(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-06
(45)【発行日】2024-11-14
(54)【発明の名称】光アクセスシステム及び監視方法
(51)【国際特許分類】
H04B 10/27 20130101AFI20241107BHJP
H04B 10/077 20130101ALI20241107BHJP
【FI】
H04B10/27
H04B10/077 190
(21)【出願番号】P 2023512626
(86)(22)【出願日】2021-04-09
(86)【国際出願番号】 JP2021015019
(87)【国際公開番号】W WO2022215251
(87)【国際公開日】2022-10-13
【審査請求日】2023-08-17
(73)【特許権者】
【識別番号】000004226
【氏名又は名称】日本電信電話株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001634
【氏名又は名称】弁理士法人志賀国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】妹尾 由美子
(72)【発明者】
【氏名】原 一貴
(72)【発明者】
【氏名】金子 慎
(72)【発明者】
【氏名】胡間 遼
(72)【発明者】
【氏名】本田 一暁
【審査官】鴨川 学
(56)【参考文献】
【文献】特開2001-160820(JP,A)
【文献】国際公開第2017/090611(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2015/0229389(US,A1)
【文献】国際公開第2012/154388(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04B 10/27
H04B 10/077
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の加入者装置を接続する複数の伝送路において、管理及び制御のために用いられる管理制御信号が重畳された光信号を用いた通信を行う光アクセスシステムであって、
前記複数の加入者装置は、周波数が異なる前記管理制御信号を、それぞれ異なる波長の主信号に重畳して複数の光信号を生成し、生成した前記複数の光信号を送出し、
前記複数の加入者装置それぞれから送信された前記複数の光信号を受信し、受信した前記複数の光信号それぞれから周波数が異なる複数の管理制御信号を取得する1台の監視部と、
を備え
、
前記複数の加入者装置は、光ビート雑音が前記監視部の受信帯域外となるような波長間隔で設定された光信号を送出する光アクセスシステム。
【請求項2】
前記複数の加入者装置は、異なる周波数が設定された複数の発振器それぞれから出力される異なる周波数の信号で管理制御信号をアップコンバートすることによって前記周波数が異なる管理制御信号を生成し、生成した前記周波数が異なる管理制御信号を、異なる波長の主信号に重畳して前記複数の光信号を生成する、
請求項1に記載の光アクセスシステム。
【請求項3】
前記監視部は、単一の受信部と、重畳された周波数が異なる管理制御信号それぞれを取得する管理制御信号分離部と、
を備え、
前記受信部は、異なる波長の主信号に重畳された、異なる周波数の管理制御信号を一括で受信し、
前記管理制御信号分離部は、前記受信部で受信された信号から、異なる周波数の管理制御信号を取得する、
請求項1又は2に記載の光アクセスシステム。
【請求項4】
前記管理制御信号分離部は、
異なる周波数の信号を出力する前記管理制御信号
の数と同数の発振器と、
前記受信部で受信された信号を、前記複数の発振器それぞれから出力される異なる周波数の信号でダウンコンバートする前記管理制御信号
の数と同数のミキサと、
ダウンコンバートされた信号から周波数が異なる複数の管理制御信号を取得する前記管理制御信号
の数と同数のフィルタと、
を備える、
請求項3に記載の光アクセスシステム。
【請求項5】
伝送路毎に設けられ、前記複数の加入者装置それぞれから送出された前記複数の光信号を分岐する複数の分岐部と、
前記監視部と前記複数の分岐部との間に設けられ、前記複数の分岐部により分岐された複数の光信号を合波して前記監視部に出力する合波部、
をさらに備える、
請求項1から
4のいずれか一項に記載の光アクセスシステム。
【請求項6】
前記監視部は、少なくとも第1の監視部と、第2の監視部であり、
前記複数の加入者装置の一部と同一周波数の管理制御信号を、前記複数の加入者装置の一部と同一波長の主信号に重畳して光信号を生成し、生成した前記光信号を送出する第2の加入者装置と、
伝送路毎に設けられ、前記複数の加入者装置及び前記第2の加入者装置それぞれから送出された前記複数の光信号を分岐する複数の分岐部と、
前記監視部と前記複数の分岐部との間に設けられ、前記複数の分岐部により分岐された複数の光信号を入力し、入力したポートと、指定の出力ポートとを接続するように経路を切り替える光スイッチと、
前記光スイッチから出力された光信号を合波して前記第1の監視部に出力する第1の合波部と、
前記光スイッチから出力された光信号を合波して前記第2の監視部に出力する第2の合波部と、
をさらに備え、
前記光スイッチは、同一波長の光信号が同じ監視部に出力されないように、光信号が入力されたポートと、指定の出力ポートとを接続するように経路を切り替える、
請求項1から
4のいずれか一項に記載の光アクセスシステム。
【請求項7】
複数の加入者装置を接続する複数の伝送路において、管理及び制御のために用いられる管理制御信号が重畳された光信号を用いた通信を行う光アクセスシステムにおける監視方法であって、
前記複数の加入者装置が、周波数が異なる前記管理制御信号を、それぞれ異なる波長の主信号に重畳して複数の光信号を生成し、生成した前記複数の光信号を送出し、
光信号から管理制御信号を取得する1台の監視部が、前記複数の加入者装置それぞれから送信された前記複数の光信号を受信し、受信した前記複数の光信号それぞれから周波数が異なる複数の管理制御信号を取得
し、
前記複数の加入者装置が、光ビート雑音が前記監視部の受信帯域外となるような波長間隔で設定された光信号を送出する、
監視方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光アクセスシステム及び監視方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ITU-T(International Telecommunication Union Telecommunication Standardization sector) G.989.2勧告では、PtP WDM-PON(Point to Point Wavelength Division Multiplexing- Passive Optical Network)と呼ばれる、波長多重を行うPONシステムが規定されている(例えば、非特許文献1参照)。PtP WDM-PONシステムでは、ONU(Optical Network Unit:加入者線端局装置)からOLT(Optical Line Terminal:加入者線端局装置)へ向かう方向である上り方向とOLTからONUへ向かう方向である下り方向とにおいて、ONU毎に異なる波長を用いて通信を行う。
【0003】
非特許文献1に記載されているように、PtP WDM-PONシステムでは、OLTとONUとの間で用いられる管理及び制御のための信号としてAMCC(Auxiliary Management and Control Channel)と呼ばれる管理制御信号が用いられる。AMCC信号は、送信される情報があらかじめ定められた方式で変調された後、主信号に重畳されて伝送される信号である。AMCC信号は、例えば、光送受信器の送受信波長、送信光強度、温度などを示す状態情報を含む。
【0004】
非特許文献1によれば、AMCC信号の重畳方法は2種類ある。1つ目の方式“baseband modulation”は、送信器(例えば、ONU)側において、AMCC信号をベースバンド信号として主信号へと重畳する方法である。“baseband modulation”の重畳方法では、受信器(例えば、OLT)側でLPF(Low-Pass Filter)等のフィルタによってAMCC信号を分離する。
【0005】
2つ目の方式“low-frequency pilot tone”は、送信器側において、AMCC信号をある搬送波周波数にアップコンバートして主信号へと重畳する方法である。“low-frequency pilot tone”の重畳方法では、受信器側で信号処理等により復調することでAMCC信号を取得する。
【0006】
図11は、”low-frequency pilot tone”を用いた、PtP WDMシステムの構成を示す。
図11に示すように、従来のPtP WDMシステム100は、加入者装置200と、加入者装置300とを備える。加入者装置200は送信側の装置であり、加入者装置300は受信側の装置である。
【0007】
加入者装置200は、光送信部210を備える。光送信部210は、重畳部220と、LD(Laser diode)230とで構成される。加入者装置200は、外部入力された主信号と制御信号を電気信号の状態で重畳し、重畳後の電気信号をLD220により光信号に変換する。その後、光送信部210は、光信号を光ファイバに出力する。
【0008】
加入者装置300は、光受信部310を備える。光受信部310は、PD(Photo diode)320と、LPF(Low-Pass Filter)330とで構成される。加入者装置300は、光ファイバを伝送した光信号を入力し、PD320により電気信号に変換する。その後、加入者装置300は、LPF330を用いて、電気段で主信号からAMCC信号を分離し、AMCC信号を取得する。加入者装置200において、主信号とAMCC信号とをそれぞれ異なる周波数にのせることにより、物理的に別々の信号として扱うことができる。
【0009】
図12は、他のPtP WDMシステムの構成を示す。
図12に示すように、従来のPtP WDMシステム100aは、加入者装置200と、加入者装置300と、パワースプリッタ350と、監視回路400と、管理制御部450とを備える。
図12では、
図11に示す構成に加えて、光ファイバの途中に監視用ポートとしてパワースプリッタ350を備え、パワースプリッタ350で分岐した光信号を受信し、AMCC信号を取り出すことのできる監視回路400を備える。
【0010】
監視回路400は、PD410と、LPF420とを備える。PD410と、LPF420とは、光受信部が備えるPD320と、LPF330と同様の処理を行う。このような構成とすることで、加入者装置300を介さずに、AMCC信号を受信することができる。監視回路400で受信したAMCC信号は、管理制御部450に入力し、例えば、光送受信器の送受信波長等が管理される。
【0011】
図12では、加入者装置200から光信号を送出し、加入者装置300で光信号を受信する構成を示したが、加入者装置200に光受信部310をさらに備え、加入者装置300に光送信部210をさらに備えることで、双方向通信の構成とすることもできる。
【0012】
図13では、複数の加入者装置対が異なる波長を用いて通信を行うWDMシステム100bの構成について説明する。WDMシステム100bは、複数の加入者装置200-1~200-3と、複数の加入者装置300-1~300-3と、複数のパワースプリッタ350-1~350-3と、複数の監視回路400-1~400-3と、管理制御部450と、光SW500-1~500-2と、複数の光合分波器550-1~550-3,560-1~560-3とを備える。
【0013】
図13では、
図12に示す構成に加えて、複数のパワースプリッタ350-1~350-3と、複数の監視回路400-1~400-3と、光SW500-1~500-2と、複数の光合分波器550-1~550-3,560-1~560-3とを備えている。加入者装置200-1~200-3と、加入者装置300-1~300-3との間には、光SW500-1,500-2を備え、複数の光伝送路(
図13では、3つの光伝送路)の中から1つの光伝送路を選択できる構成としている。光合分波器550-1~550-3,560-1~560-3は、光SW500-1,500-2から出力された光信号を合波又は分波する。各光伝送路の途中にはパワースプリッタ350-1~350-3と監視回路400b-1~400b-3とが備えられる。
【0014】
加入者装置200-1~200-3は、それぞれ波長λ1~λ3の光信号を送出し、加入者装置300-1~300-3は、それぞれ波長λ1~λ3の光信号を受信する。光SW500-1,500-2内では、加入者装置200-1~200-3と加入者装置300-1~300-3との間を伝送する光信号が、指定された光伝送路に出力されるように入力ポートと出力ポートとの間の経路を接続する。加入者装置200-1~200-3で主信号に重畳されたAMCC信号は、監視回路400b-1~400b-3で取得される。
【0015】
図14は、監視回路400b-1~400b-3の具体的な構成を示す図である。監視回路400bは、波長分波部430と、複数のPD410-1~410-3と、複数のLPF420-1~420-3で構成される。ここで、PD410-1は波長λ1に対応するポートから出力される光信号を受信し、PD410-2は波長λ2に対応するポートから出力される光信号を受信し、PD410-3は波長λ3に対応するポートから出力される光信号を受信するものとする。波長分波部430では、入力された光信号を波長毎に分波して、波長毎に対応するポートから出力する。PD410-1~410-3は、波長分波部430から出力された光信号を電気信号に変換する。LPF420-1~420-3では、電気信号からAMCC信号を分離する。これにより、各波長の光信号に重畳されたAMCC信号を取得することができる。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0016】
【文献】“ITU-T G.989.2 Recommendation, “40-Gigabit-capable-passive optical networks (NG-PON2): Physical media dependent (PMD) layer specification,” Feb. 2019.
【文献】Y. Luo, H. Roberts, K. Grobe, M. Valvo, D. Nesset, K.Asaka, H. Rohde, J. Smith, J. S. Wey, and F. Effenberger, “Physical Layer Aspects of NG‐PON2 Standards-Part 2:System Design and Technology Feasibility,” J. Opt. Com‐mun. Netw., 8(1), pp.43‐52, Jan. 2016.
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0017】
複数波長の信号が、複数の光伝送路で通信する光アクセスシステムにおいて、全てのAMCC信号を監視しようとすると、
図13に示すように光伝送路と同数の監視回路400bが必要になる。更に、
図14に示したように、各監視回路400b内には、波長数と同数のPD410とLPF420の組が必要である。従って、PD410とLPF420の組は、光伝送路数×波長数と同数必要となり、通信を行っている加入者装置対の数よりも多くの数のPD410とLPF420の組が必要となる。そのため、複数の光伝送路で通信する光アクセスシステムにおいて、より少ない構成で多くのAMCC信号を監視する手法が望まれている。
【0018】
上記事情に鑑み、本発明は、複数の光伝送路で通信する光アクセスシステムにおいて、より少ない構成で多くの管理制御信号を監視することができる技術の提供を目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0019】
本発明の一態様は、複数の加入者装置を接続する複数の伝送路において、管理及び制御のために用いられる管理制御信号が重畳された光信号を用いた通信を行う光アクセスシステムであって、前記複数の加入者装置は、周波数が異なる前記管理制御信号を、それぞれ異なる波長の主信号に重畳して複数の光信号を生成し、生成した前記複数の光信号を送出し、前記複数の加入者装置それぞれから送信された前記複数の光信号を受信し、受信した前記複数の光信号それぞれから周波数が異なる複数の管理制御信号を取得する1台の監視部と、を備える光アクセスシステムである。
【0020】
本発明の一態様は、複数の加入者装置を接続する複数の伝送路において、管理及び制御のために用いられる管理制御信号が重畳された光信号を用いた通信を行う光アクセスシステムにおける監視方法であって、前記複数の加入者装置が、周波数が異なる前記管理制御信号を、それぞれ異なる波長の主信号に重畳して複数の光信号を生成し、生成した前記複数の光信号を送出し、光信号から管理制御信号を取得する1台の監視部が、前記複数の加入者装置それぞれから送信された前記複数の光信号を受信し、受信した前記複数の光信号それぞれから周波数が異なる複数の管理制御信号を取得する、監視方法である。
【発明の効果】
【0021】
本発明により、複数の光伝送路で通信する光アクセスシステムにおいて、より少ない構成で多くの管理制御信号を監視することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【
図1】第1の実施形態における光アクセスシステムの構成例を示す図である。
【
図2】第1の実施形態における加入者装置の構成を示す図である。
【
図3】第1の実施形態における加入者装置の別構成を示す図である。
【
図4】第1の実施形態における監視回路の構成を示す図である。
【
図5】加入者装置10-nから送信される光信号及び監視回路で受信される光信号を説明するための図である。
【
図6】第1の実施形態における光アクセスシステム1の処理の流れを示すシーケンス図である。
【
図7】第1の実施形態における監視回路の別構成を示す図である。
【
図8】第2の実施形態における光アクセスシステムの構成例を示す図である。
【
図9】第3の実施形態における光アクセスシステムの構成例を示す図である。
【
図10】第3の実施形態の変形例における光アクセスシステムの構成例を示す図である。
【
図11】”low-frequency pilot tone”を用いた、PtP WDMシステムの構成を示す図である。
【
図12】他のPtP WDMシステムの構成を示す図である。
【
図13】複数の加入者装置対が異なる波長を用いて通信を行うWDMシステムの構成を説明するための図である。
【
図14】従来の監視回路の具体的な構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明の一実施形態を、図面を参照しながら説明する。
(第1の実施形態)
図1は、第1の実施形態における光アクセスシステム1の構成例を示す図である。光アクセスシステム1は、複数の加入者装置10-1~10-3と、複数の加入者装置20-1~20-3と、管理制御装置30と、複数のパワースプリッタ50-1~50-3と、光カプラ60とを備える。
【0024】
図1において、加入者装置10-1と加入者装置20-1とは、光伝送路40-1を介して接続される。加入者装置10-2と加入者装置20-2とは、光伝送路40-2を介して接続される。加入者装置10-3と加入者装置20-3とは、光伝送路40-3を介して接続される。光伝送路40は、例えば光ファイバである。
【0025】
以下の説明では、例外を除き、加入者装置10及び20の台数が3台の場合を例に説明するが、加入者装置10及び20の台数は、複数であればよい。光伝送路40-n(nは1以上の整数)にはパワースプリッタ50-nが設けられる。すなわち、光伝送路40-n毎にパワースプリッタ50-nが設けられる。
【0026】
加入者装置10-nは、波長λnの光信号を光伝送路40-nに送出する。例えば、加入者装置10-nは、周波数fnのAMCC信号を主信号に重畳した波長λnの光信号を光伝送路40-nに送出する。なお、加入者装置10-nにおいて、主信号の波長は異なり、かつ、AMCC信号の周波数は異なるものとする。
【0027】
以下の説明では、加入者装置10-1が、周波数f1のAMCC信号を主信号に重畳した波長λ1の光信号を光伝送路40-1に送出し、加入者装置10-2が、周波数f2のAMCC信号を主信号に重畳した波長λ2の光信号を光伝送路40-2に送出し、加入者装置10-3が、周波数f3のAMCC信号を主信号に重畳した波長λ3の光信号を光伝送路40-3に送出するものとして説明する。
【0028】
加入者装置20-nは、加入者装置10-nから送出された光信号を受信する。例えば、加入者装置20-nは、周波数fnのAMCC信号が主信号に重畳された波長λnの光信号を光伝送路40-nを介して受信する。加入者装置20-nは、加入者装置10-nの重畳方法で重畳されたAMCC信号を分離することができる構成を備える。
【0029】
管理制御装置30は、AMCC信号の監視及びAMCC信号に基づく制御を行う。管理制御装置30は、監視回路31と、管理制御部32とを備える。監視回路31は、単一の受信部34と、単一のAMCC信号分離部35で構成される。
【0030】
受信部34は、光カプラ60から出力された光信号を電気信号に変換する。受信部34は、PDを用いて構成される。
【0031】
AMCC信号分離部35は、受信部34によって変換された電気信号からAMCC信号を分離する。例えば、AMCC信号分離部35は、受信部34によって変換された電気信号から周波数の異なる複数のAMCC信号を分離する。AMCC信号分離部35の具体的な構成は、
図4で説明する。
【0032】
管理制御部32は、AMCC信号分離部35で分離されたAMCC信号を入力し、入力したAMCC信号を元に加入者装置10-n及び20-nの送受信波長等の管理を行う。
【0033】
パワースプリッタ50-nは、光伝送路40-nを伝送する光信号を、光カプラ60へ向かう第1の経路と、加入者装置20-nへ向かう第2の経路とに分岐する。パワースプリッタ50-nで分岐された波長λnの光信号は、光カプラ60と加入者装置20-nとに入力される。
【0034】
光カプラ60は、n入力1出力の端子である。光カプラ60は、パワースプリッタ50-nで分岐された光信号を入力し、光ファイバを介して管理制御装置30に出力する。
図1に示す例では、光カプラ60には、パワースプリッタ50-1~50-3で分岐された複数の光信号が入力される。光カプラ60は、入力された光信号を合波して管理制御装置30に出力する。
【0035】
図2は、第1の実施形態における加入者装置10-nの構成を示す図である。
図2に示す構成は、AMCC信号を電気段で主信号に重畳する場合の構成である。加入者装置10-nは、光送信部11-nを備える。なお、
図2では、加入者装置10-nにおける特徴となる構成について説明するため光送信部11-nのみを示している。光送信部11-nは、AMCC信号重畳部12-n及びLD13-nで構成される。AMCC信号重畳部12-nは、ミキサ15-n及び発振器16-nを含んで構成される。
【0036】
AMCC信号重畳部12-nは、外部から入力された低周波信号であるAMCC信号を、ミキサ15-nと発振器16-nとを使用して周波数fnにアップコンバートする。AMCC信号重畳部12-nは、周波数fnにアップコンバートされたAMCC信号を、外部から入力された主信号に電気段で重畳する。
【0037】
LD13-nは、波長λnの光を出力する。LD13-nは、電気段でAMCC信号が重畳された主信号の電気信号を、波長λnの光信号に変換して出力する。
【0038】
なお、2波長以上の光信号を同一の光受信器(例えば、監視回路31の受信部34)で受信する場合、光信号の波長(周波数)差に応じた周波数を中心にして光ビート雑音と呼ばれる干渉成分が生じる。光ビート雑音が光受信器の受信帯域外となるように、波長多重信号の波長間隔を設定できていない、例えば、波長多重信号の波長間隔が狭すぎる場合は、主信号間の光ビート雑音が原因で、受信信号が劣化するため、AMCC信号を正しく受信することができない。そこで、本明細書における加入者装置10-nでは、光ビート雑音が光受信器の受信帯域外となるような波長間隔とする必要がある。
【0039】
図3は、第1の実施形態における加入者装置10-nの別構成を示す図である。
図3に示す構成は、AMCC信号を光段で主信号に重畳する場合の構成である。加入者装置10-nは、光送信部11-nを備える。なお、
図3では、加入者装置10-nにおける特徴となる構成について説明するため光送信部11-nのみを示している。光送信部11-nは、AMCC信号重畳部12-n及びLD13-nで構成される。AMCC信号重畳部12-nは、ミキサ15-n、発振器16-n及びVOA(Variable Optical Attenuator)17-nを含んで構成される。
【0040】
加入者装置10-nは、外部入力された主信号の電気信号をLD13-nにより光信号に変換する。AMCC信号重畳部12-nは、外部から入力された低周波信号であるAMCC信号を、ミキサ15-nと発振器16-nとを使用して周波数fnにアップコンバートする。AMCC信号重畳部12-nは、周波数fnにアップコンバートされたAMCC信号を、VOA17-nを用いて光段で光信号に重畳する。
【0041】
図4は、第1の実施形態における監視回路31の構成を示す図である。監視回路31は、受信部34と、AMCC信号分離部35で構成される。受信部34は、入力された光信号を電気信号に変換する。
【0042】
AMCC信号分離部35は、入力したAMCC信号の周波数の種類と同数の発振器351-n、ミキサ352-n及びLPF353-nで構成される。なお、
図4では、AMCC信号分離部35に、3台の発振器351、3台のミキサ352及び3台のLPF353が含まれる構成を示している。AMCC信号分離部35は、入力された電気信号を、ミキサ352-nと、周波数fnに設定された発振器351-nを使用してダウンコンバートする。その後、AMCC信号分離部35は、ダウンコンバート後の電気信号からLPF353-nによってAMCC信号を抽出する。
【0043】
例えば、発振器351-1が周波数f1に設定されている場合、発振器351-1の周波数f1と電気信号に含まれる周波数f2とのビート成分、発振器351-1の周波数f1と電気信号に含まれる周波数f3とのビート成分がLPF353-1で逓減される。
【0044】
図5は、加入者装置10-nから送信される光信号及び監視回路で受信される光信号を説明するための図である。加入者装置10-nは、加入者装置10-n毎に異なる周波数成分fnにAMCC信号をアップコンバートし、さらに、異なる波長λnの主信号に周波数fnのAMCC信号を重畳して送信する。
図5(A)は各加入者装置10-nが送信する光信号における主信号とAMCC信号との周波数上での関係を示す図である。
図5(A)に示すように、加入者装置10-n毎にAMCC信号の周波数成分が異なることが示されている。
【0045】
図5(B)は、監視回路31で受信された光信号における主信号とAMCC信号との周波数上での関係を示す図である。受信側の監視回路31にて、複数波長を一括受信し、さらに、指定された周波数成分のみをダウンコンバートして取り出す。受信側の監視回路31では、複数波長を一括受信するが、
図5(B)に示すように主信号間のビート成分が光受信器の受信帯域外となるため、受信信号に影響しない。従って、1つのPDで複数の加入者装置10-nが送信するAMCC信号を受信することができ、監視回路を経済的に構成することができる。
【0046】
図6は、第1の実施形態における光アクセスシステム1の処理の流れを示すシーケンス図である。なお、
図2において、パワースプリッタ50-1~50-3及び光カプラ60は、中継機構として説明する。
【0047】
加入者装置10-1は、波長λ1の光信号を、光伝送路40-1に送出する(ステップS101)。具体的には、加入者装置10-1は、周波数f1にアップコンバートされたAMCC信号を主信号に重畳して生成した波長λ1の光信号を、光伝送路40-1に送出する。加入者装置10-1から送出された光信号は、光伝送路40-1を介してパワースプリッタ50-1に入力される。
【0048】
パワースプリッタ50-1では、入力された波長λ1の光信号を第1の経路及び第2の経路に分岐する(ステップS102)。これにより、波長λ1の光信号が光カプラ60に入力される。
【0049】
加入者装置10-2は、波長λ2の光信号を、光伝送路40-2に送出する(ステップS103)。具体的には、加入者装置10-2は、周波数f2にアップコンバートされたAMCC信号を主信号に重畳して生成した波長λ2の光信号を、光伝送路40-2に送出する。加入者装置10-2から送出された光信号は、光伝送路40-2を介してパワースプリッタ50-2に入力される。
【0050】
パワースプリッタ50-2では、入力された波長λ2の光信号を第1の経路及び第2の経路に分岐する(ステップS104)。これにより、波長λ2の光信号が光カプラ60に入力される。
【0051】
加入者装置10-3は、波長λ3の光信号を、光伝送路40-3に送出する(ステップS105)。具体的には、加入者装置10-3は、周波数f3にアップコンバートされたAMCC信号を主信号に重畳して生成した波長λ3の光信号を、光伝送路40-3に送出する。加入者装置10-3から送出された光信号は、光伝送路40-3を介してパワースプリッタ50-3に入力される。
【0052】
パワースプリッタ50-3では、入力された波長λ3の光信号を第1の経路及び第2の経路に分岐する(ステップS106)。これにより、波長λ3の光信号が光カプラ60に入力される。
【0053】
図6において、ステップS101,103及び105処理は、同じタイミングで行われてもよいし、異なるタイミングで行われてもよい。同じタイミングで行われる場合、光カプラ60には複数の光信号が入力される。ここでは、光カプラ60に複数の光信号が入力されたものとして説明する。光カプラ60は、入力された複数の光信号を合波して管理制御装置30に出力する(ステップS107)。
【0054】
管理制御装置30の監視回路31は、入力した光信号を受信部34により電気信号に変換する(ステップS108)。受信部34は、変換した電気信号をAMCC信号分離部35に出力する。AMCC信号分離部35は、入力した電気信号からAMCC信号を分離する(ステップS109)。
【0055】
具体的には、AMCC信号分離部35に入力された電気信号は、ミキサ352-1,352-2及び352-3に入力される。ミキサ352-1に入力された電気信号は、周波数f1に設定された発振器351-1を使用してダウンコンバートされる。ダウンコンバート後の電気信号は、LPF353-1に入力されて周波数f1のAMCC信号が抽出される。
【0056】
ミキサ352-2に入力された電気信号は、周波数f2に設定された発振器351-2を使用してダウンコンバートされる。ダウンコンバート後の電気信号は、LPF353-2に入力されて周波数f2のAMCC信号が抽出される。
【0057】
ミキサ352-3に入力された電気信号は、周波数f3に設定された発振器351-3を使用してダウンコンバートされる。ダウンコンバート後の電気信号は、LPF353-3に入力されて周波数f3のAMCC信号が抽出される。
【0058】
以上のように構成された光アクセスシステム1によれば、各加入者装置10が、異なる周波数のAMCC信号が主信号に重畳された異なる波長の光信号を送出する。各加入者装置10が使用する波長は、主信号の光ビート雑音が監視回路31の受信部34の受信帯域外となるような波長間隔となっている。複数の光伝送路40-nそれぞれに、光信号を分岐するためのパワースプリッタ50-nを設け、各パワースプリッタ50-nで分岐された光信号を光カプラ60によって合波する。
【0059】
このように、複数の光伝送路40-nそれぞれに設けられたパワースプリッタ50-nと、監視回路31との間に備えられた光カプラ60を用いて、複数の異なる波長の光信号を1本の光ファイバに結合してから監視回路31に光信号を入力する。監視回路31では、1つの受信部34で、合波された光信号を受信し、受信した光信号を電気信号に変換する。その後、監視回路31では、変換後の電気信号が複数のミキサ352に入力されて異なる周波数にダウンコンバートした後に、LPF353により、指定された周波数のAMCC信号を電気信号から分離する。さらに、受信部34では、複数波長を一括受信するが、主信号の光ビート雑音が監視回路31の受信部34の受信帯域外となるため、受信信号に影響を与えない。したがって、異なる光伝送路40-nで伝送された異なる波長の光信号を光カプラ60で合波して1つの監視回路に入力できるため、従来のように光伝送路毎に監視回路を備える必要がない。これにより、監視回路31数を削減することができる。すなわち、LPF及びPDの数を削減することができる。そのため、複数の光伝送路で通信する光アクセスシステムにおいて、より少ない構成で多くの制御信号を監視することが可能になる。さらに、1つの受信部34で複数の加入者装置10が送出するAMCC信号を受信できるため、監視回路31を経済的に構成することができる。
【0060】
(第1の実施形態における変形例)
上記の例では、加入者装置10-nから加入者装置20-nに向けて光信号を送信する構成を示した。加入者装置10-nと加入者装置20-nとが双方向通信を行う場合においても適用されてもよい。この場合、監視回路31の構成として2通り考えられる。まず、加入者装置20-nは、波長λd-nの光信号を出力し、加入者装置10-nは、波長λd-nの光信号を受信する。加入者装置20-nにて重畳されるAMCC信号は、fd-nにアップコンバートされる。加入者装置10-nと加入者装置20-nは異なる波長を使用し、かつ、AMCC信号は異なる周波数にアップコンバートされる。
【0061】
監視回路31の1つめの構成は、パワースプリッタ50の空いているポートとつながる監視回路を追加で備え、加入者装置20-nが送出する光信号を受信すればよい。追加で供える監視回路は、監視回路31と同様の構成である。そのため、加入者装置20-nが送出する光信号を受信した監視回路は、監視回路31と同様の処理を行えばよい。
【0062】
監視回路31の2つめの構成は、分岐数が倍となる光カプラ60を備え、パワースプリッタ50の空いているポートと光カプラ60とを接続し、加入者装置10-nと加入者装置20-nのそれぞれが出力する光信号を、同一の監視回路31で一度に受信する構成である。
【0063】
図4に示した監視回路31の構成は、
図7に示すように、デジタル信号処理部(DSP:Digital Signal Processor)を用いて構成することもできる。
図7は、第1の実施形態における監視回路31の別構成を示す図である。
図7に示す監視回路31は、受信部34と、AMCC信号分離部35で構成される。
【0064】
AMCC信号分離部35は、A/D(Analog Digital)変換部354とデジタル信号処理部355で構成される。A/D変換部354は、アナログ電気信号をデジタル電気信号に変換する。デジタル信号処理部355は、例えば、
図4のAMCC信号分離部35の機能を実装して、AMCC信号を分離して取得する。
【0065】
(第2の実施形態)
第2の実施形態では、第1の実施形態の構成に加えて、対向する加入者装置間に、複数の光SW及び複数の光合分波器を備え、1つの光伝送路で、異なる周波数のAMCC信号が重畳された異なる波長の光信号が伝送される構成について説明する。
【0066】
図8は、第2の実施形態における光アクセスシステム1aの構成例を示す図である。光アクセスシステム1aは、複数の加入者装置10-1~10-3と、複数の加入者装置20-1~20-3と、管理制御装置30と、複数のパワースプリッタ50-1~50-3と、光カプラ60と、複数の光SW70-1,70-2と、複数の光合分波器75-1~75-3,76-1~76-3とを備える。光合分波器75-1~75-3,76-1~76-3は、例えば、1×N AWG(Arrayed Waveguide Gratings)が考えられ、異なる波長で入力した光信号を単一のポートから出力したり、単一のポートから入力した異なる波長の光信号をそれぞれ光信号の波長に対応したポートから出力する。
【0067】
光アクセスシステム1aは、光SW70-1,70-2と、光合分波器75-1~75-3,76-1~76-3とをさらに備える点で光アクセスシステム1と構成が異なる。光アクセスシステム1aのその他の構成については、光アクセスシステム1と同様である。そのため、以下では光アクセスシステム1との相違点を中心に説明する。
【0068】
光SW70-1は、ポート71-1-1~71-1-P1(P1は2以上の整数)と、ポート72-1-1~72-1-Q1(Q1は2以上の整数)とを有する。ポート71-1-1~71-1-P1のいずれかを特定しない場合、又は、総称して、ポート71-1と記載する。ポート72-1-1~72-1-Q1のいずれかを特定しない場合、又は、総称して、ポート72-1と記載する。
【0069】
光SW70-1のポート71-1には複数の加入者装置10-1~10-3が光伝送路で接続され、光SW70-1のポート72-1には複数の光合分波器75-1~75-3が光伝送路で接続される。光SW70-1のあるポートに入力された光信号は、他のポートから出力される。
【0070】
光SW70-2は、ポート71-2-1~71-2-P2(P2は2以上の整数)と、ポート72-2-1~72-2-Q2(Q2は2以上の整数)とを有する。ポート71-2-1~71-2-P2のいずれかを特定しない場合、又は、総称して、ポート71-2と記載する。ポート72-2-1~72-2-Q2のいずれかを特定しない場合、又は、総称して、ポート72-2と記載する。
【0071】
光SW70-2のポート71-2には複数の光合分波器76-1~76-3が光伝送路で接続され、光SW70-2のポート72-2には複数の加入者装置20-1~20-3が光伝送路で接続される。光SW70-2のあるポートに入力された光信号は、他のポートから出力される。
【0072】
光合分波器75-n,76-nは、入力された光信号を合波又は分波する。光合分波器75-nは、光SW70-1と光伝送路40-nとの間に備えられる。光合分波器76-nは、光SW70-2と光伝送路40-nとの間に備えられる。光合分波器75-n,76-nは、例えば光伝送路40毎に設けられる。
【0073】
光合分波器75-nでは、加入者装置10で利用する波長数に応じた複数のポート(
図8では、3つのポートであり、上から波長λ1,λ2,λ3の光信号が入力されるポート)が光SW70-1のポート72-1に接続される。光合分波器76-nでは、加入者装置20で利用する波長数に応じた複数のポート(
図8では、3つのポートであり、上から波長λ1,λ2,λ3の光信号が入力されるポート)が光SW70-2のポート71-2に接続される。
【0074】
次に、第2の実施形態における光アクセスシステム1aの処理の流れについて説明する。
加入者装置10-1~10-3は、それぞれ異なる波長の光信号を送出する。具体的には、加入者装置10-1は、周波数f1にアップコンバートされたAMCC信号を主信号に重畳して生成した波長λ1の光信号を光伝送路40-1に送出し、加入者装置10-2は、周波数f2にアップコンバートされたAMCC信号を主信号に重畳して生成した波長λ2の光信号を光伝送路40-2に送出し、加入者装置10-3は、周波数f3にアップコンバートされたAMCC信号を主信号に重畳して生成した波長λ3の光信号を光伝送路40-3に送出する。
【0075】
加入者装置10-1~10-3それぞれから送出された異なる波長の光信号は、光SW70-1に入力される。例えば、加入者装置10-1から送出された波長λ1の光信号は、光SW70-1のポート71-1-1に入力される。同様に、加入者装置10-2から送出された波長λ2の光信号は、光SW70-1のポート71-1-2に入力される。同様に、加入者装置10-3から送出された波長λ3の光信号は、光SW70-1のポート71-1-P1(例えば、P1は3である)に入力される。
【0076】
光SW70-1内のポート71とポート72との接続関係は、予め設定されているものとする。
図8では、ポート71-1-1とポート72-1-1とが接続され、ポート71-1-2とポート72-1-2とが接続され、ポート71-1-P1とポート72-1-Q1(例えば、Q1は9である)とが接続されている。そのため、ポート71-1-1に入力された波長λ1の光信号はポート72-1-1から出力され、ポート71-1-2に入力された波長λ2の光信号はポート72-1-2から出力され、ポート71-1-P1に入力された波長λ3の光信号はポート72-1-Q1から出力される。
【0077】
ポート72-1-1及び72-1-2には、光合分波器75-1が接続されている。そのため、光合分波器75-1は、ポート72-1-1から出力された波長λ1の光信号と、ポート72-1-2から出力された波長λ2の光信号とを合波して光伝送路40-1に出力する。ポート72-1-Q1には、光合分波器75-3が接続されている。そのため、光合分波器75-3は、ポート72-1-Q1から出力された波長λ3の光信号を光伝送路40-3に出力する。
【0078】
光合分波器75-1から出力された光信号は、光伝送路40-1を介してパワースプリッタ50-1に入力される。パワースプリッタ50-1では、入力された波長λ1,λ2の光信号を第1の経路及び第2の経路に分岐する。これにより、波長λ1,λ2の光信号が光カプラ60に入力される。
【0079】
光合分波器75-3から出力された光信号は、光伝送路40-3を介してパワースプリッタ50-3に入力される。パワースプリッタ50-3では、入力された波長λ3の光信号を第1の経路及び第2の経路に分岐する。これにより、波長λ3の光信号が光カプラ60に入力される。光カプラ60は、入力された複数の光信号を合波して管理制御装置30に出力する。管理制御装置30で行う処理は、第1の実施形態と同様であるため説明を省略する。
【0080】
光カプラ60の代わりに、下記参考文献1に記載されているようなモードカプラを用いることもできる。モードカプラを用いた場合は、モードカプラと受信部34の間は、通常のシングルモードファイバとは異なり、マルチモードファイバを用いる。このように、光カプラ60の代わりにモードカプラを用いることで、受信部34で受信する光信号強度を増加させることができる。
【0081】
(参考文献1:Masamichi Fujiwara, Ken-Ichi Suzuki, Naoto Yoshimoto, Manabu Oguma, and Shunichi Soma, “Increasing Splitting Ratio of 10Gb/s-Class PONs by Using FW-DMF that Acts as Low Loss Splitter for Upstream and Conventional Splitter for Downstream”, OFC, Tu2C, 2014.)
【0082】
パワースプリッタ50-1で第2の経路に分岐された光信号は光合分波器76-1に入力される。光合分波器76-1は、入力した光信号を分波する。光合分波器76-1で分波された光信号は、光SW70-2のポート71-2に入力される。光SW70-2のポート71-2に入力された光信号は、ポート71-2に接続されているポート72-2から出力されて加入者装置20に転送される。
【0083】
パワースプリッタ50-3で第2の経路に分岐された光信号は光合分波器76-3に入力される。光合分波器76-3は、入力した光信号を分波する。光合分波器76-3で分波された光信号は、光SW70-2のポート71-2に入力される。光SW70-2のポート71-2に入力された光信号は、ポート71-2に接続されているポート72-2から出力されて加入者装置20に転送される。
【0084】
以上のように構成された光アクセスシステム1aによれば、第1の実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0085】
さらに光アクセスシステム1aでは、加入者装置10と加入者装置20とを結ぶ光伝送路40に光SW70-1,70-2が備えられている。これにより、加入者装置10から送出された光信号を、経路を切り替えて伝送することができる。光SW70-1により経路の切り替えが行われ、異なる波長の光信号が同一の光伝送路40で伝送された場合であっても、光カプラ60で合波して1つの監視回路に入力できるため、従来のように光伝送路毎に監視回路を備える必要がない。これにより、監視回路31数を削減することができる。すなわち、LPF及びPDの数を削減することができる。そのため、複数の光伝送路で通信する光アクセスシステムにおいて、より少ない構成で多くの制御信号を監視することが可能になる。
【0086】
(第3の実施形態)
第1の実施形態及び第2の実施形態では、加入者装置10及び20の台数が3台であり、加入者装置10間及び加入者装置20間で異なる波長及び異なる周波数を用いる構成を示した。第3の実施形態では、加入者装置10及び20の台数が4台であり、一部の加入者装置10及び20が利用する波長及び周波数が重複する場合の構成について説明する。
【0087】
図9は、第3の実施形態における光アクセスシステム1bの構成例を示す図である。光アクセスシステム1bは、複数の加入者装置10-1~10-4と、複数の加入者装置20-1~20-4と、管理制御装置30bと、複数のパワースプリッタ50-1~50-4と、複数の光SW70-1,70-2と、複数の光合分波器75-1~75-4,76-1~76-4と、光SW制御部80とを備える。
【0088】
光アクセスシステム1bは、加入者装置10と、加入者装置20と、パワースプリッタ50と、光合分波器75と、光合分波器76の台数が光アクセスシステム1aよりも増えたこと、光カプラ60を備えず、管理制御装置30に代えて管理制御装置30bを備え、光SW制御部80を新たに備える点で光アクセスシステム1aと構成が異なる。光アクセスシステム1bのその他の構成については、光アクセスシステム1aと同様である。そのため、以下では光アクセスシステム1aとの相違点を中心に説明する。なお、加入者装置10と、加入者装置20と、パワースプリッタ50と、光合分波器75と、光合分波器76において、台数が増えただけで基本的な処理が変わらない場合には説明を省略する。
【0089】
光アクセスシステム1bでは、第1の実施形態及び第2の実施形態と異なり、光カプラ60を備えない。そのため、各光伝送路40で伝送されている光信号は、パワースプリッタ50-1~50-4それぞれで分岐されて管理制御装置30bに入力されることになる。
【0090】
加入者装置10-1~10-3は、第1の実施形態及び第2の実施形態と同様に、異なる周波数f1~f3のAMCC信号が主信号に重畳された波長λ1~λ3の波長の光信号を送出する。第3の実施形態において、加入者装置10-4は、例えば、加入者装置10-1と同様に、周波数f1のAMCC信号を主信号に重畳した波長λ1の光信号を光伝送路40-4に送出する。なお、加入者装置10-4は、他の1つの加入者装置10と重複する周波数及び波長であればどの周波数及び波長であってもよい。加入者装置10-4は、第2の加入者装置の一態様である。さらに、第3の実施形態では、説明の簡単化のため、加入者装置10及び20が4台の場合を示しているが、5台以上であってもよい。
【0091】
加入者装置10-1と加入者装置10-4とが同じ波長を用いて通信を行うため、光信号が混在しないように、異なる光伝送路40で伝送させる制御が必要になる。このような制御は、光SW制御部80によって行われる。例えば、光SW制御部80は、同じ波長を用いて通信を行う加入者装置10同士が同じ光伝送路40に光信号を送出しないように、光SW70-1の入力ポートと出力ポートとの接続関係を制御する。
図9に示す例では、光SW制御部80は、加入者装置10-4から送出された波長λ1の光信号が、光伝送路40-4を介して伝送されるように光SW70-1の入力ポートと出力ポートとの接続関係を制御する。光伝送路40-4には、パワースプリッタ50-4が設けられる。
【0092】
加入者装置20-1~20-3は、第1の実施形態及び第2の実施形態と同様に、異なる周波数f1~f3及び異なる波長λ1~λ3の波長を用いて通信を行う。第3の実施形態において、加入者装置20-4は、例えば、加入者装置20-1と同様に、周波数f1のAMCC信号を主信号に重畳した波長λ1の光信号を受信する。なお、加入者装置20-4は、他の1つの加入者装置20と重複する周波数及び波長であればどの周波数及び波長であってもよい。
【0093】
管理制御装置30bは、AMCC信号の監視及びAMCC信号に基づく制御を行う。管理制御装置30bは、複数の監視回路31-1,31-2と、管理制御部32と、光SW36と、複数の光カプラ37-1,37-2とを備える。
【0094】
光SW36は、ポート36-1-1~36-1-P3(P3は2以上の整数)と、ポート36-2-1~36-2-Q3(Q1は2以上の整数)とを有する。ポート36-1-1~36-1-P3のいずれかを特定しない場合、又は、総称して、ポート36-1と記載する。ポート36-2-1~36-2-Q3のいずれかを特定しない場合、又は、総称して、ポート36-1と記載する。
【0095】
光SW36のポート36-1にはパワースプリッタ50-1~50-4が光伝送路で接続され、光SW36のポート36-2には光カプラ37-1,37-2が光伝送路で接続される。第3の実施形態における光SW36では、重複する波長の光信号が同じ経路に出力されないように、重複する波長の光信号を異なるポートから出力するように光SW制御部80によって制御されている。
【0096】
例えば、
図9に示す例では、加入者装置10-1から送信された波長λ1の光信号と、加入者装置10-4から送信された波長λ1の光信号とが同じ波長の光信号である。そこで、光SW制御部80は、加入者装置10-1から送信された波長λ1の光信号と、加入者装置10-4から送信された波長λ1の光信号とが異なるポートから出力されて、異なる光カプラ37-1,37-2を介して監視回路31-1,31-2に入力されるように光SW36の入力ポートと出力ポートとの接続関係を制御する。
【0097】
光カプラ37-1,37-2は、n入力1出力の端子である。光カプラ37-1は、光SW36と監視回路31-1との間に備えられ、光SW36のポート36-2から出力された光信号を入力し、合波して監視回路31-1に出力する。光カプラ37-2は、光SW36と監視回路31-2との間に備えられ、光SW36のポート36-2から出力された光信号を入力し、合波して監視回路31-2に出力する。
【0098】
これにより、各光伝送路40で伝送された光信号が別々に管理制御装置30bに入力されたとしても、監視回路31-1,31-2に入力される手前で1つの光信号にまとめられる。2つの監視回路31-1,31-2を備える理由としては、同一波長の光信号が同じ監視回路31に入力されないようにするためである。そのため、同一波長の光信号を送出する加入者装置10が3台ある場合には、管理制御装置30bは3つの監視回路31を備えることになる。監視回路31-1は、第1の監視部の一態様であり、監視回路31-2は、第2の監視部の一態様である。
【0099】
光SW制御部80は、各光SW70-1,70-2,36を制御する。光SW制御部80は、光伝送路情報と、光信号波長の情報とを保持する。光伝送路情報は、加入者装置10と加入者装置20との間で送受信される光信号が経由する光伝送路に関する情報である。光伝送路情報は、例えば加入者装置10と加入者装置20との間で送受信される光信号が経由する光伝送路を識別する情報を少なくとも含む。光信号波長の情報は、加入者装置10と加入者装置20とが利用する波長の情報を含む。
【0100】
光SW制御部80が光伝送路情報と、光信号波長の情報とを保持することにより、光SW制御部80は、どの波長の光信号をどの光伝送路で伝送すべきかを把握することができる。光SW制御部80は、光伝送路情報と、光信号波長の情報とを用いて、光SW70-1,70-2、36の入力ポートと出力ポートの接続関係を制御する。光SW制御部80は、光SW70-1,70-2の入力ポートと出力ポートの接続関係を制御することで、加入者装置10と加入者装置20との間で伝送される光信号が通る光伝送路を指定する。
【0101】
例えば、加入者装置10-1,10-2が送出する光信号を光伝送路40-1で伝送することが光伝送路情報に含まれていて、加入者装置10-1,10-2が波長λ1、λ2を利用することが光信号波長の情報に含まれている場合、光SW制御部80は、光SW70-1のポート71-1-1とポート72-1-1とを接続させ、光SW70-1のポート71-1-2とポート72-1-2とを接続させるように光SW70-1を制御する。これにより、加入者装置10-1,10-2が送出する光信号が光伝送路40-1で伝送される。
【0102】
さらに、光SW制御部80は、光SW36の入力ポートと出力ポートの接続関係を指定することで、パワースプリッタ50-nそれぞれから出力された光信号を光カプラ37-1,37-2へ入力する。すなわち、光SW制御部80は、光SW36のポート36-1から入力された光信号を、転送先に応じたポート36-2から出力するよう光SW36を制御する。このように、光SW36において入力ポートと出力ポートの接続関係を指定することで、光信号が入力するポートのみを選択して、光カプラ37-1,37-2とつながる出力ポートに接続することができる。
【0103】
第3の実施形態では、管理制御装置30bに、異なる加入者装置10から送出された同一波長の光信号が入力される。異なる加入者装置10から送出された同一波長の光信号が同じ受信部34に入力されると、AMCC信号を正しく取り出すことができない。そこで、光SW制御部80は、異なる加入者装置10から送出された同一波長の光信号が同じ受信部34に入力されないように、ポート36-1とポート36-2との接続関係を制御する。
【0104】
ここで、光SW36のポート36-1-1に波長λ1の光信号が入力され、光SW36のポート36-1-P3に波長λ1の光信号が入力されるものとして説明する。光SW制御部80は、光SW36のポート36-1-1に入力される波長λ1の光信号を監視回路31-1の受信部34-1が接続されるポート36-2-1から出力するように制御し、光SW36のポート36-1-P3に入力される波長λ1の光信号を監視回路31-2の受信部34-2が接続されるポート36-2-Q3から出力するように制御する。具体的には、光SW制御部80は、光SW36のポート36-1-1とポート36-2-1とを接続させ、光SW36-1のポート36-1-P3とポート36-2-Q3とを接続させるように光SW36の接続関係を制御する。これにより、光SW36に入力された同一波長の光信号を、異なる出力先に出力するように切り替えることができる。
【0105】
次に、第3の実施形態における光アクセスシステム1bの処理の流れについて説明する。ここでは、加入者装置10-1と加入者装置10-4とが同じ周波数のAMCC信号及び波長を用いて通信を行うものとする。光アクセスシステム1bの処理全体ではなく、同じ波長の光信号が伝送される処理をメインに説明する。
【0106】
加入者装置10-1~10-4は、割り当てられた波長の光信号を送出する。加入者装置10-1~10-4それぞれから送出された光信号は、光SW70-1に入力される。例えば、加入者装置10-1から送出された光信号は、光SW70-1のポート71-1-1に入力される。同様に、加入者装置10-2から送出された光信号は、光SW70-1のポート71-1-2に入力される。同様に、加入者装置10-3から送出された光信号は、光SW70-1のポート71-1-3に入力される。同様に、加入者装置10-4から送出された光信号は、光SW70-1のポート71-1-P1(例えば、P1は4である)に入力される。
【0107】
光SW70-1内のポート71とポート72との接続関係は、光SW制御部80が光伝送路情報及び光信号波長の情報により設定しているものとする。
図9では、光SW制御部80が、ポート71-1-1とポート72-1-1とを接続し、ポート71-1-2とポート72-1-2とを接続し、ポート71-1-P1とポート72-1-(Q1-2)(例えば、Q1は12である)とを接続するように光SW70-1を制御しているものとする。これにより、加入者装置10-1と加入者装置10-4とから送出された同一波長の光信号は、異なる光伝送路40で伝送される。
【0108】
ポート71-1-1に入力された波長λ1の光信号はポート72-1-1から出力され、ポート71-1-2に入力された波長λ2の光信号はポート72-1-2から出力され、ポート71-1-P1に入力された波長λ1の光信号はポート72-1-(Q1-2)から出力される。
【0109】
ポート72-1-1及び72-1-2には、光合分波器75-1が接続されている。そのため、光合分波器75-1は、ポート72-1-1及び72-1-2から出力された波長λ1の光信号と、波長λ2の光信号とを合波して光伝送路40-1に出力する。ポート72-1-(Q1-2)には、光合分波器75-4が接続されている。そのため、光合分波器75-4は、ポート72-1-(Q1-2)から出力された波長λ1の光信号を光伝送路40-4に出力する。
【0110】
光合分波器75-1から出力された光信号は、光伝送路40-1を介してパワースプリッタ50-1に入力される。パワースプリッタ50-1では、入力された波長λ1,λ2の光信号を第1の経路及び第2の経路に分岐する。これにより、波長λ1,λ2の光信号が管理制御装置30bの光SW36のポート36-1-1に入力される。
【0111】
光合分波器75-4から出力された光信号は、光伝送路40-4を介してパワースプリッタ50-4に入力される。パワースプリッタ50-4では、入力された波長λ1の光信号を第1の経路及び第2の経路に分岐する。これにより、波長λ1の光信号が管理制御装置30bの光SW36のポート36-1-P3(例えば、P3は4である)に入力される。
【0112】
光SW36内のポート36-1とポート36-2との接続関係は、光SW制御部80が光伝送路情報及び光信号波長の情報により設定しているものとする。
図9では、ポート36-1-1とポート36-2-1とを接続し、ポート36-1-P3とポート36-2-Q3(例えば、Q3は6である)とが接続されている。
【0113】
そのため、ポート36-1-1に入力された波長λ1,λ2の光信号はポート36-2-1から出力され、ポート36-1-P3に入力された波長λ1の光信号はポート36-2-Q3から出力される。
【0114】
ポート36-2-1には、光カプラ37-1が接続されている。そのため、光カプラ37-1は、入力された光信号を合波して監視回路31-1に出力する。なお、光カプラ37-1には、加入者装置10-3から送出された波長λ3の光信号も入力される。すなわち、光カプラ37-1には、波長λ1,λ2,λ3の光信号が入力される。
【0115】
監視回路31-1の受信部34-1は、光カプラ37-1から出力された波長λ1,λ2,λ3の光信号を電気信号に変換する。受信部34-1は、変換した電気信号をAMCC信号分離部35-1に出力する。AMCC信号分離部35-1は、入力した電気信号から、指定された周波数のAMCC信号を分離する。これにより、AMCC信号分離部35-1は、波長λnの光信号に重畳された周波数fnのAMCC信号それぞれを取得することができる。
【0116】
ポート36-2-Q3には、光カプラ37-2が接続されている。光カプラ37-2は、加入者装置10-1が送出した波長λ1の光信号が入力される光カプラとは異なる光カプラである。そのため、同じ波長の光信号が混在することがない。光カプラ37-2は、入力した光信号を合波して受信部34-2に出力する。
【0117】
受信部34-2は、光カプラ37-2から出力された波長λ1の光信号を電気信号に変換する。受信部34-2は、変換した電気信号をAMCC信号分離部35-2に出力する。AMCC信号分離部35-2は、入力した電気信号からAMCC信号を分離する。これにより、AMCC信号分離部35-2は、波長λ1の光信号に重畳された周波数f1のAMCC信号を取得することができる。
【0118】
パワースプリッタ50-1~50-4で第2の経路に分岐された光信号は、第2の実施形態に示した処理と同様に処理される。
【0119】
以上のように構成された光アクセスシステム1bによれば、光SW36において入力ポートと出力ポートの接続関係を指定することで、同一の監視回路31に、同一波長の光信号が入力しないように制御することができる。さらに、
図9のように、光SW36を用いて、光信号毎に指定した監視回路31に入力することで、同一ネットワーク内に同一波長に設定された光信号が複数存在する場合も、監視回路31を経済的に構成することができる。
【0120】
(第3の実施形態における変形例)
図9では、加入者装置20-1~20-4が1つの光SW70-2に収容される構成を示したが、加入者装置20-1~20-4の一部が
図10に示すように他の光SWに収容されるように構成されてもよい。
図10は、第3の実施形態の変形例における光アクセスシステム1bの構成例を示す図である。第3の実施形態の変形例における光アクセスシステム1bは、複数の加入者装置10-1~10-4と、複数の加入者装置20-1~20-4と、管理制御装置30bと、複数のパワースプリッタ50-1~50-4と、複数の光SW70-1,70-2,70-3と、複数の光合分波器75-1~75-4,76-1~76-4と、光SW制御部80とを備える。
【0121】
図10に示す第3の実施形態の変形例における光アクセスシステム1bにおいて、
図9に示す第3の実施形態における光アクセスシステム1bとの構成の違いは、光SW70-3を新たに備える点である。
図9に示す第3の実施形態における光アクセスシステム1bでは、光SW70-2が加入者装置20-nを収容しているのに対し、
図10に示す第3の実施形態の変形例における光アクセスシステム1bでは、光SW70-2が加入者装置20-1及び20-2を収容し、光SW70-3が加入者装置20-3及び20-4を収容している。
【0122】
上記のように、例えば、同じ波長を用いて通信を行う加入者装置20を、異なる光SWに収容してもよい。光SW70-3は、光SW70-2と同様の構成を有する。光SW70-3は、光SW制御部80によって入力ポートと出力ポートとの接続関係が制御される。
このように構成されることによって、同じ波長を用いて通信を行う加入者装置20を、異なる光SWに収容することで、経路制御の誤りによって同じ波長を用いて通信を行うが宛先が異なる加入者装置20に光信号が転送されることがなくなる。さらに、同じ波長の光信号が同一の光伝送路40で伝送されることがなくなる。そのため、同じ波長の光信号が混在してAMCC信号を取り出すことができなくなる可能性を減らすことができる。
【0123】
第3の実施形態では、加入者装置10-nにおいても加入者装置10-nの一部が別の光SWに備えられるように構成されてもよい。この場合、同じ波長を利用する加入者装置10を異なる光SWに収容してもよい。
【0124】
(第1の実施形態から第3の実施形態における変形例)
第1の実施形態から第3の実施形態では、加入者装置10及び20の両方において、送信側において電気段でAMCC信号の重畳を行い、受信側において電気段でAMCC信号の分離を行う構成を示しているが、送信側において光段でAMCC信号の重畳を行い、受信側において電気段でAMCC信号の分離を行う構成としてもよい。
【0125】
第2の実施形態から第3の実施形態では、第1の実施形態と同様に変形されてもよい。
管理制御装置30、30bの一部の機能は、外部に備えられてもよい。
【0126】
上述した実施形態における管理制御装置30,30bの一部の機能部をコンピュータで実現するようにしてもよい。その場合、この機能を実現するためのプログラムをコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録して、この記録媒体に記録されたプログラムをコンピュータシステムに読み込ませ、実行することによって実現してもよい。なお、ここでいう「コンピュータシステム」とは、OSや周辺機器等のハードウェアを含むものとする。
【0127】
また、「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、フレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM、CD-ROM等の可搬媒体、コンピュータシステムに内蔵されるハードディスク等の記憶装置のことをいう。さらに「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、インターネット等のネットワークや電話回線等の通信回線を介してプログラムを送信する場合の通信線のように、短時間の間、動的にプログラムを保持するもの、その場合のサーバやクライアントとなるコンピュータシステム内部の揮発性メモリのように、一定時間プログラムを保持しているものも含んでもよい。また上記プログラムは、前述した機能の一部を実現するためのものであってもよく、さらに前述した機能をコンピュータシステムにすでに記録されているプログラムとの組み合わせで実現できるものであってもよく、FPGA等のプログラマブルロジックデバイスを用いて実現されるものであってもよい。
【0128】
以上、この発明の実施形態について図面を参照して詳述してきたが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の設計等も含まれる。
【産業上の利用可能性】
【0129】
本発明は、複数の光伝送路で通信する光アクセスシステムにおいて管理制御信号(AMCC信号)を監視する技術に適用できる。
【符号の説明】
【0130】
10-1~10-4、20-1~20-4…加入者装置, 30、30b…管理制御装置, 31、31b、31-1~31-2…監視回路, 32…管理制御部, 34-1~34-2…受信部, 35-1~35-2…AMCC信号分離部, 37、37-1~37-2…光カプラ, 50-1~50-4…パワースプリッタ, 60…光カプラ, 36、70-1~70-3…光SW, 75-1~75-4、76-1~76-4…光合分波器, 80…光SW制御部, 371…パワーモニタ, 351-1~351-3…発振器, 352-1~352-3…ミキサ, 353-1~353-3…LPF, 354…A/D変換部, 355…デジタル信号処理部