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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-07
(45)【発行日】2024-11-15
(54)【発明の名称】ウエーハの切削方法
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/301 20060101AFI20241108BHJP
   B24B 27/06 20060101ALI20241108BHJP
   B24B 49/12 20060101ALI20241108BHJP
   B24B 55/06 20060101ALI20241108BHJP
【FI】
H01L21/78 F
B24B27/06 M
B24B49/12
B24B55/06
【請求項の数】 2
(21)【出願番号】P 2021005222
(22)【出願日】2021-01-15
(65)【公開番号】P2022109746
(43)【公開日】2022-07-28
【審査請求日】2023-11-22
(73)【特許権者】
【識別番号】000134051
【氏名又は名称】株式会社ディスコ
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】シュク コウセイ
【審査官】内田 正和
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-072993(JP,A)
【文献】特開2019-067862(JP,A)
【文献】特開2019-009175(JP,A)
【文献】特開2018-078145(JP,A)
【文献】特開平11-260763(JP,A)
【文献】特開2020-131319(JP,A)
【文献】特開2008-004806(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/301
B24B 27/06
B24B 49/12
B24B 55/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
加工装置により、複数のデバイスが形成されたデバイス領域と該デバイス領域を囲む外周余剰領域とを備えるウエーハを、該複数のデバイスを区画する分割予定ラインに沿って切削するウエーハの切削方法であって、
ウエーハを保持テーブルに保持する保持ステップと、
加工点に切削水を供給しながら、該保持テーブルに保持されたウエーハを該分割予定ラインに沿って切削ブレードで切削し、切削溝を形成する切削ステップと
備え、
該加工装置は、該保持テーブルと隣接して設置され、ダミーウエーハを保持する第2の保持テーブルを有し、
該ウエーハの切削方法は、
該ダミーウエーハに該切削ブレードで第2の切削溝を形成し、該切削ブレードの切削予定ラインであるヘアラインを有する撮像ユニットの該ヘアラインと、該第2の切削溝とのずれを測定し、該撮像ユニットと、該切削ブレードとの位置関係を補正するヘアライン合わせステップをさらに有し、
該ヘアライン合わせステップの実施中は、該保持テーブルに保持された該ウエーハに洗浄水を供給し、該ウエーハの表面を洗浄する洗浄ステップをさらに実施することを特徴とするウエーハの切削方法。
【請求項2】
該デバイスの表面の一部を含む領域にエアを噴射して表面に付着する切削水を除去した後、該エアが噴射された該領域を撮像して少なくとも該切削溝の位置を確認するカーフチェックステップを備え、
洗浄ステップの実施後に、該カーフチェックステップを実施することを特徴とする請求項1に記載のウエーハの切削方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ウエーハの切削方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ウエーハを切削する切削方法において、切削溝の位置や品質を確認するために、切削中にカーフチェックと呼ばれる動作を行うことが知られている。カーフチェックは、切削溝を撮像して、チッピングを測定する、切削溝の幅を測定する、顕微鏡が認識する加工位置と実際に切削溝を形成した位置のずれ(カット位置ずれ)を測定し補正するヘアライン合わせ、などである(例えば、特許文献1、2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2001-298000号公報
【文献】特開2008-258496号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
カーフチェックを実施する際には、撮像するために撮像領域から水滴を除去する必要があり、撮像ユニットの下面に設置されたノズルからエアを噴射して水滴を除去してから撮像している。しかし、切削屑が付着した状態で乾かしてしまうと、その後洗浄しても除去されないという問題があった。
【0005】
本発明は、かかる問題点に鑑みてなされたものであり、その目的は、カーフチェックの際の乾燥に伴う切削屑の付着を低減できるウエーハの切削方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明のウエーハの切削方法は、加工装置により、複数のデバイスが形成されたデバイス領域と該デバイス領域を囲む外周余剰領域とを備えるウエーハを、該複数のデバイスを区画する分割予定ラインに沿って切削するウエーハの切削方法であって、ウエーハを保持テーブルに保持する保持ステップと、加工点に切削水を供給しながら、該保持テーブルに保持されたウエーハを該分割予定ラインに沿って切削ブレードで切削し、切削溝を形成する切削ステップと、を備え、該加工装置は、該保持テーブルと隣接して設置され、ダミーウエーハを保持する第2の保持テーブルを有し、該ウエーハの切削方法は、該ダミーウエーハに該切削ブレードで第2の切削溝を形成し、該切削ブレードの切削予定ラインであるヘアラインを有する撮像ユニットの該ヘアラインと、該第2の切削溝とのずれを測定し、該撮像ユニットと、該切削ブレードとの位置関係を補正するヘアライン合わせステップをさらに有し、該ヘアライン合わせステップの実施中は、該保持テーブルに保持された該ウエーハに洗浄水を供給し、該ウエーハの表面を洗浄する洗浄ステップをさらに実施することを特徴とする。
【0007】
該デバイスの表面の一部を含む領域にエアを噴射して表面に付着する切削水を除去した後、該エアが噴射された該領域を撮像して少なくとも該切削溝の位置を確認するカーフチェックステップを備え、洗浄ステップの実施後に、該カーフチェックステップを実施してもよい。
【発明の効果】
【0009】
本発明は、カーフチェックの際の乾燥に伴う切削屑の付着を低減できる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1図1は、実施形態1に係るウエーハの切削方法を実施する加工装置の構成例を示す斜視図である。
図2図2は、図1の加工装置の加工ユニットを示す斜視図である。
図3図3は、図1の加工装置の撮像ユニット及びエア噴射ユニットを示す断面図である。
図4図4は、実施形態1に係るウエーハの切削方法の処理手順の一例を示すフローチャートである。
図5図5は、実施形態1に係るウエーハの切削方法のチェック領域を説明する斜視図である。
図6図6は、実施形態2に係るウエーハの切削方法を実施する加工装置の要部を示す上面図である。
図7図7は、実施形態2に係るウエーハの切削方法の処理手順の一例を示すフローチャートである。
図8図8は、図7のヘアライン合わせステップを説明する図である。
図9図9は、実施形態3に係るウエーハの切削方法を実施するウエーハの要部を示す上面図である。
図10図10は、実施形態3に係るウエーハの切削方法の処理手順の一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明を実施するための形態(実施形態)につき、図面を参照しつつ詳細に説明する。以下の実施形態に記載した内容により本発明が限定されるものではない。また、以下に記載した構成要素には、当業者が容易に想定できるもの、実質的に同一のものが含まれる。さらに、以下に記載した構成は適宜組み合わせることが可能である。また、本発明の要旨を逸脱しない範囲で構成の種々の省略、置換又は変更を行うことができる。
【0012】
〔実施形態1〕
本発明の実施形態1に係るウエーハの切削方法を図面に基づいて説明する。図1は、実施形態1に係るウエーハの切削方法を実施する加工装置1の構成例を示す斜視図である。図2は、図1の加工装置1の加工ユニット20を示す斜視図である。図3は、図1の加工装置1の撮像ユニット30及びエア噴射ユニット40を示す断面図である。加工装置1は、図1に示すように、保持テーブル10と、第2の保持テーブル15と、加工ユニット20と、撮像ユニット30と、エア噴射ユニット40と、X軸移動ユニット51と、Y軸移動ユニット52と、Z軸移動ユニット53と、制御ユニット60と、洗浄水供給ユニット70と、を備える。
【0013】
実施形態1に係るウエーハの切削方法における加工対象、すなわち加工装置1が加工する加工対象であるウエーハ100は、実施形態1では、例えば、シリコン、サファイア、シリコンカーバイド(SiC)、ガリウムヒ素、ガラスなどを母材とする円板状の半導体ウエーハや光デバイスウエーハなどである。ウエーハ100は、図1に示すように、平坦な表面101に、デバイス領域107と、外周余剰領域108とを備えている。デバイス領域107は、複数の分割予定ライン102によって格子状に区画された領域に複数のチップサイズのデバイス103が形成された領域である。外周余剰領域108は、デバイス領域107の全周にわたってデバイス領域107を囲繞しているとともに、デバイス103が形成されていない領域である。ウエーハ100は、実施形態1では、表面101の裏側の裏面104に粘着テープ105が貼着され、粘着テープ105の外縁部に環状フレーム106が装着されているが、本発明ではこれに限定されない。
【0014】
保持テーブル10は、凹部が形成された円盤状の枠体と、凹部内に嵌め込まれた円盤形状の吸着部と、を備える。保持テーブル10の吸着部は、多数のポーラス孔を備えたポーラスセラミック等から形成され、図示しない真空吸引経路を介して図示しない真空吸引源と接続されている。保持テーブル10の吸着部の上面は、ウエーハ100が載置されて、載置されたウエーハ100を吸引保持する保持面11である。保持面11は、実施形態1では、ウエーハ100が表面101を上方に向けて載置され、載置されたウエーハ100を裏面104側から粘着テープ105を介して吸引保持する。保持面11と保持テーブル10の枠体の上面とは、同一平面上に配置されており、水平面に平行なXY平面に沿って形成される。保持テーブル10は、図1に示すように、X軸移動ユニット51により、水平方向と平行なX軸方向に沿って移動自在に設けられる。保持テーブル10は、不図示の回転駆動源により鉛直方向に平行でかつXY平面に直交するZ軸回りに回転自在に設けられている。
【0015】
加工ユニット20は、図2に示すように、切削ブレード21と、スピンドル22と、スピンドルハウジング23と、マウント24と、ブレードカバー25と、切削水供給部26と、切削水供給源27とを備える。加工ユニット20は、図1に示すように、Y軸移動ユニット52により、水平方向に平行でかつX軸方向に直交するY軸方向に沿って移動自在に設けられ、Z軸移動ユニット53により、Z軸方向に沿って移動自在に設けられる。
【0016】
切削ブレード21は、マウント24を介してスピンドル22の先端に固定され、スピンドル22の回転動作に伴い、Y軸方向と平行な軸心周りに回転する。スピンドル22は、スピンドルハウジング23から先端を外部に露出させた状態で、スピンドルハウジング23にY軸方向と平行な軸心回りに回転可能に支持されて、スピンドルハウジング23内に収容されている。ブレードカバー25は、スピンドルハウジング23の前方側に装着されており、切削ブレード21及びスピンドル22の前方側の少なくとも一部を覆う。ブレードカバー25は、内部に複数の水路が形成されている。
【0017】
切削水供給部26は、ブレードカバー25の内部の水路の下端側に連通して設けられている。切削水供給源27は、ブレードカバー25の内部の水路の上端側に連通して設けられている。切削水供給部26は、ブレードカバー25の内部の水路を通じて切削水供給源27より供給された切削水29(図3参照)を加工点に供給する。ここで、加工点は、ウエーハ100において回転中の切削ブレード21により切削加工されている領域のことを指し、回転中の切削ブレード21とウエーハ100とが接触している領域である。切削水29は、実施形態1では、例えば純水である。
【0018】
撮像ユニット30は、加工前のウエーハ100の分割予定ライン202を含む表面201、及び、加工後のウエーハ100に形成された切削溝110を撮像する撮像素子を備えている。撮像素子は、例えば、CCD(Charge-Coupled Device)撮像素子又はCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)撮像素子である。撮像ユニット30は、実施形態1では、加工ユニット20と一体的に移動するように、スピンドルハウジング23の下方に固定されて設けられている。
【0019】
撮像ユニット30は、保持テーブル10に保持された加工前のウエーハ100を撮像して、ウエーハ100と加工ユニット20の切削ブレード21との位置合わせを行うアライメントを遂行するための画像を得、得た画像を制御ユニット60に出力する。また、撮像ユニット30は、保持テーブル10に保持された加工中または加工後のウエーハ100を撮像して、切削溝110の品質を自動的に確認する所謂カーフチェックを遂行するための画像を得、得た画像を制御ユニット60に出力する。
【0020】
撮像ユニット30は、図3に示すように、対物レンズ31と、シャッタ32とを備える。対物レンズ31は、保持テーブル10に保持されたウエーハ100の表面101側と対向し、ウエーハ100の表面101側からの光を集光する。シャッタ32は、対物レンズ31と保持テーブル10に保持されたウエーハ100の表面101との間を選択的に開閉する。シャッタ32は、加工ユニット20による切削水29を供給しながらの切削加工中や、エア噴射ユニット40によるエア噴射中には、対物レンズ31と保持テーブル10に保持されたウエーハ100の表面101との間を閉鎖して切削水29が対物レンズ31側に飛散することを防止し、撮像素子による撮像中には、対物レンズ31と保持テーブル10に保持されたウエーハ100の表面101との間を開放する。
【0021】
エア噴射ユニット40は、図3に示すように、エア噴射ノズル41と、エア供給源42と、ノズル調整部43とを備える。エア噴射ユニット40は、撮像ユニット30の側方に固定されて設けられており、撮像ユニット30と同様に加工ユニット20と一体的に移動する。
【0022】
エア噴射ノズル41は、先端側が保持テーブル10に保持されたウエーハ100の表面101側の撮像領域120に向けて設けられている。ここで、撮像領域120は、保持テーブル10に保持されたウエーハ100の表面101側において、撮像ユニット30の撮像素子によって撮像される領域である。エア供給源42は、エア噴射ノズル41の基端側に連通して設けられている。ノズル調整部43は、エア噴射ノズル41の側方に設けられ、エア噴射ノズル41をZ軸回りに回転させることにより、エア噴射ノズル41によるエア49の噴射方向を調整する。エア噴射ユニット40は、エア噴射ノズル41により、エア供給源42より供給されたエア49を撮像領域120に向けて噴射することにより、撮像領域120に付着する切削水29を除去する。エア供給源42より供給されてエア噴射ノズル41より噴射されるエア49は、実施形態1では、例えば圧縮空気である。
【0023】
制御ユニット60は、加工装置1の各構成要素の動作を制御して、ウエーハ100の切削加工処理を加工装置1に実施させる。制御ユニット60は、実施形態1では、コンピュータシステムを含む。制御ユニット60が含むコンピュータシステムは、CPU(Central Processing Unit)のようなマイクロプロセッサを有する演算処理装置と、ROM(Read Only Memory)又はRAM(Random Access Memory)のようなメモリを有する記憶装置と、入出力インターフェース装置とを有する。制御ユニット60の演算処理装置は、制御ユニット60の記憶装置に記憶されているコンピュータプログラムに従って演算処理を実施して、加工装置1を制御するための制御信号を、制御ユニット60の入出力インターフェース装置を介して加工装置1の各構成要素に出力する。
【0024】
制御ユニット60は、切削溝110を撮像した画像に基づいて、カーフチェックを実施する。ここで、カーフチェックは、具体的には、切削溝110を撮像した画像に基づいて、切削溝110について、カット位置ずれ(オフセンター)、カーフ幅、カーフセンターからのチッピング幅、カーフ端からのMaxチッピング幅等の各チェック項目のいずれかを検出し、その検出値の合否判定をすることにより、切削溝110の品質を確認するものである。なお、カット位置ずれ(オフセンター)は、切削溝110の幅方向の中央の位置を表す中央線であるカーフセンターの、分割予定ライン102の中央線に対する幅方向のずれの値である。カーフ幅は、それぞれ、カーフチェックで確認する領域内における切削溝110の両端の間の距離(間隔)である。カーフセンターからのチッピング幅は、カーフチェックで確認する領域内において幅方向で最大のチッピングの端部と切削溝110の幅方向中央との間の距離である。カーフ端からのMaxチッピング幅は、カーフチェックで確認する領域内において幅方向で最大のチッピングの端部と切削溝110の端部との間の距離である。合否判定は、検出値が、チェック項目毎に予め設定された許容値の範囲内である場合には合格、許容値の範囲外である場合には不合格(結果エラー)とするものである。
【0025】
加工装置1は、図1に示すように、さらに、カセット載置台81と、洗浄ユニット82と、搬送ユニット83とを備える。カセット載置台81は、複数のウエーハ100を収容するための収容器であるカセット85を載置する載置台であり、載置されたカセット85をZ軸方向に昇降させる。洗浄ユニット82は、切削加工後のウエーハ100を洗浄し、ウエーハ100に付着した切削屑等の異物を除去する。搬送ユニット83は、保持テーブル10と、洗浄ユニット82と、カセット85とのそれぞれの間で、ウエーハ100を搬送する。
【0026】
加工装置1は、さらに、不図示の表示ユニットを備えていてもよい。表示ユニットは、加工装置1の切削加工処理の条件の設定の画面や、アライメントを遂行するための画像、カーフチェックを遂行するための画像、カーフチェックによる切削溝110の検査結果等を表示する。表示ユニットは、液晶表示装置等により構成される。表示ユニットは、オペレータが加工装置1の切削条件に関する情報等を入力する際に使用する入力ユニットが設けられている。表示ユニットに設けられた入力ユニットは、表示ユニットに設けられたタッチパネルと、キーボード等とのうち少なくとも一つにより構成される。
【0027】
なお、第2の保持テーブル15及び洗浄水供給ユニット70は、図1に図示されているが、以下に説明する実施形態1に係るウエーハの切削方法の処理には関与しないので、後述する実施形態2においてその機能及び動作を説明する。
【0028】
次に、本明細書は、実施形態1に係るウエーハの切削方法の処理を、図面を用いて説明する。図4は、実施形態1に係るウエーハの切削方法の処理手順の一例を示すフローチャートである。図5は、実施形態1に係るウエーハの切削方法のチェック領域109を説明する斜視図である。実施形態1に係るウエーハの切削方法は、図4に示すように、保持ステップ1001と、切削ステップ1002と、カーフチェックステップ1003とを備える。
【0029】
保持ステップ1001は、ウエーハ100を保持テーブル10に保持するステップである。保持ステップ1001では、制御ユニット60は、保持テーブル10により、表面101を上方に向けて保持面11上に載置されたウエーハ100を、裏面104側から粘着テープ105を介して、保持面11で吸引保持する。保持ステップ1001の実施後に、制御ユニット60は、撮像ユニット30により撮像した画像を用いてアライメントを実施して、保持テーブル10の保持面11上のウエーハ100と加工ユニット20の切削ブレード21との位置合わせを行う。
【0030】
切削ステップ1002は、加工点に切削水29を供給しながら、保持テーブル10に保持されたウエーハ100を分割予定ライン102に沿って切削ブレード21で切削し、切削溝110を形成するステップである。切削ステップ1002では、制御ユニット60が、加工ユニット20を制御して、切削水供給部26により加工点に切削水29を供給し、なおかつ、スピンドル22により切削ブレード21を回転させながら、X軸移動ユニット51、Y軸移動ユニット52及びZ軸移動ユニット53により、回転中の切削ブレード21を、保持テーブル10上のウエーハ100に切り込ませて、ウエーハ100に対して相対的に分割予定ライン102に沿って移動させることにより、回転中の切削ブレード21でウエーハ100を分割予定ライン102に沿って切削加工して、分割予定ライン102に沿って切削溝110を形成する。
【0031】
カーフチェックステップ1003は、外周余剰領域108の近傍のデバイス領域107にエア49を噴射して表面101に付着する切削水29を除去した後、エア49が噴射されたデバイス領域107を撮像して少なくとも切削溝110の位置を確認するステップである。カーフチェックステップ1003は、切削ステップ1002により少なくとも1本の切削溝110が形成された後に実施する。カーフチェックステップ1003は、実施形態1では、切削ステップ1002により一部の分割予定ライン102に沿って切削溝110が形成された後に実施してもよく、切削ステップ1002により全部の分割予定ライン102に沿って切削溝110が形成された後に実施してもよい。
【0032】
カーフチェックステップ1003で切削水29の除去及び撮像をする対象となる、外周余剰領域108の近傍のデバイス領域107内の領域は、外周余剰領域108と隣接するデバイス103の表面101の一部を含み、撮像領域120と同等の面積の領域であり、実施形態1では、例えば、図5に示すように、切削溝110を跨いで設定されたチェック領域109である。そこで、カーフチェックステップ1003では、まず、制御ユニット60が、Y軸移動ユニット52及びZ軸移動ユニット53により、撮像ユニット30及びエア噴射ユニット40を移動させることにより、撮像ユニット30の撮像領域120をチェック領域109に移動させる。
【0033】
カーフチェックステップ1003では、撮像ユニット30の撮像領域120をチェック領域109に移動させた後、図4に示すように、乾燥ステップ1011と、撮像ステップ1012と、検査ステップ1013とを順次実施する。乾燥ステップ1011では、制御ユニット60は、エア噴射ユニット40を制御して、エア噴射ノズル41により、エア供給源42より供給されたエア49をチェック領域109に向けて噴射することにより、チェック領域109に付着する切削水29を除去する。撮像ステップ1012では、制御ユニット60が、撮像ユニット30により、乾燥ステップ1011でエア49を噴射して切削水29が除去されたチェック領域109を撮像する。検査ステップ1013では、制御ユニット60が、撮像ステップ1012で撮像したチェック領域109の画像に基づいて、チェック領域109内の分割予定ライン102に沿って形成された切削溝110についてカーフチェックを実施して、切削溝110の位置を確認するとともに、切削溝110の切削溝110の品質を確認する。
【0034】
実施形態1に係るウエーハの切削方法では、制御ユニット60は、検査ステップ1013の検査結果に基づいて、加工装置1による切削加工処理の継続が可能であるか否かを判定する(図4のステップ1004)。ステップ1004では、制御ユニット60は、検査ステップ1013の検査結果の全てが合格である場合には、加工装置1による切削加工処理の継続が可能であると判定し(ステップ1004でYes)、処理を図4のステップ1005に進める。ステップ1004では、制御ユニット60は、検査ステップ1013の検査結果に1つでも不合格がある場合には、加工装置1による切削加工処理の継続が可能であると判定し(ステップ1004でNo)、加工装置1による切削加工処理を中止する。
【0035】
実施形態1に係るウエーハの切削方法では、制御ユニット60は、ステップ1004でYesの場合、切削加工処理をする予定の全ての分割予定ライン102に沿って切削加工処理が終了しているか否かを判定する(図4のステップ1005)。ステップ1005では、制御ユニット60は、予定の全ての切削加工処理が終了していない場合には(図4のステップ1005でNo)、加工装置1によるウエーハ100の切削加工を続きから再開して、再び切削ステップ1002とカーフチェックステップ1003との各処理を実施する。ステップ1005では、制御ユニット60は、予定の全ての切削加工処理が終了している場合には(図4のステップ1005でYes)、処理を終了する。
【0036】
以上のような構成を有する実施形態1に係るウエーハの切削方法は、カーフチェックステップ1003において、エア49の噴射による切削水29の除去及び撮像を、外周余剰領域108の近傍のデバイス領域107内の領域で実施するので、ウエーハ100の中心で実施するよりも当該領域をエア49の噴射により乾燥させる際に乾燥してしまうデバイス領域107の面積を狭く留めることができる。これにより、実施形態1に係るウエーハの切削方法は、カーフチェックの際の乾燥に伴う切削屑の付着を低減できるという作用効果を奏する。
【0037】
〔実施形態2〕
本発明の実施形態2に係るウエーハの切削方法を図面に基づいて説明する。図6は、実施形態2に係るウエーハの切削方法を実施する加工装置1の要部を示す上面図である。図7は、実施形態2に係るウエーハの切削方法の処理手順の一例を示すフローチャートである。図8は、図7のヘアライン合わせステップ1021を説明する図である。図6図7及び図8は、実施形態1と同一部分に同一符号を付して説明を省略する。
【0038】
第2の保持テーブル15は、図6に示すように、保持テーブル10のX軸方向に沿った移動経路から外れて、加工ユニット20のスピンドル22のY軸方向に沿った移動経路の直下に設けられている。第2の保持テーブル15は、保持テーブル10と同様の構成を有し、保持面16の面積が保持テーブル10の保持面11よりも小さい。第2の保持テーブル15の保持面16は、図6に示すように、ダミーウエーハ150が載置されて、載置されたダミーウエーハ150を吸引保持する。
【0039】
ダミーウエーハ150は、ウエーハ100と同質の材料により、厚み方向に直交する面積がウエーハ100よりも小さい板状に形成され、分割予定ライン102やデバイス103が形成されていないものである。ダミーウエーハ150は、例えば、シリコンの小片である。ダミーウエーハ150は、切削ブレード21により切削されることで、第2の切削溝160(図8参照)が形成される。
【0040】
加工装置1は、Y軸移動ユニット52により加工ユニット20をY軸方向に沿って移動させることで、切削ブレード21を第2の保持テーブル15の保持面16上のダミーウエーハ150の直上に移動させることができ、さらに、切削ブレード21を回転させながら、Z軸移動ユニット53により加工ユニット20をZ軸方向に沿って下方に移動させることにより、切削ブレード21で第2の保持テーブル15上のダミーウエーハ150を切削して第2の切削溝160を形成することができる。
【0041】
加工装置1では、撮像ユニット30及びエア噴射ユニット40は、加工ユニット20と一体的に移動するようにスピンドルハウジング23の下方に固定されて設けられている。このため、加工装置1は、Y軸移動ユニット52及びZ軸移動ユニット53により、撮像ユニット30により撮像し、なおかつ、エア噴射ユニット40によりエア49を噴射する撮像領域120を、ダミーウエーハ150に形成された第2の切削溝160を含む領域に移動させることができる。
【0042】
または、第2の保持テーブル15がX軸方向に移動する駆動機構をもっており、撮像ユニット30及びエア噴射ユニット40は、加工ユニット20とX軸方向に隣接して設置されていても良い。または、第2の保持テーブル15が保持テーブル10に固定され、保持テーブル10をX軸方向に駆動させる事で、ダミーウエーハ150に第2の切削溝160を形成し、撮像ユニット30及びエア噴射ユニット40は、加工ユニット20とX方向に隣接して設置されていても良い。
【0043】
洗浄水供給ユニット70は、図6に示すように、保持テーブル10のX軸方向に沿った移動経路の上方を跨ぐようにY軸方向に沿って設けられている。洗浄水供給ユニット70は、洗浄水供給部71と、洗浄水供給源72とを備える。洗浄水供給源72は、洗浄水供給部71に連通して設けられている。洗浄水供給ユニット70は、Y軸方向に延在する洗浄水供給部71の下方を移動中の保持テーブル10に保持されたウエーハ100に、洗浄水供給源72より供給された洗浄水を洗浄水供給部71により供給して、ウエーハ100の表面101を洗浄する。洗浄水供給源72より供給されて洗浄水供給部71により供給される洗浄水は、実施形態1では、例えば純水である。
【0044】
次に、本明細書は、実施形態2に係るウエーハの切削方法の処理を、図面を用いて説明する。実施形態2に係るウエーハの切削方法は、図7に示すように、実施形態1において、ヘアライン合わせステップ1021をさらに有し、ヘアライン合わせステップ1021の実施中は洗浄ステップ1022をさらに実施し、洗浄ステップ1022の実施後にカーフチェックステップ1003を実施するように変更したものである。
【0045】
ヘアライン合わせステップ1021は、ダミーウエーハ150に切削ブレード21で第2の切削溝160を形成し、撮像画面200(図8参照)内に切削ブレード21の切削予定ラインであるヘアライン210(図8参照)を有する撮像ユニット30のヘアライン210と、第2の切削溝160とのずれを測定し、撮像ユニット30と、切削ブレード21との位置関係を補正するステップである。
【0046】
ヘアライン合わせステップ1021では、まず、制御ユニット60は、第2の保持テーブル15上のダミーウエーハ150に対する所定の位置(例えば、ダミーウエーハ150の中央)に合わせた切削ブレード21を回転させながら、切削ブレード21をダミーウエーハ150に対して相対的に切り込み送り方向に沿って移動させ、切削ブレード21でダミーウエーハ150を所定量だけ切り込んでダミーウエーハ150を切削加工して第2の切削溝160を形成し、その後切削ブレード21を上昇させてダミーウエーハ150から退避させるという、いわゆるチョッパーカットを実施する。ヘアライン合わせステップ1021では、次に、制御ユニット60は、予め設定された撮像ユニット30と切削ブレード21との位置関係に基づいて、切削ブレード21が第2の切削溝160を形成した位置に対応する位置に撮像ユニット30を移動させて、移動させた撮像ユニット30によりダミーウエーハ150を撮像して撮像画面200を得る。
【0047】
ヘアライン合わせステップ1021では、次に、図8に示すように、撮像画面200内に予め設定された切削ブレード21の切削予定ラインであるヘアライン210と、撮像画面200内に撮像された第2の切削溝160のカーフセンターとの間のずれであるヘアラインずれ170を測定する。ヘアライン合わせステップ1021では、測定したヘアラインずれ170に基づいて、ヘアラインずれ170を解消する方向に、撮像ユニット30と、切削ブレード21との位置関係を補正する。第2の保持テーブル15がX軸方向に移動する場合、ヘアライン合わせステップ1021は、ダミーウエーハ150を完全に切断しない深さまで切削ブレード21を降下させた状態で、第2の保持テーブル15をX軸方向に移動させ、ダミーウエーハ150の一端から他端まで第2の切削溝160を形成しても良い。
【0048】
洗浄ステップ1022は、保持テーブル10に保持されたウエーハ100に洗浄水を供給し、ウエーハ100の表面101を洗浄するステップである。洗浄ステップ1022では、制御ユニット60は、X軸移動ユニット51により保持テーブル10を移動させてY軸方向に延在する洗浄水供給部71の下方をくぐらせることにより、保持テーブル10に保持されたウエーハ100に洗浄水を供給して、ウエーハ100の表面101を洗浄する。または、洗浄水供給部71がX軸方向に移動し、ウエーハ100の表面101を洗浄しても良い。
【0049】
切削加工時に発生する熱により切削ブレード21が装着されるスピンドル22が膨張したり、切削負荷により切削ブレード21が倒れたりすると、撮像ユニット30が認識する切削予定ラインであるヘアライン210と、切削予定ラインに基づき実際に切削ブレード21が切削する位置との間にずれ(ヘアラインずれ170)が発生するので、実施形態2に係るウエーハの切削方法は、実施形態1に加えて、このヘアラインずれ170を補正するためのヘアライン合わせをさらに実施する。実施形態2に係るウエーハの切削方法は、第2の保持テーブル15に保持されたダミーウエーハ150上に第2の切削溝160を形成することによりヘアライン合わせを実施し、ヘアライン合わせを実施中に洗浄水供給ユニット70により保持テーブル10に保持されたウエーハ100に洗浄水を供給して洗浄する。このため、実施形態2に係るウエーハの切削方法は、実施形態1の作用効果に加えて、ヘアライン合わせを実施中にウエーハ100上が乾燥してしまうことに伴う切削屑の付着を低減できるという作用効果を奏する。また、実施形態2に係るウエーハの切削方法は、ヘアライン合わせを実施中にウエーハ100を洗浄することにより、切削屑を除去することができるので、より切削屑のウエーハ100への付着を防止することができる。また、実施形態2に係るウエーハの切削方法は、さらに、洗浄ステップ1022の後にカーフチェックステップ1003を実施する場合も、切削溝110またはターゲット180(実施形態3の図9参照)の撮像時にウエーハ100の表面101を乾燥させても切削屑が洗浄ステップ1022によって除去されているので異物が付着しにくくなる。
【0050】
〔実施形態3〕
本発明の実施形態3に係るウエーハの切削方法を図面に基づいて説明する。図9は、実施形態3に係るウエーハの切削方法を実施するウエーハ100の要部を示す上面図である。図10は、実施形態3に係るウエーハの切削方法の処理手順の一例を示すフローチャートである。図9及び図10は、実施形態1及び実施形態2と同一部分に同一符号を付して説明を省略する。
【0051】
ウエーハ100の各デバイス103は、実施形態3では、図9に示すように、ターゲット180が形成されている。ターゲット180は、特徴的な形状を有し、撮像ユニット30で撮像した画像で検出することができる平面形及び色のキーパターンとなるものである。ターゲット180は、当該ターゲット180が形成されたデバイス103を囲む各分割予定ライン102からそれぞれ所定の距離だけ離れた位置に形成されており、分割予定ライン102を検出する目印となる。ターゲット180は、図9に示す例では、X軸方向に沿った分割予定ライン102から+Y方向に距離181だけ離れた位置に、なおかつ、Y軸方向に沿った分割予定ライン102から+X方向に距離182だけ離れた位置に、形成されている。ウエーハ100に形成されるデバイス103は、実施形態3では、例えば、IC(Integrated Circuit)又はLSI(Large Scale Integration)等の集積回路、CCD、又はCMOS等のイメージセンサである。
【0052】
次に、本明細書は、実施形態3に係るウエーハの切削方法の処理を、図面を用いて説明する。実施形態3に係るウエーハの切削方法は、図10に示すように、実施形態1において、ターゲット登録ステップ1031と、距離登録ステップ1032とをさらに備え、カーフチェックステップ1003をターゲットチェックステップ1033に変更したものである。
【0053】
ターゲット登録ステップ1031は、デバイス103の任意のパターンを、分割予定ライン102を検出するためのターゲット180として登録するステップである。ターゲット登録ステップ1031では、制御ユニット60は、撮像ユニット30の撮像領域120をターゲット180が含まれる領域に合わせて撮像してターゲット180を含む画像を取得し、この画像におけるターゲット180の平面形及び色を、制御ユニット60の記憶装置に登録する。
【0054】
距離登録ステップ1032は、ターゲット登録ステップ1031で登録したターゲット180から、当該ターゲット180が形成されたデバイス103を囲む分割予定ライン102までの距離181,182を測定し登録するステップである。距離登録ステップ1032では、制御ユニット60は、まず、撮像ユニット30により、ターゲット登録ステップ1031で登録したターゲット180が形成されたデバイス103を囲む分割予定ライン102を撮像してこの分割予定ライン102を含む画像を取得する。距離登録ステップ1032では、制御ユニット60は、次に、ターゲット登録ステップ1031で撮像したターゲット180を含む画像内のターゲット180の位置と、分割予定ライン102を含む画像内の分割予定ライン102の中央線の位置と、ターゲット180を含む画像を撮像した時と分割予定ライン102を含む画像を撮像した時との撮像ユニット30の位置の差分とに基づいて、ターゲット登録ステップ1031で登録したターゲット180から、当該ターゲット180が形成されたデバイス103を囲む分割予定ライン102までの距離181,182を測定する。距離登録ステップ1032では、制御ユニット60は、この測定した距離181,182を、制御ユニット60の記憶装置に登録する。
【0055】
なお、ターゲット登録ステップ1031及び距離登録ステップ1032は、同じ種類のウエーハ100を連続加工する場合、1枚目のウエーハ100の保持ステップ1001の後に実施されるため、2枚目以降のウエーハ100の切削加工については、図10に示すように、保持ステップ1001よりも前に実施されることとなる。
【0056】
ターゲットチェックステップ1033は、切削溝110から距離181を離れた位置にエア49を噴射して表面101に付着する切削水29を除去した後、エア49が噴射された位置を撮像し、撮像された画像にターゲット180が存在しない場合、切削する位置がずれていると検出するステップである。ターゲットチェックステップ1033は、カーフチェックステップ1003と同様に、切削ステップ1002により少なくとも1本の切削溝110が形成された後に実施する。
【0057】
ターゲットチェックステップ1033で切削水29の除去及び撮像をする対象となるターゲットチェック領域は、具体的には、X軸方向に平行な分割予定ライン102に沿って切削溝110が形成された後、なおかつ、Y軸方向に平行な分割予定ライン102に沿って切削溝110が形成される前では、X軸方向に沿って形成された切削溝110から+Y方向に距離181を離れた位置、なおかつ、Y軸方向に沿った分割予定ライン102から+X方向に距離182を離れた位置を含む領域である。ターゲットチェック領域は、X軸方向及びY軸方向に平行な双方の分割予定ライン102に沿って切削溝110が形成された後では、X軸方向に沿って形成された切削溝110から+Y方向に距離181を離れた位置、なおかつ、Y軸方向に沿って形成された切削溝110から+X方向に距離182を離れた位置を含む領域である。なお、実施形態3では、距離181,182が撮像ユニット30の撮像領域120の各辺よりも十分に長いので、ターゲットチェック領域は、分割予定ライン102や切削溝110を跨がない。そこで、ターゲットチェックステップ1033では、まず、制御ユニット60が、距離登録ステップ1032で登録した距離181,182を参照して、Y軸移動ユニット52及びZ軸移動ユニット53により、撮像ユニット30及びエア噴射ユニット40を移動させることにより、撮像ユニット30の撮像領域120をターゲットチェック領域に移動させる。
【0058】
ターゲットチェックステップ1033では、撮像ユニット30の撮像領域120をターゲットチェック領域に移動させた後、図4に示すように、乾燥ステップ1041と、撮像ステップ1042と、検査ステップ1043とを順次実施する。乾燥ステップ1041及び撮像ステップ1042は、それぞれ、実施形態1の乾燥ステップ1011及び撮像ステップ1012において、エア噴射ユニット40によりエア49を噴射して切削水29を除去する領域及び撮像ユニット30により撮像する領域を、いずれもターゲットチェック領域に変更したものである。検査ステップ1043では、制御ユニット60が、撮像ステップ1042で撮像したターゲットチェック領域の画像にターゲット180が存在するか否かを判定し、ターゲット180が存在すると判定した場合、切削する位置がずれていないと判定し、ターゲット180が存在しないと判定した場合、切削する位置がずれていると判定し、これにより、切削溝110の位置を確認する。検査ステップ1043では、制御ユニット60は、ターゲットチェック領域の画像にターゲット180が存在するか否かの判定を、ターゲットチェック領域の画像と、ターゲット登録ステップ1031で登録したターゲット180の平面形及び色とをパターンマッチングをすることにより実施する。
【0059】
実施形態3のステップ1004では、制御ユニット60は、ターゲットチェックステップ1033の判定結果に基づいて、加工装置1による切削加工処理の継続が可能であるか否かを判定する。ステップ1004では、制御ユニット60は、ターゲットチェックステップ1033で切削する位置がずれていないと判定した場合には、加工装置1による切削加工処理の継続が可能であると判定し(ステップ1004でYes)、処理を図4のステップ1005に進める。ステップ1004では、制御ユニット60は、ターゲットチェックステップ1033で切削する位置がずれていると判定した場合には、加工装置1による切削加工処理の継続が可能であると判定し(ステップ1004でNo)、加工装置1による切削加工処理を中止する。
【0060】
以上のような構成を有する実施形態3に係るウエーハの切削方法は、実施形態1において、さらに、各デバイス103に形成されたターゲット180及びターゲット180から分割予定ライン102までの距離181,182を登録し、カーフチェックの代わりに切削溝110から距離181を離れた位置にターゲット180が存在するか否かを確認するように変更したものである。このため、実施形態3に係るウエーハの切削方法は、エア49の噴射による切削水29の除去及び撮像を、ターゲット180を含むターゲットチェック領域で実施するので、切削溝110において切削水29の除去及び撮像をする必要が無く、また、ターゲット180が存在するか否かの確認に要する時間はカーフチェックに要する時間よりも短く済むので、乾燥に伴う切削屑の付着をさらに低減できるという作用効果を奏する。
【0061】
また、実施形態3に係るウエーハの切削方法は、ターゲット180の確認を行うため、反りのあるウエーハ100の反りが開放されてチップサイズのデバイス103が動く・加工予定位置の設定ミス等の原因で、加工予定ラインを切削したものの実際のウエーハ100上の分割予定ライン102の中心を加工できていない場合や、大幅に加工位置がずれデバイス領域107に切り込んでしまうというカーフチェックでは気付けない問題に気付くことができるという作用効果を奏する。
【0062】
また、実施形態3に係るウエーハの切削方法は、ウエーハ100に形成されるデバイス103が、チッピングが少なく、チッピングの検査を必要としないイメージセンサである場合、カーフチェックに要する時間を低減できることが特に有効である。
【0063】
なお、実施形態3に係るウエーハの切削方法は、実施形態2と同様に、このヘアラインずれ170を補正するためのヘアライン合わせをさらに実施してもよく、この場合、実施形態2と同様の作用効果をさらに奏するものとなる。
【0064】
なお、本発明は上記実施形態に限定されるものではない。即ち、本発明の骨子を逸脱しない範囲で種々変形して実施することができる。
【符号の説明】
【0065】
1 加工装置
10 保持テーブル
15 第2の保持テーブル
20 加工ユニット
21 切削ブレード
29 切削水
30 撮像ユニット
49 エア
100 ウエーハ
101 表面
102 分割予定ライン
107 デバイス領域
108 外周余剰領域
110 切削溝
180 ターゲット
181,182 距離
210 ヘアライン
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10