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特許7583872粘着剤組成物、粘着フィルム、タッチパネル用フィルム、電子ペーパー用フィルム、有機EL用フィルム
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  • 特許-粘着剤組成物、粘着フィルム、タッチパネル用フィルム、電子ペーパー用フィルム、有機EL用フィルム 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-06
(45)【発行日】2024-11-14
(54)【発明の名称】粘着剤組成物、粘着フィルム、タッチパネル用フィルム、電子ペーパー用フィルム、有機EL用フィルム
(51)【国際特許分類】
   C09J 133/06 20060101AFI20241107BHJP
   C09J 11/06 20060101ALI20241107BHJP
   C09J 7/38 20180101ALI20241107BHJP
   C09J 133/14 20060101ALI20241107BHJP
   G09F 9/00 20060101ALI20241107BHJP
【FI】
C09J133/06
C09J11/06
C09J7/38
C09J133/14
G09F9/00 342
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2023127211
(22)【出願日】2023-08-03
(62)【分割の表示】P 2022085979の分割
【原出願日】2011-09-20
(65)【公開番号】P2023133566
(43)【公開日】2023-09-22
【審査請求日】2023-08-03
(73)【特許権者】
【識別番号】000224101
【氏名又は名称】ZACROS株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100165179
【弁理士】
【氏名又は名称】田▲崎▼ 聡
(74)【代理人】
【識別番号】100140774
【弁理士】
【氏名又は名称】大浪 一徳
(74)【代理人】
【識別番号】100155066
【弁理士】
【氏名又は名称】貞廣 知行
(72)【発明者】
【氏名】長倉 毅
(72)【発明者】
【氏名】島口 龍介
【審査官】高崎 久子
(56)【参考文献】
【文献】特開2010-077287(JP,A)
【文献】特開2009-079203(JP,A)
【文献】特開2003-329838(JP,A)
【文献】特開2010-285548(JP,A)
【文献】特開2001-123136(JP,A)
【文献】特開2010-229246(JP,A)
【文献】特開2011-195651(JP,A)
【文献】特開2007-138057(JP,A)
【文献】国際公開第2011/111575(WO,A1)
【文献】特表2011-511100(JP,A)
【文献】特開2009-215528(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C09J
G09F9/00
H01L27/32;51/50
H05B33/00-33/28;44/00;45/60
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
アクリル系ポリマーと、架橋剤とを含有する粘着剤組成物であって、
前記アクリル系ポリマーが、
アルキル基の炭素数がC1~C14のアルキル(メタ)アクリレートモノマーの少なくとも1種と、フェノキシ基含有アルキル(メタ)アクリレートモノマーの少なくとも1種との合計が50~95重量部と、
水酸基及びカルボキシル基を含有しない窒素含有ビニルモノマーまたはアルコキシ基含有アルキル(メタ)アクリレートモノマーの少なくとも1種が5~50重量部、
官能基にカルボキシル基を含有せず水酸基を含有する共重合性ビニルモノマーである、水酸基含有(メタ)アクリル酸エステルの少なくとも1種の合計が0.5~10重量部、
からなる重量平均分子量が20万~200万の共重合体であり、
前記アルコキシ基含有アルキル(メタ)アクリレートモノマーが、2-メトキシエチル(メタ)アクリレート、2-エトキシエチル(メタ)アクリレート、2-プロポキシエチル(メタ)アクリレート、2-イソプロポキシエチル(メタ)アクリレート、2-ブトキシエチル(メタ)アクリレート、2-メトキシプロピル(メタ)アクリレート、2-エトキシプロピル(メタ)アクリレート、2-プロポキシプロピル(メタ)アクリレート、2-イソプロポキシプロピル(メタ)アクリレート、2-ブトキシプロピル(メタ)アクリレート、3-メトキシプロピル(メタ)アクリレート、3-エトキシプロピル(メタ)アクリレート、3-プロポキシプロピル(メタ)アクリレート、3-イソプロポキシプロピル(メタ)アクリレート、3-ブトキシプロピル(メタ)アクリレート、4-メトキシブチル(メタ)アクリレート、4-エトキシブチル(メタ)アクリレート、4-プロポキシブチル(メタ)アクリレート、4-イソプロポキシブチル(メタ)アクリレート、4-ブトキシブチル(メタ)アクリレートからなる化合物群の中から選択された1種以上であり、
前記アルキル基の炭素数がC1~C14のアルキル(メタ)アクリレートモノマーの少なくとも1種と、フェノキシ基含有アルキル(メタ)アクリレートモノマーの少なくとも1種との合計が50~95重量部と、前記水酸基及びカルボキシル基を含有しない窒素含有ビニルモノマーまたはアルコキシ基含有アルキル(メタ)アクリレートモノマーの少なくとも1種が5~50重量部との合計が100重量部となる割合で含有してなり、
前記粘着剤組成物が、前記アルキル基の炭素数がC1~C14のアルキル(メタ)アクリレートモノマーの少なくとも1種と、フェノキシ基含有アルキル(メタ)アクリレートモノマーの少なくとも1種との合計が50~95重量部と、前記水酸基及びカルボキシル基を含有しない窒素含有ビニルモノマーまたはアルコキシ基含有アルキル(メタ)アクリレートモノマーの少なくとも1種が5~50重量部との合計100重量部に対して、前記架橋剤を0.01~5重量部の割合で含有してなり、
前記粘着剤組成物によって形成された、塗工厚み250μmの粘着剤層における、全光線透過率が90%以上、ヘイズ値が1.0%以下であり、
前記粘着剤組成物によって形成された、塗工厚み250μmの粘着剤層を、60℃、90%RHの雰囲気下で240時間放置後、室温環境に取り出した際のヘイズ値が、4.0%以下であることを特徴とする粘着剤組成物。
【請求項2】
基材の片面上に、請求項1に記載の粘着剤組成物からなる粘着剤層が積層されたことを特徴とする粘着フィルム。
【請求項3】
請求項2に記載の粘着フィルムが用いられた、タッチパネル用フィルム。
【請求項4】
請求項2に記載の粘着フィルムが用いられた、電子ペーパー用フィルム。
【請求項5】
請求項2に記載の粘着フィルムが用いられた、有機EL用フィルム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、粘着剤層を厚塗りされた粘着フィルムを、高温・高湿度の雰囲気下に長期間放置しても白濁することのない、白濁防止性能を有する粘着剤組成物、及び粘着フィルムに関する。さらに詳細には、水酸基を含有しない窒素含有ビニルモノマーまたはアルコキシ基含有(メタ)アクリル酸エステルモノマーを含有する粘着剤組成物に関し、粘着剤層の厚みを厚塗りにした際にも透明性を損なわず、さらには高温・高湿度の雰囲気下に長期間放置した後の、白濁防止性能にも優れた粘着剤組成物及びそれを用いた粘着フィルムを提供することに関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、PDP(プラズマディスプレイ)、液晶パネル、有機ELパネルなどの各種ディスプレイにおいては、ディスプレイ前面に各種光学フィルムや保護板が貼り付けられている。
例えば、PDPにおいては、電磁波のシールドフィルム以外に、近赤外線の波長領域を使用している各種のリモコンスイッチの誤作動を防ぐための近赤外線吸収フィルム、その近赤外線吸収フィルムに使用されている近赤外線吸収剤の経時劣化を防ぐための紫外線吸収フィルム、さらには可視光領域の色調調整のためのネオン光カットフィルム、光学フィルターの表面に外光が映り込むのを防ぐための反射防止フィルム等が、ディスプレイ前面に貼り付けられている。これらのフィルムを、ディスプレイ用光学フィルターとして用いることにより、画像の映り具合の改善が図られている。
【0003】
また、液晶パネルが、表示ディスプレイとして使用されている携帯電話では、液晶パネルの前面に衝撃吸収用の保護板が、液晶パネルの割れ防止のために空気層を介して取り付けられている。しかし、最近では、軽量化と薄型化、及び視認性の向上を図るため、携帯電話の液晶パネルの前面に空気層を設けないで、粘着剤層を用いて直接に薄い保護板を貼り合せることが行なわれている。
また、PDPでも、軽量化と薄型化、及び視認性の向上を図るため、PDPパネルに直接、光学フィルター用のフィルムを貼合することが、ダイレクトカラーフィルター方式として検討されている。
【0004】
上記の光学フィルムや保護板は、粘着剤層を使用してディスプレイの前面に貼り合せられているが、粘着剤層を使用して各種の光学フィルムをディスプレイに貼り合せる時に、気泡を巻き込んでしまい粘着剤層に微小気泡が生じるという問題があった。
また、ディスプレイ表示装置の、出荷前に行なわれるディスプレイの性能試験では、オーブンを使用して行われる高温・高湿度での環境条件下における耐久試験に合格する必要がある。しかし、白濁防止性能が改善されていない粘着剤層を用いた光学フィルムの場合、オーブンから取り出した後、粘着剤層が白濁してしまい、ディスプレイの商品価値を損なうという問題があった。
【0005】
このように、粘着テープを使用して、光学フィルムをディスプレイに貼り合せた時に、粘着剤層に微小気泡が生じるという問題や、また、ディスプレイを、オーブンを使用して高温・高湿度の環境条件下で耐久性試験を行った時、およびオーブンから取り出した後に、粘着剤層に白濁が生じるという問題を解決するために、従来から様々な取り組みが行なわれている。
【0006】
例えば、特許文献1には、粘着剤層の表面に窪みが生じた場合の修復性能を改善して気泡の巻き込みを防止する、粘着剤層を用いた粘着型光学フィルムが開示されている。具体的には、アルキル基の炭素数が7~18のアルキル(メタ)アクリレートと、水酸基含有モノマーとの重量比率が100:0.01~5で含有するポリマー、及び水酸基と反応する官能基を2つ以上有する化合物、を含有する組成物の架橋物により形成された粘着剤層である。この粘着剤層(厚さ20μm)を用いた光学フィルムをガラスに貼り合せた後、50℃×0.05MPa雰囲気下に5分間放置し、粘着剤層での微小気泡の発生の有無を目視にて確認する方法により気泡の有無を検査しているが、微小気泡の発生が防止できているとしている。
【0007】
また、特許文献2には、画像表示装置等の保護に必要な衝撃吸収のための、アクリル酸系誘導体、アクリル酸系誘導体ポリマー、及び高分子量架橋剤を含有した樹脂組成物が開示されている。画像表示用パネルの割れ防止あるいは応力及び衝撃の緩和に有用で、透明性に優れているとしている。
吸湿試験として、深さ0.5mmの枠で成形した樹脂シートを60℃、90%RHの高温・高湿試験槽に50時間入れることで行い、目視観察で評価を行なう方法で確認した結果、この樹脂組成物であれば発泡が少なく透明性に優れているとしている。
【0008】
また、特許文献3には、優れた耐湿熱性を有する電子ディスプレイ用粘着剤層が開示されている。具体的には、(メタ)アクリル酸アルキルエステルモノマーと、カルボキシル基含有モノマーとの共重合体および/または混合物を含む電子ディスプレイ用粘着剤組成物であって、さらに、アルキレンオキシ基を有するモノマー、および、ヒドロキシル基含有(メタ)アクリル酸エステルモノマーを含むことを特徴とする電子ディスプレイ用粘着剤組成物である。
吸湿試験として、樹脂フィルムに積層した粘着剤層(厚さ200μm)を介してガラス板に貼り合せた積層体を、60℃、90%RHの環境下に120時間放置した後、常温(25℃)下で30分間放置した後、ヘイズ値を測定して積層体の透明性を判定している。この粘着剤組成物によれば、高温・高湿下で放置された後でも、発泡が少なくて高い透明性を維持できるとしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【文献】特開2003-262729号公報
【文献】特開2008-248221号公報
【文献】特開2008-001739号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
光学用粘着剤フィルムに対して、近年求められている要求事項は、粘着剤層を厚塗りした時においても、高い透明性を確保し、且つ、高温・高湿度の雰囲気下に長期間放置した後、室温環境に取り出しても白濁しないことである。
しかし、粘着剤層の厚みを厚塗りにした際の、高い透明性は達成することができても、高温・高湿時の白濁防止性能はなかなか達成できないことが多かった。また、白濁防止性能を改良するために、水酸基含有モノマーの添加量を増やすなどの試みは成され、白濁防止性能は改善されてきたが、その代わりに、耐久性などの性能を保持できないなどの欠点が多かった。これらの欠点を、同時に克服できる粘着剤が必要とされている。
【0011】
すなわち、本発明の目的は、粘着剤層を厚塗りされた粘着フィルムを、高温・高湿度の雰囲気下に長期間放置しても白濁することのない、白濁防止性能を有する粘着剤組成物、及び粘着フィルムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
前記課題を解決するため、本発明は、水酸基を含有しない窒素含有ビニルモノマーまたはアルコキシ基含有アルキル(メタ)アクリレートモノマーの少なくとも1種と、官能基にカルボキシル基を含有せず水酸基を含有する共重合性ビニルモノマーの少なくとも1種とを含むことを特徴とする粘着剤組成物を提供する。
また、本発明の粘着剤組成物は、(A)アルキル基の炭素数がC1~C14のアルキル(メタ)アクリレートモノマーまたはフェノキシ基含有アルキル(メタ)アクリレートモノマーの少なくとも1種が50~95重量部、(B)前記水酸基を含有しない窒素含有ビニルモノマーまたはアルコキシ基含有アルキル(メタ)アクリレートモノマーの少なくとも1種が5~50重量部、(C)前記官能基にカルボキシル基を含有せず水酸基を含有する共重合性ビニルモノマーの少なくとも1種が0.5~10重量部、からなる重量平均分子量が20万~200万の共重合体、および、(D)架橋剤が0.01~5重量部、を、前記(A)と前記(B)との合計が100重量部となる割合で含有することが好ましい。
前記粘着剤組成物によって形成された、塗工厚み250μmの粘着剤層が、全光線透過率が90%以上、ヘイズ値が1.0%以下であることが好ましい。
前記粘着剤組成物によって形成された、塗工厚み250μmの粘着剤層を、60℃、90%RHの雰囲気下で240時間放置後、室温環境に取り出した際のヘイズ値が、4.0%以下であることが好ましい。
また、本発明は、基材の片面上に、前記粘着剤組成物からなる粘着剤層が積層されたことを特徴とする粘着フィルムを提供する。
また、本発明は、前記粘着フィルムが用いられた、タッチパネル用フィルムを提供する。
また、本発明は、前記粘着フィルムが用いられた、電子ペーパー用フィルムを提供する。
また、本発明は、前記粘着フィルムが用いられた、有機EL用フィルムを提供する。
また、本発明は、光学フィルムの少なくとも一方の面に、前記粘着剤組成物からなる粘着剤層が積層されている粘着剤付き光学フィルムを提供する。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、粘着剤層の厚みが250μm以上の厚塗り時において、透明性に優れていることは勿論のこと、高温・高湿時の白濁防止性能を改善することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】実施例1及び比較例1について、高温・高湿度の環境から取り出した直後からの、ヘイズ値の変化を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、好適な実施の形態に基づき、本発明を説明する。
本発明の粘着剤組成物は、(B)窒素含有ビニルモノマーまたはアルコキシ基含有アルキル(メタ)アクリレートモノマーの少なくとも1種と、(C)官能基にカルボキシル基を含有せず水酸基を含有する共重合性ビニルモノマーとを含む。
【0016】
本発明に用いる粘着剤ポリマーとしては、アクリル系ポリマーが好ましく、特に、(A)アルキル基の炭素数がC1~C14のアルキル(メタ)アクリレートモノマーの少なくとも1種を主成分とする共重合組成物が好ましい。
【0017】
(A)アルキル基の炭素数がC1~C14のアルキル(メタ)アクリレートモノマーとしては、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、ペンチル(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレート、ヘプチル(メタ)アクリレート、オクチル(メタ)アクリレート、イソオクチル(メタ)アクリレート、2-エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ノニル(メタ)アクリレート、イソノニル(メタ)アクリレート、デシル(メタ)アクリレート、シクロペンチル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレートなどが挙げられる。アルキル(メタ)アクリレートモノマーのアルキル基は、直鎖、分枝状、環状のいずれでもよい。
(A)アルキル基の炭素数がC1~C14のアルキル(メタ)アクリレートモノマーの一部に代えて、2-フェノキシエチル(メタ)アクリレート等のフェノキシ基含有アルキル(メタ)アクリレートモノマーを併用することもできる。
【0018】
(B)のうち、窒素含有ビニルモノマーとしては、N-ビニル-2-ピロリドン、N-ビニルカプロラクタム、N-アクリロイルモルホリンなどの環状窒素ビニル化合物;N,N-ジメチル(メタ)アクリルアミド、N,N-ジエチル(メタ)アクリルアミド、N,N-ジプロピルアクリルアミド、N,N-ジイソプロピル(メタ)アクリルアミド、N,N-ジブチル(メタ)アクリルアミド、N-エチル-N-メチル(メタ)アクリルアミド、N-メチル-N-プロピル(メタ)アクリルアミド、N-メチル-N-イソプロピル(メタ)アクリルアミド等のジアルキル置換(メタ)アクリルアミド;N,N-ジメチルアミノメチル(メタ)アクリレート、N,N-ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N-ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリレート、N,N-ジメチルアミノイソプロピル(メタ)アクリレート、N,N-ジメチルアミノブチル(メタ)アクリレート、N-エチル-N-メチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N-メチル-N-プロピルアミノエチル(メタ)アクリレート、N-メチル-N-イソプロピルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N-ジブチルアミノエチル(メタ)アクリレートなどのジアルキルアミノ(メタ)アクリレート;N,N-ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド、N,N-ジエチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド、N,N-ジプロピルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド、N,N-ジイソプロピルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド、N-エチル-N-メチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド、N-メチル-N-プロピルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド、N-メチル-N-イソプロピルアミノプロピル(メタ)アクリルアミドなどのN,N-ジアルキル置換アミノプロピル(メタ)アクリルアミドなどが挙げられる。
(B)の窒素含有ビニルモノマーとしては、水酸基を含有しないものが好ましく、水酸基およびカルボキシル基を含有しないものがより好ましい。このようなモノマーとしては、上に例示したモノマー、例えば、N,N-ジアルキル置換アミノ基やN,N-ジアルキル置換アミド基を含有するアクリル系モノマー;N-ビニル-2-ピロリドン、N-ビニルカプロラクタム、N-ビニル-2-ピペリドンなどのN-ビニル置換ラクタム類;N-(メタ)アクリロイルモルホリンやN-(メタ)アクリロイルピロリジンなどのN-(メタ)アクリロイル置換環状アミン類が好ましい。
【0019】
(B)のうち、アルコキシ基含有アルキル(メタ)アクリレートモノマーとしては、2-メトキシエチル(メタ)アクリレート、2-エトキシエチル(メタ)アクリレート、2-プロポキシエチル(メタ)アクリレート、2-イソプロポキシエチル(メタ)アクリレート、2-ブトキシエチル(メタ)アクリレート、2-メトキシプロピル(メタ)アクリレート、2-エトキシプロピル(メタ)アクリレート、2-プロポキシプロピル(メタ)アクリレート、2-イソプロポキシプロピル(メタ)アクリレート、2-ブトキシプロピル(メタ)アクリレート、3-メトキシプロピル(メタ)アクリレート、3-エトキシプロピル(メタ)アクリレート、3-プロポキシプロピル(メタ)アクリレート、3-イソプロポキシプロピル(メタ)アクリレート、3-ブトキシプロピル(メタ)アクリレート、4-メトキシブチル(メタ)アクリレート、4-エトキシブチル(メタ)アクリレート、4-プロポキシブチル(メタ)アクリレート、4-イソプロポキシブチル(メタ)アクリレート、4-ブトキシブチル(メタ)アクリレートなどが挙げられる。
これらのアルコキシ基含有アルキル(メタ)アクリレートモノマーは、アルキル(メタ)アクリレートにおけるアルキル基の原子がアルコキシ基で置換された構造を有する。
【0020】
(C)官能基にカルボキシル基を含有せず水酸基を含有する共重合性ビニルモノマーとしては、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、3-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、6-ヒドロキシヘキシル(メタ)アクリレート、8-ヒドロキシオクチル(メタ)アクリレート等の水酸基含有(メタ)アクリル酸エステル類や、N-ヒドロキシ(メタ)アクリルアミド、N-ヒドロキシメチル(メタ)アクリルアミド、N-ヒドロキシエチル(メタ)アクリルアミド等の水酸基含有(メタ)アクリルアミド類などが挙げられ、これらの化合物群の中から選択された、少なくとも1種以上であることが好ましい。
なお、水酸基含有(メタ)アクリルアミド類は窒素を含有するが、本発明においては、(B)群ではなく、(C)群に属するものとする。
【0021】
上記以外の共重合性ビニルモノマーとしては、(メタ)アクリル酸、イタコン酸、クロトン酸、マレイン酸、フマル酸、カルボキシエチル(メタ)アクリレート、カルボキシペンチル(メタ)アクリレートなどのカルボキシル基を含有する共重合性ビニルモノマー、ベンジル(メタ)アクリレート等の芳香族基含有(メタ)アクリル酸エステル類、スチレン、アクリルアミド、アクリロニトリル、メチルビニルエーテル、エチルビニルエーテル、酢酸ビニル、塩化ビニルなどの各種ビニルモノマーが挙げられる。
【0022】
上記(A)、(B)および(C)のモノマーは、アクリル系共重合体として、粘着剤の主剤となる粘着剤ポリマーを構成する。共重合体の重合方法は特に限定されるものではなく、溶液重合、塊状重合、懸濁重合、乳化重合等、適宜の重合方法が使用可能である。
粘着剤ポリマーの平均分子量は、特に限定されるものではないが、例えば重量平均分子量20万~200万の範囲内が挙げられる。
【0023】
本発明に用いられる粘着剤ポリマーは、(A)アルキル基の炭素数がC1~C14のアルキル(メタ)アクリレートモノマーまたはフェノキシ基含有アルキル(メタ)アクリレートモノマーの少なくとも1種が50~95重量部、(B)水酸基を含有しない窒素含有ビニルモノマーまたはアルコキシ基含有アルキル(メタ)アクリレートモノマーの少なくとも1種が5~50重量部、(C)官能基にカルボキシル基を含有せず水酸基を含有する共重合性ビニルモノマーの少なくとも1種が0.5~10重量部、からなる共重合体であることが好ましい。ここで、(A)~(C)の重量部は、(A)と(B)との合計が100重量部となるように規定する。
【0024】
本発明の粘着剤組成物は、粘着剤層を形成する際に粘着剤ポリマーを架橋することが好ましい。架橋をするため、粘着剤組成物が既知の架橋剤を含んでも良く、紫外線(UV)など光架橋で架橋しても良い。架橋剤としては、2官能以上のイソシアネート化合物、2官能以上のエポキシ化合物、2官能以上のアクリレート化合物、金属キレート化合物などが挙げられる。架橋剤の含有量は、特に限定されるものではないが、0.01~5重量部が挙げられる。
【0025】
(D)架橋剤としては、前記(C)のモノマーに含まれる水酸基と反応してアクリル系共重合体を架橋し得るものが好ましい。このような架橋剤としては、ヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、トリレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート等のジイソシアネート類(1分子中に2個のNCO基を有する化合物)のビュレット変性体やイソシアヌレート変性体、トリメチロールプロパンやグリセリン等の3価以上のポリオール(1分子中に少なくとも3個以上のOH基を有する化合物)とのアダクト体(ポリオール変性体)などのポリイソシアネート化合物などが挙げられる。また紫外線(UV)など光架橋で架橋しても良い。
なお、本発明に用いられる共重合体は、架橋剤と反応する官能基モノマーとして、前記(C)の水酸基含有ビニルモノマーを含むことから、カルボキシル基含有ビニルモノマーを含まないものとすることができる。
【0026】
本発明の粘着剤組成物は、(A)アルキル基の炭素数がC1~C14のアルキル(メタ)アクリレートモノマーまたはフェノキシ基含有アルキル(メタ)アクリレートモノマーの少なくとも1種が50~95重量部、(B)水酸基を含有しない窒素含有ビニルモノマーまたはアルコキシ基含有アルキル(メタ)アクリレートモノマーの少なくとも1種が5~50重量部、(C)官能基にカルボキシル基を含有せず水酸基を含有する共重合性ビニルモノマーの少なくとも1種が0.5~10重量部、からなる重量平均分子量が20万~200万の共重合体、および、(D)架橋剤が0.01~5重量部、を、前記(A)と前記(B)との合計が100重量部となる割合で含有することが好ましい。
【0027】
本発明の粘着剤組成物は、さらに、その他成分としてシランカップリング剤、酸化防止剤、界面活性剤、硬化促進剤、可塑剤、充填剤、硬化遅延剤、加工助剤、老化防止剤などの公知の添加剤を適宜に配合することができる。これらは、単独でもしくは2種以上を併せて用いることができる。
【0028】
本発明の粘着剤組成物によれば、粘着剤層の厚みを厚塗りとした時の、優れた透明性は勿論のこと、高温・高湿時の白濁防止性能を改善することが可能になる。前記粘着剤組成物によって形成された、塗工厚み250μmの粘着剤層が、全光線透過率が90%以上、ヘイズ値が1.0%以下であることが好ましい。また、前記粘着剤組成物によって形成された、塗工厚み250μmの粘着剤層を、60℃、90%RHの雰囲気下で240時間放置後、室温環境に取り出した際のヘイズ値が4.0%以下であることが好ましい。
【0029】
本発明の粘着フィルムは、基材フィルムの片面上に、本発明の粘着剤組成物からなる粘着剤層が積層されたものである。本発明の粘着フィルムは、タッチパネル用、電子ペーパー用、有機EL用、光学部材用、表面保護用等の各種用途に用いることができる。粘着剤層の厚みは、特に限定されるものではないが、例えば、100~2000μmである。粘着剤層の厚みが薄すぎると、衝撃吸収性能が悪くなるが、粘着剤層の厚みが厚過ぎるとコストが上昇する点で不利である。特に、粘着剤層の厚みが、250μm以上の厚塗りであると、本発明の効果が高いため、好ましい。
【0030】
粘着剤層の基材フィルムや、粘着面を保護する剥離フィルム(セパレーター)としては、ポリエステルフィルムなどの樹脂フィルム等を用いることができる。
基材フィルムには、樹脂フィルムの粘着剤層が形成された側とは反対面に、シリコーン系、フッ素系の離型剤やコート剤、シリカ微粒子等による防汚処理、帯電防止剤の塗布や練り込み等による帯電防止処理を施すことができる。
剥離フィルムには、粘着剤層の粘着面と合わされる側の面に、シリコーン系、フッ素系の離型剤などにより離型処理が施される。
偏光板用の表面保護フィルムなどの、光学用の表面保護フィルムの場合は、基材フィルム及び粘着剤層は、十分な透明性を有することが好ましい。
また、粘着剤層を介して、各種フィルムを積層した積層フィルムに用いることができる。このようなフィルムとしては、タッチパネル用フィルム、電子ペーパー用フィルム、有機EL用フィルム、光学用フィルム等が挙げられる。
【0031】
また、本発明の粘着剤組成物は、光学フィルムの少なくとも一方の面に粘着剤層が積層されてなる、粘着剤付き光学フィルムに利用することもできる。
粘着剤付き光学フィルムにおいては、基材フィルムとして、偏光板フィルム、位相差板フィルム、レンズフィルム、位相差板兼用の偏光板フィルム、レンズフィルム兼用の偏光板フィルム等の光学フィルムを用いることができる。
粘着剤付き光学フィルムは、光学フィルムの片面または両面に粘着剤層を積層してなるものであって、画像表示装置のガラス板等との貼り合わせに用いることができる。これらの粘着剤付き光学フィルムは、粘着剤層を介してガラス基板等と貼り合わされて、画像表示装置等に組み込むことができる。粘着剤付き偏光板などの粘着剤付き光学フィルムに用いられる粘着剤層は、十分な透明性を有することが好ましい。
また、基材フィルムとして使用する偏光板は、一般的に、ポリビニルアルコール系偏光子の両面に、トリアセチルセルロース系保護フィルムで挟まれた3層構造を有している。
保護フィルムの表面に、ディスコティック液晶がコートされている偏光板、もしくは、トリアセチルセルロース系フィルムの替わりに、延伸トリアセチルセルロース系フィルム、延伸ポリシクロオレフィン系フィルム、または延伸セルロースアセテートプロピオネートフィルム等で貼り合わされた構造となっている。更に、これらの偏光板フィルムは、液晶表示用パネルの表面基材であるガラス基板に、粘着剤層を介して貼り合わされる。
【実施例
【0032】
以下、実施例をもって、本発明を具体的に説明する。
【0033】
<アクリル共重合体の製造>
[実施例1]
撹拌機、温度計、還流冷却器及び窒素導入管を備えた反応装置に、窒素ガスを導入して、反応装置内の空気を窒素ガスで置換した。その後、反応装置に、2-エチルヘキシルアクリレート95重量部、N-ビニル-2-ピロリドン5重量部、6-ヒドロキシヘキシルアクリレート1.0重量部とともに、溶剤(酢酸エチル)を100部加えた。その後、重合開始剤として、アゾビスイソブチロニトリル0.1重量部を2時間かけて滴下させ、65℃で8時間反応させ、重量平均分子量80万の、実施例1のアクリル共重合体溶液1を得た。
[実施例2~7及び比較例1~2]
単量体の組成を、各々、表1の記載のようにする以外は、上記の実施例1に用いるアクリル共重合体溶液1と同様にして、実施例2~7及び比較例1~2に用いるアクリル共重合体溶液を得た。
【0034】
<粘着剤組成物及び粘着フィルムの製造>
[実施例1]
上記のとおり製造した、アクリル共重合体溶液1(そのうち(A)群+(B)群が100重量部)に対して、コロネートHX(ヘキサメチレンジイソシアネート化合物のイソシアヌレート体)0.5重量部を加えて撹拌混合して、実施例1の粘着剤組成物を得た。この粘着剤組成物を、シリコーン樹脂コートされたポリエチレンテレフタレート(PET)フィルムからなる剥離フィルムの上に塗布後、90℃で乾燥することによって溶剤を除去し、粘着剤層の厚さが250μmである粘着フィルムを得た。
その後、ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルムに粘着シートを転写させ、「PETフィルム/粘着剤層/剥離フィルム(シリコーン樹脂コートされたPETフィルム)」の積層構成を有する、実施例1の粘着フィルムを得た。
[実施例2~7及び比較例1~2]
架橋剤の組成を、各々、表1の(D)の記載のようにする以外は、上記の実施例1の表面保護フィルムと同様にして、実施例2~7及び比較例1~2の粘着フィルムを得た。
【0035】
表1において、各成分の配合比は、(A)群+(B)群の合計を100重量部として求めた、重量部の数値を括弧で囲んで示す。表1のMwは、重量平均分子量を意味する。
また、表1に用いた、各成分の略記号の化合物名を、表2に示す。また、表2の(D)群において、HDIは、ヘキサメチレンジイソシアネートを、XDIは、キシリレンジイソシアネートを意味する。
なお、コロネート(登録商標)HX、同HL及び同L-45は、日本ポリウレタン工業株式会社の商品名であり、デュラネート(登録商標)24A―100は、旭化成ケミカルズ株式会社の商品名であり、タケネート(登録商標)D-110Nは、三井化学株式会社の商品名である。
【0036】
【表1】
【0037】
【表2】
【0038】
<試験方法及び評価>
実施例1~7及び比較例1~2の粘着フィルムを、23℃、50%RHの雰囲気下で7日間エージングした後、剥離フィルム(シリコーン樹脂コートされたPETフィルム)を剥がして、粘着剤層を表出させたものを、全光線透過率の測定試料とした。
また、実施例1~7及び比較例1~2の粘着フィルムを、23℃、50%RHの雰囲気下で7日間エージングした後、剥離フィルム(シリコーン樹脂コートされたPETフィルム)で粘着剤層の両面を覆ったままのものを、ヘイズ値の測定試料とした。
また、実施例1~7及び比較例1~2の粘着フィルムを、23℃、50%RHの雰囲気下で7日間エージングした後、オーブンによる60℃、90%RHの雰囲気下で240時間放置後にオーブンから室温環境(23℃、50%RH)に取り出した後、剥離フィルム(シリコーン樹脂コートされたPETフィルム)で粘着剤層の両面を覆ったままのものを、湿熱後ヘイズ値の測定試料とした。
また、粘着剤層を表出させた粘着フィルムを、粘着剤層を介して無アルカリガラス板の表面に貼り合わせ、1日放置した後、50℃、5気圧、20分間オートクレーブ処理し、室温でさらに12時間放置したものを、粘着力の測定試料とした。
また、粘着剤層を表出させた粘着フィルムを、粘着剤層を介して無アルカリガラス板の表面に貼り合わせ、耐久性の測定試料とした。
【0039】
<全光線透過率>
上記で得られた、全光線透過率の測定試料について、ヘイズメータ(製造者:日本電色株式会社、型式:Haze Meter、NDH2000)を用いて、JISK7105に準じて、粘着剤層の全光線透過率を測定した。
【0040】
<ヘイズ値及び湿熱後ヘイズ値>
上記で得られた、ヘイズ値及び湿熱後ヘイズ値の測定試料について、ヘイズメータ(製造者:日本電色株式会社、型式:Haze Meter、NDH2000)を用いて、粘着剤層のヘイズ値を測定した。
なお、上記の測定試料では、剥離フィルム(シリコーン樹脂コートされたPETフィルム)で粘着剤層の両面を覆ったままのものを、ヘイズ値及び湿熱後ヘイズ値の測定試料としたが、剥離フィルム自体のヘイズ値は、無視できる程度に小さいことを確認した。
【0041】
<ガラス板に対する粘着力>
上記で得られた、粘着力の測定試料(25mm幅の粘着フィルムを、無アルカリガラス板の表面に貼り合わせたもの)を、180°方向に引張試験機を用いて0.3m/minの引張速度において剥がして、測定した剥離強度を粘着力とした。
【0042】
<耐久性>
上記で得られた、耐久性の測定試料を、80℃(Dry)の雰囲気下に250時間放置後、室温に取り出し、被着体からの剥がれ、発泡等を目視にて確認した。評価基準は、剥がれ・発泡が全く確認されない場合を「○」、剥がれ・発泡が僅かに確認された場合を「△」、剥がれ・発泡が明確に確認された場合を「×」と評価した。
【0043】
表3に、測定結果及び評価結果を示す。
【0044】
【表3】
【0045】
実施例1~7の粘着フィルムは、粘着剤層が厚塗り(250μm)時の透明性(全光線透過率が90%以上、ヘイズ値が1.0%以下)は勿論のこと、高温・高湿度の雰囲気下に長期間放置しても白濁の小さい、白濁防止性能(60℃、90%RH、240時間放置後のヘイズ値が4.0%以下)を有し、白濁防止性能を改善することができた。さらに、高温の雰囲気下に長期間放置しても、剥がれや発泡することがなかった。
比較例1~2の粘着フィルムは、高温・高湿度の雰囲気下に長期間放置すると、ヘイズ値の増大が見られ、白濁防止性能に問題があるものとなった。また、高温の雰囲気下に長期間放置すると、剥がれや発泡が見られ、耐久性に問題があるものとなった。さらに、比較例1では、高温・高湿度の雰囲気下に放置する前から、透明性(全光線透過率・ヘイズ値)の測定結果が悪いものとなった。
【0046】
<高温・高湿度の環境から取り出した後のヘイズ値の変化>
また、実施例1及び比較例1の粘着フィルムを、23℃、50%RHの雰囲気下で7日間エージングした後、オーブンによる60℃、90%RHの雰囲気下で240時間放置後に、オーブンから室温環境(23℃、50%RH)に取り出し、取り出した直後から60分経過までヘイズ値を測定した。得られた、高温・高湿度の環境から取り出した後のヘイズ値の変化を、図1に示す。
図1において、本発明に係わる実施例1は、オーブンから取り出した直後から1分程度で、ヘイズ値が最大値(3.5%)に達するが、オーブンから取り出して1時間経過しても、ヘイズ値が4.0%を超えることはなく、優れた白濁防止性能を有することが分かる。一方、比較例1においては、オーブンから取り出した直後から数分でヘイズ値が最大値として約25%に上昇した後、放置時間の経過と共に、徐々にヘイズ値が低下する傾向を示すが、白濁の著しい状態が60分以上も継続することが分かる。
なお、実施例1及び比較例1のいずれの場合も、高温・高湿度の環境において発生した、上記の白濁は、室温において数時間放置することにより、徐々に消滅して、最終的に粘着フィルムは透明(ヘイズ値が1.0%以下)となった。
本評価は、粘着剤層の両面が、剥離フィルムの間で覆われている状態で実施した場合に起こる変化であり、白濁が消滅するまでの時間が比較的短いが、ガス透過性の悪いガラス同士やアクリル板とガラスなどと貼り合わせたサンプルの場合は、白濁するタイミングは同じであるが、白濁が消滅するまでの時間が、数日かかることもある。
図1