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特許7584638半導体材料からなる基板ウェハ上にエピタキシャル層を堆積させるための方法および装置
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  • 特許-半導体材料からなる基板ウェハ上にエピタキシャル層を堆積させるための方法および装置 図1
  • 特許-半導体材料からなる基板ウェハ上にエピタキシャル層を堆積させるための方法および装置 図2
  • 特許-半導体材料からなる基板ウェハ上にエピタキシャル層を堆積させるための方法および装置 図3
  • 特許-半導体材料からなる基板ウェハ上にエピタキシャル層を堆積させるための方法および装置 図4
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-07
(45)【発行日】2024-11-15
(54)【発明の名称】半導体材料からなる基板ウェハ上にエピタキシャル層を堆積させるための方法および装置
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/205 20060101AFI20241108BHJP
   C23C 16/458 20060101ALI20241108BHJP
【FI】
H01L21/205
C23C16/458
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2023519816
(86)(22)【出願日】2021-09-20
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2023-11-20
(86)【国際出願番号】 EP2021075795
(87)【国際公開番号】W WO2022069283
(87)【国際公開日】2022-04-07
【審査請求日】2023-05-25
(31)【優先権主張番号】20199291.4
(32)【優先日】2020-09-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】599119503
【氏名又は名称】ジルトロニック アクチエンゲゼルシャフト
【氏名又は名称原語表記】Siltronic AG
【住所又は居所原語表記】Einsteinstrasse 172,81677 Muenchen, Germany
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】弁理士法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】シュテットナー,トーマス
(72)【発明者】
【氏名】エドマイヤー,バルター
【審査官】桑原 清
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-148098(JP,A)
【文献】特開2012-227527(JP,A)
【文献】特開2009-267159(JP,A)
【文献】特開2001-274158(JP,A)
【文献】特開2017-103396(JP,A)
【文献】特表2023-528172(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2023/0178398(US,A1)
【文献】特表2023-541796(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2023/0265581(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/205
C23C 16/458
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
半導体材料からなる基板ウェハ上にエピタキシャル層を堆積させるための方法であって、前記基板ウェハは、薄い縁部と厚い縁部とを有するくさび形断面を有し、前記方法は、
前記基板ウェハがサセプタ上に同心円状に置かれ、前記サセプタが支持シャフトによって保持されるように、前記基板ウェハおよび前記サセプタを堆積装置内に配置するステップと、
ある期間にわたって前記支持シャフトを回転させるステップと、
前記基板ウェハの上方をガス入口からガス出口への方向に堆積ガスが通過するようにするステップと、
予熱リングの下側および前記サセプタの下側に沿ってある流量でフラッシングガスが通過するようにするステップと、
初期位置から開始して最終位置に至って前記初期位置に戻る方向に変位経路に沿って前記期間に前記支持シャフトを変位させるステップとを備え、前記初期位置では、前記薄い縁部は前記ガス入口から最小距離を有し、前記最終位置では、前記薄い縁部は前記ガス入口から最大距離を有する、方法。
【請求項2】
前記初期位置から前記最終位置までの前記変位経路の長さは、前記断面の前記厚い縁部における厚みと前記薄い縁部における厚みとの差に比例することを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記基板ウェハの状は、前記エピタキシャル層の前記堆積の前に測定され、前記支持シャフトの前記変位の速度は、前記基板ウェハの形状に応じて変更されることを特徴とする、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
前記基板ウェハの状は、前記エピタキシャル層の前記堆積の前に測定され、前記フラッシングガスの前記流量は、前記基板ウェハの形状に応じて変更されることを特徴とする、請求項1~3のいずれか1項に記載の方法。
【請求項5】
前記支持シャフトは、前記予熱リングの方に傾斜されることを特徴とする、請求項1~4のいずれか1項に記載の方法。
【請求項6】
半導体材料からなる基板ウェハ上にエピタキシャル層を堆積させるための装置であって、
サセプタと、
予熱リングと、
支持シャフトと、
前記支持シャフトを変位させるための少なくとも1つのアクチュエータと、
半導体材料からなる前記基板ウェハ上への前記エピタキシャル層の前記堆積中にガス入口からガス出口への方向に沿って前記アクチュエータによって前記支持シャフトを周期的に変位させるように構成された制御装置とを備える、装置。
【請求項7】
前記予熱リングの方に前記支持シャフトを傾斜させるための少なくとも1つのさらなるアクチュエータによって特徴付けられる、請求項6に記載の装置。
【請求項8】
前記基板ウェハの外縁および前記サセプタと前記予熱リングとの間の間隙を観察するためのカメラシステムによって特徴付けられる、請求項6または7に記載の装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体材料からなる基板ウェハ上にエピタキシャル層を堆積させるための方法であって、上記基板ウェハは、薄い縁部と厚い縁部とを有するくさび形断面を有する、方法に関する。また、本発明は、上記方法を実行することに適した装置に関する。
【背景技術】
【0002】
先行技術/課題
半導体材料からなる基板ウェハ上へのエピタキシャル層の堆積は、従来から、基板ウェハを収容することができる堆積装置内でCVD(化学気相成長法)によって行われている。エピタキシャル層の堆積中、基板ウェハは、支持シャフトによって保持されたサセプタ上に置かれて、回転させられ、自由な上面、すなわち半導体ウェハの表側の上方を堆積ガスが通過するようにされる。上記堆積装置は、従来から、間隙によって切り離されながらサセプタの周囲に配置された予熱リングも有している。上部ドームおよび下部ドームは反応空間を規定し、この反応空間内でエピタキシャル層が基板ウェハ上に堆積される。必要な堆積温度を提供するために、ランプ群の放射熱が一方または両方のドームを介して取り込まれる。これらの特徴を有する堆積装置は、たとえばUS 2016 0 010 239 A1に記載されている。
【0003】
エピタキシャル層を有する半導体ウェハ(エピタキシャルウェハ)は、エレクトロニクス産業における特に要求の厳しい用途で必要とされる。それに対応して、たとえばこのような半導体ウェハの厚みの均一性に関連する要求は特に厳しい。
【0004】
一般的に言って、基板ウェハの厚みのむらは、特にエピタキシャル層が均一な厚みを有する場合には、エピタキシャル層の堆積後であっても残る。しかし、エピタキシャル層を堆積させることによって厚みの均一性を向上させる目的を有するアプローチもある。
【0005】
DE 11 2018 001 223 T5は、予熱リングの下側およびサセプタの下側に沿って堆積装置を通過するようにされるフラッシングガスが、エピタキシャル層の厚みおよび予熱リングとサセプタとの間の間隙の幅に影響を及ぼすことを開示している。
【0006】
US 2009 0 269 861 A1では、基板ウェハの平面性に応じてエピタキシャル層の堆積中のプロセス条件を選択することが提案されている。同様の提案は、WO 2018 117 402 A2およびJP 2002 43 230 Aにおいてなされている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
これらの提案の共通の特徴は、エピタキシャル層の堆積中に基板ウェハを回転させた結果として生じる影響を使用するというものであり、プロセス条件の変化は、エピタキシャル層の厚み分布の回転対称の変化を生じさせる。したがって、これらの提案は、厚みのむらが回転対称に分布する基板ウェハにしか適さない。
【0008】
しかし、回転対称でない厚み分布を有する基板ウェハもある。それらは、円周のある領域から180°反対側に位置する円周の領域まで厚みが減少するくさび形断面を有する。このような基板ウェハの薄い領域から厚い領域までの断面は、薄い縁部と厚い縁部とを有するくさび形を有する。回転対称の厚み分布を有するエピタキシャル層の堆積は、くさび形構造を除外することはできない。
【0009】
本発明の目的は、基板ウェハがくさび形断面を有する場合に、エピタキシャル層を有する半導体ウェハの厚みの均一性を向上させることである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
この目的は、半導体材料からなる基板ウェハ上にエピタキシャル層を堆積させるための方法であって、上記基板ウェハは、薄い縁部と厚い縁部とを有するくさび形断面を有し、上記方法は、
上記基板ウェハがサセプタ上に同心円状に置かれ、上記サセプタが支持シャフトによって保持されるように、上記基板ウェハおよび上記サセプタを堆積装置内に配置するステップと、
ある期間にわたって上記支持シャフトを回転させるステップと、
上記基板ウェハの上方をガス入口からガス出口への方向に堆積ガスが通過するようにするステップと、
予熱リングの下側および上記サセプタの下側に沿ってある流量でフラッシングガスが通過するようにするステップと、
初期位置から開始して最終位置に至って上記初期位置に戻る方向に変位経路に沿って上記期間に上記支持シャフトを変位させるステップとを備え、上記初期位置では、上記薄い縁部は上記ガス入口から最小距離を有し、上記最終位置では、上記薄い縁部は上記ガス入口から最大距離を有する、方法によって実現される。
【0011】
時としてフラッシングガスが予熱リングとサセプタとの間の間隙に入って堆積ガスを希釈するということが観察されており、材料堆積率が減少するという影響がある。この影響は間隙の幅とともに増大し、このことが本発明に従って使用される。
【0012】
間隙の幅は、ガス入口からの薄い縁部の距離とともに周期的に大きくなり、上記期間は、特に当該期間の開始時に基板ウェハの薄い縁部がガス入口から最小距離を有するように、サセプタの回転の期間と同期させられる。このとき、希釈の影響は最小であり、材料堆積率は比較的高い。その後、サセプタが半回転して厚い縁部がガス入口から最小距離を有するようになると、この位置における間隙は比較的大きく、希釈の影響は比較的顕著であり、材料堆積は比較的低くなる。本発明に係る手順のために、基板ウェハ上に堆積されたエピタキシャル層も、くさび形断面を有する厚み分布を有する。しかし、後者は、エピタキシャルに堆積された層を有する半導体ウェハのくさび形が少なくとも基板ウェハのくさび形ほど顕著でないように、基板ウェハの断面のものを補完する。本発明に係る方法は、くさびのような形状を有する基板ウェハを、エピタキシャル層と、およそ平面平行な表側および裏側を有するウェハの形状に対応する形状とを有する半導体ウェハに変換することにも適している。
【0013】
基板ウェハは、断面のそれぞれの縁部が異なる厚みを有する場合に、本発明の意味でのくさび形断面を有する。薄い縁部から厚い縁部まで厚みが一定に増加することが好ましいが、必須ではない。
【0014】
基板ウェハはサセプタ上に設置される。サセプタは、平面図において円形の外周を有しており、好ましくはポケットと軸受面とを有しており、裏側の縁部領域ではこの軸受面上に基板ウェハが置かれる。基板ウェハは、サセプタの外周と同心円状に位置し、好ましくは基板ウェハの裏側とポケットの境界を定める底部との間に距離があるように軸受面上に置かれる。基板ウェハの裏側からサセプタの下方の反応空間へのドーパントの輸送を容易にするために、ポケットの底部には孔が形成されてもよい。孔の代わりに、底部は、繊維を含有する材料で構成されてもよく、当該材料の多孔性のためにドーパントの輸送を確実にする。
【0015】
エピタキシャル層の堆積中に所期の方法で予熱リングとサセプタとの間の間隙の幅を変更することを実現するために、サセプタを保持する支持シャフトを、初期位置から最終位置に至って初期位置に戻るように周期的に変位させる。支持シャフトの変位は、たとえば1つまたは複数の圧電調整要素などの少なくとも1つのアクチュエータによって行われる。初期位置と最終位置との間の変位経路は、ガス入口とガス出口との間の方向に沿って延在している。サセプタの回転期間にわたって観察されるように、基板の断面の薄い縁部は、初期位置ではガス入口から最小距離を有し、最終位置ではガス入口から最大距離を有する。
【0016】
初期位置から最終位置までの変位経路の長さは、好ましくは、サセプタの外周および予熱リングの内周が同心円状に配置される場合に存在する間隙の30%以上130%以下である。変位経路の長さは、好ましくは、断面の厚い縁部における厚みと薄い縁部における厚みとの差に比例する。
【0017】
サセプタは、好ましくは30rpm~60rpmの回転速度で回転させられる。このような回転速度によって、サセプタの変位移動の期間は、1秒~2秒である。
【0018】
好ましくは、基板ウェハの形状は、エピタキシャル層の堆積の前に測定され、変位移動の速度およびフラッシングガスの流量などの堆積のプロセスパラメータは、当該形状に合わせて適合される。
【0019】
変位移動の速度は、実質的に一定であってもよく、または基板ウェハの円周に沿った厚み変化のプロファイルに従って変更されてもよい。
【0020】
堆積ガスの希釈に関連付けられた影響の径方向範囲を一緒に決定するフラッシングガスの流量は、好ましくは5slm以上30slm以下である。それは、一定であってもよく、または基板ウェハの円周に沿った厚み変化のプロファイルに従って変更されてもよい。
【0021】
基板ウェハは、半導体材料、好ましくは単結晶シリコンと、基板ウェハの表側に堆積されたエピタキシャル層とで構成される。基板ウェハの直径は、好ましくは少なくとも200mm、特に好ましくは少なくとも300mmである。
【0022】
堆積ガスは、たとえばシランまたはクロロシラン、たとえばトリクロロシランなどの、半導体材料を含む化合物を含み、フラッシングガスは、好ましくは水素を含む。
【0023】
本発明に係る支持シャフトの周期的な変位は、エピタキシャル層の堆積中に連続的に行われなくてもよい。それは、一時的にのみ行われてもよい。したがって、本発明のさらなる実施形態によれば、エピタキシャル層は、支持シャフトを周期的に変位させることなく特定の層厚みまで堆積され、次いで、本発明に従って支持シャフトを変位させながらエピタキシャル層の堆積を継続する。この手順は、最初に支持シャフトを周期的に変位させながらエピタキシャル層を堆積し、その後すぐに、支持シャフトを変位させることなくエピタキシャル層の堆積を継続するようにも修正されてもよい。これらの実施形態のうちの1つを実施することは、基板ウェハのくさび形がそれほど顕著でない場合に特に好都合である。
【0024】
さらに、上記の目的は、半導体材料からなる基板ウェハ上にエピタキシャル層を堆積させるための装置であって、
サセプタと、
予熱リングと、
支持シャフトと、
上記支持シャフトを変位させるための少なくとも1つのアクチュエータと、
ガス入口からガス出口への方向に沿って上記アクチュエータによって上記支持シャフトを周期的に変位させるように構成された制御装置とを備える、装置によって実現される。
【0025】
1つの好ましい実施形態によれば、上記装置は、支持シャフトを傾斜させるための少なくとも1つのアクチュエータも含む。支持シャフトを傾斜させた後、支持シャフトの回転軸は、垂直ではなくなって、予熱リングの方に傾斜される。
【0026】
図面を参照して、本発明について以下でより詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0027】
図1】本発明に係る方法を実行することに適した装置の断面図である。
図2】上記装置のさらなる詳細を示す図である。
図3】サセプタを180°回転させる過程での支持シャフトの変位の開始および終了を示す図である。
図4】くさび形の基板ウェハの断面と、本発明に係るコーティングされた基板ウェハの断面とを比較のために示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
本発明に係る例示的な実施形態の詳細な説明
図1は、本発明に係る方法を実行することに適した、半導体材料からなる基板ウェハ上にエピタキシャル層を堆積させるための装置の断面図である。この堆積装置20の反応空間は、最上部が上部ドーム17によって境界が定められ、最下部が下部ドーム18によって境界が定められている。反応空間の中央には支持シャフト9が突き出ており、支持シャフト9の上端から支持アーム10が分岐している。支持アーム10はサセプタ2を支持しており、エピタキシャル層の堆積中はサセプタ2上に基板ウェハ1が置かれる。示されている実施形態では、基板ウェハ1が持ち上げシャフト11上に設置され、持ち上げシャフト11を下げることによって基板ウェハ1がサセプタ2上に設置されるように、堆積装置20を積み込む過程で準備がなされる。堆積装置の側壁とサセプタ2との間に予熱リング3が配置されている。堆積装置の側壁に配置されたガス入口15aからガス出口16aまで、上部ドーム17の方に向かって、基板ウェハの表側の上方を堆積ガスが通過するようにされている。さらに、予熱リング3およびサセプタ2の下方の反応空間を通過するようにされるフラッシングガスのために、対応するガス入口15bおよびガス出口16bも設けられている。矢印は、ガス流の流れ方向を示している。予熱リングとサセプタとの間の間隙5の幅に応じて、フラッシングガスの一部は、堆積ガスの流れに入って堆積ガスを希釈する。反応空間は、上部ドーム17および下部ドーム18を介して放射エネルギを取り込むランプ群19によって外部から加熱される。支持シャフト9の移動を許容するため、および内部空間を密閉することによって周囲空気が流入しないようにするために、堆積装置20の下部ドーム18は、蛇腹25によってベース12に接続されている。
【0029】
上記装置の特別な特徴は、ガス入口15a,15bからガス出口16a,16bへの方向に沿って少なくとも1つのアクチュエータ13によって支持シャフト9を周期的に変位させるように構成された制御装置21である。示されている実施形態は、同一タイプの起動によって支持シャフト9を変位させる2つのアクチュエータ13および14を有する。さらに、起動が異なる場合には、支持シャフト9を傾斜させることも可能である。傾斜中、支持シャフト9の回転軸22は、垂直から予熱リング3の方に傾けられる。基板ウェハ1が意図した通りにサセプタ2上に水平に置かれていない場合には、基板ウェハ1を水平位置に持って行くために、たとえば支持シャフト9をさらに傾斜させることが有用であろう。
【0030】
したがって、基板ウェハ1の位置を確認するために画像処理8を有するカメラシステム7を提供することも有利である。図2に示されるカメラシステム7は、支持シャフト9によるサセプタ2の回転中に画像セクション6を観察するためのカメラを含む。画像セクション6は、径方向に延在する領域を取得し、この径方向に延在する領域は、好ましくは、基板ウェハ1の外周の一部、サセプタ2の外周の一部、および予熱リング3の内周の一部を含み、したがってサセプタ2と予熱リング3との間の間隙5の一部も含む。基板ウェハ1は、基板ウェハ1の裏側23がサセプタ2の底部24からある距離を有するようにサセプタ2のポケット内の軸受面4上に置かれる。画像セクション6に含まれる情報は、特に間隙5の幅およびサセプタ2からのカメラシステム7の距離に関して、画像処理8によって評価される。サセプタ2の誤った配置があり、基板ウェハが誤った配置から所期の水平位置に移動する程度に支持シャフト9を傾斜させる信号が適宜生成されるかどうかについての確認が制御装置21によってなされる。
【0031】
本発明によれば、初期位置から最終位置に至って初期位置に戻る変位経路に沿って支持シャフトを周期的に変位させる。支持シャフト9の最終位置までのこのような移動の開始(上)および終了(下)が図3に概説されている。基板ウェハ1は、サセプタ2の軸受面上の中央に置かれる。それは、薄い縁部26と厚い縁部27とを有するくさび形断面を有する。サセプタ1を回転させる過程で、薄い縁部は、支持シャフト9の初期位置ではガス入口15a,15bから最小距離を有し、支持シャフト9の最終位置ではガス入口15a,15bから最大距離を有する。支持シャフト9の変位のために、予熱リング3とサセプタ2との間の間隙5は、支持シャフト9の初期位置ではガス入口15a,15bの側で小さくなり、分割矢印として示されている矢印に沿ってサセプタの上方の空間に入るフラッシングガスによる希釈の影響は小さくなる。サセプタ2の回転中に基板ウェハの厚い縁部がガス入口15a,15bの近傍に入ると、間隙5が大きくなるため、希釈の影響が大きくなる。これは、全体的にみて、基板ウェハ1の厚い縁部27の領域よりも薄い縁部26の領域により多くの材料が堆積されることを意味する。
【0032】
図4は、基板ウェハの断面(上)と比較した、堆積されたエピタキシャル層を有する基板ウェハの断面(下)の変化の仕方を示す図である。エピタキシャル層28も同様にくさび形断面を有するが、コーティングされた基板ウェハが理想的なケースにおいて平面平行な側面を有するように基板ウェハ1のものを補完する断面を有する。
【符号の説明】
【0033】
使用される参照符号のリスト
1 基板ウェハ
2 サセプタ
3 予熱リング
4 軸受面
5 間隙
6 画像セクション
7 カメラシステム
8 画像処理
9 支持シャフト
10 支持アーム
11 持ち上げシャフト
12 ベース
13 アクチュエータ
14 アクチュエータ
15a,15b ガス入口
16a,16b ガス出口
17 上部ドーム
18 下部ドーム
19 ランプ群
20 堆積装置
21 制御装置
22 回転軸
23 裏側
24 底部
25 蛇腹
26 薄い縁部
27 厚い縁部
28 エピタキシャル層
図1
図2
図3
図4