(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-08
(45)【発行日】2024-11-18
(54)【発明の名称】吸収性物品用の吸収コア、及び当該吸収コアを含む吸収性物品
(51)【国際特許分類】
A61F 13/532 20060101AFI20241111BHJP
A61F 13/53 20060101ALI20241111BHJP
【FI】
A61F13/532 200
A61F13/53 300
(21)【出願番号】P 2019211772
(22)【出願日】2019-11-22
【審査請求日】2021-05-24
【審判番号】
【審判請求日】2022-11-16
(73)【特許権者】
【識別番号】000115108
【氏名又は名称】ユニ・チャーム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100139022
【氏名又は名称】小野田 浩之
(74)【代理人】
【識別番号】100192463
【氏名又は名称】奥野 剛規
(74)【代理人】
【識別番号】100169328
【氏名又は名称】藤本 健治
(72)【発明者】
【氏名】丸山 貴史
(72)【発明者】
【氏名】黒田 賢一郎
(72)【発明者】
【氏名】細川 雅司
(72)【発明者】
【氏名】村上 康郎
(72)【発明者】
【氏名】河守 良太
【合議体】
【審判長】筑波 茂樹
【審判官】金丸 治之
【審判官】木原 裕二
(56)【参考文献】
【文献】特開2012-135445(JP,A)
【文献】特開2016-123641(JP,A)
【文献】特開2016-10594(JP,A)
【文献】特開2006-198397(JP,A)
【文献】特開平10-99372(JP,A)
【文献】米国特許第3653382(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61F 13/15 - 13/84
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1面及び第2面と、長手方向、幅方向及び厚さ方向とを有する、吸収性物品用の吸収コアであって、
前記吸収コアが、第1繊維と、第1繊維よりも繊維長の短く且つ吸水性を有する第2繊維とを含み、
第1繊維が、前記吸収コアの骨格を構成するとともに、第2繊維が、前記骨格に保持されており、
前記吸収コアが、第1面に、前記長手方向に沿って延びているとともに、前記幅方向に離間している、一対の第1スライド部を備えており、
前記一対の第1スライド部のそれぞれは、前記幅方向の内方及び外方に配置された、お互いに向かい合う、第1内方スライド面及び第1外方スライド面であって、そのそれぞれが、第1面から第2面に向かって、前記幅方向の外方又は内方に向かって延びているものを備えて
おり、
前記吸収コアが前記幅方向に圧縮された場合に、前記吸収コアの前記一対の第1スライド部の間の領域として区画される中央領域が、前記一対の第1スライド部の外側の領域として区画される前記一対の外側領域のそれぞれから遠ざかるように、前記厚さ方向の第1面側又は第2面側に相対的にスライドするように構成されており、
前記一対の第1スライド部のそれぞれにおいて、第1繊維が、第1内方スライド面から第1外方スライド面に渡って連続している、
ことを特徴とする、前記吸収コア。
【請求項2】
前記一対の第1スライド部のそれぞれにおいて、第1繊維が、第1内方スライド面及び第1外方スライド面のそれぞれに沿って配向している、請求項
1に記載の吸収コア。
【請求項3】
前記一対の第1スライド部のそれぞれの中央部において、第1内方スライド面及び第1外方スライド面が、お互いに接している、請求項1
又は2に記載の吸収コア。
【請求項4】
前記一対の第1スライド部のそれぞれにおいて、第1内方スライド面及び第1外方スライド面のそれぞれが、第1面から第2面に向かって、前記幅方向の外方に向かって延びており、
前記吸収コアが、第2面に、前記長手方向に沿って延びているとともに、前記幅方向に離間している、一対の第2スライド部を備えており、
前記一対の第2スライド部のそれぞれは、前記幅方向の内方及び外方に配置された、お互いに向かい合う、第2内方スライド面及び第2外方スライド面であって、そのそれぞれが、第2面から第1面に向かって、前記幅方向の内方に向かって延びているものを備えており、
前記一対の第1スライド部及び前記一対の第2スライド部のそれぞれにおいて、第2内方スライド面が、第1外方スライド面よりも、前記幅方向の外側に配置されている、請求項1~
3のいずれか一項に記載の吸収コア。
【請求項5】
前記一対の第2スライド部のそれぞれにおいて、第1繊維が、第2内方スライド面及び第2外方スライド面のそれぞれに沿って配向している、請求項
4に記載の吸収コア。
【請求項6】
前記一対の第2スライド部のそれぞれにおいて、第1繊維が、第2内方スライド面から第2外方スライド面に渡って連続している、請求項
4又は
5に記載の吸収コア。
【請求項7】
前記一対の第2スライド部のそれぞれの中央部において、第2内方スライド面及び第2外方スライド面が、お互いに接している、請求項
4~
6のいずれか一項に記載の吸収コア。
【請求項8】
一対の第1スライド部のそれぞれと、一対の第2スライド部のそれぞれとが、前記厚さ方向において重複している、請求項
4~
7のいずれか一項に記載の吸収コア。
【請求項9】
第1面側において、前記一対の第1スライド部の間の領域として区画される中央領域の高さが、前記一対の第2スライド部の外側の領域として区画される一対の側部領域のそれぞれの高さよりも低い、請求項
4~
8のいずれか一項に記載の吸収コア。
【請求項10】
第1面及び第2面が、それぞれ、肌側面及び着衣側面である、請求項1~
9のいずれか一項に記載の吸収コア。
【請求項11】
第1面及び第2面が、それぞれ、着衣側面及び肌側面である、請求項1~
9のいずれか一項に記載の吸収コア。
【請求項12】
吸収コアを備えており、長手方向、幅方向及び厚さ方向とを有する吸収性物品であって、
前記吸収コアが、肌側面及び着衣側面とを有し、
前記吸収コアが、第1面及び第2面を有し、
前記吸収コアが、第1繊維と、第1繊維よりも繊維長の短く且つ吸水性を有する第2繊維とを含み、
第1繊維が、前記吸収コアの骨格を構成するとともに、第2繊維が、前記骨格に保持されており、
前記吸収コアが、前記肌側面又は着衣側面に、前記長手方向に沿って延びているとともに、前記幅方向に離間している、一対の第1スライド部を備えており、
前記一対の第1スライド部のそれぞれは、前記幅方向の内方及び外方に配置された、お互いに向かい合う、第1内方スライド面及び第1外方スライド面であって、そのそれぞれが、第1面から第2面に向かって、前記幅方向の外方又は内方に向かって延びているものを備えており、
前記吸収性物品の構成資材が、前記一対の第1スライド部のそれぞれの内部に配置されて
おらず、
前記吸収コアが前記幅方向に圧縮された場合に、前記吸収コアの前記一対の第1スライド部の間の領域として区画される中央領域が、前記一対の第1スライド部の外側の領域として区画される前記一対の外側領域のそれぞれから遠ざかるように、前記厚さ方向の第1面側又は第2面側に相対的にスライドするように構成されており、
前記一対の第1スライド部のそれぞれにおいて、第1繊維が、第1内方スライド面から第1外方スライド面に渡って連続している、
ことを特徴とする、前記吸収性物品。
【請求項13】
前記一対の第1スライド部のそれぞれにおいて、第1内方スライド面及び第1外方スライド面のそれぞれが、第1面から第2面に向かって、前記幅方向の外方に向かって延びており、
前記吸収コアが、第2面に、前記長手方向に沿って延びているとともに、前記幅方向に離間している、一対の第2スライド部を備えており、
前記一対の第2スライド部のそれぞれは、前記幅方向の内方及び外方に配置された、お互いに向かい合う、第2内方スライド面及び第2外方スライド面であって、そのそれぞれが、第2面から第1面に向かって、前記幅方向の内方に向かって延びているものを備えており、
前記一対の第1スライド部及び前記一対の第2スライド部のそれぞれにおいて、第2内方スライド面が、第1外方スライド面よりも、前記幅方向の外側に配置されており、
前記吸収性物品の構成資材が、前記一対の第2スライド部のそれぞれの内部に配置されていない、
請求項
12に記載の吸収性物品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、吸収性物品用の吸収コア、及び当該吸収コアを含む吸収性物品に関する。
【背景技術】
【0002】
高い吸収性能を有しながら、使用者の動きによっても剥離等が生じることなく高い耐久性を維持することができる吸収コアが検討されている。
例えば、特許文献1には、以下の吸収体を備える吸収性物品が開示されている。
液透過性層と、液不透過性層と、前記液透過性層及び前記液不透過性層の間の吸収体とを備える吸収性物品であって、前記吸収体は、セルロース系吸水性繊維、及び該セルロース系吸水性繊維よりも繊維長が長い熱可塑性樹脂繊維を含み、前記吸収体中の前記熱可塑性樹脂繊維の少なくとも一部が、前記吸収体の前記液透過性層側の表面に露出する第1の部分と、前記吸収体の前記液不透過性層側の表面に露出する第2の部分と、第1の部分及び第2の部分を連結する連結部分とを有していると共に、前記吸収体は、予め定められた坪量の第1領域と、該第1領域よりも高坪量である第2領域とを備えていて、前記第2領域は、前記第1領域よりも前記熱可塑性樹脂繊維の坪量が高い、吸収性物品。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載の吸収体は、使用者の動きによって剥離等が生じにくく、高い耐久性を維持することができるものであるが、吸収体が、着用者の脚等によって幅方向の内側に圧縮された場合に、着用者が違和感を覚える可能性があった。
従って、本開示は、高い耐久性を維持することができるとともに、着用者に違和感を覚えさせにくい、吸収性物品用の吸収コアを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示者らは、第1面及び第2面と、長手方向、幅方向及び厚さ方向とを有する、吸収性物品用の吸収コアであって、上記吸収コアが、第1繊維と、第1繊維よりも繊維長の短く且つ吸水性を有する第2繊維とを含み、第1繊維が、上記吸収コアの骨格を構成するとともに、第2繊維が、上記骨格に保持されており、上記吸収コアが、第1面に、上記長手方向に沿って延びているとともに、上記幅方向に離間している、一対の第1スライド部を備えており、上記一対の第1スライド部のそれぞれは、上記幅方向の内方及び外方に配置された、お互いに向かい合う、第1内方スライド面及び第1外方スライド面であって、そのそれぞれが、第1面から第2面に向かって、上記幅方向の外方又は内方に向かって延びているものを備えていることを特徴とする吸収コアを見出した。
【発明の効果】
【0006】
本開示の吸収性物品用の吸収コアは、高い耐久性を維持することができるとともに、着用者に違和感を覚えさせにくい。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】
図1は、第1実施形態に従う生理用ナプキン1を説明するための図である。
【
図2】
図2は、第1実施形態に従う生理用ナプキン1を説明するための図である。
【
図3】
図3は、第1実施形態に従う生理用ナプキン1を説明するための図である。
【
図4】
図4は、第1実施形態に従う生理用ナプキン1を説明するための図である。
【
図5】
図5は、第1実施形態に従う生理用ナプキン1を説明するための図である。
【
図6】
図6は、第1実施形態に従う生理用ナプキン1を説明するための図である。
【
図7】
図7は、第1実施形態に従う生理用ナプキン1を説明するための図である。
【
図8】
図8は、第2実施形態に従う生理用ナプキン1を説明するための図である。
【
図9】
図9は、第2実施形態に従う生理用ナプキン1を説明するための図である。
【
図10】
図10は、第2実施形態に従う生理用ナプキン1を説明するための図である。
【
図11】
図11は、第3実施形態に従う生理用ナプキン1を説明するための図である。
【
図12】
図12は、第4実施形態に従う生理用ナプキン1を説明するための図である。
【
図13】
図13は、第5実施形態に従う生理用ナプキン1を説明するための図である。
【
図14】
図14は、第1実施形態における吸収コア3を製造するための型部材201を説明するための図である。
【
図15】
図15は、第1実施形態における吸収コア3を製造するための方法を説明するための図である。
【
図16】
図16は、第1実施形態における吸収コア3を製造するための方法を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
具体的には、本開示は以下の態様に関する。
[態様1]
第1面及び第2面と、長手方向、幅方向及び厚さ方向とを有する、吸収性物品用の吸収コアであって、
上記吸収コアが、第1繊維と、第1繊維よりも繊維長の短く且つ吸水性を有する第2繊維とを含み、
第1繊維が、上記吸収コアの骨格を構成するとともに、第2繊維が、上記骨格に保持されており、
上記吸収コアが、第1面に、上記長手方向に沿って延びているとともに、上記幅方向に離間している、一対の第1スライド部を備えており、
上記一対の第1スライド部のそれぞれは、上記幅方向の内方及び外方に配置された、お互いに向かい合う、第1内方スライド面及び第1外方スライド面であって、そのそれぞれが、第1面から第2面に向かって、上記幅方向の外方又は内方に向かって延びているものを備えている、
ことを特徴とする、上記吸収コア。
【0009】
上記吸収コアでは、第1繊維が、吸収コアの骨格を構成するとともに、第2繊維が、上記骨格に保持されている構造を有する。従って、上記吸収コアは、高い耐久性を維持することができる。
【0010】
また、上記吸収コアは、所定の一対の第1スライド部を備えている。従って、(i)第1内方スライド面及び第1外方スライド面のそれぞれが、第1面から第2面に向かって、上記幅方向の外方に向かって延びている場合には、上記吸収コアが幅方向に圧縮されると、吸収コアの一対の第1スライド部の間の領域として区画される中央領域が、一対の第1スライド部の外側の領域として区画される一対の外側領域のそれぞれから遠ざかるように、厚さ方向の第2面側に相対的にスライドするとともに、吸収コアが、吸収コアの幅を小さくするように変形する。次いで、上記吸収コアを幅方向に圧縮する力を取り除くと、吸収コアの中央領域が、吸収コアの一対の外側領域のそれぞれに近づくように、厚さ方向の第1面側にスライドするとともに、吸収コアが、吸収コアの幅を元に戻すように変形する。
【0011】
また、(ii)第1内方スライド面及び第1外方スライド面のそれぞれが、第1面から第2面に向かって、上記幅方向の内方に向かって延びている場合には、上記吸収コアが幅方向に圧縮されると、吸収コアの中央領域が、一対の第1スライド部の外側の外側領域から遠ざかるように、厚さ方向の第1面側に相対的にスライドするとともに、吸収コアが、吸収コアの幅を小さくするように変形する。次いで、上記吸収コアを幅方向に圧縮する力が取り除かれると、吸収コアの中央領域が、吸収コアの一対の外側領域のそれぞれに近づくように、厚さ方向の第2面側に相対的にスライドするとともに、吸収コアが、吸収コアの幅を元に戻すように変形する。
従って、着用者が、吸収コアから反発力を受けにくく、着用者が、違和感を覚えにくい。
【0012】
なお、本明細書では、吸収コアが、吸収コアの幅(幅方向長さ)又は長さ方向長さを小さくするように変形することを、単に「変形」と称し、吸収コアが、吸収コアの幅(幅方向長さ)又は長手方向長さを、その復元力により元に戻すように変形することを、単に「回復」と称する場合がある。
また、本明細書では、上述の変形のしやすさ及び回復のしやすさを、それぞれ、「変形性」及び「回復性」と称する場合がある。
【0013】
[態様2]
上記一対の第1スライド部のそれぞれにおいて、第1繊維が、第1内方スライド面及び第1外方スライド面のそれぞれに沿って配向している、態様1に記載の吸収コア。
【0014】
上記吸収コアでは、一対の第1スライド部のそれぞれにおいて、第1繊維が、第1内方スライド面及び第1外方スライド面のそれぞれに沿って配向している。従って、第1内方スライド面と、第1外方スライド面との間の摩擦が小さくなり、上記吸収コアが、上述の変形性及び回復性に優れ、着用者が違和感を覚えにくい。
【0015】
また、上記吸収コアでは、一対の第1スライド部のそれぞれにおいて、第1繊維が、第1内方スライド面及び第1外方スライド面のそれぞれに沿って配向している。従って、一対の第1スライド部(第1内方スライド面と、第1外方スライド面)の耐久性が高くなり、上記吸収コアが上述の変形及び回復を繰り返した場合であっても、一対の第1スライド部がその機能を維持しやすく、上記吸収コアは、高い耐久性を維持することができるとともに、着用者に違和感を覚えさせにくくなる。
【0016】
[態様3]
上記一対の第1スライド部のそれぞれにおいて、第1繊維が、第1内方スライド面から第1外方スライド面に渡って連続している、態様1又は2に記載の吸収コア。
【0017】
上記吸収コアでは、上記一対の第1スライド部のそれぞれにおいて、第1繊維が、第1内方スライド面から第1外方スライド面に渡って連続している。従って、吸収コアが上述の変形及び回復を繰り返した場合であっても、一対の第1スライド部がその機能を維持しやすく、上記吸収コアは、高い耐久性を維持することができるとともに、着用者に違和感を覚えさせにくくなる。
【0018】
[態様4]
上記一対の第1スライド部のそれぞれの中央部において、第1内方スライド面及び第1外方スライド面が、お互いに接している、態様1~3のいずれか一項に記載の吸収コア。
【0019】
上記吸収コアでは、一対の第1スライド部のそれぞれの中央部において、第1内方スライド面及び第1外方スライド面がお互いに接している。従って、上記吸収コアが、上記吸収コアを幅方向に圧縮する力を受けていない場合に、上記吸収コアの上記中央領域と、それ以外の領域とが一体になって機能する(例えば、液体を受け渡す)ことができるとともに、上記吸収コアが、上述の変形及び回復を行うことができ、上記吸収コアが、変形性及び回復性に優れる。
【0020】
[態様5]
上記一対の第1スライド部のそれぞれにおいて、第1内方スライド面及び第1外方スライド面のそれぞれが、第1面から第2面に向かって、上記幅方向の外方に向かって延びており、
上記吸収コアが、第2面に、上記長手方向に沿って延びているとともに、上記幅方向に離間している、一対の第2スライド部を備えており、
上記一対の第2スライド部のそれぞれは、上記幅方向の内方及び外方に配置された、お互いに向かい合う、第2内方スライド面及び第2外方スライド面であって、そのそれぞれが、第2面から第1面に向かって、上記幅方向の内方に向かって延びているものを備えており、
上記一対の第1スライド部及び上記一対の第2スライド部のそれぞれにおいて、第2内方スライド面が、第1外方スライド面よりも、上記幅方向の外側に配置されている、態様1~4のいずれか一項に記載の吸収コア。
【0021】
上記吸収コアは、所定の一対の第2スライド部を備えている。従って、上記吸収コアが幅方向に圧縮されると、一対の第1スライド部及び一対の第2スライド部が協働することにより、吸収コアの、一対の第1スライド部の間の領域として区画される中央領域が、一対の第2スライド部の外側の領域として区画される一対の側部領域のそれぞれから遠ざかるように、厚さ方向の第2面側に相対的にスライドしやすくなるとともに、吸収コアの幅を小さくするように変形しやすくなる。また、上記吸収コアを幅方向に圧縮する力が取り除かれると、吸収コアの中央領域が、吸収コアの一対の側部領域のそれぞれに近づくように、厚さ方向の第1面側に相対的にスライドしやすくなるとともに、吸収コアの幅を元に戻すように変形しやすくなる。
従って、着用者が、吸収コアから反発力を受けにくく、着用者が、違和感を覚えにくい。
【0022】
[態様6]
上記一対の第2スライド部のそれぞれにおいて、第1繊維が、第2内方スライド面及び第2外方スライド面のそれぞれに沿って配向している、態様5に記載の吸収コア。
【0023】
上記吸収コアでは、一対の第2スライド部のそれぞれにおいて、第1繊維が、第2内方スライド面及び第2外方スライド面のそれぞれに沿って配向している。従って、第2内方スライド面と、第2外方スライド面との間の摩擦が小さくなり、上記吸収コアが、上述の変形性及び回復性に優れ、着用者が違和感を覚えにくい。
【0024】
また、上記吸収コアでは、一対の第1スライド部のそれぞれにおいて、第1繊維が、第2内方スライド面及び第2外方スライド面のそれぞれに沿って配向している。従って、一対の第2スライド部(第2内方スライド面と、第2外方スライド面)の耐久性が高くなり、上記吸収コアが上述の変形及び回復を繰り返した場合であっても、一対の第1スライド部がその機能を維持しやすく、上記吸収コアは、高い耐久性を維持することができるとともに、着用者に違和感を覚えさせにくくなる。
【0025】
[態様7]
上記一対の第2スライド部のそれぞれにおいて、第1繊維が、第2内方スライド面から第2外方スライド面に渡って連続している、態様5又は6に記載の吸収コア。
【0026】
上記吸収コアでは、上記一対の第2スライド部のそれぞれにおいて、第1繊維が、第2内方スライド面から第2外方スライド面に渡って連続している。従って、吸収コアが上述の変形及び回復を繰り返した場合であっても、一対の第2スライド部がその機能を維持しやすく、上記吸収コアは、高い耐久性を維持することができるとともに、着用者に違和感を覚えさせにくくなる。
【0027】
[態様8]
上記一対の第2スライド部のそれぞれの中央部において、第2内方スライド面及び第2外方スライド面が、お互いに接している、態様5~7のいずれか一項に記載の吸収コア。
【0028】
上記吸収コアでは、一対の第2スライド部のそれぞれの中央部において、第2内方スライド面及び第2外方スライド面がお互いに接している。従って、上記吸収コアが幅方向に圧縮される力を受けていない場合には、上記吸収コアの上記中央領域と、一対の側部領域のそれぞれとが一体になって機能する(例えば、液体を受け渡す)ことができるとともに、上記吸収コアが、上述の変形及び回復を行うことができ、上記吸収コアが、変形性及び回復性に優れる。
【0029】
[態様9]
一対の第1スライド部のそれぞれと、一対の第2スライド部のそれぞれとが、上記厚さ方向において重複している、態様5~8のいずれか一項に記載の吸収コア。
【0030】
上記吸収コアでは、一対の第1スライド部のそれぞれと、一対の第2スライド部のそれぞれとが、厚さ方向において重複している。したがって、一対のスライド部のそれぞれと、一対の第2スライド部のそれぞれとの間の領域として区画されるとともに、上記中央領域と、一対の側部領域とを連結する、一対の連結領域が、上記吸収コアが幅方向に圧縮されると、吸収コアの中央領域を厚さ方向にスライドさせるとともに、吸収コアの幅を小さくするように変形させるように機能することができる。その結果、上記吸収コアが、上述の変形及び回復を行いやすくなり、上記吸収コアが、変形性及び回復性に優れる。
【0031】
[態様10]
第1面側において、上記一対の第1スライド部の間の領域として区画される中央領域の高さが、上記一対の第2スライド部の外側の領域として区画される一対の側部領域のそれぞれの高さよりも低い、態様5~9のいずれか一項に記載の吸収コア。
【0032】
上記吸収コアでは、吸収コアが幅方向に圧縮されていない状態において、第1面側における中央領域の高さが、第1面側における一対の側部領域のそれぞれの高さよりも低い。従って、吸収コアが幅方向に圧縮されると、吸収コアの中央領域が、吸収コアの一対の側部領域のそれぞれから遠ざかるように、厚さ方向の第2面側に相対的にスライドするように吸収コアが変形した場合に、着用者が、変形した吸収コアの厚さを知覚しにくく、着用者が違和感を覚えにくい。
【0033】
[態様11]
第1面及び第2面が、それぞれ肌側面及び着衣側面である、態様1~10のいずれか一項に記載の吸収コア。
上記吸収コアでは、第1面及び第2面が、それぞれ、肌側面及び着衣側面であるため、吸収コアが幅方向に圧縮されると、吸収コアの中央領域が、一対の側部領域のそれぞれに対して、着衣側面(第2面)側に相対的にスライドするように吸収コアが変形するため、着用者が、違和感を覚えにくい。
【0034】
[態様12]
第1面及び第2面が、それぞれ、着衣側面及び肌側面である、態様1~10のいずれか一項に記載の吸収コア。
上記吸収コアでは、第1面及び第2面が、それぞれ、着衣側面及び肌側面であるため、吸収コアが幅方向に圧縮されると、吸収コアの中央領域が、一対の側部領域のそれぞれに対して、肌側面(第2面)側に相対的にスライドするように吸収コアが変形するため、吸収コアの中央領域が、着用者の排泄口に当接しやすくなるため、体液が漏れにくくなる。
【0035】
[態様13]
吸収コアを備えており、長手方向、幅方向及び厚さ方向とを有する吸収性物品であって、
上記吸収コアが、肌側面及び着衣側面とを有し、
上記吸収コアが、第1面及び第2面を有し、
上記吸収コアが、第1繊維と、第1繊維よりも繊維長の短く且つ吸水性を有する第2繊維とを含み、
第1繊維が、上記吸収コアの骨格を構成するとともに、第2繊維が、上記骨格に保持されており、
上記吸収コアが、上記肌側面又は着衣側面に、上記長手方向に沿って延びているとともに、上記幅方向に離間している、一対の第1スライド部を備えており、
上記一対の第1スライド部のそれぞれは、上記幅方向の内方及び外方に配置された、お互いに向かい合う、第1内方スライド面及び第1外方スライド面であって、そのそれぞれが、第1面から第2面に向かって、上記幅方向の外方又は内方に向かって延びているものを備えており、
上記吸収性物品の構成資材が、上記一対の第1スライド部のそれぞれの内部に配置されていない、
ことを特徴とする、上記吸収性物品。
【0036】
上記吸収性物品では、吸収性物品の構成資材が、一対の第1スライド部の内部に配置されていないので、吸収コア、ひいては吸収性物品が、態様1に記載の効果をより発揮しやすくなる。
【0037】
[態様14]
上記一対の第1スライド部のそれぞれにおいて、第1内方スライド面及び第1外方スライド面のそれぞれが、第1面から第2面に向かって、上記幅方向の外方に向かって延びており、
上記吸収コアが、第2面に、上記長手方向に沿って延びているとともに、上記幅方向に離間している、一対の第2スライド部を備えており、
上記一対の第2スライド部のそれぞれは、上記幅方向の内方及び外方に配置された、お互いに向かい合う、第2内方スライド面及び第2外方スライド面であって、そのそれぞれが、第2面から第1面に向かって、上記幅方向の内方に向かって延びているものを備えており、
上記一対の第1スライド部及び上記一対の第2スライド部のそれぞれにおいて、第2内方スライド面が、第1外方スライド面よりも、上記幅方向の外側に配置されており、
上記吸収性物品の構成資材が、上記一対の第2スライド部のそれぞれの内部に配置されていない、
態様13に記載の吸収性物品。
【0038】
上記吸収性物品では、吸収性物品の構成資材が、一対の第2スライド部の内部に配置されていないので、吸収コア、ひいては吸収性物品が、態様5に記載の効果をより発揮しやすくなる。
【0039】
[定義]
・幅方向における「内方」及び「外方」
本明細書では、幅方向における「内方」及び「外方」は、対象物(例えば、吸収性物品、吸収コア等)の幅方向において、比較すべき2つの要素の相対的な位置を示す用語である。
具体的には、2つの要素のうち、一方の要素が、他方の要素よりも、対象物の幅方向の中心に配置される幅方向中心線に近い場合に、一方の要素が、他方の要素よりも「内方」に配置されていると称し、そして他方の要素が、一方の要素よりも「外方」に配置されていると称する。
【0040】
本開示の、吸収性物品用の吸収コア、及び当該吸収コアを含む吸収性物品について、以下、詳細に説明する。
図1~
図7は、本開示の実施形態の1つ(以下、「第1実施形態」と称する)に従う吸収性物品、具体的には、生理用ナプキン1を説明するための図である。具体的には、
図1及び
図2は、それぞれ、生理用ナプキン1の正面図及び背面図である。
図3は、生理用ナプキン1の分解斜視図である。
図4及び
図5は、それぞれ、吸収コア3の正面図及び背面図である。
図6及び
図7は、
図4のVI-VI断面における、吸収コア3の断面図である。
図6は、吸収コア3が幅方向Wに圧縮されていない状態を表し、
図7は、吸収コア3が幅方向Wに圧縮されている力Fを受けている状態を表している。なお、
図6及び
図7では、理解のため、セカンドシート103及びサードシート105も図示されている。
【0041】
第1実施形態に従う生理用ナプキン1は、お互いに直交する、長手方向Lと、幅方向Wと、厚さ方向Tとを有する。また、生理用ナプキン1は、生理用ナプキン1の幅方向Wの中心に配置されるとともに、長手方向Lに延びている幅方向中心線CLを有する。生理用ナプキン1は、幅方向Wの中央において、液透過性シート101と、セカンドシート103と、吸収コア3と、サードシート105と、液不透過性シート107とをその順番で、厚さ方向Tに備えている。生理用ナプキン1は、幅方向Wの両側において、サイドシート109と、液不透過性シート107とをその順番で厚さ方向Tに備えている。
【0042】
生理用ナプキン1は、その周縁において、液透過性シート101及び液不透過性シート107、又はサイドシート109及び液不透過性シート107を熱融着させることにより形成されたラウンドシール部115を有している。生理用ナプキン1はまた、液不透過性シート107に配置された粘着部119と、剥離シート121とを備えている。
【0043】
液透過性シート101及びサイドシート109は、ホットメルト型接着剤を介したサイドシール部111により接合されている。
【0044】
生理用ナプキン1は、排泄口当接域5に、液透過性シート101と、セカンドシート103と、吸収コア3と、サードシート105とを圧搾することにより形成された、複数の圧搾溝117を有している。また、生理用ナプキン1は、排泄口当接域5の周囲に、液透過性シート101と、セカンドシート103と、吸収コア3と、サードシート105とをエンボスすることにより形成されたエンボス部113を備えている。
【0045】
吸収コア3は、生理用ナプキン1と同一の、お互いに直交する、長手方向Lと、幅方向Wと、厚さ方向Tとを有し、肌側に配置される肌側面に相当する第1面7と、着衣側に配置される着衣側面に相当する第2面9とを有している。また、上述の生理用ナプキン1の幅方向中心線CLは、吸収コアの幅方向中心線CLを構成している。
【0046】
吸収コア3は、30mmの平均繊維長を有する熱可塑性樹脂繊維から構成される第1繊維(図示せず)と、広葉樹パルプ繊維から構成される第2繊維(図示せず)と、高吸水性ポリマー(図示せず)とを含み、第1繊維は、お互いに絡み合って、吸収コア3の骨格を形成し、第2繊維及び高吸水性ポリマーが、第1繊維から構成される骨格に保持されている。
【0047】
吸収コア3は、第1面7(肌側面)に、長手方向Lに沿って延びているとともに、幅方向Wに離間している、一対の第1スライド部11、具体的には、右側第1スライド部13と、左側第1スライド部19とを備えている。右側第1スライド部13と、左側第1スライド部19とは、幅方向中心線CLに対して線対称の関係にある。
【0048】
右側第1スライド部13は、幅方向Wの内方及び外方に配置された、お互いに向かい合う、右側第1内方スライド面15a及び右側第1外方スライド面15bを備えており、右側第1スライド部13(並びに右側第1内方スライド面15a及び右側第1外方スライド面15b)は、第1面7(肌側面)から第2面9(着衣側面)に向かって、幅方向Wの外方に向かって延びている。
【0049】
右側第1内方スライド面15a及び右側第1外方スライド面15bは、右側第1スライド部13の、厚さ方向Tにおける第1中央部17において、お互いに接している。
右側第1スライド部13では、第1繊維が、右側第1内方スライド面15aから右側第1外方スライド面15bに渡って連続している。
【0050】
同様に、左側第1スライド部19は、幅方向Wの内方及び外方に配置された、お互いに向かい合う、左側第1内方スライド面21a及び左側第1外方スライド面21bを備えており、左側第1スライド部19(並びに左側第1内方スライド面21a及び左側第1外方スライド面21b)は、第1面7(肌側面)から第2面9(着衣側面)に向かって、幅方向Wの外方に向かって延びている。
【0051】
左側第1内方スライド面21a及び左側第1外方スライド面21bは、左側第1スライド部19の、厚さ方向Tにおける第2中央部23において、お互いに接している。
左側第1スライド部19では、第1繊維が、左側第1内方スライド面21aから左側第1外方スライド面21bに渡って連続している。
【0052】
吸収コア3は、第2面9(着衣側面)に、長手方向Lに沿って延びているとともに、幅方向Wに離間している、一対の第2スライド部31、具体的には、右側第2スライド部33と、左側第2スライド部39とを備えている。右側第2スライド部33と、左側第2スライド部39とは、幅方向中心線CLに対して線対称の関係にある。
【0053】
右側第2スライド部33は、幅方向Wの内方及び外方に配置された、お互いに向かい合う、右側第2内方スライド面35a及び右側第2外方スライド面35bを備えており、右側第2スライド部33(並びに右側第2内方スライド面35a及び右側第2外方スライド面35b)は、第2面9(着衣側面)から第1面7(肌側面)に向かって、幅方向Wの内方に向かって延びている。
右側第2スライド部33の右側第2内方スライド面35aは、右側第1スライド部13の右側第1外方スライド面15bよりも、幅方向Wの外側に配置されている。
【0054】
右側第2内方スライド面35a及び右側第2外方スライド面35bは、右側第2スライド部33の、厚さ方向Tにおける第3中央部37において、お互いに接している。
右側第2スライド部33では、第1繊維が、右側第2内方スライド面35aから右側第2外方スライド面35bに渡って連続している。
【0055】
同様に、左側第2スライド部39は、幅方向Wの内方及び外方に配置された、お互いに向かい合う、左側第2内方スライド面41a及び左側第2外方スライド面41bを備えており、左側第2スライド部39(並びに左側第2内方スライド面41a及び左側第2外方スライド面41b)は、第2面9(着衣側面)から第1面7(肌側面)に向かって、幅方向Wの内方に向かって延びている。
左側第2スライド部39の左側第2内方スライド面41aは、左側第1スライド部19の左側第1外方スライド面21bよりも、幅方向Wの外側に配置されている。
【0056】
左側第2内方スライド面41a及び左側第2外方スライド面41bは、左側第2スライド部39の、厚さ方向Tにおける第4中央部43において、お互いに接している。
左側第2スライド部39では、第1繊維が、左側第2内方スライド面41aから左側第2外方スライド面41bに渡って連続している。
【0057】
右側第1スライド部13と、右側第2スライド部33とは、厚さ方向Tに一部重複しており、そして左側第1スライド部19と、左側第2スライド部39とは、厚さ方向Tに一部重複している。
【0058】
図6及び
図7に示されるように、着用者が脚を閉じる等の動きを行い、吸収コア3が幅方向Wに圧縮される力Fを受けると、一対の第1スライド部11(右側第1スライド部13及び左側第1スライド部19)及び一対の第2スライド部31(右側第2スライド部33及び左側第2スライド部39)が協働することにより、吸収コア3の、一対の第1スライド部11の間の領域として区画される中央領域51が、一対の第2スライド部31の外側の領域として区画される、一対の側部領域53のそれぞれから遠ざかるように、第2面9(着衣側面)側に厚さ方向Tに相対的にスライドするように、吸収コアが変形しやすくなる。また、吸収コア3を幅方向に圧縮する力Fが取り除かれると、吸収コア3の中央領域51が、吸収コア3の一対の側部領域53のそれぞれに近づくように、第1面7(肌側面)側に厚さ方向Tに相対的にスライドし、元の形状に戻るように、吸収コア3が回復することができる。
【0059】
また、右側第1スライド部13では、第1繊維が、右側第1内方スライド面15aから右側第1外方スライド面15bに渡って連続しているとともに、右側第2スライド部33では、第1繊維が、右側第2内方スライド面35aから右側第2外方スライド面35bに渡って連続している。従って、右側第1スライド部13と、右側第2スライド部33とを連結する連結領域55が強度に優れる。左側第1スライド部19と、左側第2スライド部39との間の連結領域55も同様に強度に優れる。
【0060】
従って、吸収コア3が、変形及び回復を繰り返した場合であっても、連結領域55がその機能を維持しやすく、吸収コア3が、高い耐久性を維持することができるとともに、着用者に違和感を覚えさせにくい。
【0061】
また、吸収コア3が幅方向Wに圧縮されていない状態(
図6)において、吸収コア3の中央領域51の高さh
1が、吸収コア3の一対の側部領域53のそれぞれの高さh
2よりも低い。それにより、吸収コア3の中央領域51が、吸収コア3の一対の側部領域53から遠ざかるように、厚さ方向Tの第2面9(着衣側面)側に相対的にスライドした場合に、着用者が、変形した吸収コア3の厚さを知覚しにくく、着用者が違和感を覚えにくくなる。
【0062】
生理用ナプキン1(吸収コア3)が、自然状態(幅方向Wに圧縮される力Fを受けていない状態)にある場合に、生理用ナプキン1の構成資材、具体的には、液透過性シート101、セカンドシート103、サードシート105、及び液不透過性シート107が、一対の第1スライド部11(右側第1スライド部13及び左側第1スライド部19)及び一対の第2スライド部31(右側第2スライド部33及び左側第2スライド部39)のそれぞれの内部に配置されていない。それにより、吸収コア3が変形及び回復しやすくなり、ひいては着用者が、生理用ナプキン1に違和感を覚えにくい。
【0063】
生理用ナプキン1は、吸収コア3の一対の側部領域53のそれぞれと、液透過性シート101、セカンドシート103及びサードシート105とをエンボスしているエンボス部113を備えているが、吸収コア3の中央領域と、液透過性シート101、セカンドシート103及びサードシート105とをエンボスしているエンボス部を備えていない。それにより、吸収コア3が変形する場合に、液透過性シート101が、吸収コア3の変形を阻害しにくくなるとともに、生理用ナプキン1の全体が、吸収コア3の変形に追従しやすくなる。
【0064】
図8~
図10は、本開示の別の実施形態(以下、「第2実施形態」と称する)に従う吸収性物品、具体的には、生理用ナプキン1を説明するための図である。
図8及び
図9は、それぞれ、第1実施形態における生理用ナプキン1の
図4及び
図5に相当する。
図10は、
図8のX-X断面における、吸収コア3の部分断面図である。
【0065】
第2実施形態に従う生理用ナプキン1では、吸収コア3が、第1面7(肌側面)に、一対の第1スライド部11(右側第1スライド部13及び左側第1スライド部19)を連結するように幅方向Wに延びている、第3スライド部61を備えている。第3スライド部61は、長手方向Lの後方及び前方に配置された、お互いに向かい合う、第3後方スライド面63a及び第3前方スライド面63bを備えており、第3スライド部61(第3後方スライド面63a及び第3前方スライド面63b)は、第1面7(肌側面)から第2面9(着衣側面)に向かって、長手方向Lの前方に向かって延びている。
【0066】
第3後方スライド面63a及び第3前方スライド面63bは、第3スライド部61の、厚さ方向Tにおける第5中央部65において、お互いに接している。
第3後方スライド面63aは、右側第1内方スライド面15a及び左側第1内方スライド面21aと連結しており、第3前方スライド面63bは、右側第1外方スライド面15b及び左側第1外方スライド面21bと連結している。
【0067】
また、吸収コア3は、第2面9(着衣側面)に、一対の第2スライド部31(右側第2スライド部33及び左側第2スライド部39)を連結するように幅方向Wに延びている、第4スライド部67を備えている。第4スライド部67は、長手方向Lの後方及び前方に配置された、お互いに向かい合う、第4後方スライド面69a及び第4前方スライド面69bを備えており、第4スライド部67(第4後方スライド面69a及び第4前方スライド面69b)は、第2面9(着衣側面)から第1面7(肌側面)に向かって、長手方向Lの後方に向かって延びている。
【0068】
第4後方スライド面69a及び第4前方スライド面69bは、第4スライド部67の、厚さ方向Tにおける第6中央部71において、お互いに接している。
第4後方スライド面69aは、右側第2内方スライド面35a及び左側第2内方スライド面41aと連結しており、第4前方スライド面69bは、右側第2外方スライド面35b及び左側第2外方スライド面41bと連結している。
【0069】
第4スライド部67の第4後方スライド面69aは、第3スライド部61の第3前方スライド面63bよりも前方に配置されている。
また、第3スライド部61と、第4スライド部67とは、厚さ方向Tに重複している。
第2実施形態に従う生理用ナプキン1は、その他の部分については、第1実施形態に従う生理用ナプキン1と同様であるため、説明を省略する。
【0070】
吸収コア3が長手方向Lに圧縮される力を受けると、第3スライド部61及び第4スライド部67が協働することにより、吸収コア3の第3スライド部61より後方の後方領域(図示せず)が、第4スライド部67より前方の前方領域(図示せず)から遠ざかるように、第2面9(着衣側面)側に厚さ方向Tに相対的にスライドするように、吸収コアが変形しやすくなる。また、吸収コア3を長手方向Lに圧縮する力が取り除かれると、吸収コア3の後方領域が、吸収コア3の前方領域に近づくように、第1面7(肌側面)側に厚さ方向Tに相対的にスライドし、元の形状に戻るように、吸収コア3が回復することができる。従って、着用者が違和感を覚えにくい。
【0071】
図11は、本開示のさらに別の実施形態(以下、「第3実施形態」と称する)に従う吸収性物品、具体的には、生理用ナプキン1を説明するための図である。
第3実施形態に従う生理用ナプキン1では、吸収コア3の第1面7及び第2面9が、それぞれ、着衣側面及び肌側面であり、吸収コア3が幅方向Wに圧縮されると、吸収コア3の中央領域51が着用者側にスライドし、吸収コア3が変形する。それにより、吸収コアの中央領域51、ひいては生理用ナプキン1の排泄口当接域5が、着用者の排泄口に当接し続けやすくなり、漏れが生じにくくなる。
第3実施形態に従う生理用ナプキン1は、それ以外の部分は、第1実施形態に従う生理用ナプキン1と同様であるので説明を省略する。
【0072】
図12は、本開示のさらに別の実施形態(以下、「第4実施形態」と称する)に従う吸収コア3を説明するための図であり、排泄口当接域付近の断面図である。
第4実施形態に従う吸収コア3は、第1面7に、長手方向Lに沿って延びているとともに、幅方向Wに離間している、一対の第1スライド部11、具体的には、右側第1スライド部13と、左側第1スライド部19とを備えている。
【0073】
右側第1スライド部13は、幅方向Wの内方及び外方に配置された、お互いに向かい合う、右側第1内方スライド面15a及び右側第1外方スライド面15bを備えており、右側第1スライド部13(右側第1内方スライド面15a及び右側第1外方スライド面15bのそれぞれ)は、第1面7から第2面9に向かって、幅方向Wの外方に向かって延びている。
【0074】
同様に、左側第1スライド部19は、幅方向Wの内方及び外方に配置された、お互いに向かい合う、左側第1内方スライド面21a及び左側第1外方スライド面21bを備えており、左側第1スライド部19(左側第1内方スライド面21a及び左側第1外方スライド面21bのそれぞれ)は、第1面7から第2面9に向かって、幅方向Wの外方に向かって延びている。
【0075】
第4実施形態に従う吸収コア3は、着用者が脚を閉じる等の動きを行い、吸収コア3が幅方向Wに圧縮される力Fを受けると、吸収コア3の中央領域51が、一対のスライド部の外側に配置される、一対の側部領域53のそれぞれから遠ざかるように、第2面9側に厚さ方向Tに相対的にスライドしやすくなる。また、吸収コア3を幅方向に圧縮する力Fを取り除くと、吸収コア3の中央領域51が、吸収コア3の一対の側部領域53のそれぞれに近づくように、第1面7側に厚さ方向Tに相対的にスライドし、元の形状に戻るように、吸収コア3が回復することができる。
【0076】
図13は、本開示のさらに別の実施形態(以下、「第5実施形態」と称する)に従う吸収コア3を説明するための図であり、排泄口当接域付近の断面図である。
第5実施形態に従う吸収コア3は、第1面7に、長手方向Lに沿って延びているとともに、幅方向Wに離間している、一対の第1スライド部11、具体的には、右側第1スライド部13と、左側第1スライド部19とを備えている。
【0077】
右側第1スライド部13は、幅方向Wの内方及び外方に配置された、お互いに向かい合う、右側第1内方スライド面15a及び右側第1外方スライド面15bを備えており、右側第1スライド部13(右側第1内方スライド面15a及び右側第1外方スライド面15bのそれぞれ)は、第1面7から第2面9に向かって、幅方向Wの内方に向かって延びている。
【0078】
同様に、左側第1スライド部19は、幅方向Wの内方及び外方に配置された、お互いに向かい合う、左側第1内方スライド面21a及び左側第1外方スライド面21bを備えており、左側第1スライド部19(左側第1内方スライド面21a及び左側第1外方スライド面21bのそれぞれ)は、第1面7から第2面9に向かって、幅方向Wの内方に向かって延びている。
【0079】
第5実施形態に従う吸収コア3は、着用者が脚を閉じる等の動きを行い、吸収コア3が幅方向Wに圧縮される力Fを受けると、吸収コア3の中央領域51が、一対のスライド部の外側に配置される、一対の側部領域53のそれぞれから遠ざかるように、第1面7側に厚さ方向Tに相対的にスライドしやすくなる。また、吸収コア3を幅方向に圧縮する力Fを取り除くと、吸収コア3の中央領域51が、吸収コア3の一対の側部領域53のそれぞれに近づくように、第1面7側に厚さ方向Tに相対的にスライドし、元の形状に戻るように、吸収コア3が回復することができる。
【0080】
次に、本開示の吸収コアを製造することができる製造方法について説明する。
なお、本開示の吸収コアは、特開2016-123641号公報(以下、「JP’641号公報」と称する)に記載の方法に準拠して製造することができるため、上記方法と異なる部分について説明する。
なお、JP’641号公報は一例であり、本開示の吸収コアは、JP’641号公報に準拠せずに製造することができる。
【0081】
図14は、第1実施形態における吸収コア3を製造することができるサクションドラムの型部材201を説明するための図である。
型部材201は、サクションドラム(図示せず)の回転方向RDと、高さ方向HDと、回転方向RD及び高さ方向HDと直交する直交方向CDとを有している。型部材201は、回転方向RDに延びているとともに、サクションドラムの中心方向に向かって高さ方向HDに窪んでいる第1凹部203と、第1凹部203よりもサクションドラムの中心方向に向かって高さ方向HDにさらに窪んでいる第2凹部209とを備えている。第2凹部209は、第1凹部203の、回転方向RD略中央且つ直交方向CDの中心に配置されている。
第1凹部203及び第2凹部209は、金属メッシュから構成されている。
【0082】
第1凹部203は、第1底部205と、第1底部205の周縁から起立する第1壁部207とから構成されており、第2凹部209は、第2底部211と、第1底部205及び第2底部211を連結する第2壁部213とから構成されている。第2壁部213は、回転方向RDの両端に配置されている、一対の回転方向壁部215と、直交方向CDの両端に配置されている、一対の直交方向壁部217とに区画される。
【0083】
一対の回転方向壁部215のそれぞれは、サクションドラムの周面(回転方向RD及び直交方向CDにより区画される面)に対して起立角θ1を有する。また、一対の直交方向壁部217のそれぞれは、サクションドラムの周面(回転方向RD及び直交方向CDにより区画される面)に対して起立角θ2を有する。
一対の直交方向壁部217のそれぞれの起立角θ2は、一対の回転方向壁部215のそれぞれの起立角θ1よりも大きくなるように構成されている、すなわち、一対の直交方向壁部217のそれぞれは、一対の回転方向壁部215のそれぞれよりもより起立している。なお、一対の回転方向壁部215は、上流側の起立角θ1が、下流側の起立角θ1よりも大きくなるように構成されている。
【0084】
サクションドラムの周面の回転方向RDに、型部材201が複数配置されてるサクションドラムを用いて、JP’641号公報に記載の方法に従って吸収コア3を製造し、セカンドシート103を構成するためのセカンドシート連続体219上に転写すると、
図15に示されるような直交方向CDの断面を有する吸収コア3及びセカンドシート連続体219の積層体221が形成される。吸収コア3の、一対の直交方向壁部217に接していた直交方向壁部接触部分223は、一対の直交方向壁部217と同様の起立角θ
2を有する。
【0085】
次いで、積層体221を、一対のアンビルロール等で高さ方向HDに圧縮することにより、積層体221の直交方向CDでは、
図16に示されるような、吸収コア3に、一対の第1スライド部11及び一対の第2スライド部31が形成された圧縮後積層体225が形成される。
なお、積層体221の回転方向RDでは、吸収コア3の、一対の回転方向壁部215に接していた回転方向壁部接触部分(図示せず)は、一対の回転方向壁部215と同様の起立角θ
1を備えているが、起立角θ
1の小ささから、圧縮後積層体225にスライド部は形成されない。
【0086】
次いで、圧縮後積層体225に、当技術分野で公知の方法に従って、サードシート105を構成するためのサードシート連続体(図示せず)、及び液透過性シート101を構成するための液透過性シート連続体(図示せず)を積層することにより第2積層体(図示せず)を形成し、第2積層体にエンボス部113、圧搾溝117を形成すること等により、吸収コア3を製造することができる。
なお、圧搾溝117は、特開2019-111091号公報に記載の方法等によって形成することができる。
【0087】
第2実施形態における吸収コア3は、例えば、型部材201の第2凹部209の一対の回転方向壁部215のうち上流側の回転方向壁部215の起立角を大きくする、例えば、起立角:θ2とすることにより形成することができる。
第3実施形態における吸収コア3は、例えば、サクションドラムから排出される吸収コア3を、サードシート105を構成するためのサードシート連続体に転写することにより形成することができる。
【0088】
第4実施形態に従う吸収コア3は、例えば、第2凹部209を備えていない型部材(図示せず)を用いて吸収コアを形成し、次いで、当該吸収コアに第1面7から第2面9に向かって、幅方向Wの外方に向かって延びるように切込みを入れる、又は圧搾することにより形成することができる。
【0089】
また、第4実施形態に従う吸収コア3は、例えば、
図14に示される型部材201を用いて、
図15に示される積層体221を形成し、吸収コア3のセカンドシート連続体223と反対側の面(第1面7を形成する面)にホットメルト接着剤を塗工し、その上にサードシート連続体及び液透過性シート連続体を積層することにより第2積層体(図示せず)を形成し、第2積層体にエンボス部113、圧搾溝117を形成することにより、第2スライド部に相当する部分を残存させつつ、第1スライド部に相当する部分を消失させること等により形成することができる。
【0090】
第5実施形態に従う吸収コア3は、例えば、第2凹部209を備えていない型部材(図示せず)を用いて吸収コアを形成し、次いで、当該吸収コアに第1面7から第2面9に向かって、幅方向Wの内方に向かって延びるように切込みを入れる、又は圧搾することにより形成することができる。
【0091】
また、第5実施形態に従う吸収コア3は、例えば、
図14に示される型部材201を用いて吸収コア(図示せず)を形成し、当該吸収コアの、第2面を形成する面にホットメルト接着剤を塗工し、その上にサードシート連続体を積層することにより、第1スライド部に相当する部分を残存させつつ、第2スライド部に相当する部分を消失させること等により形成することができる。
【0092】
本開示の吸収コア又は吸収性物品では、吸収コアが、お互いに直交する、長手方向、幅方向及び厚さ方向を有するとともに、上記厚さ方向にお互いに向かい合う、第1面及び第2面を備えている。
本開示の吸収コア又は吸収性物品では、吸収コアが、第1繊維と、第1繊維よりも繊維長の短く且つ吸水性を有する第2繊維とを含む。
第1繊維としては、特に制限されず、熱可塑性樹脂繊維、再生セルロース繊維(例えば、レーヨン繊維)、半合成繊維(例えば、アセテート繊維)等が挙げられる。
【0093】
上記熱可塑性樹脂繊維としては、単一の成分を含むもの、例えば、単一繊維、又は複数の成分を含むもの、例えば、複合繊維が挙げられる。上記成分としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブチレン、エチレン-酢酸ビニル共重合体、エチレン-アクリル酸エチル共重合体、エチレン-アクリル酸共重合体、アイオノマー樹脂等のポリオレフィン;ポリエチレンテレフタラート(PET)、ポリブチレンテレフタラート(PBT)、ポリトリメチレンテレフタラート(PTT)、ポリ乳酸等のポリエステル;ナイロン等のポリアミド等が挙げられる。
【0094】
上記複合繊維の例としては、例えば、芯鞘型繊維、サイドバイサイド型繊維、島/海型繊維等の複合繊維;中空型繊維;扁平、Y型、C型等の異型繊維;潜在捲縮又は顕在捲縮の立体捲縮繊維;水流、熱、エンボス加工等の物理的負荷により分割する分割繊維等が挙げられ、そして工業的に安価に得られ且つ安全性が高い、芯鞘型繊維、特に、PET/PE、PP/PE(芯/鞘)等が好ましい。
【0095】
本開示の吸収コア又は吸収性物品では、吸収コアの第1繊維は、好ましくは6~70mm、より好ましくは10~50mm、そしてさらに好ましくは15~40mmの平均繊維長を有する。それにより、第1繊維が、吸収コアの骨格として機能しやすくなる。
【0096】
別の観点においては、第1繊維は、吸収性物品の厚さの、好ましくは2倍以上、より好ましくは3倍以上、さらに好ましくは4倍以上、さらにいっそう好ましくは5倍以上、そしてさらにいっそう好ましくは7倍以上の倍率の平均繊維長を有する。また、本開示の吸収コアでは、第1繊維は、吸収性物品の厚さの、好ましくは30倍以下、より好ましくは20倍以下、そしてさらに好ましくは15倍以下の倍率の平均繊維長を有する。それにより、第1繊維が、吸収コアの骨格として機能しやすくなる。
【0097】
本明細書では、第1繊維の平均繊維長は、JIS L 1015:2010の附属書Aの「A7.1 繊維長の測定」の「A7.1.1 A法(標準法)目盛りが付いたガラス板上で個々の繊維の長さを測定する方法」に従って測定する。
なお、上記方法は、1981年に発行されたISO 6989に相当する試験方法である。
【0098】
本明細書では、吸収性物品の厚さ(mm)は、以下の通り測定される。
株式会社大栄科学精器製作所製 FS-60DS[測定面44mm(直径),測定圧3g/cm2]を準備し、標準状態(温度23±2℃,相対湿度50±5%)の下、吸収性物品の排泄口当接域を加圧し、加圧10秒後の厚さを測定する。厚さは、異なる5つの吸収性物品において測定し、5つの測定値の平均値を吸収性物品の厚さとする。
【0099】
第2繊維としては、パルプ繊維、例えば、木材パルプ繊維、例えば、針葉樹パルプ繊維及び広葉樹パルプ繊維、非木材パルプ繊維、例えば、バガス繊維、ケナフ繊維、竹繊維、麻繊維、綿繊維(例えば、コットンリンター)が挙げられ、木材パルプ繊維、特に、広葉樹パルプ繊維が、スライド部のスライドしやすさの観点から好ましい。
本明細書では、第2繊維の平均繊維長は、重さ加重平均繊維長を意味し、メッツォオートメーション(metso automation)社製のカヤーニファイバーラボファイバープロパティーズ(オフライン)[kajaaniFiberLab fiber properties(off-line)]により測定されるL(w)値を意味する。
【0100】
本開示の吸収コア又は吸収性物品では、吸収コアは、第1繊維と、第2繊維とを、それらの合計100質量部に基づいて、それぞれ、好ましくは5~50質量部及び50~95質量部、そしてより好ましくは10~40質量部及び60~90質量部の比率で含む。それにより、第1繊維が、吸収コアの骨格として機能しやすくなるとともに、第2繊維が吸液性を発揮することができる。
【0101】
本開示の吸収コア又は吸収性物品では、吸収コアは、高吸収性材料をさらに含むことができる。本開示の吸収コアが高吸収性材料を含む場合には、上記吸収コアが、上記高吸収性材料を、当該吸収コアの総質量の、好ましくは約0.5~約50質量%、より好ましくは約1.0~約40質量%、そしてさらに好ましくは約1.0~約30質量%の範囲で含む。
上記高吸水性材料としては、例えば、デンプン系、セルロース系、合成ポリマー系が挙げられる。
【0102】
本開示の吸収コア又は吸収性物品では、第1繊維が、吸収コアの骨格を構成するとともに、第2繊維が、上記骨格に保持されている。
本開示の吸収コア又は吸収性物品では、第1繊維が吸収コアの骨格を構成していればよく、例えば、吸収コアが、吸収コアの端部を把持し、吸収コアを破断せずに持ち上げることができるものであることができる。
【0103】
第1繊維が吸収コアの骨格を構成するために、例えば、第1繊維の少なくとも一部(例えば、好ましくは3質量%以上、より好ましくは5質量%以上、さらに好ましくは10質量%以上、そしてさらにいっそう好ましくは15質量%以上)が、吸収コアの第1面に露出する第1の部分と、吸収コアの第2面に露出する第2の部分と、第1の部分及び第2の部分を連結する連結部分とを有することができる。
【0104】
本開示の吸収コア又は吸収性物品では、吸収コアは、第1面に、長手方向に沿って延びているとともに、幅方向に離間している、一対の第1スライド部を備えている。また、一対の第1スライド部のそれぞれは、幅方向の内方及び外方に配置された、お互いに向かい合う、第1内方スライド面及び第1外方スライド面を備えており、第1内方スライド面及び第1外方スライド面のそれぞれは、第1面から第2面に向かって、幅方向の外方又は内方に向かって延びている。
【0105】
第1内方スライド面及び第1外方スライド面のそれぞれは、第1面から第2面に向かって、幅方向の外方又は内方に向かって延びていることにより、吸収コアが幅方向に圧縮されると、吸収コアの第1スライド部がスライドし、吸収コアが、その幅を小さくするように変形することができる。また、上記吸収コアを幅方向に圧縮される力が取り除かれると、吸収コアが、その幅を元に戻すように変形することができる。
【0106】
上記観点から、一対の第1スライド部のそれぞれは、長手方向に沿って、吸収コアの排泄口当接域(正確には、吸収性物品の排泄口当接域に対応する排泄口当接域対応領域)の少なくとも一部に配置されることが好ましい。また、一対の第1スライド部のそれぞれは、長手方向に沿って、吸収コアの排泄口当接域の全体に渡って配置されていてもよく、そして、長手方向に沿って、吸収コアの排泄口当接域を超えて配置されていてもよい。
【0107】
一対の第1スライド部を形成する手段は、特に制限されず、例えば、切込み、圧搾、
図15に示されるような折畳み手段等によって形成されたものが挙げられる。一対の第1スライド部のスライド性を考慮すると、一対の第1スライド部は、切込み又は圧搾ではなく、折畳み手段により形成されたものであることが好ましい。
【0108】
一対の第1スライド部のスライド性を考慮すると、第1繊維が、第1内方スライド面及び第1外方スライド面のそれぞれに沿って配向していることが好ましい。第1繊維が、第1内方スライド面(又は第1外方スライド面)に沿って配向しているとは、第1繊維の少なくとも一部が、第1内方スライド面(又は第1外方スライド面)内の第1点から、第1点と異なる第2点まで、第1内方スライド面(又は第1外方スライド面)内を通って連続していることを意味する。第1点及び第2点は、幅方向に離間していることが好ましく、そして第1点及び第2点は、それぞれ、第1内方スライド面(又は第1外方スライド面)の第1外方スライド面側の端縁(第1内方スライド面側の端縁)と、その反対側の端縁とに配置されることがより好ましい。
【0109】
また、一対の第1スライド部のスライド性を考慮すると、第1繊維が、第1内方スライド面から第1外方スライド面に渡って連続していることがより好ましい。第1繊維が、第1内方スライド面から第1外方スライド面に渡って連続しているとは、第1繊維の少なくとも一部が、第1内方スライド面内のある点から第1外方スライド面内のある点まで、第1内方スライド面及び第1外方スライド面を通って連続していることを意味する。
上述の配向性は、例えば、吸収コアを上述の折畳み手段等によって形成することにより達成することができる。
【0110】
本開示の吸収コア又は吸収性物品では、一対の第1スライド部のそれぞれにおいて、第1内方スライド面及び第1外方スライド面が、一対の第1スライド部のそれぞれの中央部において、お互いに接していることが好ましい。それにより、吸収コアの中央領域と、それ以外の領域とが一体になって機能する(例えば、液体を受け渡す)ことができるとともに、一対の第1スライド部がスライド性に優れる。
【0111】
なお、第1スライド部の中央部は、厚さ方向における第1スライド部の第1面側端部と、第2面側端部との中央の好ましくは80%、より好ましくは60%、そしてさらに好ましくは40%の部分を意味する。なお、第1スライド部の第1面側端部は、第1内方スライド面の第1面側端部と、第1外方スライド面の第1面側端部のうち、第2面側に近い方の端部を意味する。また、第1スライド部の第2面側端部は、その字句通り、第1スライド部の、第2面側の端部を意味する。
【0112】
本開示の吸収コア又は吸収性物品では、一対の第1スライド部のそれぞれにおいて、第1内方スライド面及び第1外方スライド面のそれぞれが、第1面から第2面に向かって、幅方向の外方に向かって延びている場合に、吸収コアが、第2面に、長手方向に沿って延びているとともに、幅方向に離間している、一対の第2スライド部を備えていることが好ましい。
【0113】
一対の第2スライド部のそれぞれは、幅方向の内方及び外方に配置された、お互いに向かい合う、第2内方スライド面及び第2外方スライド面を備えており、第2内方スライド面及び第2外方スライド面のそれぞれが、第2面から第1面に向かって、幅方向の内方に向かって延びている。また、一対の第1スライド部及び一対の第2スライド部のそれぞれにおいて、第2内方スライド面が、第1外方スライド面よりも、幅方向の外側に配置されている。
【0114】
本開示の吸収コア又は吸収性物品では、吸収コアが、一対の第1スライド部と、一対の第2スライド部とを備えることにより、一対の第1スライド部と、一対の第2スライド部とが協働し、吸収コアが幅方向に圧縮されると、吸収コアの中央領域が、一対の側部領域のそれぞれに対してスライドし、吸収コアが、その幅を小さくするように変形しやすくなる。また、上記吸収コアを幅方向に圧縮される力が取り除かれると、上記吸収コアが、その幅を元に戻すように変形しやすくなる。
【0115】
上記観点から、一対の第2スライド部のそれぞれは、長手方向に沿って、吸収コアの排泄口当接域(正確には、吸収性物品の排泄口当接域に対応する排泄口当接域対応領域)の少なくとも一部に配置されることが好ましい。また、一対の第2スライド部のそれぞれは、長手方向に沿って、吸収コアの排泄口当接域の全体に渡って配置されていてもよく、そして、長手方向に沿って、吸収コアの排泄口当接域を超えて配置されていてもよい。
また、一対の第1スライド部と、一対の第2スライド部とが協働するために、一対の第2スライド部は、一対の第1スライド部より、長手方向の前方及び後方に長くなるように配置されていることが好ましい。
【0116】
一対の第2スライド部を形成する手段は、特に制限されず、例えば、切込み、圧搾、
図15に示されるような折畳み手段等によって形成されたものが挙げられる。一対の第2スライド部のスライド性を考慮すると、一対の第2スライド部は、切込み又は圧搾ではなく、折畳み手段により形成されたものであることが好ましい。
【0117】
一対の第2スライド部のスライド性を考慮すると、第2繊維が、第2内方スライド面及び第2外方スライド面のそれぞれに沿って配向していることが好ましい。第1繊維が、第2内方スライド面(又は第2外方スライド面)に沿って配向しているとは、第1繊維の少なくとも一部が、第2内方スライド面(又は第2外方スライド面)内の第1点から、第1点と異なる第2点まで、第2内方スライド面(又は第2外方スライド面)内を通って連続していることを意味する。第1点及び第2点は、幅方向に離間していることが好ましく、そして第1点及び第2点は、それぞれ、第2内方スライド面(又は第2外方スライド面)の第2外方スライド面側の端縁(第2内方スライド面側の端縁)と、その反対側の端縁とに配置されることがより好ましい。
【0118】
また、一対の第2スライド部のスライド性を考慮すると、第1繊維が、第2内方スライド面から第2外方スライド面に渡って連続していることがより好ましい。第1繊維が、第2内方スライド面から第2外方スライド面に渡って連続しているとは、第1繊維の少なくとも一部が、第2内方スライド面内のある点から第2外方スライド面内のある点まで、第2内方スライド面及び第2外方スライド面を通って連続していることを意味する。
上述の配向性は、例えば、吸収コアを上述の折畳み手段等によって形成することにより達成することができる。
【0119】
本開示の吸収コア又は吸収性物品では、一対の第2スライド部のそれぞれにおいて、第2内方スライド面及び第2外方スライド面が、一対の第2スライド部のそれぞれの中央部において、お互いに接していることが好ましい。それにより、吸収コアの中央領域と、それ以外の領域とが一体になって機能する(例えば、液体を受け渡す)ことができるとともに、一対の第2スライド部がスライド性に優れる。
【0120】
なお、第2スライド部の中央部は、厚さ方向における第2スライド部の第2面側端部と、第1面側端部との中央の好ましくは80%、より好ましくは60%、そしてさらに好ましくは40%の部分を意味する。なお、第2スライド部の第2面側端部は、第2内方スライド面の第2面側端部と、第2外方スライド面の第2面側端部のうち、第1面側に近い方の端部を意味する。また、第2スライド部の第1面側端部は、その字句通り、第2スライド部の、第1面側の端部を意味する。
【0121】
本開示の吸収コア又は吸収性物品において、吸収コアが、一対の第1スライド部と、一対の第2スライド部とを備えている場合には、一対の第1スライド部のそれぞれと、一対の第2スライド部のそれぞれとが、上記厚さ方向において重複していることが好ましい。それにより、吸収コアのスライド性が向上する。
【0122】
本開示の吸収コア又は吸収性物品において、吸収コアが、一対の第1スライド部と、一対の第2スライド部とを備えている場合には、第1面側において、一対の第1スライド部の間の領域として区画される中央領域の高さが、一対の第2スライド部の外側の領域として区画される一対の側部領域のそれぞれの高さよりも低いことが好ましい。それにより、吸収コアが、その幅を小さくするように変形する場合に、着用者が、変形した吸収コアの厚さを知覚しにくく、着用者が違和感を覚えにくい。
【0123】
本開示の吸収コア又は吸収性物品では、吸収コアの第1面及び第2面が、それぞれ、肌側面及び着衣側面、又は着衣側面及び肌側面であることができる。第1面及び第2面が、それぞれ、肌側面及び着衣側面である場合には、例えば、吸収コアが幅方向に圧縮されると、吸収コアの中央領域が、一対の側部領域のそれぞれに対して、着衣側面(第2面)側に相対的にスライドするように吸収コアが変形するため、着用者が違和感を覚えにくい。また、第1面及び第2面が、それぞれ、着衣側面及び肌側面である場合には、例えば、吸収コアが幅方向に圧縮されると、吸収コアの中央領域が、一対の側部領域のそれぞれに対して、肌側面(第2面)側に相対的にスライドするように吸収コアが変形するため、吸収コアの中央領域が、着用者の排泄口に当接しやすくなるため、体液が漏れにくくなる。
【0124】
本開示の吸収コア又は吸収性物品では、吸収コアが、第1面に、幅方向に延びる第3スライド部を備えていることができる。第3スライド部は、長手方向の後方及び前方に配置された、お互いに向かい合う、第3後方スライド面及び第3前方スライド面を備えており、第3スライド部は、第1面から第2面に向かって、長手方向の前方に向かって延びている。
第3後方スライド面は、第1スライド部の右側第1内方スライド面及び左側第1内方スライド面と連結していることが好ましく、そして第3前方スライド面が、右側第1外方スライド面及び左側第1外方スライド面と連結していることが好ましい。それにより、第3スライド部が、第1スライド部と協働しやすくなる。
【0125】
第3スライド部において、第3後方スライド面及び第3前方スライド面が、第3スライド部のそれぞれの中央部において、お互いに接していることが好ましい。それにより、吸収コアの第3スライド部より後方の領域と、吸収コアの第3スライド部より前方の領域とが一体になって機能する(例えば、液体を受け渡す)ことができるとともに、第3スライド部がスライド性に優れる。第3スライド部の中央部については、第1スライド部及び第2スライド部と同様であるため、説明を省略する。
【0126】
本開示の吸収コア又は吸収性物品では、吸収コアが、第2面に、幅方向に延びる第4スライド部を備えていることができる。第4スライド部は、長手方向の後方及び前方に配置された、お互いに向かい合う、第4後方スライド面及び第4前方スライド面を備えており、第4スライド部は、第2面から第1面に向かって、長手方向の後方に向かって延びている。
第4後方スライド面は、第2スライド部の右側第2内方スライド面及び左側第2内方スライド面と連結していることが好ましく、そして第4前方スライド面が、右側第2外方スライド面及び左側第2外方スライド面と連結していることが好ましい。それにより、第4スライド部が、第2スライド部と協働しやすくなる。
なお、第4スライド部の第4後方スライド面は、第3スライド部の第3前方スライド面よりも前方に配置されている。
【0127】
第4スライド部において、第4後方スライド面及び第4前方スライド面が、第4スライド部のそれぞれの中央部において、お互いに接していることが好ましい。それにより、吸収コアの第3スライド部より後方の領域と、吸収コアの第4スライド部より前方の領域とが一体になって機能する(例えば、液体を受け渡す)ことができるとともに、第4スライド部がスライド性に優れる。第4スライド部の中央部については、第1スライド部及び第2スライド部と同様であるため、説明を省略する。
【0128】
本開示の吸収コア又は吸収性物品では、吸収コアが、第3スライド部及び第4スライド部を備えている場合には、第3スライド部と、第4スライド部とは、厚さ方向に重複していることが好ましい。それにより、第3スライド部と、第4スライド部とが協働しやすくなる。
第3スライド部は、長手方向及び幅方向の差があるものの、第1スライド部と同様に機能し、そして第4スライド部は、長手方向及び幅方向の差があるものの、第2スライド部と同様に機能するため、詳細な説明は省略する。
【0129】
本開示の吸収性物品では、吸収性物品の構成資材が、上記一対の第1スライド部のそれぞれの内部に配置されていないことが好ましい。それにより、吸収コア、ひいては吸収性物品が、変形性及び回復性に優れる。上記構成資材としては、液透過性シート、液不透過性シート、セカンドシート、サードシート、吸収体のコアラップ等が挙げられる。
【0130】
本開示の吸収性物品において、吸収コアが一対の第2スライド部を備えている場合には、上記吸収性物品の構成資材が、一対の第2スライド部のそれぞれの内部に配置されていないことが好ましい。それにより、吸収コア、ひいては吸収性物品が、変形性及び回復性に優れる。構成資材については、上述の通りである。
【0131】
本開示の吸収性物品は、吸収コアを備えているものであれば、特に制限されず、例えば、使い捨ておむつ、尿取りパッド、生理用ナプキン、パンティーライナー等が挙げられる。
【符号の説明】
【0132】
1 生理用ナプキン
3 吸収コア
5 排泄口当接域
7 第1面
9 第2面
11 第1スライド部
13 右側第1スライド部
15a 右側第1内方スライド面
15b 右側第1外方スライド面
19 左側第1スライド部
21a 左側第1内方スライド面
21b 左側第1外方スライド面
31 第2スライド部
33 右側第2スライド部
35a 右側第2内方スライド面
35b 右側第2外方スライド面
39 左側第2スライド部
41a 左側第2内方スライド面
41b 左側第2外方スライド面
51 中央領域
53 側部領域
55 連結領域
L 長手方向
W 幅方向
T 厚さ方向
CL 幅方向中心線
RD 回転方向
HD 高さ方向
CD 直交方向