IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 日本放送協会の特許一覧

(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-07
(45)【発行日】2024-11-15
(54)【発明の名称】マルチディスプレイ
(51)【国際特許分類】
   G09F 9/30 20060101AFI20241108BHJP
   G09B 27/00 20060101ALI20241108BHJP
   G09F 9/40 20060101ALI20241108BHJP
【FI】
G09F9/30 308A
G09B27/00
G09F9/30 308Z
G09F9/40 302
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2020212537
(22)【出願日】2020-12-22
(65)【公開番号】P2022098887
(43)【公開日】2022-07-04
【審査請求日】2023-11-21
(73)【特許権者】
【識別番号】000004352
【氏名又は名称】日本放送協会
(74)【代理人】
【識別番号】100141139
【弁理士】
【氏名又は名称】及川 周
(74)【代理人】
【識別番号】100171446
【弁理士】
【氏名又は名称】高田 尚幸
(74)【代理人】
【識別番号】100114937
【弁理士】
【氏名又は名称】松本 裕幸
(74)【代理人】
【識別番号】100171930
【弁理士】
【氏名又は名称】木下 郁一郎
(72)【発明者】
【氏名】中田 充
(72)【発明者】
【氏名】宮川 幹司
(72)【発明者】
【氏名】辻 博史
【審査官】新井 重雄
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-207556(JP,A)
【文献】特開2014-146474(JP,A)
【文献】特開2009-177179(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2020/0168133(US,A1)
【文献】特開2003-323140(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2020/0013846(US,A1)
【文献】特開平11-327467(JP,A)
【文献】特開2002-082627(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2018/0217393(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G09F 9/30
G09B 27/00
G09F 9/40
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の画素が面内に並んで配置された表示領域を含む複数の表示パネルユニットを備え、
前記複数の表示パネルユニットは、伸縮自在であり、曲面を平面に展開した形状を有して、互いに湾曲させながら隣り合うもの同士を突き合わせることによって、各々の前記表示領域が湾曲した1つの表示画面を構成しており、
前記表示パネルユニットは、前記複数の画素を構成する複数の画素回路が設けられた画素回路基板と、
前記画素回路基板の一方の面側に配置されて、前記複数の画素回路の各々と電気的に接続される複数の第1の配線と、
前記画素回路基板の厚み方向に配置されて、前記複数の第1の配線の各々と電気的に接続される複数のコンタクトプラグと、
前記画素回路基板の他方の面側に配置されて、前記複数のコンタクトプラグの各々と電気的に接続される複数の第2の配線と、
前記画素回路基板の他方の面側に配置されて、前記複数の第2の配線の各々と電気的に接続される複数の接続部とを有し、
前記複数の接続部は、前記表示領域と平面視で重なる領域内に設けられており、
前記画素回路基板は、前記表示領域の面内において交差する一の方向に並ぶ複数の走査線と、前記表示領域の面内において交差する他の方向に並ぶ複数の信号線とを含み、
前記複数の走査線と前記複数の信号線とによって区画された領域毎に、前記画素回路が設けられ、
前記第1の配線、前記コンタクトプラグ及び前記第2の配線は、前記走査線と、前記信号線との各々に対応して設けられ、
前記複数の接続部は、前記複数の走査線と、前記複数の信号線との各々に対応した線列毎に、各々並んで設けられ、
前記複数の走査線は、前記複数の接続部を介して第1のフレキシブルプリント配線板と電気的に接続され、
前記複数の信号線は、前記複数の接続部を介して第2のフレキシブルプリント配線板と電気的に接続され、
前記複数の表示パネルユニットは、前記一の方向又は前記他の方向に並んで隣り合うもの同士が前記第1のフレキシブルプリント配線板又は前記第2のフレキシブルプリント配線板を介して連結された構造を有することを特徴とするマルチディスプレイ。
【請求項2】
前記複数の表示パネルユニットは、互いに一致した形状を有することを特徴とする請求項1に記載のマルチディスプレイ。
【請求項3】
前記複数の表示パネルユニットを湾曲した状態で支持する支持部材を備えることを特徴とする請求項1又は2に記載のマルチディスプレイ。
【請求項4】
前記複数の走査線は、前記第1のフレキシブルプリント配線板を介して走査線駆動回路と電気的に接続され、
前記複数の信号線は、前記第2のフレキシブルプリント配線板を介して信号線駆動回路と電気的に接続されていることを特徴とする請求項1~3の何れか一項に記載のマルチディスプレイ。
【請求項5】
前記複数の接続部は、前記連結された位置を挟んで前記一の方向又は前記他の方向に並んで設けられていることを特徴とする請求項1~4の何れか一項に記載のマルチディスプレイ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、マルチディスプレイに関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、有機エレクトロルミネッセンス(EL)素子を用いた有機EL表示装置(有機ELディスプレイ)は、高輝度で自発光であること、直流低電圧駆動が可能であること、応答性が高速であること、固体有機膜による発光であることから、表示性能に優れていると共に、薄型化、軽量化、低消費電力化が可能である。このため、将来的に液晶表示装置に代わる表示装置として期待されている(例えば、下記特許文献1を参照。)。
【0003】
具体的に、有機EL表示装置は、複数の画素が面内にマトリックス状に並んで配置された表示領域を含む表示パネルを備えている。表示パネルは、表示領域の面内における横方向と縦方向とに並ぶ複数の走査線(ゲートライン)と複数の信号線(データライン)及び複数の電源線(電源ライン)とを含み、これら複数の走査線と複数の信号線とによって区画された領域毎に、上述した画素を構成する画素回路が設けられた構成となっている。
【0004】
表示パネルは、画素回路として、発光素子である有機EL素子と、保持容量であるコンデンサと、スイッチング素子である2つの薄膜トランジスタ(TFT)素子とを備えている。表示パネルでは、走査線と接続された選択用TFT素子のスイッチング動作により、選択用TFT素子を介して信号線と接続された保持容量に信号線の電位(画像データ)が保持される。また、保持容量の電位に応じて、駆動用TFT素子を介して電源線と接続された有機EL素子に駆動電流が流れる。これにより、有機EL素子を発光(点灯)させることが可能である。
【0005】
また、表示パネルには、ベゼル(額縁)と呼ばれる周辺領域が表示領域の周囲を囲むように設けられている。周辺領域には、表示領域の外側へと引き出された複数の走査線と複数の信号線との各々に対応した複数の接続部が、この周辺領域の横方向と縦方向とに並んで設けられている。複数の走査線及び複数の信号線は、これら複数の接続部に接続されたフレキシブルプリント配線板(FPC)を介して外部の駆動回路(ドライバ)と電気的に接続されている。
【0006】
ところで、マルチディスプレイとして、複数の表示パネルを面内に並べて1つの画面として表示することが行われている。また、マルチディスプレイの中には、矩形状の表示パネルを球面に沿って並べた球面ディスプレイも提案されている(例えば、下記特許文献2を参照。)。
【0007】
しかしながら、このような球面ディスプレイでは、球面をそのまま平面に展開することができないことから、隣接した表示パネルの間に必ず隙間が発生することになる。したがって、隙間のないシームレスな球面ディスプレイを実現することは不可能である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【文献】特開2013-105148号公報
【文献】特開2011-170350号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、このような従来の事情に鑑みて提案されたものであり、複数の表示パネルユニットを並べて湾曲した1つの表示画面を構成したときに、ユニット間の隙間を無くしてシームレスな曲面を構成することを可能としたマルチディスプレイを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するために、本発明は以下の手段を提供する。
〔1〕 複数の画素が面内に並んで配置された表示領域を含む複数の表示パネルユニットを備え、
前記複数の表示パネルユニットは、伸縮自在であり、曲面を平面に展開した形状を有して、互いに湾曲させながら隣り合うもの同士を突き合わせることによって、各々の前記表示領域が湾曲した1つの表示画面を構成しており、
前記表示パネルユニットは、前記複数の画素を構成する複数の画素回路が設けられた画素回路基板と、
前記画素回路基板の一方の面側に配置されて、前記複数の画素回路の各々と電気的に接続される複数の第1の配線と、
前記画素回路基板の厚み方向に配置されて、前記複数の第1の配線の各々と電気的に接続される複数のコンタクトプラグと、
前記画素回路基板の他方の面側に配置されて、前記複数のコンタクトプラグの各々と電気的に接続される複数の第2の配線と、
前記画素回路基板の他方の面側に配置されて、前記複数の第2の配線の各々と電気的に接続される複数の接続部とを有し、
前記複数の接続部は、前記表示領域と平面視で重なる領域内に設けられており、
前記画素回路基板は、前記表示領域の面内において交差する一の方向に並ぶ複数の走査線と、前記表示領域の面内において交差する他の方向に並ぶ複数の信号線とを含み、
前記複数の走査線と前記複数の信号線とによって区画された領域毎に、前記画素回路が設けられ、
前記第1の配線、前記コンタクトプラグ及び前記第2の配線は、前記走査線と、前記信号線との各々に対応して設けられ、
前記複数の接続部は、前記複数の走査線と、前記複数の信号線との各々に対応した線列毎に、各々並んで設けられ、
前記複数の走査線は、前記複数の接続部を介して第1のフレキシブルプリント配線板と電気的に接続され、
前記複数の信号線は、前記複数の接続部を介して第2のフレキシブルプリント配線板と電気的に接続され、
前記複数の表示パネルユニットは、前記一の方向又は前記他の方向に並んで隣り合うもの同士が前記第1のフレキシブルプリント配線板又は前記第2のフレキシブルプリント配線板を介して連結された構造を有することを特徴とするマルチディスプレイ。
〔2〕 前記複数の表示パネルユニットは、互いに一致した形状を有することを特徴とする前記〔1〕に記載のマルチディスプレイ。
〔3〕 前記複数の表示パネルユニットを湾曲した状態で支持する支持部材を備えることを特徴とする前記〔1〕又は〔2〕に記載のマルチディスプレイ
〕 前記複数の走査線は、前記第1のフレキシブルプリント配線板を介して走査線駆動回路と電気的に接続され、
前記複数の信号線は、前記第2のフレキシブルプリント配線板を介して信号線駆動回路と電気的に接続されていることを特徴とする前記〔1〕~〔3〕の何れか一項に記載のマルチディスプレイ
〕 前記複数の接続部は、前記連結された位置を挟んで前記一の方向又は前記他の方向に並んで設けられていることを特徴とする前記〔1〕~〔4〕の何れか一項に記載のマルチディスプレイ。
【発明の効果】
【0011】
以上のように、本発明によれば、複数の表示パネルユニットを並べて湾曲した1つの表示画面を構成したときに、ユニット間の隙間を無くしてシームレスな曲面を構成することを可能としたマルチディスプレイを提供することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明の第1の実施形態に係るマルチディスプレイの構成を示す斜視図である。
図2図1に示すマルチディスプレイの構成のうち、(A)は複数の表示パネルユニットを展開した平面図、(B)は支持部材を示す斜視図である。
図3図1に示すマルチディスプレイの構成を示す断面図である。
図4】表示パネルユニットの構成を示す回路図である。
図5】画素回路の構成を示す回路図である。
図6】表示パネルユニットの構成を示す要部断面図である。
図7】画素回路基板の構成を示す断面図である。
図8】画素回路基板の構成を示す透視平面図である。
図9】画素回路基板を作製する工程を説明するための断面図である。
図10】画素回路基板を作製する工程を説明するための断面図である。
図11】画素回路基板を作製する工程を説明するための断面図である。
図12】画素回路基板を作製する工程を説明するための断面図である。
図13】画素回路基板を作製する工程を説明するための断面図である。
図14】画素回路基板を作製する工程を説明するための断面図である。
図15】画素回路基板を作製する工程を説明するための断面図である。
図16】画素回路基板を作製する工程を説明するための断面図である。
図17】マルチディスプレイを作製する工程を説明するための斜視図である。
図18】本発明の第2の実施形態に係るマルチディスプレイを構成する複数の表示パネルユニットを展開した平面図である。
図19図18に示すマルチディスプレイの構成を示す断面図である。
図20】本発明の第3の実施形態に係るマルチディスプレイの構成を示す平面図である。
図21図20に示すマルチディスプレイの構成を示す断面図である。
図22】画素回路基板及び連結部材の構成を示す断面図である。
図23】画素回路基板及び接続配線の構成を示す透視平面図である。
図24】本発明の第4の実施形態に係るマルチディスプレイの構成を示す断面図である。
図25】本発明の第5の実施形態に係るマルチディスプレイの構成を示す斜視図である。
図26図25に示すマルチディスプレイの構成のうち、(A)は複数の表示パネルユニットを展開した平面図、(B)は支持部材を示す斜視図である。
図27図25に示すマルチディスプレイの構成を示す断面図である。
図28】本発明の第6の実施形態に係るマルチディスプレイの構成を示す平面図である。
図29図28に示すマルチディスプレイの構成を示す断面図である。
図30図28に示すマルチディスプレイの別の構成を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照して詳細に説明する。
なお、以下の説明で用いる図面は、特徴をわかりやすくするために、便宜上特徴となる部分を模式的に示している場合があり、各構成要素の数や寸法比率などが実際と同じであるとは限らない。また、以下の説明において例示される材料、寸法等は一例であって、本発明はそれらに必ずしも限定されるものではなく、その要旨を変更しない範囲で適宜変更して実施することが可能である。
【0014】
(第1の実施形態)
先ず、本発明の第1の実施形態として、例えば図1図8に示すマルチディスプレイ1Aについて説明する。
【0015】
なお、図1は、マルチディスプレイ1Aの構成を示す斜視図である。図2は、マルチディスプレイ1Aの構成のうち、(A)は複数の表示パネルユニット2を展開した平面図、(B)は支持部材50を示す斜視図である。図3は、マルチディスプレイ1Aの構成を示す断面図である。図4は、表示パネルユニット2の構成を示す回路図である。図5は、画素回路3の構成を示す回路図である。図6は、表示パネルユニット2の構成を示す要部断面図である。図7は、画素回路基板4の構成を示す断面図である。図8は、画素回路基板4の構成を示す透視平面図である。
【0016】
本実施形態のマルチディスプレイ1Aは、図1図2及び図3に示すように、複数の画素Pが面内に並んで配置された表示領域Eを含む複数の表示パネルユニット2と、複数の表示パネルユニット2を湾曲した状態で支持する支持部材50とを備えている。
【0017】
複数の表示パネルユニット2は、伸縮自在(ストレッチャブル)であり、曲面を平面に展開した形状を有している。すなわち、これら複数の表示パネルユニット2は、曲面を平面に展開したときに、互いに隣り合う境界ラインに沿った輪郭線を描くように分割された形状を有している。
【0018】
マルチディスプレイ1Aでは、複数の表示パネルユニット2の隣り合うもの同士を互いに湾曲させながら突き合わせた状態で、これら複数の表示パネルユニット2が支持部材50の一方の面側に貼り合わされている。これにより、複数の表示パネルユニット2の表示領域Eが湾曲した1つの表示画面Sを構成している。
【0019】
本実施形態では、半球(ドーム)状の立体形状(3D)マルチディスプレイ1Aが構成されている。また、このマルチディスプレイ1Aの内面により球面凹状の表示画面Sが構成されている。複数の表示パネルユニット2は、例えば断裂図法(本実施形態では舟形多円錐図法)により半球状を平面に展開した舟形円錐形状(非矩形状)を有している。
【0020】
複数の表示パネルユニット2は、互いに一致した形状を有して、一の方向(図2(A)では縦方向)に並んで配置されると共に、互いに隣り合うもの同士が連結された構造を有している。
【0021】
支持部材50は、例えばアクリル系樹脂などの透明な樹脂材料を用いて、マルチディスプレイ1Aの立体形状に合わせて半球状に形成されている。複数の表示パネルユニット2は、この支持部材50の一方の面(外面)側に第1の接着層51を介して貼り合わされている。これにより、支持部材50は、複数の表示パネルユニット2を半球状に湾曲した状態で支持している。なお、図3では、マルチディスプレイ1Aを平面形状とした場合の断面形状として表している。
【0022】
第1の接着層51には、例えばエポキシ系樹脂接着剤などの透明な接着材料が用いられている。
【0023】
また、支持部材50の他方の面(内面)側には、反射防止層52が配置されている。反射防止層52は、各表示パネルユニット2の表面側に位置して、外光の反射を防止するものであり、フィルム状の円偏光板により構成されている。
【0024】
反射防止層52は、支持部材50の各表示パネルユニット2とは反対側の面(内面)に第2の接着層53を介して貼り合わされている。第2の接着層53には、第1の接着層51と同じものが用いられている。
【0025】
表示パネルユニット2は、有機EL素子を用いてカラー表示を行う有機EL表示装置(有機ELディスプレイ)である。
【0026】
具体的に、この表示パネルユニット2は、図4図5及び図6に示すように、画素Pを構成する画素回路3が設けられた画素回路基板4を有している。
【0027】
画素回路基板4は、表示領域Eの面内において交差する一の方向(図4及び図5では縦方向)に並ぶ複数の走査線5と、表示領域Eの面内において交差する他の方向(図4及び図5では横方向)に並ぶ複数の信号線6及び複数の電源線7とを含む。画素回路基板4は、これら複数の走査線5と複数の信号線6及び複数の電源線7とによって区画された領域毎に、画素回路3が設けられた構造を有している。
【0028】
また、表示パネルユニット2は、少なくとも赤(R)、緑(G)、青(B)の3原色に対応した複数の画素(「サブピクセル」という。)Pを1つの画素ユニット(「ピクセル」という)Puとし、この画素ユニットPuが面内に周期的に並んで配置された構造を有している。
【0029】
本実施形態では、赤(R)に対応した画素Pと、緑(G)に対応した画素Pと、青(B)に対応した画素Pとが他の方向に周期的に並ぶことによって、1つの画素ユニットPuが構成されている。また、本実施形態では、平面視で非矩形状の表示領域Eの面内に、平面視で矩形状の画素ユニットPuがマトリックス状に並んで配置されることによって、平面視で非矩形状の表示パネルユニット2が構成されている。
【0030】
なお、画素ユニットPuについては、上述した構成に必ずしも限定されるものではなく、例えば、上記赤(R)、緑(G)、青(B)に対応した画素Pに加えて、白(W)に対応した画素Pを加えた4つの画素Pにより構成することも可能である。また、上述したカラー表示に対応した複数の画素Pが配置された構成に限らず、モノクロ表示に対応した複数の画素Pが配置された構成とすることも可能である。
【0031】
画素回路3は、図5及び図7に示すように、発光素子である有機EL素子8と、保持容量Cであるコンデンサ9と、スイッチング素子である2つのTFT素子(選択用TFT素子10及び駆動用TFT素子11)とを備えている。
【0032】
有機EL素子8は、画素回路基板4を構成する基板12の一方の面(図7では表面)側に、画素電極13と、有機機能層14と、共通電極15とが順次積層された構造を有している。すなわち、この有機EL素子8は、正極(+)となる画素電極13と、負極(-)となる共通電極15との間に、有機機能層14が挟み込まれた構造を有している。
【0033】
基板12は、例えばプラスチック基板などのフレキシブル基板からなる。本実施形態では、基板12として、例えば厚みが10μm以下となるフィルム状のプラスチック基板を用いている。プラスチック基板には、例えばポリイミドなどの樹脂材料が用いられている。
【0034】
なお、基板12については、上述したフレキシブル基板を用いた構成に必ずしも限定されるものではなく、例えばガラス基板などのリジッド基板を用いた構成とすることも可能である。
【0035】
画素電極13は、複数の画素Pの各々に対応して設けられている。画素電極13には、例えばアルミニウム(Al)などの金属電極材料が用いられている。画素電極13は、後述する2つのTFT素子10,11が形成された面上を覆う層間絶縁層16の上に形成されている。層間絶縁層16には、例えば酸化シリコン(SiO)などが用いられている。画素電極13は、駆動用TFT素子11のソース電極11s側と電気的に接続されている。
【0036】
有機機能層14は、例えば、正孔注入層と、正孔輸送層と、発光層と、電子輸送層と、電子注入層とが順に積層された構造(「ヘテロ構造」という。)を有している。層間絶縁層16の上には、画素電極13の面上を除いてバンク層17が設けられている。バンク層17には、例えば塗布型の有機絶縁材料などが用いられている。有機機能層14は、このバンク層17の内側に埋め込み形成されている。
【0037】
共通電極15は、複数の画素Pの間で共通した1つのベタ電極を構成している。共通電極15には、例えば酸化インジウムスズ(ITO)などの透明電極材料が用いられている。共通電極15は、有機機能層14及びバンク層17が形成された面上を覆うように形成されている。また、共通電極15の上には、保護層18が基板12の全面を覆うように形成されている。保護層18には、例えば塗布型の有機絶縁材料などが用いられている。
【0038】
共通電極15は、GND線19と電気的に接続されている。GND線19は、後述する2つのTFT素子10,11を構成するゲート絶縁層20の面上に設けられている。GND線19は、層間絶縁層16を貫通するコンタクトプラグ21a、層間絶縁層16の上に形成されたコンタクト電極21b及びバンク層17を貫通するコンタクトプラグ21cを介して共通電極15と電気的に接続されている。
【0039】
有機EL素子8では、画素電極13側から正孔注入層及び正孔輸送層を介して注入・輸送された正孔と、共通電極側から電子注入層及び電子輸送層を介して注入・輸送された電子とが発光層で再結合することによって、光を発することが可能となっている。
【0040】
有機EL素子8は、基板12の一方の面側から光を取り出すトップエミッション構造を有している(以下、基板12の一方の面を「表面」とし、基板12の他方の面を「裏面」として区別する。)。
【0041】
また、有機EL素子8を用いてカラー表示を行う場合は、白色光を発する有機EL素子に、赤(R)、緑(G)、青(B)に対応したカラーフィルタを組み合わせた構成としている。又は、赤色光と緑色光と青色光との各色光を発する有機EL素子を組み合わせた構成としてもよい。
【0042】
保持容量Cは、コンデンサ9の一端側が選択用TFT素子10のソース電極10s側及び駆動用TFT素子11のゲート電極11g側と電気的に接続され、コンデンサ9の他端側が駆動用TFT素子11のソース電極11s側と電気的に接続された状態で設けられている。
【0043】
2つのTFT素子10,11は、基板12の上に並んで設けられている。2つのTFT素子10,11には、例えばインジウム(In)-錫(Sn)-亜鉛(Zn)の酸化物(InSnZnO)などの酸化物半導体が用いられている。また、酸化物半導体は、例えばIn、ガリウム(Ga)、Zn、Sn、Alなどの金属元素を少なくとも1つ以上を含む酸化物であってもよく、多結晶シリコンやアモルファスシリコン、有機半導体などであってもよい。ゲート絶縁層20には、例えば酸化シリコン(SiO)などが用いられている。
【0044】
選択用TFT素子10は、ゲート電極10gが走査線5と電気的に接続され、ドレイン電極10dが信号線6と電気的に接続され、ソース電極10sが駆動用TFT素子11のゲート電極11g及び保持容量C(コンデンサ9)の一端側と電気的に接続された状態で設けられている。
【0045】
駆動用TFT素子11は、ゲート電極10gが選択用TFT素子10のソース電極10s及び保持容量C(コンデンサ9の一端側)と電気的に接続され、ドレイン電極11dが電源線7と電気的に接続され、ソース電極11sが画素電極13及び保持容量C(コンデンサ9)の他端側と電気的に接続された状態で設けられている。
【0046】
表示パネルユニット2では、選択用TFT素子10のスイッチング動作により、この選択用TFT素子10を介して保持容量Cに信号線6の電位(画像データ)が保持される。また、保持容量Cの電位に応じて、駆動用TFT素子11を介して有機EL素子8に電源線7からの駆動電流が流れる。これにより、有機EL素子8を発光(点灯)させることが可能である。
【0047】
ところで、本実施形態の画素回路基板4は、図6図7及び図8に示すように、基板12の表面側に配置された複数の第1の配線31と、基板12の厚み方向に配置された複数のコンタクトプラグ32と、基板12の裏面側に配置された複数の第2の配線33と、基板12の裏面側に配置された複数の接続部34とを有している。
【0048】
複数の第1の配線31は、複数の画素回路3の各々と電気的に接続されている。複数のコンタクトプラグ32は、複数の第1の配線31の各々と電気的に接続されている。複数の第2の配線33は、複数のコンタクトプラグ32の各々と電気的に接続されている。すなわち、第1の配線31と第2の配線33とは、コンタクトプラグ32を介して電気的に接続されている。
【0049】
第1の配線31及び第2の配線33は、例えば銅やアルミニウム、モリブデン、クロムなどの導電材料を用いて線状にパターン形成されている。コンタクトプラグ32は、例えば銀(Ag)ペーストなどの塗布型の銅やアルミニウム、モリブデン、クロムなどの導電材料を用いて、基板12を貫通するコンタクトホールに埋め込み形成されている。
【0050】
第1の配線31、コンタクトプラグ32及び第2の配線33は、複数の走査線5の各々に対応して設けられている。すなわち、各走査線5は、これら第1の配線31、コンタクトプラグ32及び第2の配線33によって、基板12の表面側から裏面側へと引き回されている。
【0051】
また、第1の配線31、コンタクトプラグ32及び第2の配線33は、複数の信号線6の各々に対応して設けられている。すなわち、各信号線6は、これら第1の配線31、コンタクトプラグ32及び第2の配線33によって、基板12の表面側から裏面側へと引き回されている。
【0052】
複数の接続部34は、複数の第2の配線33の各々と、フレキシブルプリント配線板(FPC)35の一端側に設けられた複数の端子の各々との間を電気的に接続している。
【0053】
接続部34は、例えば異方性導電フィルム(ACF)や異方性導電ペースト(ACP)などの接続材料を用いて、このACFやACPを複数の第2の配線33の間を横断するように形成し、各第2の配線33の間で絶縁性を保ちながら、各第2の配線33と重なる位置にて導電性を持たせることによって、各第2の配線33とFPC35の各端子との間を電気的に接続すると共に、FPC35と画素回路基板4との接着を行っている。
【0054】
複数の走査線5は、複数の接続部34(以下、必要に応じて「第1の接続部34A」として区別する。)を介してFPC35(以下、必要に応じて「第1のフレキシブルプリント配線板(FPC)35A」として区別する。)と電気的に接続されている。
【0055】
第1の接続部34Aは、複数の走査線5の各々に対応した線列毎に、一の方向(図8では縦方向)に並んで設けられている。第1のFPC35Aには、例えばシフトレジスタ及びレベルシフタ等を含む走査線駆動回路(ゲートドライバ)36が設けられている。複数の走査線5は、この第1のFPC35Aを介してゲートドライバ36と電気的に接続されている。ゲートドライバ36は、複数の走査線5に走査信号を順次的に供給し、この走査信号に応答して、上記選択用TFT素子10の駆動を切り替える。
【0056】
複数の信号線6は、複数の接続部34(以下、必要に応じて「第2の接続部34B」として区別する。)を介してFPC35(以下、必要に応じて「第2のフレキシブルプリント配線板(FPC)35B」として区別する。)と電気的に接続されている。
【0057】
第2の接続部34Bは、複数の信号線6の各々に対応した線列毎に、他の方向(図8では横方向)に並んで設けられている。第2のFPC35Bには、例えばシフトレジスタ、レベルシフタ、ビデオライン及びアナログスイッチ等を含む信号線駆動回路(データドライバ)37が設けられている。複数の信号線6は、この第2のFPC35Bを介してデータドライバ37と電気的に接続されている。データドライバ37は、複数の信号線6に画像データを供給する。
【0058】
画素回路基板4の表示領域Eと平面視で重なる領域内には、複数の走査線5の各々に対応した線列毎に、複数のコンタクトプラグ32(以下、必要に応じて「第1のコンタクトプラグ32A」として区別する。)が一の方向(図8では縦方向)に並んで設けられている。
【0059】
複数の第1のコンタクトプラグ32Aは、各第2の配線33(以下、必要に応じて「第1の裏面配線33A」として区別する。)の一端側と電気的に接続されている。一方、複数の第1の接続部34Aは、各第1の裏面配線33Aの他端側と電気的に接続されている。
【0060】
また、画素回路基板4の表示領域Eと平面視で重なる領域内には、複数の信号線6の各々に対応した線列毎に、複数のコンタクトプラグ32(以下、必要に応じて「第2のコンタクトプラグ32B」として区別する。)が他の方向(図8では横方向)に並んで設けられている。
【0061】
複数の第2のコンタクトプラグ32Bは、各第2の配線33(以下、必要に応じて「第2の裏面配線33B」として区別する。)の一端側と電気的に接続されている。一方、複数の第2の接続部34Bは、各第2の裏面配線33Bの他端側と電気的に接続されている。
【0062】
また、第1の配線31、コンタクトプラグ32及び第2の配線33は、複数の電源線7の各々に対応して設けられている。すなわち、各電源線7は、これら第1の配線31、コンタクトプラグ32及び第2の配線33によって、基板12の表面側から裏面側へと引き回されている。
【0063】
複数の電源線7の各々に対応して設けられた複数の第1の配線31は、複数の電源線7の各々に対応して設けられた複数のコンタクトプラグ32(以下、必要に応じて「第3のコンタクトプラグ32C」として区別する。)を介して共通する1本の第2の配線33(以下、必要に応じて「第3の裏面配線33C」として区別する。)と電気的に接続されている。
【0064】
画素回路基板4の表示領域Eと平面視で重なる領域内には、複数の第3のコンタクトプラグ32Cが一の方向(図8では縦方向)に並んで設けられている。複数の第3のコンタクトプラグ32Cは、一の方向(図8では縦方向)に延在する第3の裏面配線33Cと電気的に接続されている。
【0065】
また、第1の配線31、コンタクトプラグ32及び第2の配線33は、GND線19に対応して設けられている。すなわち、GND線19は、これら第1の配線31、コンタクトプラグ32及び第2の配線33によって、基板12の表面側から裏面側へと引き回されている。
【0066】
GND線19に対応して設けられた第1の配線31は、GND線19に対応して設けられた複数のコンタクトプラグ32(以下、必要に応じて「第4のコンタクトプラグ32D」として区別する。)を介して共通する1本の第2の配線33(以下、必要に応じて「第4の裏面配線33D」として区別する。)と電気的に接続されている。
【0067】
画素回路基板4の表示領域Eと平面視で重なる領域内には、複数の第4のコンタクトプラグ32Dが一の方向(図8では縦方向)に並んで設けられている。複数の第4のコンタクトプラグ32Dは、一の方向(図8では縦方向)に延在する第4の裏面配線33Dと電気的に接続されている。
【0068】
画素回路基板4には、基板12の裏面を覆う層間絶縁層38が設けられている。第1の裏面配線33A及び第3の裏面配線33Cは、基板12及び層間絶縁層38を貫通する第1のコンタクトプラグ32A及び第3のコンタクトプラグ32Cと電気的に接続されている。一方、第2の裏面配線33B及び第4の裏面配線33Dは、基板12を貫通する第2のコンタクトプラグ32B及び第4のコンタクトプラグ32Dと電気的に接続されている。
【0069】
これにより、第1の裏面配線33Aの一部と、第2の裏面配線33Bの一部とが交差した状態で配置されている。また、第3の裏面配線33Cと、第2の裏面配線33Bの一部とが交差した状態で配置されている。
【0070】
複数の表示パネルユニット2は、図2(A)に示すように、一の方向(図2(A)では縦方向)に並んで隣り合うもの同士が画素回路基板4を介して連結された構造を有している。
【0071】
複数の第1の接続部34Aは、各画素回路基板4(表示パネルユニット2)の連結された位置を挟んで一の方向(図2(A)では縦方向)に並んで設けられている。すなわち、各画素回路基板4には、複数の第1の接続部34Aが、他の方向(図2(A)では横方向)の中央側に位置して、一の方向(図2(A)では縦方向)に並んで配置されている。
【0072】
これにより、各表示パネルユニット2の背面側には、複数の走査線5の線列毎にゲートドライバ36が設けられた複数の第1のFPC35Aが、他の方向(図2(A)では横方向)の中央側に位置して、一の方向(図2(A)では縦方向)に並んで配置されている。
【0073】
一方、各画素回路基板4には、複数の第2の接続部34Bが、一の方向(図2(A)では縦方向)の中央側に位置して、他の方向(図2(A)では横方向)に並んで配置されている。
【0074】
これにより、各表示パネルユニット2の背面側には、複数の信号線6の線列毎にデータドライバ37が設けられた複数の第2のFPC35Bが、一の方向(図2(A)では縦方向)の中央側に位置して、他の方向(図2(A)では横方向)に並んで配置されている。
【0075】
以上のような構成を有する表示パネルユニット2では、上述した表示領域Eと平面視で重なる領域内に、複数の接続部34(第1の接続部34A及び第2の接続部34B)が設けられている。これにより、表示パネルユニット2の表示領域Eと平面視で重なる領域内において、複数の接続部34を介して第1のFPC35A及び第2のFPC35Bを接続すると共に、第1のFPC35A及び第2のFPC35Bに設けられたゲートドライバ36及びデータドライバ37を画素回路基板4の裏面側に配置することが可能である。
【0076】
また、画素回路基板4の表示領域Eと平面視で重なる領域は、基板12の外形とほぼ一致している。これにより、表示領域Eの外側にゲートドライバ36及びデータドライバ37を配置するための周辺領域を設ける必要がなく、表示パネルユニット2の周辺領域を縮小化することが可能である。
【0077】
したがって、本実施形態のマルチディスプレイ1Aでは、複数の表示パネルユニット2を面内に並べて1つの画面として表示する場合において、継ぎ目のない(目立たない)表示画面Sを構成することが可能である。
【0078】
次に、上記表示パネルユニット2の製造方法について、図9図16を参照しながら説明する。
なお、図9図16は、画素回路基板4を作製する工程を説明するための断面図である。
【0079】
上記表示パネルユニット2を製造する際は、画素回路基板4を作製する工程を有する。
【0080】
画素回路基板4を作製する工程では、先ず、図9に示すように、第1のガラス基板101の面上にフィルム状に形成された基板12を用意する。そして、この基板12の一方の面(表面)上に、上述した走査線5、信号線6、電源線7及びGND線19を含む第1の配線31と、コンタクトプラグ21a、コンタクト電極21b及びコンタクトプラグ21cと、画素回路3を構成する有機EL素子8(画素電極13、有機機能層14及び共通電極15)、コンデンサ9、ゲート絶縁層20を含む選択用TFT素子10及び駆動用TFT素子11と、層間絶縁層16と、バンク層17と、保護層18とを形成する。
【0081】
なお、これらの形成工程には、従来より公知の成膜プロセスやフォトリソグラフィプロセスなどを用いることができ、その形成方法について特に限定されるものではない。
【0082】
次に、図10に示すように、基板12の最上層に接着層102を介して第2のガラス基板103を貼り付ける。
【0083】
次に、図11に示すように、第1のガラス基板101側から基板12に向けてレーザー光Lを照射する。このとき、レーザー光Lが第1のガラス基板101を透過し、基板12に吸収されることで、第1のガラス基板101との界面付近のプラスチックフィルムの一部が熱により蒸発する。これにより、図12に示すように、基板12の他方の面(裏面)から第1のガラス基板101を剥離することができる。
【0084】
次に、図13に示すように、基板12の第2のコンタクトプラグ32B及び第4のコンタクトプラグ32Dの形成位置に、基板12及びゲート絶縁層20を貫通するコンタクトホール104を形成する。
【0085】
次に、図14に示すように、コンタクトホール104に第2のコンタクトプラグ32B及び第4のコンタクトプラグ32Dを埋め込み形成した後、基板12の裏面に第2の裏面配線33B及び第4の裏面配線33Dをパターン形成する。
【0086】
次に、図15に示すように、基板12の裏面に層間絶縁層38を形成した後、基板12の第1のコンタクトプラグ32A及び第3のコンタクトプラグ32Cの形成位置に、基板12及び層間絶縁層38を貫通するコンタクトホール105を形成する。
【0087】
次に、図16に示すように、コンタクトホール105に第1のコンタクトプラグ32A及び第3のコンタクトプラグ32Cを埋め込み形成した後、基板12の裏面に第1の裏面配線33A及び第3の裏面配線33Cをパターン形成する。
【0088】
次に、第1の接続部34A及び第2の接続部34BとなるACPを形成した後、これら第1の接続部34A及び第2の接続部34Bを介して第1のFPC35A及び第2のFPC35Bを接続する。最後に、第2のガラス基板103を接着層102と共に除去する。これにより、上記表示パネルユニット2を作製することが可能である。
【0089】
上記表示パネルユニット2は、上述した隣り合うもの同士が画素回路基板4を介して連結されている。したがって、上記基板12を用いて、互いに連結された複数の表示パネルユニット2を一括して作製することが可能である。
【0090】
上記表示パネルユニット2の製造方法では、上述した表示領域Eと平面視で重なる領域内に、複数の接続部34(第1の接続部34A及び第2の接続部34B)を設けることによって、第1のFPC35A及び第2のFPC35Bに設けられたゲートドライバ36及びデータドライバ37を画素回路基板4の裏面側に配置することが可能である。これにより、表示領域Eの外側にゲートドライバ36及びデータドライバ37を配置するための周辺領域を設ける必要がなく、周辺領域を縮小化した表示パネルユニット2を製造することが可能である。
【0091】
また、基板12として、厚みが10μm以下となるフィルム状のプラスチック基板を用いることで、上述したコンタクトホール104,105のサイズ(開口径)を微細化することが可能である。これにより、画素Pのサイズを小さくして、表示パネルユニット2の高精細化を図ることが可能である。
【0092】
次に、上記マルチディスプレイ1Aの製造方法について、図17を参照しながら説明する。
なお、図17は、マルチディスプレイ1Aを作製する工程を説明するための斜視図である。
【0093】
上記マルチディスプレイ1Aを製造する際は、図17に示すように、上述した複数の表示パネルユニット2の隣り合うもの同士を互いに湾曲させながら突き合わせると共に、これら複数の表示パネルユニット2を支持部材50の一方の面(外面)側に第1の接着層51を介して貼り合わせる。また、反射防止層52を支持部材50の他方の面(内面)側に第2の接着層53を介して貼り合わせる。これにより、上記マルチディスプレイ1Aを作製することが可能である。
【0094】
本実施形態のマルチディスプレイ1Aでは、上述した複数の表示パネルユニット2を並べて湾曲した1つの表示画面Sを構成したときに、ユニット間の隙間を無くしてシームレスな曲面を構成することが可能である。したがって、このマルチディスプレイ1Aでは、互いに隣り合う表示パネルユニット2の間における画質の劣化を抑制することが可能である。
【0095】
なお、上記マルチディスプレイ1Aでは、上述した複数の表示パネルユニット2が一の方向(縦方向)に並んで配置されると共に、各表示パネルユニット2の連結された位置を挟んで複数の第1の接続部34A(ゲートドライバ36)が一の方向(縦方向)に並んで設けられた構成となっている。
【0096】
これに対して、複数の表示パネルユニット2が他の方向(横方向)に並んで配置されると共に、各表示パネルユニット2の連結された位置を挟んで複数の第2の接続部34B(データドライバ37)が他の方向(横方向)に並んで設けられた構成とすることも可能である。
【0097】
上記マルチディスプレイ1Aでは、上述した複数の表示パネルユニット2が画素回路基板4を介して連結された構成となっているが、表示パネルユニット2の少なくとも一部又は全てが連結されていない構成としてもよい。この場合、複数の表示パネルユニット2は、支持部材50を連結部材として連結することが可能である。
【0098】
上記マルチディスプレイ1Aでは、上述した球面凹状の内面により凹面状の表示画面Sを構成しているが、球面凸状の外面により凸面状の表示画面Sを構成することも可能である。この場合、複数の表示パネルユニット2は、この支持部材50の内面側に第1の接着層51を介して貼り合わされた構成とすればよい。
【0099】
なお、凹面状の表示画面Sを構成した場合、複数の表示パネルユニット2を支持部材50に貼り合わせた後に、各表示パネルユニット2にFPC35を接続することが好ましい。一方、凸面状の表示画面Sを構成した場合、複数の表示パネルユニット2を支持部材50に貼り合わせる前に、各表示パネルユニット2にFPC35を接続することが好ましい。
【0100】
(第2の実施形態)
次に、本発明の第2の実施形態として、例えば図18及び図19に示すマルチディスプレイ1Bについて説明する。
【0101】
なお、図18は、マルチディスプレイ1Bを構成する複数の表示パネルユニット2を展開した平面図である。図19は、マルチディスプレイ1の構成を示す断面図である。また、以下の説明では、上記マルチディスプレイ1Aと同等の部位については、説明を省略すると共に、図面において同じ符号を付すものとする。
【0102】
本実施形態のマルチディスプレイ1Bは、図18及び図19に示すように、上述した複数の表示パネルユニット2が画素回路基板4を介して連結された構成の代わりに、FPC35を介して連結された構造を有している。
【0103】
具体的に、複数の表示パネルユニット2は、一の方向(図18では縦方向)に並んで隣り合うもの同士が第1のFPC35Aを介して連結された構造を有している。すなわち、これら複数の表示パネルユニット2は、第1のFPC35Aを連結部材として連結されている。
【0104】
これにより、各表示パネルユニット2の背面側には、複数の走査線5の線列毎にゲートドライバ36が設けられた第1のFPC35Aが、他の方向(図18では横方向)の中央側に位置して、一の方向(図18では縦方向)に延在して設けられている。
【0105】
本実施形態のマルチディスプレイ1Bでは、上述した複数の表示パネルユニット2を並べて湾曲した1つの表示画面Sを構成したときに、ユニット間の隙間を無くしてシームレスな曲面を構成することが可能である。したがって、このマルチディスプレイ1Bでは、互いに隣り合う表示パネルユニット2の間における画質の劣化を抑制することが可能である。
【0106】
なお、上記マルチディスプレイ1Bでは、上述した複数の表示パネルユニット2が一の方向(縦方向)に並んで配置されると共に、各表示パネルユニット2の連結された位置を挟んで複数の第1の接続部34A(ゲートドライバ36)が一の方向(縦方向)に並んで設けられた構成となっている。
【0107】
これに対して、複数の表示パネルユニット2が他の方向(横方向)に並んで配置されると共に、各表示パネルユニット2の連結された位置を挟んで複数の第2の接続部34B(データドライバ37)が他の方向(横方向)に並んで設けられた構成とすることも可能である。
【0108】
この場合、複数の表示パネルユニット2は、第2のFPC35Bを連結部材として、他の方向(横方向)に並んで隣り合うもの同士を第2のFPC35Bを介して連結した構成とすることが可能である。
【0109】
なお、上記マルチディスプレイ1Bでは、上記マルチディスプレイ1Aと同様に、上述した球面凹状の内面により凹面状の表示画面Sを構成する場合に限らず、球面凹状の外面により凸面状の表示画面Sを構成することが可能である。
【0110】
(第3の実施形態)
次に、本発明の第3の実施形態として、例えば図20図23に示すマルチディスプレイ1Cについて説明する。
【0111】
なお、図20は、マルチディスプレイ1Cの構成を示す平面図である。図21は、マルチディスプレイ1Cの構成を示す断面図である。図22は、画素回路基板4及び連結部材43の構成を示す断面図である。図23は、画素回路基板4及び接続配線44の構成を示す透視平面図である。また、以下の説明では、上記マルチディスプレイ1Aと同等の部位については、説明を省略すると共に、図面において同じ符号を付すものとする。
【0112】
本実施形態のマルチディスプレイ1Cは、図20及び図21に示すように、上述した非矩形状の表示パネルユニット2及び半球状の支持部材50の代わりに、矩形状の表示パネルユニット41と、複数の表示パネルユニット41を面内に並べた状態で支持する板状の支持部材42と、複数の表示パネルユニット41の隣り合うもの同士を連結する板状の連結部材43とを備えている。
【0113】
マルチディスプレイ1Cでは、これら複数の表示パネルユニット41の隣り合うもの同士を突き合わせた状態で、複数の表示パネルユニット41の表面側を支持部材42の一方の面側に第1の接着層51を介して貼り合わせることによって、複数の表示パネルユニット41の表示領域Eが1つの表示画面Sを構成している。
【0114】
本実施形態では、平面視で矩形状の表示領域Eの面内に、平面視で矩形状の画素ユニットPuがマトリックス状に並んで配置されることによって、平面視で矩形状の表示パネルユニット41が構成されている。表示パネルユニット41は、それ以外は、上記表示パネルユニット2と基本的に同じ構成を有している。
【0115】
なお、本実施形態では、9つの表示パネルユニット41を縦方向に3つ、横方向に3つ並べて配置することによって、平面視で矩形状の表示画面Gを構成しているが、表示パネルユニット41の配置する数については適宜変更することが可能である。
【0116】
支持部材42は、例えばプラスチック基板などの透明なフレキシブル基板からなり、表示画面Sに対応した形状を有している。プラスチック基板には、例えばポリイミドなどの樹脂材料が用いられている。なお、支持部材42については、上述したフレキシブル基板を用いた構成に必ずしも限定されるものではなく、上記基板12にリジッド基板を用いた場合、例えばガラス基板などの透明なリジッド基板を用いた構成とすることも可能である。
【0117】
また、支持部材42の他方の面側には、反射防止層52が配置されている。反射防止層52は、支持部材42の各表示パネルユニット41とは反対側の面に第2の接着層53を介して貼り合わされている。
【0118】
複数の表示パネルユニット41のうち、他の方向(図20では横方向)の一端側(図20では右端側)に位置して、一の方向(図20では縦方向)に並ぶ複数の表示パネルユニット41(以下、必要に応じて「表示パネルユニット41A」として区別する。)は、ゲートドライバ36が設けられた複数の第1のFPC35Aを有している。
【0119】
各表示パネルユニット41Aの背面側には、複数の走査線5の線列毎にゲートドライバ36が設けられた複数の第1のFPC35Aが一の方向(図20では縦方向)に並んで配置されている。
【0120】
一方、複数の表示パネルユニット41のうち、一の方向(図20では縦方向)の一端側(図20では上端側)に位置して、他の方向(図20では横方向)に並ぶ表示パネルユニット41(以下、必要に応じて「表示パネルユニット41B」として区別する。)は、データドライバ37が設けられた複数の第2のFPC35Bを有している。
【0121】
各表示パネルユニット41Bの背面側には、複数の信号線6の線列毎にデータドライバ37が設けられた複数の第2のFPC35Bが他の方向(図20では横方向)に並んで配置されている。
【0122】
連結部材43は、図21図22及び図23に示すように、表示パネルユニット2の互いに隣り合う境界ラインに沿って、平面視で格子状に設けられている。また、連結部材43の表示パネルユニット41と対向する面上には、互いに隣り合う表示パネルユニット41の間を電気的に接続する複数の接続配線44が設けられている。接続配線44は、上記第1の配線31及び第2の配線33と同じ導電材料を用いて、線状にパターン形成されている。
【0123】
具体的に、互いに隣り合う表示パネルユニット41の間には、複数の接続配線44のうち、複数の走査線5(第1の裏面配線33A)の間を電気的に接続する複数の接続配線44(以下、必要に応じて「第1の接続配線44A」として区別する。)と、複数の信号線6(第2の裏面配線33B)の間を電気的に接続する複数の接続配線44(以下、必要に応じて「第2の接続配線44B」として区別する。)と、複数の電源線7(第3の裏面配線33C)の間を電気的に接続する複数の接続配線44(以下、必要に応じて「第3の接続配線44C」として区別する。)と、GND線19(第4の裏面配線33D)の間を電気的に接続する複数の接続配線44(以下、必要に応じて「第4の接続配線44D」として区別する。)とが設けられている。
【0124】
これにより、横方向において隣り合う複数の表示パネルユニット41の間では、各走査線5を連結しながら、右端の表示パネルユニット41Aに設けられたゲートドライバ36による駆動が可能となる。
【0125】
また、縦方向において隣り合う複数の表示パネルユニット41の間では、各信号線6を連結しながら、上端の表示パネルユニット41Bに設けられたデータドライバ37による駆動が可能となる。
【0126】
以上のような構成を有する実施形態のマルチディスプレイ1Cでは、上述した全ての表示パネルユニット41にゲートドライバ36やデータドライバ37を配置する必要がなくなる。したがって、このマルチディスプレイ1Cでは、複数の表示パネルユニット41を並べて1つの表示画面Sを構成したときに、各表示パネルユニット41を駆動するゲートドライバ36やデータドライバ37の数を低減することが可能である。
【0127】
また、本実施形態のマルチディスプレイ1Cでは、上述した複数の表示パネルユニット41を並べて1つの表示画面Sを構成したときに、ユニット間の隙間を無くしてシームレスな平面を構成することが可能である。したがって、このマルチディスプレイ1Cでは、互いに隣り合う表示パネルユニット41の間における画質の劣化を抑制することが可能である。
【0128】
なお、上記マルチディスプレイ1Cでは、上述した板状の連結部材43を用いた構成となっているが、連結部材43については、FPCを用いた構成としてもよい。すなわち、連結部材43は、上述した互いに隣り合う表示パネルユニット41の間を電気的に接続する接続配線44の代わりに、FPCを用いて電気的に接続することも可能である。
【0129】
また、連結部材43については、第1の接続配線44A及び第3の接続配線44Cが設けられて、縦方向に延在する一方の連結部材43と、第2の接続配線44B及び第4の接続配線44Dが設けられて、横方向に延在する他方の連結部材43とに、それぞれ分割して配置することも可能である。
【0130】
(第4の実施形態)
次に、本発明の第4の実施形態として、例えば図24に示すマルチディスプレイ1Dについて説明する。
【0131】
なお、図24は、マルチディスプレイ1Dの構成を示す断面図である。また、以下の説明では、上記マルチディスプレイ1A,1Cと同等の部位については、説明を省略すると共に、図面において同じ符号を付すものとする。
【0132】
本実施形態のマルチディスプレイ1Dは、図24に示すように、上記連結部材43を支持部材として用いた構成である。すなわち、この連結部材43は、表示画面Sに対応した形状を有して、上述した互いに隣り合う表示パネルユニット41の間を複数の接続配線44を介して電気的に接続すると共に、複数の表示パネルユニット41の裏面側に接着層45を介して貼り合わされている。
【0133】
この場合、接着層45には、上記第1の接着層51と同じ透明な接着材料に限らず、不透明な接着材料を用いることが可能である。また、複数の表示パネルユニット41の表面側を支持する上記支持部材42を省略することが可能である。
【0134】
なお、本実施形態では、上記支持部材42を省略することによって、上記第1の接着層51、反射防止層52及び第2の接着層53が省略された構成となっているが、複数の表示パネルユニット41の表面側に第2の接着層53を介して反射防止層52が貼り合わされた構成としてもよい。
【0135】
以上のような構成を有する実施形態のマルチディスプレイ1Dでは、上述した全ての表示パネルユニット41にゲートドライバ36やデータドライバ37を配置する必要がなくなる。したがって、このマルチディスプレイ1Dでは、複数の表示パネルユニット41を並べて1つの表示画面Sを構成したときに、各表示パネルユニット41を駆動するゲートドライバ36やデータドライバ37の数を低減することが可能である。
【0136】
また、本実施形態のマルチディスプレイ1Dでは、上述した複数の表示パネルユニット41を並べて1つの表示画面Sを構成したときに、ユニット間の隙間を無くしてシームレスな平面を構成することが可能である。したがって、このマルチディスプレイ1Cでは、互いに隣り合う表示パネルユニット41の間における画質の劣化を抑制することが可能である。
【0137】
なお、上記マルチディスプレイ1Dでは、上述した板状の連結部材43を支持部材(支持基板)として用いた構成となっているが、連結部材43を支持部材として用いる場合、連結部材43の形状については適宜変更することが可能である。また、連結部材43については、例えばフレームやハウジングなどの複数の表示パネルユニット41の背面側を支持する支持部材に接続配線44を設けた構成としてもよい。
【0138】
(第5の実施形態)
次に、本発明の第5の実施形態として、例えば図25図27に示すマルチディスプレイ1Eについて説明する。
【0139】
なお、図25は、マルチディスプレイ1Eの構成を示す斜視図である。図26は、マルチディスプレイ1Eの構成のうち、(A)は複数の表示パネルユニット2を展開した平面図、(B)は支持部材50を示す斜視図である。図27は、マルチディスプレイ1Eの構成を示す断面図である。なお、図27では、マルチディスプレイ1Eを平面形状とした場合の断面形状として表している。また、以下の説明では、上記マルチディスプレイ1Aと同等の部位については、説明を省略すると共に、図面において同じ符号を付すものとする。
【0140】
本実施形態のマルチディスプレイ1Eは、図25図26及び図27に示すように、複数の表示パネルユニット2の隣り合うもの同士を互いに湾曲させながら突き合わせた状態で、これら複数の表示パネルユニット2が支持部材50の他方の面(内面)側に接着層45を介して貼り合わされている。
【0141】
また、支持部材50は、上記連結部材43として、互いに隣り合う表示パネルユニット2の間を複数の接続配線44を介して電気的に接続すると共に、複数の表示パネルユニット2の裏面側に接着層45を介して貼り合わされている。
【0142】
各表示パネルユニット2の背面側には、複数の走査線5の線列毎にゲートドライバ36が設けられた複数の第1のFPC35Aが、他の方向(図26(A)では横方向)の中央側に位置して、一の方向(図26(A)では縦方向)に並んで配置されている。
【0143】
一方、複数の表示パネルユニット41のうち、一の方向(図26(A)では縦方向)の中央に位置する表示パネルユニット2(以下、必要に応じて「表示パネルユニット2AB」として区別する。)は、データドライバ37が設けられた複数の第2のFPC35Bを有している。
【0144】
表示パネルユニット2Aの背面側には、複数の信号線6の線列毎にデータドライバ37が設けられた複数の第2のFPC35Bが、一の方向(図26(A)では縦方向)の中央側に位置して、他の方向(図26(A)では横方向)に並んで配置されている。
【0145】
互いに隣り合う表示パネルユニット2の間には、複数の接続配線44のうち、複数の信号線6(第2の裏面配線33B)の間を第2の接続部34Bを介して電気的に接続する複数の接続配線44(以下、必要に応じて「第2の接続配線44B」が設けられている。
【0146】
これにより、縦方向において隣り合う複数の表示パネルユニット2の間では、各信号線6を連結しながら、中央の表示パネルユニット2Aに設けられたデータドライバ37による駆動が可能となる。
【0147】
支持部材50には、第1のFPC35Aを外面側へと引き出す第1の開口部50aと、第2のFPC35Bを外面側へと引き出す第2の開口部50bとが設けられている。これにより、ゲートドライバ36及びデータドライバ37は、支持部材50の外面側に配置されている。
【0148】
以上のような構成を有する実施形態のマルチディスプレイ1Eでは、上述した全ての表示パネルユニット2にデータドライバ37を配置する必要がなくなる。したがって、このマルチディスプレイ1Eでは、複数の表示パネルユニット2を並べて1つの湾曲した表示画面Sを構成したときに、各表示パネルユニット2を駆動するデータドライバ37の数を低減することが可能である。
【0149】
また、本実施形態のマルチディスプレイ1Eでは、上述した複数の表示パネルユニット2を並べて1つの湾曲した表示画面Sを構成したときに、ユニット間の隙間を無くしてシームレスな曲面を構成することが可能である。したがって、このマルチディスプレイ1Eでは、互いに隣り合う表示パネルユニット2の間における画質の劣化を抑制することが可能である。
【0150】
なお、上記マルチディスプレイ1Eでは、上述した複数の表示パネルユニット2の裏面側を支持部材50で支持することによって、上記第1の接着層51、反射防止層52及び第2の接着層53が省略された構成となっているが、複数の表示パネルユニット2の表面側に第2の接着層53を介して反射防止層52が貼り合わされた構成としてもよい。
【0151】
(第6の実施形態)
次に、本発明の第6の実施形態として、例えば図28図30に示すマルチディスプレイ1Fについて説明する。
【0152】
なお、図28は、マルチディスプレイ1Fの構成を示す平面図である。図29は、マルチディスプレイ1Fの構成を示す断面図である。図30は、マルチディスプレイ1Fの別の構成を示す断面図である。なお、図29及び図30では、マルチディスプレイ1Fを平面形状とした場合の断面形状として表している。また、以下の説明では、上記マルチディスプレイ1Aと同等の部位については、説明を省略すると共に、図面において同じ符号を付すものとする。
【0153】
本実施形態のマルチディスプレイ1Fは、上記マルチディスプレイ1Aの構成に加えて、図28及び図29に示すような遮蔽層54Aが設けられた構成を有している。
【0154】
遮蔽層54Aは、例えばブラックマトリクスとして用いられる黒色のレジスト材料などの遮光性を有する樹脂からなる。遮蔽層54Aは、表示パネルユニット2と支持部材50との間に設けられている。遮蔽層54Aは、表示パネルユニット2に近い側に設けることが好ましい。このため、本実施形態では、支持部材50の表示パネルユニット2と対向する面上に遮蔽層54Aが設けられている。
【0155】
遮蔽層54Aは、表示パネルユニット2の互いに隣り合う境界ライン及び画素ユニットPuの互いに隣り合う境界ラインに沿って、平面視で格子状に設けられている。
【0156】
本実施形態のマルチディスプレイ1Fでは、上述した互いに隣り合う表示パネルユニット2の間に遮蔽層54Aを設けることで、このパネル間における継ぎ目を遮蔽層54Aにより隠すことができる。これにより、互いに隣り合う表示パネルユニット2の間における画質の劣化を抑制することが可能である。
【0157】
さらに、本実施形態のマルチディスプレイ1Fでは、上述した互いに隣り合う複数の画素ユニットPuの間に遮蔽層54Aを設けることで、表示パネルユニット2の互いに隣り合う境界ラインと、画素ユニットPuの互いに隣り合う境界ラインとの区別を無くことができる。これにより、マルチディスプレイ1Aとして、複数の表示パネルユニット2を面内に並べて1つの画面として表示する場合において、継ぎ目のない(目立たない)表示画面Sを構成することが可能である。
【0158】
本実施形態のマルチディスプレイ1Fは、上記遮蔽層54Aの代わりに、図30に示すような遮蔽層54Bを備えた構成としてもよい。
【0159】
遮蔽層54Bは、例えば銀やアルミニウムなどの光反射性を有する金属からなる。遮蔽層54Bは、支持部材50と反射防止層52との間に設けられている。遮蔽層54Bは、反射防止層52に近い側に設けることが好ましい。このため、本実施形態では、反射防止層52の支持部材50と対向する面上に遮蔽層54Bが設けられている。
【0160】
遮蔽層54Bは、表示パネルユニット2の互いに隣り合う境界ライン及び画素ユニットPuの互いに隣り合う境界ラインに沿って、平面視で格子状に設けられている。
【0161】
本実施形態のマルチディスプレイ1Fでは、上述した互いに隣り合う表示パネルユニット2の間に遮蔽層54Bを設けることで、このパネル間における継ぎ目を遮蔽層54Bにより隠すことができる。特に、反射防止層52は、円偏光板により遮蔽層54Bで反射した光を遮蔽するため、この遮蔽層54Bが設けられた部分は反射が無く黒く見える。これにより、互いに隣り合う表示パネルユニット2の間における画質の劣化を抑制することが可能である。
【0162】
さらに、本実施形態のマルチディスプレイ1Fでは、上述した互いに隣り合う複数の画素ユニットPuの間に遮蔽層54Bを設けることで、表示パネルユニット2の互いに隣り合う境界ラインと、画素ユニットPuの互いに隣り合う境界ラインとの区別を無くことができる。これにより、マルチディスプレイ1Bとして、複数の表示パネルユニット2を面内に並べて1つの画面として表示する場合において、継ぎ目のない(目立たない)表示画面Sを構成することが可能である。
【0163】
なお、本実施形態のマルチディスプレイ1Fでは、上記マルチディスプレイ1Aの構成に限らず、上記マルチディスプレイ1B~1Fの構成に、上記遮蔽層54A,54Bを追加した構成とすることが可能である。
【0164】
なお、本発明は、上記実施形態のものに必ずしも限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることが可能である。
例えば、上記実施形態では、上述した半球(ドーム)状の立体形状(3D)マルチディスプレイ1A,1B,1D~1Fや平面形状のマルチディスプレイ1Cを例示しているが、本発明が適用されるマルチディスプレイについては、このような形状のものに必ずしも限定されるものではなく、例えば球面状や筒状、ラウンド(アーチ)状など、その形状を適宜変更することが可能である。
【0165】
上記実施形態では、上述した半球状を平面に展開した舟形円錐形状(非矩形状)の表示パネルユニット2を例示しているが、表示パネルユニット2の形状についても、適宜変更することが可能である。
【0166】
なお、上記実施形態では、上述した有機ELディスプレイに本発明を適用した場合を例示しているが、発光素子として、有機EL素子を用いたものに必ずしも限定されるものではなく、例えばマイクロLEDなどのLED素子や量子ドットなどの発光素子を用いたものであってもよい。また、液晶ディスプレイなどにも本発明を適用することが可能である。
【産業上の利用可能性】
【0167】
本発明は、上述した立体形状(3D)マルチディスプレイとして、例えば、仮想空間(VR)用ディスプレイ、プラネタリウム、地球儀、ドライビングシュミレータ、車内ディスプレイ、全方位表示ディスプレイなど、様々な用途に幅広く適用することが可能である。
【符号の説明】
【0168】
1A~1F…マルチディスプレイ 2…表示パネルユニット 3…画素回路 4…画素回路基板 5…走査線 6…信号線 7…電源線 8…有機EL素子 9…コンデンサ 10…選択用TFT素子 11…駆動用TFT素子 12…基板 13…画素電極 14…有機機能層 15…共通電極 16…層間絶縁層 17…バンク層 18…保護層 19…GND線 20…ゲート絶縁層 31…第1の配線 32…コンタクトプラグ 32A…第1のコンタクトプラグ 32B…第2のコンタクトプラグ 32C…第3のコンタクトプラグ 32D…第4のコンタクトプラグ 33…第2の配線 33A…第1の裏面配線 33B…第2の裏面配線 33C…第3の裏面配線 33D…第4の裏面配線 34…接続部 34A…第1の接続部 34B…第2の接続部 35…フレキシブルプリント配線板(FPC) 35A…第1のFPC 35B…第2のFPC 36…走査線駆動回路(ゲートドライバ) 37…信号線駆動回路(データドライバ) 38…層間絶縁層 41…表示パネルユニット 42…支持部材 43…連結部材 44…接続配線 44A…第1の接続配線 44B…第2の接続配線 44C…第3の接続配線 44D…第4の接続配線 50…支持部材 50a…第1の開口部 50b…第2の開口部 45…接着層 51…第1の接着層 52…反射防止層(円偏光板) 53…第2の接着層 54A…遮蔽層(樹脂) 54B…遮蔽層(金属) C…保持容量 P…画素 Pu…画素ユニット E…表示領域 S…表示画面
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22
図23
図24
図25
図26
図27
図28
図29
図30