(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-08
(45)【発行日】2024-11-18
(54)【発明の名称】冷凍システム
(51)【国際特許分類】
F25B 9/06 20060101AFI20241111BHJP
F25B 1/00 20060101ALI20241111BHJP
F25B 1/10 20060101ALI20241111BHJP
F25B 9/00 20060101ALI20241111BHJP
F25B 31/02 20060101ALI20241111BHJP
【FI】
F25B9/06 J
F25B1/00 341R
F25B1/00 341V
F25B1/00 351N
F25B1/00 361J
F25B1/10 P
F25B9/00 301
F25B31/02 A
(21)【出願番号】P 2020199624
(22)【出願日】2020-12-01
【審査請求日】2023-11-02
(73)【特許権者】
【識別番号】000148357
【氏名又は名称】株式会社前川製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110000785
【氏名又は名称】SSIP弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】植田 翔太
【審査官】西山 真二
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-219125(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2010/0071391(US,A1)
【文献】国際公開第2011/135805(WO,A1)
【文献】国際公開第2010/143343(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F25B 1/00
F25B 1/10
F25B 9/00
F25B 9/06
F25B 11/02
F25B 31/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
冷媒経路上に配置された圧縮機ユニットによって圧縮された冷媒を用いて冷熱を発生させるブレイトンサイクルを利用した冷凍システムであって、
前記圧縮機ユニットは、
前記冷媒経路に対して互いに並列に配置された複数台の圧縮機と、
前記複数台の圧縮機をそれぞれ駆動するための複数の第1モータと、
前記圧縮機ユニットで圧縮された前記冷媒を膨張可能な膨張機と一体的に構成された膨張機一体型圧縮機と、
前記膨張機一体型圧縮機を駆動するための第2モータと、
を含み、
前記複数台の圧縮機は、前記膨張機一体型圧縮機より多い台数を有
し、
前記複数台の圧縮機を制御するための制御装置を備え、
前記制御装置は、前記冷凍システムの起動時に、前記膨張機の入口における前記冷媒の温度に基づいて、前記複数台の圧縮機の一部を動作するように、前記複数台の圧縮機を制御する、冷凍システム。
【請求項2】
前記複数の第1モータ及び前記第2モータは共通である請求項1に記載の冷凍システム。
【請求項3】
前記制御装置は、起動状態にある前記圧縮機の回転数を減少するように制御した後、前記複数台の圧縮機の起動台数を変更するように制御する、請求項
1又は2に記載の冷凍システム。
【請求項4】
前記冷媒経路は、前記膨張機一体型圧縮機が有する圧縮機の上流側及び下流側をバイパスするように構成されたバイパスラインと、
前記バイパスライン上に設けられたバイパスバルブと
を備える、請求項1から
3のいずれか一項に記載の冷凍システム。
【請求項5】
前記バイパスバルブは、前記膨張機の入口における前記冷媒の温度に基づいて、膨張機一体側圧縮機が有する圧縮機における前記冷媒の流量が所定値以上になる、請求項
4に記載の冷凍システム。
【請求項6】
前記冷媒の冷却速度が略一定になるように、前記圧縮機又は前記膨張機一体型圧縮機の回転数が前記バイパスバルブの開度と協調制御される、請求項
5に記載の冷凍システム。
【請求項7】
前記複数台の圧縮機の各々は、前記冷媒経路に対して直列接続された複数の圧縮機を含む同軸圧縮機である、請求項1から
6のいずれか一項に記載の冷凍システム。
【請求項8】
冷媒経路上に配置された圧縮機ユニットによって圧縮された冷媒を用いて冷熱を発生させるブレイトンサイクルを利用した冷凍システムであって、
前記圧縮機ユニットは、
前記冷媒経路に対して互いに並列に配置された複数台の圧縮機と、
前記複数台の圧縮機をそれぞれ駆動するための複数の第1モータと、
前記圧縮機ユニットで圧縮された前記冷媒を膨張可能な膨張機と一体的に構成された膨張機一体型圧縮機と、
前記膨張機一体型圧縮機を駆動するための第2モータと、
を含み、
前記複数台の圧縮機は、前記膨張機一体型圧縮機より多い台数を有し、
前記冷媒経路は、前記膨張機一体型圧縮機が有する圧縮機の上流側及び下流側をバイパスするように構成されたバイパスラインと、
前記バイパスライン上に設けられたバイパスバルブと
を備え、
前記冷媒の冷却速度が略一定になるように、前記圧縮機又は前記膨張機一体型圧縮機の回転数が前記バイパスバルブの開度と協調制御される、冷凍システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、ブレイトン冷凍サイクルを利用した冷凍システムに関する。
【背景技術】
【0002】
冷凍サイクルとして、ブレイトン冷凍サイクルを利用した冷凍システムが知られている。ブレイトン冷凍サイクルは、断熱圧縮工程、等圧加熱工程、断熱膨張行程、及び、等圧冷却工程から構成される熱力学的サイクルであり、冷媒が循環する冷媒ライン上に各工程に対応する要素が配置されて構成される。冷凍サイクルを構成するこれらの要素は、冷凍機に要求される冷凍能力に応じて設計される。
【0003】
特許文献1には、ブレイトン冷凍サイクルを利用した冷凍システムの一例が開示されている。特許文献1では、断熱圧縮工程に対応する圧縮機ユニットとして、冷媒ライン上に直列接続された複数段の圧縮機を備えることで適切な圧縮比を実現し、要求される冷凍能力に対応している。また複数段の圧縮機の一部は、断熱膨張行程に対応する膨張機と共通の回転軸を有する膨張機一体型圧縮機として構成されることで、膨張機で発生する動力を圧縮機を駆動する動力の一部として利用し、効率向上が図られている。更に特許文献1では、圧縮機ユニットを構成する各圧縮機を並列化することで、冷凍サイクルを循環する冷媒量を増加し、冷凍能力を向上している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
この種の冷凍システムにおいて、冷凍能力が異なる製品仕様のバリエーションを展開しようとする場合、一般的に、冷凍システムの各構成要素を新規設計しており、開発に要する費用や時間の削減が課題となっている。例えば冷凍システムを構成する圧縮機や膨張機は、冷凍システムの製品仕様に応じて異なる型式を用意しておく必要があり、既存の型式で対応が難しい場合には、新たな型式を新規開発しなければならず、開発には多くの費用や時間がかかっていた。
【0006】
このような新規開発に要する費用や時間を削減するための手法として、例えば既存の冷凍機より高い冷凍能力を有する冷凍機を開発する場合、前述の特許文献1のように、冷凍サイクルの既存構成を並列化することが考えられるが、必要な部品点数や専有面積の増加が避けられず、十分とは言えない。
【0007】
本開示の少なくとも一実施形態は上述の事情に鑑みなされたものであり、要求される冷凍能力に応じて開発に要する費用や時間、及び、設置時の専有面積を抑制しつつ柔軟な設計変更が可能な冷凍システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本開示の少なくとも一実施形態に係る冷凍システムは、上記課題を解決するために、
冷媒経路上に配置された圧縮機ユニットによって圧縮された冷媒を用いて冷熱を発生させるブレイトンサイクルを利用した冷凍システムであって、
前記圧縮機ユニットは、
前記冷媒経路に対して互いに並列に配置された複数台の圧縮機と、
前記複数台の圧縮機をそれぞれ駆動するための複数の第1モータと、
前記圧縮機ユニットで圧縮された前記冷媒を膨張可能な膨張機と一体的に構成された膨張機一体型圧縮機と、
前記膨張機一体型圧縮機を駆動するための第2モータと、
を含み、
前記複数台の圧縮機は、前記膨張機一体型圧縮機より多い台数を有する。
【発明の効果】
【0009】
本開示の少なくとも一実施形態によれば、要求される冷凍能力に応じて開発に要する費用や時間、及び、設置時の専有面積を抑制しつつ柔軟な設計変更が可能な冷凍システムを提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】一実施形態に係る冷凍システムの全体構成を概略的に示す図である。
【
図2】
図1の同軸圧縮機の断面構造を概略的に示す図である。
【
図3】
図1の膨張機一体型圧縮機の断面構造を概略的に示す図である。
【
図4】
図1の冷凍システムの起動方法を示すフローチャートである。
【
図5A】2台の同軸圧縮機及び1台の膨張機一体型圧縮機を備える冷凍システムの一態様を示す模式図である。
【
図5B】2台の同軸圧縮機及び1台の膨張機一体型圧縮機を備える冷凍システムの他の態様を示す模式図である。
【
図6A】3台の同軸圧縮機及び1台の膨張機一体型圧縮機を備える冷凍システムの一態様を示す模式図である。
【
図6B】3台の同軸圧縮機及び1台の膨張機一体型圧縮機を備える冷凍システムの他の態様を示す模式図である。
【
図6C】3台の同軸圧縮機及び1台の膨張機一体型圧縮機を備える冷凍システムの他の態様を示す模式図である。
【
図7A】3台の同軸圧縮機及び2台の膨張機一体型圧縮機を備える冷凍システムの一態様を示す模式図である。
【
図7B】3台の同軸圧縮機及び2台の膨張機一体型圧縮機を備える冷凍システムの他の態様を示す模式図である。
【
図7C】3台の同軸圧縮機及び2台の膨張機一体型圧縮機を備える冷凍システムの他の態様を示す模式図である。
【
図8A】4台の同軸圧縮機及び2台の膨張機一体型圧縮機を備える冷凍システムの一態様を示す模式図である。
【
図8B】4台の同軸圧縮機及び2台の膨張機一体型圧縮機を備える冷凍システムの他の態様を示す模式図である。
【
図8C】4台の同軸圧縮機及び2台の膨張機一体型圧縮機を備える冷凍システムの他の態様を示す模式図である。
【
図8D】4台の同軸圧縮機及び2台の膨張機一体型圧縮機を備える冷凍システムの他の態様を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図面を参照しながら、本開示の幾つかの実施形態に係る冷凍システムについて説明する。
ただし、これらの実施形態に記載されている又は図面に示されている構成部品の寸法、材質、形状及びその相対的配置等は、本発明の範囲をこれに限定する趣旨ではなく、単なる説明例にすぎない。
例えば、「ある方向に」、「ある方向に沿って」、「平行」、「直交」、「中心」、「同心」或いは「同軸」等の相対的或いは絶対的な配置を表す表現は、厳密にそのような配置を表すのみならず、公差、若しくは、同じ機能が得られる程度の角度や距離をもって相対的に変位している状態も表すものとする。
例えば、「同一」、「等しい」及び「均質」等の物事が等しい状態であることを表す表現は、厳密に等しい状態を表すのみならず、公差、若しくは、同じ機能が得られる程度の差が存在している状態も表すものとする。
例えば、四角形状や円筒形状等の形状を表す表現は、幾何学的に厳密な意味での四角形状や円筒形状等の形状を表すのみならず、同じ効果が得られる範囲で、凹凸部や面取り部等を含む形状も表すものとする。
一方、一つの構成要素を「備える」、「具える」、「具備する」、「含む」、又は「有する」という表現は、他の構成要素の存在を除外する排他的な表現ではない。
【0012】
まず
図1を参照して一実施形態に係る冷凍システム100の全体構成について説明する。
図1は一実施形態に係る冷凍システム100の全体構成を概略的に示す図である。
【0013】
冷凍システム100は、冷媒が流れる冷媒経路101上に、冷媒を圧縮するための圧縮機ユニット102(110A,110B,110C)と、冷媒を膨張する膨張機103と、冷媒と冷却対象との熱交換を行うための熱交換器からなる冷却部104と、冷却部104を通過後の冷媒に残存する冷熱を回収するための冷熱回収熱交換器105とを順に備えることにより、定常循環流れの冷凍サイクルによる向流型熱交換器方式のブレイトンサイクルが形成されている。
【0014】
冷凍システム100は、冷却対象として、極低温状態で超電導を発現可能な超電導体を利用した超電導機器106を有する。超電導機器106は、例えば超電導ケーブルである。冷凍システム100は、超電導機器106の極低温状態を維持するために冷却部104によって冷却された液体窒素が循環する冷媒経路107を有する。冷媒経路107は、冷却部104を介して冷凍システム100の冷媒経路101を流れる冷媒と熱交換可能に構成されており、液体窒素を循環させるためのポンプ108が設けられている。これにより、超電導機器106の熱負荷によって昇温された冷媒経路107を流れる液体窒素が、冷凍システム100によって冷却された冷媒経路101を流れる冷媒と熱交換することによって、冷却されるようになっている。
【0015】
尚、冷凍システム100の冷媒経路101には冷媒としてネオンなどが用いられるが、これに限られるものではなく、冷却温度などに応じて適宜、ガスの種類を変更可能である。
【0016】
冷凍システム100では、比較的低温な冷媒が流れる膨張機103、冷却部104及び冷熱回収熱交換器105は、外部と断熱可能なコールドボックス109内に収容される。
コールドボックス109は、例えば内外表面間に真空の断熱層を有することにより、外部からの熱侵入を防止し、コールドボックス109内に収容される膨張機103、冷却部104及び冷熱回収熱交換器105における熱損失を低減する。一方で、冷凍システム100のうち圧縮機ユニット102は、比較的高温な冷媒が流れるため、上述のコールドボックス109の外部に配置されている。
【0017】
コールドボックス109は、圧縮機ユニット102に比べて冷却対象である超電導機器106に近い位置に配置される。これにより、コールドボックス109で発生させた冷熱を、少ない損失で冷却対象に供給することができ、良好な冷凍効率を達成することができる。圧縮機ユニット102はコールドボックス109と別体として構成されているため、レイアウトの自由度が上がり,例えばコールドボックス上に配置することによって冷凍システムの設置スペースを削減することができる。
【0018】
圧縮機ユニット102は、冷媒経路101に対して互いに直列に接続された複数の圧縮機110を含む。本実施形態では、圧縮機ユニット102は、冷媒経路101に対して互いに直列に接続された、流体を圧縮可能な低段圧縮機110Aと、低段圧縮機110Aで圧縮された流体を更に圧縮可能な中段圧縮機110Bと、中段圧縮機110Bで圧縮された流体を更に圧縮可能な高段圧縮機110Cとを含むことで、3段階にわたって多段圧縮可能に構成される。
尚、圧縮機ユニット102における圧縮段数は任意でもよい。
【0019】
また圧縮機ユニット102のうち、複数の圧縮機110の各々の下流側には、断熱圧縮によって昇温した冷媒を、冷却水との間で熱交換することにより冷却するための熱交換器112が設けられる。具体的には、低段圧縮機110Aの下流側には熱交換器112Aが配置され、中段圧縮機110Bの下流側には熱交換器112Bが配置され、高段圧縮機110Cの下流側には熱交換器112Cが配置されている。
【0020】
冷媒経路101を流れる冷媒は、まず最上流側にある低段圧縮機110Aによって断熱圧縮されて温度が上昇した後、下流側に設けられた熱交換器112Aにおいて冷却水と熱交換することにより冷却される。その後、冷媒は再び中段圧縮機110Bによって断熱圧縮されて温度が上昇した後、下流側に設けられた熱交換器112Bにおいて冷却水と熱交換することにより冷却される。そして更に、冷媒は再度、高段圧縮機110Cによって断熱圧縮されて温度が上昇した後、下流側に設けられた熱交換器112Cにおいて冷却水と熱交換することにより冷却される。
【0021】
このように圧縮機ユニット102では、複数段に亘って圧縮機110による断熱圧縮と、熱交換器112による冷却とを繰り返すことによって効率向上が図られている。すなわち、断熱圧縮と冷却との繰り返しを複数段に亘って行うことで、ブレイトンサイクルの圧縮工程を理想的な等温圧縮に近づけている。この段数は多い程、等温圧縮に近似することになるが、段数が増えることによる圧縮比の選択、装置構成の複雑化、運用の簡易性などを考慮して段数を決定するとよい。
【0022】
圧縮機ユニット102で圧縮された冷媒は、冷熱回収熱交換器105によって冷却された後、膨張機103によって断熱膨張され、冷熱を生成する。膨張機103から排出された冷媒は、冷却部104において、冷却対象側の冷媒経路107を流れる液体窒素と熱交換され、熱負荷によって温度が上昇する。
【0023】
冷却部104で昇温された冷媒は、冷熱回収熱交換器105に導入され、圧縮機ユニット102内の熱交換器112Cを通った高温の圧縮冷媒と熱交換することにより、残存する冷熱が回収される。これにより、膨張機103に導入される冷媒の温度が低下して、より低温の冷熱を得ることができる。
【0024】
このように冷凍システム100では、圧縮機ユニット102に含まれる複数の圧縮機110や膨張機103のような複数の回転機を用いてブレイトンサイクルが構成されている。ここで低段圧縮機110A及び高段圧縮機110Cは、共通の動力源である第1モータ114Aの出力軸116A(
図2を参照)の両端にそれぞれ連結された同軸圧縮機118として構成されることで、部品点数の削減、並びに、少ない設置スペースへの敷設が可能になっている。中段圧縮機110B及び膨張機103もまた、共通の動力源である第2モータ114Bの出力軸116B(
図3を参照)の両端にそれぞれ連結された膨張機一体型圧縮機120として構成されることで、部品点数の削減、並びに、少ない設置スペースへの敷設が可能になり、更に、膨張機103で発生した動力が中段圧縮機110Bの圧縮動力に寄与することによって、効率化が図られている。
【0025】
尚、圧縮機ユニット102に含まれる複数の圧縮機110のうち、どれを同軸圧縮機118として構成し、またどれを膨張機一体型圧縮機120として構成するかは任意に変更可能である。
【0026】
ここで同軸圧縮機118及び膨張機一体型圧縮機120の構成について、
図2及び
図3を参照して説明する。
図2は
図1の同軸圧縮機118の断面構造を概略的に示す図であり、
図3は
図1の膨張機一体型圧縮機120の断面構造を概略的に示す図である。
【0027】
図2に示すように、同軸圧縮機118は、第1モータ114Aの出力軸116Aの両側に低段圧縮機110A及び高段圧縮機110Cが連結されて構成される。本実施形態では第1モータ114Aは、低段圧縮機110A及び高段圧縮機110Cの間に配置されているが、他の実施形態では、低段圧縮機110A及び高段圧縮機110Cの外側に配置されていてもよい(例えば、出力軸116Aの軸方向において、第1モータ114A、低段圧縮機110A、高段圧縮機110Cの順に配置されていてもよい)。
【0028】
第1モータ114Aの出力軸116Aは、低段圧縮機110A及び高段圧縮機110Cの間に配置されたラジアル磁気軸受122-1及びスラスト磁気軸受126-1によって、モータケーシング130-1に対して非接触で回転可能に支持される。ラジアル磁気軸受122-1は、出力軸116Aの軸方向において第1モータ114Aの両側に設けられ、磁力によって出力軸116Aを浮上させてラジアル荷重を負担する。スラスト磁気軸受126-1は、出力軸116Aの軸方向において第1モータ114Aの一方の側(
図2に示す実施形態では第1モータ114A及び低段圧縮機110Aとの間)に設けられ、出力軸116Aに設けられたアキシャルロータディスク127-1との間にギャップが形成されるように磁力によって出力軸116Aのスラスト荷重を負担する。
尚、スラスト磁気軸受126-1及びアキシャルロータディスク127-1は、高段圧縮機110C及び第1モータ114Aの間に設けられてもよい。また本実施形態では、アキシャルロータディスク127-1は主に流体摩擦損失を抑制するために第1モータ114Aの一方の側に設けられているが、第1モータ114Aの出力軸116Aの外径が大きい場合には、組み立て上の理由等により、両側に設けられていてもよい。
【0029】
同軸圧縮機118のケーシング128-1は、出力軸116Aの軸方向に沿って、モータケーシング130-1と、低段圧縮機用インペラケーシング132-1と、高段圧縮機用インペラケーシング132-3とが互いに連結されて構成される。モータケーシング130-1は、第1モータ114Aの外殻を規定するケーシングであり、内部に出力軸116Aと一体的に構成されたロータ136Aと、ロータ136Aの周りに配置されたステータ138Aとを収容する(ロータ136Aは出力軸116Aと一体的に構成されている)。低段圧縮機用インペラケーシング132-1は、出力軸116Aの一端側に取り付けられ低段圧縮機110Aのインペラ140Aを収容する。高段圧縮機用インペラケーシング132-3は、出力軸116Aの他端側に取り付けられた高段圧縮機110Cのインペラ140Cを収容する。
【0030】
図3に示すように、膨張機一体型圧縮機120は、第2モータ114Bの出力軸116Bの両側に中段圧縮機110B及び膨張機103が連結されて構成される。本実施形態では第2モータ114Bは中段圧縮機110B及び膨張機103の間に配置されているが、他の実施形態では、中段圧縮機110B及び膨張機103の外側に配置されていてもよい(例えば、出力軸116Bの軸方向において、第2モータ114B、中段圧縮機110B、膨張機103の順に配置されていてもよい)。
【0031】
第2モータ114Bの出力軸116Bは、中段圧縮機110B及び膨張機103の間に配置されたラジアル磁気軸受122-2及びスラスト磁気軸受126-2によって、モータケーシング130-2に対して非接触で回転可能に支持される。ラジアル磁気軸受122-2は、出力軸116Bの軸方向において第2モータ114Bの両側に設けられ、磁力によって出力軸116Bを浮上させてラジアル荷重を負担する。スラスト磁気軸受126-2は、出力軸116Bの軸方向において第2モータ114Bの一方の側(
図3に示す実施形態では第2モータ114B及び中段圧縮機110Bとの間)に設けられ、出力軸116Bに設けられたアキシャルロータディスク127-2との間にギャップが形成されるように磁力によって出力軸116Bのスラスト荷重を負担する。
尚、スラスト磁気軸受126-2及びアキシャルロータディスク127-2は、膨張機103及び第2モータ114Bの間に設けられてもよい。また本実施形態では、アキシャルロータディスク127-2は主に流体摩擦損失を抑制するために第2モータ114Bの一方の側に設けられているが、第2モータ114Bの出力軸116Bの外径が大きい場合には、組み立て上の理由等により、両側に設けられていてもよい。
【0032】
膨張機一体型圧縮機120のケーシング128-2は、出力軸116Bの軸方向に沿って、モータケーシング130-2と、中段圧縮機用インペラケーシング132-2と、膨張機用インペラケーシング134-1とが互いに連結されて構成される。モータケーシング130-2は、第2モータ114Bの外殻を規定するケーシングであり、内部に出力軸116Bと一体的に構成されたロータ136B(ロータ136Bは出力軸116Bと一体的に形成される)と、ロータ136Bの周りに配置されたステータ138Bとを収容する。中段圧縮機用インペラケーシング132-2は、出力軸116Bの一端側に取り付けられた中段圧縮機110Bのインペラ140Bを収容する。膨張機用インペラケーシング134-1は、出力軸116Bの他端側に取り付けられた膨張機103のインペラ142を収容する。
【0033】
図1に戻って、圧縮機ユニット102は、冷媒経路101に対して互いに並列に配置された複数台の同軸圧縮機118を含む。圧縮機ユニット102に含まれる同軸圧縮機118はそれぞれ共通(同一仕様)であり、その台数は、圧縮機ユニット102に含まれる膨張機一体型圧縮機120より多く、且つ、冷凍システム100に要求される冷凍能力に応じて設定される。本実施形態では、圧縮機ユニット102は、1台の膨張機一体型圧縮機120に対して、2台の同軸圧縮機118A及び118Bを備えているが、3台以上の同軸圧縮機118を備えることで、更に大きな冷凍能力に対応することも可能である。更に、膨張機一体型圧縮機120が2台ある場合には、3台以上の同軸圧縮機118を備えることもできる。
【0034】
圧縮機ユニット102に含まれる同軸圧縮機118の台数は、冷凍システム100に要求される冷凍能力に応じて設定される。例えば、冷凍システム100に要求される冷凍能力が大きくなると、冷媒経路101を流れる冷媒の流量が多くなるため、同軸圧縮機118の台数を多くすることで対応可能である。そのため冷凍システム100は、圧縮機ユニット102に含まれる同軸圧縮機118の台数を調整することで、異なる冷凍能力を有する仕様を少ない開発負担で実現できる。膨張機一体型圧縮機120は中段圧縮機110Bのインペラ140B及び膨張機インペラ142と関連する部品(インペラケーシング132-2及び134-1)のみの設計変更で対応可能であるため、冷凍システム100に必要な部品の種類、冷凍能力に応じた同軸圧縮機の開発期間やコストを効果的に抑えることができる。また冷凍システム100を複数台並列に配置して要求される冷凍能力に対応する場合に比べて、専有面積を小さくすることができる。
【0035】
また冷凍システム100では、同軸圧縮機118が有する第1モータ114Aと、膨張機一体型圧縮機120が有する第2モータ114Bとが共通である。このように同軸圧縮機118と膨張機一体型圧縮機120との間においても、駆動用のモータを共通仕様にすることにより、異なる冷凍能力を有する冷凍システム100を開発負担を軽減しながら実現することができる。
【0036】
尚、複数の第1モータと第2モータとが「共通」であるとは、両者の仕様の少なくとも一部が共通していることを意味する。仕様の少なくとも一部が共通するとは、例えば、モータの出力、回転数、寸法などの少なくとも一部が同じであることを意味してもよいし、互いに代替可能であることを意味してもよいし、モータ以外の部品の組み立てに影響しない程度に設計が同じであることを意味してもよい。
【0037】
一例を交えて説明すると、例えば冷凍システム100に要求される冷凍能力が5kWである場合、同軸圧縮機118に用いられる第1モータに対する要求出力は45kWであり、膨張機一体型圧縮機120に用いられる第2モータに対する要求出力は15kWであると仮定する。このような前提条件をベースに、冷凍能力が倍である10kWの冷凍システム100を開発する場合、冷媒経路101を流れる冷媒量が倍増することから、第1モータに対する要求出力は90kW(=45kW×2)であり、第2モータに対する要求出力は30kW(=15kW×2)となる。本実施形態の冷凍システム100では、このような要求に対して、
図1に示すように、ベース設計と同一仕様の出力が45kWの第1モータを有する2台の同軸圧縮機118を冷媒経路101に対して並列に設けることで、同軸圧縮機の新規設計を要することなく対応可能である。このとき、膨張機一体型圧縮機120では第2モータ114Bとして、第1モータ114Aと同様に45kWの出力仕様を採用することで、要求出力である30kWを賄うことができる。
【0038】
このように第1モータ114A及び第2モータ114Bとして共通(同一仕様)のものを採用することにより、第1モータ114A及び第2モータ114Bの周辺構成の共通化も進めることができる。例えば、第1モータ114A及び第2モータ114Bが共通(同一仕様)となることで、出力軸116A及び出力軸116Bが同一軸径となり、その結果、同軸圧縮機118で出力軸116Aを支持する軸受(ラジアル磁気軸受122-1、スラスト磁気軸受126-1)、及び、膨張機一体型圧縮機120で出力軸116Bを支持する軸受(ラジアル磁気軸受122-2、スラスト磁気軸受126-2)を共通(同一仕様)にすることができる。また第1モータ114Aのモータケーシング130-1、及び、第2モータ114Bのモータケーシング130-2もまた共通(同一仕様)にすることができる。
【0039】
尚、これらの軸受やモータケーシングが「共通」であるとは、両者の仕様の少なくとも一部が共通していることを意味する。仕様の少なくとも一部が共通するとは、互いに代替可能であることを意味してもよいし、モータ以外の部品の組み立てに影響しない程度に設計が同じであることを意味してもよい。
【0040】
尚、第1モータ114Aの低段圧縮機用インペラケーシング132-1及び高段圧縮機用インペラケーシング132-3と、第2モータ114Bの中段圧縮機用インペラケーシング132-2及び膨張機用インペラケーシング134-1とは、各々に収容されるインペラの形状に応じて異なる設計にしてもよい。
【0041】
このように冷凍システム100では圧縮機ユニット102に含まれる第1モータ114A及び第2モータ114B、及び、それらの周辺構成を共通(同一仕様)にすることで、冷凍システム100に要求される冷凍能力が変化した場合でも、少ない開発負担で効率的に設計することができる。
【0042】
図1では、圧縮機ユニット102に2台の同軸圧縮機118が含まれる場合が例示されている。2台の同軸圧縮機118は、冷媒経路101に対して互いに並列に設けられている。冷媒経路101は、冷熱回収熱交換器105から圧縮機ユニット102に冷媒が供給される第1ライン144と、第1ライン144の下流側から2台の同軸圧縮機118の低段圧縮機110Aに対してそれぞれ分岐する第2ライン146A,146Bと、2台の低段圧縮機110Aで圧縮された冷媒がそれぞれ流れる第3ライン148A、148Bと、第3ライン148A、148Bが下流側で合流して中段圧縮機110Bに接続される第4ライン150と、中段圧縮機110Bで圧縮された冷媒が流れる第5ライン152と、第5ライン152の下流側から2台の同軸圧縮機118の高段圧縮機110Cに対してそれぞれ分岐する第6ライン154A,154Bと、高段圧縮機110Cで圧縮された冷媒がそれぞれ流れる第7ライン156A、156Bと、第7ライン156A、156Bが下流側で合流して、コールドボックス109側の冷熱回収熱交換器105に接続される第8ライン158とを含む。
【0043】
第2ライン146A、146Bの一方(
図1では、第2ライン146B)には、第1バルブ160が設けられることにより、2台の同軸圧縮機118の低段圧縮機110Aに対する冷媒の分配比率が調整可能に構成されている。また2台の低段圧縮機110Aで圧縮された冷媒が流れる第3ライン148A、148Bの一方(
図1では第3ライン148B)には、第2バルブ162が設けられることにより、2台の低段圧縮機110Aからの冷媒の排出比率が調整可能に構成されている。
尚、第3ライン148A、148Bには、それぞれ前述の熱交換器112Aが設けられる。
【0044】
第7ライン156A、156Bの一方(
図1では、第7ライン156B)には、第3バルブ164が設けられることにより、2台の同軸圧縮機118の高段圧縮機110Cからの冷媒の排出比率が調整可能に構成されている。
尚、第7ライン156A,156Bには、それぞれ前述の熱交換器112Cが設けられる。
【0045】
また冷凍システム100では、2台の同軸圧縮機118の低段圧縮機110Aの上流側と下流側とを連通する第1バイパスライン166が設けられる。第1バイパスライン166上には第1バイパスバルブ168が設けられている。また中段圧縮機110Bの上流側と下流側とを連通する第2バイパスライン170が設けられる。第2バイパスライン170上には第2バイパスバルブ172が設けられている。また2台の同軸圧縮機118の高段圧縮機110Cの上流側と下流側とを連通する第3バイパスライン174が設けられる。第3バイパスライン174上には第3バイパスバルブ176が設けられている。
【0046】
また冷媒経路101のうち高段圧縮機110Cの下流側と冷熱回収熱交換器105との間の高圧冷媒ライン178と、冷熱回収熱交換器105と低段圧縮機110Aとの間の低圧冷媒ライン180との間を連通する第4バイパスライン182が設けられる。第4バイパスライン182上には、冷媒を貯留可能なバッファタンク184と、バッファタンク184の上流側及び下流側にそれぞれ設けられた第4バルブ186及び第5バルブ188が配置される。
【0047】
これらのバルブ類は、冷凍システム100のコントロールユニットである制御装置200からの制御信号に基づいて開度が制御されることにより、冷媒経路101における冷媒の流路を適宜切替可能に構成される。制御装置200は、例えばコンピュータ等の電子演算装置からなるハードウェア構成に対して、所定の制御が実行するためのプログラムがインストールされることによって構成される。
【0048】
尚、前述した冷凍システム100における各バルブ及びバイパスバルブの配置は、同等の制御が実現可能な範囲において適宜変更可能である。
【0049】
続いて上記構成を有する冷凍システム100の起動方法について説明する。
図4は
図1の冷凍システム100の起動方法を示すフローチャートである。
【0050】
まず冷凍システム100の初期状態として、膨張機103の入口における冷媒温度が常温(約300K)である場合を想定する。停止状態にあった冷凍システム100では、冷媒経路101に残存している冷媒の温度が、常温近傍(約300K)まで上昇することによって、冷媒経路101内で冷媒の圧力が高くなっている。この状態では、冷媒経路101のうち高段圧縮機110Cから膨張機103までの高圧冷媒ライン178と、膨張機103から低段圧縮機110Aまでの低圧冷媒ライン180との冷媒の圧力が均衡(高低圧が均圧)する。このような状態は、低圧冷媒ライン180側の圧力が通常運転時よりも高く、この冷媒圧力が高くなった状態で冷凍システム100を起動運転すると、高圧冷媒ライン178側の圧力が過大に上昇しやすく、特にモータ駆動の膨張機一体型圧縮機120を備えて構成されていることにより、モータ負荷が高くなるおそれがある。
【0051】
そこで制御装置200は、高圧冷媒ライン178の圧力と、バッファタンク184の内部の圧力との圧力差ΔPが所定の閾値ΔP1(例えば10kPa)を超える場合(ステップS1:YES)に、第4バルブ186を開制御し(ステップS2)、冷媒経路101を流れる冷媒の一部をバッファタンク184に回収する(ステップS3)。これにより、圧力差ΔPが減少し、高圧冷媒ライン178の圧力が過大に上昇することを防止し、その結果、過大なモータ負荷が生じることを好適に回避できる。その後、制御装置200は、圧力差ΔPが閾値ΔP1以下になった場合(ステップS4:YES)、第4バルブ186を閉制御する(ステップS5)。
尚、圧力差ΔPが閾値ΔP1より大きい場合には(ステップS4:NO)、制御装置200は制御をステップS2に戻す。
【0052】
尚、圧力差ΔPは、例えば、高圧冷媒ライン178に設けられた圧力センサと、バッファタンク184内に設置された圧力センサとの検出値の差分により取得可能である。
【0053】
ここで冷媒経路101には、定格運転条件で最も密度が高くなる膨張機103入口付近の流路に最小断面が存在する。予冷時には膨張機103の吸入温度が定格条件に比べて高くなる(冷媒密度が低い)ため、当該箇所における冷媒流量が少なくなる膨張機103のチョーク現象によって圧縮機のサージングが発生するおそれがある。続くステップS6では、このような課題を解決するために、圧縮機ユニット102に含まれる2台の同軸圧縮機118のうち一方(同軸圧縮機118A)のみを膨張機一体型圧縮機120とともに起動する(すなわち2台の同軸圧縮機118のうち一方のみを膨張機一体型圧縮機120とともに運転する、いわゆる台数制御運転を開始する)。これにより、膨張機103における冷媒の流量を少なくした状態で起動が可能となるため、圧縮機におけるサージング発生を効果的に防止できる。
【0054】
続いて制御装置200は、第2バイパスバルブ172の開度を、膨張機103の入口における冷媒の温度Tinに基づいて制御する(ステップS7)。ステップS7では、第2バイパスバルブ172の開度が、膨張機103の入口における冷媒の温度Tinに基づいて制御されることにより、冷媒経路101を流れる冷媒の一部が第2バイパスライン170を介して中段圧縮機110Bをバイパスされる。その結果、中段圧縮機110Bに供給される冷媒の流量が増加し、上述のような圧縮機におけるサージングをより効果的に防止できる。
【0055】
またステップS7における第2バイパスバルブ172の開度制御は、膨張機103の入口における冷媒の温度Tinに基づいて連続的に行われてもよいし、段階的(ステップ状)に行われてもよい。このとき、冷熱回収熱交換器105における冷媒の冷却速度が略一定(例えば60K/h)になるように、ステップS6で起動した一方の同軸圧縮機118又は膨張機一体型圧縮機120の少なくとも一方の回転数を協調制御してもよい。
【0056】
尚、膨張機103の入口における冷媒の温度Tinは、膨張機103の入口に設置された温度センサ(不図示)により取得可能である。
【0057】
尚、ステップS7において、第1バルブ160、第2バルブ162及び第3バルブ164、第1バイパスバルブ168及び第3バイパスバルブ176は閉状態に制御される。
【0058】
続いて膨張機103の入口における温度Tinが第1目標値T1(例えば180~200K)以下になると(ステップS8:YES)、制御装置200は第1バイパスバルブ168、第3バイパスバルブ176及び第1バルブ160を開制御する(ステップS9)。
【0059】
続いて制御装置200は、サージングの有無を判定する(ステップS10)サージングが有ると判定された場合(ステップS10:YES)、ステップS6で起動した一方の同軸圧縮機118Aの回転数を減少するように制御する(ステップS11)。ステップS11で制御される一方の同軸圧縮機118Aの回転数は、仮に圧縮機ユニット102に含まれる2台の同軸圧縮機118を両方起動させた場合に、各圧縮機でサージングが発生しない回転数まで減少するように制御される。
尚、ステップS11では一方の同軸圧縮機118Aの回転数を減少した結果、一時的に停止状態にしてもよい。またサージングが無いと判定された場合には(ステップS10:NO)、ステップS11における回転数の減少制御は実施されない。例えば、回転数が比較的低い場合(例えば、熱交換器の冷却速度などの制限によって予冷時の回転数が低い場合)にはサージングが発生しにくい傾向があるため、運転条件によっては、ステップS11のような回転数の減少制御は不要とすることができる。
【0060】
続いて制御装置200は、第1バイパスバルブ168及び第3バイパスバルブ176を開制御し(ステップS12)、圧縮機ユニット102に含まれる他方の同軸圧縮機118Bを起動する(ステップS13)。このとき、他方の同軸圧縮機118Bの回転数は、ステップS6で回転数が減少された一方の同軸圧縮機118Aに等しくなるように制御される。そして、制御装置は2台の同軸圧縮機118の圧力条件が同等になった場合(ステップS14:YES)、第1バイパスバルブ168及び第3バイパスバルブ176を閉制御する(ステップS15)。
【0061】
続いて制御装置200は、第2バルブ162及び第3バルブ164を開制御することで、冷媒経路101に対して他方の同軸圧縮機118Bの接続を完了させる(ステップS16)。このようにして、ステップS3で先に起動された一方の同軸圧縮機118Aの回転数を一旦減少させた状態で、他方の同軸圧縮機118Bを起動させることで、各圧縮機にサージングが発生することを防止しながら、1台の同軸圧縮機118Aによる片側運転から、2台の同軸圧縮機118A,118Bによる両側運転にスムーズに移行することができる。
【0062】
制御装置200は、引き続き膨張機103の入口における冷媒の温度Tinや冷熱回収熱交換器105における冷媒の冷却速度に基づいて第2バイパスバルブ172の開度及び同軸圧縮機118又は膨張機一体型圧縮機120の少なくとも一方の回転数を制御しながら予冷運転を進める。そして制御装置200は、膨張機103の入口における温度Tinが第2目標温度T2(例えば100~120K)以下になると(ステップS17:YES)、第2バイパスバルブ172を閉制御し(ステップS18)、予冷を完了して通常運転に移行することで、一連の冷凍システム100の起動制御が終了する(ステップS19)。
【0063】
尚、冷凍システム100が3台以上の同軸圧縮機118を備える場合には、上記制御に倣って、起動状態にある同軸圧縮機118の数を順に増やすように制御することで、温度Tinを所望の値にすることができる。
【0064】
以上説明したように、冷凍システム100の起動方法では、起動初期段階では、圧縮機ユニット102に含まれる一部の同軸圧縮機118を起動し、予冷が進行するに従って(膨張機103の入口における温度Tinが低下するに従って)同軸圧縮機118の起動台数が増加するように制御される。各段階における同軸圧縮機118の起動台数は、例えば、膨張機103の入口における温度Tinに応じて、以下のように制御してもよい。
【0065】
音速とマッハ数,断熱流れの関係より,膨張機103を通過する冷媒の質量流量Gは、以下のように膨張機103の入口における冷媒の温度T
inの関数として表される(ここでは、膨張機103を通過する冷媒が臨界状態にない、すなわち膨張機103のノズル出口流速が音速に達しておらず、且つ、冷媒が理想気体であると仮定する)。
ここで、Aは膨張機103のノズルスロート面積でありP
in,P
exはそれぞれ膨張機103の入口及び出口における圧力であり、κは冷媒の比熱比であり、Rは理想気体のガス定数である。式(1)より、膨張機103の入口における温度T
inに対する冷媒流量Gを概算することができる。そのため、同軸圧縮機118の1台当たりの吐出流量をRとすると、起動すべき同軸圧縮機118の台数Dは次式により得られる(端数は切り上げ)。
D=G/R (2)
【0066】
図1のように圧縮機ユニット102に2台の同軸圧縮機118が含まれる場合、膨張機103の入口における温度T
inが第1目標値T1(例えば180~200K)になるまでは、一方の同軸圧縮機118のみを起動することで効率よく予冷ができるが、第2目標値T2(例えば120~200K)では効率が低下してしまうため、他方の同軸圧縮機118を起動して2台での運転をすることが好ましい。このように温度領域に応じて同軸圧縮機118の運転台数を変化させる場合には、サージングの発生が懸念される運転条件において上述のように起動済の同軸圧縮機1の回転数を一旦減少させることで、サージングの発生を防止しながらスムーズな運転台数の移行が可能となる。
【0067】
上記実施形態では、1台の膨張機一体型圧縮機に対して2台の同軸圧縮機118を備える冷凍システム100について説明したが、冷凍システム100が備える膨張機一体型圧縮機120及び同軸圧縮機118の台数は任意でもよい。以下、冷凍システム100の幾つかのバリエーションについて
図5~
図8を参照して具体的に説明する。
尚、
図5~
図8では冷凍システム100のうち同軸圧縮機118、膨張機一体型圧縮機120、第1モータ114A、第2モータ114Bが抽出して簡易的に示されており、その他の構成については上記実施形態に倣うものとして詳述は省略する。
【0068】
図5A~
図5Bは2台の同軸圧縮機118A、118B及び1台の膨張機一体型圧縮機120を備える冷凍システム100A-1~100A-2を示す模式図である。
図5Aに示す冷凍システム100A-1では、前述の実施形態と同様に、同軸圧縮機118Aを駆動するための第1モータ114A-1、同軸圧縮機118Bを駆動するための第1モータ114A-2、及び、膨張機一体型圧縮機120を駆動するための第2モータ114Bが全て共通である。この場合、全ての第1モータ114A及び第2モータ114Bを共通にすることで、冷凍システム100Aに用いられるモータの種類を最小限にでき、開発に要する費用や時間を効果的に削減できる。
【0069】
図5Bに示す冷凍システム100A-2では、同軸圧縮機118Aを駆動するための第1モータ114A-1、及び、膨張機一体型圧縮機120を駆動するための第2モータ114Bが共通である一方で、同軸圧縮機118Bを駆動するための第1モータ114A-2が異なる(別仕様である)。このように冷凍システム100に用いられる第1モータ114A、第2モータ114Bの共通化を極力進めつつ、一部のモータのみを別仕様とすることで、冷凍システム100に要求される仕様に対して柔軟に対応することもできる。
【0070】
続いて
図6A~
図6Cは、3台の同軸圧縮機118A、118B、118C及び1台の膨張機一体型圧縮機120を備える冷凍システム100B-1~100B-3を示す模式図である。
図6Aに示す冷凍システム100B-1では、同軸圧縮機118Aを駆動するための第1モータ114A-1、同軸圧縮機118Bを駆動するための第1モータ114A-2、同軸圧縮機118Cを駆動するための第1モータ114A-3、及び、膨張機一体型圧縮機120を駆動するための第2モータ114Bが全て共通である。この場合、全ての第1モータ114A及び第2モータ114Bを共通にすることで、冷凍システム100Aに用いられるモータの種類を最小限にでき、開発に要する費用や時間を効果的に削減できる。
【0071】
図6Bに示す冷凍システム100B-2では、同軸圧縮機118Aを駆動するための第1モータ114A-1、同軸圧縮機118Bを駆動するための第1モータ114A-2、及び、膨張機一体型圧縮機120を駆動するための第2モータ114Bが共通である一方で、同軸圧縮機118Cを駆動するための第1モータ114A-3が異なる(別仕様である)。このように冷凍システム100に用いられる第1モータ114A、第2モータ114Bの共通化を極力進めつつ、一部のモータのみを別仕様とすることで、冷凍システム100に要求される仕様に対して柔軟に対応することもできる。
【0072】
図6Cに示す冷凍システム100B-3では、同軸圧縮機118Aを駆動するための第1モータ114A-1、及び、膨張機一体型圧縮機120を駆動するための第2モータ114Bが互いに共通である一方で、同軸圧縮機118Bを駆動するための第1モータ114A-2、及び、同軸圧縮機118Cを駆動するための第1モータ114A-3が互いに共通である。このように冷凍システム100に用いられる各モータについて、互いに異なる複数の仕様についてそれぞれ共通化を進めることによっても、冷凍システム100に要求される仕様に対して柔軟に対応することもできる。
【0073】
続いて
図7A~
図7Cは、3台の同軸圧縮機118A、118B、118C及び2台の膨張機一体型圧縮機120A、120Bを備える冷凍システム100C-1~100C-3を示す模式図である。
図7Aに示す冷凍システム100C-1では、同軸圧縮機118Aを駆動するための第1モータ114A-1、同軸圧縮機118Bを駆動するための第1モータ114A-2、同軸圧縮機118Cを駆動するための第1モータ114A-3、膨張機一体型圧縮機120Aを駆動するための第2モータ114B-1、及び、膨張機一体型圧縮機120Bを駆動するための第2モータ114B-2が全て共通である。この場合、全ての第1モータ114A及び第2モータ114Bを共通にすることで、冷凍システム100Aに用いられるモータの種類を最小限にでき、開発に要する費用や時間を効果的に削減できる。
【0074】
図7Bに示す冷凍システム100C-2では、同軸圧縮機118Aを駆動するための第1モータ114A-1、同軸圧縮機118Bを駆動するための第1モータ114A-2、膨張機一体型圧縮機120Aを駆動するための第2モータ114B-1、及び、
膨張機一体型圧縮機120Bを駆動するための第2モータ114B-2が共通である一方で、同軸圧縮機118Cを駆動するための第1モータ114A-3が異なる(別仕様である)。このように冷凍システム100に用いられる第1モータ114A、第2モータ114Bの共通化を極力進めつつ、一部のモータのみを別仕様とすることで、冷凍システム100に要求される仕様に対して柔軟に対応することもできる。
【0075】
図7Cに示す冷凍システム100C-3では、同軸圧縮機118Aを駆動するための第1モータ114A-1、膨張機一体型圧縮機120Aを駆動するための第2モータ114B-1、及び、膨張機一体型圧縮機120Bを駆動するための第2モータ114B-2が互いに共通である一方で、同軸圧縮機118Bを駆動するための第1モータ114A-2、及び、同軸圧縮機118Cを駆動するための第1モータ114A-3が互いに共通である。このように冷凍システム100に用いられる各モータについて、互いに異なる複数の仕様についてそれぞれ共通化を進めることによっても、冷凍システム100に要求される仕様に対して柔軟に対応することもできる。
【0076】
図8A~
図8Dは、4台の同軸圧縮機118A、118B、118C、118D及び2台の膨張機一体型圧縮機120A、120Bを備える冷凍システム100D-1~100D-4を示す模式図である。
図8Aに示す冷凍システム100D-1では、同軸圧縮機118Aを駆動するための第1モータ114A-1、同軸圧縮機118Bを駆動するための第1モータ114A-2、同軸圧縮機118Cを駆動するための第1モータ114A-3、同軸圧縮機118Dを駆動するための第1モータ114A-4、膨張機一体型圧縮機120Aを駆動するための第2モータ114B-1、及び、膨張機一体型圧縮機120Bを駆動するための第2モータ114B-2が全て共通である。この場合、全ての第1モータ114A及び第2モータ114Bを共通にすることで、冷凍システム100Aに用いられるモータの種類を最小限にでき、開発に要する費用や時間を効果的に削減できる。
【0077】
図8Bに示す冷凍システム100D-2では、同軸圧縮機118Aを駆動するための第1モータ114A-1、同軸圧縮機118Bを駆動するための第1モータ114A-2、同軸圧縮機118Cを駆動するための第1モータ114A-3、膨張機一体型圧縮機120Aを駆動するための第2モータ114B-1、及び、膨張機一体型圧縮機120Bを駆動するための第2モータ114B-2が共通である一方で、同軸圧縮機118Dを駆動するための第1モータ114A-4が異なる(別仕様である)。このように冷凍システム100に用いられる第1モータ114A、第2モータ114Bの共通化を極力進めつつ、一部のモータのみを別仕様とすることで、冷凍システム100に要求される仕様に対して柔軟に対応することもできる。
【0078】
図8Cに示す冷凍システム100D-3では、同軸圧縮機118Aを駆動するための第1モータ114A-1、同軸圧縮機118Bを駆動するための第1モータ114A-2、膨張機一体型圧縮機120Aを駆動するための第2モータ114B-1、及び、膨張機一体型圧縮機120Bを駆動するための第2モータ114B-2が互いに共通である一方で、同軸圧縮機118Cを駆動するための第1モータ114A-3、及び、同軸圧縮機118Dを駆動するための第1モータ114A-4が互いに共通である。このように冷凍システム100に用いられる各モータについて、互いに異なる複数の仕様についてそれぞれ共通化を進めることによっても、冷凍システム100に要求される仕様に対して柔軟に対応することもできる。
【0079】
図8Dに示す冷凍システム100D-4では、同軸圧縮機118Aを駆動するための第1モータ114A-1、膨張機一体型圧縮機120Aを駆動するための第2モータ114B-1、及び、膨張機一体型圧縮機120Bを駆動するための第2モータ114B-2が互いに共通である一方で、同軸圧縮機118Bを駆動するための第1モータ114A-2、同軸圧縮機118Cを駆動するための第1モータ114A-3、及び、同軸圧縮機118Dを駆動するための第1モータ114A-4が互いに共通である。このように冷凍システム100に用いられる各モータについて、互いに異なる複数の仕様についてそれぞれ共通化を進めることによっても、冷凍システム100に要求される仕様に対して柔軟に対応することもできる。
【0080】
上述の実施形態に記載の内容は、例えば以下のように把握される。
【0081】
(1)一態様に係る冷凍システムは、
冷媒経路(例えば上記実施形態の冷媒経路101)上に配置された圧縮機ユニット(例えば上記実施形態の圧縮機ユニット102)によって圧縮された冷媒を用いて冷熱を発生させるブレイトンサイクルを利用した冷凍システム(例えば上記実施形態の冷凍システム100)であって、
前記圧縮機ユニットは、
前記冷媒経路に対して互いに並列に配置された複数台の圧縮機(例えば上記実施形態の複数の同軸圧縮機118)と、
前記複数台の圧縮機をそれぞれ駆動するための複数の第1モータ(例えば上記実施形態の複数の第1モータ114A)と、
前記圧縮機ユニットで圧縮された前記冷媒を膨張可能な膨張機(例えば上記実施形態の膨張機103)と一体的に構成された膨張機一体型圧縮機(例えば上記実施形態の膨張機一体型圧縮機120)と、
前記膨張機一体型圧縮機を駆動するための第2モータ(例えば上記実施形態の第2モータ114B)と、
を含み、
前記複数台の圧縮機は、前記膨張機一体型圧縮機より多い台数を有する。
【0082】
上記(1)の態様によれば、異なる冷凍能力を有する冷凍システムを開発する場合においても、圧縮機ユニットの一部構成である圧縮機の台数を変更することで対応可能であるため、設計変更に伴う部品点数や専有面積の増加を良好に抑えることができる。
【0083】
(2)他の態様では、上記(1)の態様において、
前記複数の第1モータ及び前記第2モータは共通である。
【0084】
上記(2)の態様によれば、圧縮機ユニットに含まれる複数の圧縮機をそれぞれ駆動するための複数の第1モータと、膨張機一体型圧縮機を駆動するための第2モータとが共通となる。これにより、冷凍システムに用いられるモータの種類を削減し、開発に要する費用や時間を効果的に削減できる。
【0085】
尚、本明細書において複数の第1モータと第2モータとが「共通」であるとは、複数の第1モータと、第2モータとはそれぞれ別体のモータであり、仕様の少なくとも一部が共通していることを意味する。仕様が共通するとは、例えば、モータの出力、回転数、寸法の少なくとも一部が同じであることを意味してもよいし、互いに代替可能であることを意味してもよいし、モータ以外の部品の組み立てに影響しない程度に設計が同じであることを意味してもよい。
【0086】
(3)他の態様では、上記(1)又は(2)の態様において、
前記複数台の圧縮機を制御するための制御装置(例えば上記実施形態の制御装置200)を備え、
前記制御装置は、前記冷凍システムの起動時に、前記膨張機の入口における前記冷媒の温度に基づいて、前記複数台の圧縮機の一部を動作するように、前記複数台の圧縮機を制御する。
【0087】
上記(3)の態様によれば、冷凍システムの起動時に複数台の圧縮機の一部を動作することで、同軸圧縮機におけるサージング発生を効果的に防止できる。
【0088】
(4)他の態様では、上記(3)の態様において、
前記制御装置は、起動状態にある前記圧縮機の回転数を減少するように制御した後、前記複数台の圧縮機の起動台数を変更するように制御する。
【0089】
上記(4)の態様によれば、複数台の圧縮機の起動台数を変更する場合には、先に起動された圧縮機の回転数を減少させることで、各圧縮機にサージングが発生することを防止しながら、スムーズに起動台数を変更できる。
【0090】
(5)他の態様では、上記(1)から(4)のいずれか一態様において、
前記冷媒経路は、前記膨張機一体型圧縮機が有する圧縮機(例えば上記実施形態の中段圧縮機110B)の上流側及び下流側をバイパスするように構成されたバイパスライン(例えば上記実施形態の第2バイパスライン170)と、
前記バイパスライン上に設けられたバイパスバルブ(例えば上記実施形態の第2バイパスバルブ172)と
を備える。
【0091】
上記(5)の態様によれば、バイパスラインに設けられたバイパスバルブの開度を調整することで、各圧縮機におけるサージングを効果的に防止できる。
【0092】
(6)他の態様では、上記(5)の態様において、
前記バイパスバルブは、前記膨張機の入口における前記冷媒の温度に基づいて、前記膨張機一体側圧縮機が有する圧縮機における前記冷媒の流量が所定値以上になるように制御される。
【0093】
上記(6)の態様によれば、膨張機の入口における冷媒の温度が上昇することでサージングが発生するおそれがある場合には、バイパスバルブの開度を制御し、膨張機一体型圧縮機が有する圧縮機における冷媒流量を所定値以上に確保することでサージング発生を防止できる。
【0094】
(7)他の態様では、上記(6)の態様において、
前記冷媒の冷却速度が略一定になるように、前記圧縮機又は前記膨張機一体型圧縮機の回転数が前記バイパスバルブの開度と協調制御される。
【0095】
上記(7)の態様によれば、バイパスバルブの開度制御とともに圧縮機又は膨張機一体型圧縮機の回転数を協調制御することで、冷媒経路を流れる冷媒の冷却速度が略一定にされる。これにより、起動時から通常運転時までの予冷期間において、冷却速度を調整/修正し、冷媒温度を精度よく制御することが可能となる。
【0096】
(8)他の態様では、上記(1)から(7)のいずれか一態様において、
前記複数台の圧縮機の各々は、前記冷媒経路に対して直列接続された複数の圧縮機を含む同軸圧縮機(例えば上記実施形態の同軸圧縮機118)である。
【0097】
上記(8)の態様によれば、複数台の圧縮機として同軸圧縮機(多段圧縮機)を用いることで、単段圧縮機に比べて大きな圧縮比を得るとともに、高効率化を図ることができる。
【符号の説明】
【0098】
100 冷凍システム
101 冷媒経路
102 圧縮機ユニット(110A,110B,110C)
103 膨張機
104 冷却部
105 冷熱回収熱交換器
106 超電導機器
107 冷媒経路
108 ポンプ
109 コールドボックス
110 圧縮機
110A 低段圧縮機
110B 中段圧縮機
110C 高段圧縮機
112(112A,112B,112C) 熱交換器
114A 第1モータ
114B 第2モータ
116A,116B 出力軸
118(118A,118B) 同軸圧縮機
120 膨張機一体型圧縮機
122-1,122-2 ラジアル磁気軸受
126 スラスト磁気軸受
127-1,127-2 アキシャルロータディスク
128 ケーシング
130 モータケーシング
132-1 低段圧縮機用インペラケーシング
132-2 中段圧縮機用インペラケーシング
132-3 高段圧縮機用インペラケーシング
134-1 膨張機用インペラケーシング
136A,136B ロータ
138A,138B ステータ
140A,140B,140C,142 インペラ
144 第1ライン
146A,146B 第2ライン
148A,148B 第3ライン
150 第4ライン
152 第5ライン
154A,154B 第6ライン
156A,156B 第7ライン
158 第8ライン
160 第1バルブ
162 第2バルブ
164 第3バルブ
166 第1バイパスライン
168 第1バイパスバルブ
170 第2バイパスライン
172 第2バイパスバルブ
174 第3バイパスライン
176 第3バイパスバルブ
178 高圧冷媒ライン
180 低圧冷媒ライン
182 第4バイパスライン
184 バッファタンク
186 第4バルブ
188 第5バルブ
200 制御装置