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  • 特許-基材処理装置および方法 図1
  • 特許-基材処理装置および方法 図2a
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  • 特許-基材処理装置および方法 図4
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-08
(45)【発行日】2024-11-18
(54)【発明の名称】基材処理装置および方法
(51)【国際特許分類】
   C23C 16/455 20060101AFI20241111BHJP
   C23C 16/52 20060101ALI20241111BHJP
   H01L 21/31 20060101ALI20241111BHJP
【FI】
C23C16/455
C23C16/52
H01L21/31 B
【請求項の数】 20
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2019079777
(22)【出願日】2019-04-19
(65)【公開番号】P2019203191
(43)【公開日】2019-11-28
【審査請求日】2022-04-05
(31)【優先権主張番号】15/967,146
(32)【優先日】2018-04-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】519237203
【氏名又は名称】エーエスエム・アイピー・ホールディング・ベー・フェー
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 達彦
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【弁理士】
【氏名又は名称】宮前 徹
(74)【代理人】
【氏名又は名称】中西 基晴
(74)【代理人】
【氏名又は名称】竹内 茂雄
(74)【代理人】
【識別番号】100188329
【弁理士】
【氏名又は名称】田村 義行
(72)【発明者】
【氏名】アリエン・クラーフェル
【審査官】安齋 美佐子
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-207056(JP,A)
【文献】特開2014-067783(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2003/0111013(US,A1)
【文献】特開2012-238641(JP,A)
【文献】国際公開第2007/108401(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C23C 16/00-16/56
H01L 21/205,21/31
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基材処理装置であって、
反応チャンバーと、
前記反応チャンバー内に少なくとも一つの基材を保持するように構築および配置される基材ホルダーと、
プロセスガスおよびパージガスを前記反応チャンバーの内部に供給するように構築および配置され、プロセスガス供給管からのプロセスガスの流れおよびパージガス供給管からのパージガスの流れを制御するように構築および配置されるガス制御システムを備えるガスインジェクターシステムであって、
前記ガスインジェクターシステムは、
前記プロセスガス供給管および前記パージガス供給管に接続された第一および第二のインジェクターを備え、
前記ガス制御システムは、前記プロセスガス供給管から前記第一および第二のインジェクターのうちの一つに前記プロセスガスの前記流れを供給し、前記第一および第二のインジェクターのうちのもう一つへの前記プロセスガスの流れを止めるように、構築、配置、および/またはプログラムされ、
前記第一および第二のインジェクターは、開口部のパターンが設けられており、前記開口部は、前記第一および第二のインジェクターの内側の表面上の前記開口部の表面積が前記第一および第二のインジェクターの外側の前記開口部の表面積よりも大きい凹形状を有する、ガスインジェクターシステムと、を備える、基材処理装置。
【請求項2】
前記ガス制御システムは、前記第一および第二のインジェクターのうちの前記一つからのプロセスガスの前記流れを、前記第一および第二のインジェクターのうちのもう一つに切り替えるように構築、配置、および/またはプログラムされることができる、請求項1に記載の基材処理装置。
【請求項3】
前記ガス制御システムは、プロセスガスの前記流れを、前記第一および第二のインジェクターのうちの前記一つから、前記第一および第二のインジェクターのうちのもう一つに切り替えた後、前記プロセスガス供給管から前記第一および第二のインジェクターのうちの前記一つへの前記プロセスガスの前記流れを止めるように構築、配置、および/またはプログラムされる、請求項2に記載の基材処理装置。
【請求項4】
前記ガス制御システムは、タイマーを備え、所定の時間経過後に切り替えるように、構築、および/またはプログラムされる、請求項2に記載の基材処理装置。
【請求項5】
前記ガス制御システムは、プロセスガスの流量を測定するためのガス流量測定装置を備え、前記ガス制御システムは、前記プロセスガスの前記流量がある閾値未満になる場合、切り替えるように構築および/またはプログラムされる、請求項2に記載の基材処理装置。
【請求項6】
前記装置は、
前記反応チャンバーの壁に沿って、前記反応チャンバーの前記内部に延在するように構築され、および配置されるライナーを備える、請求項1に記載の基材処理装置。
【請求項7】
前記ライナーは、下端部のライナー開口部と、上端部の上部封止部とにより画定される実質的に円筒形の壁を備え、前記ライナーはガスのためにライナー開口部の上方で実質的に閉じられている、請求項6に記載の基材処理装置。
【請求項8】
前記第一および第二のインジェクターは、前記ライナーの前記実質的に円筒形の壁に沿って前記上端部に向かって構築され、および配置される、請求項7に記載の基材処理装置。
【請求項9】
前記第一および第二のインジェクターは、細長い、請求項1に記載の基材処理装置。
【請求項10】
前記インジェクター内部のガス伝導チャネルの内側断面積は、100~1500mmである、請求項9に記載の基材処理装置。
【請求項11】
前記反応チャンバーは、実質的に円筒形の反応チャンバーであり、前記インジェクター内部の前記ガス伝導チャネルの内側断面は、径方向の寸法よりも大きい、前記実質的に円筒形の反応チャンバーの円周に接する方向の寸法を有する形状を有する、請求項10に記載の基材処理装置。
【請求項12】
少なくとも一つの開口部の面積は、1~200mmである、請求項9に記載の基材処理装置。
【請求項13】
前記インジェクターの下端部から上端部に向かうにつれて、前記開口部間の距離は減少する、請求項9に記載の基材処理装置。
【請求項14】
前記開口部は、ガスが少なくとも二つの異なる方向に注入されるように構成される、請求項9に記載の基材処理装置。
【請求項15】
基材処理方法であって、
反応チャンバー内の基材ホルダー上に基材を供給することと、
ガスインジェクターシステムを提供することであって、前記ガスインジェクターシステムは、
供給管に接続された第一および第二のインジェクターであって、前記第一および第二のインジェクターは、開口部のパターンが設けられており、前記開口部は、前記第一および第二のインジェクターの内側の表面上の前記開口部の表面積が前記第一および第二のインジェクターの外側の前記開口部の表面積よりも大きい凹形状を有する、第一および第二のインジェクターを備える、ガスインジェクターシステムを提供することと、
プロセスガスの流れを前記第一のインジェクターを用いて前記供給管から前記反応チャンバーの内部に供給することと、
前記供給管から前記第二のインジェクターへの前記プロセスガスの前記反応チャンバー内部への流れを止めること、を含む、方法。
【請求項16】
前記方法は、前記プロセスガスの前記流れを、前記第一のインジェクターから前記第二のインジェクターに切り替えることを含む、請求項15に記載の基材処理方法。
【請求項17】
前記方法は、プロセスガスの前記流れを前記第一のインジェクターから前記第二のインジェクターに切り替えた後に、前記供給管から前記第一のインジェクターへの前記プロセスガスの前記流れを止めることを含む、請求項16に記載の基材処理方法。
【請求項18】
前記方法は、所定時間経過後に、プロセスガスの前記流れを、前記第一のインジェクターから前記第二のインジェクターに切り替えることを含む、請求項16に記載の基材処理方法。
【請求項19】
前記方法は、プロセスガスの流量がある閾値未満になる、粒子が検出される、またはウェーハ上の堆積物均一性が良くない場合、プロセスガスの前記流れを前記第一のインジェクターから前記第二のインジェクターに切り替えることを含む、請求項16に記載の基材処理方法。
【請求項20】
前記方法は、前記第一および第二のインジェクターを新しい第一および第二のインジェクターに置き替えることを含む、請求項17に記載の基材処理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は基材処理装置および方法に関する。特に、本発明は、反応チャンバーと、前記反応チャンバー内に少なくとも一つの基材を保持するように構築および配置される基材ホルダーとを有する基材処理装置に関する。ガスインジェクターシステムは、ガス制御システムの制御下で供給管から反応チャンバーの内部にプロセスガスを供給することができる。
【背景技術】
【0002】
基材、例えば半導体ウェーハを処理するための基材処理装置は、反応チャンバーとして機能するベルジャー形のプロセスチューブの周りに配置された加熱手段を備えることができる。プロセスチューブの上端は、例えばドーム形構造によって閉じられていてもよいが、プロセスチューブの下端面は開いていてもよい。下端部はフランジによって部分的に閉じられてもよい。チューブとフランジとによって囲まれる反応チャンバーの内部は、処理されるウェーハが処理され得る反応チャンバーを形成する。フランジは、ウェーハを搬送するウェーハボートを内部に挿入するための入口開口部を備えることができる。ウェーハボートは、垂直方向に移動可能に配置され、フランジの入口開口部を閉鎖するように構成されるドア上に配置されることができる。
【0003】
装置は、反応チャンバーの内部と流体連通するガスインジェクターシステムを更に備えることができる。インジェクターシステムは、インジェクター内に少なくとも一つの開口部を有するインジェクターを備えることができる。インジェクターを通して、プロセスガスを少なくとも一つの開口部を経由して内部に流して基材と反応させることができる。
【0004】
内部と流体連通するガス排気口を設けることができる。ガス排気口を、反応チャンバーの内部からガスを排気するための真空ポンプに接続することができる。この構成は、インジェクターから反応チャンバーを通ってガス排気口へガスを流すことができる。ガスの流れを、基材上での堆積反応のための反応(プロセス)ガスとすることができる。この反応ガスはまた、反応チャンバーの内部の基材以外の他の表面にも堆積する可能性がある。
【0005】
インジェクターシステムのインジェクター内での堆積は、インジェクターまたはインジェクター内の少なくとも一つの開口部の目詰まりを引き起こす可能性があり、これはインジェクターシステムの動作にとって有害となる可能性がある。インジェクター内への更なる堆積は、反応チャンバーの加熱および/または冷却中にフレークを落下させる可能性があり、それにより基材を汚染させる可能性がある。装置のメンテナンス中にインジェクターを新しいきれいなインジェクターと交換することによって、これらの問題を軽減することができる。インジェクターを新しいきれいなインジェクターと交換するためには、反応チャンバーを開かなければならず、これは煩雑な手順であり、装置の停止時間および製造の中断を招く。
【発明の概要】
【0006】
したがって、生産量の増加をもたらす改善された基材処理装置および方法が必要とされる可能性がある。
【0007】
したがって、反応チャンバーと、前記反応チャンバー内に少なくとも一つの基材を保持するように構築および配置される基材ホルダーとを備える基材処理装置を提供することができる。装置は、反応チャンバーの内部にプロセスガスを供給するように構築および配置されるガスインジェクターシステムを備えることができる。ガスインジェクターシステムは、供給管からのプロセスガスの流れを制御するように構築および配置されるガス制御システムを備えることができる。ガスインジェクターシステムは、同じプロセスガスを反応チャンバーに供給するための第一および第二のインジェクターを備えることができる。ガス制御システムを、供給管から第一および第二のインジェクターのうちの一つにプロセスガスの流れを供給し、第一および第二のインジェクターのうちのもう一つに同じプロセスガスの流れを制限するように構築および/またはプログラムすることができる。
【0008】
第一および第二のインジェクターのうちの一つを最初はきれいに保つために、第一および第二のインジェクターのうちの前記一つを使用し、第一および第二のインジェクターのうちのもう一つを通るプロセスガスの流れを制限することによって、生産期間を延ばすことができる。前記一つのインジェクター内での堆積はインジェクターを劣化させる可能性があり、それを軽減するためにきれいなもう一つのインジェクターをしばらくしてから使用することができる。次に、前記一つの第一のインジェクターを通るプロセスガスの流れを制限し、堆積のためにもう一つのインジェクターを使用することができる。
【0009】
第一と第二のインジェクターとの間でプロセスガスを切り替えることは、堆積が一つのインジェクター内のみで堆積する状況と比較して、第一および第二のインジェクター内に堆積が蓄積するのにより長い時間がかかるので、より長い生産サイクルをもたらすことができる。第一のインジェクターが劣化した場合に、および/またはちょうど周期的に、プロセスガスの流れを第一のインジェクターから第二のインジェクターに切り替えるように、ガス制御システムを構築および/またはプログラムすることができる。第一と第二のインジェクターとの間の切り替えを、交互に一回または複数回行ってもよい。
【0010】
第一および第二のインジェクターの両方が劣化した場合にのみ、第一および第二のインジェクターの交換が必要な場合があり、反応チャンバーが開かれることがある。二つのインジェクターを使用することで、生産期間を延長することができ、生産性の向上につながる。更に生産性を高めるために、インジェクターシステム内のインジェクターの数を三個、四個、または更には五個に増やすことができることが理解されなければならない。
【0011】
一実施形態では、
反応チャンバー内の基材ホルダー上に基材を供給することと、
プロセスガスの流れを第一のガスインジェクターを用いて供給管から反応チャンバーの内部に供給することと、
供給管から第二のインジェクターへの同じプロセスガスの反応チャンバー内部への流れを制限すること、を含む基材処理方法が提供される。
【0012】
基材処理方法は、基材処理装置に関して上記の利点を有する。利点は、生産期間が長くなり、停止時間が短くなることである。
【0013】
本発明の様々な実施形態を、互いに別々に適用してもよく、または組み合わせてもよい。本発明の実施形態は、図面に示されるいくつかの例を参照して、詳細な説明において更に明らかにされるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0014】
当然のことながら、図内の要素は、単純かつ明瞭にするために例示されており、必ずしも縮尺通りに描かれていない。例えば、図内の要素のうちいくつかの寸法は、本開示の例示された実施形態の理解の向上を助けるために他の要素に対して相対的に誇張されている場合がある。
【0015】
図1】一実施形態による基材処理装置の断面図である。
図2a】一実施形態による基材処理装置の他の図である。
図2b図1または図2aの反応チャンバーの内部にプロセスガスを供給するように構築および配置されるガスインジェクターシステムの図である。
図3図1または図2aによる装置の反応チャンバー内に位置する実施形態によるインジェクターの底面斜視図である。
図4図1、2a、2bまたは3で使用するためのインジェクターである。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本出願において、類似のまたは対応する形体は、類似のまたは対応する参照符号によって示される。様々な実施形態の説明は、図に示される例に限定されず、発明を実施するための形態および特許請求の範囲で使用される参照番号は、図に示される例に関連して記述されるものを限定することを意図していない。
【0017】
図1は、一実施形態による基材処理装置の断面図を示す。装置は、反応チャンバーと、前記反応チャンバー内に少なくとも一つの基材を保持するように構築および配置される基材ホルダーと、を備えることができる。
【0018】
反応チャンバーは、例えば、内部を画定する低圧プロセスチューブ12と、内部を加熱するように構成されるヒーターHとすることができる。ライナー2は、内部に延在してもよく、ライナーは、下端部のライナー開口部と、上端部のドーム形状上部封止部2dとにより画定される、実質的に円筒形の壁を備える。ライナーは、ライナー開口部の上方のガスのために実質的に閉じられていてもよく、チューブ12の内部の一部である内部空間Iを画定している。
【0019】
低圧プロセスチューブ12の開口部を少なくとも部分的に閉じるためにフランジ3を設けることができる。垂直方向に移動可能に配置されるドア14は、フランジ3の中央の入口開口Oを閉鎖するように構成され、基材Wを保持するように構成されるウェーハボートBを支持するように構成されることができる。フランジ3は、プロセスチューブ12の開口端を部分的に閉じていてもよい。ドア14に台座Rを設けることができる。台座Rを回転させて内部空間のウェーハボートBを回転させることができる。
【0020】
図1に示す例では、フランジ3は、プロセスガスFを内部空間Iに供給するためのプロセスガス入口16と、ガスを内部空間から除去するためのガス排気ダクト7とを備える。プロセスガス入口16には、ライナー2の実質的に円筒形の壁に沿って内部空間I内に垂直に上端部に向かって延在するように構築および配置され、内部空間Iにガスを注入するためのインジェクター開口部18を備えるインジェクター17を設けることができる。内部空間からガスを除去するためのガス排気ダクト7に接続するガス排気開口部8を、インジェクター開口部18の下に構築し、配置することができる。このように、ガス用のライナー開口部の上方でライナー2を閉じ、インジェクター17を用いて内部空間Iの上端部のインジェクター開口部18を通して内部空間にガスを供給し、および、内部空間の下端部のガス排気開口部8により内部空間からガスを除去することにより、ライナー2の内部空間に下降流Fを形成することができる。この下降流Fは、反応副生成物、インジェクター17からの粒子、基材W、ボートB、ライナー2および/または支持フランジ3の汚染を、処理された基材Wから離れて排気開口部8に向かって下方に搬送することがある。
【0021】
ライナー2の開口端の下方に、内部空間Iからガスを除去するためのガス排気開口部8を設けてもよい。これは、プロセスチャンバーの汚染源が、ライナー2とフランジ3との間の接触によって形成され得るので、有益であることができる。より具体的には、開放端でのライナーの下端面がフランジと接触する位置に汚染源が存在し得る。ライナー2は炭化ケイ素から作られ、フランジは金属から作られることができ、ライナーとフランジは熱膨張中に互いに対して動くことができる。ライナーの下端面とフランジの上面との間の摩擦は、汚染物質、例えばライナーおよび/またはフランジから剥離する微細粒子をもたらす可能性がある。粒子はプロセスチャンバー内に移動する可能性があり、プロセスチャンバーおよび処理される基材を汚染する可能性がある。
【0022】
ガス用のライナー開口部の上方でライナーを閉じ、内部空間の上端部でガスインジェクターを用いて内部空間にプロセスガスを供給し、内部空間の下端部でガス排気によって内部空間からガスを除去することにより、内部空間に下降流を形成することができる。この下降流は、ライナー-フランジ界面からの粒子を、処理された基材から離れる方向で下方に、排気口へ輸送することができる。
【0023】
ガス排気開口部8は、ライナー2とチューブ12との間の周方向空間からガスを除去するために、ライナー2とチューブ12との間のフランジ3内に構築され配置されてもよい。このようにして、周方向空間と内部空間Iの圧力を等しくすることができ、低圧垂直炉内ではチューブ12を囲む周囲の大気圧より低くすることができる。縦型炉は、低圧縦型炉のチューブの内部(ライナーの内部空間を含む)からガスを除去するための圧力制御システムを備えることができる。
【0024】
このように、ライナー2は、大気圧を補償する必要がないので、かなり薄くて比較的弱い材料で作ることができる。これにより、ライナー2の材料を選択する際の自由度が大きくなる。ライナー2の材料の熱膨張は、それが内部空間内で基材上に堆積される材料と同程度になるように選択されることができる。後者は、ライナーの膨張とライナー上にも堆積される材料とが同じであることができるという利点を有する。後者は、ライナー2の温度変化の結果として堆積した材料(フレーク)が脱落するリスクを最小にする。
【0025】
チューブ12は、チューブの内側の低圧に対して大気圧を補償しなければならない場合があるので、かなり厚く、比較的強い圧縮強度の材料で作ることができる。例えば、低圧プロセスチューブ12は5~8、好ましくは約6mmの厚さの石英で作ることができる。石英は、0.59×10-6K-1の非常に低い熱膨張係数(CTE)(表1参照)を有し、それにより装置内の熱変動に容易に対応することができる。堆積する材料のCTEはより高い場合がある(例えば、SiのCTEは3×10-6-1であり、SiのCTEは2.3×10-6-1である)が、その差は比較的小さい可能性がある。石英製のチューブにフィルムを堆積させると、チューブが多数の大きな熱サイクルを受けても付着する可能性があるが、汚染のリスクが高まる可能性がある。
【0026】
ライナー2は、チューブ12の内側へのいかなる堆積を回避することができ、したがって、チューブ12への堆積が脱落するリスクを軽減することができる。したがって、チューブは石英から作られてもよく、ライナー2は炭化ケイ素(SiC)から作られてもよい。SiCのCTEは4×10-6-1であり、CTEが堆積膜と一致する可能性があり、その結果、ライナーからの堆積膜の除去が必要となる前に累積厚さがより大きくなる可能性がある。
【0027】
CTEの不一致は、堆積膜のクラックおよび剥がれ落ち、ならびに対応して高い粒子数をもたらし、これは望ましくなく、SICライナー2を使用することによって軽減され得る。同じ機構がインジェクター17について作用し得る。しかし、インジェクター17の場合、異なる熱膨張を有するあまりに多くの材料が堆積すると、インジェクターが破損し得る可能性がある。したがって、炭化ケイ素またはケイ素からインジェクター17を製造することが有利であり得る。
【0028】
【表1】
【0029】
材料がライナー2に、およびまたはインジェクター17に好適であるか否かは、堆積される材料に依存し得る。したがって、ライナー2および/またはインジェクター17のように、堆積材料に対して実質的に同一の熱膨張を有する材料を使用することができることが有利である。したがって、ライナー2および/またはインジェクター17に石英よりも比較的高い熱膨張を有する材料を使用できることが有利であることができる。例えば、炭化ケイ素のSICを使用することができる。炭化ケイ素ライナーは、大気圧を補償する必要がないため、4~6、好ましくは5mmの厚さとすることができる。圧力補償はチューブで行うことができる。
【0030】
約4×10-6-1~6×10-6-1のCTEを有する金属および金属化合物材料、例えばTaN、HfO、およびTaOを堆積させるシステムでは、例えば炭化ケイ素を含むライナーおよびインジェクター材料は、好ましくは約4×10-6-1~9×10-6-1のCTEを有し得る。
【0031】
更に高いCTEを有する材料の堆積のために、例えば表2に示されるライナー材料および/またはインジェクター材料を選択することができる。
【0032】
【表2】
【0033】
アセンブリには、ライナー2bの外面とプロセスチューブ12との間の周方向空間SにパージガスPを供給するためにフランジ3上に取り付けられたパージガス入口19を設けることができる。パージガス入口は、フランジ3からライナーの上端部に向かってライナー2の円筒状壁の外面に沿って垂直に延在するパージガスノズル20を備えることができる。周方向空間SへのパージガスPは、ガス排気口8内に流れを作り、排気チューブ7から周方向空間Sへの反応ガスの拡散を妨げることができる。
【0034】
フランジ3は上面を有してもよい。ライナー2は、ライナー壁2aの外側円筒面に接続され得る支持部材4によって支持されることができる、それぞれ下向きの支持面を有する。ライナーはまた、フランジ3の上面においてライナーの下面2cで直接支持されてもよい。
【0035】
支持部材4の支持面は、ライナー2の内側円筒面2bから径方向外側に配置されてもよい。この例では、支持部材4の支持面はまた、それらが取り付けられているライナー2の外側円筒面2aから径方向外側に配置されてもよい。支持部材4の下方に向く支持面は、フランジ3の上面と接触してライナー2を支持することができる。
【0036】
封止部の支持フランジ3は、ライナー2の内部空間およびライナー2と低圧チューブ12との間の環状空間からガスを除去するためのガス排気開口部8を備えることができる。ガス排気開口部の少なくともいくつかを、ライナー2の径方向外側のフランジ3の上面に設けることができる。ガス排出開口部の少なくともいくつかを、ライナー開口部の近くに設けてもよい。ガス排気開口部8は、内部空間およびプロセスチューブ12とライナー2との間の周方向空間からガスを引き出すために、排気ダクト7を介してポンプと流体連通することができる。支持部材4と支持フランジ3の上面部分との間の摩擦によって作り出され得るいかなる粒子も、ガス排気開口部8を通ってガスと共に排出されることができる。いずれの場合でも、放出された粒子は基材Wの周りのプロセスチャンバーに入ることができない。
【0037】
図2aは、一実施形態による基材処理装置で使用するためのアセンブリの図を示す。図2aは、ライナー2と、フランジ3上に配置されたインジェクター17aおよび17bとを含むアセンブリ31を示す。インジェクター17aおよび17bはそれぞれ、ガスインジェクターシステムに接続してプロセスガスを反応チャンバーの内部に供給するためのガス入口33aおよび33bをそれぞれ有する。ライナー2はライナーが上端2bで開放され、上端で閉鎖されている図1のライナー2とは異なることを意味する開放ライナーである。反応チャンバー内で処理される基材を支持するために、基材を保持するためのボートBがライナー2内に配置されてもよい。
【0038】
パージガス入口19から反応チャンバー内の不活性ガス、例えば窒素ガスをパージするためにパージガスノズル20を設けてもよい。パージノズル20は、パージガスが反応チャンバーの内部を通って下方に流れ、フランジ内の排気口7を通って出ることができるように、上端部34に開口部を有する。パージガス用のパージノズル20は、上端に開放端を有し、かつその側壁にガス放出孔がないチューブであることが好ましく、それにより全てのパージガスが反応チャンバーの上端で排出されることができる。パージインジェクターを省略して、パージガスをインジェクター17a、17bの一方に供給してもよい。
【0039】
別の実施形態では、排気口7は反応チャンバーの上端にあってもよく、パージガスは反応チャンバーの底部で排出されることができる。
【0040】
図2bは、図1図2aの反応チャンバーの内部にプロセスガスを供給するように構築および配置されるガスインジェクターシステム35の図を例示する。ガスインジェクターシステムは、第一および第二のインジェクター17a、17bと、供給管37から第一および第二のインジェクター17a、17bへ、それぞれ同じプロセスガス用の第一および第二のガス入口33a、33bを経由して、プロセスガスの流れを制御するように構築および配置されるガス制御システム36と、を備える。
【0041】
ガス制御システム36は、供給管から第一および第二のインジェクターのうちの一つ(例えば、第一のインジェクター17a)にプロセスガスの流れを供給し、第一および第二のインジェクターのうちのもう一つ(例えば、第二のインジェクター17b)への同じプロセスガスの流れを制限するように構築および配置されることができる。この例では、ガス制御システム36は、供給管37から第一のガス入口33aへのプロセスガスの流れを供給し、第二のガス入口33bへの同じプロセスガスの流れを制限するように構築および配置されるプロセスガスバルブ39を備えることができる。
【0042】
第二のインジェクター17bには、パージガス源41からパージガスバルブ43および第二のガス入口33bを経由して連続的にパージガス流が供給され、使用されていない間はプロセスガスが第二のインジェクター17bの内部に流入せずインジェクターに堆積しないことを保証する。プロセスガスバルブ39およびパージガスバルブ43を、バルブ39、43を制御してプロセスガスの流れを供給管から第一および第二のインジェクター17a、17bのうちの一つに供給し、第一および第二のインジェクター17a、17bのうちのもう一つへの同じプロセスガスの流れを制限するようにプログラムされることができるコントローラ45により、制御することができる。
【0043】
例えば所定時間経過後に、またはプロセスガスの流量がある閾値未満になる場合に、コントローラ45の制御下でプロセスガスバルブ39とパージガスバルブ43の両方を切り替えることによって、プロセスガスの流れを第一のインジェクター17aから第二のインジェクター17bに切り替えることができる。制御システム45には、所定時間経過後に切り替えるためのタイマーを設けてもよい。そして、プロセスガスの流れを供給管37から第二のガス入口33bに向け、プロセスガスバルブ39を用いて第一のガス入口33aへの同じプロセスガスの流れを制限する。必要に応じて、第一のインジェクター17aに、パージガス源41からパージガスバルブ43および第一のガス入口33aを経由して連続的にパージガス流を供給することができる。
【0044】
プロセスガスの流れを、第一のインジェクターから第二のインジェクターへ交互に複数回切り替えることができる。生産期間を更に延長するために、インジェクターシステム内のインジェクターの数を三個、四個、または更には五個に増やすことができる。
【0045】
ガス制御システムは、プロセスガスの流量を測定するためのガス流量測定装置を備えることができ、ガス制御システムは、プロセスガスの流量がある閾値未満になる場合、プロセスガスの流量を第一のインジェクターから第二のインジェクターに切り替えるように構築および/またはプログラムされることができる。インジェクターからのフレークの粒子数が粒子数閾値を超えている場合、プロセスガスの流れは、第一のインジェクターから第二のインジェクターに切り替えられ得る。
【0046】
反応チャンバー内の基材W上の堆積の均一性が悪化している場合、または、例えば基材Wの表面上で数えられる粒子の数が減少している場合、プロセスガスの流れは第一のインジェクターから第二のインジェクターに切り替えられ得る。基材上の粒子の均一性または数を測定するために、装置の外部または任意の内部の測定システムに基材を提供してもよい。
【0047】
第一および第二のインジェクターを、両方が目詰まりした場合は新しい第一および第二のインジェクターに交換することができる。例えば、第一および第二のインジェクターを通るプロセスガスの流量が第二の閾値未満になる場合。
【0048】
図3は、図1または図2aによる装置の反応チャンバー12内に配置する実施形態によるインジェクターの底面斜視図を示す。二つのインジェクター分岐22、23を有する一つの第一のインジェクター17だけが示されている。別の第二のインジェクターをライナー2内に配置することができる。
【0049】
インジェクター2はまた、三つまたは四つの分岐を有することができる。インジェクターのうちの一つまたは複数は、多穴ガスインジェクターであってもよい。有利には、多穴ガスインジェクターを使用すると、反応チャンバー12内へのガス分配の均一性を向上させることができ、それにより堆積結果の均一性が向上する。
【0050】
インジェクター17に開口部26のパターンを設けてもよく、このパターンは実質的にウェーハ装填上に延在する。本発明によれば、開口部の総断面積は比較的大きく、例えば100~600、好ましくは200~400mmである。原料ガスの伝導に利用可能なインジェクター17の内側断面は、100~600、好ましくは200~500mmまたはそれより大きくてもよい。インジェクター17の内側断面はらせん形状であってもよい。
【0051】
開口径は、1~15mm、好ましくは3~12mm、より好ましくは4~10mmとすることができる。開口部の面積は、1~200mm、好ましくは7~100mm、より好ましくは13~80mmとすることができる。より大きい開口部は、開口部内の堆積層により開口部が目詰まりするのにより長い時間がかかるという利点を有することができる。
【0052】
図3に示す例では、インジェクターは全体として40個の開口部を備えることができる。3mmの直径では、開口部の総断面は40×3×3×π/4=282mmとすることができる。インジェクターの各分岐の断面は、約11×30=330mmである。別のインジェクターは、直径4mmの20個の開口部を有することができ、総面積は251mmである。別のインジェクターは、直径8mmの5個の開口部を有することができ、総面積は251mmである。
【0053】
各インジェクター分岐22、23において、開口部を同じ高さで対をなして設けてもよく、二つの開口部は径方向の均一性を改善するために約90度の角度で二方向にガスを注入してもよい。
【0054】
開口部は、垂直方向および水平方向に離間した関係でインジェクター上に配置されてもよい。一つのインジェクター分岐上の開口部のパターンは、分岐のより高い部分の開口部で濃度がより高くなるように垂直に延在し、より高い部分でガス流が減少するのを補償することができる。インジェクター分岐はインジェクターチューブであってもよく、各インジェクターチューブはその供給端部が別々のガス供給導管に接続している。二つ以上の原料ガスを別々に注入するために、インジェクターチューブを別々のガス供給導管を介して別々のガス源に接続することができる。一つのインジェクター分岐上の開口部パターンはボートの一部のみにわたって垂直方向に延在してもよい。インジェクター17をライナー2内のバルジ2e内に収容してもよい。
【0055】
アセンブリは、フランジ上に取り付けられ、ライナー2の円筒形壁の内面または外面に沿ってライナーの上端部に向かって延在する温度を測定する温度測定システムを備えることができる。温度測定システムは、ライナーに沿って異なる高さで温度を測定するためにビームの長さに沿って設けられる複数の温度センサーを有するビームを備えることができる。
【0056】
ライナーの内部表面に沿って構成される場合、内部空間内の温度を測定するための複数の温度センサーを有するビームを収容するために、ライナー2に第二のバルジ2fを設けることができる。図示のように、バルジはライナーの内側に温度測定システムを収容するために外側に延びるが、バルジはまた、ライナーの外側に温度測定システムを収容するために内側に延びてもよい。インジェクターおよび温度システムをそれぞれバルジ2eおよび2f内に収容することによって、内部空間を実質的に円筒対称形に保つことができ、これは堆積プロセスの均一性に有利である。反応チャンバー12の下端部にブロードニングフランジ27を設けることができる。
【0057】
図4は、図1図2a、または図3の基材処理装置で使用するインジェクター17を示す。インジェクター17には、上から下に向かって55、57、59、61、63の番号が付けられた五つのインジェクター開口部18が設けられている。インジェクター17の上端部近傍の開口部間の距離は、インジェクターの上端部での圧力の減少を補償するために、インジェクター17の下端部における距離と比較して狭くすることができる。圧力の減少を補償するために、第一の開口部55と第二の開口部57との間の距離は、45~49、好ましくは47mmとすることができ、開口部57と59との間では、50~56、好ましくは53mmとすることができ、開口部59と61との間では、55~59、好ましくは57mmとすることができ、開口部61と63の間では、70~100、好ましくは81mmとすることができる。
【0058】
開口部の総断面は、インジェクター内の圧力が比較的低い値に保たれるように比較的大きくてもよい。開口部18の直径は、4~15mmとすることができる。例えば、開口部は8mmの直径を有することができる。インジェクターの開口部内に堆積することにより、インジェクター開口部の目詰まりを引き起こす可能性がある。より大きい開口部、例えば4~15mm、好ましくは8mmを有することにより、インジェクター開口部が目詰まりするのにより長い時間がかかり、これはインジェクターの寿命を延ばす。
【0059】
インジェクター内部のガス伝導チャネルの水平方向の内側断面は、径方向の寸法よりも大きい、実質的に円筒形のライナーの円周に接する方向の寸法を有する長方形の形状を有することができる。インジェクター17の下部28は、より小さい断面、したがってより高い圧力を有することができる。通常、これは余分な堆積を引き起こす可能性があるが、この部分では温度がより低い可能性があるので、堆積速度は依然として許容可能であることができる。
【0060】
ガスインジェクター17の開口部18は、開口部の目詰まりを減らすように構成されてもよい。開口部は、内側から外側に向かって凹形状を有することができる。インジェクターの内側の表面上の開口部の表面積がインジェクターの外側の開口部18の表面積よりも大きい凹形状は、目詰まりを低減することができる。したがって内側の面積が大きいほど、圧力、および堆積がより大きい内側で、より多くの堆積が可能になる。外側では、圧力が低下し、したがって堆積もより遅くなる
【0061】
反応速度は典型的には圧力の増加と共に増加するので、インジェクターで圧力を減少させると、インジェクター17内の反応速度が減少する可能性がある。インジェクター内の圧力が低いことの更なる利点は、インジェクターを通るガス量が低圧で膨張することであり、原料ガスの流れが一定の場合、インジェクター内の原料ガスの滞留時間はそれに対応して短くなる。両方の組み合わせのために、原料ガスの分解を減らすことができ、それによってインジェクター内の堆積も減らすことができる。
【0062】
インジェクター内に堆積すると、インジェクター内に引張強度が生じ、温度が変化した場合にインジェクターが破損する可能性がある。したがってインジェクター内の堆積量が少ないと、インジェクター17の寿命が延びる。インジェクターは、プロセスガスで堆積される材料の熱膨張係数を有する材料から作られてもよい。例えば、インジェクターは、窒化ケイ素が堆積される場合には窒化ケイ素から、またはプロセスガスによってシリコンが堆積される場合にはシリコンから作られてもよい。それによりインジェクター内の堆積層の熱膨張は、インジェクターの熱膨張と一致する可能性があり、ガスインジェクターが温度変化中に破損する可能性を低減する。炭化ケイ素は、多くの堆積材料と一致する可能性がある熱膨張を有するので、インジェクター17に好適な材料となり得る。
【0063】
インジェクター内部の圧力が低いことの不利点は、インジェクターの伝導が著しく減少することである。これにより、インジェクターの全長にわたる開口部パターン上での原料ガスの流れの分布が不均一となるであろう。原料ガスの大部分は、インジェクターの入口端部近くの穴から流出するであろう。インジェクターの長さ方向に沿ってインジェクター内で原料ガスが容易に流れるように、インジェクターは大きな内側断面を備えることができる。本発明によるインジェクターを反応空間内に収容することができるようにするために、インジェクターの接線方向の大きさは径方向の大きさよりも大きく、反応空間を画定するライナーはインジェクターを収容するために外側に延びるバルジを備えることができる。
【0064】
好ましい実施形態では、二成分膜の二つの構成元素を供給する二つの原料ガスは、インジェクターに入る前にガス供給システム内で混合される。これはボートの全長にわたって注入ガスの均一な組成を保証するための最も簡単な方法である。しかし、これは必須ではない。あるいは、二つの異なる原料ガスを別々のインジェクターを用いて注入し、注入後に反応空間内で混合することができる。
【0065】
二つのインジェクター分岐を使用することにより、いくつかの調整可能性が可能になる。実質的に同じ組成のガスが、別々の原料ガス供給によってインジェクターの両方の部分に供給される場合、ボート全体にわたって堆積速度の均一性を微調整するために、異なるインジェクター分岐に供給される流量は、異なるように選択され得る。ボート上の二成分膜の組成を微調整するために、異なる組成のガスをインジェクターの二つのラインに供給することも可能である。しかし、注入ガスの組成が両方のインジェクターラインについて同じである場合に、最良の結果が達成され得る。
【0066】
特定の実施形態を上述したが、記載した以外の方法で本発明を実施できることが理解されよう。上記の説明は例示的であり、限定的ではないことが意図されている。したがって、添付の特許請求の範囲の範囲から逸脱することなく、前述のように本発明に修正を加えることができることは当業者には明らかであろう。様々な実施形態を組み合わせて適用してもよく、または互いに独立して適用してもよい。
図1
図2a
図2b
図3
図4