(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-05
(45)【発行日】2024-11-13
(54)【発明の名称】制御方法及び基板搬送モジュール
(51)【国際特許分類】
H01L 21/677 20060101AFI20241106BHJP
【FI】
H01L21/68 A
(21)【出願番号】P 2021010067
(22)【出願日】2021-01-26
【審査請求日】2023-08-09
(73)【特許権者】
【識別番号】000219967
【氏名又は名称】東京エレクトロン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 裕人
(72)【発明者】
【氏名】三木 隆寛
(72)【発明者】
【氏名】小原 美鶴
【審査官】久宗 義明
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-160544(JP,A)
【文献】特開2019-195024(JP,A)
【文献】特開2005-142185(JP,A)
【文献】特開2019-161116(JP,A)
【文献】特開2010-024484(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/677
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ファンが設けられた第1室と、
前記ファンにより前記第1室から置換ガスが送り込まれ、基板を搬送する搬送装置を含む第2室と、
前記第1室と前記第2室とを連通して前記置換ガスを循環させる循環ラインと、
前記循環ラインに設けられたバルブと、
を有する基板搬送モジュールの制御方法であって、
前記第1室内及び前記第2室内を前記置換ガスに置換する工程と、
前記ファンをオンし、前記バルブを開き、前記循環ラインを介して前記置換ガスを循環させる工程と、
を有し、
前記循環させる工程は、前記置換する工程の後に行われ、
前記置換する工程
は、前記基板搬送モジュールをガス置換モードで動作させることと、前記基板搬送モジュールを気流攪拌モードで動作させることと、を有し、
前記ガス置換モードで動作させることは、前記ファンをオフし、前記バルブを閉めることを含み、
前記気流攪拌モードで動作させることは、前記ファンをオンし、前記バルブを開くことを含み、
前記気流攪拌モードで動作させることは、前記ガス置換モードで動作させることの途中で行われる、
制御方法。
【請求項2】
前記循環させる工程は、前記ファンの回転数を階段状又は連続的に増加させるステップを含む、
請求項1に記載の制御方法。
【請求項3】
前記循環させる工程は、前記ファンの回転数を一定に保つステップを含む、
請求項1又は2に記載の制御方法。
【請求項4】
前記循環させる工程において、前記第1室内が陽圧の状態となるように制御する、
請求項1乃至3のいずれか一項に記載の制御方法。
【請求項5】
前記循環させる工程において、前記搬送装置により基板を搬送する、
請求項1乃至4のいずれか一項に記載の制御方法。
【請求項6】
前記置換する工程
は、前記基板搬送モジュールを前記気流攪拌モードで動作させてか
ら前記第2室内の湿度が予め定められた値
以下となるまで前記基板搬送モジュールを前記気流攪拌モードで動作させることを有する、
請求項1乃至5のいずれか一項に記載の制御方法。
【請求項7】
前記置換する工程及び前記循環させる工程において、前記第1室内及び/又は前記第2室内に前記置換ガスを導入するように制御し、
前記循環させる工程において前記第1室内及び/又は前記第2室内に導入する前記置換ガスの流量は、前記置換する工程において前記第1室内及び/又は前記第2室内に導入する前記置換ガスの流量よりも小さくなるように制御する、
請求項1乃至6のいずれか一項に記載の制御方法。
【請求項8】
前記置換ガスは、不活性ガス又は清浄乾燥空気である、
請求項1乃至7のいずれか一項に記載の制御方法。
【請求項9】
前記基板搬送モジュールを立ち上げる際、又は、前記基板搬送モジュールのメンテナンス後に復帰させる際に実施される、
請求項1乃至8のいずれか一項に記載の制御方法。
【請求項10】
処理室に基板を搬送する基板搬送モジュールであって、
ファンが設けられた第1室と、
前記ファンにより前記第1室から置換ガスが送り込まれ、基板を搬送する搬送装置を含む第2室と、
前記第1室と前記第2室とを連通して前記置換ガスを循環させる循環ラインと、
前記循環ラインに設けられたバルブと、
制御部と、
を有し、
前記制御部は、
前記第1室内及び前記第2室内を前記置換ガスに置換する工程と、
前記ファンをオンし、前記バルブを開き、前記循環ラインを介して前記置換ガスを循環させる工程と、
を実施するように構成され、
前記循環させる工程は、前記置換する工程の後に行われ、
前記置換する工程は、前記基板搬送モジュールをガス置換モードで動作させることと、前記基板搬送モジュールを気流攪拌モードで動作させることと、を有し、
前記ガス置換モードで動作させることは、前記ファンをオフし、前記バルブを閉めることを含み、
前記気流攪拌モードで動作させることは、前記ファンをオンし、前記バルブを開くことを含み、
前記気流攪拌モードで動作させることは、前記ガス置換モードで動作させることの途中で行われる、
基板搬送モジュール。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、制御方法及び基板搬送モジュールに関する。
【背景技術】
【0002】
置換ガスが流入する流入口を備える第1室と搬送ロボットが設けられる第2室とを有するEFEMにおいて、第1室の圧力が第2室の圧力より大きくなるように第1室と第2室との間に所定の圧力差を形成する技術が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本開示は、大気雰囲気から低湿度の環境への移行時間を短縮できる技術を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示の一態様による制御方法は、ファンが設けられた第1室と、前記ファンにより前記第1室から置換ガスが送り込まれ、基板を搬送する搬送装置を含む第2室と、前記第1室と前記第2室とを連通して前記置換ガスを循環させる循環ラインと、前記循環ラインに設けられたバルブと、を有する基板搬送モジュールの制御方法であって、前記第1室内及び前記第2室内を前記置換ガスに置換する工程と、前記ファンをオンし、前記バルブを開き、前記循環ラインを介して前記置換ガスを循環させる工程と、を有し、前記循環させる工程は、前記置換する工程の後に行われ、前記置換する工程は、前記基板搬送モジュールをガス置換モードで動作させることと、前記基板搬送モジュールを気流攪拌モードで動作させることと、を有し、前記ガス置換モードで動作させることは、前記ファンをオフし、前記バルブを閉めることを含み、前記気流攪拌モードで動作させることは、前記ファンをオンし、前記バルブを開くことを含み、前記気流攪拌モードで動作させることは、前記ガス置換モードで動作させることの途中で行われる。
【発明の効果】
【0006】
本開示によれば、大気雰囲気から低湿度の環境への移行時間を短縮できる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図6】
図5の制御方法におけるバルブ及び循環ファンの動作の一例を示す図
【
図7】
図5の制御方法におけるバルブ及び循環ファンの動作の別の一例を示す図
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、添付の図面を参照しながら、本開示の限定的でない例示の実施形態について説明する。添付の全図面中、同一又は対応する部材又は部品については、同一又は対応する参照符号を付し、重複する説明を省略する。
【0009】
〔処理システム〕
図1及び
図2を参照し、実施形態の処理システムの一例について説明する。
図1は、実施形態の処理システムの一例を示す図である。
図2は、制御装置のハードウェア構成の一例を示す図である。
【0010】
処理システム1は、トランスファモジュール10と、4つのプロセスモジュール20と、ローダモジュール30と、2つのロードロックモジュール40と、制御装置100と、を備える。
【0011】
トランスファモジュール10は、平面視において略六角形状を有する。トランスファモジュール10は、真空室からなり、内部に配置された搬送装置11を有する。搬送装置11は、プロセスモジュール20及びロードロックモジュール40にアクセスできる位置に、屈伸、昇降及び旋回可能になされた多関節アームにより形成されている。搬送装置11は、互いに反対方向へ独立して屈伸できる2つのピック12を有しており、一度に2枚のウエハWを搬送可能となっている。ウエハWは基板の一例である。なお、搬送装置11は、プロセスモジュール20及びロードロックモジュール40の間でウエハWを搬送することが可能であればよく、
図1に示される構成に限定されるものではない。
【0012】
プロセスモジュール20は、トランスファモジュール10の周りに放射状に配置されてトランスファモジュール10に接続されている。プロセスモジュール20は、処理室からなり、内部にはウエハWを載置する円柱状のステージ21を有する。プロセスモジュール20では、ステージ21に載置されたウエハWに対して成膜処理等の所定の処理が施される。トランスファモジュール10とプロセスモジュール20とは、開閉可能なゲートバルブ22で仕切られている。
【0013】
ローダモジュール30は、基板搬送モジュールの一例であり、トランスファモジュール10に対向して配置されている。ローダモジュール30は、直方体状であり、酸素濃度及び湿度が管理された搬送室である。ローダモジュール30内には、搬送装置31が配置されている。搬送装置31は、ローダモジュール30内の中心部を長手方向に沿って延びるように設けられたガイドレール32上にスライド移動可能に支持されている。ガイドレール32には、例えばエンコーダを有するリニアモータ(図示せず)が内蔵されており、リニアモータを駆動することにより搬送装置31がガイドレール32に沿って移動する。
【0014】
搬送装置31は、搬送アームとして、上下に2段に配置された2つの多関節アーム33を有している。各多関節アーム33の先端には、2股状に形成されたピック34が取り付けられている。各ピック34上には、ウエハWが保持される。各多関節アーム33は、中心から半径方向へ屈伸及び昇降可能になされている。また、各多関節アーム33の屈伸動作は、個別に制御可能となっている。多関節アーム33の各回転軸は、それぞれ基台35に対して同軸状に回転可能に連結されており、例えば基台35に対する旋回方向へ一体的に回転できるようになっている。ガイドレール32及び多関節アーム33は、ピック34を移動させる駆動機構として機能する。搬送装置31は、後述するロードロックモジュール40、搬送容器51及びアライナ60の間でウエハWを搬送する。なお、搬送装置31は、ロードロックモジュール40、搬送容器51及びアライナ60の間でウエハWを搬送することが可能であればよく、
図1に示される構成に限定されるものではない。
【0015】
ローダモジュール30内には、アライナ60が配置されている。アライナ60は、ウエハWの位置合わせを行う。アライナ60は、駆動モータ(図示せず)によって回転される回転ステージ61を有しており、回転ステージ61の上にウエハWを載置した状態で回転するようになっている。回転ステージ61の外周には、ウエハWの周縁部を検出するための光学センサ(図示せず)が設けられている。アライナ60は、光学センサにより、ウエハWの中心位置及びウエハWの中心に対するノッチの方向を検出し、ロードロックモジュール40内においてウエハWの中心位置及びノッチの方向が所定の位置及び方向となるようにウエハWを搬送する位置を調整する。
【0016】
ローダモジュール30の長手方向に沿った一の側面には、2つのロードロックモジュール40が接続されている。一方、ローダモジュール30の長手方向に沿った他の側面には、ウエハWを導入するための1又は複数の搬入口36が設けられている。図示の例では、搬入口36が3つ設けられている。各搬入口36には、開閉可能になされた開閉ドア37が設けられている。また、各搬入口36に対応させてロードポート50がそれぞれ設けられている。ロードポート50には、ウエハWを収容し搬送する搬送容器51が載置される。搬送容器51は、複数(例えば25枚)のウエハWを所定の間隔を有して多段に載置して収容するFOUP(Front-Opening Unified Pod)であってよい。
【0017】
ローダモジュール30の短手方向に沿った一の側面には、後述する循環部330が設けられている。
【0018】
ロードロックモジュール40は、トランスファモジュール10とローダモジュール30との間に配置されている。ロードロックモジュール40は、内部を真空と大気圧との間で切り換え可能な内圧可変室からなる。ロードロックモジュール40の内部には、ウエハWを載置する円柱状のステージ41が設けられている。ロードロックモジュール40は、ウエハWをローダモジュール30からトランスファモジュール10へ搬入する際、内部を大気圧に維持してローダモジュール30からウエハWを受け取った後、内部を減圧してトランスファモジュール10へウエハWを搬入する。また、ウエハWをトランスファモジュール10からローダモジュール30へ搬出する際、内部を真空に維持してトランスファモジュール10からウエハWを受け取った後、内部を大気圧まで昇圧してローダモジュール30へウエハWを搬入する。ロードロックモジュール40とトランスファモジュール10とは、開閉可能なゲートバルブ42で仕切られている。また、ロードロックモジュール40とローダモジュール30とは、開閉可能なゲートバルブ43で仕切られている。
【0019】
制御装置100は、処理システム1の各構成要素の動作を制御する。制御装置100は、
図2に示されるように、それぞれバス108で相互に接続されているドライブ装置101、補助記憶装置102、メモリ装置103、CPU104、インタフェース装置105、表示装置106等を有するコンピュータである。制御装置100での処理を実現するプログラムは、CD-ROM等の記録媒体107によって提供される。プログラムを記憶した記録媒体107がドライブ装置101にセットされると、プログラムが記録媒体107からドライブ装置101を介して補助記憶装置102にインストールされる。ただし、プログラムのインストールは必ずしも記録媒体107より行う必要はなく、ネットワークを介して他のコンピュータからダウンロードするようにしてもよい。補助記憶装置102は、インストールされたプログラム、レシピ等の必要な情報を格納する。メモリ装置103は、プログラムの起動指示があった場合に、補助記憶装置102からプログラムを読み出して格納する。CPU104は、メモリ装置103に格納されたプログラムに従って処理システム1に係る機能を実行する。インタフェース装置105は、ネットワークに接続するためのインタフェースとして用いられる。表示装置106は、各種の情報を表示すると共に、オペレータによる操作を受け付ける操作部としても機能する。
【0020】
〔ローダモジュール〕
図3を参照し、実施形態のローダモジュール30の一例について説明する。
図3は、ローダモジュール30の一例を示す図である。
【0021】
ローダモジュール30は、例えばEFEM(Equipment Front End Module)であり、処理システム1が設けられる工場内の環境より清浄度の高い空間を形成する。該空間は、例えばMini-E(Mini-Environment)であってよい。ローダモジュール30は、第1室310、第2室320、循環部330、ガス導入部340、排気部350及び制御部390を有する。
【0022】
第1室310は、第2室320の上部に接続されている。第1室310内の圧力は、第2室320内の圧力よりも低く設定される。第1室310は、流入口311、第1の圧力計312及び気流形成部313を含む。
【0023】
流入口311は、循環部330から置換ガスが流入するポートであり、流入口311を介して循環部330から第1室310内に置換ガスが導入される。本実施形態において、流入口311は第1室310の1つの側壁に形成されているが、例えば流入口311は第1室310の対向する2つの側壁に形成されていてもよく、天井に形成されていてもよい。置換ガスは、例えば窒素(N2)、アルゴン(Ar)等の不活性ガスや清浄乾燥空気(CDA:Clean Dry Air)であってよい。
【0024】
第1の圧力計312は、第1室310内の圧力を測定し、測定値を制御部390に送信する。
【0025】
気流形成部313は、循環ファン314及びフィルタ315を含む。循環ファン314は、第1室310内に設けられ、置換ガスを第1室310内から第2室320内に送り込む。フィルタ315は、循環ファン314の下方に設けられ、循環ファン314が送り込む置換ガスをろ過することにより清浄化して第2室320内に供給する。フィルタ315は、例えばULPA(Ultra-Low Penetration Air)フィルタ及びケミカルフィルタを含む。係る気流形成部313は、循環ファン314を駆動させることにより、第1室310から第2室320へ向かう清浄化された気体の下降気流を形成する。なお、気流形成部313は、循環ファン314とフィルタ315とが一体になったファンフィルタユニット(FFU)であってもよい。
【0026】
第2室320は、第1室310の下方に接続されており、内部に前述の搬送装置31が配置されている。第2室320は、循環口321、排気口322、第2の圧力計323、温度計324、露点計325及び酸素濃度計326を含む。
【0027】
循環口321は、第2室320内から循環ライン331に置換ガスを流出するためのポートであり、循環口321を介して第2室320内から循環部330に置換ガスが流出する。本実施形態において、循環口321は第2室320の1つの側壁に形成されているが、例えば循環口321は第2室320の対向する2つの側壁に形成されていてもよく、底部に形成されていてもよい。
【0028】
排気口322は、第2室320内から外部に気体を排気するためのポートであり、排気口322を介して第2室320内から気体が排気される。本実施形態において、排気口322は第2室320の側壁に形成されているが、例えば排気口322は第2室320の対向する2つの側壁に形成されていてもよく、底部に形成されていてもよい。また、例えば排気口322は循環ライン331に形成されていてもよい。
【0029】
第2の圧力計323、温度計324、露点計325及び酸素濃度計326は、それぞれ第2室320内の圧力、温度、露点温度及び酸素濃度を測定し、測定値を制御部390に送信する。
【0030】
循環部330は、第2室320内から第1室310内に置換ガスを循環させる。循環部330は、循環ライン331及び循環バルブ332を含む。
【0031】
循環ライン331は、一端が流入口311に接続され、他端が循環口321に接続されており、第1室310内と第2室320内とを連通して置換ガスを第2室320内から第1室310内へ循環させる。
【0032】
循環バルブ332は、循環口321を開閉可能に設けられており、第2室320内と循環ライン331内との連通状態を制御する。循環バルブ332を閉じると、第2室320内と循環ライン331内との連通が遮断され、第2室320内から第1室310内への置換ガスの循環が停止される。一方、循環バルブ332を開くと、第2室320内と循環ライン331内とが連通し、第2室320内から第1室310内へ置換ガスが循環する。なお、循環バルブ332は、循環ライン331の途中に介設されていてもよい。
【0033】
ガス導入部340は、循環ライン331内に置換ガスである不活性ガス及び清浄乾燥空気を導入する。ガス導入部340は、不活性ガス供給源341、不活性ガス供給管342、バルブ343、流量制御器344、CDA供給源345、CDA供給管346、流量調整弁347及びバルブ348を含む。
【0034】
不活性ガス供給源341は、不活性ガス供給管342を介して循環ライン331内に不活性ガスを供給する。不活性ガスは、例えばN2、Arであってよい。バルブ343は、不活性ガス供給管342に介設されており、不活性ガス供給管342内の流路を開閉する。流量制御器344は、不活性ガス供給管342に介設されており、不活性ガス供給管342内を流れる不活性ガスの流量を制御する。流量制御器344は、例えばマスフローコントローラ(MFC)であってよい。
【0035】
CDA供給源345は、CDA供給管346を介して循環ライン331内に清浄乾燥空気(CDA)を供給する。流量調整弁347は、CDA供給管346に介設されており、CDA供給管346内を流れる清浄乾燥空気の流量を調整する。バルブ348は、CDA供給管346に介設されており、CDA供給管346内の流路を開閉する。
【0036】
係るガス導入部340は、流量制御器344により流量が制御された不活性ガス及び流量調整弁347により流量が制御された清浄乾燥空気の少なくとも一方を循環ライン331内に供給する。
【0037】
排気部350は、第2室320内の気体を排気する。排気部350は、排気管351及び排気流量調整部352を含む。排気管351は、第2室320の排気口322に接続されている。排気流量調整部352は、排気管351に介設されており、第2室320内からの気体の排気流量を調整する。例えば、排気流量調整部352は、排気コンダクタンスが異なる2以上の排気流路を含み、排気管351と連通させる排気流路を切り替えることで排気流量を調整できるように構成される。また例えば、排気流量調整部352は、開度制御弁を含み、該開度制御弁の開度を制御することで排気流量を調整できるように構成されていてもよい。係る排気部350は、排気流量調整部352により第2室320内が所定の圧力となるように排気管351を介して第2室320内を排気する。
【0038】
制御部390は、第1の圧力計312、第2の圧力計323、温度計324、露点計325及び酸素濃度計326の少なくとも1つの測定値に基づいて、気流形成部313、ガス導入部340及び排気部350の少なくともいずれかを制御する。
【0039】
例えば、搬送装置31によりウエハWを搬送する際、制御部390は、循環ファン314を動作させると共に循環バルブ332を開き、循環ライン331を介して第1室310内と第2室320内との間で置換ガスを循環させる。また、制御部390は、第1室310の内部が陽圧の状態となるようにガス導入部340及び排気部350の少なくとも一方を調整する。例えば、制御部390は、排気部350の排気流量調整部352を制御して第2室320内を排気する排気流量を小さくすることにより、第1室310の内部を陽圧の状態に調整する。また例えば、制御部390は、ガス導入部340のバルブ348を開くと共に流量調整弁347の開度を大きくして循環ライン331を介して第1室310内に供給される清浄乾燥空気の量を増加させることにより、第1室310の内部を陽圧の状態に調整する。また例えば、制御部390は、ガス導入部340のバルブ343を開くと共に流量制御器344を調整して循環ライン331を介して第1室310内に供給される不活性ガスの量を増加させることにより、第1室310の内部を陽圧の状態に調整する。さらに、制御部390は、これらの動作を組み合わせて行ってもよい。
【0040】
図4を参照し、実施形態のローダモジュール30の別の一例について説明する。
図4に示されるローダモジュール30Aは、ガス導入部340が第1室310内に置換ガスである不活性ガス及び清浄乾燥空気を導入する点で、
図3に示されるローダモジュール30と異なる。なお、その他の構成については、
図3に示されるローダモジュール30と同じであってよい。以下、
図3に示されるローダモジュール30と異なる構成を中心に説明する。
【0041】
第1室310は、
図3に示される構成に加えて、第2の流入口316を含む。第2の流入口316は、ガス導入部340から置換ガスが流入するポートであり、第2の流入口316を介してガス導入部340から第1室310内に置換ガスが導入される。本実施形態において、第2の流入口316は第1室310の側壁のうち流入口311が形成された側壁と同じ側壁に形成されているが、例えば第2の流入口316は第1室310の側壁のうち流入口311が形成された側壁と異なる側壁に形成されていてもよい。また、例えば第2の流入口316は天井に形成されていてもよい。また、例えば第2の流入口316は第1室310の側壁及び天井のうちの複数に形成されていてもよい。
【0042】
ガス導入部340は、第1室310内に置換ガスである不活性ガス及び清浄乾燥空気を導入する。ガス導入部340は、不活性ガス供給源341、不活性ガス供給管342、バルブ343、流量制御器344、CDA供給源345、CDA供給管346、流量調整弁347及びバルブ348を含む。係るガス導入部340は、流量制御器344により流量が制御された不活性ガス及び流量調整弁347により流量が制御された清浄乾燥空気の少なくとも一方を第1室310内に供給する。
【0043】
〔制御方法〕
図5~
図7を参照し、実施形態の制御方法の一例について説明する。
図5は、実施形態の制御方法の一例を示す図である。
図6は、
図5の制御方法におけるバルブ及び循環ファンの動作の一例を示す図である。
図7は、
図5の制御方法におけるバルブ及び循環ファンの動作の別の一例を示す図である。
【0044】
図5に示される制御方法は、例えばローダモジュール30を立ち上げる際やローダモジュール30のメンテナンス後に復帰させる際に実施される。なお、
図5に示される制御方法の開始時において、ローダモジュール30は第2室320内が大気雰囲気になっているものとして説明する。
【0045】
まず、工程S11では、制御部390は、ローダモジュール30をガス置換モードで動作させる。本実施形態において、制御部390は、循環バルブ332を閉じ、循環ファン314を停止させる(オフする)。また、制御部390は、バルブ343を開き、流量制御器344の設定流量を最大値(例えば、1000L/min)に設定すると共に、排気流量調整部352を制御して排気流量を大きくする。これにより、不活性ガス供給源341から第2室320内に大流量の不活性ガスが導入され、第2室320内の大気が大流量の不活性ガスに押し出されるようにして第2室320内から高速で排気される。その結果、第2室320内が短時間で大気雰囲気から不活性ガス雰囲気に置換される。
【0046】
次いで、工程S12では、制御部390は、第2室320内の湿度が第1の値以下であるか否かを判定する。本実施形態において、制御部390は、温度計324の測定値及び露点計325の測定値に基づいて第2室320内の湿度を算出し、算出した湿度が第1の値以下であるか否かを判定する。第1の値は、例えば第2室320の容積等に応じて予め定められる値であり、例えば50ppm~500ppmであってよい。工程S12において、第2室320内の湿度が第1の値以下であると判定した場合、制御部390は処理を工程S13へ進める。一方、工程S12において、第2室320内の湿度が第1の値より大きいと判定した場合、制御部390は処理を工程S11へ戻す。すなわち、制御部390は、第2室320内の湿度が第1の値以下となるまでローダモジュール30をガス置換モードで動作させる。
【0047】
次いで、工程S13では、制御部390は、ローダモジュール30を気流撹拌モードで動作させる。本実施形態において、制御部390は、不活性ガス供給源341から第2室320内への不活性ガスの導入及び第2室320内の排気を継続した状態で、循環ファン314を駆動させる(オンする)と共に循環バルブ332を開く。これにより、第2室320内の気流が撹拌され、ガス置換モードにおいて置換されにくい第2室320内の隅に残存する大気(湿気)が第2室320外に排気される。工程S13では、制御部390は、例えば循環ファン314を低速で駆動させる。
【0048】
次いで、工程S14では、制御部390は、ローダモジュール30を気流撹拌モードで動作させてから所定時間が経過したか否かを判定する。所定時間は、例えば第2室320の容積等に応じて予め定められる時間である。工程S14において、ローダモジュール30を気流撹拌モードで動作させてから所定時間が経過したと判定した場合、制御部390は処理を工程S15へ進める。一方、工程S14において、ローダモジュール30を気流撹拌モードで動作させてから所定時間が経過していないと判定した場合、制御部390は処理を工程S13へ戻す。すなわち、制御部390は、所定時間が経過するまでローダモジュール30を気流撹拌モードで動作させる。
【0049】
次いで、工程S15では、制御部390は、ローダモジュール30を再びガス置換モードで動作させる。本実施形態において、制御部390は、不活性ガス供給源341から第2室320内への不活性ガスの導入及び第2室320内の排気を継続した状態で、循環バルブ332を閉じ、循環ファン314を停止させる。これにより、不活性ガス供給源341から第2室320内に導入される大流量の不活性ガスによって第2室320内の大気が押し出されるようにして第2室320内から高速で排気される。その結果、第2室320内が短時間で大気雰囲気から不活性ガス雰囲気に置換される。
【0050】
次いで、工程S16では、制御部390は、第2室320内の湿度が第2の値以下であるか否かを判定する。本実施形態において、制御部390は、温度計324の測定値及び露点計325の測定値に基づいて第2室320内の湿度を算出し、算出した湿度が第2の値以下であるか否かを判定する。第2の値は、例えば第2室320の容積等に応じて予め定められ、第1の値より小さい値である。第2の値は、例えば10ppm~200ppmであってよい。工程S16において、第2室320内の湿度が第2の値以下であると判定した場合、制御部390は処理を工程S17へ進める。一方、工程S16において、第2室320内の湿度が第2の値より大きいと判定した場合、制御部390は処理を工程S15へ戻す。すなわち、制御部390は、第2室320内の湿度が第2の値以下となるまでローダモジュール30をガス置換モードで動作させる。
【0051】
次いで、工程S17では、制御部390は、ローダモジュール30を循環移行モードで動作させる。本実施形態において、制御部390は、排気流量調整部352を制御して排気流量を小さくすると共に、流量制御器344の設定流量を小さくする。また、制御部390は、循環ファン314を駆動させると共に循環バルブ332を開く。これにより、不活性ガスの導入量が少なくなると共に、第1室310内と第2室320内との間で不活性ガスが循環する。工程S17では、制御部390は、
図6に示されるように、循環ファン314の回転数を低速から高速へと階段状に増加させることが好ましい。これにより、ガス置換モードから循環モードに移行する際に湿度が上昇することを抑制できる。なお、制御部390は、
図7に示されるように、循環ファン314の回転数を低速から高速へと連続的に増加させてもよい。
【0052】
次いで、工程S18では、制御部390は、ローダモジュール30を循環モードで動作させ、処理を終了させる。本実施形態において、制御部390は、循環バルブ332が開かれ、不活性ガス供給源341から第2室320内に小流量の不活性ガスが導入され、第2室320内が小さい排気流量で排気されている状態で、循環ファン314を一定の速度(低速)で駆動させる。そして、制御部390は、係る状態にて処理を終了させる。なお、ローダモジュール30が循環モードで動作している状態で、第2室320内において搬送装置31によりウエハWの搬送が行われる。
【0053】
工程S18では、制御部390は、第1室310の内部が陽圧の状態となるようにガス導入部340及び排気部350の少なくとも一方を調整することが好ましい。本実施形態において、制御部390は、排気流量調整部352を制御して第2室320内を排気する排気流量を小さくし、バルブ343を開くと共に流量制御器344を調整して循環ライン331を介して第1室310内に供給される不活性ガスの量を増加させる。これにより、第1室310の内部を陽圧の状態に設定する。ただし、制御部390は、例えば排気流量調整部352を制御して第2室320内を排気する排気流量を小さくするのみにより、第1室310の内部を陽圧の状態に設定してもよい。また、制御部390は、例えばバルブ343を開くと共に流量制御器344を調整して循環ライン331を介して第1室310内に供給される不活性ガスの量を増加させることのみにより、第1室310の内部を陽圧の状態に設定してもよい。また、制御部390は、例えばバルブ348を開くと共に流量調整弁347の開度を大きくして循環ライン331を介して第1室310内に供給される清浄乾燥空気の量を増加させることのみにより、第1室310の内部を陽圧の状態に設定してもよい。また、制御部390は、例えば排気流量調整部352の制御、バルブ343の開閉、流量制御器344の調整、流量調整弁347の調整及びバルブ348の開閉の少なくとも2つ以上を組み合わせて行うことで、第1室310の内部を陽圧の状態に設定してもよい。
【0054】
このように、工程S18において、制御部390は、第1室310の内部が陽圧の状態となるようにガス導入部340及び排気部350の少なくとも一方を調整する。これにより、ローダモジュール30の外部から第1室310内に大気が混入することを抑制できる。そのため、第1室310内と第2室320内との間で置換ガスを循環させた状態で循環ファン314を駆動させて第1室310内から第2室320内に置換ガスを送り込んだ場合であっても、第2室320内に大気が混入することを抑制できる。その結果、低湿度の環境を少ない置換ガス消費量で維持できる。
【0055】
以上に説明したように、実施形態の制御方法によれば、制御部390は、第1室310内と第2室320内との間で置換ガスを循環させることなく、第2室320内に大流量の不活性ガスを導入すると共に第2室320内を高速で排気するステップを実施する。これにより、第2室320内の湿度を短時間で低減できる。言い換えると、ローダモジュール30の立ち上げに要する時間を短縮できる。
【0056】
また、実施形態の制御方法によれば、制御部390は、工程S11と工程S15との間、すなわち、ローダモジュール30がガス置換モードで動作している途中で、所定時間だけ循環ファン314を駆動させると共に循環バルブ332を開くように制御する。これにより、第2室320内の気流が撹拌され、ガス置換モードにおいて置換されにくい第2室320内の隅に残存する大気(湿気)が第2室320外に排気される。その結果、大気雰囲気から低湿度の環境への移行時間を短縮できる。
【0057】
また、実施形態の制御方法によれば、制御部390は、ローダモジュール30の動作をガス置換モードから循環モードに移行する際、ローダモジュール30を循環移行モードで動作させる。すなわち、制御部390は、ローダモジュール30の動作をガス置換モードから循環モードに移行する際、循環ファン314の回転数を低速から高速へと増加させる。これにより、ガス置換モードから循環モードに移行する際に湿度が上昇することを抑制できる。
【0058】
なお、実施形態の制御方法では、工程S18において、不活性ガス供給源341から第2室320内に小流量の不活性ガスを導入し、第2室320内を小さい排気流量で排気する場合を説明したが、本開示はこれに限定されない。例えば、制御部390は、バルブ343を閉じると共に、排気流量調整部352を制御して排気を停止させてもよい。ただし、工程S18において、不活性ガス供給源341から第2室320内に小流量の不活性ガスを導入し、第2室320内を小さい排気流量で排気することが好ましい。これにより、ローダモジュール30の側面に設けられた搬入口36を開閉する開閉ドア37が開かれ、ロードポート50に載置された搬送容器51との間でウエハWの搬送をする際に、搬送容器51内から水分が混入しても低湿度の環境を維持できる。
【0059】
また、実施形態の制御方法では、工程S12及び工程S16において第2室320内の湿度が夫々第1の値以下及び第2の値以下であるか否かを判定する場合を説明したが、判定の対象は湿度に限定されない。例えば、判定の対象は酸素濃度であってもよく、湿度と酸素濃度の両方であってもよい。
【0060】
図8を参照し、実施形態の制御方法の別の一例について説明する。
図8は、実施形態の制御方法の別の一例を示す図である。
【0061】
図8に示される制御方法は、ローダモジュール30を気流撹拌モードで動作させてから所定時間が経過した時点で第2室320内の湿度が第3の値より大きい場合、再びローダモジュール30を気流撹拌モードで動作させる点で、
図7に示される制御方法と異なる。なお、その他の点については、
図7に示される制御方法と同じであってよい。
【0062】
工程S21は、工程S14において、ローダモジュール30を気流撹拌モードで動作させてから所定時間が経過したと判定した場合に行われる。工程S21では、制御部390は、第2室320内の湿度が第3の値以下であるか否かを判定する。本実施形態において、制御部390は、温度計324の測定値及び露点計325の測定値に基づいて第2室320内の湿度を算出し、算出した湿度が第3の値以下であるか否かを判定する。第3の値は、例えば第2室320の容積等に応じて予め定められる値であり、例えば第1の値と同じであってよい。工程S21において、第2室320内の湿度が第3の値以下であると判定した場合、制御部390は処理を工程S15へ進める。一方、工程S21において、第2室320内の湿度が第3の値より大きいと判定した場合、制御部390は処理を工程S13へ戻す。すなわち、制御部390は、第2室320内の湿度が第3の値以下となるまでローダモジュール30を気流撹拌モードで動作させる。
【0063】
以上に説明したように、
図8に示される実施形態の制御方法によれば、
図7に示される実施形態の制御方法と同様の作用効果が得られる。また、
図8に示される実施形態の制御方法によれば、工程S14における所定時間を短く設定することで、ローダモジュール30を気流撹拌モードで動作させる時間を最小限にとどめることができ、ローダモジュール30の立ち上げに要する時間を短縮できる。
【0064】
なお、
図8に示される実施形態の制御方法では、工程S12、工程S16及び工程S21において第2室320内の湿度が夫々第1の値以下、第2の値以下及び第3の値以下であるか否かを判定する場合を説明したが、判定の対象は湿度に限定されない。例えば、判定の対象は酸素濃度であってもよく、湿度と酸素濃度の両方であってもよい。
【0065】
今回開示された実施形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。上記の実施形態は、添付の請求の範囲及びその趣旨を逸脱することなく、様々な形態で省略、置換、変更されてもよい。
【符号の説明】
【0066】
30 ローダモジュール
310 第1室
314 循環ファン
320 第2室
331 循環ライン
332 循環バルブ
390 制御部