(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-06
(45)【発行日】2024-11-14
(54)【発明の名称】ガス供給装置および半導体製造装置
(51)【国際特許分類】
H01L 21/02 20060101AFI20241107BHJP
【FI】
H01L21/02 Z
(21)【出願番号】P 2023506965
(86)(22)【出願日】2022-03-04
(86)【国際出願番号】 JP2022009314
(87)【国際公開番号】W WO2022196386
(87)【国際公開日】2022-09-22
【審査請求日】2023-07-28
(31)【優先権主張番号】P 2021045537
(32)【優先日】2021-03-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000219967
【氏名又は名称】東京エレクトロン株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】390033857
【氏名又は名称】株式会社フジキン
(74)【代理人】
【識別番号】110002893
【氏名又は名称】弁理士法人KEN知財総合事務所
(72)【発明者】
【氏名】廣瀬 潤
(72)【発明者】
【氏名】澤地 淳
(72)【発明者】
【氏名】松田 隆博
(72)【発明者】
【氏名】渡辺 一誠
(72)【発明者】
【氏名】執行 耕平
(72)【発明者】
【氏名】星子 泰輝
【審査官】平野 崇
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2008/023711(WO,A1)
【文献】特開平10-028855(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/02
H01L 21/205
B01J 4/00
C30B 25/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
上流から下流へ向かうガスが流通する流路と、当該流路の中途に設けられ当該流路を流通するガスの流れを制御する流体制御機器とをそれぞれ含む複数の流体制御ユニットと、
前記複数の流体制御ユニットと流体接続される複数の接続部と、前記複数の接続部を通じて導入されたガスを導出する単一のガス導出部と、を含む合流流路と、を有し、
前記複数の接続部のうち少なくとも一つの接続部は、前記合流流路の流路方向において前記ガス導出部に対して対称的に配置され、かつ、前記複数の接続部の各々には、2以上の前記流体制御ユニットが流体接続されて
おり、
前記合流流路は、前記ガス導出部の両側近傍にそれぞれ設けられた開閉バルブを有し、各当該開閉バルブの上流側を他の部分から遮断できるように構成されている、ガス供給装置。
【請求項2】
前記複数の接続部は、前記合流流路の流路方向において、前記ガス導出部の一方側および他方側にそれぞれ複数かつ同数設けられている、請求項1に記載のガス供給装置。
【請求項3】
上流から下流へ向かうガスが流通する流路と、当該流路の中途に設けられ当該流路を流通するガスの流れを制御する流体制御機器とをそれぞれ含む複数の流体制御ユニットと、
前記複数の流体制御ユニットと流体接続され、当該複数の流体制御ユニットから導出されるガスを導入し、トーナメント状に合流させて外部へ導出するトーナメント状接続流路とを有するガス供給装置であって、
前記トーナメント状接続流路は、
前記流体制御ユニットにそれぞれ接続可能な導入口を有する2
N本の第1段部分流路(Nは2以上の整数)と、
第k―1段部分流路が(kは2からNまでの整数)、2本ずつ合流して形成される第k段部分流路と、
第N段部分流路が合流して形成され、前記ガスを外部へ導出する導出口を有する1本の第N+1段部分流路と、を含む、
N+1段の部分流路を有するトーナメント状の流路であり、
前記トーナメント状接続流路の各前記導入口から前記導出口までの流路長又は内容積が互いに等しい又は実質的に等し
く、
前記トーナメント状接続流路は、前記第k段部分流路(kは1からNまでの整数)が2本ずつ合流する各箇所の上流側近傍にそれぞれ設けられた開閉バルブを有し、各当該開閉バルブの上流側を他の部分から遮断できるように構成されている、ガス供給装置。
【請求項4】
前記トーナメント状接続流路の各ガス導入口には、一又は複数の前記流体制御ユニットが直接に、又は、複数の前記流体制御ユニットが当該流体制御ユニットの下流側を互いに流体接続する合流配管を介して接続されている、請求項
3に記載のガス供給装置。
【請求項5】
密閉されたプロセスチャンバ内においてプロセスガスによる処理工程を要する半導体装置の製造プロセスにおいて、前記プロセスガスの供給制御に請求項1ないし
4のいずれかに記載のガス供給装置を用いた半導体製造装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体製造装置等に使用されるガス供給装置および半導体製造装置に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体製造プロセス等の各種製造プロセスにおいては、正確に計量した複数のプロセスガスを混合したガスをプロセスチャンバに供給するために、流体制御装置をボックスに収容したガスボックスと呼ばれるガス供給装置が用いられている(例えば、特許文献1、2等参照)。
従来の流体制御装置は、ガス毎に流体制御ユニットが構成され、これら流体制御ユニットが並列に配置されている(特許文献3等参照)。各流体制御ユニットには、開閉バルブ、レギュレータ、マスフローコントローラ等の各種の流体制御機器が設けられている。各流体制御ユニットの出口側流路は、マニホールドブロックに接続され、複数のプロセスガスをこのマニホールドブロックで合流させ、当該マニホールドブロックの一端部から混合ガスを導出してプロセスチャンバに供給している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2018-98387号公報
【文献】特開2018-88336号公報
【文献】特開2019-152234号公報
【文献】米国特許10,022,689号公報
【文献】特許第5037510号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
半導体製造装置では、ガス供給装置から短時間で安定した濃度成分の混合ガスを処理チャンバに供給することが要求されている。
しかしながら、上記した従来構造の流体制御装置では、複数の流体制御ユニットを並列に配置して出口側流路をマニホールドブロックに接続しているため、各流体制御ユニットからプロセスチャンバへの流路の流路長が異なるため、ガス供給装置から短時間で安定した濃度成分の混合ガスを処理チャンバに供給することが難しい。
特許文献4および5は、上記の課題を解決するために、複数の流体制御ユニットを放射状に配置して流体制御ユニットのプロセスチャンバまでの流路長を等しくする技術を提案しているが、流体制御機器の設置空間が大きく省スペース化が困難である。
【0005】
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであって、省スペース化が可能でガス供給装置から短時間で安定した濃度成分の混合ガスを処理チャンバに供給可能なガス供給装置および半導体製造装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の第1の観点に係るガス供給装置は、上流から下流へ向かうガスが流通する流路と、当該流路の中途に設けられ当該流路を流通するガスの流れを制御する流体制御機器とをそれぞれ含む複数の流体制御ユニットと、
前記複数の流体制御ユニットと流体接続される複数の接続部と、前記複数の接続部を通じて導入されたガスを導出する単一のガス導出部と、を含む合流流路と、を有し、
前記複数の接続部は、前記合流流路の流路方向において前記ガス導出部に対して対称的に配置され、かつ、前記複数の接続部の各々には、2以上の前記流体制御ユニットが流体接続されている。
【0007】
好適には、前記複数の接続部は、前記合流流路の流路方向において、前記ガス導出部の一方側および他方側にそれぞれ複数かつ同数設けられている。
【0008】
好適には、前記合流流路は、前記ガス導出部の両側近傍にそれぞれ設けられた開閉バルブを有し、各当該開閉バルブの上流側を他の部分から遮断できるように構成されている。
【0009】
本発明の第2の観点に係るガス供給装置は、上流から下流へ向かうガスが流通する流路と、当該流路の中途に設けられ当該流路を流通するガスの流れを制御する流体制御機器とをそれぞれ含む複数の流体制御ユニットと、
前記複数の流体制御ユニットと流体接続され、当該複数の流体制御ユニットから導出されるガスを導入し、トーナメント状に合流させて外部へ導出するトーナメント状接続流路とを有するガス供給装置であって、
前記トーナメント状接続流路は、
前記流体制御ユニットにそれぞれ接続可能な導入口を有する2N本の第1段部分流路(Nは2以上の整数)と、
第k―1段部分流路が(kは2からNまでの整数)、2本ずつ合流して形成される第k段部分流路と、
第N段部分流路が合流して形成され、前記ガスを外部へ導出する導出口を有する1本の第N+1段部分流路と、を含む、
N+1段の部分流路を有するトーナメント状の流路であり、
前記トーナメント状接続流路の各前記導入口から前記導出口までの流路長又は内容積が互いに等しい又は実質的に等しいものである。
【0010】
前記トーナメント状接続流路の各ガス導入口には、一又は複数の前記流体制御ユニットが直接に、又は、複数の前記流体制御ユニットが当該流体制御ユニットの下流側を互いに流体接続する合流配管を介して接続されている。
【0011】
好適には、前記トーナメント状接続流路は、前記合流する箇所の上流側近傍にそれぞれ設けられた開閉バルブを有し、各前記開閉バルブの上流側を他の部分から遮断できるように構成されている。
【0012】
本発明の半導体製造装置は、密閉されたプロセスチャンバ内においてプロセスガスによる処理工程を要する半導体装置の製造プロセスにおいて、前記プロセスガスの供給制御に上記したガス供給装置を用いている。
【発明の効果】
【0013】
本発明の第1の観点によれば、複数のガスを合流させる合流流路と複数の流体制御ユニットとの接続部を、当該合流流路の流路方向においてガス導出部の配置位置に関して対称に配置し、かつ、複数の接続部の各々には、2以上の前記流体制御ユニットを流体接続する構成としたので、対称的な配置の接続部に接続される複数の流体制御ユニットのプロセスチャンバまでの流路の流路長を等しくすることができ、省スペース化が可能で、かつ、短時間で安定した濃度成分の混合ガスを処理チャンバに供給可能となる。
【0014】
本発明の第2の観点によれば、各導入口から導出口までの流路長又は内容積を互いに等しい又は実質的に等しいトーナメント状接続流路を用い、複数の流体制御ユニットから導出されるガスを導入しトーナメント状に合流させて外部へ導出させる構成としたので、複数の流体制御ユニットからプロセスチャンバまでの流路の流路長を等しくすることができ、省スペース化が可能で、かつ、短時間で安定した濃度成分の混合ガスを処理チャンバに供給可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】本発明の第1の実施形態に係るガス供給装置の概略構成図。
【
図2】
図1のガス供給装置の各流体制御ユニットのプロセスチャンバまでの流路長の関係を説明するための図表。
【
図3】本発明の第2の実施形態に係るガス供給装置の概略構成図。
【
図4】
図3のガス供給装置の各流体制御ユニットのプロセスチャンバまでの流路長の関係を説明するための図表。
【
図5】本発明の第3の実施形態に係るガス供給装置の概略構成図。
【
図6】本発明の第3の実施形態に係る他のガス供給装置の流路切替えの例を示す概略図で、(a)は開発段階での構成例、(b)は量産段階での構成例を示す。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本開示の実施形態について図面を参照して説明する。
(第1の実施形態)
図1に本発明の第1の実施形態に係るガス供給装置1の概略構成を示す。
ガス供給装置1は、複数の流体制御ユニットA1~H2と、複数の合流流路MHC1,MHC2と、単一のメイン流路Mと、複数の接続流路P1,P2とを含む。このガス供給装置1をプロセスチャンバ100に適用することにより、本発明の一実施形態に係る半導体製造装置が構成される。
【0017】
流体制御ユニットA1~H2の各々は、流路CH、開閉バルブV1、流量制御器FC、開閉バルブV2、流路Cp、開閉バルブVpを含む。開閉バルブV1、流量制御器FCおよび開閉バルブV2は、流路CHの途中に設けられており、開閉バルブVpは、パージガスPG用の流路Cpの途中に設けられ、流路Cpは開閉バルブV1と流量制御器FCとの間の流路CHに流体接続されている。
【0018】
各流路CHには上流からプロセスガスGが供給され、流路Cpには上流からパージガスPGが供給される。流体制御ユニットA1~H2に供給されるプロセスガスGの種類は、互いに異なる場合も互いに同じ場合もある。流路CHや流路Cpは、配管やブロックで形成することができる。
開閉バルブV1,V2は、流路CHを開閉し、開閉バルブVpは流路Cpを開閉する。
流量制御器FCは、例えば、マスフローコントローラなどで構成され、流路CHを上流から下流に向けて流れるガスの流量をコントロールする。
【0019】
上記した開閉バルブV1、流量制御器FC、開閉バルブV2、開閉バルブVpは、本発明の流体制御機器の一例であり、本発明の「流体制御機器」とは、ガスの流れを制御する流体制御に使用される機器であり、開閉弁(2方弁)、レギュレータ、プレッシャーゲージ、開閉弁(3方弁)、マスフローコントローラ等が含まれるが、これらに限定されるわけではない。また、本実施形態では、各流体制御ユニットA1~H2の構成を同様の構成としたが、これに限定されるわけではなく、互いに異なる構成でもよく、また、圧力計等の流体を制御しない流体機器も各流体制御ユニットA1~H2に含めることができる。
また、各流体制御ユニットA1~H2の構成要素は、上流から下流に向けて一列に配置されることが好ましく、また、流体制御ユニットA1~H2は並列配置されることが好ましい。さらに、流体制御ユニットA1~H2は、合流流路MHC1,MHC2に対して直交する向きに配置されることが好ましい。このような配置とすることで、複数の流体制御ユニットA1~H2の配置に要するスペースを最小化することができる。
【0020】
合流流路MHC1,MHC2は、両端部が閉塞した流路であり、配管やマニホールドブロック等で形成され、これらは互いに同一の構造および寸法を有することが好ましい。
合流流路MHC1,MHC2は、複数の流体制御ユニットA1~H2の各流路CHの下流端部が流体接続される複数の接続部LC1~RC2と、当該合流流路MHC1内で合流した混合ガスを導出する単一のガス導出部K1とをそれぞれ有する。
【0021】
合流流路MHC1,MHC2のガス導出部K1は、合流流路MHC1,MHC2の流路方向において中央位置に配置されている。合流流路MHC1,MHC2は、直線状に形成することができるが、中央位置に関して対称性を有していれば、湾曲していてもよい。
合流流路MHC1,MHC2の複数の接続部LC1~RC2は、流路方向の中央位置に関して左右対称な位置に配置されている。すなわち、複数の接続部LC1~RC2は、ガス導出部K1に対して対称的に配置される。接続部LC1,RC1と接続部LC2,RC2とがそれぞれ左右対称な位置に配置されている。すなわち、複数の接続部LC1~RC2は、合流流路MHC1,MHC2の流路方向において、ガス導出部K1の一方側および他方側にそれぞれ複数かつ同数設けられている。
(尚、合流流路MHC1,MHC2のガス導出部K1から両側の接続部LC1,RC1までの部分をそれぞれ第1段部分流路T1とも呼び、それらの両側の部分をそれぞれ合流配管Jとも呼ぶ。)
【0022】
合流流路MHC1の接続部LC1には流体制御ユニットA1,C1が流体接続され、合流流路MHC1の接続部LC2には流体制御ユニットA2,C2が流体接続され、合流流路MHC1の接続部RC1には流体制御ユニットB1,D1が流体接続され、合流流路MHC1の接続部RC2には流体制御ユニットB2,D2が流体接続されている。
同様に、合流流路MHC2の接続部LC1には流体制御ユニットE1,G1が接続され、合流流路MHC1の接続部LC2には流体制御ユニットE2,G2が接続され、合流流路MHC2の接続部RC1には流体制御ユニットF1,H1が接続され、合流流路MHC2の接続部RC2には流体制御ユニットF2,H2が接続されている。
各接続部LC1~RC2にそれぞれ接続される2つの流路CHは、対向するように接続されていてもよいし、異なる方向を向くように接続されていてもよい。なお、本実施形態では、合流流路MHC1,MHC2の各接続部LC1~RC2に2つの流体制御ユニットを接続する場合を例に挙げたが、これに限定されるわけではなく、各接続部LC1~RC2に3つ以上の流体制御ユニットを流体接続することも可能である。
【0023】
合流流路MHC1,MHC2の各ガス導出部K1は、それぞれ接続流路P1,P2によって、メイン流路Mの合流部Rと流体接続されている。接続流路P1,P2は、同一の構造および寸法の配管等で形成されるのが好ましい。
メイン流路Mは、プロセスチャンバ100に、複数のプロセスガスGの混合ガスを供給する、またはパージガスPGを供給するための流路であり、配管等で形成される。
【0024】
ここで、合流流路MHC1,MHC2は、メイン流路Mの合流部Rに対して対称的に配置されている。合流流路MHC1,MHC2の対称的な配置には、合流部Rに対して左右対称な配置、上下対称な配置、面対称な配置、線対称な配置であることが含まれ、これらのいずれかであればよい。また、合流部Rの中心点に関して点対称であってもよい。本実施形態では、2つの合流流路MHC1,MHC2を例示したが、3つ以上の合流流路を備えていてもよく、その場合は、合流部Rの中心点に関して3つ以上の合流流路を点対称に配置する。
【0025】
複数の接続部LC1~RC2をガス導出部K1に対して対称的に配置することで、接続部LC1からガス導出部K1までの流路長と接続部RC1からガス導出部K1までの流路の流路長を等しくすることができ、また、接続部LC2からガス導出部K1までの流路長と接続部RC2からガス導出部K1までの流路の流路長を等しくすることができる。
加えて、合流流路MHC1,MHC2をメイン流路Mの合流部Rに対して対称的に配置することで、合流流路MHC1のガス導出部K1からメイン流路Mの合流部Rまでの流路長と、合流流路MHC2のガス導出部K1からメイン流路Mの合流部Rまでの流路長とを等しくすることができる。
【0026】
ガス供給装置1を上記構成とすることにより、
図2に示すように、複数の流体制御ユニットA1,B1,C1,D1,E1,F1,G1,H1の流路CHの最下流側に配置された流体制御機器である開閉バルブV2からプロセスチャンバ100までの流路の流路長(または内容積)をそれぞれ等しくでき、また、複数の流体制御ユニットA2,B2,C2,D2,E2,F2,G2,H2の流路CHの最下流側に配置された流体制御機器である開閉バルブV2からプロセスチャンバ100までの流路の流路長(または内容積)をそれぞれ等しくできる。
仮に、全ての流体制御ユニットA1~H2を並列に並べた場合には、各開閉バルブV2からプロセスチャンバ100までの流路長はそれぞれ異なるが、本実施形態では、対称的な配置関係にある流体制御ユニットの各開閉バルブV2からプロセスチャンバ100までの流路長を等しくすることができる。
この結果、ガス供給装置1の省スペース化が可能で、かつ、ガス供給装置1から短時間で安定した濃度成分の混合ガスをプロセスチャンバ100に供給可能となる。
また、本実施形態によれば、全ての流体制御ユニットA1~H2を並列に並べた場合と比べて、各流体制御ユニットA1~H2のプロセスチャンバ100までの流路長の短縮化が可能となる。
【0027】
上記実施形態では、2つの合流流路MHC1,MHC2を備える場合について説明したが、本発明はこれに限定されるわけではなく、1つの合流流路MHC1のみを使用した場合も本発明の実施形態に含まれる。
【0028】
(第2の実施形態)
図3は、本発明の第2の実施形態に係るガス供給装置10の概略構成図である。
本実施形態は、各導入口TCから導出口TOまでの流路長又は内容積を互いに等しい又は実質的に等しいトーナメント状接続流路Tを用い、複数の流体制御ユニットA1~H6から導出されるガスを導入しトーナメント状に合流させて外部へ導出させる形態である。
本実施形態のガス供給装置10は、流体制御ユニットA1~H6と、トーナメント状接続流路Tと、合流配管Jから構成される。
【0029】
流体制御ユニットA1~H6の各々は、第1の実施形態の流体制御ユニットA1~H2と同様で、流路CH、開閉バルブV1(いずれも
図1参照)、流量制御器FC、開閉バルブV2、開閉バルブVp(
図1参照)を含み、流路CHを開閉するとともに流路CHを上流から下流に向けて流れるガスの流量をコントロールするユニットである。
図3では、簡略化のために、流路CH、開閉バルブV1、開閉バルブVpの図示を省略し、流量制御器FC、開閉バルブV2を流体制御ユニットA1についてのみ図示している。
【0030】
前記トーナメント状接続流路Tは、
前記流体制御ユニットA1~H6にそれぞれ接続可能な導入口TCを有する2N本の第1段部分流路T1(Nは2以上の整数)と、
第k―1段部分流路Tk-1が(kは2からNまでの整数)、2本ずつ合流して形成される第k段部分流路Tkと、
第N段部分流路TNが合流して形成され、ガスを外部へ導出する導出口TOを有する1本の第N+1段部分流路TN+1と、を含む、
N+1段の部分流路を有するトーナメント状の流路である。
また、トーナメント状接続流路Tの各導入口TCから導出口TOまでの流路長(又は内容積)が互いに(実質的に)等しく形成されている。
この構成は、例えば、段ごとに全ての部分流路Tk(kは1からNまでの整数)の流路長を(実質的に)等しくし、流路を同一内径で形成することにより実現できる。
本実施形態のトーナメント状接続流路Tは、N=3の例であり、8本の第1段部分流路T1と、この第1段部分流路T1が2本ずつ合流部U1で合流して形成された4本の第2段部分流路T2と、この第2段部分流路T2が2本ずつ合流部U2で合流して形成された2本の第3段部分流路T3と、この2本の第3段部分流路T3合流部がU3で合流して形成された1本の第4段部分流路T4とを含む。
各部分流路T1~T4は、配管で形成してもよく、マニホールドや流路ブロックで構成してもよい。また、段ごとに全ての部分流路の流路径が等しいことが好ましい。
【0031】
導入口TCは、各第1段部分流路T1の上流側端部に設けられ、各導入口TCに一又は複数の流体制御ユニットA1~H6を直接又は合流配管Jを介して接続できるように構成されている。合流配管Jは、複数の流体制御ユニットの下流側を互いに流体接続する配管で、第1の実施形態の合流流路MHC1又はMHC2の接続部LC1,RC1の外側部分に相当する。
図3では、流体制御ユニットA1~H6は、各導入口TCに接続されるグループA~Hに分けて示している。
グループAでは、流体制御ユニットA2及びA3は導入口TCに直接接続され、流体制御ユニットA1及びA4は導入口TCに合流配管Jを介して接続されている。また、グループHでは、流体制御ユニットH3及びH4は導入口TCに直接接続され、流体制御ユニットH1,H2,H5及びH6は導入口TCに合流配管Jを介して接続されている。
一方、グループBでは、流体制御ユニットB1及びB2は導入口TCに直接接続され、グループC、D、F、Gでも、同様に2つの流体制御ユニットが導入口TCに直接接続されている。また、グループEでは、1つの流体制御ユニットE1が導入口TCに直接接続されている。
【0032】
上記のように、トーナメント状接続流路Tの各導入口TCから導出口TOまでの流路長(又は内容積)が互いに(実質的に)等しく形成されているので、各導入口TCに直接接続された流体制御ユニットA2,A3,B1,B2,C1,C2,D1,D2,E1,F1,F2,G1,G2,H3及びH4から導出口TOまでの流路長が互いに(実質的に)等しくなる。
また、グループAにおける導入口TCから合流配管Jの接続部JCまでの距離をグループHにおける導入口TCから合流配管Jの最初の接続部JCまでの距離を同じにすれば、接続部JCに接続された流体制御ユニットA1,A4,H2及びH5から導出口TOまでの流路長が互いに(実質的に)等しくなる。
図4は、
図3のガス供給装置の各流体制御ユニットA1~H6からプロセスチャンバ100(導出口TO)までの流路長の関係を説明するための図表である。
【0033】
このように、本実施形態でも、第1の実施形態と同様に、対称的な配置関係にある流体制御ユニットの各開閉バルブV2からプロセスチャンバ100までの流路長を等しくすることができ、全ての流体制御ユニットA1~H6を並列に並べた場合と比べて、各流体制御ユニットA1~H2のプロセスチャンバ100までの流路長の短縮化が可能となる。その結果、ガス供給装置10の省スペース化が可能で、かつ、ガス供給装置10から短時間で安定した濃度成分の混合ガスをプロセスチャンバ100に供給可能となる。
【0034】
上記実施形態では、段数N=3のトーナメント状流路に、21個の流体制御ユニットA1~H6を接続した場合について説明したが、本発明はこれに限定されるわけではない。トーナメント状接続流路Tの段数Nを増やすことにより、プロセスチャンバ100までの流路長を等しく保ちつつ、より多くの流体制御ユニットを接続することができる。
【0035】
(第1の実施形態と第2の実施形態の関係)
図1に示す第1の実施形態は、第2の実施形態におけるN=2のトーナメント状接続流路に該当する。すなわち、第1の実施形態の合流流路MHC1,MHC2のガス導出部K1から両側の接続部LC1,RC1までの部分は、それぞれ第1段部分流路T1に相当し、それらの両側の部分は、それぞれ合流配管Jに相当し、接続部LC2,RC2は接続部JCに相当し、接続流路P1,P2は、それぞれ第2段部分流路T2に相当し、メイン流路Mは、第3段部分流路T3に相当する。
【0036】
(第3の実施形態)
図5は、本発明の第3の実施形態に係るガス供給装置20の概略構成図である。
本実施形態は、第2の実施形態において、トーナメント状接続流路Tの各合流部U1,U2,U3の上流側近傍にそれぞれ開閉バルブVSを設けたもので、各開閉バルブVSの上流側を他の部分から遮断できるようにした形態である。
【0037】
この開閉バルブVSがないと、例えば、グループA(流体制御ユニットA1~A4)が使用されないとき、グループA下流の合流部U1からこれらの流体制御ユニットA1~A4の各開閉バルブV2までの流路が、いわゆる盲腸配管(Dead Space)になって、そこに存在する残留ガス等のために、プロセスチャンバ100へ供給するプロセスガス種の切替えやパージに時間が掛かるという問題が発生する恐れがある。
このような流体制御ユニットのグループA~Hいずれかが使用されない場合とは、例えば以下のよう場合がある。
1)ガス供給装置20がグループA~Hごとに異なるプロセスガスを流すように構成されている場合において、処理プロセスの切替えにより、あるプロセスガスが使用されなくなったため、対応するグループが使用されなくなった場合。
2)本ガス供給装置20を含むプロセス装置の開発段階では構成に含まれていたグループを、プロセス装置の量産段階では削除した場合。この場合において、開発段階の配管系を量産段階のプロセス装置に流用すると、削除したグループに接続していた部分が盲腸配管になる。
【0038】
本実施形態では、各合流部U1,U2,U3の上流側近傍にそれぞれ開閉バルブVSを設けたので、使用されないグループ下流の合流部U1,U2,U3の上流側の開閉バルブVSを閉じることにより、その開閉バルブVSの上流側の配管系を他の部分から遮断することができ、これにより盲腸配管の形成を防ぐことができる。
これらの開閉バルブVS(仕切弁ともいう)は、自動バルブでもよいが、開閉頻度が少ない場合は手動バルブでもよい。また、これらの開閉バルブVSは、盲腸配管発生防止のため、合流部U1,U2,U3にできるだけ近づけて配置する。
【0039】
図6は、本実施形態の他のガス供給装置30の流路切替えの例を示す概略図で、(a)は開発段階での構成例、(b)は量産段階での構成例を示す。ここで、「開発段階」「量産段階」とは、ガス供給装置を採用するプロセス装置の開発段階、量産段階をいう。
図6(a)に示す開発段階の装置には、グループC、Dの流体制御ユニットC1~D2が構成に含まれていたが、
図6(b)に示す量産段階の装置では、グループC、Dの流体制御ユニットC1~D2を削除している。この場合において、量産段階の装置に開発段階の配管系を流用すると、グループC,Dに接続していた部分(破線で示す)が盲腸配管になる。
【0040】
しかし、本実施形態のガス供給装置30では、グループC,Dからの流路の、当該流路がグループA,Bからの流路と合流する合流部U2の上流側近傍に設けられた開閉バルブVS1を閉じることにより、上記グループC,Dに接続していた部分(破線で示す)を他の部分から切り離すことができ、盲腸配管の発生を防ぐことができる。
このように、本実施形態のガス供給装置30をプロセス装置に採用すれば、開発段階において含まれていた流体制御ユニットの一部を量産段階において削除する場合でも、上記盲腸配管の問題を防ぎつつ、量産段階の装置にガス供給装置30の配管系をそのまま流用することができるため、配管系の設計変更等の開発コストを削減することができる。
【0041】
なお、本発明は、上述した実施形態に限定されない。当業者であれば、本発明の範囲内で、種々の追加や変更等を行うことができる。
【符号の説明】
【0042】
1,10、20,30 :ガス供給装置
100 :プロセスチャンバ
A1~H6 :流体制御ユニット
CH :流路
Cp :流路
FC :流量制御器
G :プロセスガス
J :合流配管
JC :(合流配管Jの)接続部
K1 :ガス導出部
LC1,LC2,RC1,RC2 :接続部
M :メイン流路
MHC1,MHC2 :合流流路
P1,P2 :接続流路
PG :パージガス
R :合流部
T :トーナメント状接続流路
TC :導入口TC
T1 :第1段部分流路
T2 :第2段部分流路
TO :導出口
U1,U2,U3:合流部
V1 :開閉バルブ
V2 :開閉バルブ
Vp :開閉バルブ
VS :開閉バルブ