(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-07
(45)【発行日】2024-11-15
(54)【発明の名称】デブリ判定方法
(51)【国際特許分類】
H01L 21/66 20060101AFI20241108BHJP
G06T 7/00 20170101ALI20241108BHJP
H01L 21/02 20060101ALI20241108BHJP
B23K 26/00 20140101ALI20241108BHJP
B23K 26/16 20060101ALI20241108BHJP
【FI】
H01L21/66 J
G06T7/00 610B
H01L21/02 A
B23K26/00 B
B23K26/16
(21)【出願番号】P 2022097355
(22)【出願日】2022-06-16
【審査請求日】2023-06-27
(31)【優先権主張番号】P 2021115739
(32)【優先日】2021-07-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000190149
【氏名又は名称】信越半導体株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】390004581
【氏名又は名称】三益半導体工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100102532
【氏名又は名称】好宮 幹夫
(74)【代理人】
【識別番号】100194881
【氏名又は名称】小林 俊弘
(74)【代理人】
【識別番号】100215142
【氏名又は名称】大塚 徹
(72)【発明者】
【氏名】齊藤 智宏
(72)【発明者】
【氏名】舛田 竜也
【審査官】平野 崇
(56)【参考文献】
【文献】特開2007-150174(JP,A)
【文献】特開2008-085252(JP,A)
【文献】特開2001-101337(JP,A)
【文献】特開2000-286173(JP,A)
【文献】欧州特許出願公開第01073097(EP,A2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/66
G06T 7/00
H01L 21/02
B23K 26/00
B23K 26/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ウェーハ裏面にハードレーザーマークを形成した後、または、前記ハードレーザーマークの形成後に前記裏面を研磨した後に、前記裏面のハードレーザーマークの周辺に発生したデブリを外観検査装置によって得た画像を用いて判定する方法であって、
前記外観検査装置で得たグレースケール画像から基準輝度を算出する工程Aと、
前記グレースケール画像から前記ハードレーザーマークを含むハードレーザーマーク印字領域を抽出する工程Bと、
前記抽出したハードレーザーマーク印字領域から前記ハードレーザーマークのドット部分を除外する工程Cと、
前記ハードレーザーマークのドット部分を除外した前記ハードレーザーマーク印字領域から、前記基準輝度を基準にして前記デブリの領域を抽出する工程Dと、
前記抽出したデブリの領域に基づいて、前記ハードレーザーマーク印字領域における前記デブリの有無を判定する工程Eと、
を含むことを特徴とするデブリ判定方法。
【請求項2】
前記工程Aでは、
前記グレースケール画像内の前記ハードレーザーマークが刻印されていない部分の輝度の平均値を前記基準輝度として算出することを特徴とする請求項1に記載のデブリ判定方法。
【請求項3】
前記工程Bでは、
予め、前記グレースケール画像内において前記ハードレーザーマーク印字領域を囲うように表示される白色の特定枠を検出可能なピクセル輝度の閾値(特定枠)を設定しておき、
該閾値(特定枠)以上の領域を前記白色の特定枠と判定して検出し、
該検出した白色の特定枠に囲まれた領域を前記ハードレーザーマーク印字領域として抽出することを特徴とする請求項1に記載のデブリ判定方法。
【請求項4】
前記工程Bでは、
予め、前記グレースケール画像内において前記ハードレーザーマーク印字領域を囲うように表示される白色の特定枠を検出可能なピクセル輝度の閾値(特定枠)を設定しておき、
該閾値(特定枠)以上の領域を前記白色の特定枠と判定して検出し、
該検出した白色の特定枠に囲まれた領域を前記ハードレーザーマーク印字領域として抽出することを特徴とする請求項2に記載のデブリ判定方法。
【請求項5】
前記工程Cでは、
予め、前記ハードレーザーマークを構成するドット領域と該ドット領域のピクセル輝度との関係から、前記ドット領域のみを抽出できるピクセル輝度の閾値(ドット領域)を設定しておき、
該閾値(ドット領域)以下のピクセル輝度の領域を前記ドット領域と判定して抽出し、
該抽出したドット領域の外周1ピクセル分以上拡大した領域を前記ドット部分として除外することを特徴とする請求項1に記載のデブリ判定方法。
【請求項6】
前記工程Cでは、
予め、前記ハードレーザーマークを構成するドット領域と該ドット領域のピクセル輝度との関係から、前記ドット領域のみを抽出できるピクセル輝度の閾値(ドット領域)を設定しておき、
該閾値(ドット領域)以下のピクセル輝度の領域を前記ドット領域と判定して抽出し、
該抽出したドット領域の外周1ピクセル分以上拡大した領域を前記ドット部分として除外することを特徴とする請求項2に記載のデブリ判定方法。
【請求項7】
前記工程Cでは、
予め、前記ハードレーザーマークを構成するドット領域と該ドット領域のピクセル輝度との関係から、前記ドット領域のみを抽出できるピクセル輝度の閾値(ドット領域)を設定しておき、
該閾値(ドット領域)以下のピクセル輝度の領域を前記ドット領域と判定して抽出し、
該抽出したドット領域の外周1ピクセル分以上拡大した領域を前記ドット部分として除外することを特徴とする請求項3に記載のデブリ判定方法。
【請求項8】
前記工程Cでは、
予め、前記ハードレーザーマークを構成するドット領域と該ドット領域のピクセル輝度との関係から、前記ドット領域のみを抽出できるピクセル輝度の閾値(ドット領域)を設定しておき、
該閾値(ドット領域)以下のピクセル輝度の領域を前記ドット領域と判定して抽出し、
該抽出したドット領域の外周1ピクセル分以上拡大した領域を前記ドット部分として除外することを特徴とする請求項4に記載のデブリ判定方法。
【請求項9】
前記工程Dでは、
予め、前記基準輝度よりも高輝度のデブリと該高輝度のデブリのピクセル輝度との関係と、前記基準輝度よりも低輝度のデブリと該低輝度のデブリのピクセル輝度との関係を求めておき、かつ、前記基準輝度を基準にして前記高輝度のデブリを抽出することができるピクセル輝度の閾値(高輝度デブリ)と、前記低輝度のデブリを抽出することができるピクセル輝度の閾値(低輝度デブリ)を設定しておき、
前記閾値(高輝度デブリ)以上のピクセル輝度の領域と、前記閾値(低輝度デブリ)以下のピクセル輝度の領域とを、前記デブリの領域として判定して抽出することを特徴とする請求項1から請求項8のいずれか一項に記載のデブリ判定方法。
【請求項10】
前記工程Eでは、
予め、前記ハードレーザーマーク印字領域における前記デブリの領域の面積比率とデバイス製造工程におけるデブリ起因の品質不良との関係を求め、かつ、前記デブリ起因の品質不良が発生するデブリの面積比率の閾値(デブリ有り)を設定しておき、
前記抽出したデブリの領域のピクセル数から、前記ハードレーザーマーク印字領域における前記デブリの領域の面積比率を求め、
該デブリの領域の面積比率が、前記閾値(デブリ有り)以上の場合は、デブリ有りと判定することを特徴とする請求項1から請求項8のいずれか一項に記載のデブリ判定方法。
【請求項11】
前記工程Eでは、
予め、前記ハードレーザーマーク印字領域における前記デブリの領域の面積比率とデバイス製造工程におけるデブリ起因の品質不良との関係を求め、かつ、前記デブリ起因の品質不良が発生するデブリの面積比率の閾値(デブリ有り)を設定しておき、
前記抽出したデブリの領域のピクセル数から、前記ハードレーザーマーク印字領域における前記デブリの領域の面積比率を求め、
該デブリの領域の面積比率が、前記閾値(デブリ有り)以上の場合は、デブリ有りと判定することを特徴とする請求項9に記載のデブリ判定方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ウェーハ裏面のハードレーザーマークの周辺に発生したデブリを外観検査装置によって得た画像を用いて判定する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
シリコンウェーハの個体を識別するために、ウェーハ裏面の端の平面部分に固体レーザーを用いて個体番号を印字する工程がある(ハードレーザーマーク工程)。ハードレーザーマークは高出力の固体レーザーでウェーハ自体を溶かしながらドットを断続的に形成し、文字として刻印するため、ドット部周辺はシリコンがアモルファス化し、後の研磨工程でアモルファス化した部分は他の単結晶部位と同様の研磨速度で研磨することが出来ない。そのためドット周辺のアモルファス部には局所的に比較的緩い傾斜を持った突起が形成されると考えている。これをデブリと呼び、デブリがデバイス工程のステージと干渉した場合、デバイス製造に支障をきたすことが指摘されている。そのため、レーザーマーク部に発生したデブリの検出が必要となる。
【0003】
従来では形状測定機を使用してハードレーザーマーク部のデブリを厚さ変化による形状異常として判別する手法を用いていたが、形状測定機では検出できないデブリがデバイス製造工程で問題となるケースが発生している。そのため、このような形状測定機では検出できないデブリを確実に検出する必要がある。
【0004】
従来技術として、画像処理によって表面の凹凸や表面の欠陥を検出する方法が開示されている。
例えば、特許文献1には球面状凹部および球面状凸部を画像処理した場合の一例が示されており、REVモード(リバース位置デフォーカス)とすると、凸形状は明るく撮像される(凹形状は暗く撮像される)ことや、FOWモード(フォワー位置デフォーカス)では凹形状が明るく撮像される(凸形状は暗く撮像される)ことが開示されている。
【0005】
この技術は、加工起因または結晶起因の窪み状の欠陥の検出を目的にしたものであり、緩やかな突起(デブリ)を検出することを目的としたものではない。
この方法によりハードレーザーマーク印字領域の表面の凹凸を検出しようとした場合、ハードレーザーマークの印字部の凹凸が検出されるだけであり、緩やかな突起(デブリ)を検出することは不可能である。
【0006】
また、特許文献2には、検査対象物の表面を微分干渉顕微鏡で撮影し、画像処理によって表面に観察される欠陥の個数を計数する欠陥検査方法において、撮影画像中で輝度が変化する点を基に欠陥を検出することを特徴とする欠陥検査方法が開示されている。
しかし、この技術は表面の欠陥個数を計測する方法であって、裏面のハードレーザーマーク印字領域の緩やかな突起(デブリ)を検出することはできない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【文献】特開2017-53764号公報
【文献】特開2002-365236号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
上記のように、従来、形状測定機を使用してハードレーザーマーク部のデブリを厚さ変化による形状異常として判別する手法を用いていたが、形状測定機では検出できないデブリがデバイス製造工程で問題となるケースが発生している。
【0009】
そのため、本発明は、このような形状測定機では検出できないデブリを確実に検出してデブリの有無を判定することができるデブリ判定方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するために、本発明は、ウェーハ裏面にハードレーザーマークを形成した後、または、前記ハードレーザーマークの形成後に前記裏面を研磨した後に、前記裏面のハードレーザーマークの周辺に発生したデブリを外観検査装置によって得た画像を用いて判定する方法であって、
前記外観検査装置で得たグレースケール画像から基準輝度を算出する工程Aと、
前記グレースケール画像から前記ハードレーザーマークを含むハードレーザーマーク印字領域を抽出する工程Bと、
前記抽出したハードレーザーマーク印字領域から前記ハードレーザーマークのドット部分を除外する工程Cと、
前記ハードレーザーマークのドット部分を除外した前記ハードレーザーマーク印字領域から、前記基準輝度を基準にして前記デブリの領域を抽出する工程Dと、
前記抽出したデブリの領域に基づいて、前記ハードレーザーマーク印字領域における前記デブリの有無を判定する工程Eと、
を含むことを特徴とするデブリ判定方法を提供する。
【0011】
このような本発明のデブリ判定方法であれば、形状測定機では検出できないデブリ領域のみを確実に抽出することが可能となり、従来法よりも確実にデブリの有無の判定を行うことができる。
また、デブリの領域の抽出を基準輝度に基づいて行うので、外観検査装置の個体ばらつき(機差)による検出ばらつきを抑制することができる。
【0012】
このとき、前記工程Aでは、
前記グレースケール画像内の前記ハードレーザーマークが刻印されていない部分の輝度の平均値を前記基準輝度として算出することができる。
【0013】
このようにすれば、ハードレーザーマーク印字領域の輝度の影響のない基準輝度とすることができ、該基準輝度に基づいてデブリの領域を抽出するピクセル輝度の閾値を精度の高いものとすることができる。
【0014】
また、前記工程Bでは、
予め、前記グレースケール画像内において前記ハードレーザーマーク印字領域を囲うように表示される白色の特定枠を検出可能なピクセル輝度の閾値(特定枠)を設定しておき、
該閾値(特定枠)以上の領域を前記白色の特定枠と判定して検出し、
該検出した白色の特定枠に囲まれた領域を前記ハードレーザーマーク印字領域として抽出することができる。
【0015】
ハードレーザーマーク印字領域を囲う白色の特定枠(外観検査装置の自動機能)は他の領域に比べてピクセル輝度が高いので、白色の特定枠とそれ以外の領域のピクセル輝度値の違いから白色の特定枠のみを抽出するためのピクセル輝度値を閾値(特定枠)として設定することが可能である。
このように白色の特定枠のみを抽出することにより、その内部のハードレーザーマーク印字領域を抽出でき、簡便に、デブリが発生するハードレーザーマーク印字領域のみを画像処理対象とすることができる。
【0016】
前記工程Cでは、
予め、前記ハードレーザーマークを構成するドット領域と該ドット領域のピクセル輝度との関係から、前記ドット領域のみを抽出できるピクセル輝度の閾値(ドット領域)を設定しておき、
該閾値(ドット領域)以下のピクセル輝度の領域を前記ドット領域と判定して抽出し、
該抽出したドット領域の外周1ピクセル分以上拡大した領域を前記ドット部分として除外することができる。
【0017】
ドット部分(ドット領域よりも外周1ピクセル分以上拡大した領域)はデブリ領域になることはないので、ハードレーザーマーク印字領域(すなわち、画像処理領域)から除いておく必要がある。
まず、ハードレーザーマークを構成するドット領域のピクセル輝度は特に低い値になるので、ピクセル輝度値からドット領域を容易に識別することができる。このとき、ドット部分として除去する領域を、ドット領域のみならず、ドット領域の外周1ピクセル分以上拡大した領域にまで拡げることにより、ドット部分の影響によって生ずるピクセル輝度の変化からドット周辺部をデブリと誤検出することを防止することができる。
【0018】
また、前記工程Dでは、
予め、前記基準輝度よりも高輝度のデブリと該高輝度のデブリのピクセル輝度との関係と、前記基準輝度よりも低輝度のデブリと該低輝度のデブリのピクセル輝度との関係を求めておき、かつ、前記基準輝度を基準にして前記高輝度のデブリを抽出することができるピクセル輝度の閾値(高輝度デブリ)と、前記低輝度のデブリを抽出することができるピクセル輝度の閾値(低輝度デブリ)を設定しておき、
前記閾値(高輝度デブリ)以上のピクセル輝度の領域と、前記閾値(低輝度デブリ)以下のピクセル輝度の領域とを、前記デブリの領域として判定して抽出することができる。
【0019】
基準輝度に基づくデブリの領域の抽出をこのようにして行うことにより、外観検査装置の個体ばらつきによる検出ばらつきをより確実に防止することができる。
【0020】
また、前記工程Eでは、
予め、前記ハードレーザーマーク印字領域における前記デブリの領域の面積比率とデバイス製造工程におけるデブリ起因の品質不良との関係を求め、かつ、前記デブリ起因の品質不良が発生するデブリの面積比率の閾値(デブリ有り)を設定しておき、
前記抽出したデブリの領域のピクセル数から、前記ハードレーザーマーク印字領域における前記デブリの領域の面積比率を求め、
該デブリの領域の面積比率が、前記閾値(デブリ有り)以上の場合は、デブリ有りと判定することができる。
【0021】
このように、デブリの面積比率を求めることにより、定量的な評価が可能となる。
またデバイス製造工程においてデブリ起因で発生する品質特性の不良が分かっている場合、上記のようにして判定すれば、極めて精度の高い、効果的なデブリ判定方法とすることができる。
【0022】
また本発明は、裏面にハードレーザーマークを有するウェーハであって、
上記本発明のデブリ判定方法によって前記デブリが無いと判定された前記ハードレーザーマーク印字領域を有するものであることを特徴とするウェーハを提供する。
【0023】
このような本発明のウェーハは、形状測定機では検出できないようなデブリについても無いと判定された合格品であり、後にデバイス製造工程にかけてもデブリ起因の問題が発生するのを抑制可能な良品となる。
【発明の効果】
【0024】
本発明のデブリ判定方法であれば、形状測定機では検出できないデブリを確実に検出し、その有無の判定をすることができる。しかも外観検査装置ごとの検査ばらつきも抑制できる方法である。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【
図1】本発明のデブリ判定方法の一例を示すフロー図である。
【
図2】外観検査装置によるグレースケール画像の一例を示す測定図である。
【
図3】グレースケールにおける0~255の輝度の変化を示す説明図である。
【
図4】ハードレーザーマークの印字深さと輝度との関係を示すグラフである。
【
図5】ドット領域近傍の画像部分と、該画像部分の輝度の変化の一例を示すグラフである。
【
図6】ハードレーザーマーク印字領域の一部と、該一部を走査した場合の輝度の変化を示すグラフである。
【
図7】外観検査装置によりデブリに光を照射したときの様子を示す説明図である。
【
図8】デブリの領域の面積比率とデバイス製造工程におけるデフォーカス発生との関係の一例を示すグラフである。
【
図9】実施例1におけるデブリの領域の面積比率が0%の場合の印字領域の画像である(デブリ無し判定)。
【
図10】実施例1におけるデブリの領域の面積比率が1.5%の場合の印字領域の画像である(デブリ有り判定)。
【
図11】ESFQRとデバイス製造工程におけるデフォーカス発生との関係の一例を示すグラフである。
【
図12】実施例2におけるデブリ領域の面積比率の機差を示すグラフである。
【
図13】比較例2におけるデブリ領域の面積比率の機差を示すグラフである。
【
図14】ハードレーザーマークを含むノッチ位置のセルを示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、本発明について図面を参照して実施の形態を説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
なお、簡単のため以下では、ハードレーザーマークをHLM、ハードレーザーマーク印字領域を印字領域、と言うことがある。
本発明は、個体番号としてHLMを形成したウェーハ裏面や、その後にさらに研磨した裏面において、HLMの周辺に発生したデブリを外観検査装置によって得た画像(グレースケール画像)を用いて判定する方法である。外観検査装置としては、例えば従来から市販されているものを用いることができる。一例として、SIFTer300が挙げられる。特には、HLMを含む領域(印字領域)について、自動的にその印字領域を白色の特定枠で囲って画像として残す機能を有しているものを用いるのが好ましい。
【0027】
図1に本発明のデブリ判定方法の一例を示す。大きく分けて、工程A:基準輝度算出、工程B:印字領域抽出、工程C:ドット部分除外、工程D:デブリ領域抽出、工程E:判定からなっている。なお、各工程における説明図を併せて示す。
各工程について以下に詳述する。
【0028】
<工程A:基準輝度算出>
外観検査装置で得たグレースケール画像から基準輝度を算出する工程である。
図1の左上に位置するのが外観検査装置によるグレースケール画像である。HLMと、HLMの位置を特定した白色の特定枠が表示されている。
なお、実際のグレースケール画像の一例も
図2に示す。外観検査装置によるハードレーザーマーク印字位置検査画像B_T7(BMP形式)で、8bitグレースケール(256階調)である。
【0029】
このようなグレースケール画像(256階調)のうち、HLMが刻印されていない部分の輝度の平均値を基準輝度として算出する。
外観検査装置の機差により同一ウェーハを用いても輝度の差が生じる。そこで、測定対象のウェーハごとにHLMが刻印されていない部分の輝度平均値を求めることにより、デブリ検出の精度が向上する。
このとき、輝度平均値を算出する領域は特に限定されないが、HLMが刻印されていない部分として、例えば、HLMの位置を特定した白色の特定枠と同一円周上で、特定枠の右端から10ピクセル離れた位置とすることができる。より具体的には、特定枠(または印字領域)の短辺の長さを1辺とする正方形の領域で各ウェーハの輝度平均値を算出することができる。
【0030】
<工程B:印字領域抽出>
グレースケール画像からHLMを含む印字領域を抽出する工程である。
まず、印字領域のみを抽出するためにグレースケール画像(256階調)のうち、白色の特定枠を検出可能なピクセル輝度の閾値(特定枠)を設定しておく。例えば「ピクセル輝度≧240」のピクセルから特定枠を特定して検出する。
この特定枠は白色で表示されているため(
図1に示す例において、グレースケール画像ではそのまま白色で表示しており、一方、工程Aの箇所の図面では分かりやすいように強調表示している)、ウェーハや装置の違いによって閾値は変化しない。ここでグレースケールにおける0~255の輝度の変化を
図3に示す。白色の特定枠の輝度はグレースケール画像(256階調)のうち255であり、確実に特定枠を検出するために上記のように例えば240を閾値(特定枠)とし、グレースケール画像の左から右に処理して白い□の特定枠を検出し、その囲われた領域をハードレーザーマーク印字領域として抽出する。
なお、白色の特定枠と判定される「閾値(特定枠)以上の領域」におけるピクセル輝度の上限値は、グレースケールのため255とすることができる。
このようにして、デブリが発生する印字領域を簡便に抽出することができる。
【0031】
なお、当然この手法に限定されるものではなく、たとえ外観検査装置に白色の特定枠という自動機能が備えられていなくとも、例えば作業員の手動により、グレースケール画像のうちHLMを含む領域をトリミングして印字領域を抽出することも可能である。
【0032】
<工程C:ドット部分除外>
抽出した印字領域からHLMのドット部分を除外する工程である。
まず、ここで用いる文言について簡単に説明する。HLMの印字自体を構成するものをドット領域という。また、そのドット領域に対して、外周1ピクセル分以上(例えば1~5ピクセル分)拡大した領域にまで拡げた領域をドット部分という。
【0033】
さて、予めドット領域とそのピクセル輝度との関係から、ドット領域のみを抽出できるピクセル輝度の閾値(ドット領域)を設定しておく。この閾値(ドット領域)以下のピクセル輝度の領域をドット領域と判定して抽出するためである。
例えば、
図4は直径300mmウェーハに深さの違うHLMを印字したときの、HLM印字深さと輝度との関係を示したグラフである。
一般的なHLMの印字深さは45μm±5μmが狙い値であるが、ここでは、要求される仕様のばらつきを考慮して35μm~110μmの印字深さの輝度を示した。このケースではピクセル輝度の閾値(ドット領域)を65以下とすれば、確実にHLMのドット領域をデブリ検出対象から除外することができる。
なお、ドット領域と判定される「閾値(ドット領域)以下の領域」におけるピクセル輝度の下限値は、グレースケールのため0とすることができる。
【0034】
このとき、ドット領域の外周部(ドット領域周りの除外領域)は、
図5に示すようにピクセル輝度が低下する。
図5はドット領域近傍の画像部分と、該画像部分の輝度の変化を示すグラフである。この輝度変化が誤ってデブリとしてカウントされてしまうことがあるので、このような誤検出を防ぐためにドット領域に対し、少なくとも1ピクセル拡大して除外する。前述したように、処理対象画像の大きさにより、拡大するピクセル数は例えば1~5ピクセルの間で可変可能とすることができる。当然、必要に応じて5より多いピクセル数分拡大することもでき、画像の大きさ等にもよるので上限は決められない。
【0035】
実際に画像(すなわち、工程Bで抽出した印字領域)を処理する場合には、閾値(ドット領域)以下のピクセル輝度の領域をドット領域として抽出し、それから拡大して得られる上記のドット部分を除外する。
これにより、デブリの誤検出を防ぐことができる。
【0036】
<工程D:デブリ領域抽出>
HLMのドット部分を除外した印字領域から、基準輝度を基準にしてデブリの領域を抽出する工程である。
予め、基準輝度よりも高輝度のデブリとそのピクセル輝度の関係、また、基準輝度よりも低輝度のデブリとそのピクセル輝度との関係、という2つの関係を求めておく。さらには、それらの関係から、基準輝度を基準にして高輝度のデブリを抽出することができるピクセル輝度の閾値(高輝度デブリ)、また、基準輝度を基準にして低輝度のデブリを抽出することができるピクセル輝度の閾値(低輝度デブリ)、という2つの閾値を設定しておく。そして、実際に画像(すなわち、工程Cでドット部分を除外した印字領域)から、この閾値(高輝度デブリ)以上の領域と、閾値(低輝度デブリ)以下の領域をデブリの領域であるとして抽出する。
図1に示す例では、デブリの領域としてカウントされたピクセル数は、40と50で合わせて90となる。
【0037】
例えば、閾値(低輝度デブリ)は「ピクセル輝度≦[基準輝度-15]」、閾値(高輝度デブリ)は「ピクセル輝度≧[基準輝度+20]」とすることができる。
そして、上記のようにしてドット部分の除外を行った印字領域の画像について、上記の基準に従って、印字領域を走査し、デブリの発生箇所(デブリの領域)のピクセル数をカウントする。
図6に、印字領域の一部と、該一部を走査した場合の輝度の変化の一例を示す。基準輝度に対して高輝度側と低輝度側のそれぞれに閾値を超える箇所が見られる。
なお、高輝度のデブリとして抽出される「閾値(高輝度デブリ)以上の領域」における基準輝度に対するピクセル輝度の上限値は、グレースケールのため+255とすることができる。また、低輝度のデブリとして抽出される「閾値(低輝度)以下の領域」における基準輝度に対するピクセル輝度の下限値は、グレースケールのため-255とすることができる。
【0038】
この高輝度デブリと低輝度デブリについて説明する。
図7は外観検査装置によりデブリに光を照射したときの様子を示す説明図である。デブリでは比較的緩い傾斜を持った突起が形成される。外観検査装置ではレンズ+同軸照明を用いてウェーハに対して光を照査する。緩い突起が発生し、光が散乱してカメラに対して光が戻ってこない場合には輝度が暗くなり、光が強く戻ってくれば輝度が明るくなることで、基準輝度に対して高輝度と低輝度が検出される。
本発明では、例えばデバイス製造工程で問題となったウェーハをサンプルとし、上述した高輝度側と低輝度側の閾値をそれぞれ決定することができる。特にはデバイス工程との相関及び装置機差を考慮して、閾値(高輝度デブリ)と閾値(低輝度デブリ)を適宜決定することが好ましい。
デブリの領域の抽出を基準輝度に基づいて行うため、外観検査装置の機差による検出ばらつきの防止に役立てることができる。
【0039】
<工程E:判定>
抽出したデブリの領域に基づいて、印字領域におけるデブリの有無を判定する工程である。
まず、予め、印字領域におけるデブリの領域の面積比率と、デバイス製造工程におけるデブリ起因の品質不良との関係を求めておく。さらには、その関係から、デブリ起因の品質不良が発生するデブリの面積比率の閾値(デブリ有り)を設定しておく。
そして、実際の判定対象のウェーハにおいて工程Dで抽出したデブリの領域のピクセル数から、印字領域におけるデブリの領域の面積比率を求め、上記の閾値(デブリ有り)以上の場合は、デブリ有り(品質不良を引き起こすようなデブリ)と判定する。
【0040】
図8はデブリの領域の面積比率とデバイス製造工程におけるデフォーカス発生との関係の一例を示している。横軸のサンプル水準(Slot)をデブリの領域の面積比率で高いものから低いものにわかりやすく並べ替えたものである。
このケースではデブリの領域の面積比率が処理対象領域(印字領域)の0.22%あたりから、デフォーカス不良が生じ始めることから、0.2%を閾値(デブリ有り)と設定することができ、0.2%以上である場合にデブリ有りと判断することができる。
【0041】
よって、実際に工程Dで抽出したデブリの領域について、[デブリの領域のピクセル数]/[HLMの印字領域のピクセル数]の比からデブリの領域の面積比率を算出し、その面積比率が処理対象領域(印字領域)の0.2%を合否の判定基準としてクリアするか否かにより、デブリの有無の判定を精度高く行うことができる。特には、デバイス製造工程でデフォーカス不良が発生することのないウェーハを確実に選別することができる。
なお、
図1に示す例では、印字領域のピクセル数40000(縦400×横100)のところ、デブリの領域は90であり、面積比率は2.25%となる。したがって、0.2%という上記閾値(デブリ有り)より大きいためデブリ有りと判定され、デフォーカス不良が発生すると予想される。
ところで、デブリの領域の面積比率の上限値はデブリの領域のピクセル数によるため決められないが、上記のデブリの領域の面積比率の算出式の関係上、最大でも100%である。
【0042】
以上のような本発明であれば、形状測定機を用いた従来の検査方法では検出できないデブリを確実に検出し、デブリの有無の判定を精度良く行うことができる。しかも、外観検査装置の機差による検出ばらつきも抑制して検出可能である。
【0043】
また、本発明の判定方法でデブリ無しと判定された印字領域を有する合格品のウェーハは、上記のように精度の良い判定をクリアしたものであるので、デバイス製造工程において、デブリ起因のデフォーカス不良などの問題が生じるのを防ぐことができる。
【実施例】
【0044】
以下、本発明の実施例及び比較例を示して本発明をより具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
(実施例1)
直径:300mm、結晶面方位:(110)、枚数:(25+2)枚のウェーハを用意した。ハードレーザーマークの刻印箇所はウェーハ裏面ノッチより5±1°であり、両面研磨を施した。
なお、計27枚のうち、25枚はデブリの領域の面積比率とデバイス製造工程におけるデフォーカス発生との関係を調査するためのものであり、その関係を基準にして、他の2枚について、デフォーカス発生に影響するようなデブリの有無の判定を行う。
【0045】
これらのウェーハについて、外観検査装置(SIFTer300)によって得られたBMP形式の8bitグレースケール(256階調)画像に対し、画像処理を行ってデブリを検出した。
【0046】
<工程A:基準輝度算出>
ハードレーザーマークが刻印されていない部分として、ハードレーザーマークが印字された印字領域(または、白色の特定枠で囲まれた領域)と同一円周上で、特定枠の右端から10ピクセル離れた位置にある、特定枠の短辺の長さを1辺とする正方形の領域で、各ウェーハの輝度平均値を算出した。
その結果、25枚のサンプルでは最小値118~最大値119となった。
【0047】
<工程B:印字領域抽出>
ハードレーザーマーク印字領域の抽出処理に、「ピクセル輝度≧240」を閾値(特定枠)として白色の特定枠の位置を特定し、ノッチから5°の角度からハードレーザーマーク印字領域をピクセルサイズ約105×430で抽出処理を行った。
【0048】
<工程C:ドット部分除外>
ハードレーザーマーク印字領域内において、「ピクセル輝度≦65」を閾値(ドット領域)としてハードレーザーマークのドット領域を特定し、除去処理対象領域はドット領域の外周から1ピクセル拡大した領域(ドット部分)とした。
【0049】
ここで、この部分を除外する具体的な画像処理方法について説明する。
ハードレーザーマーク印字領域内の左上ピクセルを開始点として、ラスタースキャンにより走査する。「ピクセル輝度≦65」であるピクセルを検出した場合、ドット領域検出処理の開始座標として記録する。開始座標を中心として周囲の8ピクセルを反時計回りに調べ、「ピクセル輝度≦65」を満たす最初のピクセルの座標をドット外周として記録し、新たな開始座標とする。最初に設定した開始座標に戻るまで上記処理を繰り返す。ドット外周を1ピクセル拡大するため、記録された各ピクセルの周囲8ピクセルの座標についても同様にドット外周として記録する。ドットの外周の内部をドット領域として記録する。
上記により得られたドット外周及びドット領域をデブリ検出処理の対象外とする。
【0050】
<工程D:デブリ領域抽出>
デブリの発生ピクセル数の具体的なカウント方法は以下の通りである。
ハードレーザーマーク印字領域内の左上ピクセルを開始点として、ラスタースキャンにより走査する。
「ピクセル輝度≦[基準輝度-15]」の閾値(低輝度デブリ)、もしくは、「ピクセル輝度≧[基準輝度+20]」の閾値(高輝度デブリ)である場合、該当ピクセルをデブリ発生ピクセルとしてカウントする。
【0051】
<工程E:判定>
得られたデブリ発生ピクセル数からデブリの領域の面積比率を求め、デバイス製造工程におけるデフォーカス発生との関係について調べたところ、
図8と同様の関係のグラフが得られた。具体的な問題(デフォーカス)が生じるデブリの領域の面積比率について、0.22%がデフォーカスの発生境界と認識し、0.2%以上をデブリ発生とした。これが、調査用の25枚から得られた結果である。
【0052】
そして、判定対象用の2枚について、
図8のグラフから得られた合否の判定基準:0.2%にしたがって判定を行ったところ、一方はデブリは有るものの少なく、その領域の面積比率が約0%でデブリ無しの判定となり、合格であった。また他方は約1.5%でデブリ有りの判定となり、不合格であった。それぞれ、ハードレーザーマーク印字領域の画像中にデブリ発生箇所を印した画像を示す(代表的な部分を矢印で示している)。
図9は面積比率で0%の画像であり、
図10は1.5%の画像である。
また、実際にデバイス製造工程を経たところ、0%判定の方ではデフォーカス不良は発生せず、1.5%判定の方では巨大デフォーカス不良が発生した。
【0053】
(比較例1)
市販の形状測定機(WaferSight;KLAテンコール社製)でハードレーザーマーク印字領域を形状測定した結果(ESFQR)を、デバイス工程でデフォーカス判定結果を元に分離できるか解析したものである。
ウェーハとしては、実施例1の調査用の25枚と同様のものを用意した。
なお、ESFQRとは矩形領域(セル)の領域内最小二乗法からの正及び負の偏差の範囲を算出したものである。測定対象となる略矩形の領域は外周端から直径方向に10mm、周方向18°に相当する弧により囲まれており、ウェーハ中心角270°の位置のセル(ノッチの位置のセル)がハードレーザーマークを含む領域となる。
図14にハードレーザーマークを含むノッチ位置のセルを示す。
【0054】
図11に、ESFQRとデバイス製造工程におけるデフォーカス発生との関係の一例を示す。横軸のサンプルの水準の並びは実施例1の並びと同じである。
形状測定した270°の矩形領域がハードレーザーマークの形成位置に相当するが、デバイス工程におけるデブリ起因のデフォーカス不良の有無をESFQRの値に基づいて判定することができないことがわかる。
つまり、従来のデブリ異常選別方法として厚さ形状変化値(ESFQR)を基に問題となるウェーハを分類しようとしたところ、以下の結果となった。デバイス工程でデフォーカスの問題となったウェーハが高い値を示すものもあるが、巨大デフォーカスでも値が高くならないものもある。逆に問題のないウェーハが高くなるものもあり、結局、そもそもESFQRではデブリの有無の選別ができない。
【0055】
(実施例2、比較例2)
実施例1と同じウェーハよりSlot-15の1枚を選定し、6台の外観検査装置によりデブリ判定を実施した。
このとき、6台の外観検査装置でそれぞれのウェーハについて工程Aの基準輝度の算出を行った場合(実施例2)と、6台の外観検査装置でそれぞれのウェーハについて工程Aの基準輝度の算出を行わなかった場合(なお、この場合、低輝度デブリは「ピクセル輝度≦105」、高輝度デブリは「ピクセル輝度≧140」で抽出)(比較例2)のデブリ判定の装置間差(機差)を比較した。
各々の結果を
図12、
図13に示す。
【0056】
実施例2では、
図12に示すように、6台でのデブリの領域の面積比率の最小値は0.07%、最大値は0.13%、標準偏差は0.024という結果になった。
基準輝度を使用することで機差を吸収し、装置によるデブリの面積比率のばらつきを抑えることが可能であり、どの装置でも精度良くデブリ判定を行うことができる。
【0057】
一方で比較例2では、
図13に示すように、最小値は0%、最大値は0.17%、標準偏差0.063という結果になった。
装置間の機差により、算出されたデブリの面積比率が大きく異なり、精度の良いデブリ判定が難しい。
【0058】
本明細書は、以下の態様を包含する。
[1]: ウェーハ裏面にハードレーザーマークを形成した後、または、前記ハードレーザーマークの形成後に前記裏面を研磨した後に、前記裏面のハードレーザーマークの周辺に発生したデブリを外観検査装置によって得た画像を用いて判定する方法であって、
前記外観検査装置で得たグレースケール画像から基準輝度を算出する工程Aと、
前記グレースケール画像から前記ハードレーザーマークを含むハードレーザーマーク印字領域を抽出する工程Bと、
前記抽出したハードレーザーマーク印字領域から前記ハードレーザーマークのドット部分を除外する工程Cと、
前記ハードレーザーマークのドット部分を除外した前記ハードレーザーマーク印字領域から、前記基準輝度を基準にして前記デブリの領域を抽出する工程Dと、
前記抽出したデブリの領域に基づいて、前記ハードレーザーマーク印字領域における前記デブリの有無を判定する工程Eと、
を含むデブリ判定方法。
[2]: 前記工程Aでは、
前記グレースケール画像内の前記ハードレーザーマークが刻印されていない部分の輝度の平均値を前記基準輝度として算出する上記[1]のデブリ判定方法。
[3]: 前記工程Bでは、
予め、前記グレースケール画像内において前記ハードレーザーマーク印字領域を囲うように表示される白色の特定枠を検出可能なピクセル輝度の閾値(特定枠)を設定しておき、
該閾値(特定枠)以上の領域を前記白色の特定枠と判定して検出し、
該検出した白色の特定枠に囲まれた領域を前記ハードレーザーマーク印字領域として抽出する上記[1]または上記[2]のデブリ判定方法。
[4]: 前記工程Cでは、
予め、前記ハードレーザーマークを構成するドット領域と該ドット領域のピクセル輝度との関係から、前記ドット領域のみを抽出できるピクセル輝度の閾値(ドット領域)を設定しておき、
該閾値(ドット領域)以下のピクセル輝度の領域を前記ドット領域と判定して抽出し、
該抽出したドット領域の外周1ピクセル分以上拡大した領域を前記ドット部分として除外する上記[1]から上記[3]のいずれかのデブリ判定方法。
[5]: 前記工程Dでは、
予め、前記基準輝度よりも高輝度のデブリと該高輝度のデブリのピクセル輝度との関係と、前記基準輝度よりも低輝度のデブリと該低輝度のデブリのピクセル輝度との関係を求めておき、かつ、前記基準輝度を基準にして前記高輝度のデブリを抽出することができるピクセル輝度の閾値(高輝度デブリ)と、前記低輝度のデブリを抽出することができるピクセル輝度の閾値(低輝度デブリ)を設定しておき、
前記閾値(高輝度デブリ)以上のピクセル輝度の領域と、前記閾値(低輝度デブリ)以下のピクセル輝度の領域とを、前記デブリの領域として判定して抽出する上記[1]から上記[4]のいずれかのデブリ判定方法。
[6]: 前記工程Eでは、
予め、前記ハードレーザーマーク印字領域における前記デブリの領域の面積比率とデバイス製造工程におけるデブリ起因の品質不良との関係を求め、かつ、前記デブリ起因の品質不良が発生するデブリの面積比率の閾値(デブリ有り)を設定しておき、
前記抽出したデブリの領域のピクセル数から、前記ハードレーザーマーク印字領域における前記デブリの領域の面積比率を求め、
該デブリの領域の面積比率が、前記閾値(デブリ有り)以上の場合は、デブリ有りと判定する上記[1]から上記[5]のいずれかのデブリ判定方法。
[7]: 裏面にハードレーザーマークを有するウェーハであって、
上記[1]から上記[6]のいずれかのデブリ判定方法によって前記デブリが無いと判定された前記ハードレーザーマーク印字領域を有するものであるウェーハ。
【0059】
なお、本発明は、上記実施形態に限定されるものではない。上記実施形態は、例示であり、本発明の特許請求の範囲に記載された技術的思想と実質的に同一な構成を有し、同様な作用効果を奏するものは、いかなるものであっても本発明の技術的範囲に包含される。