(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-07
(45)【発行日】2024-11-15
(54)【発明の名称】半導体フォトレジスト用組成物およびこれを用いたパターン形成方法
(51)【国際特許分類】
G03F 7/004 20060101AFI20241108BHJP
G03F 7/20 20060101ALI20241108BHJP
【FI】
G03F7/004 531
G03F7/004
G03F7/20 521
(21)【出願番号】P 2023079117
(22)【出願日】2023-05-12
【審査請求日】2023-05-12
(31)【優先権主張番号】10-2022-0085855
(32)【優先日】2022-07-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】590002817
【氏名又は名称】三星エスディアイ株式会社
【氏名又は名称原語表記】SAMSUNG SDI Co., LTD.
【住所又は居所原語表記】150-20 Gongse-ro,Giheung-gu,Yongin-si, Gyeonggi-do, 446-902 Republic of Korea
(74)【代理人】
【識別番号】110000671
【氏名又は名称】IBC一番町弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】韓 承
(72)【発明者】
【氏名】任 相 均
(72)【発明者】
【氏名】李 旻 映
(72)【発明者】
【氏名】金 智 敏
(72)【発明者】
【氏名】徐 也 隱
(72)【発明者】
【氏名】呉 釜 根
【審査官】福田 由紀
(56)【参考文献】
【文献】特開2021-039171(JP,A)
【文献】特開2016-170361(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03F 7/00ー7/42
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記化学式4で表される第1有機金属化合物;
下記化学式1で表される第2有機金属化合物;および
溶媒
を含む、半導体フォトレジスト用組成物:
【化1】
前記化学式4中、R
34
は炭素数1~5のアルキル基であり、R
h
、R
i
、およびR
j
はメチル基である:
【化2】
前記化学式1中、
M
1は、
Snであり、
R
1~R
12は、それぞれ
フッ素原子である。
【請求項2】
前記化学式4で表される第1有機金属化合物は、下記化学式7で表される化合物である、請求項1に記載の半導体フォトレジスト用組成物。
【化3】
【請求項3】
前記第2有機金属化合物は、前記第1有機金属化合物100質量部に対して1~50質量部の含有量で含まれる、請求項1に記載の半導体フォトレジスト用組成物。
【請求項4】
前記第2有機金属化合物は、前記第1有機金属化合物100質量部に対して1~30重量部での含有量で含まれる、請求項1に記載の半導体フォトレジスト用組成物。
【請求項5】
前記半導体フォトレジスト用組成物100質量%を基準にして、前記第1有機金属化合物および前記第2有機金属化合物を含む有機金属化合物の総質量が、0.5質量%~30質量%である、請求項1に記載の半導体フォトレジスト用組成物。
【請求項6】
基板上にエッチング対象膜を形成する段階;
前記エッチング対象膜の上に、請求項1~
5のいずれか1項に記載の半導体フォトレジスト用組成物を塗布してフォトレジスト膜を形成する段階;
前記フォトレジスト膜をパターニングしてフォトレジストパターンを形成する段階;および
前記フォトレジストパターンをエッチングマスクとして用いて前記エッチング対象膜をエッチングする段階、を含む、パターン形成方法。
【請求項7】
前記フォトレジストパターンを形成する段階は、波長5nm~150nmの光を使用する、請求項
6に記載のパターン形成方法。
【請求項8】
前記フォトレジスト膜を形成する段階の前に、前記エッチング対象膜の上にレジスト下層膜を形成する段階をさらに含む、請求項
6に記載のパターン形成方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体フォトレジスト用組成物およびこれを用いたパターン形成方法に関する。
【背景技術】
【0002】
次世代の半導体デバイスを製造するための要素技術の1つとして、EUV(極端紫外線光)リソグラフィが注目されている。EUVリソグラフィは、露光光源として波長13.5nmのEUV光を用いるパターン形成技術である。EUVリソグラフィによれば、半導体デバイス製造プロセスの露光工程で、極めて微細なパターン(例えば、20nm以下)を形成することができるのが実証されている。
【0003】
極端紫外線(extreme ultraviolet、EUV)リソグラフィの実現は、16nm以下の空間解像度で行うことができる互換可能なフォトレジストの現像を必要とする。現在、伝統的な化学増幅型(CA:chemically amplified)フォトレジストは、次世代デバイスのための解像度、光速度、およびフィーチャー粗さ(feature roughness)、ラインエッジ粗さ(line edge roughnessまたはLER)に対する仕様を満足させるために、日々研究が行われている。
【0004】
化学増幅型フォトレジストは、一般的に有機高分子を含むが、この化学増幅型フォトレジストで起こる酸触媒反応に起因した固有画像のボケは、小さなフィーチャー(feature)の大きさで解像度を制限し、これは電子ビームリソグラフィにおいて長い間知られてきた事実である。化学増幅型(CA)フォトレジストは、高い感度のために設計されたが、それらの典型的な元素の構成が、13.5nmの波長でフォトレジストの吸光度を下げてしまい、その結果、感度を低くなり、部分的にはEUV露光下でさらに困ることがある。
【0005】
CAフォトレジストはまた、小さなフィーチャーの大きさで粗さの問題によって困ることがあり、部分的に酸触媒工程の本質に起因して、光速度が減少するにつれて、ラインエッジ粗さ(LER)が増加することが実験で確認された。CAフォトレジストの欠点および問題に起因して、半導体産業では、新たな類型の高性能フォトレジストに対する要求がある。
【0006】
上記で説明した化学増幅型の有機系フォトレジストの問題を克服するために、無機系の感光性組成物が研究されてきた。無機系の感光性組成物の場合、主に非化学増幅型機構による化学的変性で、現像剤組成物による除去に耐性を有するネガティブトーンパターニングに使用される。無機系の感光性組成物の場合、炭化水素に比べて高いEUV吸収率を有する無機系元素を含有していて、非化学増幅型機構でも感度を確保することができ、確率論的なばらつきにもあまり敏感でなくて、ラインエッジ粗さおよび欠陥個数も少ないと知られている。
【0007】
タングステン、ならびにニオブ、チタン、および/またはタンタルと混合されたタングステンのペルオキソポリ酸に基づいた無機フォトレジストは、パターニングのための放射線感受性材料(radiation sensitive materials)用として報告されてきた(特許文献1および非特許文献1)。
【0008】
これら材料は、遠紫外線、x線、および電子ビームソースで二重層構成に大きなフィーチャーをパターニングすることにおいて効果的であった。さらに最近は、プロジェクションEUV露光によって15nmハーフピッチを現像するために、ペルオキソ錯化剤と共に、陽イオン性ハフニウム金属オキシドスルフェート(HfSOx)材料を使用する場合、印象的な性能を示したことが報告されている(特許文献2および非特許文献2)。このシステムは、非CAフォトレジストにおいて最上級の性能を示し、実行可能なEUVフォトレジストのための要件に近い光速度を有する。しかし、ペルオキソ錯化剤を有するハフニウム金属オキシドスルフェート材料は、いくつかの現実的な欠点を有する。第一に、この材料は、高い腐食性の硫酸/過酸化水素の混合物でコーティングされ、保存安定性が良くない。第二に、複合混合物として性能改善のための構造変更が容易でない。第三に、25質量%程度の極めて高濃度のTMAH(水酸化テトラメチルアンモニウム)溶液などで現像されなければならない。
【0009】
最近は、スズを含む分子が、極端紫外線吸収に優れているということが知られるにつれて、活発な研究が行われている。そのうちの1つである有機スズ高分子は、光吸収またはこれによって生成された二次電子によって、有機配位子が解離しながら、周辺の高分子鎖とのオキソ結合による架橋を通じて、有機系現像液で除去されないネガティブトーンパターニングが可能である。このような有機スズ高分子は、解像度、ラインエッジ粗さを維持しながら、飛躍的に感度が向上するのを示したが、商用化のためには上記のようなパターニング特性のさらなる向上が必要である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【文献】米国特許第5061599号明細書
【文献】米国特許出願公開第2011/0045406号明細書
【非特許文献】
【0011】
【文献】H.Okamoto、T.Iwayanagi、K.Mochiji、H.Umezaki、T.Kudo、Applied Physics Letters、49(5)、298-300、1986
【文献】J.K.Stowers、A.Telecky、M.Kocsis、B.L.Clark、D.A.Keszler、A.Grenville、C.N.Anderson、P.P.Naulleau、Proc.SPIE、7969、796915、2011
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
本発明は、ラインエッジ粗さを維持しながら、感度が顕著に向上したパターンを実現することができる半導体フォトレジスト用組成物を提供することを目的とする。
【0013】
また、本発明は、上記半導体フォトレジスト用組成物を用いたパターン形成方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明による半導体フォトレジスト用組成物は、Sn、Sb、In、Bi、Zr、およびHfからなる群より選択される金属を含む第1有機金属化合物(ただし、下記化学式1で表される第2有機金属化合物を除く)、下記化学式1で表される第2有機金属化合物、ならびに溶媒を含む。
【0015】
【0016】
上記化学式1中、
M1は、Sn、Sb、およびTeからなる群より選択される金属であり、
R1~R12は、それぞれ独立して、水素原子、ハロゲン原子、置換もしくは非置換の炭素数1~20のアルキル基、置換もしくは非置換の炭素数3~20のシクロアルキル基、置換もしくは非置換の炭素数2~20のアルケニル基、置換もしくは非置換の炭素数2~20のアルキニル基、置換もしくは非置換の炭素数6~30のアリール基、またはこれらの組み合わせである。
【0017】
上記第1有機金属化合物は、金属-炭素結合と、上記Sn、Sb、In、Bi、Zr、およびHfからなる群より選択される金属に結合している置換基であって、加水分解性結合を有する置換基の少なくとも1つと、を有することができる。
【0018】
上記加水分解性結合を有する置換基は、アミノ基(-NRaRb、ここでRaおよびRbは、それぞれ独立して、水素原子または炭素数1~30の炭化水素基)、シリルオキシ基(-OSiRaRbRc、ここでRa、Rb、およびRcは、それぞれ独立して、炭素数1~30の炭化水素基である)、シリルアミノ基(-N(SiRa
3Rb)、ここでRaおよびRbは、それぞれ独立して、炭素数1~30の炭化水素基である)、ジシリルアミノ基(-N(SiRa
3)(SiRb
3)、ここでRaおよびRbは、それぞれ独立して、炭素数1~30の炭化水素基である)、アルコキシ基およびアリールオキシ基(-ORa、ここでRaは、炭素数1~30のアルキル基または炭素数6~30のアリール基である)、ホルミルオキシ基および有機カルボニルオキシ基(-O(CORa)、ここでRaは、水素原子または炭素数1~30の炭化水素基である)、アジド基(-N3)、アルキニル基(-C≡CRa、ここでRaは、炭素数1~30の炭化水素基である)、アミド基(-NRa(CORb)、ここでRaおよびRbは、それぞれ独立して、水素原子または炭素数1~30の炭化水素基である)、アミジナート基(-NRaC(NRb)Rc、ここでRa、Rb、およびRcは、それぞれ独立して、水素原子または炭素数1~30の炭化水素基である)、イミド基(-N(CORa)(CORb)、ここでRaおよびRbは、それぞれ独立して、水素原子または炭素数1~30の炭化水素基である)、またはその組み合わせからなる群よりより選択され得る。
【0019】
上記第1有機金属化合物は、下記化学式2aで表される化合物であり得る。
【0020】
【0021】
上記化学式2a中、
M2は、Sn、Sb、In、Bi、ZrおよびHfからなる群より選択される金属であり、
R13は、置換もしくは非置換の炭素数1~20のアルキル基、置換もしくは非置換の炭素数3~20のシクロアルキル基、置換もしくは非置換の炭素数2~20のアルケニル基、置換もしくは非置換の炭素数2~20のアルキニル基、置換もしくは非置換の炭素数6~30のアリール基、置換もしくは非置換の炭素数7~31のアリールアルキル基、および-La-O-Rd(ここでLaは、置換または非置換の炭素数1~20のアルキレン基であり、Rdは、置換または非置換の炭素数1~20のアルキル基である)のうちから選択される基であり、
X1~X3は、それぞれ独立して、-N3、-NR14R15、-O(COR16)、-NR17(COR18)、-NR19C(NR20)R21、-N(COR22)(COR23)、OSiR24R25R26、-N(SiR27
3)(R28)、-N(SiR29
3)(SiR30
3)、OR31、および-C≡CR32のうちから選択される基であり、
この際、R14~R23は、それぞれ独立して、水素原子、置換もしくは非置換の炭素数1~20のアルキル基、置換もしくは非置換の炭素数3~20のシクロアルキル基、置換もしくは非置換の炭素数2~20のアルケニル基、置換もしくは非置換の炭素数2~20のアルキニル基、置換もしくは非置換の炭素数6~30のアリール基、またはこれらの組み合わせであり、
R24~R32は、それぞれ独立して、置換もしくは非置換の炭素数1~20のアルキル基、置換もしくは非置換の炭素数3~20のシクロアルキル基、置換もしくは非置換の炭素数2~20のアルケニル基、置換もしくは非置換の炭素数2~20のアルキニル基、置換もしくは非置換の炭素数6~30のアリール基、またはこれらの組み合わせである。
【0022】
上記化学式2a中のX1~X3は、それぞれ独立して、-O(COR16)、またはOR31であり、
この際、R16は、水素原子、置換もしくは非置換の炭素数1~20のアルキル基、置換もしくは非置換の炭素数3~20のシクロアルキル基、置換もしくは非置換の炭素数2~20のアルケニル基、置換もしくは非置換の炭素数2~20のアルキニル基、置換もしくは非置換の炭素数6~30のアリール基、またはこれらの組み合わせであり、
R31は、置換もしくは非置換の炭素数1~20のアルキル基、置換もしくは非置換の炭素数3~20のシクロアルキル基、置換もしくは非置換の炭素数2~20のアルケニル基、置換もしくは非置換の炭素数2~20のアルキニル基、置換もしくは非置換の炭素数6~30のアリール基、またはこれらの組み合わせであってもよい。
【0023】
上記化学式2aのM2は、Snであってもよい。
【0024】
上記第1有機金属化合物は、下記グループ1に列記された化合物のうちの少なくとも1種を含むことができる。
【0025】
【0026】
上記化学式3~化学式6中、
R33~R36は、それぞれ独立して、置換もしくは非置換の炭素数1~20のアルキル基、置換もしくは非置換の炭素数3~20のシクロアルキル基、1つ以上の二重結合もしくは1つ以上の三重結合を含む置換もしくは非置換の炭素数2~20の脂肪族不飽和有機基、置換もしくは非置換の炭素数6~30のアリール基、エトキシ基、プロポキシ基、またはこれらの組み合わせであり、
Re、Rf、Rg、Rm、Ro、およびRpは、それぞれ独立して、置換もしくは非置換の炭素数1~20のアルキル基、置換もしくは非置換の炭素数3~20のシクロアルキル基、置換もしくは非置換の炭素数2~20のアルケニル基、置換もしくは非置換の炭素数2~20のアルキニル基、置換もしくは非置換の炭素数6~30のアリール基、またはこれらの組み合わせであり、
Rh、Ri、Rj、Rk、Rl、およびRnは、それぞれ独立して、水素原子、置換もしくは非置換の炭素数1~20のアルキル基、置換もしくは非置換の炭素数3~20のシクロアルキル基、置換もしくは非置換の炭素数2~20のアルケニル基、置換もしくは非置換の炭素数2~20のアルキニル基、置換もしくは非置換の炭素数6~30のアリール基、またはこれらの組み合わせである。
【0027】
上記第1有機金属化合物は、下記化学式2bで表される化合物であり得る。
【0028】
【0029】
上記化学式2b中、
M2は、Sn、Sb、In、Bi、ZrおよびHfからなる群より選択される金属であり、
X1~X4は、それぞれ独立して、-N3、-NR14R15、-O(COR16)、-NR17(COR18)、-NR19C(NR20)R21、-N(COR22)(COR23)、OSiR24R25R26、-N(SiR27
3)(R28)、-N(SiR29
3)(SiR30
3)、OR31、および-C≡CR32のうちから選択される基であり、
この際、R14~R23は、それぞれ独立して、水素原子、置換もしくは非置換の炭素数1~20のアルキル基、置換もしくは非置換の炭素数3~20のシクロアルキル基、置換もしくは非置換の炭素数2~20のアルケニル基、置換もしくは非置換の炭素数2~20のアルキニル基、置換もしくは非置換の炭素数6~30のアリール基、またはこれらの組み合わせであり、
R24~R32は、それぞれ独立して、置換もしくは非置換の炭素数1~20のアルキル基、置換もしくは非置換の炭素数3~20のシクロアルキル基、置換もしくは非置換の炭素数2~20のアルケニル基、置換もしくは非置換の炭素数2~20のアルキニル基、置換もしくは非置換の炭素数6~30のアリール基、またはこれらの組み合わせである。
【0030】
上記化学式2b中のX1~X4は、それぞれ独立して、-O(COR16)、またはOR31であり、
R16は、水素原子、置換もしくは非置換の炭素数1~20のアルキル基、置換もしくは非置換の炭素数3~20のシクロアルキル基、置換もしくは非置換の炭素数2~20のアルケニル基、置換もしくは非置換の炭素数2~20のアルキニル基、置換もしくは非置換の炭素数6~30のアリール基、またはこれらの組み合わせであり、
R31は、それぞれ独立して、置換もしくは非置換の炭素数1~20のアルキル基、置換もしくは非置換の炭素数3~20のシクロアルキル基、置換もしくは非置換の炭素数2~20のアルケニル基、置換もしくは非置換の炭素数2~20のアルキニル基、置換もしくは非置換の炭素数6~30のアリール基、またはこれらの組み合わせであってもよい。
【0031】
上記化学式2b中のM2は、Snであってもよい。
【0032】
上記第1有機金属化合物は、下記化学式2cで表される化合物であり得る。
【0033】
【0034】
上記化学式2c中、
M2およびM3は、それぞれ独立して、Sn、Sb、In、Bi、ZrおよびHfからなる群より選択される金属であり、
X1~X6は、それぞれ独立して、-N3、-NR14R15、-O(COR16)、-NR17(COR18)、-NR19C(NR20)R21、-N(COR22)(COR23)、OSiR24R25R26、-N(SiR27
3)(R28)、-N(SiR29
3)(SiR30
3)、OR31、および-C≡CR32のうちから選択される基であり、
この際、R14~R23は、それぞれ独立して、水素原子、置換もしくは非置換の炭素数1~20のアルキル基、置換もしくは非置換の炭素数3~20のシクロアルキル基、置換もしくは非置換の炭素数2~20のアルケニル基、置換もしくは非置換の炭素数2~20のアルキニル基、置換もしくは非置換の炭素数6~30のアリール基、またはこれらの組み合わせであり、
R24~R32は、それぞれ独立して、置換もしくは非置換の炭素数1~20のアルキル基、置換もしくは非置換の炭素数3~20のシクロアルキル基、置換もしくは非置換の炭素数2~20のアルケニル基、置換もしくは非置換の炭素数2~20のアルキニル基、置換もしくは非置換の炭素数6~30のアリール基、またはこれらの組み合わせであり、
Lは、単結合、置換もしくは非置換の2価の炭素数1~20の飽和脂肪族炭化水素基、置換もしくは非置換の2価の炭素数3~20の飽和または不飽和脂環族炭化水素基、1つ以上の二重結合もしくは1つ以上の三重結合を含む置換もしくは非置換の2価の炭素数2~20の不飽和脂肪族炭化水素基、置換もしくは非置換の2価の炭素数6~20の芳香族炭化水素基、-O-、-C(=O)-、またはこれらの組み合わせである。
【0035】
上記化学式2c中のX1~X6は、それぞれ独立して、-O(COR16)、またはOR31であり、
この際、R16は、水素原子、置換もしくは非置換の炭素数1~20のアルキル基、置換もしくは非置換の炭素数3~20のシクロアルキル基、置換もしくは非置換の炭素数2~20のアルケニル基、置換もしくは非置換の炭素数2~20のアルキニル基、置換もしくは非置換の炭素数6~30のアリール基、またはこれらの組み合わせであり、
R31は、それぞれ独立して、置換もしくは非置換の炭素数1~20のアルキル基、置換もしくは非置換の炭素数3~20のシクロアルキル基、置換もしくは非置換の炭素数2~20のアルケニル基、置換もしくは非置換の炭素数2~20のアルキニル基、置換もしくは非置換の炭素数6~30のアリール基、またはこれらの組み合わせであってもよい。
【0036】
上記化学式2c中のM2およびM3は、それぞれSnであってもよい。
【0037】
上記化学式1のR1~R12のうちの少なくとも1つは、ハロゲン原子であってもよい。
【0038】
上記化学式1のR1~R12は、それぞれ独立して、水素原子、ハロゲン原子、置換もしくは非置換の炭素数1~10のアルキル基、置換もしくは非置換の炭素数3~10のシクロアルキル基、置換もしくは非置換の炭素数2~10のアルケニル基、置換もしくは非置換の炭素数2~10のアルキニル基、置換もしくは非置換の炭素数6~20のアリール基、またはこれらの組み合わせであり、
R1~R12のうちの少なくとも1つは、ハロゲン原子であってもよい。
【0039】
上記化学式1中のR1~R12は、それぞれフッ素原子(F)であってもよい。
【0040】
上記第2有機金属化合物は、上記第1有機金属化合物100質量部に対して1~50質量部の含有量で含まれてもよい。
【0041】
上記第2有機金属化合物は、上記第1有機金属化合物100質量部に対して1~30質量部の含有量で含まれてもよい。
【0042】
上記半導体フォトレジスト用組成物100質量%を基準にして、上記第1有機金属化合物および上記第2有機金属化合物を含む有機金属化合物の総質量は、0.5質量%~30質量%であってもよい。
【0043】
上記半導体フォトレジスト用組成物は、界面活性剤、架橋剤、レベリング剤、またはこれらの組み合わせの添加剤をさらに含むことができる。
【0044】
本発明の他の実施形態によるパターン形成方法は、基板上にエッチング対象膜を形成する段階、上記エッチング対象膜の上に上述の半導体フォトレジスト用組成物を塗布してフォトレジスト膜を形成する段階、上記フォトレジスト膜をパターニングしてフォトレジストパターンを形成する段階、および上記フォトレジストパターンをエッチングマスクとして用いて上記エッチング対象膜をエッチングする段階、を含む。
【0045】
上記フォトレジストパターンを形成する段階は5nm~150nm波長の光を使用することができる。
【0046】
上記パターン形成方法は、上記基板と上記フォトレジスト膜との間にレジスト下層膜を形成する段階をさらに含むことができる。
【0047】
上記フォトレジストパターンは、5nm~100nmの幅を有することができる。
【発明の効果】
【0048】
本発明によれば、ラインエッジ粗さを維持しながら、感度が顕著に向上したパターンを実現することができる半導体フォトレジスト用組成物が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0049】
【
図1】本発明の一実施形態による半導体フォトレジスト用組成物を用いたパターン形成方法を説明するための断面概略図である。
【
図2】本発明の一実施形態による半導体フォトレジスト用組成物を用いたパターン形成方法を説明するための断面概略図である。
【
図3】本発明の一実施形態による半導体フォトレジスト用組成物を用いたパターン形成方法を説明するための断面概略図である。
【
図4】本発明の一実施形態による半導体フォトレジスト用組成物を用いたパターン形成方法を説明するための断面概略図である。
【
図5】本発明の一実施形態による半導体フォトレジスト用組成物を用いたパターン形成方法を説明するための断面概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0050】
以下、添付した図面を参照して本発明の実施形態を詳細に説明する。ただし、本発明の説明において、既に公知である機能あるいは構成に関する説明は、本発明の要旨を明瞭にするために省略することにする。
【0051】
本発明を明確に説明するために、説明上不必要な部分を省略し、明細書全体にわたって同一または類似の構成要素については同一な参照符号を付けるようにした。また、図面に示された各構成の大きさおよび厚さは、説明の便宜のために任意に示したので、本発明は必ずしも図示されたところに限定されない。
【0052】
図面において様々な層および領域を明確に表現するために、厚さを拡大して示した。そして図面において説明の便宜のために、一部の層および領域の厚さを誇張して示した。層、膜、領域、板などの部分が他の部分「の上に」または「上に」あるという場合、これは他の部分「の直上に」ある場合だけでなく、その中間にまた他の部分がある場合も含む。
【0053】
本発明において、「置換」とは、水素原子が、重水素原子、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、シアノ基、ニトロ基、-NRR’(ここで、RおよびR’は、それぞれ独立して、水素原子、置換もしくは非置換の炭素数1~30の飽和または不飽和の脂肪族炭化水素基、置換もしくは非置換の炭素数3~30の飽和または不飽和の脂環族炭化水素基、または置換もしくは非置換の炭素数6~30の芳香族炭化水素基である)、-SiRR’R”(ここで、R、R’、およびR”は、それぞれ独立して、水素原子、置換もしくは非置換の炭素数1~30の飽和または不飽和の脂肪族炭化水素基、置換もしくは非置換の炭素数3~30の飽和または不飽和の脂環族炭化水素基、または置換もしくは非置換の炭素数6~30の芳香族炭化水素基である)、炭素数1~30のアルキル基、炭素数1~10のハロアルキル基、炭素数1~10のアルキルシリル基、炭素数3~30のシクロアルキル基、炭素数6~30のアリール基、炭素数1~20のアルコキシ基、またはこれらの組み合わせで置換されたことを意味する。「非置換」とは、水素原子が他の置換基で置換されずに、水素原子として残っていることを意味する。
【0054】
本明細書において「アルキル基」とは、別途の定義がない限り、直鎖状または分枝鎖状の脂肪族炭化水素基を意味する。アルキル基は、いかなる二重結合や三重結合を含んでいない「飽和アルキル基」であってもよい。
【0055】
上記アルキル基は、炭素数1~10のアルキル基であってもよい。例えば、上前記アルキル基は、炭素数1~8のアルキル基、炭素数1~7のアルキル基、炭素数1~6のアルキル基、炭素数1~5のアルキル基、または炭素数1~4のアルキル基であってもよい。例えば、炭素数1~4のアルキル基は、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、イソブチル基、sec-ブチル基、tert-ブチル基、または2,2-ジメチルプロピル基であってもよい。
【0056】
本発明において、「シクロアルキル基」とは、別途の定義がない限り、1価の環状脂肪族炭化水素基を意味する。
【0057】
シクロアルキル基は、炭素数3~10のシクロアルキル基、例えば、炭素数3~8のシクロアルキル基、炭素数3~7のシクロアルキル基、炭素数3~6のシクロアルキル基、炭素数3~5のシクロアルキル基、炭素数3~4のシクロアルキル基であってもよい。例えば、シクロアルキル基は、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基であってもよく、これらに制限されない。
【0058】
本明細書において、「アリール基」とは、環状の置換基の全ての元素がp-軌道を有しており、このp-軌道が共役を形成している置換基を意味し、単環または縮合多環(すなわち、炭素原子の隣接した対を共有する環)官能基を含む。
【0059】
本明細書において「アルケニル基」とは、別途の定義がない限り、直鎖状または分枝鎖状の脂肪族炭化水素基であって、1つ以上の二重結合を含む脂肪族不飽和アルケニル基を意味する。
【0060】
本明細書において、「アルキニル基」とは、別途の定義がない限り、直鎖状または分枝鎖状の脂肪族炭化水素基であって、1つ以上の三重結合を含む脂肪族不飽和アルキニル基を意味する。
【0061】
本明細書に記載された化学式中、t-Buは、tert-ブチル基を意味する。
【0062】
以下、本発明の一実施形態による半導体フォトレジスト用組成物を説明する。
【0063】
本発明の一実施形態による半導体フォトレジスト用組成物は、Sn、Sb、In、Bi、Zr、およびHfからなる群より選択される金属を含む第1有機金属化合物(ただし、下記化学式1で表される第2有機金属化合物を除く)、下記化学式1で表される第2有機金属化合物、ならびに溶媒を含む。
【0064】
【0065】
上記化学式1中、
M1は、Sn、SbおよびTeからなる群より選択される金属であり、
R1~R12は、それぞれ独立して、水素原子、ハロゲン原子、置換もしくは非置換の炭素数1~20のアルキル基、置換もしくは非置換の炭素数3~20のシクロアルキル基、置換もしくは非置換の炭素数2~20のアルケニル基、置換もしくは非置換の炭素数2~20のアルキニル基、置換もしくは非置換の炭素数6~30のアリール基、またはこれらの組み合わせである。
【0066】
本発明の一実施形態による半導体フォトレジスト用組成物は、第1有機金属化合物と共に第2有機金属化合物を含むことによって、露光後、パターンの感度とラインエッジ粗さとを同時に改善することができる。
【0067】
上記第1有機金属化合物は、金属-炭素結合と、上記のSn、Sb、In、Bi、ZrおよびHfからなる群より選択される金属と結合している置換基であって、加水分解性結合を有する置換基の少なくとも1つと、を有することができる。
【0068】
加水分解性結合を有する置換基は、アミノ基(-NRaRb、ここでRaおよびRbは、それぞれ独立して、水素原子または炭素数1~30の炭化水素基)、シリルオキシ基(-OSiRaRbRc、ここでRa、Rb、およびRcは、それぞれ独立して炭素数1~30の炭化水素基である)、シリルアミノ基(-N(SiRa
3)(Rb)、ここでRaおよびRbは、それぞれ独立して、炭素数1~30の炭化水素基である)、ジシリルアミノ基(-N(SiRa
3)(SiRb
3)、ここでRaおよびRbは、それぞれ独立して、炭素数1~30の炭化水素基である)、アルコキシ基およびアリールオキシ基(-ORa、ここでRaは、炭素数1~30のアルキル基または炭素数6~30のアリール基である)、ホルミルオキシ基および有機カルボニルオキシ基(-O(CORa)、ここでRaは、水素または炭素数1~30の炭化水素基である)、アジド基(-N3)、アルキニル基(-C≡CRa、ここでRaは、炭素数1~30の炭化水素基である)、アミド基(-NRa(CORb)、ここでRaおよびRbは、それぞれ独立して、水素原子または炭素数1~30の炭化水素基である)、アミジナート基(-NRaC(NRb)Rc、ここでRa、Rb、およびRcは、それぞれ独立して、水素原子または炭素数1~30の炭化水素基である)、イミド基(-N(CORa)(CORb)、ここでRaおよびRbは、それぞれ独立して、水素原子または炭素数1~30の炭化水素基である)、またはその組み合わせからなる群よりより選択することができる。
【0069】
一例として、上記第1有機金属化合物は、下記化学式2aで表される化合物であり得る。
【0070】
【0071】
上記化学式2a中、
M2は、Sn、Sb、In、Bi、ZrおよびHfからなる群より選択される金属であり、
R13は、置換または非置換の炭素数1~20のアルキル基、置換または非置換の炭素数3~20のシクロアルキル基、置換または非置換の炭素数2~20のアルケニル基、置換または非置換の炭素数2~20のアルキニル基、置換または非置換の炭素数6~30のアリール基、置換または非置換の炭素数7~31のアリールアルキル基、および-La-O-Rd(ここでLaは、置換または非置換の炭素数1~20のアルキレン基であり、Rdは、置換または非置換の炭素数1~20のアルキル基である)のうちから選択される基であり、
X1~X3は、それぞれ独立して、-N3、-NR14R15、-O(COR16)、-NR17(COR18)、-NR19C(NR20)R21、-N(COR22)(COR23)、OSiR24R25R26、-N(SiR27
3)(R28)、-N(SiR29
3)(SiR30
3)、OR31、および-C≡CR32からなる群より選択される基であり、
この際、R14~R23は、それぞれ独立して、水素原子、置換もしくは非置換の炭素数1~20のアルキル基、置換もしくは非置換の炭素数3~20のシクロアルキル基、置換もしくは非置換の炭素数2~20のアルケニル基、置換もしくは非置換の炭素数2~20のアルキニル基、置換もしくは非置換の炭素数6~30のアリール基、またはこれらの組み合わせであり、
R24~R32は、それぞれ独立して、置換もしくは非置換の炭素数1~20のアルキル基、置換もしくは非置換の炭素数3~20のシクロアルキル基、置換もしくは非置換の炭素数2~20のアルケニル基、置換もしくは非置換の炭素数2~20のアルキニル基、置換もしくは非置換の炭素数6~30のアリール基、またはこれらの組み合わせである。
【0072】
一例として、上記第1有機金属化合物は、下記化学式2bで表される化合物であり得る。
【0073】
【0074】
上記化学式2b中、
M2は、Sn、Sb、In、Bi、ZrおよびHfからなる群より選択される金属であり、
X1~X4は、それぞれ独立して、-N3、-NR14R15、-O(COR16)、-NR17(COR18)、-NR19C(NR20)R21、-N(COR22)(COR23)、OSiR24R25R26、-N(SiR27
3)(R28)、-N(SiR29
3)(SiR30
3)、OR31、および-C≡CR32のうちから選択される基であり、
この際、R14~R23は、それぞれ独立して、水素原子、置換もしくは非置換の炭素数1~20のアルキル基、置換もしくは非置換の炭素数3~20のシクロアルキル基、置換もしくは非置換の炭素数2~20のアルケニル基、置換もしくは非置換の炭素数2~20のアルキニル基、置換もしくは非置換の炭素数6~30のアリール基、またはこれらの組み合わせであり、
R24~R32は、それぞれ独立して、置換もしくは非置換の炭素数1~20のアルキル基、置換もしくは非置換の炭素数3~20のシクロアルキル基、置換もしくは非置換の炭素数2~20のアルケニル基、置換もしくは非置換の炭素数2~20のアルキニル基、置換もしくは非置換の炭素数6~30のアリール基、またはこれらの組み合わせである。
【0075】
一例として、上記第1有機金属化合物は、下記化学式2cで表される化合物であり得る。
【0076】
【0077】
上記化学式2c中、
M2およびM3は、それぞれ独立して、Sn、Sb、In、Bi、ZrおよびHfからなる群より選択される金属であり、
X1~X6は、それぞれ独立して、-N3、-NR14R15、-O(COR16)、-NR17(COR18)、-NR19C(NR20)R21、-N(COR22)(COR23)、OSiR24R25R26、-N(SiR27
3)(R28)、-N(SiR29
3)(SiR30
3)、OR31、および-C≡CR32のうちから選択される基であり、
この際、R14~R23は、それぞれ独立して、水素原子、置換もしくは非置換の炭素数1~20のアルキル基、置換もしくは非置換の炭素数3~20のシクロアルキル基、置換もしくは非置換の炭素数2~20のアルケニル基、置換もしくは非置換の炭素数2~20のアルキニル基、置換もしくは非置換の炭素数6~30のアリール基、またはこれらの組み合わせであり、
R24~R32は、それぞれ独立して、置換もしくは非置換の炭素数1~20のアルキル基、置換もしくは非置換の炭素数3~20のシクロアルキル基、置換もしくは非置換の炭素数2~20のアルケニル基、置換もしくは非置換の炭素数2~20のアルキニル基、置換もしくは非置換の炭素数6~30のアリール基、またはこれらの組み合わせであり、
Lは、単結合、置換もしくは非置換の2価の炭素数1~20の飽和脂肪族炭化水素基、置換もしくは非置換の2価の炭素数3~20の飽和または不飽和脂環族炭化水素基、1つ以上の二重結合もしくは1つ以上の三重結合を含む置換もしくは非置換の2価の炭素数2~20の不飽和脂肪族炭化水素基、置換もしくは非置換の2価の炭素数6~20の芳香族炭化水素基、-O-、-C(=O)-、またはこれらの組み合わせである。
【0078】
上記化学式2a~化学式2c中のX1~X6は、金属と結合している置換基であって、加水分解性結合を有する置換基である。これにより、M2-X1、M2-X2、M2-X3、M3-X4、M3-X5、およびM3-X6のそれぞれの結合が、加水分解または加溶媒分解により水または酸性プロトンと適切に反応して、容易に揮発する生成物を形成することができる。したがって、X1~X6は、一般的に、金属、例えば、スズに結合する原子を含み、H2Oおよび-OHを含む求核置換が行われることがある。その後、生成されたMn-OHまたはMn-OH2リガンドは、後続の縮合または脱水の段階により反応して、オキシド-ヒドロキシドネットワークを形成することができる。
【0079】
具体的な一例として、化学式2a~化学式2c中のX1~X6は、それぞれ独立して、-O(COR16)、またはOR31であり、
この際、R16は、水素原子、置換もしくは非置換の炭素数1~20のアルキル基、置換もしくは非置換の炭素数3~20のシクロアルキル基、置換もしくは非置換の炭素数2~20のアルケニル基、置換もしくは非置換の炭素数2~20のアルキニル基、置換もしくは非置換の炭素数6~30のアリール基、またはこれらの組み合わせであり、
R31は、それぞれ独立して、置換もしくは非置換の炭素数1~20のアルキル基、置換もしくは非置換の炭素数3~20のシクロアルキル基、置換もしくは非置換の炭素数2~20のアルケニル基、置換もしくは非置換の炭素数2~20のアルキニル基、置換もしくは非置換の炭素数6~30のアリール基、またはこれらの組み合わせであってもよい。
【0080】
具体的な一例として、上記化学式2a~化学式2c中のM2およびM3は、それぞれ、Snであってもよい。
【0081】
例えば、上記化学式2a中のR13は、置換もしくは非置換の炭素数1~8のアルキル基、置換もしくは非置換の炭素数3~8のシクロアルキル基、置換もしくは非置換の炭素数2~8のアルケニル基、置換もしくは非置換の炭素数2~8のアルキニル基、置換もしくは非置換の炭素数6~20のアリール基、置換もしくは非置換の炭素数7~21のアリールアルキル基、またはこれらの組み合わせであってもよい。より具体的には、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、イソプロピル基、tert-ブチル基、2,2-ジメチルプロピル基、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、エテニル基、プロペニル基、ブテニル基、エチニル基、プロピニル基、ブチニル基、フェニル基、トリル基、キシレニル基、ベンジル基、またはこれらの組み合わせであってもよい。
【0082】
例えば、上記化学式2a中のR13は、置換もしくは非置換の炭素数1~8のアルキル基、または置換もしくは非置換の炭素数3~8のシクロアルキル基であってもよい。
【0083】
例えば、上記化学式2a中のR13は、直鎖状アルキル基、分枝鎖状アルキル基、または置換もしくは非置換の炭素数3~8のシクロアルキル基であってもよい。
【0084】
直鎖状アルキル基とは、金属に結合した有機基が、1級炭素または1級炭素および2級炭素からなる形態を意味し、上記化学式2aのR13は、さらに具体的に、n-プロピル基、n-ブチル基、n-ペンチル基。またはn-ヘキシル基であってもよい。
【0085】
分枝鎖状アルキル基とは、金属に結合した有機基が1級炭素または1級炭素および2級炭素に加えて、3級炭素および/または4級炭素を含む形態を意味する。上記化学式2a中のR13は、さらに具体的には、イソプロピル基、tert-ブチル基、tert-アミル基、またはsec-ブチル基であってもよい。
【0086】
シクロアルキル基としては、シクロヘキシル基、シクロペンチル基、シクロブチル基、およびシクロプロピル基などが挙げられる。
【0087】
上記化学式2aで表される化合物のさらに具体的な例としては、下記グループ1に列記された化合物が挙げられる。
【0088】
【0089】
上記化学式3~化学式6中、
R33~R36は、それぞれ独立して、置換もしくは非置換の炭素数1~20のアルキル基、置換もしくは非置換の炭素数3~20のシクロアルキル基、1つ以上の二重結合もしくは1つ以上の三重結合を含む置換もしくは非置換の炭素数2~20の脂肪族不飽和有機基、置換もしくは非置換の炭素数6~30のアリール基、エトキシ基、プロポキシ基、またはこれらの組み合わせであり、
Re、Rf、Rg、Rm、Ro、およびRpは、それぞれ独立して、置換もしくは非置換の炭素数1~20のアルキル基、置換もしくは非置換の炭素数3~20のシクロアルキル基、置換もしくは非置換の炭素数2~20のアルケニル基、置換もしくは非置換の炭素数2~20のアルキニル基、置換もしくは非置換の炭素数6~30のアリール基、またはこれらの組み合わせであり、
Rh、Ri、Rj、Rk、Rl、およびRnは、それぞれ独立して、水素原子、置換もしくは非置換の炭素数1~20のアルキル基、置換もしくは非置換の炭素数3~20のシクロアルキル基、置換もしくは非置換の炭素数2~20のアルケニル基、置換もしくは非置換の炭素数2~20のアルキニル基、置換もしくは非置換の炭素数6~30のアリール基、またはこれらの組み合わせである。
【0090】
最も具体的な一例として、上記R33~R36は、それぞれ独立して、イソプロピル基、tert-ブチル基、tert-アミル基、sec-ブチル基、シクロヘキシル基、シクロペンチル基、シクロブチル基、またはシクロプロピル基であってもよい。
【0091】
第2有機金属化合物は、上記化学式1で表される化合物であり得る。
一例として、上記化学式1中のR1~R12のうちの少なくとも1つは、ハロゲン原子であってもよい。
【0092】
ハロゲン原子の具体的な例としては、フッ素原子(F)、塩素原子(Cl)、臭素原子(Br)、ヨウ素原子(I)が挙げられ、本発明の一実施形態において、上記R1~R12のうちの少なくとも1つは、フッ素原子であってもよい。
【0093】
具体的な一例として、上記化学式1中のR1~R12は、それぞれ独立して、水素原子、ハロゲン原子、置換もしくは非置換の炭素数1~10のアルキル基、置換もしくは非置換の炭素数3~10のシクロアルキル基、置換もしくは非置換の炭素数2~10のアルケニル基、置換もしくは非置換の炭素数2~10のアルキニル基、置換もしくは非置換の炭素数6~20のアリール基、またはこれらの組み合わせであり、この際、R1~R12のうちの少なくとも1つは、ハロゲン原子であってもよい。
【0094】
例えば、上記化学式1中のR1~R12は、それぞれ、フッ素原子(F)であってもよい。
【0095】
一例として、上記化学式1中のM1は、Snであってもよい。
【0096】
なお、上記の第1有機金属化合物および第2有機金属化合物は、従来公知の合成方法を適宜参照して合成することができる。より具体的には、実施例に記載の合成方法を参照しながら、当業者であれば容易に合成することができる。
【0097】
上記化学式1中のM1がSnである有機スズ化合物において、スズは波長13.5nmである極端紫外線光を強く吸収して、高エネルギーを有する光に対する感度に優れる。
【0098】
第2有機金属化合物は、第1有機金属化合物100質量部に対して1~50質量部、例えば1~40質量部、または1~30質量部の含有量で含まれてもよい。上記範囲の含有量であれば、優れた感度を有し、形成されたパターンのラインエッジ粗さ(LER)などに優れた半導体フォトレジスト用組成物を提供することができる。
【0099】
例えば、第2有機金属化合物と第1有機金属化合物とは、1:2~1:20の質量比で含まれてもよく、例えば、1:2~1:19、例えば、1:2~1:18、例えば、1:1~2:17、例えば、1:2~1:16、例えば、1:2~1:15、例えば、1:2~1:14、例えば、1:2~1:13、例えば、1:2~1:12、例えば、1:2~1:11、例えば、1:2~1:10の質量比で含まれてもよく、これらに制限されない。第1有機金属化合物と第2有機金属化合物との質量比が上記範囲を満足する場合、優れた感度および解像度を有する半導体フォトレジスト用組成物を提供することができる。
【0100】
本発明の一実施形態による半導体フォトレジスト組成物において、半導体フォトレジスト用組成物100質量%を基準にして、第1有機金属化合物および第2有機金属化合物を含む有機金属化合物の総質量は、0.5質量%~30質量%、例えば、1質量%~25質量%、例えば、1質量%~20質量%、例えば、1質量%~15質量%、例えば、1質量%~10質量%、例えば、1質量%~5質量%の含有量で含まれてもよく、これらに制限されない。有機金属化合物が上記範囲の含有量で含まれる場合、半導体フォトレジスト用組成物の保管安定性およびエッチング耐性が向上し、解像度特性が改善される。
【0101】
本発明の一実施形態による半導体フォトレジスト用組成物は、第1有機金属化合物と第2有機金属化合物とを同時に含むことによって、優れた感度およびパターン形成性を有する半導体フォトレジスト用組成物となる。
【0102】
第1有機金属化合物は、例えば上記化学式2a~化学式2cで表される化合物の少なくとも1種であることができる。化学式2a、化学式2b、または化学式2cで表される第1有機金属化合物の混合比率を適切に調節することによって、共重合体からリガンドが解離される程度を調節することができ、これにより、リガンドが解離されながら発生するラジカルによって、周辺の高分子鎖とのオキソ結合を通じた架橋結合の程度を調節し、最終的に、感度に優れながらラインエッジ粗さが少なく、優れた解像度を有する半導体フォトレジスト用組成物を提供することができる。
【0103】
本発明の一実施形態による半導体レジスト組成物に含まれる溶媒は、有機溶媒であってもよく、一例として、芳香族化合物類(例えば、キシレン、トルエン等)、アルコール類(例えば、4-メチル-2-ペンタノール、4-メチル-2-プロパノール、1-ブタノール、メタノール、イソプロピルアルコール、1-プロパノール等)、エーテル類(例えば、アニソール、テトラヒドロフラン等)、エステル類(1-メチル-2-プロピルアセテート、酢酸n-ブチル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、酢酸エチル、乳酸エチル等)、ケトン類(例えば、メチルエチルケトン、2-ヘプタノン等)、またはこれらの混合物などを含むことができるが、これらに限定されるものではない。
【0104】
本発明の一実施形態によれば、半導体レジスト組成物は、第1有機金属化合物、第2有機金属化合物、および溶媒以外に、追加的に樹脂をさらに含むことができる。
【0105】
樹脂としては、下記グループ2に列記された芳香族モイエティを少なくとも1つ含むフェノール系樹脂であってもよい。
【0106】
【0107】
樹脂は、重量平均分子量が500~20,000であってもよい。なお、樹脂の重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により測定することができる。
【0108】
当該樹脂は、半導体レジスト用組成物の総質量に対して0.1質量%~50質量%の含有量で含まれてもよい。
【0109】
樹脂が上記含有量の範囲で含まれる場合、優れた耐エッチング性および耐熱性を有することができる。
【0110】
一実施形態による半導体レジスト用組成物は、前述の第1有機金属化合物、第2有機金属化合物、溶媒、および樹脂からなることが好ましい。ただし、上述の実施形態による半導体レジスト用組成物は、場合によって、添加剤をさらに含むことができる。添加剤の例としては、界面活性剤、架橋剤、レベリング剤、有機酸、抑制剤(quencher)、またはこれらの組み合わせが挙げられる。
【0111】
界面活性剤は、例えば、アルキルベンゼンスルホン酸塩、アルキルピリジニウム塩、ポリエチレングリコール、第4級アンモニウム塩、またはこれらの組み合わせを使用することができるが、これらに限定されるものではない。
【0112】
架橋剤は、例えば、メラミン系架橋剤、置換尿素系架橋剤、アクリル系架橋剤、エポキシ系架橋剤、またはポリマー系架橋剤などが挙げられるが、これに限定されるのではない。少なくとも2つの架橋形成置換基を有する架橋剤であって、例えば、メトキシメチル化グリコルリル、ブトキシメチル化グリコルリル、メトキシメチル化メラミン、ブトキシメチル化メラミン、メトキシメチル化ベンゾグアナミン、ブトキシメチル化ベンゾグアナミン、4-ヒドロキシブチルアクリレート、アクリル酸、ウレタンアクリレート、アクリルメタクリレート、1,4-ブタンジオールジグリシジルエーテル、グリシドール、ジグリシジル1,2-シクロヘキサンジカルボキシレート、トリメチルプロパントリグリシジルエーテル、1,3-ビス(グリシドキシプロピル_)テトラメチルジシロキサン、メトキシメチル化尿素、ブトキシメチル化尿素、またはメトキシメチル化チオ尿素などの化合物を使用することができる。
【0113】
レベリング剤は、印刷時のコーティング平坦性を向上させるためのものであって、商業的な方法で入手可能な公知のレベリング剤を使用することができる。
【0114】
有機酸は、p-トルエンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、p-ドデシルベンゼンスルホン酸、1,4-ナフタレンジスルホン酸、メタンスルホン酸、フルオロ化スルホニウム塩、マロン酸、クエン酸、プロピオン酸、メタクリル酸、シュウ酸、乳酸、グリコール酸、コハク酸、またはこれらの組み合わせであってもよいが、これらに限定されるのではない。
【0115】
抑制剤(quencher)は、ジフェニル(p-トリル)アミン、メチルジフェニルアミン、トリフェニルアミン、フェニレンジアミン、ナフチルアミン、ジアミノナフタレン、またはこれらの組み合わせであってもよい。
【0116】
これら添加剤の使用量は、所望の物性によって容易に調節することができ、添加してなくてもよい。
【0117】
また、半導体レジスト用組成物は、基板との密着力などの向上のために(例えば、半導体レジスト用組成物の基板との接着力向上のために)、密着性向上剤としてシランカップリング剤をさらに使用することができる。シランカップリング剤の例としては、例えば、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリクロロシラン、ビニルトリス(β-メトキシエトキシ)シラン;または3-メタクリルオキシプロピルトリメトキシシラン、3-アクリルオキシプロピルトリメトキシシラン、p-スチリルトリメトキシシラン、3-メタクリルオキシプロピルメチルジメトキシシラン、3-メタクリルオキシプロピルメチルジエトキシシラン;トリメトキシ[3-(フェニルアミノ)プロピル]シランなどの炭素-炭素不飽和結合含有シラン化合物などを使用することができるが、これらに限定されるものではない。
【0118】
半導体フォトレジスト用組成物は、高いアスペクト比を有するパターンを形成しても、パターン崩壊が発生しないかほとんど発生しなくなる。したがって、例えば、5nm~100nmの幅を有する微細パターン、例えば、5nm~80nmの幅を有する微細パターン、例えば、5nm~70nmの幅を有する微細パターン、例えば、5nm~50nmの幅を有する微細パターン、例えば、5nm~40nmの幅を有する微細パターン、例えば、5nm~30nmの幅を有する微細パターン、例えば、5nm~20nmの幅を有する微細パターンを形成するために、5nm~150nm波長の光を使用するフォトレジスト工程、例えば、5nm~100nm波長の光を使用するフォトレジスト工程、例えば、5nm~80nm波長の光を使用するフォトレジスト工程、例えば、5nm~50nm波長の光を使用するフォトレジスト工程、例えば、5nm~30nm波長の光を使用するフォトレジスト工程、例えば、5nm~20nm波長の光を使用するフォトレジスト工程に使用することができる。したがって、本発明の一実施形態による半導体フォトレジスト用組成物を使用すれば、13.5nm波長のEUV光源を使用する極端紫外線リソグラフィを実現することができる。
【0119】
一方、本発明の他の実施形態によれば、上述の半導体フォトレジスト用組成物を使用してパターンを形成する方法が提供され得る。一例として、製造されたパターンは、フォトレジストパターンであってもよい。
【0120】
本発明の一実施形態によるパターン形成方法は、基板上にエッチング対象膜を形成する段階、上記エッチング対象膜の上に上述の半導体フォトレジスト用組成物を塗布してフォトレジスト膜を形成する段階、上記フォトレジスト膜をパターニングしてフォトレジストパターンを形成する段階、および上記フォトレジストパターンをエッチングマスクとして用いて上記エッチング対象膜をエッチングする段階を含む。
【0121】
以下、上述の半導体フォトレジスト用組成物を使用してパターンを形成する方法について、
図1~5を参照して説明する。
図1~
図5は、本発明による半導体フォトレジスト用組成物を用いたパターン形成方法を説明するための断面概略図である。
【0122】
図1を参照すれば、まずエッチング対象物を準備する。エッチング対象物の例としては、半導体基板100上に形成される薄膜102であってもよい。以下では、エッチング対象物が薄膜102である場合に限って説明する。薄膜102上に残留する汚染物などを除去するために、薄膜102の表面を洗浄する。薄膜102は、例えば、シリコン窒化膜、ポリシリコン膜、またはシリコン酸化膜であってもよい。
【0123】
その次に、洗浄された薄膜102の表面上に、レジスト下層膜104を形成するためのレジスト下層膜形成用組成物を、スピンコーティング方式を適用してコーティングする。ただし、本発明が必ずしもこれに限定されるものではなく、公知の多様なコーティング方法、例えば、スプレーコーティング、ディップコーティング、ナイフエッジコーティング、インクジェット印刷およびスクリーン印刷等の印刷法などを用いることもできる。
【0124】
レジスト下層膜コーティングの工程は省略することができるが、以下では、レジスト下層膜をコーティングする場合について説明する。
【0125】
その後、乾燥およびベーキング工程を行って、薄膜102上にレジスト下層膜104を形成する。ベーキング処理は、100℃~500℃で行うことができ、例えば100℃~300℃で行うことができる。
【0126】
レジスト下層膜104は、基板100とフォトレジスト膜106との間に形成されて、基板100とフォトレジスト膜106との界面または層間ハードマスクから反射される照射線が、意図されないフォトレジスト領域に散乱する場合、フォトレジスト線幅の不均一が起こるのを防ぎ、パターン形成性を妨害するのを防止することができる。
【0127】
図2を参照すれば、レジスト下層膜104の上に、上述の半導体フォトレジスト用組成物をコーティングしてフォトレジスト膜106を形成する。フォトレジスト膜106は、基板100上に形成された薄膜102の上に上述の半導体フォトレジスト用組成物をコーティングした後、熱処理工程により硬化した形態であってもよい。
【0128】
より具体的には、半導体フォトレジスト用組成物を使用してパターンを形成する段階は、上述の半導体レジスト用組成物を薄膜102が形成された基板100上にスピンコーティング、スリットコーティング、インクジェット印刷などの方法により塗布する工程および塗布された半導体フォトレジスト用組成物を乾燥してフォトレジスト膜106を形成する工程、を含むことができる。
【0129】
半導体フォトレジスト用組成物についてはすでに詳しく説明したので、重複する説明は省略する。
【0130】
次に、フォトレジスト膜106が形成されている基板100を加熱する第1ベーキング工程を行う。第1ベーキング工程は、80℃~120℃の温度で行うことができる。
【0131】
図3を参照すれば、フォトレジスト膜106を選択的に露光する。
【0132】
一例として、露光工程で使用できる光の例としては、i線(波長365nm)、KrFエキシマレーザ(波長248nm)、ArFエキシマレーザ(波長193nm)などの短波長を有する光だけでなく、EUV(Extreme UltraViolet;波長13.5nm)、E-Beam(電子ビーム)などの高エネルギー波長を有する光などが挙げられる。
【0133】
より具体的には、一実施形態による露光用の光は、5nm~150nmの波長範囲を有する短波長光であってもよく、EUV(Extreme UltraViolet;波長13.5nm)、E-Beam(電子ビーム)などの高エネルギー波長を有する光であってもよい。
【0134】
フォトレジスト膜106中の露光された領域106bは、有機金属化合物間の縮合などの架橋反応等によって重合体を形成することにより、フォトレジスト膜106の未露光の領域106aと互いに異なる溶解度を有するようになる。
【0135】
次に、基板100に第2ベーキング工程を行う。第2ベーキング工程は、90℃~200℃の温度で行うことができる。第2ベーキング工程を行うことにより、フォトレジスト膜106の露光された領域106bは、現像液に溶解し難い状態となる。
【0136】
図4には、現像液を用いて、未露光の領域に該当するフォトレジスト膜106aを溶解させて除去することによって形成されたフォトレジストパターン108が示されている。具体的には、2-ヘプタノンなどの有機溶媒を使用して、未露光の領域に該当するフォトレジスト膜106aを溶解させた後除去することによって、ネガティブトーンイメージに該当するフォトレジストパターン108が完成する。
【0137】
先に説明したように、本発明の一実施形態によるパターン形成方法で使用される現像液は、有機溶媒であってもよい。本発明の一実施形態によるパターン形成方法で使用される有機溶媒の一例としては、メチルエチルケトン、アセトン、シクロヘキサノン、2-ヘプタノンなどのケトン類、4-メチル-2-プロパノール、1-ブタノール、イソプロパノール、1-プロパノール、メタノールなどのアルコール類、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、酢酸エチル、乳酸エチル、n-ブチルアセテート、γ-ブチロラクトンなどのエステル類、ベンゼン、キシレン、トルエンなどの芳香族化合物、またはこれらの組み合わせが挙げられる。
【0138】
ただし、フォトレジストパターンが必ずしもネガティブトーンイメージに形成されることに制限されるわけではなく、ポジティブトーンイメージを有するように形成されてもよい。この場合、ポジティブトーンイメージ形成のために使用できる現像剤としては、水酸化テトラエチルアンモニウム、水酸化テトラプロピルアンモニウム、水酸化テトラブチルアンモニウム、またはこれらの組み合わせなどの第4級アンモニウム水酸化物などが挙げられる。
【0139】
先に説明したように、i線(波長365nm)、KrFエキシマレーザ(波長248nm)、ArFエキシマレーザ(波長193nm)などの波長を有する光だけでなく、EUV(Extreme UltraViolet;波長13.5nm)、E-Beam(電子ビーム)などの高エネルギーを有する光などによって露光されて形成されたフォトレジストパターン108は、5nm~100nmの幅を有することができる。一例として、フォトレジストパターン108は、5nm~90nm、5nm~80nm、5nm~70nm、5nm~60nm、5nm~50nm、5nm~40nm、5nm~30nm、5nm~20nmの幅に形成することができる。
【0140】
一方、フォトレジストパターン108は、50nm以下、例えば40nm以下、例えば30nm以下、例えば20nm以下、例えば15nm以下のハーフピッチ、および10nm以下、5nm以下、3nm以下、2nm以下の線幅粗さを有するピッチを有することができる。
【0141】
その次に、フォトレジストパターン108をエッチングマスクにして、レジスト下層膜104をエッチングする。上記のようなエッチング工程で、有機膜パターン112が形成される。形成された有機膜パターン112も、フォトレジストパターン108に対応する幅を有することができる。
【0142】
図5を参照すれば、フォトレジストパターン108をエッチングマスクとして適用して露出された薄膜102をエッチングする。その結果、薄膜102は、薄膜パターン114として形成される。
【0143】
薄膜102のエッチングは、例えばエッチングガスを使用した乾式エッチングで行うことができ、エッチングガスは、例えばCHF3、CF4、Cl2、BCl3、またはこれらの混合ガスを使用することができる。
【0144】
EUV光源を使用して行われた露光工程において形成されたフォトレジストパターン108を用いて形成された薄膜パターン114は、フォトレジストパターン108に対応する幅を有することができる。一例として、フォトレジストパターン108と同様に、5nm~100nmの幅を有することができる。例えば、EUV光源を使用して行われた露光工程によって形成された薄膜パターン114は、フォトレジストパターン108と同様に、5nm~90nm、5nm~80nm、5nm~70nm、5nm~60nm、5nm~50nm、5nm~40nm、5nm~30nm、5nm~20nmの幅を有することができ、より具体的に、20nm以下の幅に形成することができる。
【実施例】
【0145】
以下、前述の半導体フォトレジスト用組成物の製造に関する実施例を通じて本発明をさらに詳しく説明する。しかし、下記実施例によって本発明の技術的特徴が限定されるのではない。
【0146】
(合成例1:第1有機金属化合物の合成)
250mLの2口丸底フラスコに、Ph3SnCl 20g(51.9mmol)を70mlのTHFに溶かし、氷浴で温度を0℃に冷却した。その後、ブチルマグネシウムクロリド(BuMgCl)1M THF溶液(62.3mmol)を徐々に滴下した。滴下が完了した後、25℃で12時間攪拌し、下記化学式7aで表される化合物を得た。
【0147】
その後、下記化学式7aで表される化合物(10g、24.6mmol)を50mLのCH2Cl2に溶かし、2M HCl ジエチルエーテル溶液3当量(73.7mmol)を、-78℃で30分間徐々に滴下した。その後、25℃で12時間攪拌し、溶媒を濃縮し、真空蒸留して、下記化学式7bで表される化合物を得た。
【0148】
その後、下記化学式7bで表される化合物10g(25.6mmol)に対して、25mLの酢酸を25℃で徐々に滴下し、12時間加熱還流した。温度を25℃に上げた後、酢酸を真空蒸留して、最終的に下記化学式7で表される化合物を得た。
【0149】
【0150】
(合成例2:第2有機金属化合物の合成)
500mLの2口丸底フラスコに、n-ヘキサンで表面を洗浄したNa 5g(218mmol)を入れ120mlのトルエンに溶かし、氷浴で温度-20℃に冷却した。その後、ヘキサフルオロアセトン50g(240mmol)を徐々に滴下した。滴下が完了した後、25℃まで徐々に昇温し、6時間還流した。その後、再び氷浴で温度を-10℃まで冷却した後、他の250mLフラスコでSnCl2 13.8g(72.7mmol)を100mlのトルエンに溶かした溶液を徐々に滴下した。
【0151】
その後、25℃まで昇温し、6時間還流した後、ガラスろ過器を使用して、溶媒内で発生した沈殿を除去し、これを濃縮、精製して、下記化学式8で表される化合物を得た。
【0152】
【0153】
(実施例1~5、および比較例1:半導体フォトレジスト用組成物の製造)
合成例1で得られた化学式7で表される化合物と合成例2で得られた化学式8で表される化合物とを、下記表1に記載された質量比で、1-メチル-2-プロピルアセテートに3質量%の濃度で溶かし、0.1μmPTFE(ポリテトラフルオロエチレン)シリンジフィルターでろ過して、半導体フォトレジスト用組成物を製造した。
【0154】
(フォトレジスト膜の形成)
自然酸化物表面を有する直径4インチの円形シリコンウェーハを、薄膜蒸着用基板として使用し、薄膜を蒸着する前にウェーハをUVオゾンクリーニングシステムで10分間処理した。処理された基材上に、実施例1~実施例5、および比較例1の半導体フォトレジスト用組成物を、1500rpmで30秒間スピンコーティングし、100℃で120秒間ベーク(ポストベーク、PAB)して薄膜を形成した。
【0155】
その後、偏光解析法により、コーティングおよび焼成後のフィルムの厚さを測定した結果、25nmであった。
【0156】
【0157】
評価:感度およびラインエッジ粗さ(LER)評価
直径が500μmである50個の円形パッド直線アレイを、EUV光(Lawrence Berkeley National Laboratory Micro Exposure Tool、MET)を使用して、実施例1~5、および比較例1のフォトレジスト用組成物がコーティングされたウェーハに投射した。パッドの露光時間を調節して、EUVの積算光量が各パッドに適用されるようにした。
【0158】
その後、レジストと基材とをホットプレート上で、160℃で120秒間、露光後ベーク(PEB)を行った。ベークされた膜を、現像液(2-ヘプタノン)にそれぞれ30秒間浸漬させた後、同じ現像剤で追加的に10秒間洗浄して、ネガティブトーンイメージを形成、すなわち、非露光のコーティング部分を除去した。最終的に、150℃で2分間、ホットプレートによるベークを行って、工程を終了した。
【0159】
偏光解析法を使用して、露光されたパッドの残留レジスト厚さを測定した。各露光量に対して残っている厚さを測定し、露光量に対する関数でグラフ化して、レジストの種類別に、Dg(現像が完了するエネルギーレベル、感度)を測定して、下記表2に示した。
【0160】
また、電界放出形走査電子顕微鏡(FE-SEM)の画像から確認された、形成された線のラインエッジ粗さ(LER)を測定し、下記表2に示した。
【0161】
【0162】
上記表2の結果から明らかなように、実施例1~5による半導体用フォトレジスト組成物を用いて形成されたパターンは、比較例1の組成物と比べて、ラインエッジ粗さは大きく増加せず、優れた感度を有することを確認することができる。
【0163】
以上、本発明の特定の実施例が説明され図示されたが、本発明は記載された実施例に限定されるのではなく、本発明の思想および範囲を逸脱せず多様に修正および変形できるのは、この技術の分野における通常の知識を有する者に自明なことである。したがって、そのような修正例または変形例は、本発明の技術的な思想や観点から個別的に理解されてはならず、変形された実施例は本発明の特許請求の範囲に属すると言うべきである。
【符号の説明】
【0164】
100 基板、
102 薄膜、
104 レジスト下層膜、
106 フォトレジスト膜、
106a 未露光の領域、
106b 露光された領域、
108 フォトレジストパターン、
112 有機膜パターン、
114 薄膜パターン。