(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-07
(45)【発行日】2024-11-15
(54)【発明の名称】短絡耐量を向上させたパワー炭化ケイ素ベースの半導体デバイス及びそのようなデバイスを作製する方法
(51)【国際特許分類】
H01L 29/78 20060101AFI20241108BHJP
H01L 29/12 20060101ALI20241108BHJP
H01L 21/265 20060101ALI20241108BHJP
H01L 21/336 20060101ALI20241108BHJP
H01L 29/739 20060101ALI20241108BHJP
【FI】
H01L29/78 652C
H01L29/78 652T
H01L29/78 652Q
H01L29/78 652F
H01L21/265 F
H01L29/78 652J
H01L29/78 658A
H01L29/78 655A
(21)【出願番号】P 2023512345
(86)(22)【出願日】2021-08-16
(86)【国際出願番号】 US2021046072
(87)【国際公開番号】W WO2022046444
(87)【国際公開日】2022-03-03
【審査請求日】2023-04-05
(32)【優先日】2020-08-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】592054856
【氏名又は名称】ウルフスピード インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】WOLFSPEED,INC.
(74)【代理人】
【識別番号】110000855
【氏名又は名称】弁理士法人浅村特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ハン、キジョン
(72)【発明者】
【氏名】キム、ジュヒョン
(72)【発明者】
【氏名】リュー、セイ - ヒョン
【審査官】恩田 和彦
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-092367(JP,A)
【文献】特開2017-168507(JP,A)
【文献】特開2011-159797(JP,A)
【文献】特開2011-165861(JP,A)
【文献】特表2006-511961(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2013/0313570(US,A1)
【文献】特開2012-235002(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 29/78
H01L 29/12
H01L 21/265
H01L 21/336
H01L 29/739
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の導電型を有する炭化ケイ素ドリフト領域と、
前記炭化ケイ素ドリフト領域の上部に位置する第1のウェルであって、前記第1の導電型とは異なる第2の導電型を有するドーパントでドープされた、第1のウェルと、
前記炭化ケイ素ドリフト領域の前記上部に位置する第2のウェルであって、前記第1のウェルから離間され、前記第2の導電型を有するドーパントでドープされた、第2のウェルと、
前記第1のウェルと前記第2のウェルとの間の前記炭化ケイ素ドリフト領域におけるJFET領域と、
を含み、
前記JFET領域のドーピング濃度が前記炭化ケイ素ドリフト領域のドーピング濃度を超え、
前記JFET領域の上半分の最大幅が前記JFET領域の下半分の最小幅よりも少なくとも30%大き
く、
前記JFET領域の前記下半分の前記最小幅が前記JFET領域の深さの50%未満である、
半導体層構造、
を備える、パワー半導体デバイス。
【請求項2】
前記第1のウェルが、第1の主ウェルと、前記第1の主ウェルと前記JFET領域との間にある第1の側部ウェルと、を含み、前記第1の側部ウェルが第1のチャネル領域を含み、
前記第2のウェルが、第2の主ウェルと、前記第2の主ウェルと前記JFET領域との間にある第2の側部ウェルと、を含み、前記第2の側部ウェルが第2のチャネル領域を含む、
請求項1に記載のパワー半導体デバイス。
【請求項3】
前記半導体層構造
の上面からの前記JFET領域の
前記深さが、前記半導体層構造の前記上面からの前記第1の側部ウェルの深さ以上である、請求項2に記載のパワー半導体デバイス。
【請求項4】
前記第1の側部ウェルのピーク・ドーピング濃度が、5×1017/cm3を超え、前記半導体層構造の上面の下0.8~1.2ミクロンの深さで生じる、請求項2から3までのいずれか一項に記載のパワー半導体デバイス。
【請求項5】
前記JFET領域の前記上部の前記最大幅が前記JFET領域
の下部の前記最小幅よりも少なくとも50%大きい、請求項1から4までのいずれか一項に記載のパワー半導体デバイス。
【請求項6】
前記第1の側部ウェルの深さが前記半導体層構造の上面から1.0~1.5ミクロンであり、前記半導体層構造の前記上面からの前記JFET領域の深さが1.0~1.7ミクロンであり、前記JFET領域の前記深さが前記第1の側部ウェルの前記深さと少なくとも同程度の深さである、請求項2から
4までのいずれか一項に記載のパワー半導体デバイス。
【請求項7】
前記第1の側部ウェルと前記第2の側部ウェルとの間の距離が1.5ミクロン未満である、請求項2から
4及び6のいずれか一項に記載のパワー半導体デバイス。
【請求項8】
前記JFET領域の前記上半分の前記最大幅が前記JFET領域の前記下半分の前記最小幅よりも40%~80%大きい、請求項1から7までのいずれか一項に記載のパワー半導体デバイス。
【請求項9】
前記第1の側部ウェルの上部0.2ミクロンのピーク・ドーピング濃度は、前記第1の側部ウェルのピーク・ドーピング濃度よりも少なくとも1桁低い、請求項
2に記載のパワー半導体デバイス。
【請求項10】
前記JFET領域が前記第1のウェルの下に延在する、請求項1から9までのいずれか一項に記載のパワー半導体デバイス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、2020年8月27日に出願された米国特許出願第17/004,531号の優先権を主張するものであり、その内容全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
本発明は、半導体デバイスに関し、より詳細には、パワー半導体デバイスに関する。
【背景技術】
【0003】
金属酸化膜半導体電界効果トランジスタ(「MOSFET」)は、スイッチング・デバイスとして使用することができるよく知られているタイプのトランジスタである。MOSFETは、チャネル領域によって分離されたソース領域及びドレイン領域と、酸化シリコン層などの薄いゲート絶縁層によってチャネル領域から分離されたゲート電極とを含む。MOSFETは、ゲート電極にゲート・バイアス電圧を印加することによってオン又はオフにすることができる。MOSFETが、デバイスの「しきい値」電圧以上のゲート・バイアス電圧の印加によってオンになると、電流が、ソース領域とドレイン領域との間のMOSFETのチャネル領域を通って伝わる。バイアス電圧をゲート電極から除去する(又はしきい値電圧レベル未満に下げる)と、電流はチャネル領域を通って伝わらなくなる。一例として、n型MOSFETは、n型のソース領域及びドレイン領域と、p型のチャネルとを有する。n型MOSFETは、n型のソース領域とドレイン領域とを電気的に接続するp型のチャネル領域に導電性のn型反転層を生成するのに十分なゲート・バイアス電圧をゲート電極に印加したときにオンになり、それによって、ソース領域とドレイン領域との間の多数キャリアの伝導が可能になるように設計することができる。MOSFETは、ゲート電極にゲート・バイアス電圧を印加することによってオフになる「ノーマリオン」デバイスとして設計することもできる。
【0004】
MOSFETのゲート電極は、ゲート絶縁層によってチャネル領域から絶縁されているため、MOSFETをオン状態に維持するためには、又は、MOSFETをオン状態とオフ状態との間で切り替えるためには、最小のゲート電流が必要である。ゲート電極がチャネル領域とともにキャパシタを形成しているため、スイッチング中のゲート電流は小さく保たれる。したがって、スイッチング中に必要な充放電電流はごくわずかであり、ゲート駆動回路をより単純にすることができる。
【0005】
「オン」状態で大電流(例えば、数百アンペア)を流すことができ、逆阻止状態で大電圧(例えば、数千ボルト)を阻止することができる高電力MOSFET及び他のゲート電極制御半導体デバイスに対する需要が高まっている。高電流密度をサポートし、このような高電圧を阻止するために、パワーMOSFETは、典型的には、ソース及びドレインが厚い半導体層構造の両側にある垂直構造を有する。非常に高い電力用途では、パワーMOSFETは、典型的には、ワイド・バンドギャップ半導体材料系で形成されている。本明細書では、「ワイド・バンドギャップ半導体」という用語は、例えば、炭化ケイ素(SiC)などの、少なくとも1.4eVのバンドギャップを有する任意の半導体を包含する。炭化ケイ素は、例えば、高い電界破壊強度、高い熱伝導率、高い電子移動度、高い融点、及び高い飽和電子ドリフト速度を含む、いくつかの有利な特性を有する。例えば、シリコンなどの他の半導体材料で形成されたデバイスと比較して、炭化ケイ素で形成された電子デバイスは、より高い温度、高い電力密度、より速い速度、より高い電力レベル、及び/又はより高い放射密度で動作する能力を有することができる。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一部の実施例によると、第1の導電型を有する炭化ケイ素ドリフト領域と、炭化ケイ素ドリフト領域の上部に位置し、第1の導電型とは異なる第2の導電型を有するドーパントでドープされた第1のウェルと、炭化ケイ素ドリフト領域の上部に位置し、第1のウェルから離間され、第2の導電型を有するドーパントでドープされた第2のウェルと、第1のウェルと第2のウェルとの間の炭化ケイ素ドリフト領域にあるJFET領域と、を含む半導体層構造を有するパワー半導体デバイスが提供される。JFET領域のドーピング濃度は、炭化ケイ素ドリフト領域のドーピング濃度を超え、JFET領域の上半分の最大幅は、JFET領域の下半分の最小幅よりも少なくとも30%大きい。
【0007】
一部の実施例では、第1のウェルは、第1の主ウェルと、第1の主ウェルとJFET領域との間にある第1の側部ウェルとを含むことができ、第2のウェルは、第2の主ウェルと、第2の主ウェルとの間にある第2の側部ウェルとを含むことができる。第1の側部ウェルは、第1のチャネル領域を含むことができ、第2の側部ウェルは、第2のチャネル領域を含むことができる。
【0008】
一部の実施例では、半導体層構造の上面からの第1の側部ウェルの深さは、少なくとも1.0ミクロンである。
【0009】
一部の実施例では、パワー半導体デバイスは、炭化ケイ素ドリフト領域の下面上の第1のソース/ドレイン・コンタクトと、第1の主ウェルの上部にあり、第1のウェルの上面まで延在する第1の導電型を有するソース/ドレイン領域と、ソース/ドレイン領域の上面上の第2のソース/ドレイン・コンタクトと、JFET領域上及び第1のウェル上のゲート絶縁層と、ゲート絶縁層上のゲート電極と、をさらに含むことができる。
【0010】
一部の実施例では、半導体層構造の上面からのJFET領域の深さは、半導体層構造の上面からの第1の側部ウェルの深さ以上であってもよい。
【0011】
一部の実施例では、第1の側部ウェルのピーク・ドーピング濃度は、5×1017/cm3を超えてもよく、半導体層構造の上面の下0.8~1.2ミクロンの深さで生じる。
【0012】
一部の実施例では、半導体層構造の上面からの第1の側部ウェルの深さは、1.6ミクロン未満であってもよい。
【0013】
一部の実施例では、半導体層構造の上面からのJFET領域の深さは、半導体層構造の上面からの第1の側部ウェルの深さの1.0~1.2倍であってもよい。
【0014】
一部の実施例では、第1の側部ウェルの上部0.2ミクロンのピーク・ドーピング濃度は、第1の側部ウェルのピーク・ドーピング濃度よりも少なくとも1桁低くてもよい。
【0015】
一部の実施例では、JFET領域の上部の最大幅は、JFET領域の下部の最小幅よりも少なくとも50%大きくてもよい。
【0016】
一部の実施例では、第1の側部ウェルのピーク・ドーピング濃度は、半導体層構造の上面から第1の深さで生じてもよく、半導体層構造の上面から第1の深さにおけるJFET領域のドーピング濃度は、第1の側部ウェルのピーク・ドーピング濃度よりも少なくとも1桁低くてもよい。
【0017】
一部の実施例では、第1の側部ウェルの深さは、半導体層構造の上面から1.0~1.5ミクロンであってもよく、半導体層構造の上面からのJFET領域の深さは、1.0~1.7ミクロンであってもよく、JFET領域の深さは、第1の側部ウェルの深さと少なくとも同程度の深さであってもよい。
【0018】
一部の実施例では、第1の側部ウェルと第2の側部ウェルとの間の距離は、1.5ミクロン未満であってもよい。
【0019】
一部の実施例では、JFET領域は、第1の導電型を有するドーパントが注入された注入領域を含むことができる。
【0020】
一部の実施例では、JFET領域の上半分の最大幅は、JFET領域の下半分の最小幅よりも40%~80%大きくてもよい。
【0021】
一部の実施例では、JFET領域の下半分の幅は、JFET領域の深さの50%未満であってもよい。
【0022】
一部の実施例では、JFET領域は、第1のウェルの下に延在してもよい。
【0023】
本発明のさらなる実施例によると、第1の導電型を有する炭化ケイ素ドリフト領域と、炭化ケイ素ドリフト領域の上部に位置し、第1の導電型とは異なる第2の導電型を有するドーパントでドープされた第1のウェルと、炭化ケイ素ドリフト領域の上部に位置し、第1のウェルから離間され、第2の導電型を有するドーパントでドープされた第2のウェルと、第1のウェルと第2のウェルとの間の炭化ケイ素ドリフト領域にあるJFET領域と、を含む半導体層構造を有するパワー半導体デバイスが提供される。半導体層構造の上面からのJFET領域の深さは、半導体層構造の上面からの第1のウェルの深さを超え、JFET領域の上半分の最大幅は、JFET領域の下半分の最小幅よりも大きい。
【0024】
一部の実施例では、JFET領域のドーピング濃度は、炭化ケイ素ドリフト領域のドーピング濃度を超えてもよく、半導体層構造の上面からの第1のウェルの深さは、少なくとも1.0ミクロンであってもよく、第1のウェルのピーク・ドーピング濃度は、半導体層構造の上面から0.2ミクロンの深さにおける第1のウェルのドーピング濃度を少なくとも1桁上回る。
【0025】
一部の実施例では、第1のウェルのピーク・ドーピング濃度は、5×1017/cm3を超えてもよく、半導体層構造の上面の下0.8~1.2ミクロンの深さで生じる。
【0026】
一部の実施例では、半導体層構造の上面からの第1のウェルの深さは、1.0~1.6ミクロンであってもよい。
【0027】
一部の実施例では、半導体層構造の上面からのJFET領域の深さは、半導体層構造の上面からの第1のウェルの深さの1.2倍未満であってもよい。
【0028】
一部の実施例では、JFET領域の上半分の最大幅は、JFET領域の下半分の最小幅よりも少なくとも50%大きくてもよい。
【0029】
一部の実施例では、第1のウェルのピーク・ドーピング濃度は、半導体層構造の上面から第1の深さで生じてもよく、半導体層構造の上面から第1の深さにおけるJFET領域のドーピング濃度は、第1のウェルのピーク・ドーピング濃度よりも少なくとも1桁低くてもよい。
【0030】
一部の実施例では、JFET領域の上半分の最大幅は、JFET領域の下半分の最小幅よりも40%~80%大きくてもよい。
【0031】
一部の実施例では、JFET領域は、第1のウェルの下に延在してもよい。
【0032】
本発明のさらに別の実施例によると、第1の導電型を有する炭化ケイ素ドリフト領域と、炭化ケイ素ドリフト領域の上部に位置し、第1の導電型とは異なる第2の導電型を有するドーパントでドープされた第1のウェルと、炭化ケイ素ドリフト領域の上部に位置し、第1のウェルから離間され、第2の導電型を有するドーパントでドープされた第2のウェルと、第1のウェルと第2のウェルとの間の炭化ケイ素ドリフト領域にあるJFET領域と、を含む半導体層構造を有するパワー半導体デバイスが提供される。JFET領域のドーピング濃度は、炭化ケイ素ドリフト領域のドーピング濃度を超える。第1のウェルのピーク・ドーピング濃度は、半導体層構造の上面から第1の深さで生じ、第1の深さにおけるJFET領域のドーピング濃度は、第1のウェルのピーク・ドーピング濃度よりも少なくとも1桁低い。半導体層構造の上面からのJFET領域の深さは、半導体層構造の上面からの第1のウェルの深さを超える。
【0033】
一部の実施例では、第1のピーク・ドーピング濃度は、5×1017/cm3を超えてもよく、半導体層構造の上面の下0.7~1.2ミクロンの深さで生じてもよい。
【0034】
一部の実施例では、半導体層構造の上面からのJFET領域の深さは、半導体層構造の上面からの第1のウェルの深さの1.2倍未満であってもよい。
【0035】
一部の実施例では、第1のウェルの上部0.2ミクロンのピーク・ドーピング濃度は、第1のウェルのピーク・ドーピング濃度よりも少なくとも1桁低くてもよい。
【0036】
一部の実施例では、JFET領域の上半分の最大幅は、JFET領域の下半分の最小幅よりも少なくとも50%大きくてもよい。
【0037】
一部の実施例では、JFET領域は、第1の導電型のドーパントが注入された注入領域を含むことができる。
【0038】
一部の実施例では、JFET領域は、第1のウェルの下に延在してもよい。
【0039】
本発明のさらなる実施例によると、パワー半導体デバイスを形成する方法が提供される。これらの方法によると、第1の導電型を有する炭化ケイ素ドリフト領域が設けられる。炭化ケイ素ドリフト領域の上部に第2の導電型のドーパントを注入して、第1及び第2のウェルを形成する。イオン注入を介して、第1のウェルと第2のウェルとの間にある炭化ケイ素ドリフト領域の上部に第1の導電型のドーパントを注入して、第1のウェルと第2のウェルとの間にJFET領域を形成し、炭化ケイ素ドリフト領域並びに第1のウェル及び第2のウェルは、半導体層構造の一部である。JFET領域の上半分の最小幅は、JFET領域の下半分の最小幅よりも少なくとも30%大きい。
【0040】
一部の実施例では、第1のウェルは、第1の主ウェルと、第1の主ウェルとJFET領域との間にある第1の側部ウェルとを含むことができ、第1の側部ウェルが第1のチャネル領域を含み、第2のウェルは、第2の主ウェルと、第2の主ウェルとJFET領域との間にある第2の側部ウェルとを含むことができ、第2の側部ウェルが第2のチャネル領域を含み、半導体層構造の上面からの第1の側部ウェルの深さは、少なくとも1.0ミクロンであってもよい。
【0041】
一部の実施例では、第1の側部ウェルのピーク・ドーピング濃度は、5×1017/cm3を超えてもよく、半導体層構造の上面の下0.8~1.2ミクロンの深さで生じてもよい。
【0042】
一部の実施例では、半導体層構造の上面からのJFET領域の深さは、半導体層構造の上面からの第1の側部ウェルの深さの1.0~1.2倍であってもよい。
【0043】
一部の実施例では、第1の側部ウェルの上部0.2ミクロンのピーク・ドーピング濃度は、第1の側部ウェルのピーク・ドーピング濃度よりも少なくとも1桁低くてもよい。
【0044】
一部の実施例では、JFET領域は、第1及び第2のウェルの形成前に形成されてもよい。
【0045】
一部の実施例では、JFET領域は、第1及び第2のウェルの下に延在してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0046】
【
図1A】従来のパワーMOSFETの単位セルの概略断面図である。
【
図1B】
図1Aの単位セルの側部pウェルのドーピング・プロファイルを深さの関数として示すグラフである。
【
図2A】別の従来のパワーMOSFETの単位セルの概略断面図である。
【
図2B】
図2Aの単位セルの側部pウェルのドーピング・プロファイルを深さの関数として示すグラフである。
【
図3A】さらに別の従来のパワーMOSFETの単位セルの概略断面図である。
【
図3B】
図3Aの単位セルの側部pウェルのドーピング・プロファイルを深さの関数として示すグラフである。
【
図4】本発明の実施例による複数のパワーMOSFETを含む半導体ウエハの概略平面図である。
【
図5A】
図4の半導体ウエハに含まれるパワーMOSFETのうちの1つの概略平面図である。
【
図5B】ソース・メータライゼーションが除去された
図5AのパワーMOSFETの概略平面図である。
【
図6C】
図6A~
図6Bの単位セルのチャネル領域のドーピング・プロファイルを深さの関数として示すグラフである。
【
図6D】
図6A~
図6Bの単位セルのJFET領域のドーピング・プロファイルを深さの関数として示すグラフである。
【
図7】パワーMOSFETの短絡耐量の試験に用いた条件を示す回路図である。
【
図8】従来のMOSFET及び本発明の実施例によるMOSFETの両方について、時間の関数としてシミュレートされたドレイン電流及び格子温度を示すグラフである。
【
図9A】本発明の実施例によるパワーMOSFETを製造する方法を示す概略断面図である。
【
図9B】本発明の実施例によるパワーMOSFETを製造する方法を示す概略断面図である。
【
図9C】本発明の実施例によるパワーMOSFETを製造する方法を示す概略断面図である。
【
図9D】本発明の実施例によるパワーMOSFETを製造する方法を示す概略断面図である。
【
図9E】本発明の実施例によるパワーMOSFETを製造する方法を示す概略断面図である。
【
図9F】本発明の実施例によるパワーMOSFETを製造する方法を示す概略断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0047】
パワー炭化ケイ素MOSFETは、今日、数千ボルトの阻止などの高電圧阻止を必要とする用途に使用されている。一例として、少なくとも10KVの電圧を阻止する10A/cm2以上の電流密度を定格とする炭化ケイ素MOSFETが市販されている。このようなデバイスを形成するために、典型的には、電気的に並列に接続された複数の「単位セル」MOSFETトランジスタが形成される。高電力用途では、多数(例えば、数百又は数千)のこれらの単位セルが、典型的には、単一の半導体基板上に設けられ、半導体基板の上側には、単位セルのすべてに対してゲート電極として作用するゲート電極パターンが形成される。半導体基板の反対(底部)側は、デバイスの単位セルのすべてに対する共通のドレインとして機能する。複数のソース・コンタクトが、ゲート電極パターンの開口部内に露出した半導体層構造のソース領域上に形成される。これらのソース・コンタクトも互いに電気的に接続され、共通のソースとして機能する。結果として得られるデバイスは、3つの端子、すなわち、個々の単位セル・トランジスタのすべてに対して端子として機能する共通のソース端子、共通のドレイン端子、及び共通のゲート電極を有する。上記の説明はn型MOSFETについてのものであり、p型MOSFETについてはドレインとソースの位置が逆になることが理解されよう。
【0048】
パワーMOSFET及び他のゲート制御パワー半導体デバイスの性能を改善することが絶えず要求されている。パワーMOSFETのいくつかの重要な性能パラメータは、チャネル領域のキャリアの移動度、しきい値電圧、オン状態抵抗、高周波スイッチング速度、デバイス信頼性、及びデバイスの「短絡耐量」である。
【0049】
図1Aは、従来の炭化ケイ素パワーMOSFETの単位セル・トランジスタ100の概略断面図である(
図1Aは、2つの隣接する単位セルの一部分も示す)。
図1Bは、単位セル・トランジスタ100の側部pウェルのドーピング・プロファイルを、デバイスの半導体層構造の上面からの深さの関数として示すグラフである。
【0050】
図1Aに示すように、単位セル・トランジスタ100は、n型の炭化ケイ素半導体基板110を含む。低濃度にドープされたn型(n
-)炭化ケイ素ドリフト領域120が、基板110上に設けられている。n型炭化ケイ素ドリフト領域120の上部は、イオン注入によってp型にドープされ、pウェル130を形成することができる。各pウェル130は、主pウェル132と、一対の側部pウェル134とを含む。主pウェル132は、5×10
18/cm
3~5×10
19/cm
3のドーピング濃度を有する。ドーパント濃度は、一般に、pウェル132が炭化ケイ素ドリフト領域120内に深く延在するほど高くなる。単位セル100のチャネル領域136として働く側部pウェル134は、主pウェル132よりもp型ドーパントでより低濃度にドープされている。各側部pウェル134のドーピング濃度プロファイルが
図1Bに示されている(後述する)。各pウェル130は、2つのイオン注入ステップを使用してイオン注入によって形成される。
【0051】
高濃度にドープされた(n+)n型炭化ケイ素ソース領域140がpウェル130の上部に形成されている。n型ソース領域140は、イオン注入によって形成されてもよい。高濃度にドープされた(n+)n型炭化ケイ素領域140は、単位セル・トランジスタ100のソース領域として機能する。ドリフト領域120及び基板110は共に、単位セル・トランジスタ100の共通のドレイン領域として機能する。n型炭化ケイ素基板110、n型炭化ケイ素ドリフト領域120、pウェル130、及びその中に形成されたn型ソース領域140は共に、単位セル・トランジスタ100の半導体層構造150を構成することができる。
【0052】
n型エピタキシャル・パターン160が半導体層構造150上に形成されている。n型エピタキシャル・パターン160は、低いドーピング濃度(例えば、1×1016/cm3~1×1017/cm3)を有することができる。n型エピタキシャル・パターン160は、例えば、0.5~1.5ミクロンの厚さであってもよい。n型エピタキシャル・パターン160の上面には酸化シリコン・ゲート絶縁層170が形成されている。n型エピタキシャル・パターン160の反対側のゲート絶縁層170上にはゲート電極172が形成されている。ソース・コンタクト180は、高濃度にドープされたn型ソース領域140に接触するようにn型エピタキシャル・パターン160の開口部内に形成されている。ドレイン・コンタクト190は、基板110の下面に形成されている。
【0053】
上述したように、チャネル領域136は、側部pウェル134に設けられている。チャネル領域136は、ゲート電極172に十分なバイアス電圧が印加されると、n型ソース領域140をドリフト領域120に電気的に接続する。このようなバイアス電圧がゲート電極172に印加されると、電流は、n型ソース領域140からチャネル領域136を通って、デバイスの「JFET領域」122と呼ばれる、ゲート電極172の下にあるドリフト領域120の部分に流れることができる。
【0054】
図1Bは、単位セル・トランジスタ100の側部pウェル134のドーピング・プロファイルを、半導体層構造150の上面からの深さの関数として示すグラフである。pウェル130は、アルミニウム・イオンを炭化ケイ素ドリフト領域120に注入することによって形成される。
図1Bに示すように、側部pウェル134は、側部pウェル134の上面において約1×10
18/cm
3のアルミニウム・イオンのドーピング濃度を有し、その後、n型エピタキシャル・パターン160から約0.5ミクロンの深さでほぼ5×10
19/cm
3まで増加する傾斜ドーピング・プロファイルを有することができ、ドーピング濃度は、深さが増加するにつれて急速に減少する。側部pウェル134は、側部pウェル134の表面に比較的高いドーピング濃度が提供されるため、比較的低い注入エネルギー(例えば、300~350keV)を使用して注入されることがある。
【0055】
上述したように、パワーMOSFETの2つの重要な性能パラメータは、単位セル・トランジスタのチャネル領域のキャリアの移動度、及びデバイスのしきい値電圧である。チャネル領域136のドーピング・プロファイルは、これらの性能パラメータの両方に大きな影響を及ぼす可能性がある。高いチャネル移動度を有するためには、ゲート絶縁層170の直下のドーピング濃度が低いことが望ましい場合がある。したがって、ゲート絶縁層170の直下に比較的低濃度にドープされたn型エピタキシャル・パターン160を設けることによって、チャンネル移動度を向上させることができる。このような設計により、しきい値電圧も低くなる。さらに、イオン注入の損傷がゲート絶縁層170の直下にないため、このようなイオン注入によって引き起こされる損傷がゲート絶縁層170からさらに除去され、したがって、デバイス性能への影響が少なくなる可能性がある。
【0056】
単位セル・トランジスタ100で形成されたMOSFETは、良好な性能を呈することができる。しかしながら、MOSFETは、第1の組の半導体層を成長させ、構造体を成長反応器から取り出してイオン注入を介してpウェル130及びn型ソース領域140を形成し、その後構造体を成長反応器に戻してn型エピタキシャル・パターン160を形成する必要があるため、製造するのに費用がかかる可能性がある。
【0057】
図2Aは、別の従来の炭化ケイ素パワーMOSFETの単位セル200(及び2つの追加の単位セルの一部分)の概略断面図である。
図2Aに示すように、単位セル・トランジスタ200は、n型炭化ケイ素半導体基板210と、基板210の上面に設けられた低濃度にドープされたn型(n
-)炭化ケイ素ドリフト領域220とを有する。n型炭化ケイ素ドリフト領域220の上部は、イオン注入によってp型にドープされて、それぞれが主pウェル232と一対の側部pウェル234とを含むpウェル230を形成する。高濃度にドープされた(n
+)n型炭化ケイ素ソース領域240が、イオン注入によってpウェル230の上部に形成される。基板210、ドリフト領域220、pウェル230、及びnソース領域240は共に、単位セル・トランジスタ200の半導体層構造250を構成することができる。半導体層構造250上には、絶縁パターン270がゲート形成されている。ゲート絶縁層270上には、ゲート電極272が形成されている。ソース領域240上には、ソース・コンタクト280が形成され、基板210の下面上には、ドレイン・コンタクト290が形成されている。チャネル領域236は、十分なバイアス電圧がゲート電極272に印加されると、ソース領域240をドリフト領域220に電気的に接続する側部pウェル234内に設けられている。
【0058】
単位セル・トランジスタ200は、単位セル・トランジスタ100のn型エピタキシャル・パターン160が単位セル・トランジスタ200では省略されていることを除いて、
図1Aの単位セル・トランジスタ100の構造と同様の構造を有する。さらに、単位セル・トランジスタ200の様々な領域の寸法及びドーピング濃度は、単位セル・トランジスタ100の対応する領域の寸法及びドーピング濃度とは異なる。
【0059】
図2Bは、単位セル・トランジスタ200の側部pウェル234のドーピング・プロファイルを、半導体層構造250の上面からの深さの関数として示すグラフである。
図2Bに示すように、半導体層構造250の表面直下のチャネル領域236のドーパント濃度は、約1×10
17/cm
3である。ドーパント濃度は、半導体層構造250の表面の下約0.5ミクロンの深さで約1×10
19/cm
3のピーク・ドーピング濃度まで増加する。その後、ドーピング濃度は減少し、約0.7ミクロンの深さで1×10
17/cm
3未満に低下する。
【0060】
単位セル・トランジスタ200で形成されたパワーMOSFETは、良好な性能を呈することができるが、その性能は、
図1Aの単位セル・トランジスタ100で形成されたパワーMOSFETの性能ほど良好ではない場合がある。pウェル230は、より高いエネルギーのイオン注入プロセス(例えば、注入エネルギーが約450keVであってもよい)を介して形成されることがあり、その結果、半導体層構造250への損傷が増大することがあるため、単位セル・トランジスタ200で形成されたパワーMOSFETの性能の低下が生じることがある。加えて、半導体格子への損傷は、損傷がデバイス性能に最大の影響を及ぼす可能性があるゲート絶縁層270の直下である場合がある。加えて、
図2Bのドーピング・プロファイルは、
図1Bのドーピング・プロファイルよりも劣っている場合があり、対応する性能の低下が生じることがある。しかしながら、単位セル・トランジスタ200で形成されたパワーMOSFETは、単位セル・トランジスタ100で形成されたパワーMOSFETと比較して、製造するのにかなり安価である場合がある。
【0061】
単位セル・トランジスタ200で形成されたパワーMOSFETに関する別の潜在的な問題は、単位セル・トランジスタ100で形成されたパワーMOSFETと比較して、「短絡耐量」の低下を呈する可能性があることである。パワーMOSFET(又は他のゲート制御パワー半導体デバイス)の「短絡耐量」とは、短絡状態にさらされたときに、デバイスが損傷又は破壊される前にデバイスが動作することができる時間を指す。短絡状態では、ドレイン電流が劇的に増加する。ドレイン電流が大きいと、大電流がデバイスを通過する際に半導体層構造内で散逸される大量の電力に起因して、デバイスの内部温度にスパイクが生じる。短絡状態でデバイスがいかに急速に加熱されるかは、デバイスのパッケージングの放熱特性及び動作条件の関数である。例えば、単位セル200で形成されたパワーMOSFETが1200ボルトの電圧で500アンペアを伝導する場合、電力は1200V×500A=60キロワットとなる。典型的なパッケージングによるパワーMOSFETは、例えば、0.01℃/Wの熱インピーダンスを有することがある。したがって、このようなMOSFETの場合、60キロワットで動作させると、デバイスは約600℃まで加熱される(60キロワット*0.01℃/W=600℃)。典型的には、MOSFETは、例えば、1マイクロ秒などの非常に短い時間、故障することなく、そのような温度に耐えることができるに過ぎない。対照的に、同じMOSFETは、故障することなく、200℃で10時間動作することができる場合がある。
【0062】
このような故障からMOSFETを保護するために、短絡状態が生じているときを感知し、それに応答してゲート電圧を(例えば、0ボルトに)低下させる制御回路が設けられていることがある。短絡状態は、通常の動作状態ではなく、典型的には、MOSFETを含むより大きなシステムが意図した通りに動作していないために生じる。しかしながら、短絡状態が生じた場合、制御システムは、デバイスの故障を防止するためにゲート電圧を迅速に遮断することができなければならないため、MOSFETの短絡耐量は重要である。短絡耐量の持続時間が短いほど、制御回路はより速く動作することができなければならない。
【0063】
図3Aは、短絡性能が改善されるように設計された別の従来の炭化ケイ素パワーMOSFETの単位セル300(及び2つの追加の単位セルの一部分)の概略断面図である。
【0064】
図3Aに示すように、単位セル・トランジスタ300は、n型の炭化ケイ素半導体基板310と、基板310の上面に設けられた低濃度にドープされたn型(n
-)の炭化ケイ素ドリフト領域320とを含む。n型の炭化ケイ素ドリフト領域320の上部は、イオン注入によってp型にドープされて、それぞれが主pウェル332と一対の側部pウェル334とを含むpウェル330を形成する。pウェル330の上部には、イオン注入によって高濃度にドープされた(n
+)n型炭化ケイ素ソース領域340が形成されている。ドリフト領域320の上部のpウェル330間には、JFET領域322が画定されている。基板310、ドリフト領域320(JFET領域322を含む)、pウェル330、及びソース領域340は共に、単位セル・トランジスタ300の半導体層構造350を構成することができる。半導体層構造350の上面には、ゲート絶縁層370が直接形成されている。ゲート絶縁層370上には、ゲート電極372が形成されている。ソース・コンタクト380は、高濃度にドープされたn型ソース領域340及びpウェル330上に形成されている。基板310の下面には、ドレイン・コンタクト390が形成されている。
【0065】
pウェル330は、深いpウェル330を形成すると同時に、比較的低い注入エネルギーを使用することを可能にするチャネリング・イオン注入を介して形成される。チャネリング・イオン注入を使用することにより、半導体層構造350の上部を低濃度にしかドープされていないp型にするか、又はn型のままにしておくことさえも可能である。側部ウェル334及び主ウェル332は、同じ又は異なるドーピング・プロファイルを有することができる。異なるドーピング・プロファイルが設けられる場合、主ウェル332は、側部ウェル334よりも高濃度にドープされることがある。少なくとも側部ウェル334は、低エネルギーのチャネリング・イオン注入技術を用いて形成される。pウェル330は、1.5ミクロン~6.0ミクロン以上の深さDを有することができる。JFET領域322の幅Wは、pウェル330の深さが増加しているため、通常よりも大きくしている。
【0066】
図3Bは、単位セル・トランジスタ300の側部ウェル334の(p型ドーパント)ドーピング・プロファイルを、半導体層構造350の上面からの深さDの関数として示すグラフである。
図3Bに示すように、側部pウェル334の表面直下のp型ドーパント濃度は、1×10
15/cm
3未満と非常に低い場合がある。p型ドーパント濃度は、最初の0.9ミクロン全体わたって急激に増加し、半導体層構造350の上面から約0.9ミクロンの深さで約8×10
16/cm
3のピーク・ドーピング濃度になる。その後、ドーピング濃度は、約2.8ミクロンの深さで約3×10
16/cm
3のドーピング濃度まで非常に緩やかに減少する。その後、ドーピング濃度は急速に減少し、3.5ミクロンの深さで検出レベル以下になる。
【0067】
図3Aのデバイスは、改善されたショット回路能力を呈することができるが、デバイスは、特殊な機器を必要とし、製造時間を増加させるチャネリング・イオン注入を使用して形成される。さらに、チャネリング・イオン注入を使用して達成可能な最大ドーピング濃度は、約1×10
17/cm
3であり、これは、短絡動作状態でデバイスのJFET領域322を空乏化するには不十分な場合がある。また、
図3AのMOSFETは、JFET領域322が広くなっており、これにより、ウエハの所与の領域に形成することができる単位セルの数が減少する。
【0068】
本発明の実施例によると、阻止電圧、スイッチング時間、及びオン状態抵抗に関して非常に高いレベルの性能を依然として提供しながら、改善された短絡耐量を呈することができるパワーMOSFET及び他のゲート制御デバイスが提供される。この改善された性能は、高エネルギーイオン注入を使用して、デバイスの半導体層構造内に高濃度にドープされた底部部分を有する比較的深いpウェルを形成することによって達成することができる。pウェルの底部のドーピングレベルが高いため、pウェルの下部が横方向に広がり、JFET領域の下部の少なくとも一部の幅が減少する。より深く、高濃度にドープされたpウェル、及びJFET領域の下部の幅の減少は、JFET領域に形成される空乏領域のサイズ及び幅を増加させ、より良好なピンチオフ効果をもたらし、飽和ドレイン電流を低下させる。飽和電流が低下すると、短絡状態で動作するときのデバイス内の電力損失が減少し、したがって、デバイスの内部温度の上昇が低減する。したがって、従来のデバイスと比較してデバイスの短絡耐量を向上させることができる。
【0069】
pウェルの下部のドーピングレベルが高くなることに起因してJFET領域の下部が狭くなることは、デバイスの比オン抵抗を増加させるように作用する可能性があり、これは望ましくない。オン抵抗の増加を打ち消すために、JFET領域のドーピング濃度を従来のレベルよりも高くすることができ、JFET領域の深さを増加させることができる。例えば、JFET領域は、深いpウェルと少なくとも同程度の深さであってもよい。このより深く、より高濃度にドープされたJFET領域は、デバイスの比オン抵抗の増加を緩和することができる。より深く、より高濃度にドープされたJFET領域は、高温での比オン抵抗の値を下げることもでき、これは、短絡状態でデバイスの内部温度が上昇する速度を低下させるのに役立つ(すなわち、デバイスの温度係数が小さくなる)。これにより、デバイスの短絡耐量をさらに向上させることができる。
【0070】
さらに、JFET領域の下部を狭くすることは、ゲート電極をドレインからシールドするのに役立ち、その結果、デバイスのゲート-ドレイン間の固有キャパシタンス・レベルが低下する。ゲート-ドレイン間の固有キャパシタンスに対するゲート-ソース間の固有キャパシタンスの比は、信頼性の高い高周波スイッチング性能にとって最も重要な要因の1つであり、したがって、ゲート-ドレイン間の固有キャパシタンスの低減は、デバイスの性能を向上させることができる。さらに、より深く、高濃度にドープされたpウェルは、デバイスのJFET領域内に形成される空乏領域のサイズ及び幅を増加させ、動作中のJFET領域及びゲート絶縁層の両方の電界値を減少させる。パワーMOSFET及び他のゲート制御スイッチング・デバイスの1つの知られている故障メカニズムは、高電界への長時間暴露によるゲート絶縁層の破壊であるため、改善されたシールドは、本発明の実施例によるデバイスの寿命、したがって信頼性を向上させることができる。
【0071】
本発明の一部の実施例によると、第1の導電型(例えば、n型)を有する炭化ケイ素ドリフト領域と、ドリフト領域の上部に位置する第1及び第2のウェルとを有する半導体層構造を含むパワー半導体デバイスが提供され、第1及び第2のウェルは、第2の導電型(例えば、p型)を有するドーパントでドープされる。JFET領域は、第1のウェルと第2のウェルとの間の炭化ケイ素ドリフト領域に画定される。第1のウェルは、第1の主ウェルと、第1の主ウェルとJFET領域との間にある第1の側部ウェルとを含み、第2のウェルは、第2の主ウェルと、第2の主ウェルとJFET領域との間にある第2の側部ウェルとを含む。第1及び第2の側部ウェルは、それぞれの第1及び第2のチャネル領域を含む。JFET領域のドーピング濃度は、炭化ケイ素ドリフト領域のドーピング濃度を超え、JFET領域の上部の最大幅は、JFET領域の下部の最小幅よりも大きい。例示的な実施例では、JFET領域の上部の最大幅は、JFET領域の下部の最小幅よりも少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも80%、又は少なくとも100%大きくてもよい。このような実施例では、JFET領域の上部は、JFET領域の上半分であってもよく、JFET領域の下部は、JFET領域の下半分であってもよい。例えば、JFET領域の上半分の最大幅は、JFET領域の下半分の最小幅よりも40%~80%大きくてもよい。上記の実施例のそれぞれにおいて、JFET領域の上部の最大幅は、JFET領域の下部の最小幅の3倍(すなわち、300%)未満であってもよい。
【0072】
一部の実施例では、半導体層構造の上面からのJFET領域の深さは、半導体層構造の上面からの第1の側部ウェルの深さ以上であってもよい。半導体層構造の上面からの第1の側部ウェルの深さは、一部の実施例では、1.0~1.6ミクロンであってもよい。半導体層構造の上面からのJFET領域の深さは、第1の側部ウェルの深さの1.0~1.2倍であってもよい。例えば、第1の側部ウェルの深さは、半導体層構造の上面から1~1.5ミクロンであってもよく、JFET領域の深さは、1~1.7ミクロンであってもよく、第1の側部ウェルの深さと少なくとも同程度の深さであってもよい。JFET領域は、一部の実施例では、側部ウェルの下に延在してもよい。
【0073】
第1の側部ウェルのピーク・ドーピング濃度は、5×1017/cm3又はさらには1×1018/cm3を超えてもよく、一部の実施例では、半導体層構造の上面の下0.8~1.2ミクロンの深さで生じてもよい。さらに、第1の側部ウェルの上部0.2ミクロンのピーク・ドーピング濃度は、第1の側部ウェルのピーク・ドーピング濃度よりも少なくとも1桁低くてもよい。
【0074】
JFET領域の下部の幅は、JFET領域の深さよりも小さくてもよい。例示的な実施例では、JFET領域の下部の幅は、JFET領域の深さの40%未満、50%未満、60%未満、70%未満、又は80%未満であってもよい。JFET領域の上部の幅は、JFET領域の深さよりも大きくても小さくてもよい。例示的な実施例では、JFET領域の上部の幅は、JFET領域の深さの70%~130%、JFET領域の深さの80%~120%、又はJFET領域の深さの90%~110%であってもよい。
【0075】
次に、
図4~
図9Fを参照して、本発明の実施例によるパワー半導体デバイスの例示的な実施例について説明する。
【0076】
図4は、本発明の実施例による複数のパワーMOSFET410を含むウエハ400の概略平面図である。パワーMOSFET410は、行及び列に形成されてもよく、パッケージング及びテストためにウエハ400を後で個片化(例えば、ダイシング)して、個々のパワーMOSFET410を分離することができるように互いに離間されていてもよい。ウエハ400は、一部の実施例では、例えば、1つ又は複数の炭化ケイ素層が上に(例えば、エピタキシャル成長によって)形成された4H炭化ケイ素基板を含んでもよい。パワーMOSFET410を形成するために、炭化ケイ素半導体層構造上に他の半導体層(例えば、ポリシリコン層)、絶縁層及び/又は金属層が形成されてもよい。
【0077】
図5Aは、
図4のウエハ400に含まれるパワーMOSFET410のうちの1つの概略平面図である。
図5Bは、ソース・メータライゼーション及びゲート・ボンド・パッドが除去された
図5AのパワーMOSFET410の概略平面図である。
【0078】
図5Aに示すように、ゲート・ボンド・パッド420及び1つ又は複数のソース・ボンド・パッド430-1、430-2は、MOSFET410の半導体層構造の上面に形成されてもよい。ドレイン・ボンド・パッド440(
図5Aでは点線のボックスによって示す)は、MOSFET410の底部側に設けられてもよい。各ボンドパッド420、430、440は、ボンド・ワイヤが熱圧着又ははんだ付けなどの従来の技術によって容易に取り付けられ得るアルミニウムなどの金属で形成されてもよい。
【0079】
以下でより詳細に説明するように、MOSFET410の半導体層構造のソース領域に接触するソース・コンタクトが設けられる。ソース・コンタクトは、MOSFET410の上面の大部分にわたって延在するソース金属パターン432の下部であってもよい。ソース金属パターン432は、ソース金属パターン432のかなりの部分が保護層450によって覆われているため、
図5Aでは破線のボックスによって示されている。ソース・ボンド・パッド430-1、430-2は、保護層450の開口部452を通して露出するソース金属パターン432の部分である。
図5Aには、ゲート・ボンド・パッド420及びソース・ボンド・パッド430-1、430-2を外部回路などに接続するために使用することができるボンド・ワイヤ460が示されている。
【0080】
図5Bに示すように、ゲート・パッド424と、複数のゲート・フィンガー426と、ゲート・フィンガー426をゲート・パッド424に電気的に接続する1つ又は複数のゲート・バス428と、を含むゲート電極パターン422が設けられてもよい。ゲート・パッド424は、ゲート・ボンド・パッド420の真下にあり、ゲート・ボンド・パッド420に電気的に接続されてもよく、ゲート・フィンガー426は、デバイス全体にわたって水平に延在してもよい。絶縁層(図示せず)がゲート・フィンガー426及びゲート・バス428を覆ってもよい。ソース金属パターン432は、ゲート・フィンガー426の上の絶縁膜上に形成されてもよい。ソース金属パターン432のソース・コンタクトは、絶縁層(図示せず)の開口部を通って、ゲート・フィンガー426間を下方に延在し、半導体層構造の対応するソース領域に接触する。MOSFET410は、並列に配置された複数の単位セル・トランジスタ500を含む。文脈を提供するために、1つの単位セル500の位置が
図5Bに示されている。
【0081】
図6Aは、
図5A及び
図5BのパワーMOSFET410の単位セル・トランジスタ500の概略平面図である。
図6Bは、
図6Aの線6B-6Bに沿った概略断面図である。
図6Bは、文脈を提供するために、1つの完全な単位セル500と、その両側の2つの追加の単位セルの一部分とを示していることが理解されるであろう。
【0082】
図6A~
図6Bを参照すると、単位セル・トランジスタ500は、例えば、n型不純物で高濃度にドープされた単結晶4H炭化ケイ素半導体基板などのn型炭化ケイ素半導体基板510上に形成されてもよい。基板510のドーピング濃度は、例えば、1×10
18原子/cm
3~1×10
21原子/cm
3であってもよいが、他のドーピング濃度が使用されてもよい。本明細書では、半導体材料の「ドーピング濃度」とは、二次イオン質量分析法(SIMS:Secondary Ion Mass Spectrometry)などの標準的な測定技術を使用して測定される、半導体材料の1立方センチメートル内に存在する、半導体材料に特定の導電型(すなわち、n型又はp型のいずれか)を持たせるドーパント原子の数を指す。n型半導体材料の場合、ドーピング濃度への言及はn型ドーパントの濃度を指し、p型半導体材料の場合、ドーピング濃度への言及はp型ドーパントの濃度を指す。基板510は、任意の適切な厚さ(例えば、100~500ミクロン厚)であってもよい。基板510は、一部の実施例では、部分的又は完全に除去されてもよい。
【0083】
基板510上には、低濃度にドープされたn型(n
-)炭化ケイ素ドリフト領域520が設けられている。n型炭化ケイ素ドリフト領域520は、例えば、炭化ケイ素基板510上にエピタキシャル成長させることによって形成されてもよい。n型炭化ケイ素ドリフト領域520は、例えば、1×10
14~5×10
16ドーパント/cm
3のドーピング濃度を有していてもよい。ドーピング濃度は、デバイスの電圧阻止定格によって変わることがあり、より高い電圧阻止定格を有するデバイスは、典型的には、ドリフト領域520により低いドーピング濃度を有する。例えば、10KV以上の電圧阻止定格を有するMOSFETは、1×10
14~5×10
14ドーパント/cm
3のドリフト領域ドーピング濃度を有することがあり、一方、500V以上の電圧阻止定格を有するMOSFETは、1×10
16~5×10
16ドーパント/cm
3のドリフト領域ドーピング濃度を有することがある。n型炭化ケイ素ドリフト領域520は、基板510の上方に例えば3~100ミクロンの垂直高さを有する厚い領域であってもよい。
図6Bには示されていないが、一部の実施例では、n型炭化ケイ素ドリフト領域520の上部は、ドリフト領域520の残りの部分よりも高濃度にドープされて、ドリフト領域520の上部に電流拡散層を提供することができる。この電流拡散層のドーピング濃度は、ドリフト領域520の残りの部分のドーピング濃度よりも、例えば、約1.5~4.0倍高くてもよい。
【0084】
pウェル530は、n型ドリフト領域520の上部(又は、電流拡散層が設けられている場合には電流拡散層)に形成される。JFET領域522は、隣接するpウェル530間のドリフト領域520の上部に画定される。pウェル530は、主ウェル532と、主ウェル532の両側にある側部ウェル534とを含むことができる。主ウェル532及び側部ウェル534は、同一にドープされてもよく、又は異なるようにドープされてもよい。単位セル500のチャネル領域536は、側部pウェル534内にある。チャネル領域536は、ゲート電極572に十分なバイアス電圧が印加されると、n型ソース領域540(後述する)をJFET領域522に電気的に接続する。
【0085】
pウェル530は、イオン注入によって形成される。当業者に知られているように、n型又はp型ドーパントなどのイオンは、所望のイオン核種をイオン化し、イオン注入ターゲット・チャンバ内で半導体層の表面に向けてイオンビームとして所定の運動エネルギーでイオンを加速することによって、半導体層又は領域に注入することができる。所定の運動エネルギーに基づいて、所望のイオン核種が半導体層に侵入することができる。イオンは、所定の運動エネルギーが、深さの関数としてイオン濃度が変化する注入「プロファイル」を提供するように、半導体層に異なる深さで注入される。ドーパントは、例えば、Al+又はN+イオンを含んでもよいが、任意の適切なドーパントイオンが使用されてもよい。一部の実施例では、注入は、例えば、75℃以上の温度などの異なる温度で行われてもよい。
【0086】
図6Cは、側部ウェル534の例示的なドーピング・プロファイルを示すグラフである。
図6Cに示すように、側部ウェル534は、その表面付近で約1×10
17/cm
3の濃度にドープされ、ドーピング濃度は、概して、深さとともに増加する。
図6Cに示す例示的な実施例では、ドーピング濃度は、pウェル530の表面下約1ミクロンの深さで約5×10
18/cm
3のピークに達する。ドーピング濃度は、約1ミクロン未満の深さで急激に低下し、約1.4ミクロンの深さでドリフト領域520の上部のバックグラウンドn型ドーピング濃度レベルを下回る。
【0087】
図6Cに示すドーピング・プロファイルは、より高いエネルギーのイオン注入を使用することによって達成することができる。例えば、イオン注入は、500keV~2MeVの注入エネルギーで行われてもよい。これらのより高い注入エネルギーを使用して、側部ウェル534の下部をその上部よりも高濃度にドープし、1.0ミクロン以上の注入深さを達成することができ、したがって、側部pウェル534の深さは、例示的な実施例では0.8~2.0ミクロン、他の例示的な実施例では1.0~1.7ミクロン、さらに他の例示的な実施例では1.1~1.5ミクロンとすることができる。側部ウェル534のピーク・ドーピング濃度は、一部の実施例では、8×10
17~1×10
19ドーパント/cm
3であってもよく、他の例示的な実施例では、1×10
18~8×10
18ドーパント/cm
3であってもよい。ピーク・ドーピング濃度は、一部の実施例では、半導体層構造550の上面の下0.7~1.5ミクロンの深さで、他の実施例では、0.8~1.2ミクロンの深さで生じてもよい。
【0088】
pウェル530は、マルチステップ・イオン注入プロセスを使用して形成されてもよいことが理解されるであろう。例えば、第1のイオン注入ステップでは、比較的低いドーズ量のアルミニウム・イオンが比較的低い注入エネルギー・レベルで注入されてもよい。第2のイオン注入ステップでは、中程度のドーズ量のアルミニウム・イオンが中程度の注入エネルギー・レベルで注入されてもよい。第3のイオン注入ステップでは、高いドーズ量のアルミニウム・イオンが高い注入エネルギー・レベルで注入されてもよい。一部の実施例では、高ドーズ量のアルミニウム・イオンは、低ドーズ量のアルミニウム・イオンよりも少なくとも1桁高くてもよく、又は低ドーズ量のアルミニウム・イオンよりも少なくとも2桁高くてもよい。一部の実施例では、高ドーズ量のアルミニウム・イオンは、中程度のドーズ量のアルミニウム・イオンより少なくとも1桁高くてもよい。一部の実施例では、高ドーズ量のアルミニウム・イオンは、中程度のドーズ量のアルミニウム・イオンを注入するために使用される注入エネルギーの少なくとも2倍、又は少なくとも3倍の注入エネルギーを使用して注入されてもよい。一部の実施例では、高ドーズ量のアルミニウム・イオンは、低ドーズ量のアルミニウム・イオンを注入するために使用される注入エネルギーの少なくとも4倍、少なくとも5倍、少なくとも6倍、少なくとも7倍、又は少なくとも8倍の注入エネルギーを使用して注入されてもよい。アルミニウム以外のイオンも使用することができる。
【0089】
図6Bで最もよく分かるように、側部ウェル534の底部部分のより高いドーピング濃度により、側部pウェル534は横方向に広がる。その結果、pウェル530間に画定されるJFET領域522の上部は、JFET領域522の下部の少なくとも一部よりも広い。ここで、JFET領域522の上部とは、JFET領域522の上半分を指し、JFET領域522の下部とは、JFET領域522の下半分を指す。例えば、
図6Bに示すように、JFET領域522の上部は、第1の最大幅W
1を有する。JFET領域522の上部の幅は、
図6Bでは一定であるように示されているが、実際のデバイスでは、典型的には、幅にある量のばらつきがあり、幅W
1は、JFET領域522の上部の最大幅である。JFET領域522の下部の幅は可変であり、JFET領域522の下部の最小幅W
2は、JFET領域522の上部の最大幅W
1よりも小さい。一部の実施例では、JFET領域522の上部の最大幅W
1は、0.8~3.0ミクロンであってもよい。他の実施例では、JFET領域522の上部の最大幅W
1は、1.0~2.0ミクロンであってもよい。さらに他の実施例では、JFET領域522の上部の最大幅W
1は、1.0~1.5ミクロンであってもよい。一部の実施例では、JFET領域522の下部の最小幅W
2は、0.4~1.5ミクロンであってもよい。他の実施例では、JFET領域522の下部の最小幅W
2は、0.5~1.0ミクロン又は0.5~0.75ミクロンであってもよい。一部の実施例では、幅W
2は、幅W
1の30%~80%であってもよい。他の実施例では、幅W
2は、幅W
1の40%~60%であってもよい。一部の実施例では、JFET領域522の下半分の最小幅は、JFET領域522の上半分の平均幅の35%~90%、又はJFET領域522の上半分の平均幅の45%~65%であってもよい。
【0090】
上述したように、JFET領域522の下部の狭くなった領域は、単位セル500を含むデバイスの比オン抵抗を増加させるように作用する可能性がある。オン抵抗の増加を打ち消すために、より深いJFET領域522がデバイス内に設けられ、JFET領域522は、側部pウェル534と少なくとも同程度の深さであってもよい。さらに又は代替として、JFET領域522のドーピング濃度を従来のレベルよりも高くすることができる。より深く、より高濃度にドープされたJFET領域522は、高温での比オン抵抗の値を低減することもでき、これは、短絡状態でデバイスの内部温度が上昇する速度を低下させるのに役立つ(すなわち、デバイスの温度係数が小さくなる)。これにより、デバイスの短絡耐量をさらに向上させることができる。より深く、より高濃度にドープされたJFET領域522は、一部の実施例では、イオン注入によって形成されてもよい。
図6Bは、JFET領域522の深さがpウェル530の深さとほぼ同じである実施例を示す。
図6Eは、pウェル530の深さよりも約20%深い深さを有するJFET領域522’を含む単位セル500の修正版500’を示す。
図6Eの実施例は、イオン注入によってpウェル530を形成する前に、イオン注入によってJFET領域522を形成することによって形成されてもよい。
【0091】
図6Dは、JFET領域522の例示的なドーピング・プロファイルを示すグラフである。
図6Dに示すように、追加のn型ドーパント(例えば、窒素イオン)が、約6×10
16/cm
3の濃度でJFET領域522に注入されている。
図6Dの例では、JFET領域522をドープするために、それぞれ異なる注入エネルギーで合計6回のイオン注入ステップが実行され、その結果、
図6Dに示す6つのピークが得られている。注入された窒素イオンは、半導体格子内でアルミニウム・イオンほど偏向しない傾向があり、したがって、
図6Dの例示的な実施例では、JFET領域522全体にわたってかなり一定のドーピング・プロファイルを得るために、より多くの注入ステップが使用された。本例では、ドリフト領域520のバックグラウンドn型ドーピング濃度は約2×10
16/cm
3であり、したがって、JFET領域522は、バックグラウンド・ドーピング濃度の2~3倍高いドーピング濃度を有する。ドーピング濃度は、約1.25ミクロン未満の深さで急激に低下し、約1.35ミクロンの深さでバックグラウンドのn型ドーピング濃度レベル未満となる。
図6Cと
図6Dとを比較することによって分かるように、JFET領域522の深さは、側部pウェル534の深さにほぼ等しい。pウェル530(若しくはその一部)又はJFET領域522などのイオン注入によって形成された領域の深さとは、ドーピング濃度がバックグラウンドのドーピング濃度に等しいレベルまで低下する、その領域の表面(又は別の基準表面)より下の深さを指す。バックグラウンド・ドーピング濃度は、同じ導電型又は異なる導電型であってもよい。
【0092】
一部の実施例では、JFET領域522の深さは、側部pウェル534の深さの0.8~1.5倍であってもよい。一部の実施例では、JFET領域522の深さは、側部pウェル534の深さの1.0~1.4倍の深さであってもよい。さらに他の実施例では、JFET領域522の深さは、側部pウェル534の深さの1.0倍~1.2倍の深さであってもよい。一部の実施例では、JFET領域522の深さは、0.8~2.0ミクロンであってもよい。他の実施例では、JFET領域522の深さは、1.0~1.7ミクロンであってもよい。
【0093】
JFET領域の下部の幅は、JFET領域522の深さよりも小さくてもよい。例示的な実施例では、JFET領域522の下部の幅は、JFET領域522の深さの40%未満、50%未満、60%未満、70%未満、又は80%未満であってもよい。JFET領域522の上部の幅は、JFET領域522の深さより大きくてもよく、又は小さくてもよい。例示的な実施例では、JFET領域522の上部の幅は、JFET領域522の深さの70%~130%、JFET領域522の深さの80%~120%、又はJFET領域522の深さの90%~110%であってもよい。
【0094】
主ウェル532及び側部ウェル534は、同じプロセスで形成されてもよく、深さの関数として同じp型ドーピング濃度を有してもよい。しかしながら、他の実施例では、主ウェル532及び側部ウェル534は、異なるドーピング・プロファイルを有するように形成されてもよいことが理解されるであろう。例えば、主ウェル532の上部のp型ドーパント濃度を5×1018/cm3~5×1019/cm3に増加させるために追加の浅いイオン注入を行ってもよい。
【0095】
pウェル530が形成された後、高濃度にドープされた(n+)n型炭化ケイ素ソース領域540がpウェル530の上部に形成されてもよい。n型ソース領域540は、イオン注入によって形成されてもよい。基板510、ドリフト領域520(JFET領域522及び任意の電流拡散層を含む)、pウェル530、及びソース領域540は共に、半導体層構造550を構成する。
【0096】
pウェル530、JFET領域522及びソース領域540を形成するために使用されるイオン注入ステップは、任意の適切な順序で実行されてもよい。例えば、JFET領域522へのイオン注入は、pウェル530の形成の前又は後に行われてもよい。典型的には、pウェル530は、高濃度にドープされた(n+)n型炭化ケイ素ソース領域540の前に形成されるが、そうである必要はない。
【0097】
n型ソース領域540が形成された後、半導体層構造550の上面にゲート絶縁層570が形成されてもよい。ゲート絶縁層570は、n型エピタキシャル層を介在させずに、半導体層構造550上に直接形成されてもよい。ゲート絶縁層570は、例えば、酸化シリコン層を含むことができるが、他の絶縁材料が使用されてもよい。ゲート絶縁層570上には、ゲート電極572が形成される。ゲート電極572は、例えば、複数の単位セル・トランジスタ500のゲート電極として機能する導電性ゲート・フィンガーを含んでもよい。
【0098】
ソース・コンタクト580は、高濃度にドープされたn型ソース領域540及びウェル領域530上に形成されてもよい。図面を簡略化するために示されていないが、ソース・コンタクト580は、MOSFET410の炭化ケイ素半導体層構造の上面全体にわたって延在する連続的なソース・パターン432の一部であってもよい(
図5A参照)。ソース・コンタクト580は、例えば、ニッケル、チタン、タングステン、及び/又はアルミニウムなどの金属、及び/又は合金、並びに/或いはこれら及び/又は同様の材料の薄層スタックを含むことができる。基板510の下面には、ドレイン・コンタクト590が形成されてもよい。ドレイン・コンタクト590は、炭化ケイ素基板へのオーミック・コンタクトを形成するため、例えば、ソース・コンタクトと同様の材料を含むことができる。
【0099】
深く、高濃度にドープされたpウェル530と、JFET領域522の下部の少なくとも一部を狭くすることとにより、従来のデバイスと比較して強化されたシールドを提供することができる。この強化されたシールドにより、オン状態動作中のJFET領域522及びゲート絶縁層570の電界値を減少させることができる。パワーMOSFET及び他のゲート制御スイッチング・デバイスの1つの知られている故障メカニズムは、高電界への長時間暴露によるゲート絶縁層570の破壊であるため、改善されたシールドは、本発明の実施例によるデバイスの寿命、したがって信頼性を向上させることができる。加えて、強化されたシールドは、ゲート電極572をドレイン・コンタクト590からシールドするのに役立ち、その結果、デバイスのゲート-ドレイン間の固有キャパシタンス・レベルが低下し、これにより、単位セル500を含むデバイスの高周波スイッチング性能を向上させることができる。
【0100】
JFET領域522の下部の幅を低減することにより、デバイスが短絡状態で動作するときの空乏領域のサイズが増加し、これにより、ピンチオフ効果が改善され、それによって飽和ドレイン電流のレベルが減少する。したがって、従来のデバイスと比較してデバイスの短絡耐量を向上させることができる。JFET領域522の深さ及びドーピング濃度の増大は、より深く、より高濃度にドープされた側部pウェル534を設けた結果として生じることがあるデバイスの比オン抵抗の増加を相殺するのに役立つ場合がある。より深く、より高濃度にドープされたJFET領域522は、高温での比オン抵抗の値を低減することもでき、これは、短絡状態でデバイスの内部温度が上昇する速度を低下させるのに役立つ(すなわち、デバイスの温度係数が小さくなる)。これにより、デバイスの短絡耐量をさらに向上させることができる。
【0101】
単位セル・トランジスタ500は、その上面にソース・コンタクト580を有し、その底面にドレイン・コンタクト590を有するn型デバイスであるが、p型デバイスでは、これらの位置が逆になることが理解されよう。したがって、以下の説明(特許請求の範囲を含む)の一部分において、ソース・コンタクト及びドレイン・コンタクトは、一般に「ソース/ドレイン・コンタクト」と呼ばれることがあり、この用語は、一般にソース・コンタクト又はドレイン・コンタクトのいずれかを指す。
【0102】
上述した例示的な単位セル500では、JFET領域522のドーピング濃度は、炭化ケイ素ドリフト領域520のドーピング濃度を超えてもよい。JFET領域522の上部の最小幅W1は、JFET領域522の下部の最小幅W2よりも大きくてもよい。第1の側部ウェル534の深さは、少なくとも1.0ミクロンであってもよく、JFET領域522の深さは、第1の側部ウェル534の深さ以上であってもよい(例えば、JFET領域522の深さは、第1の側部ウェル534の深さの1.0~1.2倍であってもよい)。例えば、第1の側部ウェル534の深さは、1~1.5ミクロンであってもよく、JFET領域522の深さは、1~1.7ミクロンであってもよく、第1の側部ウェル534の深さ以上であってもよい。JFET領域522の上部の最小幅W1は、一部の実施例では、JFET領域522の下部の最小幅W2よりも少なくとも50%大きくてもよい。
【0103】
第1の側部ウェル534のピーク・ドーピング濃度は、5×1017/cm3を超えてもよく、半導体層構造550の上面の下0.8~1.2ミクロンの深さで生じてもよい。さらに、第1の側部ウェル534の上部0.2ミクロンのピーク・ドーピング濃度は、第1の側部ウェル534のピーク・ドーピング濃度よりも少なくとも1桁低くてもよい。第1の側部ウェル534のピーク・ドーピング濃度は、半導体層構造550の上面から第1の深さで生じてもよく、第1の深さにおけるJFET領域522のドーピング濃度は、第1の側部ウェル534のピーク・ドーピング濃度よりも少なくとも1桁低くてもよい。
【0104】
図7は、短絡状態のMOSFETを示す回路図である。
図7に示すように、パワーMOSFETは、そのソース端子が接地に結合され、高い直流(DC)電圧(VDC)がドレイン端子に印加される場合がある。一例として、VDCの値は、800ボルト又は他の何らかの高い値である場合がある。この状態で、デバイスのしきい値電圧を超える電圧Vgがゲート電極に印加されると、デバイスは導通し始め、ドレイン電流が、ソース端子とドレイン端子との間の大きな電圧差に照らして急速に増加する。上述したように、デバイス構造内の電力損失は、ドレイン電流が増加するにつれ増加し、デバイスを急速に加熱し、短絡状態が迅速に修正されない場合は、結果として、典型的には、永久的なデバイス故障となる。
【0105】
図8は、短絡状態で動作する従来のMOSFET(曲線600及び602)並びに本発明の実施例によるMOSFET(曲線610及び612)の両方について、シミュレートされたドレイン電流及び格子温度を時間の関数として示すグラフである。曲線600によって示すように、従来のデバイスのドレイン電流は、約1050アンペアまで急速に上昇し、その後、JFET領域内の空乏化によるピンチオフ効果によってドレイン電流が飽和するにつれて減少する。曲線602によって示すように、従来のMOSFET内の温度は、短絡状態が生じてから3×10
-6秒以内にほぼ2000Kまで上昇する。対照的に、曲線610によって示すように、本発明の実施例によるMOSFETのドレイン電流は、約675アンペアまでしか上昇せず、その後ドレイン電流が飽和するにつれて減少し、デバイス内の温度(曲線612)は、短絡状態が生じてから3×10
-6秒以内に約1500Kまでしか上昇しない。これは、本発明の実施例による半導体デバイスが改善された短絡耐量を呈することができることを示す。
【0106】
図9A~
図9Fは、本発明の実施例によるパワーMOSFETを製造する方法を示す概略断面図である。
図9Aに示すように、基板510上に低濃度にドープされたn型(n
-)炭化ケイ素ドリフト領域520が形成されてもよい。基板510は、n型不純物で高濃度にドープされた単結晶4H炭化ケイ素半導体基板などの炭化ケイ素半導体基板510であってもよい。n型炭化ケイ素ドリフト領域520は、エピタキシャル成長によって形成されてもよく、例えば、1×10
14~5×10
16ドーパント/cm
3のドーピング濃度を有してもよい。n型炭化ケイ素ドリフト領域520の上部(例えば、上部2~3ミクロン)は、ドリフト領域520の上部に電流拡散層を形成するために、ドリフト領域520の残りの部分よりも高濃度にドープされてもよい。
【0107】
図9Bに示すように、pウェル530は、イオン注入によってn型ドリフト領域520の上部に形成される。マスク521(例えば、厚い酸化物層)が、ドリフト領域520の上面に形成される。次いで、マスク521をイオン注入マスクとして使用して、イオン注入によってP型ドーパントが注入される。所望のドーピング・プロファイルを達成するために、マルチステップ注入が使用されてもよい。例えば、低ドーズ量での低エネルギー注入(例えば、50keVで1×10
12)を使用して、pウェル530の上部を形成することができ、次いで、低~中程度のドーズ量での中程度のエネルギー注入(例えば、100keVで2×10
12)を使用して、pウェル530の(深さ方向の)中間部分を形成することができる。高ドーズ量での高エネルギー注入(例えば、500keVで1×10
14)を使用して、pウェル530の下部を形成することができる。
図9Bに示すように、散乱効果により、pウェル530は、マスク521に形成された開口部を越えて横方向に延在する。pウェル530のより高濃度にドープされた下部は、pウェル530のより低濃度にドープされた中間領域及び上部領域よりもさらに遠くに横方向に延在することができる。図面には示されていないが、マスク521は、除去され、より狭い開口部を有する第2のマスクと置き換えられてもよく、高ドーズ量での追加の低エネルギー注入(例えば、50keVで1×10
14)を使用して、側部pウェル534のドーピング濃度に影響を及ぼすことなく、主pウェル532の上部のドーピング濃度を大幅に増加させることができる。
【0108】
図9Cに示すように、pウェル530を形成するために使用されたイオン注入マスクが除去され、pウェル530間にあるドリフト領域520の部分を露出させるマスク523で置き換えられる。次いで、マスク523をイオン注入マスクとして使用して、この領域にn型ドーパントを注入する。再度、マルチステップ・イオン注入プロセス(例えば、3~10ステップ)が使用されてもよい。イオン注入ステップは、JFET領域522を形成するためにpウェル530間にあるドリフト領域520の部分においてn型ドーパント濃度を増加させる注入を提供するために、異なる注入エネルギーであるが比較的同様のドーズ量を使用してもよい。上述したように、JFET領域522の深さは、pウェル530の深さ以上であってもよい。
【0109】
図9Dに示すように、JFET領域522を形成するために使用されたイオン注入マスクが除去され、主pウェル532の選択された部分を露出させるマスク541で置き換えられる。次いで、マスク541をイオン注入マスクとして使用して、これらの領域にn型ドーパントを注入する。最後に、
図9E及び
図9Fに示すように、ゲート絶縁層570、ゲート電極572、並びにソース・コンタクト580及びドレイン・コンタクト590を形成して、デバイスを完成させることができる。
【0110】
上記の議論はnチャネルMOSFETに焦点を当てているが、本発明のさらなる実施例によると、各デバイス内の各半導体層の極性を反転させて、対応するpチャネルMOSFETを提供することができることが理解されるであろう。同様に、上述した本発明の実施例はMOSFETであるが、本明細書に開示された技術は、本発明の実施例によるMOSFETを含む絶縁ゲートバイポーラ接合トランジスタ(IGBT)、又は他のゲート制御パワー半導体デバイスを形成するためにも使用され得ることが理解されるであろう。
【0111】
上述した実施例では、JFET領域522は、イオン注入によって形成されているが、他の実施例では、JFET領域522は、ドリフト領域520の上部をより高濃度にドープすることによって形成されてもよく、これにより、余分なイオン注入ステップが不要になる場合があることが理解されるであろう。しかしながら、より高濃度にドープされたJFET領域522がドリフト領域520の成長中に形成される場合、デバイスのエッジ終端での高電界がデバイスの阻止特性を低下させないことを確実にするために、注意を払う必要がある場合がある。
【0112】
本明細書では、本発明の実施例は、パワー・スイッチング・デバイスの1つ又は2つの単位セルを示す断面図に関して記載されている。実際の実施態様は、典型的には、はるかに多数の単位セルを含むことが理解されよう。しかしながら、本発明は、このようなデバイスに限定されず、本明細書に添付される特許請求の範囲は、例えば、単一の単位セルを含むMOSFET及び他のパワー・スイッチング・デバイスも包含していることも理解されるであろう。さらに、本開示は、炭化ケイ素デバイスに焦点を当てているが、本発明の実施例は、例えば、窒化ガリウム、セレン化亜鉛、又は任意の他のII-VI若しくはIII-Vワイド・バンドギャップ化合物半導体などの他のワイド・バンドギャップ半導体を使用して形成されたデバイスにも適用可能であってもよいことが理解されよう。
【0113】
本発明は、本発明の実施例が示される添付の図面を参照して上述された。しかしながら、本発明は、多くの異なる様々な形態で具現化されてもよく、本明細書に記載された実施例に限定されると解釈されるべきではなく、むしろ、これらの実施例は、本開示が完璧且つ完全なものとなり、本発明の範囲を当業者に完全に伝えるように提供されている。図面において、層及び領域のサイズ及び相対的なサイズは、明確にするために誇張されている場合がある。ある要素又は層が、別の要素又は層の「上にある」、「に接続される」、又は「に結合される」と言及される場合、ある要素又は層は、他の要素又は層の直接上にあり得ても、それに接続され得ても、又はそれに結合され得ても、或いは介在する要素又は層が存在してもよいことが理解されるであろう。対照的に、ある要素が別の要素又は層の「直接上にある」、「直接接続される」、又は「直接結合される」と言及される場合、介在する要素又は層は存在しない。本明細書で使用される場合、「及び/又は」という用語は、関連付けられた列挙された項目の1つ又は複数の任意の及びすべての組合せを含む。全体を通して、同様の番号は、同様の要素を指す。
【0114】
第1及び第2という用語は、様々な領域、層、及び/又は要素を説明するために本明細書で使用されるが、これらの領域、層、及び/又は要素は、これらの用語によって限定されるべきではないことが理解されよう。これらの用語は、1つの領域、層又は要素を、別の領域、層又は要素と区別するためにのみ使用される。したがって、本発明の範囲から逸脱することなく、後述する第1の領域、層、又は要素を、第2の領域、層、又は要素と呼ぶことができ、同様に、第2の領域、層、又は要素を、第1の領域、層、又は要素と呼ぶことができる。
【0115】
「下部」又は「底部」及び「上部」又は「頂部」などの相対的な用語は、本明細書では、図面に示されるような1つの要素の別の要素に対する関係を説明するために使用されることがある。相対的な用語は、図に描かれている向きに加えて、デバイスの異なる向きを包含することが意図されていることが理解されよう。例えば、図面の装置を反転した場合、他の要素の「下」側にあると記載された要素は、他の要素の「上」側に配向される。したがって、例示的な用語「下部」は、図の特定の向きに応じて、「下部」及び「上部」の両方の向きを包含することができる。同様に、図のうちの1つにおけるデバイスが裏返された場合、他の要素の「下方」又は「真下」と記載された要素は、他の要素の「上方」に配向される。したがって、例示的な用語「下方」又は「真下」は、上方及び下方の向きの両方を包含することができる。
【0116】
本明細書で使用される術語は、特定の実施例のみを説明することのみを目的としており、本発明を限定することは意図されていない。本明細書で使用される場合、単数形「1つの(a)」、「1つの(an)」、及び「その(the)」は、文脈が明確にそうでないと示さない限り、複数形を同様に含むことが意図されている。用語「備える(comprises)」、「備えている(comprising)」、「含む(includes)」、及び/又は「含んでいる(including)」は、本明細書で使用される場合、述べられた特徴、要素、及び/又は構成要素の存在を指定するが、1つ又は複数の他の特徴、要素、構成要素、及び/又はそれらのグループの存在又は追加を排除しないことがさらに理解されよう。
【0117】
本発明の実施例は、概略図である断面図を参照して本明細書に記載されている。そのため、例えば、製造技術及び/又は公差の結果として、図の形状からの変形が予想される。したがって、本発明の実施例は、本明細書に示される領域の特定の形状に限定されると解釈されるべきではなく、例えば、製造に起因する形状の逸脱を含むべきである。例えば、矩形として示される注入領域は、典型的には、注入領域から非注入領域への二値的変化ではなく、丸みを帯びた若しくは湾曲した特徴及び/又は注入領域のエッジに注入濃度の勾配を有する。したがって、図に示されている領域は、本質的に概略的なものであり、それらの形状は、デバイスの領域の実際の形状を示すことは意図されておらず、本発明の範囲を限定することは意図されていない。
【0118】
本明細書に開示された実施例は、組み合わせることができることが理解されるであろう。したがって、第1の実施例に関して描写及び/又は説明されている特徴は、同様に、第2の実施例に含まれてもよく、その逆も同様である。
【0119】
上記の実施例は、特定の図を参照して記載されているが、本発明の一部の実施例は、追加の及び/又は介在する層、構造、若しくは要素を含んでもよく、並びに/或いは特定の層、構造、若しくは要素が削除されてもよいことを理解されたい。本発明のいくつかの例示的な実施例を説明してきたが、当業者は、本発明の新規な教示及び利点から実質的に逸脱することなく、例示的な実施例において多くの修正が可能であることを容易に理解するであろう。したがって、そのような修正はすべて、特許請求の範囲に定義される本発明の範囲内に含まれることが意図されている。したがって、上記は本発明を例示するものであり、開示された特定の実施例に限定されると解釈されるべきではなく、開示された実施例に対する修正形態、並びに他の実施例は、添付の特許請求の範囲内に含まれることが意図されていることを理解されたい。本発明は、特許請求の範囲の均等物が含まれている、以下の特許請求の範囲によって定義される。