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特許7582573ポリイミド樹脂およびこれを含むネガティブ型感光性樹脂組成物
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  • 特許-ポリイミド樹脂およびこれを含むネガティブ型感光性樹脂組成物 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-05
(45)【発行日】2024-11-13
(54)【発明の名称】ポリイミド樹脂およびこれを含むネガティブ型感光性樹脂組成物
(51)【国際特許分類】
   C08G 73/10 20060101AFI20241106BHJP
   C08F 290/14 20060101ALI20241106BHJP
   G03F 7/027 20060101ALI20241106BHJP
【FI】
C08G73/10
C08F290/14
G03F7/027 502
G03F7/027 514
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2020511360
(86)(22)【出願日】2019-07-19
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2020-11-05
(86)【国際出願番号】 KR2019008941
(87)【国際公開番号】W WO2020017920
(87)【国際公開日】2020-01-23
【審査請求日】2020-02-25
【審判番号】
【審判請求日】2022-03-01
(31)【優先権主張番号】10-2018-0085003
(32)【優先日】2018-07-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】500239823
【氏名又は名称】エルジー・ケム・リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000877
【氏名又は名称】弁理士法人RYUKA国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】パク、ユー ミン
(72)【発明者】
【氏名】キム、ハン スー
(72)【発明者】
【氏名】キム、デ ヒュン
(72)【発明者】
【氏名】ナム、キョウヒュン
(72)【発明者】
【氏名】ノ、ビョン イル
【合議体】
【審判長】▲吉▼澤 英一
【審判官】藤井 勲
【審判官】小出 直也
(56)【参考文献】
【文献】韓国公開特許第10-2016-0020229(KR,A)
【文献】特開2009-069664(JP,A)
【文献】特表2018-502931(JP,A)
【文献】韓国特許第10-2017-0121999(KR,B1)
【文献】淵本信輔ら、色材,29〔8〕,305-309(1956)
【文献】岩崎忠晴,色材,67〔6〕,370-378(1994)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08G 73/00- 73/26
C08F 2/00-299/08
C08L 1/00-101/16
G03F 7/00- 7/42
CA(STN)
REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記化学式11の構造を含む、ポリイミド樹脂。
[化学式11]
【化3】
前記化学式11において、
Xは、4価有機基であり、
Yは、2価から6価有機基であり、2,2'-ビス(3-アミノ-4-ハイドロキシフェニル)ヘキサフルロプロパンに由来する構造であり、
からRは、互いに同一または異なり、それぞれ独立に水素;または光重合性不飽和基を含むC1-C10の有機基であり、m、m、kおよびkはそれぞれ0または1であり、0≦m+m+k+k≦2であり、
、単結合であり、
は、下記化学式2で表され、
[化学式2]
【化2】
前記化学式2において、
は、水素;または炭素数1から4のアルキル基であり、pは、1から10の整数であり、
前記化学式11の*は、ポリイミド樹脂の主鎖または末端基に連結される部位であり、化学式2の*は、Rに連結される部位であり、nは、1以上の整数である。
【請求項2】
前記ポリイミド樹脂は、重量平均分子量が1,000から500,000である、請求項1に記載のポリイミド樹脂。
【請求項3】
請求項1又は2に記載のポリイミド樹脂;光硬化型多官能アクリル化合物;および光重合開始剤を含む、ネガティブ型感光性樹脂組成物。
【請求項4】
有機溶媒をさらに含む、請求項3に記載のネガティブ型感光性樹脂組成物。
【請求項5】
前記ポリイミド樹脂100重量部に対して、前記光硬化型多官能アクリル化合物は、10から50重量部、前記光重合開始剤は、0.1から10重量部で含まれる、請求項3または4に記載のネガティブ型感光性樹脂組成物。
【請求項6】
請求項3から5のいずれか一項に記載のネガティブ型感光性樹脂組成物から形成された有機絶縁膜または感光性パターンを含む、電子素子。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、2018年07月20日付の韓国特許庁に出願された韓国特許出願第10-2018-0085003号の出願日の利益を主張し、その内容の全ては、本明細書に組み込まれる。
【0002】
本発明は、感光性樹脂組成物に関し、より詳細には、溶解度に優れ、現像時に膨潤のないネガティブ型閉環のポリイミド樹脂およびこれを含むネガティブ型感光性樹脂組成物に関する。
【背景技術】
【0003】
感光性樹脂は、各種の精密電子・情報産業製品の生産に実用化した代表的な機能性高分子材料であって、現在の先端技術産業、特に、半導体およびディスプレイの生産において重要に用いられている。一般に感光性樹脂は、光照射によって短時間内で分子構造の化学的変化が生じ、特定の溶媒に対する溶解度、着色、硬化などの物性の変化が生じる高分子化合物を意味する。感光性樹脂を用いれば、微細精密加工が可能であり、熱反応工程に比べて、エネルギーおよび原料を大きく節減することができ、小さい設置空間で迅速かつ正確に作業を行うことができ、先端の印刷分野、半導体の生産、ディスプレイの生産、光硬化表面コーティング材料などの各種の精密電子・情報産業分野において多様に使用されている。
【0004】
このような感光性樹脂は、大きくネガティブ型およびポジティブ型に分けられるが、ネガティブ型の感光性樹脂は、光照射された部分が現像液に不溶化する型であり、ポジティブ型の感光性樹脂は、光照射された部分が現像液に可溶化する型である。
【0005】
ネガティブ型感光性樹脂に使用されるポリマーは、選択的な露光の後、露光された部分は、現像液に対して溶解度が高くなければならないし、非露光された部分は、現像液に対して溶解度が小さいか、または、あってはならないという要件が要求される。このような要件は、精密電子・情報産業分野において、極めて微細なパターン形成が可能になるように、より一層多く要求される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、ネガティブ型感光性組成物を用いて、パターン形成時に、現像過程で膨潤現象がなく、溶解度に優れた閉環構造のポリイミドおよびこれを含むネガティブ型感光性樹脂組成物を提供しようとする。
【0007】
また、本発明は、前記ネガティブ型感光性樹脂組成物から形成された有機絶縁膜または感光性パターンを含む電子素子を提供するためのものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一実施態様は、下記化学式1の構造を含むポリイミド樹脂を提供する。
[化学式1]
【化1】
前記化学式1において、
Xは、4価有機基であり、
Yは、2価から6価有機基であり、
からRは、互いに同一または異なり、それぞれ独立に水素;または光重合性不飽和基を含むC1-C10の有機基であり、m、m、kおよびkはそれぞれ0または1であり、0≦m+m+k+k≦2であり、
は、2価有機基であって、芳香族基、脂肪族基または芳香族基と脂肪族基との組み合わせであり、少なくとも一つの炭素が、C(=O)、SO、NR、SまたはOに代替することができ、Rは、アリール基またはアルキル基であり、Lは、ハロゲン基、水酸基、カルボキシル基、チオール基、スルホン酸基またはアルキル基に置換することができ、
は、-S-、-O-、-CO-または-SO-であり、
は、下記化学式2で表される。
[化学式2]
【化2】
前記化学式2において、
は、水素;または炭素数1から4のアルキル基であり、pは、1から10の整数であり、
前記化学式1の*は、ポリイミド樹脂の主鎖または末端基に連結される部位であり、化学式2の*は、Rに連結される部位であり、nは、1以上の整数である。
【0009】
本発明のまた一つの実施態様は、前記ポリイミド樹脂;光硬化型多官能アクリル化合物;および光重合開始剤を含むネガティブ型感光性樹脂組成物を提供する。
【0010】
また、本発明のまた一つの実施態様は、前記ネガティブ型感光性樹脂組成物から形成された有機絶縁膜または感光性パターンを含む電子素子を提供する。
【発明の効果】
【0011】
本明細書に記載された実施態様等によれば、感光性樹脂組成物を用いてパターン形成時に、選択的な露光の後、現像する過程でもポリイミド樹脂が膨潤されることなく溶解度に優れる。また、本明細書に記載された実施態様等によれば、既存のポジティブ感光性ポリイミドより低い光量で、ディスプレイ装置に使用される基板に対して高い接着性を示し、優れた機械的物性を有しながらも超微細化したパターンを形成できる感光性樹脂組成物および前記ネガティブ型感光性樹脂組成物から形成された有機絶縁膜または感光性パターンを含む電子素子を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】実施例1によって形成されたラインパターンを示したものである。
図2】実施例1によって形成されたホールパターンの写真を示したものである。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の具体的な実現例に係るポリイミド樹脂、感光性樹脂組成物および電子素子について詳細に説明することにする。
【0014】
本発明の一実施態様は、前記化学式1の単位および前記化学式2の末端基を含むポリイミド樹脂を提供する。
【0015】
本発明者等は、前記特定の構造のポリイミド樹脂を含む感光性樹脂が半導体装置またはディスプレイ装置に使用される基板、例えば、Au、Cu、Ni、Tiなどの金属基板やSiO、SiNxなどの無機質基板に対して高い密着性、接着性を実現することができ、優れた耐熱性、または耐薬品性などの向上された機械的物性を有し、超微細化したパターンを容易に形成できるという点を実験を通じて確認して発明を完成した。
【0016】
特に、前記ネガティブ型感光性樹脂組成物は、高温の熱硬化工程(イミド化工程)が必須的なポリイミド前駆体を使用することなく、低温で溶液工程が可能なポリイミド樹脂を使用することによって、高温のイミド化工程を省略することができる。
【0017】
また、本発明者等は、既存のポリイミドとして閉環構造のポリイミドの側鎖に光重合性不飽和基を結合した構造を使用する場合、現像(development)時に側鎖が閉環することによって膨潤されるか、溶解度が減少するという現象が生じることを明らかにした。また、閉環のポリイミドと光重合性多官能基とを有するモノマーを共に使用する場合、ポリマー自体が光重合性基を有していないため、露光による硬化過程で高エネルギーが生じて精密なパターン化が難しく、工程費用が増加するという問題があることを明らかにした。さらに、閉環のポリイミドの酸無水物の閉環構造を開環した後、開環された位置に光重合性基(R)を付けることによって、ポリアミックエステル構造(poly amic ester type)の導入が試みられているが、これは、閉環時に、光重合性基(R)が脱離して寸法安全性が不安定であり、ガスが生じる問題があることを明らかにした。
【化3】
【0018】
しかし、前述の本発明の実施態様に係る前記ポリイミド樹脂は、末端基のうち、R部分に光重合性不飽和基を含む化学式2の構造を含むことによって、現像時にも末端基が主鎖またはここに結合された側鎖と閉環反応を起こさないので、現像時に膨潤現象が起きない。
【0019】
前記ポリイミド樹脂は、末端基に未反応の水酸基(OH)、カルボキシル基(COOH)、チオール基またはスルホン酸基を含むことができ、このような基等は優れた溶解度を提供することができる。
【0020】
一例によれば、前記ポリイミド樹脂は、前記化学式2のRを当量基準5~30%に含むことができる。例えば、アミン末端基を含む場合、無水物に対して、無水物末端基を含む場合、アミンに対して、5~30%に含まれることができる。
【0021】
一実施態様によれば、前記化学式1において、Xは、4価有機基であれば、特に限定されないし、例えば、4価芳香族有機基、4価脂肪族有機基または芳香族基と脂肪族基とが互いに連結された4価有機基であってもよいし、少なくとも一つの炭素が、C(=O)、SO、NR、SまたはOに代替することができ、Rは、アリール基またはアルキル基である。Xでは、具体的に下記構造式等がある。
【化4】
【0022】
前記化学式1において、Yは、2価から6価有機基であって、2価から6価芳香族有機基、2価から6価脂肪族有機基、または芳香族基と脂肪族基とが互いに連結された2価から6価有機基であってもよいし、少なくとも一つの炭素が、C(=O)、SO、NR、SまたはOに代替することができ、Rは、アリール基またはアルキル基であり、Yは、ハロゲン基、水酸基、カルボキシル基、チオール基、スルホン酸基またはアルキル基に置換することができる。具体的には、
【化5】
では、下記構造式等がある。
【化6】
【0023】
前記構造式等のうち、Zの例では、下記構造式等がある。
【化7】
【0024】
前記構造等のように、m+m+k+kが1または2であって、OHまたはCOOH基を含む場合、前記化学式2の構造が、ポリイミド樹脂の末端だけでなく、側鎖にも存在して感光性膜の形成時に、表面状態を改善するのに有利である。
【0025】
前記化学式1において、Lは、2価有機基であって、芳香族基、脂肪族基または芳香族基と脂肪族基との組み合わせであり、少なくとも一つの炭素が、C(=O)、SO、NR、SまたはOに代替することができ、Rは、アリール基またはアルキル基であり、Lは、ハロゲン基、水酸基、カルボキシル基、チオール基、スルホン酸基またはアルキル基に置換することができる。ここで、芳香族基は、C6-C20のアリーレン基であってもよいし、脂肪族基は、C1からC20のアルキレン基、またはC3からC20のシクロアルキレン基であってもよい。前記アリーレン基では、フェニレン基などがある。前記ハロゲン基では、Fなどがある。
【0026】
一実施態様によれば、Lは、フェニレン基であってもよい。
【0027】
一実施態様によれば、前記化学式1の構造は、下記化学式11または12で表されることができる。
[化学式11]
【化8】
[化学式12]
【化9】
前記化学式11および12において、Lは、2価有機基であり、残りの置換基は、前述のとおりである。
【0028】
一例によれば、Lは、アルキレンまたはアリーレンであってもよいし、具体的に、C1からC12のアルキレンまたはフェニレンであってもよい。
【0029】
一実施態様によれば、Rは、-S-、-O-または-CO-である。
【0030】
一実施態様によれば、Rは、-S-である。
【0031】
一実施態様によれば、Rは、-O-である。
【0032】
一実施態様によれば、Rは、-CO-である。
【0033】
一実施態様によれば、Lは、フェニレンである。
【0034】
一実施態様によれば、前記ポリイミド樹脂は、前記化学式1で表される単位を2種以上含むことができ、必要に応じて、化学式1の単位以外の単位をさらに含むことができる。但し、前記ポリイミド樹脂は、前記化学式1の単位を50モル%以上含むことが好ましい。
【0035】
前記ポリイミド樹脂の他末端も、前記化学式2の末端を有してもよいし、前記ポリイミド製造時に使用されるジアミンまたは二無水物を末端基として有してもよい。
【0036】
一実施態様によれば、前記ポリイミド樹脂は、1,000から500,000、好ましくは、5,000から200,000の重量平均分子量を有してもよい。前記重量平均分子量が1,000未満の場合には、前記ポリイミド共重合体を適用する時に、所望のコーティング性および機械的物性の実現が難しいこともあり、500,000超過の場合には、現像液に対する溶解性が低くなり、感光性材料として適用が難しくなることがある。重量平均分子量は、ゲル透過クロマトグラフィー、すなわち、GPCによって測定された値であってもよい。
【0037】
前記ポリイミド樹脂は、二無水物化合物とジアミン化合物とを用いて製造することができ、ポリイミドを構成する材料および重合方法は、当技術分野において知られているものなどを使用することができる。但し、前記化学式1の末端基を有するようにするため、ポリイミドの重合時に、水酸基、カルボキシル基、チオール基およびスルホン酸基から選択される基を少なくとも一つ有し、1つの無水物基または1つのアミン基を有する化合物を使用することによって、水酸基、カルボキシル基、チオール基およびスルホン酸基から選択される基を少なくとも一つ有するポリイミドを製造することができ、ここに、イソシアネート系化合物を反応させることによって、前記化学式1の末端基を製造することができる。
【0038】
本発明のまた一つの実施態様は、前記ポリイミド樹脂;光硬化型多官能アクリル化合物;および光重合開始剤を含むネガティブ型感光性樹脂組成物を提供する。前記ネガティブ型感光性樹脂組成物は、溶媒をさらに含むことができる。必要に応じて、前記ネガティブ型感光性樹脂組成物は、エポキシ樹脂をさらに含むことができる。
【0039】
前記一実現例のネガティブ型感光性樹脂組成物において、光硬化型多官能アクリル化合物は、分子内に光硬化が可能なアクリル構造が少なくとも2以上存在する化合物であり、具体的には、アクリレート系化合物、ポリエステルアクリレート系化合物、ポリウレタンアクリレート系化合物、エポキシアクリレート系化合物およびカプロラクトン変性アクリレート系化合物からなる群から選択される1種以上のアクリル化合物を含むことができる。
【0040】
例えば、前記アクリレート系化合物では、ペンタエリスリトールトリアクリレート、またはジペンタエリスリトールペンタアクリレートなどのヒドロキシ基含有アクリレート系化合物;ポリエチレングリコールジアクリレート、またはポリプロピレングリコールジアクリレートなどの水溶性アクリレート系化合物が挙げられ、前記ポリエステルアクリレート系化合物では、トリメチロールプロパントリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、またはジペンタエリスリトールヘキサアクリレートなどが挙げられる。また、前記ポリウレタンアクリレート系化合物では、前記ヒドロキシ基含有アクリレート系化合物のイソシアネート変性物などが挙げられ、前記エポキシアクリレート系化合物では、ビスフェノールAジグリシジルエーテル、水添ビスフェノールAジグリシジルエーテルまたはフェノールノボラックエポキシ樹脂の(メタ)アクリル酸付加物などが挙げられ、前記カプロラクトン変性アクリレート系化合物では、カプロラクトン変性ジトリメチロールプロパンテトラアクリレート、ε-カプロラクトン変性ジペンタエリスリトールアクリレート、またはカプロラクトン変性ヒドロキシピバル酸ネオペンチルグリコールエステルジアクリレートなどが挙げられる。
【0041】
また、前記一実現例のネガティブ型感光性樹脂組成物において、エポキシ樹脂は、半導体装置またはディスプレイ装置に使用される基板に対して高い密着性、接着性を示すように手伝う役割をすることができ、エポキシ樹脂は、低温硬化工程が可能であるので、工程の経済性も高めることができるという特徴がある。
【0042】
このようなエポキシ樹脂では、例えば、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、水添ビスフェノールA型エポキシ樹脂、臭化ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールS型エポキシ樹脂、ノボラック型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、N-グリシジル型エポキシ樹脂、ビスフェノールAのノボラック型エポキシ樹脂、ビキシレノール型エポキシ樹脂、ビフェノール型エポキシ樹脂、キレート型エポキシ樹脂、グリオキサール型エポキシ樹脂、アミノ基含有エポキシ樹脂、ゴム変性エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエンフェノリック型エポキシ樹脂、ジグリシジルフタレート樹脂、ヘテロサイクリックエポキシ樹脂、テトラグリシジルキシレノイルエタン樹脂、シリコーン変性エポキシ樹脂およびε-カプロラクトン変性エポキシ樹脂からなる群から選択された1種以上を含むことができ、好ましくは、液状型N-グリシジルエポキシ樹脂を含むことができる。
【0043】
また、前記一実現例のネガティブ型感光性樹脂組成物において、光重合開始剤(photo-initiator)では、感光性樹脂組成物に通常使用することができると知られているものであれば、特別な制限なしに使用することができ、使用される紫外線の波長を考慮して光重合開始剤を適切に選択することができる。このような光重合開始剤では、例えば、アセトフェノン系化合物、ビイミダゾール系化合物、トリアジン系化合物、オキシム系化合物またはこれらの混合物を使用することができる。
【0044】
前記光重合開始剤の具体的な例として、2-ヒドロキシ-2-メチル-1-フェニルプロパン-1-オン、1-(4-イソプロピルフェニル)-2-ヒドロキシ-2-メチルプロパン-1-オン、4-(2-ヒドロキシエトキシ)-フェニル-(2-ヒドロキシ-2-プロピル)ケトン、1-ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル、ベンゾインブチルエーテル、2,2-ジメトキシ-2-フェニルアセトフェノン、2-メチル-(4-メチルチオ)フェニル-2-モルホリノ-1-プロパン-1-オン、2-ベンジル-2-ジメチルアミノ-1-(4-モルホリノフェニル)-ブタン-1-オン、または2-メチル-1-[4-(メチルチオ)フェニル]-2-モルホリノプロパン-1-オンなどのアセトフェノン系(acetophenone)化合物;2,2-ビス(2-クロロフェニル)-4,4',5,5'-テトラフェニルビイミダゾール、2,2'-ビス(o-クロロフェニル)-4,4',5,5'-テトラキス(3,4,5-トリメトキシフェニル)-1,2'-ビイミダゾール、2,2'-ビス(2,3-ジクロロフェニル)-4,4',5,5'-テトラフェニルビイミダゾール、または2,2'-ビス(o-クロロフェニル)-4,4,5,5'-テトラフェニル-1,2'-ビイミダゾールなどのビイミダゾール系(biimidazole)化合物;3-{4-[2,4-ビス(卜リクロロメチル)-s-トリアジン-6-イル]フェニルチオ}プロピオン酸、1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロイソプロピル-3-{4-[2,4-ビス(卜リクロロメチル)-s-トリアジン-6-イル]フェニルチオ}プロピオネート、エチル-2-{4-[2,4-ビス(卜リクロロメチル)-s-トリアジン-6-イル]フェニルチオ}アセテート、2-エポキシエチル-2-{4-[2,4-ビス(卜リクロロメチル)-s-トリアジン-6-イル]フェニルチオ}アセテート、シクロヘキシル-2-{4-[2,4-ビス(卜リクロロメチル)-s-トリアジン-6-イル]フェニルチオ}アセテート、ベンジル-2-{4-[2,4-ビス(卜リクロロメチル)-s-トリアジン-6-イル]フェニルチオ}アセテート、3-{クロロ-4-[2,4-ビス(卜リクロロメチル)-s-トリアジン-6-イル]フェニルチオ}プロピオン酸、3-{4-[2,4-ビス(卜リクロロメチル)-s-トリアジン-6-イル]フェニルチオ}プロピオンアミド、2,4-ビス(卜リクロロメチル)-6-p-メトキシスチリル-s-トリアジン、2,4-ビス(卜リクロロメチル)-6-(1-p-ジメチルアミノフェニル)-1,3、-ブタジエニル-s-トリアジン、または2-卜リクロロメチル-4-アミノ-6-p-メトキシスチリル-s-トリアジンなどのトリアジン系化合物;および日本Ciba社のCGI-242、CGI-124などのオキシム系化合物などが挙げられる。
【0045】
そして、前記一実現例に係るネガティブ型感光性樹脂組成物は、ポリイミド樹脂100重量部に対して、前記光硬化型多官能アクリル化合物10から50重量部、前記光重合開始剤は、0.1から10重量部を含むことができる。前記組成物は、ポリイミド樹脂100重量部に対してエポキシ樹脂10から100重量部をさらに含むことができる。
【0046】
そして、前記ネガティブ型感光性樹脂組成物は、イミダゾール系化合物、ホスフィン系化合物および3級アミン化合物からなる群から選択された1種以上の硬化促進剤をさらに含むことができる。前記イミダゾール系化合物は、例えば、2-フェニルイミダゾール、2-フェニル-4-メチルイミダゾール、2-フェニル-4-メチル-5-ヒドロキシメチルイミダゾールであってもよいし、ホスフィン系化合物は、例えば、トリフェニルホスフィン、ジフェニルホスフィン、フェニルホスフィン、テトラフェニルホスホニウムテトラフェニルボレートであってもよいし、前記3級アミン化合物は、例えば、ジシアンジアミド、ベンジルジメチルアミン、4-(ジメチルアミノ)-N,N-ジメチルベンジルアミン、4-メトキシ-N,N-ジメチルベンジルアミン、4-メチル-N,N-ジメチルベンジルアミンであってもよい。このような硬化促進剤は、前記ポリイミド樹脂100重量部に対して0.1から10重量部で含むことができる。
【0047】
一方、前記ネガティブ型感光性樹脂組成物は、溶媒、接着力増進剤、界面活性剤、消泡剤、レベリング剤、ゲル化防止剤 またはこれらの混合物などをさらに含むことができる。
【0048】
前記溶媒では、前記ネガティブ型感光性樹脂組成物に使用できると知られている有機溶媒を特別な制限なしに使用できるが、好ましくは、エチルアセテート、ブチルアセテート、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエチルエーテル、メチルメトキシプロピオネート、エチルエトキシプロピオネート(EEP)、エチルラクテート、プロピレングリコールメチルエーテルアセテート(PGMEA)、プロピレングリコールメチルエーテル、プロピレングリコールプロピルエーテル、メチルセロソルブアセテート、エチルセロソルブアセテート、ジエチレングリコールメチルアセテート、ジエチレングリコールエチルアセテート、アセトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン、ジメチルポルムアミド(DMF)、N,N-ジメチルアセトアミド(DMAc)、N-メチル-2-ピロリドン(NMP)、 γ -ブチロラクトン(GBL)、ジエチルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテル、ジグリム(Diglyme)、テトラハイドロフラン(THF)、メタノール、エタノール、プロパノール、イソ-プロパノール、メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、ジエチレングリコールメチルエーテル、ジエチレングリコールエチルエーテル、ジエチレングリコールメチルエチルエーテル、ジプロピレングリコールメチルエーテル、トルエン、キシレン、ヘキサン、ヘプタンおよびオクタンの中から選択された溶媒を単独にまたは2種以上を混合して使用することができる。前記有機溶媒は、前記ポリイミド樹脂100重量部に対して100重量部から400重量部で含むことができる。
【0049】
また、前記接着力増進剤では、エポキシ、カルボキシル基またはイソシアネートなどの作用基を有するシランカップリング剤を使用することができ、これらの具体的な例では、トリメトキシシリル安息香酸(trimethoxysilyl benzoic acid)、トリエトキシシリル安息香酸(triethoxysilyl benzoic acid)、ガンマ-イソシアネートプロピルトリメトキシシラン(γ-isocyanatopropyltrimethoxysilane)、ガンマ-イソシアネートプロピルトリエトキシシラン(γ-isocyanatopropyltriethoxysilane)、ガンマ-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン(γ-Glycidoxypropyltrimethoxysilane)、ガンマ-グリシドキシプロピルトリエトキシシラン(γ-Glycidoxypropyltriethoxysilane)またはこれらの混合物などがある。このような接着力増進剤は、前記ポリイミド樹脂100重量部に対して0.1から10重量部で含むことができる。
【0050】
そして、前記界面活性剤では、感光性樹脂組成物に使用できると知られているものであれば、特別な制限なしに使用できるが、フッ素系界面活性剤またはシリコーン系界面活性剤を使用することが好ましい。このような界面活性剤は、前記ポリイミド樹脂100重量部に対して0.1から5重量部で含むことができる。
【0051】
一方、発明の他の実現例によれば、前記一実現例のネガティブ型感光性樹脂組成物から形成された有機絶縁膜または感光性パターンを含む 電子素子 が提供できる。
【0052】
前記有機絶縁膜または感光性パターンは、特定の構造のポリイミドと、光硬化が可能なアクリル作用基を2以上含むアクリル化合物を含み、半導体装置またはディスプレイ装置に使用される基板、例えば、Au、Cu、Ni、Tiなどの金属基板やSiO、SiNxなどの無機質基板に対して高い密着性を実現できながらも、優れた耐熱性、絶縁性または耐薬品性などの向上された機械的物性を有してもよい。
【0053】
したがって、前記ネガティブ型感光性樹脂組成物から形成された有機絶縁膜または感光性パターンを含む 電子素子は、高解像度、高感度などの優れた性能を実現することができ、優れたフィルム特性および高い機械的物性を示すことができるだけでなく、優れた耐熱特性、例えば、長期間使用するか、または高温条件で長期間露出されても有機絶縁膜または感光性パターンの密着性が低下されることなく、堅く維持できるという特性を実現することができる。
【0054】
前記有機絶縁膜は、半導体装置またはディスプレイ装置の各種の絶縁膜、例えば、層間絶縁膜、表面保護膜、基板電極保護層バッファーコート膜またはペシベイション膜などを含むことができる。そして、前記 電子素子は、半導体装置またはディスプレイ装置の各種の部品を含むことができる。
【0055】
一方、前記有機絶縁膜または感光性パターンは、前記ネガティブ型感光性樹脂組成物を支持基板の上に塗布して乾燥して樹脂膜を形成する段階;前記樹脂膜を露光する段階;前記露光された樹脂膜を現像液で現像する段階および前記現像された感光性樹脂膜を加熱処理する段階を通じて形成できる。
【0056】
前記ネガティブ型感光性樹脂組成物を用いれば、ガラス、シリコーンウエハなどの基板上にパターン化した感光性樹脂膜を容易に形成できるが、この時に、前記ネガティブ型感光性樹脂組成物を塗布する方法では、スピンコーティング(spin coating)、バーコーティング(bar coating)、スクリーンプリンティング(screen printing)などが用いられる。
【0057】
前記感光性樹脂膜の形成過程で使用できる支持基板は、電子通信分野や半導体またはディスプレイ関連分野において、通常使用されると知られているものであれば、特別な制限なしに使用できるが、その具体的な例として、シリコーンウエハ、ガラス基板、金属基板、セラミックス基板、高分子基板などが挙げられる。
【0058】
前記塗布以後の乾燥過程では、50℃から150℃で1分から20分程度プリベーク(prebaking)して溶媒を揮発させることによって、プリベーク膜(prebaked film)を形成できる。前記乾燥温度が低すぎると、残留する溶媒の量があまり多くなり、現像時に非露光領域にも膜の損失が生じ、残膜が低くなることがあり、前記乾燥温度が高すぎると、硬化反応が促進されて非露光領域が現像されないこともある。
【0059】
前記樹脂膜を露光する段階では、加工しようとするパターンが形成されたフォトマスクを用いて200~500nm波長の紫外線または可視光線を照射することができ、照射時の露光量は、10mJ/cmから4,000mJ/cmが好ましい。露光時間も特に限定されるものではなく、使用される露光装置、照射光線の波長または露光量によって適切に変化させることができ、具体的に、露光時間は、5~250秒の範囲内で変化させることができる。
【0060】
前記感光性樹脂膜の形成段階では、半導体またはディスプレイの生産段階で使用できると通常知られているアルカリ性水系現像液を特別な制限なしに使用できる。
【0061】
本発明を下記の実施例でより詳細に説明する。但し、下記の実施例は、本発明を例示するものであるだけで、本発明の内容が、下記の実施例によって限定されるものではない。
【0062】
合成例1
撹拌機、温調装置、窒素ガス注入装置、ディーン・スターク蒸留装置(dean-stark distillation)および冷却器が設けられた3口フラスコに窒素を通しながら、2,2'-ビス(3-アミノ-4-ハイドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン[2,2'-Bis(3-amino-4-hydroxyphenyl)-hexafluoropropane](BisAPAF)16.02g(43.75mmol)を、GBL(gammabutyroloactone)60gに溶かした。そして、前記溶液に4,4'-オキシジフタル酸二無水物(4,4'-Oxydiphthalic dianhydride)(ODPA)10.58g(34.12mmol)と、トリメリティック無水物3.67g(19.25mmol)を添加した後、4時間撹拌した。以後、トルエン20g、GBL 20g、アセト酸無水物(aceticanhydride)0.84g、アニリン(aniline)2.12gを添加し、反応温度を160℃に昇温し、5時間の間、ディーン・スターク蒸留装置を通じて水を除去した後、20時間反応させた。反応の終了後、SPI-1 104gを得た。得られたSPI-1 100gを2-アクリレートオキシエチルイソシアネート(2-acryloyloxyethyl isocyanate)3g(21mmol)をゆっくり添加した後、反応温度を60℃に昇温し、12時間撹拌した。1H-NMR分析の結果、ポリイミドにある水酸基(-OH)当たり平均0.20当量が、AOIに置換されたものと計算されたSPI-A-1を得た。このようなポリイミド樹脂の分子量は、ジメチルポルムアミド(DMF)溶媒の下で、GPC(Gel Permeation Chromtography)を通じて測定し、重量平均分子量は、14,000であった。
【0063】
合成例2
前記合成例1において、4,4'-オキシジフタル酸二無水物(4,4'-Oxydiphthalic dianhydride)(ODPA)の代わりに、4,4'-(ヘキサフルオロイソプロピリデン)ジフタル酸無水物[4,4-(hexafluoroisopropylidene)diphthalic anhydride](6FDA)15.16g(34.12mmol)を使用したことを除いては、同じ方法でポリイミド樹脂SPI-3を製造した。得られたSPI-3 100gを2-アクリレートオキシエチルイソシアネート(2-acryloyloxyethyl isocyanate)3g(21mmol)をゆっくり添加した後、反応温度を60℃に昇温し、12時間撹拌した。1H-NMR分析の結果、ポリイミドにある水酸基(-OH)当たり平均0.21当量が、AOIに置換されたものと計算されたSPI-A-2を得た。このようなポリイミド樹脂の分子量は、ジメチルポルムアミド(DMF)溶媒の下で、GPC(Gel Permeation Chromtography)を通じて測定し、重量平均分子量は、16,000であった。
【0064】
合成例3
前記合成例1において、4,4'-オキシジフタル酸二無水物(4,4'-Oxydiphthalic dianhydride)(ODPA)の代わりに、ビフェニルテトラカルボキシリック二無水物(Biphenyltetracarboxylic dianhydride)(BPDA)10.04g(34.12mmol)を使用したことを除いては、同じ方法でポリイミド樹脂SPI-4を製造した。得られたSPI-4 100gを2-アクリレートオキシエチルイソシアネート(2-acryloyloxyethyl isocyanate)3g(21mmol)をゆっくり添加した後、反応温度を60℃に昇温し、12時間撹拌した。1H-NMR分析の結果、ポリイミドにある水酸基(-OH)当たり平均0.25当量が、AOIに置換されたものと計算されたSPI-A-3を得た。このようなポリイミド樹脂の分子量は、ジメチルポルムアミド(DMF)溶媒の下で、GPC(Gel Permeation Chromtography)を通じて測定し、重量平均分子量は、15,000であった。
【0065】
合成例4
前記合成例1において、トリメリティック無水物の代わりに、1,2-シクロヘキサンジカルボン酸 無水物(1,2-cyclohexanedicaroxylic anhydride)(CHA)3.69g(19.25mmol)を使用したことを除いては、同じ方法でポリイミド樹脂SPI-2を製造した。得られたSPI-2 100gを2-アクリレートオキシエチルイソシアネート(2-acryloyloxyethyl isocyanate)3g(21mmol)をゆっくり添加した後、反応温度を60℃に昇温し、12時間撹拌した。1H-NMR分析の結果、ポリイミドにある水酸基(-OH)当たり平均0.23当量が、AOIに置換されたものと計算されたSPI-A-4を得た。このようなポリイミド樹脂の分子量は、ジメチルポルムアミド(DMF)溶媒の下で、GPC(Gel Permeation Chromtography)を通じて測定し、重量平均分子量は、13,000であった。
【0066】
合成例5
前記合成例1において、4,4'-オキシジフタル酸二無水物(4,4'-Oxydiphthalic dianhydride)(ODPA)の代わりに、4,4'-(ヘキサフルオロイソプロピリデン)ジフタル酸無水物[4,4-(hexafluoroisopropylidene)diphthalic anhydride](6FDA)19.43g(43.75mmol)を使用し、2,2'-ビス(3-アミノ-4-ハイドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン[2,2'-Bis(3-amino-4-hydroxyphenyl)-hexafluoropropane](BisAPAF)の含量を、16.02g(43.75mmol)の代わりに、13.46g(36.75mmol)で使用し、トリメリティック無水物の代わりに、4-アミノフェノール 1.53g(14.00mmol)を使用したことを除いては、同じ方法でポリイミド樹脂SPI-5を製造した。得られたSPI-5 100gを2-アクリレートオキシエチルイソシアネート(2-acryloyloxyethyl isocyanate)3g(21mmol)をゆっくり添加した後、反応温度を60℃に昇温し、12時間撹拌した。1H-NMR分析の結果、ポリイミドにある水酸基(-OH)当たり平均0.23当量が、AOIに置換されたものと計算されたSPI-A-5を得た。このようなポリイミド樹脂の分子量は、ジメチルポルムアミド(DMF)溶媒の下で、GPC(Gel Permeation Chromtography)を通じて測定し、重量平均分子量は、12,000であった。
【0067】
合成例6
前記合成例5において、4-アミノフェノール(4-aminophenol)の代わりに、4-アミノベンゼンチオール(4-aminobenzenthiol)1.75g(14.00mmol)を使用したことを除いては、同じ方法でポリイミド樹脂SPI-6を製造した。得られたSPI-6 100gを2-アクリレートオキシエチルイソシアネート(2-acryloyloxyethyl isocyanate)3g(21mmol)をゆっくり添加した後、反応温度を60℃に昇温し、12時間撹拌した。1H-NMR分析の結果、ポリイミドにある水酸基(-OH)当たり平均0.23当量が、AOIに置換されたものと計算されたSPI-A-6を得た。このようなポリイミド樹脂の分子量は、ジメチルポルムアミド(DMF)溶媒の下で、GPC(Gel Permeation Chromtography)を通じて測定し、重量平均分子量は、13,000であった。
【0068】
合成例7
前記合成例5において、4-アミノフェノール(4-aminophenol)の代わりに、N-(4-アミノフェニル)マレイミド(N-(4-aminophenyl)maleimide)2.63g(14.00mmol)を使用したことを除いては、同じ方法でポリイミド樹脂SPI-7を製造した。得られたSPI-7 100gを2-アクリレートオキシエチルイソシアネート(2-acryloyloxyethyl isocyanate)3g(21mmol)をゆっくり添加した後、反応温度を60℃に昇温し、12時間撹拌した。1H-NMR分析の結果、ポリイミドにある水酸基(-OH)当たり平均0.23当量が、AOIに置換されたものと計算されたSPI-A-7を得た。このようなポリイミド樹脂の分子量は、ジメチルポルムアミド(DMF)溶媒の下で、GPC(Gel Permeation Chromtography)を通じて測定し、重量平均分子量は、13,000であった。
【0069】
合成例8
前記合成例5において、4-アミノフェノール(4-aminophenol)の代わりに、4-エチルアニリン(4-ethylanilne)1.64g(14.00mmol)を使用したことを除いては、同じ方法でポリイミド樹脂SPI-8を製造した。得られたSPI-8 100gを2-アクリレートオキシエチルイソシアネート(2-acryloyloxyethyl isocyanate)3g(21mmol)をゆっくり添加した後、反応温度を60℃に昇温し、12時間撹拌した。1H-NMR分析の結果、ポリイミドにある水酸基(-OH)当たり平均0.23当量が、AOIに置換されたものと計算されたSPI-A-8を得た。このようなポリイミド樹脂の分子量は、ジメチルポルムアミド(DMF)溶媒の下で、GPC(Gel Permeation Chromtography)を通じて測定し、重量平均分子量は、12,000であった。
【0070】
合成例9
2,2'-ビス(トリフルオロメチル)-4,4'-ジアミノビフェニル(TFMB)1molをジエチルホルムアミド(DEF)80gに溶かし、ここに、4,4'-オキシジフタル酸二無水物(4,4'-Oxydiphthalic dianhydride)(ODPA)1.1molを添加し、ジエチルホルムアミド(DEF)50gに入れ、50℃で24時間重合し、ポリアミック酸を含む溶液を製造した。前記製造した溶液に、トルエン40gを入れ、ディーン・スターク蒸留装置(dean-stark distillation)を通じて水を除去できるように設けた後、180℃で12時間還流させた。前記製造されたポリイミド溶液をメタノール(methanol)溶媒で沈澱を生成させた後、乾燥後、乾燥されたポリイミドをジエチルホルムアミド(DEF)50gに溶かした後、2-メタクリロイルオキシエチルイソシアネート(2-Methacryloyloxyethyl isocyanate)3molを添加し、ジエチルポルムアミド(DEF)30gを入れ、常温で24時間反応させた後、メタノールに沈澱を生成させ、乾燥してPI-M-1を得た。分子量は、ジメチルホルムアミド(DMF)溶媒の下で、GPC(Gel Permeation Chromtography)を通じて測定し、重量平均分子量は、17,000であった。
【0071】
実施例1
合成例1のポリイミド樹脂SPI-A-1 10.0g、光重合開始剤であるIrgacure369(Ciba Specialty chemical社)0.45g、および光硬化型多官能アクリル化合物カヤラドDPHA(Nippon Kayaku社)2.0gを、有機溶媒MEDG(Diethyleneglycol methylethyl ether)20gに溶かした後、DC-190(Toray Dow Corning社)0.05gを混合して室温で1時間の間撹拌した。撹拌の終了後、得られた結果物を、細孔0.45μmであるフィルターで濾過して感光性樹脂組成物を製造した。
【0072】
実施例2
実施例1において、ポリイミド樹脂SPI-A-1の代わりに、SPI-A-2 10gを使用したことを除いては、実施例1と同じ方法で感光性樹脂組成物を製造した。
【0073】
実施例3
実施例1において、ポリイミド樹脂SPI-A-1の代わりに、SPI-A-3 10gを使用したことを除いては、実施例1と同じ方法で感光性樹脂組成物を製造した。
【0074】
実施例4
実施例1において、ポリイミド樹脂SPI-A-1の代わりに、SPI-A-5 10gを使用したことを除いては、実施例1と同じ方法で感光性樹脂組成物を製造した。
【0075】
実施例5
実施例1において、ポリイミド樹脂SPI-A-1の代わりに、SPI-A-6 10gを使用したことを除いては、実施例1と同じ方法で感光性樹脂組成物を製造した。
【0076】
比較例1
実施例1において、ポリイミド樹脂SPI-A-1の代わりに、SPI-A-4 10gを使用したことを除いては、実施例1と同じ方法で感光性樹脂組成物を製造した。
【0077】
比較例2
実施例1において、ポリイミド樹脂SPI-A-1の代わりに、ウレタンアクリル作用基を導入していないSPI-1 10gを使用したことを除いては、実施例1と同じ方法で感光性樹脂組成物を製造した。
【0078】
比較例3
実施例1において、ポリイミド樹脂SPI-A-1の代わりに、ウレタンアクリル作用基を導入していないSPI-2 10gを使用したことを除いては、実施例1と同じ方法で感光性樹脂組成物を製造した。
【0079】
比較例4
実施例1において、ポリイミド樹脂SPI-A-1の代わりに、SPI-A-7 10gを使用したことを除いては、実施例1と同じ方法で感光性樹脂組成物を製造した。
【0080】
比較例5
実施例1において、ポリイミド樹脂SPI-A-1の代わりに、SPI-A-8 10gを使用したことを除いては、実施例1と同じ方法で感光性樹脂組成物を製造した。
【0081】
比較例6
実施例1において、ポリイミド樹脂SPI-A-1の代わりに、PI-M-1 10gを使用したことを除いては、実施例1と同じ方法で感光性樹脂組成物を製造した。
【0082】
実験例:感光性樹脂膜の感光性実験
前記実施例および比較例で得られた感光性樹脂組成物を、800rpmから1,200rpmのスピンコーティング方式を用いて、10cm×10cmのガラス基板上に塗布した後、120℃の温度で2分間乾燥し、5μm厚さの感光性樹脂膜が形成された基板を得た。そして、微細パターンが形成されたマスクを用いて、ブロードバンドアライナ(Broadband aligner)露光装置で40mJ/cmのエネルギーで露光した。以後、露光されたガラス基板を2.38重量%のテトラメチルアンモニウム水酸化水溶液で100秒間現像し、超純水で洗浄した後、窒素下で乾燥して前記感光性樹脂膜にパターンを形成した。そして、露光され、残っている膜の厚さをアルファステップを用いて測定した。
【0083】
感光性樹脂膜の3μm以下の直径を有する微細ホール(hole)パターンの実現の有無を評価した。コーティング後や現像後の表面状態は、光学顕微鏡で観察する時に、ピンホールやクラックがないし、AFM(Atomic Force Microscope)を用いて測定した表面の均一度が0.5nm以下である場合、「上」と評価し、その外には「下」と評価した。ホールパターンの実現は、直径3μm以下のホールが形成された場合は「可能」、残膜が残るか、未現像によってパターンが未形成された場合は「不良」と評価した。
【0084】
測定結果を下記表1に示した。図1に実施例1によって形成されたラインパターンを示した。図2は、実施例1によって形成された直径3μm以下のホールパターンが鮮明に形成されたことを示す写真である。
【表1】
【0085】
比較例1は、側鎖のみに化学式2の末端基を有するものであって、表面状態は良好であったが、直径3μm以下のホールパターンの実現状態が不良であった。比較例2および3は、側鎖または末端のいずれにも化学式2の構造を含まないものであって、現像時に膨潤現象と溶解度が低くて現像後の表面状態が悪かっただけでなく、3μm以下の直径のホールパターンの実現状態が不良であった。比較例4から6は、側鎖に化学式2の末端基を有して末端に光硬化基を有するものであって、表面状態は良好であったが、直径3μm以下のホールパターンの実現状態が不良であった。特に、比較例6は、光硬化後のアルカリ可溶性基の不足により現像液で現像されなかった。一方、実施例1から5では、コーティング後および現像後の表面状態が優れただけでなく、3μm以下の直径のホールパターンの実現も可能であった。
図1
図2