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特許7582733炭化珪素からなるトレンチゲート構造の縦型MOSFET
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-05
(45)【発行日】2024-11-13
(54)【発明の名称】炭化珪素からなるトレンチゲート構造の縦型MOSFET
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/336 20060101AFI20241106BHJP
   H01L 29/78 20060101ALI20241106BHJP
   H01L 29/12 20060101ALI20241106BHJP
   H01L 29/06 20060101ALI20241106BHJP
【FI】
H01L29/78 658H
H01L29/78 652T
H01L29/78 652S
H01L29/78 652P
H01L29/06 301G
H01L29/06 301V
H01L29/78 652G
H01L29/78 653A
H01L29/78 652J
H01L29/78 652H
H01L29/78 652Q
H01L29/06 301M
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2020207277
(22)【出願日】2020-12-15
(65)【公開番号】P2022094415
(43)【公開日】2022-06-27
【審査請求日】2023-08-02
(73)【特許権者】
【識別番号】000005234
【氏名又は名称】富士電機株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000173809
【氏名又は名称】一般財団法人電力中央研究所
(74)【代理人】
【識別番号】100104190
【弁理士】
【氏名又は名称】酒井 昭徳
(72)【発明者】
【氏名】俵 武志
(72)【発明者】
【氏名】土田 秀一
(72)【発明者】
【氏名】村田 晃一
【審査官】戸川 匠
(56)【参考文献】
【文献】特開2020-161735(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2020/0312966(US,A1)
【文献】特開2020-004779(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2019/0393312(US,A1)
【文献】特開2017-085047(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2018/0012758(US,A1)
【文献】特表2001-502474(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/336
H01L 29/12
H01L 29/78
H01L 29/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
順方向に電流が流れるpn接合面を有する炭化珪素からなるトレンチゲート構造の縦型MOSFETであって、
第1導電型の出発基板と、
炭化珪素からなる第1の第1導電型エピタキシャル層と、
前記出発基板のおもて面に前記第1の第1導電型エピタキシャル層を介して設けられた、前記出発基板および前記第1の第1導電型エピタキシャル層よりも不純物濃度が低く、かつ第1導電型ドーパントである第1元素を不純物として含む炭化珪素からなる第2の第1導電型エピタキシャル層と、
前記第2の第1導電型エピタキシャル層との間に前記pn接合面を形成し、前記第2の第1導電型エピタキシャル層への少数キャリアの供給を行う、炭化珪素からなる第2導電型エピタキシャル層と、
前記第2の第1導電型エピタキシャル層の内部に、前記第1の第1導電型エピタキシャル層に接して設けられた、前記第1元素と、再結合中心を形成する第2元素と、を不純物として含む第1導電型の第1半導体領域と、
前記第2導電型エピタキシャル層の内部に選択的に設けられた第1導電型の第2半導体領域と、
前記第2半導体領域および前記第2導電型エピタキシャル層を貫通して前記第2の第1導電型エピタキシャル層に達するトレンチと、
前記トレンチの内部にゲート絶縁膜を介して設けられたゲート電極と、
前記第2半導体領域および前記第2導電型エピタキシャル層に電気的に接続された第1電極と、
前記出発基板の裏面に電気的に接続された第2電極と、
を備え、
前記第1半導体領域の少数キャリアのライフタイムは、前記第2の第1導電型エピタキシャル層の、前記第1半導体領域を除く部分の少数キャリアのライフタイムよりも短く、
前記第1半導体領域の前記第2元素の濃度は、前記第2の第1導電型エピタキシャル層の前記第1元素の濃度の1/10以下であることを特徴とする炭化珪素からなるトレンチゲート構造の縦型MOSFET。
【請求項2】
前記第1元素は、窒素であり、
前記第2元素は、バナジウムであり、
前記第1半導体領域の前記第2元素の濃度は、5×1013/cm3以上1×1015/cm3以下であることを特徴とする請求項1に記載の炭化珪素からなるトレンチゲート構造の縦型MOSFET。
【請求項3】
前記第2元素の濃度は、1×1014/cm3以上であることを特徴とする請求項2に記載の炭化珪素からなるトレンチゲート構造の縦型MOSFET。
【請求項4】
前記第1半導体領域の前記第1元素の濃度は、8.0×1015/cm3~1.0×1016/cm3であることを特徴とする請求項2に記載の炭化珪素からなるトレンチゲート構造の縦型MOSFET。
【請求項5】
前記第1の第1導電型エピタキシャル層の厚みが3μm~6.5μmであり、不純物濃度が7.0×1018/cm3~2.0×1019/cm3であることを特徴とする請求項1~4のいずれか一つに記載の炭化珪素からなるトレンチゲート構造の縦型MOSFET。
【請求項6】
前記第1半導体領域の厚さは、前記第1の第1導電型エピタキシャル層と前記第2の第1導電型エピタキシャル層との界面から1μm以上5μm以下であることを特徴とする請求項1~5のいずれか一つに記載の炭化珪素からなるトレンチゲート構造の縦型MOSFET。
【請求項7】
前記第1半導体領域の少数キャリアのライフタイムは、0.01μs以上0.1μs以下であることを特徴とする請求項1~6のいずれか一つに記載の炭化珪素からなるトレンチゲート構造の縦型MOSFET。
【請求項8】
炭化珪素からなるトレンチゲート構造の縦型MOSFETの耐圧が1.2kVであることを特徴とする請求項1~7のいずれか一つに記載の炭化珪素からなるトレンチゲート構造の縦型MOSFET。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、炭化珪素からなるトレンチゲート構造の縦型MOSFETに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、炭化珪素(SiC)を半導体材料として用いた耐圧1.2kV程度のトレンチゲート型MOSFET(Metal Oxide Semiconductor Field Effect Transistor:金属-酸化膜-半導体の3層構造からなる絶縁ゲートを備えたMOS型電界効果トランジスタ)では、n+型ドレイン領域となるn+型出発基板上にn+型バッファ層として少数キャリア(正孔)のライフタイム(寿命)の短いエピタキシャル層を堆積した半導体基板が用いられている。
【0003】
従来の炭化珪素半導体装置の構造について説明する。図11は、従来の炭化珪素半導体装置の構造を示す断面図である。図11に示す従来の炭化珪素半導体装置110は、炭化珪素の四層周期六方晶(4H-SiC)を半導体材料として用いたn+型出発基板131(n+型ドレイン領域101)上に、n+型バッファ層102、n-型ドリフト領域103およびp型ベース領域104となる各エピタキシャル層132~134を順に積層した半導体基板130を用いて作製されたトレンチゲート構造の縦型MOSFETである。
【0004】
+型バッファ層102は、n+型出発基板131と同じ不純物濃度以上のn+エピタキシャル層132であり、n-型ドリフト領域103よりも少数キャリアライフタイムが十分に短い。n+型バッファ層102は、p++型コンタクト領域106、p型ベース領域104およびp+型領域122と、n型電流拡散領域123、n-型ドリフト領域103、n+型バッファ層102およびn+型ドレイン領域101と、のpn接合(符号136で示す接合面)で形成される寄生ダイオード120の順方向通電時に、エピタキシャル層132~134とn+型出発基板131との界面135からエピタキシャル層132~134内への積層欠陥の拡大を抑制するように設計される。
【0005】
MOSFETに逆並列に接続されるインバータ用の還流ダイオード(FWD:Free Wheeling Diode)として、外付けのショットキーバリアダイオード(SBD:Schottky Barrier Diode)に代えて、MOSFETの寄生ダイオード120を用いることで、インバータ回路に搭載される素子数を削減可能である。符号105,107~109はそれぞれトレンチゲート構造を構成するn+型ソース領域、トレンチ、ゲート絶縁膜およびゲート電極である。符号121,122は、トレンチ107の底面にかかる電界を緩和させる機能を有するp+型領域である。
【0006】
炭化珪素を半導体材料として用いた従来のMOSFETとして、n+型出発基板の少数キャリアライフタイムを少なくとも100nsec以下、好ましくは2.5ns以下とした装置が提案されている(例えば、下記特許文献1参照。)。下記特許文献1では、成長表面の温度が2300℃以上となる条件で炭化珪素単結晶インゴットを単結晶成長させる。また、炭化珪素単結晶インゴットの単結晶成長中に炭化珪素に対して深い準位を作るバナジウム(V)等を導入することで少数キャリアのライフタイムを短くしている。
【0007】
また、炭化珪素を半導体材料として用いた従来のMOSFETとして、n-型ドリフト領域にヘリウム(He)や電子線を照射してZ1/2センターを導入し、n-型ドリフト領域の少数キャリアライフタイムを1μsec以下、好ましくは0.1μsec以下、より好ましくは0.05μsec以下にした装置が提案されている(例えば、下記特許文献1,2参照。)。下記特許文献1,2では、n-型ドリフト領域の全域にZ1/2センターを導入することで少数キャリアのライフタイムを短くしている。
【0008】
また、炭化珪素を半導体材料として用いた従来の半導体装置として、n+型バッファ層内に、ライフタイムキラーとして炭化珪素に対して深い準位を形成するバナジウム等を導入することで少数キャリアのライフタイムを短くした装置が提案されている(例えば、下記特許文献3参照。)。下記特許文献3では、窒素(N)およびライフタイムキラーをドーピングしながらn+型バッファ層をエピタキシャル成長させることで、n+型バッファ層にライフタイムキラーを導入している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【文献】特開2019-140242号公報
【文献】特開2019-080035号公報
【文献】特開2018-019047号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかしながら、インバータ用の還流ダイオードとしてMOSFETの寄生ダイオード120(図11参照)を用いる場合、外付けSBDを用いる場合と比べて、還流ダイオードがオンからオフになるスイッチング動作時に、還流ダイオードに流れる逆方向電流(逆回復電流)の電流ピーク(最大値)が増大し、インバータ回路を構成する素子にサージ電圧が印加されるという問題がある。その理由は、次の通りである。
【0011】
寄生ダイオード120の順方向通電時、n+型バッファ層102およびp型ベース領域104からそれぞれ電子および正孔がn-型ドリフト領域103に流れ込んで蓄積される。n-型ドリフト領域103に蓄積されたキャリアは、寄生ダイオード120がオンからオフになるスイッチング動作時に逆方向電流Irrとして排出される。このため、寄生ダイオード120に流れる逆方向電流は、外付けSBDと比べて大きくなる。
【0012】
したがって、寄生ダイオード120がオンからオフになるスイッチング動作時、n-型ドリフト領域103に蓄積されたキャリアを排出する際に寄生ダイオード120に流れる逆方向電流Irrの電流ピークIrr_peakが増大し(図4の従来例を参照)、寄生ダイオード120に印加される逆方向電圧Vrの電圧ピーク(最大値)Vr_peakが大きくなってサージ電圧となる(図5の従来例を参照)。
【0013】
この発明は、上述した従来技術による問題点を解消するため、積層欠陥の拡大を抑制することができるとともに、サージ電圧を低減させることができる炭化珪素半導体装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
上述した課題を解決し、本発明の目的を達成するため、この発明にかかる炭化珪素からなるトレンチゲート構造の縦型MOSFETは、順方向に電流が流れるpn接合面を有する炭化珪素からなるトレンチゲート構造の縦型MOSFETであって、次の特徴を有する。第1導電型の出発基板のおもて面に、炭化珪素からなる第1の第1導電型エピタキシャル層を介して、炭化珪素からなる第2の第1導電型エピタキシャル層が設けられている。前記第2の第1導電型エピタキシャル層は、前記出発基板および前記第1の第1導電型エピタキシャル層よりも不純物濃度が低く、かつ第1導電型ドーパントである第1元素を不純物として含む。炭化珪素からなる第2導電型エピタキシャル層は、前記第2の第1導電型エピタキシャル層との間に前記pn接合面を形成する。
【0015】
前記第2導電型エピタキシャル層は、前記第2の第1導電型エピタキシャル層への少数キャリアの供給を行う。前記第2の第1導電型エピタキシャル層の内部に、前記第1の第1導電型エピタキシャル層に接して、第1導電型の第1半導体領域が選択的に設けられている。前記第1半導体領域は、前記第1元素と、再結合中心を形成する第2元素と、を不純物として含む。前記第2導電型エピタキシャル層の内部に、第1導電型の第2半導体領域が選択的に設けられている。
【0016】
トレンチは、前記第2半導体領域および前記第2導電型エピタキシャル層を貫通して前記第2の第1導電型エピタキシャル層に達する。ゲート電極は、前記トレンチの内部にゲート絶縁膜を介して設けられている。第1電極は、前記第2半導体領域および前記2導電型エピタキシャル層に電気的に接続されている。第2電極は、前記出発基板の裏面に電気的に接続されている。前記第1半導体領域の少数キャリアのライフタイムは、前記第2の第1導電型エピタキシャル層の、前記第1半導体領域を除く部分の少数キャリアのライフタイムよりも短い。前記第1半導体領域の前記第2元素の濃度は、前記第2の第1導電型エピタキシャル層の前記第1元素の濃度の1/10以下である。
【0017】
また、この発明にかかる炭化珪素からなるトレンチゲート構造の縦型MOSFETは、上述した発明において、前記第1元素は、窒素である。前記第2元素は、バナジウムである。前記第1半導体領域の前記第2元素の濃度は、5×1013/cm3以上1×1015/cm3以下であることを特徴とする。
【0018】
また、この発明にかかる炭化珪素からなるトレンチゲート構造の縦型MOSFETは、上述した発明において、前記第2元素の濃度は、1×1014/cm3以上であることを特徴とする。
【0019】
また、この発明にかかる炭化珪素からなるトレンチゲート構造の縦型MOSFETは、上述した発明において、前記第1半導体領域の前記第1元素の濃度は、8.0×1015/cm3~1.0×1016/cm3であることを特徴とする。
【0020】
また、この発明にかかる炭化珪素からなるトレンチゲート構造の縦型MOSFETは、上述した発明において、前記第1の第1導電型エピタキシャル層の厚みが3μm~6.5μmであり、不純物濃度が7.0×1018/cm3~2.0×1019/cm3であることを特徴とする。
【0021】
また、この発明にかかる炭化珪素からなるトレンチゲート構造の縦型MOSFETは、上述した発明において、前記第1半導体領域の厚さは、前記第1の第1導電型エピタキシャル層と前記第2の第1導電型エピタキシャル層との界面から1μm以上5μm以下であることを特徴とする。
【0022】
また、この発明にかかる炭化珪素からなるトレンチゲート構造の縦型MOSFETは、上述した発明において、前記第1半導体領域の少数キャリアのライフタイムは、0.01μs以上0.1μs以下であることを特徴とする。
【0023】
また、この発明にかかる炭化珪素からなるトレンチゲート構造の縦型MOSFETは、上述した発明において、トレンチゲート構造の縦型MOSFETの耐圧が1.2kVであることを特徴とする。
【0024】
上述した発明によれば、寄生ダイオードの順方向通電時にn-型ドリフト領域(第1導電型エピタキシャル層)に注入されるホール密度が低減される。また、当該寄生ダイオードの順方向通電時にn-型ドリフト領域に蓄積されるキャリア(電子およびホール)を低減することができる。これによって、MOSFETの寄生ダイオードに逆方向電圧を印加してn-型ドリフト領域に蓄積されたキャリアを排出する際に当該寄生ダイオードに流れる逆方向電流の電流ピークを従来構造よりも低減することができ、寄生ダイオードに印加される逆方向電圧の電圧ピークを低減することができる。
【発明の効果】
【0025】
本発明にかかる炭化珪素からなるトレンチゲート構造の縦型MOSFETによれば、積層欠陥の拡大を抑制することができるとともに、サージ電圧を低減させることができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0026】
図1】実施の形態にかかる炭化珪素半導体装置を半導体基板のおもて面側から見たレイアウトを示す平面図である。
図2図1の切断線A1-A2における断面構造を示す断面図である。
図3図1の切断線A1-A2-A3における断面構造を示す断面図である。
図4】実施例1の寄生ダイオードの逆方向電流波形を示す特性図である。
図5】実施例1の寄生ダイオードの逆方向電圧波形を示す特性図である。
図6】実施例1のシミュレーションに用いたチョッパー回路の回路構成を示す等価回路図である。
図7】実施例2のn-型SLR領域の厚さと寄生ダイオードの逆方向電流ピークとの関係を示す特性図である。
図8】実施例2のn-型SLR領域の厚さと寄生ダイオードの逆方向電圧ピークとの関係を示す特性図である。
図9】実施例3のn-型SLR領域の深さ位置を示す特性図である。
図10】n型炭化珪素エピタキシャル層のバナジウム濃度と少数キャリアライフタイムとの関係を示す特性図である。
図11】従来の炭化珪素半導体装置の構造を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下に添付図面を参照して、この発明にかかる炭化珪素半導体装置の好適な実施の形態を詳細に説明する。本明細書および添付図面においては、nまたはpを冠記した層や領域では、それぞれ電子または正孔が多数キャリアであることを意味する。また、nやpに付す+および-は、それぞれそれが付されていない層や領域よりも高不純物濃度および低不純物濃度であることを意味する。なお、以下の実施の形態の説明および添付図面において、同様の構成には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。
【0028】
(実施の形態)
実施の形態にかかる炭化珪素からなるトレンチゲート構造の縦型MOSFETの構造について説明する。図1は、実施の形態にかかる炭化珪素半導体装置を半導体基板のおもて面側から見たレイアウトを示す平面図である。図2は、図1の切断線A1-A2における断面構造を示す断面図である。図2には、活性領域10aの単位セル(素子の構成単位)を示す。図3は、図1の切断線A1-A2-A3における断面構造を示す断面図である。図3には、活性領域10aとエッジ終端領域10bとの境界付近から半導体基板30の端部(チップ端部)までを示す。
【0029】
図1~3に示す実施の形態にかかる炭化珪素半導体装置10は、炭化珪素(SiC)を半導体材料として用いた半導体基板(半導体チップ)30を用いて作製されたトレンチゲート型MOSFETであり、例えば耐圧を1.2kV程度とする場合に有用である。このMOSFETに内蔵される後述する寄生ダイオード20は、例えば当該MOSFETに逆並列に接続されるインバータ用の還流ダイオードとして用いることができる。耐圧とは、MOSFETが誤動作や破壊を起こさない範囲として許容される電圧である。
【0030】
半導体基板30は、炭化珪素を半導体材料として用いたn+型出発基板31のおもて面上に、n+型バッファ層2、n-型ドリフト領域3およびp型ベース領域(第3半導体領域)4となる各エピタキシャル層(第1,2の第1導電型エピタキシャル層および第2導電型エピタキシャル層)32~34を順に積層したエピタキシャル基板である。半導体基板30の結晶構造は、例えば炭化珪素の四層周期六方晶(4H-SiC)であってもよい。半導体基板30のp型エピタキシャル層34側の主面をおもて面として、n+型出発基板31側の主面(n+型出発基板31の裏面)を裏面とする。
【0031】
+型出発基板31およびエピタキシャル層32,33は半導体基板30の中央(チップ中央)から端部まで延在している。p型エピタキシャル層34は活性領域10aに配置され、その端部は活性領域10aとエッジ終端領域10bとの境界付近で終端している。このため、半導体基板30のおもて面の、活性領域10aの部分(以下、第1面とする)30aにp型エピタキシャル層34が露出され、エッジ終端領域10bの部分(以下、第2面とする)30bにn-型エピタキシャル層33が露出される。
【0032】
活性領域10aは、MOSFETがオン状態のときに主電流が流れる領域である。活性領域10aは、半導体基板30の例えば中央に配置される。エッジ終端領域10bは、活性領域10aの周囲を囲む。エッジ終端領域10bは、活性領域10aと半導体基板30の端部との間の領域であり、半導体基板30のおもて面側の電界を緩和して耐圧を保持する。エッジ終端領域10bには、接合終端拡張(JTE:Junction Termination Extension)構造40(図3参照)等の耐圧構造が配置される。耐圧構造は高濃度領域と低濃度領域を交互に複数重ねた空間変調構造であってもよい。
【0033】
+型出発基板31は、n+型ドレイン領域1である。n+型ドレイン領域1、n+型バッファ層2およびn-型ドリフト領域3は、半導体基板30の中央から端部にわたって一様な厚さt1~t3で設けられている。厚さが一様とは、プロセスのばらつきによって許容される誤差を含む範囲で同じ厚さであることを意味する。n+型ドレイン領域1の厚さt1および不純物濃度は、例えばそれぞれ10μm程度および6.5×1018/cm3程度である。n+型ドレイン領域1の不純物濃度は、1.0×1018/cm3~2.0×1019/cm3とするのがよい。
【0034】
エピタキシャル層32~34とn+型出発基板31との界面(以下、エピ/基板界面とする)35には、基底面転位(BPD:Basal Plane Dislocation)が存在する。n+型バッファ層2は、半導体基板30の内部にp++型コンタクト領域6、p型ベース領域4およびp+型領域22と、後述するn型電流拡散領域23、n-型ドリフト領域3、n+型バッファ層2およびn+型ドレイン領域1と、のpn接合(符号36で示す接合面)で形成される寄生ダイオード20の順方向通電時に、エピ/基板界面35およびn+型出発基板31内のBPDからエピタキシャル層32~34への積層欠陥の拡大を抑制するように設計される。
【0035】
具体的には、n+型バッファ層2は、n型ドーパントとして例えば窒素(N)(第1元素)をドープしてエピタキシャル成長させた、n+型ドレイン領域1と同じ不純物濃度以上のn+エピタキシャル層32であり、深さ方向Zにn+型ドレイン領域1に隣接する。n+型バッファ層2の少数キャリア(正孔)のライフタイム(寿命)は半導体基板30内で最も短く、例えば0.1μs(μ秒)以下程度である。n+型バッファ層2の厚さt2は、3μm~6.5μmであり、この場合、例えば3μm程度である。n+型バッファ層2の不純物濃度は、7.0×1018/cm3~2.0×1019/cm3とするのがよい。図示してないが、n+型ドレイン領域1とn+型バッファ層2の間には、1.0×1017/cm3~1.0×1018/cm3程度の不純物濃度で厚さが1μm~5μmの低濃度バッファ層を更に設けてもよい。
【0036】
-型ドリフト領域3は、n型ドーパントとして例えば窒素をドープしてエピタキシャル成長させたn-型エピタキシャル層33の、n+型バッファ層2側の部分であり、深さ方向Zにn+型バッファ層2に隣接する。n-型ドリフト領域3の厚さt3および窒素濃度は、例えばそれぞれ10μm程度および8.0×1015/cm3~1.0×1016/cm3程度である。n-型ドリフト領域3の、後述するn-型SLR領域(第1半導体領域)13を除く部分の少数キャリア(正孔)のライフタイムは例えば0.5μs程度である。
【0037】
-型ドリフト領域3は、少数キャリアライフタイムを部分的に短くした領域(以下、n-型SLR(Short LifeTime Region)領域とする)13を内部に有する。n-型SLR領域13は、n-型エピタキシャル層33のエピタキシャル成長途中にn型ドーパントとして不純物濃度が8.0×1015/cm3~1.0×1016/cm3程度となるようにドープする窒素と、更にバナジウム(V)(第2元素)を不純物として添加する、いわゆるコドープにより形成される。n-型SLR領域13は、n+型バッファ層2に接する。
【0038】
-型SLR領域13は、寄生ダイオード20の順方向通電時にn+型バッファ層2およびp型ベース領域4からそれぞれn-型ドリフト領域3に蓄積されるキャリア(電子および正孔)を低減する機能を有する。n-型SLR領域13の少数キャリアライフタイムτSLRは、例えば0.01μs以上0.1μs以下程度である。n-型SLR領域13の少数キャリアライフタイムτSLRが上記上限値を超える場合、n-型SLR領域13による蓄積キャリア低減効果を十分に得ることができない。
【0039】
また、n-型SLR領域13中のバナジウムはn-型SLR領域13中の電子をトラップ(捕獲)するため、n-型SLR領域13のバナジウム濃度が上記上限値を超えると、n-型ドリフト領域3のn型不純物濃度がn-型SLR領域13の部分で低くなり、MOSFETのオン抵抗が高くなる。n-型SLR領域13の少数キャリアライフタイムτSLRの上記下限値は、n-型SLR領域13のバナジウム濃度の上限値(例えば1×1015/cm3)以下程度で得られるライフタイムである(図10参照)。n-型SLR領域13のバナジウム濃度は、望ましくは1.1×1014/cm3~1×1015/cm3とするのがよい。
【0040】
-型SLR領域13の、n-型ドリフト領域3とn+型バッファ層2との界面からの厚さt4(以下、単にn-型SLR領域13の厚さt4とする)は、半導体基板30の中央から端部にわたって略一様である。n-型SLR領域13の厚さt4は、蓄積キャリア低減効果を十分に得られる1μm以上程度で、かつ5μm以下程度であることがよい。n-型SLR領域13の厚さt4は、望ましくは3μm以下とするのがよい。n-型SLR領域13による蓄積キャリア低減効果は、n-型SLR領域13の厚さt4が厚いほど高くなるが、5μmを超えると飽和する。
【0041】
このn-型SLR領域13による蓄積キャリア低減効果によって、寄生ダイオード20の順方向通電時にエピ/基板界面35のBPDからエピタキシャル層32~34内への積層欠陥の拡大を抑制することができる。また、n-型SLR領域13をエピ/基板界面35に近い位置に配置するほど、寄生ダイオード20の順方向通電時にn+型出発基板31に注入されるホール密度を低減させることができるため、n+型出発基板31内のBPDからエピタキシャル層32~34への積層欠陥の拡大を抑制することができる。
【0042】
-型SLR領域13の窒素濃度は、n-型ドリフト領域3の窒素濃度と同じである。n-型SLR領域13のバナジウム濃度は、n-型ドリフト領域3の窒素濃度の1/10以下程度である。具体的には、耐圧1.2kVクラスのMOSFETである場合、n-型SLR領域13のバナジウム濃度は、n-型SLR領域13の少数キャリアライフタイムτSLRが上記上限値以下となる例えば5×1013/cm3以上程度、望ましくは1.1×1014/cm3以上で、少数キャリアライフタイムτSLRの上記下限値が得られる例えば1×1015/cm3以下程度である。
【0043】
p型ベース領域4は、半導体基板30のおもて面の第1面30aとn-型ドリフト領域3との間に設けられている。p型ベース領域4は活性領域10aから外側(チップ端部側)へ後述する段差30dまで延在し、半導体基板30のおもて面の後述する第3面30cに露出されている。p型ベース領域4とn-型ドリフト領域3との間に、これらの領域に接してn型電流拡散領域23が設けられている。n型電流拡散領域23の端部は、p型ベース領域4よりも半導体基板30の中央側で終端している。
【0044】
n型電流拡散領域23は、例えば、n-型エピタキシャル層33の内部にイオン注入により形成された拡散領域である。n型電流拡散領域23は、キャリアの広がり抵抗を低減させる、いわゆる電流拡散層(CSL:Current Spreading Layer)である。n型電流拡散領域23は設けられていなくてもよい。n型電流拡散領域23が設けられていない場合、深さ方向Zにp型ベース領域4とn-型ドリフト領域3とが隣接する。以降、n型電流拡散領域23が設けられている場合を例に説明する。
【0045】
半導体基板30のおもて面の第1面30aとp型ベース領域4との間に、n+型ソース領域(第2半導体領域)5およびp++型コンタクト領域6がそれぞれ選択的に設けられている。n+型ソース領域5およびp++型コンタクト領域6は、例えば、p型エピタキシャル層34の内部にイオン注入により形成された拡散領域であり、p型ベース領域4に接し、かつ半導体基板30のおもて面の第1面30aに露出されている。p++型コンタクト領域6を設けずに、p型ベース領域4が半導体基板30のおもて面の第1面30aに露出されてもよい。
【0046】
トレンチ7は、半導体基板30のおもて面からn+型ソース領域5およびp型ベース領域4を貫通してn型電流拡散領域23に達する。トレンチ7の内部には、ゲート絶縁膜8を介してゲート電極9が設けられている。互いに隣り合うトレンチ7間(メサ領域)に、p型ベース領域4、n+型ソース領域5およびp++型コンタクト領域6がそれぞれ選択的に設けられ、これらp型ベース領域4、n+型ソース領域5、p++型コンタクト領域6、トレンチ7、ゲート絶縁膜8およびゲート電極9でトレンチゲート構造が構成される。
【0047】
メサ領域内の各領域、トレンチ7およびゲート電極9は、例えば、半導体基板30のおもて面に平行な第1方向Xに延在するストライプ状に配置されている。半導体基板30のおもて面に平行でかつ第1方向Xと直交する第2方向Yに最も外側のトレンチ7(以下、最外トレンチ7aとする)の中心は、例えば、活性領域10aとエッジ終端領域10bとの境界にある。第1方向Xに直線状に延在するn+型ソース領域5の両端部は、それぞれ、活性領域10aとエッジ終端領域10bとの境界で終端している。
【0048】
n型電流拡散領域23の内部に、互いに離れてp+型領域21,22がそれぞれ選択的に設けられている。p+型領域21,22は、例えば、n-型エピタキシャル層33の内部にイオン注入により形成された拡散領域である。p+型領域21と、p+型領域22の一部と、が同時に形成されてもよい。p+型領域21,22は、n-型ドリフト領域3に接していてもよい。p+型領域21,22は、n-型SLR領域13よりもn+型ソース領域5に近い位置に、n-型SLR領域13と離れて設けられている。
【0049】
+型領域21,22は、ソース電極(第1電極)12に電気的に接続されてソース電位に固定されており、MOSFETのオフ時に空乏化して、トレンチ7の底面にかかる電界を緩和させる機能を有する。p+型領域21は、p型ベース領域4とn型電流拡散領域23との界面よりもn+型ドレイン領域1に近い位置に、p型ベース領域4と離れて複数設けられ、深さ方向Zにそれぞれ異なるトレンチ7の底面に対向する。p+型領域22は、トレンチ7およびp+型領域21と離れてメサ領域に設けられ、p型ベース領域4に接する。
【0050】
最外トレンチ7aに深さ方向Zに対向するp+型領域21(以下、最外p+型領域21aとする)は後述する段差30dよりも外側へ延在し、半導体基板30のおもて面の第2面30bに露出されている。最外p+型領域21aは、深さ方向Zに、p+型領域22(以下、最外p+型領域22aとする)を介して、エッジ終端領域10bにおけるp型ベース領域4(p型ベース領域4の、半導体基板30のおもて面の第3面30cと、最外トレンチ7aと、の間の部分)に連結されている。
【0051】
最外p+型領域22aは、最外トレンチ7aの外側の側壁および半導体基板30のおもて面の第3面30cに露出されている。エッジ終端領域10bにおけるp型ベース領域4に、n+型ソース領域5およびp++型コンタクト領域6は設けられていない。n型電流拡散領域23が設けられていない場合、トレンチ7は半導体基板30のおもて面からn+型ソース領域5およびp型ベース領域4を貫通してn-型ドリフト領域3に達し、p+型領域21,22はn-型ドリフト領域3の内部にそれぞれ選択的に設けられる。
【0052】
層間絶縁膜11は、半導体基板30のおもて面の第1面30aの全面に設けられ、ゲート電極9を覆う。ソース電極12は、半導体基板30のおもて面の第1面30aの全面に設けられ、コンタクトホールを介してn+型ソース領域5およびp++型コンタクト領域6に接し、p型ベース領域4、n+型ソース領域5およびp++型コンタクト領域6に電気的に接続されている。p++型コンタクト領域6が設けられていない場合、ソース電極12は、p++型コンタクト領域6に代えてp型ベース領域4に接する。
【0053】
また、ソース電極12は、コンタクトホールを介して、エッジ終端領域10bにおけるp型ベース領域4に接する。ソース電極12は、半導体基板30のおもて面の第1面30a上において、後述するフィールド酸化膜44上に延在していてもよい。ソース電極パッド12aおよびゲート電極パッド15を除いて、半導体基板30のおもて面の全面がパッシベーション膜(不図示)で保護されている。ソース電極パッド12aは、ソース電極12の、パッシベーション膜(不図示)の開口部から露出する部分である。
【0054】
ゲート電極パッド15は、活性領域10aにおいて半導体基板30のおもて面の層間絶縁膜11上に、ソース電極12と離れて設けられている。ゲート電極パッド15には、ゲートランナー(不図示)を介してすべてのゲート電極9が電気的に接続されている。半導体基板30の裏面(n+型出発基板31の裏面)の全面にドレイン電極(第2電極)14が設けられている。ドレイン電極14は、n+型ドレイン領域1(n+型出発基板31)に接し、n+型ドレイン領域1に接続されている。
【0055】
エッジ終端領域10bに、例えば、エッジ終端領域10bの全域にわたってp型エピタキシャル層34が除去されることで、半導体基板30のおもて面を、活性領域10aの部分(第1面30a)よりもエッジ終端領域10bの部分(第2面30b)で低くした(ドレイン側に凹ませた)段差30dが形成されている。半導体基板30のおもて面に段差30dが形成されていることで、半導体基板30のおもて面の、段差30dよりも外側の第2面30bにn-型エピタキシャル層33が露出されている。
【0056】
半導体基板30のおもて面の第2面30bの内側(チップ中央側)に、上述したように最外p+型領域21aが露出される。半導体基板30のおもて面のうち、第1,2面30a,30bの間の部分(段差30dのメサエッジ:以下、第3面とする)30cに、上述したようにp型ベース領域4および最外p+型領域22aが露出される。半導体基板30のおもて面の第2,3面30b,30cに露出とは、半導体基板30のおもて面の第2,3面30b,30cの表面領域に配置され、フィールド酸化膜44に接することである。
【0057】
半導体基板30のおもて面の第2面30bの表面領域には、最外p+型領域21aよりも外側に、最外p+型領域21aに隣接してJTE構造40が設けられている。JTE構造40は、外側に配置されるほどp型不純物濃度を低くした複数のp型領域(ここでは2つ。以下、内側から第1,2JTE領域41,42とする)を隣接して配置した耐圧構造である。第1JTE領域41は、最外p+型領域21aの外側に隣接する。第2JTE領域42は、第1JTE領域41の外側に隣接する。
【0058】
第1,2JTE領域41,42は、例えば、n-型エピタキシャル層33の内部にイオン注入により形成された拡散領域であり、n-型SLR領域13に達しない深さで設けられている。第1,2JTE領域41,42のp型不純物濃度は、n-型エピタキシャル層33(n-型ドリフト領域3)のn型不純物濃度よりも高く、かつ最外p+型領域21aのp+型不純物濃度よりも低い。第1,2JTE領域41,42とn-型ドリフト領域3とのpn接合で、エッジ終端領域10bでの所定耐圧が確保される。符号43は、n+型チャネルストップ領域である。
【0059】
(実施例1)
次に、実施の形態にかかる炭化珪素半導体装置10のスイッチング時の動特性について検証した。図4,5は、それぞれ実施例1の寄生ダイオードの逆方向電流波形および逆方向電圧波形を示す特性図である。図6は、実施例1のシミュレーションに用いたチョッパー回路の回路構成を示す等価回路図である。図6には、上述した実施の形態にかかる炭化珪素半導体装置10(図2参照:以下、実施例1とする)の寄生ダイオード20の逆方向電流Irrの電流波形および逆方向電圧Vrの電圧波形のシミュレーションに用いたチョッパー回路50の等価回路図を示す。
【0060】
図6のチョッパー回路50は、MOSFET51、ダイオード52、配線インピーダンス53,負荷インピーダンス54、電源55、ゲート抵抗56およびドライブ回路57を備える。MOSFET51は、実施の形態にかかる炭化珪素半導体装置10(図1~3参照)を想定している。MOSFET51は、炭化珪素を半導体材料として用いた耐圧1.2kVのMOSFETであり、n-型ドリフト領域にn-型SLR領域13(図2参照)を有する。MOSFET51のドレインは、配線インピーダンス53,負荷インピーダンス54を介して電源55の正極に接続されている。MOSFET51のソースは、電源55の負極に接続されている。
【0061】
ダイオード52は、実施の形態にかかる炭化珪素半導体装置10の寄生ダイオード20を模擬している(図2参照)。ダイオード52は、炭化珪素を半導体材料として用いた耐圧1.2kVのpin(p-intrinsic-n)ダイオードであり、MOSFET51のオフ時にMOSFET51のドレインに流れる電流を還流する機能を有する。ダイオード52は、i層であるn-型ドリフト領域にn-型SLR領域13を有する。ダイオード52は、MOSFET51のドレイン・ソース間において負荷インピーダンス54に逆並列に接続されている。ダイオード52とMOSFET51のドレインとの間に配線インピーダンス53が接続されている。
【0062】
-型SLR領域13の少数キャリアライフタイムτSLRを0.03μsとした。配線インピーダンス53は、配線のインダクタンス(以下、配線インダクタンスとする)53aおよび抵抗成分(以下、配線抵抗とする)53bからなる。検証結果の計算においては、配線インダクタンス53aおよび配線抵抗53bをそれぞれ35μHおよび16.3Ωとした。負荷インピーダンス54は、負荷のインダクタンス(以下、負荷インダクタンスとする)54aおよび抵抗成分(以下、負荷抵抗とする)54bからなる。検証結果の計算においては、負荷インダクタンス54aおよび負荷抵抗54bをそれぞれ50mHおよび0.01Ωとした。
【0063】
この図6のチョッパー回路50のダイオード52を用いて、実施例1の寄生ダイオード20の逆方向電流波形および逆方向電圧波形をシミュレーションした結果をそれぞれ図4,5に示す。図4,5には、n-型SLR領域13の厚さt4をそれぞれ2.5μmおよび5.0μmとした2つの実施例1を示す。図4,5には、従来の炭化珪素半導体装置110(図11参照:以下、従来例とする)の寄生ダイオード120のシミュレーション結果も示す。図4,5の注釈には、n-型SLR領域13の有無をそれぞれ「SLR」および「SLRなし」と示し、n-型SLR領域13を有する場合に、その厚さt4を末尾に示す。
【0064】
従来例の寄生ダイオード120のシミュレーションに用いたチョッパー回路は、図6のチョッパー回路50のMOSFET51およびダイオード52それぞれに代えて、n-型SLR領域13を有していないMOSFETおよびダイオードを備える。n-型SLR領域13を有していないMOSFETは、従来の炭化珪素半導体装置110を想定している。n-型SLR領域13を有していないダイオードは、従来の炭化珪素半導体装置110の寄生ダイオード120を模擬している。従来例のシミュレーション条件は、実施例1のシミュレーション条件と同じである。
【0065】
MOSFET51のゲートに、ゲート抵抗56を介してドライブ回路57から+20Vのゲート電圧を供給してMOSFET51をオンさせると、一定の電源電圧VCCにより負荷インピーダンス54、配線インピーダンス53、MOSFET51に電流I1が流れる。続いて、MOSFET51のゲートに、ゲート抵抗56を介してドライブ回路57から-5Vのゲート電圧を供給してMOSFET51をオフすると、ダイオード52が順方向通電し、負荷インピーダンス54およびダイオード52に電流I2が流れる。その後、再度、MOSFET51をオンさせると、ダイオード52が逆バイアスされ、オン状態からオフ状態にスイッチングする。
【0066】
このとき、ダイオード52の逆回復動作過程で、ダイオード52の逆方向電流Irrの電流ピーク(最大値:以下、逆方向電流ピークとする)Irr_peakが増大するが、図4に示す結果から、実施例1は、従来例よりもダイオード52の逆方向電流ピークIrr_peakが低減されることが確認された(図4参照)。その理由は、実施例1のn-型ドリフト領域3にn-型SLR領域13が設けられていることで、従来例と比べて、ダイオード52の順方向通電時にn-型ドリフト領域3に蓄積されるキャリア(電子および正孔)を低減することができるからである。
【0067】
また、ダイオード52の逆回復動作過程で、ダイオード52のカソード・アノード間に配線インダクタンス53aに起因して、電源電圧VCCよりも大きなサージ電圧が印加される。このサージ電圧により、ダイオード52の逆方向電圧Vrの波形が発振して電源電圧VCCよりも高い電圧ピーク(以下、逆方向電圧ピークとする)Vr_peakとなるが、図5に示す結果から、実施例1は、従来例よりもダイオード52の逆方向電流ピークIrr_peakが低減されたことで、ダイオード52の逆方向電圧ピークVr_peakについても従来例よりも低減されることが確認された(図5参照)。
【0068】
(実施例2)
次に、n-型SLR領域13の厚さt4について検証した。図7,8は、それぞれ、実施例2のn-型SLR領域の厚さと寄生ダイオードの逆方向電流ピークおよび逆方向電圧ピークとの関係を示す特性図である。図7の縦軸には、実施例2の寄生ダイオード20の逆方向電流ピークIrr_peakを、上述した従来例の寄生ダイオード120の逆方向電流ピークIrr_peakを基準(=1)とした比率(=実施例2の寄生ダイオード20の逆方向電流ピークIrr_peak/従来例の寄生ダイオード120の逆方向電流ピークIrr_peak)で示す。
【0069】
図8の縦軸には、実施例2の寄生ダイオード20の逆方向電圧ピークVr_peakを、上述した従来例の寄生ダイオード120の逆方向電圧ピークVr_peakを基準(=1)とした比率(=実施例2の寄生ダイオード20の逆方向電圧ピークVr_peak/従来例の寄生ダイオード120の逆方向電圧ピークVr_peak)で示す。図7,8の横軸には、実施の形態にかかる炭化珪素半導体装置10(以下、実施例2とする)のn-型SLR領域13の厚さ(n-型ドリフト領域3とn+型バッファ層2との界面からの厚さ)t4を示す。
【0070】
-型SLR領域13の厚さt4を種々変更して、実施例2の寄生ダイオード20の逆方向電圧ピークVr_peakおよび逆方向電圧ピークVr_peakをシミュレーションした結果をそれぞれ図7,8に示す。図7,8には、n-型SLR領域13の少数キャリアライフタイムτSLRをそれぞれ0.01μs、0.03μs、0.1μsおよび0.25μsとした4つの実施例2を示す。このシミュレーションにおいても、実施の形態にかかる炭化珪素半導体装置10の寄生ダイオード20を模擬したダイオード52を備えた上述した図6のチョッパー回路50を用いた。
【0071】
図7,8に示す結果から、実施例2は、n-型SLR領域13の厚さt4を厚くするほど、従来例と比べて、寄生ダイオード20の逆方向電流ピークIrr_peakおよび逆方向電圧ピークVr_peakともに低減することができることが確認された。その理由は、実施例2のn-型ドリフト領域3にn-型SLR領域13が設けられていることで、n-型SLR領域13の厚さt4が厚くなるほど、ダイオード52の順方向通電時にn-型ドリフト領域3に蓄積されるキャリア(電子および正孔)を従来例よりも低減することができるからである。
【0072】
-型SLR領域13の厚さt4は、n-型SLR領域13の厚さt4の均一性や精度をプロセスで安定して制御することができる例えば1μm以上程度であることがよい。n-型SLR領域13の厚さt4が1μmよりも薄くなると半導体ウェハ(半導体基板30)面内や半導体ウェハ間のn-型SLR領域13の膜厚(厚さt4)差の影響が大きくなり、逆方向電流ピークIrr_peakおよび逆方向電圧ピークVr_peakが素子ごとに大きくばらついてしまうため、好ましくない。
【0073】
また、n-型SLR領域13の厚さt4が5μmを超えると、寄生ダイオード20の逆方向電流ピークIrr_peakおよび逆方向電圧ピークVr_peakともに飽和傾向にある。その理由は、n-型SLR領域13の厚さt4を5μm以上にしても、n-型ドリフト領域3中の多数キャリア(電子)密度が大きくは変化しないからである。このため、n-型SLR領域13の厚さt4の上限値は、5μm程度であることが好ましい。
【0074】
(実施例3)
次に、n-型SLR領域13の厚さt4の深さ位置について検証した。図9は、実施例3のn-型SLR領域の深さ位置を示す特性図である。上述した実施の形態にかかる炭化珪素半導体装置10の寄生ダイオード20を模擬したpinダイオード60(図2参照:以下、実施例3とする)を順方向通電したときのホール密度分布をシミュレーションした結果を図9に示す。pinダイオード60のp型アノード領域64とn-型ドリフト領域62とのpn接合面66での電流密度を室温(25℃)で500A/cm2とした。
【0075】
pinダイオード60のn+型カソード領域61、n-型ドリフト領域62、n-型SLR領域63およびp型アノード領域64は、それぞれ、実施の形態にかかる炭化珪素半導体装置10のn+型ドレイン領域1(n+型出発基板31)、n-型ドリフト領域3(n-型エピタキシャル層33)、n-型SLR領域13およびp型ベース領域4(p型エピタキシャル層34)を想定している。n+型カソード領域61の厚さおよび不純物濃度をそれぞれn+型ドレイン領域1の厚さt1および不純物濃度と同じにした。
【0076】
-型ドリフト領域62の厚さt3’、不純物濃度および少数キャリアライフタイムをそれぞれn-型ドリフト領域3の厚さt3および不純物濃度と同じにした。p型アノード領域64の厚さおよび不純物濃度をそれぞれ2μmおよび6.5×1018/cm3とした。n-型SLR領域63の厚さt4’を3μmとした。n-型SLR領域63は、p型アノード領域64とn-型ドリフト領域62とのpn接合面66(図2の寄生ダイオード20のpn接合面、すなわちp+型領域22とn型電流拡散領域23との界面に相当)からn+型カソード領域61側に6μmの距離d1で離れた深さ位置に配置した。
【0077】
したがって、n-型SLR領域63とエピ/基板界面65との間の距離d2は1μmである。実施例3のn-型SLR領域63の深さ位置は、n-型SLR領域63とエピ/基板界面65(図2のエピ/基板界面35に相当)との間に、n-型SLR領域63およびn+型カソード領域61にそれぞれ接して、実施の形態にかかる炭化珪素半導体装置10のn+型バッファ層2が配置されている場合を想定している。n-型SLR領域63の少数キャリアライフタイムτSLRを0.03μsとした。
【0078】
また、図9には、上述した従来例(図11参照)および比較例1,2のホール密度分布をシミュレーションした結果を示す。従来例が実施例3と異なる点は、n-型SLR領域63を備えない点である。比較例1,2が実施例3と異なる点は、実施例3よりもp型アノード領域64とn-型ドリフト領域62とのpn接合面66からn-型SLR領域63までの距離d1が狭い点である。比較例1,2において、p型アノード領域64とn-型ドリフト領域62とのpn接合面66からn-型SLR領域63までの距離d1は、それぞれ0μmおよび3μmとした。
【0079】
図9において、n-型ドリフト領域62のホール密度が低い箇所を含む領域がn-型SLR領域63である。比較例1,2のn-型SLR領域63の深さ位置は、図9のホール密度分布内に示す。図9の横軸はp型アノード領域64とアノード電極(不図示)との界面からの深さであり、縦軸は半導体基板内のホール密度である。図9には、実施例3および比較例1,2の注釈の末尾にp型アノード領域64とn-型ドリフト領域62とのpn接合面66からn-型SLR領域63までの距離d1を示し、従来例の注釈の末尾に「SLRなし」と示す。
【0080】
図9に示す結果から、実施例3および比較例1,2は、従来例と比べて、pinダイオード60の順方向通電時にn-型ドリフト領域62のホール密度がn-型SLR領域63内で最も低くなり、n-型ドリフト領域62の全体にわたって低減され、かつn+型カソード領域61に注入されるホール密度が低減されることが確認された。また、実施例3および比較例1,2を比較すると、n-型SLR領域63によるホール密度低減効果が最も高いのは、エピ/基板界面65に最も近い位置にn-型SLR領域63を有する実施例3であることが確認された。
【0081】
したがって、実施例3においては、n-型ドリフト領域62の内部において比較例1,2よりもエピ/基板界面65に近い位置にn-型SLR領域63を設けることで、n+型バッファ層2の厚さ(距離d2)が1μmと薄い場合であっても、pinダイオード60の順方向通電時に、エピ/基板界面65およびn+型カソード領域61(n+型出発基板)内のBPDからn-型ドリフト領域62およびp型アノード領域64(エピタキシャル層)への積層欠陥の拡大を抑制することができる。
【0082】
上記実施例2,3(図7~9参照)に記載したシミュレーション結果は、n-型SLR領域13の少数キャリアライフタイムτSLRが0.01μs以上0.1μs以下の範囲にした場合においても同様の傾向である。
【0083】
(実施例4)
次に、n型炭化珪素エピタキシャル層のバナジウム濃度と少数キャリア(ホール)ライフタイムとの関係について説明する。図10は、n型炭化珪素エピタキシャル層のバナジウム濃度と少数キャリアライフタイムとの関係を示す特性図である。図10には、エピタキシャル成長直後のn型炭化珪素エピタキシャル層の少数キャリアライフタイムτを示す。図10では、横軸にn型炭化珪素エピタキシャル層のバナジウム濃度[/cm3]を示し、縦軸にn型炭化珪素エピタキシャル層の少数キャリアライフタイムτの逆数1/τ[s-1]を示す。
【0084】
図10の縦軸の数値が大きいほど、n型炭化珪素エピタキシャル層の少数キャリアライフタイムτが短いことを示している。n型炭化珪素エピタキシャル層の少数キャリアライフタイム測定時の基板温度Tは20℃である。基板温度とは、半導体基板30(図1~3参照)の温度である。バナジウム濃度と少数キャリアライフタイムの逆数が比例関係(スロープ=1)にある。バナジウムは、n型炭化珪素エピタキシャル層内に再結合中心を形成して当該n型炭化珪素エピタキシャル層の少数キャリアライフタイムを低減させることが知られている。
【0085】
さらに発明者らは、図10に示すように、n型炭化珪素エピタキシャル層にバナジウムを添加することで、n型炭化珪素エピタキシャル層の少数キャリアライフタイムτを、低い少数キャリアライフタイムτに維持することができることを発見した。例えば、バナジウム濃度を1×1015/cm3程度とした窒素ドープのn型炭化珪素エピタキシャル層においては、少数キャリアライフタイムτを0.01μs(=10-8s)程度にすることができる。
【0086】
以上、説明したように、実施の形態によれば、n-型ドリフト領域の内部にn-型SLR領域を設けることで、MOSFETの寄生ダイオードの順方向通電時にn-型ドリフト領域に蓄積されるキャリア(電子およびホール)を低減することができる。これによって、MOSFETの寄生ダイオードに逆方向電圧を印加してn-型ドリフト領域に蓄積されたキャリアを排出する際に当該寄生ダイオードに流れる逆方向電流の電流ピークを従来構造よりも低減することができ、寄生ダイオードに印加される逆方向電圧の電圧ピークを低減することができるため、サージ電圧を低減することができる。
【0087】
また、実施の形態によれば、n-型ドリフト領域の内部にn-型SLR領域を設けることで、MOSFETの寄生ダイオードの順方向通電時にn-型ドリフト領域(エピタキシャル層)に注入されるホール密度が低減されるため、エピ/基板界面のBPDからエピタキシャル層内への積層欠陥の拡大を抑制することができる。また、n-型SLR領域をn+型バッファ層に隣接して設けることで、寄生ダイオードの順方向通電時にエピタキシャル層からn+型出発基板に注入されるホール密度を低減させることができるため、n+型出発基板内のBPDからエピタキシャル層への積層欠陥の拡大を抑制することができる。
【0088】
以上において本発明は、上述した実施の形態に限らず、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々変更可能である。例えば、n-型ドリフト領域となる窒素ドープのn-型エピタキシャル層のエピタキシャル成長途中にバナジウムを不純物として添加するコドープによってn-型SLR領域を形成することに代えて、n+型バッファ層となるn+型エピタキシャル層と、n-型ドリフト領域となるn-型エピタキシャル層と、の間に、窒素およびバナジウムをドープしてn-型SLR領域となるn-型エピタキシャル層をエピタキシャル成長させてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0089】
以上のように、本発明にかかる炭化珪素からなるトレンチゲート構造の縦型MOSFETは、電力変換装置や種々の産業用機械などの電源装置などに使用されるパワー半導体装置に有用であり、特にインバータ回路に用いるMOSFETに適している。
【符号の説明】
【0090】
1 n+型ドレイン領域
2 n+型バッファ層
3,62 n-型ドリフト領域
4 p型ベース領域
5 n+型ソース領域
6 p++型コンタクト領域
7,7a トレンチ
8 ゲート絶縁膜
9 ゲート電極
10 炭化珪素半導体装置
10a 活性領域
10b エッジ終端領域
11 層間絶縁膜
12 ソース電極
12a ソース電極パッド
13,63 n-型SLR領域
14 ドレイン電極
15 ゲート電極パッド
20 寄生ダイオード
21,21a,22,22a p+型領域
23 n型電流拡散領域
30 半導体基板
30a,30b,30c 半導体基板のおもて面(第1面~第3面)
30d 半導体基板のおもて面の段差
31 n+型出発基板
32 n+型エピタキシャル層
33 n-型エピタキシャル層
34 p型エピタキシャル層
35,65 エピ/基板界面
36,66 pn接合面
40 JTE構造
41 第1JTE領域
42 第2JTE領域
44 フィールド酸化膜
50 チョッパー回路
51 チョッパー回路のMOSFET
52 チョッパー回路のダイオード
53 配線インピーダンス
53a 配線インダクタンス
53b 配線抵抗
54 負荷インピーダンス
54a 負荷インダクタンス
54b 負荷抵抗
55 チョッパー回路の電源
56 チョッパー回路のゲート抵抗
57 チョッパー回路のドライブ回路
60 pinダイオード
61 n+型カソード領域
64 p型アノード領域
t1 n+型出発基板の厚さ
t2 n+型バッファ層の厚さ
t3 n-型ドリフト層の厚さ
t4 n-型SLR領域の厚さ
X 半導体基板のおもて面に平行な第1方向
Y 半導体基板のおもて面に平行でかつ第1方向と直交する第2方向
Z 深さ方向
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11