(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-07
(45)【発行日】2024-11-15
(54)【発明の名称】リサイクルプラスチック合成用単量体組成物、その製造方法、およびそれを用いたリサイクルプラスチック、並びに成形品
(51)【国際特許分類】
C08G 64/42 20060101AFI20241108BHJP
C08G 64/04 20060101ALI20241108BHJP
C07C 37/82 20060101ALI20241108BHJP
C07C 39/16 20060101ALI20241108BHJP
C08J 11/16 20060101ALI20241108BHJP
【FI】
C08G64/42
C08G64/04
C07C37/82
C07C39/16
C08J11/16 ZAB
(21)【出願番号】P 2023519398
(86)(22)【出願日】2022-07-14
(86)【国際出願番号】 KR2022010309
(87)【国際公開番号】W WO2023038267
(87)【国際公開日】2023-03-16
【審査請求日】2023-03-27
(31)【優先権主張番号】10-2021-0122001
(32)【優先日】2021-09-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(31)【優先権主張番号】10-2021-0122002
(32)【優先日】2021-09-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(31)【優先権主張番号】10-2021-0122003
(32)【優先日】2021-09-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(31)【優先権主張番号】10-2021-0122004
(32)【優先日】2021-09-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(31)【優先権主張番号】10-2021-0128892
(32)【優先日】2021-09-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(31)【優先権主張番号】10-2021-0136153
(32)【優先日】2021-10-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】500239823
【氏名又は名称】エルジー・ケム・リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000040
【氏名又は名称】弁理士法人池内アンドパートナーズ
(72)【発明者】
【氏名】イ、チョンピン
(72)【発明者】
【氏名】パク、ウンチュ
(72)【発明者】
【氏名】イ、キ-チェ
(72)【発明者】
【氏名】ペ、チュンムン
(72)【発明者】
【氏名】ハン、チュン-チン
(72)【発明者】
【氏名】ホン、ムホ
【審査官】石塚 寛和
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2022/113847(WO,A1)
【文献】特表2015-535854(JP,A)
【文献】特表2016-505591(JP,A)
【文献】特開2003-041049(JP,A)
【文献】特表2016-533416(JP,A)
【文献】特開2006-022183(JP,A)
【文献】特開2017-095379(JP,A)
【文献】特開2005-179228(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08G
C07C
C08J
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポリカーボネート系樹脂から回収されたリサイクルプラスチック合成用単量体であり、
前記リサイクルプラスチック合成用単量体は芳香族ジオール化合
物であり、
ジエチルカーボネートが副産物として得られ、
副産物であるジエチルカーボネートの下記数式による回収率が82%以上であり、
前記リサイクルプラスチック合成用単量体は色座標L*が96.1以上である、リサイクルプラスチック合成用単量
体;
[数式]
ジエチルカーボネート回収率={(回収したジエチルカーボネートのモル数)/(全体副産物混合物中のジエチルカーボネートのモル数)}×100。
【請求項2】
前記リサイクルプラスチック合成用単量
体は色座標a*が0.4以下である、請求項1に記載のリサイクルプラスチック合成用単量
体。
【請求項3】
前記リサイクルプラスチック合成用単量
体は色座標b*が2.5以下である、請求項1に記載のリサイクルプラスチック合成用単量
体。
【請求項4】
前記リサイクルプラスチック合成用単量
体は芳香族ジオール化合物の純度が96%以上である、請求項1に記載のリサイクルプラスチック合成用単量
体。
【請求項5】
請求項1~4のいずれかに記載のリサイクルプラスチック合成用単量体の製造方法であって、
ポリカーボネート系樹脂を解重合反応させる段階;
前記解重合反応生成物に第1吸着剤を投入して吸着精製させた後に第1吸着剤を除去する段階;
前記解重合反応生成物からカーボネート前駆体を分離させる段階;および
前記カーボネート前駆体が分離された解重合反応生成物の精製段階;を含み、
前記カーボネート前駆体が分離された解重合反応生成物の精製段階は、前記カーボネート前駆体が分離された解重合反応生成物の洗浄段階;および前記カーボネート前駆体が分離された解重合反応生成物に第2吸着剤を投入して吸着精製させた後に第2吸着剤を除去する段階;を含む、リサイクルプラスチック合成用単量
体の製造方法。
【請求項6】
前記第1吸着剤および第2吸着剤は互いに同一または異なり、それぞれ独立して植物系活性炭、石炭系活性炭、石油系活性炭、および廃棄物質活性炭からなる群より選ばれた1種以上の活性炭を含む、請求項
5に記載のリサイクルプラスチック合成用単量
体の製造方法。
【請求項7】
前記第1吸着剤の添加量は第2吸着剤添加量100重量部に対して1重量部~1000重量部である、請求項
5に記載のリサイクルプラスチック合成用単量
体の製造方法。
【請求項8】
前記洗浄段階は、10℃以上30℃以下の温度で溶媒で洗浄する段階;および40℃以上80℃以下の温度で溶媒で洗浄する段階;を含む、請求項
5に記載のリサイクルプラスチック合成用単量
体の製造方法。
【請求項9】
前記10℃以上30℃以下の温度で溶媒で洗浄する段階の溶媒は有機溶媒である、請求項
8に記載のリサイクルプラスチック合成用単量
体の製造方法。
【請求項10】
前記40℃以上80℃以下の温度で溶媒で洗浄する段階の溶媒は水である、請求項
8に記載のリサイクルプラスチック合成用単量
体の製造方法。
【請求項11】
前記40℃以上80℃以下の温度で溶媒で洗浄する段階の温度と、前記10℃以上30℃以下の温度で溶媒で洗浄する段階の温度の間の差異値が20℃以上50℃以下である、請求項
8に記載のリサイクルプラスチック合成用単量
体の製造方法。
【請求項12】
前記ポリカーボネート系樹脂の解重合反応は、
エタノールを含む溶媒下で行うことを特徴とする、請求項
5に記載のリサイクルプラスチック合成用単量
体の製造方法。
【請求項13】
前記ポリカーボネート系樹脂の解重合反応は、
ポリカーボネート系樹脂1モルに対して0.5モル以下の量で塩基を反応させて行うことを特徴とする、請求項
5に記載のリサイクルプラスチック合成用単量
体の製造方法。
【請求項14】
前記解重合反応生成物からカーボネート前駆体を分離させる段階で、
前記解重合反応生成物の減圧蒸留段階を含む、請求項
5に記載のリサイクルプラスチック合成用単量
体の製造方法。
【請求項15】
前記精製段階で、カーボネート前駆体が分離された解重合反応生成物に第2吸着剤を投入して吸着精製させた後に第2吸着剤を除去する段階の後に、
前記カーボネート前駆体が分離された解重合反応生成物の再結晶段階;をさらに含む、請求項
5に記載のリサイクルプラスチック合成用単量
体の製造方法。
【請求項16】
前記解重合反応生成物に第1吸着剤を投入して吸着精製させた後に第1吸着剤を除去する段階の前に、
前記解重合反応生成物の酸による中和反応段階をさらに含む、請求項
5に記載のリサイクルプラスチック合成用単量
体の製造方法。
【請求項17】
請求項1~
4のいずれかに記載のリサイクルプラスチック合成用単量
体および共単量体の反応生成物を含む、リサイクルプラスチック。
【請求項18】
請求項
17に記載のリサイクルプラスチックを含む、成形品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[関連出願との相互引用]
本出願は2021年9月13日付韓国特許出願第10-2021-0122001号、2021年9月13日付韓国特許出願第10-2021-0122002号、2021年9月13日付韓国特許出願第10-2021-0122003号、2021年9月13日付韓国特許出願第10-2021-0122004号、2021年9月29日付韓国特許出願第10-2021-0128892号および2021年10月13日付韓国特許出願第10-2021-0136153号に基づく優先権の利益を主張し、当該韓国特許出願の文献に開示されたすべての内容は本明細書の一部として含まれる。
【0002】
本発明はポリカーボネート系樹脂の化学的分解によるリサイクルにより回収された高純度の芳香族ジオール化合物を含有するリサイクルプラスチック合成用単量体組成物、その製造方法、およびそれを用いたリサイクルプラスチック、並びに成形品に関する。
【背景技術】
【0003】
ポリカーボネート(Polycarbonate)は熱可塑性高分子であって、優れた透明性、軟性および相対的に低い生産費など優れた特性を有するプラスチックである。
【0004】
多様な用途に広く使われるポリカーボネートであるが、廃処理の際の環境と健康に対する懸念は持続的に提起されてきた。
【0005】
現在の物理的なリサイクル方法が行われれているが、この場合、品質低下を伴う問題が発生していて、ポリカーボネートの化学的リサイクルに対する研究が進められている。
【0006】
ポリカーボネートの化学的分解とは、ポリカーボネートの分解によりモノマーである芳香族ジオール化合物(例えば、ビスフェノールA(Bisphenol A;BPA))を得た後、これを再び重合に活用して高純度のポリカーボネートを得ることをいう。
【0007】
このような化学的分解には代表的に熱分解、加水分解およびアルコール分解が知られている。この中で、最も普遍的な方法が塩基触媒を活用したアルコール分解であるが、メタノール分解は人体に有害なメタノールを使用する問題があり、エタノールの場合は高温高圧条件が必要であり、収得率が高くない問題がある。
【0008】
また、有機触媒を用いたアルコール分解方法が知られているが、経済的な部分において短所がある実情である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、ポリカーボネート系樹脂の化学的分解によるリサイクルにより回収された高純度の芳香族ジオール化合物を確保できるリサイクルプラスチック合成用単量体組成物を提供する。
【0010】
また、本発明は、前記のリサイクルプラスチック合成用単量体組成物の製造方法、およびリサイクルプラスチック合成用単量体組成物を用いたリサイクルプラスチック、並びに成形品を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0011】
前記課題を解決するために、本明細書では、芳香族ジオール化合物を含み、ジエチルカーボネートが副産物として得られ、副産物であるジエチルカーボネートの下記数式による回収率が82%以上であり、前記リサイクルプラスチック合成用単量体組成物はポリカーボネート系樹脂から回収されたことを特徴とするリサイクルプラスチック合成用単量体組成物を提供する。
【0012】
本明細書ではまた、ポリカーボネート系樹脂を解重合反応させる段階;前記解重合反応生成物に第1吸着剤を投入して吸着精製させた後に第1吸着剤を除去する段階;前記解重合反応生成物からカーボネート前駆体を分離させる段階;および前記カーボネート前駆体が分離された解重合反応生成物の精製段階;を含み、前記カーボネート前駆体が分離された解重合反応生成物の精製段階は、前記カーボネート前駆体が分離された解重合反応生成物の洗浄段階;および前記カーボネート前駆体が分離された解重合反応生成物に第2吸着剤を投入して吸着精製させた後に第2吸着剤を除去する段階;を含むリサイクルプラスチック合成用単量体組成物の製造方法が提供される。
【0013】
本明細書ではまた、前記リサイクルプラスチック合成用単量体組成物および共単量体の反応生成物を含むリサイクルプラスチックが提供される。
【0014】
本明細書ではまた、前記リサイクルプラスチックを含む成形品が提供される。
【0015】
以下、発明の具体的な実施形態によるリサイクルプラスチック合成用単量体組成物、その製造方法、およびそれを用いたリサイクルプラスチック、並びに成形品についてより詳細に説明する。
【0016】
本明細書で明示的な言及がない限り、専門用語は単に特定の実施例を言及するためのものであり、本発明を限定することを意図しない。
【0017】
本明細書で使用される単数形は文脈上明らかに逆の意味を示さない限り複数形も含む。
【0018】
本明細書で使用される「含む」の意味は、特定の特性、領域、整数、段階、動作、要素および/または成分を具体化し、他の特定の特性、領域、整数、段階、動作、要素、成分および/または群の存在や付加を除外させるものではない。
【0019】
そして、本明細書で「第1」および「第2」のように序数を含む用語は一つの構成要素を他の構成要素から区別する目的で使用され、前記序数によって限定されない。例えば、本発明の権利範囲内で第1構成要素は第2構成要素と名付けられてもよく、同様に第2構成要素は第1構成要素と名付けられてもよい。
【0020】
1.リサイクルプラスチック合成用単量体組成物
発明の一実施形態によれば、芳香族ジオール化合物を含み、ジエチルカーボネートが副産物として得られ、副産物であるジエチルカーボネートの下記数式による回収率が82%以上であり、前記リサイクルプラスチック合成用単量体組成物はポリカーボネート系樹脂から回収されたことを特徴とするリサイクルプラスチック合成用単量体組成物が提供されることができる。
【0021】
[数式]
ジエチルカーボネート回収率={(回収したジエチルカーボネートのモル数)/(全体副産物混合物中のジエチルカーボネートのモル数)}×100
【0022】
本発明者らは前記一実施形態のリサイクルプラスチック合成用単量体組成物は、ポリカーボネート系樹脂の化学的分解によるリサイクルにより回収されたものの主な回収対象である芳香族ジオール化合物以外の不純物含有量が極めて減少することにより、これを用いてポリカーボネート系樹脂の合成時に優れた物性の実現が可能であることを実験により確認して発明を完成した。
【0023】
特に前記一実施形態のリサイクルプラスチック合成用単量体組成物(第1組成物)と共に、ジエチルカーボネートを含み、前記ジエチルカーボネートはポリカーボネート系樹脂から回収されたことを特徴とする、リサイクルプラスチック合成用単量体組成物(第2組成物)は後述するリサイクルプラスチック合成用単量体組成物の製造方法で同時にそれぞれ得られることができる。
【0024】
すなわち、本発明はポリカーボネート系樹脂の化学的分解によるリサイクルにより芳香族ジオール化合物を含む高純度の第1組成物を得ると同時に、高付加価値の副産物であるジエチルカーボネートを含む第2組成物も得ることができる技術的な特長点を有することができる。
【0025】
具体的には、前記一実施形態のリサイクルプラスチック合成用単量体組成物はポリカーボネート系樹脂から回収されたことを特徴とする。すなわち、前記一実施形態のリサイクルプラスチック合成用単量体組成物を得るためにポリカーボネート系樹脂で回収を行った結果、芳香族ジオール化合物が含有されたリサイクルプラスチック合成用単量体組成物が共に得られることを意味する。
【0026】
前記ポリカーボネート系樹脂はポリカーボネート繰り返し単位を含有する単独重合体または共重合体をすべて含む意味であり、芳香族ジオール化合物およびカーボネート前駆体を含む単量体の重合反応または共重合反応により得られる反応生成物を総称する。芳香族ジオール化合物1種およびカーボネート前駆体1種のみを使用して得られた1種のカーボネート繰り返し単位を含有する場合、単独重合体が合成され得る。また、前記単量体として芳香族ジオール化合物1種およびカーボネート前駆体2種以上を使用するか、芳香族ジオール化合物2種以上およびカーボネート前駆体1種を使用するか、芳香族ジオール化合物1種およびカーボネート前駆体1種以外にその他ジオール1種以上を使用して2種以上のカーボネートが含有される場合は共重合体が合成され得る。前記単独重合体または共重合体は分子量範囲による低分子化合物、オリゴマー、高分子をすべて含むことができる。
【0027】
また、前記一実施形態のリサイクルプラスチック合成用単量体組成物は芳香族ジオール化合物を含むことができる。前記芳香族ジオール化合物の具体的な例として、ビス(4-ヒドロキシフェニル)メタン、ビス(4-ヒドロキシフェニル)エーテル、ビス(4-ヒドロキシフェニル)スルホン、ビス(4-ヒドロキシフェニル)スルホキシド、ビス(4-ヒドロキシフェニル)スルフィド、ビス(4-ヒドロキシフェニル)ケトン、1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)エタン、2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)プロパン(ビスフェノールA),2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)ブタン、1,1-ビス(4―ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン(ビスフェノールZ)、2,2-ビス(4-ヒドロキシ-3,5-ジブロモフェニル)プロパン、2,2-ビス(4-ヒドロキシ-3,5-ジクロロフェニル)プロパン、2,2-ビス(4-ヒドロキシ-3-ブロモフェニル)プロパン、2,2-ビス(4-ヒドロキシ-3-クロロフェニル)プロパン、2,2-ビス(4-ヒドロキシ-3-メチルフェニル)プロパン、2,2-ビス(4-ヒドロキシ-3,5-ジメチルフェニル)プロパン、1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)-1-フェニルエタン、またはこれらの2種以上混合物などが挙げられる。好ましくは前記一実施形態のリサイクルプラスチック合成用単量体組成物の芳香族ジオール化合物は2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)プロパン(ビスフェノールA)であり得る。
【0028】
前記芳香族ジオール化合物は前記リサイクルプラスチック合成用単量体組成物の回収に使用されたポリカーボネート系樹脂から回収されたことを特徴とする。すなわち、前記一実施形態のリサイクルプラスチック合成用単量体組成物を得るためにポリカーボネート系樹脂で回収を行った結果、芳香族ジオール化合物も共に得られることを意味する。したがって、前記一実施形態のリサイクルプラスチック合成用単量体組成物を製造するためにポリカーボネート系樹脂での回収とは別に外部で新規芳香族ジオール化合物を添加させる場合は本願発明の芳香族ジオール化合物の範疇に含まれない。
【0029】
具体的には、前記ポリカーボネート系樹脂から回収されたとは、ポリカーボネート系樹脂の解重合反応により得られたことを意味する。前記解重合反応は酸性、中性、塩基性下で行われることができ、特に、塩基性(アルカリ)の条件下で解重合反応を行うことができる。特に、前記解重合反応は後述するようにエタノール溶媒下で行うことが好ましい。
【0030】
一方、前記一実施形態のリサイクルプラスチック合成用単量体組成物は色座標b*値が2.5以下、または0.1以上、または0.1~2.5、または1.0~2.5であり得る。また、前記一実施形態のリサイクルプラスチック合成用単量体組成物は色座標L*が96.1以上、または100以下、または96.1~100、または96.1~99であり得る。また、前記一実施形態のリサイクルプラスチック合成用単量体組成物は色座標a*が0.4以下、または-0.1以上、または-0.1~0.4、または-0.07~0.4であり得る。
【0031】
本発明で、「色座標」とは、CIE(国際照明委員会、Commossion International de l’Eclairage)で規定した色相値であるCIE Lab色空間での座標を意味し、CIE色空間での任意の位置はL*,a*,b*の三つ座標値で表現されることができる。
【0032】
ここで、L*値は明るさを示すものであり、L*=0の場合は黒色(black)を示し、L*=100の場合は白色(white)を示す。また、a*値は該当色座標を有する色が純赤色(pure red)と純緑色(pure green)のどちらに偏ったかを示し、b*値は該当色座標を有する色が純黄色(pure yellow)と純青色(pure blue)のどちらに偏ったかを示す。
【0033】
具体的には、前記a*値は-aないし+aの範囲を有する。a*の最大値(a*max)は純赤色(pure red)を示し、a*の最小値(a*min)は純緑色(pure green)を示す。また、前記b*値は-bないし+bの範囲を有する。b*の最大値(b*max)は純黄色(pure yellow)を示し、b*の最小値(b*min)は純青色(pure blue)を示す。例えば、b*値が負数の場合は純青色に偏った色相であり、正数の場合は純黄色に偏った色相を意味する。b*=50とb*=80を比較した時、b*=80がb*=50より純黄色に近く位置することを意味する。
【0034】
前記一実施形態のリサイクルプラスチック合成用単量体組成物の色座標b*値が2.5超過で過度に増加するか、色座標L*値が96.1未満で過度に減少するか、色座標a*値が0.4超過で過度に増加すると、前記一実施形態のリサイクルプラスチック合成用単量体組成物のカラー特性が不良になる。前記一実施形態のリサイクルプラスチック合成用単量体組成物の色座標L*,a*,b*値を測定する方法の例は大きく限定されるものではなく、プラスチック分野の多様なカラー特性の測定方法を制限なく適用可能である。
【0035】
ただし、前記一実施形態のリサイクルプラスチック合成用単量体組成物の色座標L*,a*,b*値を測定する方法の一例を挙げると、HunterLab UltraScan PRO Spectrophotometer装備を用いて反射モードで測定することができる。
【0036】
一方、前記一実施形態のリサイクルプラスチック合成用単量体組成物は、芳香族ジオール化合物の純度が96%以上、または100%以下、または96%~100%であり得る。
【0037】
前記一実施形態のリサイクルプラスチック合成用単量体組成物の芳香族ジオール化合物の純度を測定する方法の例は大きく限定されるものではなく、例えば、1H NMR、ICP-MS分析、HPLC分析、UPLC分析などを制限なく用いることができる。前記NMR、ICP-MS、HPLC、UPLCの具体的な方法、条件、装備などは従来より知られている多様な内容を制限なく適用することができる。
【0038】
前記一実施形態のリサイクルプラスチック合成用単量体組成物の芳香族ジオール化合物の純度を測定する方法の一例を挙げると、常圧、20~30℃条件で前記一実施形態のリサイクルプラスチック合成用単量体組成物を1w%でアセトニトリル(Acetonitrile、ACN)溶媒に溶解させた後、ACQUITY UPLC(登録商標)BEH C18 1.7μm(2.1*50mm column)を用いてWaters HPLCシステムでUPLC(ultra performance liquid chromatography)を用いてビスフェノールA(BPA)の純度を分析した。
【0039】
このように、前記一実施形態のリサイクルプラスチック合成用単量体組成物において主な回収目標物質である芳香族ジオール化合物の純度が96%以上で極めて増加して、その他不純物を最小化することによって、これを用いてポリカーボネート系樹脂を合成する場合、優れた物性の実現が可能である。
【0040】
一方、前記一実施形態のリサイクルプラスチック合成用単量体組成物はジエチルカーボネートが副産物として得られる。前記ジエチルカーボネートは前記一実施形態のリサイクルプラスチック合成用単量体組成物の回収に使用されたポリカーボネート系樹脂から回収されたことを特徴とする。
【0041】
すなわち、前記一実施形態のリサイクルプラスチック合成用単量体組成物を得るためにポリカーボネート系樹脂で回収を行った結果、ジエチルカーボネートも共に得られることを意味する。したがって、前記一実施形態のリサイクルプラスチック合成用単量体組成物を製造するためにポリカーボネート系樹脂での回収とは別に外部で新規のジエチルカーボネートを添加させる場合は前記一実施形態のジエチルカーボネートの範疇に含まれない。
【0042】
具体的には、前記ポリカーボネート系樹脂から回収されたとは、ポリカーボネート系樹脂の解重合反応により得られたことを意味する。前記解重合反応は酸性、中性、塩基性下で行われることができ、特に、塩基性(アルカリ)の条件下で解重合反応行うことができる。特に、前記解重合反応は後述するようにエタノール溶媒下で行うことが好ましい。
【0043】
前記一実施形態のリサイクルプラスチック合成用単量体組成物において主な回収目標物質は芳香族ジオール化合物であるから、前記ジエチルカーボネートは副産物として前記一実施形態のリサイクルプラスチック合成用単量体組成物で別に分離して回収することができる。
【0044】
一方、前記一実施形態のリサイクルプラスチック合成用単量体組成物は副産物であるジエチルカーボネートの前記数式による回収率が82%以上、または83%以上、または84%以上、または85%以上、または100%以下、または82%~100%、または83%~100%、または84%~100%、または85%~100%であり得る。
【0045】
前記一実施形態のリサイクルプラスチック合成用単量体組成物の副産物であるジエチルカーボネートの回収率を測定する方法の例は大きく限定されるものではなく、例えば、1H NMR、ICP-MS分析、HPLC分析、UPLC分析などを制限なく用いることができる。前記NMR、ICP-MS、HPLC、UPLCの具体的な方法、条件、装備などは従来より知られている多様な内容を制限なく適用することができる。
【0046】
このように、前記一実施形態のリサイクルプラスチック合成用単量体組成物において副産物であるジエチルカーボネートの前記数式による回収率が82%以上で極めて増加して、高付加価値を有するジエチルカーボネートを高い効率で回収して経済性を高めることができ、それを用いた多様なプラスチック(ポリカーボネート系樹脂、ポリウレタン樹脂、エポキシ樹脂など)の合成効率性を高めることができる。
【0047】
前記一実施形態のリサイクルプラスチック合成用単量体組成物は後述する多様なリサイクルプラスチック(例えば、ポリカーボネート(PC))の製造原料として使用することができる。
【0048】
前記一実施形態のリサイクルプラスチック合成用単量体組成物は一部の少量のその他添加剤、溶媒をさらに含み得、具体的な添加剤や溶媒の種類は大きく限定されず、ポリカーボネート系樹脂の解重合による芳香族ジオール化合物の回収工程で広く使用される多様な物質を制限なく適用することができる。
【0049】
前記一実施形態のリサイクルプラスチック合成用単量体組成物は後述するリサイクルプラスチック合成用単量体組成物の製造方法によって得られたものであり得る。すなわち、前記一実施形態のリサイクルプラスチック合成用単量体組成物はポリカーボネート系樹脂の解重合反応後に、主な回収目標物質である芳香族ジオール化合物のみを高純度で確保するために多様な濾過、精製、洗浄、乾燥工程を経て得られた結果物に該当する。
【0050】
2.リサイクルプラスチック合成用単量体組成物の製造方法
発明の他の実施形態によれば、ポリカーボネート系樹脂を解重合反応させる段階;前記解重合反応生成物に第1吸着剤を投入して吸着精製させた後に第1吸着剤を除去する段階;前記解重合反応生成物からカーボネート前駆体を分離させる段階;および前記カーボネート前駆体が分離された解重合反応生成物の精製段階;を含み、前記カーボネート前駆体が分離された解重合反応生成物の精製段階は、前記カーボネート前駆体が分離された解重合反応生成物の洗浄段階;および前記カーボネート前駆体が分離された解重合反応生成物に第2吸着剤を投入して吸着精製させた後に第2吸着剤を除去する段階;を含むリサイクルプラスチック合成用単量体組成物の製造方法が提供されることができる。
【0051】
本発明者らは前記他の実施形態のリサイクルプラスチック合成用単量体組成物の製造方法のように、ポリカーボネート系樹脂を化学的分解によってリサイクルする過程で、第1吸着剤による1次吸着精製工程と、第2吸着剤による2次吸着精製工程を共に適用すると同時に精製段階で洗浄段階を含ませることにより、本発明における主な合成目標物質である芳香族ジオール化合物を高純度で確保できるだけでなく、芳香族ジオール化合物以外の不純物含有量を顕著に減らし得ることを実験により確認して発明を完成した。
【0052】
具体的には、前記他の実施形態のリサイクルプラスチック合成用単量体組成物の製造方法は、前記ポリカーボネート系樹脂を解重合反応させる段階の前に、前記ポリカーボネート系樹脂の前処理段階をさらに含むことができる。
【0053】
前記ポリカーボネート系樹脂はポリカーボネート繰り返し単位を含有する単独重合体または共重合体をすべて含む意味であり、芳香族ジオール化合物およびカーボネート前駆体を含む単量体の重合反応または共重合反応により得られる反応生成物を総称する。芳香族ジオール化合物1種およびカーボネート前駆体1種のみを使用して得られた1種のカーボネート繰り返し単位を含有する場合は単独重合体が合成され得る。また、前記単量体として芳香族ジオール化合物1種およびカーボネート前駆体2種以上を使用するか、芳香族ジオール化合物2種以上およびカーボネート前駆体1種を使用するか、芳香族ジオール化合物1種およびカーボネート前駆体1種以外にその他ジオール1種以上を使用して2種以上のカーボネートが含有される場合は共重合体が合成され得る。前記単独重合体または共重合体は分子量範囲による低分子化合物、オリゴマー、高分子をすべて含むことができる。
【0054】
前記ポリカーボネート系樹脂は合成により生産された新規ポリカーボネート系樹脂、再生工程により生産された再生ポリカーボネート系樹脂、またはポリカーボネート系樹脂廃棄物など多様な形態、種類に関係なく適用することができる。
【0055】
前記ポリカーボネート系樹脂の前処理工程を行って、ポリカーボネート系樹脂から芳香族ジオール化合物、およびカーボネート前駆体を回収する工程の効率を上げることができる。前記前処理工程の例としては濾過、洗浄、乾燥、粉砕、グリコール分解などが挙げられ、それぞれの前処理工程の具体的な方法は限定されず、ポリカーボネート系樹脂の解重合による芳香族ジオール化合物、およびカーボネート前駆体回収工程で広く用いられる多様な方法を制限なく適用することができる。
【0056】
ただし、前記前処理工程の一例を挙げると、前記ポリカーボネート系樹脂を有機溶媒に溶解させた後に濾過させる方法が挙げられる。前記有機溶媒はテトラヒドロフラン、トルエン、メチレンクロライド、クロロホルム、ジメチルカーボネート、エチルメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、ジプロピルカーボネート、またはこれらの2種以上混合物を含むことができる。
【0057】
一方、前記他の実施形態のリサイクルプラスチック合成用単量体組成物の製造方法はポリカーボネート系樹脂を解重合反応させる段階を含むことができる。
【0058】
前記ポリカーボネート系樹脂の解重合反応時、前記解重合反応は酸性、中性、塩基性下で行われることができ、特に、塩基性(アルカリ)の条件下で解重合反応行うことができる。前記塩基の種類は大きく限定されず、一例として水酸化ナトリウム(NaOH)または水酸化カリウム(KOH)が挙げられる。前記塩基は触媒として作用する塩基触媒であって、穏和な条件下で主に利用される有機触媒に比べて経済性がある利点がある。
【0059】
前記ポリカーボネート系樹脂の解重合反応時にポリカーボネート系樹脂1モルに対して0.5モル以下、または0.4モル以下、または0.3モル以下、または0.1モル以上、または0.2モル以上、または0.1モル~0.5モル、または0.1モル~0.4モル、または0.1モル~0.3モル、または0.2モル~0.5モル、または0.2モル~0.4モル、または0.2モル~0.3モルの含有量で塩基を反応させて行うことができる。前記ポリカーボネート系樹脂の解重合反応時にポリカーボネート系樹脂1モルに対して0.5モル超過で塩基を反応させると、アルカリ塩の発生量増加の影響により不純物が増加して目標回収物質の純度が減少して、触媒反応の経済性が減少する限界がある。
【0060】
また、前記ポリカーボネート系樹脂の解重合反応は、エタノールを含む溶媒下で行うことができる。本発明はポリカーボネート系樹脂をエタノールを含む溶媒で分解させて高純度のモノマーであるビスフェノールAを安定的に得ることができ、また、反応副産物として高付加価値のあるジエチルカーボネートを追加的に得られる利点がある。
【0061】
前記エタノールの含有量はポリカーボネート系樹脂1モルに対して5モル~15モル、または8モル~13モルであり得る。前記エタノールはビスフェノールAに対する溶解性が良いので前記範囲内のエタノールが必須として含まれなければならない。前記エタノールの含有量がポリカーボネート系樹脂1モルに対して5モル未満で過度に減少すると、ポリカーボネート系樹脂のアルコール分解が十分に進行し難い。これに対して、前記エタノールの含有量がポリカーボネート系樹脂1モルに対して15モル超過で過度に増加するとアルコールの過多使用により工程の経済性が減少し得る。
【0062】
前記ポリカーボネート系樹脂の解重合反応が行われる溶媒は、エタノールの他に、テトラヒドロフラン、トルエン、メチレンクロライド、クロロホルム、ジメチルカーボネート、エチルメチルカーボネート、ジエチルカーボネートおよびジプロピルカーボネートからなる群より選ばれた1種以上の有機溶媒をさらに含むことができる。
【0063】
前記有機溶媒はテトラヒドロフラン、トルエン、メチレンクロライド、クロロホルム、ジメチルカーボネート、エチルメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、ジプロピルカーボネート、またはこれらの2種以上混合物を含むことができる。
【0064】
より好ましくは前記有機溶媒としてメチレンクロライドを使用することができる。前記エタノールと混合する有機溶媒としてメチレンクロライドを用いる場合、ポリカーボネートに対する溶解特性が改善されて反応性を向上させる利点がある。
【0065】
前記有機溶媒の含有量はポリカーボネート系樹脂1モルに対して16モル~20モル、または16モル~18モルであり得る。また、前記有機溶媒の含有量はエタノール1モルに対して1.5モル~2モルであり得る。前記範囲内でポリカーボネート系樹脂、およびエタノールと有機溶媒が混合されることによって必要な水準の重合体の単位体化(Depolymerization)反応が行われることができる利点がある。
【0066】
なお、前記ポリカーボネート系樹脂の解重合反応を行う温度は大きく限定されるものではないが、例えば20℃~100℃、または50℃~70℃で行うことができる。また、前記ポリカーボネート系樹脂の解重合反応を行う時間は1時間~30時間、または4時間~6時間の間行うことができる。
【0067】
具体的には、前記条件は既存の加圧/高温工程に比べて穏和な(Mild)工程条件であり、前記条件下で攪拌を行うことによって加圧/高温工程に比べて穏和な(Mild)工程で工程を行うことができ、特に50℃~70℃で4時間~6時間の間攪拌するときの再現性および認定性の側面から最も効率的な結果を得ることができる利点がある。
【0068】
すなわち、本発明は有機触媒を用いなくても混合溶媒の種類および混合量、そして塩基触媒の種類および含有量を調節することによって加圧/高温工程を用いなくても穏和な条件下で高純度の芳香族ジオール化合物(例えば、ビスフェノールA)が得られ、エタノール溶媒を用いるため、副産物としてジエチルカーボネートが得られる利点がある。
【0069】
より具体的には、前記ポリカーボネート系樹脂を解重合反応させる段階は、カーボネート系樹脂を有機溶媒に溶解させる第1段階;およびエタノールと塩基を含む触媒液を添加して攪拌する第2段階;を含むことができる。前記第1、2段階で、エタノール、有機溶媒、塩基、ポリカーボネート系樹脂に係る説明は上述した内容と同一である。
【0070】
なお、前記他の実施形態のリサイクルプラスチック合成用単量体組成物の製造方法は、前記解重合反応生成物に第1吸着剤を投入して吸着精製させた後に第1吸着剤を除去する段階の前に、前記解重合反応生成物の酸による中和反応段階をさらに含むことができる。
【0071】
例えば、ポリカーボネート系樹脂のアルカリ分解産物は芳香族ジオール化合物、またはその塩を含むが、本発明の主な回収目標物質は芳香族ジオール化合物であるから、前記アルカリ分解により得られた芳香族ジオール化合物の塩の場合、追加的な酸による中和工程により芳香族ジオール化合物に転換させることができる。すなわち、前記ポリカーボネート系樹脂の解重合反応がアルカリ分解である場合、酸による中和反応段階を経ることができる。
【0072】
前記中和反応時に使用される酸は強酸を使用することができ、例えば、塩酸(HCl)が挙げられる。前記強酸による中和反応により、中和反応終了時のpHが4以下、または2未満を満たすことができる。前記中和反応時の温度は25℃以上100℃以下に調節することができる。
【0073】
また、必要に応じて、前記解重合反応生成物の酸による中和反応段階を行った後には濾過、または吸着により残留する不純物を除去する工程をさらに経ることができる。具体的には、水層と有機層を分離して有機層を真空濾過により濾過して芳香族ジオール化合物が含有された液体を回収することができる。
【0074】
一方、前記他の実施形態のリサイクルプラスチック合成用単量体組成物の製造方法は、前記解重合反応生成物に第1吸着剤を投入して吸着精製させた後に第1吸着剤を除去する段階を含むことができる。前記解重合反応生成物に第1吸着剤を投入して吸着精製させた後に第1吸着剤を除去する段階で、前記解重合反応生成物に吸着剤を接触させることができる。
【0075】
前記第1吸着剤の例としては活性炭、木炭(charcoal)、セライト(celite)、またはこれらの混合物を使用することができる。前記活性炭は原料を約500℃の炭化過程(carbonization)と約900℃の活性化(activated carbon)過程を経て製造された微細細孔を有する黒色炭素素材であって、その例は大きく限定されるものではないが、例えば原料種類によって植物系、石炭系、石油系、廃棄物質活性炭など多様な活性炭を制限なく適用可能である。
【0076】
より具体的な一例を挙げると、植物系活性炭としてヤシ活性炭、木材活性炭、ノコギリくず活性炭が挙げられる。また、石炭系活性炭として褐炭活性炭、有煙炭活性炭、無煙炭活性炭が挙げられる。また、石油系活性炭として石油コークス活性炭、オイルカーボン活性炭が挙げられる。また、廃棄物質活性炭として合成樹脂活性炭、パルプ活性炭が挙げられる。
【0077】
前記第1吸着剤は植物系活性炭、石炭系活性炭、石油系活性炭、および廃棄物質活性炭からなる群より選ばれた1種以上の活性炭を含むことができる。すなわち、前記第1吸着剤は植物系活性炭、石炭系活性炭、石油系活性炭、廃棄物質活性炭、またはこれらの2種以上混合物を含むことができる。
【0078】
より具体的には、前記第1吸着剤はヤシ活性炭、褐炭活性炭、無煙炭活性炭、および有煙炭活性炭からなる群より選ばれた1種以上の活性炭を含むことができる。すなわち、前記第1吸着剤はヤシ活性炭、褐炭活性炭、無煙炭活性炭、有煙炭活性炭、またはこれらの2種以上混合物を含むことができる。
【0079】
前記第1吸着剤による吸着精製条件は特に限定されるものではなく、従来より知られている多様な吸着精製条件を制限なく用いることができる。ただし、一例を挙げると、吸着剤の投入量はポリカーボネート系樹脂に対して40重量%~60重量%であり得、吸着時間は0.1時間~5時間であり得、吸着方法は攪拌吸着、またはLab用吸着塔を用いることができる。
【0080】
一方、前記他の実施形態のリサイクルプラスチック合成用単量体組成物の製造方法は、前記解重合反応生成物からカーボネート前駆体を分離させる段階を含むことができる。そのため、前記分離されたカーボネート前駆体はジエチルカーボネートを含むことができる。
【0081】
例えば、ポリカーボネート系樹脂の解重合反応生成物は芳香族ジオール化合物、またはその塩とカーボネート前駆体を含む。前記芳香族ジオール化合物およびカーボネート前駆体に係る内容は前記一実施形態で上述した内容をすべて含む。
【0082】
前記解重合反応生成物からカーボネート前駆体を分離させる段階で、前記解重合反応生成物の減圧蒸留段階を含むことができる。前記減圧蒸留条件の例は大きく限定されるものではないが、具体的な一例を挙げると、前記ポリカーボネート系樹脂を解重合反応の生成物を200mbar~300mbarの圧力、20℃~30℃の温度条件で加圧した後、10mbar~50mbarの圧力、20℃~30℃の温度条件で減圧して低温蒸留させることができる。
【0083】
前記分離したカーボネート前駆体は別途の分離精製過程なしにリサイクルするか、必要に応じて通常の抽出、吸着、乾燥などの分離精製を経てリサイクルすることができる。具体的な精製条件は大きく限定されるものではなく、具体的な精製装備、方法については従来の公知された多様な精製技術を制限なく適用することが可能である。
【0084】
一方、前記他の実施形態のリサイクルプラスチック合成用単量体組成物の製造方法は、前記カーボネート前駆体が分離された解重合反応生成物の精製段階を含むことができる。これにより、主な回収物質である芳香族ジオール化合物が得られ、これは前記一実施形態上のリサイクルプラスチック合成用単量体組成物に該当する。
【0085】
具体的には、前記カーボネート前駆体が分離された解重合反応生成物の精製段階は、前記カーボネート前駆体が分離された解重合反応生成物の洗浄段階;および前記カーボネート前駆体が分離された解重合反応生成物に第2吸着剤を投入して吸着精製させた後に第2吸着剤を除去する段階を含むことができる。
【0086】
前記精製段階で洗浄段階;吸着精製段階の順序は特に限定されず任意の順に行ってもよいが、一例を挙げると、前記洗浄段階;前記吸着精製段階;の順に精製段階を行うことができる。前記洗浄段階;前記吸着精製段階;はそれぞれ少なくとも1回以上繰り返して行うことができる。具体的な洗浄、吸着の装備、方法については従来の公知されている多様な精製技術を制限なく適用することが可能である。
【0087】
具体的には、前記カーボネート前駆体が分離された解重合反応生成物の洗浄段階で、前記カーボネート前駆体が分離された解重合反応生成物には芳香族ジオール化合物を含有することができる。ただし、芳香族ジオール化合物を得る回収工程中に多様な不純物が残留しているので、これを十分に除去して高純度の芳香族ジオール化合物を確保するために洗浄を行うことができる。
【0088】
具体的には、前記洗浄段階は、10℃以上30℃以下、または20℃以上30℃以下の温度で溶媒で洗浄する段階;および40℃以上80℃以下、または40℃以上60℃以下、または45℃以上55℃以下の温度で溶媒で洗浄する段階;を含むことができる。前記温度条件は溶媒による洗浄が行われる洗浄容器の内部の温度を意味し、常温を外れる高温を維持するために多様な加熱機構を制限なく適用することができる。
【0089】
前記洗浄段階は、前記10℃以上30℃以下の温度で溶媒で洗浄する段階;を先に行い、40℃以上80℃以下の温度で溶媒で洗浄する段階;を後に行うことができる。また、前記40℃以上80℃以下の温度で溶媒で洗浄する段階;を先に行い、10℃以上30℃以下の温度で溶媒で洗浄する段階;を後に行うことができる。
【0090】
より好ましくは、前記洗浄段階は、前記10℃以上30℃以下の温度で溶媒で洗浄する段階;を先に行い、40℃以上80℃以下の温度で溶媒で洗浄する段階;を後に行うことができる。そのため、中和段階後の強酸による反応器mp腐食を最小化することができる。
【0091】
前記10℃以上30℃以下の温度で溶媒で洗浄する段階;および40℃以上80℃以下の温度で溶媒で洗浄する段階はそれぞれ少なくとも1回以上繰り返して行うことができる。
【0092】
また、必要に応じて、10℃以上30℃以下の温度で溶媒で洗浄する段階;および40℃以上80℃以下の温度で溶媒で洗浄する段階を行った後には濾過により残留する溶媒を除去する工程を追加で経ることができる。
【0093】
より具体的には、前記40℃以上80℃以下の温度で溶媒で洗浄する段階の温度と、前記10℃以上30℃以下の温度で溶媒で洗浄する段階の温度の間の差異値が20℃以上50℃以下であり得る。
【0094】
前記40℃以上80℃以下の温度で溶媒で洗浄する段階の温度と、前記10℃以上30℃以下の温度で溶媒で洗浄する段階の温度の間の差異値とは、前記40℃以上80℃以下の温度で溶媒で洗浄する段階の温度から、前記10℃以上30℃以下の温度で溶媒で洗浄する段階の温度を引いた値を意味する。
【0095】
前記40℃以上80℃以下の温度で溶媒で洗浄する段階の温度と、前記10℃以上30℃以下の温度で溶媒で洗浄する段階の温度の間の差異値が20℃未満で過度に減少すると、不純物を十分に除去し難い。
【0096】
前記40℃以上80℃以下の温度で溶媒で洗浄する段階の温度と、前記10℃以上30℃以下の温度で溶媒で洗浄する段階の温度の間の差異値が50℃超過で過度に増加すると、極限の温度条件を維持するために厳しい条件が形成されて工程の効率性が減少し得る。
【0097】
前記洗浄段階で使用される溶媒は水、アルコール、有機溶媒のうち一つの溶媒を含むことができる。前記有機溶媒としてはテトラヒドロフラン、トルエン、メチレンクロライド、クロロホルム、ジメチルカーボネート、エチルメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、ジプロピルカーボネート、またはこれらの2種以上混合物を使用することができる。
【0098】
前記洗浄段階で使用される溶媒は解重合反応に使用されたポリカーボネート系樹脂1重量部を基準として1重量部以上30重量部以下、または1重量部以上10重量部以下の重量比率で使用することができる。
【0099】
より具体的には、前記10℃以上30℃以下の温度で溶媒で洗浄する段階の溶媒は有機溶媒であり得る。前記有機溶媒としては好ましくはメチレンクロリドを使用することができる。そして、この時、前記有機溶媒はポリカーボネート系樹脂1重量部に対して1重量部以上10重量部以下で使用することができる。
【0100】
また、前記40℃以上80℃以下の温度で溶媒で洗浄する段階の溶媒は水であり得る。前記水を使用する場合、残留する塩形態の不純物を効果的に除去することができる。そして、この時、前記溶媒はポリカーボネート系樹脂1重量部に対して1重量部以上10重量部以下で使用することができる。
【0101】
一方、前記カーボネート前駆体が分離された解重合反応生成物に第2吸着剤を投入して吸着精製させた後に第2吸着剤を除去する段階で、前記解重合反応生成物に吸着剤を接触させることができる。
【0102】
前記第2吸着剤の例としては活性炭、木炭(charcoal)、セライト(celite)、またはこれらの混合物を使用することができる。前記活性炭は原料を約500℃の炭化過程(carbonization)と約900℃の活性化(activated carbon)過程を経て製造された微細細孔を有する黒色炭素素材であって、その例は大きく限定されるものではないが、例えば原料種類によって植物系、石炭系、石油系、廃棄物質活性炭など多様な活性炭を制限なく適用可能である。
【0103】
より具体的な一例を挙げると、植物系活性炭としてヤシ活性炭、木材活性炭、ノコギリくず活性炭が挙げられる。また、石炭系活性炭として褐炭活性炭、有煙炭活性炭、無煙炭活性炭が挙げられる。また、石油系活性炭として石油コークス活性炭、オイルカーボン活性炭が挙げられる。また、廃棄物質活性炭として合成樹脂活性炭、パルプ活性炭が挙げられる。
【0104】
前記第2吸着剤は植物系活性炭、石炭系活性炭、石油系活性炭、および廃棄物質活性炭からなる群より選ばれた1種以上の活性炭を含むことができる。すなわち、前記第2吸着剤は植物系活性炭、石炭系活性炭、石油系活性炭、廃棄物質活性炭、またはこれらの2種以上混合物を含むことができる。
【0105】
より具体的には、前記第2吸着剤はヤシ活性炭、褐炭活性炭、無煙炭活性炭、および有煙炭活性炭からなる群より選ばれた1種以上の活性炭を含むことができる。すなわち、前記第2吸着剤はヤシ活性炭、褐炭活性炭、無煙炭活性炭、有煙炭活性炭、またはこれらの2種以上混合物を含むことができる。
【0106】
このように、前記他の実施形態のリサイクルプラスチック合成用単量体組成物の製造方法は、ポリカーボネート系樹脂を化学的分解によりリサイクルする解重合反応時、第1吸着剤による1次吸着精製工程と、第2吸着剤による2次吸着精製工程を共に適用することにより、本発明における主な合成目標物質である芳香族ジオール化合物を高純度で確保できるだけでなく、芳香族ジオール化合物以外の不純物含有量を顕著に減らすことができる。
【0107】
前記第1吸着剤および第2吸着剤は互いに同一または異なり、それぞれ独立して植物系活性炭、石炭系活性炭、石油系活性炭、および廃棄物質活性炭からなる群より選ばれた1種以上の活性炭を含むことができる。より具体的には、前記第1吸着剤および第2吸着剤は互いに同一または異なり、それぞれ独立してヤシ活性炭、褐炭活性炭、無煙炭活性炭、および有煙炭活性炭からなる群より選ばれた1種以上の活性炭を含むことができる。
【0108】
前記第1吸着剤と第2吸着剤を添加する重量比率の例は大きく限定されるものではないが、一例を挙げると、前記第1吸着剤の添加量が第2吸着剤添加量100重量部に対して1重量部~1000重量部であり得る。
【0109】
前記第2吸着剤による吸着精製条件は特に限定されるものではなく、従来より知られている多様な吸着精製条件を制限なく用いることができる。ただし、一例を挙げると、吸着剤の投入量はポリカーボネート系樹脂に対して40重量%~60重量%であり得、吸着時間は0.1時間~5時間であり得、吸着方法は攪拌吸着、またはLab用吸着塔を用いることができる。
【0110】
必要に応じて、前記カーボネート前駆体が分離された解重合反応生成物に第2吸着剤を投入して吸着精製させた後に第2吸着剤を除去する段階の前にカーボネート前駆体が分離された解重合反応生成物に溶媒を添加する段階をさらに含むことができる。前記溶媒の例としてはエタノールが挙げられ、前記エタノールはポリカーボネート系樹脂1モルに対して1モル~20モル、または5モル~20モルの比率で添加されることができる。前記カーボネート前駆体が分離された解重合反応生成物に溶媒を添加する段階により前記カーボネート前駆体が分離された解重合反応生成物に含まれた芳香族ジオール化合物結晶が溶媒に再溶解されることができる。
【0111】
なお、前記精製段階で、カーボネート前駆体が分離された解重合反応生成物に第2吸着剤を投入して吸着精製させた後に第2吸着剤を除去する段階の後に、前記カーボネート前駆体が分離された解重合反応生成物の再結晶段階;をさらに含むことができる。
【0112】
前記カーボネート前駆体が分離された解重合反応生成物の再結晶段階で、前記カーボネート前駆体が分離された解重合反応生成物には含有された多様な不純物を十分に除去して高純度の芳香族ジオール化合物を確保することができる。
【0113】
具体的には、前記再結晶段階は前記カーボネート前駆体が分離された解重合反応生成物に水を添加して再結晶させる段階を含むことができる。前記カーボネート前駆体が分離された解重合反応生成物に水を添加して再結晶させる工程により、解重合反応生成物に含有された芳香族ジオール化合物、またはその塩の溶解度の増加により結晶、または結晶の間々に付いていた不純物を最大限溶媒で溶解させることができ、溶解した芳香族ジオール化合物が不純物に比べて溶解度が悪いので、後に温度を低くしたときの溶解度の差異により芳香族ジオール化合物結晶として容易に析出されることができる。
【0114】
より具体的には前記カーボネート前駆体が分離された解重合反応生成物に水を添加して再結晶させる段階で、ポリカーボネート系樹脂1モルに対して200モル~400モル、または250モル~350モルの水を使用することができる。前記水が過度に少なく使用されると、前記カーボネート前駆体が分離された解重合反応生成物に含有された芳香族ジオール化合物を溶解するための温度が過度に高くなって工程効率が悪くなり、再結晶による不純物除去が容易でない。反面、水が過度に過量使用されると、前記カーボネート前駆体が分離された解重合反応生成物に含有された芳香族ジオール化合物の溶解度が過度に高くなって再結晶後に回収される芳香族ジオール化合物の収率が減少して、多量の溶媒使用による工程効率性が減少し得る。
【0115】
必要に応じて、前記カーボネート前駆体が分離された解重合反応生成物の再結晶段階を行った後には濾過、または吸着により残留する不純物を除去する工程を追加で経ることができる。
【0116】
また、必要に応じて、前記再結晶段階の後に、乾燥段階;をさらに含むことができる。前記乾燥により残留する溶媒を除去することができ、具体的な乾燥条件は大きく限定されるものではないが、例えば10℃~100℃、または10℃~50℃の温度で乾燥を行うことができる。前記乾燥時に使用される具体的な乾燥装備、方法については従来の公知された多様な乾燥技術が制限なく適用可能である。
【0117】
3.リサイクルプラスチック
発明のまた他の実施形態によれば、前記一実施形態のリサイクルプラスチック合成用単量体組成物および共単量体の反応生成物を含むリサイクルプラスチックが提供されることができる。
【0118】
前記一実施形態のリサイクルプラスチック合成用単量体組成物に係る内容は前記一実施形態と他の実施形態で上述した内容をそれぞれすべて含む。
【0119】
前記リサイクルプラスチックに該当する例は大きく限定されるものではなく、ビスフェノールAなどの芳香族ジオール化合物を単量体として合成される多様なプラスチックが制限なく適用可能であり、より具体的な例としてはポリカーボネート系樹脂が挙げられる。
【0120】
前記ポリカーボネート系樹脂はポリカーボネート繰り返し単位を含有する単独重合体または共重合体をすべて含む意味であり、芳香族ジオール化合物およびカーボネート前駆体を含む単量体の重合反応または共重合反応により得られる反応生成物を総称する。芳香族ジオール化合物1種およびカーボネート前駆体1種のみを使用して得られた1種のカーボネート繰り返し単位を含有する場合は単独重合体が合成され得る。また、前記単量体として芳香族ジオール化合物1種およびカーボネート前駆体2種以上を使用するか、芳香族ジオール化合物2種以上およびカーボネート前駆体1種を使用するか、芳香族ジオール化合物1種およびカーボネート前駆体1種以外にその他ジオール1種以上を使用して2種以上のカーボネートが含有される場合は共重合体が合成され得る。前記単独重合体または共重合体は分子量範囲による低分子化合物、オリゴマー、高分子をすべて含むことができる。
【0121】
より具体的には、前記一実施形態のリサイクルプラスチック合成用単量体組成物および共単量体の反応生成物を含むリサイクルプラスチックで、共単量体としてはカーボネート前駆体を使用することができる。前記カーボネート前駆体の具体的な例としてホスゲン、トリホスゲン、ジホスゲン、ブロモホスゲン、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、ジブチルカーボネート、ジシクロヘキシルカーボネート、ジフェニルカーボネート、ジトリルカーボネート、ビス(クロロフェニル)カーボネート、m-クレシルカーボネート、ジナフチルカーボネート、ビス(ジフェニル)カーボネートまたはビスハロホルメートが挙げられる。
【0122】
合成用単量体組成物および共単量体の反応工程の例は大きく限定されるものではなく、従来より知られている多様なポリカーボネートの製造方法が制限なく適用可能である。
【0123】
ただし、前記ポリカーボネートの製造方法の一例を挙げると、リサイクルプラスチック合成用単量体組成物および共単量体を含む組成物を重合する段階を含むポリカーボネートの製造方法を用いることができる。この時、前記重合は界面重合で行うことができ、界面重合時に常圧と低い温度で重合反応が可能であり、分子量調節が容易である。
【0124】
前記重合温度は0℃~40℃、反応時間は10分~5時間であり得る。また、反応中のpHは9以上または11以上を維持することができる。
【0125】
前記重合に使用できる溶媒としては、当業界でポリカーボネートの重合に使用される溶媒であれば特に制限されず、一例としてメチレンクロリド、クロロベンゼンなどのハロゲン化炭化水素を使用することができる。
【0126】
また、前記重合は酸結合剤の存在下で行うことができ、前記酸結合剤として水酸化ナトリウム、水酸化カリウムなどのアルカリ金属水酸化物またはピリジンなどのアミン化合物を使用することができる。
【0127】
また、前記重合時のポリカーボネートの分子量調節のために、分子量調節剤の存在下に重合を行うことができる。前記分子量調節剤として炭素数1~20のアルキルフェノールを使用することができ、その具体的な例としてp-tert-ブチルフェノール、p-クミルフェノール、デシルフェノール、ドデシルフェノール、テトラデシルフェノール、ヘキサデシルフェノール、オクタデシルフェノール、エイコシルフェノール、ドコシルフェノールまたはトリアコンチルフェノールが挙げられる。前記分子量調節剤は、重合開始前、重合開示中または重合開示後に投入されることができる。前記分子量調節剤は前記芳香族ジオール化合物100重量部に対して0.01~10重量部、または0.1~6重量部を使用することができ、この範囲内で所望の分子量を得ることができる。
【0128】
また、前記重合反応の促進のために、トリエチルアミン、テトラ-n-ブチルアンモニウムブロミド、テトラ-n-ブチルホスホニウムブロミドなどの3級アミン化合物、4級アンモニウム化合物、4級ホスホニウム化合物などのような反応促進剤を追加で使用することができる。
【0129】
4.成形品
発明のまた他の実施形態によれば、前記他の実施形態のリサイクルプラスチックを含む成形品が提供されることができる。前記リサイクルプラスチックに係る内容は前記他の実施形態で上述した内容をすべて含む。
【0130】
前記成形品は前記リサイクルプラスチックを公知された多様なプラスチック成形方法を制限なく適用して得られたものであり得、前記成形方法の一例を挙げると、射出成形、発泡射出成形、ブロー成形、または押出成形が挙げられる。
【0131】
前記成形品の例は大きく限定されるものではなく、プラスチックを使用する多様な成形品に制限なく適用可能である。前記成形品の一例を挙げると、自動車部品、電機電子製品、通信製品、生活用品、建築素材、光学部品、外装材などが挙げられる。
【0132】
前記成形品は前記他の実施形態のリサイクルプラスチックの他に、必要に応じて酸化防止剤、可塑剤、帯電防止剤、核剤、難燃剤、滑剤、衝撃補強剤、蛍光増白剤、紫外線吸収剤、顔料および染料からなる群より選ばれた1種以上の添加剤を追加で含むことができる。
【0133】
前記成形品の製造方法の一例として、前記他の実施形態のリサイクルプラスチックと添加剤をミキサーを用いてよく混合した後に、押出機で押出成形してペレットに製造して、前記ペレットを乾燥させた後に射出成形機で射出する段階を含むことができる。
【発明の効果】
【0134】
本発明によれば、ポリカーボネート系樹脂の化学的分解によるリサイクルにより回収された高純度の芳香族ジオール化合物を含有するリサイクルプラスチック合成用単量体組成物、その製造方法、およびそれを用いたリサイクルプラスチック、並びに成形品が提供されることができる。
【発明を実施するための形態】
【0135】
発明を下記の実施例でより詳細に説明する。ただし、下記の実施例は本発明を例示するだけであり、本発明の内容は下記の実施例によって限定されない。
【0136】
<実施例>
(実施例1)
(1.分解段階)前処理された廃ポリカーボネート(PC)1molをメチレンクロリド(MC)17molに溶解させた後、3L高圧反応器にエタノール(EtOH)11molおよび水酸化ナトリウム(NaOH)0.25molと共に投入して60℃で6時間の間攪拌してPC解重合反応を行った。
【0137】
(2.中和段階)前記解重合反応の生成物を30℃以下に冷却した後、前記ビスフェノールAが含有された生成物に対して10%塩酸(HCl)0.25molを用いて20~30℃で中和させた。
【0138】
(3-1.精製-吸着段階)その後、第1吸着剤として褐炭活性炭を廃ポリカーボネートに対して50重量%の比率で投入した吸着タワーにpH2未満に低くなった生成物を通過させて吸着により精製した。
【0139】
(3-2.精製-蒸留段階)その後、250mbar、20~30℃から30mbar、30℃に減圧する低温蒸留により副産物であるジエチルカーボネート(DEC)を分類して回収した。
【0140】
(3-3.精製-洗浄段階)その後、ジエチルカーボネート(DEC)が除去された残留物に対して使用されたPC質量に対して1倍であるメチレンクロリド(MC)を用いて20~30℃で1次洗浄して真空濾過した。前記濾過物を、使用されたPC質量に対して3倍である水を用いて50℃温度で2次洗浄した。
【0141】
(4-1.追加精製段階-再溶解段階)洗浄物に対してエタノール16.6molを入れて再溶解させた。
【0142】
(4-2.追加精製段階-吸着段階)その後、第2吸着剤として褐炭活性炭を廃ポリカーボネートに対して50重量%の比率で投入した吸着タワーに通過させて吸着により精製した。
【0143】
(4-3.追加精製段階-再結晶段階)その後、攪拌して水300molを徐々に投入してビスフェノールAを再結晶化した後、濾過により固体を得た。
【0144】
(5.乾燥段階)その後、30~50℃真空オーブンで乾燥してリサイクルビスフェノールA単量体組成物を製造した。
【0145】
(実施例2~10)
下記表1に示すように、前記実施例1で各工程の条件を変更したことを除いては、前記実施例1と同一の方法でリサイクルビスフェノールA単量体組成物およびリサイクルプラスチックを製造した。
【0146】
【0147】
<比較例>
(比較例1)
前記実施例1で(4-2.追加精製段階-吸着段階)を行っていないことを除いては、前記実施例1と同一の方法でリサイクルビスフェノールA単量体組成物を製造した。
【0148】
(比較例2)
前記実施例1で(3-1.精製-吸着段階)を行っていないことを除いては、前記実施例1と同一の方法でリサイクルビスフェノールA単量体組成物を製造した。
【0149】
(比較例3)
前記実施例1の(3-3.精製-洗浄段階)で、ジエチルカーボネート(DEC)が除去された残留物に対して使用されたPC質量に対して20倍であるメチレンクロリド(MC)を用いて20~30℃で1次洗浄し、2次洗浄を行っていないことを除いては、前記実施例1と同一の方法でリサイクルビスフェノールA単量体組成物を製造した。
【0150】
(比較例4)
前記実施例1で(3-3.精製-洗浄段階)を行っていないことを除いては、前記実施例1と同一の方法でリサイクルビスフェノールA単量体組成物を製造した。
【0151】
<実験例>
前記実施例、および比較例から得られたリサイクルビスフェノールA単量体組成物、または副産物に対して、下記方法で物性を測定し、その結果を表2に示した。
【0152】
1.純度
常圧、20~30℃条件でリサイクルビスフェノールA単量体組成物を1w%でアセトニトリル(Acetonitrile、ACN)溶媒に溶解させた後、ACQUITY UPLCR BEH C18 1.7μm(2.1*50mm column)を用いてWaters HPLCシステムでUPLC(ultra performance liquid chromatography)を用いてビスフェノールA(BPA)の純度を分析した。
【0153】
2.色座標(L*,a*,b*)
前記リサイクルビスフェノールA単量体組成物に対してHunterLab UltraScan PRO Spectrophotometer装備を用いて反射モードで分析した。
【0154】
3.副産物(DEC)の回収率
前記蒸留段階で分離したMC、EtOH、水が含まれたジエチルカーボネート(DEC)副産物混合物でのDECのモル数に対して回収したDECのモル数のパーセント比率を下記数式により求めた。
【0155】
[数式]
ジエチルカーボネート回収率={(回収したジエチルカーボネートのモル数)/(全体副産物混合物中のジエチルカーボネートのモル数)}×100
【0156】
具体的には、副産物混合物中のDECのモル数は解重合直後の混合液に対してガスクロマトグラフィー-炎イオン化検出器(GC-FID)装備により生成されたDECのモル数を測定することができ、回収したDECのモル数は副産物混合液をガスクロマトグラフィー-炎イオン化検出器(GC-FID)装備により同一の方法でDECに対してモル数を測定したものであり得る。
【0157】
【0158】
前記表1に示すように、実施例1~10で得られたリサイクルビスフェノールA単量体組成物は96.13%~99.85%の高純度を示した。また、実施例1~10で得られたリサイクルビスフェノールA単量体組成物は色座標L*が96.19~98.91、a*が-0.06~0.33、b*が1.48~2.21を示して優れた光学物性を示した。さらに、実施例1~10で得られたリサイクルビスフェノールA単量体組成物はDEC回収率が85.1%~89.2%で高く測定された。これに対して、比較例1~4で得られたリサイクルビスフェノールA単量体組成物は95.81%~96.97%で実施例に比べて純度が減少した。また、比較例1~4で得られたリサイクルビスフェノールA単量体組成物は色座標L*が94.12~96.01、a*が0.11~0.55、b*が2.62~3.11を示して実施例に比べて不良な光学物性を示した。さらに、比較例1~4で得られたリサイクルビスフェノールA単量体組成物はDEC回収率が76.6%~81.2%で実施例に比べて低くなった。