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特許7582486データを収集するシステム、方法及びプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-05
(45)【発行日】2024-11-13
(54)【発明の名称】データを収集するシステム、方法及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   H04L 69/00 20220101AFI20241106BHJP
   H04L 41/5009 20220101ALI20241106BHJP
   H04L 47/28 20220101ALI20241106BHJP
【FI】
H04L69/00
H04L41/5009
H04L47/28
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2023539402
(86)(22)【出願日】2021-08-02
(86)【国際出願番号】 JP2021028660
(87)【国際公開番号】W WO2023012878
(87)【国際公開日】2023-02-09
【審査請求日】2024-01-11
(73)【特許権者】
【識別番号】000004226
【氏名又は名称】日本電信電話株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100119677
【弁理士】
【氏名又は名称】岡田 賢治
(74)【代理人】
【識別番号】100160495
【弁理士】
【氏名又は名称】畑 雅明
(74)【代理人】
【識別番号】100115794
【弁理士】
【氏名又は名称】今下 勝博
(72)【発明者】
【氏名】津上 諒平
(72)【発明者】
【氏名】福井 達也
【審査官】岩田 玲彦
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-152675(JP,A)
【文献】特開2003-060691(JP,A)
【文献】国際公開第2011/074630(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04L 69/00
H04L 41/5009
H04L 47/28
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のデータソースからのデータをサーバに収集するシステムにおいて、
前記複数のデータソースへ配布する送信ポリシーを決定するコントローラを備え、
前記データソースが、データを前記サーバに送信する際のデータ転送要件をコントローラへ送り、
前記コントローラが、前記データ転送要件に基づいて、各データソースの送信ポリシーを決定し、
前記データソースが、前記送信ポリシーに基づいて、自律的に、通信パスの生成要求を送信し、
前記コントローラが、前記データソースからの通信パスの生成要求に基づいて、前記データソースから前記サーバまでの通信パスを生成し、
前記データソースが、生成された通信パスを用いて、データを送信する、
システム。
【請求項2】
前記送信ポリシーは、
データ発生後即座に通信パスを生成してデータ転送を行い、データ転送完了後即座に通信パス解放するもの、
データが一定量蓄積してから通信パスを生成してデータ転送を行い、データ転送完了後即座に通信パスを解放するもの、及び
データ発生後即座に通信パスを生成してデータ転送を行い、データ転送完了後も一定時間通信パスを保持し続けるもの、
を含む、
請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記データ転送要件は、許容遅延時間及びデータ発生頻度を含み、
前記コントローラは、各データソースにおける許容遅延時間及びデータ発生頻度を基に、各データソースの送信ポリシーを決定する、
請求項1又は2に記載のシステム。
【請求項4】
前記コントローラは、
許容遅延時間が設定時間以下でありかつデータ発生頻度が設定値以下の場合、データ発生後即座に通信パスを生成してデータ転送を行い、データ転送完了後即座に通信パスを解放する送信ポリシーに決定し、
許容遅延時間が設定時間超でありかつデータ発生頻度が設定値以下の場合、データが一定量蓄積してから通信パスを生成してデータ転送を行い、データ転送完了後即座に通信パスを解放する送信ポリシーに決定し、
許容遅延時間が設定時間以下でありかつデータ発生頻度が設定値超の場合、データ発生後即座に通信パスを生成してデータ転送を行い、データ転送完了後も一定時間通信パスを保持し続ける送信ポリシーに決定する、
請求項3に記載のシステム。
【請求項5】
複数のデータソースからのデータをサーバに収集するシステムが実行する方法であって、
前記システムは、前記複数のデータソースへ配布する送信ポリシーを決定するコントローラを備え、
前記データソースが、データを前記サーバに送信する際のデータ転送要件をコントローラへ送り、
前記コントローラが、前記データ転送要件に基づいて、各データソースの送信ポリシーを決定し、
前記データソースが、前記送信ポリシーに基づいて、自律的に、通信パスの生成要求を送信し、
前記コントローラが、前記データソースからの通信パスの生成要求に基づいて、前記データソースから前記サーバまでの通信パスを生成し、
前記データソースが、生成された通信パスを用いて、データを送信する、
方法。
【請求項6】
請求項1から4のいずれかに記載のコントローラに備わる各機能部としてコンピュータを実現させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、データ収集のための通信制御に関する。
【背景技術】
【0002】
ユーザ端末やセンサ、車載システムが発展しており、センサの数や各センサから生成されるデータ量が大幅に増している。それらデータを収集する際に従来の通信方法では、受信側の通信の処理がボトルネックとなる可能性がある。
【0003】
高速なデータ転送手法として、RDMA(Remote Direct Memory Access)が検討されている。RDMAでは、ローカルのコンピュータのメモリから、異なるリモートのコンピュータのメモリへ、データのDMA転送(CPUを介さずに周辺機器やメインメモリ(RAM)などの間で直接データ転送)を行う。このため、RDMAは、データ転送にCPU処理を必要としないため、受信側での前記ボトルネックを回避することができる。
【0004】
このRDMAを用いた遠隔転送技術が提案されている(例えば、非特許文献1参照。)。しかし、非特許文献1では、広域な通信ネットワークにおいてRDMAでデータ転送するには、あらかじめフロー毎に通信パスを設定する必要がある。そのため、多数のデータソースからデータを収集する場合、大量のネットワークリソースが必要となる。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0005】
【文献】「1人1波長」で100Gbps脱TCP/IPで超低遅延,日経エレクトロニクス,2021-03,P40-47
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本開示は、多数のデータソースからデータを収集する場合であっても、大量のネットワークリソースが必要とならないシステムの提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示のシステム及び方法は、
複数のデータソースからのデータをサーバに収集するシステムにおいて、
前記システムは、前記複数のデータソースへ配布する送信ポリシーを決定するコントローラを備え、
前記データソースが、データを前記サーバに送信する際のデータ転送要件をコントローラへ送り、
前記コントローラが、前記データ転送要件に基づいて、各データソースの送信ポリシーを決定し、
前記データソースが、前記送信ポリシーに基づいて、自律的に、通信パスの生成要求を送信し、
前記コントローラが、前記データソースからの通信パスの生成要求に基づいて、前記データソースから前記サーバまでの通信パスを生成し、
前記データソースが、生成された通信パスを用いて、データを送信する。
【0008】
本開示のコントローラ及びデータソースなどの装置はコンピュータとプログラムによっても実現でき、プログラムを記録媒体に記録することも、通信ネットワークを通して提供することも可能である。本開示のプログラムは、本開示に係る装置に備わる各機能部としてコンピュータを実現させるためのプログラムであり、本開示に係る装置が実行する方法に備わる各ステップをコンピュータに実行させるためのプログラムである。
【発明の効果】
【0009】
本開示によれば、多数のデータソースからデータを収集する場合であっても、大量のネットワークリソースが必要とならないシステムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本開示のシステム構成例を示す。
図2】通信ネットワークの構成例を示す。
図3】サーバの構成例を示す。
図4】データソースの構成例を示す。
図5】各データソースの要件テーブルに格納されている情報の一例を示す。
図6】送信制御コントローラの構成例を示す。
図7】送信制御コントローラにおける動作の一例を示す。
図8】送信ポリシー決定機能における動作の一例を示す。
図9】送信ポリシーテーブルに格納される情報の一例を示す。
図10】パス管理コントローラの構成例を示す。
図11】パス設定箇所テーブルの一例を示す。
図12】パス管理コントローラにおける動作の一例を示す。
図13】パス管理コントローラにおける動作の一例を示す。
図14】パス管理コントローラにおける動作の一例を示す。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本開示の実施形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。なお、本開示は、以下に示す実施形態に限定されるものではない。これらの実施の例は例示に過ぎず、本開示は当業者の知識に基づいて種々の変更、改良を施した形態で実施することができる。なお、本明細書及び図面において符号が同じ構成要素は、相互に同一のものを示すものとする。
【0012】
(本開示の概要)
図1に、本開示のシステム構成例を示す。本開示のシステムは、複数のデータソース10、送信制御コントローラ20、パス管理コントローラ30、及びサーバ40を備える。複数のデータソース10、送信制御コントローラ20、パス管理コントローラ30、及びサーバ40は、通信ネットワーク80で接続されている。データソース10は、ユーザ側のセンシングデータを持つ端末である。サーバ40は、データソースからのデータを収集する端末である。
【0013】
本実施形態では、送信制御コントローラ20及びパス管理コントローラ30が分離して配置されている例を示すが、これらのコントローラは、共通の装置に備わっていてもよいし、分散して配置されている複数の装置で構成されていてもよい。本発明の装置はコンピュータとプログラムによっても実現でき、プログラムを記録媒体に記録することも、通信ネットワークを通して提供することも可能である。
【0014】
図2に、通信ネットワーク80の構成例を示す。通信ネットワーク80は、複数のネットワーク機器81で構成されている。本実施形態では、データソース10とサーバ40間で利用するネットワーク機器81は予め決められている。例えば、データソース10Aとサーバ40がネットワーク機器81A及び81Bで接続され、データソース10Bとサーバ40がネットワーク機器81A及び81Cで接続され、データソース10Cとサーバ40がネットワーク機器81D及び81Eで接続されている。
【0015】
各ネットワーク機器81A~81Eは、データソース10A~10Cからサーバ40宛のデータを受信すると、どのネットワーク機器へ転送したらよいか知っている。そのため、データソース10A~10Cは、どのネットワーク機器81を利用するかをわからなくても、サーバ40を指定してデータ送信すれば、データはサーバ40へ送られる。これより、本開示は、通信パスが生成されているときは、ロスレスかつ広帯域でデータを転送することができる。
【0016】
本開示では、RDMAによるデータ転送を実現するため、ロスレスかつ広帯域な通信パスを、必要なデータソース10に必要なタイミングで割り当てる方式を提案する。
本開示のシステムは、
データソース10からデータ転送要件を送信制御コントローラ20へ送り、
受け取った送信制御コントローラ20は、データソース10毎に送信ポリシーを決定してデータソース10に配信し、
データソース10が、送信ポリシーに基づいて、自律的にパス管理コントローラ30へ通信パスの生成を要求し、
通信パスを確立後、データソース10が、センシングデータをサーバ40へ送信する。
【0017】
送信ポリシーは、例えば、以下が例示できる。
第1の送信ポリシー:データ発生後即座に通信パスを生成してデータ転送を行い、データ転送完了後即座に通信パス解放する。
第2の送信ポリシー:データが一定量蓄積してから通信パスを生成してデータ転送を行い、データ転送完了後即座に通信パスを解放する。
第3の送信ポリシー:データ発生後即座に通信パスを生成してデータ転送を行い、データ転送完了後も一定時間通信パスを保持し続ける。
【0018】
本実施形態では、送信制御コントローラ20を備えることで、データソース10のデータ転送要件に合った送信ポリシーを配布する。そして、センサ特性及びアプリ毎のデータ転送要件を考慮した送信ポリシーに従って、各データソース10がパスの生成要求又は解放要求をパス管理コントローラ30へ通知し、パスの生成又は解放のタイミング制御を行う。これにより、本実施形態は、データ送信の即時性と通信パス利用時間短縮のトレードオフを制御する。以下、詳細に説明する。
【0019】
図3に、サーバ40の構成例を示す。サーバ40は、データ受信機能41、メモリ42、アプリケーション43を備える。
データ受信機能41は、各データソース10からセンシングデータを受信する。
メモリ42は、センサ50からのセンシングデータを格納する。
アプリケーション43は、センサ50からのセンシングデータを収集する。アプリケーション43は、ユーザ端末やセンサ、車載システムなどで検出又は発生した任意のセンシングデータを収集する任意のアプリケーションである。
【0020】
図4に、データソース10の構成例を示す。データソース10は、要件通知機能11、送信ポリシー受信機能12、データ送信タイミング制御機能13、通信パス設定機能14、データ送信機能15、通信パス解放機能16、発生データ格納機能17、要件テーブル18、送信ポリシーテーブル19を備える。
【0021】
発生データ格納機能17は、センサ50からのセンシングデータを格納する。
要件通知機能11は、要件テーブル18からデータ転送要件を読み出し、読み出したデータ転送要件を送信制御コントローラ20に通知する。
送信ポリシー受信機能12は、送信制御コントローラ20から送信ポリシーを受信する。
データ送信タイミング制御機能13は、送信ポリシーテーブル19に従い、通信パス設定機能14、データ送信機能15及び通信パス解放機能16を制御する。
通信パス設定機能14は、パスの生成要求をパス管理コントローラ30に送信する。
データ送信機能15は、発生データ格納機能17に格納されているセンシングデータを、サーバ40に送信する。
通信パス解放機能16は、パスの解放要求をパス管理コントローラ30に送信する。
要件テーブル18は、データソース10ごとのデータ転送要件を格納する。
送信ポリシーテーブル19は、データソース10からサーバ40へセンシングデータを送信する際のポリシーを格納する。
【0022】
図5に、各データソースの要件テーブル18に格納されている情報の一例を示す。要件テーブルには、データ転送要件として、各データソース10の許容遅延時間、データ発生頻度、データ発生量が、アプリケーションに紐づけて格納されている。許容遅延時間は、データが発生してから前記サーバに到達するまでの許容遅延時間である。データ発生量は、センサ50において一度に発生するデータ量である。
【0023】
図6に、送信制御コントローラ20の構成例を示す。送信制御コントローラ20は、要件受信機能21、送信ポリシー決定機能22、送信ポリシー配信機能23、送信ポリシー決定ルール24を備える。
【0024】
図7に、送信制御コントローラ20における動作の一例を示す。
各データソース10が、要件テーブル18の情報に基づいて、送信制御コントローラ20に、データ転送要件を通知する。データ転送要件には、図5に示すような、各データソース10の許容遅延時間及びデータ発生頻度が含まれる。
送信制御コントローラ20の要件受信機能21は、データソース10からのデータ転送要件を受信する。送信ポリシー決定機能22は、送信ポリシー決定ルール24に従い、データ転送要件に応じてデータソース10ごとに送信ポリシーを決定する。
送信制御コントローラ20の送信ポリシー配信機能23は、決定した送信ポリシーを、各データソース10に配信する。
【0025】
送信ポリシー決定ルール24は、データ転送要件に応じた送信ポリシーをデータソース10ごとかつアプリケーションごとに定める。例えば、以下が例示できる。
(i)許容遅延時間が設定時間以下でありかつデータ発生頻度が設定値以下の場合、前述の第1の送信ポリシーに決定する。
(ii)許容遅延時間が設定時間超でありかつデータ発生頻度が設定値以下の場合、前述の第2の送信ポリシーに決定する。
(iii)許容遅延時間が設定時間以下でありかつデータ発生頻度が設定値超の場合、前述の第3の送信ポリシーに決定する。
【0026】
図8に、送信ポリシー決定機能22における動作の一例を示す。
送信制御コントローラ20は、データソース10からデータ転送要件を取得すると(S11)、許容遅延時間の要件を判定する(S12)。許容遅延時間の要件が20ms以下である場合(S12においてYes)、データ発生後即座にパスを生成し、送信する方式に決定する(S13)。一方、許容遅延時間の要件が20ms超である場合(S12においてNo)、センシングデータを一定量溜めて送信する方式に決定する(S14)。
次に、送信制御コントローラ20は、データ発生頻度を判定する(S15)。データ発生頻度が30回/s以下である場合(S15においてYes)、データ送信後即座にパス解放する方式に決定する(S16)。一方、データ発生頻度が30回/s超である場合(S15においてNo)、データ送信完了後一定時間待機してパス解放する方式に決定する(S17)。
【0027】
例えばアプリケーションA、B及びCの許容遅延時間の設定時間が20msであり、データ発生頻度の設定値が20回の場合、送信制御コントローラ20は、データソース10Aの送信ポリシーを第2の送信ポリシーに決定し、データソース10Bの送信ポリシーを第1の送信ポリシーに決定し、データソース10Cの送信ポリシーを第3の送信ポリシーに決定する。
【0028】
ここで、データ転送要件は、アプリケーションの情報が含まれていてもよい。この場合、送信制御コントローラ20は、ステップS12及びS15において、アプリケーションの情報に含まれる要件を考慮してしきい値を設定する。
【0029】
データソース10は、送信制御コントローラ20から送信ポリシーを受信すると、送信ポリシーテーブル19に格納する。これにより、図9に示すように、各データソース10の送信ポリシーテーブル19に、各データソース10に適した送信ポリシーが格納される。
【0030】
図10に、パス管理コントローラ30の構成例を示す。パス管理コントローラ30は、パス設定要求受信機能31、パス設定機能32、パス設定箇所テーブル33を備える。
【0031】
パス設定要求受信機能31は、通信パスの生成要求又は解放要求を、各データソース10から受信する。
パス設定機能32は、各データソース10からの通信パスの生成要求又は解放要求に従い、通信パスの生成又は解放を行う。
パス設定箇所テーブル33は、各データソース10からサーバ40までの通信パスの設定情報(生成/解放)を管理する。
【0032】
図11に、パス設定箇所テーブル33の一例を示す。パス設定箇所テーブル33は、各データソース10からのセンシングデータを転送するネットワーク機器81の情報を格納する。例えば、データソース10Aの場合、ネットワーク機器81の情報は、データソース10Aとサーバ40を接続するネットワーク機器81A及び81Bの識別情報、ネットワーク機器81A及び81Bにおける通信パスの設定情報(生成/解放)を含む。
【0033】
図12に、パス管理コントローラ30における動作の一例を示す。図12では、センシングデータの発生後、即座にパスを生成し、送信する方式を示す。
データソース10Bは、センシングデータが発生すると、通信パスの生成要求をパス管理コントローラ30に送信する(S201)。
パス管理コントローラ30は、通信パスの生成要求を受信すると、ネットワーク機器81A及び81Cの通信パスを設定し、通信パスを生成する(S202)。パス管理コントローラ30は、通信パスの生成が完了すると、通信パス生成完了通知をデータソース10Bに送信する(S203)。
データソース10Bは、通信パス生成完了通知を受信すると、サーバ40へセンシングデータを送信する(S204)。データソース10Bは、サーバ40へのセンシングデータの送信が完了すると、通信パスの解放要求をパス管理コントローラ30に送信する(S205)。
パス管理コントローラ30は、通信パスの解放要求を受信すると、ネットワーク機器81A及び81Cの通信パスを解放し、通信パスの解放が完了した旨の通信パス解放完了通知をデータソース10Bに送信する(S206)。
【0034】
図13に、パス管理コントローラ30における動作の一例を示す。図13では、センシングデータを一定量溜めて送信する方式を示す。
この方式では、データソース10Aは、センサ50で発生したセンシングデータを蓄積し、一定量に達すると、通信パスの生成要求をパス管理コントローラ30に送信する(S301)。
そして、データソース10Aは、通信パス生成完了通知を受信すると(S303)、蓄積したセンシングデータをまとめてサーバ40へ送信する(S304-1、S304-2、S304-3)。
【0035】
図14に、パス管理コントローラ30における動作の一例を示す。図14では、送信後一定時間パス保有方式を示す。
この方式では、データソース10Cは、通信パス生成完了通知を受信すると(S303)、サーバ40へセンシングデータを送信し(S404-1、S404-2)、その後の一定時間、通信パスの解放要求の送信を待機する。その間にセンシングデータが発生した場合、その都度センシングデータを送信する(S404-3、S404-4)。
データソース10Cは、通信パス生成完了通知を受信してからの一定時間が経過すると、通信パスの解放要求をパス管理コントローラ30に送信する(S405)。
【0036】
図12から図14に示すように、本実施形態は、通信パスを必要なタイミングで時分割に割り当てることで、ネットワークリソースの枯渇を防ぎ、大量のデータソースとのRDMA通信を実現する。センシングデータを送信したいデータソース10に必要な期間だけ通信パスを割り当てるため、パスの利用率を向上できるとともに、ネットワークリソースを削減できる。
【0037】
(本開示の効果)
以上説明したように、本開示は、送信ポリシーをデータソース10ごとに決定し、送信ポリシーに従って各データソース10の通信パスを生成するため、通信パスを必要なタイミングで時分割に割り当てることができる。このため、本開示は、データ送信の即時性と通信パス利用時間短縮のトレードオフに対し、各データソース10からサーバ40への通信パス利用時間を短縮し、通信パスの使いまわしを容易にし、通信ネットワーク81の全体としての通信パス必要数を削減するよう、制御することができる。
【0038】
したがって、本開示は、ロスレスかつ広帯域な通信ネットワーク81を通信パスで実現し、大量のネットワークリソースを要せず、多数のデータソースとのRDMA通信を可能にすることができる。さらに、本開示は、通信ネットワーク81でのデータのロスを防ぐことができるため、確実なRDMAを用いたデータ転送を実現することができる。
【0039】
なお、本実施形態では、サーバ40の収集するデータがセンシングデータである例を示したが、ユーザ端末やセンサ、車載システムなど、本開示は収集の要求される任意のデータに適用可能である。
【0040】
また、上述の実施形態ではデータソース10とサーバ40との間でロスレスかつ広帯域の通信パスを設定する例を示したが、本開示はこれに限定されない。すなわち、パス管理コントローラ30は、品質が保証されていないデータの転送経路を通信パスとして設定してもよい。
【産業上の利用可能性】
【0041】
本開示は情報通信産業に適用することができる。
【符号の説明】
【0042】
10、10A、10B、10C:データソース
20:送信制御コントローラ
30:パス管理コントローラ
40:サーバ
50:センサ
11:要件通知機能
12:送信ポリシー受信機能
13:データ送信タイミング制御機能
14:通信パス設定機能
15:データ送信機能
16:通信パス解放機能
17:発生データ格納機能
18:要件テーブル
19:送信ポリシーテーブル
21:要件受信機能
22:送信ポリシー決定機能
23:送信ポリシー配信機能
24:送信ポリシー決定ルール
31:パス設定要求受信機能
32:パス設定機能
33:パス設定箇所テーブル
41:データ受信機能
42:メモリ
43:アプリケーション
81A、81B、81C、81D、81E:ネットワーク機器、
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14