(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-05
(45)【発行日】2024-11-13
(54)【発明の名称】硬化性樹脂組成物、塗料及び物品
(51)【国際特許分類】
C08L 33/04 20060101AFI20241106BHJP
C08L 67/00 20060101ALI20241106BHJP
C08G 18/40 20060101ALI20241106BHJP
C08G 63/12 20060101ALI20241106BHJP
C09D 175/06 20060101ALI20241106BHJP
C09D 175/04 20060101ALI20241106BHJP
C09D 167/00 20060101ALI20241106BHJP
C09D 133/14 20060101ALI20241106BHJP
【FI】
C08L33/04
C08L67/00
C08G18/40 063
C08G63/12
C09D175/06
C09D175/04
C09D167/00
C09D133/14
(21)【出願番号】P 2024540765
(86)(22)【出願日】2024-03-14
(86)【国際出願番号】 JP2024009909
【審査請求日】2024-07-04
(31)【優先権主張番号】P 2023051339
(32)【優先日】2023-03-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000002886
【氏名又は名称】DIC株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100149445
【氏名又は名称】大野 孝幸
(74)【代理人】
【識別番号】100163290
【氏名又は名称】岩本 明洋
(74)【代理人】
【識別番号】100186646
【氏名又は名称】丹羽 雅裕
(72)【発明者】
【氏名】姫野 美桜
(72)【発明者】
【氏名】杉山 将志
(72)【発明者】
【氏名】村上 晃一
(72)【発明者】
【氏名】清家 奈緒之
【審査官】▲高▼村 憲司
(56)【参考文献】
【文献】特開昭49-055788(JP,A)
【文献】特開2022-079443(JP,A)
【文献】国際公開第2018/084062(WO,A1)
【文献】特開平10-338719(JP,A)
【文献】特開2004-149593(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08G 63/00 - 64/42
C08K 3/00 - 13/08
C08L 1/00 -101/14
C09D 1/00 - 10/00
C09D101/00 -201/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
多価カルボン酸(a1)及び多価アルコール(a2)の反応物であるポリエステルポリオール(A)とアクリルポリオール(B)とを含有する硬化性樹脂組成物であって、
前記ポリエステルポリオール(A)と前記アクリルポリオール(B)との質量比(A/B)が、10/90~70/30であり、前記多価カルボン酸(a1)が、炭素原子数4~10の直鎖アルキル基を有する脂肪族ジカルボン酸(a1-1)を20mol%以上含有するものであり、前記多価アルコール(a2)が、エチレングリコール、ジエチレングリコール、1,2-プロパンジオール、及び1,3-プロパンジオールからなる群より選ばれる1種以上のジオール(a2-1)を20~80mol%含有し、3官能以上のアルコール(a2-2)を5~20mol%含有するものであり、前記ポリエステルポリオール(A)のエステル基濃度が6~11mmol/gであることを特徴とする硬化性樹脂組成物。
【請求項2】
固形分水酸基価が30~150mgKOH/gである請求項1記載の硬化性樹脂組成物。
【請求項3】
請求項1
又は2に記載の硬化性樹脂組成物、及びポリイソシアネート化合物(C)を含有する塗料。
【請求項4】
請求項
3記載の塗料の硬化塗膜を有することを特徴とする物品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、硬化性樹脂組成物、塗料、及び物品に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、アクリル樹脂組成物は、耐薬品性、耐候性、柔軟性、接着性などに優れることから塗料、インキ、接着剤、合成皮革などの用途に使用されている。特に塗料用途においては、自動車、家庭電化製品、建材などの分野で使用されている。本分野においてはプラスチック基材への付着性、実際に使用する場面を想定した耐薬品性(耐日焼け止め性、耐アルコール性)に加え、外観(肉持ち感)に優れる塗膜が求められている。
【0003】
塗膜の肉持ち感のよい塗料組成物としては、主剤として、酸化重合可能な不飽和脂肪酸及び酸化重合性基を有するアルキッド樹脂の少なくとも一方と、アクリル共重合体と、水酸基及びアルコキシシリル基の少なくとも一方を有するシリコーンと、の共重合体を含む二液混合型塗料組成物が提案されている(例えば、特許文献1参照)。しかしながら、この不飽和脂肪酸やアルキッド樹脂を使用した系では耐日焼け止め性等の耐薬品性が劣る問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明が解決しようとする課題は、外観(肉持ち感)、付着性、耐水性、及び耐薬品性に優れる硬化塗膜が得られる硬化性樹脂組成物、塗料、該塗料の硬化塗膜を有する物品を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者等は、上記課題を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、特定のポリエステルポリオールとアクリルポリオールとを含有する硬化性樹脂組成物から、外観(肉持ち感)、付着性、耐水性、及び耐薬品性に優れる硬化塗膜が得られることを見出し、本発明を完成した。
【0007】
すなわち、本発明は、多価カルボン酸(a1)及び多価アルコール(a2)の反応物であるポリエステルポリオール(A)とアクリルポリオール(B)とを含有する樹脂組成物であって、前記多価カルボン酸(a1)が、炭素原子数4~10の直鎖アルキル基を有する脂肪族ジカルボン酸(a1-1)を20mol%以上含有するものであり、前記多価アルコール(a2)が、エチレングリコール、ジエチレングリコール、1,2-プロパンジオール、及び1,3-プロパンジオールからなる群より選ばれる1種以上のジオール(a2-1)を20mol%以上含有し、3官能以上のアルコール(a2-2)を5~20mol%含有するものであり、前記ポリエステルポリオール(A)のエステル基濃度が6~11mmol/gであることを特徴とする硬化性樹脂組成物に関する。
【発明の効果】
【0008】
本発明の硬化性樹脂組成物は、外観(肉持ち感)、付着性、耐水性、及び耐薬品性に優れる硬化塗膜を得られることから、自動車外装用、自動車補修用、プラスチック用、産業機械用、建材用、木床用等の各種塗料に好適に用いることができる。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明の硬化性樹脂組成物は、多価カルボン酸(a1)及び多価アルコール(a2)の反応物であるポリエステルポリオール(A)とアクリルポリオール(B)とを含有する樹脂組成物であって、前記多価カルボン酸(a1)が、炭素原子数4~10の直鎖アルキル基を有する脂肪族ジカルボン酸(a1-1)を20mol%以上含有するものであり、前記多価アルコール(a2)が、エチレングリコール、ジエチレングリコール、1,2-プロパンジオール、及び1,3-プロパンジオールからなる群より選ばれる1種以上のジオール(a2-1)を20mol%以上含有し、3官能以上のアルコール(a2-2)を5~20mol%含有するものであり、前記ポリエステルポリオール(A)のエステル基濃度が6~11mmol/gであるものである。
【0010】
前記ポリエステルポリオール(A)は、多価カルボン酸(a1)及び多価アルコール(a2)の反応物であるが、公知の縮合反応により得られる。
【0011】
前記多価カルボン酸(a1)は、肉持ち感に優れる塗膜が得られることから、炭素原子数4~10の直鎖アルキル基を有する脂肪族ジカルボン酸(a1-1)を20mol%以上含有することが重要である。
【0012】
前記炭素原子数4~10の直鎖アルキル基を有する脂肪族ジカルボン酸(a1-1)としては、例えば、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、マレイン酸、フマル酸等やこれらの脂肪族ジカルボン酸のメチルエステル、酸塩化物などが挙げられるが、コハク酸、セバシン酸がより好ましい。なお、これらの脂肪族ジカルボン酸(a1-1)は、単独で用いることも2種以上を併用することもできる。
【0013】
なお、本発明において、ジカルボン酸とは、ジカルボン酸の無水物を含むものとする。
【0014】
前記多価カルボン酸(a1)としては、前記ジカルボン酸(a1-1)以外のその他の多価カルボン酸(a1-2)を併用することができる。
【0015】
前記その他の多価カルボン酸(a1-2)としては、前記ジカルボン酸(a1-1)以外の脂肪族ジカルボン酸、脂環式ジカルボン酸、芳香族ジカルボン酸等が挙げられる。なお、これらの多価カルボン酸(a1-2)は、単独で用いることも2種以上を併用することもできる。
【0016】
前記ジカルボン酸(a1-1)以外の脂肪族ジカルボン酸としては、例えば、デカンジカルボン酸、ダイマー酸等が挙げられる。
【0017】
前記脂環式ジカルボン酸としては、例えば、1,3-シクロペンタンジカルボン酸、1,4-シクロヘキサンジカルボン酸等が挙げられる。
【0018】
前記芳香族ジカルボン酸としては、例えば、テレフタル酸、イソフタル酸、オルソフタル酸、ナフタレンジカルボン酸、ビフェニルジカルボン酸、1,2-ビス(フェノキシ)エタン-p,p’-ジカルボン酸、p-ヒドロキシ安息香酸、p-(2-ヒドロキシエトキシ)安息香酸、トリメリット酸、ピロメリット酸等が挙げられる。
【0019】
前記多価カルボン酸(a1)中の炭素原子数4~10の直鎖アルキル基を有する脂肪族ジカルボン酸(a1-1)は、得られる塗膜の肉持ち感がより向上することから、30~90mol%が好ましい。
【0020】
前記多価アルコール(a2)は、肉持ち感に優れる塗膜が得られることから、エチレングリコール、ジエチレングリコール、1,2-プロパンジオール、及び1,3-プロパンジオールからなる群より選ばれる1種以上のジオール(a2-1)を20mol%以上含有することが重要である。
【0021】
また、前記多価アルコール(a2)は、耐薬品性に優れる塗膜が得られることから、3官能以上のアルコール(a2-2)を5~20mol%含有することが重要である。
【0022】
前記3官能以上のアルコール(a2-2)としては、例えば、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、グリセリン、ヘキサントリオール、ペンタエリスリトール等の脂肪族ポリオール化合物;トリヒドロキシベンゼン等の芳香族ポリオール化合物;前記脂肪族ポリオール化合物又は芳香族ポリオール化合物と、エチレンオキシド、プロピレンオキシド、テトラヒドロフラン、エチルグリシジルエーテル、プロピルグリシジルエーテル、ブチルグリシジルエーテル、フェニルグリシジルエーテル、アリルグリシジルエーテル等の環状エーテル化合物との開環重合によって得られるポリエーテル変性ポリオール化合物などが挙げられるが、なお、これらの3官能以上のアルコール(a2-2)は、単独で用いることも2種以上を併用することもできる。
【0023】
前記多価アルコール(a2)としては、前記ジオール(a2-1)、前記3官能以上のアルコール(a2-2)以外のその他の多価アルコール(a2-3)を併用することができる。
【0024】
前記その他の多価アルコール(a2-3)としては、例えば、1,4-ブタンジオール、1,5-ペンタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、1,7-ヘプタンジオール、1,8-オクタンジオール、1,9-ノナンジオール、1,10-デカンジオール、1,11-ウンデカンジオール、1,12-ドデカンジオール、2-メチル-1,3-プロパンジオール、ネオペンチルグリコール、2-エチル-1,3-プロパンジオール、2-メチル-1,4-ブタンジオール、2-エチル-2-メチル-1,3-プロパンジオール、2-エチルブタン-1,4-ブタンジオール、2,3-ジメチル-1,4-ブタンジオール、3-メチル-1,5-ペンタンジオール、2,4-ジメチル-1,5-ペンタンジオール、3,3-ジメチルペンタン-1,5-ジオール、2,2-ジエチル-1,3-プロパンジオール、3-プロピルペンタン-1,5-ジオール、2,2-ジエチル-1,4-ブタンジオール、2,4-ジエチル-1,5-ペンタンジオール、2,2-ジプロピル-1,3-プロパンジオール、2-エチル-2-ブチル-1,3-プロパンジオール、2,5-ジエチル-1,6-ヘキサンジオール等の脂肪族ジオール;シクロヘキサンジオールやシクロヘキサンジアルコール等の脂環構造含有ジオール化合物;ビフェノールやビスフェノール等の芳香環含有ジオール化合物;ポリエーテルジオール;ポリカーボネートジオール等が挙げられる。なお、これらのその他の多価アルコール(a2-3)は、単独で用いることも2種以上を併用することもできる。
【0025】
前記ポリエステルポリオール(A)のエステル基濃度は、得られる塗膜の耐薬品性及びアクリルポリオール(B)との相溶性のバランスから、6~11mmol/gであることが重要である。
【0026】
前記エステル基濃度(mmol/g)とは、ポリエステルポリオール(A)1g中のエステル基のミリモル数のことであり、例えば、仕込み量からの計算値で求められる。
【0027】
前記ポリエステルポリオール(A)の水酸基価は、得られる塗膜の耐薬品性及びアクリルポリオール(B)との相溶性のバランスがより向上することから、50~250mgKOH/gが好ましい。
【0028】
また、前記ポリエステルポリオール(A)の数平均分子量は、得られる塗膜の耐薬品性及びアクリルポリオール(B)との相溶性のバランスがより向上することから、800~5,000が好ましい。
【0029】
本発明における水酸基価及び酸価は、JIS試験方法K 0070-1992に準拠して測定したものであり、平均分子量は、ゲル浸透クロマトグラフィー(以下、「GPC」と略記する。)測定に基づきポリスチレン換算した値である。
【0030】
前記アクリルポリオール(B)は、例えば、水酸基を有する不飽和単量体(b1)及びその他の不飽和単量体(b2)を共重合することにより得られる。
【0031】
前記水酸基を有する不飽和単量体(b1)としては、例えば、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、3-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4-ヒドロキシ-n-ブチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシ-n-ブチル(メタ)アクリレート、3-ヒドロキシ-n-ブチル(メタ)アクリレート、1,4-シクロヘキサンジメタノールモノ(メタ)アクリレート、グリセリンモノ(メタ)アクリレート、ポリオキシエチレンモノ(メタ)アクリレート、ポリオキシプロピレンモノ(メタ)アクリレート、ポリオキシブチレンモノ(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシ-3-フェノキシプロピル(メタ)アクリレート、2-(メタ)アクリロイルオキシエチル-2-ヒドロキシエチルフタレート、ポリカプロラクトン変性ヒドロキシエチルモノ(メタ)アクリレートなどが挙げられる。なお、これらの水酸基を有する不飽和単量体(b1)は、単独で用いることも2種以上併用することもできる。
【0032】
前記その他の不飽和単量体(b2)としては、例えば、(メタ)アクリル酸、クロトン酸、β-カルボキシエチル(メタ)アクリレート、ω-カルボキシ-ポリカプロラクトンモノ(メタ)アクリレート、2-(メタ)アクリロイルオキシエチルサクシネート、2-(メタ)アクリロイルオキシエチルヘキサヒドロフタル酸等の不飽和モノカルボン酸;マレイン酸、フマル酸、イタコン酸等の不飽和ジカルボン酸又はこれら不飽和ジカルボン酸のハーフエステルなどのカルボキシル基を有する不飽和単量体;メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n-プロピル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、n-ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、t-ブチル(メタ)アクリレート、n-ペンチル(メタ)アクリレート、n-ヘキシル(メタ)アクリレート、n-ヘプチル(メタ)アクリレート、n-オクチル(メタ)アクリレート、2-エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ノニル(メタ)アクリレート、デシル(メタ)アクリレート、ドデシル(メタ)アクリレート、トリデシル(メタ)アクリレート、セチル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、ベヘニル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、4-tert-ブチルシクロヘキシル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート等の炭化水素基を有する(メタ)アクリレート;アクリルアミド、N,N-ジメチル(メタ)アクリルアミド、(メタ)アクリロニトリル、3-(メタ)アクリロイルプロピルトリメトキシシラン、N,N-ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート、2-(メタ)アクリロイルオキシエチルアシッドホスフェート、スチレン、α-メチルスチレン、p-メチルスチレン、p-メトキシスチレン等が挙げられる。なお、これらのその他不飽和単量体(b2)は、単独で用いることも2種以上併用することもできる。
【0033】
前記アクリルポリオール(B)の不飽和単量体原料中の前記水酸基を有する不飽和単量体(b1)は、耐薬品性と付着性とのバランスがより向上することから、0.5~40質量%が好ましく、1.5~35質量%がより好ましい。
【0034】
前記アクリルポリオール(B)の不飽和単量体原料中のカルボキシル基を有する不飽和単量体は、耐薬品性がより向上することから、0.1~15質量%が好ましい。
【0035】
なお、本発明において、「(メタ)アクリル酸」とは、メタクリル酸とアクリル酸の一方又は両方をいい、「(メタ)アクリレート」とは、メタクリレートとアクリレートの一方又は両方をいい、「(メタ)アクリロイル」とは、メタクリロイルとアクリロイルの一方又は両方をいう。
【0036】
前記アクリルポリオール(B)の製造方法としては、前記水酸基を有する単量体(b1)、前記その他の単量体(b2)を原料として、公知の重合方法で行うことができるが、溶液ラジカル重合法が簡便であることから好ましい。
【0037】
前記溶液ラジカル重合法による前記アクリルポリオール(B)の製造方法としては、溶剤及び/又は前記ポリエステルポリオール(A)中に、原料である各単量体を溶解し、重合開始剤存在下で重合反応を行う方法が挙げられるが、相溶性向上の観点から、前記ポリエステルポリオール(A)の存在下、重合反応を行うことが好ましい。
【0038】
前記溶剤としては、例えば、トルエン、キシレン、シクロヘキサン、n-ヘキサン、オクタン等の炭化水素溶剤;メタノール、エタノール、iso-プロパノール、n-ブタノール、iso-ブタノール、sec-ブタノール、エチレングリコールモノメチルエーテル等のアルコール溶剤;酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸n-ブチル、酢酸イソブチル、酢酸アミル等のエステル溶剤;アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン溶剤などが挙げられる。これらの溶剤は、単独で用いることも2種以上併用することもできる。
【0039】
前記重合開始剤としては、例えば、2,2’-アゾビス(イソブチロニトリル)、2,2’-アゾビス(2-メチルブチロニトリル)、アゾビスシアノ吉草酸等のアゾ化合物;tert-ブチルパーオキシピバレート、tert-ブチルパーオキシベンゾエート、tert-ブチルパーオキシ-2-エチルヘキサノエート、ジ-tert-ブチルパーオキサイド、クメンハイドロパーオキサイド、ベンゾイルパーオキサイド、tert-ブチルハイドロパーオキサイド等の有機過酸化物;過酸化水素、過硫酸アンモニウム、過硫酸カリウム、過硫酸ナトリウム等の無機過酸化物などが挙げられる。これらの重合体開始剤は、単独で用いることも2種以上併用することもできる。また、前記重合開始剤は、前記アクリルポリオール(A)の原料となる単量体の合計に対して、0.1~10質量%の範囲内で使用することが好ましい。
【0040】
また、前記重合開始剤とともに、必要に応じて、ラウリルメルカプタン、オクチルメルカプタン、2-メルカプトエタノール、チオグリコール酸オクチル、3-メルカプトプロピオン酸、α-メチルスチレン・ダイマー等の連鎖移動剤も用いることができる。
【0041】
前記ポリエステルポリオール(A)及び前記アクリルポリオール(B)の混合物の重量平均分子量(Mw)は、8,000~150,000が好ましい。
【0042】
本発明の硬化性樹脂組成物は、前記ポリエステルポリオール(A)と前記アクリルポリオール(B)とを含有するものであるが、前記ポリエステルポリオール(A)と前記アクリルポリオール(B)との質量比(A/B)は、肉持ち感と薬品性のバランスが向上することから、10/90~70/30が好ましく、15/85~60/40がより好ましい。
【0043】
また、本発明の硬化性樹脂組成物の固形分水酸基価は、耐薬品性と付着性とのバランスがより向上することから、30~150mgKOH/gが好ましい。
【0044】
本発明の硬化性樹脂組成物の固形分酸価は、耐薬品性と付着性及び耐水性とのバランスがより向上することから、0.5~20mgKOH/gが好ましい。
【0045】
前記ポリエステルポリオール(A)と前記アクリルポリオール(B)とを混合する方法は、特に限定されないが、相溶性向上の観点から前記ポリエステルポリオール(A)の存在下、前記アクリルポリオール(B)を合成する方法が好ましい。
【0046】
本発明の塗料は、本発明の硬化性樹脂組成物を含有するものであるが、その他の配合物として、無機顔料、有機顔料、体質顔料、着色顔料、高輝顔料、セルロース誘導体、ワックス、界面活性剤、安定剤、流動調整剤、染料、レベリング剤、レオロジーコントロール剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、可塑剤、帯電防止剤、消泡剤、粘度調整剤、耐光安定剤、耐候安定剤、耐熱安定剤、顔料分散剤、硬化剤等を使用することができる。
【0047】
前記硬化剤として、ポリイソシアネート化合物(C)を使用することで、塗膜物性をより向上することができる。前記ポリイソシアネート化合物(C)としては、例えば、トリレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、m-キシリレンジイソシアネート、m-フェニレンビス(ジメチルメチレン)ジイソシアネート等の芳香族ジイソシアネート化合物;ペンタメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、リジンジイソシアネート、1,3-ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサン、2-メチル-1,3-ジイソシアナトシクロヘキサン、2-メチル-1,5-ジイソシアナトシクロヘキサン、4,4’-ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート等の脂肪族又は脂環式ジイソシアネート化合物などが挙げられる。
【0048】
また、前記ポリイソシアネート化合物として、上記のジイソシアネート化合物を多価アルコールと付加反応させて得られるイソシアネート基を有するプレポリマー;上記のジイソシアネート化合物を環化三量化させて得られるイソシアヌレート環を有する化合物;上記のジイソシアネート化合物を水と反応させて得られる尿素結合やビュレット結合を有するポリイソシアネート化合物;2-イソシアナトエチル(メタ)アクリレート、3-イソプロペニル-α,α-ジメチルベンジルイソシアネート、(メタ)アクリロイルイソシアネート等のイソシアネート基を有するアクリル単量体の単独重合体;前記イソシアネート基を有するアクリル単量体と、その他のアクリル単量体、ビニルエステル化合物、ビニルエーテル化合物、芳香族ビニル単量体、フルオロオレフィン等の単量体と共重合することによって得られるイソシアネート基を有する共重合体なども用いることができる。
【0049】
上記のポリイソシアネート化合物(C)は、単独で用いることも2種以上併用することもできる。
【0050】
前記ポリイソシアネート化合物(C)の使用量としては、前記ポリイソシアネート化合物(C)の有するイソシアネート基(NCO)と前記硬化性樹脂組成物の有する水酸基(OH)との当量比(NCO/OH)が、0.2~2である範囲が好ましく、0.5~1.5である範囲がより好ましい。
【0051】
本発明の硬化性樹脂組成物及び塗料に使用される上記した各原料は、バイオマス原料を使用することもできる。
【0052】
本発明の塗料の塗装方法としては、塗装する物品により異なるが、例えば、グラビアコーター、ロールコーター、コンマコーター、ナイフコーター、エアナイフコーター、カーテンコーター、キスコーター、シャワーコーター、ホイーラーコーター、スピンコーター、ディッピング、スクリーン印刷、スプレー、アプリケーター、バーコーター、刷毛等の方法が挙げられる。
【0053】
さらに、本発明の塗料は、上記の塗装方法に適した粘度に調整するため、有機溶剤で希釈することができる。この有機溶剤としては、例えば、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素溶剤;メタノール、エタノール、イソプロパノール、t-ブタノール、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールノルマルプロピルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ダイアセトンアルコール等のアルコール溶剤;酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸イソブチル、酢酸ノルマルプロピル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、3-エトキシプロピオン酸エチル等のエステル溶剤;メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、ジイソブチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン溶剤などが挙げられる。これらの溶剤は、単独で用いることも、2種以上を併用することもできる。
【0054】
本発明の塗料は、各種物品の表面に、外観及び各種塗膜物性に優れる硬化塗膜を付与することができる。
【0055】
本発明の塗料は、被塗装物となる物品に、直接塗装してもよいし、被塗装物に適合したプライマー塗材を塗装してから、本発明の塗料組成物を塗装してもよい。
【0056】
被塗装物となる物品の材質としては、鉄、銅、亜鉛、アルミニウム、マグネシウム等の各種金属及びこれらの合金;ポリカーボネート、アクリロニトリル-ブタジエン-スチレン共重合体、PC-ABSのポリマーアロイ、ポリメチルメタクリレート、ポリエチレンテレフタレート、ポリアミド、ポリプロピレン等の各種プラスチック及びこれらのプラスチックにガラス繊維等のフィラーを入れた繊維強化プラスチック;木材などが挙げられる。
【0057】
本発明の塗料を用いて形成された硬化塗膜を有する物品としては、例えば、自動車、鉄道車輌等の各種車輌の内外装材;産業機械、外壁、屋根、ガラス、化粧板、木床等の建築物の内外装材;防音壁、排水溝等の土木部材;テレビ、冷蔵庫、洗濯機、エアコン等の家電製品の筐体;パソコン、スマートフォン、携帯電話、デジタルカメラ、ゲーム機等の電子機器の筐体;プリンター、ファクシミリ等のOA機器の筐体などが挙げられる。
【実施例】
【0058】
以下に本発明を具体的な実施例を挙げてより詳細に説明する。なお、水酸基価及び酸価は、JIS試験方法K 0070-1992に準拠して測定したものである。平均分子量(Mw)は、下記のGPC測定条件で測定したものである。
【0059】
[GPC測定条件]
測定装置:高速GPC装置(東ソー株式会社製「HLC-8220GPC」)
カラム:東ソー株式会社製の下記のカラムを直列に接続して使用した。
「TSKgel G5000」(7.8mmI.D.×30cm)×1本
「TSKgel G4000」(7.8mmI.D.×30cm)×1本
「TSKgel G3000」(7.8mmI.D.×30cm)×1本
「TSKgel G2000」(7.8mmI.D.×30cm)×1本
検出器:RI(示差屈折計)
カラム温度:40℃
溶離液:テトラヒドロフラン(THF)
流速:1.0mL/分
注入量:100μL(試料濃度4mg/mLのテトラヒドロフラン溶液)
標準試料:下記の単分散ポリスチレンを用いて検量線を作成した。
【0060】
(単分散ポリスチレン)
東ソー株式会社製「TSKgel 標準ポリスチレン A-500」
東ソー株式会社製「TSKgel 標準ポリスチレン A-1000」
東ソー株式会社製「TSKgel 標準ポリスチレン A-2500」
東ソー株式会社製「TSKgel 標準ポリスチレン A-5000」
東ソー株式会社製「TSKgel 標準ポリスチレン F-1」
東ソー株式会社製「TSKgel 標準ポリスチレン F-2」
東ソー株式会社製「TSKgel 標準ポリスチレン F-4」
東ソー株式会社製「TSKgel 標準ポリスチレン F-10」
東ソー株式会社製「TSKgel 標準ポリスチレン F-20」
東ソー株式会社製「TSKgel 標準ポリスチレン F-40」
東ソー株式会社製「TSKgel 標準ポリスチレン F-80」
東ソー株式会社製「TSKgel 標準ポリスチレン F-128」
東ソー株式会社製「TSKgel 標準ポリスチレン F-288」
東ソー株式会社製「TSKgel 標準ポリスチレン F-550」
【0061】
(合成例1:ポリエステルポリオール(A-1)の製造)
撹拌機、コンデンサ、温度計を備えた反応容器にエチレングリコ―ル61質量部、ジエチレングリコール314質量部、トリメチロールプロパン92質量部、コハク酸379質量部、イソフタル酸154質量部を投入した。窒素気流下で撹拌しながら200~250℃で12時間エステル化反応を行って148.9質量部の縮合水を除去し、ポリエステルポリオール(A-1)を得た。このポリエステルポリオール(A-1)の数平均分子量(Mn)は1,416、水酸基価は115mgKOH/g、酸価は7.1mgKOH/gであった。
エステル基濃度[mmol/g]
=(カルボキシ基のモル数[mol])/(ポリエステルポリオールの質量[g]) ×1000
=8.273/851.1×1000[mmol/g]
=9.72[mmol/g]
【0062】
(合成例2~6:ポリエステルポリオール(A-2)~(A-6)の製造)
合成例1で使用した各原料を表1の通りに変更した以外は、合成例1と同様にして、ポリエステルポリオール(A-2)~(A-6)を得た。
【0063】
(合成例7~10:ポリエステルポリオール(RA-1)~(RA-4)の製造)
合成例1で使用した各原料を表2の通りに変更した以外は、合成例1と同様にして、ポリエステルポリオール(RA-1)~(RA-4)を得た。
【0064】
上記で得たポリエステルポリオール(A-1)~(A-6)の樹脂組成及び性状値を表1及び表2に示す。
【0065】
【0066】
【0067】
上記で得たポリエステルポリオール(RA-1)~(RA-4)の樹脂組成及び性状値を表3に示す。
【0068】
【0069】
(実施例1:硬化性樹脂組成物(1)の製造)
冷却菅、温度計、滴下漏斗、および攪拌機を備えたフラスコに、ポリエステルポリオール(A-1)を200質量部とn-酢酸ブチルを600質量部加え、内温を100℃まで上げた。次いで、メチルメタクリレート370.4質量部と、n-ブチルメタクリレート160.0質量部と、2-ヒドロキシエチルメタクリレート245.6質量部と、メタクリル酸24.0質量部と、n-酢酸ブチル160質量部と、t-ブチルパーオキシ-2-エチルヘキサノエート32質量部との混合物を3時間にわたって滴下した。その後、内温100℃を保持したまま15時間重合反応をさせた。次いで、n-酢酸ブチル250質量部を加え、目的とする硬化性樹脂組成物(1)を得た。得られた樹脂の重量平均分子量(Mw)は25,540、固形分水酸基価は128mgKOH/g、固形分酸価は17.1mgKOH/gであった。
【0070】
(実施例2~6:硬化性樹脂組成物(2)~(6)の製造)
実施例1で使用した各原料を表4の通りに変更した以外は、実施例1と同様にして、硬化性樹脂組成物(2)~(6)を得た。
【0071】
(比較例1~4:硬化性樹脂組成物(R1)~(R4)の製造)
実施例1で使用した各原料を表5の通りに変更した以外は、実施例1と同様にして、硬化性樹脂組成物(R1)~(R4)を得た。
【0072】
上記で得た硬化性樹脂組成物(1)~(6)の樹脂組成及び性状値を表4に示す。
【0073】
【0074】
上記で得た硬化性樹脂組成物(R1)~(R4)の樹脂組成及び性状値を表5に示す。
【0075】
【0076】
表中の略号は以下の通りである。
MMA:メチルメタクリレート
BMA:n-ブチルメタクリレート
HEMA:2-ヒロドキシエチルメチルメタクリレート
MAA:メタクリル酸
【0077】
[塗料の調製]
上記で得た硬化性樹脂組成物、及び硬化剤(住化コベストロウレタン株式会社製「スミジュール N-3300」、ポリイソシアネート化合物)を均一に混合した。なお、硬化性樹脂組成物と硬化剤との配合比率は、硬化性樹脂組成物中の水酸基の当量と硬化剤中のイソシアネート基の当量とが1:1となる量とした。次いで、粘度がアネスト岩田株式会社製「粘度カップNK-2」で9~10秒(23℃)になるように混合溶剤(酢酸ブチル/ダイアセトンアルコール/酢酸イソブチル/酢酸エチル=30/30/30/10(質量比))で希釈して塗料を調製した。
【0078】
[評価用硬化塗膜Xの作製]
上記で得た塗料を、ABS(アクリロニトリル-ブタジエン-スチレン共重合体)基材(50mm×70mm×1mm)に乾燥後の膜厚が15~25μmとなるようにスプレー塗装し、乾燥機にて80℃で30分間加熱乾燥した後、25℃で7日間乾燥して評価用硬化塗膜Xを作製した。
【0079】
[評価用硬化塗膜Yの作製]
上記で得た塗料を、PC(ポリカーボネート)基材(50mm×70mm×1mm)に乾燥後の膜厚が20~30μmとなるようにスプレー塗装し、乾燥機にて80℃で30分間加熱乾燥した後、25℃で7日間乾燥して評価用硬化塗膜Yを作製した。
【0080】
[付着性の評価]
上記で得た評価用硬化塗膜の上にカッターで1mm幅の切込みを入れ碁盤目の数を100個とした。次いで、全ての碁盤目を覆うようにセロハンテープを貼り付け、すばやく引き剥がす操作を4回行い、付着して残っている碁盤目の数から、下記の基準により付着性を評価した。
○:100個
△:70~99個
×:69個以下
【0081】
[耐水付着性の評価]
上記で得た評価用硬化塗膜を40℃の水に240時間浸漬した後、上記付着性評価と同様の操作を行い、下記の基準により耐水付着性を評価した。
○:100個
△:70~99個
×:69個以下
【0082】
[耐薬品性の評価]
上記で得た評価用硬化塗膜に薬品(ニュートロジーナ, ウルトラシアー・ドライタッチサンスクリーン、 SPF 55)を、20mg/cm2塗布した後、55℃の乾燥機で4時間乾燥させた。次いで、中性洗剤で塗膜表面を洗浄した後、室温で24時間放置し、下記の基準により耐薬品性を評価した。
◎:痕跡なし
○:やや痕跡あり
△:痕跡あり
×:基材の素地が露出
【0083】
[外観の評価]
上記で得た評価用硬化塗膜の肉持ち感を目視にて評価した。
◎:肉持ち感が非常に強い
〇:肉持ち感が強い
△:肉持ち感が弱い
×:肉持ち感がない
【0084】
上記で得た塗料(1)~(6)の評価結果を表6に示す。
【0085】
【0086】
上記で得た塗料(R1)~(R4)の評価結果を表7に示す。
【0087】
【0088】
実施例1~6の本発明の硬化性樹脂組成物から得られる硬化塗膜は、外観(肉持ち感)、付着性、耐水性、及び耐薬品性に優れることが確認された。
【0089】
一方、比較例1は、多価アルコール(a2)中の3官能以上のアルコール(a2-2)が、本願発明の下限より少ない例であるが、硬化塗膜の耐薬品性が不十分であることが確認された。
【0090】
比較例2は、ポリエステルポリオール(A)のエステル基濃度が、本願発明の上限より高い例であるが、アクリルポリオール(B)との相溶性が悪く、硬化塗膜の外観が不十分であることが確認された。
【0091】
比較例3は、多価アルコール(a2)中のジオール(a2-1)が、本願発明の下限より少ない例であるが、硬化塗膜の外観が不十分であることが確認された。
【0092】
比較例4は、多価カルボン酸(a1)中の脂肪族ジカルボン酸(a1-1)が、本願発明の下限より少ない例であるが、硬化塗膜の外観が不十分であることが確認された。
【要約】
多価カルボン酸(a1)及び多価アルコール(a2)の反応物であるポリエステルポリオール(A)とアクリルポリオール(B)とを含有する硬化性樹脂組成物であって、前記多価カルボン酸(a1)が、炭素原子数4~10の直鎖アルキル基を有する脂肪族ジカルボン酸(a1-1)を含有するものであり、前記多価アルコール(a2)が、エチレングリコール、ジエチレングリコール、1,2-プロパンジオール、及び1,3-プロパンジオールからなる群より選ばれる1種以上のジオール(a2-1)を含有し、3官能以上のアルコール(a2-2)を含有するものであり、前記ポリエステルポリオール(A)のエステル基濃度が6~11mmol/gであることを特徴とする硬化性樹脂組成物を提供する。この硬化性樹脂組成物は、外観(肉持ち感)、付着性、耐水性、及び耐薬品性に優れる硬化塗膜を得られることから、各種塗料に好適に用いることができる。