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特許7583505ガス供給システム、基板処理装置及び半導体装置の製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-06
(45)【発行日】2024-11-14
(54)【発明の名称】ガス供給システム、基板処理装置及び半導体装置の製造方法
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/31 20060101AFI20241107BHJP
   C23C 16/455 20060101ALI20241107BHJP
   F16K 49/00 20060101ALI20241107BHJP
【FI】
H01L21/31 B
C23C16/455
F16K49/00 B
【請求項の数】 20
(21)【出願番号】P 2023014878
(22)【出願日】2023-02-02
(65)【公開番号】P2023164282
(43)【公開日】2023-11-10
【審査請求日】2023-03-23
(31)【優先権主張番号】P 2022074525
(32)【優先日】2022-04-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】318009126
【氏名又は名称】株式会社KOKUSAI ELECTRIC
(74)【代理人】
【識別番号】110000350
【氏名又は名称】ポレール弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】柴田 智則
【審査官】鈴木 智之
(56)【参考文献】
【文献】特開2011-012723(JP,A)
【文献】国際公開第2019/021949(WO,A1)
【文献】特開2021-026283(JP,A)
【文献】特開2000-230670(JP,A)
【文献】特開2015-218770(JP,A)
【文献】特開2000-165030(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/31
C23C 16/455
F16K 49/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
処理室へ基板の処理に寄与する流体を供給する流路を開閉する第1弁と、複数の前記第1弁を加熱する複数の加熱領域と、前記複数の加熱領域に設けられる均熱部と、前記加熱領域間に設けられ、前記均熱部の間の伝導熱を調整する部材と、を有し、
前記第1弁は、前記処理室に連通する配管に設けられる弁のうち、最も前記処理室に近い箇所に設けられているガス供給システム。
【請求項2】
処理室へ基板の処理に寄与する流体を供給する流路を開閉する第1弁と、複数の前記第1弁を加熱する複数の加熱領域と、前記複数の加熱領域に設けられる均熱部と、前記加熱領域間に設けられ、前記均熱部の間の伝導熱を調整する部材と、を有し、
前記部材は、前記均熱部の上下方向で熱伝導率を異ならせるよう構成されているガス供給システム。
【請求項3】
前記均熱部は加熱領域毎に設けられる請求項1記載のガス供給システム。
【請求項4】
前記第1弁は、前記処理室の近傍に設けられる請求項1記載のガス供給システム。
【請求項5】
更に、前記複数の第1弁を加熱する加熱手段を複数有し、前記加熱手段毎に前記加熱領域が形成される請求項1記載のガス供給システム。
【請求項6】
前記加熱手段は、前記加熱領域を個別に加熱することが可能なように構成されている請求項5記載のガス供給システム。
【請求項7】
前記加熱手段は、前記加熱領域毎に設定された温度になるよう加熱することが可能に構成されている請求項記載のガス供給システム。
【請求項8】
処理室へ基板の処理に寄与する流体を供給する流路を開閉する第1弁と、複数の前記第1弁を加熱する加熱手段と、複数の前記第1弁を加熱する複数の加熱領域と、前記複数の加熱領域に設けられる均熱部と、前記加熱領域間に設けられ、前記均熱部の間の伝導熱を調整する部材と、を有し、
前記加熱手段は、前記加熱領域内に設けられる流路を流れるガス種に応じて設定される温度になるよう加熱することが可能に構成されるガス供給システム。
【請求項9】
前記加熱領域内に設けられる流路を流れるガス種に応じて設定される温度が異なるように構成される請求項8記載のガス供給システム。
【請求項10】
前記基板の処理に寄与する流体は、原料ガス、反応ガス、改質ガスのうちいずれか一つの処理ガス、または、前記処理ガスが組み合わせられた混合ガス、または前記処理ガスと不活性ガスとの混合ガスを含む請求項1記載のガス供給システム。
【請求項11】
更に、前記流体が流れる流路が設けられるブロック部が設けられ、
前記均熱部は、前記ブロック部の下方に設けられる請求項1記載のガス供給システム。
【請求項12】
更に、前記流体が流れる流路を開閉する弁部が設けられる本体部が設けられ、
前記本体部内には、前記ブロック部内に設けられる前記流路と前記弁部を連通する流路が設けられている請求項11記載のガス供給システム。
【請求項13】
処理室へ基板の処理に寄与する流体を供給する流路を開閉する第1弁と、複数の前記第1弁を加熱する複数の加熱領域と、前記複数の加熱領域に設けられる均熱部と、前記加熱領域間に設けられ、前記均熱部の間の伝導熱を調整する部材と、基板の処理に寄与しない流体を供給するための第2弁群を更に有するガス供給システム。
【請求項14】
前記基板の処理に寄与しない流体は、不活性ガスである請求項13記載のガス供給システム。
【請求項15】
処理室へ基板の処理に寄与する流体を供給する流路を開閉する第1弁と、複数の前記第1弁を加熱する複数の加熱領域と、前記複数の加熱領域に設けられる均熱部と、前記加熱領域間に設けられ、前記均熱部の間の伝導熱を調整する部材と、を有し、
前記第1弁は、前記処理室に連通する配管に設けられる弁のうち、最も前記処理室に近い箇所に設けられているガス供給システムを備えた基板処理装置。
【請求項16】
処理室へ基板の処理に寄与する流体を供給する流路を開閉する第1弁と、複数の前記第1弁を加熱する複数の加熱領域と、前記複数の加熱領域に設けられる均熱部と、前記加熱領域間に設けられ、前記均熱部の間の伝導熱を調整する部材と、を有し、前記第1弁は、前記処理室に連通する配管に設けられる弁のうち、最も前記処理室に近い箇所に設けられているガス供給システムから前記基板に前記流体を供給する工程を有する半導体装置の製造方法。
【請求項17】
処理室へ基板の処理に寄与する流体を供給する流路を開閉する第1弁と、複数の前記第1弁を加熱する加熱手段と、前記加熱手段毎に形成される複数の加熱領域と、前記複数の加熱領域に設けられる均熱部と、前記加熱領域間に設けられ、前記均熱部の間の伝導熱を調整する部材と、を有し、
前記加熱手段は、前記加熱領域内に設けられる流路を流れるガス種に応じて設定される温度になるよう加熱することが可能に構成されるガス供給システムを備えた基板処理装置。
【請求項18】
処理室へ基板の処理に寄与する流体を供給する流路を開閉する第1弁と、複数の前記第1弁を加熱する加熱手段と、前記加熱手段毎に形成される複数の加熱領域と、前記複数の加熱領域に設けられる均熱部と、前記加熱領域間に設けられ、前記均熱部の間の伝導熱を調整する部材と、を有し、
前記加熱手段は、前記加熱領域内に設けられる流路を流れるガス種に応じて設定される温度になるよう加熱することが可能に構成されるガス供給システムから前記基板に前記流体を供給する工程を有する半導体装置の製造方法。
【請求項19】
処理室へ基板の処理に寄与する流体を供給する流路を開閉する第1弁と、複数の前記第1弁を加熱する複数の加熱領域と、前記複数の加熱領域に設けられる均熱部と、前記加熱領域間に設けられ、前記均熱部の間の伝導熱を調整する部材と、基板の処理に寄与しない流体を供給するための第2弁群を更に有するガス供給システムを備えた基板処理装置。
【請求項20】
処理室へ基板の処理に寄与する流体を供給する流路を開閉する第1弁と、複数の前記第1弁を加熱する複数の加熱領域と、前記複数の加熱領域に設けられる均熱部と、前記加熱領域間に設けられ、前記均熱部の間の伝導熱を調整する部材と、基板の処理に寄与しない流体を供給するための第2弁群を更に有するガス供給システムから前記基板に前記流体を供給する工程を有する半導体装置の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、ガス供給システム、基板処理装置及び半導体装置の製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
処理用ガスを基板(以下、「ウエハ」ともいう)に供給させ、所定の処理条件で処理する基板処理装置の一例として、半導体装置を製造する半導体製造装置が知られている。近年、この装置では、特許文献1または特許文献2に示すように、常温で液体または固体の原料ガス等、種々の処理用ガスが使用されることがある。この場合、原料ガスを気体状態に保つため、ガス供給配管だけでなく、このガス供給配管に設けられるバルブなども加熱されることがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2020-038904号公報
【文献】国際公開2017-130850号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本開示は、処理室に原料ガスを相変化させることなく供給させる技術を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示の一態様によれば、処理室へ基板の処理に寄与する流体を供給する流路を開閉する第1弁と、複数の前記第1弁を加熱する複数の加熱領域と、前記複数の加熱領域に設けられる均熱部と、前記加熱領域間に設けられ、前記均熱部の間の伝導熱を調整する部材と、
を有する技術が提供される。
【発明の効果】
【0006】
本開示によれば、相変化させることなく原料ガスを処理室に供給することができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】実施形態で好適に用いられる基板処理装置の一例を概略的に示す上面図である。
図2】実施形態で好適に用いられる基板処理装置の一例を概略的に示す縦断面図である。
図3】実施形態で好適に用いられる基板処理装置の一例を概略的に示す縦断面図である。
図4】実施形態で好適に用いられるガス供給系の一例を概略的に示す縦断面図である。
図5】実施形態における好適に用いられる最終バルブ設置部の一例を概略的に示す上面図である。
図6】実施形態における好適に用いられる最終バルブの一例を概略的に示す縦断面図であり、図5のA縦断面図である。
図7図7(A)は、実施形態における好適に用いられる加熱領域の狭間に設けられる部材の一例を示す図である。図7(B)は、図7(A)の加熱領域の狭間に設けられる部材による熱伝導を示す一例である。
図8】実施形態に係る基板処理工程のフローチャートの一例である。
図9】実施形態における好適に用いられる最終バルブ設置部の変形例を概略的に示す上面図である。
図10】実施形態における好適に用いられる最終バルブの一例を概略的に示す縦断面図であり、図5のB縦断面図である。
図11図11(A)は、実施形態における好適に用いられる最終バルブ設置部の変形例を概略的に示す上面図である。図11(B)は、実施形態における好適に用いられる最終バルブ設置部の変形例を概略的に示す上面図であり、調整部の間の最終バルブを無くした(除いた)構成である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
なお、以下の説明において用いられる図面は、いずれも模式的なものであり、図面に示される、各要素の寸法の関係、各要素の比率等は、現実のものとは必ずしも一致していない。また、複数の図面の相互間においても、各要素の寸法の関係、各要素の比率等は必ずしも一致していない。
【0009】
全図面中、同一または対応する構成については、同一または対応する参照符号を付し、重複する説明を省略する。また、後述する収納室9側を正面側(前側)、後述する搬送室6A、6B側を背面側(後ろ側)とする。さらに、後述する処理モジュール3A、3Bの境界線(隣接面)に向う側を内側、境界線から離れる側を外側とする。なお、本実施形態において、基板処理装置2は、半導体装置(デバイス)の製造方法における製造工程の一工程として熱処理等の基板処理工程を実施する縦型基板処理装置(以下、処理装置と称する)2として構成されている。
【0010】
図1図2に示すように、処理装置2は隣接する2つの処理モジュール3A、3Bを備えている。処理モジュール3Aは、処理炉4Aと搬送室6Aにより構成される。処理モジュール3Bは、処理炉4Bと搬送室6Bにより構成される。処理炉4A、4Bの下方には、搬送室6A、6Bがそれぞれ配置されている。搬送室6A、6Bの正面側に隣接して、ウエハWを移載する移載機7を備える移載室8が配置されている。移載室8の正面側には、ウエハWを複数枚収納するポッド(フープ)5を収納する収納室9が連結されている。収納室9の前面にはI/Oポート22が設置され、I/Oポート22を介して処理装置2内外にポッド5が搬入出される。
【0011】
搬送室6A、6Bと移載室8との境界壁(隣接面)には、ゲートバルブ90A、90Bがそれぞれ設置される。移載室8および搬送室6A、6Bには圧力検知器がそれぞれに設置されており、移載室8の圧力は、搬送室6A、6Bの圧力よりも低くなるように設定されている。また、移載室8および搬送室6A、6Bには酸素濃度検知器がそれぞれに設置されており、移載室8Aおよび搬送室6A、6Bの酸素濃度は大気中における酸素濃度よりも低く維持されている。
【0012】
移載室8の天井部には、移載室8にクリーンエアを供給するクリーンユニットが設置されており、移載室8にクリーンエアとして、例えば、不活性ガスを循環させるように構成されている。移載室8を不活性ガスにて循環パージすることにより、移載室8を清浄な雰囲気とすることができる。このような構成により、移載室8に搬送室6A、6Bのパーティクル等が混入することを抑制することができ、移載室8および搬送室6A、6BでウエハW上に自然酸化膜が形成されることを抑制することができる。
【0013】
処理モジュール3Aおよび処理モジュール3Bは同一の構成を備えるため、以下においては、代表して処理モジュール3Aについてのみ説明する。
【0014】
図2に示すように、処理炉4Aは、円筒形状の反応管10Aと、反応管10Aの外周に設置された加熱手段(加熱機構)としてのヒータ12Aとを備える。反応管10Aは、例えば石英やSiCにより形成される。反応管10Aの内部には、基板としてのウエハWを処理する処理室14Aが形成される。反応管10Aには、温度検出器としての温度検出部16Aが設置される。温度検出部16Aは、反応管10Aの内壁に沿って立設されている。
【0015】
基板処理に使用されるガスは、ガス供給系またはガス供給システムとしてのガス供給機構34によって処理室14Aに供給される。ガス供給機構34が供給するガスは、成膜される膜の種類に応じて換えられる。ここでは、ガス供給機構34は、原料ガス供給部、反応ガス供給部および不活性ガス供給部を含む。ガス供給機構34は後述する供給ボックス72に収納されている。なお、供給ボックス72は、処理モジュール3A、3Bに対して共通に設けられるので、共通供給ボックスと見做される。
【0016】
第1のガス供給部である原料ガス供給部は、ガス供給管36aを備え、ガス供給管36aには、上流方向から順に、流量制御器(流量制御部)であるマスフローコントローラ(MFC)38aおよび開閉弁であるバルブ41a、40aが設けられている。ガス供給管36aはマニホールド18の側壁を貫通するノズル44aに接続される。ノズル44aは、反応管10A内に上下方向に沿って立設し、ボート26に保持されるウエハWに向かって開口する複数の供給孔が形成されている。ノズル44aの供給孔を通してウエハWに対して原料ガスが供給される。
【0017】
以下、同様の構成にて、第2のガス供給部である反応ガス供給部からは、供給管36b、MFC38b、バルブ41b、バルブ40bおよびノズル44bを介して、反応ガスがウエハWに対して供給される。不活性ガス供給部からは、供給管36c、36d、MFC38c、38d、バルブ41c、41d、バルブ40c、40dおよびノズル44a、44bを介して、ウエハWに対して不活性ガスが供給される。ノズル44bは、反応管10A内に上下方向に沿って立設し、ボート26に保持されるウエハWに向かって開口する複数の供給孔が形成されている。ノズル44bの供給孔を通してウエハWに対して反応ガスが供給される。なお、反応ガスとしては、例えば、窒素含有ガスまたは酸素含有ガスがウエハWに対して供給される。
【0018】
また、ガス供給機構34には、基板処理に寄与する反応ガス、原料ガス、または、基板処理に寄与しない不活性ガスやクリーニングガスをウエハWに対して供給するため、第3のガス供給部も設けられている。第3のガス供給部からは、供給管36e、MFC38e、バルブ41e、バルブ40eおよびノズル44cを介して、反応ガスがウエハWに対して供給される。不活性ガス供給部からは、供給管36f、MFC38f、バルブ41f、バルブ40fおよびノズル44cを介して、ウエハWに対して不活性ガスまたはクリーニングガスが供給される。ノズル44cは、反応管10A内に上下方向に沿って立設し、ボート26に保持されるウエハWに向かって開口する複数の供給孔が形成されている。ノズル44cの供給孔を通してウエハWに対して原料ガスが供給される。なお、上述のウエハWに対してクリーニングガスが供給される例として、クリーニングガスをエッチングガスとして用い、ウエハWに供給すること、または、製品ではないダミーウエハ(疑似基板)に対してクリーニングガスを供給すること等が含まれる。
【0019】
反応管10A内には、3つのノズル44a、44b、44cが設けられており、反応管10A内に、3種類の原料ガスを所定の順序かつ、または、所定の周期で供給することが可能に構成されている。反応管10A内のノズル44a、44b、44cに接続されるバルブ40a、40b、40c、40d、40e、40fは、最終バルブと称される供給バルブであり、後述される最終バルブ設置部75Aに設けられている。以後、最終バルブ設置部75Aに設けられる各バルブ40を第1バルブということがある。同様に、反応管10B内には、3つのノズル44a、44b、44cが設けられており、反応管10B内に、3種類の原料ガスを所定の順序かつ、または、所定の周期で供給することが可能に構成されている。反応管10B内のノズル44a、44b、44cに接続されるバルブ40a、40b、40c、40d、40e、40fは、供給バルブであり、後述される最終バルブ設置部75Bに設けられている。以後、最終バルブ設置部75Bに設けられる各バルブ40を第2バルブということがある。なお、上記バルブ40は、バルブ40a~40fの総称を示す表現であり、他の要素についても以後同様な表現をする場合がある。
【0020】
バルブ41a~41fの出力側の複数の複数のガス管35は、バルブ41a~41fとバルブ40a~40fの間において、反応管10Aのバルブ40a、40b、40c、40d、40e、40fのそれぞれに接続される複数のガス分配管35Aと、反応管10Bのバルブ40a、40b、40c、40d、40e、40fのそれぞれに接続される複数のガス分配管35Bと、に分岐される。複数のガス管35は、反応管10A、10Bに対する共通のガス管と見做すことができる。
【0021】
マニホールド18Aには、排気管46Aが取り付けられている。排気管46Aには、処理室14Aの圧力を検出する圧力検出器(圧力検出部)としての圧力センサ48Aおよび圧力調整器(圧力調整部)としてのAPC(Auto Pressure Controller)バルブ50Aを介して、真空排気装置としての真空ポンプ52Aが接続されている。このような構成により、処理室14Aの圧力を処理に応じた処理圧力とすることができる。主に、排気管46A、APCバルブ50A、圧力センサ48Aにより、排気系Aが構成される。排気系Aは後述する排気ボックス74Aに収納されている。真空ポンプ52Aは、処理モジュール3Aと3Bに共通して1つ設置されても良い。
【0022】
処理室14Aは、複数枚、例えば25~150枚のウエハWを垂直に棚状に支持する基板保持具としてのボート26Aを内部に収納する。ボート26Aは、蓋部22Aおよび断熱部24Aを貫通する回転軸28Aにより、断熱部24Aの上方に支持される。回転軸28Aは蓋部22Aの下方に設置された回転機構30Aに接続されており、回転軸28Aは反応管10Aの内部を気密にシールした状態で回転可能に構成される。蓋部22Aは昇降機構としてのボートエレベータ32Aにより上下方向に駆動される。これにより、ボート26Aおよび蓋部22Aが一体的に昇降され、反応管10Aに対してボート26Aが搬入出される。
【0023】
ボート26AへのウエハWの移載は搬送室6Aで行われる。図1に示すように、搬送室6A内の一側面(搬送室6Aの外側側面、搬送室6Bに面する側面と反対側の側面)には、クリーンユニット60Aが設置されており、搬送室6A内にクリーンエア(例えば、不活性ガス)を循環させるように構成されている。搬送室6A内に供給された不活性ガスは、ボート26Aを挟んでクリーンユニット60Aと対面する側面(搬送室6Bに面する側面)に設置された排気部62Aによって搬送室6A内から排気され、クリーンユニット60Aから搬送室6A内に再供給される(循環パージ)。搬送室6A内の圧力は移載室8内の圧力よりも低くなるように設定されている。また、搬送室6A内の酸素濃度は、大気中における酸素濃度よりも低くなるように設定されている。このような構成により、ウエハWの搬送作業中にウエハW上に自然酸化膜が形成されることを抑制することができる。
【0024】
回転機構30A、ボートエレベータ32A、ガス供給機構34のMFC38a~fおよびバルブ41a~f、40a~f、APCバルブ50Aには、これらを制御するコントローラ100が接続される。コントローラ100は、例えば、CPUを備えたマイクロプロセッサ(コンピュータ)からなり、処理装置2の動作を制御するよう構成される。コントローラ100には、例えばタッチパネル等として構成された入出力装置102が接続されている。コントローラ100は、処理モジュール3Aと処理モジュール3Bとで夫々に1つずつ設置されても良いし、共通して1つ設置されても良い。
【0025】
次に、処理装置2の背面構成について説明する。
【0026】
図1に示すように、搬送室6A、6Bの背面側には、メンテナンス口78A、78Bがそれぞれ形成されている。メンテナンス口78Aは搬送室6Aの搬送室6B側に形成され、メンテナンス口78Bは搬送室6Bの搬送室6A側に形成される。メンテナンス口78A、78Bはメンテナンス扉80A、80Bにより開閉される。メンテナンス扉80A、80Bはヒンジ82A、82Bを基軸として回動可能に構成される。ヒンジ82Aは搬送室6Aの搬送室6B側に設置され、ヒンジ82Bは搬送室6Bの搬送室6A側に設置される。メンテナンスエリアは処理モジュール3A背面における処理モジュール3B側と処理モジュール3B背面における処理モジュール3A側とに形成されている。
【0027】
想像線で示すように、メンテナンス扉80A、80Bがヒンジ82A、82Bを中心にして搬送室6A、6Bの背面側後方に水平に回動されることにより、背面メンテナンス口78A、78Bが開かれる。メンテナンス扉80Aは、搬送室6Aに向かって左開きに180°まで開放可能なように構成される。メンテナンス扉80Bは、搬送室6Bに向かって右開きに180°まで開放可能なように構成される。また、メンテナンス扉80A、80Bは取外し可能に構成されており、取り外してメンテナンスを行っても良い。
【0028】
搬送室6A、6Bの背面近傍には、ユーティリティ系70が設置されている。ユーティリティ系70はメンテナンスリアA、Bの間に配置される。ユーティリティ系70は、バルブアセンブリとしての供給バルブボックスである最終バルブ設置部75A、75B、排気ボックス74A、74B、供給ボックス72、コントローラボックス76A、76Bを含む。ユーティリティ系70は、筐体側(搬送室6A、6B側)から順に、排気ボックス74A、74B、供給ボックス72、コントローラボックス76A、76Bで構成されている。
【0029】
最終バルブ設置部75A、75Bは、排気ボックス74A、74Bの上方に設けられる。ユーティリティ系70の各ボックスのメンテナンス口はそれぞれメンテナンスエリアA、B側に形成されている。供給ボックス72は、排気ボックス74Aの搬送室6Aに隣接する側と反対側および供給ボックス72Bは、排気ボックス74Bの搬送室6Bに隣接する側に隣接して配置される。
【0030】
例えば、処理モジュール3Aにおいて、ガス供給機構34の第1バルブ(ガス供給系の最下流に位置するバルブ40a、40b、40c)が設置される最終バルブ設置部75Aは、排気ボックス74Aの上方に配置されている。このように構成すると、第1バルブから処理室への配管長を短くすることができるため、成膜の品質を向上させることができる。また、図示されないが、バルブ40a、40b、40cの他、バルブ40d、40e、40fも、最終バルブ設置部75Aに配置される。説明は省略するが、処理モジュール3Bにおいても同様の構成である。
【0031】
図4を用いて、不活性ガスとしての窒素(N2)ガス、反応ガス、原料ガス、およびクリーニングガス(GCL)を供給するガス供給系34について説明する。なお、最終バルブ設置部75Aの構成と最終バルブ設置部75Bの構成は同じであり、最終バルブ設置部75Bの構成の記載は省略する。
【0032】
原料ガスは、バルブ42a、MFC38a、バルブ41a、処理室14A、14Bの近傍に設けられる最終バルブ設置部75A、75Bのバルブ40aを介して、反応管10A、10Bのノズル44aへ供給可能にされている。
【0033】
反応ガスは、バルブ42b、MFC38b、バルブ41b、処理室14A、14Bの近傍に設けられる最終バルブ設置部75A、75Bのバルブ40bを介して、反応管10A、10Bのノズル44bへ供給可能にされている。反応ガスは、また、バルブ41b2、最終バルブ設置部75A、75Bのバルブ40fを介して、反応管10A、10Bのノズル44cへも供給可能にされている。
【0034】
不活性ガスとしてのN2ガスは、バルブ42d、MFC38c、バルブ41c、処理室14A、14Bの近傍に設けられる最終バルブ設置部75A、75Bのバルブ40cを介して、反応管10A、10Bのノズル44aへ供給可能にされている。また、N2ガスは、バルブ42d、MFC38d、バルブ41d、最終バルブ設置部75A、75Bのバルブ40dを介して、反応管10A、10Bのノズル44bへも供給可能にされている。さらに、N2ガスは、バルブ42d、MFC38f、バルブ41f、最終バルブ設置部75A、75Bのバルブ40fを介して、反応管10A、10Bのノズル44cへも供給可能にされている。
【0035】
クリーニングガスGCLは、バルブ42g、MFC38g、バルブ41g、最終バルブ設置部75A、75Bのバルブ40g、40g2、40g3を介して、反応管10A、10Bの全ノズル44a、40b、40cへ供給可能にされている。
【0036】
また、MFC38aの下流のバルブ41a2、MFC38bの下流の41b3、MFC38gの下流のバルブ41g2は、排気系ESへ接続されている。
【0037】
図4に示すように、ガス供給系34の下流側の分配配管である複数のガス管35は、最終バルブ設置部75Aへ接続される複数のガス分配管35Aと、最終バルブ設置部75Bへ接続される複数のガス管35Bと、に分岐される。分岐後の複数のガス分配管35Aと複数のガス管35Bは、互いに等しい長さを有する。複数のガス管35には、適宜、ヒータ、フィルタ、チェック弁(逆止弁)、バッファタンク等が設けられる。
【0038】
処理モジュール3Aの第1バルブ群であるバルブ40a~、40d、40f、40g、40g2、40g3は、処理モジュール3Aの反応管10Aが有する3本のノズル(インジェクタともいう)44a、44b、44cの手前に設けられ、インジェクタへのガス供給をコントローラ100により直接的に操作することが可能である。図4の第1バルブ群(バルブ40a~、40d、40f、40g、40g2、40g3)は、1つのインジェクタ(44a、44b、44c)に対し、複数のガスを同時に(つまり混合して)供給できる。また、1つの分配配管からのクリーニングガスGCLは、すべてのインジェクタ(44a、44b、44c)に供給できるように構成される。処理モジュール3Bの第1バルブ群であるバルブ40a~40d、40f、40g、40g2、40g3は、処理モジュール3Aの第1バルブ群(バルブ40a~、40d、40f、40g、40g2、40g3)と同一の構成を有する。
【0039】
図4に示すように、ウエハWの処理に寄与する流体もウエハWの処理に寄与しない流体もすべてこの最終バルブ設置部75A(75B)を通過して処理室14A(14B)へ供給されるよう構成されている。ここで、ウエハWの処理に寄与する流体は、原料ガス、反応ガス、改質ガス、エッチングガス等を含む処理ガス、または、それらが組み合わせられた混合ガス、または処理ガスと不活性ガスとの混合ガスを含む。また、ウエハWの処理に寄与しない流体は、不活性ガスである。更に、本実施形態では、ウエハWの処理に寄与しない流体として、クリーニングガスも含む。
【0040】
次に、図5を用いて、本開示の一実施形態における最終バルブ40が配置される最終バルブ設置部75について説明する。なお、図4と構成が同じではないが、図5は説明のための図であり図4と同じ構成である必要はない。最終バルブ設置部75Bは、最終バルブ設置部75Aと同様の構成であるため、ここでは説明を省略し、最終バルブ設置部75Aと関連して以下説明する。
【0041】
図5は、最終バルブ設置部75の上面図の例示(一例)であり、想像線(点線)で細長い長方形(四角形)は加熱部(または加熱手段)としてのヒータHTを示し、実線で丸は加熱領域Hを示す。ヒータHT1~HT3と図示しない温度センサとしての熱電対TC1~TC3に対して加熱領域H1~H3がそれぞれ設けられ、各加熱領域Hの狭間に熱伝導を調整するための部材としての連結シートが配置される。加熱手段であるヒータHT1~HT3毎に、加熱領域H1~H3が形成されている。なお、図5において、連結シートは加熱領域Hの間に実線で示されている。ヒータHTは、外観からは見えないが、加熱領域Hの説明に都合が良いために想像線(点線)で図示している。ここで、加熱領域Hは、加熱領域H1~H3の総称であり、加熱領域Hと称した場合、加熱領域H1~H3の全体、もしくは加熱領域H1~H3のうちいずれかを示す。
【0042】
各ヒータHTにより加熱することで、最終バルブ設置部75Aは所定の温度以上になるよう温度制御されている。特に、常温で液体または固体の原料が使用されているとき、これらの原料の気化温度(または昇華温度)以上になるように温度制御される。また、各ヒータHTは個別に制御可能に構成されている。ここで、均熱部としての均熱板があるため加熱領域H内は均等に加熱できたとしても、加熱領域Hが複数存在するとき、加熱領域Hの間(均熱板の間)が空気層となり放熱しやすく、温度ムラが生じやすくなる懸念が残る。但し、図5においては、均熱部の間に伝導熱を調整する部材としての連結シートを各加熱領域Hの間に配置しているため、温度ムラを抑制することができる。詳細は後述する。
【0043】
次に、図6および図10を用いて、本開示の一実施形態における第1弁群としての第1バルブ40群の構成及び動作について説明する。最終バルブ設置部75A(75B)内の第1(第2)バルブ40は、処理室14A(14B)に連通する配管に設けられるバルブのうち、最も処理室14A(14B)に近い箇所(下流側)に設けられるバルブである。ここで、最終バルブ設置部75A(75B)は、第1弁群としての最終バルブ群である複数のバルブ40を含み、上下方向で最も下側から順番に、土台部と、均熱部としての均熱板と、ウエハWの処理に寄与する流体、ウエハWの処理に寄与しない流体がそれぞれ流れる流路を含むブロック部と、図示しない弁を駆動(上下)させて流路を開閉するバルブ部と、ブロック部と弁部の間に設けられるフランジ部を少なくとも含む構成となっている。また、第1弁としての第1バルブ40は、上述のフランジ部と、上述の弁部を含む構成となっている。均熱板の狭間には、後述する均熱部の間の伝導熱を調整する部材(以後、連結シートということがある)が設けられている。均熱板の材質は、合金であり、後述する。なお、図6および図10に記載の流路は一例である。図6および図10において、第1バルブ40間の配管やブロック部内の流路の詳細は省略するが、このブロック部の多様な形状の組み合わせにより、内部に様々な流路が構成されるようになっている。ブロック部内には、流体が流れる開口が設けられている。このブロック部の開口にガスが流れることにより、分岐、合流等の流路が形成される。なお、図5において、2列と3列に分かれているのは、限られたスペースに最終バルブ設置部75Aを収納するため、スペース効率を考慮して第1バルブ40の配置を行うためである。
【0044】
土台部は、図6に示す第1バルブ40に共通して設けられている。汎用バルブの組合せを行うと継手でバルブを接続するので所要スペースが大きくなるが、この土台部を用いることにより省スペースのバルブ集積化構造を実現している。具体的には、土台部の上に均熱部およびブロック部を隣接して配置することが可能であり、図5における第1バルブ群40を構成することができる。そして、ブロック部を介して第1バルブ40と隣り合う他の第1バルブ40を組合せることができ、各ブロック部内に種々の流路を形成することができるようになっている。
【0045】
均熱部は、加熱領域H毎に分割されており、図6に示すように、カートリッジヒータとしての加熱部HTが内部に設けられている。均熱部は、アルミ合金で構成されるアルミブロックで構成され、内部に加熱部HTを設置するための穴が形成される。このとき、アルミに対し通し穴加工を行うため、ある程度大きさに限界がある。このため、最終バルブ設置部75Aが大きくなると、複数の加熱部HTが設けられ、加熱領域Hが形成される。これにより、均熱部が、加熱領域H毎に分割されている。ここで、各加熱領域Hの間(加熱領域H1と加熱領域H2の境界)に連結シートが挿入されており、加熱領域の境界における熱逃げを抑制することにより、加熱領域H間におけるコールドスポットの発生を抑制している。
【0046】
図10に示すように温度センサが、ブロック部またはフランジ部内に形成されるガス流路に隣接するリークポートに設置されている。これにより、流路直近に温度センサを配置することができるので、実際のガス温度に近い温度を検出することができる。なお、リークポートとは、ガスのリーク(漏れ)をチェックするためにチェック用の治具を装着するためのポートである。また、フランジ部内のガス流路とブロック部内のガス流路が連結される部分の周囲は、シール部により、流路を外部と遮断するために密閉されていると共にフランジ部とブロック部が固定されている。なお、一例として、フランジ部およびブロック部はSUS(Stainless Used Steel)である。また、図示しないが、本実施形態において、複数の温度センサとサーモスイッチ(過温スイッチ)がセットで設けられている。
【0047】
図6および図10では、図示しないバルブ部に設けられる弁(例えば、ダイアフラム弁)を動作させてガス流路を開閉することにより、ガスの供給および停止が可能なように構成される。そして、図10に示すように、ブロック部の入力側または出力側には、図示しない他の第1バルブ40(のフランジ部)と接続可能に構成されている。なお、ブロック部の入力端および出力端の流路が大きくなっているのは、シール部によるフランジ部と接続の際にフランジ部に設けられるリークポートとシール部が連通するためである。このような構成により、このシール部からのリークをチェックすることができる。
【0048】
図6に示すように、第1バルブ群40の構成によれば、近年のデバイスの微細化、煩雑化に伴い多種多様な原料が使用されると共にガス供給系34の構造も複雑になってきており、これに伴い、バルブが集積化した構造となっている最終バルブ設置部75Aを所定の温度で均等に加熱することができる。これにより、再液化等の相変化をさせることなくウエハWの処理に寄与する流体を処理室14Aに安定して供給することができる。なお、連結シートの構成については後述する。
【0049】
記憶部104は、コントローラ100に内蔵された記憶装置(ハードディスクやフラッシュメモリ)であってもよいし、可搬性の外部記録装置(磁気テープ、フレキシブルディスクやハードディスク等の磁気ディスク、CDやDVD等の光ディスク、MO等の光磁気ディスク、USBメモリやメモリカード等の半導体メモリ)であってもよい。また、コンピュータへのプログラムの提供は、インターネットや専用回線等の通信手段を用いて行ってもよい。プログラムは、必要に応じて、入出力装置102からの指示等にて記憶部104から読み出され、読み出されたレシピに従った処理をコントローラ100が実行することで、処理装置2は、コントローラ100の制御のもと、所望の処理を実行する。コントローラ100は、コントローラボックス76(76A、76B)に収納される。コントローラ100が処理モジュール3Aと処理モジュール3Bとで夫々に1つずつ設置される場合、コントローラボックス76Aに、処理モジュール3Aを制御するコントローラ100(A)が設置され、コントローラボックス76Bに、処理モジュール3Bを制御するコントローラ100(B)が設置される。
【0050】
次に、上述の処理装置2を用い、基板上に膜を形成する処理(成膜処理)について図8を用いて説明する。ここでは、ウエハWに対して、原料ガスとして第1の処理ガスと、反応ガスとして第2の処理ガスを供給することで、ウエハW上に膜を形成する例について説明する。なお、以下の説明において、処理装置2を構成する各部の動作はコントローラ100により制御される。
【0051】
本実施形態における成膜処理では、処理室14AのウエハWに対して原料ガスを供給する工程と、処理室14Aから原料ガス(残留ガス)を除去する工程と、処理室14AのウエハWに対して反応ガスを供給する工程と、処理室14Aから反応ガス(残留ガス)を除去する工程と、を所定回数(1回以上)繰り返すことで、ウエハW上に膜を形成する。
【0052】
(基板搬入S1(ウエハチャージおよびボートロード))
ゲートバルブ90Aを開き、ボート26Aに対してウエハWを搬送する。複数枚のウエハWがボート26Aに装填(ウエハチャージ)されると、ゲートバルブ90Aが閉じられる。ボート26Aは、ボートエレベータ32Aによって処理室14に搬入(ボートロード)され、反応管10Aの下部開口は蓋部22Aによって気密に閉塞(シール)された状態となる。
【0053】
(圧力調整および温度調整S2)
処理室14Aが所定の圧力(真空度)となるように、真空ポンプ52Aによって真空排気(減圧排気)される。処理室14Aの圧力は、圧力センサ48Aで測定され、この測定された圧力情報に基づきAPCバルブ50Aが、フィードバック制御される。また、処理室14AのウエハWが所定の温度となるように、ヒータ12Aによって加熱される。この際、処理室14Aが所定の温度分布となるように、温度検出部16Aが検出した温度情報に基づきヒータ12Aへの通電具合がフィードバック制御される。また、回転機構30Aによるボート26AおよびウエハWの回転を開始する。
【0054】
(成膜処理)
[原料ガス供給工程S3]
処理室14Aの温度が予め設定された処理温度に安定すると、処理室14AのウエハWに対して原料ガスを供給する。原料ガスは、MFC38aにて所望の流量となるように制御され、ガス供給管36a、バルブ41a、40aおよびノズル44aを介して処理室14Aに供給される。
【0055】
[原料ガス排気工程S4]
次に、原料ガスの供給を停止し、真空ポンプ52Aにより処理室14Aを真空排気する。この時、不活性ガス供給部から不活性ガスとしてN2ガスを処理室14Aに供給しても良い(不活性ガスパージ)。
【0056】
[反応ガス供給工程S5]
次に、処理室14AのウエハWに対して反応ガスを供給する。反応ガスは、MFC38bにて所望の流量となるように制御され、ガス供給管36b、バルブ41b、40bおよびノズル44bを介して処理室14Aに供給される。
【0057】
[反応ガス排気工程S6]
次に、反応ガスの供給を停止し、真空ポンプ52Aにより処理室14Aを真空排気する。この時、不活性ガス供給部からN2ガスを処理室14Aに供給しても良い(不活性ガスパージ)。上述した4つの工程を行うサイクルを所定回数(1回以上)行うことにより、ウエハW上に、所望の膜を形成することができる。
【0058】
膜を形成した後、不活性ガス供給部からN2ガスが供給され、処理室14A内がN2ガスに置換されると共に、処理室14Aの圧力が常圧に復帰される(大気圧復帰S7)。その後、ボートエレベータ32Aにより蓋部22Aが降下されて、ボート26Aが反応管10Aから搬出(ボートアンロードS8)される。その後、処理済ウエハWはボート26Aより取出される(ウエハディスチャージS9)。
【0059】
その後、ウエハWはポッド5に収納され処理装置2外に搬出されても良いし、処理炉4Bへ搬送され、例えば、アニール等の基板処理が連続して行われても良い。処理炉4AでのウエハWの処理後に連続して処理炉4BでウエハWの処理を行う場合、ゲートバルブ90Aおよび90Bを開とし、ボート26Aからボート26BへウエハWが直接搬送される。その後の処理炉4B内へのウエハWの搬入出は、上述の処理炉4Aによる基板処理と同様の手順にて行われる。また、処理炉4B内での基板処理は、例えば、上述の処理炉4Aによる基板処理と同様の手順にて行われる。
【0060】
次に、図7(A)および図7(B)を用いて、例えば、加熱領域H1と加熱領域H2の境界(境界部)に設けられる部材について説明する。図7(A)に示す部材としての連結シートはシート状であるがこの形態に限定する必要は無い。また、材質としては、均熱板(アルミニウム合金)の熱伝導率より小さく、空気よりも熱伝導率が高ければよく、例えば、アルミナ、SUS等で構成するのが好ましい。
【0061】
また、図7(A)に示すように、連結シートの上側に大孔、下側に小孔を設置することで、上下の熱伝導率に差を設けるように構成されている。この連結シートの上下熱伝導差により、均熱板の下側が積極的に昇温され、下側の均熱が取れた後、じわじわ上側に熱が伝わるように均熱板の均熱化を助ける作用がある。
【0062】
具体的には、図7(B)に示すように、温度センサから遠方(均熱板の下部)は、連結シートを介して加熱領域H1と加熱領域H2との接触面積を大きくすることにより、熱伝導を促進させ(矢印表示)、加熱領域H間の狭間の加熱を促し、温度センサから近方(上部)は、連結シートを介して加熱領域H1と加熱領域H2との接触面積を小さくすることにより、熱伝導を抑制し(矢印表示)熱干渉による影響を低減することができる。
【0063】
なお、図7(B)に示すように、本実施形態における連結シートを用いて均熱部間の上部と下部の上下方向で熱伝導度を異ならせているが、この形態に限定されない。例えば、上部、中部、下部の3段階で上下方向の熱伝導度を異ならせるようにしてもよい。また、上下方向に徐々に熱伝導度が異なるような連結シートを加熱領域H1と加熱領域H2の間に設けるようにしてもよい。
【0064】
なお、均熱間の上下方向で熱伝導度を異ならせればよいので、連結シートの上側にだけ孔を設置することもできるのは言うまでもない。また、連結シートの形状は、孔(円形)に限定されず、多角形(三角形以上)、星形、ひし形、扇形であってもよい。また図形だけでなく、文字や数字、またはその組合せであってもよい。均熱間の上側と下側で形状を変えてもよく、図形と文字や数字との組合せであってもよい。
【0065】
また、均熱部間の上下方向で熱伝導度を異ならせればよいので、連結シートの上側と下側で材質を変えてもよい。上側の材質の熱電度率を下側の熱伝導率よりも低ければよい。同じ材料である必要もなく、上側を熱伝導率が低いSUSで下側を熱伝導率がSUSよりも高いアルミナで構成するようにしてもよい。
【0066】
このように、本実施形態における連結シートを用いて均熱間の上下方向で熱伝導度を異ならせることにより、最終バルブ設置部75Aの均熱性を高めることができ、ブロック部またはフランジ部内の流路もしくは配管を流れる流体(例えば、ガス)の再液化(または再固化)を防止する効果が得られる。
【0067】
ここまで、各加熱領域Hで同じ温度に加熱する場合について説明してきたが、図5において、例えば、加熱領域H1と加熱領域H2で設定温度が異なる場合がある。そこで、加熱部HTは、加熱領域H毎に設定された温度になるよう加熱することが可能に構成されている。また、加熱部HTは、前記加熱領域H内に設けられる流路を流れる所定のガスに応じて、予め設定される温度になるよう加熱することが可能に構成される。具体的には、加熱領域Hに流れるガス種に応じて最終バルブ設置部75Aの加熱領域H毎に設定温度が異なることがある。例えば、成膜に寄与する流体の気化温度に応じて、加熱領域毎に異なる温度に制御されることがある。
【0068】
例えば、図5において、加熱領域H1に気化温度A℃の原料ガスA、加熱領域H2に気化温度B℃(B<A)の原料ガスBが流れる場合に、各加熱領域Hを気化温度が比較的高い原料ガスAの気化温度A℃以上に均等に加熱することが考えられる。但し、ガス種によっては、気化温度が高すぎると、過剰に反応してしまい、配管等の腐食リスクが高まることが懸念される。従い、過剰に高温にすべきではなく、ほぼ気化温度近傍(蒸気圧曲線の近傍)となるように温度制御されるのが好ましい。一般的には、気化温度がA℃の場合、気化温度よりも若干高い(10%以下が一般的)温度で過温スイッチ(サーモスイッチ)が設けられ、気化温度近傍の適切な温度に制御されているか監視される。
【0069】
また、加熱領域H1(設定温度A℃)と加熱領域H2(設定温度B℃)で温度が異なることにより、加熱領域H1と加熱領域H2の狭間にコールドスポットが生じる懸念が多少あるが、本実施形態では、加熱領域H1と加熱領域H2の境界に連結シートを設けることにより、コールドスポットの発生を抑制し、均熱部間の上下方向で熱伝導度を異ならせることにより、各加熱領域Hで設定温度以上に加熱されるため、原料ガスA、原料ガスBのそれぞれの再液化を防止する効果が得られる。
【0070】
また、この場合、加熱領域H毎に最終バルブ設置部75を分離させて構成してもよいのは言うまでもない。
【0071】
(変形例1)
図9を用いて変形例1について説明する。図9図5との違いは加熱部が無いことである。つまり、図9に示す最終バルブ設置部75Cは、第3弁群としての最終バルブ群(複数の第3バルブ40の集合体)が加熱されていないということ以外は図5と同じ構成である。本変形例は、最終バルブ設置部75A(または75B)と最終バルブ設置部75Cの2つを設け、常温で液体または固体の原料は、気化状態または昇華状態を維持するために気化温度(もしくは昇華温度)以上に加熱する必要があるので、最終バルブ設置部75A(または75B)を介して処理室14Aにガスとして供給され、常温で気体の流体(ガス)は最終バルブ設置部75Cを介して処理室14Aに供給されるよう構成することである。
【0072】
このような構成によれば、図5のように処理室14Aに供給される全てのガスは最終バルブ設置部75A(または75B)を通過させ、加熱の必要が無いガスにまで加熱する場合と比較して、最終バルブ設置部75Aを簡略化できる。また、省スペース化に加え所定の温度で均等に加熱するのに消費する電力を低減することができる。
【0073】
更に、常温で気体の流体(ガス)は最終バルブ設置部75Cを介して処理室14Aに供給されるため、最終バルブ設置部75Aをコンパクト化でき、使用するヒータの本数(合わせて熱電対の本数)を抑えられる。また、使用する原料ガスによっては、ヒータの無駄な出力を抑えることができる。
【0074】
例えば、基板の処理に寄与するガス、例えば、原料ガス、反応ガス、改質ガス等、またはこれらと不活性ガスとの混合ガスを通過させる最終バルブ設置部75と、基板の処理に寄与しない不活性ガスを通過させる最終バルブ設置部と、基板の処理に寄与しないクリーニングガス、またはこのクリーニングガスと不活性ガスとの混合ガスを通過させる最終バルブ設置部にそれぞれ個別に設けるようにしてもよい。このように分散させることにより、それぞれの最終バルブ設置部をコンパクト化でき、使用するヒータの本数(合わせて熱電対等の本数)を抑えられる。また、使用する原料ガスによっては、ヒータの無駄な出力を抑えることができる。基板の処理に寄与しない不活性ガスを通過させる最終バルブや、基板の処理に寄与しないクリーニングガスまたはこのクリーニングガスと不活性ガスとの混合ガスを通過させる最終バルブは、第2弁または第2弁群と言い変えることができる。
【0075】
なお、図9に示す本変形例の一例として、加熱部があっても加熱されていないものも含むのは言うまでもない。また、熱電対等は、最終バルブ設置部75の温度を監視する上で配置されるのが好ましい。
【0076】
(変形例2)
次に、図11に基づいて、本開示の変形例における第1バルブ群40が配置される最終バルブ設置部75について説明する。第1バルブ40の構成および第1バルブ群40を構成する各部については、図5に示す最終バルブ設置部75内に配置される各第1バルブ群40と同じ構成であるため、ここでは、説明を省略し、図5の最終バルブ設置部75の構成と異なる点について主に説明する。
【0077】
図11(A)は、最終バルブ設置部75A内の第1バルブ40の数は同じで、ヒータHT2の代わりにヒータHT4を用い、ヒータHT1を除いた構成となっている。ここで、ヒータHT3、ヒータHT4はそれぞれ加熱領域H3、加熱領域H4を形成するように構成されており、加熱領域H3と加熱領域H4の範囲は同じである。実際は、ヒータHTに対する印加電力の違いなど一概には言えないが、以後、ヒータHT3、ヒータHT4は同じ加熱能力を有する前提で説明する。図11(B)もヒータHT3、ヒータHT4は同様であるがそれぞれの加熱領域Hは省略している。図11は、図5に比べて、ヒータHTが2本だけであり、省エネ効果が期待できる。
【0078】
一方、図5では最終バルブ設置部75A内に設けられる第1バルブ40に対してヒータHTによる加熱が可能であったが、図11では、2つの連結シートの間にある第1バルブ40に対してヒータHTによる加熱が不十分になる可能性が高い。従い、図11(B)では、2つの連結シートの間に第1バルブ40を設けない構成が考えられる。
【0079】
図11(B)に示すように、2つの連結シートの間には、第1バルブ40の本体部(弁部とフランジ部)を少なくとも配置しない構成となっており、これにより、流体を流さないように構成している。これにより、加熱領域H3と加熱領域H4を分離することができる。
【0080】
また、連結シートを設けない構成にすることができるが、加熱していない部分と加熱している部分の温度差が大きすぎると、2つの連結シートの間への熱逃げが大きくなる恐れがあるため、連結シートは設ける方が好ましい。なお、このときの連結シートは断熱材の役目を果たすことになるため、図7のような切れ目、切り抜きなどはないほうが好ましい。
【0081】
(実施例)
次に図4図5図11に基づいて、最終バルブ設置部75Aにおける第1バルブ40群の構成、および第1バルブ内に流れる流体について説明する。なお、ここでは説明しないが、最終バルブ設置部75Bも同様である。
【0082】
(実施例1)
次に、図5において、各ヒータHTの加熱により形成される各加熱領域Hの電力比率を同じにする。例えば、HT1:HT2:HT3を1:3:3の電力で加熱する。図5では、加熱領域H2,H3として示されているように、HT2,HT3は、それぞれ6個の第1バルブ40分のブロックを加熱可能に構成し、HT1はバルブ40群(2個の第1バルブ40)分のブロックを加熱するように構成されている。そして、それぞれの加熱領域の狭間に(それぞれのブロックの狭間)に連結シートを設置する。これにより、最終バルブ設置部75Aにおける処理ガスを所定温度以上に加熱することができる。従い、例えば、各第1バルブ40内を流れるガスの気化温度(または昇華温度)以上に加熱することができる。
【0083】
図5において、ヒータHT2、HT3でそれぞれ形成される加熱領域H2、H3の各々に流れる流体の種類を異ならせるように構成してもよい。例えば、加熱領域H2を構成する第1バルブ40群には、原料ガスを流すように、図示しないブロック部を組合せ、加熱領域H3には、クリーニングガスを流すように、図示しないブロック部を組合せるように構成してもよい。例えば、加熱領域H2は原料ガスの気化温度(または昇華温度)A、加熱領域H3はクリーニングガスの気化温度(または昇華温度)Bに調整することにより、最終バルブ設置部75A内の各第1バルブ40内を流れる処理ガスの気化温度(または昇華温度)以上に加熱することができる。
【0084】
更に、図5において、連結シートが配置される加熱領域H間の狭間は、ヒータHTから離れており温度制御が困難な箇所である。従い、加熱領域H2と加熱領域H3の間に配置される連結シートに沿って配置されている第1バルブ40内には、常温で気体として存在するガス、例えば反応ガスまたは不活性ガスが流れるように図示しないブロック部を組合せてもよい。この加熱領域H間の狭間に設けられる第1バルブ40内を流れる流体が、第1バルブ40内にヒータHTによる加熱が不要な流体にする構成にされるので、この連結シートに沿って配置されている第1バルブ40以外の第1バルブ40群を処理ガスの気化温度(または昇華温度)以上になるように制御すればよい。従い、最終バルブ設置部75A内に流れる処理ガスに対して温度制御性の向上が期待できる。また、加熱領域H2と加熱領域H3の間に配置される連結シートに沿っている部分には、第1バルブ40を設けないようにして、流体を流すことができないようにしてもよい。この場合でも同様に、最終バルブ設置部75A内に流れる処理ガスに対して温度制御性の向上が期待できる。
【0085】
更に、図5において、加熱領域H1と加熱領域H2の間に配置される連結シートの熱伝導率と、加熱領域H2と加熱領域H3の間に配置される連結シートの熱伝導率を異ならせるようにしてもよい。例えば、ヒータHTとの位置関係に応じて熱伝導率を異ならせるようにしてもよいし、ヒータHTに供給される電力に応じて熱伝導率を異ならせるようにしてもよい。これにより、各加熱領域H内に設けられる第1バルブ40内を流れる流体を所定の温度以上に制御することができる。
【0086】
(実施例2)
次に、図11においても同様に、各ヒータHTの加熱により形成される各加熱領域Hの電力比率を同じにする。例えば、HT3:HT4を1:1の電力で加熱する。そして、各ヒータHTの加熱領域HをそれぞれH3、H4に示し、各ヒータHTの適切に加熱可能な加熱領域Hを最終バルブ設置部75Aに配置される第1バルブ40の6個分とする前提で以下説明する。
【0087】
図11(A)に示すように、2つの連結シートに挟まれている領域は、加熱領域H3および加熱領域H4から外れている領域であるため、この領域に配置されている第1バルブ40には、処理ガスとして原料を流すと温度制御がうまくいかず、再固化(または再液化)が生じてしまう可能性が高い。従い、この領域には、温度制御(または温度加熱)を必要としない流体(定温で気体状の流体)であればよく、例えば、処理ガスとしてのリアクタントガス、又は、不活性ガスを流すように構成されている。
【0088】
このように、加熱領域H3、加熱領域H4のそれぞれに処理ガスを流し、2つの連結シートに挟まれている領域に配置されている第1バルブ40には、例えば、処理ガスとしてのリアクタントガス、又は、不活性ガスを流すように構成されているため、加熱領域H3と加熱領域H4が分離されているので、加熱領域H3には、処理ガスとして原料ガスを供給し、加熱領域H4には処理ガスとしてクリーニングガスを供給するというようなガス種の使い分けが可能になる。また、同じ原料ガスであっても昇華温度(気化温度)が異なる2種類の原料ガスを供給することが可能に構成してもよい。
【0089】
また、図7に示すように、2つの連結シートに挟まれている領域には、第1バルブ40を配置しないように構成してもよい。これにより、温度が不安定になる可能性が高い2つの連結シートに挟まれている領域には流体を流さず、加熱領域H3と加熱領域H4に流体を流すことができるため、加熱領域H3または、加熱領域H4に流す流体の温度制御が可能となり、例えば、流体の温度を所定温度以上にすることができるので、流体として固体原料を昇華させた処理ガスまたは液体原料を気化させた処理ガスを供給することができる。また、このような構成であっても、加熱領域H3と加熱領域H4が分離されているので、加熱領域H3に配置される第1バルブ40と加熱領域H4に配置される第1バルブ40にそれぞれ流れる処理ガスのガス種の使い分けが可能になる。また、同じ原料ガスであっても昇華温度(気化温度)が異なる2種類の原料ガスを供給することが可能に構成してもよい。
【0090】
(他の実施形態)
以上、本開示の実施形態を具体的に説明したが、本開示は上述の各実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能である。
【0091】
例えば、ガス種に応じて最終バルブ設置部を分散させて設置するようにしてもよい。具体的には、原料ガス、反応ガス、改質ガス等の基板の処理に寄与するガス毎に最終バルブ設置部を分散させて設置するようにしてもよい。そして、それぞれ異なる温度に制御されるようにしてもよい。一方、ガス種によらず気化温度(昇華温度)がほぼ同じ温度であれば、基板の処理に寄与するガスおよび基板の処理に寄与しないガスを同じ最終バルブ設置部を介して処理室に供給するようにしてもよい。
【0092】
例えば、加熱領域毎に均熱板(均熱部)が設けられているが、加熱領域に共有の均熱板(均熱部)を設け、加熱領域間の境界部に切れ込みを入れ、伝熱面積を小さくするように構成してもよい。但し、この場合、最終バルブ設置部の強度の問題があり、境界部の切れ込みの部分に補強材を入れる等の処置が必要となる。なお、補強材は断熱部材が好ましい。
【0093】
また、上述の実施形態では、不活性ガスとして、N2ガスを用いる例について説明しているが、これに限らず、Arガス、Heガス、Neガス、Xeガス等の希ガスを用いることができ、これら希ガスのうち1つ以上を用いることができる。但し、この場合、希ガス源の準備が必要である。
【0094】
窒素含有ガスとしては、亜酸化窒素(N2O)ガス、一酸化窒素(NO)ガス、二酸化窒素(NO2)ガス、アンモニア(NH3)ガス等のうち1以上を用いることができる。酸素含有ガスとしては、酸素(O2)ガス、オゾン(O3)ガス等のうち1以上を用いることができる。
【0095】
また、反応ガスに含まれるリアクタントとしては、窒素含有ガスや酸素含有ガスに限らず、ソースと反応して膜処理を行うガスを用いて他の種類の薄膜を形成しても構わない。さらには、3種類以上の反応ガスを用いて成膜処理を行ってもよい。
【0096】
また、例えば、上述した各実施形態では、基板処理装置が行う処理として半導体装置における成膜処理を例にあげたが、本開示がこれに限定されることはない。すなわち、成膜処理の他、酸化膜、窒化膜を形成する処理、金属を含む膜を形成する処理であってもよい。また、基板処理の具体的内容は不問であり、成膜処理だけでなく、アニール処理、酸化処理、窒化処理、拡散処理、リソグラフィ処理等の他の基板処理にも好適に適用できる。
【0097】
さらに、本開示は、他の基板処理装置、例えばアニール処理装置、酸化処理装置、窒化処理装置、露光装置、塗布装置、乾燥装置、加熱装置、プラズマを利用した処理装置等の他の基板処理装置にも好適に適用できる。また、本開示は、これらの装置が混在していてもよい。
【0098】
また、本実施形態では、半導体製造プロセスについて説明したが、本開示は、これに限定されるものではない。例えば、液晶デバイスの製造工程、太陽電池の製造工程、発光デバイスの製造工程、ガラス基板の処理工程、セラミック基板の処理工程、導電性基板の処理工程、などの基板処理に対しても本開示を適用できる。
【0099】
また、ある実施形態の構成の一部を他の実施形態の構成に置き換えることが可能であり、また、ある実施形態の構成に他の実施形態の構成を加えることも可能である。また、各実施形態の構成の一部について、他の構成の追加、削除、置換をすることも可能である。
【符号の説明】
【0100】
75 最終バルブ設置部
100 制御部(コントローラ)
図1
図2
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図10
図11