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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-06
(45)【発行日】2024-11-14
(54)【発明の名称】発光装置
(51)【国際特許分類】
   H01S 5/02253 20210101AFI20241107BHJP
   H01L 33/58 20100101ALI20241107BHJP
【FI】
H01S5/02253
H01L33/58
【請求項の数】 11
(21)【出願番号】P 2021020749
(22)【出願日】2021-02-12
(65)【公開番号】P2022123425
(43)【公開日】2022-08-24
【審査請求日】2024-01-12
(73)【特許権者】
【識別番号】000226057
【氏名又は名称】日亜化学工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000202
【氏名又は名称】弁理士法人新樹グローバル・アイピー
(72)【発明者】
【氏名】榎本 聖史
(72)【発明者】
【氏名】金澤 龍也
【審査官】高椋 健司
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2020/066868(WO,A1)
【文献】特開2020-043326(JP,A)
【文献】国際公開第2012/014798(WO,A1)
【文献】国際公開第2019/159827(WO,A1)
【文献】特開2020-043327(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2020/0301263(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01S 5/00- 5/50
H01L 33/00-33/64
F21K 9/00- 9/90
F21S 2/00-45/70
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の光及び第2の光を含む複数の光を出射する、1または複数の発光素子と、
前記1または複数の発光素子が配置される配置面と、前記第1の光及び前記第2の光が出射される光取出面と、を有するパッケージと、
前記光取出面から出射される前記第1の光の主要部分が入射し、前記第2の光の主要部分が入射しない位置で、前記パッケージの光取出面に接合される波長板と、
前記光取出面から出射され前記波長板を通過した前記第1の光、及び、前記光取出面から出射された第2の光が入射する入射面を有するレンズ部材と、
前記パッケージと前記レンズ部材との間に設けられ、前記パッケージと前記レンズ部材とを接合する1または複数の接着部と、
を備え、
前記波長板は、前記パッケージと前記レンズ部材との間に挟まれ、かつ、前記レンズ部材と接触せずに配され
前記パッケージと前記レンズ部材の間の厚み方向に関し、前記1または複数の接着部の厚みの方が、前記波長板の厚みよりも大きいことを特徴とする発光装置。
【請求項2】
第1の光及び第2の光を含む複数の光を出射する、1または複数の発光素子と、
前記1または複数の発光素子が配置される配置面と、前記第1の光及び前記第2の光が出射される光取出面と、を有するパッケージと、
前記光取出面から出射される前記第1の光の主要部分が入射し、前記第2の光の主要部分が入射しない位置で、前記パッケージの光取出面に接合される波長板と、
前記光取出面から出射され前記波長板を通過した前記第1の光、及び、前記光取出面から出射された第2の光が入射する入射面を有するレンズ部材と、
前記パッケージと前記レンズ部材との間に設けられ、前記パッケージと前記レンズ部材とを接合する1または複数の接着部と、
を備え、
前記波長板は、前記パッケージと前記レンズ部材との間に挟まれ、かつ、前記レンズ部材と接触せずに配され、
前記パッケージの内部空間に配置され、前記1または複数の発光素子から出射された光を反射する1または複数の反射部材、をさらに備え、
前記1または複数の反射部材により反射された前記第1の光及び前記第2の光が前記光取出面から出射される発光装置。
【請求項3】
第1の光及び第2の光を含む複数の光を出射する、1または複数の発光素子と、
前記1または複数の発光素子が配置される配置面と、前記第1の光及び前記第2の光が出射される光取出面と、を有するパッケージと、
前記光取出面から出射される前記第1の光の主要部分が入射し、前記第2の光の主要部分が入射しない位置で、前記パッケージの光取出面に接合される波長板と、
前記光取出面から出射され前記波長板を通過した前記第1の光、及び、前記光取出面から出射された第2の光が入射する入射面を有するレンズ部材と、
前記パッケージと前記レンズ部材との間に設けられ、前記パッケージと前記レンズ部材とを接合する1または複数の接着部と、
を備え、
前記波長板は、前記パッケージと前記レンズ部材との間に挟まれ、かつ、前記レンズ部材と接触せずに配され、
前記第1の光及び前記第2の光は、前記光取出面において、互いに偏光方向が異なっており、前記レンズ部材の入射面において、互いに偏光方向が同じである発光装置。
【請求項4】
第1の光及び第2の光を含む複数の光を出射する、1または複数の発光素子と、
前記1または複数の発光素子が配置される配置面と、前記第1の光及び前記第2の光が出射される光取出面と、を有するパッケージと、
前記光取出面から出射される前記第1の光の主要部分が入射し、前記第2の光の主要部分が入射しない位置で、前記パッケージの光取出面に接合される波長板と、
前記光取出面から出射され前記波長板を通過した前記第1の光、及び、前記光取出面から出射された第2の光が入射する入射面を有するレンズ部材と、
前記パッケージと前記レンズ部材との間に設けられ、前記パッケージと前記レンズ部材とを接合する1または複数の接着部と、
を備え、
前記パッケージの内部空間は封止されており、
前記光取出面は、前記パッケージを通過した前記第1の光を出射する領域、及び前記パッケージを通過した前記第2の光を出射する領域、を有し、
前記波長板は、前記パッケージと前記レンズ部材との間に挟まれ、かつ、前記レンズ部材と接触せずに配される発光装置。
【請求項5】
前記1または複数の発光素子は、第1の光を発する第1発光素子と、第2の光を発する第2発光素子と、を含む、請求項1乃至4のいずれか一項に記載の発光装置。
【請求項6】
前記1または複数の接着部は、前記パッケージの前記光取出面、及び、前記レンズ部材の入射面と接合する請求項1乃至のいずれか一項に記載の発光装置。
【請求項7】
前記光取出面及び前記入射面は平面である、請求項1乃至のいずれか一項に記載の発光装置。
【請求項8】
前記1または複数の接着部の上下方向の厚みは、200μm以上600μm以下である請求項1乃至のいずれか一項に記載の発光装置。
【請求項9】
前記波長板の上下方向の厚みは、100μm以上400μm以下である請求項1乃至のいずれか一項に記載の発光装置。
【請求項10】
前記波長板の上面から前記レンズ部材の入射面までの間の距離は、30μm以上200μm以下である請求項1乃至のいずれか一項に記載の発光装置。
【請求項11】
前記パッケージの内部に配置され、第3の光を発する第3発光素子、をさらに備え、
前記レンズ部材の入射面に、前記光取出面から出射された前記第3の光が入射し、
前記波長板は、前記第3の光の主要部分が入射しない位置に配置される請求項1乃至10のいずれか一項に記載の発光装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、発光装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、封止された空間を形成するパッケージと、封止空間に配置される複数の半導体レーザ素子と、レンズ部材と、複数の半導体レーザ素子のうちの少なくとも1の半導体レーザから出射された光の偏光方向を変える波長板と、を備える発光装置が開示されている。また、特許文献1では、波長板に、レンズ部材を通過した光が入射する形態の発光装置が図示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2020-43326
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
波長板のサイズの小型化が可能な発光装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
開示される発光装置は、第1の光及び第2の光を含む複数の光を出射する、1または複数の発光素子と、前記1または複数の発光素子が配置される配置面と、前記第1の光及び前記第2の光が出射される光取出面と、を有するパッケージと、前記光取出面から出射される前記第1の光の主要部分が入射し、前記第2の光の主要部分が入射しない位置で、前記パッケージの光取出面に接合される波長板と、前記光取出面から出射され前記波長板を通過した前記第1の光、及び、前記光取出面から出射された第2の光が入射する入射面を有するレンズ部材と、前記パッケージと前記レンズ部材との間に設けられ、前記パッケージと前記レンズ部材とを接合する1または複数の接着部と、を備え、前記波長板は、前記パッケージと前記レンズ部材との間に挟まれ、かつ、前記レンズ部材と接触せずに配される。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、発光素子から出射された光は、レンズ部材を通過する前に波長板を通過するため、波長板のサイズを小さくすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1図1は、実施形態に係る発光装置の斜視図である。
図2図2は、実施形態に係るパッケージの斜視図である。
図3図3は、実施形態に係るパッケージから蓋部材を除いた斜視図である。
図4図4は、実施形態に係るパッケージに波長板が設けられた状態の斜視図である。
図5図5は、実施形態に係る発光装置の上面図である。
図6図6は、実施形態に係るレンズ部材が接合されていない発光装置の上面図である。
図7図7は、実施形態に係るパッケージから蓋部材を除いた上面図である。
図8図8は、図5のVIII-VIII線における発光装置の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本明細書または特許請求の範囲において、三角形や四角形などの多角形に関しては、多角形の隅に角丸め、面取り、角取り、丸取り等の加工が施された形状も含めて、多角形と呼ぶものとする。また、隅(辺の端)に限らず、辺の中間部分に加工が施された形状も同様に、多角形と呼ぶものとする。つまり、多角形をベースに残しつつ、部分的な加工が施された形状は、本明細書及び特許請求の範囲で記載される“多角形”の解釈に含まれるものとする。
【0009】
また、多角形に限らず、台形や円形や凹凸など、特定の形状を表す言葉についても同様である。また、その形状を形成する各辺を扱う場合も同様である。つまり、ある辺において、隅や中間部分に加工が施されていたとしても、“辺”の解釈には加工された部分も含まれる。なお、部分的な加工のない“多角形”や“辺”を、加工された形状と区別する場合は“厳密な”を付して、例えば、“厳密な四角形”などと記載するものとする。
【0010】
また、本明細書または特許請求の範囲において、上下、左右、表裏、前後、手前と奥などの記載は、相対的な位置、向き、方向などの関係を述べるに過ぎず、使用時における関係と一致していなくてもよい。
【0011】
また、本明細書において、例えば構成要素などを説明するときに「部材」や「部」と記載することがある。「部材」は、物理的に単体で扱う対象を指すものとする。物理的に単体で扱う対象とは、製造の工程で一つの部品として扱われる対象ということもできる。一方で、「部」は、物理的に単体で扱われなくてもよい対象を指すものとする。例えば、1つの部材の一部を部分的に捉えるときに「部」が用いられる。
【0012】
なお、上述の「部材」と「部」の書き分けは、均等論の解釈において権利範囲を意識的に限定する意思を示すものではない。つまり、特許請求の範囲において「部材」と記載された構成要素があったとしても、そのことのみを以って、この構成要素を物理的に単体で扱うことが本発明の適用に必要不可欠であると出願人が認識しているわけではない。
【0013】
また、本明細書または特許請求の範囲において、ある構成要素が複数あり、それぞれを区別して表現する場合に、その構成要素の頭に“第1”、“第2”と付記して区別することがある。また、本明細書と特許請求の範囲とで区別する対象が異なる場合があり得る。そのため、特許請求の範囲において本明細書と同一の付記がされた構成要素が記載されていても、この構成要素によって特定される対象が、本明細書と特許請求の範囲との間で一致しないことがあり得る。
【0014】
例えば、本明細書において“第1”、“第2”、“第3”と付記されて区別される構成要素があり、本明細書において“第1”及び“第3”が付記された構成要素を特許請求の範囲に記載する場合に、見易さの観点から特許請求の範囲においては“第1”、“第2”と付記して構成要素を区別することがある。この場合、特許請求の範囲において“第1”、“第2”と付記された構成要素はそれぞれ、本明細書において“第1”“第3”と付記された構成要素を指すことになる。なお、このルールの適用対象は構成要素に限らず、その他の対象に対しても、合理的かつ柔軟に対応される。
【0015】
以下に、本発明を実施するための形態を説明する。またさらに、図面を参照しながら、本発明を実施するための具体的な形態を説明する。なお、本発明を実施するための形態は、この具体的な形態に限定されない。つまり、図示される実施形態は、本発明が実現される唯一の形態ではない。なお、各図面が示す部材の大きさや位置関係等は、理解の便宜を図るために誇張していることがある。
【0016】
<実施形態>
実施形態に係る発光装置1を説明する。図1乃至図8は、発光装置1の例示的な一形態を説明するための図面である。図1は、発光装置1の斜視図である。図2は、発光装置1におけるパッケージ10の斜視図である。図3は、パッケージ10から蓋部材12Eを除いた状態の斜視図である。図4は、パッケージ10に波長板60が設けられた状態の斜視図である。図5は、発光装置1の上面図である。図6は、レンズ部材70が接合されていない発光装置1の上面図である。図7は、図3と同様の状態の上面図である。図8は、図5のVIII-VIII断面線における断面図である。
【0017】
なお、図5においてハッチングが施してある領域は、第2接着部82を示している。また、波長板60及び第1接着部81のレンズ部材と重なっている部分を破線で示している。図6において記されている破線は、パッケージ10の内部空間の外縁である。
【0018】
発光装置1は、複数の構成要素を備えている。複数の構成要素には、パッケージ10、1または複数の発光素子20、1または複数のサブマウント30、1または複数の反射部材40、保護素子50、波長板60、レンズ部材70、及び、接着部80が含まれる。
【0019】
なお、発光装置1は、この他にも構成要素を備えていてよい。例えば、発光装置1は、発光ダイオードや半導体レーザ素子などの発光素子をさらに備えていてもよい。また、発光装置1は、ここで挙げた構成要素の一部を備えていなくてもよい。
【0020】
まず、発光装置1の各構成要素について説明する。
【0021】
(パッケージ10)
パッケージ10は、上面11A、下面11B、及び、1または複数の外側面11Cを有する。パッケージ10の形状は直方体である。上面11A、下面11B、及び、1または複数の外側面11Cはそれぞれ、直方体の外形の一部を形成する。パッケージ10は、上面視で、一方の対辺が他方の対辺よりも長い矩形の外形を有する。つまり、一方の対辺を長辺、他方の対辺を短辺とする矩形の外形を有する。なお、パッケージ10の形状は直方体でなくてもよい。
【0022】
パッケージ10には、内部に空間が形成されている。この内部空間は封止されており、実質的に内外の気体の出入りはない。またさらに、この内部空間は、気密封止されていてもよい。
【0023】
パッケージ10の内部空間を基点に、パッケージ10は、上部13A、下部13B、及び、側部13Cを有する。上面11Aは上部13Aに、下面11Bは下部13Bに、1または複数の外側面11Cは側部13Cに、それぞれ含まれる。なお、上部13A、下部13B、及び、側部13Cを、方位部と呼ぶことがある。つまり、上部13A、下部13B、及び、側部13Cのいずれも方位部である、といえる。方位部とは、内部空間を基点に、上下左右などの特定の方位にあるパッケージ10の一部分を示す。
【0024】
パッケージ10の内部空間は複数の面によって画定される。この複数の面には、上部13Aの下面、下部13Bの上面、及び、側部13Cの1または複数の内側面が含まれる。また、この複数の面には、他の構成要素が配置される配置面11Dが含まれる。例えば、下部13Bの上面を配置面11Dとすることができる。なお、配置面11Dは、その他の面であってもよい。
【0025】
パッケージ10は、透光部を有する。透光部とは、高い透光性を有する部分のことである。ここで、高い透光性を有するとは、光に対する透過率が80%以上であることをいうものとする。なお、全ての波長の光に対して80%以上の透過率を有していなくてもよい。上部13A、下部13B、または、側部13Cのうちいずれかの方位部を透光部とすることができる。
【0026】
パッケージ10は、遮光部を有する。遮光部とは、高い遮光性を有する部分のことである。ここで、高い遮光性を有するとは、光に対する透過率が10%以下であることをいうものとする。透光部となっていない方位部を遮光部とすることができる。
【0027】
配置面11Dが含まれるパッケージ10の方位部は、遮光部である。配置面11Dと対向する面が含まれるパッケージ10の方位部は、透光部である。例えば、パッケージ10の下部13Bが遮光部であり、パッケージ10の上部13Aが透光部である。
【0028】
パッケージ10は、基部材12A、及び、蓋部材12Eを有している。蓋部材12Eを基部材12Aに接合することにより、内部空間が設けられたパッケージ10が形成される。基部材12Aの、内部空間を画定する1または複数の面は、その一部または全部が高い遮光性を有している。蓋部材12Eの、内部空間を画定する1または複数の面は、その一部または全部が高い透光性を有している。
【0029】
基部材12Aは、下部13Bを有する。基部材12Aはさらに、側部13Cを有する。蓋部材12Eは、上部13Aを有する。蓋部材12Eは、側部13Cを有してもよい。上面視で、基部材12Aの外形は矩形である。上面視で、配置面11Dの外形は矩形である。なお、基部材12Aの外形、及び、配置面11Dの外形は、いずれも矩形でなくてもよい。
【0030】
パッケージ10は、凹形状の基部材12Aと、平板形状の蓋部材12Eとで構成することができる。基部材12Aの凹形状の窪み部分が、蓋部材12Eによって塞がれる。なお、基部材12Aと蓋部材12Eの形状はこれに限らない。例えば、パッケージ10は、平板形状の基部材12Aと、キャップ形状の蓋部材12Eとで構成することもできる。
【0031】
基部材12Aは、放熱部を構成する放熱部材12Bと、配線部を構成する配線部材12Cとを接合して形成することができる。放熱部材12Bは基部材12Aの下部13Bを含み、配線部材12Cは基部材12Aの側部13Cを含む。基部材12Aは、平板形状の放熱部材12Bと枠形状の配線部材12Cとで構成することができる。
【0032】
配線部材12Cは、その表面に複数の配線領域12Dを有する。配線部材12Cにおいては、その内部を通り2つの配線領域を電気的に接続する電流経路が形成される。配線領域12Dは、配線領域12D以外の配線領域と電気的に接続され得る。放熱部材12Bには、その内部を通る電流経路は形成されない。上面視及び下面視で、放熱部材12Bは配線部材12Cに囲まれる。
【0033】
放熱部材12Bは、金属を主材料として形成することができる。ここで、主材料とは、対象となる形成物において、重量または体積が最も多くの割合を占める材料をいうものとする。なお、1つの材料から対象となる形成物が形成される場合には、その材料が主材料である。つまり、ある材料が主材料であるとは、その材料の占める割合が100%となり得ることを含む。主材料に用いられる金属としては、例えば、銅、アルミニウム、鉄など、あるいは、複合物として、銅モリブデン、銅-ダイヤモンド複合材料、銅タングステンなどを用いることができる。
【0034】
配線部材12Cは、セラミックを主材料に用いて形成することができる。また、配線領域12Dは、金属を成膜して形成することができる。配線部材12Cの主材料に採用されるセラミックとしては、例えば、窒化アルミニウム、窒化ケイ素、酸化アルミニウム、炭化ケイ素などが挙げられる。
【0035】
基部材12Aは、配線部材12Cのみで形成されてもよい。例えば、図示される基部材12A全体を、セラミックを主材料に用いた配線部材12Cで形成してもよい。
【0036】
蓋部材12Eは、ガラスを主材料に用いて形成される。蓋部材12Eを形成する主材料は、高い透光性を有する材料である。蓋部材12Eは、ガラスに限らず、例えば、サファイアを主材料に用いて形成してもよい。
【0037】
(発光素子20)
発光素子20は、光が出射される光出射面を有する。発光素子20は、光出射面の1または複数の出射点から光を出射する。発光素子20の例に、半導体レーザ素子が挙げられる。なお、半導体レーザ素子に限らなくてもよい。発光素子20には、例えば、光出射面からp偏光の光を出射する発光素子、または、光出射面からs偏光の光を出射する発光素子を採用することができる。
【0038】
発光素子20には、例えば、青色の光を出射する発光素子、緑色の光を出射する発光素子、または、赤色の光を出射する発光素子を採用することができる。なお、発光素子20に、その他の色の光を出射する発光素子を採用してもよい。
【0039】
ここで、青色の光は、その発光ピーク波長が420nm~494nmの範囲内にある光をいうものとする。緑色の光は、その発光ピーク波長が495nm~570nmの範囲内にある光をいうものとする。赤色の光は、その発光ピーク波長が605nm~750nmの範囲内にある光をいうものとする。
【0040】
ここで、発光素子20に採用され得る半導体レーザ素子について説明する。半導体レーザ素子は、上面視で、一方の対辺を長辺、他方の対辺を短辺とする長方形の外形を有する。半導体レーザ素子は、下面から上面方向に活性層を含む複数の半導体層が積層されて形成される。長方形の2つの短辺のうちの一辺を含む側面が、光が出射される出射端面となる。なお、半導体レーザ素子の出射端面は、発光素子20の光出射面といえる。半導体レーザ素子の上面及び下面は、出射端面よりも面積が大きい。
【0041】
半導体レーザ素子から出射される光(レーザ光)は拡がりを有する。半導体レーザ素子の光出射面から発散光が出射される。半導体レーザ素子の出射端面と平行な面において、半導体レーザ素子から出射される光は楕円形状のファーフィールドパターン(以下「FFP」という。)を形成する。FFPとは、出射端面から離れた位置における出射光の形状や光強度分布である。
【0042】
ここで、FFPの楕円形状の中心を通る光、言い換えると、FFPの光強度分布においてピーク強度の光を、光軸を進む光、あるいは、光軸を通る光と呼ぶものとする。また、FFPの光強度分布において、ピーク強度値に対して1/e以上の強度を有する光を、主要部分の光と呼ぶものとする。
【0043】
半導体レーザ素子から出射される光のFFPの形状は、半導体レーザ素子の積層方向の方が、積層方向に垂直な方向よりも長い楕円形状である。積層方向に垂直な方向は、活性層を含む複数の半導体層の面方向ということもできる。また、FFPの楕円形状の長径方向を半導体レーザ素子の速軸方向、短径方向を半導体レーザ素子の遅軸方向という。
【0044】
ここで、半導体レーザ素子から出射される光のFFPの光強度分布に基づきピーク光強度の1/eの光強度の光が拡がる角度を、半導体レーザ素子の光の拡がり角とする。光の拡がり角は、ピーク光強度の1/eの光強度の他に、例えば、ピーク光強度の半値の光強度から求められることもある。本明細書の説明において、単に「光の拡がり角」というときは、ピーク光強度の1/eの光強度における光の拡がり角を指すものとする。
【0045】
青色の光を発する半導体レーザ素子、または、緑色の光を発する半導体レーザ素子として、窒化物半導体を含む半導体レーザ素子が挙げられる。窒化物半導体としては、例えば、GaN、InGaN、及びAlGaNを用いることができる。赤色の光を発する半導体レーザ素子として、InAlGaP系やGaInP系、GaAs系やAlGaAs系の半導体を含むものが挙げられる。
【0046】
(サブマウント30)
サブマウント30は、2つの接合面を有し、直方体の形状で構成される。サブマウント30は、上面視で、一方の対辺が他方の対辺より長い矩形の外形を有する。一方の接合面の反対側の面が、他方の接合面となっている。2つの接合面の間の距離は、他の対向する2面の間の距離よりも小さい。サブマウント30の形状は直方体に限らなくてよい。サブマウント30は、例えば、窒化ケイ素、窒化アルミニウム、又は炭化ケイ素を用いて形成することができる。
【0047】
(反射部材40)
反射部材40は、光を反射する光反射面を有する。また、光反射面は、反射部材40の下面に対して傾斜している。光反射面は、反射部材40の下面に対して垂直でも平行でもない。光反射面の下端と上端を結ぶ直線が、反射部材40の下面に対して傾斜している。下面に対する光反射面の角度、あるいは、下面に対する光反射面の下端と上端を結ぶ直線の角度を、光反射面の傾斜角と呼ぶものとする。
【0048】
図示される反射部材40において、光反射面は、平面であり、かつ、反射部材40の下面に対して45度の傾斜角を成す。なお、光反射面は平面でなくてもよく、例えば曲面であってもよい。また、光反射面は、その傾斜角が45度でなくてもよい。
【0049】
反射部材40は、上面視で、矩形の外形を有する。光反射面は、上面視で、矩形の外形を有する。上面視で、光反射面は、反射部材40の70%以上の面積を占める。
【0050】
反射部材40は、主材料に、ガラスや金属などを用いることができる。主材料は熱に強い材料がよく、例えば、石英若しくはBK7(硼珪酸ガラス)等のガラス、アルミニウム等の金属を用いることができる。また、反射部材40は、Siを主材料に用いて形成することもできる。主材料が反射性材料であれば、主材料から光反射面を形成することができる。主材料とは別に光反射面を形成する場合、例えば、Ag、Al等の金属膜やTa/SiO、TiO/SiO、Nb/SiO等の誘電体多層膜を成膜することで光反射面を形成することができる。
【0051】
光反射面は、光反射面に照射される光のピーク波長に対する反射率が90%以上である。また、この反射率は95%以上であってもよい。なお、ここでの反射率は100%以下あるいは100%未満である。
【0052】
(保護素子50)
保護素子50は、特定の素子(例えば発光素子20)に過剰な電流が流れて破壊されてしまうことを防ぐためのものである。保護素子50としては、例えば、ツェナーダイオードがあげられる。また、ツェナーダイオードとしては、Siで形成されたものを採用できる。
【0053】
(波長板60)
波長板60は、入射する光に対し、出射する光の偏光状態を変化させる。波長板60には、例えば、直線偏光の偏光方向を回転させる1/2波長板や、直線偏光を円偏光に変換する1/4波長板などがある。波長板60には、例えば、1/2波長板を採用することができる。
【0054】
波長板60は、平板の形状で形成される。また、波長板60は、上面視でみた形状が長方形である。なお、長方形でなくてもよいが、例えば、楕円形などのように、一方が他方より長い形状をしている。上面視でみて最大長となる直線の方向を波長板60の長手方向、上面視でみて長手方向に垂直な方向を波長板60の短手方向とする。長方形の形状の例では、長辺方向が長手方向、短辺方向が短手方向となる。
【0055】
波長板60の厚みは、100μm以上400μm以下である。なお、ここでの厚みとは、上下方向の厚みである。波長板60の長手方向の最大長、及び、短手方向の最大長はいずれも、波長板60の厚みより大きい。
【0056】
(レンズ部材70)
レンズ部材70は、上面70B、下面70C、側面、及び、1または複数のレンズ面70Aを有する。1または複数のレンズ面70Aは、上面70B側に設けられる。なお、下面70C側に設けられてもよい。上面70B及び下面70Cは平面である。1または複数のレンズ面70Aは、上面70Bと交わる。1または複数のレンズ面70Aは、上面視で上面70Bに囲まれる。上面視で、レンズ部材70は、矩形の外形を有している。レンズ部材70の下面は矩形である。
【0057】
ここで、レンズ部材70において、上面視で1または複数のレンズ面70Aと重なる部分をレンズ部75Aとする。レンズ部材70において、上面視で上面70Bと重なる部分を非レンズ部75Bとする。レンズ部75Aを、上面70Bを含む仮想的な平面で二分したときのレンズ面70A側をレンズ形状部、下面70C側を平板形状部とする。レンズ部75Aの下面は、下面70Cの一部分である。レンズ部材70において、下面70Cは、レンズ部75Aの下面及び非レンズ部75Bの下面で構成される。
【0058】
図示されるレンズ部材70は、複数のレンズ面70Aを有している。また、複数のレンズ面70Aは、一方向に連なって形成される。レンズ部材70は、3つのレンズ面70Aを有し、この3つレンズ面70Aの頂点が一直線上に設けられるように形成される。
【0059】
ここで、上面視で、複数のレンズ面70Aが並ぶ方向を連結方向というものとする。複数のレンズ面70Aは、上面視で、連結方向の長さが、この方向に垂直な方向の長さよりも大きい。なお、複数のレンズ面70Aは、上面視で、連結方向の長さが、この方向に垂直な方向の長さより小さくてもよい。図示されるレンズ部材70では、3つのレンズ面70Aで構成される複数のレンズ面70Aでみた場合に、前者の大小関係が該当し、2つのレンズ面70Aで構成される複数のレンズ面70Aでみた場合に、後者の大小関係が該当する。
【0060】
レンズ部材70は、高い透光性を有する。レンズ部材70は、レンズ部75A及び非レンズ部75Bのいずれにおいても高い透光性を有する。また、レンズ部材70は、全体として、高い透光性を有する。レンズ部材70は、例えば、BK7等のガラスを用いて形成することができる。
【0061】
(接着部80)
接着部80は、接合処理が行われた後の、固まった状態の接着剤である。接着部80の接着剤には、例えば、樹脂を含む接着剤が用いられる。このような接着剤には、例えば、紫外線硬化樹脂や、熱硬化樹脂が挙げられる。接着剤は複数箇所に塗布されてもよい。従って、接合処理によって複数の接着部80が形成され得る。接合処理に用いられる接着剤は、1種類に限らなくてもよい。例えば、複数種類の接着剤が、異なる位置に塗布される。
【0062】
(発光装置1)
次に、上述した各構成要素を備える発光装置1について説明する。
【0063】
発光装置1が備える1または複数の発光素子20は、第1の光を出射する第1発光素子21と、第2の光を出射する第2発光素子22とを含む、複数の発光素子20で構成することができる。また、1または複数の発光素子20は、第3の光を出射する第3発光素子23をさらに含む、複数の発光素子20で構成することができる。
【0064】
1または複数の発光素子20は、パッケージ10の内部空間に配置される。1または複数の発光素子20は、配置面11Dに配置される。発光素子20が気密封止された内部空間に配置されることにより、発光素子20の集塵による品質劣化が抑制される。
【0065】
1または複数の発光素子20はそれぞれ、その光出射面が側方を向くように配置される。1または複数の発光素子20はそれぞれ、その光出射面がパッケージ10の1の内側面を向くように配置される。以降、発光素子20の光出射面と向かい合う内側面を、光出射側の内側面と呼ぶものとする。1または複数の発光素子20はそれぞれ、その光出射面がパッケージ10の長辺に係る側部13Cを向くように配置される。
【0066】
パッケージ10の一対の長辺のうちの一方の長辺に係る側部13Cに光出射面が向けられ、他方の長辺に係る側部13Cに光出射面と反対側の面が向けられる。光出射面と交わる発光素子20の2つの側面が、パッケージ10の一対の短辺に係る側部13Cを向くように配置される。
【0067】
1または複数の発光素子20には、上面視で、その光出射面がパッケージ10の長辺と平行である発光素子20が少なくとも1以上含まれる。1または複数の発光素子20には、その光出射面が配置面11Dに垂直である発光素子20が少なくとも1以上含まれる。1または複数の発光素子20には、このいずれの条件も満たす発光素子20が少なくとも1以上含まれる。
【0068】
複数の発光素子20は、それぞれの光出射面が同じ方向を向くようにして、並べて配置される。なお、ここでの同じ方向とは、上面視で、隣り合う発光素子20同士の光出射面の、配置面11Dに平行な平面方向の回転ずれが、±10度以内の範囲にある場合を含む。上面視で、複数の発光素子20は、パッケージ10の長手方向または長辺方向に並べて配置される。隣り合う発光素子20は、0.2mm以上2mm以下の距離を空けて、配置される。
【0069】
上面視で、1または複数の発光素子20における長辺方向の長さの最大長は、この長辺方向に平行な方向の配置面11Dの長さに対して、30%以上70%以下の割合となる。この条件を満たすことで、パッケージ10のサイズの小型化に寄与することができる。
【0070】
配置面11Dを光出射面に垂直な直線によって等しく二分したときの一方の領域に、並べて配置される複数の発光素子20の両端のうちの一端に位置する発光素子20が配置され、他方の領域に他端の発光素子20が配置される。配置面11Dを光出射面に垂直な直線によって発光素子20が並ぶ数で等分したときの各領域に、1の発光素子20が配置される。このように配置することで、配置面11Dに効率的に複数の発光素子20を配置することができる。
【0071】
複数の発光素子20の光出射面は、1つの平面上に配置され得る。つまり、複数の発光素子20は、光出射面を揃えて配置される。光出射面に平行な直線であって、上面視でみたパッケージ10の面積を等しく二分する直線は、上面視で複数の発光素子20を通過する。
【0072】
1または複数の発光素子20によって、複数の光が出射される。言い換えると、1または複数の発光素子20は複数の光を出射する、といえる。複数の光は、1または複数の発光素子20が有する1または複数の光出射面から出射される。複数の光は、1または複数の光出射面から側方に進む。複数の光はそれぞれ、異なる出射点から出射される。複数の光は、赤色の光、緑色の光、及び、青色の光を含んで構成することができる。
【0073】
1または複数の光出射面から出射される複数の光の光軸は互いに平行である。配置面11Dに垂直な方向を速軸方向とするFFPの光が、光出射面から側方に出射される。いずれの発光素子20も、遅軸方向の拡がり角は20度以下である。なお、拡がり角は0度より大きい角度である。
【0074】
複数の光には、互いに偏光方向の異なる2つの光が含まれる。複数の光には、p偏光の光とs偏光の光が含まれる。p偏光またはs偏光のうちの一方の偏光方向の光が、第1発光素子21の光出射面から出射され、他方の偏光方向の光が、第2発光素子22の光出射面から出射される。複数の光には、互いに発光ピーク波長が異なる2つの光が含まれる。複数の光には、発光色および偏光方向が互いに異なる2つの光が含まれる。複数の光には、少なくとも青色あるいは赤色の光が含まれる。
【0075】
複数の発光素子20のうち、温度上昇に伴う光量の減少が最も大きい発光素子20が、一方の端に配置される。また、その次に温度上昇に伴う光量の減少が大きい発光素子20は、他方の端に配置され得る。このように配置することで、2つの発光素子20に挟まれてこれらの発光素子20よりも温度上昇に伴う光量の減少が大きい発光素子20が配置される場合と比べて、より温度上昇に伴う光量の減少が大きい発光素子20に対する放熱性を向上させることができる。
【0076】
図示される発光装置1は、1または複数の発光素子20が3つの発光素子20で構成される発光装置1の例である。いずれの発光素子20も半導体レーザ素子である。3つの発光素子20は、赤色の光を出射する第1発光素子21、緑色の光を出射する第2発光素子22、及び、青色の光を出射する第3発光素子23で構成される。第2発光素子22が、第1発光素子21と第3発光素子23の間に位置するように並べて配置される。第1発光素子21は光出射面からs偏光の光を出射し、第2発光素子22及び第3発光素子23は光出射面からp偏光の光を出射する。第1発光素子21が、光量の温度特性が最も悪い発光素子20に該当する。
【0077】
1または複数の発光素子20は、1または複数のサブマウント30に接合される。サブマウント30は、一方の接合面において発光素子20を接合し、他方の接合面において配置面11Dに接合される。このように、発光素子20は、サブマウント30を介して、配置面11Dに配置することができる。
【0078】
サブマウント30は発光素子20に1対1で設けられる。つまり、発光素子20の数と同数のサブマウント30が配置される。なお、1つのサブマウント30に複数の発光素子20が配されてもよい。
【0079】
複数のサブマウント30には、上面視で、互いに大きさの異なる2以上のサブマウント30が含まれる。大きさの異なる2つのサブマウント30のうち、より面積の大きなサブマウント30に、第1発光素子21が接合される。これにより、第1発光素子21に対する放熱性を高めることができる。
【0080】
1または複数の反射部材40が、パッケージ10の内部空間に配置される。1または複数の反射部材40は、配置面11Dに配置される。1または複数の反射部材40は、1または複数の光反射面を有している。複数の光は、1または複数の光反射面により反射される。光反射面は、光軸を通る光の進行方向に対して45度の角度で傾いている。反射された複数の光は、1または複数の光反射面から上方に進む。1または複数の光反射面には、複数の光の主要部分が照射される。
【0081】
反射部材40は発光素子20に1対1で設けられる。つまり、発光素子20の数と同数の反射部材40が配置される。いずれの反射部材40も、大きさ及び形状は同じである。1つの反射部材40の光反射面に、1つの発光素子20からの主要部分の光が照射される。なお、1つの反射部材40の光反射面に複数の発光素子20からの主要部分の光が照射されてもよい。
【0082】
上面視で、反射部材40の、対応する発光素子20の長辺に平行な方向の長さは、この長辺方向に平行な方向の配置面11Dの長さに対して、15%以上40%以下の割合となる。この条件を満たすことで、パッケージ10のサイズの小型化に寄与することができる。
【0083】
上面視で、1または複数の発光素子20における長辺方向の長さの最大長と、この最大長の発光素子20に対応する反射部材のこの長辺方向に平行な方向の長さとの和は、この長辺方向に平行な方向の配置面11Dの長さに対して、65%以上95%以下の割合となる。この条件を満たすことで、パッケージ10のサイズの小型化に寄与することができる。
【0084】
反射部材40の光反射面は、照射された主要部分の光の90%以上を反射する。なお、発光装置1は、反射部材40を有していなくてもよい。この場合、例えば、発光素子20の出射端面が上面を向く。
【0085】
複数の反射部材40は、上面視で、パッケージ10の長辺方向に並べて配置されている。複数の光軸を通る光が光反射面に照射される照射点は、上面視で一直線上に位置する。この直線は、パッケージ10の長辺方向に平行である。1または複数の光反射面により反射された複数の光の光軸は互いに平行である。
【0086】
図示される発光装置1の例では、上面視で、光出射面に平行な方向の長さについて、第1発光素子21が接合されるサブマウント30の方が、第1発光素子21に対応する反射部材40よりも大きい。またさらに、光出射面に平行な方向の長さについて、第2発光素子22または第3発光素子23が接合されるサブマウント30の方が、第2発光素子22または第3発光素子23に対応する反射部材40よりも小さい。またさらに、3つの反射部材は光出射面に平行な方向の長さが同じである。このような条件を満たすことにより、放熱性に配慮しつつ、発光装置1の小型化を図ることができる。
【0087】
1または複数の保護素子50が、パッケージ10の内部空間に配置される。1または複数の保護素子50は、配線部材12Cに配置される。1または複数の保護素子50は、配線領域12Dと電気的に接続する。
【0088】
保護素子50は発光素子20に1対1で設けられる。保護素子50は、対応する発光素子20を保護するために設けられる。1または複数の保護素子50は、上面視で、対応する発光素子20よりも外側に配置される。
【0089】
図示される発光装置1の例では、複数の保護素子50が設けられている。パッケージ10の一対の短辺に係る側部13Cに、第1発光素子21及び第3発光素子23に対応する2つの保護素子50が配置される。パッケージ10の長辺に係る側部13Cであって光出射側とは反対側の側部13Cに、第2発光素子22に対応する保護素子50が配置される。このように配置することで、各発光素子20に近い位置に対応する保護素子50を配置することができる。
【0090】
複数の光は、透光部を通過して、パッケージ10の外部へと出射される。1または複数の反射部材40により反射された複数の光が光取出面から出射される。発光素子20から出射された主要部分の光の90%以上がパッケージ10の光取出面から外部へと出射される。パッケージ10の外部へと出射される複数の光には、パッケージ10の光取出面において偏光方向が互いに異なる2つの光が含まれる。複数の光が出射されるパッケージ10の光取出面において、複数の光の主要部分は、互いに重ならない。
【0091】
図示される発光装置1において、複数の光は、パッケージ10の上部13Aを通過して、パッケージ10の外部へと出射される。つまり、上部13Aの上面が、パッケージ10の光取出面となっている。複数の光が出射されるパッケージ10の光取出面において、複数の光の遅軸方向は同じであり、かつ、速軸方向も同じである。パッケージ10の光取出面における遅軸方向は、パッケージ10の長辺方向と同じである。複数の光軸を通る光がパッケージ10の光取出面を通る通過点は、上面視で一直線上に位置する。この直線は、パッケージ10の長辺方向に平行である。パッケージ10の光取出面において、第1の光と第2の光の偏光方向は互いに異なる。パッケージ10の光取出面において、第2の光と第3の光の偏光方向は互いに同じである。
【0092】
なお、互いの偏光方向が同じとは、実質的に偏光方向が揃っているといえる状態を指す。また、互いの偏光方向が異なるとは、実質的に偏光方向が揃っているとはいえない程度以上に偏光方向が異なっている状態を指す。例えば、図示される発光装置1では、第2の光と第3の光の偏光方向の相対的な角度差は10度以内にあり、これが、実質的に偏光方向が揃った状態を示す条件となっている。
【0093】
波長板60は、パッケージ10の光取出面に配置される。波長板60は、パッケージ10の光取出面に接合される。波長板60の厚み方向がパッケージ10の光取出面に垂直な方向となるように、波長板60は配置される。波長板60は、蓋部材12Eの上面に接合される。波長板60は、接着剤によって、パッケージ10に接合される。この接合処理によって、波長板60及びパッケージ10に接する接着部80が形成される。
【0094】
パッケージ10の光取出面から出射された光は、パッケージ10の光取出面と対向する波長板60の面に入射する。この波長板60の入射面に入射した光は、入射面と反対側の出射面から出射される。なお、少なくとも1以上の光の主要部分は、波長板60には入射しない。波長板60は、パッケージ10の光取出面から出射される第1の光の主要部分が入射し、第2の光の主要部分が入射しない位置に配置される。波長板60を通る光は、波長板60を通らずにパッケージ10の光取出面から出射された光と同じ偏光方向となって波長板60から出射される。
【0095】
波長板60は、1以上の光の主要部分が波長板60を通過するように配置される。波長板60は、1つの色の光の主要部分が波長板60を通過するように配置される。波長板60は、1または複数の発光素子20のうち、1以上の特定の発光素子20に対応して設けられる。1以上の特定の発光素子20は、発光装置1に備わる発光素子20の数の半数以下の発光素子20で構成される。
【0096】
上面視で、パッケージ10の長辺の中点を通り、短辺方向に平行な仮想線が通過しない位置に波長板60は配置される。波長板60は、端に配置される発光素子20に対応して設けられる。これにより、放熱性を考慮して端に配置された発光素子20の偏光方向を変えることができる。波長板60は、1つの発光素子20から出射された光の主要部分が波長板60を通過するように配置される。
【0097】
波長板60は、パッケージ10の光取出面に平行な平面視で、波長板60を通過する主要部分の光を出射する発光素子20と重なる位置に配置される。波長板60は、その長手方向を、波長板60に入射する光のFFPの長径方向に合わせて配置される。
【0098】
互いに異なる偏光方向の光を発し、隣り合って配置される2つの発光素子20のうち、一方の発光素子20から出射された主要部分の光が波長板60に入射する一方で、他方の発光素子20から出射された主要部分の光は波長板60に入射しない。波長板60は、パッケージ10の光取出面に平行な平面視で、複数の発光素子20のうち1の発光素子20のみと重なる位置に配置される。
【0099】
波長板60は、パッケージ10の光取出面に平行な平面視で、波長板60を通過する主要部分の光を反射する反射部材40と重なる位置に配置される。波長板60は、パッケージ10の光取出面に平行な平面視で、複数の反射部材40のうち1の反射部材40のみと重なる位置に配置される。
【0100】
上面視で、波長板60の長手方向の両端のうちの一端がパッケージ10の側部13Cと重なり、他端は重ならない。上面視で、波長板60の長手方向の両端の中点が反射部材40と重なる。少なくともいずれかの条件を満たす波長板60の形状とすることで、波長板60の大きさを抑えることができる。
【0101】
波長板60を接合する接着部80は、波長板60の下面の一部の領域と接する。なお、接着部80が波長板60の下面の全面と接するように接着剤を設けてもよい。波長板60を接合する1または複数の接着部80が、パッケージ10の光取出面の上に形成される。図示される発光装置1では、波長板60を接合する接着部80が、波長板60の長手方向の両端部分にそれぞれ1箇所ずつ形成されている。
【0102】
波長板60の長手方向に関し、両端部分の接着部80のそれぞれが波長板60に接する領域の長さの合計は、波長板60の長手方向の長さの10%以上50%以下となる。この条件を満たすことで、波長板60を安定的に接合し、かつ、波長板60を通る主要部分の光の光路上を避けて接着部80を形成することができる。
【0103】
上面視で、波長板60の短手方向の長さは、隣り合って並ぶ発光素子20の発光点間の距離よりも小さい。波長板60の出射面におけるFFPの短径の長さに対して、波長板60の短手方向の長さは1.1倍以上2倍以下の範囲にあるのが好ましい。これにより、後述されるレンズ部材に係る接着部80に、波長板60を接触させないようにして実装することができ、発光装置1の品質をより安定させることができる。なお、波長板60の接合のための接着部80を第1接着部81、レンズ部材70の接合のための接着部80を第2接着部82と呼ぶものとする。
【0104】
上面視で、波長板60の出射面におけるFFPの短径方向において、波長板60の長さは、この波長板60に対応する発光素子20の長さよりも大きく、この発光素子20が接合されるサブマウント30の長さよりは小さい。またさらに、同方向において、波長板60の長さは、サブマウント30の長さの3倍以下であることが好ましい。これにより、発光素子20に対する放熱性を確保するサブマウント30の形状としつつ、これらの構成要素を発光装置1の小型化に適したサイズとすることができる。
【0105】
図示される発光装置1の例では、波長板60は、第1発光素子21から出射される第1の光の主要部分が入射する位置に配置される。波長板60は、第2発光素子22から出射される第2の光の主要部分が入射しない位置に配置される。波長板60は、第3発光素子23から出射される第3の光の主要部分が入射しない位置に配置される。波長板60は、上面視で、パッケージ10の短辺に沿った側部13Cとは重ならない。波長板60の一部が、上面視で、パッケージ10の長辺に沿った側部13Cと重なる。
【0106】
レンズ部材70はパッケージ10の光取出面の上方に配置される。レンズ部材70は、パッケージ10に接合される。レンズ部材70は、蓋部材12Eに接合される。パッケージ10の光取出面から出射された複数の光は、レンズ部材70の入射面に入射する。レンズ部材70の入射面に入射した複数の光は、1または複数のレンズ面70Aから出射される。
【0107】
レンズ部材70は、上面視で、1または複数のレンズ面70Aのそれぞれが、互いに異なる発光素子20と重なるように配置される。1または複数のレンズ面70Aのそれぞれから、互いに異なる発光素子20から出射された主要部分の光が出射される。1のレンズ面70Aに1の発光素子20が対応し、各レンズ面70Aから、対応する発光素子20からの光が出射される。
【0108】
レンズ部材70は、上面視で、波長板60が1のレンズ面70Aと重なるように配置される。レンズ部材70は、上面視で、波長板60が2以上のレンズ面70Aと重ならないように配置され得る。これにより、波長板60を通過した光の多くをレンズ面70Aから出射させることができる。レンズ部材70は、上面視で、波長板60が非レンズ部75Bと重ならないように配置され得る。これにより、波長板60の大きさを、小さくすることができる。
【0109】
第1接着部81は、上面視で、レンズ部材70のレンズ部75A及び非レンズ部75Bと重なる領域に形成される。波長板60の両端部分にそれぞれ形成された第1接着部81はいずれも、上面視で、レンズ部材70のレンズ部75A及び非レンズ部75Bと重なる領域に形成される。このような条件を満たすように波長板60及びレンズ部材70の形状を規定することで、発光装置1の小型化に寄与することができる。
【0110】
レンズ部材70の入射面には、波長板60を通過した主要部分の光と、波長板60を通過しない主要部分の光と、が入射する。パッケージ10の光取出面において互いに偏光方向が異なっていた複数の光は、同じ偏光方向となって、レンズ部材70の入射面に入射する。図示される発光装置1において、レンズ部材70の入射面における第1の光と第2の光の偏光方向は互いに同じである。レンズ部材70の入射面における第1の光、第2の光、及び第3の光の偏光方向は互いに同じである。
【0111】
レンズ部材70の入射面には、パッケージ10の光取出面から出射され波長板60を通過した第1の光、及び、パッケージ10の光取出面から出射された第2の光が入射する。少なくとも第2の光の主要部分は、波長板60を通過しない。レンズ部材を通過させた後の光を波長板に通過させる場合と比べ、レンズ部材70を通過する前に波長板60を通過させることで、波長板60を通過する光の照射領域を小さくすることができ、波長板60のサイズを小さくすることができる。
【0112】
パッケージ10の光取出面から外部へと出射する光は、レンズ部材70の入射面に入射して、レンズ部材70の出射面から出射する。また、接着部80は、パッケージ10の光取出面とレンズ部材70の入射面との間で、レンズ部材70に接合される。
【0113】
レンズ部材70は、第2接着部82を介して、パッケージ10に固定される。第2接着部82がパッケージ10の上面に形成され、その上にレンズ部材70が配置される。第2接着部82は、パッケージ10とレンズ部材70とに接合する。第2接着部82は、パッケージ10の光取出面とレンズ部材70の入射面とに接合する。
【0114】
波長板60は、パッケージ10とレンズ部材70との間に挟まれる。波長板60は、レンズ部材70とは接触しない。つまり、レンズ部材70は、波長板60の上に載置するようにして実装されるのではなく、波長板60と接触しないように第2接着部82を介してパッケージ10と接合する。なお、レンズ部材70は波長板60と接してもよいが、製造上の精度を考慮するとレンズ部材70と波長板60が接しないような発光装置1の設計が好ましい。
【0115】
第2接着部82の上下方向の厚みは、200μm以上600μm以下である。パッケージ10の上面とレンズ部材70の下面の間の距離は、200μm以上600μm以下である。パッケージ10の光取出面及びレンズ部材70の入射面は平面である。第2接着部82の厚みの方が、波長板60の厚みよりも大きい。このように、接着剤による第2接着部82の厚みによって波長板60を配置できるだけの間隔が確保されることで、パッケージ10またはレンズ部材70の形状をシンプルにすることができる。例えば、波長板60を配置できるだけの間隔を確保するためにパッケージ10に凸部を形成したり、レンズ部材70に下凸部を形成したりする必要がなくなる。なお、パッケージ10やレンズ部材70に、このような凸部や下凸部が形成されていてもよい。
【0116】
波長板60の上面からレンズ部材70の入射面までの間の距離は、30μm以上200μm以下である。下限値の30μmは、波長板60との接触を避けるために設定される一例の値であり、30μm未満であってもよい。波長板60とレンズ部材70との距離が大きくなると、その分だけ主要部分の光の照射形状は大きくなるため、この観点から上限値を200μmに定めることが望ましい。
【0117】
上面視で、レンズ面70Aの光軸と、反射部材40により反射された光の光軸は重なる。なお、ここでの重なるとは、少なくとも、レンズ面70Aに照射される光の光軸上の点からFFPの1/10の形状の範囲内にレンズ面70Aの光軸があるという条件を満たす。
【0118】
長辺方向の長さが最大長の発光素子20から光出射側とは反対側の内側面までの距離は、この発光素子20に対応する反射部材40から光出射側の内側面までの距離よりも短い。このように配置することで、側部13Cから十分に離れた位置に反射された光の光軸を設けることができ、レンズ部材70をパッケージ10に実装しやすくなる。
【0119】
第2接着部82は、パッケージ10の光取出面の周縁部分に設けられる。第2接着部82は、複数箇所に形成される。第2接着部82は、パッケージ10の矩形の光取出面の四隅に形成される。第2接着部82は、レンズ部材70の矩形の下面の四隅に形成される。第2接着部82と第1接着部81とは接触しない。このように、第2接着部82を周縁全体ではなく部分的に複数箇所に設け、第1接着部81との接触を避けることで、レンズ部材70を安定して接合させることができる。
【0120】
以上、本発明に係る実施形態を説明してきたが、本発明に係る発光装置は、実施形態の発光装置に厳密に限定されるものではない。つまり、本発明は、実施形態により開示された発光装置の外形や構造に限定されなければ実現できないものではない。また、全ての構成要素を必要十分に備えることを必須とせずに適用され得るものである。例えば、特許請求の範囲に、実施形態により開示された発光装置の構成要素の一部が記載されていなかった場合、その一部の構成要素については、代替、省略、形状の変形、材料の変更などの当業者による設計の自由度を認め、その上で特許請求の範囲に記載された発明が適用されることを特定するものである。
【産業上の利用可能性】
【0121】
各実施形態に記載の発光装置は、プロジェクタ、車載ヘッドライト、ヘッドマウントディスプレイ、照明、ディスプレイ等に使用することができる。
【符号の説明】
【0122】
1 発光装置
10 パッケージ
11A 上面
11B 下面
11C 外側面
11D 配置面
12A 基部材
12B 放熱部材
12C 配線部材
12D 配線領域
12E 蓋部材
13A 上部
13B 下部
13C 側部
20 発光素子
21 第1発光素子
22 第2発光素子
23 第3発光素子
30 サブマウント
40 反射部材
50 保護素子
60 波長板
70 レンズ部材
70A レンズ面
70B 上面
70C 下面
75A レンズ部
75B 非レンズ部
80 接着部
81 第1接着部
82 第2接着部
図1
図2
図3
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図5
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図7
図8