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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-08
(45)【発行日】2024-11-18
(54)【発明の名称】発光装置及び故障特定方法
(51)【国際特許分類】
   H01S 5/042 20060101AFI20241111BHJP
   H01S 5/40 20060101ALI20241111BHJP
   H05B 47/23 20200101ALI20241111BHJP
【FI】
H01S5/042 630
H01S5/40
H05B47/23
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2020111859
(22)【出願日】2020-06-29
(65)【公開番号】P2022011010
(43)【公開日】2022-01-17
【審査請求日】2023-02-23
(73)【特許権者】
【識別番号】000005290
【氏名又は名称】古河電気工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】征矢 直記
(72)【発明者】
【氏名】上村 和孝
(72)【発明者】
【氏名】高橋 慶
(72)【発明者】
【氏名】三浦 準
(72)【発明者】
【氏名】山本 篤司
(72)【発明者】
【氏名】田中 正長
【審査官】右田 昌士
(56)【参考文献】
【文献】特開2005-259724(JP,A)
【文献】国際公開第2017/168565(WO,A1)
【文献】特開2001-353897(JP,A)
【文献】国際公開第2015/145742(WO,A1)
【文献】特開2005-057036(JP,A)
【文献】特開2012-049178(JP,A)
【文献】韓国公開特許第2002-0081199(KR,A)
【文献】米国特許出願公開第2017/0005465(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01S 5/00 - 5/50
H01L 33/00 - 33/46
H05B 47/23
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
直列に接続された複数の発光素子と、
前記発光素子に電流を供給する電源と、
前記発光素子において故障した発光素子の数を特定する個数特定部と、
前記個数特定部が特定した数に応じて、前記直列に接続された複数の発光素子の直列の一端から他端の間において電圧を測定する予め定められた複数を選択する選択部と、
前記選択部で選択された点の間にかかる電圧を取得する電圧取得部と、
故障した発光素子又は故障した複数の発光素子の組毎に、当該発光素子が故障したときに前記選択部で選択された点の間にかかる電圧を対応付けて格納したテーブルと、
前記電圧取得部が取得した電圧と、前記テーブルに格納された電圧とが一致した場合、前記テーブルにおいて一致した電圧に対応付けられた発光素子を、故障した前記発光素子として特定する故障特定部と、
を備える発光装置。
【請求項2】
前記複数の発光素子が出力する光の強度の和を測定する強度測定部を有し、
前記個数特定部は、前記強度測定部の測定結果に基づいて前記数を特定する
請求項1に記載の発光装置。
【請求項3】
前記選択部は、前記直列の一端と他端とを選択し、
前記電圧取得部は、前記直列の一端と他端との間にかかる電圧を取得し、
前記個数特定部は、前記直列の一端と他端との間にかかる電圧に基づいて、前記数を特定する
請求項1に記載の発光装置。
【請求項4】
前記選択部は、前記個数特定部が特定した数に応じて異なる前記を選択する
請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の発光装置。
【請求項5】
前記故障特定部が特定した前記発光素子を報知する報知部
を備える請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の発光装置。
【請求項6】
前記故障特定部が特定した前記発光素子の情報を報知する報知部を有する、
請求項1に記載の発光装置。
【請求項7】
直列に接続されて電源から電流が供給される複数の発光素子において故障した発光素子の数を特定する個数特定ステップと、
前記個数特定ステップで特定した数に応じて、直列に接続された前記複数の発光素子の直列の一端から他端の間において電圧を測定する予め定められた複数を選択する選択ステップと、
前記選択ステップで選択された点の間にかかる電圧を取得する電圧取得ステップと、
前記電圧取得ステップで取得した電圧と、故障した発光素子又は故障した複数の発光素子の組毎に、当該発光素子が故障したときに前記選択ステップで選択された点の間にかかる電圧を対応付けて格納したテーブルに格納された電圧とが一致した場合、前記テーブルにおいて一致した電圧に対応付けられた発光素子を、故障した、前記発光素子として特定する故障特定ステップと、
を備える故障特定方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、発光装置及び故障特定方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、発光素子の不具合を検出する技術が開示されている。特許文献1に開示されているレーザ装置は、レーザダイオードに供給された駆動電流、レーザダイオードに印可されている駆動電圧、レーザダイオードの発光量及びレーザダイオード近傍の温度を検出する。また、このレーザ装置は、レーザダイオードに対する電流指令値と正常時の駆動電流の特性、電流指令値と正常時の駆動電圧の特性、電流指令値と正常時の光量の特性、電流指令値とレーザ照射前後の正常時の温度差の特性をテーブルとして記憶する。レーザ装置は、出力している電流指令値に基づいてテーブルを参照し、テーブルから得られる値と、検出した駆動電流、駆動電圧、光量、温度差の各々について、差が全て所定範囲から逸脱している場合、レーザダイオードに異常があると判断する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2005-85871号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
レーザ装置においては、複数のレーザダイオードを直列にして光源としたものがある。この光源を、特許文献1のレーザ装置に適用した場合、テーブルから取得する光量特性や駆動電圧特性は、レーザダイオードが故障したときに検出した光量や電圧と異なるため、故障したレーザダイオードがあることがわかる。しかしながら、特性の違いだけでは、故障したレーザダイオードがあることがわかるに止まり、故障したレーザダイオードを特定することができない。
【0005】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、複数の発光素子において故障した発光素子を特定する技術を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明の一態様に係る発光装置は、直列に接続された複数の発光素子と、前記発光素子に電流を供給する電源と、前記直列に接続された複数の発光素子において電圧を測定する予め定められた複数部分を選択する選択部と、前記選択部で選択された部分にかかる電圧を取得する電圧取得部と、前記電圧取得部が取得した電圧に基づいて、故障した、または故障した可能性のある前記発光素子を特定する故障特定部と、を備えることを特徴とする。
【0007】
本発明の一態様に係る発光装置は、前記発光素子において故障した発光素子の数を特定する個数特定部を有し、前記選択部は、前記複数部分を前記数に応じて選択することを特徴とする。
【0008】
本発明の一態様に係る発光装置は、前記複数の発光素子が出力する光の強度の和を測定する強度測定部を有し、前記個数特定部は、前記強度測定部の測定結果に基づいて前記数を特定することを特徴とする。
【0009】
本発明の一態様に係る発光装置は、前記選択部は、前記直列の一端と他端との間を前記部分として選択し、前記電圧取得部は、前記直列の一端と他端との間にかかる電圧を取得し、前記個数特定部は、前記直列の一端と他端との間にかかる電圧に基づいて、前記数を特定することを特徴とする。
【0010】
本発明の一態様に係る発光装置は、前記選択部は、前記個数特定部が特定した数に応じて異なる前記部分を選択することを特徴とする。
【0011】
本発明の一態様に係る発光装置は、前記故障特定部が特定した前記発光素子を報知する報知部を備えることを特徴とする。
【0012】
本発明の一態様に係る発光装置は、前記故障特定部が特定した前記発光素子の情報を報知する報知部を有する、ことを特徴とする。
【0013】
本発明の一態様に係る故障特定方法は、直列に接続された複数の発光素子において電圧を測定する予め定められた複数部分を選択する選択ステップと、前記選択ステップで選択された部分にかかる電圧を取得する電圧取得ステップと、前記電圧取得ステップで取得した電圧に基づいて、故障した、または故障した可能性のある前記発光素子を特定する故障特定ステップとを備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、複数の発光素子において故障した発光素子を特定することができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1図1は、実施形態に係るレーザ装置の概略構成を示す図である。
図2図2は、実施形態に係る機能の構成を示したブロック図である。
図3図3は、電圧取得部が取得する電圧値を示す図である。
図4図4は、直列の4個の発光素子にかかる電圧の電圧値を示す図である。
図5図5は、制御部が行う処理の流れを示すフローチャートである。
図6図6は、第1テーブルの一例を示す図である。
図7図7は、特定処理のフローチャートである。
図8図8は、第2テーブルの一例を示す図である。
図9図9は、第2実施形態に係る制御部10が行う処理の流れを示すフローチャートである。
図10図10は、第3テーブルの一例を示す図である。
図11図11は、変形例に係るレーザ装置の概略構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下に、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、以下に説明する実施形態により本発明が限定されるものではない。また、図面の記載において、同一または対応する要素については適宜同一の符号を付している。
【0017】
[第1実施形態]
図1は、本発明の第1実施形態に係るレーザ装置1Aの概略構成を示す図である。レーザ装置1Aは、レーザ光を出力する装置である。レーザ装置1Aは、発光素子LD1~LD8、制御部10、電源部20、第1マルチプレクサ30A、第2マルチプレクサ30B、AD変換部40、FET50、表示部60、被操作部70及びフォトディテクタ80を備える。レーザ装置1Aは、発光装置の一例である。
【0018】
発光素子LD1~LD8は、光を出力する光源である。本実施形態においては、発光素子LD1~LD8は、レーザ光を出力するレーザダイオードであるが、レーザダイオードに限定されるものではない。発光素子LD1~LD8は、直列に接続されており、発光素子LD1のアノードは、電源部20に接続されており、発光素子LD8のカソードは、FET50に接続されている。フォトディテクタ80は、発光素子LD1~LD8が出力する光の強度の和を測定する。フォトディテクタ80は、測定した光の強度を表す信号を制御部10へ出力する。
【0019】
電源部20は、発光素子LD1~LD8に電流を供給する直流電源である。電源部20は、発光素子LD1~LD8を駆動する駆動電流を発光素子LD1~LD8に供給する。FET50は、電界効果トランジスタであり、ドレイン端子が発光素子LD8のカソードに接続され、ゲート端子が制御部10に接続され、ソース端子が接地されている。FET50は、発光素子LD1~LD8に流れる電流を、ゲート端子に印可される電圧に応じて制御する。抵抗Rは、発光素子LD1~LD8に流れる電流を測定するための抵抗である。
【0020】
第1マルチプレクサ30Aは、複数の入力端子と1個の出力端子を有する。第1マルチプレクサ30Aの入力端子は、図1に示すa点、b点、c点、d点、e点、f点、g点、h点、i点に接続されており、第1マルチプレクサ30Aの出力端子は、AD変換部40に接続されている。第1マルチプレクサ30Aは、制御部10により制御され、複数の入力端子のうちの1つを選択して出力端子に接続する。
【0021】
第2マルチプレクサ30Bは、複数の入力端子と1個の出力端子を有する。第2マルチプレクサ30Bの入力端子は、図1に示すa点、b点、c点、d点、e点、f点、g点、h点、i点に接続されており、出力端子は、AD変換部40に接続されている。第2マルチプレクサ30Bは、制御部10により制御され、複数の入力端子のうちの1つを選択して出力端子に接続する。
【0022】
AD変換部40は、第1マルチプレクサ30Aの出力端子と第2マルチプレクサ30Bの出力端子との間の電圧を検出し、検出した電圧の電圧値を示すデジタル信号を制御部10へ出力する。第1マルチプレクサ30Aと第2マルチプレクサ30Bの出力端子は、入力端子を介してa点~i点のいずれかに接続されるため、AD変換部40は、a点~i点の間で選択された2点間の電圧の電圧値を検出することとなる。
【0023】
表示部60は、液晶ディスプレイ等で構成されており、例えばレーザ装置1Aの各種情報や、故障した発光素子LD1~LD8を示す情報などを、文字、記号、画像などで表示する。被操作部70は、レーザ装置1Aを操作するためのボタンを備えている。被操作部70は、レーザ光の出力と出力停止とを切り替えるボタンや、発光素子LD1~LD8の故障を判定する処理を開始するためのボタンなどを備えている。なお、被操作部70は、ボタンに限定されるものではなく、レーザ装置1Aのオペレータの操作を受け付けるものであれば、例えばタッチパネルであってもよい。
【0024】
制御部10は、演算部と、記憶部とを備えている。演算部は、発光素子LD1~LD8を駆動する駆動電流の制御、表示部60の制御、及びレーザ装置1Aが備える機能の実現のための各種演算処理を行うものである。制御部10は、例えばCPU(Central Processing Unit)やFPGA(field-programmable gate array)、又はCPUとFPGAの両方で構成される。
【0025】
記憶部は、例えばROM(Read Only Memory)で構成される部分とRAM(Random Access Memory)で構成される部分とを備えている。ROMで構成される部分には、演算部が演算処理を行うために使用する各種プログラムやデータ、テーブルなどが格納される。本実施形態においては、故障している発光素子を特定するためのテーブルとして、第1テーブルと第2テーブルが記憶部に格納されている。第1テーブル及び第2テーブルについては後述する。また、RAMは、演算部が演算処理を行う際の作業スペースや演算部の演算処理の結果などを記憶するために使用される。
【0026】
図2は、記憶部に記憶されているプログラムを演算部が実行することにより実現する機能のうち、本実施形態に係る機能の構成を示したブロック図である。強度測定部106は、フォトディテクタ80から供給される信号を取得する。強度測定部106は、取得した信号が表す光の強度を求める。
【0027】
指示部104は、第1マルチプレクサ30Aにおいて出力端子に接続する入力端子を指示する。第1マルチプレクサ30Aは、指示部104からの指示に応じて入力端子のいずれかを出力端子に接続する。また、指示部104は、第2マルチプレクサ30Bにおいて出力端子に接続する入力端子を指示する。第2マルチプレクサ30Bは、指示部104からの指示に応じて入力端子のいずれかを出力端子に接続する。尚、指示部104は、後述する特定部102において故障して発光していない発光素子を特定できるよう(少なくとも、故障して発光していない発光素子の候補をより絞りこむよう)に、第1マルチプレクサ30Aおよび第2マルチプレクサ30Bにおいて出力端子に接続する入力端子を指示する。指示部104、第1マルチプレクサ30A及び第2マルチプレクサ30Bは、選択部の一例である。
【0028】
電圧取得部101は、AD変換部40から供給されるデジタル信号を取得する。電圧取得部101は、取得したデジタル信号から、第1マルチプレクサ30Aが選択した入力端子と第2マルチプレクサ30Bが選択した入力端子との間にかかる電圧の電圧値を取得する。
【0029】
図3は、電圧取得部101が取得する電圧値を示す図である。本実施形態では、電圧取得部101は、a点-e点間にかかる電圧Va、b点-f点間にかかる電圧Vb、c点-g点間にかかる電圧Vc、d点-h点間にかかる電圧Vd、e点-i点間にかかる電圧Ve、a点-b点間にかかる電圧VA、b点-c点間にかかる電圧VB、c点-d点間にかかる電圧VC、d点-e点間にかかる電圧VDを取得する。例えば、電圧取得部101は、第1マルチプレクサ30Aにおいてa点に接続されている入力端子が出力端子に接続され、第2マルチプレクサ30Bにおいてe点に接続されている入力端子が出力端子に接続されると、電圧Vaの電圧値を取得する。
【0030】
図4に直列の4個の発光素子にかかる電圧Va、電圧Vb、電圧Vc、電圧Vd及び電圧Veのそれぞれが取りうる電圧値を示す。直列の4個の発光素子において故障している発光素子がない場合、電圧取得部101が取得する電圧値はV4となる。また、1個が短絡して故障している場合、電圧取得部101が取得する電圧値はV3となり、2個が短絡して故障している場合、電圧取得部101が取得する電圧値はV2となり、3個が故障して短絡している場合、電圧取得部101が取得する電圧値はV1となる。
【0031】
電流制御部105は、発光素子LD1~LD8からのレーザ光の出力が被操作部70で指示された出力となるように、FET50のゲート端子に印可する電圧を制御する。また、電流制御部105は、抵抗Rの両端に接続されており、発光素子LD1~LD8に流れる電流を、抵抗Rにかかる電圧に基づいて検出し、検出した電圧に基づいて、駆動電流について定電流制御を行う。
【0032】
特定部102は、強度測定部106が求めた強度に基づいて、発光素子LD1~LD8において故障して発光していない発光素子の数を特定する。また、特定部102は、電圧取得部101が求めた電圧値に基づいて、発光素子LD1~LD8において故障して発光していない発光素子を特定する。故障した発光素子を特定する方法については後述する。特定部102は、故障特定部の一例であり、個数特定部の一例でもある。
【0033】
報知部103は、特定部102の特定結果が表示部60で表示されるように表示部60を制御する。これにより、発光素子LD1~LD8において故障した発光素子がレーザ装置1Aのオペレータに報知される。尚、表示部60に替えて音声を出力する音声発出部または光を発する発光部を要し、報知部103は音声や光により故障した発光素子がレーザ装置1Aのオペレータに報知されるように、これら音声発出部または発光部等を制御するようにしてもよい。
【0034】
図5は、制御部10が行う処理の流れを示すフローチャートであり、発光素子LD1~LD8において故障した発光素子を特定する処理の流れを示すフローチャートである。制御部10は、レーザ光の出力を指示する操作をオペレータが被操作部70に対して行うと、図5に示す処理を実行する。
【0035】
制御部10は、フォトディテクタ80から供給される信号を取得し、取得した信号が表す光の強度を取得する(ステップS101)。制御部10は、発光素子LD1~LD8が故障していないときに得られる光の強度の範囲を予め記憶しており、取得した強度が、予め記憶している範囲内である場合、発光素子LD1~LD8において故障している発光素子がないものと判定し(ステップS102でNo)、ステップS101へ戻る。制御部10は、取得した強度が、予め記憶している範囲の最小値未満である場合、発光素子LD1~LD8において故障している発光素子があると判定する(ステップS102でYes)。尚、ステップS101において制御部10が第1マルチプレクサ30Aおよび第2マルチプレクサ30Bを制御してa点-i点間の電圧降下(便宜的に全電圧とする)を取得し、取得した全電圧が、予め記憶している範囲の最小値未満である場合、発光素子LD1~LD8において故障している発光素子があると判定する(ステップS102でYes)ようにしてもよい。
【0036】
制御部10は、故障している発光素子があると判定した場合、第1マルチプレクサ30Aと第2マルチプレクサ30Bを制御し、電圧Va、電圧Vb、電圧Vc、電圧Vd及び電圧Veを測定する(ステップS103)。ステップS103は、選択ステップと電圧取得ステップの一例である。
【0037】
次に制御部10は、ステップS101で取得した強度と、予め記憶している光の強度の範囲とを比較し、発光素子LD1~LD8において故障している発光素子の数を特定する(ステップS104)。ステップS104は、故障特定ステップの一例である。具体的には、制御部10は、故障している発光素子の数毎に、測定される光の強度の範囲を記憶している。制御部10は、記憶している光の強度の範囲と、取得した強度とを比較することにより、故障している発光素子の数を特定する。例えば、制御部10は、取得した光の強度が、1個が故障しているときの光の強度の範囲内である場合、故障している発光素子の数が1個であると判定する。尚、ステップS101において取得した全電圧と、予め記憶している全電圧の範囲とを比較し、発光素子LD1~LD8において故障している発光素子の数を特定する(ステップS104)ようにしてもよい。
【0038】
制御部10は、故障している発光素子の数が2個以下である場合(ステップS105でYes)、故障している発光素子の数が1個であるか判定する(ステップS106)。制御部10は、故障している発光素子の数が1個である場合(ステップS106でYes)、記憶している第1テーブルを参照し、発光素子LD1~LD8において故障した発光素子を特定する(ステップS107)。
【0039】
図6は、第1テーブルの一例を示す図である。第1テーブルは、発光素子LD1~LD8のそれぞれについて、故障しているときに測定される電圧Va、電圧Vb、電圧Vc、電圧Vd及び電圧Veの電圧値を格納している。例えば制御部10は、電圧VaがV3であり、電圧Vb~電圧VeがV4である場合、第1テーブルを参照すると、これらの電圧値は、発光素子LD1が故障しているときに得られる電圧値と同じであるため、発光素子LD1が故障していると特定する。制御部10は、故障している1個の発光素子をステップS107で特定すると、表示部60を制御し、故障した発光素子を文字や記号で報知する(ステップS108)。
【0040】
制御部10は、故障した発光素子を報知した後、レーザ光の出力の継続を指示する操作が被操作部70においてオペレータによって行われたか判定する(ステップS109)。制御部10は、レーザ光の出力の継続を指示する操作が被操作部70においてオペレータによって行われた場合(ステップS109でYes)、故障した発光素子以外の発光素子で、オペレータが指定した出力が得られるように駆動電流を制御する(ステップS113)。
【0041】
制御部10は、レーザ光の出力の停止を指示する操作が被操作部70においてオペレータによって行われた場合(ステップS109でNo)、発光素子LD1~LD8への電力供給を停止し、レーザ光の出力を停止する(ステップS110)。
【0042】
制御部10は、故障した発光素子の数が2個の場合(ステップS106でNo)、故障している2個の発光素子を特定する特定処理(ステップS112)を実行する。図7に特定処理のフローチャートを示す。
【0043】
制御部10は、記憶している第2テーブルを参照し、発光素子LD1~LD8において故障している2個の発光素子の組み合わせが特定の組み合わせであるか判定する(ステップS201)。
【0044】
図8は、第2テーブルの一例を示す図である。第2テーブルは、発光素子LD1~LD8のうちの2個の組み合わせのそれぞれについて、組み合わせの2個が故障しているときに測定される電圧Va、電圧Vb、電圧Vc、電圧Vd及び電圧Veの電圧値を格納している。
【0045】
ここで図8において二重丸を付した発光素子LD1と発光素子LD5の組み合わせ、発光素子LD2と発光素子LD6の組み合わせ、発光素子LD3と発光素子LD7の組み合わせ又は発光素子LD4と発光素子LD8の組み合わせで発光素子が故障している場合、どの組み合わせにおいても電圧Va~電圧VeはV3となる。この場合、制御部10は、どの組み合わせで発光素子が故障しているのか電圧Va~電圧Veだけでは特定できない特定の組み合わせであると判定する(ステップS201でYes)。
【0046】
制御部10は、ステップS201でYesと判定した場合、第1マルチプレクサ30Aと第2マルチプレクサ30Bを制御し、電圧VA(発光素子LD1にかかる電圧)、電圧VB(発光素子LD2にかかる電圧)、電圧VC(発光素子LD3にかかる電圧)、電圧VD(発光素子LD4にかかる電圧)を測定する(ステップS202)。ステップS202は、選択ステップと電圧取得ステップの一例である。
【0047】
制御部10は、測定した電圧VA~電圧VDに基づいて、故障した2個の発光素子の組み合わせを特定する(ステップS203)。ステップS204は、故障特定ステップの一例である。ここで制御部10は、電圧VAが0Vである場合、故障した発光素子が発光素子LD1と発光素子LD5であると特定し、電圧VBが0Vである場合、故障した発光素子が発光素子LD2と発光素子LD6であると特定する。また、制御部10は、電圧VCが0Vである場合、故障した発光素子が発光素子LD3と発光素子LD7であると特定し、電圧VDが0Vである場合、故障した発光素子が発光素子LD4と発光素子LD8であると特定する。
【0048】
なお、制御部10は、ステップS202において、e点-f点間の電圧(発光素子LD5にかかる電圧)、f点-g点間の電圧(発光素子LD6にかかる電圧)、g点-h点間の電圧(発光素子LD7にかかる電圧)、h点-i点間の電圧(発光素子LD8にかかる電圧)を測定してもよい。この場合、制御部10は、発光素子LD5にかかる電圧が0Vである場合、故障した発光素子が発光素子LD1と発光素子LD5であると特定し、発光素子LD6にかかる電圧が0Vである場合、故障した発光素子が発光素子LD2と発光素子LD6であると特定する。また、制御部10は、発光素子LD7にかかる電圧が0Vである場合、故障した発光素子が発光素子LD3と発光素子LD7であると特定し、発光素子LD8にかかる電圧が0Vである場合、故障した発光素子が発光素子LD4と発光素子LD8であると特定する。
【0049】
一方、制御部10は、ステップS201でNoと判定した場合、発光素子LD1~LD8において故障している発光素子を、第2テーブルを参照して特定する(ステップS204)。ステップS204は、故障特定ステップの一例である。例えば制御部10は、電圧VaがV2であり、電圧VbがV3であり、電圧Vc~電圧VeがV4である場合、第2テーブルを参照すると、これらの電圧値は、発光素子LD1と発光素子LD2が故障しているときに得られる電圧値と同じであるため、発光素子LD1と発光素子LD2が故障していると特定する。
【0050】
制御部10は、故障した発光素子の組み合わせをステップS203又はステップS204で特定すると、図7の処理を終了して図5のステップS108へ処理の流れを移す。制御部10は、表示部60を制御し、故障している2個の発光素子を文字や記号で報知する(ステップS108)。
【0051】
この後、制御部10は、レーザ光の出力の継続を指示する操作が被操作部70においてオペレータによって行われた場合(ステップS109でYes)、故障した発光素子以外の発光素子、即ち6個の発光素子で、オペレータが指定した出力が得られるように駆動電流を制御する(ステップS113)。
【0052】
なお、制御部10は、故障している発光素子の数が2個以下ではない場合(ステップS105でNo)、即ち、3個以上の発光素子が故障している場合、表示部60を制御し、故障している発光素子の数を文字や記号で報知する(ステップS108)。
【0053】
以上説明したように本実施形態によれば、直列に接続された複数の発光素子において故障した発光素子を特定することができる。また、本実施形態によれば、発光素子LD1-LD8のそれぞれ電圧を測定して故障している発光素子を特定する構成と比較すると、電圧の測定回数を減らすことができ、故障した発光素子を特定するのに要する時間を短くすることができる。
【0054】
尚、ステップS201でYesの場合に、表示部60を制御し、故障している発光素子の数と、どの発光素子が故障しているかの候補を文字や記号で報知するようにしてもよい。このような構成においても、オペレータが故障した発光素子を特定するために要する作業や時間を低減することができる。
【0055】
[第2実施形態]
次に本発明の第2実施形態について説明する。第2実施形態に係るレーザ装置は、発光素子LD1~発光素子LD8において故障している発光素子を特定する処理が第1実施形態と異なる。第2実施形態に係るレーザ装置のハードウェア構成は、第1実施形態と同じであるため、第1実施形態と同じ構成については同じ符号を用いて説明を省略し、以下の説明においては、第1実施形態との相違点について説明する。
【0056】
図9は、第2実施形態に係る制御部10が行う処理の流れを示すフローチャートである。制御部10は、フォトディテクタ80から供給される信号を取得し、取得した信号が表す光の強度を取得する(ステップS301)。制御部10は、第1実施形態と同様に、取得した強度が予め記憶している範囲内である場合、発光素子LD1~LD8において故障している発光素子がないものと判定し(ステップS302でNo)、ステップS301へ戻る。制御部10は、取得した強度が予め記憶している範囲の最小値未満である場合、発光素子LD1~LD8において故障している発光素子があると判定する(ステップS302でYes)。
【0057】
制御部10は、故障している発光素子があると判定した場合、ステップS301で取得した強度と、予め記憶している光の強度の範囲とを比較し、ステップs104と同様に、発光素子LD1~LD8において故障している発光素子の数を特定する(ステップS303)。
【0058】
次に制御部10は、第1マルチプレクサ30Aと第2マルチプレクサ30Bを制御して電圧Vaを測定し(ステップS304)、電圧Vaの測定結果から、a点-e点間で故障している発光素子の数を特定する。ここで、制御部10は、測定した電圧VaがV4である場合、故障している発光素子の数が0個であると特定し、測定した電圧VaがV3である場合、故障している発光素子の数が1個であると特定し、測定した電圧VaがV2である場合、故障している発光素子の数が2個であると特定し、測定した電圧VaがV1である場合、故障している発光素子の数が3個であると特定し、測定した電圧Vaが0Vである場合、故障している発光素子の数が4個であると特定する。
【0059】
制御部10は、ステップS304で特定した数に応じて第1マルチプレクサ30Aと第2マルチプレクサ30Bを制御してa点からe点の間の電圧の測定を行い(ステップS306)、a点-e点間において故障した発光素子を電圧の測定結果に基づいて特定する(ステップS307)。
【0060】
具体的には、制御部10は、a点-e点間で故障している発光素子の数が1個の場合、a点-c点間の電圧Vacと、b点-d点間の電圧Vbdを測定する。制御部10は、予め記憶している第3テーブルを参照し、電圧acと電圧Vbdの測定結果に基づいて、発光素子LD1~LD4において故障している1個の発光素子を特定する。
【0061】
図10は、第3テーブルの一例を示す図である。第3テーブルは、発光素子LD1-LD4の故障のパターンのそれぞれについて、測定される電圧Vacと電圧Vbdを格納している。図10に示すように、a点-e点間において、故障している発光素子の数が1個の場合、測定される電圧Vacと電圧Vbdの組み合わせは、故障している発光素子によってそれぞれ異なる。このため、電圧Vacと電圧Vbdの測定結果から、故障している発光素子を特定することができる。例えば、測定された電圧VacがV1であり、測定された電圧VbdがV2である場合、第3テーブルを参照すると、これらの電圧の組み合わせは、発光素子LD1が故障しているときに測定される電圧の組み合わせであるため、制御部10は、故障している発光素子は、発光素子LD1であると特定する。
【0062】
制御部10は、a点-e点間で故障している発光素子の数が3個の場合にも、電圧Vacと、電圧Vbdを測定する。制御部10は、第3テーブルを参照し、電圧acと電圧Vbdの測定結果に基づいて、発光素子LD1~LD4において故障している3個の発光素子を特定する。図10に示すように、a点-e点間において、故障している発光素子の数が3個の場合にも、測定される電圧Vacと電圧Vbdの組み合わせは、故障している発光素子の組み合わせによってそれぞれ異なるため、故障している発光素子を特定することができる。例えば、電圧Vacが0Vであり、電圧Vbdが0Vである場合、第3テーブルを参照すると、これらの電圧の組み合わせは、発光素子LD1、発光素子LD2及び発光素子LD3が故障しているときに測定される電圧の組み合わせであるため、制御部10は、故障している発光素子は、発光素子LD1~発光素子LD3であると特定する。
【0063】
なお、制御部10は、a点-e点間で故障している発光素子の数が2個の場合には、まず電圧Vacを測定する。制御部10は、第3テーブルを参照し、電圧Vacの測定結果に基づいて、発光素子LD1~LD4において故障している2個の発光素子を特定する。ここで、制御部10は、電圧Vacが0Vである場合、発光素子LD1と発光素子LD2が故障している発光素子であると特定し、電圧VacがV2である場合、発光素子LD3と発光素子LD4が故障している発光素子であると特定する。
【0064】
制御部10は、電圧VacがV1である場合、次に電圧Vbdを測定する。制御部10は、電圧VbdがV2である場合、発光素子LD1と発光素子LD4が故障している発光素子であると特定し、電圧Vbdが0Vである場合、発光素子LD2と発光素子LD3が故障している発光素子であると特定する。
【0065】
発光素子LD1と発光素子LD3が故障している場合と、発光素子LD2と発光素子LD4が故障している場合は、いずれも電圧Vacと電圧VbdがV1となり、電圧Vacと電圧Vbdだけでは、どの発光素子が故障しているか特定できない。この場合、制御部10は、b点-c点間の電圧Vbcを測定する。制御部10は、電圧Vbcが0Vである場合、発光素子LD2と発光素子LD4が故障していると特定し、電圧VbcがV1である場合、発光素子LD1と発光素子LD3が故障していると特定する。なお、制御部10は、ここで電圧Vbcに替えてc点-d点間の電圧Vcdを測定してもよい。この場合、制御部10は、電圧VcdがV1である場合、発光素子LD2と発光素子LD4が故障していると特定し、電圧Vcdが0Vである場合、発光素子LD1と発光素子LD3が故障していると特定する。
【0066】
制御部10は、電圧Vaが0Vの場合、発光素子LD1~LD4が故障していると特定する。なお、制御部10は、電圧bdに替えて、点c-点e間の電圧Vceを測定し、故障した発光素子の特定を電圧bdに替えて電圧ceを用いて行ってもよい。
【0067】
次に制御部10は、ステップS303で特定した数からステップS305で特定した数を減算し、e点-i点間において故障している発光素子の数を特定する(ステップS308)。
【0068】
制御部10は、ステップS308で特定した数に応じて第1マルチプレクサ30Aと第2マルチプレクサ30Bを制御してe点からi点の間の電圧の測定を行い(ステップS309)、e点-i点間において故障した発光素子を、電圧の測定結果に基づいて特定する(ステップS310)。
【0069】
具体的には、制御部10は、e点-i点間で故障している発光素子の数が1個の場合、e点-g点間の電圧Vegと、f点-h点間の電圧Vfhを測定する。制御部10は、第3テーブルを参照し、電圧egと電圧Vfhの測定結果に基づいて、発光素子LD5~LD8において故障している1個の発光素子を特定する。
【0070】
第3テーブルは、発光素子LD5-LD8の故障のパターンのそれぞれについて、測定される電圧Vegと電圧Vfhを格納している。図10に示すように、e点-i点間において、故障している発光素子の数が1個の場合、測定される電圧Vegと電圧Vfhの組み合わせは、故障している発光素子によってそれぞれ異なる。このため、電圧Vegと電圧Vfhの測定結果から、故障している発光素子を特定することができる。例えば、電圧VegがV1であり、電圧VfhがV2である場合、第3テーブルを参照すると、これらの電圧の組み合わせは、発光素子LD5が故障しているときに測定される電圧の組み合わせであるため、制御部10は、故障している発光素子は、発光素子LD5であると特定する。
【0071】
制御部10は、e点-i点間で故障している発光素子の数が3個の場合にも、電圧Vegと、電圧Vfhを測定する。制御部10は、第3テーブルを参照し、電圧egと電圧Vfhの測定結果に基づいて、発光素子LD5~LD8において故障している3個の発光素子を特定する。図10に示すように、e点-i点間において、故障している発光素子の数が3個の場合にも、測定される電圧Vegと電圧Vfhの組み合わせは、故障している発光素子の組み合わせによってそれぞれ異なるため、故障している発光素子を特定することができる。例えば、電圧Vegが0Vであり、電圧Vfhが0Vである場合、第3テーブルを参照すると、これらの電圧の組み合わせは、発光素子LD5、発光素子LD6及び発光素子LD7が故障しているときに測定される電圧の組み合わせであるため、制御部10は、故障している発光素子は、発光素子LD5~発光素子LD7であると特定する。
【0072】
なお、制御部10は、e点-i点間で故障している発光素子の数が2個の場合には、まず電圧Vegを測定する。制御部10は、第3テーブルを参照し、電圧Vegの測定結果に基づいて、発光素子LD5~LD8において故障している2個の発光素子を特定する。ここで、制御部10は、電圧Vegが0Vである場合、発光素子LD5と発光素子LD6が故障している発光素子であると特定し、電圧VegがV2である場合、発光素子LD7と発光素子LD8が故障している発光素子であると特定する。
【0073】
制御部10は、電圧VegがV1である場合、次に電圧Vfhを測定する。制御部10は、電圧VfhがV2である場合、発光素子LD5と発光素子LD8が故障している発光素子であると特定し、電圧Vfhが0Vである場合、発光素子LD6と発光素子LD7が故障している発光素子であると特定する。
【0074】
発光素子LD5と発光素子LD7が故障している場合と、発光素子LD6と発光素子LD8が故障している場合は、いずれも電圧Vegと電圧VfhがV1となり、電圧Vegと電圧Vfhだけでは、どの発光素子が故障しているか特定できない。この場合、制御部10は、f点-g点間の電圧Vfgを測定する。制御部10は、電圧Vfgが0Vである場合、発光素子LD6と発光素子LD8が故障していると特定し、電圧VfgがV1である場合、発光素子LD5と発光素子LD7が故障していると特定する。なお、制御部10は、ここで電圧Vfgに替えてg点-h点間の電圧Vghを測定してもよい。この場合、制御部10は、電圧VghがV1である場合、発光素子LD6と発光素子LD8が故障していると特定し、電圧Vghが0Vである場合、発光素子LD5と発光素子LD7が故障していると特定する。
【0075】
制御部10は、ステップS307で特定した数が4個の場合、発光素子LD5~LD8が故障していると特定する。なお、制御部10は、電圧fhに替えて、点g-点i間の電圧Vgiを測定し、故障した発光素子の特定を電圧fhに替えて電圧giを用いて行ってもよい。
【0076】
次に制御部10は、表示部60を制御し、ステップS307で故障と特定した発光素子と、ステップS310で特定した発光素子を文字や記号で報知する(ステップS311)。この後、制御部10は、レーザ光の出力の継続を指示する操作が被操作部70においてオペレータによって行われた場合(ステップS312でYes)、故障した発光素子以外の発光素子で、オペレータが指定した出力が得られるように駆動電流を制御する(ステップS314)。また、制御部10は、レーザ光の出力の停止を指示する操作が被操作部70においてオペレータによって行われた場合(ステップS312でNo)、発光素子LD1~LD8への電力供給を停止し、レーザ光の出力を停止する(ステップS313)。
【0077】
以上説明したように本実施形態においても、直列に接続された複数の発光素子において故障した発光素子を特定することができる。また、本実施形態においても、発光素子LD1-LD8のそれぞれ電圧を測定して故障している発光素子を特定する構成と比較すると、電圧の測定回数を減らすことができ、故障した発光素子を特定するのに要する時間を短くすることができる。
【0078】
[変形例]
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上述した実施形態に限定されることなく、他の様々な形態で実施可能である。例えば上述の実施形態を以下のように変形して本発明を実施してもよい。なお、上述した実施形態及び以下の変形例は、各々を組み合わせてもよい。上述した各実施形態及び各変形例の構成要素を適宜組み合わせて構成したものも本発明に含まれる。また、さらなる効果や変形例は、当業者によって容易に導き出すことができる。よって、本発明のより広範な態様は、上記の実施の形態や変形例に限定されるものではなく、様々な変更が可能である。
【0079】
上述した実施形態においては、故障と特定した発光素子を表示部60で報知しているが、故障と特定した発光素子の識別子を記憶部に記憶させる構成としてもよい。この構成の場合記憶部に記憶されている識別子を治具で読み出し、故障した発光素子を読み出した治具で特定してもよい。また、この構成においては、記憶された識別子を表示する操作をオペレータが被操作部70で行うと、識別子を表示して故障した発光素子をオペレータに知らせるようにしてもよい。
【0080】
上述したい実施形態においては、故障した発光素子の数を強度測定部106が求めた光の強度で特定しているが、制御部10は、第1マルチプレクサ30Aと第2マルチプレクサ30Bを制御してa点-i点間の電圧を取得し、故障した発光素子の数を取得した電圧に基づいて特定してもよい。
【0081】
上述した実施形態においては、レーザ装置1Aは、第1マルチプレクサ30Aと第2マルチプレクサ30Bとを備える構成であるが、第2マルチプレクサ30Bを備えていない構成であってもよい。この場合、制御部10は、AD変換部40をグランドと入力端子間の電圧を測定するシングルモードに設定する。制御部10は、例えば電圧Vaを測定する場合、第1マルチプレクサ30Aを制御してa点を選択し、AD変換部40で測定されたa点の電圧を取得し、第1マルチプレクサ30Aを制御してe点を選択し、AD変換部40で測定されたe点の電圧を取得する。制御部10は、取得したa点の電圧とe点の電圧差から、電圧Vaを演算する。制御部10は、電圧Vb~Ve、電圧VA~VDについても、同様に第1マルチプレクサ30Aを制御して測定を行う。この構成によれば、部品の数を少なくしてa点からi点の間で選択した任意の範囲の電圧を測定することができる。
【0082】
上述した第1実施形態においては、第1マルチプレクサ30Aと第2マルチプレクサ30Bとを備える構成であるが、第1マルチプレクサ30Aと第2マルチプレクサ30Bを用いずに電圧Va~Veと電圧VA~VDを測定する構成であってもよい。図11は、第1マルチプレクサ30Aと第2マルチプレクサ30Bを用いずに電圧Va~Veと電圧VA~VDを測定する構成のブロック図である。
【0083】
AD変換部40Aは、複数チャンネルを有するAD変換器である。AD変換部40Aは、チャンネルCH1~CH5を有する。各チャンネルは、2つの入力端子を有する。チャンネルCH1の端子には、a点とe点が接続され、チャンネルCH2の端子には、b点とf点が接続され、チャンネルCH3の端子には、c点とg点が接続され、チャンネルCH4の端子には、d点とh点が接続され、チャンネルCH5の端子には、e点とi点が接続されている。AD変換部40Aは、電圧Va~Veを測定する場合、制御部10からの制御により、チャンネルの2つの端子間の電圧を測定する差動モードに設定され、チャンネルCH1~CH5のいずれかのチャンネルを選択し、選択したチャンネルが有する端子間の電圧を検出し、検出した電圧の電圧値を示すデジタル信号を制御部10へ出力する。
【0084】
AD変換部40Aは、電圧VA~VDを測定する場合、制御部10からの制御により、選択したチャンネルの一方の端子とグランド間の電圧を測定するシングルモードに設定され、チャンネルCH1~CH5のいずれかのチャンネルを選択し、a点~e点のいずれかの電圧を測定する。制御部10は、測定したa点~e点の電圧差から、電圧VA~VDを演算する。この構成によれば、部品の数を少なくして電圧Va~Ve及び電圧VA~VDを測定することができる。
【符号の説明】
【0085】
1A レーザ装置
10 制御部
20 電源部
30A 第1マルチプレクサ
30B 第2マルチプレクサ
40、40A AD変換部
50 FET
60 表示部
70 被操作部
80 フォトディテクタ
101 電圧取得部
102 特定部
103 報知部
104 指示部
105 電流制御部
106 強度測定部
LD1~LD8 発光素子
R 抵抗
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11