技術が知られている。TASでは、完全優先制御を行い、周期的に送信される優先制御の対象となる優先度の信号に対して、信号転送装置内で送信タイムスロットを予約(ゲートを開き、他優先度のゲートを閉じる)する。優先送信区間では、他優先度の信号は伝送できなくなる(待たされる)。また、完全優先制御においては、信号転送装置は、優先制御の対象となる信号を受信し、信号を送信可能な状態になった後、現在送信している信号の送信が終了したときに、対応するタイムゲートを開く(特許文献1参照)。
【0006】
また、非特許文献1には、低遅延を要求されるネットワークに対するブリッジやLANに関する定義がされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【非特許文献】
【0008】
【文献】"IEEE Standard for Local and metropolitan area networks- Time-Sensitive Networking for Fronthaul",IEEE Std 802.1CM, May 7, 2018
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、従来は、例えばTASにより信号を転送するネットワークから、中間ノードを介して他のTASにより信号を転送するネットワークへ信号を転送する場合、スケジュール情報を連携させることができなかった。また、このようなネットワークでは、中間ノードにおける遅延時間も考慮されていなかった。
【0010】
例えば、タイムスロットの予約には、中間ノードにおける処理時間を設定するときに、一定の固定時間を含める必要があった。この固定時間は、推定値である。よって、タイムスロット内にトラヒックを到着させるためには、予約時間にマージンを付加しておく必要があり、帯域利用効率を低下させることがあった。
【0011】
本発明は、上述した課題を鑑みてなされたものであり、信号を転送する複数の異なるネットワークに跨って信号を転送する場合にも、帯域利用効率を向上させることができる信号転送制御装置、信号転送制御方法、信号転送制御プログラム、及び信号転送システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明の一実施形態にかかる信号転送制御装置は、複数の信号転送装置が信号を転送する第1ネットワークから、複数の信号転送装置が信号を転送する第2ネットワークへ、中間ノードを介して信号を転送する信号転送システムの信号転送スケジュールを制御する信号転送制御装置において、前記第1ネットワーク内で最後に前記中間ノードへ信号を転送する信号転送装置が信号を転送するスケジュールを示す第1スケジュール情報を取得する第1取得部と、前記第1ネットワークから転送された信号を前記中間ノードが前記第2ネットワークへ転送するために行う処理に要する時間を示す処理時間情報を取得する第2取得部と、前記第1取得部が取得した第1スケジュール情報、及び前記第2取得部が取得した処理時間情報に基づいて、前記中間ノードが転送した信号を前記第2ネットワーク内で最初に転送する信号転送装置が信号を転送すべきスケジュールを示す第2スケジュール情報を決定する決定部と、前記中間ノードが転送した信号を前記第2ネットワーク内で最初に転送する信号転送装置に対し、前記決定部が決定した第2スケジュール情報を出力する出力部とを有することを特徴とする。
【0013】
また、本発明の一実施形態にかかる信号転送制御方法は、複数の信号転送装置が信号を転送する第1ネットワークから、複数の信号転送装置が信号を転送する第2ネットワークへ、中間ノードを介して信号を転送する信号転送システムの信号転送スケジュールを制御する信号転送制御方法において、前記第1ネットワーク内で最後に前記中間ノードへ信号を転送する信号転送装置が信号を転送するスケジュールを示す第1スケジュール情報を取得する第1取得工程と、前記第1ネットワークから転送された信号を前記中間ノードが前記第2ネットワークへ転送するために行う処理に要する時間を示す処理時間情報を取得する第2取得工程と、前記第1スケジュール情報及び前記処理時間情報に基づいて、前記中間ノードが転送した信号を前記第2ネットワーク内で最初に転送する信号転送装置が信号を転送すべきスケジュールを示す第2スケジュール情報を決定する決定工程と、前記中間ノードが転送した信号を前記第2ネットワーク内で最初に転送する信号転送装置に対し、決定した第2スケジュール情報を出力する出力工程とを含むことを特徴とする。
【0014】
また、本発明の一実施形態にかかる信号転送システムは、複数の信号転送装置が信号を転送する第1ネットワークと、複数の信号転送装置が信号を転送する第2ネットワークと、前記第1ネットワークから前記第2ネットワークへ信号を転送する中間ノードと、前記中間ノードから前記第2ネットワークへ信号を転送する信号転送スケジュールを制御する信号転送制御装置とを備える信号転送システムにおいて、前記信号転送制御装置が、前記第1ネットワーク内で最後に前記中間ノードへ信号を転送する信号転送装置が信号を転送するスケジュールを示す第1スケジュール情報を取得する第1取得部と、前記第1ネットワークから転送された信号を前記中間ノードが前記第2ネットワークへ転送するために行う処理に要する時間を示す処理時間情報を取得する第2取得部と、前記第1取得部が取得した第1スケジュール情報、及び前記第2取得部が取得した処理時間情報に基づいて、前記中間ノードが転送した信号を前記第2ネットワーク内で最初に転送する信号転送装置が信号を転送すべきスケジュールを示す第2スケジュール情報を決定する決定部と、前記中間ノードが転送した信号を前記第2ネットワーク内で最初に転送する信号転送装置に対し、前記決定部が決定した第2スケジュール情報を出力する出力部とを有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、信号を転送する複数の異なるネットワークに跨って信号を転送する場合にも、帯域利用効率を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】一実施形態にかかる信号転送システムの構成例を示す図である。
【
図2】一実施形態にかかる信号転送制御装置の構成例を示す図である。
【
図3】決定部が決定した第2スケジュール情報を例示する図である。
【
図4】信号転送制御装置が第2スケジュール情報を決定する過程を模式的に例示する図である。
【
図5】一実施形態にかかる信号転送制御装置のハードウェア構成例を示す図である。
【
図6】比較例の信号転送システムの構成例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
まず、本発明がなされるに至った背景について説明する。
図6は、比較例の信号転送システム1の構成例を示す図である。信号転送システム1は、例えば第1ネットワーク2と第2ネットワーク3とが中央局4を介して接続されている。そして、信号転送システム1は、分散局(下位装置)10-1,10-2が第1ネットワーク2、中央局4及び第2ネットワーク3を介して上位装置12と双方向通信を行うように信号(トラヒック)を転送する。分散局10-1,10-2(又は上位装置12)は、トラヒックを発生させる装置である。
【0018】
第1ネットワーク2は、例えば信号転送装置5-1~5-4と、信号転送制御装置6-1とを有する。信号転送装置5-1~5-4は、分散局10-1,10-2と中央局4との間で信号を転送する複数の経路を構成する。
【0019】
そして、信号転送装置5-1~5-4は、信号転送制御装置6-1の制御に応じて、分散局10-1,10-2が送信する信号をTASにより中央局4へ転送する。また、信号転送装置5-1~5-4は、信号転送制御装置6-1の制御に応じて、中央局4が送信する信号をTASにより分散局10-1,10-2へ転送する。
【0020】
信号転送制御装置6-1は、分散局10-1,10-2と中央局4との間で信号を転送する経路を決定し、決定した経路を通って信号が転送されるように命令を出力し、信号転送装置5-1~5-4を制御する。
【0021】
第2ネットワーク3は、例えば信号転送装置5-5~5-8と、信号転送制御装置6-2とを有する。信号転送装置5-5~5-8は、中央局4と上位装置12との間で信号を転送する複数の経路を構成する。
【0022】
そして、信号転送装置5-5~5-8は、信号転送制御装置6-2の制御に応じて、中央局4が送信する信号をTASにより上位装置12へ転送する。また、信号転送装置5-5~5-8は、信号転送制御装置6-2の制御に応じて、上位装置12が送信する信号をTASにより中央局4へ転送する。
【0023】
信号転送制御装置6-2は、中央局4と上位装置12との間で信号を転送する経路を決定し、決定した経路を通って信号が転送されるように命令を出力し、信号転送装置5-5~5-8を制御する。
【0024】
中央局4は、例えばCU(Central unit:集約基地局)であり、第1ネットワーク2から第2ネットワーク3へ、又は、第2ネットワーク3から第1ネットワーク2へ信号を転送する中間ノードとなっている。つまり、中央局4は、第1ネットワーク2を介して転送される上り信号を集約して第2ネットワーク3へ転送し、第2ネットワーク3を介して転送される下り信号を第1ネットワーク2へ分配して転送する。
【0025】
以下、信号転送装置5-1~5-8のように複数ある構成のいずれかを特定しない場合には、単に信号転送装置5などと略記する。
【0026】
図7は、信号転送装置5の構成例を示す図である。
図7に示すように、信号転送装置5は、例えば受信部50、信号振分部51、バッファ部52、タイムゲート部53、制御部54、及び送信部55を有し、受信した信号をTASにより転送する。
【0027】
受信部50は、例えば優先度が他の信号よりも高い周期的な信号を含む複数の信号を受信し、受信した信号をそれぞれ信号振分部51に対して出力する。また、受信部50は、信号転送制御装置6が出力した命令を受信し、制御部54に対して出力する。
【0028】
信号振分部51は、受信部50から入力された信号それぞれを優先度ごとに振り分ける機能を備え、優先度ごとに振り分けた信号をそれぞれバッファ部52に対して出力する。
【0029】
バッファ部52は、優先度ごとに信号を保持する複数のバッファ520を備える。複数のバッファ520は、信号振分部51が優先度ごとに振り分けた信号をそれぞれ保持する。つまり、複数のバッファ520は、受信部50が受信した複数の信号を優先度に応じてそれぞれ保持する。
【0030】
タイムゲート部53は、複数のバッファ520それぞれに対応する複数のゲート530を有する。ゲート530は、開くことによってバッファ520が保持している信号を送信部55へ伝送し、閉じることによってバッファ520が保持している信号の送信部55への伝送を停止させる。
【0031】
制御部54は、例えば信号転送制御装置6から通知される命令(スケジュール情報)に従って、タイムゲート部53が備える複数のゲート530それぞれの開閉を制御することにより、バッファ520ごとの信号伝送を制御するスケジューラである。スケジュール情報には、TASによる信号の優先度に応じたゲート開放期間及びゲート開放開始時間などが含まれる。
【0032】
例えば、制御部54は、信号転送制御装置6から通知されるスケジュール情報に従ってTASを実行する。このとき、制御部54は、スケジュール情報に含まれる信号の周期情報、位相情報、及びデータ長に基づいて決められるタイミングでゲート530を開くように制御を行う。例えば、制御部54は、優先度が高い信号を保持しているバッファ520を優先させて、対応するゲート530を開けるように制御を行う。
【0033】
送信部55は、ゲート530が開けられた信号を指定された出力先へ送信する転送機能を有する。つまり、送信部55は、制御部54の制御に応じて複数のバッファ520が出力した信号を送信する。
【0034】
図8は、信号転送制御装置6の構成例を示す図である。
図8に示すように、信号転送制御装置6は、例えば経路情報記憶部60、距離情報記憶部61、命令決定部62、及び出力部63を有する。
【0035】
経路情報記憶部60は、例えば複数の信号転送装置5によって構成される複数の経路を示す経路情報を記憶しており、命令決定部62からのアクセスにより、経路情報を命令決定部62に対して出力する。
【0036】
距離情報記憶部61は、例えば経路情報記憶部60が記憶している経路情報が示す経路それぞれの距離を示す距離情報を記憶しており、命令決定部62からのアクセスにより、距離情報を命令決定部62に対して出力する。
【0037】
命令決定部62は、経路情報及び距離情報に基づいて、複数の信号転送装置5それぞれに対する命令(スケジュール情報)を決定し、決定した命令を出力部63に対して出力する。
【0038】
出力部63は、命令決定部62が出力した命令を複数の信号転送装置5それぞれに対して出力(送信)する。
【0039】
次に、信号転送システム1(
図6)の動作例について説明する。分散局10-1,10-2から上位装置12へ信号を転送する場合、第1ネットワーク2は、信号転送制御装置6-1の制御に応じて複数の信号転送装置5を介した経路を決定し、決定した経路により分散局10-1,10-2が送信した信号をTASにより中央局4へ転送する。
【0040】
中央局4は、第1ネットワーク2が転送した信号を処理し、第2ネットワーク3へ転送する。第2ネットワーク3は、信号転送制御装置6-2の制御に応じて複数の信号転送装置5を介した経路を決定し、決定した経路により中央局4が転送した信号をTASにより上位装置12へ転送する。
【0041】
このように、信号転送システム1における中央局4を跨いだ信号転送では、第1ネットワーク2のスケジュール情報と、第2ネットワーク3のスケジュール情報とが連携していない。
【0042】
つまり、第2ネットワーク3におけるタイムスロットの予約には、中央局4による処理時間を設定するときに、一定の固定時間を含める必要がある。この固定時間は、推定値である。よって、タイムスロット内にトラヒックを到着させるためには、予約時間にマージンを付加しておく必要があり、帯域利用効率を低下させることがあった。
【0043】
そこで、次に説明する一実施形態にかかる信号転送システムは、TASにより信号を転送する複数の異なるネットワークに跨って信号を転送する場合にも、帯域利用効率を向上させることができるように構成されている。
【0044】
図1は、一実施形態にかかる信号転送システム1aの構成例を示す図である。信号転送システム1aは、例えば第1ネットワーク2aと第2ネットワーク3aとが中央局4aを介して接続されている。そして、信号転送システム1aは、分散局(下位装置)10-1,10-2が第1ネットワーク2a、中央局4a及び第2ネットワーク3aを介して上位装置12と双方向通信を行うように信号(トラヒック)を転送する。
【0045】
以下、
図1に示した信号転送システム1aにおいて、
図6に示した信号転送システム1の構成と実質的に同一の構成には同一の符号が付してある。
【0046】
第1ネットワーク2aは、例えば信号転送装置5-1~5-4と、信号転送制御装置7-1とを有する。信号転送装置5-1~5-4は、分散局10-1,10-2と中央局4aとの間で信号を転送する複数の経路を構成する。
【0047】
そして、信号転送装置5-1~5-4は、信号転送制御装置7-1の制御に応じて、分散局10-1,10-2が送信する信号をTASにより中央局4aへ転送する。また、信号転送装置5-1~5-4は、信号転送制御装置7-1の制御に応じて、中央局4aが送信する信号をTASにより分散局10-1,10-2へ転送する。
【0048】
信号転送制御装置7-1は、分散局10-1,10-2と中央局4aとの間で信号を転送する経路を決定し、決定した経路を通って信号が転送されるように命令を出力し、信号転送装置5-1~5-4を制御する。また、信号転送制御装置7-1は、第1ネットワーク2aにおけるスケジュール情報を信号転送制御装置7-2に対して送信する。また、信号転送制御装置7-1は、中央局4aから処理時間情報(後述)を取得する機能を有する。
【0049】
第2ネットワーク3aは、例えば信号転送装置5-5~5-8と、信号転送制御装置7-2とを有する。信号転送装置5-5~5-8は、中央局4aと上位装置12との間で信号を転送する複数の経路を構成する。
【0050】
そして、信号転送装置5-5~5-8は、信号転送制御装置7-2の制御に応じて、中央局4aが送信する信号をTASにより上位装置12へ転送する。また、信号転送装置5-5~5-8は、信号転送制御装置7-2の制御に応じて、上位装置12が送信する信号をTASにより中央局4aへ転送する。
【0051】
信号転送制御装置7-2は、中央局4aと上位装置12との間で信号を転送する経路を決定し、決定した経路を通って信号が転送されるように命令を出力し、信号転送装置5-5~5-8を制御する。また、信号転送制御装置7-2は、第2ネットワーク3aにおけるスケジュール情報を信号転送制御装置7-1に対して送信する。また、信号転送制御装置7-2は、中央局4aから処理時間情報(後述)を取得する機能を有する。
【0052】
中央局4aは、例えばCU(Central unit:集約基地局)であり、第1ネットワーク2aから第2ネットワーク3aへ、又は、第2ネットワーク3aから第1ネットワーク2aへ信号を転送する中間ノードとなっている。つまり、中央局4aは、第1ネットワーク2aを介して転送される上り信号を集約して第2ネットワーク3aへ転送し、第2ネットワーク3aを介して転送される下り信号を第1ネットワーク2aへ分配して転送する。
【0053】
このように、信号転送システム1aは、分散局10-1,10-2と上位装置12とが双方向通信を行うことができるように信号を転送するが、ここでは、信号転送システム1aが上り信号を転送する場合を例に説明することとする。
【0054】
図2は、一実施形態にかかる信号転送制御装置7-2の構成例を示す図である。
図2に示すように、信号転送制御装置7-2は、例えば経路情報記憶部70、距離情報記憶部71、第1取得部72、開放期間算出部73、取得時間算出部74、第2取得部75、処理時間記憶部76、時間取得部77、決定部78、及び出力部79を有する。例えば、信号転送制御装置7-2は、中央局4aから第2ネットワーク3aへ信号を転送する信号転送スケジュールを制御する。なお、信号転送制御装置7-1も信号転送制御装置7-2と同様の構成である。
【0055】
経路情報記憶部70は、例えば複数の信号転送装置5によって構成される複数の経路を示す経路情報を記憶しており、決定部78からのアクセスにより、経路情報を決定部78に対して出力する。
【0056】
距離情報記憶部71は、例えば経路情報記憶部70が記憶している経路情報が示す経路それぞれの距離を示す距離情報を記憶しており、決定部78からのアクセスにより、距離情報を決定部78に対して出力する。
【0057】
第1取得部72は、第1ネットワーク2a内で最後に中央局4aへ信号を転送する信号転送装置5-2がTASにより信号を転送するスケジュールを示す第1スケジュール情報を例えば信号転送制御装置7-1から取得する。そして、第1取得部72は、取得した第1スケジュール情報を開放期間算出部73及び取得時間算出部74に対して出力する。
【0058】
また、第1取得部72は、予め定められた周期的な第1タイミングで第1スケジュール情報を取得してもよい。
【0059】
開放期間算出部73は、第2ネットワーク3a内で中央局4aと上位装置12との間の機能分割点(Split point)情報を取得する。また、開放期間算出部73は、第1ネットワーク2aにおける時刻と、第2ネットワーク3aにおける時刻の差分を示す絶対時刻の差分情報を取得する。また、開放期間算出部73は、中央局4aが第2ネットワーク3aへ信号を転送するために行う処理に要する時間を示す処理時間情報が到着する時間間隔を示す到着間隔情報を取得する。また、開放期間算出部73は、第1取得部72から第1スケジュール情報を取得する。
【0060】
そして、開放期間算出部73は、取得した各情報に基づいて、第2ネットワーク3aにおける使用可能な帯域を計算し、信号転送装置5それぞれのゲート開放期間を算出し、例えば取得した情報と算出した結果を取得時間算出部74及び出力部79に対して出力する。
【0061】
取得時間算出部74は、第2ネットワーク3a内で最初に信号を転送する信号転送装置5-5に対してスケジュール情報(ゲート開放期間及びゲート開放開始時間)を設定するために必要となるオフセット値を算出し、絶対時刻における到着間隔(取得タイミング)情報とともにオフセット値を時間取得部77に対して出力する。
【0062】
第2取得部75は、第1ネットワーク2aから転送された信号を中央局4aが第2ネットワーク3aへ転送するために行う処理に要する時間を示す処理時間情報tβ(t)を、中央局4aから取得する。そして、第2取得部75は、取得した処理時間情報と、中央局4aから処理時間情報が到着する間隔(中央局4aからの送信タイミング)を示す情報を処理時間記憶部76に対して出力する。
【0063】
また、第2取得部75は、第1取得部72の第1タイミングとは異なる予め定められた周期的な第2タイミングで処理時間情報を取得してもよい。
【0064】
処理時間記憶部76は、第2取得部75から入力された処理時間情報tβ(t)と、中央局4aからの送信タイミングを示す情報を記憶し、時間取得部77からのアクセスに応じて出力する。
【0065】
時間取得部77は、取得時間算出部74から入力された情報(オフセット値、取得タイミング)と、処理時間記憶部76から取得する情報(処理時間情報、中央局4aからの送信タイミングを示す情報)を対応づけて決定部78へ出力する。
【0066】
決定部78は、経路情報記憶部70、距離情報記憶部71、及び時間取得部77から入力される各情報に基づいて、中央局4aが転送した信号を第2ネットワーク3a内で最初に転送する信号転送装置5-5がTASにより信号を転送すべきスケジュールを示す第2スケジュール情報を決定し、出力部79に対して出力する。
【0067】
例えば、決定部78は、信号転送装置5-2におけるゲート開放時間がT1である場合、信号転送装置5-5のゲート開放時間をT1+D+tβ(t)とする。なお、Dは、信号転送装置5-2と信号転送装置5-5との間の伝送時間である。また、決定部78は、第2ネットワーク3a内の信号を転送可能な帯域に基づいて、第2スケジュール情報を決定する。
【0068】
図3は、決定部78が決定した第2スケジュール情報を例示する図である。
図3に示すように、決定部78は、第2スケジュール情報として、ゲート開放期間及びゲート開放開示時間を決定する。
【0069】
つまり、決定部78は、第1取得部72が取得した第1スケジュール情報、及び第2取得部75が取得した処理時間情報に基づいて、中央局4aが転送した信号を信号転送装置5-5がTASにより転送すべきスケジュール(第2スケジュール情報)を決定する。このとき、決定部78は、第1ネットワーク2aと第2ネットワーク3aとの間で時刻を同期させて第2スケジュール情報を決定する。
【0070】
また、決定部78は、第1取得部72が第1スケジュール情報を取得した時刻と、第2取得部75が処理時間情報を取得した時刻との間の時間が、第2取得部75が取得した処理時間情報が示す時間よりも長いか否かを判定した結果に基づいて、第2スケジュール情報を決定してもよい。
【0071】
図4は、信号転送制御装置7-2が第2スケジュール情報を決定する過程を模式的に例示する図である。信号転送制御装置7-2は、信号転送装置5-5に対して第2スケジュール情報(ゲート開放開始時間、ゲート開放期間)を出力する。
【0072】
信号転送制御装置7-2は、第1ネットワーク2aと第2ネットワーク3aとの間で時刻の同期をとるために、それぞれの絶対時刻における差分、経路情報、距離情報、及び中央局4aの処理時間に基づくオフセットを設定する。
【0073】
このとき、信号転送装置5-2のスケジュール情報を取得するタイミングと、中央局4aが処理時間情報を送信するとは、ずれている。よって、信号転送制御装置7-2は、ゲート開放開始時間を決定するために、タイミングずれを補正する。例えば、信号転送制御装置7-2は、直近の中央局4aの処理時間や、処理時間の平均値などを用いて補正を行う。
【0074】
また、信号転送制御装置7-2は、MFHやMBHのSplit point情報を取得して、ゲート開放期間を決定する。
【0075】
例えば、信号転送制御装置7-2は、信号転送装置5-5のスケジュールタイミングに最も近い中央局4aの処理時間を用いて第2スケジュール情報を決定する。例えば、信号転送制御装置7-2は、中央局4aから処理時間情報が到着する間隔(中央局4aからの送信タイミング)を予め取得していることとする。
【0076】
そして、信号転送制御装置7-2は、通知された処理時間をオフセットとして用いる場合、例えば以下のように処理時間を設定する。
【0077】
t_set-t2>処理時間の場合:t2に通知された処理時間を設定する。
t_set-t2≦処理時間の場合:t1に通知された処理時間を設定する。
【0078】
そして、出力部79(
図2)は、中央局4aが転送した信号を第2ネットワーク3a内で最初に転送する信号転送装置5-5に対し、決定部78が決定した第2スケジュール情報を出力する。
【0079】
例えば、出力部79は、
図3内の破線で囲んだゲート開放期間及びゲート開放開示時間を、中央局4aが転送した信号を第2ネットワーク3a内で最初に転送する信号転送装置5-5へ命令として通知する。
【0080】
このように、信号転送システム1aは、中央局4aが処理時間情報tβ(t)を信号転送制御装置7-2へ通知し、信号転送制御装置7-2が第2スケジュール情報を決定して、信号転送装置5の制御部54へ第2スケジュール情報を通知する。
【0081】
従って、一実施形態にかかる信号転送システム1aは、信号を転送する複数の異なるネットワークに跨って信号を転送する場合にも、帯域利用効率を向上させることができる。
【0082】
また、信号転送制御装置7-1,7-2、中央局4a、及び信号転送装置5それぞれが有する各機能は、それぞれ一部又は全部がPLD(Programmable Logic Device)やFPGA(Field Programmable Gate Array)等のハードウェアによって構成されてもよいし、CPU等のプロセッサが実行するプログラムとして構成されてもよい。
【0083】
例えば、一実施形態にかかる信号転送制御装置7は、コンピュータとプログラムを用いて実現することができ、プログラムを記憶媒体に記録することも、ネットワークを通して提供することも可能である。
【0084】
図5は、一実施形態にかかる信号転送制御装置7のハードウェア構成例を示す図である。
図5に示すように、例えば信号転送制御装置7は、入力部800、出力部810、通信部820、CPU830、メモリ840及びHDD850がバス860を介して接続され、コンピュータとしての機能を備える。また、信号転送制御装置7は、コンピュータ読み取り可能な記憶媒体870との間でデータを入出力することができるようにされている。
【0085】
入力部800は、例えばキーボード及びマウス等である。出力部810は、例えばディスプレイなどの表示装置である。通信部820は、例えばネットワークインターフェースなどである。
【0086】
CPU830は、信号転送制御装置7を構成する各部を制御し、所定の処理等を行う。メモリ840及びHDD850は、データ等を記憶する記憶部である。
【0087】
記憶媒体870は、信号転送制御装置7が有する機能を実行させるプログラム等を記憶可能にされている。なお、信号転送制御装置7を構成するアーキテクチャは
図5に示した例に限定されない。
【符号の説明】
【0088】
1,1a・・・信号転送システム、2,2a・・・第1ネットワーク、3,3a・・・第2ネットワーク、4,4a・・・中央局、5-1~5-8・・・信号転送装置、6-1,6-2・・・信号転送制御装置、7-1,7-2・・・信号転送制御装置、10-1,10-2・・・分散局、12・・・上位装置、50・・・受信部、51・・・信号振分部、52・・・バッファ部、53・・・タイムゲート部、54・・・制御部、55・・・送信部、70・・・経路情報記憶部、71・・・距離情報記憶部、72・・・第1取得部、73・・・開放期間算出部、74・・・取得時間算出部、75・・・第2取得部、76・・・処理時間記憶部、77・・・時間取得部、78・・・決定部、79・・・出力部、520・・・バッファ、530・・・ゲート、800・・・入力部、810・・・出力部、820・・・通信部、830・・・CPU、840・・・メモリ、850・・・HDD、860・・・バス、870・・・記憶媒体